JP2007189039A - トンネル型磁気検出素子及びその製造方法 - Google Patents

トンネル型磁気検出素子及びその製造方法 Download PDF

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昌彦 石曽根
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拓哉 清野
Kazumasa Nishimura
和正 西村
Akira Nakabayashi
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Abstract

【課題】 絶縁障壁層とホイスラー合金層との結晶配向性を調整することで、高い磁気抵抗変化率を得ることが可能なトンネル型磁気検出素子及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 ホイスラー合金層4c2は膜面に平行な方向に代表的に{110}面として表される等価な結晶面が優先配向し、前記ホイスラー合金層4c2上の絶縁障壁層5はMgOで形成され、前記絶縁障壁層5は膜面と平行な方向に代表的に{100}面あるいは{110}面として表される等価な結晶面が優先配向している。これにより、ホイスラー合金層4c2と絶縁障壁層5との格子整合性を向上させることができ、よってホイスラー合金層4c2/絶縁障壁層5の界面でのスピン分極率の向上、及び前記界面での元素拡散を抑制でき、従来に比べて抵抗変化率(ΔR/R)が高いトンネル型磁気検出素子を得ることが出来る。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えばハードディスク装置に搭載されたり、あるいはMRAM(磁気抵抗メモリ)として用いられるトンネル型磁気検出素子に係り、特に、高い磁気抵抗変化率を得ることが可能なトンネル型磁気検出素子及びその製造方法に関する。
下記特許文献1にはトンネル型磁気検出素子の発明が開示されている。この特許文献1には、絶縁障壁層(特許文献1には「非磁性スペーサ」と記載されている)にはAl、MgO、SiO、HfO、SrTiO等の酸化絶縁物が用いられていることが記載されている(特許文献1の[0192]欄)。
また第1の磁性層及び第2の磁性層の少なくともいずれかは、bcc型の結晶構造を有する材料からなり、その膜面が(110)面に略平行な方向に配向している点が記載されている(特許文献1の請求項15等)。
前記第1の磁性層や第2の磁性層にはハーフメタルであるホイスラー合金が用いられる。特許文献1の[0015]欄にも記載されているように、前記ハーフメタルを用いることで、理論上、抵抗変化率(ΔR/R)を無限大に出来るはずである。
特開2004−006589号公報
しかし、実際には高くて数十%の抵抗変化率(ΔR/R)しか得られなかった。このように従来では、ホイスラー合金が有するハーフメタル特性を十分に引き出すことが出来なかった。
その要因としては、ホイスラー合金層と絶縁障壁層との界面で格子整合が十分でなく(ミスフィット率が高い)、前記界面付近においてスピン分極率が低下していると考えられること、またAl等で形成された絶縁障壁層は大部分非晶質であり、前記絶縁障壁層と前記ホイスラー合金層との界面で元素拡散が生じ、前記絶縁障壁層やホイスラー合金層の膜質が劣化している等が挙げられる。
そして特許文献1には、特にホイスラー合金層と絶縁障壁層との界面で格子整合性を高めるための具体的手段は開示されていない。
そこで本発明は上記従来の課題を解決するものであり、特に、絶縁障壁層とホイスラー合金層との結晶配向性を調整することで、高い磁気抵抗変化率を得ることが可能なトンネル型磁気検出素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明におけるトンネル型磁気検出素子は、
下から第1強磁性層、絶縁障壁層、第2強磁性層の順に積層され、一方の前記強磁性層は、磁化が固定される固定磁性層で、他方の前記強磁性層は、磁化が外部磁界により変動するフリー磁性層であり、
前記第1強磁性層、あるいは、前記第2強磁性層、又は前記第1強磁性層及び前記第2強磁性層は前記絶縁障壁層に接して形成されるホイスラー合金層を有し、前記ホイスラー合金層は膜面に平行な方向に代表的に{110}面として表される等価な結晶面が優先配向し、
前記絶縁障壁層はMgOで形成され、前記絶縁障壁層は、膜面と平行な方向に代表的に{100}面として表される等価な結晶面、あるいは、膜面と平行な方向に代表的に{110}面として表される等価な結晶面が優先配向していることを特徴とするものである。
これにより、前記ホイスラー合金層と前記絶縁障壁層との格子整合性は向上し、ホイスラー合金層/絶縁障壁層界面でのスピン分極率の向上、及び界面での元素拡散を抑制でき、その結果、従来に比べて抵抗変化率(ΔR/R)を向上させることが出来る。
本発明では、前記絶縁障壁層は膜面と平行な方向に代表的に{100}面として表される等価な結晶面が優先配向していることが好ましい。これにより、前記ホイスラー合金層と前記絶縁障壁層との格子整合性はより効果的に向上させることができ、より高い抵抗変化率(ΔR/R)を得ることが可能である。
また本発明では、前記第1強磁性層が前記固定磁性層であり、前記第2強磁性層が前記フリー磁性層であり、少なくとも前記第1強磁性層は前記ホイスラー合金層を有することが好ましい。これによりMgOから成る前記絶縁障壁層の結晶配向性を適切に向上させることが可能である。
また本発明では、前記ホイスラー合金層は、XYZ又はXYZで表されるホイスラー型結晶構造を有する金属化合物によって形成されることが好ましい。
ただし前記XはCu、Co、Ni、Rh、Pt、Au、Pd、Ir、Ru、Ag、Zn、Cd、Feのうち1種または2種以上の元素であり、前記YはMn、Fe、Ti、V、Zr、Nb、Hf、Ta、Cr、Co、Niのうち1種または2種以上の元素であり、前記ZはAl、Sn、In、Sb、Ga、Si、Ge、Pb、Znのうち1種または2種以上の元素である。
特に、前記ホイスラー合金層は、組成式がXYZで表される金属化合物によって形成されることが好ましい。これにより、高いスピン分極率を得ることが出来る。
本発明は、下から第1強磁性層、絶縁障壁層、第2強磁性層の順に積層され、一方の前記強磁性層は、磁化が固定される固定磁性層で、他方の前記強磁性層は、磁化が外部磁界により変動するフリー磁性層であるトンネル型磁気検出素子の製造方法において、
(a) 前記第1強磁性層の少なくとも表面層として、膜面に平行な方向に代表的に{110}面として表される等価な結晶面が優先配向するホイスラー合金層を形成する工程、
(b) 前記ホイスラー合金層上にMgOターゲットを用いてMgOから成る絶縁障壁層をスパッタ形成する工程、
を有することを特徴とするものである。
上記の製造方法により、MgOから成る絶縁障壁層において、膜面と平行な方向に、代表的に{100}面として代表される等価な結晶面を優先配向させることが出来る。これにより前記第1強磁性層と前記絶縁障壁層との界面での格子整合性を向上させることが出来、従来より高い抵抗変化率(ΔR/R)を得ることが出来るトンネル型磁気検出素子を適切且つ簡単に製造することが可能になる。
また本発明は、下から第1強磁性層、絶縁障壁層、第2強磁性層の順に積層され、一方の前記強磁性層は、磁化が固定される固定磁性層で、他方の前記強磁性層は、磁化が外部磁界により変動するフリー磁性層であるトンネル型磁気検出素子の製造方法において、
(c) 前記第1強磁性層上にMgOターゲットを用いてMgOから成る絶縁障壁層をスパッタ形成する工程、
(d) 前記絶縁障壁層上に前記第2強磁性層の少なくとも一部として、膜面に平行な方向に代表的に{110}面として表される等価な結晶面が優先配向するホイスラー合金層を形成する工程、
を有することを特徴とするものである。
上記の製造方法により、MgOから成る絶縁障壁層において、膜面と平行な方向に、代表的に{100}面として代表される等価な結晶面を優先配向させることが出来る。これにより前記第2強磁性層と前記絶縁障壁層との界面での格子整合性を向上させることが出来、従来より高い抵抗変化率(ΔR/R)を得ることが出来るトンネル型磁気検出素子を適切且つ簡単に製造することが可能になる。
また本発明では、前記(c)工程よりも前に、
(e) 前記第1強磁性層の少なくとも表面層として、膜面に平行な方向に代表的に{110}面として表される等価な結晶面が優先配向するホイスラー合金層を形成する工程、を含むことが好ましい。
これにより、前記第1強磁性層と前記絶縁障壁層との界面での格子整合性を向上させることが出来る。上記発明では、前記第1強磁性層と前記絶縁障壁層との界面、及び前記第2強磁性層と前記絶縁障壁層との界面の双方での格子整合性を向上させることが可能になり、よって従来より、さらに高い抵抗変化率(ΔR/R)を得ることが出来るトンネル型磁気検出素子を適切且つ簡単に製造することが可能になる。
また本発明では、前記(b)工程、あるいは前記(c)工程に代えて、Mgターゲットを用いてMg層を形成した後、前記Mg層を酸化してMgOから成る絶縁障壁層を形成してもよい。
これにより、MgOから成る絶縁障壁層において、膜面と平行な方向に、代表的に{110}面として代表される等価な結晶面を優先配向させることが出来る。これにより前記第1強磁性層と前記絶縁障壁層との界面、あるいは、前記第2強磁性層と前記絶縁障壁層との界面、又は、前記第1強磁性層と前記絶縁障壁層との界面及び前記第2強磁性層と前記絶縁障壁層との界面での格子整合性を向上させることが出来、従来より高い抵抗変化率(ΔR/R)を得ることが出来るトンネル型磁気検出素子を適切且つ簡単に製造することが可能になる。
また本発明では、前記Mg層の形成後、前記Mg層を酸化する一連の工程を、複数回行うことが好ましい。これにより未酸化のMgを残すことなく、前記絶縁障壁層の全体をMgOで適切に形成することができる。
また本発明では、前記ホイスラー合金層を、XYZ又はXYZで表されるホイスラー型結晶構造を有する金属化合物によって形成することが好ましい。
ただし前記XはCu、Co、Ni、Rh、Pt、Au、Pd、Ir、Ru、Ag、Zn、Cd、Feのうち1種または2種以上の元素であり、前記YはMn、Fe、Ti、V、Zr、Nb、Hf、Ta、Cr、Co、Niのうち1種または2種以上の元素であり、前記ZはAl、Sn、In、Sb、Ga、Si、Ge、Pb、Znのうち1種または2種以上の元素である。
また前記ホイスラー合金層を、組成式がXYZで表される金属化合物によって形成することがより好ましい。
これにより、前記ホイスラー合金層のスピン分極率を高めることができ、従来より高い抵抗変化率(ΔR/R)を得ることが出来るトンネル型磁気検出素子を適切且つ簡単に製造することが可能になる。
本発明では、ホイスラー合金層と絶縁障壁層との格子整合性を向上させることができ、よってホイスラー合金層/絶縁障壁層の界面でのスピン分極率の向上、及び前記界面での元素拡散を抑制でき、その結果、従来に比べて抵抗変化率(ΔR/R)が高いトンネル型磁気検出素子を得ることが出来る。
図1は本実施形態のトンネル型磁気抵抗効果素子を備えた再生ヘッドを記録媒体との対向面と平行な方向から切断した断面図である。
トンネル型磁気抵抗効果素子は、例えばハードディスク装置に設けられた浮上式スライダのトレーリング側端部などに設けられて、ハードディスクなどの記録磁界を検出するものである。なお、図中においてX方向は、トラック幅方向、Y方向は、磁気記録媒体からの洩れ磁界の方向(ハイト方向)、Z方向は、ハードディスクなどの磁気記録媒体の移動方向及び前記トンネル型磁気抵抗効果素子の各層の積層方向、である。
図1の最も下に形成されているのは、例えばNiFe合金で形成された下部シールド層21である。前記下部シールド層21上に前記積層体T1が形成されている。なお前記トンネル型磁気抵抗効果素子は、前記積層体T1と、前記積層体T1のトラック幅方向(図示X方向)の両側に形成された下側絶縁層22、ハードバイアス層23、上側絶縁層24とで構成される。
前記積層体T1の最下層は、Ta,Hf,Nb,Zr,Ti,Mo,Wのうち1種または2種以上の元素などの非磁性材料で形成された下地層1である。この下地層1の上に、シード層2が設けられる。前記シード層2は、NiFeCrまたはCrによって形成される。前記シード層2をNiFeCrによって形成すると、前記シード層2は、面心立方(fcc)構造を有し、膜面と平行な方向に{111}面として表される等価な結晶面が優先配向しているものになる。また、前記シード層2をCrによって形成すると、前記シード層2は、体心立方(bcc)構造を有し、膜面と平行な方向に{110}面として表される等価な結晶面が優先配向しているものになる。なお、前記下地層1は形成されなくともよい。
前記シード層2の上に形成された反強磁性層3は、元素X(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうち1種または2種以上の元素である)とMnとを含有する反強磁性材料、又は、元素Xと元素X′(ただし元素X′は、Ne,Ar,Kr,Xe,Be,B,C,N,Mg,Al,Si,P,Ti,V,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Zr,Nb,Mo,Ag,Cd,Sn,Hf,Ta,W,Re,Au,Pb、及び希土類元素のうち1種または2種以上の元素である)とMnとを含有する反強磁性材料で形成される。例えば前記反強磁性的交換結合磁界強磁性層3は、IrMnやPtMnで形成される。
前記反強磁性層3上には固定磁性層(第1の強磁性層)4が形成されている。 前記固定磁性層4は、下から第1固定磁性層4a、非磁性中間層4b、第2固定磁性層4cの順で積層された積層フェリ構造である。前記反強磁性層3との界面での交換結合磁界及び非磁性中間層4bを介した反強磁性的交換結合磁界(RKKY的相互作用)により前記第1固定磁性層4aと第2固定磁性層4cの磁化方向は互いに反平行状態にされる。これは、いわゆる積層フェリ構造と呼ばれ、この構成により前記固定磁性層4の磁化を安定した状態にでき、また前記固定磁性層4と反強磁性層3との界面で発生する交換結合磁界を見かけ上大きくすることができる。
前記第1固定磁性層4aは、CoFe、NiFe,CoFeNiなどの強磁性材料で形成されている。また非磁性中間層4bは、Ru、Rh、Ir、Cr、Re、Cuなどの非磁性導電材料で形成される。
前記第2固定磁性層4cは、強磁性層4c1と、ホイスラー合金層4c2との積層構造で形成される。前記強磁性層4c1は、前記第1固定磁性層4aと同様に、CoFe、NiFe,CoFeNiなどの強磁性材料で形成される。
ホイスラー合金とは、ホイスラー型結晶構造を有する金属化合物の総称であり、組成によって強磁性を示す。ホイスラー合金は、スピン分極率が大きい金属であり、伝導電子のほとんどが、アップスピン電子またはダウン電子のいずれか一方のみからなるハーフメタルである。
前記ホイスラー合金層4c2は、XYZ又はXYZで表されるホイスラー型結晶構造を有する金属化合物によって形成されることが好ましい。ただし前記XはCu、Co、Ni、Rh、Pt、Au、Pd、Ir、Ru、Ag、Zn、Cd、Feのうち1種または2種以上の元素であり、前記YはMn、Fe、Ti、V、Zr、Nb、Hf、Ta、Cr、Co、Niのうち1種または2種以上の元素であり、前記ZはAl、Sn、In、Sb、Ga、Si、Ge、Pb、Znのうち1種または2種以上の元素である。
前記ホイスラー合金層4c2がXYZで表されるホイスラー型結晶構造を有する金属化合物によって形成されるとき、例えば前記ホイスラー合金層4c2は、NiMnSb、CoMnSb、PdMnSb、PtMnSb等で形成される。また、前記ホイスラー合金層4c2が、XYZで表されるホイスラー型結晶構造を有する金属化合物によって形成されるとき、例えば前記ホイスラー合金層4c2は、CoFeAl、CoFeSi,CoFeGa、CoFeGe、CoMnAl、CoMnSi、CoMnGa、CoMnGe、CoMnSnで形成される。
好ましくは、前記ホイスラー合金層4c2は、組成式がXYZで表される金属化合物によって形成されることである。
元素XにはCoが選択されることが好ましい。元素YにはMnあるいはFeが選択されることが好ましい。一例を示すと前記ホイスラー合金層4c2は、CoFeAl、CoMnGe、CoMnSi等である。
前記固定磁性層4上に形成された絶縁障壁層5は、MgOで形成される。
前記絶縁障壁層5上には、フリー磁性層(第2の強磁性層)6が形成されている。前記フリー磁性層6は、NiFe合金等の磁性材料で形成される軟磁性層6bと、前記軟磁性層6bと前記絶縁障壁層5との間に例えばCoFe合金からなるエンハンス層6aとで構成される。前記軟磁性層6bは、軟磁気特性に優れた磁性材料で形成されることが好ましく、前記エンハンス層6aは、前記軟磁性層6aよりもスピン分極率の大きい磁性材料で形成されることが好ましい。CoFe合金等のスピン分極率の大きい磁性材料で前記エンハンス層6aを形成することで、抵抗変化率(ΔR/R)を向上させることができる。
なお前記フリー磁性層6は、複数の磁性層が非磁性中間層を介して積層された積層フェリ構造であってもよい。また前記フリー磁性層6のトラック幅方向(図示X方向)の幅寸法でトラック幅Twが決められる。
前記フリー磁性層6上にはTa等の非磁性導電材料で形成された保護層7が形成されている。
図1に示すように、前記積層体T1のトラック幅方向(図示X方向)における両側端面11,11は、下側から上側に向けて徐々に前記トラック幅方向の幅寸法が小さくなるように傾斜面で形成されている。
図1に示すように、前記積層体T1の両側に広がる下部シールド層21上から前記積層体T1の両側端面11上にかけて下側絶縁層22が形成され、前記下側絶縁層22上にハードバイアス層23が形成され、さらに前記ハードバイアス層23上に上側絶縁層24が形成されている。
前記下側絶縁層22と前記ハードバイアス層23間にバイアス下地層(図示しない)が形成されていてもよい。前記バイアス下地層は例えばCr、W、Tiで形成される。
前記絶縁層22,24はAlやSiO等の絶縁材料で形成されたものであり、前記積層体T1内を各層の界面と垂直方向に流れる電流が、前記積層体T1のトラック幅方向の両側に分流するのを抑制すべく前記ハードバイアス層23の上下を絶縁するものである。前記ハードバイアス層23は例えばCo−Pt(コバルト−白金)合金やCo−Cr−Pt(コバルト−クロム−白金)合金などで形成される。
前記積層体T1上及び上側絶縁層24上にはNiFe合金等で形成された上部シールド層26が形成されている。
図1に示す実施形態では、前記下部シールド層21及び上部シールド層26が前記積層体T1に対する電極層として機能し、前記積層体T1の各層の膜面に対し垂直方向(図示Z方向と平行な方向)に電流が流される。
前記フリー磁性層6は、前記ハードバイアス層23からのバイアス磁界を受けてトラック幅方向(図示X方向)と平行な方向に磁化されている。一方、固定磁性層4を構成する第1固定磁性層4a及び第2固定磁性層4cはハイト方向(図示Y方向)と平行な方向に磁化されている。前記固定磁性層4は積層フェリ構造であるため、第1固定磁性層4aと第2固定磁性層4cはそれぞれ反平行に磁化されている。前記固定磁性層4は磁化が固定されている(外部磁界によって磁化変動しない)が、前記フリー磁性層6の磁化は外部磁界により変動する。
前記フリー磁性層6が、外部磁界により磁化変動すると、第2固定磁性層4cとフリー磁性層との磁化が反平行のとき、前記第2固定磁性層4cとフリー磁性層6との間に設けられた絶縁障壁層5を介してトンネル電流が流れにくくなって、抵抗値は最大になり、一方、前記第2固定磁性層4cとフリー磁性層6との磁化が平行のとき、最も前記トンネル電流は流れ易くなり抵抗値は最小になる。
この原理を利用し、外部磁界の影響を受けてフリー磁性層6の磁化が変動することにより、変化する電気抵抗を電圧変化としてとらえ、記録媒体からの洩れ磁界が検出されるようになっている。
図1の実施形態における特徴的部分は、前記第2固定磁性層4cの表面層としてホイスラー合金層4c2が形成され、前記ホイスラー合金層4c2は、膜面(図示X−Y面)に平行な方向に代表的に{110}面として表される等価な結晶面が優先配向し、前記ホイスラー合金層4c2上に接して形成される絶縁障壁層5はMgOで形成され、前記絶縁障壁層5は、膜面(図示X−Y面)に平行な方向に代表的に{100}面あるいは{110}面として表される等価な結晶面が優先配向している点である。
ここで「代表的に{110}面として表される結晶面」とは、ミラー指数を用いて表した結晶格子面を示し、前記{110}面として表される等価な結晶面としては、(110)面、(−110)面、(1−10)面(−1−10)面、(101)面、(−101)面、(10−1)面、(−10−1)面、(011)面、(0−11)面、(01−1)面、(0−1−1)面が存在する。
また「代表的に{100}面として表される結晶面」とは、ミラー指数を用いて表した結晶格子面を示し、前記{100}面として表される等価な結晶面としては、(100)面、(−100)面、(010)面(0−10)面、(001)面、(00−1)面が存在する。
図3は、XYZあるいはXYZで表されるホイスラー合金の結晶構造を示し、図4はMgOの結晶構造を示す。図3に示すホイスラー合金を構成する元素Xには例えばCoが、元素YにはMnが選択されている。
図3に示すCoMnZのホイスラー合金の(100)面及び(110)面を、各面に対し垂直方向から見ると、図5(a)(b)のように見える。図5(a)は、CoMnZの(001)面[(100)面と等価な面]の原子配列、図5(b)は、CoMnZの(110)面の原子配列の模式図である。
次に図4に示すMgOの(100)面、(110)面、(111)面を各面に対し垂直方向から見ると、図6(a)(b)(c)のように見える。図6(a)は、MgOの(001)面[(100)面と等価な面]の原子配列、図6(b)は、MgOの(110)面の原子配列、図6(c)は、MgOの(111)面の原子配列の模式図である。
前記ホイスラー合金層4c2は、図3に示すように体心立方構造(bcc構造)であり、膜面(図示X−Y面)と平行な方向には、最稠密面である{110}面が優先配向する。
前記ホイスラー合金層4c2上に形成されるMgOから成る絶縁障壁層5は図6(a)(b)(c)に示す{100}面、{110}面あるいは{111}面のいずれかが膜面(図示X−Y面)と平行な方向に優先配向する。
図7は、図5(b)に示すCoMnZの(110)面上に、図6(a)に示すMgOの(001)面が重ねられた状態を真上から見たときの原子配列の模式図である。
なお図7では、図5(b)に示す紙面左上のCo原子上の中心に、図6(a)に示す紙面左上のO原子を重ね合わせるとともに、CoMnZの[001]方向とMgOの[010]方向、及びCoMnZの[−110]方向とMgOの[100]方向とを、夫々一致させている。すなわち、CoMnZの代表的に<100>として表される等価な結晶方向の一つと、MgOの代表的に<100>として表される等価な結晶方向の一つとを、膜面と平行方向にて一致させるとともに、CoMnZの代表的に<110>として表される等価な結晶方向の一つと、MgOの代表的に<100>として表される等価な結晶方向の一つを膜面と平行方向にて一致させている。これはエネルギー的に安定するため実際の原子配列においても、CoMnZ及びMgOの結晶方向はほぼ上記のように一致していると推測される。
図7に示す丸で囲った箇所が、CoMnZ側の原子と、MgO側の原子とが膜厚方向にて概ね重なり合っている箇所である。
図8(a)(b)は、図5(b)に示すCoMnZの(110)面上に、図6(b)に示すMgOの(110)面が重ねられた状態を真上から見たときの原子配列の模式図である。
なお図8(a)では、図6(b)に示すMgOの(110)面を紙面垂直方向を回転軸として90度回転させた状態で、図5(b)に示す紙面左上のCo原子上の中心に、その回転させられたMgOの一つのO原子を重ね合わせるとともに、CoMnZの[001]方向とMgOの[−110]方向、及びCoMnZの[−110]方向とMgOの[00−1]方向とを、夫々一致させている。すなわち、CoMnZの代表的に<100>として表される等価な結晶方向の一つと、MgOの代表的に<110>として表される等価な結晶方向の一つとを、膜面と平行方向にて一致させるとともに、CoMnZの代表的に<110>として表される等価な結晶方向の一つと、MgOの代表的に<100>として表される等価な結晶方向の一つと膜面とを膜面と平行方向にて一致させている。
図8(b)では、図5(b)に示す紙面左上のCo上の中心に、図6(b)の向きにされたMgOの紙面左上のO原子を重ね合わせるとともに、CoMnZの[001]方向とMgOの[001]方向、及びCoMnZの[−110]方向とMgOの[−110]方向とを、夫々一致させている。すなわち、CoMnZの代表的に<100>として表される等価な結晶方向の一つと、MgOの代表的に<100>として表される等価な結晶方向の一つとを、膜面と平行方向にて一致させるとともに、CoMnZの代表的に<110>として表される等価な結晶方向の一つと、MgOの代表的に<110>として表される等価な結晶方向の一つを膜面と平行方向にて一致させている。なお実際の原子配列においてもエネルギー的に安定しやすい図8(a)(b)のどちらかの原子配列になりやすいものと推測される。
なお図8(a)(b)のように2種類の接合パターンが存在する理由は、図8(a)のようにCoMnZの(110)面上に、MgOの(110)面を重ねたときと、図8(b)のように図8(a)の状態から前記MgOの(110)面を紙面垂直方向を回転軸として90度回転させたときとでは、図7の場合と違って膜厚方向におけるCoMnZの(110)面とMgOの(110)面との原子配置が相対的に異なるためである。
なおMgOの(110)面が膜面と平行な方向に優先配向する場合は、図8(a)の原子配列、及び図8(b)の原子配列が混在するものと推測される。
図8(a)(b)に示す丸で囲った箇所が、CoMnZ側の原子と、MgO側の原子とが膜厚方向にて概ね重なり合っている箇所である。
次に図9(a)(b)は、図5(b)に示すCoMnZの(110)面上に、図6(c)に示すMgOの(111)面が重ねられた状態を真上から見たときの原子配列の模式図である。
なお図9(a)では、図6(c)に示すMgOの(111)面を紙面垂直方向を回転軸として90度回転させた状態で、図5(b)に示す紙面左上のCo原子上の中心に、その回転させられたMgOの一つのMg原子を重ね合わせるとともに、CoMnZの[001]方向とMgOの[01−1]方向、及びCoMnZの[−110]方向とMgOの[2−1―1]方向とを、夫々一致させている。
図9(b)では、図5(b)に示す紙面左上のCo上の中心に、図6(c)の向きにされたMgOの紙面左上のMg原子を重ね合わせるとともに、CoMnZの[001]方向とMgOの[−211]方向、及びCoMnZの[−110]方向とMgOの[01−1]方向とを、夫々一致させている。
なお図9(a)(b)のように2種類の接合パターンが存在する理由は、図9(a)のように、CoMnZの(110)面上に、MgOの(111)面を重ねたときと、図9(b)のように図9(a)の状態から前記MgOの(110)面を紙面垂直方向を回転軸として90度回転させるときとでは、図7の場合と違って膜厚方向におけるCoMnZの(110)面とMgOの(111)面との原子配置が相対的に異なるためである。
なおMgOの(111)面が膜面と平行な方向に優先配向する場合は、図9(a)の原子配列、及び図9(b)の原子配列が混在するものと推測される。
図9(a)(b)に示す丸で囲った箇所が、CoMnZ側の原子と、MgO側の原子とが膜厚方向にて概ね重なり合っている箇所である。
図7〜図9の原子配列のうち、ホイスラー合金とMgOとの界面での格子整合性が高い(ミスフィット率が小さい)状態は図7あるいは図8(a)であることがわかる。
ホイスラー合金の格子定数とMgOの格子定数はかなり異なっている(ホイスラー合金の格子定数は材質により異なるが、CoMnZ、CoFeZ、XMnSbで、概ね5.5Å〜6.3Åの範囲内、MgOの格子定数は概ね4.2Å)が、図7,図8(a)の原子配列では、ホイスラー合金側の原子と、MgO側の原子の位置が数個置きに膜厚方向にてほぼ一致し、前記ホイスラー合金とMgOとの界面では比較的多くの整合箇所が存在している。
一方、図8(b)の原子配列では、図7,図8(a)に比較して、ホイスラー合金側の原子と、MgO側の原子の膜厚方向における重なりは少なく、前記ホイスラー合金とMgOとの界面での格子整合性は低くなる。
最も格子整合性の悪い状態は、図9(a)(b)の原子配列である。
よって格子整合性をより効果的に向上させるもっとも好ましい形態は、図7のように、ホイスラー合金では、膜面と平行な方向に{110}面が優先配向し、MgOでは、膜面と平行な方向に{100}面が優先配向する原子配列である。
一方、MgOの膜面と平行な方向に{110}面を優先配向させた図8の原子配列では、整合性の悪い図8(b)の原子配列のみならず図8(a)の結晶性のよい原子配列も混在すると考えられることから、図7の次に好ましい形態は、ホイスラー合金では、膜面と平行な方向に{110}面が優先配向し、MgOでは、膜面と平行な方向に{110}面が優先配向する原子配列である。あるいは、ホイスラー合金では、膜面と平行な方向に{110}面が優先配向し、MgOでは、膜面と平行な方向に{100}面の優先配向部分と{110}面の優先配向部分とが混在する原子配列である。
本実施形態では、図1に示すホイスラー合金層4c2は、膜面と平行な方向に{110}面が優先配向し、絶縁障壁層5を構成するMgOは、膜面と平行な方向に{100}面、あるいは{110}面が優先配向している。これにより、前記ホイスラー合金層4c2と前記絶縁障壁層5との界面での格子整合性は向上し、前記界面でのスピン分極率は向上する。
また図1に示すトンネル型磁気検出素子の形成過程において熱処理が施されるが、前記熱処理により、MgOの規則格子化が促進されて安定した結晶質状態となり、適切に前記ホイスラー合金層4c2との界面での格子整合性が促進されるととともに、前記熱処理を施しても、前記界面での元素拡散を従来に比べて適切に抑制できる。
よって本実施形態のトンネル型磁気検出素子では、従来に比べて抵抗変化率(ΔR/R)を向上させることが可能になる。
本実施形態では、前記絶縁障壁層5は膜面と平行な方向に代表的に{100}面として表される等価な結晶面が優先配向していることが好ましい。図7で説明したように前記ホイスラー合金層4c2と前記絶縁障壁層5との界面での格子整合性をより効果的に高めることができ、より適切に抵抗変化率(ΔR/R)を向上させることが可能になる。
図1に示す実施形態では、前記第2固定磁性層4cが2層構造で形成され、非磁性中間層4bと接する側に強磁性層4c1が形成されている。前記第2固定磁性層4cが全てホイスラー合金で形成される場合に比べて、前記第1固定磁性層4aと前記第2固定磁性層4c間に作用するRKKY相互作用を高めることができ安定したフェリ磁性状態を保ち得る。
また前記フリー磁性層6には前記絶縁障壁層5と接するエンハンス層6aに、、膜面と平行な方向に代表的に{110}面として表される等価な面が優先配向するホイスラー合金層が形成されていることが好適である。これによって、前記フリー磁性層6と前記絶縁障壁層5との界面でのスピン分極率を高めることができ、よってより効果的に抵抗変化率(ΔR/R)を向上させることが可能になる。
また、前記ホイスラー合金層4c2は、組成式がXYZで表される金属化合物によって形成されることが好ましい。なお前記XはCu、Co、Ni、Rh、Pt、Au、Pd、Ir、Ru、Ag、Zn、Cd、Feのうち1種または2種以上の元素であり、前記YはMn、Fe、Ti、V、Zr、Nb、Hf、Ta、Cr、Co、Niのうち1種または2種以上の元素であり、前記ZはAl、Sn、In、Sb、Ga、Si、Ge、Pb、Znのうち1種または2種以上の元素である。これにより前記ホイスラー合金層4c2のスピン分極率をより効果的に高めることができる。しかも前記絶縁障壁層5との界面での格子整合性をより向上させることができる(ミスフィット率を小さくできる)ため、より効果的に抵抗変化率(ΔR/R)を向上させることが出来る。
なお図1において、前記固定磁性層4に前記ホイスラー合金層4c2は設けられておらず、前記フリー磁性層6にのみ前記ホイスラー合金層が形成されている形態も本実施形態の一態様である。
またMgOから成る絶縁障壁層5の膜質(配向性)の向上のためには前記ホイスラー合金層をMgOの直下に設けることが好ましい。
図2は、第2の実施形態のトンネル型磁気抵抗効果素子を備えた再生ヘッドを記録媒体との対向面と平行な方向から切断した断面図である。なお図1と同じ符号が付けられている層は図1と同じ層を示している。
図2では前記トンネル型磁気検出素子はデュアル型となっている。すなわち、前記トンネル型磁気検出素子を構成する積層体T2は、下から、下地層1、シード層2、下側反強磁性層30、下側固定磁性層31、下側絶縁障壁層32、フリー磁性層33、上側絶縁障壁層34、上側固定磁性層35、上側反強磁性層36、及び保護層37の順に積層されている。
前記下側固定磁性層31は、下から下側第1固定磁性層31a、下側非磁性中間層31b、下側第2固定磁性層31cの順に積層された積層フェリ構造である。さらに前記下側第2固定磁性層31cは、強磁性層31c1とホイスラー合金層31c2との積層構造で形成される。
前記上側固定磁性層35は、下から上側第2固定磁性層35c、上側非磁性中間層35b、上側第1固定磁性層35aの順に積層された積層フェリ構造である。さらに前記上側第2固定磁性層35cは、ホイスラー合金層35c2と強磁性層35c1との積層構造で形成される。
前記フリー磁性層33は、エンハンス層33a/軟磁性層33b/エンハンス層33cの順に積層されている。
図2に示す実施形態では、前記下側絶縁障壁層32及び前記上側絶縁障壁層34はMgOで形成されており、膜面と平行な方向に代表的に{100}面あるいは{110}面として表される等価な結晶面が優先配向している。さらに絶縁障壁層32,34に接する前記ホイスラー合金層31c2,35c2は、XYZ又はXYZで表されるホイスラー型結晶構造を有する金属化合物によって形成され、膜面と平行な方向に代表的に{100}面あるいは{110}面として表される等価な結晶面が優先配向している。なお前記XはCu、Co、Ni、Rh、Pt、Au、Pd、Ir、Ru、Ag、Zn、Cd、Feのうち1種または2種以上の元素であり、前記YはMn、Fe、Ti、V、Zr、Nb、Hf、Ta、Cr、Co、Niのうち1種または2種以上の元素であり、前記ZはAl、Sn、In、Sb、Ga、Si、Ge、Pb、Znのうち1種または2種以上の元素である。
これにより、前記ホイスラー合金層31c2、35c2と前記絶縁障壁層32,34との界面での格子整合性は向上し、前記界面でのスピン分極率は向上する。図2に示すトンネル型磁気検出素子の形成過程において熱処理が施されるが、前記熱処理により、MgOの規則格子化が促進されて安定した結晶質状態となり、適切に前記ホイスラー合金層31c2,35c2との界面での格子整合性が促進されるととともに、前記熱処理を施しても、前記界面での元素拡散を従来に比べて適切に抑制できる。
以上により本実施形態のトンネル型磁気検出素子では、従来に比べて抵抗変化率(ΔR/R)を向上させることが可能になる。
なお前記フリー磁性層33を構成するエンハンス層33a,33cの少なくとも一方が前記ホイスラー合金層で形成されていることが好ましい。より好ましくは両方の前記エンハンス層33a,33cが前記ホイスラー合金層で形成されていることである。
なお図2の実施形態において、前記下側固定磁性層31の最上層、前記上側固定磁性層35の最下層、前記フリー磁性層の最上層、前記フリー磁性層の最下層のうち少なくともいずれか一つの層に前記ホイスラー合金層が形成されている形態も本実施形態の一態様であるが、少なくとも、MgOで形成され{100}面あるいは{110}面が優先配向した下側絶縁障壁層32の上下のいずれかに前記ホイスラー合金層が形成されるとともに、MgOで形成され{100}面あるいは{110}面が優先配向した上側絶縁障壁層36の上下のいずれかに前記ホイスラー合金層が形成される形態であることが適切に抵抗変化率(ΔR/R)を向上させる上で好ましい。
本実施形態のトンネル型磁気検出素子の製造方法について説明する。なお各層の材質については図1で説明したのでそちらを参照されたい。
図1に示す実施形態では、下部シールド層21上に、下地層1、シード層2、反強磁性層3、第1固定磁性層4a、非磁性中間層4b、第2固定磁性層4cを構成する強磁性層4c1、ホイスラー合金層4c2を連続して同真空中にてスパッタ成膜する。
前記ホイスラー合金層4c2は、体心立方(bcc)構造を有しており膜面(図示X−Y面)と平行な方向に代表的に{110}面として表される結晶面が優先配向する。
ここで、「代表的に{110}面として表される結晶面」としては、ミラー指数を用いて表した結晶格子面を示し、前記{110}面として表される等価な結晶面としては、(110)面、(−110)面、(1−10)面(−1−10)面、(101)面、(−101)面、(10−1)面、(−10−1)面、(011)面、(0−11)面、(01−1)面、(0−1−1)面が存在する。
前記ホイスラー合金層4c2を、XYZ又はXYZで表されるホイスラー型結晶構造を有する金属化合物によって形成することが好ましい。ただし前記XはCu、Co、Ni、Rh、Pt、Au、Pd、Ir、Ru、Ag、Zn、Cd、Feのうち1種または2種以上の元素であり、前記YはMn、Fe、Ti、V、Zr、Nb、Hf、Ta、Cr、Co、Niのうち1種または2種以上の元素であり、前記ZはAl、Sn、In、Sb、Ga、Si、Ge、Pb、Znのうち1種または2種以上の元素である。
これにより、前記ホイスラー合金層4c2では、膜面(図示X−Y面)と平行な方向に代表的に{110}面として表される結晶面を適切に優先配向させることが出来る。
好ましくは、前記ホイスラー合金層4c2を、組成式がXYZで表される金属化合物によって形成する。これにより、前記ホイスラー合金層4c2のスピン分極率を高めることができる。
次に前記同真空中にて、前記ホイスラー合金層4c2の上に、MgOからなる絶縁障壁層5をスパッタ成膜する。本実施形態では、MgOターゲットをRFスパッタすることによってMgOからなる絶縁障壁層5を形成することが好ましい。これにより前記MgOから成る絶縁障壁層5では、膜面(図示X−Y面)と平行な方向に代表的に{100}面として表される結晶面を適切に優先配向させることが出来る。ここで、「代表的に{100}面として表される結晶面」としては、ミラー指数を用いて表した結晶格子面を示し、前記{100}面として表される等価な結晶面としては、(100)面、(−100)面、(010)面、(0−10)面、(001)面、(00−1)面が存在する。
前記絶縁障壁層5を所定膜厚まで形成した後、前記絶縁障壁層5上に、フリー磁性層6、及び保護層7を前記同真空中でスパッタ成膜する。このように前記下部シールド層21上に下地層1から保護層7までの積層体T1を前記同真空中にてスパッタ成膜する。
次に磁場中熱処理を施す。磁場をハイト方向(図示Y方向)に向けて行う。これにより前記固定磁性層4を構成する第1固定磁性層4aと前記第2固定磁性層4cとをハイト方向と平行な方向で且つ互いに逆方向に向くように磁化固定できる。
この磁場中熱処理により、前記ホイスラー合金層4c2層との界面においてMgOからなる絶縁障壁層5の原子の規則格子化を促進させて結晶質化を促進させることができ、前記界面での格子整合性が高まるとともに、前記界面での元素拡散を最小限に抑えることができる。
そして図1に示すように、前記積層体T1をトラック幅方向(図示X方向)の幅寸法が下から上に向かうにしたがって徐々に小さくなる略台形状にエッチング加工し、その後、前記積層体T1のトラック幅方向(図示X方向)の両側に下から下側絶縁層22、ハードバイアス層23、上側絶縁層24の順に積層し、さらに前記保護層7上及び前記上側絶縁層24上に上部シールド層26を形成する。
上記した製造方法では、MgOからなる絶縁障壁層5を形成するにあたり、MgOターゲットを用いて前記絶縁障壁層5を形成した点に特徴的部分がある。これにより上記したように前記絶縁障壁層5では、膜面と平行な方向に代表的に{100}面として表される結晶面を適切に優先配向させることが出来、前記ホイスラー合金層4c2との原子配列の関係を図7で示した状態に出来る。
したがって前記絶縁障壁層5と前記ホイスラー合金層4c2との界面での格子整合性を向上させることができ(ミスフィット率を低下させることができ)、前記界面でのスピン分極率を向上させることができ、また前記絶縁障壁層5の膜質を向上させることができ、抵抗変化率(ΔR/R)を高く出来るトンネル型磁気検出素子を適切且つ簡単な方法で製造することが出来る。
あるいは前記絶縁障壁層5を形成するときに、Mgターゲットを用い、前記MgターゲットをDCスパッタすることによって、前記ホイスラー合金層4c2の上にMg層を所定膜厚で成膜した後、前記Mg層を自然酸化させてMgOから成る前記絶縁障壁層5を形成してもよい。かかる場合、前記絶縁障壁層5では、膜面と平行な方向に代表的に{110}面として表される結晶面を適切に優先配向させることが出来る。なお前記Mg層を前記絶縁障壁層5としての膜厚まで形成した後、酸化させるとMg層の下層付近に未酸化のMg層が残りやすいので、薄い膜厚で前記Mg層を成膜した後、前記Mg層を自然酸化し、このような工程を複数回繰り返して、前記絶縁障壁層5としての膜厚まで形成することが好ましい。
なお、さらにフリー磁性層6に前記ホイスラー合金層を形成する場合は、前記絶縁障壁層5を形成した後、前記フリー磁性層6としてのホイスラー合金層をスパッタ成膜すればよい。また、前記フリー磁性層6にのみ前記ホイスラー合金層を形成し、前記固定磁性層4側にホイスラー合金層を形成しない場合は、前記固定磁性層4を形成した後、上記した2つの方法のいずれかを用いてMgOから成る絶縁障壁層5を形成し、前記絶縁障壁層5上にフリー磁性層6としてのホイスラー合金層を形成する(例えば図1に示すエンハンス層6aを前記ホイスラー合金層として形成する)。その他の部分の製造は上記で説明したとおりである。
なお図1の実施形態では、下からフリー磁性層(第1強磁性層)6、絶縁障壁層5、固定磁性層(第2強磁性層)4、反強磁性層3の順に積層されていてもよい。かかる場合、前記フリー磁性層6の最表層、あるいは、前記固定磁性層4の最下層、又は、前記フリー磁性層6の最表層及び前記固定磁性層4の最下層に前記ホイスラー合金層が設けられる。
また本実施形態のトンネル型磁気検出素子は、MRAM(磁気抵抗メモリ)として用いられてもよい。
MgOから成る絶縁障壁層を異なる製造方法で形成した2種類のトンネル型磁気検出素子を製造した。前記トンネル型磁気検出素子を構成する積層体T1の基本膜構成は、下から、
下地層:Ta(70)/反強磁性層:PtMn(180)/固定磁性層[第1固定磁性層:Co90at%Fe10at%/非磁性中間層:Ru(9.1)/第2固定磁性層:Fe40at%Co60at%/CoMnAl(20)]/絶縁障壁層:MgO/フリー磁性層[Co90at%Fe10at%(15)/Ni81.5at%Fe18.5at%(25)]/保護層:Ta(200)
なお括弧内の数値は膜厚を示しており、単位はÅである。なお上記基本膜構成に対し270℃の熱処理を3.5時間行った。
(第1のトンネル型磁気検出素子)
MgOターゲットを用い、RFスパッタによりMgOからなる前記絶縁障壁層を8.5Åの膜厚で形成した。成膜条件としては、スパッタ装置に供給される電力を600Wとし、Arガスの圧力を8×10−2Paとし、またターゲットと基板間の距離を145mmとして常温成膜し、その後、上記した熱処理を施した。
(第2のトンネル型磁気検出素子)
Mgターゲットを用い、DCスパッタによりMg層を3Å成膜した後、自然酸化させてMgO層を形成し、この一連の工程を2回繰り返した。成膜条件としては、スパッタ装置に供給される電力を25Wとし、Arガスの圧力を3×10−2Paとし、またターゲットと基板間の距離を260mmとして常温成膜し、その後、上記した熱処理を施した。
上記により製造された第1のトンネル型磁気検出素子及び第2のトンネル型磁気検出素子を図1のように記録媒体との対向面と平行な方向から切断し、その切断面に現れる絶縁障壁層に対し、前記対向面と垂直方向(図示Y方向)へ電子線(ビーム)を入射した。
図10(a)は、第1のトンネル型磁気検出素子の絶縁障壁層の透過電子線回折像、図10(b)は、第2のトンネル型磁気検出素子の絶縁障壁層の透過電子線回折像である。透過電子線回折像とは、対象物に電子線を入射し透過させたときに、電子線の散乱によって起こる回折現象を示す像である。
図10(a)(b)のほぼ中心にビーム原点があり、その周囲に、結晶面を表す逆格子点に対応した回折斑点が現れる。各回折斑点は回折斑点パターンを解析することによって、図10(a)、(b)に示すように指数付けすることができ、図10(a)では、面心立方(fcc)構造を有するMgO層(絶縁障壁層)が前記ホイスラー合金層との界面に平行な方向に代表的に{100}面として表される結晶面が優先配向した状態で成膜されることがわかった。また図10(b)では、面心立方(fcc)構造を有するMgO層(絶縁障壁層)が前記ホイスラー合金層との界面に平行な方向に代表的に{110}面として表される結晶面が優先配向した状態で成膜されることがわかった。
次に、上記した第1のトンネル型磁気検出素子と、第2のトンネル型磁気検出素子の夫々の抵抗変化率(ΔR/R)を測定した。実験では、多数個のトンネル型磁気検出素子を製造し、各トンネル型磁気検出素子から得られた抵抗変化率(ΔR/R)の平均値を求めた。
図11に示すように、どちらのトンネル型磁気検出素子においても100%以上の抵抗変化率(ΔR/R)が得られることがわかった。
図11に示すように第1のトンネル型磁気検出素子のほうが、第2のトンネル型磁気検出素子よりも高い抵抗変化率(ΔR/R)を得られることがわかった。第1のトンネル型磁気検出素子では、絶縁障壁層としてMgOの{100}面を膜面と平行に優先配向させているが、図7で説明したようにホイスラー合金層との格子整合性が、第2のトンネル型磁気検出素子よりも向上したことで、前記絶縁障壁層とホイスラー合金層との界面でのスピン分極率を高くでき、これにより、高い抵抗変化率(ΔR/R)が得られたものと考えられる。
本実施形態のトンネル型磁気抵抗効果素子を備えた再生ヘッドを記録媒体との対向面と平行な方向から切断した断面図、 図1とは異なる実施形態のトンネル型磁気検出素子を備えた再生ヘッドを記録媒体との対向面と平行な方向から切断した断面図、 YZあるいはXYZで表されるホイスラー合金の結晶構造を示す模式図、 MgOの結晶構造を示す模式図、 (a)は、CoMnZの(001)面の原子配列、(b)は、CoMnZの(110)面の原子配列を示す模式図、 (a)は、MgOの(001)面の原子配列、(b)は、MgOの(110)面の原子配列、(c)は、MgOの(111)面の原子配列を示す模式図、 図5(b)に示すCoMnZの(110)面上に、図6(a)に示すMgOの(100)面が重ねられた状態を真上から見たときの原子配列の模式図、 図5(b)に示すCoMnZの(110)面上に、図6(b)に示すMgOの(110)面が重ねられた状態を真上から見たときの原子配列の模式図、 図5(b)に示すCoMnZの(110)面上に、図6(c)に示すMgOの(111)面が重ねられた状態を真上から見たときの原子配列の模式図、 (a)は、MgOから成る絶縁障壁層の{100}面が膜面と平行な方向に優先配向した第1のトンネル型磁気検出素子の前記絶縁障壁層の透過電子線回折像、図10(b)は、MgOから成る絶縁障壁層の{110}面が膜面と平行な方向に優先配向した第2のトンネル型磁気検出素子の絶縁障壁層の透過電子線回折像、 第1のトンネル型磁気検出素子及び第2のトンネル型磁気検出素子の磁気抵抗変化率(ΔR/R)を示したグラフ。
符号の説明
3、30、36 反強磁性層
4、31、35 固定磁性層
4a、31a、35a 第1固定磁性層
4b、31b、35b 非磁性中間層
4c、31c、35c 第2固定磁性層
4c2、31c2、35c2 ホイスラー合金層
5、32、34 非磁性材料層
6、33 フリー磁性層
7、37 保護層

Claims (12)

  1. 下から第1強磁性層、絶縁障壁層、第2強磁性層の順に積層され、一方の前記強磁性層は、磁化が固定される固定磁性層で、他方の前記強磁性層は、磁化が外部磁界により変動するフリー磁性層であり、
    前記第1強磁性層、あるいは、前記第2強磁性層、又は前記第1強磁性層及び前記第2強磁性層は前記絶縁障壁層に接して形成されるホイスラー合金層を有し、前記ホイスラー合金層は膜面に平行な方向に代表的に{110}面として表される等価な結晶面が優先配向し、
    前記絶縁障壁層はMgOで形成され、前記絶縁障壁層は、膜面と平行な方向に代表的に{100}面として表される等価な結晶面、あるいは、膜面と平行な方向に代表的に{110}面として表される等価な結晶面が優先配向していることを特徴とするトンネル型磁気検出素子。
  2. 前記絶縁障壁層は膜面と平行な方向に代表的に{100}面として表される等価な結晶面が優先配向している請求項1記載のトンネル型磁気検出素子。
  3. 前記第1強磁性層が前記固定磁性層であり、前記第2強磁性層が前記フリー磁性層であり、少なくとも前記第1強磁性層は前記ホイスラー合金層を有する請求項1又は2に記載のトンネル型磁気検出素子。
  4. 前記ホイスラー合金層は、XYZ又はXYZで表されるホイスラー型結晶構造を有する金属化合物によって形成される請求項1ないし3のいずれかに記載のトンネル型磁気検出素子。
    ただし前記XはCu、Co、Ni、Rh、Pt、Au、Pd、Ir、Ru、Ag、Zn、Cd、Feのうち1種または2種以上の元素であり、前記YはMn、Fe、Ti、V、Zr、Nb、Hf、Ta、Cr、Co、Niのうち1種または2種以上の元素であり、前記ZはAl、Sn、In、Sb、Ga、Si、Ge、Pb、Znのうち1種または2種以上の元素である。
  5. 前記ホイスラー合金層は、組成式がXYZで表される金属化合物によって形成される請求項4記載のトンネル型磁気検出素子。
  6. 下から第1強磁性層、絶縁障壁層、第2強磁性層の順に積層され、一方の前記強磁性層は、磁化が固定される固定磁性層で、他方の前記強磁性層は、磁化が外部磁界により変動するフリー磁性層であるトンネル型磁気検出素子の製造方法において、
    (a) 前記第1強磁性層の少なくとも表面層として、膜面に平行な方向に代表的に{110}面として表される等価な結晶面が優先配向するホイスラー合金層を形成する工程、
    (b) 前記ホイスラー合金層上にMgOターゲットを用いてMgOから成る絶縁障壁層をスパッタ形成する工程、
    を有することを特徴とするトンネル型磁気検出素子の製造方法。
  7. 下から第1強磁性層、絶縁障壁層、第2強磁性層の順に積層され、一方の前記強磁性層は、磁化が固定される固定磁性層で、他方の前記強磁性層は、磁化が外部磁界により変動するフリー磁性層であるトンネル型磁気検出素子の製造方法において、
    (c) 前記第1強磁性層上にMgOターゲットを用いてMgOから成る絶縁障壁層をスパッタ形成する工程、
    (d) 前記絶縁障壁層上に前記第2強磁性層の少なくとも一部として、膜面に平行な方向に代表的に{110}面として表される等価な結晶面が優先配向するホイスラー合金層を形成する工程、
    を有することを特徴とするトンネル型磁気検出素子の製造方法。
  8. 前記(c)工程よりも前に、
    (e) 前記第1強磁性層の少なくとも表面層として、膜面に平行な方向に代表的に{110}面として表される等価な結晶面が優先配向するホイスラー合金層を形成する工程、を含む請求項7記載のトンネル型磁気検出素子の製造方法。
  9. 前記(b)工程、あるいは前記(c)工程に代えて、Mgターゲットを用いてMg層を形成した後、前記Mg層を酸化してMgOから成る絶縁障壁層を形成する請求項6ないし8のいずれかに記載のトンネル型磁気検出素子の製造方法。
  10. 前記Mg層の形成後、前記Mg層を酸化する一連の工程を、複数回行う請求項9記載のトンネル型磁気検出素子の製造方法。
  11. 前記ホイスラー合金層を、XYZ又はXYZで表されるホイスラー型結晶構造を有する金属化合物によって形成する請求項6ないし10のいずれかに記載のトンネル型磁気検出素子の製造方法。
    ただし前記XはCu、Co、Ni、Rh、Pt、Au、Pd、Ir、Ru、Ag、Zn、Cd、Feのうち1種または2種以上の元素であり、前記YはMn、Fe、Ti、V、Zr、Nb、Hf、Ta、Cr、Co、Niのうち1種または2種以上の元素であり、前記ZはAl、Sn、In、Sb、Ga、Si、Ge、Pb、Znのうち1種または2種以上の元素である。
  12. 前記ホイスラー合金層を、組成式がXYZで表される金属化合物によって形成する請求項11記載のトンネル型磁気検出素子の製造方法。
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