JP2000264626A - カルシウム−アルミニウム系層状複水酸化物の製造方法 - Google Patents

カルシウム−アルミニウム系層状複水酸化物の製造方法

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JP2000264626A
JP2000264626A JP11065170A JP6517099A JP2000264626A JP 2000264626 A JP2000264626 A JP 2000264626A JP 11065170 A JP11065170 A JP 11065170A JP 6517099 A JP6517099 A JP 6517099A JP 2000264626 A JP2000264626 A JP 2000264626A
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calcium
ldh
layered double
aluminum
double hydroxide
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Eiichi Narita
榮一 成田
Yoshio Umetsu
芳生 梅津
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UEDA SEKKAI SEIZO KK
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  • Compounds Of Alkaline-Earth Elements, Aluminum Or Rare-Earth Metals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 構造が安定なカルシウム−アルミニウム系層
状複水酸化物を容易に調製することができるカルシウム
−アルミニウム系層状複水酸化物の製造方法を提供す
る。 【解決手段】 アルミン酸ナトリウム溶液に陰イオンを
含む塩類の溶液と生石灰又は消石灰を加える。陰イオン
を含む塩類は、硝酸型LDHを製造する場合は、硝酸ア
ルカリ金属塩が使用され、塩化物型LDHを製造する場
合は、塩化アルカリ金属塩が使用される。反応成分をp
H調整剤によりpH9〜13の範囲内に調整して、アル
カリ性の条件下で反応させる。pH調整剤は硝酸型LD
Hを製造する場合は、硝酸が使用され、塩化物型LDH
を製造する場合は塩酸が使用される。pHを調整した
後、所定温度で所定時間加温する。そして、得られた固
体生成物を遠心分離、洗浄後、減圧乾燥する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、陰イオン交換能
を有し、有害な陰イオンの除去、制酸剤、プラスチック
やゴムの充填剤等として使用されるカルシウム−アルミ
ニウム系層状複水酸化物の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】層状複水酸化物(Layered Do
uble Hydroxide 以下、LDHと略す)
は一般式[M2+ 1-x3+ x(OH)2x+[An- x/n・yH
2O]x -に示す構造を有するもので、[M2+ 1-x
3+ x(OH)2x+に示される正の電荷を有する水酸化物
基本層と、[An- x/n・yH2O]x-に示される負の電荷
を有する中間層とより構成される不定比化合物である。
【0003】一般式中のM2+としては、Mg2+、C
2+、Mn2+、Ni2+、Zn2+等の2価の金属イオンが
挙げられ、M3+としては、Al3+、Cr3+、Fe3+、C
3+等の3価の金属イオンが挙げられる。また、An-
しては、CO3 2-、NO3 -、Cl-、SO4 2-等のn価の
陰イオンが挙げられる。
【0004】水酸化物基本層では2価と3価の金属イオ
ンにOHが配位して正電荷を帯び、それらの層の間に中
間層が存在している。そして、中間層に存在する陰イオ
ンにより、水酸化物基本層と中間層とが中和する形で存
在している。また、中間層で陰イオンの存在しない空間
は層間水で満たされている。
【0005】LDHはマグネシウム−アルミニウム系層
状複水酸化物やカルシウム−アルミニウム系層状複水酸
化物が知られ、マグネシウム−アルミニウム系層状複水
酸化物としては例えば、化学式Mg6Al2(OH)16
3・4H2Oで表されるハイドロタルサイトが挙げられ
る。これは天然に粘土鉱物として産出されるものであ
る。
【0006】カルシウム−アルミニウム系層状複水酸化
物(以下、Ca−Al系LDHと略す)としては、Ca
−Al−NO3LDHやCa−Al−ClLDHが挙げ
られる。例えば、Ca−Al−NO3LDHを製造する
場合は、まず、硝酸カルシウムを、生石灰と硝酸とによ
り合成する。そして、得られた硝酸カルシウム溶液{C
a(NO32・4H2O}をアルミン酸ナトリウム溶液
(NaAlO2)に滴下する。すると、その反応系は酸
性となるため、pH調整剤により反応系をアルカリ性に
する。さらに、加温熟成して固体生成物とし、その固体
生成物に遠心分離、洗浄等を行うことによりCa−Al
−NO3LDHを製造することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、Ca−Al
−NO3LDHの製造過程において、硝酸カルシウム溶
液{Ca(NO32・4H2O}と、高pHにおいてA
lO2 -として存在するアルミン酸ナトリウム溶液(Na
AlO2)とを反応させているため、低pHのCa(N
32の滴下時に、α−Al(OH)3が生成される。
また、AlO2 -が陰イオンとして層と層との間に入り込
み、NO3 -と共存してしまう。そのため、水酸化物基本
層におけるAl量が減少してしまう。
【0008】そのため、理想とする組成式の、モル比が
Ca:Al:NO3 -=2:1:1を有するCa−Al−
NO3LDHを調製することができず、得られるCa−
Al系LDHは構造が不安定であるという問題があっ
た。
【0009】この発明は、このような従来技術に存在す
る問題点に着目してなされたものである。その目的とす
るところは、構造が安定なカルシウム−アルミニウム系
層状複水酸化物を容易に調製することができるカルシウ
ム−アルミニウム系層状複水酸化物の製造方法を提供す
ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1に記載の発明のカルシウム−アルミニウ
ム系層状複水酸化物の製造方法は、アルミン酸ナトリウ
ム溶液に陰イオンを含む塩類の溶液と生石灰又は消石灰
を加え、それらの反応成分をアルカリ性の条件下で反応
させるものである。
【0011】請求項2に記載の発明のカルシウム−アル
ミニウム系層状複水酸化物の製造方法は、請求項1に記
載の発明において、前記アルカリ性は水素イオン濃度
(pH)9〜13の範囲内である。
【0012】請求項3に記載の発明のカルシウム−アル
ミニウム系層状複水酸化物の製造方法は、請求項1又は
請求項2に記載の発明において、前記陰イオンを含む塩
類は硝酸アルカリ金属塩又は塩化アルカリ金属塩であ
る。
【0013】請求項4に記載の発明のカルシウム−アル
ミニウム系層状複水酸化物の製造方法は、請求項1〜請
求項3のいずれかに記載の発明において、前記アルカリ
性の条件はpH調整剤を使用して調整され、そのpH調
整剤は硝酸又は塩酸である。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態を、図
面に基づいて詳細に説明する。層状複水酸化物は一般式
[M2+ 1-x3+ x(OH2)]x+[An- x/n・yH2O]x -
に示すような結晶構造を有するもので、[M2+ 1-x3+ x
(OH2)]x+に示される正の電荷を有する水酸化物基
本層と、[An- x/n・yH2O]x-に示される負の電荷を
有する中間層とより構成される不定比化合物である。
【0015】化学式中のM2+としては、Mg2+、C
2+、Mn2+、Ni2+、Zn2+等の2価の金属イオンが
挙げられ、M3+としては、Al3+、Cr3+、Fe3+、C
3+等の3価の金属イオンが挙げられる。また、An-
しては、CO3 2-、NO3 -、Cl-、SO4 2-等のn価の
陰イオンが挙げられる。
【0016】図1に示すように、水酸化物基本層では2
価と3価の金属イオン(図1の●)にOH(図1の○)
が配位して正電荷を帯び、それらの層間に中間層が存在
している。そして、中間層に存在する陰イオンにより、
水酸化物基本層と中間層とが中和する形で存在してい
る。また、中間層で陰イオンの存在しない空間は層間水
で満たされている。
【0017】層と層との間は比較的弱い結合力で結合し
ているため、その間に種々の分子やイオンを挿入するこ
とができるようになっている。例えば、陰イオンが層間
に入り込むと、中間層の陰イオンが放出される。そのた
め、LDHは陰イオン交換能を有し、LDHに有害イオ
ンを含む物質を供することにより、その有害イオンがL
DHに取り込まれ、その代わりに中間層の陰イオンが放
出されて、有害イオンを除去することができる。また、
制酸剤としての効果も発揮することができる。
【0018】カルシウム−アルミニウム系層状複水酸化
物(以下、Ca−Al系LDHと略す)はM2+にCa2+
が位置し、M3+にAl3+が位置している。具体的な組成
としてはCa−Al−NO3LDH(以下、硝酸型LD
Hと略す)やCa−Al−ClLDH(以下、塩化物型
LDHと略す)が挙げられ、水酸化物基本層はCa2+
分とAl3+成分から構成され、中間層は硝酸型LDHの
場合は陰イオン成分としてのNO3 -と層間水により構成
され、塩化物型LDHの場合は陰イオン成分としてのC
-と層間水とにより構成されている。
【0019】硝酸型LDHは面間隔d=8.62オング
ストローム(Å)で塩化物型LDHは面間隔d=7.7
6Åである。また、硝酸型LDHは、その粒子の直径が
約1〜10μm、厚さが約0.5μmの六方晶系板状結
晶構造であった。塩化物型LDHでも、板状結晶であっ
た。そのため、Ca−Al系LDHをプラスチックやゴ
ム等に充填材として添加することにより、それらの成形
加工性を向上させたりすることができる。
【0020】硝酸型LDHの組成式は例えば、Ca0.66
Al0.34(OH)2.0(NO30.38・0.34H2Oで
示され、Ca:Al:NO3 -のモル比は2:1:1とな
っている。これは、Alモル分の正電荷を帯びたCaと
Alとにより構成される水酸化物基本層間に、Alと同
モルのNO3 -が取り込まれていると考えられる。
【0021】また、硝酸型LDHを炭酸ナトリウム(N
2CO3)又は炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)に
より陰イオン交換を行うと、硝酸型LDHの中間層に存
在するNO3 -がCO3 2-に交換され、Ca−Al−CO3
LDHを調製することができる。
【0022】次に、Ca−Al系LDHの製造方法につ
いて説明する。水酸化物基本層を構成するCa2+成分の
材料としては生石灰(CaO)又は消石灰{Ca(O
H)2}が使用される。また、Al3+成分の材料として
はアルミン酸ナトリウム溶液(NaAlO2)が使用さ
れる。中間層を構成する陰イオンを生じさせるための材
料は、陰イオンを含む塩類の溶液が使用される。硝酸型
LDHを製造する場合は硝酸アルカリ金属塩が使用さ
れ、具体的には硝酸ナトリウム(NaNO3)又は硝酸
カリウム(KNO3)が使用され、塩化物型LDHを製
造する場合は塩化アルカリ金属塩が使用され、具体的に
は塩化ナトリウム(NaCl)又は塩化カリウム(KC
l)が使用される。
【0023】まず、容器内にアルミン酸ナトリウム溶液
を入れ、そこにアルミン酸ナトリウム溶液と等しいモル
濃度M(モル/リットル)の硝酸アルカリ金属塩又は塩
化アルカリ金属塩を所定量滴下する。その後、消石灰又
は生石灰を添加する。このとき、容器を恒温槽により、
温度50℃で維持するとともに、容器内を窒素ガス雰囲
気にして攪拌しながら合成を行う。そのため、窒素ガス
により容器内で酸素等による有害な影響が反応系に及ぼ
されるのを防止することができる。
【0024】この際、反応成分はアルカリ性となってい
る。そのため、例えば、硝酸カルシウム溶液を使用して
硝酸型LDHを製造するときのように、高pHでAlO
2 -として存在するアルミン酸ナトリウム溶液に、低pH
の硝酸カルシウム溶液を滴下する時にα−Al(OH)
3が生成されるのが防止される。また、AlO2 -が陰イ
オンとして層内に入り込み、NO3 -と共存することが防
止される。そのため、調製されるCa−Al系LDHの
水酸化物基本層のAl量が減少するのを防止して、水酸
化物基本層の構造が不安定になるのが防止される。
【0025】反応時に配合される原料中におけるCaと
Alのモル数で示した配合比は、反応中に水酸化カルシ
ウムの生成を防止し、Ca−Al系LDHを確実に製造
するために、Ca:Al=2:1〜3.5:1の範囲内
に設定されるのが好ましく、2.8:1〜3.2:1の
範囲内に設定されるのが特に好ましい。
【0026】消石灰又は生石灰の添加後、溶液内のpH
をpH調整剤を使用して調整する。pH調整剤として
は、硝酸型LDHを製造し、中間層に陰イオン成分とし
てNO 3 -を存在させるときは硝酸(HNO3)が使用さ
れ、塩化物型LDHを製造し、中間層に陰イオン成分と
してCl-を存在させるときは塩酸(HCl)が使用さ
れる。
【0027】そのため、Ca−Al系LDHの中間層に
存在する陰イオン成分がNO3 -又はCl-のみにより構
成され、中間層が不安定になるのを防止することができ
る。従って、陰イオン交換能を発揮させることができ、
また、Ca−Al系LDHの構造を安定化させることが
できる。
【0028】このとき、α−Al(OH)3の生成を防
止し、Ca−Al系LDHを確実に製造するために、溶
液内はpH9〜13内に調整されるのが好ましく、pH
10〜11に調整されるのが特に好ましい。
【0029】そして、pH調整後、所定温度で所定時
間、溶液を攪拌して熟成させる。結晶を成長させ、Ca
−Al系LDHを確実に製造するために、熟成時間とし
ては1〜5時間の範囲内が好ましく、熟成温度としては
25〜100℃が好ましい。そして、得られる固体生成
物を遠心分離した後、沈殿物を洗浄し、さらに、所定温
度で減圧乾燥することによりCa−Al系LDHを製造
することができる。
【0030】また、得られた硝酸型LDHに炭酸ナトリ
ウム又は炭酸水素ナトリウムを添加し、空気雰囲気下で
25℃で加温し、所定時間振とうする。すると、硝酸型
LDHの中間層に存在する陰イオン成分としてのNO3 -
がCO3 2-に交換され、Ca−Al−CO3LDHを調製
することができる。
【0031】前記の実施形態によって発揮される効果に
ついて、以下に記載する。 ・ Ca−Al系LDHの製造時に、Ca2+成分の材料
として生石灰又は消石灰が使用されるため、α−Al
(OH)3が生成されるのが防止される。また、AlO2
-が陰イオンとして層内に入り込み、中間層の陰イオン
成分と共存することが防止される。そのため、水酸化物
基本層におけるAl量が減少するのを防止してモル比が
Ca:Al:NO3 -=2:1:1又はCa:Al:Cl
-=2:1:1を有するCa−Al系LDHを調製する
ことができ、構造が安定なCa−Al系LDHを製造す
ることができる。
【0032】・ Ca−Al系LDHの製造時に、Ca
2+成分の材料として生石灰又は消石灰が使用されるた
め、生石灰と硝酸から硝酸カルシウムを合成する手間を
省くことができ、製造工程を簡略化することができる。
【0033】・ Ca−Al系LDHの製造時に、Ca
2+成分の材料として生石灰又は消石灰が使用される。生
石灰又は消石灰は天然資源として地中に多量に存在する
ため安価に入手することができ、Ca−Al系LDHの
製造コストの低減を図ることができる。
【0034】・ Ca−Al系LDHの製造時に、溶液
はpH9〜13に調整される。そのため、α−Al(O
H)3の生成を防止し、Ca−Al系LDHを確実に製
造することができる。
【0035】・ 陰イオンを含む塩類としては、硝酸型
LDHを製造する場合は硝酸アルカリ金属塩が使用さ
れ、具体的には硝酸ナトリウム又は硝酸カリウムが使用
される。塩化物型LDHを製造する場合は塩化アルカリ
金属塩が使用され、具体的には塩化ナトリウム又は塩化
カリウムが使用される。そのため、硝酸型LDHの中間
層にNO3 -を存在させ、塩化物型LDHの中間層にCl
-を存在させることができ、陰イオン交換能を発揮させ
ることができる。
【0036】・ 硝酸型LDHを製造する場合は硝酸を
使用してpH調整が行われ、塩化物型LDHを製造する
場合は塩酸を使用しpH調整が行われる。そのため、C
a−Al系LDHの中間層に存在する陰イオン成分がN
3 -又はCl-のみにより構成され、中間層が不安定に
なるのを防止することができる。従って、Ca−Al系
LDHの構造を安定化させることができる。
【0037】・ 配合される原料中におけるCaとAl
とをモル数で示した配合比はCa:Al=2:1〜3.
5:1の範囲内に設定される。そのため、水酸化カルシ
ウムの生成を防止し、Ca−Al系LDHを確実に製造
することができる。
【0038】・ 溶液のpHを調整した後、所定温度で
所定時間、溶液を攪拌して熟成させるとき、熟成時間は
1〜5時間の範囲内に設定され、熟成温度は25〜10
0℃に設定される。そのため、結晶を成長させてCa−
Al系LDHを確実に製造することができる。
【0039】・ 硝酸型LDHに炭酸ナトリウム又は炭
酸水素ナトリウムを添加し、所定温度で加温し、所定時
間振とうすることにより、硝酸型LDHの中間層に存在
する陰イオン成分としてのNO3 -がCO3 2-に交換さ
れ、Ca−Al−CO3LDHを製造することができ
る。
【0040】
【実施例】以下、実施例及び比較例により前記実施形態
をさらに具体的に説明する。 (実施例1)実施例1ではCa2+成分の材料として生石
灰を使用し、陰イオン成分の材料として硝酸ナトリウム
溶液を使用して硝酸型LDHを製造した。
【0041】まず、4口フラスコに0.5Mのアルミン
酸ナトリウム溶液を所定量入れ、0.5M硝酸ナトリウ
ム溶液を所定量加えた後、電気炉で焼成した生石灰を所
定量滴下した。このとき、4口フラスコ内を窒素ガス雰
囲気下にし、恒温槽で温度を50℃に維持しながら攪拌
した。生石灰滴下後、硝酸により反応成分のpHを1
0.3に調整した。
【0042】pHを調整した後、1時間攪拌熟成し、さ
らに100℃で4時間熟成させた。そして、得られた固
体生成物を遠心分離、洗浄後、60℃で24時間減圧乾
燥し、硝酸型LDHを得た。
【0043】そして、得られた硝酸型LDH1g当たり
のCa2+のモル量をEDTA法により測定し、Al3+
モル量をAASにより測定した。また、得られた硝酸型
LDH中の硝酸イオンのモル量をケルダール法により測
定した。その結果、得られた硝酸型LDHは組成式Ca
0.66Al0.34(OH)2.0(NO30.38・0.34H 2
Oで示され、Ca:Al:NO3 -のモル比は2:1:1
となった。
【0044】(比較例1)比較例1ではCa2+成分及び
陰イオン成分の材料として硝酸カルシウム溶液を使用し
て硝酸型LDHを製造した。
【0045】まず、4口フラスコに0.5Mのアルミン
酸ナトリウム溶液を100ml入れ、0.5M硝酸カル
シウム溶液を300ml滴下した。このとき、4口フラ
スコ内を窒素ガス雰囲気下にし、恒温槽で50℃に維持
しながら攪拌した。硝酸カルシウム溶液滴下後、水酸化
ナトリウムにより反応成分のpHを10.3に調整し
た。
【0046】pHを調整した後、1時間攪拌熟成し、さ
らに100℃で4時間熟成させた。得られた固体生成物
を遠心分離、洗浄後、60℃で24時間減圧乾燥し、硝
酸型LDHを得た。
【0047】そして、得られた硝酸型LDHを実施例1
と同様にEDTA法、AAS及びケルダール法により分
析した。その結果、Ca0.51Al0.49(OH)2.2(N
3 0.25・0.72H2Oで示され、Ca:Al:NO
3 -のモル比は2:2:1となった。
【0048】また、実施例1の硝酸型LDHと比較例1
の硝酸型LDHをX線回折に供した。X線回折は、X線
回折装置を使用し、対陰極に銅を採用し、X線の波長を
Kαとして、フルスケールレンジを20kcpsに設定
する。そして、測定角度範囲(2θ)5〜40の範囲内
でX線を照射し、回折図を得るとともに、ピークの先端
から2θを求め、面間隔dを算出した。その回折図を図
2に示す。回折図において、横軸は測定角度範囲を表
し、縦軸は回折強度を表す。なお、実施例2〜9及び比
較例1においても、同様の設定でX線回折を行った。
【0049】図2に示すように、実施例1で得られた硝
酸型LDHにはα−Al(OH)3のピークが確認され
なかったが、比較例1で得られた硝酸型LDHにはα−
Al(OH)3のピークが確認された。
【0050】(実施例2〜5及び比較例2)実施例2〜
5では、原料中におけるCaとAlのモル数で示した配
合比をCa:Al=2:1、2.5:1、3:1、3.
5:1に変更してそれぞれ反応させ、pH10に調整し
て硝酸型LDHを製造した。比較例2ではCa:Al=
1:0にして反応させ、pH10に調整して硝酸型LD
Hを製造した。そして、得られた硝酸型LDHの水酸化
カルシウムの生成状況を測定するために実施例2〜5の
硝酸型LDHと比較例2の硝酸型LDHをX線回折に供
した。その結果を図3に示す。
【0051】図3に示すように、比較例1の場合のみ、
水酸化カルシウムのピークが確認された。 (実施例6〜9)実施例6〜9では、原料中におけるC
aとAlのモル数で示した配合比をCa:Al=3:
1、pH10の条件下で調製された試料を、温度及び熟
成温度を変更して硝酸型LDHを調製し、その結晶の成
長状態を測定した。実施例6では温度を50℃にし、熟
成を行わず、実施例7では温度を50℃にし、熟成温度
を100℃にした。実施例8では温度を25℃にし、熟
成を行わず、実施例9では温度を25℃にし、熟成温度
も25℃にした。そして、得られた各硝酸型LDHをX
線回折に供した。その結果を図4に示す。
【0052】図4に示すように、温度が25℃よりも5
0℃の場合の方が結晶が成長することが示された。ま
た、熟成を行う方が結晶が成長することが示された。さ
らに、前記実施形態より把握できる技術的思想について
以下に記載する。
【0053】(1) 所定温度で所定時間加温しながら
アルミン酸ナトリウム溶液に陰イオンを含む塩類の溶液
と生石灰又は消石灰を加える請求項1〜請求項4のいず
れかに記載のカルシウム−アルミニウム系層状複水酸化
物の製造方法。
【0054】このように構成した場合、得られるカルシ
ウム−アルミニウム系層状複水酸化物の結晶を成長させ
ることができる。 (2) 前記所定温度は25〜100℃の範囲内で、所
定時間は1〜5時間である前記(1)に記載のカルシウ
ム−アルミニウム系層状複水酸化物の製造方法。
【0055】このように構成した場合、得られるカルシ
ウム−アルミニウム系層状複水酸化物の結晶を成長させ
ることができる。 (3) アルミン酸ナトリウム溶液と生石灰又は消石灰
とを、それらのCaとAlのモル数で示した配合比が
2:1〜3.5:1の範囲内となるように添加する請求
項1〜請求項4のいずれかに記載のカルシウム−アルミ
ニウム系層状複水酸化物の製造方法。
【0056】このように構成した場合、カルシウム−ア
ルミニウム系層状複水酸化物の製造時に、水酸化カルシ
ウムが生成されるのを防止することができ、安定した構
造のカルシウム−アルミニウム系層状複水酸化物を製造
することができる。
【0057】(4) 所定温度で所定時間加温しながら
アルミン酸ナトリウム溶液に陰イオンを含む塩類の溶液
と生石灰又は消石灰を加え、それらの反応成分をアルカ
リ性の条件下で反応させた後、所定時間熟成し、得られ
る固体生成物を遠心分離し、沈殿物を洗浄後、減圧乾燥
する請求項1〜請求項4のいずれかに記載のカルシウム
−アルミニウム系層状複水酸化物の製造方法。
【0058】このように構成した場合も、カルシウム−
アルミニウム系層状複水酸化物を製造することができ
る。
【0059】
【発明の効果】以上詳述したように、この発明によれ
ば、次のような効果を奏する。請求項1に記載の発明の
カルシウム−アルミニウム系層状複水酸化物の製造方法
によれば、構造が安定なカルシウム−アルミニウム系層
状複水酸化物を容易に調製することができる。
【0060】請求項2に記載の発明のカルシウム−アル
ミニウム系層状複水酸化物の製造方法によれば、請求項
1に記載の発明の効果に加えて、カルシウム−アルミニ
ウム系層状複水酸化物の製造時に、α−Al(OH)3
が生成されるのを防止し、構造が安定なカルシウム−ア
ルミニウム系層状複水酸化物を容易に調製することがで
きる。
【0061】請求項3に記載の発明のカルシウム−アル
ミニウム系層状複水酸化物の製造方法によれば、請求項
1又は請求項2に記載の発明の効果に加えて、中間層に
陰イオン成分としてのNO3 -又はCl-を配置すること
ができ、陰イオン交換能を発揮させることができる。
【0062】請求項4に記載の発明のカルシウム−アル
ミニウム系層状複水酸化物の製造方法によれば、請求項
1〜請求項3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、
中間層に存在する陰イオン成分がNO3 -又はCl-のみ
により構成され、中間層が不安定になるのを防止するこ
とができる。従って、カルシウム−アルミニウム系層状
複水酸化物の構造を安定化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 カルシウム−アルミニウム系層状複水酸化物
を示す概念図。
【図2】 実施例1及び比較例1の硝酸型LDHのX線
回折図。
【図3】 実施例2〜5及び比較例2の硝酸型LDHの
X線回折図。
【図4】 実施例6〜9の硝酸型LDHのX線回折図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G076 AA06 AA10 AA12 AA14 AA16 AA18 AA19 AA21 AB02 AB04 AB06 AB07 AB09 BA26 BA43 BA45 BC08 BD01 BD02 CA01 CA33 DA02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミン酸ナトリウム溶液に陰イオンを
    含む塩類の溶液と生石灰又は消石灰を加え、それらの反
    応成分をアルカリ性の条件下で反応させるカルシウム−
    アルミニウム系層状複水酸化物の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記アルカリ性は水素イオン濃度(p
    H)9〜13の範囲内である請求項1に記載のカルシウ
    ム−アルミニウム系層状複水酸化物の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記陰イオンを含む塩類は硝酸アルカリ
    金属塩又は塩化アルカリ金属塩である請求項1又は請求
    項2に記載のカルシウム−アルミニウム系層状複水酸化
    物の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記アルカリ性の条件はpH調整剤を使
    用して調整され、そのpH調整剤は硝酸又は塩酸である
    請求項1〜請求項3のいずれかに記載のカルシウム−ア
    ルミニウム系層状複水酸化物の製造方法。
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