JP3871403B2 - 防錆顔料組成物およびこれを含有する防錆塗料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属の腐食を防止するために有用な、無公害型の白色系の防錆顔料組成物およびこれを含有する防錆塗料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
防錆顔料として、鉛丹、亜酸化鉛、シアナミド鉛、鉛酸カルシウム、塩基性硫酸鉛などの鉛塩系、塩基性クロム酸亜鉛カリウム、四塩基性クロム酸亜鉛、クロム酸バリウム、クロム酸カルシウム、クロム酸ストロンチウムなどのクロム酸塩系のものが主に用いられてきた。しかしながら、これらの防錆顔料は金属に対して優れた錆止め性能を発揮するものの、健康障害や環境保全上の問題から次第にその使用が規制されるに至っている。
これらに代わる無公害型の防錆顔料として、リン酸亜鉛、リン酸カルシウムマグネシウム、リン酸チタン、リン酸シリカなどのリン酸塩系、トリポリリン酸アルミニウムなどの縮合リン酸塩系、亜リン酸亜鉛、亜リン酸カルシウム、亜リン酸ストロンチウム、亜リン酸アルミニウムなどの亜リン酸塩系、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸カルシウム、ホウ酸バリウム、ホウ酸亜鉛等の無公害、無毒の防錆顔料が開発され一部実用化に至っている。
【0003】
しかしながら、クロム塩系または鉛塩系顔料に匹敵しうるものでないため一層強力な防錆力を有する顔料が要望され、例えば塩基性亜リン酸亜鉛(特開昭50−50297号公報)、ヒドロキシ亜リン酸亜鉛錯体(特開昭58−194725号公報)、亜リン酸亜鉛と亜鉛華との反応生成物による防錆顔料(特開昭57−109862号公報)、亜リン酸亜鉛カリウム系の防錆顔料(特開昭58−84109号公報、特開昭59−20466号公報)、亜リン酸亜鉛カルシウム系(特開平3−111457号公報)、板状亜リン酸カルシウム系(特開平3−285808号公報)、縮合リン酸塩と亜鉛化合物および/またはホウ酸塩化合物の表面を化学修飾した防錆顔料(特開平2−151664号公報)、亜リン酸亜鉛および/または亜リン酸カルシウムにキレート能を有する有機リン化合物を含有させた防錆顔料(特開平6−93478号公報)、酸化亜鉛にキレート能を有する有機ホスホン酸で反応処理した防錆顔料およびこの防錆顔料とリン酸塩系または亜リン酸塩系の白色防錆顔料からなる防錆顔料(特開平6−122986号公報)等の無公害型白色防錆顔料が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これら無公害型の防錆顔料は、ある程度の効果が期待できるものの、特に、自動車や電気器具等の塗装に用いられる電着塗料用およびPCM塗料用の無公害型の防錆顔料は、緊急の必要があるにも拘わらず、鉛塩やクロム酸塩の防錆機能に匹敵するものが実用化されていない。
一方、これら防錆顔料を含有する塗料の面からみると、環境上の問題から、従来の溶剤系塗料に代わって、水性塗料への転換が要請されており、より防錆力を発揮する無公害型防錆塗料の開発が望まれている。
【0005】
本発明者らは、前記事実に鑑み、無公害型の防錆顔料について鋭意研究を重ねた結果、ハイドロカルマイトで変性されたリンのオキシ金属塩を主成分として含有する防錆顔料組成物が、優れた防錆力を有し、かつ安定した顔料特性を示すことを知見し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、無公害で優れた防錆性能を有する防錆顔料およびこれを含有する防錆塗料を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明が提供しようとする防錆顔料組成物は、下記一般式(1):
【0007】
【化2】
(3〜4)CaO・Al2O3・CaX2/m・nH2O (1)
【0008】
(式中、Xは1価または2価のアニオンであり、mはアニオンの価数を表し、nは20以下を示す。)で表されるハイドロカルマイトで変性されたMg、Ca、Ba、Sr、ZnまたはAlから選ばれた1種又は2種以上の金属のリンのオキシ酸塩を主成分とすることを構成上の特徴とする。
また、本発明が提供しようとする防錆塗料は、上記の防錆顔料組成物を含有することを構成上の特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明に係る防錆顔料組成物は、ハイドロカルマイトで変性されたMg、Ca、Ba、Sr、ZnまたはAlから選ばれた1種又は2種以上の金属のリンのオキシ酸塩を主成分とするものである。
リンのオキシ酸金属塩とは、Mg、Ca、Ba、Sr、ZnまたはAlから選ばれた1種又は2種以上の金属の亜リン酸塩、リン酸塩および/またはポリリン酸塩であって、亜リン酸塩としては、例えば亜リン酸マグネシウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸バリウム、亜リン酸ストロンチウム、亜リン酸亜鉛、亜リン酸アルミニウム、亜リン酸亜鉛カルシウム、亜リン酸亜鉛カリウム等が挙げられる。リン酸塩としては、例えば、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸バリウム、リン酸ストロンチウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛マグネシウム、リン酸亜鉛カルシウム、リン酸亜鉛カリウム等が挙げられる。ポリリン酸塩としては、ポリリン酸カルシウム、ポリリン酸マグネシウム、ポリリン酸亜鉛、ポリリン酸アルミニウム等が挙げらる。
リンのオキシ酸塩は、正塩または塩基性塩のいずれであってもよく、また、含水または無水物のいずれであってもよい。
【0010】
ハイドロカルマイトは、上記一般式(1)で表される代表的な無機アニオン交換体で、式中、Xは1価または2価のアニオンであり、mはアニオンの価数を表し、nは20以下を示すものである。Xの種類としては、例えばOH-、CO3 2-、SO4 2-、MO4 2-、CrO4 2-、WO4 2-、NO3 -およびNO2 -等が挙げられるが、本発明では、Fe2+と不動態を形成するNO3 -およびNO2 -が特に工業的に有利であるが、これに限定するものではない。
かかるハイドロカルマイトの製造方法としては、公知の製造方法に従えばよく、例えば、アルミン酸ソーダと、可溶性カルシウム塩および/またはアルカリ金属塩と、消石灰とからなる原料を用いて結晶化させる方法(特開平7−33430号公報)、またはCaO−Al2O3系化合物と、可溶性カルシウム塩および/または消石灰とを液中で反応させ、次いで結晶化させる方法(特開平7−33431号公報)により得られるものが好ましく用いられる。
【0011】
本発明の変性とは、後述するように、両成分を湿式または乾式でリンのオキシ酸塩粒子と化学的または物理的に結合処理したものを言う。
ハイドロカルマイトの含有量は、リンのオキシ酸塩に対して0.5〜20重量%、好ましくは1〜10重量%である。この理由は、0.5重量%より小さくなると、防錆性能が発揮されず、一方、20重量%より大きくなっても、その効果が飽和するばかりでなく、特に水性塗料とした場合、塗膜の性能および耐水性および塗料安定性が悪くなる傾向があり、原料自体も高価なこともあって経済的でない。
【0012】
また、本発明に於いて、塗膜特性を改良する目的で酸化亜鉛と併用しても差し支えない。酸化亜鉛は、未変性のものであっても上記のハイドロカルマイトで表面処理したものであってもよい。変性酸化亜鉛においては、ハイドロカルマイトの含有量は、酸化亜鉛に対して、0.5〜20重量%、好ましくは1〜10重量%である。
この場合、変性されたリンのオキシ酸塩と変性もしくは未変性の酸化亜鉛の配合割合としては、重量比で1:50〜50:1の範囲である。
本発明の変性されたリンのオキシ酸塩を得るには、湿式法が考えられるが、特に限定はなく、例えば、亜リン酸源またはリン酸源と所望の金属酸化物とを反応させた水性スラリーに、所望のハイドロカルマイトを添加する方法、リンのオキシ酸塩の水性スラリーに強力な剪断力が作用するコロイドミル、ホモジナイザー、ビーズミル等の分散装置により、脱アグロメレート処理を施した後、所望のハイドロカルマイトの水溶液を添加する方法、或いはリンのオキシ酸塩の粉末に所望のハイドロカルマイトの水溶液を添加する方法等が挙げられる。
【0013】
変性酸化亜鉛を得るには、上記と同様に、湿式法で行えばよく、例えば、酸化亜鉛の水性スラリーに強力な剪断力が作用するコロイドミル、ホモジナイザー、ビーズミル等の分散装置により、脱アグロメレート処理を施した後、所望のハイドロカルマイトの水溶液を添加する方法、或いは酸化亜鉛の粉末に所望のハイドロカルマイトの水溶液とを強力な剪断力が作用するヘンシェルミキサー、ボールミルあるいは強力なブレンダー等の混合装置を用いて反応させる方法等が挙げられる。
また、本発明の変性されたリンのオキシ酸塩と変性酸化亜鉛からなる防錆顔料組成物の場合には、所望により採り得れば、予め両化合物を混合した組成物を上記と同様に変性処理すれば一挙に双方の変性物を得ることができる。その他、変性されたリンのオキシ酸塩と変性および未変性の酸化亜鉛を別々に調整して本発明の防錆顔料組成物を得るには、上記割合に均一な組成配合となるように、湿式法或いは乾式法による強力な剪断力が作用する機械的手段にて調製される。湿式法は、ボールミル、ディスパーミル、ホモジナイザー、振動ミル、サンドグラインドミル、アトライターおよび強力撹拌機等の装置にて操作される。一方、乾式法では、ハイスピードミキサー、スーパーミキサー、ターボスフェアミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサーおよびリボンブレンダー等の装置を用いることができる。なお、これら均一配合操作は、例示した機械的手段に限定されるものではない。また、所望によりジェットミル等で粉砕処理して粒度調整を行っても差し支えない。
【0014】
本発明では、上記のハイドロカルマイトによる変性の他に、更にリンのオキシ酸塩および/または酸化亜鉛を所望により酸性リン酸エステルおよび/またはキレート能を有するホスホン酸、またはその誘導体から選ばれた有機リン酸化合物や亜硝酸塩で表面処理したものであったり、酸化亜鉛にあっては、酸性リン酸エステル、有機ホスホン酸および亜硝酸塩の他に、白色不溶性の微細な金属酸化物、含水酸化物、シリカ、金属シリケート等で表面処理されたものを用いても差し支えない。
酸性リン酸エステルとしては、例えばメチルアシッドホスフェート、ジメチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、ジエチルアシッドホスフェート、メチルエチルアシッドホスフェート、正−またはイソープロピルアシッドホスフェート、正−またはイソ−ジプロピルアシッドホスフェート、メチルブチルアシッドホスフェート、エチルブチルアシッドホスフェート、プロピルブチルアシッドホスフェート、正−またはイソ−オクチルアシッドホスフェート、正−またはイソ−ジオクチルアシッドホスフェート、正−デシルアシッドホスフェート、正−ジデシルアシッドホスフェート、正−ラウリルアシッドホスフェート、正−ジラウリルアシッドホスフェート、正−またはイソ−セシルアシッドホスフェート、正−またはイソ−ジセシルアシッドホスフェート、正−ステアリルアシッドホスフェート、正−またはイソ−ジステアリルアシッドホスフェート、アリルアシッドホスフェート、ジアリルアシッドホスフェートなどが挙げれ、これら化合物のMg、Ca、Sr、Ba、ZnまたはAlから選ばれた1種または2種以上の金属塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
【0015】
キレート能を有するホスホン酸の化合物としては、例えばアミノアルキレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラアルキレンホスホン酸、アルキルメタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸または、2−ヒドロキシホスホノ酢酸などが代表的な化合物として挙げられる。このうちアミノアルキレンホスホン酸としては、例えば、ニトリロトリスチレンホスホン酸、ニトリロトリスポロピレンホスホン酸、ニトリロジエチルメチレンホスホン酸、ニトリロプロピルビスメチレンホスホン酸等が挙げられる。エチレンジアミンテトラアルキレンホスホン酸としては、例えば、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラエチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラプロピレンホスホン酸等が挙げられる。アルキレン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸としては、例えば、メタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、プロパン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸等が挙げられ、これら化合物のMg、Ca、Sr、Ba、ZnまたはAlから選ばれた1種または2種以上の金属塩であってもよいが、これら化合物に限定されるものではない。
【0016】
また、本発明では、上記の酸性リン酸エステルとキレート能を有するホスホン酸の化合物を1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
亜リン酸塩またはリン酸塩の含リン金属塩に対する酸性リン酸エステルおよび/またはキレート能を有するホスホン酸の配合量は、用いる化合物の物性や種類等によって一様ではないが、通常0.1〜30重量%、好ましくは、1〜10重量%である。
酸化亜鉛に対する酸性リン酸エステルおよび/またはキレート能を有するホスホン酸の配合量は、その上限値において特に制限がないが、通常0.1〜30重量%、好ましくは、1〜20重量%である。
また、本発明に係る顔料組成物よりなる防錆顔料を使用するに当り、必要に応じ、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸カルシウム、リンモリブデン酸カルシウム、ホウ酸亜鉛、ホウ酸バリウム、ホウケイ酸亜鉛等の他の白色防錆顔料やその他助剤成分と併用してもよい。
なお、本発明の防錆顔料組成物は、必要に応じて分散性を改善する目的で高級脂肪酸またはその誘導体、界面活性剤、シランカップリング剤等でさらに表面処理したものであってもよい。
【0017】
本発明の防錆塗料は、ハイドロカルマイトにより変性されたリンのオキシ金属塩を主成分とする防錆顔料を塗料ビヒクルに含有させてなるものである。塗料ビヒクルとは、顔料を分散させる媒体をいう。すなわち、塗膜形成成分である重合油、天然または合成樹脂、繊維素やゴムの誘導体等の高分子物質やそれらを溶剤に溶解させたものである。
【0018】
本発明で用いる塗料ビヒクル樹脂としては、例えばフェノール樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、グアナジン樹脂、ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミン樹脂、アクリル樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられ、これらは必要に応じ、混合系または変性された樹脂であっても差し支えない。また、希釈剤としては、水、アルコール類、ケトン類、ベンゼン類、トルエン、キシレンの如き芳香族炭化水素類、液化パラフィンの如き脂肪族炭化水素類など、一般的に塗料で用いられている溶剤が適用できる。
塗料ビヒクルに対する本発明の防錆顔料の配合量は、通常0.3〜30重量%、好ましくは1〜20重量%である。配合量が0.3重量%より小さくなると防錆力が低くなり、30重量%より大きくなると、塗料粘性が高くなり、好ましい塗料特性が得られなくなる。
本発明に係る防錆塗料は、刷毛やローラー塗り、スプレー塗装、静電気塗装、粉体塗装、ロールコーター、カーテンフローコーター、ディッピング塗装や電着塗装等に供することができる。
【0019】
【作用】
本発明に係る防錆顔料組成物は、塩素イオンを捕捉しうるハイドロカルマイトで変性されたリンのオキシ酸塩を主成分とし、無公害、低毒性に加えて優れた防錆力を有し、顔料特性はもちろんこれを塗料化した場合の塗料の安定性にも優れている。
本発明の防錆顔料組成物の強力な防錆機構については、複雑で未だ解明には至っていないが、おそらくリンのオキシ酸イオンの強力なキレート能を介してFe2+を捕捉し、同時にMg、Ca、Ba、Sr、ZnまたはAlが塩基として、或いは犠牲電極として作用し、ハイドロカルマイトの強力な陰イオン交換能による塩素イオン等の腐食因子を捕捉、更にはCaの塩基として或いは犠牲電極としての作用によるものと考えられる。特に硝酸型および亜硝酸型のハイドロカルマイトに至っては、クロム酸のごときの不動態形成作用が相俟って、強力な防錆能を発揮すると考えられる。
【0020】
【実施例】
以下、本発明を実施例において詳細に説明するが本発明は、これらに限定されるものではない。
・亜硝酸型ハイドロカルマイトの合成
Na2O:19重量%、Al2O3:20重量%のアルミン酸ソーダ10kgに水を加えて100kgとした(a液)。消石灰4.35kgと亜硝酸カルシウム1水塩2.94kgに水を加えて100kgとした(b液)。次いで、a液にb液を室温で注入ポンプで約1時間掛けて添加を行ったところ、ゲル状の沈殿物が生成した。添加終了後、このスラリーを60℃の昇温し、常圧で4時間結晶化を行った。得られた沈殿物を常法により濾過、洗浄した後、乾燥、粉砕して亜硝酸型ハイドロカルマイト12kgを得た。
【0021】
・硝酸型ハイドロカルマイトの合成
Na2O:19重量%、Al2O3:20重量%のアルミン酸ソーダ10kgに水を加えて100kgとした(a液)。消石灰4.35kgと硝酸カルシウム3.22kgに水を加えて100kgとした(b液)。次いで、a液にb液を室温で注入ポンプで約1時間掛けて添加を行ったところ、ゲル状の沈殿物が生成した。添加終了後、このスラリーを60℃の昇温し、常圧で4時間結晶化を行った。得られた沈殿物を常法により濾過、洗浄した後、乾燥、粉砕して硝酸型ハイドロカルマイト12.3kgを得た。
【0022】
(実施例1〜4)
リン酸亜鉛100重量部に水1000重量部を加えて、コロイドミルで脱アグロメレート処理を行った。次いで亜硝酸型ハイドロカルマイトを表1に示す量除々に添加し、温度40℃で1時間撹拌後、次いで得られた水性スラリーをポンプを用いて40リットル/分の流速で30000rpmのアトマイザーに供給し、220℃の空気気流中に噴霧して噴霧乾燥し、変性リン酸亜鉛粉末を得た。
(比較例1)
リン酸亜鉛を変性しない他は実施例1と同様にして防錆顔料組成物を調製した。
【0023】
【表1】
【0024】
<一次防錆性能の評価>
上記で得られた防錆顔料組成物1gを水道水100mlにスターラーで400〜500rpmで撹拌した後、7日間静置し、濾過した。次いで脱脂および研磨したSPCC−SD鋼板に、濾液5mlをそれぞれスポットした。
濾液のスポット後、経時的な鋼板表面の視覚観察により防錆性能を評価し、その結果を表2に示した。
なお、表中の記号は以下のことを示す。
◎:錆の発生が全くない。
○:全面積の10%以下で錆が発生
△:全面積の10%以上で錆が発生
×:全面積で錆が発生。
【0025】
【表2】
【0026】
(実施例5)
実施例3で用いた変性リン酸亜鉛100重量部と酸化亜鉛100重量部を配合し、ヘンシェルミキサーにより、2680rpmの回転速度で15分間撹拌混合して防錆顔料組成物試料を調製した。
【0027】
(実施例6)
リン酸588.95重量部と酸化亜鉛522.26重量部および水4000重量部を配合し、1時間混合した後、ハイドロカルマイト22.73重量部添加し、ヘンシェルミキサーにより、40℃、3000rpmの回転速度で15分間強力な剪断力下で撹拌混合した。次いで得られた水性スラリーをポンプを用いて40リットル/分の流速で30000rpmのアトマイザーに供給し、220℃の空気気流中に噴霧して噴霧乾燥し、変性リン酸亜鉛の粉末を調製した。
上記で得られた変性リン酸亜鉛100重量部と酸化亜鉛100重量部を配合し、ヘンシェルミキサーにより、4000rpmの回転速度で15分間撹拌混合して防錆顔料組成物試料を調製した。
【0028】
(実施例7)
リン酸亜鉛100重量部と硝酸型ハイドロカルマイト2重量部に水1000重量部を加えて、コロイドミルで脱アグロメレート処理を行った。温度40℃で1時間撹拌後、次いで得られた水性スラリーをポンプを用いて40リットル/分の流速で30000rpmのアトマイザーに供給し、220℃の空気気流中に噴霧して噴霧乾燥し、変性リン酸亜鉛の防錆顔料組成物試料を調製した。
【0029】
(実施例8)
リン酸255.8重量部と酸化亜鉛273.73重量部および水2000重量部を配合し、コロイドミルで脱アグロメレート処理したものをA液とした。酸化亜鉛500重量部、硝酸型ハイドロカルマイト100重量部および水1997.3重量部を配合し、コロイドミルで脱アグロメレート処理したものをB液とした。A液にB液を滴下し、50℃で1時間反応させ、次いで得られた水性スラリーをポンプを用いて40リットル/分の流速で30000rpmのアトマイザーに供給し、220℃の空気気流中に噴霧して噴霧乾燥し、防錆顔料組成物試料を調製した。
【0030】
(実施例9)
亜リン酸亜鉛100重量部と亜硝酸型ハイドロカルマイト2重量部に水1000重量部を加えて、コロイドミルで脱アグロメレート処理を行った。温度40℃で1時間撹拌後、次いで得られた水性スラリーをポンプを用いて40リットル/分の流速で30000rpmのアトマイザーに供給し、220℃の空気気流中に噴霧して噴霧乾燥し、変性亜リン酸亜鉛の防錆顔料組成物試料を調製した。
【0031】
(実施例10)
実施例9の変性亜リン酸亜鉛100重量部と酸化亜鉛100重量部を配合し、ヘンシェルミキサーにより、4000rpmの回転速度で15分間撹拌混合して防錆顔料組成物試料を調製した。
【0032】
(実施例11)
亜リン酸亜鉛100重量部、酸化亜鉛100重量部およびハイドロカルマイト2重量に水2000重量部を加えて、コロイドミルで脱アグロメレート処理を行った。温度40℃で1時間撹拌後、次いで得られた水性スラリーをポンプを用いて40リットル/分の流速で30000rpmのアトマイザーに供給し、220℃の空気気流中に噴霧して噴霧乾燥し、変性亜リン酸亜鉛と変性酸化亜鉛の混合粉末からなる防錆顔料組成物試料を調製した。
【0033】
実施例1〜11、比較例1で得た防錆顔料組成物と市販の無公害型白色防錆顔料(比較例2〜4)
比較例2:亜リン酸亜鉛型
比較例3:ポリリン酸アルミニウム型
比較例4:リンモリブデン酸アルミニウム型
の塗料を作成して、塗料分散性および防錆性能を評価し、その結果を表6に示す。なお、防錆顔料を配合していない塗料をブランク試料(比較例8)とした。
(1)防錆塗料の調製
表5に示す組成の主剤に硬化剤を添加して、ペイントコンディショナー法にて常乾型エポキシ樹脂塗料を調製した。
【0034】
【表3】
【0035】
(2)塗装鋼板の調製
上記の防錆塗料を70×150×0.7mmの日本テストパネル製、SPCC−SD鋼板に乾燥塗装膜厚が30〜35μmになるようにバーコーターにて塗布し、25℃、湿度60%の恒温恒湿器で1週間乾燥させて塗装鋼板を得た。
(3)塗料分散性の評価
(1)で調製した塗料をJIS K5101に準ずるグラインドゲージにて防錆顔料の分散度合を評価した。
良 :10μm以下の分散
可 :10〜50μmの分散
不可:50μm以上の分散
(4)防錆試験
(2)で調製した塗装鋼板を裏面および端面を3M社スコッチブランドテープでマスキング後、クロスカットして塩水噴霧試験機にセットし、防錆試験を行った。
【0036】
(5)防錆性能の評価
塩水噴霧試験400時間における結果を下記の5段階評価法により評価し、防錆顔料の防錆効果を判定した。
評価5:クロスカット部以外の錆発生が全くなく、ブリスターもない。
評価4:クロスカット部から片側2mm以内に錆が発生、ブリスターもない。
評価3:クロスカット部から片側6mm以内に錆および部分的にブリスターが発生。
評価2:クロスカット部から片側12mm以内に錆および部分的にブリスターが発生。
評価1:鋼板全体に錆およびブリスターが発生。
【0037】
【表4】
【0038】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明の防錆顔料組成物は、ハイドロカルマイトで変性させたMg、Ca、Ba、Sr、ZnまたはAlの1種または2種以上から選ばれたリンのオキシ酸金属塩を主成分とすることから、無公害で優れた防錆力を発揮する。従って、金属の錆止め顔料として、また該顔料組成物を含有する塗料は防錆塗料として有用である。
Claims (5)
- 請求項1記載の変性されたリンのオキシ酸塩と酸化亜鉛を主成分とする防錆顔料組成物。
- XがNO2 -またはNO3 -から選ばれた少なくとも1種である請求項1または2記載の防錆顔料組成物。
- 変性されたリンのオキシ酸塩は、ハイドロカルマイトで0.5〜20重量%の範囲で表面処理したものである請求項1ないし3のいずれかに記載の防錆顔料組成物。
- 請求項1ないし4のいずれかに記載の防錆顔料組成物を含有する防錆塗料。
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JP20668897A JP3871403B2 (ja) | 1997-07-31 | 1997-07-31 | 防錆顔料組成物およびこれを含有する防錆塗料 |
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