JP2006112544A - 断熱部材とその製造方法 - Google Patents

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博隆 山城
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Abstract

【課題】 たとえ60℃以上の高温下においても、また、塩分の存在下においても、金属製の被断熱体用として所望の防錆機能を長期間にわたって発揮し得る断熱部材とその製造方法の提供。
【解決手段】 金属製の被断熱体Pの表面Sに接触させて設ける断熱部材とその製造方法で、無機材からなるアノード型インヒビター又はカソード型インヒビターの少なくともいずれか一方を含有成分とする防錆剤が備えられている断熱部材と、断熱部材1を成形した後に、少なくとも被断熱体Pへの接触面に、無機材からなるアノード型インヒビター又はカソード型インヒビターの少なくともいずれか一方を含有成分とする防錆剤を塗布し、または、断熱部材1を成形する際に、断熱部材1の成形材料に、無機材からなるアノード型インヒビター又はカソード型インヒビターの少なくともいずれか一方を含有成分とする防錆剤を混入して製造する断熱部材の製造方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、金属製の被断熱体の表面に接触させて設ける断熱部材とその断熱部材の製造方法に関する。
この種の断熱部材は、例えば、高温流体通流用の金属製パイプの外表面に接触させて取り付け、パイプ内を通流する高温流体を保温するために使用されるものである。
ところで、この断熱部材の使用において、断熱部材と金属製パイプとの間に雨水などが侵入すると、パイプが錆びて腐食することになり、たとえ雨水などが浸入しなくても、高温流体の通流停止に伴ってパイプの外表面に結露が発生するため、やはりパイプが錆びて腐食する可能性がある。さらに、周囲の雰囲気中や断熱部材に塩分が含まれている場合には、パイプの腐食も一層顕著となる。
このようなパイプの腐食を防止するため、従来、金属製パイプの外表面を防錆用塗料で塗装した後に断熱部材を取り付けていたのであるが、防錆用塗料の塗装作業に手間がかかり、施工性が悪いという欠点があった。
そこで、燐片状の亜鉛粉末、有機防錆剤、および、天然水飴を主成分とする防錆剤を使用し、断熱部材のうち、金属製パイプの表面に接触する面などに前記防錆剤を塗布し、断熱部材を金属製パイプの表面に接触させて取り付けることにより、金属製パイプに対し防錆機能を発揮するように構成した断熱部材が提案された(例えば、特許文献1参照)。
特開平7−269784号公報
しかし、上記特許文献に記載の断熱部材では、防錆剤が亜鉛粉末を含んでいるため、例えば、パイプの外表面が60℃以上になると、亜鉛が酸化して所望の防錆機能を発揮することができなくなり、また、塩分が存在すると、亜鉛の消耗が顕著となって所望の防錆機能を長期間にわたって維持し得ないという欠点もあった。
さらに、パイプの外表面がより一層高温になると、有機防錆剤や天然水飴が分解して亜鉛粉末が剥がれるため、その場合にも所望の防錆機能を発揮することができず、結論として、上記特許文献に記載の断熱部材は、60℃以上の流体が通流するパイプ用としては実質的に使用不可能であり、ましてや塩分の存在下においては、防錆効果の持続についても改良の余地があった。
本発明は、このような従来の問題点に着目したもので、その目的は、たとえ60℃以上の高温下においても、また、塩分の存在下においても、金属製の被断熱体用として所望の防錆機能を長期間にわたって発揮し得る断熱部材とその製造方法を提供することにある。
本発明の第1の特徴構成は、金属製の被断熱体の表面に接触させて設ける断熱部材であって、無機材からなるアノード型インヒビター又はカソード型インヒビターの少なくともいずれか一方を含有する防錆剤が備えられている点にある。
〔作用及び効果〕
本発明の第1の特徴構成によれば、無機材からなるアノード型インヒビター又はカソード型インヒビターの少なくともいずれか一方を含有成分とする防錆剤が備えられているので、後述する実験結果から明らかなように、たとえ60℃以上の高温下においても、また、塩分の存在下においても、所望の防錆機能を比較的長期間にわたって発揮して金属製被断熱体の腐食を抑制することができる。
したがって、金属製被断熱体の外表面を防錆用塗料で塗装する必要もなく、たとえ60℃以上にまで昇温する環境下においても、また、塩分の存在下においても、所望どおりの腐食抑制効果と断熱効果を長期間にわたって発揮して金属製被断熱体を保護することができる。
ここで、アノード型インヒビターとは、化学的に鉄表面に不動態被膜を形成させたり、あるいは、水中の溶存酸素が共存してはじめて不動態被膜を形成させる、酸化被膜型(不動態被膜型)の腐食抑制材である。形成される酸化被膜(不動態被膜;γ-Fe23)は緻密・薄膜(30〜200Å)で、素地金属との密着性が大きく、防食性能が大きい。
また、カソード型インヒビターとは、沈殿被膜型の防食抑制剤であり、この種の抑制剤には、鉄表面に防食剤自体や防食剤と水中の成分とが結びついた被膜を形成し、溶存酸素が鉄表面へ拡散してくるのを防止する水中イオン型と、防食対象となる金属のイオンと不溶性の塩を生成して防食する金属イオン型の2種類が知られている。前者の水中イオン型の特徴としては、被膜は比較的多孔質で厚膜であり、素地金属との密着性はやや不良で、防食性能はやや劣る。後者の金属イオン型の特徴としては、被膜はかなり緻密であるが、防食性能が大きいという特徴を有する。
本発明の第2の特徴構成は、前記アノード型インヒビターが、亜硝酸塩、モリブデン酸塩、タングステン酸塩、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のリン酸塩、水ガラス、ホウ酸塩からなる群より選択される点にある。
〔作用及び効果〕
アノード型インヒビターが、亜硝酸塩、モリブデン酸塩、タングステン酸塩、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のリン酸塩、水ガラス、ホウ酸塩からなる群より選択されるので、効果的に金属製被断熱体の腐食を抑制することが可能であり、しかも危険物取扱い上の法規の規制を受けることもないので、容易に入手可能である。
本発明の第3の特徴構成は、前記カソード型インヒビターが、リンのオキシ酸塩、ホスホン酸塩、亜鉛塩からなる群より選択される点にある。
〔作用及び効果〕
カソード型インヒビターが、リンのオキシ酸塩、ホスホン酸塩、亜鉛塩からなる群より選択されるので、効果的に金属製被断熱体の腐食を抑制することが可能であり、しかも危険物取扱い上の法規の規制を受けることもないので、容易に入手可能である。
本発明の第4の特徴構成は、前記防錆剤が、無機系結合剤を含有する点にある。
〔作用及び効果〕
防錆剤が、更に無機系結合剤を含有するので、断熱部材に対する防錆剤の結合を強固にして、より一層長期間にわたって所望どおりの腐食抑制効果を発揮することができる。
本発明の第5の特徴構成は、前記防錆剤を含む防錆層が、前記断熱部材のうちの少なくとも前記被断熱体への接触面に設けられている点にある。
〔作用及び効果〕
前記防錆剤を含む防錆層が、断熱部材のうちの少なくとも被断熱体への接触面に設けられているので、防錆剤の使用量を少量に抑えながら金属製被断熱体の腐食を確実に抑制することができる。
本発明の第6の特徴構成は、前記防錆剤が、前記断熱部材内に混入されている点にある。
〔作用及び効果〕
前記防錆剤が、断熱部材内に混入されているので、例えば、断熱部材の成形前または成形時に混入することによって、断熱部材の成形後に防錆剤を塗布する手間が不用で、断熱部材の生産性の向上を図ることができる。
本発明の第7の特徴構成は、上述の第1〜4のいずれかの特徴構成を有する断熱部材を成形した後に、その断熱部材のうちの少なくとも前記被断熱体への接触面に、前記防錆剤を塗布して製造する点にある。
〔作用及び効果〕
上述した第1〜5の特徴構成に記載される作用効果を発揮し得る断熱部材を提供することができる。
本発明の第8の特徴構成は、上述の第1〜4のいずれかの特徴構成を有する断熱部材を成形する際に、その断熱部材の成形材料に、前記防錆剤を混入して製造する点にある。
〔作用及び効果〕
上述した第1〜4及び6の特徴構成に記載される作用効果を発揮し得る断熱部材を提供することができる。
本発明による断熱部材とその製造方法の実施の形態を図面に基づいて説明する。
この断熱部材は、主に保温を目的として複数を互いに接続して使用するもので、各断熱部材1は、珪酸カルシウム断熱材を主材とし、図1および図3に示すように、高温流体通流用の金属製の被断熱体としてのパイプPの外表面Sに合致するように、その断面形状がほぼ半割り円環状の半円筒体の成形品で構成されている。
そして、図1に示す第1の実施形態では、断熱部材1に防錆剤2を含む防錆層3が設けられ、図3に示す第2の実施形態では、断熱部材1に防錆剤2が混入されている。
本発明に係る防錆成分のアノード型インヒビターは、無機系の酸化性物質又はアルカリ性化合物が好ましく、例えば以下の表1に記載される材料である。
Figure 2006112544
また、上述の各種アノード型インヒビターのアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩の分子式、溶解度及び分解温度又は融解温度を図7及び図8に示す。
アノード型インヒビターの配合量は、No.1、4〜6の液体の場合、パイプPの外表面Sへの接触面積1m2当たり100〜3000g、好ましくは1000〜1500gである。
防錆剤2には、上記アノード型インヒビターに加えてカソード型インヒビター(水中イオン型)を併用して用いると更に腐食抑制効果を向上させることができる。
そのカソード型インヒビター(水中イオン型)としては、Mg、Ca、Ba、Sr、ZnまたはAlから選ばれた1種または2種以上の金属のリンのオキシ酸塩と、亜硝酸塩を主成分とするものが好ましい。
リンのオキシ酸塩とは、Mg、Ca、Ba、Sr、ZnまたはAlから選ばれた1種または2種以上の亜リン酸塩、リン酸塩および/またはポリリン酸塩であって、亜リン酸塩としては、例えば、亜リン酸マグネシウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸バリウム、亜リン酸ストロンチウム、亜リン酸亜鉛、亜リン酸アルミニウム、亜リン酸亜鉛カルシウム、亜リン酸亜鉛カリウムなどが挙げられる。
リン酸塩としては、例えば、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸バリウム、リン酸ストロンチウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛マグネシウム、リン酸亜鉛カルシウム、リン酸亜鉛カリウムなどが挙げられる。ポリリン酸塩としては、例えば、ポリリン酸カルシウム、ポリリン酸マグネシウム、ポリリン酸亜鉛、ポリリン酸アルミニウムなどが挙げられる。リンのオキシ酸塩は、正塩または塩基性塩のいずれであってもよく、また、含水または無水物のいずれであってもよい。
このようなカソード型インヒビターは、アノード型インヒビター100重量部に対して10〜4000重量部、好ましくは500〜2000重量部含有させるのが適切である。
本発明の断熱部材では、後述する第1の実施形態に従って前記防錆成分を無機系結合剤により固定して防錆層を形成し断熱部材に前記防錆成分を含有させることができる。
無機系結合剤としては、水ガラスと称される水溶性珪酸塩、変性水溶液珪酸塩、アルキルシリケート、アルコキシシラン、カップリング剤、コロイダルシリカなどが挙げられる。
水溶性珪酸塩は、一般式がM2O・xSiO2・yH2Oで表され、式中のMはナトリウム、リチウム、カリウムなどのアルカリ金属、N(C24OH)2、N(CH2OH)4、N(C24OH)4、C(NH23NHを示し、式中のxおよびびyは整数を示し、具体的な化合物としては、例えば、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウムなどの珪酸アルカリ金属塩、珪酸トリエタノールアミン、珪酸テトラメタノールアンモニウム、珪酸テトラエタノールアンモニウムなどが挙げられる。
変性水溶性珪酸塩としては、前記水溶性珪酸塩をアルミニウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、亜鉛、ジルコニウム、バナジウムから選ばれる金属の酸化物、水酸化物、弗化物、珪弗化物の1種または2種以上で変性させたもの、あるいは、珪弗化ナトリウム、トリ珪弗化亜鉛酸カリウム、フルオロアルミニウム錯塩、フルオロ亜鉛錯塩などで変性させたもの(特開昭53−18636号参照)などが挙げられる。
アルキルシリケートとしては、一般式がSiR4またはSiXR3で表され、式中のRはアルキル基を示し、Xはアルコキシ基、ビニル基、エポキシ基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基を示す。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの炭素数1〜5の直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられ、具体的な化合物としては、例えば、テトラメチルシリケート、テトラエチルシリケート、テトラプロピルシリケート、テトラブチルシリケートなどが挙げられる。
アルコキシシランとしては、一般式がSi(OR)4またはSiX(OR)3、SiR(OR)3で表され、式中のRはアルキル基を示し、Xはビニル基、エポキシ基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基を示す。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの炭素数1〜5の直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられ、具体的な化合物としては、例えば、テトラメチルキシシリケート、テトラエトキシシリケート、テトラプロポキシシリケート、テトラブトキシシリケートなどが挙げられる。
カップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランや、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのシラン系カップリング剤、イソプロピルトリイソステアロイルチタネートや、テトラオクチルビス(ジドデシル)ホスファイトチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネートなどのチタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤などが挙げられる。
コロイダルシリカとしては、粒径が通常2〜100nm程度のもので、固形分20〜40%程度で0.7%以下のNa2Oを含むもので、特に好ましくはpH8〜10のアルカ
リで安定化されたコロイダルシリカを用いることができる。
ただし、結合剤としては、以上列挙した結合剤中、特に、無機系結合剤で水ガラスの一例である珪酸ナトリウムが、安価で耐久性に優れる点で好ましい。
(第1の実施形態)
第1の実施形態による断熱部材1は、図1に示すように、珪酸カルシウム断熱材を主材とする断熱部材1のうち、少なくともパイプPの外表面Sに接触する面、つまり、半円筒体の内周面1aに防錆剤2からなる防錆層3が設けられ、必要に応じて、半円筒体の長手方向に沿う端面1bと長手方向に直交する端面1cにも、同じ防錆剤2からなる防錆層3が設けられている。
その防錆層3は、水ガラス、例えば、No.2又はNo.3のアノード型インヒビターの場合、珪酸ナトリウム(Na2SiO3)で固定化したアノード型インヒビターと、亜リン酸カルシウム(CaHPO3)を主成分とする防錆剤2からなり、アノード型インヒビターと亜リン酸カルシウムは、図5に示すように、両者が混合化されたものである。
なお、パイプPの外表面Sへの接触面積1m2当たり、防錆層3の各成分の配合量は、
水ガラス1500g、アノード型インヒビター20g、亜リン酸カルシウム(カソード型インヒビター)180gである。
一方、No.1、4、5、6の液体であるアノード型インヒビターの場合、パイプPの外表面Sへの接触面積1m2 当り、パイプPの外表面Sに形成させる防錆層3のアノード型インヒビターの配合量は、1500gである。
つぎに、この第1の実施形態による断熱部材1の製造方法について説明する。
図2に示すように、断熱部材1の主材である珪酸カルシウムの成形材料となる酸化カルシウム(CaO)と酸化珪素(SiO2)に水を加え、混合機により混合してゲル化する
(ステップ1)。必要に応じて、補強用のガラス繊維や撥水剤を加え(ステップ2)、所定の形状にプレス成形し(ステップ3)、オートクレーブにより焼成して結晶化する(ステップ4)。その後、乾燥して(ステップ5)、図示のような半円筒体の母体1Aを成形し、少なくともその内周面1aに、必要な場合には、長手方向に沿う端面1bと長手方向に直交する端面1cにも、上述した防錆剤2をローラーや刷毛により塗るか、あるいは、吹き付けて防錆層3を形成するのである。
(第2の実施形態)
第2の実施形態による断熱部材1は、図3に示すように、珪酸カルシウム断熱材を主材とする断熱部材1内にほぼ均一に防錆剤2が混入されている。
防錆剤2は、第1の実施形態と同じ防錆剤で、水ガラス、アノード型インヒビター、および、亜リン酸カルシウム(カソード型インヒビター)を主成分とする。
第2の実施形態による断熱部材1の製造方法は、図4に示すように、断熱部材1の主材である珪酸カルシウムの成形材料となる酸化カルシウム(CaO)と酸化ケイ素(SiO2)に水を加え、混合機により混合してゲル化し(ステップ1)、必要に応じて、補強用
のガラス繊維や撥水剤を加える(ステップ2)。
以上は第1の実施形態と同じであるが、第2の実施形態では、ステップ2において、ガラス繊維や撥水剤に加えて、さらに、上述した防錆剤2を混入し、その後、所定の形状にプレス成形し(ステップ3)、オートクレーブにより焼成して結晶化し(ステップ4)、乾燥して(ステップ5)、図示のような断熱部材1を形成するのである。
なお、防錆層3の各成分の固形分としての配合割合は、酸化カルシウム50重量部、酸化珪素50重量部、アノード型インヒビター1重量部、亜リン酸カルシウム9重量部、ガラス繊維2重量部、撥水剤6重量部である。
本発明による断熱部材1の効果を確認するため、種々の性能試験を行ったので、つぎに、その試験方法と結果について言及する。
(試験方法)
試験は、図6に示すように、ホットプレート4を使用して、ホットプレート4上に仮保温材5(厚さ5mmの珪酸カルシウム板)を設置し、その上に一辺が100mmの正方形で厚さ5mmのみがき鋼板6を設置し、さらに、その上に一辺が75mmの正方形で厚さ10mmの試供体7を設置した。試供体7の周囲をシリコンシーリング材8で密封して、試供体7の上面に液体収容空間を形成し、みがき鋼板6の腐食を促進するため、その空間内に塩化ナトリウム(NaCl)を含むイオン交換水9を収容し、みがき鋼板6と仮保温材5の間に熱電対10を配置した。
そして、熱電対10による検出温度が80℃又は200℃になるようにホットプレート4を温度制御し、その80℃又は200℃に維持した加熱状態を10時間継続し、その後、常温状態で14時間継続するとともに、この加熱状態と常温状態を1サイクルとして3日間継続した。3日後に解体して、みがき鋼板6の腐食面積を測定した。
なお、試供体7の下面(みがき鋼板側)に本発明による防錆剤を塗布したもの(実施例1〜12)と、防錆剤を塗布しないもの(比較例1及び2)を準備してそれぞれについて種々の試験を行った。
(第1の実施形態における試験結果)
(試験1:塩分の影響)
みがき鋼板6との接触面積1m2当たり、珪酸カルシウム板の表面に本発明による防錆剤(No.2又はNo.3のアノード型インヒビター;20g、亜リン酸カルシウム;180g)200gを水ガラス(1500g)で固定化した試供体7又はNo.1、4、5、6の液体であるアノード型インヒビターを1500g塗布した試供体7の上面空間内のイオン交換水中に添加する塩化ナトリウムの量を0.1gとしてサイクル試験を行い、塩分量に対する防錆効果について確認した(比較例1、実施例1〜6)。
なお、塩化ナトリウム添加量が0.1gの場合、換算すると、1m3の珪酸カルシウム板に約1.8kgの塩化ナトリウムが含まれていることになる。
(試験1の結果)
以下表2に示す試験結果から明らかなように、防錆剤を塗布しない比較例では、35%程度の腐食面積を示したのに対し、防錆剤を塗布した実施例では、わずか0〜4%程度の腐食面積であり、本発明の断熱部材によれば、たとえ塩分の存在下においても顕著な腐食抑制効果のあることが確認できた。
Figure 2006112544
(試験2:温度の影響)
みがき鋼板6との接触面積1m2当たり、珪酸カルシウム板の表面に本発明による防錆剤(No.2又はNo.3のアノード型インヒビター;20g、亜リン酸カルシウム;180g)200gを水ガラス(1500g)で固定化した試供体7又はNo.1、4、5、6の液体であるアノード型インヒビターを1500g塗布した試供体7を200℃での加熱サイクル試験を行って、防錆効果について確認した。(比較例2、実施例7〜12)
尚、試供体7の上面空間内のイオン交換水中に添加する塩化ナトリウムの量は、0.1gとした。
(試験2の結果)
以下の表3の試験結果から明らかなように、200℃に加熱した実施例7〜12では実施例10を除くと10%以下の腐食面積であり、防錆剤を塗布していない比較例2より大きな防錆効果が見られ、たとえ200℃の高温下に曝されても顕著な腐食抑制効果があり、本発明の断熱材によれば、たとえ高温下で、かつ、塩分の存在下においても顕著な腐食抑制効果のあることが確認できた。
Figure 2006112544
〔別実施形態〕
(1)先の実施形態では、珪酸カルシウム断熱材を主材とする断熱部材1を例にして説明したが、例えば、発泡系の硬質ウレタンフォーム、グラスウール、繊維系のロックウールなどを主材とする断熱部材においても適用可能である。
(2)先の実施形態では、金属製の被断熱体の一例としてパイプPを示したが、パイプP以外にも、例えば、高温の流体や固体などを収納するタンクや各種の容器などにも適用することができる。
したがって、断熱部材1の形状も、これまでの実施形態のような半円筒形状に限るものではなく、被断熱体の形状に応じて種々の形状に形成することができる。
第1の実施形態による断熱部材のパイプへの取り付け工程を示す斜視図 第1の実施形態による断熱部材の製造方法を示すフローチャート 第2の実施形態による断熱部材のパイプへの取り付け工程を示す斜視図 第2の実施形態による断熱部材の製造方法を示すフローチャート アノード型インヒビターと亜リン酸カルシウムの形態を示す模式図 試験に使用した装置の概略構成図 アノード型インヒビターのアルカリ金属塩の化学的性質を示す図表 アノード型インヒビターのアルカリ土類金属塩の化学的性質を示す図表
符号の説明
1 断熱部材
1a 断熱部材の被断熱体への接触面
1b 断熱部材の長手方向に沿う端面
1c 断熱部材の長手方向に直交する端面
2 防錆剤
3 防錆層
P 金属製の被断熱体
S 被断熱体の表面

Claims (8)

  1. 金属製の被断熱体の表面に接触させて設ける断熱部材であって、
    無機材からなるアノード型インヒビター又はカソード型インヒビターの少なくともいずれか一方を含有する防錆剤が備えられている断熱部材。
  2. 前記アノード型インヒビターが、亜硝酸塩、モリブデン酸塩、タングステン酸塩、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のリン酸塩、水ガラス、ホウ酸塩からなる群より選択される請求項1に記載の断熱部材。
  3. 前記カソード型インヒビターが、リンのオキシ酸塩、ホスホン酸塩、亜鉛塩からなる群より選択される請求項1に記載の断熱部材。
  4. 前記防錆剤が、無機系結合剤を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の断熱部材。
  5. 前記防錆剤を含む防錆層が、前記断熱部材のうちの少なくとも前記被断熱体への接触面に設けられている請求項1〜4のいずれか1項に記載の断熱部材。
  6. 前記防錆剤が、前記断熱部材内に混入されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の断熱部材。
  7. 請求項5に記載される断熱部材の製造方法であって、
    前記断熱部材を成形した後に、その断熱部材のうちの少なくとも前記被断熱体への接触面に、前記防錆剤を塗布して製造する断熱部材の製造方法。
  8. 請求項6に記載される断熱部材の製造方法であって、
    前記断熱部材を成形する際に、その断熱部材の成形材料に、前記防錆剤を混入して製造する断熱部材の製造方法。
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