JP2007197309A - メソフェーズ小球体および炭素材料の製造方法 - Google Patents

メソフェーズ小球体および炭素材料の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】従来の製造設備を利用でき、放電容量、急速充放電効率、サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池用負極材料に好適な炭素材料の製造方法、およびその原料のメソフェーズ小球体の製造方法の提供。
【解決手段】ピッチ類と繊維状炭素材料(気相成長炭素繊維など)を加熱しメソフェーズ小球体を発生させる工程と、該小球体をマトリックスから分離する工程を含むメソフェーズ小球体の製造方法、さらには、分離後の該小球体を加熱し炭素化・黒鉛化する工程を含む炭素材料の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、メソフェーズ小球体および炭素材料の製造方法に関する。該方法で得られた炭素材料を用いると、放電容量が高い上、高速充放電が可能で、サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池を得ることができる。
近年、電子機器の小型化または高性能化に伴い、電池の高エネルギー密度化に対する要望は益々高まっている。このような状況の中、エネルギー密度が高く、高電圧化が可能な電池として、リチウムイオン二次電池が注目されている。このリチウムイオン二次電池の負極材料としては、充放電特性に優れ、高い放電容量と電位平坦性を示す黒鉛が主流となっている。負極材料として使用される黒鉛(黒鉛質材料)としては、タール、ピッチを原料としたメソフェーズピッチ、例えば、メソフェーズ小球体などを熱処理して得られたメソフェーズ系黒鉛質材料が挙げられる(特許文献1)。
また、導電性を向上させて、放電容量、急速充放電効率、サイクル特性などを改良するために、メソフェーズ小球体黒鉛化物に繊維状黒鉛材料を混合する技術が開示されている。例えば、特許文献2には、メソフェーズ黒鉛粉末と気相成長炭素繊維を単に混合してなる負極が、特許文献3には、天然黒鉛と黒鉛化炭素繊維を単に混合してなる炭素材料が開示され、特許文献4には、重合体バインダーを付着した炭素質粒子と気相成長炭素繊維を混合し、該炭素粒子を熱処理する炭素材料の製造方法が開示されている。
これらの技術において、気相成長炭素繊維などの繊維状炭素材料は非常に嵩が高く、凝集しやすいため、比重の大きな炭素材料または黒鉛粒子と均一に混合することが困難である。このため、これを負極材料とするリチウムイオン二次電池の電池特性も期待するほど向上しない。さらに、特許文献4の炭素材料の場合には、重合体バインダーが導電性向上の妨げにもなる。
また、特許文献5には、黒鉛粒子表面に、触媒を添着後、化学蒸着処理をして炭素繊維を成長させ、気相成長炭素繊維で被覆した黒鉛−炭素複合材料を製造する方法が開示されている。しかしながら、該方法は、煩雑な操作が必要であり、工業化に適していない。
特開平4−115458号公報 特開平11−176442号公報 特開2004−95529号公報 特開2003−226510号公報 特開2004−250275号公報
本発明は、従来から工業的に製造されているメソフェーズ小球体の製造設備をそのまま利用でき、気相成長炭素繊維の特性を活かしつつ、その嵩高さに起因する課題を解決して、放電容量、急速充放電効率(急速充電率および急速放電率)およびサイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池用負極材料として好適な炭素材料の製造方法を提供することが目的である。
本発明は、ピッチ類と繊維状炭素材料の混合物を加熱して、ピッチマトリックス中にメソフェーズ小球体を発生させるメソフェーズ小球体発生工程と、発生したメソフェーズ小球体を該ピッチマトリックスから分離してメソフェーズ小球体を得るメソフェーズ小球体分離工程を有することを特徴とするメソフェーズ小球体の製造方法、である。
本発明のメソフェーズ小球体の製造方法は、前記メソフェーズ小球体発生工程で発生したメソフェーズ小球体に、前記繊維状炭素材料が付着していることが好ましい。
本発明のメソフェーズ小球体の製造方法は、ピッチ類と繊維状炭素材料の混合物を350〜500℃に加熱することが好ましい。
また、本発明は、ピッチ類と繊維状炭素材料の混合物を加熱して、ピッチマトリックス中にメソフェーズ小球体を発生させるメソフェーズ小球体発生工程と、発生したメソフェーズ小球体を該ピッチマトリックスから分離するメソフェーズ小球体分離工程と、分離したメソフェーズ小球体を加熱して炭素材料を得るメソフェーズ小球体炭素化工程を有することを特徴とする炭素材料の製造方法、である。
本発明の炭素材料の製造方法は、前記メソフェーズ小球体発生工程で発生したメソフェーズ小球体に、前記繊維状炭素材料が付着していることが好ましい。
本発明の炭素材料の製造方法は、前記炭素材料がリチウムイオン二次電池用負極材料であることが好ましい。
また、本発明の炭素材料の製造方法は、前記繊維状炭素材料の含有量が、得られる炭素材料に対して0.1〜20質量%であることが好ましい。
また、本発明の炭素材料の製造方法は、前記繊維状炭素材料の平均繊維直径が500nm以下であり、平均繊維長が1〜20μmであることが好ましい。
また、本発明の炭素材料の製造方法は、前記したピッチ類のキノリン不溶分が0.05質量%以下であることが好ましく、0質量%であることがより好ましい。
本発明の方法で得られたメソフェーズ小球体は、メソフェーズ小球体の発生・成長過程で繊維状炭素材料と共存しているため、メソフェーズ小球体と繊維状炭素材料を強固に一体化させることができる。
その結果、該小球体から得た炭素材料は、少量の使用でも、リチウムイオン二次電池用負極材料として、電池特性の向上に効果を発揮することができる。すなわち、該炭素材料は、高性能リチウムイオン二次電池用負極材料として、高い放電容量と、優れた急速充放電効率およびサイクル特性を示す。そのため、該リチウムイオン二次電池は、近年の高エネルギー密度化および急速充電等に対する要望を満たし、搭載する電子機器の小型化および高性能化に有効である。
また、該炭素材料は、導電性にも優れるので、導電材としても使用できる。例えば、樹脂に混合することにより樹脂に導電性を付与することができる。
本発明のメソフェーズ小球体を発生させる工程は、コールタールピッチ、石油ピッチなどのピッチ類中に繊維状炭素材料を添加し、分散液としてから、熱処理し、メソフェーズ小球体を発生させるとともに、該繊維状炭素材料を、発生・成長過程にあるメソフェーズ小球体の表面に付着させる工程である。その際、該繊維状炭素材料の一部がメソフェーズ小球体の内部に取り込まれることもある。
本発明のメソフェーズ小球体を分離する工程は、繊維状炭素材料が付着し、一体化したメソフェーズ小球体を、分散液(ピッチマトリックス)から分離し、さらに、抽出溶剤から分離する工程である。該分離工程において、強固に付着し、一体化した繊維状炭素材料は、メソフェーズ小球体から剥離することはない。
(素原料)
メソフェーズ小球体を発生させる原料であるピッチ類は、コールタール、コールタールピッチ、石油系タール、石油系タールピッチ等である。これらに、プラスチックを熱分解して得たタール状物質を混合したものも使用することができる。好ましいのはコールタールピッチおよび/または石油系タールピッチである。
該ピッチ類として、キノリン不溶分が0.05質量%以下、すなわち、高分子量成分を実質的に含有しないピッチ類、さらには、キノリン不溶分を含まないもの(キノリン不溶分が0質量%)を使用することができる。キノリン不溶分を含まないピッチ類は、通常、熱処理により、メソフェーズ小球体を安定的に発生させることが困難であるが、本発明の方法によれば、添加する繊維状炭素材料が、非常に微細であるために、これがキノリン不溶分を代替し、メソフェーズ小球体を安定的に発生させ、成長させることができる。
ピッチ類のキノリン不溶分は、JIS K2425−1983(クレオソート油・加工タール・タールピッチ試験方法)に記載された方法に準拠して測定したキノリン可溶分から算出した。すなわち、ピッチ類をキノリンに溶解させ、75℃で30min間加熱した後、JIS R3503−1994に規定された、るつぼ型ろ過機IG4を用いて、熱いうちに、ろ過助剤として珪藻土を用いて吸引ろ過する。その後、残分をキノリン、アセトンの順に、それぞれのろ液が無色になるまで洗浄し、乾燥後、質量を測定し、キノリン不溶分を計算する方法によった。
なお、キノリン不溶分が0.05質量%以下のピッチ類は、原料タールの静置による沈降、遠心分離による沈降現象などを利用することにより調製できる。
(繊維状炭素材料)
繊維状炭素材料はその形状が繊維状であり、比表面積が大きく、嵩高である。その材質は黒鉛質または炭素質である。黒鉛質の場合には、該炭素材料自体が導電性を有し、リチウムイオンを吸蔵・離脱することができる。繊維状炭素材料は凝集した状態であっても、凝集が解かれた分散した状態であってもよい。
該繊維状炭素材料としては、気相成長カーボンナノファイバー、気相成長カーボンナノチューブなどの気相成長炭素繊維が特に好ましい。気相成長炭素繊維は、例えば、加熱した遷移金属触媒に、一酸化炭素と水素を適量流通させて接触させることにより、触媒上に析出・成長させることにより得られる。
セルロース繊維、皮革繊維、人造繊維を加熱などにより炭化したものも繊維状炭素材料として使用することができる。セルロース繊維、アラミド繊維などを炭化することなく、使用することもできる。
該炭素材料は、平均繊維直径(短軸長)が500nm以下、好ましくは1〜500nm、より好ましくは10〜200nmである。平均繊維長は1〜20μm、好ましくは5〜10μmである。平均繊維直径が500nm超であると、メソフェーズ小球体の表面に均一に付着させることが難しい。平均繊維長が20μm超であると、やはりメソフェーズ小球体の表面に均一に付着させることが難しい。
繊維状炭素材料の平均繊維直径および平均繊維長は、走査型電子顕微鏡で各材料の形状が認識できる倍率で10個分それぞれの繊維直径および繊維長を撮影し、測定し、平均値を求めた。
また、繊維状炭素材料は、液相、気相、固相における各種化学的処理、熱処理、酸化処理、物理的処理などを施したものであってもよい。
該繊維状炭素材料の含有量は、メソフェーズ小球体の熱処理生成物に対する該炭素材料の熱処理生成物の割合として0.1〜20質量%、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜7質量%となる量である。なお、この割合は、熱処理前のメソフェーズ小球体に対する熱処理前の該炭素材料の割合と大きく変わるところはない。該含有量が0.1質量%未満であると、該繊維状炭素材料が、メソフェーズ小球体の表面に広く分布することができない。一方、20質量%超であると、ピッチ類中での該繊維状炭素材料の分散が不均一になり、繊維状炭素材料だけで凝集し、該小球体との絡み合いが不充分である。
(メソフェーズ小球体発生工程)
メソフェーズ小球体の発生源であるピッチ類と繊維状炭素材料の混合方法は、両者が均一に分散できるものであれば、特に限定されない。一般的な混合装置を使用して連続的またはバッチ式で実施することができる。混合装置としては、攪拌翼を有するオートクレーブや連続型ニーダー型反応装置などが用いられる。条件としては、タール中油とピッチと繊維状炭素材料を混合して加熱し、粘度に応じて全体が均一になるように攪拌を行う混合により、繊維状炭素材料の分散液が得られる。
該混合は、下記する加熱と同一装置で実施することができる。
得られた分散液を350〜500℃、好ましくは380〜480℃で、10分〜10時間、好ましくは30分〜3時間加熱攪拌すると、ピッチマトリックス中にメソカーボン小球体が発生し、成長する。得られたメソフェーズ小球体の表面に、繊維状炭素材料が付着し、一体化する。該加熱温度と加熱時間を調整して、メソフェーズ小球体の発生量を制御する。該加熱温度が350℃未満では、メソカーボン小球体の生成速度が遅く、500℃超では、メソカーボン小球体の凝集が始まり、バルクメソフェーズ化するので、上記温度範囲で加熱することが重要である。該加熱により、原料ピッチ類に対し、20〜30質量%程度の収率でメソフェーズ小球体を得ることができる。
該加熱により、繊維状炭素材料がほぼ全量付着し、一体化したメソフェーズ小球体が、ピッチマトリックスに分散した分散液が得られる。メソフェーズ小球体中の繊維状炭素材料の付着量は0.1〜20質量%、好ましくは1〜10質量%である。
(メソフェーズ小球体分離工程)
分散液から、繊維状炭素材料が付着し一体化したメソフェーズ小球体を分離するには、通常、溶剤抽出法が用いられる。抽出溶剤は、ピッチマトリックスの良溶媒であることが好ましく、タール中油、キノリン等が例示される。
抽出された該小球体は、さらに遠心分離、濾別などの定法により、抽出溶剤から分離され、小球体として単離される。該分離の際に、付着し一体化した繊維状炭素材料がメソフェ−ズ小球体表面から脱離することはない。
(小球体炭素化工程)
単離された繊維状炭素材料が付着し一体化したメソフェーズ小球体は、該小球体の用途や要求特性に応じて、700〜3200℃で熱処理され、炭素化または黒鉛化されて、所要の炭素材料になる。例えば、リチウムイオン二次電池の負極材料を用途とする場合には、2800℃以上の温度、いわゆる黒鉛化温度以上の温度で熱処理(黒鉛化)される。付着し一体化している繊維状炭素材料も同様に、炭素化または黒鉛化される。
熱処理前後に、小球体を粉砕するなどにより、粒度調整してもよい。粉砕方法は特に問わないが、渦流式粉砕機、衝撃式粉砕機の使用が好ましい。粉砕によっても、付着した繊維状炭素材料の脱離は実質的にない。
粉砕後の繊維状炭素材料が付着し一体化した小球体は、リチウムイオン二次電池の負極材料を目的とする場合には、平均粒子径が3〜20μm、好ましくは7〜18μmに調整される。平均粒子径の測定方法は後記する。
前記熱処理により得られた炭素材料は、その特徴を活かして、リチウムイオン二次電池の負極材料以外の用途(例えば、導電性フィラー)に使用することもできる。以下、主要用途のリチウムイオン二次電池の負極材料、該負極、さらには該負極を用いたリチウムイオン二次電池について説明する。
(リチウムイオン二次電池)
リチウムイオン二次電池は、通常、負極、正極および非水電解質を主たる電池構成要素として、正極および負極はそれぞれリチウムイオンの担持体であり、充電時にはリチウムイオンが負極に吸蔵され、放電時に負極から離脱する電池機構に拠っている。
リチウムイオン二次電池の構成要素は、負極材料として前記の繊維状炭素材料を付着し一体化してなるメソフェーズ小球体黒鉛化物を用いる以外は特に限定されない。正極、電解質、セパレータなどの他の電池構成要素については一般的なリチウムイオン二次電池の構成要素に準じる。
リチウムイオン二次電池の構造は任意であり、その形状、形態について特に限定されるものではなく、用途、搭載機器、要求される充放電容量などに応じて、円筒型、角型、コイン型、ボタン型などの中から任意に選択することができる。より安全性の高い密閉型非水電解液電池を得るためには、過充電などの異常時に電池内圧上昇を感知して電流を遮断させる手段を備えたものであることが好ましい。高分子固体電解質や高分子ゲル電解質電池の場合には、アルミラミネートフィルムに封入した構造とすることもできる。
(負極材料)
本発明の方法により得られた繊維状炭素材料が付着し一体化した小球体を用いた炭素材料は、そのままリチウムイオン二次電池用の負極材料として使用することができるが、他の人造黒鉛、天然黒鉛、カーボンブラックなど(以下、混合材料と称す)と混合したり、複合化して使用してもよい。その混合比は、混合材料の粒子径、粒子形状により異なるので一概に言えないが、0.5〜70質量%、好ましくは10〜50質量%、より好ましくは20〜30質量%である。
該混合方法は特に制限されないが、炭素材料と混合材料が粉体のままドライで混合可能な混合機を用いるのが一般的である。また、結着剤を加えて混合してもよい。結着剤を加えて混合する場合には、各材料、成分が均一に分散するように、充分な時間をかけることが好ましい。
(負極)
本発明の方法により得られた繊維状炭素材料が付着し一体化した小球体を用いた炭素材料から負極を作製する場合、該炭素材料の性能を充分に引出し、かつ該炭素材料に対する賦形性が高く、化学的、電気化学的に安定な負極を作製できる成形方法であれば、何ら制限されず、通常の負極の作製方法に準拠して実施することができる。負極合剤ペーストを調製してから負極を作製する方法が例示できる。
負極合剤ペーストは、該炭素材料(人造黒鉛などの他の混合材料を混合した炭素材料を含む)に結着剤を加え、溶媒の存在下または不存在下で、公知の攪拌機、混合機、混練機、ニーダーなどを用いて混合して調製される。例えば、翼式ホモミキサーを用いて、300〜3000rpm程度で攪拌することにより調製することができる。
結着剤としては、電解質に対して化学的安定性、電気化学的安定性を有するものが好ましく、有機溶媒に溶解および/または分散させる有機系結着剤はもちろんのこと、水系溶媒に溶解および/または分散する水系結着剤が広く挙げられる。例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリビニルアルコールなどの樹脂、さらにはカルボキシメチルセルロース、スチレンブタジエンゴムなどのゴムなどが用いられるが、カルボキシメチルセルロース(水溶性)、ポリビニルアルコール(水溶性)、スチレンブタジエンゴム(水分散性)などの水系結着剤を用いることが、本発明の炭素材料の性能を最大限に活かす点から、特に好ましい。これらを併用することもできる。結着剤は、通常、負極合剤の全量中0.5〜20質量%の割合で使用されるのが好ましい。
溶媒としては、負極合剤の調製に使用される通常の溶媒が使用される。具体的には、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、水、アルコールなどが挙げられるが、水系溶媒の使用が環境汚染、安全性の点から好ましい。
該負極合剤ペーストを集電材の片面または両面に塗布乾燥し、負極合剤層を形成することにより負極が作製できる。負極合剤層を形成した後、プレス加工などの圧着を行うと、負極合剤層と集電材との接着強度をさらに高めることができるので、好ましい。負極合剤の層厚は10〜200μm、好ましくは20〜200μmである。
負極に用いる集電材の形状は特に限定されないが、箔状、またはメッシュ、エキスパンドメタルなどの網状のものなどが用いられる。集電材の材質としては、銅、ステンレス、ニッケルなどが挙げられる。集電材の厚さは、箔状の場合は、5〜20μmであることが好ましい。
また、本発明の製造方法により得られた炭素材料(人造黒鉛などの他の混合材料を混合した炭素材料を含む)と結着剤のポリエチレン、ポリビニルアルコールなどの樹脂粉末を、必要ならば、他の材料、例えば、人造黒鉛、天然黒鉛、カーボンブラックなどとともに乾式混合し、通常の成形方法に準じて負極を成形することもできる。例えば、金型内で該混合物をホットプレス成形して負極を成形することができる。
(正極)
正極は、例えば正極材料(正極活物質)と結着剤と導電剤よりなる正極合剤を集電体の表面に塗布することにより形成される。正極材料は、充分量のリチウムを吸蔵/離脱し得るものを選択することが好ましい。
正極活物質としては、リチウム含有遷移金属酸化物、遷移金属カルコゲン化物、バナジウム酸化物(V25、V613、V24、V8など)およびそのリチウム化合物などのリチウム含有化合物、一般式MxMo68-y(式中Mは少なくとも一種の遷移金属元素であり、Xは0≦X≦4、Yは0≦Y≦1の範囲の数である)で表されるシェブレル相化合物、活性炭、活性炭素繊維などを用いることができる。該リチウム含有遷移金属酸化物はリチウムと遷移金属との複合酸化物であり、リチウムと2種類以上の遷移金属を固溶したものであってもよい。
該リチウム含有遷移金属酸化物は、具体的には、LiM1 1-p2 p O2(式中M1およびM2は少なくとも一種の遷移金属元素であり、pは0≦p≦1の範囲の数である)、またはLiM1 1-q2 qO4(式中M1およびM2は少なくとも一種の遷移金属元素であり、qは0≦q≦1の範囲の数である)で示される。
M、M1およびM2で示される遷移金属は、Co、Ni、Mn、Cr、Ti、V、Fe、Zn、Al、In、Snなどであり、好ましいのはCo、Fe、Mn、Cr、Ti、V、Alなどである。好ましい具体例はLiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiNi0.9Co0.1、LiNi0.5Mn0.52などである。
該リチウム含有遷移金属酸化物は、例えば、リチウムと、遷移金属の酸化物または塩類を出発原料として、これら出発原料を所望の金属酸化物の組成に応じて混合し、酸素雰囲気下、600〜1000℃の温度で焼成することにより得ることができる。出発原料は酸化物または塩類に限定されず、水酸化物などでもよい。
本発明では、正極活物質は、前記化合物を単独で使用しても、2種類以上併用してもよい。例えば、正極材料に炭酸リチウムなどの炭酸アルカリ塩を添加することもできる。
このような正極材料によって正極を形成するには、例えば、正極材料と結着剤および電極に導電性を付与するための導電剤よりなる正極合剤を集電材の両面に塗布することで正極合剤層を形成する。導電剤としては、負極の場合に例示したもの、例えば、炭素材料、黒鉛やカーボンブラックが用いられる。結着剤としては、負極の場合に例示したものが使用される。
正極に用いる集電材の形状は特に限定されないが、箔状、またはメッシュ、エキスパンドメタルなどの網状のものなどが用いられる。集電材の材質としては、アルミニウム、銅、ステンレス、ニッケルなどが挙げられる。集電材の厚さは、箔状の場合は、10〜40μmであることが好ましい。
正極の場合も負極の場合と同様に、正極合剤を溶剤中に分散させることでペースト状にし、このペースト状正極合剤を集電材に塗布し乾燥することによって正極合剤層を形成してよく、正極合剤層を形成した後、さらにプレス加圧などの圧着を行っても構わない。これにより、正極合剤層が均一かつ強固に集電材に接着される。
(電解質)
本発明のリチウムイオン二次電池は、非水電解質として液系の電解質のほかに、固体電解質またはゲル電解質などの高分子電解質を使用することができる。
本発明のリチウムイオン二次電池に使用される非水電解質は、通常の非水電解液に使用される電解質塩であり、具体的には、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiClO4、LiB(C65)、LiCl、LiBr、LiCF3SO3、LiCH3SO3、LiN(CF3SO22、LiC(CF3SO23、LiN(CF3CH2OSO22、LiN(CF3CF3OSO22、LiN(HCF2CF2CH2OSO22、LiN[(CF32CHOSO22]、LiB[(C63)(CF324、LiAlCl4、LiSiF6などのリチウム塩が挙げられる。特にLiPF6とLiBF4が酸化安定性の点から好ましい。
非水電解質液とするための溶媒としては、通常の非水電解液の溶媒として使用されるもが挙げられる。具体的には、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどのカーボネート、1,1−または1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、γーブトロラクトン、1.3−ジオキソフラン、4−メチルー1,3−ジオキソラン、アニソール、ジエチルエーテルなどのエーテル、スルホラン、メチルスルホランなどのチオエーテル、アセトニトリル、クロロニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル、ホウ酸トリメチル、ケイ酸テトラメチル、ニトロメタン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、酢酸エチル、トリメチルオルトホルメート、ニトロベンゼン、塩化ベンゾイル、臭化ベンゾイル、テトラヒドロチオフェン、ジメチルスルホキシド、3ーメチルー2−オキサゾリドン、エチレングリコール、サルファイト、ジメチルサルファイトなどの非プロトン性有機溶媒を用いることができる。電解液中の電解質塩の濃度は0.1〜5mol/lであることが好ましく、0.5〜3.0mol/lであることがより好ましい。
高分子電解質の製造方法は特に制限されないが、例えば、マトリックスを構成する高分子化合物、リチウム塩および非水溶媒(可塑剤)を混合し、加熱して高分子化合物を溶融・溶解する方法、混合用有機溶媒に、高分子化合物、リチウム化合物および非水溶媒を溶解させた後、混合用有機溶媒を蒸発させる方法、重合性モノマー、リチウム塩および非水溶媒を混合し、混合物に紫外線、電子線または分子線などを照射して重合させる方法などを挙げることができる。高分子電解質中の非水溶媒の割合は10〜90質量%が好ましく、30〜80質量%がより好ましい。10質量%未満であると導電率が低くなり、90質量%を越えると機械的強度が弱くなり、製膜しにくくなる。
該高分子電解質としては、ポリエチレンオキサイドやその架橋体などのエーテル系重合体、ポリメタクリレート系重合体、ポリアクリレート系重合体、ポリビニリデンフルオライドやビニリデンフルオライドーヘキサフルオロプロピレン共重合体などのフッ素系樹脂などを単独または混合して用いることができる。これらの中では、酸化還元安定性などの観点から、ポリビニリデンフルオライドやビニリデンフルオライドーヘキサフルオロプロピレン共重合体などのフッ素系樹脂などを用いることが好ましい。高分子ゲル電解質の場合、可塑剤である電解液中の電解質塩濃度は0.1〜5mol/lであることが好ましく、0.5〜2.0mol/lであることがより好ましい。
ゲル電解質を用いたリチウムイオン二次電池は、負極と、正極およびゲル電解質から構成される。例えば、負極、ゲル電解質、正極の順で積層し、電池の外装材内に収容することで構成される。なお、これに加えて、さらに負極と正極の外側にゲル電解質を配するようにしてもよい。本発明の炭素材料を用いるゲル電解質のリチウムイオン二次電池では、ゲル電解質にプロピレンカーボネートを含有させることができる。一般にプロピレンカーボネートは黒鉛質材料に対して電気的分解反応が激しいが、本発明の炭素材料に対しては分解反応性が低いので、第1サイクルにおける不可逆的な容量を小さく抑えることができる。
(セパレータ)
リチウムイオン二次電池で使用するセパレータは、特に限定されるものではないが、例えば、織布、不織布、合成樹脂製微多孔膜などが挙げられる。合成樹脂製微多孔膜が好ましいが、なかでもポリオレフィン系微多孔膜が厚さ、膜強度、膜抵抗などの点から好ましい。具体的には、ポリエチレンおよびポリプロピレン微多孔膜、またはこれらを複合した微多孔膜などである。
本発明を実施例および比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、実施例および比較例では、図1に示す構成の評価用のボタン型二次電池を作製して炭素材料の負極としての電池特性を評価した。実電池は、本発明の趣旨に基づき、公知の方法に準じて作製することができる。該評価用電池においては、作用電極を負極、対極を正極と表現した。
実施例および比較例において、ピッチ類のキノリン不溶分、メソカーボン小球体などの物性、特性は以下の方法によって測定し評価した。評価結果を表1に示した。
ピッチ類のキノリン不溶分の測定方法は前記した。
ピッチ類の残炭率はJIS K2425の固定炭素法に準拠し、800℃に加熱し、実質的に全量が炭素化されたときの残部を言い、百分率で表したものである。
繊維状炭素材料の平均繊維直径および平均繊維長の測定方法は前記した。
メソカーボン小球体の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布計を用いて測定した粒度分布の累積度数が体積百分率で50%となる粒子径である。
メソカーボン小球体の比表面積は窒素ガスを吸着させるBET法により測定した。
(実施例1)
(炭素材料の作製)
気相成長炭素繊維(昭和電工社製、平均繊維直径150nm。以下、VGCFとも称す。)をボールミルにて1時間粉砕処理して、平均繊維直径150nm、平均繊維長10μmに調整した。該VGCFをトルエンに分散させて得た分散液をコールタールピッチ(残炭率60%、キノリン不溶分2.0質量%)に、該VGCFの含有量が、得られるメソフェーズ小球体と該VGCFの合計量に対して6質量%になるように添加した。得られた分散液を150℃で充分に攪拌処理して、該VGCFを該ピッチ中に分散させるとともに、トルエンを揮発させた。
次に、オートクレーブを用いて、窒素気流中、410℃にて、5時間、該分散液の加熱を行った。その後、150℃まで冷却した分散液に、タール中油を添加して、150℃で1時間抽出操作を行い、メソフェーズ小球体を含有するタール中油を得た。該タール中油を加熱ろ過してメソフェーズ小球体を分離した。得られた小球体を乾燥し、窒素ガス下、350℃で3時間加熱(焼成)した。さらに1000℃で1時間焼成を行い、3000℃で3時間加熱(黒鉛化)した。焼成の際に、揮発分の実質的全量が除去された。
得られた炭素材料(黒鉛化物)の平均粒子径は12μmであり、比表面積は3.8m2/gであった。
SEMによる外観観察では、メソフェーズ小球体黒鉛化物の表面にVGCFが付着し一体化していることが認められた。該黒鉛化物が合体した凝集物は認められなかった。
(負極合剤ペーストの作製)
プラネタリーミキサーに、該黒鉛化物を入れ、乾式攪拌した後、固形分がそれぞれの質量%になるように、カルボキシメチルセルロースナトリウム1質量%、カルボキシ変性スチレンブタジエンゴムラテックスエマルジョン(日本ゼオン社製、銘柄BM−400B)1質量%と水を加えて混合し、引続き攪拌して水溶媒の負極合剤ペーストを調製した。
(作用電極の作製)
該負極合剤ペーストを、銅箔(厚さ16μm)上に均一な厚さになるように塗布し、負極合剤層(厚さ80μm)を形成して負極板を作製した。該負極板を真空中、90℃で加熱し、溶媒を揮発させ、乾燥した。次に、負極合剤層をローラープレスによって加圧し、さらに円形状(直径15.5mm)に打抜いて、負極(作用電極)を作製した。
(対極の作製)
リチウム箔を集電材ニッケルネットに押付け、円柱状(直径15.5mm)に打抜いて、ニッケルネットに密着したリチウム箔(厚み0.5mm)からなる対極を作製した。
(電解液・セパレータ)
エチレンカーボネート33vol%とメチルエチルカーボネート67vol%とを混合してなる混合溶媒に、LiPF6を1mol/lとなる濃度で溶解させ、非水電解液を調製した。得られた非水電解液をポリプロピレン多孔質シート(厚み20μm)に含浸させ、電解液が含浸したセパレータを作製した。
(評価電池の作製)
評価電池として、図1に示すボタン型二次電池を次の手順により作製した。
集電材7bに密着した作用電極2と集電材7aに密着した対極4との間に、電解液を含浸させたセパレータ5を挟んで、積層した。その後、作用電極2の集電材7b側が外装カップ1内に、対極4の集電材7a側から外装缶3内に収容されるようにするとともに、電解液100μlを注入して外装カップ1と外装カップ3とを合わせた。その際、外装カップ1と外装缶3との周縁部に絶縁ガスケット6を介在させ、両周縁部をかしめて密着した。
(充放電特性の測定)
該評価電池について、温度25℃で下記のような充放電試験を行い、放電容量、急速充電率、急速放電率およびサイクル特性を測定した。炭素材料1g当たりの放電容量(mAh/g)、急速充電率(%)、急速放電率(%)およびサイクル特性(%)を表1に示した。
(放電容量)
0.9mAの電流値で回路電圧が0mVになるまで定電流充電を行い、回路電圧が0mVに達した時点で定電圧充電に切換え、さらに電流値が20μAになるまで充電を続けた。その間の通電量から充電容量を求めた。その後、120分間休止した。次に、0.9mAの電流値で、回路電圧が1.5Vに達するまで定電流放電を行い、この間の通電量から充電容量と放電容量を求めた。
なお、この試験では、リチウムを黒鉛質粒子へ吸蔵する過程を充電、離脱する過程を
放電とした。
(急速充電率)
引続き、第2サイクルにて高速充電を行った。電流値を5倍の4.5mAとして、回路電圧が0mVに達するまで定電流充電を行い、充電容量を求め、次式(1)から急速充電率を計算した。
急速充電率(%)=(第2サイクルにおける定電流充電容量/第1サイクル
における放電容量)×100 (1)
(急速放電率)
引続き、第3サイクルにて高速充電を行った。電流値を15倍の13.5mAとして、回路電圧が2.5mVに達するまで定電流放電を行い、放電容量を求め、次式(2)から急速放電率を計算した。
急速放電率(%)=(第3サイクルにおける放電容量/第1サイクルにおけ
る放電容量)×100 (2)
(サイクル特性)
別の評価電池を用いて回路電圧が0mVに達するまで4.0mAの定電流充電を行った後、回路電圧が0mVに達した時点で定電圧充電に切替え、さらに電流値が20μAになるまで充電を続けた後、120分間停止した。次に4.0mAの電流値で回路電圧が1.5Vに達するまで定電流放電を行い、この間の通電量から放電容量を求めた。この充放電を20回繰返し、得られた放電容量から、次式(3)によりサイクル特性を計算した。
サイクル特性(%)=(第20サイクルにおける放電容量/第1サイクルに
おける放電容量)×100 (3)
(実施例2)
実施例1において、気相成長炭素繊維(VGCF)の代わりに、下記の方法により製造した繊維状炭素材料を用いる以外は、実施例1と同様な方法と条件で、炭素材料の製造、負極合剤の作製、負極の作製および評価電池の作製を行った。該評価電池の充放電特性の評価を実施例1と同様に行った。評価結果を表1に示した。
(気相成長炭素繊維Aの製造)
酸化鉄を固定床流通式反応装置に入れ、550℃に昇温した後、一酸化炭素70vol%、水素30vol%の混合ガスを該酸化鉄1g当たり400cm3/minの流速で、30分間流通させ、気相成長炭素繊維Aを得た。その後、該装置を冷却し、気相成長炭素繊維Aを回収した。
該気相成長炭素繊維A10質量部、トルエン100質量部、およびステンレス鋼製ボール(直径5mm)を遊星型ボールミルに入れ、粉砕処理を行った。該処理後の気相成長炭素繊維Aの平均繊維直径および平均繊維長は、それぞれ50nmおよび2μmであった。
粉砕処理後の分散液11gをコールタールピッチ(キノリン不溶分1.0質量%)100gに入れ、実施例1と同様な方法と条件で加熱し、メソフェーズ小球体を発生させた。引続き、実施例1と同様な方法と条件で、該小球体の抽出操作を行い、気相成長炭素繊維Aが付着し一体化したメソフェーズ小球体を分離した。該小球体(平均粒子径20μm、比表面積3.2m2/g)について、実施例1と同様な方法と条件で加熱(焼成と黒鉛化)を行い、黒鉛化物を作製した。
該黒鉛化物を用いて、実施例1と同様な方法と条件で評価電池の作製を行った。該評価電池の充放電特性の評価を実施例1と同様に行った。評価結果を表1に示した。
(実施例3)
(キノリン不溶分を含まないコールタールピッチの製造)
コールタールピッチ(キノリン不溶分2質量%)100質量部にガス軽油100質量部を添加し、混合物を遠心分離機にてキノリン不溶分を沈降させ、上層部を分液し、ガス軽油を蒸留して除去し、コールタールタールピッチを得た。該ピッチのキノリン不溶分は0質量%であった。すなわち、キノリン可溶分100質量%であった。
(炭素材料の製造〜評価電池の作製)
実施例2の気相成長炭素繊維A10質量部とトルエン100質量部とからなる粉砕処理後の分散液20gに、前記コールタールピッチ(キノリン不溶分0質量%)100gを混合して、分散液を得た。該分散液について、実施例2と同様な方法と条件で加熱し、気相成長炭素繊維Aが付着し一体化したメソフェーズ小球体を発生させた。引続き、実施例2と同様な方法と条件で該小球体の抽出操作を行い、気相成長炭素繊維Aが付着し一体化したメソフェーズ小球体(平均粒子径8μm、比表面積4.4m2/g)を分離した。該小球体について、実施例2と同様な方法と条件で加熱(焼成と黒鉛化)を行い、黒鉛化物を作製した。
該黒鉛化物を用いて、実施例1と同様な方法と条件で評価電池の作製を行った。該評価電池の充放電特性の評価を実施例1と同様に行った。評価結果を表1に示した。
(比較例1)
実施例1において、コールタールピッチ(残炭率60%、キノリン不溶分2.0質量%)にVGCFを入れないこと以外は、実施例1を繰返して、メソフェーズ小球体黒鉛化物を得た。該黒鉛化物を用いる以外は、実施例1を繰返して、評価電池を作製し、充放電特性を評価した。
(比較例2)
実施例1において、コールタールピッチ(キノリン不溶分0質量%)にVGCFを入れないこと以外は、実施例1を繰返したが、メソフェーズ小球体が合体して凝集物を生成した。よって、これを加熱して炭素化することを取止めた。その結果を表1に示した。
(比較例3)
比較例1で得たメソフェーズ小球体黒鉛化物(VGCFなし)に、該黒鉛化物に対し10質量%となる量のVGCFを混合し、実施例1と同様に、プラネタリーミキサーを用いて乾式攪拌した。該混合物を用いて、実施例1と同様な方法と条件で水溶媒の負極合剤ペーストを調製した。該ペーストは所々にVGCFの塊があり、VGCFの分散が不良であった。
該ペーストを用いて、実施例1と同様な方法と条件で負極板を作製した。該負極板の塗布面に分散の悪いVGCFの塊が存在し、筋状の傷となって残った。負極剤層をローラープレスで加圧しても傷は解消しなかった。
該負極板を用いて、実施例1と同様な方法と条件で作用電極および評価電池を作製した。該作用電極は密着性が低下しており、打ち抜きをしたとき、縁から剥離が生じ、該作用電極を用いた評価電池にショートするものがあった。評価結果を表1に示した。
(比較例4)
比較例3において、VGCFの混合量を6質量%に減じる以外は、比較例3を繰返した。比較例3の負極板より塗布面の不均一性が軽減されたが、筋状の傷は解消しなかった。
(比較例5)
実施例2において、コールタールピッチに気相成長炭素繊維Aを添加しない以外は、実施例2と同様な方法と条件でメソフェーズ小球体の製造を行った。得られた小球体を乾燥し、窒素ガス下、350℃で3時間加熱(焼成)した後、1000℃で1時間焼成し、さらに3000℃で3時間加熱(黒鉛化)した。焼成の際に、揮発分の実質的全量が除去された。得られた炭素材料(黒鉛化物B)の平均粒子径は25μm、比表面積は0.6m2/gであった。
一方、実施例2で製造した気相成長炭素繊維Aを3000℃で熱処理し、高純度化した。得られた高純度気相成長炭素繊維Cを、該黒鉛化物Bに、該黒鉛化物Bに対し10質量%となる量で混合し、実施例2と同様な方法と条件で水溶媒の負極合剤ペーストを調製し、作用電極の作製および評価電池の作製を行った。該炭素繊維CはVGCFと同様分散が悪く、負極板の表面に筋状の傷または未分散の凝集物が数多く見られた。評価結果を表1に示した。
(比較例6)
比較例5において、高純度気相成長炭素繊維Cの添加量を3質量%に減じる以外は比較例5を繰返した。比較例5の負極板より筋状の傷または未分散の凝集物の数は少なかったが、筋状の傷または未分散の凝集物は解消しなかった。評価結果を表1に示した。
Figure 2007197309
本発明の負極材料の充放電特性を評価するために使用するボタン型評価電池の構造を示す模式断面図。
符号の説明
1 外装カップ
2 作用電極
3 外装缶
4 対極
5 セパレータ
6 絶縁ガスケット
7a、7b 集電材

Claims (8)

  1. ピッチ類と繊維状炭素材料の混合物を加熱して、ピッチマトリックス中にメソフェーズ小球体を発生させるメソフェーズ小球体発生工程と、発生したメソフェーズ小球体を該ピッチマトリックスから分離してメソフェーズ小球体を得るメソフェーズ小球体分離工程を有することを特徴とするメソフェーズ小球体の製造方法。
  2. 前記メソフェーズ小球体発生工程で発生したメソフェーズ小球体に、前記繊維状炭素材料が付着していることを特徴とする請求項1に記載のメソフェーズ小球体の製造方法。
  3. ピッチ類と繊維状炭素材料の混合物を加熱して、ピッチマトリックス中にメソフェーズ小球体を発生させるメソフェーズ小球体発生工程と、発生したメソフェーズ小球体を該ピッチマトリックスから分離するメソフェーズ小球体分離工程と、分離したメソフェーズ小球体を加熱して炭素材料を得るメソフェーズ小球体炭素化工程を有することを特徴とする炭素材料の製造方法。
  4. 前記メソフェーズ小球体発生工程で発生したメソフェーズ小球体に、前記繊維状炭素材料が付着していることを特徴とする請求項3に記載のメソフェーズ小球体の製造方法。
  5. 請求項3または4で得られた炭素材料がリチウムイオン二次電池用負極材料であることを特徴とする炭素材料の製造方法。
  6. 前記繊維状炭素材料の含有量が、得られる炭素材料に対して0.1〜20質量%であるあることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の炭素材料の製造方法。
  7. 前記繊維状炭素材料の平均繊維直径が500nm以下であり、平均繊維長が1〜20μmであることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の炭素材料の製造方法。
  8. 前記したピッチ類のキノリン不溶分が0.05質量%以下であることを特徴とする請求項3〜7のいずれかに記載の炭素材料の製造方法。
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