JP3432297B2 - 白色防錆顔料およびその製造方法 - Google Patents
白色防錆顔料およびその製造方法Info
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Description
ために用いられる無公害型の防錆顔料、詳しくはシアナ
ミド亜鉛系の改良された白色防錆顔料およびその製造方
法に関する。
丹、シアナミド鉛、亜酸化鉛、鉛酸カルシウム、塩基性
硫酸鉛などの鉛系、または塩基性クロム酸鉛、クロム酸
亜鉛カリウム、クロム酸ストロンチウム、四塩基性クロ
ム酸亜鉛のようなクロム酸塩系のものが用いられてき
た。これらの防錆顔料は金属に対して優れた錆止め効果
を発揮するが、その有害性が環境公害および健康障害の
面から問題視され、次第にその使用が規制されつつあ
る。
鉛、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウムなどのリン
酸塩系、トリポリリン酸アルミニウムなどの縮合リン酸
塩系、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸アルミニウム、
モリブデン酸カルシウム等のモリブデン酸塩系、ホウ酸
亜鉛、ホウ酸バリウム、ホウ酸ストロンチウム等のホウ
酸塩系など、各種の無公害型の防錆顔料が開発され、実
用に供されている。ところが、これら無公害型と称され
る防錆顔料は鉛系、クロム酸塩系ほどの防錆効果は発揮
されない。
は、油性や合成樹脂系のビヒクルにシアナミド亜鉛を配
合した無公害型の防錆塗料が提案されているが、この種
のシアナミド亜鉛顔料でも鉛系やクロム酸塩系に匹敵す
る程の防錆力を保有せず、実用性に欠ける問題点があ
る。
ミド亜鉛系の防錆顔料は低毒性に優れているため、防錆
力の向上を図ることができれば実用性の高い無公害型の
防錆顔料となる。本発明者らは、この点に着目して鋭意
研究を重ねた結果、特定組成のシアナミド亜鉛と硫酸カ
ルシウムを有効成分とする組成が極めて有効であること
を確認した。
もので、その目的は、無公害性で優れた防錆力を発現す
るシアナミド亜鉛系の白色防錆顔料とその工業的な製造
方法を提供することにある。
めの本発明による白色防錆顔料は、シアナミド酸カルシ
ウム溶液と硫酸亜鉛溶液またはその前駆体を、pH7〜
12の範囲において反応させて得られるシアナミド亜鉛
および硫酸カルシウムの混合物を有効成分として含有す
ることを構成上の特徴とする。
成分の混合組成であるが、これは後混ぜ的な各成分の単
なる混合物ではなく、反応生成に基づく混合物である。
特にこの反応生成物による混合組成の成分モル比が、Z
n:CN2 :Ca:SO4 =1.4〜4.5:1.1〜
1.7:0.4〜0.8:0.4〜0.8の範囲にある
ことが好ましく、この特定された組成において好適な防
錆効果が発揮される。
をキレート能を有する有機ホスホン酸で置換すると、一
層防錆力が改善された好ましい防錆顔料となる。置換に
有効なキレート能を有する有機ホスホン酸としては、例
えばアミノアルキレンホスホン酸、エチレンジアミンテ
トラアルキレンホスホン酸、アルキルメタン−1−ヒド
ロキシ−1,1−ジホスホン酸、2−ヒドロキシホスホ
ノ酢酸などが挙げられる。
ては、例えばニトリロトリスチレンホスホン酸、ニトリ
ロトリスエチレンスルホン酸、ニトリロトリスプロピレ
ンホスホン酸、ニトリロジエチルメチレンホスホン酸、
ニトリロプロピルビスメチレンホスホン酸等が、エチレ
ンジアミンテトラアルキレンホスホン酸としては、例え
ばエチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、エチレ
ンジアミンテトラエチレンホスホン酸、エチレンジアミ
ンテトラプロピレンホスホン酸等が、またアルキルメタ
ン−1−ヒドロキシ−1、1−ジホスホン酸としては、
例えばメタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン
酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、
プロパン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸など
が挙げられ、これらは1種に限らず2種以上であっても
よい。なお、前記の有機ホスホン酸類はアルカリ金属塩
やアンモニウム塩として用いてもよい。
量は、化合物の形態や後述する顔料の調製法などによっ
て異なるが、概ね硫酸量の20重量%以内、好ましくは
5〜15重量%の範囲が適当である。該置換量が20重
量%を越えると増加量に応じた防錆効果が発現されず、
経済的にも不利となる。
系、無溶剤系あるいは水系の塗料に分散して使用に供さ
れるが、この際の分散性を高めるために必要に応じ高級
脂肪酸またはその誘導体、界面活性剤、酸性リン酸アル
キルエステルまたはその金属塩などで表面処理すること
もできる。
るための本発明の方法は、シアナミド酸カルシウム溶液
と硫酸亜鉛溶液またはその前駆体を、pH7〜12の範
囲において反応させることを構成上の特徴とする。
溶液は、石灰窒素粉末を約40〜50℃の水に懸濁させ
た後、固液分離して調製される。該シアナミド酸カルシ
ウム溶液には硫酸系成分および亜鉛成分を液相状態で反
応させる。したがって、直接的にシアナミド酸カルシウ
ム溶液に硫酸亜鉛の水溶液を添加して反応させるか、硫
酸亜鉛の代わりに硫酸ナトリウムまたは硫酸を添加させ
て反応させることができる。別の反応態様として、シア
ナミド酸カルシウム溶液に例えば硝酸亜鉛、塩化亜鉛、
酢酸亜鉛のような可溶性亜鉛化合物を水溶液の状態で溶
解させ、あるいはシアナミド酸カルシウム溶液に酸化亜
鉛、炭酸亜鉛のような難溶性亜鉛化合物または金属亜鉛
などを懸濁してスラリーとし、これら溶液もしくはスラ
リーに硫酸亜鉛を添加して反応させることもできる。な
お、懸濁状態で用いる場合あるいは反応生成後のスラリ
ーに対しては、予めホモジナイザー、コロイドミルある
いはボールミル等の機械的強力剪断処理を施して微細ス
ラリーとしてから使用することが好ましい。
色防錆顔料のモル比として、Zn:CN2 :Ca:SO
4 =1.4〜4.5:1.1〜1.7:0.4〜0.
8:0.4〜0.8の範囲になるように制御する。反応
条件としては、反応系のpHを常時7〜12の中性また
はアルカリ性領域に維持しながら進行させる。pH調整
剤としては、濃度範囲が5〜40重量%、好ましくは1
0〜20重量%範囲の水酸化ナトリウム水溶液が好適に
用いられる。
めに硫酸系成分の一部にキレート能を有する有機ホスホ
ン基で置換した混合溶液を用いることができる。キレー
ト能を有する有機ホスホン酸は、既に例示した種類の化
合物を同一範囲の置換量として用いることができる。該
有機ホスホン酸を添加する態様としては、例えば、予め
亜鉛化合物の溶液または/および懸濁液に添加する方
法、あるいは反応過程で添加させる方法などがあり、い
ずれの方法でもよい。
硫酸カルシウムの白色微結晶が生成する。生成した沈殿
物を、晶析、沈殿後、約1時間熟成撹拌し、必要に応じ
て強力剪断処理して水洗、固液分離する。ついで常法に
より、乾燥および粉砕処理を施して目的の白色防錆顔料
を得る。
び硫酸カルシウムからなる白色防錆顔料は、油または/
および溶剤系、水系の合成樹脂ビヒクルに分散させて防
錆顔料組成物として供されるが、リン酸亜鉛、塩基性亜
リン酸亜鉛、縮合リン酸アルミニウム、モルブデン酸の
金属塩などの防錆顔料や、あるいは亜鉛華を併用しても
よい。
および硫酸カルシウムを有効成分として含有しており、
この組成が低毒性で金属面に対し優れた防錆力を発揮す
る。特に成分モル比がZn:CN2 :Ca:SO4 =
1.4〜4.5:1.1〜1.7:0.4〜0.8:
0.4〜0.8の範囲にある場合に、防錆性の向上効果
が顕著となる。かかる無公害型の白色防錆顔料は、シア
ナミド酸カルシウム溶液に硫酸亜鉛溶液またはその前駆
体を混合し、下記の反応式を介して効率よく製造され
る。
の添加方式、温度等によって反応生成混合物の物性が変
化するが、上記したような条件を与えることにより良好
な白色防錆顔料を得ることができる。
体的に説明する。
94.3重量部を懸濁させ固液分離操作して得られたシ
アナミド酸カルシウム溶液に、撹拌しながら硫酸亜鉛・
7水塩を溶解した濃度55.0重量%の硫酸亜鉛水溶液
400重量部を60分かけて添加した。この際、同時に
25重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液を添加して液
のpHを7〜12の範囲に保持した。硫酸亜鉛水溶液の
添加終了後、水酸化ナトリウム水溶液によりpHを約1
0として反応を終了させた。なお、これら全ての添加反
応は、常温下で行った。反応により得られた生成スラリ
ーにつき、濾過、水洗、乾燥、粉砕の各処理を順次に施
し、白色粉末を得た。このようにして製造された白色防
錆顔料は、シアナミド亜鉛と硫酸カルシウムからなる組
成を有し、その成分モル比は、Zn:CN2 :Ca:S
O4 =1.7:1.3:0.7:0.7であった。
を用い、表1に示す配合によって防錆塗料を調合した。
この配合塗料と、ガラスビース〔東芝硝子(株)製、G
B603〕100gとを100mlのマヨネーズ瓶に入れ
ペイントシェーカーを用いて20分間分散操作して塗料
化した。
ッコゾール1334”大日本インキ化学工業(株)製〕
鋼板〔日本テストパネル工業(株)製、JIS G3141,SPCC
-SD,10×70×150mm)に乾燥後の膜厚が25μm になるよ
うにバーコーターを用いて塗布したのち、塗膜を室温で
乾燥して試験塗装鋼板を作製した。ついで、5%食塩水
による塩水噴霧試験〔スガ試験機(株)製の塩水噴霧試
験機:ST−ISO−2を使用)を行った。なお、防錆
能の評価は、試験片の状態を表2の基準によって目視判
定し、その判定値によった。得られた結果を表3に示し
た。また、比較のために無処理の試片(ブランク試験)
についての評価(比較例1)、および市販の防錆顔料を
使用して表1と同様に調合した防錆塗料の評価結果につ
いても表3に併載した(参考例1〜3)。
ながら酸化亜鉛119重量部を分散したのち、コロイド
ミルに通して微細化スラリーを調製した。該懸濁スラリ
ーに、実施例1と同一濃度の硫酸亜鉛水溶液400重量
部を60分かけて添加し反応させた。この際、実施例1
と同様に水酸化ナトリウム水溶液を同時に添加し、pH
を7〜12の範囲に保持した。その後は実施例1と同一
条件で処理し、白色粉末を得た。製造された白色粉末の
成分モル比は、Zn:CN2 :Ca:SO4 =4.4:
1.2:0.6:0.6であった。得られた白色防錆顔
料につき実施例1と同様に塗料化し、実施例1と同基準
により防錆能を評価した。その結果を表3に併載した。
ながら酸化亜鉛119重量部を分散したのち、コロイド
ミルに通して微細化スラリーを調製した。ついで、該懸
濁スラリーに、硫酸亜鉛・7水塩220重量部と60重
量%濃度のエタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホ
ン酸42.6重量部を加え、水にて全量を400重量部
とした溶液を60分かけて添加した。この際、実施例1
と同様に水酸化ナトリウム水溶液を同時に添加し、pH
を7〜12の範囲に保持した。その後は実施例1と同一
条件で処理し、白色粉末を得た。製造された白色粉末の
成分モル比は、Zn:CN2 :Ca:SO4 =4.4:
1.2:0.6:0.6であった。得られた白色防錆顔
料につき実施例1と同様に塗料化し、実施例1と同基準
により防錆能を評価した。その結果を表3に併載した。
ウム溶液を撹拌しながら、22.8重量%濃度の硝酸亜
鉛水溶液500重量部を60分かけて添加した。この
際、実施例1と同様に水酸化ナトリウム水溶液を同時に
添加し、pHを7〜12の範囲に保持した。その後は実
施例1と同一条件で処理して白色粉末を製造した。得ら
れた白色防錆顔料につき実施例1と同様に塗料化し、実
施例1と同基準により防錆能を評価した。その結果を表
3に併載した。
量部を溶解させ、撹拌しながら49.2重量%濃度の硝
酸カルシウム水溶液100重量部を添加して反応させ、
濾過、乾燥、粉砕して白色粉末を得た。この白色粉末と
比較例2の粉末を乾式混合し、白色防錆顔料を得た。得
られた白色防錆顔料につき実施例1と同様に塗料化し、
実施例1と同基準により防錆能を評価した。その結果を
表3に併載した。
錆顔料より優れた防食性、防錆性を保有する白色防錆顔
料を提供することができる。そのうえ、鉛やクロムを含
まないシアナミド亜鉛と硫酸カルシウムを有効成分とし
て構成されているから、使用に際して環境ならびに人的
に有害となることがない。また、本発明の製造方法によ
れば、前記の無公害型で防錆能に優れる白色防錆顔料を
簡易な反応工程を経て工業的に有利に製造することが可
能となる。
Claims (5)
- 【請求項1】 シアナミド酸カルシウム溶液と硫酸亜鉛
溶液またはその前駆体を、pH7〜12の範囲において
反応させて得られるシアナミド亜鉛および硫酸カルシウ
ムの混合物を有効成分として含有することを特徴とする
白色防錆顔料。 - 【請求項2】 白色防錆顔料の成分モル比が、Zn:C
N2 :Ca:SO4=1.4〜4.5:1.1〜1.
7:0.4〜0.8:0.4〜0.8の範囲にある請求
項1記載の白色防錆顔料。 - 【請求項3】 前記混合物が、硫酸基の一部がキレート
能を有する有機ホスホン酸で置換したものである請求項
1又は2記載の白色防錆顔料。 - 【請求項4】 シアナミド酸カルシウム溶液と硫酸亜鉛
溶液またはその前駆体を、pH7〜12の範囲において
反応させることを特徴とする白色防錆顔料の製造方法。 - 【請求項5】 硫酸系成分の一部をキレート能を有する
有機ホスホン酸に置換した混合溶液を用いる請求項4記
載の白色防錆顔料の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP20142894A JP3432297B2 (ja) | 1994-08-02 | 1994-08-02 | 白色防錆顔料およびその製造方法 |
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JP20142894A JP3432297B2 (ja) | 1994-08-02 | 1994-08-02 | 白色防錆顔料およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH0841376A JPH0841376A (ja) | 1996-02-13 |
JP3432297B2 true JP3432297B2 (ja) | 2003-08-04 |
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CN101942228A (zh) * | 2009-05-21 | 2011-01-12 | 浙江天女集团制漆有限公司 | 环保镜背涂料专用无盐、抗氧化型氰胺锌防腐颜料及生产方法 |
JP2015110486A (ja) * | 2012-03-23 | 2015-06-18 | 日産化学工業株式会社 | シアナミド亜鉛の製造方法 |
-
1994
- 1994-08-02 JP JP20142894A patent/JP3432297B2/ja not_active Expired - Fee Related
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