JP4154439B2 - 無公害防錆顔料組成物 - Google Patents
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Description
しかしながら、これらの鉛系防錆顔料やクロム酸塩系防錆顔料は優れた防錆性を有するものの、人の健康を損なう恐れがあるなど、安全衛生面や、公害・環境面等から次第にその使用が規制されるに至っている。
一方、これに代わる無公害型防錆顔料として、リン酸塩系や、モリブデン酸塩系、有機ホスホン酸塩系、ホウ酸塩系などの顔料が提案されている。
しかしながら、これらは安全衛生面での問題は少ないものの、鉛系や、クロム酸塩系防錆顔料と比べると、防錆性は一般に劣る。更に、製造コストの高騰や、顔料物性、分散性又は貯蔵安定性が悪化するなどの問題がある。
無公害型防錆顔料は、一般に主成分として溶出しやすい固体酸を用いているので、その酸性分の過剰な溶出を抑えて、なおかつ塗膜を中性に保つために副成分として固体塩基を含有している。そのため、従来から市販されている無公害型防錆顔料は、固体塩基として酸化亜鉛を含有するものが多い。
ところが、近年公害規制強化に伴い、亜鉛化合物、特に顔料成分として用いられている酸化亜鉛に対する安全性が欧米を中心として疑問視されるようになってきた。これは酸化亜鉛が海洋生物に対して悪影響を与えることが明らかとなったためであり、酸化亜鉛を含有する塗料は、悪影響を及ぼすおそれがある場所での使用はもとより、食品運搬用コンテナーなどの塗装に際しても自粛の動きが始まっている。
また、亜鉛含有防錆顔料は、JIS K5621に規定されているようなボイル油、油性ワニスなどの油性ビヒクルに配合した場合、亜鉛成分がビヒクルと反応し、「シーディング」と呼ばれる顔料の凝集現象を起こし、塗膜の外観不良や塗膜物性の低下を招く問題があった。更に、亜鉛含有防錆顔料を含む塗膜は、亜鉛メッキ板上で白錆が生じやすいという問題もあった。
そこで、酸化亜鉛を含有しない無公害型防錆顔料も開発されている(例えば、特開平8−283619号公報、特開平11−049979号公報及び特開2003−113482号公報)。
しかしながら、これらの無公害型防錆顔料は、防錆性や、汎用性ともに十分とは言えない。
例えば、特開2003−113482号公報は、トリポリリン酸ナトリウムと、水可溶性アルカリ土類金属化合物とを、湿式で反応させた沈殿物から防錆顔料組成物を得る方法を提案しているが、このようにして得られる防錆顔料組成物では、水可溶性のイオン、例えば、Na+やNO3 −、Cl−などが多く混在するため、長期に渡る防錆性は得られない。
本発明者らは、前記目的を達成するため、鋭意検討した結果、以下の構成により、上記目的が達成できることを見出し、本発明に到達したものである。
即ち、本発明は、カルシウム成分とリン成分とからなり、かつその両成分中のカルシウムとリンとのモル比率(Ca/P=m)が0.50<m<1.00である混合物を、180〜350℃で焼成してなる縮合リン酸カルシウムを含むことを特徴とする、重金属を含まない無公害防錆顔料組成物に関するものである。
また、他の防錆用材料としての使用方法、例えば、防錆油への添加やインヒビター的な使用方法など、防錆顔料の各種使用用途と同様な利用が可能である。
本発明の防錆顔料組成物における縮合リン酸カルシウムの防錆作用に関する詳細な機構は不明であるが、縮合リン酸カルシウムが、腐食雰囲気下において水にわずかに溶解し、金属に対するキレート力が非常に強いため、鉄表面に不動態皮膜を形成し、錆の発生を防止するものと考えられる。
本発明で使用される縮合リン酸カルシウムは、カルシウム成分とリン成分とからなり、かつその両成分中のカルシウムとリンとのモル比率(Ca/P=m)が、0.50<m<1.00の範囲にある混合物を用いることが必要であり、好ましくは、混合物中のカルシウムとリンとのモル比率mが、0.60<m<0.80の範囲にある混合物を用いることが望ましい。
混合物中のカルシウムとリンとのモル比率(Ca/P=m)が、m≦0.50の場合には、縮合リン酸イオンの溶出量が過剰となり、塗膜の膨れが生じ、防錆効果を低下させるため、好ましくない。また、そのモル比率mが、m≧1.00の場合には、不動態皮膜形成に必要な縮合リン酸イオンの溶出量が低すぎ、また縮合リン酸カルシウムを製造しにくくなるため、好ましくない。
本発明に用いられる縮合リン酸カルシウムは、下記式(1)、
CaxHy(PnO3n+1)z (1)
(式中、xは、1〜4の実数であり、yは、0〜2の実数であり、zは、1〜2の実数であり、nは、2〜6の整数であり、かつ、2x+y=(n+2)zである。)
で表される化合物であることが望ましい。
ただし、式(1)の縮合リン酸カルシウムは、任意の数の結晶水を持つ化合物も含む。
式(1)で表される縮合リン酸カルシウムとしては、CaH2P2O7や、Ca2P2O7、Ca3H2(P2O7)2、Ca4H2(P3O10)2、Ca4P6O19などが代表的なものであり、これら単一又はその混合物であることが望ましい。
このような式(1)で表される縮合リン酸カルシウムは、主にX線回折法を用い、X線回折装置(XRD)によって得られるピークにより、同定することができる。
本発明に用いられる縮合リン酸カルシウムは、単一の結晶状態であっても、種々の結晶状態(非晶質も含む)の混合物であっても構わない。
本発明の防錆顔料組成物の構成成分である縮合リン酸カルシウムは、前述のカルシウム成分とリン成分との混合物を、180〜350℃の温度で焼成し、好ましくは、200〜290℃の温度で焼成することが望ましい。焼成温度が180℃より低いと、リン酸の縮合が起こらず、縮合リン酸カルシウムは得られない。また、焼成温度が350℃より高いと、生成した縮合リン酸カルシウムの多くがメタリン酸カルシウム((Ca(PO3)2)に転じてしまうため、防錆性を有する縮合リン酸カルシウムは得られない。
カルシウム成分とリン成分との混合物の焼成時間は、特に制限はないが、例えば、1〜30時間が好ましい。また、焼成後の縮合リン酸カルシウムは、用途等に応じて粉砕や分級などの操作を行ってもよい。
リン成分としては、例えば、正リン酸や、ポリリン酸、亜リン酸、五酸化二燐等が好適に挙げられる。また、カルシウム成分としては、例えば、カルシウム単体や、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸三カルシウム、ピロリン酸カルシウム、ピロリン酸二水素カルシウム等が好適に挙げられる。なお、硝酸カルシウムや、酢酸カルシウム、塩化カルシウムは、焼成物中に水可溶性のイオンが残存し、顔料の防錆性が低下する傾向にある。
次に、本発明者は、亜鉛を含まない無公害防錆顔料を開発するため、縮合リン酸カルシウムと組み合わせる固体塩基の探索を行った結果、アルカリ土類金属化合物が良好な防錆性を向上させる効果を示すことを見出した。アルカリ土類金属化合物としては、カルシウムや、マグネシウム、ストロンチウム等の酸化物や、水酸化物、ケイ酸塩、炭酸塩などが挙げられ、いずれも良好な防錆性を示すが、特にマグネシウムの化合物を用いるのが望ましい。
アルカリ土類金属化合物の量は、無公害防錆顔料組成物全体に対して、0〜90質量%、より好ましくは、0.1〜60質量%である。従って、この場合、縮合リン酸カルシウムの量は、無公害防錆顔料組成物全体に対して、10〜100質量%、より好ましくは、40〜99.9質量%である。特にアルカリ土類金属化合物として塩基性の強い酸化物や、水酸化物を用いる場合は、無公害防錆顔料組成物全体に対して、アルカリ土類金属化合物は、0.5〜20質量%であることが望ましい。また、このアルカリ土類金属化合物は、1種又は2種以上で使用してもよい。
縮合リン酸カルシウムの混合比率が、上記範囲より少ないときは、防錆作用を発揮する要因となる縮合リン酸イオンの溶出量が少なくなり、防錆効果が十分ではなく、またその比率が上記範囲より多くなると、アルカリ土類金属化合物の減少により、縮合リン酸カルシウムが有する固体酸性を中性化することができなくなるため、縮合リン酸カルシウムに基づく防錆効果が低下する傾向にある。
アルカリ土類金属化合物は、縮合リン酸カルシウムと混合して、又はその混合物を焼成して、使用することができる。
また、本発明の無公害防錆顔料組成物は、上述の縮合リン酸カルシウム及び、それとアルカリ土類金属化合物との混合物に、更にケイ素化合物を混合してもよい。ケイ素化合物を混合すると、素地金属の腐食生成物を固定化でき、防錆効果の向上のため好ましい。ケイ素化合物としては、一般にコロイダルシリカ、湿式法や気相法で合成されたシリカ、又、二酸化ケイ素の形でシリカを含有する天然鉱物なども使用可能であり、特に限定されない。使用するケイ素化合物の量は、無公害防錆顔料組成物全体に対して、一般に、0〜80質量%、好ましくは、0.5〜50質量%であることが適当である。
本発明の無公害防錆顔料組成物は、上述の縮合リン酸カルシウムの単独使用、又はアルカリ土類金属化合物との併用で十分な防錆効果を発揮するものであるが、更にキレート能を有する有機ホスホン酸又はカルボン酸、及び/又はそれらの中和塩(キレート化化合物)を含有させると相乗効果が現れ、防錆効果は更に優れたものになる。
本発明の無公害防錆顔料組成物に使用されるキレート能を有する有機ホスホン酸として、例えば、ニトリロトリスメチレンホスホン酸や、ニトリロトリスエチレンホスホン酸、ニトリロトリスプロピレンホスホン酸、ニトリロトリスジエチルメチレンホスホン酸等のアミノアルキレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラエチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラプロピレンホスホン酸等のエチレンジアミンテトラアルキレンホスホン酸、メタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、プロパン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸等のアルキルメタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、2−ヒドキシホスホノ酢酸等が挙げられる。また、キレート能を有するカルボン酸として、例えば、クエン酸や、リンゴ酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、イタコン酸、マレイン酸、グリコール酸、メルカプト酢酸、チオグリコール酸、サリチル酸、スルフォサリチル酸、アントラニル酸、N−メチルアントラニル酸、3−アミノ−2−ナフトエ酸、1−アミノ−2−ナフトエ酸、2−アミノ−1−ナフトエ酸、1−アミノアントラキノン−2−カルボン酸、タンニン酸、没食子酸等の有機カルボン酸等が挙げられる。
また、それらカルボン酸の中和塩としては、上記化合物のアルカリ金属や、アルカリ土類金属、アルミニウム、アンモニウムイオン(窒素原子で置換された一級、二級、三級又は四級アンモニウムイオン等を含む)等で全部又は一部中和されたものが挙げられる。
なお、キレート能を有する有機ホスホン酸又はカルボン酸及び/又はそれらの中和塩の量は、特に限定されないが、好ましくは、無公害防錆顔料組成物全体に対して、一般に0〜20質量%、好ましくは、2〜15質量%であることが適当である。
上記縮合リン酸カルシウムと、アルカリ土類金属化合物、有機ホスホン酸又はカルボン酸及び/又はその中和塩との混合に際しては、乾式混合や、湿式混合のいずれも採用することができる。特に、無公害防錆顔料組成物を防錆塗料に適用する場合、アルカリ土類金属化合物によるアルカリ成分が樹脂と反応し、ゲル化や増粘するおそれがあるときには、湿式混合法でこれらの成分をあらかじめ湿式反応させておき、その乾燥物を焼成あるいは粉砕等により使用しても良い。
本発明の無公害防錆顔料組成物は、縮合リン酸カルシウムを主成分とする防錆顔料粒子の分散性あるいは防錆塗料に適用する場合のビヒクルとの混和性を考慮して、必要に応じ表面処理を施してもよい。表面処理方法は、前記目的を達成するために行われる常法を用いることができ、例えば、高級脂肪酸若しくはその誘導体、酸性リン酸エステル若しくはその誘導体、ロジン酸若しくはその誘導体、又はシランカップリング剤から選ばれた1種又は2種以上で表面処理されたものであってもよい。
高級脂肪酸若しくはその誘導体としては、例えば、カプリン酸や、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸若しくはそれらの金属塩又はアミド等、酸性リン酸エステル若しくはその誘導体としては、例えば、モノメチルアシドホスフェート、ジメチルアシドホスフェート、ジエチルアシドホスフェート、メチルエチルアシドホスフェート、n−プロピルアシドホスフェート、イソプロピルアシドホスフェート、n−ブチルアシドホスフェート、イソブチルアシドホスフェート等、ロジン酸若しくはその誘導体としては、例えば、ロジン酸、天然ロジン又はその金属塩又はアミド等、シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン等が挙げられる。
本発明の無公害防錆顔料組成物を、防錆塗料に配合して使用する場合、その塗料としては、従来からの溶剤系塗料に対してはもちろんのこと、最近の環境問題との関連で注目されている水系塗料(水溶性樹脂系、ディスパージョン系、エマルジョン系など)や、粉体塗料に対しても適用可能である。また、使用する塗料用バインダーとしては、特に制限されることなく各種の樹脂を用いることができ、例えば、ボイル油や、油性ワニス、フェノール樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ビニル樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂などの各種塗料用合成樹脂、塩化ゴム、環化ゴムなどのゴム誘導体、その他繊維素誘導体などを、単独又は併用して使用することができる。また、前記塗料用樹脂に分散させる場合、本発明の無公害防錆顔料組成物は、縮合リン酸カルシウムと、アルカリ土類金属化合物や、有機ホスホン酸又はカルボン酸及び/又はその中和塩とをあらかじめ混合することなく、それらを別々に前記塗料用樹脂に添加して、塗料中でそれらを混練させても、防錆効果に優れた防錆塗料を製造することが可能である。
本発明の無公害防錆顔料組成物を防錆塗料に使用する場合、本発明の無公害防錆顔料組成物を単独で用いるのが望ましいが、他の種類の防錆顔料と併用してもよい。
本発明の無公害防錆顔料組成物は、防錆塗料用途以外、例えば、インヒビター的な使用方法として、防錆油へ添加、金属と一体化して使用されるプラスチック製品へ混練など、防錆顔料の使用用途での適用が可能であり、その使用を特定の用途に限定するものではない。
1.縮合リン酸カルシウムAの合成
炭酸カルシウム100gと、市販の85%リン酸173gと(Ca/Pのモル比率は、0.67)をフラスコに採り、攪拌しながら80℃で3時間反応させた。この反応液を放冷後、温度を250℃に設定した乾燥機にて、30時間焼成し、縮合リン酸カルシウムAを合成した。この縮合リン酸カルシウムAは、CaH2P2O7やCa4H2(P3O10)2等の混合物である。
2.縮合リン酸カルシウムBの合成
炭酸カルシウム100gと、市販の85%リン酸154gと(Ca/Pのモル比率は0.75)をフラスコに採り、攪拌しながら80℃で3時間反応させた。この反応液を放冷後、温度を250℃に設定した乾燥機にて、30時間焼成し、縮合リン酸カルシウムBを合成した。この縮合リン酸カルシウムBは、CaH2P2O7や、Ca3H2(P2O7)2、Ca4H2(P3O10)2等の混合物である。
3.縮合リン酸カルシウムCの合成
炭酸カルシウム100gと、ポリリン酸113.7gと(Ca/Pのモル比率は0.74)をフラスコに採り、攪拌しながら80℃で3時間反応させた。この反応液を放冷後、温度を230℃に設定した乾燥機で、30時間焼成し、縮合リン酸カルシウムCを合成した。この縮合リン酸カルシウムCは、Ca2P2O7や、CaH2P2O7等の混合物である。
実施例1〜10及び比較例1〜6
無公害防錆顔料組成物として、上記のように調製した縮合リン酸カルシウムA〜Cと、アルカリ土類金属化合物、又は、有機ホスホン酸又はカルボン酸及び/又はそれらの中和塩とを、以下の表1に示す配合比率でそれぞれ乾式混合して、実施例1〜10とした。
また、比較例1として、メタリン酸カルシウム(縮合リン酸カルシウムではない)と、酸化マグネシウム、比較例2としてトリポリリン酸アルミニウム(テイカ(株)製「K−FRESH」)(トリポリリン酸アルミニウムは、上記式(1)において、zが3である)と、メタケイ酸カルシウムとを表1に示す配合比率で乾式混合して、防錆顔料とした。更に、比較例3としてリン酸亜鉛含有トリポリリン酸アルミニウム(テイカ(株)製「K−WHITE AZP500」)、比較例4としてカルシウム変性トリポリリン酸アルミニウム(テイカ(株)製「K−WHITE Ca650」)、比較例5として酸化亜鉛変性トリポリリン酸アルミニウム(テイカ(株)製「K−WHITE#105」)、比較例6としてリン酸亜鉛(堺化学工業(株)製「ZPF」)をそれぞれ防錆顔料として使用した。なお、比較例3〜6は、市販の防錆顔料である。
実施例1〜10及び比較例1〜6で得られた防錆顔料について、エポキシ樹脂系塗料に配合し、防錆効果の確認を行った。
常乾型エポキシ樹脂系塗料の調製
上記の各防錆顔料について、各々4部、エポキシ樹脂溶液(三井石油化学(株)製、キシレン75%)26部、酸化チタン5部、タルク15部、炭酸カルシウム25部、タレ止め剤2部、沈降防止剤2部、消泡剤1部、キシレン12部、イソピロルアルコール8部を分散混合して、それぞれの主剤を調製した。また、硬化剤は、ポリアマイド樹脂68部にキシレン32部を加え、十分に混合溶解し、硬化剤を調製した。調製した各主剤80部と硬化剤20部をそれぞれよく混合し、各塗料を調製した。
試験板の作製
得られた各塗料を、冷間圧延鋼板JIS G3141 SPCC−SB(日本タクト(株)製、150×70×1.0mm)に刷毛を用いて、乾燥後の膜厚が40μmになるように塗装した。その後、室温で2週間乾燥した。
塩水噴霧試験方法
このように作製した試験板に、カッターナイフを用いて素地まで達するクロスカットを入れ、35℃に保った塩水噴霧試験機内に静置して、5%塩化ナトリウム水溶液を1時間当たり1kg/cm2の量で500時間塗膜に噴霧し、塗膜平面部の錆及びフクレならびにクロスカット部中心線からの腐食幅を観察した。
評価方法及び評価基準
各試験後の塗板の平面部とクロスカット部の両方について、塩水噴霧試験での防錆効果を評価した。
平面部については、試験後の錆及びフクレの発生面積から防錆効果を評価し、クロスカット部については、カット部中心線からの錆及びフクレの長さを腐食幅として測定し、防錆効果を評価した。それぞれの防錆効果の評価基準は、表2に示すように評価結果を、0〜5の評点で表した。
なお、平面部の錆発生防止効果の評価基準は、ASTM D610−68(1970)に準拠し、フクレ発生防止効果の評価基準は、ASTM D714−59(1965)に準拠している。表2に示すように、評点が高いほど防錆効果が優れていることを示す。
表3に示すように、本発明の無公害防錆顔料組成物(実施例1〜10)は、比較例1や2及び市販の防錆顔料(比較例3〜6)より、優れた防錆効果を有していた。
上記のようにして得られた実施例1〜10及び比較例1〜6の防錆顔料について、それぞれアルキッド樹脂塗料に配合し、防錆効果と貯蔵安定性の確認を行った。
常乾型中油アルキッド樹脂塗料の調製
上記の各防錆顔料について、各々8部、中油アルキッド樹脂溶液(ターペン:50%)30部、タルク11部、炭酸カルシウム40部、タレ止め剤1部、皮張り防止剤0.5部、ドライヤー1部、ミネラルスピリット8.5部を分散混合して、各塗料を調製した。
試験板の作製
得られた各塗料を、冷間圧延鋼板JIS G3141 SPCC−SB(日本タクト(株)製、150×70×1.0mm)に刷毛を用いて二回塗装し、乾燥後の膜厚が70μmになるように作製した。その後、室温で2週間乾燥した。
塩水噴霧試験とその評価方法
上記の試験1と同様の方法で塩水噴霧試験を実施し、試験1と同様に表2に示した評価方法及び評価基準で、各試験板の平面部とクロスカット部の両方について、塩水噴霧試験での防錆効果を評価した。
貯蔵安定性試験とその評価方法
上記のように調製した各塗料を、各々250mlマヨネーズ瓶に入れて密栓し、50℃に保持した恒温室中に30日間保持し、塗料の貯蔵安定性試験を行った。
試験終了後と試験前の塗料の粘度をB型粘度計によりそれぞれ測定し、また試験後と試験前の塗料の粒度をつぶゲージによりそれぞれ測定した。評価は、試験前と試験後の粘度の変化が10%未満で、かつ粒度の変化が無いものを「○」、10%以上の粘度変化(増粘)又は粒度の増大がみられるものを「×」とした。
試験2の結果
以下の表4に示すように、本発明の無公害防錆顔料組成物(実施例1〜10)は、比較例1や2及び市販の防錆顔料(比較例3〜6)より、優れた防錆効果を有していた。また、塗料の貯蔵安定性については、亜鉛を含有する比較例3、5及び6の防錆顔料は、シーディングが起こるため特に悪かったが、亜鉛を含有しない実施例1〜10の防錆顔料は良好であった。
また、他の防錆材料としての使用方法、例えば、防錆油への添加や、インヒビター的な使用方法など、防錆顔料の各種使用用途と同様な使用が可能である。
Claims (15)
- 縮合リン酸カルシウムを含み、重金属を含まない無公害防錆顔料組成物の製造方法であって、
カルシウム成分とリン成分とからなり、かつその両成分中のカルシウムとリンとのモル比率(Ca/P=m)が0.60<m<0.80である混合物を、180〜350℃で焼成することを特徴とする方法。 - 前記縮合リン酸カルシウムが、下記式(1)、
(1)CaxHy(PnO3n+1)z (1)
(式中、xは、1〜4の実数であり、yは、0〜2の実数であり、zは、1〜2の実数であり、nは、2〜6の整数であり、かつ、2x+y=(n+2)zである。)
で表される化合物である、請求項1に記載の方法。 - 前記縮合リン酸カルシウ厶が、CaH2P2O7や、Ca2P2O7、Ca3H2(P2O7)2、Ca4H2(P3O10)2、Ca4P6O19、及びそれらの混合物からなる群から選択される請求項1に記載の方法。
- 前記カルシウム成分が、カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸三カルシウム、ピロリン酸カルシウム及びピロリン酸二水素カルシウ厶からなる群から選択される請求項1に記載の方法。
- 前記リン成分が、リン酸、ポリリン酸、亜リン酸及び五酸化二燐からなる群から選択される請求項1に記載の方法。
- 前記混合物が、200〜290℃で焼成される請求項1に記載の方法。
- 更に、アルカリ土類金属化合物を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記アルカリ土類金属化合物が、カルシウム、マグネシウム及びストロンチウムの酸化物、水酸化物、ケイ酸塩、炭酸塩及びそれらの混合物からなる群から選択される請求項1に記載の方法。
- 前記アルカリ土類金属化合物が、無公害防錆顔料組成物の質量に対して、0.1〜60質量%で含有される請求項1に記載の方法。
- 更に、有機ホスホン酸、有機カルボン酸及びそれらの中和塩からなる群から選択されるキレート化化合物を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記有機ホスホン酸が、ニトリロトリスメチレンホスホン酸、ニトリロトリスエチレンホスホン酸、ニトリロトリスプロピレンホスホン酸、ニトリロトリスジエチルメチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラエチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラプロピレンホスホン酸、メタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、プロパン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸及び2−ヒドキシホスホノ酢酸からなる群から選択される請求項11に記載の方法。
- 前記有機カルボン酸が、クエン酸、リンゴ酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、イタコン酸、マレイン酸、グリコール酸、メルカプト酢酸、チオグリコール酸、サリチル酸、スルフォサリチル酸、アントラニル酸、N−メチルアントラニル酸、3−アミノ−2−ナフトエ酸、1−アミノ−2−ナフトエ酸、2−アミノ−1−ナフトエ酸、1−アミノアントラキノン−2−カルボン酸、タンニン酸及び没食子酸からなる群から選択される請求項11に記載の方法。
- 前記中和塩が、前記有機ホスホン酸及び有機カルボン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルミニウム塩及びアンモニウム塩からなる群から選択される請求項11に記載の方法。
- 前記縮合リン酸カルシウムが、表面処理されている請求項1に記載の方法。
- 請求項1に記載の無公害防錆顔料組成物を含有することを特徴とする方法。
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