JP2023104766A - 衣用澱粉分解物 - Google Patents

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祐貴 西山
Yuki Nishiyama
春樹 森
Haruki Mori
寛己 田島
Hiroki Tajima
駿介 小田原
Shunsuke Odawara
大次郎 篠原
Daijiro Shinohara
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Abstract

【課題】衣を有する食品において、衣の品質を向上させる技術を提供すること。【解決手段】本技術では、グルコース重合度(DP)8~19の含有率が32%以上、グルコース重合度(DP)20以上の含有率が30%以下、ヨウ素呈色値が0.15以上、である衣用澱粉分解物を提供する。本技術に係る衣用澱粉分解物は、衣用組成物、バッターやまぶし粉、およびこれらの衣を有する食品に好適に用いることができる。本技術では、また、グルコース重合度(DP)8~19の含有率が32%以上、グルコース重合度(DP)20以上の含有率が30%以下、ヨウ素呈色値が0.15以上、である衣用澱粉分解物を含有するバッター又はまぶし粉を用いて加熱調理を行う加熱調理工程を含む、衣を有する食品の製造方法および衣の食感改良方法を提供する。【選択図】なし

Description

本技術は、衣用澱粉分解物、衣用組成物、バッター、まぶし粉、および食品、並びに、衣を有する食品の製造方法、および衣の食感改良方法に関する。
従来、飲食品分野においては、甘味料、味質調整、浸透圧調整、保湿剤、粉末化基材等の用途に澱粉分解物が利用されている。例えば、特許文献1には、グルコース重合度(DP)8~19の含有量が32%以上、グルコース重合度(DP)20以上の含有量が30%以下、である澱粉分解物を有し、該澱粉分解物の一部又は全部を、対象製品の原材料と共に結晶化することで該対象製品の品質を改質する技術が開示されている。
また、特許文献2には、グルコース重合度(DP)8~19の含量が32%以上、かつ、グルコース重合度(DP)20以上の含量が30%以下で、同一のDE値を示す既存の澱粉分解物に比べ、低粘度、低甘味、低浸透圧を示す新規な澱粉分解物が開示されている。
食品分野でも、特に衣を有する食品の分野において、衣の食感を改善するために、加工澱粉や乳化剤を添加する方法等が知られている。例えば、特許文献3では、(A)デキストリン及び/又はトレハロース及び/又はソルビトールと、(B)有機酸モノグリセリド及びショ糖脂肪酸エステルと、(C)アルカリ剤とを衣に含有させることで、油切れがよく、油ちょう直後の衣の食感が良好で、この食感の経時的変化が少なく、冷凍、冷蔵後に再加熱しても衣の食感が良好に維持することができる技術が開示されている。
国際公開第2020/230238号パンフレット 特開2010-226988号公報 特開2004-57041号公報
上記のように、衣を有する食品において、衣の品質を向上させる技術は開発されつつあるが、さらなる開発が望まれているのが実情である。
そこで、本技術では、衣を有する食品において、衣の品質を向上させる技術を提供することを主目的とする。
本技術では、まず、グルコース重合度(DP)8~19の含有率が32%以上、
グルコース重合度(DP)20以上の含有率が30%以下、
ヨウ素呈色値が0.15以上、である衣用澱粉分解物を提供する。
本技術では、次に、本技術に係る衣用澱粉分解物を含有する、衣用組成物を提供する。
衣用組成物中の衣用澱粉分解物の含有量は、0.1~40質量%とすることができる。
本技術に係る衣用澱粉分解物や、本技術に係る衣用組成物は、バッターやまぶし粉、およびこれらの衣を有する食品に用いることができる。
本技術では、さらに、グルコース重合度(DP)8~19の含有率が32%以上、
グルコース重合度(DP)20以上の含有率が30%以下、
ヨウ素呈色値が0.15以上、である衣用澱粉分解物を含有するバッター又はまぶし粉を用いて加熱調理を行う加熱調理工程を含む、衣を有する食品の製造方法を提供する。
本技術では、加えて、グルコース重合度(DP)8~19の含有率が32%以上、
グルコース重合度(DP)20以上の含有率が30%以下、
ヨウ素呈色値が0.15以上、である衣用澱粉分解物を含有するバッター又はまぶし粉を用いて加熱調理を行う加熱調理工程を含む、衣の食感改良方法を提供する。
以下、本技術を実施するための好適な形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。
1.衣用澱粉分解物
本技術に係る衣用澱粉分解物は、グルコース重合度(以下「DP」と称する)8~19の含有率が32%以上、かつ、DP20以上の含有率が30%以下、ヨウ素呈色値が0.15以上である。本技術に係る衣用澱粉分解物は、一般的な澱粉分解物、具体的には、澱粉原料を酸および/またはα-アミラーゼにより分解して得られた澱粉分解物と比較して、DP20以上の含有率が少なく、DP8~19の含有率が多く、ヨウ素呈色値が高い。DP20以上の含有率が少ないため、飲食物等の風味を損なう恐れのある澱粉分解物特有の風味が少ない。また、DP8~19の含有率が多いため、すなわちDP1~7の含有率が低いため、低甘味、低浸透圧、低吸湿性を示す。さらに、ヨウ素呈色値が高いことは、DP16以上の直鎖状糖分子が多く含まれることを意味するが、このことにより、衣の保形性、硬さ、歯切れ、および口溶け等の品質を向上させると考えられる。
本技術に係る衣用澱粉分解物は、DP8~19の含有率が32%以上であれば、その含有率は特に限定されないが、好ましくは40%以上、より好ましくは43%以上、さらに好ましくは48%以上である。DP8~19の含有率が増加するほど、より低甘味、低浸透圧、低吸湿性を示す。
本技術に係る衣用澱粉分解物は、DP20以上の含有率が30%以下であれば、その含有率は特に限定されないが、好ましくは28%以下、より好ましくは25%以下である。DP20以上の含有率が少なくなるほど、デキストリン特有の風味がより低減される。
また、本技術に係る衣用澱粉分解物のDP20以上の含有率の下限値は、本技術の効果を損なわない限り特に限定されないが、好ましくは15%以上、より好ましくは18%以上である。
本技術に係る衣用澱粉分解物のヨウ素呈色値は、後述する実施例に記載の方法によって測定された値である。
ヨウ素による呈色反応は、DP16以上の直鎖状の糖鎖の存在を示すものであり、DP20以上の含有率が多い澱粉分解物においては、DP16以上の直鎖状の糖鎖が多く存在するため呈色反応を示すが、DP20以上の含有率が少ない澱粉分解物では通常呈色反応を示さないか、示したとしてもヨウ素呈色値は非常に低い値となる。本技術に係る衣用澱粉分解物は、DP20以上の含有率が少ないにも関わらず、DP16以上の直鎖状糖分子が含まれるため、ヨウ素による呈色反応を示す。本技術に係る衣用澱粉分解物は、ヨウ素呈色値が0.15以上であれば、特に限定されないが、より好ましくは0.30以上、さらに好ましくは0.35以上である。ヨウ素呈色値が高いほど、DP16以上の直鎖状糖分子が多く含まれ、衣の保形性、硬さ、歯切れ、および口溶け等の品質をより向上させる。
本技術に係る衣用澱粉分解物は、澱粉原料、例えば、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、米澱粉、小麦澱粉、サゴ澱粉等の澱粉(地上系澱粉)、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、甘藷澱粉等のような地下茎または根由来の澱粉(地下系澱粉)、あるいはこれら澱粉に物理的、化学的な加工を単独または複数組み合せて施した加工澱粉等を分解(糖化)することによって得られるものである。使用する澱粉原料は、特に限定されず、あらゆる澱粉原料を用いることができる。
本技術に係る衣用澱粉分解物のDP8以上の含有率は、本技術の効果を損なわない限り特に限定されないが、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上である。DP8以上の含有率が高い澱粉分解物を用いることで、より低甘味、低浸透圧、低吸湿性を示す。
本技術に係る衣用澱粉分解物のβ-アミラーゼ消化試験における残存率は、本技術の効果を損なわない限り特に限定されないが、好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下である。β-アミラーゼ消化試験における残存率が低い澱粉分解物、詳細は後述するがすなわち直鎖状糖分子が多く含まれる澱粉分解物を用いることで、衣の保形性、硬さ、歯切れ、および口溶け等の品質をより向上させる。
本技術において、β-アミラーゼ消化試験における残存率は、後述する実施例に記載の方法によって測定された値である。なお、β-アミラーゼは、グルコースポリマーを非還元末端からマルトース単位で分解する酵素で、α-1,6結合などの分岐結合があると、分解が止まることが知られている。そのため、澱粉分解物のβ-アミラーゼ消化試験による評価は、構造的な視点でα-1,4結合が連続する直鎖状部分を有する程度を示す指標となる。すなわち、ヨウ素による呈色反応ではDP16以上の直鎖状糖分子、β-アミラーゼ消化試験による評価では澱粉分解物全体の直鎖状糖分子についての指標となる。
本技術に係る衣用澱粉分解物のDE(dextrose equivalent)は、本技術の効果を損なわない限り特に限定されないが、好ましくはDE30以下、より好ましくはDE10~25、さらに好ましくはDE13~20である。DEがこの範囲の澱粉分解物を用いることで、より低甘味、低浸透圧、低吸湿性を示し、かつ、衣を有する食品を喫食した際の衣の口溶け感をより向上させる。
なお、「DE(dextrose equivalent)」とは、デキストロース当量とも称され、還元糖をグルコースとして測定し、その全固形分に対する割合(下記数式(1)参照)を示す値である。このDE値は、澱粉の加水分解の程度(分解度)、すなわち糖化の進行の程度を示す指標である。
[数1]
DE=[(直接還元糖(グルコースとして表示))/全固形分]×100・・・(1)
本技術に係る衣用澱粉分解物の製造方法については、本技術の効果を損なわない限り、特に限定されることはない。例えば、澱粉原料を、一般的な酸や酵素を用いた処理や、各種クロマトグラフィー、膜分離、エタノール沈殿等の所定操作を、適宜組み合わせて行うことによって澱粉分解物を得ることができる。
本技術に係る衣用澱粉分解物を効率的に得る方法として、澱粉原料に、少なくとも枝切り酵素と枝作り酵素を作用させる方法がある。一例としては、澱粉原料を酸および/またはα-アミラーゼで液化した後、枝作り酵素、枝切り酵素の順で作用させる。枝切り酵素(debranching enzyme)は、澱粉の分岐点であるα-1,6-グルコシド結合を加水分解する反応を触媒する酵素の総称である。枝作り酵素(branching enzyme)とは、α-1,4-グルコシド結合でつながった直鎖グルカンに作用して、α-1,6-グルコシド結合を作る働きを持った酵素の総称である。
すなわち、枝切り酵素は、澱粉の分岐鎖の分解に関与する酵素であり、枝作り酵素は、澱粉の分岐鎖の合成に用いる酵素である。従って、両者は通常、一緒に用いられることはない。しかし、全く逆の作用を示す両酵素を組み合わせて用いることにより、本技術に係る衣用澱粉分解物を確実に製造することができる。両酵素の作用順序は、実施例に示すように、同時または枝作り酵素作用後に枝切り酵素を作用させた方が、それにより得られた澱粉分解物を用いることで、衣を有する食品を喫食した際の衣の口溶け感を向上させることができるため、好ましい。
前記枝切り酵素は、特に限定されない。例えば、プルラナーゼ(Pullulanase, pullulan 6-glucan hydrolase)、アミロ-1,6-グルコシダーゼ/4-α-グルカノトランスフェラーゼ(amylo-1,6-glucosidase/4-α-glucanotransferase)を挙げることができ、より好適な一例としては、イソアミラーゼ(Isoamylase, glycogen 6-glucanohydrolase)を用いることができる。
また、前記枝作り酵素も特に限定されない。例えば、動物や細菌等から精製したもの、または、馬鈴薯、イネ種実、トウモロコシ種実等の植物から精製したもの、市販された酵素製剤等を用いることができる。
本技術に係る衣用澱粉分解物の製造方法では、前記酵素反応の後に、不純物を除去する工程を行うことも可能である。不純物の除去方法としては、特に限定されず、公知の方法を1種または2種以上自由に組み合わせて用いることができる。例えば、ろ過、活性炭脱色、イオン精製等の方法を挙げることができる。
更に、本技術に係る衣用澱粉分解物は、酵素反応後の澱粉分解物を含む液状品として用いることも可能であるが、真空乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥等により脱水乾燥し、粉末化することも可能である。また、クロマトグラフィーや膜分離によって一部成分を分画して用いることも可能である。
2.衣用組成物
本技術に係る衣用澱粉分解物は、本技術の効果を損なわない限り、衣を有する食品の衣の材料と共に、衣用組成物として流通させることができる。即ち、天ぷら粉やから揚げ粉等のフライ食品、焼きカツ等のノンフライ食品等の衣用ミックスとして流通させることができる。
本技術に係る衣用組成物に用いる衣の材料としては、例えば、小麦粉、米粉、そば粉、大麦粉、ライ麦粉、トウモロコシ粉、ひえ粉、あわ粉、大豆粉、ホワイトソルガム粉あるいはこれら穀粉に加熱処理を施した加熱穀粉等の穀粉類;コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、米澱粉、小麦澱粉、サゴ澱粉等の澱粉(地上系澱粉)、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、甘藷澱粉等のような地下茎または根由来の澱粉(地下系澱粉)あるいはこれら澱粉に物理的、化学的な加工を単独または複数組み合せて施した加工澱粉等の澱粉類;デキストリン、オリゴ糖、ぶどう糖、粉末水あめ、砂糖等の糖質;グルテン等の小麦由来たん白質、卵由来たん白質、卵白粉、全卵粉、大豆由来たん白質、きな粉、おからパウダー、乳由来たん白質等のたん白素材;粉末油脂、サラダ油、ショートニング等の油脂;粉末セルロース、結晶セルロース、イヌリン、難消化性澱粉等の食物繊維;カラギーナン、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビンガム等の増粘剤;重曹等の膨張剤;食塩等の塩類;パン粉、クラッカーパン粉、魚粉、乳化剤、pH調整剤、香辛料、調味料、ビタミン類、ミネラル類、色素、香料等が挙げられる。
本技術に係る衣用組成物における前記衣用澱粉分解物の含有量は、本技術の効果を損なわない限り特に限定されず、衣用組成物の使用用途に応じて、適宜設定することができる。
例えば、天ぷらやから揚げ等のフライ食品や、ノンフライ食品用のバッターに用いる場合、本技術に係る衣用組成物における前記衣用澱粉分解物の含有量の下限としては、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1.0質量%以上である。含有量の上限としては、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5.0質量%以下、さらに好ましくは3.0質量%以下である。
パン粉等を付着させた衣を有する食品用のバッターに用いる場合、本技術に係る衣用組成物における前記衣用澱粉分解物の含有量の下限としては、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上、さらに好ましくは5.0質量%以上である。含有量の上限としては、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。
まぶし粉に用いる場合、本技術に係る衣用組成物における前記衣用澱粉分解物の含有量の下限としては、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1.0質量%以上、よりさらに好ましくは3.0質量%以上である。含有量の上限としては、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
3.バッター、まぶし粉
本技術に係る衣用澱粉分解物や、本技術に係る衣用組成物は、バッターやまぶし粉に好適に用いることができる。
例えば、本技術に係る衣用澱粉分解物を用いた衣用組成物と、水、卵、油脂等のバッター材料を混合して、バッターを製造することができる。
また、本技術に係る衣用澱粉分解物を用いた衣用組成物を、そのまままぶし粉として使用することもできるし、必要であれば、更に他の粉類と混合した状態でまぶし粉として使用することができる。
本技術に係るバッターにおける前記衣用澱粉分解物の含有量は、本技術の効果を損なわない限り特に限定されず、バッターの使用方法に応じて、適宜設定することができる。
天ぷらやから揚げ等のフライ食品や、ノンフライ食品用のバッターの場合、本技術に係るバッターにおける前記衣用澱粉分解物の含有量の下限としては、好ましくは0.04質量%以上、より好ましくは0.20質量%以上、さらに好ましくは0.40質量%以上である。含有量の上限としては、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以下である。
パン粉等を付着させた衣を有する食品用のバッターの場合、本技術に係るバッターにおける前記衣用澱粉分解物の含有量の下限としては、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上である。含有量の上限としては、好ましくは12.0質量%以下、より好ましくは10.0質量%以下、さらに好ましくは7.0質量%以下である。
本技術に係るバッターは、常温、冷蔵、チルド、冷凍等の状態、例えば、真空パックバッター、冷蔵バッター、冷凍バッター等の形態で流通させることが可能である。
本技術に係るまぶし粉における前記衣用澱粉分解物の含有量は、本技術の効果を損なわない限り特に限定されない。含有量の下限としては、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1.0質量%以上、よりさらに好ましくは3.0質量%以上である。含有量の上限としては、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
4.衣を有する食品
本技術に係る衣用澱粉分解物や本技術に係る衣用組成物は、衣を有する食品に好適に用いることができる。すなわち、本技術に係る衣を有する食品は、本技術に係る衣用澱粉分解物や本技術に係る衣用組成物を含有する衣を有する食品である。
本技術に係る衣を有する食品は、本技術に係る衣用澱粉分解物や本技術に係る衣用組成物を含有するバッターやまぶし粉を、具材に、直接または打ち粉等を介して付着させた状態、または、更にパン粉等を付着させた状態で、加熱調理することにより製造される。なお、前記打ち粉として、本技術に係る衣用澱粉分解物や本技術に係る衣用組成物を用いることもできる。
本技術に係る衣を有する食品に用いることができる具材としては、エビ、イカ、タコ、カニ、貝、魚などの魚介類;鶏肉、豚肉、牛肉などの畜肉類;卵類;野菜類;果物類;およびこれらの加工品;チーズ、ヨーグルト、アイスクリーム等の乳製品類;パン類;ドーナツ、ケーキ、マフィン、パイ、クッキー、饅頭、団子、チョコレート等の菓子類;うどん、中華麺、そば等の麺類;練り物、納豆等の加工食品等が挙げられる。
本技術に係る衣を有する食品の具体例としては、例えば、海老天、イカ天、鶏天、豚天、野菜天、かき揚げ等の天ぷら類;牛カツ、とんかつ、チキンカツ、メンチカツ等のかつ類;各種具材を用いたから揚げ類;ポテトコロッケ、ミートコロッケ、クリームコロッケ、ライスコロッケ等のコロッケ類;白身フライ、エビフライ、カキフライ、野菜フライ等のフライ類;各種具材を用いたフリット類;揚げアイスクリーム、揚げドーナツ、揚げパイ、揚げパン、揚げ饅頭、揚げ麺等が挙げられる。
5.衣を有する食品の製造方法、および衣の食感改良方法
本技術に係る衣を有する食品の製造方法、および衣の食感改良方法は、本技術に係る衣用澱粉分解物を含有するバッター又はまぶし粉を用いて加熱調理を行う加熱調理工程を含むことを特徴とする。
具体的に、本技術に係る衣を有する食品の製造方法、および衣の食感改良方法は、本技術に係る衣用澱粉分解物や本技術に係る衣用組成物を含有するバッターやまぶし粉を、具材に、直接または打ち粉等を介して付着させた状態、または、更にパン粉等を付着させた状態で加熱調理することにより、食品を製造する方法、および衣の食感改良方法である。
衣の食感を改良する方法とは、具体的には、衣に硬さを付与または向上させたり、衣にサクサクした食感を付与または向上させたり、衣に口溶けの食感を付与または向上させたりする方法である。
また、本技術では、衣を有する食品の衣の保形性を向上することもできる。例えば、本技術に係る食品の製造方法、および衣の食感改良方法を用いて得られた食品を、つゆに浸したり、ソースに絡めたりした場合であっても、良好な保形性を有するため、外観を良好に保つことができる。
加熱調理工程における加熱方法は、本技術の効果を損なわない限り、食品の製造時に行われる加熱方法を1種または2種以上、自由に選択して用いることができる。例えば、油ちょう、焼成、加熱水蒸気による加熱、マイクロ波加熱等の加熱方法を挙げることができる。
本技術に係る衣を有する食品の製造方法、および衣の食感改良方法では、前記加熱調理工程の前に、本技術に係る衣用澱粉分解物を含有するバッター又はまぶし粉を付着させた食品を冷凍する工程を行うことができる。加熱調理工程前に冷凍工程を行う場合、冷凍した状態の食品を、必要に応じて、解凍工程を行った後に加熱調理することもできるが、そのまま加熱調理することもできる。本技術では、冷凍工程を経た後に、そのまま若しくは解凍して加熱調理した場合であっても、品質の高い衣を有する食品を製造することができる。
本技術に係る衣を有する食品の製造方法、および衣の食感改良方法では、製造された食品を、常温、冷蔵、チルド、冷凍等の状態で保存することができる。また、加温什器等を用いて加温状態で保存することもできる。
本技術に係る衣を有する食品の製造方法、および衣の食感改良方法を用いて得られた食品は、どのような保存状態においても、衣の品質を高く維持することができる。例えば、本技術に係る食品を、常温、冷蔵、チルド等の状態で、そのまま喫食した場合でも、衣の硬さ、サクサクした食感、口溶けの食感等が良好であり、また、優れた保形性を有するため、外観も良好である。また、本技術に係る食品を、常温、冷蔵、チルド等の状態で保存した後、焼成やマイクロ波等で加熱して喫食した場合でも、衣の硬さ、サクサクした食感、口溶けの食感等が良好であり、また、優れた保形性を有するため、外観も良好である。更に、本技術に係る食品を、冷凍保存した後、自然解凍、冷蔵解凍、流水解凍、マイクロ波解凍等で解凍した後に喫食した場合でも、衣の硬さ、サクサクした食感、口溶けの食感等が良好であり、また、優れた保形性を有するため、外観も良好である。加えて、本技術に係る食品を、冷凍保存後に前記の方法で解凍し、更に前記の方法で加熱した後に喫食したり、冷凍保存後に、そのまま前記の方法で加熱した後に喫食したりした場合でも、衣の硬さ、サクサクした食感、口溶けの食感等が良好であり、また、優れた保形性を有するため、外観も良好である。
以下、実施例に基づいて本技術を更に詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、本技術の代表的な実施例の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。
<分析方法>
[枝作り酵素の活性]
基質溶液として、0.1M酢酸緩衝液(pH5.2)にアミロース(シグマ アルドリッチ社製、A0512)を0.1質量%溶解したアミロース溶液を用いた。50μLの基質液に50μLの酵素液を添加し、30℃で30分間反応させた後、ヨウ素-ヨウ化カリウム溶液(0.39mMヨウ素-6mMヨウ化カリウム-3.8mM塩酸混合用液)を2mL加え反応を停止させた。ブランク溶液として、酵素液の代わりに水を添加したものを調製した。反応停止から15分後に660nmの吸光度を測定した。枝作り酵素の酵素活性量1単位は、上記の条件で試験する時、660nmの吸光度を1分間に1%低下させる酵素活性量とした。
[DP8~19、DP20以上、DP8以上の含有率]
下記の表1に示す条件で高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて分析を行い、検出されたピーク面積比率に基づいて、DP8~19およびDP20以上、DP8以上の含有率を測定した。
[ヨウ素呈色値測定]
5mLの水を分注した試験管に、試料(澱粉分解物)を固形分として25mg添加して10分間煮沸し、溶解、混合した。これに、ヨウ素呈色液(0.2質量/体積%ヨウ素、および2質量/体積%ヨウ化カリウム)を100μL添加し、撹拌後、30℃で20分間放置後、分光光度計にて、光路長10mmのガラスセルを用いて、660nmの吸光度を測定し、試料を添加しない場合の吸光度測定値との差をヨウ素呈色値とした。
[β-アミラーゼ消化試験における残存率]
澱粉分解物を10mM酢酸緩衝液(pH5.5)に煮沸で溶解し調製した固形分濃度10質量%溶液10mLに、β-アミラーゼ(ナガセケムテックス株式会社製)10μLを添加し、55℃で72時間反応させた後、100℃で10分加熱処理をすることで反応を停止した。反応液をイオン交換樹脂にて脱塩し、下記の方法によりDP4以上の含有率を測定し、その値を残存率とした。
[DE]
DEの測定は、「澱粉糖関連工業分析法」(澱粉糖技術部会編)の5~6ページに記載のレインエイノン法に従って算出した。
<澱粉分解物の製造>
澱粉分解物の製造では、枝作り酵素の一例として、Eur. J. Biochem. 59, p615-625 (1975)の方法に則って、精製した馬鈴薯由来の酵素(以下「馬鈴薯由来枝作り酵素」とする)と、Branchzyme(ノボザイムズ株式会社製、以下「細菌由来枝作り酵素」とする)を用いた。
[澱粉分解物A]
10質量%水酸化カルシウムにてpH5.8に調整した30質量%のコーンスターチスラリーに、α-アミラーゼ(リコザイムスープラ、ノボザイムズジャパン株式会社製)を、固形分(g)当たり0.2質量%添加し、ジェットクッカー(温度110℃)で液化した。この液化液を95℃で保温し、経時的にDEを測定し、DE8になった時点で、10質量%塩酸でpH4に調整し、煮沸により反応を停止した。反応を停止した糖液のpHを5.8に調整した後、細菌由来枝作り酵素を固形分(g)当たり500ユニット添加し、65℃で40時間反応させた。その後枝切り酵素(GODO-FIA、合同酒精株式会社製)を固形分(g)当たり0.5質量%添加し、50℃で48時間反応させた。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製し、固形分濃度40質量%に濃縮した。該濃縮液をスプレードライヤーで粉末化し澱粉分解物Aを得た。
[澱粉分解物B]
10質量%水酸化カルシウムにてpH5.8に調整した30質量%のタピオカ粉末スラリーに、α-アミラーゼ(クライスターゼT10S、天野エンザイム株式会社製)を、固形分(g)当たり0.2質量%添加し、ジェットクッカー(温度110℃)で液化した。この液化液を95℃で保温し、経時的にDEを測定し、DE15になった時点で、10質量%塩酸でpH4に調整し、煮沸により反応を停止した。反応を停止した糖液のpHを5.8に調整した後、馬鈴薯由来枝作り酵素を固形分(g)当たり2000ユニット添加し、35℃で30時間反応させた。その後pHを4.2に調整し、枝切り酵素(イソアミラーゼ、シグマアルドリッチジャパン株式会社製)を固形分(g)当たり1.0質量%添加し、45℃で30時間反応させた。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製し、固形分濃度60質量%に濃縮した。該濃縮液を、スプレードライヤーで粉末化し澱粉分解物Bを得た。
[澱粉分解物C]
10質量%塩酸にてpH2に調整した30質量%のコーンスターチスラリーを、130℃の温度条件でDE13まで分解した。常圧に戻した後、10質量%水酸化ナトリウムを用いて中和することにより反応を停止した糖液のpHを5.8に調整した後、細菌由来枝作り酵素を固形分(g)当たり400ユニット添加し、65℃で48時間反応させた。その後枝切り酵素(GODO-FIA、合同酒精株式会社製)を固形分(g)当たり1.0質量%添加し、50℃で60時間反応させた。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製し、スプレードライヤーで粉末化し澱粉分解物Cを得た。
[澱粉分解物D]
10質量%水酸化カルシウムにてpH5.8に調整した30質量%のコーンスターチスラリーに、α-アミラーゼ(クライスターゼT10S、天野エンザイム株式会社製)を、固形分(g)当たり0.2質量%添加し、ジェットクッカー(温度110℃)で液化した。この液化液を95℃で保温し、経時的にDEを測定し、DE8になった時点で、10質量%塩酸でpH4に調整し、煮沸により反応を停止した。反応を停止した糖液のpHを5.8に調整した後、細菌由来枝作り酵素を固形分(g)当たり600ユニット添加し、65℃で15時間反応させた。その後枝切り酵素(GODO-FIA、合同酒精株式会社製)を固形分(g)当たり0.5質量%添加し、50℃で40時間反応させた。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製し、固形分濃度45質量%に濃縮した。該濃縮液を、スプレードライヤーで粉末化し澱粉分解物Dを得た。
[澱粉分解物E]
10質量%水酸化カルシウムにてpH5.8に調整した30質量%のコーンスターチスラリーに、α-アミラーゼ(クライスターゼT10S、天野エンザイム株式会社製)を、固形分(g)当たり0.2質量%添加し、ジェットクッカー(温度110℃)で液化した。この液化液を95℃で保温し、経時的にDEを測定し、DE20になった時点で、10質量%塩酸でpH4に調整し、煮沸により反応を停止した。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製し、固形分濃度40質量%に濃縮した。該濃縮液をスプレードライヤーで粉末化し澱粉分解物Eを得た。
[澱粉分解物F]
10質量%水酸化カルシウムにてpH5.8に調整した30質量%のコーンスターチスラリーに、α-アミラーゼ(リコザイムスープラ、ノボザイムズジャパン株式会社製)を、固形分(g)当たり0.2質量%添加し、ジェットクッカー(温度110℃)で液化した。この液化液を95℃で保温し、経時的にDEを測定し、DE13になった時点で、10質量%塩酸でpH4に調整し、煮沸により反応を停止した。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製し、固形分濃度40質量%に濃縮した。該濃縮液をスプレードライヤーで粉末化し澱粉分解物Fを得た。
<各澱粉分解物の分析>
前記で得られた澱粉分解物A~FのDP8~19、DP20以上、およびDP8以上の含有率、ヨウ素呈色値、β-アミラーゼ消化試験における残存率、DEについて、前述した方法で評価した。結果を下記の表3に示す。
<実験例1>
実験例1では、各種澱粉分解物を用いて、冷やし蕎麦用のかき揚げを製造した場合における効果の違いを検証した。
(1)かき揚げの製造
5mm幅にカットした玉ねぎ15質量部と、3mm×3mm×40mmにカットした人参30質量部と、30mm長にカットした三つ葉1質量部を具材とし、これらに4質量部の打ち粉をした。下記表4に示す配合の衣用組成物(バッターミックス)100質量部と水97.5質量部を混合してバッターを調製した。打ち粉をした前記具材に対し、該バッターを32質量部程度混合し、ひとまとめにして、150℃にて8分間油ちょうし、かき揚げを製造した。
製造したかき揚げを、5℃にて30分間保存した。ポリスチレン製容器に入れた蕎麦の上にかき揚げを置き、蓋をして、5℃にて24時間保存した。
(2)評価
保存後のかき揚げを、冷たいまま喫食した際の衣の硬さと口溶けについて、下記の評価基準に基づいて、訓練を受けた専門のパネル10名が評価を行い、その平均点を評価点とした。
[硬さ]
5 コントロールと比較して、硬さがあり、非常に良好
4 コントロールと比較して、やや硬さがあり、または、やや硬すぎるが、良好
3 コントロールと同等
2 コントロールと比較して、やや硬さが無く、やや悪い
1 コントロールと比較して、硬さが無く、悪い
[口溶け]
5 コントロールと比較して、口溶けが非常に良好
4 コントロールと比較して、口溶けが良好
3 コントロールと同等
2 コントロールと比較して、口溶けがやや悪い
1 コントロールと比較して、口溶けが無く、悪い
(3)結果
結果を下記の表4に示す。
(4)考察
表4に示す通り、DP8~19の含有率が32%未満、DP20以上の含有率が30%超、かつ、ヨウ素呈色値が0.15未満、である澱粉分解物Eを用いたサンプル6に比べて、DP8~19の含有率が32%以上、DP20以上の含有率が30%以下、かつ、ヨウ素呈色値が0.15以上、である澱粉分解物AまたはDを用いたサンプル1~5は、硬さおよび口溶けの両方の評価が高かった。
<実験例2>
実験例2では、各種澱粉分解物を用いて、温かい蕎麦用のかき揚げを製造した場合における効果の違いを検証した。
(1)かき揚げの製造
7mm幅にカットした玉ねぎ42質量部と、3mm×3mm×40mmにカットした人参10質量部と、3mm×3mm×40mmにカットした牛蒡3質量部と、10mmにカットした小松菜0.6質量部と、アキアミ0.08質量部を具材とし、下記表5示す配合の衣用組成物(バッターミックス)4質量部を用いて、これらに打ち粉をした。下記表5に示す配合の衣用組成物(バッターミックス)100質量部と水155質量部を混合してバッターを調製した。打ち粉をした前記具材に対し、該バッターを30質量部混合し、165℃にて3分30秒間、かき揚げ用リングを用いて潜行させながら油ちょうし、かき揚げを製造した。
製造したかき揚げを、5℃にて30分間保存した。容器にめんつゆを入れ、中皿に置いた蕎麦の上にかき揚げを置き、蓋をして、5℃にて24時間保存した。
(2)評価
保存後のかき揚げを、蕎麦やめんつゆの入った容器ごと1500Wの電子レンジを用いて90秒間マイクロ波で加熱し、中皿に置いたかき揚げと蕎麦をめんつゆに浸して食した際の衣の硬さと口溶けについて、前記実験例1と同一の評価基準に基づいて、訓練を受けた専門のパネル10名が評価を行い、その平均点を評価点とした。
(3)結果
結果を下記の表5に示す。
(4)考察
表5に示す通り、DP8~19の含有率が32%未満、DP20以上の含有率が30%超、かつ、ヨウ素呈色値が0.15未満、である澱粉分解物Eを用いたサンプル10に比べて、DP8~19の含有率が32%以上、DP20以上の含有率が30%以下、かつ、ヨウ素呈色値が0.15以上、である澱粉分解物AまたはDを用いたサンプル7~9は、硬さおよび口溶けの両方の評価が高かった。また、サンプル7~9は、めんつゆに浸したときに崩れにくく、保形性があった。
<実験例3>
実験例3では、各種澱粉分解物を用いて、メンチカツを製造した場合において、常温保存後にそのまま喫食した場合の効果の違いを検証した。
(1)メンチカツの製造
冷蔵メンチカツ用パテ40質量部に、パン粉(スイートフラワー12メッシュ(共栄フード株式会社製))をまぶした。下記表6に示す配合の衣用組成物(バッターミックス)100質量部と水を混合してバッターを調製し、パン粉をまぶしたパテに該バッターを付着させ、更に、パン粉(6mm生パン粉(共栄フード株式会社製))を付けて、ショックフリーザーにて凍結し、-25℃にて1か月間冷凍保存した。冷凍のまま175℃にて8分間油ちょうし、メンチカツを製造した。
製造したメンチカツを、ポリプロピレン製容器に入れて蓋をし、常温にて4時間保存した。
(2)評価
保存後のメンチカツを、そのまま喫食した際の衣の硬さと口溶けについて、前記実験例1と同一の評価基準に基づいて、また、歯切れについては、下記の評価基準に基づいて、訓練を受けた専門のパネル10名が評価を行い、その平均点を評価点とした。なお、サンプル11~20はコントロール1、サンプル21~26はコントロール2と比較して評価した。
[歯切れ]
5 コントロールと比較して、歯切れが非常に良好
4 コントロールと比較して、歯切れが良好
3 コントロールと同等
2 コントロールと比較して、歯切れがやや悪い
1 コントロールと比較して、歯切れが無く、悪い
(3)結果
結果を下記の表6に示す。
(4)考察
表6に示す通り、DP8~19の含有率が32%未満、かつDP20以上の含有率が30%超、である澱粉分解物Fを用いたサンプル20およびサンプル26に比べて、DP8~19の含有率が32%以上、DP20以上の含有率が30%以下、かつ、ヨウ素呈色値が0.15以上、である澱粉分解物A~Cを用いたサンプル11~19、21~25は、全ての評価が高かった。
澱粉分解物Aを用いたサンプル内で比較すると、バッターミックス中の澱粉分解物Aの含有量が増えるに従って、硬さの評価は向上したが、含有量45質量%のサンプル17はやや硬すぎる印象であった。また、40質量%以下のサンプル11~16の方が、歯切れおよび口溶けの評価は、高い結果であった。この結果から、バッター中の衣用澱粉分解物の含有量は、40質量%以下とすることが好ましいことが分かった。
<実験例4>
実験例4では、各種澱粉分解物を用いて、メンチカツを製造した場合において、冷凍保存後にマイクロ波加熱して喫食した場合の効果の違いを検証した。
(1)メンチカツの製造
冷蔵メンチカツ用パテ40質量部に、パン粉(スイートフラワー12メッシュ(共栄フード株式会社製))をまぶした。下記表7に示す配合で各資材と水を混合してバッターを調製し、パン粉をまぶしたパテに該バッターを付着させ、更に、パン粉(6mm生パン粉(共栄フード株式会社製))を付けて、175℃にて4分間油ちょうし、メンチカツを製造した。
製造したメンチカツを、食品用ポリ袋に入れて密封し、ショックフリーザーにて凍結し、-25℃にて1か月間冷凍保存した。
(2)評価
冷凍保存後のメンチカツを、500Wの電子レンジを用いて2分間マイクロ波加熱を行った後に喫食した際の衣の硬さ、歯切れ、および口溶けについて、前記実験例3と同一の評価基準に基づいて、訓練を受けた専門のパネル10名が評価を行い、その平均点を評価点とした。なお、サンプル27~29および33はコントロール1、サンプル30~32はコントロール2と比較して評価した。
(3)結果
結果を下記の表7に示す。
(4)考察
表7に示す通り、DP8~19の含有率が32%未満、かつDP20以上の含有率が30%超、である澱粉分解物Fを用いたサンプル33に比べて、DP8~19の含有率が32%以上、DP20以上の含有率が30%以下、かつ、ヨウ素呈色値が0.15以上、である澱粉分解物Aを用いたサンプル27~32は、全ての評価が高かった。
<実験例5>
実験例5では、各種澱粉分解物を用いて、チキンカツを製造した場合の効果の違いを検証した。
(1)チキンカツの製造
鶏もも肉100質量部に下味をつけた後、汁を切って打ち粉をした。下記表8に示す配合の衣用組成物(バッターミックス)100質量部と水600質量部とサラダ油(昭和産業株式会社製)300質量部を混合して1次バッターを調製し、打ち粉をした鶏もも肉に付着させ、パン粉(スイートフラワー12メッシュ(共栄フード株式会社製))をまぶした。下記表8に示す配合の衣用組成物(バッターミックス)100質量部と水600質量部とサラダ油(昭和産業株式会社製)300質量部を混合して2次バッターを調製し、パン粉をまぶした前記鶏もも肉に付着させ、更に、パン粉(スイートフラワー12メッシュ(共栄フード株式会社製))を付けて、175℃にて6分30秒間油ちょうし、チキンカツを製造した。
製造したチキンカツを、真空冷却して6等分にカットし、ポリプロピレン製容器に入れて蓋をし、インキュベーターにて20℃で24時間保存した。
(2)評価
保存後のチキンカツを、1500Wの電子レンジを用いて40秒間マイクロ波加熱を行った後に喫食した際の衣の硬さ、歯切れ、および口溶けについて、前記実験例3と同一の評価基準に基づいて、訓練を受けた専門のパネル10名が評価を行い、その平均点を評価点とした。
(3)結果
結果を下記の表8に示す。
(4)考察
表8に示す通り、DP8~19の含有率が32%以上、DP20以上の含有率が30%以下、かつ、ヨウ素呈色値が0.15以上、である澱粉分解物Aを用いたサンプル34は、全ての評価が良好であった。
<実験例6>
実験例6では、各種澱粉分解物を用いて、とんかつを製造した場合の効果の違いを検証した。
(1)とんかつの製造
下記表9に示す配合の衣用組成物(バッターミックス)100質量部と水200質量部を混合してバッターを調製し、90質量部の豚ロース肉に付着させ、パン粉(10mm生パン粉(共栄フード株式会社製))を付けて、175℃にて4分30秒間油ちょうし、とんかつを製造した。
製造したとんかつを、粗熱を取ってからポリプロピレン製容器に入れ、常温で3時間保存した。
(2)評価
保存後のとんかつを、そのまま喫食した際の衣の硬さ、歯切れ、および口溶けについて、前記実験例3と同一の評価基準に基づいて、訓練を受けた専門のパネル10名が評価を行い、その平均点を評価点とした。
(3)結果
結果を下記の表9に示す。
(4)考察
表9に示す通り、DP8~19の含有率が32%未満、DP20以上の含有率が30%超、かつ、ヨウ素呈色値が0.15未満、である澱粉分解物Eを用いたサンプル39や、DP8~19の含有率が32%未満、かつDP20以上の含有率が30%超、である澱粉分解物Fを用いたサンプル40、および澱粉分解物の代わりにグラニュー糖を用いたサンプル41に比べて、DP8~19の含有率が32%以上、DP20以上の含有率が30%以下、かつ、ヨウ素呈色値が0.15以上、である澱粉分解物A~Dを用いたサンプル35~38は、全ての評価が高かった。
<実験例7>
実験例7では、各種澱粉分解物を用いて、一口かつを製造した場合の効果の違いを検証した。
(1)一口かつの製造
ショックフリーザーで10分程度凍結させた13mm厚外国産チルド豚ロース肉を、直径55mmのセルクルを用いて型抜きし、打ち粉をした。下記表10に示す配合の衣用組成物(バッターミックス)100質量部と水300質量部を混合して1次バッターを調製し、打ち粉をした豚ロース肉に付着させ、パン粉(スイートフラワー12メッシュ(共栄フード株式会社製))をまぶした。下記表10に示す配合の衣用組成物(バッターミックス)100質量部と水200質量部とサラダ油(昭和産業株式会社製)50質量部を混合して2次バッターを調製し、パン粉をまぶした前記豚ロース肉に付着させ、更に、パン粉(6mm生パン粉(共栄フード株式会社製))を付けて、180℃にて3分30秒間潜行させながら油ちょうし、一口かつを製造した。
製造した一口かつを、急速凍結し、食品用ポリ袋に入れて密封し、-25℃にて1か月間冷凍保存した。
(2)評価
冷凍保存後の一口かつを、600Wの電子レンジを用いて1分間マイクロ波加熱を行った後に喫食した際の衣の硬さ、歯切れ、および口溶けについて、前記実験例3と同一の評価基準に基づいて、訓練を受けた専門のパネル10名が評価を行い、その平均点を評価点とした。
(3)結果
結果を下記の表10に示す。
(4)考察
表10に示す通り、DP8~19の含有率が32%未満、DP20以上の含有率が30%超、かつ、ヨウ素呈色値が0.15未満、である澱粉分解物Eを用いたサンプル43、および澱粉分解物の代わりにグラニュー糖を用いたサンプル44に比べて、DP8~19の含有率が32%以上、DP20以上の含有率が30%以下、かつ、ヨウ素呈色値が0.15以上、である澱粉分解物Aを用いたサンプル42は、全ての評価が高かった。
<実験例8>
実験例8では、各種澱粉分解物を用いて、ローストポークかつを製造した場合の効果の違いを検証した。
(1)ローストポークかつの製造
冷凍ローストポーク30質量部を、表面温度が-3℃になるまで置き、打ち粉をした。下記表11に示す配合の衣用組成物(バッターミックス)100質量部と水300質量部を混合して1次バッターを調製し、打ち粉をしたローストポークに付着させ、パン粉(スイートフラワー12メッシュ(共栄フード株式会社製))をまぶした。下記表11に示す配合の衣用組成物(バッターミックス)100質量部と水300質量部を混合して2次バッターを調製し、パン粉をまぶした前記ローストポークに付着させ、更に、パン粉(6mm生パン粉(共栄フード株式会社製))を付けて、180℃にて5分間潜行させながら油ちょうし、更に余熱で10分程置いて、ローストポークかつを製造した。
製造したローストポークかつを、急速凍結して真空パックに入れ、-25℃にて1か月間冷凍保存した。
(2)評価
冷凍保存後のローストポークかつを、600Wの電子レンジを用いて1分間マイクロ波加熱を行った後に喫食した際の衣の硬さ、歯切れ、および口溶けについて、前記実験例3と同一の評価基準に基づいて、訓練を受けた専門のパネル10名が評価を行い、その平均点を評価点とした。
(3)結果
結果を下記の表11に示す。
(4)考察
表11に示す通り、DP8~19の含有率が32%以上、DP20以上の含有率が30%以下、かつ、ヨウ素呈色値が0.15以上、である澱粉分解物Aを用いたサンプル45およびサンプル46は、全ての評価が良好であった。2次バッターのみに澱粉分解物Aを用いたサンプル46でも十分な効果を有していたが、1次バッターおよび2次バッターの両方に澱粉分解物Aを用いたサンプル45は、歯切れおよび口溶けの効果が更に向上していた。
<実験例9>
実験例9では、各種澱粉分解物を用いて、から揚げを製造した場合の効果の違いを検証した。
(1)から揚げの製造
鶏もも肉を一口大(30質量部)にカットして下味をつけた後、汁を切った。下記表12に示す配合の衣用組成物(まぶし粉)を鶏もも肉にまぶし、180℃にて4分間油ちょうし、から揚げを製造した。
製造したから揚げを、ポリプロピレン製容器に入れて急速冷蔵し、冷蔵(5℃)で1日間保存後、常温にて4時間保存した。
(2)評価
常温保存後のから揚げを、そのまま喫食した際の衣の硬さ、歯切れ、および口溶けについて、前記実験例3と同一の評価基準に基づいて、訓練を受けた専門のパネル10名が評価を行い、その平均点を評価点とした。
さらに、常温保存後のから揚げを、500Wの電子レンジを用いて30秒間マイクロ波加熱を行った後に喫食した際の衣の硬さ、歯切れ、および口溶けについて、前記実験例3と同一の評価基準に基づいて、訓練を受けた専門のパネル10名が評価を行い、その平均点を評価点とした。
(3)結果
結果を下記の表12に示す。
(4)考察
表12に示す通り、DP8~19の含有率が32%未満、DP20以上の含有率が30%超、かつ、ヨウ素呈色値が0.15未満、である澱粉分解物Eを用いたサンプル56や、DP8~19の含有率が32%未満、かつDP20以上の含有率が30%超、である澱粉分解物Fを用いたサンプル57に比べて、DP8~19の含有率が32%以上、DP20以上の含有率が30%以下、かつ、ヨウ素呈色値が0.15以上、である澱粉分解物A~Dを用いたサンプル47~55は、全ての評価が高かった。
澱粉分解物Aを用いたサンプル内で比較すると、まぶし粉中の澱粉分解物Aの含有量が増えるに従って、硬さの評価は向上したが、含有量25質量%のサンプル52はやや硬すぎる印象であった。また、20質量%以下のサンプル47~51の方が、歯切れおよび口溶けの評価は、高い結果であった。この結果から、まぶし粉中の衣用澱粉分解物の含有量は、20質量%以下とすることが好ましいことが分かった。

Claims (7)

  1. グルコース重合度(DP)8~19の含有率が32%以上、
    グルコース重合度(DP)20以上の含有率が30%以下、
    ヨウ素呈色値が0.15以上、である衣用澱粉分解物。
  2. 請求項1に記載の衣用澱粉分解物を含有する、衣用組成物。
  3. 前記衣用澱粉分解物の含有量が、0.1~40質量%である、請求項2に記載の衣用組成物。
  4. 請求項1に記載の衣用澱粉分解物、又は、請求項2若しくは3に記載の衣用組成物を含有するバッター又はまぶし粉。
  5. 請求項1に記載の衣用澱粉分解物、又は、請求項2若しくは3に記載の衣用組成物を含有する衣を有する食品。
  6. グルコース重合度(DP)8~19の含有率が32%以上、
    グルコース重合度(DP)20以上の含有率が30%以下、
    ヨウ素呈色値が0.15以上、である衣用澱粉分解物を含有するバッター又はまぶし粉を用いて加熱調理を行う加熱調理工程を含む、衣を有する食品の製造方法。
  7. グルコース重合度(DP)8~19の含有率が32%以上、
    グルコース重合度(DP)20以上の含有率が30%以下、
    ヨウ素呈色値が0.15以上、である衣用澱粉分解物を含有するバッター又はまぶし粉を用いて加熱調理を行う加熱調理工程を含む、衣の食感改良方法。
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