JP2007190287A - ゴルフボール - Google Patents

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Abstract

【課題】耐久性、耐擦過傷性および反発性に優れるウレタンカバーを有するゴルフボールを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のカバーを有するゴルフボールは、カバーを構成する樹脂成分が、イミド結合を含有するポリウレタンを含有することを特徴とし、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと、テトラカルボン酸・二無水物を含む鎖長延長剤とを反応させて得られるものが好適である。
【選択図】なし

Description

本発明は、ゴルフボールに関するものであり、より詳細には、熱可塑性ポリウレタンを基材樹脂として用いるウレタンカバーの改良に関する。
ゴルフボールのカバーを構成する基材樹脂としては、アイオノマー樹脂やポリウレタンが使用されている。アイオノマー樹脂を使用したカバーは、反発性や耐久性、加工性などに優れることから、広く使用されているが、高い剛性と硬度を有するために打球感が悪く、また、スピン性能も十分なものが得られずコントロール性が劣るなどの問題が指摘されている。一方、アイオノマー樹脂に比べて打球感やスピン特性が向上することから、カバーを構成する基材樹脂として、ポリウレタンが使用されている。例えば、特許文献1〜3には、熱硬化性ポリウレタンを、特許文献4および5には、熱可塑性ポリウレタンをカバーに使用することが開示されている。しかしながら、熱硬化性ポリウレタンをカバーに使用すると、耐擦過傷性に優れるゴルフボールを得ることはできるが、ゴルフボールの製造工程が複雑化する。また、熱可塑性ポリウレタンをカバーに使用したゴルフボールは、熱硬化性ポリウレタンを使用した場合に比べて、耐擦過傷性、打球感や反発性などが十分でない。
特開昭51−74726号公報 特許2,662,909号公報 米国特許第4,123,061号公報 米国特許第3,395,109号公報 米国特許第4,248,432号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、反発性および耐擦過傷性に優れる新規なウレタンカバーを有するゴルフボールを提供することを目的とする。
上記課題を解決することのできた本発明のゴルフボールは、カバーを有するゴルフボールであって、前記カバーを構成する樹脂成分が、イミド結合を有するポリウレタンを含有することを特徴とする。イミド結合を主鎖中に導入したポリウレタンを使用することによって、得られるカバーの反発性と耐擦過傷性が向上する。前記イミド結合を有するポリウレタンは、例えば、酸無水物を構成成分とするものであり、前記イミド結合は、ポリウレタンを合成する際に、酸無水物とイソシアネート基またはアミノ基との反応により形成されることが望ましい。前記イミド結合を有するポリウレタンとしては、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーとテトラカルボン酸・二無水物を含む鎖長延長剤とを反応させることに得られるものが好ましい。前記鎖長延長剤は、さらに低分子量のポリオールやポリアミンなどの鎖長延長剤を含むことができる。前記テトラカルボン酸・二無水物としては、例えば、ピロメリット酸・二無水物が好適である。
本発明によれば、反発性および耐擦過傷性、さらには、耐久性に優れるゴルフボールが得られる。
本発明のゴルフボールは、カバーを有するゴルフボールであって、前記カバーを構成する樹脂成分が、イミド結合を有するポリウレタンを含有することを特徴とする。まず、本発明で使用するイミド結合を有するポリウレタンについて説明する。
本発明で使用するイミド結合を有するポリウレタンは、分子内にポリウレタン結合とイミド結合を複数有するものであれば、特に限定されず、例えば、ポリイソシアネートとポリオールと酸無水物を含有する鎖長延長剤とを反応させることによって、ウレタン結合とイミド結合とが主鎖中に形成された生成物を挙げることができる。
前記イミド結合を有するポリウレタンを構成するポリイソシアネート成分としては、イソシアネート基を2以上有するものであれば特に限定されず、例えば、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフチレンジイソシアネート(NDI)、3,3’−ビトリレン−4,4’−ジイソシアネート(TODI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)等の芳香族ポリイソシアネート;4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、水素添加キシリレンジイソシアネート(HXDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)等の脂環式ポリイソシアネートまたは脂肪族ポリイソシアネート等のうちの1種、または、2種以上の混合物などである。
耐擦過傷性を向上するという観点からは、ポリウレタンのポリイソシアネート成分として、芳香族ポリイソシアネートを使用することが好ましい。芳香族ポリイソシアネートを使用することにより、得られるポリウレタンの機械的特性が向上し、耐擦過傷性に優れるカバーが得られる。また、耐候性を向上するという観点からは、ポリウレタンのポリイソシアネート成分として、非黄変性のポリイソシアネート(TMXDI、XDI、HDI、HXDI、IPDI、H12MDI、NBDIなど)を使用することが好ましく、さらに好ましくは4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)を使用する。4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)は剛直な構造を有しており、得られるポリウレタンの機械的特性が向上し、耐擦過傷性に優れるカバーが得られるからである。
前記イミド結合を有するポリウレタンを構成するポリオール成分としては、ヒドロキシル基を複数有するものであれば特に限定されず、例えば、低分子量のポリオールや高分子量のポリオールなどを挙げることができる。低分子量のポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール等のジオール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールなどのトリオールが挙げられる。高分子量のポリオールとしては、例えば、ポリオキシエチレングリコール(PEG)、ポリオキシプロピレングリコール(PPG)、ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG)等のポリエーテルポリオール;ポリエチレンアジぺート(PEA)、ポリブチレンアジペート(PBA)、ポリヘキサメチレンアジペート(PHMA)などの縮合系ポリエステルポリオール;ポリ−ε−カプロラクトン(PCL)のようなラクトン系ポリエステルポリオール;ポリヘキサメチレンカーボネートなどのポリカーボネートポリオール;およびアクリルポリオールなどが挙げられ、上述したポリオールの少なくとも2種以上の混合物であってもよい。
高分子量のポリオールの平均分子量は、特に限定されるものではないが、例えば、400以上であることが好ましく、より好ましくは1,000以上である。高分子量ポリオールの平均分子量が小さくなりすぎると、得られるポリウレタンが硬くなり、ゴルフボールの打球感が低下するからである。高分子量ポリオールの平均分子量の上限は、特に限定されるものではないが、10,000以下、より好ましくは8,000以下である。
本発明において、イミド結合は、下記式(1)によって表わされる結合を意味し、好ましくは、酸無水物とイソシアネート基またはアミノ基との反応により形成されるものである。尚、式(1)中、ウレタン結合とイソシアネート基が反応して形成されるアロハネート結合、および、ウレア結合とイソシアネート基が反応して形成されるビュレット結合は、本発明におけるイミド結合には含まれないものとする。
ポリウレタン主鎖へのイミド結合の導入は、例えば、酸無水物を含有する鎖長延長剤を用いることによって行うことができる。例えば、下記式(2)に示した様に、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーとテトラカルボン酸・二無水物を含有する鎖長延長剤とを反応させることにより、ポリウレタン主鎖にイミド結合を導入することができる。なお、イミド結合は、下記式(3)の如く、酸無水物とポリアミンとの反応により導入しても良い。
Figure 2007190287
本発明で使用できる酸無水物としては、例えば、カルボキシル基を少なくとも3以上有する化合物の一無水物または二無水物が好ましく、より好ましくはテトラカルボン酸・二無水物である。特に、トリカルボン酸・一無水物やテトラカルボン酸・二無水物などのようにイソシアネート基に対する官能基数が2となるように酸無水物を選択すれば、熱可塑性のポリウレタンを作製することができる。
トリカルボン酸の無水物としては、例えば、トリメリット酸・一無水物、ニトリロ三酢酸・一無水物などを挙げることができる。尚、トリカルボン酸・一無水物を使用する場合、イソシアネート基との反応により、1つのイミド結合と1つのアミド結合が生成する。
テトラカルボン酸・二無水物としては、芳香族系テトラカルボン酸および非芳香族系テトラカルボン酸の二無水物を挙げることができる。芳香族系テトラカルボン酸の二無水物としては、例えば、ピロメリット酸・二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸・二無水物、4,4’−オキシジフタル酸・二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸・二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸・二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン酸・二無水物、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸・二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸・二無水物などを挙げることができる。
非芳香族系テトラカルボン酸としては、例えば、ジエチレントリアミン四酢酸・二無水物、ジエチレントリアミン五酢酸・二無水物、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸・二無水物、ペンタン−1,2,4,5−テトラカルボン酸・二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸・二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸・二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸・二無水物、シクロヘキサ−1−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸・二無水物、3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸・二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸・二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸・二無水物、1−エチルシクロヘキサン−1−(1,2),3,4−テトラカルボン酸・二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸・二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸・二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸・二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸・二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸・二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸・二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸・二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸・二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸・二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸・二無水物等が挙げられる。前記酸無水物は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。本発明においては、特にピロメリット酸・二無水物を使用することが好ましい態様である。
イミド結合を有するポリウレタン中の酸二無水物の含有率は、特に限定されるものではないが、前記ポリウレタンを構成するポリイソシアネートのイソシアネート基に対する酸二無水物の官能基のモル比(O=C−O−C=O/NCO)で0.05以上が好ましく、0.1以上がより好ましく、0.8以下が好ましく、0.6以下がより好ましい。酸二無水物/イソシアネート基の官能基のモル比(O=C−O−C=O/NCO)を0.05以上とすることによって、イミド結合を導入することによる実質的な向上効果が得られるからである。一方、前記モル比が0.8を超えると、イミド結合が多くなりすぎて、得られるカバーが硬くなって耐擦過傷性が低下する場合があるからである。
また本発明では、前記酸無水物に加えて、さらに低分子量のポリオールまたはポリアミンを含有する鎖長延長剤を使用することができる。低分子量のポリオールまたはポリアミンを併用することによって、得られるイミド結合を有するポリウレタンの硬度の調整が容易になるからである。前記低分子量のポリオールは、分子量が約400未満程度のポリオールであれば特に限定されず、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール等のジオール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールなどのトリオールが挙げられる。
前記ポリアミンは、少なくとも2以上のアミノ基を有するものであれば特に限定されず、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族系ポリアミン、イソホロンジアミン、ピペラジンなどの脂環式系ポリアミン、および、芳香族ポリアミンなどが挙げられる。
前記芳香族ポリアミンは、少なくとも2以上のアミノ基が芳香環に直接または間接的に結合しているものであれば、特に限定されない。ここで、間接的に結合しているとは、アミノ基が、例えば低級アルキレン基を介して芳香環に結合していることをいう。前記芳香族ポリアミンとしては、例えば、1つの芳香環に2以上のアミノ基が結合している単環式芳香族ポリアミンでもよいし、少なくとも1つのアミノ基が1つの芳香環に結合しているアミノフェニル基を2個以上含む多環式芳香族ポリアミンでもよい。
前記単環式芳香族ポリアミンとしては、例えば、フェニレンジアミン、トルエンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、ジメチルチオトルエンジアミンなどのアミノ基が芳香環に直接結合しているタイプ;キシリレンジアミンのようなアミノ基が低級アルキレン基を介して芳香環に結合しているタイプなどが挙げられる。また、前記多環式芳香族ポリアミンとしては、少なくとも2つのアミノフェニル基が直接結合しているポリ(アミノベンゼン)でもよいし、少なくとも2つのアミノフェニル基が低級アルキレン基やアルキレンオキシド基を介在して結合していてもよい。これらのうち、低級アルキレン基を介して2つのアミノフェニル基が結合しているジアミノジフェニルアルカンが好ましく、4,4'−ジアミノジフェニルメタンおよびその誘導体が特に好ましい。
本発明において、ゴルフボールのカバーは、前記イミド結合を有するポリウレタンを基材樹脂成分として含有するものであれば、特に限定されるものではなく、カバーを構成する樹脂成分中のイミド結合を有するポリウレタンの含有量は、50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上とすることが望ましい。さらに、カバーを構成する樹脂成分が、実質上、イミド結合を有するポリウレタンのみからなることも好ましい態様である。
本発明で使用するイミド結合を有するポリウレタンの合成は、例えば、乾燥窒素雰囲気下で、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと、テトラカルボン酸・二無水物を含有する鎖長延長剤とを、50℃以上、180℃以下(より好ましくは60℃以上、150℃以下)で、30分間〜600分間(より好ましくは60分間〜300分間)反応させれば良い。尚、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーの合成は、当業者に公知の方法を採用することができる。
前記イミド結合を有するポリウレタンのスラブ硬度は、ショアD硬度で、25以上が好ましく、30以上がより好ましく、55以下が好ましく、50以下がより好ましい。イミド結合を有するポリウレタンのスラブ硬度が25未満では、得られるゴルフボールの反発性が低下して飛距離が低下する場合があるからである。一方、イミド結合を有するポリウレタンの硬度が55超では、得られるゴルフボールの耐久性が低下する場合がある。イミド結合を有するポリウレタンのスラブ硬度は、ポリウレタンを構成するポリイソシアネート、ポリオール、酸無水物などの含有比率、ポリオールの種類などを適宜選択することによって制御することができる。
本発明のゴルフボールのカバーの樹脂成分が含有するイミド結合を有するポリウレタンは、所謂、熱可塑性ポリウレタンおよび熱硬化性ポリウレタンのいずれの態様であってもよい。いずれの場合においても、耐擦過傷性、耐久性、および、反発性に優れるゴルフボールが得られるからである。熱可塑性ポリウレタンとは、加熱により可塑性を示すポリウレタンであり、一般に、ある程度高分子量化された直鎖構造を有するポリウレタンを意味する。一方、熱硬化性ポリウレタン(二液硬化型ポリウレタン)は、低分子量のウレタンプレポリマーを一旦取り置き、カバーを成形する直前に、該プレポリマーと鎖長延長剤(硬化剤)とを反応させて高分子量化することにより得られるポリウレタンである。熱硬化性ポリウレタンには、使用するプレポリマーや鎖長延長剤(硬化剤)の官能基の数を制御することによって、直鎖構造のポリウレタンや3次元架橋構造を有するポリウレタンが含まれる。本発明では、カバーの成形が容易になるということから、イミド結合を有する熱可塑性ポリウレタンを使用することが好ましい態様である。
本発明において、カバー材料として前記イミド結合を有するポリウレタンの他、さらに使用できる樹脂成分としては、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーおよびジエン系ブロック共重合体等を挙げることができる。前記熱可塑性樹脂としては、アイオノマー樹脂を挙げることができ、前記アイオノマー樹脂としては、例えば、エチレンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸の共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したもの、エチレンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したもの、または、これらの混合物を挙げることができる。前記アイオノマー樹脂の具体例としては、三井デュポンポリケミカル(株)から市販されているハイミラン、さらにデュポン(株)から市販されているサーリン、エクソンモービル化学(株)から市販されているアイオテックなどを挙げることができる。
前記熱可塑性エラストマーの具体例としては、例えばアルケマ(株)から商品名「ペバックス(例えば、「ペバックス2533」)」で市販されている熱可塑性ポリアミドエラストマー、東レ・デュポン(株)から商品名「ハイトレル(例えば、「ハイトレル3548」、「ハイトレル4047」)」で市販されている熱可塑性ポリエステルエラストマー、三菱化学(株)から商品名「ラバロン」で市販されている熱可塑性ポリスチレンエラストマー等が挙げられ、これらの中でも熱可塑性ポリスチレンエラストマーが好ましい。前記熱可塑性ポリスチレンエラストマーは、例えば、ハードセグメントとして、ポリスチレンブロック成分と、ソフトセグメントとしてポリブタジエン、イソプレン、水素添加ポリブタジエン、水素添加ポリイソプレンなどのジエンブロック成分を有するポリスチレン−ジエン系ブロック共重合体を挙げることができる。前記ポリスチレン−ジエン系ブロック共重合体は、ブロック共重合体または部分水素添加ブロック共重合体の共役ジエン化合物に由来する二重結合を有するものである。前記ポリスチレン−ジエン系ブロック共重合体としては、例えば、ポリブタジエンブロックを有するSBS(スチレン−ブタジエン−スチレン)構造のブロック共重合体、または、SIS(スチレン−イソプレン−スチレン)構造のブロック共重合体などが挙げられる。
本発明のゴルフボールのカバーは、上述した樹脂成分のほか、白色顔料(酸化チタン)、青色顔料などの顔料成分、炭酸カルシウムや硫酸バリウムなどの比重調整剤、分散剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光材料または蛍光増白剤などを、カバーの性能を損なわない範囲で含有してもよい。
前記白色顔料(酸化チタン)の含有量は、カバーを構成する樹脂成分100質量部に対して、0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上であって、10質量部以下、より好ましくは8質量部以下であることが望ましい。白色顔料の含有量を0.5質量部以上とすることによって、カバーに隠蔽性を付与することができる。また、白色顔料の含有量が10質量部超になると、得られるカバーの耐久性が低下する場合があるからである。
本発明のゴルフボールのカバーは、上述したカバー材料を含有するカバー用組成物を用いて成形することにより作製される。カバーを成形する方法としては、例えば、カバー用組成物から中空殻状のシェルを成形し、コアを複数のシェルで被覆して圧縮成形する方法(好ましくは、カバー用組成物から中空殻状のハーフシェルを成形し、コアを2枚のハーフシェルで被覆して圧縮成形する方法)、カバー用組成物をコア上に直接射出成形する方法を挙げることができ、好ましくは圧縮成形法を採用する。圧縮成形法を採用することによって、得られるカバーの耐擦過傷性および耐久性が一層向上するからである。
ハーフシェルの成形は、圧縮成形法または射出成形法のいずれの方法によっても行うことができるが、圧縮成形法が好適である。
カバー用組成物を圧縮成形してハーフシェルに成形する条件としては、例えば、1MPa以上、20MPa以下の圧力で、カバー用組成物の流動開始温度に対して、―20℃以上、70℃以下の成形温度を挙げることができる。前記成形条件とすることによって、均一な厚みをもつハーフシェルを成形できる。ハーフシェルを用いてカバーを成形する方法としては、例えば、コアを2枚のハーフシェルで被覆して圧縮成形する方法を挙げることができる。ハーフシェルを圧縮成形してカバーに成形する条件としては、例えば、0.5MPa以上、25MPa以下の成形圧力で、カバー用組成物の流動開始温度に対して、―20℃以上、70℃以下の成形温度を挙げることができる。上記成形条件とすることによって、均一なカバー厚みを有するゴルフボールカバーを成形できる。
本発明では、カバー用組成物をコア上に直接射出成形してカバーを成形することもできる。この場合、カバー成形用上下金型としては、半球状キャビティを有し、ピンプル付きで、ピンプルの一部が進退可能なホールドピンを兼ねているものを使用することが好ましい。射出成形によるカバーの成形は、上記ホールドピンを突き出し、コアを投入してホールドさせた後、カバー用組成物を注入して、冷却することによりカバーを成形することができ、例えば、9MPa〜15MPaの圧力で型締めした金型内に、200℃〜250℃に加熱したカバー用組成物を0.5秒〜5秒で注入し、10秒〜60秒間冷却して型開きすることにより行う。
カバーを成形したゴルフボールは、金型から取り出し、必要に応じて、バリ取り、洗浄、サンドブラストなどの表面処理を行うことが好ましい。また、所望により、ペイント層やマークを形成することもできる。
本発明において、ゴルフボールのカバーの厚みは、2.0mm以下が好ましく、1.6mm以下がより好ましく、1.0mm以下がさらに好ましい。2.0mm以下とすることによって、ゴルフボールの反発性が高くなり、トータルの飛距離が長くなるからである。カバーの厚みの下限は、特に限定されるものではないが、例えば、0.1mmである。0.1mm未満では、カバーの成形が困難になる虞があるからである。
本発明のゴルフボールのカバーのスラブ硬度は、ショアD硬度で20以上であり、より好ましくは25以上であり、さらに好ましくは30以上であって、60以下であって、より好ましくは55以下であり、さらに好ましくは50以下であることが望ましい。カバーのスラブ硬度を20以上とすることによって、得られるカバーの剛性が高まり、反発性(飛距離)に優れるゴルフボールが得られる。一方、スラブ硬度を60以下とすることによって、ゴルフボール打撃時の打球感が向上する。ここで、カバーのスラブ硬度とは、カバー用組成物をシート状に成形して測定した硬度であり、後述する測定方法により測定する。
本発明のゴルフボールの構造は、カバーを有するものであれば、特に限定されず、コアと前記コアを被覆するカバーとを有するツーピースゴルフボール、コアと前記コアを被覆する中間層と前記中間層を被覆するカバーとを有するスリーピースゴルフボール、コアとカバーとを有し、コアとカバーとの間に少なくとも2層以上を中間層を有するマルチピースゴルフボール、或いは、糸巻きコアとカバーとを有する糸巻きゴルフボールであってもよい。いずれの場合であっても、本発明を好適に適用できるからである。尚、ゴルフボールの構造において、コアと中間層とを組み合わせて多層コア、および、カバーと中間層とを組み合わせて多層カバーという場合がある。
本発明のゴルフボールが、糸巻きゴルフボール、ツーピースゴルフボール、および、マルチピースゴルフボールの如くコアを有する場合におけるコアについて説明する。前記コアには、従来より公知のゴム組成物(以下、単に「コア用ゴム組成物」という場合がある)を採用することができ、例えば、基材ゴムとしてのジエン系ゴム、共架橋剤、および架橋開始剤を含むゴム組成物を加熱プレスして成形することができる。
前記ジエン系ゴムとしては、特に、反発に有利なシス結合が40%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上のハイシスポリブタジエンを用いることが好ましい。前記共架橋剤は、炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸またはその金属塩、好ましくはアクリル酸、メタクリル酸の金属塩が用いられ、金属としては、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、ナトリウムが好ましく用いられ、より好ましくは亜鉛が用いられる。このような共架橋剤の使用量は、基材ゴム100質量部あたり20〜50質量部が好ましい。また、架橋開始剤としては、有機過酸化物が好ましく用いられる。具体的には、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t―ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物が挙げられ、これらのうちジクミルパーオキサイドが好ましく用いられる。有機過酸化物の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、0.2質量部以上が好ましく、より好ましくは0.3質量部以上であって、1.5質量部以下が好ましく、より好ましくは1.0質量部以下である。また、前記コア用ゴム組成物は、さらに、ジフェニルジスルフィド類を含有してもよい。ジフェニルジスルフィド類の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、より好ましくは0.3質量部以上であって、5.0質量部以下が好ましく、より好ましくは3.0質量部以下である。
前記ジフェニルジスルフィド類としては、例えば、ジフェニルジスルフィド、ビス(4−クロロフェニル)ジスルフィド、ビス(3−クロロフェニル)ジスルフィド、ビス(4−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(3−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(4−フルオロフェニル)ジスルフィド、ビス(4−ヨードフェニル)ジスルフィド,ビス(4−シアノフェニル)ジスルフィド等のモノ置換体;ビス(2,5−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(3,5−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,6−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,5−ジブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(3,5−ジブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2−クロロ−5−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2−シアノ−5−ブロモフェニル)ジスルフィド等のジ置換体;ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2−シアノ−4−クロロ−6−ブロモフェニル)ジスルフィド等のトリ置換体;ビス(2,3,5,6−テトラクロロフェニル)ジスルフィド等のテトラ置換体;ビス(2,3,4,5,6−ペンタクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,3,4,5,6−ペンタブロモフェニル)ジスルフィド等のペンタ置換体等が挙げられる。これらのジフェニルジスルフィド類はゴム加硫体の加硫状態に何らかの影響を与えて、反発性を高めることができる。これらの中でも、特に高反発性のゴルフボールが得られるという点から、ジフェニルジスルフィド、ビス(ペンタブロモフェニル)ジスルフィドを用いることが好ましい。
前記コア用ゴム組成物には、基材ゴム、共架橋剤、架橋開始剤、ジフェニルジスルフィド類に加えて、さらに、酸化亜鉛や硫酸バリウム等の比重調整剤、老化防止剤、色粉等を適宜配合することができる。前記コア用ゴム組成物の加熱プレス成型条件は、ゴム組成に応じて適宜設定すればよいが、通常、130℃〜200℃で10〜60分間加熱するか、あるいは130℃〜150℃で20〜40分間加熱した後、160℃〜180℃で5〜15分間と2段階加熱することが好ましい。
本発明のゴルフボールが、スリーピース、または、マルチピースゴルフボールである場合には、中間層としては、例えば、ポリウレタン樹脂、アイオノマー樹脂、ナイロン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂;ポリスチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等の熱可塑性エラストマーなどが挙げられ、アイオノマー樹脂が好適である。
前記アイオノマー樹脂としては、例えば、エチレンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸の共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したアイオノマー樹脂、エチレンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したもの、または、これらの混合物を挙げることができる。
前記α,β−不飽和カルボン酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸等が挙げられ、特にアクリル酸またはメタクリル酸が好ましい。また、α,β−不飽和カルボン酸エステルとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸等のメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、イソブチルエステル等が用いられ、特にアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルが好ましい。前記エチレンとα,β−不飽和カルボン酸との共重合体や、エチレンとα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を中和する金属イオンとしては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属イオン;マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、カドミウムなどの2価の金属イオン;アルミニウムなどの3価の金属イオン;錫、ジルコニウムなどのその他のイオンが挙げられるが、特にナトリウム、亜鉛、マグネシウムイオンが反発性、耐久性等から好ましく用いられる。
前記中間層には、上記樹脂成分に加えてさらに、硫酸バリウム、タングステン等の比重調整剤、老化防止剤、顔料などが配合されていてもよい。
本発明のゴルフボールが、糸巻きゴルフボールの場合、コアとして糸巻きコアを用いれば良い。斯かる場合、糸巻きコアとしては、例えば、上述したコア用ゴム組成物を硬化させてなるセンターとそのセンターの周囲に糸ゴムを延伸状態で巻き付けることによって形成した糸ゴム層とから成るものを使用すればよい。また、前記センター上に巻き付ける糸ゴムは、糸巻きゴルフボールの糸巻き層に従来から使用されているものと同様のものを使用することができ、例えば、天然ゴムまたは天然ゴムと合成ポリイソプレンに硫黄、加硫助剤、加硫促進剤、老化防止剤等を配合したゴム組成物を加硫することによって得られたものを用いてもよい。糸ゴムはセンター上に約10倍に引き伸ばして巻きつけて糸巻きコアを作製する。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
[評価方法]
(1)耐擦過傷性
ゴルフラボラトリー社製のスイングロボットに市販のピッチングウエッジを取り付け、ヘッドスピード36m/秒でボールの2箇所を各1回打撃し、打撃部を観察して、4段階で評価した。
評価基準
◎:ゴルフボールの表面にほとんど傷がない。
○:ゴルフボールの表面に傷がわずかに生じる。
△:ゴルフボールの表面が少し削れており、毛羽立ちが生じている。
×:ゴルフボールの表面がかなり削れており、毛羽立ちが目立つ。
(2)耐久性
ツルーテンパー社製のスイングロボットにメタルヘッド製#W1ドライバーを取り付け、各ゴルフボールをヘッドスピード45m/秒で打撃して衝突板に衝突させた。これを繰り返して、ゴルフボールが壊れるまでの打撃回数を測定した。各ゴルフボールの耐久性は、ゴルフボールNo.9の打撃回数を100として、各ゴルフボールについての打撃回数を指数化した値で示した。指数化された値が大きいほど、ゴルフボールが耐久性に優れていることを示す。
(3)スラブ硬度(ショアD硬度)
カバー用組成物またはポリウレタンを用いて、熱プレス成形により、厚み約2mmのシートを作製し、23℃で2週間保存した。このシートを、測定基板等の影響が出ないように、3枚以上重ねた状態で、ASTM−D2240に規定するスプリング式硬度計ショアD型を備えた高分子計器社製自動ゴム硬度計P1型を用いて測定した。
(4)ゴルフボール反発係数
各ゴルフボールに200gのアルミニウム製円筒物を45m/秒の速度で衝突させ、衝突前後の前記円筒物およびゴルフボールの速度を測定し、それぞれの速度および質量から各ゴルフボールの反発係数を算出した。測定は各ゴルフボールについて5回ずつ行って、その平均値をそのゴルフボールの反発係数とした。尚、反発係数は、ゴルフボールNo.9の値を100として指数化した値を示した。指数値が大きいほど、反発性が良いことを意味する。
[ポリウレタンの合成]
(1)イミド結合を有するポリウレタンA〜Hの合成
表1に示したポリイソシアネートと、ポリオールと、鎖長延長剤として1,4−ブタンジオールとを、80℃で2時間窒素雰囲気下で反応させてイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを得た。得られたイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)1000gに溶解し、さらに、鎖長延長剤として表1に示すテトラカルボン酸・二無水物を加えて、150℃で2時間反応させた。得られたポリウレタンイミド溶液を遠心成形機で1時間かけてシート化し、得られたシートを4時間、減圧乾燥(200℃/2〜3mmHg)することによりイミド結合を有するポリウレタンを得た。得られたイミド結合を有するポリウレタンを粉砕してカバー材料とした。
(2)イミド結合を含有しないポリウレタンI、Jの合成
表1に示したポリイソシアネートと、ポリオールと、鎖長延長剤として1,4−ブタンジオールとを、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)1000gに溶解して80℃で2時間窒素雰囲気下で反応させた。得られたポリウレタン溶液を遠心成形機で1時間かけてシート化し、得られたシートを4時間、減圧乾燥(200℃/2〜3mmHg)することによりポリウレタンを得た。得られたポリウレタンを粉砕してカバー材料とした。
Figure 2007190287
MDI:東京化成社製4,4’−ジフェニルメタンジイイソシアネート
H12MDI:東京化成社製ジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアネート
PTMG1000:三菱化学社製ポリオキシテトラメチレングリコール(平均分子量1000)
PTMG2000:三菱化学社製ポリオキシテトラメチレングリコール(平均分子量2000)
1,4−BD:東京化成社製1,4−ブタンジオール
PMDA:東京化成社製ピロメリット酸・二無水物
BPDA:東京化成社製3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸・二無水物
[ゴルフボールの作製]
(1)センターの作製
表2に示す配合のセンター用ゴム組成物を混練し、半球状キャビティを有する上下金型内で170℃で15分間加熱プレスすることにより直径38.5mm、質量34.9gの球状のセンターを得た。
Figure 2007190287
ポリブタジエンゴム:JSR(株)製のBR730(ハイシスポリブタジエン)
アクリル酸亜鉛:日本蒸留製のZNDA−90S
酸化亜鉛:東邦亜鉛製の銀嶺R
ジクミルパーオキサイド:日本油脂製のパークミルD
ジフェニルジスルフィド:住友精化製
(2)中間層材料の配合
次に、表3に示した配合の中間層材料を、二軸混練型押出機によりミキシングして、ペレット状の中間層用組成物を調製した。押出は、スクリュー径45mm、スクリュー回転数200rpm、スクリューL/D=35で行った。配合物は、押出機のダイの位置で150〜230℃に加熱された。
Figure 2007190287
「ハイミラン1605」:三井デュポンポリケミカル社製のナトリムイオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂
「ハイミランAM7329」:三井デュポンポリケミカル社製の亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂
得られた中間層用組成物を上述のようにして得られたセンター上に射出成形して、センターと前記センターを被覆する中間層(厚み1.6mm)とを有するコアを作製した。
(3)カバー組成物の調製およびハーフシェルの成形
前述のようにして得られたポリウレタンを、表4に示したように、二軸混練型押出機によりミキシングして、ペレット状のカバー用組成物を調製した。押出条件は、スクリュー径45mm、スクリュー回転数200rpm、スクリューL/D=35であり、配合物は、押出機のダイの位置で200〜260℃に加熱された。得られたペレット状のカバー用組成物をハーフシェル成形用金型の下型の凹部ごとに1つづつ投入し、加圧してハーフシェルを成形した。圧縮成形は、成形温度170℃、成形時間5分間、および、成形圧力2.94MPaで行った。
(4)カバーの成形
(2)で得られたコアを(3)で得られた2枚のハーフシェルで同心円状に被覆して、圧縮成形によりカバー(厚み0.5mm)を成形した。圧縮成形は、成形温度150℃、成形時間2分、成形圧力9.8MPaで行った。
得られたゴルフボール本体の表面をサンドブラスト処理をして、マーキングを施した後、クリアーペイントを塗布し、40℃のオーブンで塗料を乾燥させ、直径42.7mm、質量45.3gのゴルフボールを得た。得られたゴルフボールについて、耐擦過傷性、耐久性、および、反発性などについて評価した結果を併せて表4に示した。
Figure 2007190287
ET890、XNY97A:BASFジャパン社製熱可塑性ポリウレタンエラストマー
ゴルフボールNo.1〜No.8は、カバーを有するゴルフボールであって、前記カバーを構成する樹脂成分が、イミド結合を有するポリウレタンを含有する場合である。いずれの場合も、イミド結合を含有しない従来の熱可塑性ポリウレタンをカバーに使用したゴルフボールNo.9〜No.12に比べて、耐擦過傷性、耐久性、および、反発性に優れていた。
本発明のゴルフボールは、耐擦過傷性、耐久性、および、反発性に優れる。

Claims (6)

  1. カバーを有するゴルフボールであって、前記カバーを構成する樹脂成分が、イミド結合を有するポリウレタンを含有することを特徴とするゴルフボール。
  2. 前記イミド結合を有するポリウレタンは、構成成分として酸無水物を有するものである請求項1に記載のゴルフボール
  3. 前記イミド結合を有するポリウレタンは、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと、テトラカルボン酸・二無水物を含む鎖長延長剤とを反応させてなるものである請求項1または2に記載のゴルフボール。
  4. 前記鎖長延長剤は、さらに低分子量のポリオールまたはポリアミンを含むものである請求項3に記載のゴルフボール。
  5. 前記酸無水物は、ピロメリット酸・二無水物である請求項2または3に記載のゴルフボール。
  6. 前記イミド結合を有するポリウレタンのスラブ硬度は、ショアD硬度で25〜55である請求項1〜5のいずれか一項に記載のゴルフボール。
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