JP2007182563A - グルコースポリマーと飲食物、並びにグルコースポリマーの製造方法 - Google Patents

グルコースポリマーと飲食物、並びにグルコースポリマーの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】食品風味を損なうデキストリン特有の風味を低減し、かつ低甘味性を維持したグルコースポリマー、並びに該グルコースポリマーの製造方法を提供すること。
【解決手段】DE27以下であり、かつ分子量5,000以上の糖組成物含有量が固形分当たり18重量%以下であり、さらに、含まれる単糖類が固形分当たり6重量%以下であるグルコースポリマーを提供する。また、本発明では、α-アミラーゼ又は酸を用いて澱粉を分解する第1分解工程と、この第1分解工程を経て得られる澱粉分解中間物を、少なくとも酵素を用いて分解する第2分解工程と、からなる段階的澱粉分解工程を少なくとも行うことによって、前記グルコースポリマーを得る。
【選択図】図1

Description

本発明は、グルコースポリマーに関する。より詳しくは、澱粉を分解して得られるグルコースポリマー、該グルコースポリマーを使用した飲食物、及びDEや高分子含有量などが所定レベルのグルコースポリマーの製造方法に関する。
澱粉加工業界では、アミラーゼや枝切り酵素、あるいは酸を用いた澱粉加水分解技術を駆使し、所望の物性や組成を備える澱粉分解物を得る技術を開発してきた。
澱粉を酵素又は酸で部分的に加水分解して生じる澱粉分解物は、一般にデキストリンと称され、マルトースからそれ以上の長さの鎖長を持つ糖重合体の混合物であると一般に定義されるが、場合によりオリゴ糖(通常重合度10以下)と区別されることもある。
現在、このデキストリンは、低甘味、低粘性、熱及び酸に対する安定性、保存性、安全性などの特性において優れていることから、特に食品分野では広範な用途に利用されている。例えば、畜肉などの食品の増量剤、飲料のこく出し、浸透圧調整、炭水化物源などの用途に利用されている。また、近年は、このデキストリンの整腸効果、血糖調節効果、中性脂肪低下効果などの生理作用も確認されており、機能性成分としても注目されている。
ここで、デキストリンの上記特性や機能性は、その組成成分により変化するため、当該組成成分を工業的にコントロールしようとする技術がある。例えば、特許文献1には、マルトテトラオースを対固形分40重量%以上含有し、グルコースの含有量が対固形分5重量%以下で、かつDE(dextrose equivalent)が20〜30の範囲にある澱粉分解物を利用する技術が開示されている。
特開昭64−39977号公報。
澱粉分解工程に係わる手法の選択と条件設定に基づき、それから得られる澱粉分解物の組成成分については、依然として未解明の領域が多い中にあって、澱粉分解物であるデキストリンは、その甘味度が砂糖の1/4以下程度であり、添加又は配合される食品の甘味への影響が少ないことから、この観点において当該食品の物性や機能の補強又は改善に有望である。
しかしながら、デキストリンは低甘味であっても特有の風味が存在するため、今後、このデキストリンの使用量(添加量又は配合量)の増加の要請には応え難いという技術的課題が存在し、デキストリンの用途拡大の障害となっていた。
そこで、本発明は、食品風味を損なうおそれのあるデキストリン特有の風味を低減し、かつ低甘味性を維持したグルコースポリマーと該グルコースポリマーを使用した飲食物、並びに前記グルコースポリマーの製造方法を提供することを主な目的とする。
本発明者らは、澱粉分解物であるデキストリンの特有の風味の低減に関する鋭意研究を行ってきたところ、特に、分子量5,000以上の糖組成画分に由来する風味にその原因があることを突き止めた。さらに、本発明者らは、澱粉を分解して得られる澱粉分解物の組成成分についても長年研究を続けてきたところ、澱粉分解工程に所定の工夫を施すことによって、デキストリンの特有の風味が顕著に低減された新規な糖組成を有するグルコースポリマーを収得できることを新規に突き止めた。
上記研究によって収得された、デキストリン特有の風味が顕著に低減された新規グルコースポリマーの糖組成に関する詳細な分析を行ったことにより、本発明では、DE27以下であり、かつ分子量5,000以上の糖組成物含有量が固形分当たり18重量%以下であり、さらに含まれる単糖類が固形分当たり6重量%以下であるグルコースポリマー、加えて、当該グルコースポリマーが使用された飲食物を提供する。
まず、このグルコースポリマーは、食品に使用(例えば、添加又は配合等)された場合に、当該食品の本来の風味を損なうおそれのあるデキストリン特有の風味が顕著に低減されているが、デキストリン特有の低甘味性を維持している。
また、このグルコースポリマーは、使用した食品の風味を良好に調整する機能も有する。「風味を調整する機能」とは、加熱により発生する好ましくない風味(以下「加熱臭」と称する。)や刺激的な風味を抑制し、良好な風味を損なわずに引き立て、又は保持する機能をいう。加熱臭としては、例えば、乳・乳加工品、魚加工品、肉加工品、卵加工品、植物性蛋白加工品などにおいて、蛋白質やアミノ酸をはじめその他の成分の熱変性で発生する加熱臭、油脂製品における油の熱変性により発生する加熱臭、その他加熱によって好ましくない臭いを発生する食品類における加熱臭などが挙げられる。また、刺激的な風味としては、例えば、酸臭・酸味、アルコール臭、発酵臭や、光や酸素などに起因する劣化臭、酸化臭などが挙げられる。
更に、このグルコースポリマーは、上記の「風味調整機能」に加え、食感の向上や作業性の改善にも寄与する。
加えて、このグルコースポリマーの中には、水を加えてゾル状態とした時に、低温で白濁するが、高温では透明になるという可逆的な性質を有するものもある。
本発明に係るグルコースポリマーは、その糖組成それ自体が新規であって、その収得の方法については特に限定されることはないが、例えば、澱粉分解工程として一般的な酸や酵素を用いた加水分解工程(糖化工程)に所定の工夫を施すことによって確実に収得することが可能である。
例えば、α-アミラーゼ又は酸を用いて澱粉を分解する第1分解工程と、この第1分解工程を経て得られる澱粉分解中間物を、少なくとも酵素を用いて分解する第2分解工程と、からなる段階的澱粉分解工程を少なくとも行うことによって、DE27以下であり、かつ分子量5,000以上の糖組成物含有量が固形分当たり18重量%以下であり、さらに含まれる単糖類が固形分当たり6重量%以下であることを特徴とするグルコースポリマーを得ることができる。
また、前記第2分解工程では、第1分解工程を経て得られる澱粉分解中間物を少なくとも酵素を用いて分解するが、その際に酸による分解工程を組み合わせることも可能である。この第2分解工程では、少なくとも枝切り酵素を使用し、適宜他の酵素(例えば、α−アミラーゼ)を併用してもよい。したがって、第2分解工程では、少なくとも枝切り酵素を使用し、それと組み合わせて酸または他の酵素(例えば、α−アミラーゼ)を使用することができる。これらを枝切り酵素と組み合わせて使用する順序は特に限定されないが、制御のし易さの点からは枝切り酵素を先に使用することが望ましい。
さらに、本発明に係る製造方法では、前記第1分解工程のα-アミラーゼ又は酸による分解で得られる澱粉分解中間物をDE4〜25に制御することによって、本発明の目的であるグルコースポリマーを確実に得ることができる。
「DE(dextrose equivalent)」は、デキストロース当量とも称されることがあり、還元糖をグルコースとして測定し、その全固形分に対する割合(数式1参照)を示す値である。このDE値は、澱粉の加水分解の程度(分解度)、即ち糖化の進行の程度を示す指標であり、このDE値が高いほど甘味度は大きくなる。なお、結晶ブドウ糖(DE99〜100)の甘味度は、澱粉を分解して得られる糖質の中で最も大きくなる。
Figure 2007182563
「α-アミラーゼ(α-amylase)」は、澱粉のα-1,4-グルコシド結合を加水分解する反応を触媒する酵素の総称である。枝切り酵素(debranching enzyme)は、澱粉の分岐点であるα-1,6-グルコシド結合を加水分解する反応を触媒する酵素の総称であり、例えば、「イソアミラーゼ(Isoamylase,glycogen 6-glucanohydrolase)」や「プルラナーゼ(Pullulanase,pullulan 6-gulucan hydorolase)」が知られている。なお、枝切り酵素として他に、アミロ-1,6-グルコシダーゼ/4-αグルカノトランスフェラーゼ(amino-1,6-glucosidase/4-α glucanaotransferase)が知られており、本発明でその使用を排除しているわけではない。なお、これらの枝切り酵素を目的に応じて組み合わせて用いてもよい。
本発明に係わるグルコースポリマーは、食品風味を損なうおそれのあるデキストリン特有の風味が顕著に低減されているとともに、低甘味性を維持しているので、食品への添加又は配合時の当該食品の風味低下や甘味増加に係わる心配をせずに、食品に対するデキストリンの使用量を従来に比して増加させることや、風味の影響で制限されていた用途に使用することもでき、その結果、デキストリンの用途を一層拡大できる。
以下、本発明に係る物や製造方法の好適な実施形態例について説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態例により狭く限定されることはない。
まず、本発明に係るグルコースポリマーは、DE27以下であり、かつ分子量5,000以上の糖組成物含有量が固形分当たり18重量%以下の糖重合体の混合物をなすものである。加えて、本グルコースポリマーには微量の単糖類(G)も含まれ、その含量は固形分当たり6重量%以下である。なお、本発明において、使用する澱粉原料については限定されず、例えば、コーンスターチなどの澱粉(地上系澱粉)、馬鈴薯、タピオカ、甘藷などのような地下茎または根由来の澱粉(地下系澱粉)、あるいはこれらの加工澱粉などを用いることができる。
このようなグルコースポリマーについて、GPC(ゲルろ過クロマトグラフィー溶媒(移動相)中に溶解させた試料成分分子を分子サイズの差に基づいて分離し、その分子量および分子量分布を求める手法分析方法)を用いた分子量分布の分析結果を示すと、例えば、図1に示すような特徴的なクロマトグラフが得られる。なお、図1中の(A)が本発明の典型的な実施例(後述の実施例1に対応するグルコースポリマー)、(B)が比較例(後述の比較例6に対応するグルコースポリマー)である。
本発明に係るグルコースポリマーは、食品に使用(例えば、添加又は配合等)された場合に、当該食品の本来の風味を損なうおそれのあるデキストリン特有の風味が顕著に低減されているが、デキストリン特有の低甘味性を維持している。そのため、食品への使用(添加又は配合)時の当該食品の風味低下や甘味増加に係わる心配をせずに、食品に対するデキストリンの使用量を従来に比して増加させることや、風味の影響で制限されていた用途に使用することもでき、その結果、デキストリンの用途を一層拡大できる。
また、本発明に係るグルコースポリマーは、使用した食品の風味を良好に調整する機能も有する。「風味を調整する機能」とは、加熱臭や刺激的な風味を抑制し、良好な風味を損なわずに引き立て、又は保持する機能をいう。加熱臭としては、例えば、乳・乳加工品、魚加工品、肉加工品、卵加工品、植物性蛋白加工品などにおいて、蛋白質やアミノ酸をはじめその他の成分の熱変性で発生する加熱臭、油脂製品における油の熱変性により発生する加熱臭、その他加熱によって好ましくない臭いを発生する食品類における加熱臭などが挙げられる。また、刺激的な風味としては、例えば、酸臭・酸味、アルコール臭、発酵臭や、光や酸素などに起因する劣化臭、酸化臭などが挙げられる。
本発明に係るグルコースポリマーは、「風味調整機能」を有するので、例えば、牛乳、バター、クリーム、チーズ、練乳類、粉乳類、発酵乳とその加工品、乳果汁製品、その他乳含有飲料、アイスクリーム、ソフトクリーム、プリン、その他乳含有菓子・デザート類、ホワイトソース類、乳製品を含有する各種加工品(レトルト食品、冷凍食品など)などの乳・乳加工品、魚介類を使用した缶詰、レトルト、珍味、惣菜、練製品などの魚加工品、食肉を使用した缶詰、レトルト、惣菜、ソーセージ、ハンバーグなどの肉加工品、プリン、茶碗蒸し、卵焼、その他卵を使用した各種加工食品などの卵加工品、粒状・組織状・粉末状などの大豆蛋白や小麦蛋白、豆乳、豆腐、その他植物性蛋白を含有する各種食品などの植物性蛋白加工品、例えば、ショートニング、練込み油脂などの加工油脂、粉末油脂などの油脂製品、例えばマヨネーズ、ソース、タレ、粉末調味料などの調味料類、酢、酢使用飲食品、果汁、果汁含有飲食品、ヨーグルト、ヨーグルト含有飲食品などの酸味、又は有機酸を含有する食品、酎ハイ、発泡酒、リキュール類などのアルコール含有飲食品、納豆、ヨーグルトなどの発酵食品、例えば、食パン、デニッシュパン、バターブレッドなどのパン類、バターケーキ、スポンジケーキなどのケーキ類、バタークッキー、ビスケットなどのクッキー類、ドーナツ類、ピザ類などのベーカリー製品、天ぷら、フライ、唐揚げ、麺類などの小麦粉加工品、流動食、乳児・幼児食、栄養補助食品類、健康食品類等に使用すれば、これらの飲食物の加熱臭や刺激的な風味を抑制し、良好な風味を損なわずに引き立て、又は保持することができる。
また、本発明に係るグルコースポリマーは、上記の「風味調整機能」に加え、食感の向上にも寄与する。例えばバタークッキー、ビスケットなどのクッキー類、ドーナツ類、ピザ類などのベーカリー製品、焼き菓子・揚げ菓子全般、天ぷら、唐揚げ、フライ類などに本発明に係るグルコースポリマーを用いれば、サクサクとした軽い食感やクリスピー感を呈するといった特徴がある。また、パン、デニッシュパン、バターブレッドなどのパン類、バターケーキ、スポンジケーキなどのケーキ類、麺類ではやわらかくソフトな食感や滑らかな食感となり、小麦粉二次加工品で時折問題となる粉っぽさが改善できるという利点もある。このように、本発明に係るグルコースポリマーは、各種食品の食感を向上する機能も有している。
更に、このグルコースポリマーの中には、水を加えてゾル状態とした時に低温で、白濁する性質を有するものもある。通常、低温で白濁するデキストリンは、高分子成分が多くデキストリン特有の風味が強いものである。しかし、前記グルコースポリマーは、高分子成分が少ないにもかかわらず、低温で白濁する性質を有する。
そして、通常のデキストリンは、低温で白濁した場合、その後高温にしても白濁したままで不可逆的である。これに対し、前記グルコースポリマーの中には、低温で白濁するが、高温では透明になるという可逆的な性質を有するものもある。この性質が、前記の「風味調整機能」、「食感向上機能」等に寄与すると考えられる。
次に、本発明に係るグルコースポリマーの製造方法については、狭く限定されることはないが、澱粉分解工程として一般的な酸や酵素を用いた加水分解工程(糖化工程)において、所定の工夫を施すこと、特に、澱粉分解過程の中間物のDEの制御を行うことによって、確実に得ることができる。
より具体的には、α-アミラーゼ又は酸を用いて澱粉を分解する第1分解工程を実施した後、この第1工程を経て得られる澱粉分解中間物を、少なくとも酵素を用いて分解する第2分解工程を行い、その後、公知の精製工程を経て得ることができる。本発明のグルコースポリマーの流通形態は特に限定されず、液状、粉末状、顆粒状などの形態で提供できる。
この製造方法の特徴は、段階的に澱粉分解を行うことで、第1分解工程により得られる前記澱粉分解中間物のDEを制御できるように工夫して、最終的に、DE27以下であり、かつ分子量5,000以上の糖組成物含有量が固形分当たり18重量%以下であり、さらに含まれる単糖類が固形分当たり6重量%以下であるグルコースポリマーを得るようにしていることである。
より詳しくは、α-アミラーゼ(EC3.2.11)又は酸を用いて澱粉を分解する第1分解工程において、得られる澱粉分解中間物はDE4〜25に制御するのが望ましい。DE4未満の場合は、次の第2分解工程で分解不充分な高分子量の糖組成物が残存し易くなり、一方DE25を越えると、続く第2分解工程における分解の制御が難しくなってしまう。
α-アミラーゼは、澱粉原料の種類に応じて使い分けることが望ましい。例えば、地下系澱粉の場合は、中温度(50℃程度)以上で作用可能なα-アミラーゼを選択し、地上系澱粉の場合は、高温(90℃程度)で作用可能な耐熱性α-アミラーゼを選択する。
この第1分解工程で採用可能な酸は、工業的な澱粉分解工程で採用可能な酸を広く包含し、例えば、塩酸、硫酸、蓚酸などを挙げることができる。酸の条件は目的に応じて適宜設計する。なお、この点、次の第2分解工程で使用する場合がある酸についても同様である。
まず、前記第1工程で、α−アミラーゼまたは酸による分解を行い、続く第2分解工程においては、(I)枝切り酵素による分解を行う方法、(II)枝切り酵素とα−アミラーゼを組み合わせて分解する方法、(III)枝切り酵素と酸を組み合わせて分解する方法、などを採用することによってDE27以下、特にDE4〜25に調整する。枝切り酵素としては、好適には、イソアミラーゼ(EC3.2.1.68)、プルラナーゼ(3.2.1.41)などを採用することができる。これら酵素の由来は特に限定されないが、耐熱性の点から細菌、カビ、酵母等の微生物由来のものが望ましい。尚、第1分解工程、第2分解工程を通して、環境負荷低減の観点からは酵素を用いた分解を行うことが有利である。
以下、本発明に係わる代表的な実施例について、比較例と対照しながら説明する。
まず、本実験において採用した各指標項目について説明する。まず「DE」は、澱粉分解物の分解度の指標とするものであり、その測定は、「澱粉糖関連工業分析法」(澱粉糖技術部会編)の氷点降下度からの算出度に従って算出した。「単糖類」の含量の測定は、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)で、次の「表1」に示す条件設定の下で行った。
Figure 2007182563
「甘味度」の算出は、Pauliの全系列法(澱粉糖技術会報、第14号、1956、p44)に準じて行った。即ち、20℃で、10w/v%スクロースの甘味度を100として求めた。
「分子量(MW)」の分析は、GPCで以下の条件設定の下に行った。Shodex OHpak SB-804(昭和電工社製)とShodex OHpak SB-802.5(昭和電工社製)とを連結したカラムを用いて、50mg/mLの糖質溶液10μLをこのカラムに供して分析した。その他の条件は、次の「表2」の通りである。なお、分子量は、分子量既知のプルラン(プルランスタンダードP−82:昭和電工(株)製)を用いて更正検量線を作成することにより求めることができる。
Figure 2007182563
「風味評価」は、10人の熟練したパネルの官能評価試験により行った。10人のパネルのうちデキストリン特有の風味を感じた人が10人中0人であった場合を◎、10人中1〜3人の場合を○、10人中4人〜7人の場合を△、10人中8〜10人の場合を×とする四段階での評価を行った。
次に、準備したグルコースポリマーに係わる実施例、比較例について説明する。
(実施例1)
第1分解工程で、地上系澱粉であるコーンスターチを耐熱性α-アミラーゼ(α-アミラーゼ:和光純薬工業(株)製)を用いてDE24まで分解し、続く第2分解工程で、枝切り酵素(イソアミラーゼ:和光純薬工業(株)製)によりDE27まで分解した。その分解物を活性炭精製、イオン精製した後に、噴霧乾燥によって乾燥物を得た。なお、当該乾燥物のマルトテトラオースの対固形分39重量%以下であった(他の実施例でも同様)。
(実施例2)
第1分解工程で、地下系澱粉である馬鈴薯澱粉をα-アミラーゼ(α-アミラーゼ:和光純薬工業(株)製)を用いてDE24まで分解し、続く第2分解工程で、枝切り酵素(実施例1と同じ)によりDE27まで分解した。得られた分解物を実施例1同様の方法で精製、乾燥を行った。
(実施例3)
第1分解工程で、地上系澱粉であるコーンスターチを耐熱性α-アミラーゼを用いてDE4まで分解した。続く第2分解工程で、枝切り酵素(実施例1と同じ)によりDE7まで分解し、続いて、α-アミラーゼによる分解を行いDE27とした。得られた分解物を実施例1同様の方法で精製、乾燥を行った。
(実施例4)
第1分解工程で、地上系澱粉であるコーンスターチを耐熱性α−アミラーゼ(実施例1と同じ)を用いてDE10まで分解した。続く第2分解工程で枝切り酵素(実施例1と同じ)を用いてDE13まで分解し、続いてα−アミラーゼによる分解を行いDE20とした。
(実施例5)
第1分解工程で、地上系澱粉であるコーンスターチを耐熱性α−アミラーゼ(実施例1と同じ)を用いてDE4まで分解した。続く第2分解工程で、枝切り酵素(実施例1と同じ)を用いてDE7まで分解し、続いて蓚酸による分解を行いDE27とした。
(実施例6)
第1分解工程で、地上系澱粉であるコーンスターチを、蓚酸を用いてDE24まで分解した。続く第2分解工程で枝切り酵素(実施例1と同じ)を用いてDE27とした。
(実施例7)
第1分解工程で、地上系澱粉であるコーンスターチを、蓚酸を用いてDE12まで分解した。続く第2分解工程で枝切り酵素(実施例1と同じ)を用いてDE15とした。
(実施例8)
実施例4に準じて調整し、αアミラーゼによる分解でDE25とした。
(実施例9)
実施例4に準じて調整し、αアミラーゼによる分解でDE22とした。
(比較例1)
分解工程で、地上系澱粉であるコーンスターチを耐熱性α-アミラーゼ(実施例1と同じ)を用いてDE27まで分解した(即ち、一段階分解)。その後、分解物を実施例1同様の方法で精製、乾燥を行った。
(比較例2)
分解工程で、地上系澱粉であるコーンスターチを耐熱性α-アミラーゼ(実施例1と同じ)を用いてDE18まで分解し、続く第2分解工程で、枝きり酵素(実施例1と同じ)によりDE21まで分解した。その後、分解物にグルコースを添加して単糖類9%に調整した(最終DE26)。その調整物を実施例1同様の方法で精製、乾燥を行った。
(比較例3)
分解工程で、地上系澱粉であるコーンスターチを耐熱性α-アミラーゼ(実施例1と同じ)を用いてDE26まで分解し、その後、枝切り酵素(実施例1と同じ)によりDE29まで分解した。その分解物を実施例1同様の方法で精製、乾燥を行った。
(比較例4)
分解工程で、地上系澱粉であるコーンスターチを耐熱性α-アミラーゼ(実施例1と同じ)を用いてDE15まで分解した(即ち、一段階分解)。その後、分解物を実施例1同様の方法で精製、乾燥を行った。
(比較例5)
分解工程で、地上系澱粉であるコーンスターチを、蓚酸を用いてDE15まで分解した(即ち、一段階分解)。その後、分解物を実施例1同様の方法で精製、乾燥を行った。
(比較例6)
第1分解工程で、地上系澱粉であるコーンスターチを耐熱性α−アミラーゼ(実施例1と同じ)を用いてDE3まで分解した。続く第2分解工程で枝切り酵素(実施例1と同じ)を用いてDE7まで分解し、続いて耐熱性α−アミラーゼ(実施例1と同じ)を用いてDE27とした。
(比較例7)
第1分解工程で、地上系澱粉であるコーンスターチを耐熱性α−アミラーゼ(実施例1と同じ)を用いてDE22まで分解した。
以上説明した実施例1〜9、及び比較例1〜7に関して、澱粉原料、第1工程の内容、澱粉分解中間物のDE、第2工程の内容、最終DEを、理解のため図2にまとめた。
また、実施例1〜9、及び比較例1〜7に係わる試料(乾燥物)に関するDE、単糖類含量、甘味度、分子量5,000以上の糖組成物含量、風味の測定又は評価結果を、図3にまとめて示した。
この図3に示された結果からわかるように、本発明に係る製造方法によって得られたグルコースポリマー(実施例1〜9)は、DE27以下であり、かつ分子量5,000以上の糖組成物含有量が固形分当たり18重量%以下であり、さらには、含まれる単糖類が固形分当たり6重量%以下であった。
そして、この実施例1〜9に係るグルコースポリマーは、風味官能評価の結果、デキストリン特有の風味が顕著に低減され、また甘味も低く、本発明の目的に合致するものであった。
一方、比較例1(分子量5000以上の糖組成物含量が19重量%)、比較例2(単糖類含量が7重量%)、比較例3(DE29)、比較例4(分子量5000以上の糖組成物含量が28重量%)、比較例5(分子量5000以上の糖組成物含量が25重量%)、比較例6(分子量5000以上の糖組成物含量が20重量%)、比較例7(分子量5000以上の糖組成物含量が26重量%)は、いずれも風味評価が悪かった(図3参照、×評価)。なお、比較例2、3は、甘味も過剰であった。
<加熱臭抑制機能の評価>
牛乳を用いて、本発明に係るグルコースポリマーの加熱臭抑制機能についての評価を行った。
生鮮牛乳に実施例9、比較例3で得られた試料を、5重量%上乗せ添加・溶解し、80℃で30分間加熱し、グルコースポリマー含有牛乳を調製した。対照区として、グルコースポリマーを使用せず80℃、30分間加熱したもの調整した。
上記で調整したグルコースポリマー含有牛乳を、専門パネラーによる官能評価により評価した。評価項目は、「加熱劣化臭」とし、表3の判断基準で評価した。
Figure 2007182563
評価結果を表4に示す。表4に示す通り、本発明に係るグルコースポリマー含有牛乳は、大幅に加熱劣化臭が抑制されており、新鮮さが保たれていることが分かった。
Figure 2007182563
続いて、上記官能評価の確認試験を行った。具体的には、双葉エレクトロニクス社製のポータブルオドメータ(商品名:FPO−1)を用いて、ニオイの強度を測定した。容量約80mlのバイアル瓶で50gの加熱処理サンプルを前記と同様の方法に従って調製し、37℃で30分間保温した後、ニオイの強度を測定した。ニオイの測定は閉鎖系で行い、数値の安定した時の値を測定値とした。6回の測定結果の平均を表5に示す。数値は無添加区の重質系センサーの増加量を100としたときの、相対値として示した。
Figure 2007182563
表5に示す通り、ポータブルオドメータ測定結果は、前記の官能評価と一致し、本発明に係るグルコースポリマー含有牛乳は、対照に比べて低い値が得られた。
本評価により、本発明に係るグルコースポリマーは、飲食物の加熱臭を抑制する機能を有することが分かった。
<酸味抑制機能の評価>
マヨネーズ様調味料を用いて、本発明に係るグルコースポリマーの酸味抑制機能の評価を行った。
表6に示す配合に従いマヨネーズ様調味料を調製した。具体的には、食酢、水、食塩、からし粉、グルタミン酸ナトリウム、実施例9、比較例3で得られた試料、澱粉、キサンタンガムを容器に入れ、ミキサーで均一化した。均一化したスラリーを95℃まで昇温し、澱粉を糊化させ、室温まで冷却した。これに裏ごしした卵黄と卵白を添加し、ミキサーで均一化し、菜種油をミキサーで撹拌しながら、少量ずつ添加して粗乳化物とした。この粗乳化物をコロイドミルで仕上げ乳化し、約450mlのマヨネーズ瓶に充填・密封し、マヨネーズ様調味料を調製した。対照区として、グルコースポリマーを使用しないマヨネーズ様調味料を上記と同様の方法で調整した。
Figure 2007182563
上記で調整したマヨネーズ様調味料を、専門パネラーによる官能評価により評価した。評価項目は、「ツヤ」と「酸味」とし、表7(ツヤ)、表8(酸味)に示す判断基準で評価した。
Figure 2007182563
Figure 2007182563
結果を表9に示す。本発明に係るグルコースポリマーを添加したマヨネーズ様調味料は、表面のツヤがあり、大幅に酸味が抑えられており、かつ、滑らかな食感であった。
Figure 2007182563
本評価により、本発明に係るグルコースポリマーを、有機酸を含有する酸味のある飲食物に使用することで、該飲食物の酸味を抑制することが分かった。
<獣臭抑制機能の評価>
ソーセージを用いて、本発明に係るグルコースポリマーの獣臭抑制機能についての評価を行った。
表10に示す配合でソーセージを調製した。具体的には、愛工舎社製のミキサー(商品名:ケンミックスKM−800)にアタッチメントのミキサーを取り付け、中日の刃で豚肩肉と豚背脂肪を別々に2回挽き、冷凍庫に保存した。挽いた豚背脂肪に実施例9、比較例7で得られた試料を添加・混合し、ミキサーで1回挽きし、冷凍庫に保存した。容器に、挽いた豚肩肉とグルコースポリマーを添加した挽いた豚背脂肪、澱粉、食塩、グルタミン酸ナトリウム、ミックススパイス、重合リン酸塩、亜硝酸塩、アスコルビン酸ナトリウムを入れて軽く均一化した。この混合物に氷水を少量ずつ添加しながら、ペースト状になるまで混合した。ペースト状の混合物を真空デシケーターで30分間脱気し、スタッファーを用いてケーシングに充填し、10cm間隔で鎖状にした。これを冷蔵庫につるして1日間保存した後、くん煙器で約1時間くん煙処理し、75℃のお湯で40分間加熱処理した。加熱処理後、流水で冷却し、表面の水気をふき取り、ビニールパックに充填し、評価まで冷蔵保管した。対照区として、グルコースポリマーを添加しないソーセージを上記と同様の方法で調整した。
Figure 2007182563
上記で調製したソーセージを、専門パネラーによる官能評価により評価した。評価項目は、「食感」、「獣臭」、「おいしさ」とし、表11(食感)、表12(獣臭)、表13(おいしさ)に示す判断基準で評価した。
Figure 2007182563
Figure 2007182563
Figure 2007182563
官能評価の結果を表14に示す。表14に示す通り、本発明に係るグルコースポリマーを添加したソーセージは、歯応えがよく、獣臭が極めて少なく、嗜好性に富んだものであった。
Figure 2007182563
本評価により、本発明に係るグルコースポリマーを、肉加工食品に使用することで、肉加工食品の獣臭を抑制し、かつ、食感を向上させることが分かった。
<魚臭抑制機能の評価>
鯖水煮を用いて、本発明に係るグルコースポリマーの魚臭抑制機能についての評価を行った。
真鯖の頭と尾を切り落とし、輪切りにカットし、内臓除去し、10%食塩水に10分間浸漬させた。カットした真鯖約170gのものを選別し、瓶に詰め、実施例9、比較例7の試料を5%含有する0.4%食塩水を100g添加し、オートクレーブで121℃、20分間処理した。加熱処理後、瓶を取り出し、室温まで放冷し、冷蔵庫で1日間保存した。対照区として、グルコースポリマーを添加しない鯖水煮を上記と同様の方法で調整した。
調製した鯖水煮を、専門パネラーによる官能評価により評価した。評価項目は、「食感」、「魚臭」、「おいしさ」とし、「食感」については上記表11、「魚臭」については表15、「おいしさ」については上記表13に示す判断基準で評価した。
Figure 2007182563
官能評価の結果を表16に示す。表16に示す通り、本発明に係るグルコースポリマーを添加した鯖水煮は、魚臭が極めて少なく、嗜好性に富んだものであった。
Figure 2007182563
本評価より、本発明に係るグルコースポリマーを、魚加工品に使用することで、魚加工品の魚臭を抑制し、かつ、食感を向上させることが分かった。
<ベーカリー製品の風味・食感向上機能の評価>
クッキーを用いて、本発明に係るグルコースポリマーの風味・食感向上機能についての評価を行った。
表17記載の配合でクッキーを調製した。バター、上白糖、実施例1、実施例9、比較例1、比較例7の試料、食塩を低速で1分間、高速で3分間ミキシングした。卵黄を混ぜて、均一になるまでミキシング後、小麦粉を加え、低速で2分間ミキシングした。生地をまとめ、5mmの厚さに伸ばし、中央部分をクッキーカッターで抜き、180℃で13分間焼成した。対照区として、グルコースポリマーを添加しないクッキーを上記と同様の方法で調整した。
Figure 2007182563
上記で調整したクッキーを、翌日、専門パネラーによる官能評価により評価した。評価項目は、「食感」、「口どけ」、「風味」とし、「食感」については上記表11、「口どけ」については表18、「風味」については表19に示す判断基準で評価した。
Figure 2007182563
Figure 2007182563
官能評価の結果を表20に示す。表20に示す通り、本発明に係るグルコースポリマーを添加したクッキーは、口どけと食感が良く、サクサクとしたクリスピー感が強く、好ましい食感であった。
Figure 2007182563
本評価により、本発明に係るグルコースポリマーを、クッキー類などのベーカリー製品に使用することで、焼成食品の食感、口どけ、風味を向上させることが分かった。
<ベーカリー製品の風味・食感・作業性向上機能の評価>
パンを用いて、本発明に係るグルコースポリマーの風味・食感・作業性向上機能についての評価を行った。
表21に示す配合でパンを調製した。具体的には、油脂以外の材料を混合し、低速で3分間、中高速で8分間、高速で1分間ミキシングして生地とし、油脂を投入してさらに低速で3分間、中高速で4分間、高速で0.5分間ミキシングして生地とした。この生地を28℃(RH80%)で60分寝かせ、次いで分割して28℃(RH80%)で25分置いた後、成型してブルマン型に入れ、38℃(RH90%)で50分ホイロ後、220℃で38分間焼成した。対照区として、グルコースポリマーを添加しないパンを上記と同様の方法で調整した。
Figure 2007182563
上記で調整したパン生地をミキシングしている時の「生地感」の状態を、表22の判断基準で評価した。また、焼成したパン試作品を、翌日スライスし、「食感のやわらかさ」、「口どけ」、「風味」について評価した。「食感のやわらかさ」については表23、「口どけ」については上記表18、「風味」については上記表19に示す判断基準で評価した。
Figure 2007182563
Figure 2007182563
結果を表24に示す。表24に示すように、本発明に係るグルコースポリマーを添加したパンは、生地感がしっとりとしてまとまり易く、パンを調整する際の作業性が良好であった。また、出来上がったパンの「食感のやわらかさ」、「口どけ」、「風味」のいずれも良好であった。
Figure 2007182563
本評価により、本発明に係るグルコースポリマーを、パン類などのベーカリー製品に使用することで、パン類などのベーカリー製品調整時の作業性、パン類などのベーカリー製品の食感のやわらかさ、口どけ、風味を向上させることが分かった。
<小麦粉加工品の風味・食感・作業性向上機能の評価>
生うどんを用いて、本発明に係るグルコースポリマーの風味・食感・作業性向上機能についての評価を行った。
表25に示す配合で生うどんを調製した。具体的には、水に食塩を溶解し、練り水を調整した。小麦粉に実施例9、比較例1の試料を混合し、練り水を加え、減圧下で15分混練した後、常法によって製麺ロールで複合及び圧延を行い、麺帯最終厚2.0mmとして切刃角9番で切り出した。得られた生うどんを沸騰した湯で9分間茹でた後、水洗冷却して、冷やしうどんを調整した。対照区として、グルコースポリマーを添加しない生うどんを上記と同様の方法で調整した。
Figure 2007182563
上記で調整した生うどんを調整しているときの「生地感」を上記表22の判断基準で評価した。また、調整した生うどんの「食感のなめらかさ」、「粉っぽさ」を、表26(食感のなめらかさ)、表27(粉っぽさ)の判断基準で評価した。
Figure 2007182563
Figure 2007182563
結果を表28に示す。表28に示すように、本発明に係るグルコースポリマーを添加した生うどんは、生地感がしっとりとしてまとまり易く、生うどんを調整する際の作業性が良好であった。また、出来上がった冷やしうどんの「食感のなめらかさ」も良好で、「粉っぽさ」も感じられなかった。
Figure 2007182563
本評価により、本発明に係るグルコースポリマーを、麺類などの小麦粉加工品に使用することで、麺類などの小麦粉加工品調整時の作業性、麺類などの小麦粉加工品の食感のなめらかさを向上させ、粉っぽさを抑制させることが分かった。
<ゾル状態での白濁試験>
本発明に係るグルコースポリマーのゾル状態での白濁試験を行った。
実施例1、4、8、9、比較例7で得られた各試料を50重量%に調整した後、4℃、12時間保存した時の濁度を光波長720nmの時の吸光度(光路長10cmのセル)で測定した。次いで、各懸濁液を、70℃、60分間保存した後、濁度を前記と同様に測定した。結果を表24に示す。
Figure 2007182563
表24に示すように、本発明に係るグルコースポリマーの中でも特にDE21以上27未満のものは、高分子成分が少ないにもかかわらず、低温で白濁し、また、低温で白濁後高温にすることにより、可逆的に白濁が消滅することが確認できた。
前記グルコースポリマーの低温で白濁する性質、及び高温で可逆的に白濁が消滅する性質は、各種飲食物の風味を向上させる機能、食感を向上させる機能に深く寄与している可能性が示唆された。
本発明は、食品分野、医薬品分野などの一般にデキストリンを使用する用途で好適に利用可能である。例えば、食品分野では、畜肉・魚肉加工品、液状および粉末状のタレ類・調味料類・飲料類、その他粉末食品類、乾燥食品類、小麦粉加工品類、菓子類、流動食類、栄養補助食品類、健康食品類(機能性食品類)、各種加工食品類とそれらの冷凍食品類、冷蔵食品類などの添加物あるいは配合組成物として利用できる。医薬品分野では、粉末製剤、顆粒製剤、打錠製剤、液状製剤などが例示される。
本発明に係るグルコースポリマーは、甘味度が低く、分子量5000以上の高分子成分特有の好ましくない風味が顕著に低減できているので、用途や添加量が制限され難く、現状ではデキストリンが使用されていない用途も含めた各種の食品や医薬品にも幅広く利用することができる。
本発明に係るグルコースポリマーは、風味調整機能、食感向上機能、作業性向上機能などを有するため、あらゆる飲食物や医薬品等に用いることで、飲食物、及び医薬品の風味を調整し、飲食物の食感を向上させ、飲食物、及び医薬品を製造する際の作業性を向上させることが可能である。
本発明に係るグルコースポリマーのGPC分子量分布分析結果であるクロマトグラフである。 本発明に係る実施例及び比較例の澱粉原料、第1工程の内容、澱粉分解中間物のDE、第2工程の内容、最終DEをまとめた図(表)である。 本発明に係る実施例及び比較例の指標に係わる測定と官能評価に関する結果をまとめた図(表)である。

Claims (6)

  1. DE27以下であり、かつ分子量5,000以上の糖組成物含有量が固形分当たり18重量%以下であり、さらに含まれる単糖類が固形分当たり6重量%以下であることを特徴とするグルコースポリマー。
  2. 澱粉を酸又は酵素により加水分解して得られることを特徴とする請求項1に記載のグルコースポリマー。
  3. 請求項1又は2に記載のグルコースポリマーが使用されたことを特徴とする飲食物。
  4. α-アミラーゼ又は酸を用いて澱粉を分解する第1分解工程と、
    前記第1分解工程を経て得られる澱粉分解中間物を、少なくとも酵素を用いて分解する第2分解工程と、
    からなる段階的澱粉分解工程を少なくとも行うことによる、
    DE27以下であり、かつ分子量5,000以上の糖組成物含有量が固形分当たり18重量%以下であり、さらに含まれる単糖類が固形分当たり6重量%以下であることを特徴とするグルコースポリマーの製造方法。
  5. 前記第2分解工程では、
    少なくとも枝切り酵素を使用することを特徴とする請求項4記載のグルコースポリマーの製造方法。
  6. 前記澱粉分解中間物を、DE4〜25に制御することを特徴とする請求項4又は5に記載のグルコースポリマーの製造方法。
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