JP2007185931A - ポリテトラフルオロエチレン樹脂製中空成形体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 厚さが0.08mm以下であり、200℃において1時間加熱した後の収縮率が0.6%以下であることを特徴とするポリテトラフルオロエチレン〔PTFE〕樹脂製中空成形体。
【選択図】 なし
Description
これらの方法では、押出助剤として、動粘度が比較的高いアイソパーM(商品名、エクソンモービル社製)又はIPソルベント2028(商品名、出光石油社製)が使用されているが、実際には、ペースト押出により押し出したビードをロール間に挟み延伸してテープ等のシートを作成する方法しか開示されていない。
しかしながら、この方法から得られるチューブは、延伸されているので、高配向で硬く、熱による収縮が大きい欠点がある。
本発明は、PTFE樹脂と押出助剤とからなる成形材料を用いてペースト押出法により成形することよりなる上記PTFE樹脂製中空成形体の製造方法であって、上記押出助剤は、30℃における動粘度が1.5×10−6m2/s以上であることを特徴とするPTFE樹脂製中空成形体の製造方法である。
本発明は、導体と導体被覆材とからなる被覆電線であって、上記導体被覆材は、上記PTFE樹脂製中空成形体であることを特徴とする被覆電線である。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のPTFE樹脂製中空成形体は、中空であれば、何れの形状であってもよい。上記PTFE樹脂製中空成形体としては、例えば、いわゆる長物であってもよいし、長手方向に垂直な断面の形状としては、円形であってもよいし、楕円その他の異形であってもよいが、一般に用途が多い点で、上記断面形状が円形である円筒状の成形体が好ましく、長物にも好適である。
本発明のPTFE樹脂製中空成形体としては、チューブ、導体被覆材等が挙げられる。
本発明において、「チューブ」は、ラッピングチューブを含まない。ラッピングチューブは、一般に、テープ状成形体を芯材に螺旋状にラッピングすることにより得られるチューブ形状物である。本発明において、導体被覆材は、該導体被覆材が被覆すべき導体の部分が、該導体が存在しない状態では空洞をなす点で、中空を有する。
上記厚さは、好ましくは0.05mm以下、より好ましくは0.03mm以下であり、上記範囲内であれば0.01mm以上であってもよい。
本発明のPTFE樹脂製中空成形体は、厚さを上記範囲内のように薄いものとして得ることができるので、例えば、細径チューブが求められる用途においても内径を比較的広くすることができ、チューブの細径化に伴うチューブ内容物の流量低減や流動抵抗を抑制することができる。
本明細書において、上記「厚さ」は、マイクロメーターを用いてチューブを長手方向と垂直の方向に押しつぶして採寸し得られた値を2で割って得られる値である。
上記収縮率は、好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.4%以下であり、上記範囲内であれば、0.05%以上であってもよい。
本明細書において、上記収縮率は、長さ300mmにカットした成形体について加熱前後のチューブ長さの変化の割合として測定したものである。本明細書において、上記「収縮率が0.6%以下である」とは、成形過程において延伸を行った場合であっても、該延伸方向について0.6%以下であることを意味する。
上記外径は、より好ましい下限が2mmであり、より好ましい上限が4mmである。
上記PTFE樹脂製中空成形体は、例えば、爪状クラックが生じない場合、表面平滑性を上述の範囲内とすることができ、外観に優れたものとすることも可能である。上記「爪状クラック」は、成形体表面にV字形の白色痕が形成された状態を意味する。
上記Raは、より好ましくは0.1μm以下、更に好ましくは0.01μm以下であり、上記範囲内であれば、例えば、0.001μm以上であっても外観は良好である。
本明細書において、上記Raは、JIS B 1982に準じた測定値である。
本明細書において、上記「TFEホモポリマー及び/又は変性PTFE」とは、TFEホモポリマーであり変性PTFEを含まないもの、変性PTFEでありTFEホモポリマーを含まないもの、又は、TFEホモポリマーと変性PTFEとの両方であるものを意味する。
上記変性PTFEは、TFEと、少量のその他の共単量体との重合体である。上記変性PTFEは、TFEホモポリマーがTFEのみを重合することにより得られるTFEのホモポリマーでありその他の共単量体を含まないものである点で、TFEホモポリマーとは異なるものである。
「PTFE」は、一般にTFEホモポリマーを指す用語であると解されることもある。しかしながら、本明細書において、上記「PTFE樹脂」なる用語中の「PTFE」は、上記「PTFE樹脂」が、上述のようにTFEホモポリマーのみならず変性PTFEからなる樹脂をも意味し得ることから明らかであるように、TFEホモポリマーのみを指す趣旨ではなく、単に上記「PTFE樹脂」という用語の一部分であるに過ぎない。
CF2=CF−ORf (I)
(式中、Rfは、パーフルオロ有機基を表す。)で表されるパーフルオロ不飽和化合物等が挙げられる。本明細書において、上記「パーフルオロ有機基」とは、炭素原子に結合する水素原子が全てフッ素原子に置換されてなる有機基を意味する。上記パーフルオロ有機基は、エーテル酸素〔−O−〕を有するものであってもよい。
上記数平均分子量が上記範囲内であると、得られるPTFE樹脂製中空成形体の機械的強度等の物性が良好となる。
上記数平均分子量は、より好ましい下限が400万であり、より好ましい上限が800万である。
上記数平均分子量は、ASTM D 4895に準拠して、標準比重(SSG)から算出した値である。
上記範囲内の動粘度を有する押出助剤としては、例えば、IPソルベント2028、IPソルベント2035(以上、商品名。出光石油社製);アイソパーM、アイソパーH(以上、商品名。エクソンモービル社製)等が挙げられ、アイソパーM、アイソパーHが好ましい。
上記成形材料は、上記範囲内の動粘度を有する押出助剤を1種のみ含有するものであってもよいし、2種以上含有するものであってもよい。
押出助剤が上記範囲より少ないと、薄膜化が困難となることがあり、上記範囲より多いと、経済的でなく強度不足となることがある。
上記押出助剤の含有量は、上記PTFE樹脂100質量部に対し、より好ましい下限が18質量部、更に好ましい下限が18.5質量部に相当する量であり、上記範囲内であれば21質量部以下に相当する量であってもよい。
本発明の製造方法において行うペースト押出法は、上述の成形材料を使用するものであれば、所望の成形体の形状等に応じて適宜条件を選択して行うことができる。
上記ペースト押出法は、一般に、上記成形材料を用いて予備成形した後、押出成形することよりなる。上記予備成形は、従来公知の方法にて行うことができ、必要に応じ二次予備成形を行ってもよい。
上記押出成形は、特に限定されないが、得られる成形体の厚さを上述の範囲内にする点で、ペースト押出機において、コアピン外径を0.9〜49.9mm、ダイ内径を1〜50mmとし、ダイ温度を30〜90℃に設定して行うことが好ましい。
上記押出成形において、乾燥温度は80〜270℃であることが好ましく、焼成温度は350〜450℃であることが好ましい。
上記押出成形は、ラム速度0.001〜0.1m/分で行うことができ、長物の場合、巻き取り速度を0.5〜60m/分に設定することができる。
従来のPTFE樹脂のペースト押出では、例えばチューブ成形、導体被覆成形等において、押出後の乾燥を促進すべく、低沸点、即ち、低粘度の炭化水素系溶剤を押出助剤として用いており、これにより、生産性に寄与する成形後の高速巻取りを可能にしていたので、動粘度が高い溶剤の使用は考えられなかった。
本発明のPTFE樹脂製中空成形体は、チューブである場合、2本以上束ねて用いることもできる。本発明のPTFE樹脂製中空成形体は、用途に応じて、外側にポリアミド、ポリウレタン等の樹脂層を設けたものであってもよい。
なかでも、透明であり、視認性に優れる点で、流体輸送管、医療用チューブ等が好ましい。
本発明のPTFE樹脂製中空成形体としては、燃料輸送用チューブ、流体輸送管、ブレーキホース、電気絶縁チューブ、医療用チューブ又は熱交換機用チューブに用いるものであることが好ましい。
上記被覆電線における導体は、特に限定されないが、銅等であることが好ましく、また、芯径が0.05〜3mmであることが好ましい。
本発明のPTFE樹脂製中空成形体製造方法は、動粘度が上述の範囲内である押出助剤を用いることにより、薄肉のPTFE樹脂製中空成形体を容易で簡便な方法により製造することを可能にするものであり、例えば従来のペースト押出成形機を用いることも可能である。
1.厚さ
マイクロメーターを用いてチューブを長手方向と垂直の方向に押しつぶして採寸し得られた値を2で割って得られる値である。
2.熱収縮率
得られたチューブを常温(25℃±2℃)下に24時間以上静置し、長さ300mmにカットした後、200℃に設定した電気炉に水平に入れ、1時間加熱する。
上記加熱後、常温で1時間静置した後、チューブの長さを測定し、加熱前の長さと比較して熱収縮率を求める。なお、各チューブのデータ値は、5本のサンプルを測定した際における平均値である。
PTFEファインパウダーF−207(ダイキン工業社製)1000gに、押出助剤としてIsopar M(エクソンモービル化学社製)200gをポリビンに入れて、常温(25℃±2℃、以下同じ。)下で15分間ポリビンごと攪拌、混合した後、常温下に12時間熟成した。
上記熟成後、2MPaの圧力で10分間圧縮することで予備成形を行った後、得られた予備成形品を押出成形機(田端機械工業社製)へ入れ、図1の模式的断面図に示すように押出成形を行った。
押出成形機11は、シリンダ径50mm、マンドレル径16mm、押出ダイの内径1.16mm、コアピン内径1.06mmである。
次いで、ダイ温度60℃に設定した押出成形機11からラム速度10mm/分で押出したチューブ成形体を130℃に設定した長さ3mの第1乾燥炉12、190℃に設定した長さ3mの第2乾燥炉13、420℃に設定した焼成炉14を経て、巻き取り機16によって1m/分の速度で巻き取り、焼成炉14から出てくるチューブに張力が極力かからないように巻き取った。
得られたチューブは、外径1.0mm、厚さ0.05mm、熱収縮率は0.4%であった。
押出助剤として、Isopar Mの代わりにIsopar H(エクソンモービル化学社製)を用いる以外は、実施例1と同様にして、チューブを作成し、得られたチューブの厚さ及び熱収縮率を測定した。
押出助剤として、表1記載のものを用いる以外は、実施例1と同様にして、チューブを作成し、得られたチューブの厚さ及び熱収縮率を測定した。
押出助剤として表1記載のものを用いて実施例1と同様に押出成形し、更に図2に示すように、巻き取り機25にて一旦巻き取ったものを、300℃に設定した全長6mの延伸炉26に0.5m/分の速度(V1)で入れ、上記延伸炉26を出た後、速度調整機27で上記速度(V1)の15倍となる速度(7.5m/分)にて定トルクで巻き取り機28に巻き取ることにより延伸を行い、チューブを作成した。
更に、得られたチューブについて、厚さ及び熱収縮率を測定した。
本発明のPTFE樹脂製中空成形体製造方法は、動粘度が上述の範囲内である押出助剤を用いることにより、薄肉のPTFE樹脂製中空成形体を容易で簡便な方法により製造することを可能にするものであり、例えば従来のペースト押出成形機を用いることも可能である。
12 第1乾燥炉
13 第2乾燥炉
14 焼成炉
15、27 速度調整機
16、25、28 巻き取り機
26 延伸炉
Claims (6)
- 厚さ0.08mm以下であり、
200℃において1時間加熱した後の収縮率が0.6%以下である
ことを特徴とするポリテトラフルオロエチレン樹脂製中空成形体。 - 厚さ0.05mm以下である請求項1記載のポリテトラフルオロエチレン樹脂製中空成形体。
- チューブである請求項1又は2記載のポリテトラフルオロエチレン樹脂製中空成形体。
- 電線被覆材である請求項1又は2記載のポリテトラフルオロエチレン樹脂製中空成形体。
- ポリテトラフルオロエチレン樹脂と押出助剤とからなる成形材料を用いてペースト押出法により成形することよりなる請求項1〜4の何れかに記載のポリテトラフルオロエチレン樹脂製中空成形体の製造方法であって、
前記押出助剤は、30℃における動粘度が1.5×10−6m2/s以上である
ことを特徴とするポリテトラフルオロエチレン樹脂製中空成形体の製造方法。 - 導体と導体被覆材とからなる被覆電線であって、
前記導体被覆材は、請求項4記載のポリテトラフルオロエチレン樹脂製中空成形体である
ことを特徴とする被覆電線。
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