JP2007191385A - ハイドロカルマイト、その製造方法、塩素イオン捕集剤、重金属含有イオン捕集材、それらを含有する塗装材料組成物およびセメント組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記一般式(1)
[式中、XはOH-、NO3 - 及びNO2 - から選択される少なくとも1種のアニオンであり、nはn≦20を表す。]で示される構造からなり、レーザー光散乱法による平均粒子径が1μm以上7μm未満であり、100μm以上の粒子の含有量が3重量%未満であるハイドロカルマイトおよび前記ハイドロカルマイトを有効成分とする塩素イオン捕集剤および重金属含有イオン捕集材。
【選択図】なし
Description
これら防食用の塗料やコンクリート組成物としてハイドロカルマイトを含有させることも提案されている(例えば、特許文献4〜5参照)。
本発明者らは、これらの問題に鑑み、鋭意研究したところ、特定のハイドロカルマイトが、セメント材料の添加剤としてだけではなく、塗料、接着剤などの塗装材料分野でも有用な組成物を構成できることを見出し、本発明を完成した。
また、本発明は、セメント材料への添加剤としてだけでなく、塗料、接着剤などの塗装材料分野でも有用な組成物を構成できる、硝酸型、亜硝酸型又は水酸型ハイドロカルマイトを有効成分とする塩素イオン捕集剤、重金属含有イオン捕集材、その工業的に有利な製造方法、更には該塩素イオン捕集剤を用いた塗装材料組成物及びセメント組成物を提供することにある。
で示される構造からなり、レーザー光散乱法による平均粒子径が1μm以上7μm未満であり、100μm以上の粒子の含有量が3重量%未満であることを特徴とするハイドロカルマイトである。
で示される構造からなり、レーザー光散乱法による平均粒子径が1μm以上5μm未満であり、10μm以上の粒子の含有量が3重量%未満であることを特徴とするハイドロカルマイトである。
ト。
で示されるハイドロカルマイトを分散剤の存在下に粉砕処理する工程を有することを特徴とするハイドロカルマイトの製造方法である。
で示される炭酸型ハイドロカルマイトを400〜900℃で加熱処理するA−1工程、前記A−1工程で得られた生成物を水に浸漬し、下記一般式(3)
で示されるハイドロカルマイトを得るB−1工程を有することを特徴とするハイドロカルマイトの製造方法である。
で示される炭酸型ハイドロカルマイトを400〜900℃で加熱処理するA−1工程、前記A−1工程で得られた生成物を亜硝酸、硝酸又はこれらの金属塩を含む水溶液に浸漬し、下記一般式(1)
で示されるハイドロカルマイトを得るB−2工程を有することを特徴とするハイドロカルマイトの製造方法である。
で示されるハイドロカルマイトを亜硝酸、硝酸又はこれらの金属塩を含む水溶液に浸漬し、下記一般式(4)
で示されるハイドロカルマイトを得るC−1工程を有することを特徴とするハイドロカルマイトの製造方法である。
また、本発明が提供しようとする第8の発明は、上記の塩素イオン捕集剤を含有することを特徴とする塗装材料組成物である。
また、本発明が提供しようとする第10の発明は、上記のハイドロカルマイトを含有することを特徴とする重金属含有イオン捕集材である。
本発明の塩素イオン捕集剤は、優れた塩素イオン捕集能を有し、セメント材料への添加剤としてだけでなく、塗料、接着剤などの塗装材料分野でも有用な組成物を構成することができる。
本発明に係るハイドロカルマイトは酸化物表示で、下記一般式(1)
前記分散剤は、以下の脂肪酸及びその誘導体、アマイド、アミン類、脂肪酸エステル、アルコールエステル類を使用することができる。
また、前記疎水化剤の被覆量は前記一般式(1)で表されるハイドロカルマイトに対して0.5〜15重量%、好ましくは1〜10重量%とすることが塩素イオン捕集能の低下を防ぎ、組成物の安定性を保つという観点から特に好ましい。
第1の方法は公知の方法で粗粒のハイドロカルマイトを得た後、該粗粒のハイドロカルマイトを分散剤の存在下に湿式又は乾式で粉砕処理する方法である。
乾式法で粉砕処理する方法は、粗粒のハイドロカルマイトと分散剤とを混合し、得られた混合物を乾式粉砕装置に導入し粉砕処理する方法、或いは粗粒のハイドロカルマイトを常法により分散剤で表面処理したものを乾式粉砕装置に導入し粉砕処理する方法等が挙げられる。前記乾式粉砕装置としては、例えばジェットミル、アトマイザー、バンタムミル、乾式ボールミル、乾式ビーズミル等の装置を用いることができる。
なお、本発明では、前記必要により行われる溶剤での洗浄により分散剤を除去した前記一般式(1)で表わされるハイドロカルマイトが得られるが、この洗浄を省くか水のみで洗浄することにより分散剤で表面処理された前記一般式(1)で表わされるハイドロカルマイトを得ることができる。
で示される炭酸型ハイドロカルマイトを400〜900℃で加熱処理するA−1工程を含み、次いで下記B−1工程又はB−2工程を行う。
前記A−1工程で得られた生成物を水に浸漬し、下記一般式(3)
で示されるハイドロカルマイトを得る工程。
B−2工程;
前記A−1工程で得られた生成物を亜硝酸、硝酸又はこれらの金属塩を含む水溶液に浸漬し、下記一般式(1)
で示されるハイドロカルマイトを得る工程。
次に、前記の水酸化カルシウムとアルミン酸ナトリウムを含む水溶媒(A液)へ、炭酸塩又は炭酸水素塩を含む水溶液(B液)を添加する。前記炭酸塩としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸アルカリ金属塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸水素アルカリ金属塩を使用することができる。B液中の炭酸塩又は炭酸水素塩の濃度は水に溶解できる濃度であれば特に制限されるものではないが多くの場合0.5〜5.0重量%の水溶液として用いることが望ましい。
反応終了後、固液分離後、洗浄、乾燥、必要により粉砕を行って炭酸型ハイドロカルマイトを得ることができる。
A−1工程において、該炭酸型ハイドロカルマイトを加熱処理する温度は400〜900℃、好ましくは700〜850℃とすることが重要な構成要件となる。この理由は加熱処理温度が900℃より大きくなると、目的とする焼生物以外の複合酸化物が生成しやすくなり、一方、400℃より小さくなると炭酸の除去時間が長くなり、また、除去できない炭酸が残存するようになるからである。加熱処理を行う雰囲気は大気中であっても不活性ガス雰囲気下でも特に制限されるものではない。加熱処理時間は温度により異なり特定できなが、一例を示せば800℃で30分ないし4時間である。
次いで、本発明では、下記するB−1工程又はB−2工程を実施しハイドロカルマイト構造の再生と所望のアニオンの取り込みを行う。
で示されるハイドロカルマイト(水酸化ハイドロカルマイト)を得る工程である。
B−1工程において、前記の好ましい加熱処理条件、例えば800〜850℃で1時間の加熱処理を行うことにより水酸イオンを理論値に近い量まで取り込ませることが出来る。
B−2工程は前記A−1工程で得られた生成物を亜硝酸、硝酸又はこれらの金属塩を含む水溶液に浸漬し、下記一般式(1)
で示されるハイドロカルマイトを得るものである。
前記A−1工程で得られる複合酸化物は一般式(1)の式中のXにおいて全てのOH-をNO2 - 又はNO3 - に置換するまで取り込むことが可能であるが好ましい置換率は0.8〜0.5、更に好ましくは0.7〜0.6であり、なお、置換率を上げるため大量のNO3−又はNO2 - との接触はカルマイト構造の破壊を生じるため本発明では使用する亜硝酸、硝酸又は、これらの金属塩は複合酸化物に対して亜硝酸イオン又は硝酸イオンとして理論量以上の1.0〜1.4当量、特に好ましくは1.0〜1.2倍当量とすることが亜硝酸イオン又は硝酸イオンをカルマイト構造を壊さずに理論値に近い量まで取り込ませることが出来るので好ましい。なお、本発明では、この亜硝酸、硝酸又は、これらの金属塩を含む水溶液への浸漬は1回に限らず必要により何度でも繰り返し行うことができる。
第3の方法は、微細で粒度分布がシャープな水酸型ハイドロカルマイトを用い、該水酸型ハイドロカルマイトの粒度特性を保持した硝酸型ハイドロカルマイト或いは亜硝酸型ハイドロカルマイトをアニオン交換反応により得る方法である。
で示されるハイドロカルマイト(水酸型ハイドロカルマイト)を亜硝酸、硝酸又はこれらの金属塩を含む水溶液に浸漬し、下記一般式(4)
で示されるハイドロカルマイト(亜硝酸型又は硝酸型のハイドロカルマイト)を得るC−1工程を行う。なお、C−1工程の条件は亜硝酸、硝酸又はこれらの金属塩を含む水溶液と浸漬条件等も前記B−1工程と同じなので詳細な説明は省略し、前記B−2工程を参照のこと。
前記一般式(1)で表されるハイドロカルマイトにおいて、前記した疎水化剤で表面されていないものにあっては、更に疎水化剤で表面処理することができる。この場合、疎水化剤で表面処理する方法としては、湿式又は乾式で行うことができる。湿式法により行う場合は、前記疎水化剤を所望の濃度含む溶媒に前記一般式(1)で表されるハイドロカルマイトを浸漬し、溶媒ごと噴霧乾燥するか、或いは固液分離後、乾燥を行うことにより、前記疎水化剤で表面処理されたハイドロカルマイトを得ることができる。
また、前記第2又は第3の方法では、B−1工程、B−2工程又はC−1工程終了後の反応液に例えば、所定量の分散剤、界面活性剤を添加し、固液分離後、乾燥を行うことにより効果的に製造することができる。
本発明の塩素イオン捕集剤は塗料材料組成物やコンクリート組成物の1成分として含有させて使用することができる。
例えば、防錆顔料としては、Mg、Ca、Ba、Sr、Zn又はAlの1種又は2種以上から選ばれたリンのオキシ金属塩、モリブデン酸金属塩、リンモリブデン酸金属塩、ホウ酸金属塩、ホウ珪酸金属塩、リン珪酸金属塩、クロム酸塩、鉛酸塩、金属の複合酸化物等が挙げられが、クロム系、鉛系等の防錆顔料に対しても十分な効果はあるものの、環境上の問題から好ましくない。
前記水溶性珪酸塩としては、一般式M2O・xSiO2・yH2Oで表され、Mはナトリウム、リチウム、カリウム等のアルカリ金属、N(C2H4OH)2、N(CH2OH)4、N(C2H4OH)4、C(NH2)3NHを示し、式中のx及びyは整数を示し、具体的な化合物としては例えば、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウム等の珪酸アルカリ金属塩、珪酸トリエタノールアミン、珪酸テトラメタノールアンモニウム、珪酸テトラエタノールアンモニウム等が挙げられる。
また、希釈剤としては、水、アルコール類、ケトン類、ベンゼン類、トルエン、キシレンの如き芳香族炭化水素類、液化パラフィンの如き脂肪族炭化水素類など、一般的に塗料で用いられている溶剤が適用できる。
本発明に係る塗装材料組成物は、刷毛やローラー塗り、スプレー塗装、静電気塗装、粉体塗装、ロールコーター、カーテンフローコーター、ディッピング塗装や電着塗装等に供することができる。
(3)塩害により劣化して表面剥離したコンクリート躯体に対し他の添加剤と共に断面修復材あるいは表面修復材として用いる。
本発明のハイドロカルマイトで捕集できる重金属含有イオンとしては、重金属イオンと重金属のオキソ酸イオンであり、重金属イオンとしては、特に制限されるものではないが、例えば、モリブデンイオン、ニッケルイオン、コバルトイオン、銅イオン、スズイオン、鉄イオン、クロムイオン、マンガンイオン、タングステンイオン、ビスマスイオン、バナジウムイオン、カドニウムイオン、銀イオン、水銀イオン等が挙げられる。重金属のオキソ酸イオンとしては、特に制限されないが、例えば、モリブデン酸イオン、ニッケル酸イオン、コバルト酸イオン、銅酸イオン、スズ酸イオン、鉄酸イオン、クロム酸イオン、マンガン酸イオン、タングステン酸イオン、ビスマス酸イオン、バナジウム酸イオン、カドニウム酸イオン等が挙げられる。
なお、物性評価および化学分析に用いた機器と方法を以下に記載した。
(2)水分測定:TG/DTA(熱重量示差熱分析;セイコーインスツルメンス製のTG/DTA6300型)を用いて、昇温速度10℃/minで40〜800℃の重量変化を測定し、結晶水を算出した。
(4)化学組成分析:カルシウムとアルミニウムはICP(Varian製 LIBERT YII型)によって定量した。
<粗粒の亜硝酸型ハイドロカルマイトの合成>
特開平7−33431号公報に基づいて亜硝酸型ハイドロカルマイトを合成した。Al2O3:54.89重量%、CaO:34.59重量%を含有するアルミナセメント5kgと、亜硝酸カルシウム1水塩4.04kg、水酸化カルシウム(工業用消石灰)3.69kg、水40kgを加え、25℃で24時間反応を行ったところ、ゲル状の沈澱物が生成した。次いで、このスラリーを60℃に加温して常圧で4時間撹拌を続けながら結晶化を行った。得られた沈澱物を常法により濾過、洗浄した後、乾燥したところ17kgの白色固体を得た。得られた白色固体をコーヒミルで粉砕し、150メッシュ以下の白色粉末を得た。白色粉末をX線回折、化学分析、電子顕微鏡写真で解析した結果、不純物として少量のCa(OH)2を含有する亜硝酸型ハイドロカルマイト(3CaO・Al2O3・Ca(NO2)2・10H2O)であることを確認した。
<微粒子亜硝酸型ハイドロカルマイトの作成>
製造例1で得られた亜硝酸型ハイドロカルマイトの粉末の粗大粒子を少なくするため、更にコーヒミルで粉砕を繰り返した。得られた粗大粒子の少ない粉末の粒度分布を図2に示した。図2より明らかなように、粗大粒子の山は減少し、微小粒子の山が大きくなっており、粒度分布が大きく改善された。
<微粒子亜硝酸型ハイドロカルマイトの作成>
製造例1で作成した平均粒子径が9.4μmの粉末をジェットミル(株式会社 セイシン企業製、STJ−200型)を用いて粉砕を行い、微粉末の亜硝酸型ハイドロカルマイトを得た。
<微粒子硝酸型ハイドロカルマイトの作成>
Al2O3:54.89重量%、CaO:34.59重量%を含有するアルミナセメント5kgと、消石灰5.68kg、硝酸ソーダ4.57kg、水40kgとを加え、25℃で24時間反応し、ゲル状の沈殿物が生成した。次いで、このスラリーを60℃に加温して常圧で4時間攪拌を続けながら結晶化を行った。得られた沈殿物を常法により濾過、洗浄した後、乾燥したところ、17kgの白色固体を得た。得られた白色固体をコーヒミルで粉砕し、150メッシュ以下の白色粉末を得た。白色粉末をX線回折、化学分析、電子顕微鏡写真で解析した結果、不純物として少量のCa(OH)2を含有する硝酸型ハイドロカルマイト(3CaO・Al2O3・Ca(NO2)2・10H2O)であることを確認した。この硝酸型ハイドロカルマイトをジェットミル(株式会社セイシン企業製、STJ−200型)を用いて粉砕を行い、微粉末の硝酸型ハイドロカルマイトを得た。
<微粒子亜硝酸型ハイドロカルマイトの合成>
Na2O:19重量%、Al2O3:20重量%のアルミン酸ソーダ10kgに水を加えて100kgとした(a液)。水酸化カルシウム(工業用消石灰)4.35kgと亜硝酸カルシウム1水塩2.94kgに水を加えて100kgとした(b液)。次いで、a液にb液を室温で注入ポンプで約1時間掛けて添加を行ったところ、ゲル状の沈殿物が生成した。添加終了後、このスラリーを60℃の昇温し、常圧で4時間結晶化を行った。次いで、このスラリーにオレイン酸120gを添加混合した後、室温まで冷却し、ビーズミル(アシザワ株式会社製 LMZ2型、0.5mmφジルコニアビーズ使用)を用いて湿式粉砕を行った。得られた沈殿物を常法により濾過、洗浄して後、乾燥、粉砕してレーザー光散乱法による平均粒子径(D50)が3.1μmであって、10μm以上の粒子の存在しないオレイン酸で表面処理された亜硝酸型ハイドロカルマイト(3CaO・Al2O3・Ca(NO2)2・10H2O)12kgを得た。
<微粒子水酸型ハイドロカルマイトの合成>
水酸化カルシウム(純正化学製、試薬)59.28gを純水1000mlに添加し、攪拌してスラリーとした。粉末アルミン酸ソーダ(関東化学製、試薬、Na/Al元素比1.5)40.40gを純水600mlに溶解して、前記水酸化カルシウムのスラリーに攪拌下添加した。次いでこのスラリーに、炭酸水素ナトリウム(キシダ化学製、試薬)15.00gを純水200mlに溶解した水溶液を攪拌下25℃に保持して添加して、25℃で30分反応を行うことによりゲル状の沈殿物を生成させた。ゲル状の沈殿物のスラリーを攪拌下加熱して、80℃で6時間結晶化を行った。次いで、このスラリーにオレイン酸1mlを添加混合した後、室温まで冷却し、濾過、洗浄して後、乾燥、粉砕してレーザー光散乱法による平均粒子径(D50)が2.8μmの炭酸型ハイドロカルマイト(3CaO・Al2O3・CaCO3・11H2O)を得た。
<微粒子亜硝酸型ハイドロカルマイトの合成>
実施例5で得られた水酸型ハイドロカルマイトの塩素イオン吸着能は0.29ミリモル/gであり、等量の0.1規定亜硝酸ナトリウムを用いて3回アニオン交換を行うことによって、亜硝酸型ハイドロカルマイト(3CaO・Al2O3・Ca(NO2)2・10H2O)を得た。この亜硝酸型ハイドロカルマイトはレーザー光散乱法による平均粒子径(D50)が2.8μmであり、その粒度分布は第4図と同じで、10μm以上の粒子は存在しなかった。
<亜硝酸型ハイドロカルマイトの合成>
特開平11−92692号公報の記載に基づいて亜硝酸型ハイドロカルマイトを合成した。Na2O:19重量%、Al2O3:20重量%のアルミン酸ソーダ10kgに水を加えて100kgとした(a液)。水酸化カルシウム(工業用消石灰)4.35kgと亜硝酸カルシウム1水塩2.94kgに水を加えて100kgとした(b液)。次いで、a液にb液を室温で注入ポンプで約1時間掛けて添加を行ったところ、ゲル状の沈殿物が生成した。添加終了後、このスラリーを60℃の昇温し、常圧で4時間結晶化を行った。得られた沈殿物を常法により濾過、洗浄して後、乾燥、コーヒミルで粉砕してレーザー光散乱法による平均粒子径(D50)が22.1μmの亜硝酸型ハイドロカルマイト(3CaO・Al2O3・Ca(NO2)2・10H2O)12kgを得た。
<塗装材料組成物の調製>
前記で調製した実施例1〜6、比較例1及び製造例1(比較例2とした)で得られたハイドロカルマイトを用いて防錆塗料を調製した。
また、ハイドロカルマイトを添加しないものを比較例3とした。
前記で調製した塗料材料を70×150×0.7mmの日本テストパネル製、SPCC−SD鋼板に乾燥膜厚が25〜30μmになるようにバーコーダーにて塗布し、25℃、湿度60%の恒温恒湿器で1週間乾燥させて塗装鋼板を得た。この塗装鋼板の塗膜の平滑性と艶を目視により評価し、ツブやヘイズ(曇り)等の異常がなく平滑性と艶の良好な状態を評価した。次いで、この塗装鋼板の裏面および端面を3M社スコッチブランドテープでマスキング後、塗装面をクロスカットして塩水噴霧試験機にセットし、防錆試験を行った。防錆性能の評価は塩水噴霧試験400時間後における結果を下記の5段階評価法により評価し、防錆効果を判定し、その結果を表2に示した。
評価5:クロスカット部以外の錆発生が全くなく、ブリスターもない。
評価4:クロスカット部から片側2mm以内に錆が発生、ブリスターもない。
評価2:クロスカット部から片側12mm以内に錆および部分的に錆の発生。
評価1:鋼板全体に錆およびブリスターが発生。
<セメント組成物の調製>
実施例1〜6、比較例1及び製造例1(比較例2)得られたハイドロカルマイトを用いてJIS A5308に準じて防錆モルタルを調製した。すなわち、普通ポルトラドセメント600g、細骨材[有明産枠石、比重2.54、吸水率0.8重量%、粗粒率3.19、配合比(4.75〜2.83mm:2.83〜1.16mm:1.16〜0.6mm:0.6〜0.3mm=10:25:25:15)]1350g及びこれに高カルシウム置換A型ゼオライト(日本化学工業製、商品名「アルカット」)60gおよび前述のハイドロカルマイト試料60gを加えたものを混練機にて30秒間混練した。次いで、1.5重量%のNaCl水330gを添加して30秒間混練し、20秒間休止した後、スプーンで2〜3回かきまぜた。次いで、120秒間混練した後、モルタルを型枠(40×40×160mm)に充填した。24時間後に脱枠し、得られた供試体を20℃±3℃で1日間恒温養生した。
また、ハイドロカルマイトを添加しないものを比較例3とした。
上記の供試体を450mlの蒸留水中に浸漬し、所定時間(日)ごとに上澄み液1mlを分取し、蒸留水中に溶出した塩素イオン量をイオンクロマトアナライザにて測定した。この結果を表3に示す。
<重金属イオン捕集材としての評価>
水100mlに下記濃度となるようにクロム酸カルシウムを25℃で溶解した。
次に実施例1〜6、比較例1及び製造例(比較例2とした)で得られたハイドロカルマイトを5g添加し、25℃で4時間攪拌した。次に分散液をろ過し、ろ過液中の残存Crする六価クロムの量をIPCで測定した。この結果を表4に示す。
また、ハイドロカルマイトを添加しないものをブランクとして下記の表4に併記した。
Claims (15)
- 下記一般式(1)
で示される構造からなり、レーザー光散乱法による平均粒子径が1μm以上7μm未満であり、100μm以上の粒子の含有量が3重量%未満であることを特徴とするハイドロカルマイト。 - 下記一般式(1)
で示される構造からなり、レーザー光散乱法による平均粒子径が1μm以上5μm未満であり、10μm以上の粒子の含有量が3重量%未満であることを特徴とするハイドロカルマイト。 - 前記一般式(1)中のXがOH-及びNO2 - から選択される少なくとも1種である請求項1又は2記載のハイドロカルマイト。
- 前記ハイドロカルマイトは疎水化剤で表面処理されている請求項1乃至3のいずれかの項に記載のハイドロカルマイト。
- 前記疎水化剤が脂肪酸又はその誘導体である請求項4記載のハイドロカルマイト。
- 下記一般式(1)
で示されるハイドロカルマイトを分散剤の存在下に粉砕処理する工程を有することを特徴とするハイドロカルマイトの製造方法。 - 下記一般式(2)
で示される炭酸型ハイドロカルマイトを400〜900℃で加熱処理するA−1工程、前記A−1工程で得られた生成物を水に浸漬し、下記一般式(3)
で示されるハイドロカルマイトを得るB−1工程を有することを特徴とするハイドロカルマイトの製造方法。 - 下記一般式(2)
で示される炭酸型ハイドロカルマイトを400〜900℃で加熱処理するA−1工程、前記A−1工程で得られた生成物を亜硝酸、硝酸又はこれらの金属塩を含む水溶液に浸漬し、下記一般式(1)
で示されるハイドロカルマイトを得るB−2工程を有することを特徴とするハイドロカルマイトの製造方法。 - 前記A−1工程の炭酸型ハイドロカルマイトは、レーザー光散乱法による平均粒子径が1μm以上7μm未満であり、100μm以上の粒子の含有量が3重量%未満である請求項7または8記載のハイドロカルマイトの製造方法。
- 前記A−1工程の炭酸型ハイドロカルマイトは、水酸化カルシウムとアルミン酸ナトリウムを含む水溶媒中に、炭酸塩又は炭酸水素塩を含む水溶液を添加し、60℃未満で第1の反応を行い、次いで60〜100℃で第2の反応を行う工程を有す方法により製造された炭酸型ハイドロカルマイトである請求項7乃至9のいずれかの項に記載のハイドロカルマイトの製造方法。
- 更に、請求項7記載のB−1工程で得られた下記一般式(3)
で示されるハイドロカルマイトを亜硝酸、硝酸又はこれらの金属塩を含む水溶液に浸漬し、下記一般式(4)
で示されるハイドロカルマイトを得るC−1工程を有することを特徴とするハイドロカルマイトの製造方法。 - 請求項1乃至5のいずれかに記載のハイドロカルマイトを含有することを特徴とする塩素イオン捕集剤。
- 請求項12に記載の塩素イオン捕集剤を含有することを特徴とする塗装材料組成物。
- 請求項12に記載の塩素イオン捕集剤を含有することを特徴とするセメント組成物。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載のハイドロカルマイトを含有することを特徴とする重金属含有イオン捕集材。
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