JP2010167676A - ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜の積層体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ファインパウダーと液体潤滑剤とを含むPTFE配合物の2種以上を、押出用金型に区分して充填し、該充填物を押出した後延伸することを含む、複数のPTFE多孔質膜の積層体の製造方法において、該充填物をシート状に押出しても、層構造の乱れが起こりにくい製造方法を提供する。
【解決手段】PTFEファインパウダーと液体潤滑剤とを含むPTFE配合物の2種以上を、略円柱状の空間を有する押出用金型に同心円状に区分して充填する工程、得られる充填物をシート状に押出し、必要に応じて圧延を行う工程、得られるシートより液体潤滑剤を除去する工程、および液体潤滑剤を除去したシートを少なくとも一軸方向に延伸する工程を含む製造方法とする。
【選択図】図1
【解決手段】PTFEファインパウダーと液体潤滑剤とを含むPTFE配合物の2種以上を、略円柱状の空間を有する押出用金型に同心円状に区分して充填する工程、得られる充填物をシート状に押出し、必要に応じて圧延を行う工程、得られるシートより液体潤滑剤を除去する工程、および液体潤滑剤を除去したシートを少なくとも一軸方向に延伸する工程を含む製造方法とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、複数のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)多孔質膜の積層体の製造方法に関し、主に、内圧調整膜に用いられる、平均孔径の異なる少なくとも2種のPTFE多孔質膜の積層体の製造方法に関する。
自動車、OA部品、家電製品、医療機器等には、筐体内部と外部との差圧を調整するための内圧調整膜が設けられることが多い。この内圧調整膜は、差圧の調整以外にも、防水および防塵も目的としており、差圧調整のための高い通気性のみならず、高い耐水圧と防塵性が要求されている。これらの要求に適した材料として、PTFE多孔質膜がある。
しかし、PTFE多孔質膜は、製造時に延伸倍率を上げることにより、通気性を高くした場合には、耐水圧の低下が起こる。また、PTFE多孔質膜に補強を目的として不織布などのバッキング材をラミネートした多層膜も、内圧調整膜に用いられるが、筐体に溶着する際に、溶着工程で溶融した樹脂がPTFE多孔質膜にダメージを与えることがある。そこで、溶着時のダメージを防止するために、PTFE多孔質膜の膜厚を大きくすると、通気性が低下してしまう。
このように、単一のPTFE多孔質膜からは、通気性、防水性および防塵性のすべてに優れる内圧調整膜を作製することが困難であり、近年は、複数のPTFE多孔質膜の積層体を用い、それぞれのPTFE多孔質膜に異なる機能を持たせることが行われている。例えば、耐水性および粒子の捕集性の高い平均孔径の小さいPTFE多孔質膜を、通気性を阻害しないように薄く作製し、これに通気性の高い平均孔径の大きい多孔質膜を一体化させたPTFE多孔質膜の積層体が開発されている。
この積層体を製造するには種々の方法があり、その一つとして、液体潤滑剤が混合された少なくとも2種のPTFEファインパウダーを、押出用金型内に複層状に区分して充填し、充填物をペースト押し出した後必要に応じて圧延することにより複層成形体を得、該複層成形体から液体潤滑剤を除去しまた除去せずに少なくとも一軸方向に延伸することを特徴とするPTFE複層多孔膜の製造方法が挙げられる(例えば、特許文献1および2参照)。この方法により製造された積層体は、積層したPTFE多孔質膜間の剥離強度が高く、製造時および使用時において層間の剥離が起こるという不具合が生じにくいという利点がある。
特公平7−8926号公報
特公平7−8927号公報
しかしながら、上記の製造方法においては、充填物をシート状に押出した際に、シートの両端が波打った状態となることが多かった。これは、充填した際にシート端部の層構造が乱れること、および複層状の充填物中のPTFEファインパウダーの流動性が各層によって異なるために押出す際にダイス内部で流れに乱れが生じて層構造が乱れることが原因であると推測される。このように押出したシートの両端が波打った場合には、シートを長尺で得られない場合があり、後の工程に支障をきたす場合があった。また、層構造の乱れが、最終的に延伸して得られる積層体の性能に悪影響を及ぼす場合があった。
そこで本発明は、PTFEファインパウダーと液体潤滑剤とを含むPTFE配合物の2種以上を、押出用金型に区分して充填し、該充填物を押出した後延伸することを含む、複数のPTFE多孔質膜の積層体の製造方法において、該充填物をシート状に押出しても、層構造の乱れが起こりにくい製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成した本発明は、PTFEファインパウダーと液体潤滑剤とを含むPTFE配合物の2種以上を、略円柱状の空間を有する押出用金型に同心円状に区分して充填する工程、得られる充填物をシート状に押出し、必要に応じて圧延を行う工程、得られるシートより液体潤滑剤を除去する工程、および液体潤滑剤を除去したシートを少なくとも一軸方向に延伸する工程を含む複数のPTFE多孔質膜の積層体の製造方法である。
本発明によれば、製造時に層構造の乱れがほとんど生じないため、押出し時のシート両端の波打ちが抑制され、層構造の乱れがほとんどないPTFE多孔質膜の積層体を得ることができる。得られる積層体は、PTFE多孔質膜間の剥離強度が高く、自動車、OA部品、家電製品、医療機器等に用いられる内圧調整膜に好適である。
本発明の製造方法は、PTFEファインパウダーと液体潤滑剤とを含むPTFE配合物の2種以上を、略円柱状の空間を有する押出用金型に同心円状に区分して充填する工程(充填工程)、得られる充填物をシート状に押出し、必要に応じて圧延を行う工程(押出工程)、得られるシートより液体潤滑剤を除去する工程(除去工程)、および液体潤滑剤を除去したシートを少なくとも一軸方向に延伸する工程(延伸工程)を含む。
本発明に用いられるPTFEファインパウダーは、特に制限されるものではなく、公知方法に準じて作製することができ、市販品としても入手することができる。市販品としては、例えば、ダイキン工業社製として、ポリフロンF−104、F−106、F−101HEなどが、旭硝子社製として、フルオンCD−123、CD−1、CD−145、XCD−809、CD−014、CD−126などが、三井・デュポンフロロケミカル社製として、テフロン(登録商標)6−J、65−N、601−Aなどがある。PTFEファインパウダーのPTFEは、本発明の目的を阻害しない範囲内で、共重合成分を含んでいてもよい。
本発明に用いられる液体潤滑剤は、PTFEファインパウダーを濡らすことができ、蒸発や抽出などの方法によって除去できるものであれば、特に制限なく用いることができる。液体潤滑剤の例としては、流動パラフィン、ナフサ、トルエン、キシレン等の炭化水素類が挙げられ、他にもアルコール類、ケトン類、エステル類、フッ素系溶剤等を用いることができる。これらは、単独で、または2種以上の混合物で用いることができる。液体潤滑剤の添加量は、シートへの成形条件によって異なるが、通常、PTFEファインパウダー100重量部に対して約5〜50重量部である。
PTFE配合物は、上記のPTFEファインパウダーおよび液体潤滑剤を、公知方法に従い混合することによって得ることができる。
PTFE配合物は、2種以上を用いるが、配合物中のPTFEの種類が異なるものであっても、配合物中の液体潤滑剤の種類が異なるものであってもよい。得られる積層体を構成するPTFE多孔質膜の特性を大きく異なるものとして高機能化するという観点からは、PTFEの種類が異なるPTFE配合物を用いることが好ましい。
充填工程において、PTFE配合物の2種以上を、略円柱状の空間を有する押出用金型に同心円状に区分して充填する方法については特に制限はなく、例えば、押出用金型の略円柱状の空間よりも径が小さく肉厚の薄いパイプを仕切りとして用いて、パイプの内部と外部とで異なるPTFE配合物を充填し、パイプを抜き取る方法が挙げられる。この方法では、PTFEの配合物の種類より1本少ないパイプを用いて、3種以上のPTFE配合物を充填することも可能である。本発明における充填物の複層構造を図1、従来技術の充填物の複層構造を図2に示す(第1のPTFE配合物Aを符号11、第2のPTFE配合物Bを符号12、第3のPTFE配合物Cを符号13とした)。
充填物は、適宜圧力をかけて予備成形するとよい。上記のように同心円状に複数種のPTFE配合物を充填することにより、圧力等が加わっても、半径方向に等しく力が分散するため、充填物の層構造が乱れにくくなる。
押出工程では、この同心円状の複層構造を有する、円柱状の充填物をシート状に押出す。押出機には、複数種のPTFE配合物を混合せずに押出し可能なものを用い、例えばラム押出機を用いることができる。ダイスには、通常、PTFEのシート押出しに用いられているダイスを用いることができる。当該ダイスは、長辺が、シートの幅、短辺がシート厚みに対応する細長い長方形型のスリットを有し、スリットの長辺方向に垂直な断面を見た場合に、押出しされる物の導入口からスリットに向けて幅が収束していく傾斜部を有し、かつスリットの長辺方向に沿った断面を見た場合に、導入口からスリットに向けて幅が増大していく傾斜部を有する空間を有している。押出しにより得られるシートは、その厚みが大きい場合には、延伸が容易となる厚みになるように、液体潤滑剤が蒸発しない温度(通常は常温)でロール等により圧延を行ってよい。
図3に、押出機のスリットの長辺方向に沿った断面図を示す。図3では、押出機のシリンダ2内に充填物1があり、ダイス3に押出される寸前の状態である。押出される際には、充填物1がダイス3内で、スリット4の幅方向に広がっていくが、従来のPTFE配合物の層が重なってなる複層状の充填物(図2参照)の場合には、充填物中のPTFEファインパウダーの流動性が各層によって異なるために、押出す際にダイス内部で流れに乱れが生じるものと考えられる。しかし、本発明では、充填物の層構造を同心円状(図1参照)とすることによって、単一のPTFE配合物の挙動に近い挙動で充填物が押出され、ダイス内での流れの乱れが少ないものとなる。
除去工程は、加熱法、抽出法等の公知方法に従い行うことができる。2種類のPTFE配合物を用いた場合には、液体潤滑剤が除去されたシートは、図4に示すような断面構造を有する。充填物が円筒状であったのにも係らず、各層の厚さがほぼ均一な複層構造を得ることができる。
延伸工程は、公知方法に従い行うことができ、延伸条件は、PTFE多孔質膜の積層体の要求特性に応じて適宜決定するとよい。延伸は、一軸延伸でも二軸延伸でもよいが、内圧調整膜用途においては、二軸延伸が好ましい。
延伸方法の具体例としては、まず、融点以下で縦延伸(シートの長手方向への延伸)を行う。ここで融点以下とは、330℃以下の温度をいい、好ましい温度は250〜300℃である。延伸倍率は、1.5〜15倍が好ましく、2〜10倍がより好ましい。延伸倍率が1.5倍未満だと、繊維と該繊維を接続する結節とからなる微細構造が形成されないおそれがある。一方、15倍を超えると、PTFEの種類によっては、繊維が破断して十分な剥離強度が得られないおそれがある。
次に、融点以上で縦延伸を行う。延伸温度は、350〜400℃が好ましい。延伸倍率は、0.8〜10倍が好ましい。10倍を超えると、繊維の破断が起こるおそれがある。また、PTFEの種類および積層体に所望される特性によっては、延伸せずに融点以上に加熱するだけでよい。さらに、融点以上で数倍に延伸した後に、1倍または0.8倍に戻しを加えてもよい。
縦延伸の終了後、横延伸(シートの幅方向への延伸)を行う。延伸温度に特に制限はないが、PTFEが伸長しやすい40℃以上の温度で、好ましくは130〜150℃で行うとよい。延伸倍率は、融点以上での縦延伸の条件および要求特性に応じて適宜設定すればよく、例えば4〜30倍である。延伸倍率が高すぎると、繊維の破断が起こり、得られる積層体の強度が不足するおそれがあり、延伸倍率は好ましくは、4〜25倍である。
以上のようにして、複数のPTFE多孔質膜の積層体を得ることができる。積層体を内圧調整膜に用いる場合には、平均孔径の異なる少なくとも2種のPTFE多孔質膜の積層体であることが好ましい。すなわち、積層体の1つのPTFE多孔質膜の平均孔径が、他のPTFE多孔質膜のいずれかの平均孔径と異なっていることが好ましい。上記の方法において、このような積層体を得るには、1つのPTFE配合物のPTFEの数平均分子量が、他のPTFE配合物のいずれかのPTFEの数平均分子量と異なっているようにすればよい。PTFEの数平均分子量が小さいPTFE配合物からは、平均孔径の大きいPTFE多孔質膜層が形成され、当該層は、通気性が高いものとなり、一方、PTFEの数平均分子量が大きいPTFE配合物からは、平均孔径の小さいPTFE多孔質膜層が形成され、当該層は、耐水圧が高いものとなる。その結果、積層体全体では、通気性および耐水圧の両方が高いものとすることが可能である。
なお、比重(測定方法はJIS K 6892にて規定されるSSG)は、PTFEの数平均分子量とは密接な関係があり、数平均分子量の目安となる。上記において、数平均分子量の異なるPTFEを用いる場合には、一方のPTFE配合物のPTFEの比重が2.16以上であり、他方のPTFE配合物のPTFEの比重が2.16未満であるように選択することが、積層体全体の通気性および耐水圧のバランスの観点から好ましい。
本発明によれば、製造時に層構造に乱れがほとんど生じないため、押出し時のシート両端の波打ちが抑制され、層構造に乱れがほとんどないPTFE多孔質膜の積層体を得ることができる。得られる積層体は、PTFE多孔質膜間の剥離強度が高く、通気性、防水性および防塵性に優れ、自動車、OA部品、家電製品、医療機器等に用いられる内圧調整膜に好適である。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は、これら実施例に制限されるものではない。まず、本実施例における積層体の評価方法について説明する。なお本発明の積層体において、均一な複層構造が得られていることを示すために、各評価は、積層体の中央部および端部について行った。
通気度
得られた積層体の通気性は、積層体を45mmΦに打ち抜いたもの3点を試料とし、JIS P 8117に従いガーレーデンソメーターを用いて測定し、その平均値を通気度とした。
得られた積層体の通気性は、積層体を45mmΦに打ち抜いたもの3点を試料とし、JIS P 8117に従いガーレーデンソメーターを用いて測定し、その平均値を通気度とした。
剥離強度
得られた積層体を長手方向に沿って幅10mmに切断した試料、長手方向に対して直角に幅10mmに切断した試料、および長手方向に対して45度の角度で幅10mmに切断した試料を作製した。これらの試料の一方の端面において、厚さ方向に垂直にかみそりを入れ、そこから手で3cm程度剥離させた。この剥離によりできた2つの端部をそれぞれチャック(長さ2cm)で掴み、チャック間距離を2cmとして、引張試験機で試料の長手方向に垂直な方向に引張り、試料を剥離させた。引張速度は200mm/分とし、測定温度は25℃とした。剥離時の荷重を記録し、3回の試験の平均値を剥離強度とした。
得られた積層体を長手方向に沿って幅10mmに切断した試料、長手方向に対して直角に幅10mmに切断した試料、および長手方向に対して45度の角度で幅10mmに切断した試料を作製した。これらの試料の一方の端面において、厚さ方向に垂直にかみそりを入れ、そこから手で3cm程度剥離させた。この剥離によりできた2つの端部をそれぞれチャック(長さ2cm)で掴み、チャック間距離を2cmとして、引張試験機で試料の長手方向に垂直な方向に引張り、試料を剥離させた。引張速度は200mm/分とし、測定温度は25℃とした。剥離時の荷重を記録し、3回の試験の平均値を剥離強度とした。
耐水圧
得られた積層体の耐水圧は、積層体を45mmΦに打ち抜いたもの3点を試料とし、JIS L 1092に従い測定し、その平均値を耐水圧とした。
得られた積層体の耐水圧は、積層体を45mmΦに打ち抜いたもの3点を試料とし、JIS L 1092に従い測定し、その平均値を耐水圧とした。
実施例1
低分子量のPTFEとして、旭硝子社製フルオンCD−145(比重2.19)に、液体潤滑剤として、ジャパンエナジー社製NSクリーン220を20wt%配合して、PTFE配合物Aを得た。また、高分子量のPTFEとして、ダイキン工業社製ポリフロンF−101HE(比重2.142)に、ジャパンエナジー社製NSクリーン220を20wt%配合して、PTFE配合物Bを得た。次に、内径約100mm、長さ約1500mmの成型管内に、内径50mm、肉厚0.5mmであり成型管と同じ長さのプラスチック製パイプを、その中心が、成型管の中心と一致するように設置した。パイプの内部に、PTFE配合物Bを充填し、パイプの外部(パイプと成型管の間の空間)にPTFE配合物Aを充填した。その後、パイプを抜き取り、40℃で1MPaの圧力で10分間予備成形を行い、幅200mm×高さ1.22mmの長方形型のスリットを有するダイスから同温度で60mm/分の速度で押出しを行い、シートを得た。シートの両端部は平坦であり、波打ちは見られなかった。得られたシートを0.22mm厚になるようにロールで圧延した後、120℃で乾燥して液体潤滑剤を除去した。続いて、この乾燥したシートを延伸した。延伸は、まず280℃で5倍に縦延伸し、さらに360℃で1.6倍に縦延伸した。次いで12倍に横延伸した。得られた積層体について、上記のようにして通気度、耐水圧、および剥離強度を測定した。また、厚さを測定した。それらの結果を表1に示す。
低分子量のPTFEとして、旭硝子社製フルオンCD−145(比重2.19)に、液体潤滑剤として、ジャパンエナジー社製NSクリーン220を20wt%配合して、PTFE配合物Aを得た。また、高分子量のPTFEとして、ダイキン工業社製ポリフロンF−101HE(比重2.142)に、ジャパンエナジー社製NSクリーン220を20wt%配合して、PTFE配合物Bを得た。次に、内径約100mm、長さ約1500mmの成型管内に、内径50mm、肉厚0.5mmであり成型管と同じ長さのプラスチック製パイプを、その中心が、成型管の中心と一致するように設置した。パイプの内部に、PTFE配合物Bを充填し、パイプの外部(パイプと成型管の間の空間)にPTFE配合物Aを充填した。その後、パイプを抜き取り、40℃で1MPaの圧力で10分間予備成形を行い、幅200mm×高さ1.22mmの長方形型のスリットを有するダイスから同温度で60mm/分の速度で押出しを行い、シートを得た。シートの両端部は平坦であり、波打ちは見られなかった。得られたシートを0.22mm厚になるようにロールで圧延した後、120℃で乾燥して液体潤滑剤を除去した。続いて、この乾燥したシートを延伸した。延伸は、まず280℃で5倍に縦延伸し、さらに360℃で1.6倍に縦延伸した。次いで12倍に横延伸した。得られた積層体について、上記のようにして通気度、耐水圧、および剥離強度を測定した。また、厚さを測定した。それらの結果を表1に示す。
実施例2
低分子量のPTFEとして、ダイキン工業社製ポリフロンF−104(比重2.17)を用いた以外は実施例1と同様にして、積層体を得た。押出し後のシートの両端部は平坦であり、波打ちは見られなかった。得られた積層体の通気度、耐水圧、剥離強度および厚さを同様に測定した結果を表1に示す。
低分子量のPTFEとして、ダイキン工業社製ポリフロンF−104(比重2.17)を用いた以外は実施例1と同様にして、積層体を得た。押出し後のシートの両端部は平坦であり、波打ちは見られなかった。得られた積層体の通気度、耐水圧、剥離強度および厚さを同様に測定した結果を表1に示す。
実施例3
実施例1において、目的とする積層体が得られているかを確認するために、PTFE配合物Bに、着色剤としてベンガラを1wt%配合し、実施例1と同様にして積層体を得た。押出し後に得られるシートを幅方向に切断して断面を確認すると、ベンガラによって内部の層が茶色に着色されたため、図4に示した積層構造が得られていることが明確に確認できた。
実施例1において、目的とする積層体が得られているかを確認するために、PTFE配合物Bに、着色剤としてベンガラを1wt%配合し、実施例1と同様にして積層体を得た。押出し後に得られるシートを幅方向に切断して断面を確認すると、ベンガラによって内部の層が茶色に着色されたため、図4に示した積層構造が得られていることが明確に確認できた。
比較例1
実施例1のPTFE配合物AおよびPTFE配合物Bを、成型管に、図5のように3層状に充填した。この充填物用いて、実施例1と同様にして、押出し、圧延、乾燥および延伸を行い、積層体を得た。押出し後のシートの両端部に波打ちが見られた。得られた積層体の通気度、耐水圧、剥離強度および厚さを同様に測定した結果を表1に示す。
実施例1のPTFE配合物AおよびPTFE配合物Bを、成型管に、図5のように3層状に充填した。この充填物用いて、実施例1と同様にして、押出し、圧延、乾燥および延伸を行い、積層体を得た。押出し後のシートの両端部に波打ちが見られた。得られた積層体の通気度、耐水圧、剥離強度および厚さを同様に測定した結果を表1に示す。
以上の結果より、実施例の製造方法では、押出し後のシートの両端部の波打ちの発生が抑制されていることがわかる。また、表1より、実施例では、端部および中央部で特性の差がない積層体が得られており、積層体の層構造に乱れのないことがいえる。
1 充填物
2 シリンダ
3 ダイス
4 スリット
11 PTFE配合物A
12 PTFE配合物B
13 PTFE配合物C
2 シリンダ
3 ダイス
4 スリット
11 PTFE配合物A
12 PTFE配合物B
13 PTFE配合物C
Claims (4)
- ポリテトラフルオロエチレンファインパウダーと液体潤滑剤とを含むポリテトラフルオロエチレン配合物の2種以上を、略円柱状の空間を有する押出用金型に同心円状に区分して充填する工程、得られる充填物をシート状に押出し、必要に応じて圧延を行う工程、得られるシートより液体潤滑剤を除去する工程、および液体潤滑剤を除去したシートを少なくとも一軸方向に延伸する工程を含む複数のポリテトラフルオロエチレン多孔質膜の積層体の製造方法。
- 前記積層体の1つのポリテトラフルオロエチレン多孔質膜の平均孔径が、他のポリテトラフルオロエチレン多孔質膜のいずれかの平均孔径と異なっている請求項1に記載の製造方法。
- 1つのポリフルオロテトラエチレン配合物のポリフルオロテトラエチレンの数平均分子量が、他のポリフルオロテトラエチレン配合物のいずれかのポリフルオロテトラエチレンの数平均分子量と異なっている請求項1または2に記載の製造方法。
- 一方のポリフルオロテトラエチレン配合物のポリフルオロテトラエチレンの比重が2.16以上であり、他方のポリフルオロテトラエチレン配合物のポリフルオロテトラエチレンの比重が2.16未満である請求項3に記載の製造方法。
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