JP2007191369A - 微小黒鉛質粒子の製造方法 - Google Patents

微小黒鉛質粒子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高い負極密度におけるリチウムイオン二次電池用負極材料として好適な微小黒鉛質粒子の製造方法の提供。
【解決手段】炭素との反応性または炭素溶解性の金属および/または金属化合物を、炭素材料に付着させる工程と、該金属等が付着した炭素材料を、該金属が蒸発または金属化合物が分解後、該金属化合物に含まれる金属元素が蒸発する温度以上で加熱して、該炭素材料を黒鉛化するとともに、該黒鉛質材料の表面に隆起物を形成する黒鉛化工程と、該隆起物に機械的エネルギーを付与して脱落させた隆起物を得る脱落工程とを有する微小黒鉛質粒子の製造方法。
【選択図】図2

Description

本発明は、微小黒鉛質粒子の製造方法に関する。
近年、電子機器の小型化あるいは高性能化に伴い、電池の高エネルギー密度化に対する要望はますます高まっている。特に、リチウムイオン二次電池は、他の二次電池に比べて高電圧化が可能であり、エネルギー密度を高められるため注目されている。リチウムイオン二次電池は、負極、正極および非水電解質を主たる構成要素とする。非水電解質から生じるリチウムイオンは、放電過程および充電過程で負極と正極との間を移動し、二次電池となる。通常、上記のリチウムイオン二次電池の負極材料には炭素材料が使用される。このような炭素材料として、特に、充放電特性に優れ、高い放電容量と電位平坦性とを示す黒鉛(特許文献1)が有望視されている。
負極材料として使用される黒鉛(黒鉛質粒子)としては、天然黒鉛、人造黒鉛などの黒鉛粒子、さらにはタール、ピッチを原料としたメソフェーズピッチやメソフェーズ小球体を熱処理して得られるバルクメソフェーズ黒鉛質粒子やメソフェーズ小球体黒鉛質粒子、粒子状や繊維状のメソフェーズピッチを酸化不融化した後に熱処理して得られるメソフェーズ黒鉛質粒子やメソフェーズ黒鉛質繊維、天然黒鉛や人造黒鉛をタール、ピッチなどで被覆した後に熱処理して得られる複合黒鉛質粒子などが挙げられる。
なかでも、複合黒鉛質粒子としては、天然黒鉛粉末をバインダーでほぼ球形に造粒成形した後、バインダーピッチを含浸被覆し、焼成したもの(特許文献2)、放電容量、急速充放電特性およびサイクル特性の向上を目的として、黒鉛粒子を球状に造粒したのち、化学蒸着処理によって黒鉛粒子の表面に炭素被覆層を形成したもの(特許文献3)、黒鉛化可能な骨材、バインダー、黒鉛化触媒を混合、焼成、粉砕したもの(特許文献4)などが例示される。
前記従来のリチウムイオン二次電池負極材料は、高い結晶性を有する黒鉛を含有するので、リチウムイオン二次電池の放電容量を高めることができ、また、黒鉛が粒子内で一方向に配列していないので、特定の使用条件では良好な急速充放電特性およびサイクル特性を有しているが、下記のような問題もある。
例えば、特許文献2に記載の造粒型負極材料は、造粒された天然黒鉛にバインダーピッチを含浸、焼成して結着したものであり、ピッチの焼成生成物が硬質であるため、負極の密度を高くすることが難しい。負極の高密度化が可能な硬度になるようにピッチの含浸量を減らすと、天然黒鉛の結着力が弱いものとなり、造粒構造を維持できなくなる。
特許文献3に記載の造粒型負極材料は、黒鉛を微粉砕して褶曲させた後、化学蒸着処理によって結晶性炭素の被覆層を形成するものであり、被覆層が薄膜で軟質であるため、負極の密度を高くすることができる。しかし、高密度化に伴って、黒鉛の褶曲した積層構造は一方向に配列した構造へと変化し、急速充放電特性やサイクル特性が低下してしまう問題があった。
特許文献4に記載の複合黒鉛粒子は、粒子全体が黒鉛質であるため比較的軟質であり、負極の密度を高くすることができる。しかし、特許文献3に記載の造粒型負極材料と同様に、高密度化に伴って複合粒子が潰れた状態になり、複合粒子内の偏平状黒鉛が一方向に配列してしまい、急速充放電特性やサイクル特性が劣化する。
このように、従来の造粒型負極材料は、負極の密度が低い場合には、比較的良好な電池特性を発現するものの、負極の密度を高めた場合、特に密度が1.7g/cm3を超えると、粒子内の黒鉛が配向し、リチウムイオンの拡散性や電解液の浸透性が低下し、急速充放電特性やサイクル特性が急落してしまう。近年、リチウムイオン二次電池のエネルギー密度を高める観点から、負極密度はできるだけ高く設定することが望まれているが、従来の負極材料は、その特性を維持できる負極密度が低いという問題がある。
優れた急速充放電特性やサイクル特性を得る方法として、負極材料の粒子径を小さくすることが有効である。粒子径が小さいほど、負極材料間の接触点数が増えて、負極材料の利用率が100%に近づくほか、電解質と負極材料の反応(リチウムイオンの吸蔵、放出)面積が大きくなり、急速充放電特性が向上する。また、繰返し充放電に伴って、負極材料が伸縮した場合においても、負極材料間の接触が維持されやすい。しかしながら、一般に粒子径を小さくするほど、負極密度は上がりにくくなる。そこで、粒子径が小さく、かつ、軟質な負極材料が求められる。
非造粒型負極材料であって、粒子内の結晶構造がランダムな黒鉛質材料としては、メソフェーズ小球体(メソカーボンマイクロビーズとも言う)の黒鉛化物が知られている。メソフェーズ小球体は、石炭系、石油系の重質油やピッチ類を加熱処理した場合に、該重質油やピッチ類の中に生成する光学的異方性の球状の重合物であり、重合度を低く抑えることで、その粒子径を小さく調整することができる。しかし、粒子径を小さくすることは、生産性を落とすことになり、工業的に高コストとなる問題があり、黒鉛化後の結晶性も低い。粒子径の大きいメソフェーズ小球体を粉砕して粒子径を小さくした場合には、粉砕によって生じた破砕面が、負極材料として用いた場合に電解質(溶媒を含む)の副反応の原因となり、初期充放電効率を低下させるなどの問題を生じることがある。加えて、重合度を抑えて粒子径を小さくしたもの、粉砕したもののいずれの場合においても、粒子は硬質であり、高い負極密度に圧縮することが困難である。
特公昭62−23433号公報 特開2004−31038号公報 特開2002−367611号公報 特開平10−188959号公報
本発明は、前記のような状況を鑑みてなされたものであり、粒子径の小さい新たな微小黒鉛質粒子の製造方法を提供することを目的とし、特に高い負極密度におけるリチウムイオン二次電池用負極材料として好適な微小黒鉛質粒子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、
炭素と反応する性質および炭素を溶解する性質のうちの少なくとも一方の性質を有する金属および/または金属化合物を、黒鉛化後に少なくとも一部に光学的等方性の結晶構造を形成する炭素材料に付着させる付着工程と、
該金属および/または金属化合物が付着した炭素材料を、該金属が蒸発および/または該金属化合物が分解後、該金属化合物に含まれる金属元素が蒸発する温度以上の温度で加熱して、該炭素材料を黒鉛化するとともに、該黒鉛質材料の表面に隆起物を形成する黒鉛化工程と、
該隆起物を有する黒鉛質材料に機械的エネルギーを付与して該隆起物を黒鉛質材料から脱落させて微小黒鉛質粒子を得る隆起物脱落工程、
とを有することを特徴とする微小黒鉛質粒子の製造方法、である。
本発明の微小黒鉛質粒子の製造方法は、さらに、前記隆起物脱落工程で得られた微小黒鉛質粒子と黒鉛質材料との混合物から該微小黒鉛質粒子を分離して、微小黒鉛質粒子を得る分離工程を有することが好ましい。
また、本発明の微小黒鉛質粒子の製造方法は、前記金属および金属化合物が粉末であることが好ましい。
また、本発明の微小黒鉛質粒子の製造方法は、前記した金属が蒸発および/または前記した金属元素が蒸発する温度が1500〜3300℃であることが好ましい。
また、本発明の微小黒鉛質粒子の製造方法は、前記した機械的エネルギーを付与する方法がメカノケミカル処理であることが好ましい。
また、本発明の微小黒鉛質粒子の製造方法は、前記微小黒鉛質粒子がリチウムイオン二次電池負極用材料であることが好ましい。
本発明の微小黒鉛質粒子を負極材料として用いてなるリチウムイオン二次電池は、特に高い負極密度においても優れた放電容量、初期充放電効率、急速充放電特性(急速充電率および急速放電率)およびサイクル特性を有する。そのため、該リチウムイオン二次電池は、近年の電池の高エネルギー密度化に対する要求を満たし、搭載する機器の小型化および高性能化に有効である。また、本発明の微小黒鉛質粒子は、簡便な方法によって製造することができ、製造コストも低い。
以下、本発明をより具体的に説明する。
(微小黒鉛質粒子)
本発明の製造方法で得られる微小黒鉛質粒子(以後、単に本発明の微小黒鉛質粒子とも称す)は高結晶性であり、光学的異方性を示す。結晶性が高いゆえに軟質であり、負極密度を高くすることができる。結晶性の指標として、X線広角回折における(002)面の平均格子面間隔d002が0.3365nm以下、特に0.3360nm以下であることが好ましい。d002が0.3360nmを超える場合には、高い放電容量が得られないことがあり、また、負極密度が1.7g/cm3を超えるように高くするために、高いプレス圧力が必要となり、集電体である銅箔などが破断するなどの問題が生じることがある。さらに好ましいのは0.3358nm以下である。
ここで、X線広角回折における(002)面の平均格子面間隔d002とは、X線としてCuKα線を用い、高純度シリコンを標準物質に使用して黒鉛質粒子の(002)面の回折ピークを測定し、そのピークの位置から算出する。算出方法は、学振法(日本学術振興会第17委員会が定めた測定法)に従うものであり、具体的には、「炭素繊維」[ 大谷杉郎、733−742頁(1986年3月)、近代編集社]に記載された方法によって測定された値である。
本発明の微小黒鉛質粒子の形状は、図2(b)に示すように、球状または擬似球状であることが好ましい。擬似球状とは、楕円体状、多面体状、塊状などを言う。擬似球状の目安は平均アスペクト比が1.0〜1.5の場合である。アスペクト比がこの範囲であると、これを用いてなるリチウムイオン二次電池の急速充放電特性およびサイクル特性が向上する。それは、負極を形成したとき、微小黒鉛質粒子が一方向に配列することなく、かつ電解質が内部に浸透しやすくなるためである。ここで、平均アスペクト比とは、黒鉛質粒子の最大長軸長とそれに直交する軸の長さとの比を表し、走査型電子顕微鏡による黒鉛質粒子の外観観察により、複数(50個以上)の黒鉛質粒子について各々計測した比の平均値である。
本発明の微小黒鉛質粒子は、その表面や内部に細孔や空孔を有していてもよい。
本発明の微小黒鉛質粒子の平均粒子径は1〜20μmであることが好ましい。1μm未満の場合は、これを用いてなるリチウムイオン二次電池において、電解質との副反応が多くなり、初期充放電効率が低下することがある。20μmを超えると、急速充放電特性やサイクル特性の向上が小さくなる。特に好ましい平均粒子径は3〜10μmである。平均粒子径とは、レーザー回折式粒度分布計による粒度分布の累積度数が体積百分率で50%となる粒子径である。
本発明の微小黒鉛質粒子は、隆起物脱落工程で生じる破砕面の割合が少ないことが好ましい。該微小黒鉛質粒子の外表面積に占める破砕面の割合は30%以下、好ましくは15%以下である。ここで、破砕面の割合は、粒子の断面を走査型電子顕微鏡で観察し、粒子断面の外周長さに対する破砕によって生じた破壊部分の外周の長さの割合である。
また、一般に、黒鉛質粒子の破砕面には黒鉛結晶のエッジ面が露出している。該エッジ面の露出率は30%以下、特に15%以下であることが好ましい。ここで、その露出率は、粒子断面の外周の長さに対するエッジ面、ベーサル面それぞれの外周の長さの割合である。エッジ面およびベーサル面の露出状態は、粒子の断面を走査型電子顕微鏡または透過型電子顕微鏡で観察することによって確認することができる。なお、エッジ面とは黒鉛を形成する炭素の六角網面の端部を言い、ベーサル面とはエッジ面と直交する面を言う。
エッジ面の露出量の指標として、ラマンスペクトルにおけるI/I比を用いることもできる。該比が0.2未満、特に0.15以下であると、露出が少なく好ましい。ここで、該I/I比とは、波長514.5nmのアルゴンレーザー光を用いたラマンスペクトルにおいて、1570〜1630cm−1の領域に存在するピークの強度をI、1350〜1370cm−1の領域に存在するピークの強度をIとするときのI/I比を指し、黒鉛結晶のエッジ面の露出量が増えるとI/I比は大きくなり、逆に黒鉛結晶のベーサル面の露出量が増えるとI/I比は小さくなる。
(微小黒鉛質粒子の製造方法)
本発明の微小黒鉛質粒子の製造方法を以下に示す。
・付着工程:黒鉛化後に少なくとも一部に光学的等方性の結晶構造を形成する炭素材料に、炭素と反応する性質および炭素を溶解する性質のうちの少なくとも一方の性質を有する金属および/または金属化合物を付着させる工程である。
・黒鉛化工程:付着した金属が蒸発、または金属化合物が分解後、含まれる金属元素が蒸発する温度以上の温度に、該炭素材料を加熱して黒鉛化するとともに、該金属の蒸発または金属化合物の分解・蒸発による金属元素の除去により、該黒鉛化物(黒鉛質材料)の表面に球状または擬似球状の隆起物を形成させる工程である。
・隆起物脱落工程:隆起物を有する黒鉛化物(黒鉛質材料)に、機械的エネルギーを付与して、該隆起物を黒鉛化物(黒鉛質材料)母材から脱落させる工程である。
・分離工程:脱落した隆起物(微小黒鉛質粒子)を黒鉛化物母材から分離し除去する工程である。
次に、各材料および各工程について詳述する。
(炭素材料)
本発明の微小黒鉛質粒子の製造に使用される炭素材料(以後、単に炭素材料とも称す)は、黒鉛化後に少なくとも一部に光学的等方性の結晶構造を形成する炭素材料である。黒鉛化後に少なくとも一部に光学的等方性の結晶構造を形成する炭素材料とは、黒鉛化物の断面を偏光顕微鏡で観察した際に、光学的等方性の結晶構造(光学的等方性相)を示すものであり、比較的結晶性の低い炭素材料である。後述するように、光学的等方性の結晶構造を形成する部分がないと隆起が生じない。
該炭素材料は、板状、粒状、繊維状、塊状など、あらゆる形状のものが使用可能であるが、粒状が特に好ましい。その平均粒子径は。粒状の場合で言えば、5〜100μm、好ましくは10〜50μmである。5μm未満では脱落させた隆起物を分離回収することが困難であり、100μm超では隆起物を脱落させることが難しくなる。
該炭素材料として、光学的等方性を示す炭素材料を単独で用いても、光学的異方性の結晶構造(光学的異方性相)からなる炭素材料の表面に光学的等方性の結晶構造(光学的等方性相)を有する炭素材料を付着させたものを用いてもよい。後者の光学的等方性の炭素材料は薄膜状に付着していることが好ましく、その膜厚は3μm以下、好ましくは1μm以下、さらに好ましくは0.5μm以下である。該膜厚が大きすぎると、最終的に得られる微小黒鉛質粒子の平均粒子径が過大になりやすい。また、該膜厚の下限値は0.01μmであることが好ましい。0.01μm未満であると、最終的に得られる微小黒鉛質粒子の平均粒子径が過小になりやすい。
光学的等方性を示す炭素材料の具体例は、フェノール樹脂、フリフリルアルコール樹脂などの樹脂類、酸素架橋した石油ピッチなどの光学的等方性ピッチ類である。コークスや天然黒鉛の板や粒子に、該樹脂類や該光学的等方性ピッチ類を被覆したものが好ましく用いられる。中でも、被覆処理を施さなくとも元来光学的等方性相を外表面に有し、内部が光学的異方性相からなるメソフェーズ小球体が最適である。メソフェーズ小球体を用いると、後述する隆起物(微小黒鉛質粒子)の形成と、メソフェーズ小球体の黒鉛化を同時に実現でき、該隆起物を有するメソフェーズ小球体の黒鉛化物が得られるので、これから隆起物を脱落させれば、両者の混合物を容易に得ることができる。
該メソフェーズ小球体は、フリーカーボンを0.01〜2質量%、好ましくは0.3〜0.9質量%含有する石油系または石炭系のタールピッチ類を、350〜1000℃、好ましくは400〜600℃、より好ましくは400〜450℃で熱処理して得ることができる。該ピッチ類としては、コールタール、タール軽油、タール中油、タール重油、ナフタリン油、アントラセン油、コールタールピッチ、ピッチ油、酸素架橋石油ピッチ、ヘビーオイルなどが挙げられるが、コールタールピッチが好ましい。
(金属材料)
該炭素材料に付着させる金属または金属化合物は、炭素と反応する性質および/または炭素を溶解する性質を有する金属または金属化合物(以後、金属材料とも称す)である。すなわち、該炭素材料が黒鉛化するまで安定で、かつ、黒鉛化工程で、その全量が蒸発または分解して該炭素材料の黒鉛化物には残存しない金属材料である。該金属材料の形状は、粉状、板状、粒状、繊維状、塊状、球状など、あらゆる形状のものが使用可能であるが、球状、粒状の場合、黒鉛化後の隆起物と黒鉛化物の母材との接触面積が小さくなるので、隆起物が脱落しやすくなることから、特に好ましい。また、破砕面の面積が小さくなるので、リチウムイオン二次電池の負極材料に用いたときに、不可逆容量が小さくなる。
該金属材料は、具体的には、Kなどのアルカリ金属、Mg、Caなどのアルカリ土類金属、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zr、Ta、W、Re、Ptなどの遷移金属とそれらの金属の化合物である。これらは単独で用いても、2種以上併用してもよい。また、2種以上の合金として用いてもよい。好ましいのはFe、Co、Ni、Ptの遷移金属および該遷移金属の化合物である。
金属化合物としては、塩化物、臭化物、オキシ塩化物などのハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩などの無機酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩などの有機酸塩、酸化物、水酸化物、窒化物、硫化物などが挙げられる。好ましいのは安定性、コストの点から塩化物、酸化物、水酸化物である。特に好ましい金属化合物は酸化鉄、塩化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケルなどである。
金属材料は、粒状、粉状であるのが好ましく、その平均粒子径は5μm以下であることが好ましく、0.01〜5μmであることがより好ましく、0.01〜1μmであることがさらに好ましい。5μmを超える場合は、微小黒鉛質粒子の平均粒子径が過大になりやすく、0.01μm未満の場合には、微小黒鉛質粒子の平均粒子径が過小になりやすい。
(付着工程)
金属材料を炭素材料に付着させる方法は、炭素材料に金属材料が付着できる方法であればいかなる方法でもよい。例えば、粉状、粒状の金属材料と炭素材料を乾式で混合、埋設、担持する方法、金属材料の溶液または分散液と炭素材料を接触させ、媒体を除去する湿式付着法、金属材料を炭素材料に蒸着する方法などが挙げられる。該付着力は格別強力である必要はなく、炭素材料に金属材料が接触していればよく、後述するように、黒鉛化後の機械的エネルギーの付与で脱落すればよい。
金属材料の付着形態は特に限定されず、膜状、粒状、不定形などのいずれであってもよいが、金属材料の粒子が、炭素材料の外表面に点在して付着している形態が好ましい。該点在により黒鉛化工程での隆起物の形成が容易で、隆起物の大きさのバラツキが小さくなる。ここで、外表面とは、炭素材料が多孔質である場合の炭素材料の細孔内部の空隙の表面を含まない。
金属材料の混合量、したがって付着量は、炭素材料100質量%に対して0.1〜30質量%、好ましくは0.5〜15質量%、より好ましくは1〜10質量%である。0.1質量%未満では、微小黒鉛質粒子の生成量が少なく、生産効率が低いものとなる。30質量%超では、黒鉛化工程において、蒸発または分解後蒸発する金属材料の量が多く、黒鉛化炉内の温度の低い部分に金属材料が堆積するなどの操業上の問題を引起こすことがある。なお、金属材料の付着量は、ICP発光分光分析などの方法で測定することができる。
炭素材料の外表面に、金属材料を分散して付着させる方法の具体例を下記する。
乾式付着法では、炭素材料と金属材料を粉末状で混合する。混合は、機械式(攪拌式)、回転式、風力式などの公知の各種混合機を使用することが好ましい。このような方法によれば、粉末状の金属材料の凝集物を生じないように均一に分散させながら、粉末状の金属材料が炭素材料の外表面に点在するように分散して付着させることができる。また、炭素材料と金属材料とを合わせて粉砕し、混合を兼ねてもよい。
湿式付着法においては、まず、炭素材料と金属材料とを分散媒体中で混合する。この場合、金属材料を分散させたコロイド状分散液を使用することが好ましい。混合は、攪拌装置を用いて、炭素材料と金属材料とが均一に分散するまで行うことが好ましい。混合の際に、減圧操作や超音波処理を施して気泡を除き、炭素材料と金属材料との接触を促進することが好ましい。混合後は、前記分散媒体を除去するが、その方法に制限はなく、加熱、減圧などの方法を適宜採用できる。分散媒体は、金属材料のみならず炭素材料をも溶解しない分散媒がより好ましく、水、アルコール、ケトンなどの水性の分散媒体が好ましい。中でも、水は、有機溶剤系の分散媒体よりも乾燥除去時の環境への影響が小さく、安全上、コスト上も有利であり、特に好ましい。
蒸着法は、金属材料を炭素材料の外表面に、PVD法あるいはCVD法により付着させる。具体的には、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、分子線エピタキシー法などのPVD法や、常圧CVD法、減圧CVD法、プラズマCVD法、MO(Magneto-Optic)CVD法、光CVD法などのCVD法が挙げられるが、スパッタリング法が好ましい。スパッタリング法としては、直流スパックリング法、マグネトロレスパッタリング法、高周波スパッタリング法、反応性スパックリング法、バイアススパッタリング法、イオンビームスパッタリング法などが例示される。
スパッタリング法は、カソード側に金属のターゲットを設置し、一般に1〜10−2Pa程度の不活性ガス雰囲気中で電極間にグロー放電を起こし、不活性ガスをイオン化させ、ターゲットの金属を叩き出して、アノード側に設置した炭素材料に該金属を被覆する方法が、代表例として挙げられる。金属の代わりに金属化合物を用いてもよいし、複数の種類の金属を同時用いて炭素材料の外表面に合金を形成してもよいし、金属と金属化合物とを混合してターゲットとして用いてもよい。さらに、2種類以上のターゲットを用いて、スパッタリングを2回以上行い、複数の金属および/または金属化合物を順に付着させてもよい。また、不活性ガスの代わりに反応性ガスを用いてもよい。
(黒鉛化工程)
炭素材料と金属材料との混合物を、金属材料に含まれる金属が蒸発または金属化合物が分解後蒸発する温度以上の温度に加熱して黒鉛化する。黒鉛化は、例えば、アチェソン炉などの高温炉を用いて、加熱して黒鉛化する一般的な方法で実施される。これにより、金属材料中の金属が蒸発または金属化合物が分解後蒸発して実質的に全量除去されるので、生成した黒鉛化物には、金属元素が実質的に残存しない。金属元素の除去と同時に、黒鉛化物の表面の全面にほぼ均一に、球状または擬似球状の隆起物が、図1に示すような分散状態で形成される。黒鉛化された該隆起物(微小黒鉛質粒子)中にも、金属元素は実質的に残存しない。
金属が蒸発または金属化合物が分解後蒸発する温度は、金属種によって変わることは言うまでもないが、多くの場合、一般的には1500〜3300℃、好ましくは2500〜3300、より好ましくは2800〜3300℃である。1500℃未満では、炭素材料が黒鉛化しないほか、金属材料が残存し、金属材料と光学的等方性を示す炭素との反応や溶解が生じないため、隆起物の形成が不充分である。仮に、隆起物を形成したとしても、該炭素材料を負極材料に用いた場合には、リチウムイオン二次電池の放電容量が不足する。3300℃超では、形成された隆起物(微小黒鉛質粒子)の一部が黒鉛化物の母材から昇華することがあり、微小黒鉛質材料の収率が低下するので好ましくない。該黒鉛化は非酸化性雰囲気で行うことが好ましい。黒鉛化に要する時間は一概には言えないが、1〜20時間程度である。
隆起物は、黒鉛化物の母材の表面に、黒鉛化の際に通常生じる、隆起物は、波状の連続した皺とは異なり、個別に点在していることが好ましい。隆起物は皺の上に存在しても差支えない。
隆起物の数は、特に制限されないが、母材表面の100μm2 あたり2〜20個の密度範囲であることが好ましい。隆起物は、母材表面に偏在することなく、該密度範囲で点在することが好ましい。隆起物の高さは好ましくは2〜15μm、より好ましくは3〜10μmである。
隆起物は、黒鉛化物の母材と一体化しているため、該隆起物の脱離には、外部から機械的エネルギーを付与する必要がある。
なお、本発明でいう母材とは、図2(a)に示すように、金属材料が付着した炭素材料の黒鉛化工程で形成された隆起物が脱落した後の黒鉛化物を言う。
隆起物形成のメカニズムは明確ではないが、以下のように推測される。
温度が比較的に低い黒鉛化の前段階で、溶融した金属材料が光学的等方性を示す炭素材料の炭素と反応し金属炭化物を生成する。あるいは、金属材料が炭素材料の光学的等方性を示す炭素を溶解し固溶体を生成する。その際に、該金属材料は該炭素材料から炭素の供給を受けて、一旦、該金属炭化物の隆起物が生成する。しかし、黒鉛化温度が、該金属炭化物を形成している金属の沸点近傍に上昇すると、該金属炭化物と化学平衡状態にある炭素と金属から金属の蒸発が始まる。その後、昇温に伴い、最終的には該金属の全てが蒸発し、母材と同じ黒鉛化した隆起物が残存する。黒鉛化では約3000℃まで昇温されるが、例えば、該金属材料が鉄の場合は、2800℃近傍で鉄の蒸発が始まるものと推測される。したがって、黒鉛化物の母材は、通常、付着工程で用いられた炭素材料の黒鉛化後の残存部がその大部分を占めることになる。したがって、金属または金属化合物は、炭素材料の外表面に分散して付着させることが好ましい。
黒鉛化の前段階で、金属材料は溶融しており、表面張力によって球状を呈している。この金属材料に光学的等方性を示す炭素が反応または溶解して隆起物が生成するので、隆起物も球状を呈するものと考えられる。
本発明の特徴は、炭素材料として光学的等方性を示すものを原料に用いているが、金属材料の作用によって、黒鉛化後に、光学的異方性を示す隆起物を形成させ、これを脱落させて微小な光学的異方性の黒鉛粒子を得ることにある。
(隆起物脱落工程)
隆起物を有する黒鉛化物に機械的エネルギーを付与して、該隆起物を脱落させる。脱落した隆起物が微小黒鉛質粒子である。機械的エネルギーを付与するとは、剪断、圧縮、衝突、振動、転動などの各種応力が加わる状態を言う。例えば、振動篩、超音波篩などの篩、ジェットミル、ハンマーミル、ローラーミル、ローターミル、ボールミル、ビーズミル、遠心ミル、攪拌ミル、渦流式、磨砕式などの粉砕機、加圧ニーダー、二本ロール、ハイスピードミキサー(深江パウテック社製)、ハイブリダイゼーションシステム(奈良機械製作所製)、メカノマイクロス(奈良機械製作所製)、メカノフュージョンシステム(ホソカワミクロン社製)、ノビルタ(ホソカワミクロン社製)などの剪断圧縮処理機(メカノケミカル処理機)を用いる処理が挙げられる。機械的エネルギーは、隆起物が脱落すると同時に、母材である黒鉛化物が粉砕されない程度の強さに調整することが好ましい。ハイブリダイゼーションシステム、メカノマイクロス、メカノフュージョンシステムなどを用いるメカノケミカル処理は、隆起物を効率よく脱落させることができ、かつ、母材である黒鉛化物の粉砕を抑制できる、さらに、脱落によって生じた微小黒鉛質粒子の破砕面を磨耗し、より球状化できるので、特に好ましい。
隆起物を有する黒鉛化物が板状の場合には、ブラシや布などを使って、隆起物を脱落させることができる。
(分離工程)
脱落した隆起物は、必要に応じて、母材から分離され、微小黒鉛質粒子として回収される。該分離は、公知の粒子分離装置、例えば、気流分級機、風力分級機などの乾式分級機、湿式分級機、篩などを使用して実施される。
(リチウムイオン二次電池)
リチウムイオン二次電池は、通常、負極、正極および非水電解質を主たる電池構成要素とし、正極および負極はそれぞれリチウムイオンの担持体からなり、充電時には、リチウムイオンが負極中に吸蔵され、放電時には負極から離脱する電池機構によっている。
負極材料として本発明の微小黒鉛質粒子を用いる場合も、特に限定されることはなく、他の電池構成要素については一般的なリチウムイオン二次電池の要素に準じる。
以下、負極、正極、電解質などについて説明する。
(負極)
リチウムイオン二次電池用の負極の作製は、本発明の微小黒鉛質粒子の電池特性を充分に引き出し、かつ賦型性が高く、化学的、電気化学的に安定な負極を得ることができる成型方法であればいずれによってもよいが、本発明の微小黒鉛質粒子と結合剤を溶剤および/または分散媒(以後、単に溶剤とも称す)中で混合して、ペースト化し、得られた負極合剤ペーストを集電材に塗布した後、溶剤を除去し、プレスなどにより固化および/または賦形する方法によるのが一般的である。すなわち、まず、本発明の微小黒鉛質粒子を分級などにより所望の粒度に調整し、結合剤と混合して得た組成物を溶剤に分散させ、ペースト状にして負極合剤を調製する。
なお、本発明の微小黒鉛質粒子は、負極材料として用いるにあたり、その特徴を損なわない範囲において、液相、気相、固相における各種化学的処理、熱処理、物理的処理、酸化処理などを施されてもよい。また、本発明の微小黒鉛質粒子は、メソフェーズ小球体の黒鉛化物などの負極活物質と混合して使用することができる。その質量混合比は微小黒鉛質粒子:メソフェーズ小球体の黒鉛化物=5〜70:95〜30である。5質量%未満の場合は、急速充放電特性やサイクル特性の向上効果が小さい。70質量%超の場合は、メソフェーズ小球体の黒鉛化物に由来する長所、すなわち、特に優れた初期充放電効率、優れた負極合剤ペーストの安定性や塗装性などが得られない場合がある。
より具体的には、本発明の微小黒鉛質粒子と、例えば、カルボキシメチルセルロース、スチレン−ブタジエンゴムなどの結合剤を、水、アルコールなどの溶剤中で混合して得たスラリー、またはポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素系樹脂粉末を、イソピロピルアルコール、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミドなどの溶剤と混合して得たスラリーを、公知の攪拌機、混合機、混練機、ニーダーなどを用いて攪拌混合して、負極合剤ペーストを調製する。該ペーストを、集電材の片面または両面に塗布し、乾燥すれば、負極合剤層が均一かつ強固に接着した負極が得られる。負極合剤層の膜厚は10〜200μm、好ましくは30〜100μmである。
また、負極合剤層は、本発明の微小黒鉛質粒子と、ポリエチレン、ポリビニルアルコールなどの樹脂粉末を乾式混合し、金型内でホットプレス成形して作製することもできる。ただし、乾式混合では、十分な負極の強度を得るために多くの結合剤を必要とし、結合剤が過多の場合は、リチウムイオン二次電池の放電容量や急速充放電効率が低下することがある。
負極合剤層を形成した後、プレス加圧などの圧着を行うと、負極合剤層と集電材との接着強度をさらに高めることができる。
負極に用いる集電材の形状は、特に限定されないが、箔状、メッシュ、エキスパンドメタルなどの網状物などが好ましい。集電材の材質としては、銅、ステンレス、ニッケルなどが好ましい。集電材の厚みは、箔状の場合は好ましくは5〜20μmである。
(正極)
正極は、例えば、正極材料と結合剤および導電剤よりなる正極合剤を集電材の表面に塗布することにより形成される。正極の材料(正極活物質)は、充分量のリチウムを吸蔵/離脱し得るものを選択するのが好ましく、リチウムと遷移金属の複合カルコゲン化物、なかでもリチウムと遷移金属の複合酸化物(リチウム含有遷移金属酸化物とも称す)が好ましい。該複合酸化物は、リチウムと2種類以上の遷移金属を固溶したものであってもよい。
リチウム含有遷移金属酸化物は、具体的には、LiM1 1-X2 X2 (式中Xは0≦X≦1の範囲の数値であり、M1、M2 は少なくとも一種の遷移金属元素である)またはLiM1 2-Y2 Y4 (式中Yは0≦Y≦2の範囲の数値であり、M1 、M2 は少なくとも一種の遷移金属元素である)で示される。Mで示される遷移金属元素は、Co、Ni、Mn、Cr、Ti、V、Fe、Zn、Al、In、Snなどである。好ましい具体例は、LiCoO2、LiNiO2 、LiMnO2 、LiNi0.9 Co0.12、LiNi0.5 Co0.52 などである。
リチウム含有遷移金属酸化物は、例えば、リチウム、遷移金属の酸化物、水酸化物、塩類等を出発原料とし、これら出発原料を混合し、酸素雰囲気下600〜1000℃の温度で焼成することにより得ることができる。
正極活物質は、前記化合物を単独で使用しても2種類以上併用してもよい。例えば、正極中に炭酸リチウム等の炭素塩を添加することができる。また、正極を形成するに際しては、従来公知の導電剤などの各種添加剤を適宜に使用することができる。
正極は、正極材料、結合剤、および正極に導電性を付与するための導電剤よりなる正極合剤を、集電材の両面に塗布して正極合剤層を形成して作製される。結合剤としては、負極の作製に使用されるものと同じものが使用可能である。導電剤としては、黒鉛化物など公知のものが使用される。
集電材の形状は特に限定されないが、箔状またはメッシュ、エキスパンドメタル等の網状等のものが用いられる。集電材の材質は、アルミニウム、ステンレス、ニッケル等である。その厚さは10〜40μmのものが好適である。
正極も負極と同様に、正極合剤を溶剤中に分散させペースト状にし、このペースト状の正極合剤を集電材に塗布、乾燥して正極合剤層を形成してもよく、正極合剤層を形成した後、さらにプレス加圧等の圧着を行ってもよい。これにより正極合剤層が均一且つ強固に集電材に接着される。
(電解質)
電解質としては、溶媒と電解質塩からなる有機系電解質や、高分子化合物と電解質塩とからなるポリマー電解質などが用いられる。電解質塩としては、例えば、LiPF6 、LiBF4、LiAsF6、LiClO4、LiB(C654、LiCl、LiBr、LiCF3 SO3 、LiCH3 SO3 、LiN(CF3SO22 、LiC(CF3 SO23 、LiN(CF3CH2 OSO22 、LiN(CF3 CF2OSO22 、LiN(HCF2 CF2 CH2OSO22 、LiN[(CF32 CHOSO22 、LiB[C63 (CF324、LiAlCl4 、LiSiF6 などのリチウム塩を用いることができる。特にLiPF6 、LiBF4が酸化安定性の点から好ましい。
有機系電解質中の電解質塩濃度は0.1〜5mol /lが好ましく、0.5〜3.0mol/l がより好ましい。
有機系電解質の溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、1,1−または1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、γ−ブチロラクトン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、アニソール、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、クロロニトリル、プロピオニトリル、ホウ酸トリメチル、ケイ酸テトラメチル、ニトロメタン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、酢酸エチル、トリメチルオルトホルメート、ニトロベンゼン、塩化ベンゾイル、臭化ベンゾイル、テトラヒドロチオフェン、ジメチルスルホキシド、3−メチル−2−オキサゾリドン、エチレングリコール、ジメチルサルファイトなどの非プロトン性有機溶媒を用いることができる。
非水電解質をポリマー電解質とする場合には、可塑剤(非水溶媒)でゲル化されたマトリクス高分子化合物を含むが、このマトリクス高分子化合物としては、ポリエチレンオキサイドやその架橋体などのエーテル系樹脂、ポリメタクリレート系樹脂、ポリアクリレート系樹脂、ポリビニリデンフルオライドやビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などのフッ素系樹脂などを単独、もしくは混合して用いることができる。 これらの中で、酸化還元安定性の観点などから、ポリビニリデンフルオライドやビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などのフッ素系樹脂を用いることが好ましい。
ポリマー電解質中の溶媒の割合は10〜90質量%が好ましく、30〜80質量%がより好ましい。該範囲であると、導電率が高く、機械的強度が強く、フィルム化しやすい。
ポリマー電解質の作製は特に限定されないが、例えば、マトリックスを構成する高分子化合物、リチウム塩および非水溶媒(可塑剤)を混合し、加熱して溶融・溶解する方法が挙げられる。また、混合用有機溶媒に、高分子化合物、リチウム塩、および非水溶媒を溶解させた後、混合用有機溶媒を蒸発させる方法、重合性モノマー、リチウム塩および非水溶媒を混合し、紫外線、電子線または分子線などを照射して、重合性モノマーを重合させ、ポリマーを得る方法などを挙げることができる。
リチウムイオン二次電池においては、セパレータを使用することもできる。
セパレータは特に限定されるものではないが、例えば織布、不織布、合成樹脂製微多孔膜などが挙げられる。合成樹脂製微多孔膜が好適であるが、なかでもポリオレフィン系微多孔膜が、厚さ、膜強度、膜抵抗の面で好適である。具体的には、ポリエチレンおよびポリプロピレン製微多孔膜、またはこれらを複合した微多孔膜等である。
リチウムイオン二次電池においては、ゲル電解質を用いることも可能である。
ポリマー電解質を用いたリチウムイオン二次電池は、一般にポリマー電池と呼ばれ、本発明の微小黒鉛質粒子を用いてなる負極と、正極およびポリマー電解質から構成される。例えば、負極、ポリマー電解質、正極の順に積層し、電池外装材内に収容することで作製される。なお、これに加えて、さらに、負極と正極の外側にポリマー電解質を配するようにしてもよい。
さらに、リチウムイオン二次電池の構造は任意であり、その形状、形態について特に限定されるものではなく、円筒型、角型、コイン型、ボタン型などの中から任意に選択することができる。より安全性の高い密閉型非水電解質電池を得るためには、過充電などの異常時に電池内圧上昇を感知して電流を遮断させる手段を備えたものであることが好ましい。ポリマー電解質を用いたポリマー電池の場合には、ラミネートフィルムに封入した構造とすることもできる。
次に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また以下の実施例および比較例では、図3に示すような構成の評価用のボタン型二次電池を作製して電池特性を評価した。該電池は、本発明の目的に基づき、公知の方法に準じて作製することができる。
なお以下の実施例および比較例において、炭素材料および微小黒鉛質粒子の物性は以下の方法により測定した。
炭素材料および微小黒鉛質粒子のアスペクト比は、走査型電子顕微鏡観察にて、その形状を確認できる倍率により50個について測定した、長辺長とそれに直交する短辺長の平均値の比である。
炭素材料および微小黒鉛質粒子の体積換算の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布計により測定した粒度分布の累積度数が体積百分率で50%となる粒子径である。
微小黒鉛質粒子のラマンスペクトル比I/Iは、前述した方法および条件により求めた。
微小黒鉛質粒子の格子面間隔d002 は、前述したX線回折法により求めた。
微小黒鉛質粒子の破砕面のエッジ面の露出率は前述した方法により求めた。
(実施例1)
(炭素材料の調製)
コールタールピッチを窒素雰囲気中450℃で熱処理し、メソフェーズ小球体を生成させた。その後、タール中油を用いて、コールタールピッチからピッチマトリックスを抽出し、さらにタール中油からメソフェーズ小球体を分離し、乾燥して、球状のメソフェーズ小球体(平均粒子径25μm)を得た。該小球体を窒素雰囲気下600℃で3時間熱処理して、球状の焼成物を調製した。該焼成物の断面を偏光顕微鏡で観察した結果、焼成物表面に薄膜状の光学的等方性相(厚さ約0.5μm)が形成されており、焼成物内部は光学的異方性相を示していた。
(微小黒鉛質粒子の調製)
前記焼成物92質量部に、ニッケル粉末(平均粒子径0.21μm)8質量部を加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用いて混合した。該混合物をコークスブリーズで囲み、非酸化性雰囲気下3150℃で5時間熱処理して、該焼成物を黒鉛化した。得られた黒鉛化物は、微小な隆起物を外表面に有するメソフェーズ小球体の黒鉛化物であり、平均粒子径は26μmであった(図1)。
該黒鉛化物をメカノフュージョンシステム(ホソカワミクロン社製)に投入し、ローター周速20m/sで30分間運転し、隆起物を脱落させた。生成物の粒度分布を測定したところ、8μmと25μmに二つの粒度ピークが確認された。引続き、風力分級機で、微粉(微小黒鉛質粒子)と粗粉(黒鉛化物の母材)に分離した。微粉[平均粒子径8μm、図2(b)]が18質量部で、粗粉[平均粒子径25μm、図2(a)]が82質量部であった。
前記微粉は、X線広角回折における(002)面の平均格子面間隔d002が0.3356nm、波長514.5nmのアルゴンレーザー光を用いたラマンスペクトルにおけるI/Iが0.13であった。該微粉を走査型電子顕微鏡で観察すると、ほぼ真球に近い球状であった。該微粉50個について、粒子外観から平均アスペクト比を算出すると1.2であった。また、偏光顕微鏡で粒子断面を観察すると、全領域が光学的異方性相であった。さらに、無作為に測定した5個について、断面を透過型電子顕微鏡で観察し、微粉の外表面の結晶構造を観察した結果、ほぼ全周囲が黒鉛のベーサル面で覆われ、黒鉛のエッジ面の露出領域は約5%であった。
(負極合剤)
前記微小黒鉛質粒子98質量部、結合剤カルボキシメチルセルロース1質量部およびスチレン−ブタジエンゴム1質量部を水に入れ、攪拌して負極合剤ペーストを調製した。
(作用電極の作製)
前記負極合剤ペーストを、銅箔上に均一な厚さで塗布し、さらに真空中で90℃で分散媒の水を蒸発させて乾燥した。次に、この銅箔上に塗布された負極合剤をローラープレスによって加圧し、さらに直径15.5mmの円形状に打抜くことで、銅箔からなる集電材(厚み16μm)に密着した負極合剤層(厚み60μm、密度1.72g/cm)からなる作用電極12を作製した。
電極密度の測定は次のように行った。作用電極の端部、中央部の計5箇所について、接触部が直径5mmの鏡面であるマイクロメーターを用いて平均厚みを計測し、銅箔の厚みを減じて負極合剤の厚みを求めた。次に、作用電極の質量から同一サイズの銅箔の質量を減じて負極合剤の質量を求めた。次式(1)から電極密度を算出した。
電極密度(g/cm)=負極合剤層の質量/(負極合剤層の厚み×電極面積) (1)
(対極の作製)
リチウム金属箔を、ニッケルネットに押付け、直径15.5mmの円形状に打抜いて、ニッケルネットからなる集電材と、該集電材に密着したリチウム金属箔(厚み0.5μm)からなる対極を作製した。
(電解質・セパレータ)
エチレンカーボネート33vol%−メチルエチルカーボネート67vol%の混合溶媒に、LiPF6を1mol/dm3 となる濃度で溶解させ、非水電解液を調製した。得られた非水電解質をポリプロピレン多孔質体(厚み20μm)に含浸させ、電解質が含浸されたセパレータを作製した。
(評価電池の作製)
評価電池として図3に示すボタン型二次電池を作製した。
集電体7bに密着した作用電極2と集電体7aに密着した対極4との間に、電解質を含浸させたセパレータ5を挟んで、積層した。その後、作用電極の集電体7b側が外装カップ1内に、対極の集電体7a側が外装缶3内に収容されるように、外装カップ1と外装缶3とを合わせた。その際、外装カップ1と外装缶3との周縁部に絶縁ガスケット6を介在させ、両周縁部をかしめて密閉した。
前記のように作製した評価電池について、25℃の温度下で以下に示すような充放電試験を行い、放電容量、初期充放電効率、急速充電率、急速放電率およびサイクル特性を評価した。評価結果を表2に示した。
(放電容量、初期充放電効率)
回路電圧が0mVに達するまで0.9mAの定電流充電を行った後、定電圧充電に切替え、電流値が20μAになるまで充電を続けた。その間の通電量から充電容量を求めた。その後、120分間休止した。次に0.9mAの電流値で、回路電圧が1.5Vに達するまで定電流放電を行い、この間の通電量から放電容量を求めた。これを第1サイクルとした。次式(2)から初期充放電効率を計算した。
初期充放電効率(%)=(第1サイクルの放電容量/第1サイクルの充電容量)
×100 (2)
なおこの試験では、リチウムイオンを黒鉛質材料に吸蔵する過程を充電、負極材料から離脱する過程を放電とした。
(急速充電率)
引き続き、第2サイクルにて高速充電を行なった。
電流値を第1サイクルの4倍の3.6mAとして、回路電圧が0mVに達するまで定電流充電を行い、充電容量を求め、次式(3)から急速充電率を計算した。
急速充電率=(第3サイクルにおける定電流充電容量/第1サイクルにおける
放電容量)×100 (3)
(急速放電率)
前記第2サイクルの定電流充電に引き続き、第3サイクルにて、高速放電を行った。第1サイクルと同様にして定電圧充電に切替え、満充電した後、電流値を第1サイクルの16倍の14.4mAとして、回路電圧が1.5Vに達するまで、定電流放電を行った。得られた放電容量から、次式(4)により急速放電率を計算した。
急速放電率=(第2サイクルにおける放電容量/第1サイクルにおける放電容量
)×100 (4)
なお、急速充電率と急速放電率の性能をまとめて、急速充放電特性と称することもある。
(サイクル特性)
放電容量、初期充放電効率、急速充電率、急速放電率を評価した評価電池とは別の評価電池を作製し、以下のような評価を行なった。
回路電圧が0mVに達するまで4.0mAの定電流充電を行った後、定電圧充電に切替え、電流値が20μAになるまで充電を続けた後、120分間休止した。次に4.0mAの電流値で、回路電圧が1.5Vに達するまで定電流放電を行った。20回充放電を繰返し、得られた放電容量から、次式(5)を用いてサイクル特性を計算した。
サイクル特性=(第20サイクルにおける放電容量/第1サイクルにおける放電
容量)×100 (5)
表2に示すように、作用電極に実施例1の負極材料を用いて得られる評価電池は、高い負極密度において、高い放電容量を示し、かつ、高い初期充放電効率を示す。さらに、優れた急速充放電特性および優れたサイクル特性を示す。
(比較例1)
実施例1において、炭素材料にニッケル粉末を混合することなく、炭素材料をそのまま黒鉛化する以外は、実施例1と同様な方法と条件で、実施例1を繰返して、隆起物がないメソフェーズ小球体の黒鉛化物を得た。該黒鉛化物の平均粒子径は25μm、d002は0.3360nm、I/Iは0.12であった。該黒鉛化物は、ほぼ真球に近い球状であり、50個の平均アスペクト比は1.1であった。
該黒鉛化物を用いて、実施例1と同様な方法と条件で、作用電極および評価電池を作製し、充放電試験を行った。電池特性の評価結果を表2に示した。
表2から明らかなように、作用電極に、メソフェーズ小球体の黒鉛化物を単独で負極材料として用いた場合には、放電容量、急速充放電特性やサイクル特性が低いものとなる。
(実施例2)
実施例1において、黒鉛化物の母材から隆起物を脱落させるが、その後、風力分級機による微粉と粗粉との分離を行うことなく、微粉と粗粉との混合物をそのまま、負極合剤ペーストに使用すること以外は、実施例1の方法と条件で負極材料を得た。該負極材料を用いて、実施例1と同様な方法と条件で評価電池を作製し、充放電試験を行った。電池特性の評価結果を表2に示した。
表2から明らかなように、作用電極に、微小黒鉛質粒子と黒鉛化物の母材を併用して得た負極材料を用いた場合には、黒鉛化物の母材を単独仕様して得た負極材料を用いた場合に比べ、初期充放電効率が向上している。
(実施例3)
(炭素材料の調製)
コークス粒子(平均粒子径15μm)90質量部、フェノール樹脂(残炭率40質量%)25質量部、およびエタノール30質量部を、二軸型ニーダーに投入して、常温で1時間混練した後、真空中150℃で30分間混練してエタノールを除去した。混練生成物を非酸化性雰囲気中300℃で一次焼成を行い、その後1300℃で二次焼成を行った。焼成生成物をハンマーミルで解砕し、炭素質で被覆された塊状のコークス粒子を得た。
該コークス粒子の断面の偏光顕微鏡による観察では、該粒子の表面に光学的等方性相が約1μmの厚みで形成されており、粒子内部は光学的異方性相を示していた。
(微小黒鉛質粒子の調製)
前記炭素被覆コークス粒子90質量部に、酸化鉄粉末(平均粒子径0.30μm)10質量部を加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用いて混合した。該混合物をコークスブリーズで囲み、非酸化性雰囲気下3150℃で5時間熱処理して、該焼成物を黒鉛化した。得られた黒鉛化物は、微小な隆起物を外表面に有する被覆コークス粒子の黒鉛化物であり、平均粒子径は17μmであった。酸化鉄は、黒鉛化時に鉄に還元され、その後、炭化鉄となり、隆起物を形成すると考えられる。その後、炭化鉄の鉄元素が蒸発する。
該黒鉛化物をメカノフュージョンシステム(ホソカワミクロン社製)に投入し、ローター周速20m/sで30分間運転し、隆起物を脱落させた。生成物の粒度分布を測定したところ、5μmと15μmに二つの粒度ピークが確認された。引続き、風力分級機で、微粉(微小黒鉛質粒子)と粗粉(黒鉛化物の母材)に分離した。微粉(平均粒子径5μm)が25質量部で、粗粉(平均粒子径15μm)が75質量部であった。
前記微粉は、X線広角回折における(002)面の平均格子面間隔d002が0.3358nm、波長514.5nmのアルゴンレーザー光を用いたラマンスペクトルにおけるI/Iが0.14であった。該微粉を走査型電子顕微鏡で観察すると、ほぼ真球に近い球状であった。該微粉50個について、外観から平均アスペクト比を算出すると1.2であった。また、偏光顕微鏡で断面観察すると、全領域が光学的異方性相であった。さらに、無作為に測定した5個について、断面を透過型電子顕微鏡で観察し、微粉の外表面の結晶構造を観察した結果、ほぼ全周囲が黒鉛のベーサル面で覆われ、黒鉛のエッジ面の露出領域は約7%であった。
該黒鉛化物を用いて、実施例1と同様な方法と条件で、作用電極および評価電池を作製し、充放電試験を行った。電池特性の評価結果を表2に示した。
表2から明らかなように、作用電極に、微小黒鉛質粒子を用いて負極材料とした場合には、高い負極密度においても、放電容量、初期充放電効率、急速充放電特性およびサイクル特性が優れている。
(実施例4)
(微小黒鉛質粒子の調製)
鉄に換算して5質量%の濃度に相当する塩化第二鉄水溶液(酸性)100質量部に、実施例1のメソフェーズ小球体焼成物100質量部を加えた後、水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH7まで中和した。これにより、水酸化鉄FeO(OH)の懸濁液に、メソフェーズ小球体焼成物が分散した分散液が得られた。該分散液を100℃に加熱して水を除去し、さらに150℃で5時間真空乾燥して水を完全に除去して、水酸化鉄が表面に点在したメソフェーズ小球体焼成物を得た。
得られた焼成物の外観を走査型電子顕微鏡で観察したところ、粒状および針状の水酸化鉄が点在していた。また、点在している水酸化鉄50個について、走査型電子顕微鏡を用いて、それぞれの長軸長を測定した結果の平均値は0.5μmであった。
次いで、該メソフェーズ小球体焼成物をコークスブリーズで囲み、非酸化性雰囲気下3150℃で5時間熱処理して、該焼成物を黒鉛化した。得られた黒鉛化物は、微小な隆起物を外表面に有する被覆コークス粒子の黒鉛化物であり、平均粒子径は27μmであった。なお、水酸化鉄は、黒鉛化時に鉄に還元され、その後、炭化鉄となり、隆起物を形成すると考えられる。その後、炭化鉄の鉄元素が蒸発する。
実施例1と同様な方法と条件で、隆起物を脱落、分離し、分離した微粉を負極材料とし、実施例1と同様な方法と条件で評価電池を作製し、充放電試験を行った。電池特性の結果を表2に示した。
表2から明らかなように、作用電極に、湿式で水酸化鉄を付着させて得た微小黒鉛質粒子を負極材料を用いた場合、高い負極密度においても、放電容量、初期充放電効率、急速充放電特性およびサイクル特性が優れている。
(実施例5)
実施例1のメソフェーズ小球体焼成物をDC二極スパッタリング装置のアノード側ステージに配置し、カソード側に99.999質量%純度の単結晶コバルトターゲットを配置して、アノード側ステージには、超音波振動子を取付け、メソフェーズ小球体焼成物に振動を付与しながら、圧力0.5Pa、電圧600V、電流0.5Aの条件でスパッタリングを3時間行い、コバルトが表面に点在したメソフェーズ小球体焼成物を得た。得られた焼成物について、ICP発光分光分析装置でコバルトを定量分析し、7質量%含有していることを確認した。
また、走査型電子顕微鏡による観察で、粒状のコバルトが点在している状況が確認された。点在するコバルト50個の各最大長を計測したが、平均値は0.3μmであった。
次いで、該メソフェーズ小球体焼成物をコークスブリーズで囲み、非酸化性雰囲気下3150℃で5時間熱処理して、該焼成物を黒鉛化した。得られた黒鉛化物は、微小な隆起物を外表面に有するメソフェーズ小球体の黒鉛化物であり、平均粒子径は25μmであった。
実施例1と同様な方法と条件で、隆起物を脱落させた。その後、風力分級機による微粉と粗粉との分離を行うことなく、微粉と粗粉の混合物をそのまま、負極合剤ペーストに使用すること以外は、実施例1と同様な方法と条件で負極材料を作製し、さらに評価電池を作製し、充放電試験を行った。電池特性の結果を表2に示した。
表2から明らかなように、作用電極に、スパッタリング法でコバルトを付着させて得た微小黒鉛質粒子を負極材料を用いた場合、高い負極密度においても、放電容量、初期充放電効率、急速充放電特性およびサイクル特性が優れている。
(比較例2)
(炭素材料の調製)
鱗片状天然黒鉛(平均粒子径10μm)をカウンタジェットミル(ホソカワミクロン社製:型式200AFG)を用いて、空気圧300kPaで1時間、機内を循環させて転動させ、球状の造粒黒鉛を得た。該造粒黒鉛の平均粒子径8μm、X線広角回折における(002)面の平均格子面間隔d002が0.3356nm、波長514.5nmのアルゴンレーザー光を用いたラマンスペクトルにおけるI/Iが0.11であった。
該造粒黒鉛を走査型電子顕微鏡で観察すると、ほぼ真球に近い球状であった。該微粉50個について、外観から平均アスペクト比を算出すると1.2であった。また、走査型電子顕微鏡で断面観察すると、同心円状に複数の天然黒鉛が凝集している状態が確認された 該造粒黒鉛を用いて、実施例1と同様な方法と条件で、作用電極および評価電池を作製し、充放電試験を行った。電池特性の評価結果を表2に示した。
表2から明らかなように、作用電極に、造粒黒鉛を用いて負極材料とした場合には、放電容量が高いものの、高い負極密度では、急速充放電特性およびサイクル特性が著しく低い。
(比較例3)
比較例2で得た造粒黒鉛90質量部と、石油系タール(残炭率35%)30質量部を二軸ニーダーに投入し、150℃で1時間混練した。混練生成物を窒素雰囲気中、700℃で一次焼成し、その後、1300℃で二次焼成した。焼成生成物をハンマーミルで解砕し、炭素質で被覆された造粒黒鉛を得た。該被覆造粒黒鉛の平均粒子径は10μm、X線広角回折における(002)面の平均格子面間隔d002が0.3361nm、波長514.5nmのアルゴンレーザー光を用いたラマンスペクトルにおけるI/Iが0.33であった。該被覆造粒黒鉛を走査型電子顕微鏡で観察すると、球状をほぼ維持した造粒黒鉛の表面に石油系タールの焼成物が膜状に付着していた。該被覆造粒黒鉛50個について、外観から平均アスペクト比を算出すると1.3であった。
該被覆造粒黒鉛を用いて、実施例1と同様な方法と条件で、作用電極および評価電池を作製し、充放電試験を行った。電池特性の評価結果を表2に示した。
表2から明らかなように、作用電極に、炭素質で被覆した造粒黒鉛を用いて負極材料とした場合には、放電容量が不足し、高い負極密度では、急速充放電特性およびサイクル特性が低い。
(比較例4)
コルタールピッチを非酸化性雰囲気中、600℃で焼成してバルクメソフェーズ焼成物を得、該焼成生成物をジェットミルで粉砕して、平均粒子径5μmの焼成物粒子に調整した。該焼成物粒子を非酸化性雰囲気中、3200℃で5時間熱処理して黒鉛化した。得られた黒鉛化物の平均粒子径は5μm、X線広角回折における(002)面の平均格子面間隔d002が0.3362nm、波長514.5nmのアルゴンレーザー光を用いたラマンスペクトルにおけるI/Iが0.25であった。該黒鉛化物を走査型電子顕微鏡で観察すると、一部鱗片状を含む塊状であった。50個について、断面を走査型電子顕微鏡で観察し、粒子の外表面の結晶構造を観察した結果、黒鉛のエッジ面の露出領域は約40%であった。
該黒鉛化物を用いて、実施例1と同様な方法と条件で、作用電極および評価電池を作製し、充放電試験を行った。電池特性の評価結果を表2に示した。
表2から明らかなように、作用電極に、破砕面に占める割合が大きく、I/Iが0.2以上で、平均アスペクト比が2.0を超える黒鉛粒子を用いて負極材料とした場合には、放電容量、初期充放電効率、急速充放電特性およびサイクル特性のいずれもが低い。
(参考例1)
実施例1で得られた黒鉛化物の母材である粗粉[平均粒子径25μm、ほぼ球状、d002:0.3356nm、I/I:0.15、エッジ面の露出率5%、平均アスペクト1.1、図2(a)]のみを用いて、実施例1と同様な方法と条件で負極材料を作製し、評価電池を作製して、充放電試験を行った。電池特性の結果を表2に示した。
表2から明らかなように、作用電極の負極材料に粗粉を用いた場合、微粉を用いた実施例1〜5に比べ、高い負極密度においては、放電容量、初期充放電効率、急速充放電特性およびサイクル特性が劣っている。
本発明の微小黒鉛質粒子は、搭載する機器の小型化および高性能化に有効に寄与するリチウムイオン二次電池の負極材料として用いることができる。また、その特徴を活かして、導電性や耐熱性を必要とする各種用途、例えば、樹脂添加用導電材、燃料電池セパレータ用導電材、耐火物用黒鉛などに使用することもできる。
Figure 2007191369
Figure 2007191369
本発明の黒鉛化工程で得られた、隆起物を有する黒鉛化物の一例の走査型電子顕微鏡写真である。 (a)は、本発明の隆起物脱落工程で得られた黒鉛化物の母材の一例の走査型電子顕微鏡写真である。(b)は、本発明の隆起物脱落工程で得られた隆起物(微小黒鉛質粒子)の一例の走査型電子顕微鏡写真である。 充放電試験に用いるためのボタン型評価電池の構造を示す模式断面図である。
符号の説明
1 外装カップ
2 作用電極
3 外装缶
4 対極
5 電解質溶液含浸セパレータ
6 絶縁ガスケット
7a、7b 集電体

Claims (6)

  1. 炭素と反応する性質および炭素を溶解する性質のうちの少なくとも一方の性質を有する金属および/または金属化合物を、黒鉛化後に少なくとも一部に光学的等方性の結晶構造を形成する炭素材料に付着させる付着工程と、
    該金属および/または金属化合物が付着した炭素材料を、該金属が蒸発および/または該金属化合物が分解後、該金属化合物に含まれる金属元素が蒸発する温度以上の温度で加熱して、該炭素材料を黒鉛化するとともに、該黒鉛質材料の表面に隆起物を形成する黒鉛化工程と、
    該隆起物を有する黒鉛質材料に機械的エネルギーを付与して該隆起物を黒鉛質材料から脱落させて微小黒鉛質粒子を得る隆起物脱落工程、
    とを有することを特徴とする微小黒鉛質粒子の製造方法。
  2. さらに、前記隆起物脱落工程で得られた微小黒鉛質粒子と黒鉛質材料との混合物から該微小黒鉛質粒子を分離して、微小黒鉛質粒子を得る分離工程を有することを特徴とする請求項1に記載の微小黒鉛質粒子の製造方法。
  3. 前記金属および金属化合物が粉末であることを特徴とする請求項1または2に記載の微小黒鉛質粒子の製造方法。
  4. 前記した金属が蒸発および/または前記した金属元素が蒸発する温度が1500〜3300℃であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の微小黒鉛質粒子の製造方法。
  5. 前記した機械的エネルギーを付与する方法が、メカノケミカル処理であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の微小黒鉛質粒子の製造方法。
  6. 前記微小黒鉛質粒子がリチウムイオン二次電池負極用材料であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の微小黒鉛質粒子の製造方法。
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