JP4636587B2 - 亜硝酸イオン型ハイドロタルサイト粉末、その製造方法、防錆剤組成物および防錆塗料組成物 - Google Patents

亜硝酸イオン型ハイドロタルサイト粉末、その製造方法、防錆剤組成物および防錆塗料組成物 Download PDF

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Description

本発明は、金属材料に優れた防錆性を付与することができる亜硝酸イオン型ハイドロタルサイト粉末、その製造方法、これを用いた防錆剤組成物及び防錆塗料組成物に関するものである。
ハイドロタルサイトは、代表的には下記一般式(3)
Figure 0004636587
(式中、An-はn価のアニオンを表わし、xは0.2≦x≦0.33)で表わされる無機アニオン交換体で、主に塩化ビニル樹脂の安定剤として用いられているが、更なる用途が開発されている。
例えば、前記一般式(3)の式中のAのアニオンがNO2 -である亜硝酸イオン型ハイドロタルサイトを防錆顔料、或いは防錆塗料組成物として用いることも提案されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
従来、亜硝酸イオン型ハイドロタルサイトの製造方法は、例えば、アルカリの存在下に水溶性マグネシウム化合物と、水溶性アルミニウム化合物との反応により得る方法(例えば、特許文献1、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6参照)、或いは特許文献2には、下記一般式(4)
Figure 0004636587
〔ただし、M1 はZn、Pb、Ca及びSrの少なくとも1種の元素、M2 はAl及び/又はFe、An-はn価のアニオン、0<x≦0.5、0≦z<0.5、0.5≦y+z<1、0≦m<2〕
で表される固溶体を400℃〜700℃に加熱し、pH3〜10で亜硝酸イオンを含有する水溶液に混合することにより製造する方法が提案されている。
特開平11−148029号公報 特開平5−306124号公報(第1頁、第6頁) 特公昭46−2280号公報 特公昭50−30039号公報 特公昭47−32198号公報 特公昭56−29893号公報
しかしながら、特許文献2の方法において用いる原料のハイドロタルサイトは本発明の範囲外の組成のMg4.5 Al2 (OH)13・CO3 ・3.5H2 O(一般式(2)中のxが0.31の組成に相当)を用いており、また、本発明者らによれば、特許文献2で得られる亜硝酸イオン型ハイドロタルサイト粉末に至っても、金属材料に長期に亘る防錆性能を付与することが難しく、更に優れた防錆性能を有するハイドロタルサイトの開発が望まれていた。
理論上、亜硝酸イオン型ハイドロタルサイト(例えば、Mg9.5Al2(OH)13・CO3・3.5H2O)は亜硝酸イオンを該化合物1gに対して179.5mg/g含有し、この含有された亜硝酸イオンはアニオン交換により全量放出可能であると考えられるが、従来の亜硝酸イオン型ハイドロタルサイトは、この亜硝酸イオンの放出量が多くとも32.7mg/g程度である。
本発明者は、かかる実情において、防錆効果に優れたハイドロタルサイト型化合物について鋭意研究を重ねた結果、特定の一般式で表されるハイドロタルサイトを原料として用い、これを特定温度範囲で焼成し、該ハイドロタルサイトからアニオンを脱離させて複合酸化物となし、次いで該複合酸化物を亜硝酸イオンを含む水溶液に浸漬してハイドロタルサイト構造を再生させて得られる亜硝酸イオン型ハイドロタルサイト粉末は、従来の亜硝酸イオン型ハイドロタルサイトに比べ、アニオン交換により放出される亜硝酸イオンの量が多く、更に該ハイドロタルサイトを含有する防錆剤組成物は優れた防錆性能を発揮し、特に金属材料に長期に亘って優れた防錆性能を付与することができることを見出し本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の目的は、金属材料に優れた防錆性を付与することができる亜硝酸イオン型ハイドロタルサイト粉末、その製造方法、それを用いた防錆剤組成物及び防錆塗料組成物を提供することにある。
本発明が提供しようとする第1の発明は、下記一般式(1)
Figure 0004636587
(式中、xは0.15<x<0.25、tは0.5≦t≦2を示す。)
で表わされる亜硝酸イオンを含有するハイドロタルサイト粉末であって、該ハイドロタルサイト粉末5gを0.2モル/Lの塩化ナトリウム水溶液100mLに加え25℃で4時間放置した時に溶出する亜硝酸イオンの量が35mg/g以上であり、吸着する塩化物イオンの吸着量が20mg/g以上であり、且つBET比表面積が30m 2 /g以上であることを特徴とする亜硝酸イオン型ハイドロタルサイト粉末である。
また、本発明が提供しようとする第2の発明は、下記一般式(2)
Figure 0004636587
(式中、MはMgからなる2価金属イオン、Aはアニオン、xは0.18≦x≦0.28、tは0.5≦t≦2、nはアニオンの価数を示す。)
で表わされるハイドロタルサイトを400〜700℃で焼成し、前記一般式(2)中のアニオンAを脱離させる第1工程、次いで前記第1工程で得られた生成物を亜硝酸イオンを含む水溶液に浸漬する第2工程を有することを特徴とする亜硝酸イオン型ハイドロタルサイト粉末の製造方法である。
また、本発明が提供しようとする第3の発明は、前記亜硝酸イオン型ハイドロタルサイトを含有する防錆剤組成物である。
また、本発明が提供しようとする第4の発明は、前記防錆剤組成物を含有する防錆塗料組成物である。
本発明の亜硝酸イオン型ハイドロタルサイト粉末は、従来の亜硝酸イオン型ハイドロタルサイト粉末と比べ、アニオン交換により放出される亜硝酸イオンの量が多く、更に該亜硝酸イオン型ハイドロタルサイトを含有する防錆剤組成物及び防錆塗料組成物は金属材料に優れた防錆性能を付与することができる。
以下、本発明を好ましい実施形態に基づき詳細に説明する。
本発明の亜硝酸イオン型ハイドロタルサイト粉末は、従来の亜硝酸イオン型ハイドロタルサイト粉末に比べて、特にアニオン交換により放出される亜硝酸イオンの量が多いことにおいて異なるものである。
即ち、本発明の亜硝酸イオン型ハイドロタルサイト粉末は、該亜硝酸イオン型ハイドロタルサイト粉末5gをガラス瓶に入れ、0.2モル/Lの塩化ナトリウム水溶液100mLを加え、300rpm、25℃、4時間攪拌した後のろ液中の亜硝酸イオン濃度をイオンクロマトグラフ法で求めた値(以下、「亜硝酸イオン放出量」と呼ぶ。)が35mg/g以上、好ましくは40mg/g以上で、その上限値は140mg/gであるのに対して、従来の亜硝酸イオン型ハイドロタルサイト粉末はこの亜硝酸イオン放出量が多くても32.7mg/gで、本発明の亜硝酸イオン型ハイドロタルサイト粉末は従来の亜硝酸イオン型ハイドロタルサイト粉末に比べアニオン交換により放出される亜硝酸イオンの量が極めて多いところに特徴があり、従来品とは区別される。
本発明にかかる亜硝酸イオン型ハイドロタルサイト粉末は前記亜硝酸イオン放出量の多い特性を有することにより、該ハイドロタルサイト粉末を含有する防錆剤組成物は金属材料に長期に亘って優れた防錆性能を付与することができる。
さらに、本発明の亜硝酸イオン型ハイドロタルサイト粉末は、前記した亜硝酸イオン放出量であることに加え、塩化物イオン吸着量が20mg/g以上、好ましくは25〜100mg/gであり、防錆性などの様々な効果を発現することができる。
なお、本発明において塩化物イオン吸着量は、亜硝酸イオン型ハイドロタルサイト粉末5gをガラス瓶に入れ、0.2モル/Lの塩化ナトリウム水溶液100mLを加え、300rpm、25℃、4時間攪拌後のろ液中の塩化物イオン濃度をイオンクロマトグラフ法で求めた値から、下記計算式(1)
Figure 0004636587
(Qは塩化物イオン吸着量(mg/g)、C0 は吸着前の塩化物イオン濃度(mg/L)、C1 は吸着後の塩化物イオン濃度(mg/L)を示す)
により求められる値である。
本発明の亜硝酸イオン型ハイドロタルサイト粉末は、アニオン成分として亜硝酸イオンを含有するハイドロタルサイトであり、該亜硝酸イオン型ハイドロタルサイト粉末の組成は、後述する原料のハイドロタルサイトの組成に大きく依存することから、その組成は多くの場合、下記一般式(5)
Figure 0004636587
(式中、MはMg、Ca、Ni、Cu及びZnからなる群から選ばれた少なくとも1種以上の2価金属イオン、xは0<x≦0.5、tは0≦t≦2、nはアニオンの価数を示す。)で表わされるハイドロタルサイト粉末である。
さらに、好ましい本発明の亜硝酸イオン型ハイドロタルサイト粉末は、下記一般式(1)
Figure 0004636587
(式中、xは0.15<x<0.25、tは0.5≦t≦2を示す。)
で表わされる亜硝酸イオン型ハイドロタルサイト粉末であることが、複合酸化物からのハイドロタルサイト構造の再生効率に優れる点で特に好ましい。
本発明の亜硝酸イオン型ハイドロタルサイト粉末のMgとAlの比は、MgO/Al23 のモル比として6.0〜6.5、好ましくは6.2〜6.5が望ましく、6.0〜6.5であると亜硝酸イオンの放出量が多く、また防錆性能に優れたものとなる。
本発明の亜硝酸イオン型ハイドロタルサイト粉末は、上記特性に加え、レーザー散乱法により求められる平均粒径が50μm以下、好ましくは20μm以下、特に好ましくは0.01〜20μmであると分散媒への分散性が良好且つコントロールしやすいので好ましい。
また、本発明の亜硝酸イオン型ハイドロタルサイト粉末は、組成と共にBET比表面積が大きいことに特徴を有し、具体的にはBET比表面積が30m2 /g以上、好ましくは35m2 /g以上、特に好ましくは35〜50m2 /gであり、このBET比表面積であるのでイオン交換効率が向上し、イオン吸着・放出量が理論値に近づくため特に好ましい。
次いで、本発明の亜硝酸イオン型ハイドロタルサイト粉末の製造方法について説明する。
本発明の亜硝酸イオン型ハイドロタルサイト粉末は、下記一般式(2)
Figure 0004636587
(式中、MはMgからなる2価金属イオン、Aはアニオン、xは0.18≦x≦0.28、tは0.5≦t≦2、nはアニオンの価数を示す。)
で表わされるハイドロタルサイトを400〜700℃で焼成し、前記一般式(2)中のアニオンAを脱離させる第1工程、次いで前記第1工程で得られた生成物を亜硝酸イオンを含む水溶液に浸漬する第2工程を実施することにより製造することができる。
前記第1工程は、前記一般式(2)で表わされるハイドロタルサイトを原料として用い、これを特定温度範囲で焼成を行って、該ハイドロタルサイトを脱アニオン化して複合酸化物を得る。即ち、この第1工程では、前記一般式(2)で表わされる特定の化学組成のハイドロタルサイトを用いること及び焼成温度を400〜700℃、好ましくは450〜600℃で行うことが重要な要件の一つとなる。
原料の前記一般式(2)で表わされるハイドロタルサイトは、公知の方法により容易に製造することができる。その一例を示せば、アルカリの存在下、好ましくはpH9〜13で、水溶性の2価金属塩(M)と水溶性アルミニウム塩(Al)とをMとAlのモル比(M/Al)が2.0〜8.0となるように0〜100℃で0.5〜6時間反応させる方法により容易に製造することができる(例えば、特公昭46−2280号公報、特公昭50−30039号公報、特公昭47−32198号公報、特公昭56−29893号公報参照)。また、前記一般式(2)の式中のMがMgで、AがCO3 2- のハイドロタルサイトは、市販品、例えば、協和化学工業社製の商品名DHT−6を用いることができることから工業的に特に有利である。
かかる原料のハイドロタルサイトの諸物性は、前記組成の範囲内のものであれば特に制限されるものではないが、得られる亜硝酸イオン型ハイドロタルサイトの粒径は原料のハイドロタルサイトの粒径に大きく依存することから、原料のハイドロタルサイトの粒径は、レーザー散乱法により求められる平均粒径が50μm以下、好ましくは20μm以下、特に好ましくは0.01〜20μmであると上記した平均粒径の亜硝酸イオン型ハイドロタルサイトが容易に得られることから好ましい。
本発明では、前記したハイドロタルサイトを焼成し、ハイドロタルサイトの構造中からアニオンが脱離した複合酸化物を得る。
この第1工程では焼成によりハイドロタルサイトからアニオンを完全に除去した複合酸化物を得ることが不純物含量が少なく、イオン交換容量を大きく取ることが出来る上で重要であり、通常は複合酸化物に含有されるアニオンの量が2000ppm以下、好ましくは100ppm以下となるまで十分に焼成を行うことが好ましい。
焼成温度は400〜700℃、好ましくは450〜600℃である。焼成温度が400℃未満ではアニオンの脱離が不十分となり、不純物の量が多くなり、一方、700℃を越えると複合酸化物の結晶化が進行し、ハイドロタルサイト構造の再生が進行しにくくなるからである。
焼成時間は、上記範囲内のアニオン含有量となるまで十分に行う必要があり、多くの場合1時間以上、好ましくは2時間以上である。
焼成雰囲気は、特に制限されるものではなく、空気中或いは不活性ガス雰囲気中であってもよい。
なお、本発明において、前記焼成は必要により繰り返し行うことができる。
次いで、第2工程では、前記第1工程で得られた複合酸化物を亜硝酸イオンを含む溶液に浸漬し、ハイドロタルサイト構造を再生させ、ハイドロタルサイト構造中に亜硝酸イオンを含有させる。
前記亜硝酸イオンを含む溶液は、亜硝酸又は亜硝酸塩を溶解した水溶液であり、用いることができる亜硝酸塩としては、水に溶解するものであれば特に制限はなく、例えば、亜硝酸リチウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸バリウム、亜硝酸カルシウム、亜硝酸マグネシウム、亜硝酸亜鉛等が挙げられ、これらは1種又は2種以上で用いることができる。
亜硝酸イオンを含む溶液は、多くの場合、亜硝酸イオンを5〜40重量%、好ましくは5〜20重量%含む溶液として調製する。
前記複合酸化物1gは理論上亜硝酸イオンを多くの場合0.27gまで取り込むことが可能であるが、本発明では、亜硝酸イオンを含む溶液の添加量は、複合酸化物100重量部に対して亜硝酸イオンとして理論量以上の27重量部以上、好ましくは30重量部以上、特に好ましくは50〜150重量部とすることが亜硝酸イオンを理論値に近い量まで取り込ませることが出来るので好ましい。
第2工程の具体的な操作は、所定量の複合酸化物と亜硝酸イオンを含む溶液とを0〜100℃、好ましくは10〜60℃で2時間以上、好ましくは4時間以上、特に好ましくは4〜24時間、攪拌下に反応を行って、ハイドロタルサイト構造の再生と亜硝酸イオンの導入を行う。
反応終了後、濾過、水洗、乾燥、必要により粉砕、分級して、製品とする。
かくして得られる亜硝酸イオン型ハイドロタルサイト粉末は、前記亜硝酸イオン放出量が35mg/g以上、好ましくは40mg/g以上で、その上限値は140mg/gであり、塩化物イオン吸着量が20mg/g以上、好ましくは25〜100mg/gである。
また、亜硝酸イオン型ハイドロタルサイト粉末の好ましい物性として、レーザー散乱法により求められる平均粒径が50μm以下、好ましくは20μm以下、特に好ましくは0.01〜20μmである。また、BET比表面積が30m2 /g以上、好ましくは35m2 /g以上、特に好ましくは35〜50m2 /gであることが好ましい。
本発明の亜硝酸イオン型ハイドロタルサイト粉末は、優れたアニオン交換能を利用した、例えば、塩化ビニル樹脂の安定剤、砒素、セレン化合物などの有害なアニオンに対する吸着剤等の従来の無機アニオン交換体の用途に使用することができる。また、特に金属材料の防錆剤組成物として好適に使用することができる。
次いで、本発明の防錆剤組成物について説明する。
本発明の防錆剤組成物は、前記亜硝酸イオン型ハイドロタルサイト粉末を含有することを特徴とする。
かかる防錆剤組成物は、金属製支持体の表面に断熱部材、耐火物を接触させて用いる際の金属製支持体の防錆剤、特にセメント混和剤として使用してコンクリート構造物における鉄筋の防錆剤や、塗料分野における金属材料用の防錆剤として好適に用いることができる。
本発明の防錆剤組成物は、前記亜硝酸イオン型ハイドロタルサイト粉末を単独で使用することができることは勿論であるが、防錆顔料と併用することにより一層防錆効果を高めることができる。
併用することができる防錆顔料としては、特に制限はなく、例えば有機質顔料及び無機質顔料のいずれにでも適用できる。例えば、ニトリル系有機化合物顔料等の有機質防錆顔料、Mg、Ca、Ba、Sr、Zn又はAlの1種又は2種以上から選ばれたリンのオキシ酸塩、モリブデン酸塩、リンモリブデン酸塩、ホウ酸塩、ホウ珪酸塩及びリン珪酸塩、クロム酸塩及び鉛酸塩の1種又は2種以上の無機質防錆顔料が挙げられるが、本発明では環境上の問題からMg、Ca、Ba、Sr、Zn又はAlの1種又は2種以上から選ばれたリンのオキシ酸塩、モリブデン酸塩、リンモリブデン酸塩、ホウ酸塩、ホウ珪酸塩及びリン珪酸塩の白色系の防錆顔料が好ましく用いられる。
具体的には、リンのオキシ酸塩としては、Mg、Ca、Ba、Sr、Zn又はAlの1種又は2種以上から選ばれた亜リン酸塩、リン酸塩及び/又は縮合リン酸塩であって、亜リン酸塩としては、例えば亜リン酸マグネシウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸バリウム、亜リン酸ストロンチウム、亜リン酸亜鉛、亜リン酸アルミニウム、亜リン酸亜鉛カルシウム、亜リン酸亜鉛カリウム等が挙げられる。リン酸塩としては、例えば、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸バリウム、リン酸ストロンチウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛マグネシウム、リン酸亜鉛カルシウム、リン酸亜鉛カリウム等が挙げられる。縮合リン酸塩としては、ポリリン酸マグネシウム、ポリリン酸カルシウム、ポリリン酸亜鉛、ポリリン酸アルミニウム、メタリン酸マグネシウム、メタリン酸カルシウム、メタリン酸バリウム、メタリン酸ストロンチウム、メタリン酸亜鉛、メタリン酸アルミニウム等が挙げられる。モリブデン酸塩としては、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸カルシウム、モリブデン酸バリウム、モリブデン酸アルミニウム、モリブデン酸マグネシウム、モリブデン酸ストロンチウム、モリブデン酸亜鉛カルシウム等及びモリブデン酸亜鉛カリウム等が挙げられる。
リンモリブデン酸塩としては、例えばリンモリブデン酸亜鉛、リンモリブデン酸カルシウム、リンモリブデン酸バリウム、リンモリブデン酸アルミニウム、リンモリブデン酸マグネシウム、リンモリブデン酸ストロンチウム及びモリブデン酸亜鉛カリウム等が挙げられる。
ホウ酸塩としては、例えばホウ酸亜鉛、ホウ酸カルシウム、ホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸ストロンチウム、ホウ酸亜鉛カルシウム及びホウ酸亜鉛カリウム等が挙げられる。
ホウ珪酸塩としては、例えばホウ珪酸亜鉛、ホウ珪酸カルシウム、ホウ珪酸バリウム、ホウ珪酸アルミニウム、ホウ珪酸マグネシウム、ホウ珪酸ストロンチウム、ホウ珪酸亜鉛カリウム、ホウ珪酸亜鉛カルシウムストロンチウム等が挙げられる。
リン珪酸塩としては、例えばリン珪酸亜鉛、リン珪酸カルシウム、リン珪酸バリウム、リン珪酸アルミニウム、リン珪酸マグネシウム、リン珪酸ストロンチウム、リン珪酸亜鉛カリウム、リン珪酸亜鉛カルシウム、リン珪酸亜鉛ストロンチウム及びリン珪酸カルシウムストロンチウム亜鉛等が挙げられる。
これらの防錆顔料は、1種又は2種以上で用いられ、また、正塩、塩基性塩又は複合塩のいずれであってもよく、また、含水物又は無水物のいずれであってもよい。また、これらの防錆顔料は、レーザー散乱法により求められる平均粒径が20μm以下、好ましくは0.01〜10μmであると塗料分散性が良好となる点で好ましい。
本発明では、上記した防錆顔料を所望により酸性リン酸エステル又は/及びキレート能を有するホスホン酸、又はその誘導体から選ばれた有機リン酸化合物で表面処理したものであっても差し支えない。酸性リン酸エステルとしては、例えばメチルアシッドホスフェート、ジメチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、ジエチルアシッドホスフェート、メチルエチルアシッドホスフェート、正−またはイソープロピルアシッドホスフェート、正−またはイソ−ジプロピルアシッドホスフェート、メチルブチルアシッドホスフェート、エチルブチルアシッドホスフェート、プロピルブチルアシッドホスフェート、正−またはイソ−オクチルアシッドホスフェート、正−またはイソ−ジオクチルアシッドホスフェート、正−デシルアシッドホスフェート、正−ジデシルアシッドホスフェート、正−ラウリルアシッドホスフェート、正−ジラウリルアシッドホスフェート、正−またはイソ−セシルアシッドホスフェート、正−またはイソ−ジセシルアシッドホスフェート、正−ステアリルアシッドホスフェート、正−またはイソ−ジステアリルアシッドホスフェート、アリルアシッドホスフェート、ジアリルアシッドホスフェートなどが挙げられ、これら化合物のMg、Ca、Sr、Ba、Zn又はAlから選ばれた1種又は2以上の金属塩、アミン塩等が挙げられる。
キレート能を有するホスホン酸の化合物としては、例えばアミノアルキレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラアルキレンホスホン酸、アルキルメタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸又は、2−ヒドロキシホスホノ酢酸などが代表的な化合物として挙げられる。このうちアミノアルキレンホスホン酸としては、例えば、ニトリロトリスチレンホスホン酸、ニトリロトリスプロピレンホスホン酸、ニトリロジエチルメチレンホスホン酸、ニトリロプロピルビスメチレンホスホン酸等が挙げられる。エチレンジアミンテトラアルキレンホスホン酸としては、例えば、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラエチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラプロピレンホスホン酸等が挙げられる。アルキレン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸としては、例えば、メタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、プロパン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸等が挙げられ、これら化合物のMg、Ca、Sr、Ba、Zn又はAlから選ばれた1種又は2種以上の複合塩であってもよいが、これら化合物に限定されるものではない。また、上記の酸性リン酸エステルとキレート能を有するホスホン酸の化合物を1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。リンのオキシ酸塩に対する酸性リン酸エステル又は/およびキレート能を有するホスホン酸の配合量は、用いる化合物の物性や種類等によって一様ではないが、通常0.1〜30重量%、好ましくは、1〜10重量%である。
本発明にかかる防錆剤組成物に含有される亜硝酸イオン型ハイドロタルサイト粉末の含有量は、0.01〜30重量%、好ましくは0.1〜20重量%の範囲が望ましい。
また、亜硝酸イオン型ハイドロタルサイト粉末と防錆顔料の配合割合は特に制限されるものではないが、多くの場合、亜硝酸イオン型ハイドロタルサイト粉末100重量部に対して防錆顔料3〜3000重量部、好ましくは5〜2000重量部とすることが防錆効果の設計自由度と経済性の面で好ましい。
なお、本発明の亜硝酸イオン型ハイドロタルサイト粉末は必要に応じて分散性を改善する目的で高級脂肪酸またはその誘導体、界面活性剤、シランカップリング剤でさらに表面処理したものであってもよい。
本発明にかかる防錆剤組成物は、セメント混和剤として、普通、早強、超早強等の各種ポルトランドセメント、これらポルトランドセメントに高炉スラグ、フライアッシュ、及びシリカを混合した各種混合セメント、中庸熱セメント、ビ−ライトセメント、並びに、アルミナセメント等のセメント成分に含有させて用いることができる。この場合、防錆剤組成物の使用量は特に限定されるものではないが、通常、セメント成分100重量部に対して0.5〜30重量部、好ましくは1〜10重量部とすることが好ましい。
また、セメント成分と防錆剤組成物の他に、減水剤、消泡剤、防凍剤、凝結促進剤や凝結遅延剤等の凝結調整剤、セメント膨張材、セメント急硬材、無機硫酸塩、ベントナイトやゼオライト等の粘土鉱物、ハイドロドカルマイト等のアニオン交換体等を、本発明の目的を実質的に阻害しない範囲で併用することができる。
また、本発明の防錆剤組成物は、塗料の一成分として塗料組成物中に含有させた防錆塗料として好適に用いることができる。
次いで、本発明の防錆塗料組成物について説明する。
本発明の防錆塗料組成物は、前記防錆剤組成物と塗料ビヒクルを含有するものである。塗料ビヒクルとは、塗料成分を分散させる媒体をいう。即ち、塗膜形成成分である重合油、天然または合成樹脂、無機系結合剤、繊維素やゴムの誘導体等の高分子物質やそれらを溶剤に溶解させたものである。
前記合成樹脂としては、例えばフェノール樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、グアナジン樹脂、ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミン樹脂、アクリル樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ケイ素樹脂、含フッ素樹脂等が挙げられ、これらは必要に応じ、混合系または変性された樹脂であっても差し支えない。
また、前記無機系結合剤としては、水溶性珪酸塩、変性水溶液珪酸塩、アルキルシリケート、アルコキシシリケート、カップリング剤、コロイダルシリカ等が挙げられる。
前記水溶性珪酸塩としては、一般式M2 O・xSiO2 ・yH2 Oで表され、Mはナトリウム、リチウム、カリウム等のアルカリ金属、N(C24 OH)2 、N(CH2 OH)4 、N(C24 OH)4 、C(NH23 NHを示し、式中のx及びyは整数を示し、具体的な化合物としては例えば、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウム等の珪酸アルカリ金属塩、珪酸トリエタノールアミン、珪酸テトラメタノールアンモニウム、珪酸テトラエタノールアンモニウム等が挙げられる。
前記変性水溶性珪酸塩としては、前記水溶性珪酸塩をアルミニウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、亜鉛、ジルコニウム、バナジウムから選ばれる金属の酸化物、水酸化物、弗化物、珪弗化物の1種又は2種以上で変性させたもの、或いは珪弗化ナトリウム、トリ珪弗化亜鉛酸カリウム、フルオロアルミニウム錯塩、フルオロ亜鉛錯塩等で変性させたもの(特開昭53−18636号参照。)等が挙げられる。
前記アルキルシリケートとしては、一般式;SiR4 又はSiXR3 で表され、式中のRはアルキル基を示し、Xはアルコキシ基、ビニル基、エポキシ基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基を示す。前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜5の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられ、具体的な化合物として、例えば、テトラメチルシリケート、テトラエチルシリケート、テトラプロピルシリケート、テトラブチルシリケート等が挙げられる。
前記アルコキシシランとしては、一般式;Si(OR)4 又はSiX(OR)3 、SiR(OR)3 で表され、式中のRはアルキル基を示し、Xはビニル基、エポキシ基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基を示す。前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜5の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられ、具体的な化合物として、例えば、テトラメチルキシシリケート、テトラエトキシシリケート、テトラプロポキシシリケート、テトラブトキシシリケート等が挙げられる。
前記カップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランや、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のシラン系カップリング剤、イソプロピルトリイソステアロイルチタネートや、テトラオクチルビス(ジドデシル)ホスファイトチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート等のチタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤等が挙げられる。
前記コロイダルシリカとしては、粒径が通常2〜100nm程度のもので、固形分20〜40%程度で0.7%以下のNa2 Oを含むもので、特に好ましくはpH8〜10でアルカリで安定化されたコロイダルシリカを用いることができる。
前記塗膜成分は1種又は2種以上で適宜組み合わせて用いることができる。
また、希釈剤としては、水、アルコール類、ケトン類、ベンゼン類、トルエン、キシレンの如き芳香族炭化水素類、液化パラフィンの如き脂肪族炭化水素類など、一般的に塗料で用いられている溶剤が適用できる。
塗料ビヒクルに対する本発明の防錆剤組成物の配合量は、通常0.3〜40重量%、好ましくは1〜30重量%、更に好ましくは5〜15重量%である。配合量が0.3重量%より小さくなると防錆力が低くなり、40重量%より大きくなると、塗料粘性が高くなり、好ましい塗料特性が得られなくなる。
本発明の防錆塗料組成物は上記以外の成分として塗料分野で一般的に用いられる各種の添加剤を含有させて用いることができる。
本発明に係る防錆塗料組成物は、刷毛やローラー塗り、スプレー塗装、静電気塗装、粉体塗装、ロールコーター、カーテンフローコーター、ディッピング塗装や電着塗装等に供することができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
組成がMg6 Al2 (OH)16・CO3 ・3.5H2 O(協和化学工業社製;商品名DHT−6、平均粒径0.8μm)であるハイドロタルサイト粉末100gを500℃で2時間保持し、冷却後、得られた複合酸化物をデシケータにて1日放置して複合酸化物58.5gを得た。
次いで、亜硝酸ナトリウム114gを純水に溶解して1Lとした亜硝酸ナトリウム水溶液に複合酸化物50gを攪拌下に25℃で4時間浸漬した。
次いで、得られた試料を濾過、乾燥、粉砕して白色粉末91.5gを得た。
得られた試料を粉末X線回折法により結晶構造を解析したところ、該試料はハイドロタルサイト構造を持つ化合物であることを確認した。
比較例1
組成がMg4.5 Al2 (OH)13・CO3 ・3.5H2 O(協和化学工業社製;商品名DHT−4、平均粒径1.0μm)であるハイドロタルサイト粉末100gを500℃で2時間保持し、冷却後、得られた複合酸化物をデシケータにて1日放置して複合酸化物56.8gを得た。
次いで、亜硝酸ナトリウム114gを純水に溶解して1Lとした亜硝酸ナトリウム水溶液に複合酸化物50gを攪拌下に25℃で4時間浸漬した。
次いで、得られた試料を濾過、乾燥、粉砕して白色粉末96.7gを得た。
得られた試料を実施例1と同様、粉末X線回折法により結晶構造を解析したところ、該試料はハイドロタルサイト構造を持つ化合物であることを確認した。
比較例2〜3
硫酸マグネシウム7水和物246.48g、亜硝酸カルシウム132.09g及び水500mlを仕込み、25℃で1時間反応を行った。次いで、析出した石膏を濾過により除去し、17.5重量%亜硝酸マグネシウム水溶液660gを得た。
次いで、前記亜硝酸マグネシウム水溶液100gに、MgO/Al23 のモル比が6となるようにアルミン酸ソーダ4.1gを混合し、次いで、水酸化ナトリウムによりpHを8.5(比較例2)、10.5(比較例3)となるように調製し、25℃で4時間反応を行った。
次いで、濾過、洗浄、乾燥、粉砕し白色粉末を得た。得られた試料を粉末X線回折法により結晶構造を解析したところ、該試料はハイドロタルサイト構造を持つ化合物であることを確認した。
<化学組成の評価>
実施例1及び比較例1〜3で得たハイドロタルサイトを硫酸で溶解、希釈した後、ICP原子発光法によりMgとAlの濃度を測定し、そのモル比から組成式を求めた。その結果を表1に示す。
Figure 0004636587
<物性評価>
(1)亜硝酸イオン放出量
前記の実施例1及び比較例1〜3で得られた亜硝酸イオン型ハイドロタルサイト粉末5gをガラス瓶に入れ、0.2モル/Lの塩化ナトリウム水溶液100mLを加え、300rpm、25℃、4時間攪拌後のろ液中の亜硝酸イオン濃度をイオンクロマトグラフ法で求めた。その結果を表2に示す。
(2)塩化物イオン吸着量
塩化物イオン吸着量は上記のろ液をイオンクロマトグラフ法で濃度を測定し,初期濃度から差し引いた値をサンプル量1g当たりに換算して求めた。
(3)平均粒径
上記で得られた亜硝酸イオン型ハイドロタルサイト粉末の平均粒径をレーザー散乱法により求めた。
(4)BET比表面積
上記で得られた亜硝酸イオン型ハイドロタルサイト粉末の比表面積をBET法で測定して求めた。
(5)理論上の亜硝酸イオン含有量
上記の化学組成から算出される理論上の亜硝酸イオン含有量を示す。
以上の評価の結果を表2に示す。
Figure 0004636587
<防錆性能の評価>
(1)防錆塗料の調製
下記組成の主剤に硬化剤を添加して、ペイントコンディショナー法にて常乾型エポキシ樹脂塗料を調製した。
主剤の成分 配合割合(重量部)
エピコート1001X751) 41.5
キシレン/メチルエチルケトン(1/1:V/V) 21.0
防錆剤組成物 7.8
炭酸カルシウム 5.0
酸化チタン 2.5
ガラスビーズ 80.0
硬化剤の成分
トーマイド410−N2) 48.1
キシレン/イソブタノール(7/3:V/V) 10.0
(注)
1)エピコート1001X75(ジャパンエポキシレジン社製)
2)トーマイド410−N(富士化成工業社製)
なお、防錆剤組成物は下記表3の組成のものを使用した。
Figure 0004636587
(注)亜燐酸亜鉛は市販の平均粒径が3μmのものを使用した。
(2)塗料分散性の評価
(1)で調製した塗料をJIS K5101に準ずるグラインドゲージにて防錆剤組成物の分散度合を評価した。その結果を表4に示した。
良:10μm以下の分散
可:10〜50μmの分散
不可:50μm以上の分散
(3)塗装鋼板の調製
上記の防錆塗料を70×150×0.7mmの日本テストパネル製、SPCC−SD鋼板に乾燥塗装膜厚が30〜35μmになるようにバーコーターにて塗布し、25℃、湿度60%の恒温恒湿器で1時間乾燥させて塗装鋼板を得た。
(4)防錆試験
(3)で調製した塗装鋼板の裏面および端面を3M社製、スコッチブランドテープでマスキングした後、クロスカットして、塩水噴霧試験機にセットし、濃度5重量%の食塩水を噴霧して防錆試験を行った。
(5)防錆性能の評価
塩水噴霧試験400時間及び600時間に於ける結果を下記の5段階評価法により評価し、防錆顔料の防錆効果を判定した。その結果を表4に示した。
5:クロスカット部以外の錆発生が全くなく、ブリスターもない。
4:クロスカット部から片側2mm以内に錆が発生、ブリスターもない。
3:クロスカット部から片側6mm以内に錆及び部分的にブリスターが発生
2:クロスカット部から片側12mm以内に錆および部分的にブリスターが発生。
1:鋼板全体に錆およびブリスターが発生。
Figure 0004636587
本発明の亜硝酸イオン型ハイドロタルサイト粉末は、アニオン交換により放出される亜硝酸イオンの量が多く、金属材料に優れた防錆性能を付与することができるので、防錆剤組成物及び防錆塗料組成物に利用することができる。

Claims (9)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 0004636587
    (式中、xは0.15<x<0.25、tは0.5≦t≦2を示す。)
    で表わされる亜硝酸イオンを含有するハイドロタルサイト粉末であって、該ハイドロタルサイト粉末5gを0.2モル/Lの塩化ナトリウム水溶液100mLに加え25℃で4時間放置した時に溶出する亜硝酸イオンの量が35mg/g以上であり、吸着する塩化物イオンの吸着量が20mg/g以上であり、且つBET比表面積が30m 2 /g以上であることを特徴とする亜硝酸イオン型ハイドロタルサイト粉末。
  2. 平均粒径が50μm以下である請求項記載の亜硝酸イオン型ハイドロタルサイト粉末。
  3. 前記一般式(1)におけるMgとAlの比は、MgO/Al 2 3 のモル比として6.0〜6.5である請求項1又は2記載の亜硝酸イオン型ハイドロタルサイト粉末。
  4. 下記一般式(2)
    Figure 0004636587
    (式中、MはMgからなる2価金属イオン、Aはアニオン、xは0.18≦x≦0.28、tは0.5≦t≦2、nはアニオンの価数を示す。)
    で表わされるハイドロタルサイトを400〜700℃で焼成し、前記一般式(2)中のアニオンAを脱離させる第1工程、次いで前記第1工程で得られた生成物を亜硝酸イオンを含む水溶液に浸漬する第2工程を有することを特徴とする請求項1記載の亜硝酸イオン型ハイドロタルサイト粉末の製造方法。
  5. 前記一般式(2)で表わされるハイドロタルサイトの平均粒径が50μm以下である請求項記載の亜硝酸イオン型ハイドロタルサイト粉末の製造方法。
  6. 前記一般式(2)で表わされるハイドロタルサイトAがCO3 2- である請求項又は記載の亜硝酸イオン型ハイドロタルサイト粉末の製造方法。
  7. 請求項1乃至のいずれかに記載の亜硝酸イオン型ハイドロタルサイト粉末を含有することを特徴とする防錆剤組成物。
  8. 更に、防錆顔料を含有する請求項記載の防錆剤組成物。
  9. 請求項又はに記載の防錆剤組成物を含有することを特徴とする防錆塗料組成物。
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