JP2007182432A - 有機化合物、電荷輸送材料、電荷輸送材料組成物および有機電界発光素子 - Google Patents

有機化合物、電荷輸送材料、電荷輸送材料組成物および有機電界発光素子 Download PDF

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Abstract

【課題】高い三重項エネルギー準位とガラス転移点を有し電気的な酸化や還元に安定な有機化合物及び電荷輸送材料と電荷輸送材料組成物、高効率で長寿命の有機電界発光素子。
【解決手段】一分子内に下式で表される部分構造を2以上有し、窒素原子同士が互いに共役していない有機化合物。これを含む層を有する有機電界発光素子。
Figure 2007182432

【選択図】なし

Description

本発明は、新規なポリアミン構造を有する有機化合物と、これを用いた電荷輸送材料、電荷輸送材料組成物並びに有機電界発光素子に関するものである。
近年、薄膜型の電界発光素子としては、無機材料を使用したものに代わり、有機薄膜を用いた有機電界発光素子の開発が行われるようになっている。有機電界発光素子は、通常、陽極と陰極の間に、正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、電子輸送層などを有し、この各層に適した材料が開発されている。
例えば、特許文献1では、正孔注入層および正孔輸送層にそれぞれ特定の構造を有するアミン化合物を含有させ、発光層にトリス(8−キノリノラト)アルミニウムを含有させてなる、発光輝度、発光効率および耐熱性に優れた有機電界発光素子を提案している。
しかしながら、該素子は発光輝度、発光効率および耐熱性にはある程度優れるものの、素子の寿命に関しては更なる課題を有している。
また、トリス(8−キノリノラト)アルミニウムは、発光効率、最大発光輝度および色純度の点において不十分であるため、フルカラーディスプレイ用途への適用には制約があるという問題点があった。
また、従来、有機電界発光素子は、蛍光発光を利用してきたが、素子の発光効率を上げる試みで、蛍光ではなく燐光発光を用いることが検討されている。しかしながら、燐光発光を用いた場合でも、未だ十分な発光効率が得られていないのが現状である。
これまでに開発された燐光発光性分子を用いた有機電界発光素子の多くは、発光層の材料(ホスト材料)として、カルバゾリル基を含む材料を用いることを特徴としており、例えば、非特許文献1ではホスト材料として以下に示すビフェニル誘導体を用いている。
Figure 2007182432
しかしながら、上記ビフェニル誘導体を用いた有機電界発光素子は、電子輸送性や電気的な還元耐久性に課題を有していた。
そこで、近年、再結合領域を発光層に集中させる目的で、正孔輸送性と電子輸送性を兼ね備えたホスト材料が提案され、特許文献2には、有機電界発光素子に、以下に示す化合物を用いることが記載されている。
Figure 2007182432
しかしながら、上記のような正孔輸送性と電子輸送性を兼ね備えたホスト材料を用いた有機電界発光素子は、電荷の再結合位置が陽極側に偏る傾向があり、例えば、正孔輸送材料に以下に示すPPDやNPDを用いた素子では、高い発光効率、高い発光輝度あるいは長い駆動寿命が得られていなかった。
Figure 2007182432
特開2001−316338号公報 特開平6−1972号公報 Appl.Phys.Lett.,75巻,4頁,1999年
本発明は、有機電界発光素子において、高い三重項エネルギー準位と高いガラス転移点を有し、電気的な酸化や還元を繰り返し受けても安定な有機化合物および電荷輸送材料とこの有機化合物を含む電荷輸送材料組成物、また、この有機化合物を用いた高効率且つ長寿命の有機電界発光素子を提供することを課題とする。
本発明者らが、鋭意検討した結果、下記の特定の構造を有する有機化合物が高い三重項エネルギー準位と高いガラス転移点を有し、電気的な酸化や還元を繰り返し受けても安定な有機化合物であり、この有機化合物を用いる事により有機電界発光素子、とりわけ、燐光発光性の有機電界発光素子において高効率且つ長寿命なデバイスを得ることができることがわかり、本発明に到達した。
本発明はこのような知見に基いて達成されたものであり、本発明の要旨は、一分子内に下記式(I)で表される部分構造を2以上有し、一分子内に存在する窒素原子同士が互いに共役していないことを特徴とする有機化合物(請求項1)、に存する。
本発明の別の要旨は、この有機化合物からなることを特徴とする電荷輸送材料(請求項6)、およびこの電荷輸送材料を含有することを特徴とする電荷輸送材料組成物(請求項7)、に存する。
本発明のさらに別の要旨は、基板上に、陽極、陰極および該陽極と該陰極に挟持された発光層を有する有機電界発光素子において、この有機化合物を含有する層を有することを特徴とする有機電界発光素子(請求項9)、に存する。
Figure 2007182432
(式(I)中、R11〜R19、R21〜R29、R31〜R39は各々独立に水素原子或いは任意の置換基を表す。一分子中に存在する複数のR11〜R19、R21〜R29、R31〜R39はそれぞれ同一であっても異なるものであってもよい。)
本発明の有機化合物は、高い三重項エネルギー準位と高いガラス転移点を有し、かつ電気的な酸化や還元を繰返し受けても安定である。
このため、この有機化合物よりなる電荷輸送材料、この有機化合物を含む電荷輸送材料組成物およびこの有機化合物を用いた有機電解発光素子によれば、高輝度、高効率かつ長寿命な有機電解発光素子が提供される。
従って、本発明の有機化合物を用いた有機電界発光素子は、フラットパネル・ディスプレイ(例えばOAコンピュータ用や壁掛けテレビ)、車載表示素子、携帯電話表示や面発光体としての特徴を生かした光源(例えば、複写機の光源、液晶ディスプレイや計器類のバックライト光源)、表示板、標識灯への応用が考えられ、その技術的価値は大きいものである。
また、本発明の有機化合物からなる電荷輸送材料およびこの電荷輸送材料を含む電荷輸送材料組成物は、本質的に優れた電気化学的耐久性を有することから、有機電界発光素子に限らず、その他、電子写真感光体等にも有効に利用することができる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に特定されない。
[有機化合物]
本発明の有機化合物は、一分子内に下記式(I)で表される部分構造(以下「部分構造(I)」と称す場合がある。)を2以上有し、一分子内に存在する窒素原子同士が互いに共役していないことを特徴とする。
Figure 2007182432
(式(I)中、R11〜R19、R21〜R29、R31〜R39は各々独立に水素原子或いは任意の置換基を表す。一分子中に存在する複数のR11〜R19、R21〜R29、R31〜R39はそれぞれ同一であっても異なるものであってもよい。)
なお、ここで、一分子内に存在する窒素原子同士が互いに共役していないとは、窒素原子同士が共役可能でないこと、例えば、窒素原子同士が下記部分構造(cis-,trans-のいずれでも可)またはこれらを組み合わせてなる部分構造で連結されていないことを意味する。
Figure 2007182432
(ただし、GないしGは各々独立に、水素原子または任意の置換基を表すか、あるいは、芳香族炭化水素環や芳香族複素環の一部を構成する。)
[1]構造上の特徴
本発明の有機化合物が、高い三重項エネルギー準位と高いガラス転移点を有し、かつ電気的な酸化や還元を繰返し受けても安定であるという優れた効果を奏する理由の詳細は明らかではないが、次のように推定される。
即ち、一般に、化合物が電気的な酸化や還元を繰り返した場合、窒素原子に置換されているフェニル基上に不安定なラジカルアニオンまたはラジカルカチオンが発生し、これにより化合物が分解すると考えられている。
これに対して、本発明の有機化合物では、トリス(4−ビフェニル)アミン部分構造を用いることにより、下記2つの理由から電気的な酸化や還元に対しての安定性が増加されるものと推測される。
1)窒素原子に置換されているフェニル基のパラ位に共鳴安定化できるフェニル基が置換されているために、電気的な酸化や還元を繰り返した場合に発生するラジカルアニオンまたはラジカルカチオンが共鳴により安定化される。
2)窒素原子に置換されているフェニル基のパラ位は化学的に活性な部位であるが、本発明に係るトリス(4−ビフェニル)アミン部分構造は、パラ位に芳香環を導入することにより、化学的に活性な部位をブロックしていることにより、化合物が安定化される。
また、このようなトリス(4−ビフェニル)アミン部分構造を分子内に複数個存在させることにより、安定なラジカルカチオン/アニオン種の発生頻度が高くなり、電荷を効率よく輸送させることができるものと推測される。
さらに、各々のトリス(4−ビフェニル)アミン部分構造の窒素原子同士が共役せずに存在しているために、燐光電荷輸送材料、特にホスト材料に必要な高い三重項励起エネルギー準位を有しているものと推測される。
[2]部分構造(I)の数
本発明の有機化合物は、部分構造(I)を一分子内に2以上有するものであれば良く、一分子内の部分構造(I)の数には特に制限はないが、一分子内の部分構造(I)の数は、好ましくは2以上、好ましくは10以下、より好ましくは3以下であり、最も好ましくは2である。
部分構造(I)の数がこの上限を超えると、不純物成分の除去が困難となったり、気化温度が上昇して蒸着法による製膜が困難になったり、溶解性が低下して湿式法による製膜に支障が出る恐れがあり、好ましくない。
また、部分構造(I)が分子内に1つのみであると、高いTgや高い電荷輸送性といった効果が得られず、本発明の目的を達成し得ない。
[3]部分構造(I)の分子量
部分構造(I)の分子量は4000以下が好ましく、2000以下がより好ましく、1500以下が更に好ましい。部分構造(I)の分子量がこの上限を上回ると、不純物成分の除去が困難となったり、気化温度が上昇して蒸着法による製膜が困難になったり、溶解性が低下して湿式法による製膜に支障が出る恐れがあり、好ましくない。
[4]R11〜R19、R21〜R29、R31〜R39
11〜R19、R21〜R29、R31〜R39は、各々独立して水素原子または任意の置換基を表す。R11〜R19、R21〜R29、R31〜R39が任意の置換基である場合、その一置換基当たりの分子量はその置換基も含めて通常500以下、好ましくは300以下、さらに好ましくは200以下である。
この任意の置換基の具体例としては、好ましくは、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、炭素数1〜30のアシル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数6〜30のアリールオキシ基、員数5〜30のヘテロアリールオキシ基、炭素数1〜30のアルキルチオ基、炭素数6〜30のアリールチオ基、員数5〜30のヘテロアリールチオ基、炭素数1〜30のアルコキシカルボニル基、炭素数6〜30のアリールオキシカルボニル基、員数5〜30のヘテロアリールオキシカルボニル基、ハロゲン原子、炭素数6〜30のアリールアミノ基、員数5〜30のヘテロアリールアミノ基、炭素数1〜30のアルキルアミノ基、員数5〜30の芳香族複素環基が挙げられ、より好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、員数5〜30の芳香族複素環基が挙げられる。
高い三重項励起準位の観点、電荷分布の偏りに伴う電気的耐性の低下を避ける観点から、R11〜R19、R21〜R29、R31〜R39は、各々独立に、より好ましくは、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオランテン環などの、6員環の単環または2〜5縮合環由来の1価の基、或いは、それらが複数個連結されて形成された1価の基(例えば、ビフェニル基、ターフェニル基など)などの芳香族炭化水素基であり、最も好ましくは、ベンゼン環由来の1価の基(フェニル基)或いはベンゼン環を2〜8個連結してなる1価の基(例えば、ビフェニル基、ターフェニル基など)である。
上記置換基は更に任意の位置に任意の数の置換基を有していても良い。その置換基として、好ましくは、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、炭素数1〜30のアシル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数6〜30のアリールオキシ基、員数5〜30のヘテロアリールオキシ基、炭素数1〜30のアルキルチオ基、炭素数6〜30のアリールチオ基、員数5〜30のヘテロアリールチオ基、炭素数1〜30のアルコキシカルボニル基、炭素数6〜30のアリールオキシカルボニル基、員数5〜30のヘテロアリールオキシカルボニル基、ハロゲン原子、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数6〜30のアリールアミノ基、員数5〜30のヘテロアリールアミノ基、炭素数1〜30のアルキルアミノ基、員数5〜30の芳香族複素環基が挙げられ、より好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、員数5〜30の芳香族複素環基であり、更に好ましくは、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、フェニル基、或いは、ベンゼン環を1〜8個連結してなる1価の基(例えば、ビフェニル基、ターフェニル基など)、置換基を有していても良いアリールアミノ基(ジフェニルアミノ基など)、または置換基を有していても良いN−カルバゾリル基である。アリールアミノ基およびN−カルバゾリル基の置換基としては炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数6〜30のアリール基などが挙げられる。
[5]リンカーL
本発明の有機化合物は、部分構造(I)同士がリンカーLを介して結合されており、この結合が式(I)中のR11〜R15、R21〜R25、R31〜R35のいずれか1つとリンカーLとの結合であることが好ましい。
リンカーLとは、分子内の部分構造(I)同士を繋ぐための部分を指し、具体的には単結合(即ち、直接結合)、置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良い芳香族基、置換基を有していても良い珪素原子、酸素原子、硫黄原子、置換基を有していても良いホウ素原子を示す。好ましくは、単結合、置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良い芳香族基、置換基を有していても良い珪素原子であり、より好ましくは、単結合、置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良い芳香族基であり、特に好ましくは、単結合、置換基を有していても良い芳香族基である。ここで芳香族基とは、芳香族炭化水素基および芳香族複素環基をいう。
置換基を有していても良いアルキレン基の例としては、メチレン基、エチレン基、シクロヘキシレン基等が挙げられ、これらのうちメチレン基がベンジル位の水素原子が少ないために好ましい。
置換基を有していても良い芳香族基の例としては、フェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、クワテルフェニレン基等のベンゼン環が1つあるいは2つ以上連結してなる基(好ましくは10個以下、特に5個以下のベンゼン環が連結してなる基)が好ましく、中でも置換位置が1位と3位で結合している1,3−フェニレン基、3,3’−ビフェニレン基、3,3''−[1,1’:3’,1'']−ターフェニレン基、3,3'''−[1,1’:3’,1'':3'',1''']−クワテルフェニレン基は部分構造同士が共役せず、また、3つ以上のフェニレン基同士が広い共役系を有しないために、高い3重項準位を有すると考えられ、好ましい。
上記リンカーLが有していても良い置換基の例としては、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数6〜30の芳香族炭化水素基が挙げられる。
リンカーLの分子量は、置換基を有する場合は、その置換基も含めて、通常1000以下、好ましくは500以下である。
リンカーLの好ましい置換位置としては、それぞれ、式(I)中のR11〜R15、R21〜R25、R31〜R35が、窒素原子に結合しているフェニレン基の電子密度を増加させず、化合物の安定性が増加すると考えられるために好ましい。特に、R12、R22、R32の位置は、部分構造が有する窒素原子と共役しない位置であるために、高い3重項準位を有すると考えられ、好ましい。
[6]好適構造
本発明の有機化合物は、特に部分構造(I)のR12同士がリンカーLを介して結合した、下記式(II)の構造で表されることが好ましい。
Figure 2007182432
(式(II)中、R11〜R19、R21〜R29、R31〜R39は式(I)におけると同義である。)
ここで、特にリンカーLは単結合であることが好ましい。なお、上記式(II)において、一分子中に2個ずつあるR11〜R19、R21〜R29、R31〜R39は同一であっても異なるものであっても良い。
[7]好適物性
本発明の有機化合物は、ガラス転移温度(Tg)が80℃以上を有するものであることが好ましい。ガラス転移温度の上限には特に制限はないが、ガラス転移温度は、通常80〜400の範囲であり、好ましくは100〜400の範囲である。特に好ましくは120〜400の範囲である。ガラス転移温度がこの下限を超えると、本発明の有機化合物を用いた製品が車内等の温度上昇で破損したり、製膜後の熱処理が困難になったり、湿式法による塗布後の乾燥時に支障が出る恐れがあり、好ましくない。
[8]分子量
本発明の有機化合物の分子量は、10000以下が好ましく、5000以下が更に好ましく、特に2000以下が好ましい。有機化合物の分子量がこの上限を上回ると、不純物の除去が困難となったり、気化温度が上昇して蒸着法による製膜が困難になったり、有機溶剤に対する溶解性が低下して湿式法による製膜に支障が出る恐れがあり、好ましくない。
[9]具体例
以下に、本発明の有機化合物として好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下において、Meはメチル基、Phはフェニル基を示す。
Figure 2007182432
Figure 2007182432
Figure 2007182432
Figure 2007182432
Figure 2007182432
Figure 2007182432
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Figure 2007182432
Figure 2007182432
Figure 2007182432
Figure 2007182432
[10]合成方法(原料、触媒、溶媒、温度、圧力等)
本発明の有機化合物は公知の手法の組み合わせにより合成することができる。合成原料としては、たとえば以下のようなものを用いることができる。
Figure 2007182432
合成方法の具体例を以下に示す。
なお、中間体が一般に入手可能である場合、合成の前段階を省くことができることは言うまでもない。
以下の反応式中、Arは置換基を有していても良い任意の1価の芳香環基を表す。
X(X,X)は塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子を表す。
Y(Y,Y)は−B(OH)、−B(OR)(Rは任意の炭化水素基)、−MgX基、−ZnX基、−SnX基などの有機金属化合物を表す。
Figure 2007182432
上記式中の各方法について以下詳細に説明する。
〈ウルマン法〉
アニリン誘導体と、このアニリン誘導体に対して2〜100当量の、構造式中にXを持つハロゲン化物(Ar−X、好ましくはX=Br,I)とを、銅粉末、銅線、ハロゲン化銅(CuX(X=Cl、Br、I))、酸化銅(CuO)などの銅触媒(Xに対して0.1〜5当量程度)および、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、リン酸カリウム、炭酸セシウム、tert−ブトキシナトリウムなど塩基性物質(ハロゲン原子に対して1〜100当量程度)の存在下、不活性ガス気流下、無溶媒または、ニトロベンゼンなどの芳香族溶媒、テトラグライム、ポリエチレングリコールなどのアルコール系溶媒(通常、目的物の1モルに対して、0.1〜100リットル)中、20〜300℃の温度範囲で、1〜60時間撹拌混合する。
〈パラジウムカップリング法〉
構造式中にXを持つハロゲン化物と構造式中にYを持つ有機金属化合物とを、Pd(dba)3(Pd=パラジウム、dba=ジベンジリデンアセトン)、Pd(dba)、酢酸パラジウムなどの2価のパラジウム触媒と、BINAP(=2,2’−ビス(ジフェニルフォスフィノ−1,1’−ビナフチル))、トリ(tert−ブチル)フォスフィン、トリフェニルフォスフィン、1,2−ビス(ジフェニルフォスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルフォスフィノ)プロパン、1,3−ビス(ジフェニルフォスフィノ)ブタン、dppf(=1,1’−ビス(ジフェニルフォスフィノ)フェロセン)などのリガンド類の組合せなどの0価のパラジウム錯体、或いはPdCl(dppf)などのパラジウム塩化物錯体などの触媒(Xに対して0.001〜1当量程度)と、tert−ブトキシカリウム、tert−ブトキシナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、トリエチルアミンなどの塩基性物質(通常、Xに対して、2〜100当量)存在下、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、キシレン、トルエン、トリエチルアミン、ピリジンなどの溶媒(通常、目的物の1モルに対して、0.1〜100リットル)中、0〜200℃で1〜60時間かけて撹拌する。
〈有機金属合成法〉
不活性ガス雰囲気下、ジエチルエーテル、THF(テトラヒドロフラン)、ジオキサン、DME(ジメトキシエタン)などのエーテル系溶媒またはペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の非芳香族炭化水素溶媒に溶解または懸濁させた、構造式中にXを持つハロゲン化物に、温度範囲−100℃〜25℃で、マグネシウム、リチウム金属または、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウムなどの塩基性の高い有機金属化合物をXに対して1から2当量加え、温度範囲−100℃〜60℃で1時間から12時間攪拌することにより、有機マグネシウムまたは有機リチウム化合物を合成する。
また、得られた有機リチウム化合物を温度範囲−100℃〜25℃で塩化亜鉛、ホウ酸エステルをXに対して1から5当量加え加え、温度範囲が−100℃〜25℃で1時間から12時間攪拌する事により対応する有機亜鉛化合物、有機ホウ素化合物を合成する。
〈トリメチルシリル化〉
不活性ガス雰囲気下、ジエチルエーテル、THF,ジオキサン、DMEなどのエーテル系溶媒またはペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の非芳香族炭化水素溶媒に溶解または懸濁させた、構造式中にXを持つハロゲン化物に、温度範囲が−100℃〜25℃でマグネシウム、リチウム金属または、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウムなどの塩基性の高い有機金属化合物をXに対して1から2当量加え、温度範囲−100℃〜25℃で1時間から12時間攪拌することにより、有機マグネシウムまたは有機リチウム化合物を合成し、ついで温度範囲−100℃〜25℃でトリメチルシリルクロライドを滴下し、温度範囲−100℃〜25℃で1時間から12時間攪拌する事によりトリメチルシリル体を合成する。
〈トリメチルシリル基から有機ホウ素化合物への変換法〉
不活性ガス雰囲気下、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等の塩素系溶媒またはペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の非芳香族炭化水素溶媒に溶解または懸濁させた、構造式中にトリメチルシリル基を持つ基質に、温度範囲−100℃〜0℃で三塩化硼素、三臭化硼素をトリメチルシリル基に対して1から10当量加えた後、温度範囲が−100℃〜60℃で1時間から12時間攪拌することにより、有機ホウ素化合物を合成する。
[11]用途
本発明の有機化合物は、電気的な酸化還元により発生するラジカルアニオン/カチオン種が安定化されるために電荷輸送材料として、電子写真感光体、有機電界発光素子、光電変換素子、有機太陽電池、有機整流素子等に好適に使用できる。本発明の有機化合物は、とりわけ、正孔輸送材料もしくはホスト材料として使用されるのが最も好ましい。
また、高い三重項励起準位を有することから、本発明の有機化合物からなる電荷輸送材料を用いることにより、耐熱性に優れ、長期間安定に駆動(発光)する有機電界発光素子が得られるため、本発明の有機化合物および電荷輸送材料は有機電界発光素子材料として、とりわけ好適である。
[電荷輸送材料組成物]
本発明の電荷輸送材料組成物は、本発明の有機化合物よりなる本発明の電荷輸送材料と、好ましくは更に溶剤とを含むものであり、好ましくは、有機電界発光素子用に使用される。
[1]溶剤
本発明の電荷輸送材料組成物に含まれる溶剤としては、溶質である本発明の電荷輸送材料等が良好に溶解する溶剤であれば特に限定されない。
本発明の電荷輸送材料は溶解性が非常に高いため、種々の溶剤が適用化能である。例えば、トルエン、キシレン、メチシレン、シクロヘキシルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素;1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等の芳香族エーテル;酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステル;シクロヘキサノン、シクロオクタノン等の脂環を有するケトン;メチルエチルケトン、ジブチルケトン等の脂肪族ケトン;メチルエチルケトン、シクロヘキサノール、シクロオクタノール等の脂環を有するアルコール;ブタノール、ヘキサノール等の脂肪族アルコール;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート(PGMEA)等の脂肪族エーテル;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル等の脂肪族エステル等が利用できる。これらのうち、水の溶解度が低い点、容易には変質しない点で、トルエン、キシレン、メチシレン、シクロヘキシルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素が好ましい。
有機電界発光素子には、陰極等の水分により著しく劣化する材料が多く使用されているため、組成物中の水分の存在は、乾燥後の膜中に水分が残留し、素子の特性を低下させる可能性が考えられ好ましくない。
組成物中の水分量を低減する方法としては、例えば、窒素ガスシール、乾燥剤の使用、溶剤を予め脱水する、水の溶解度が低い溶剤を使用する等が挙げられる。なかでも、水の溶解度が低い溶剤を使用する場合は、湿式製膜工程中に、溶液膜が大気中の水分を吸収して白化する現象を防ぐことができるため好ましい。この様な観点からは、本実施の形態が適用される電荷輸送材料組成物は、例えば、25℃における水の溶解度が1重量%以下、好ましくは0.1重量%以下である溶剤を、組成物中10重量%以上含有することが好ましい。
また、湿式製膜時における組成物からの溶剤蒸発による、製膜安定性の低下を低減するためには、電荷輸送材料組成物の溶剤として、沸点が100℃以上、好ましくは沸点が150℃以上、より好ましくは沸点が200℃以上の溶剤を用いることが効果的である。また、より均一な膜を得るためには、製膜直後の液膜から溶剤が適当な速度で蒸発することが必要で、このためには通常沸点80℃以上、好ましくは沸点100℃以上、より好ましくは沸点120℃以上で、通常沸点270℃未満、好ましくは沸点250℃未満、より好ましくは沸点230℃未満の溶剤を用いることが効果的である。
上述の条件、即ち溶質の溶解性、蒸発速度、水の溶解度の条件を満足する溶剤を単独で用いても良いが、すべての条件を満たす溶剤が選定できない場合は、2種類以上の溶剤を混合して用いることもできる。
[2]発光材料
本発明の電荷輸送材料組成物は、発光材料を含有することが好ましい。
発光材料とは、本発明の電荷輸送材料組成物において、主として発光する成分を指し、有機ELデバイスにおけるドーパント成分に当たる。該電荷輸送材料組成物から発せられる光量(単位:cd/m)の内、通常10〜100%、好ましくは20〜100%、より好ましくは50〜100%、最も好ましくは80〜100%が、ある成分材料からの発光と同定される場合、それを発光材料と定義する。
発光材料としては、任意の公知材料を適用可能であり、蛍光発光材料あるいは燐光発光材料を単独若しくは複数を混合して使用できるが、内部量子効率の観点から、好ましくは、燐光発光材料である。
尚、溶剤への溶解性を向上させる目的で、発光材料分子の対称性や剛性を低下させたり、あるいはアルキル基などの親油性置換基を導入したりすることも、重要である。
青色発光を与える蛍光色素としては、ペリレン、ピレン、アントラセン、クマリン、p−ビス(2−フェニルエテニル)ベンゼンおよびそれらの誘導体等が挙げられる。緑色蛍光色素としては、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体等が挙げられる。黄色蛍光色素としては、ルブレン、ペリミドン誘導体等が挙げられる。赤色蛍光色素としては、DCM系化合物、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、アザベンゾチオキサンテン等が挙げられる。
燐光発光材料としては、例えば周期表7ないし11族から選ばれる金属を含む有機金属錯体が挙げられる。
周期表7ないし11族から選ばれる金属を含む燐光性有機金属錯体における金属として好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金等が挙げられる。これらの有機金属錯体として、好ましくは下記一般式(V)または下記一般式(VI)で表される化合物が挙げられる。
ML”(q−j)L’ (V)
(一般式(V)中、Mは金属を表し、qは上記金属の価数を表す。また、L”およびL’は二座配位子を表す。jは0、1または2を表す。)
Figure 2007182432
(一般式(VI)中、Mは金属を表し、Tは炭素または窒素を表す。R92〜R95は、それぞれ独立に置換基を表す。ただし、Tが窒素の場合は、R94およびR95は無い。)
以下、まず、一般式(V)で表される化合物について説明する。
一般式(V)中、Mは任意の金属を表し、好ましいものの具体例としては、周期表7ないし11族から選ばれる金属として前述した金属が挙げられる。
また、一般式(V)中の二座配位子L”およびL’は、それぞれ、以下の部分構造を有する配位子を示す。
Figure 2007182432
Figure 2007182432
L’として、錯体の安定性の観点から、特に好ましくは、下記のものが挙げられる。
Figure 2007182432
上記L”,L’の部分構造において、環A1は、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表し、これらは置換基を有していても良い。また、環A2は、含窒素芳香族複素環基を表し、これらは置換基を有していても良い。
環A1,A2が置換基を有する場合、好ましい置換基としては、フッ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等のアルキル基;ビニル基等のアルケニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基等のジアリールアミノ基;カルバゾリル基;アセチル基等のアシル基;トリフルオロメチル基等のハロアルキル基;シアノ基;フェニル基、ナフチル基、フェナンチル基等の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
一般式(V)で表される化合物として、さらに好ましくは、下記一般式(Va)、(Vb)、(Vc)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2007182432
(一般式(Va)中、MはMと同様の金属を表し、wは上記金属の価数を表す。また、環A1は置換基を有していても良い芳香族炭化水素基を表し、環A2は置換基を有していても良い含窒素芳香族複素環基を表す。)
Figure 2007182432
(一般式(Vb)中、MはMと同様の金属を表し、wは上記金属の価数を表す。また、環A1は置換基を有していても良い芳香族炭化水素基または置換基を有していても良い芳香族複素環基を表し、環A2は置換基を有していても良い含窒素芳香族複素環基を表す。)
Figure 2007182432
(一般式(Vc)中、MはMと同様の金属を表し、wは上記金属の価数を表す。また、jは0、1または2を表す。さらに、環A1および環A1’は、それぞれ独立に、置換基を有していても良い芳香族炭化水素基または置換基を有していても良い芳香族複素環基を表す。また、環A2および環A2’は、それぞれ独立に、置換基を有していても良い含窒素芳香族複素環基を表す。)
上記一般式(Va)、(Vb)、(Vc)において、環A1および環A1’の基としては、好ましくは、例えばフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基、チエニル基、フリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフリル基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、カルバゾリル基等が挙げられる。
また、環A2、環A2’の基としては、好ましくは、例えばピリジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、ベンゾチアゾール基、ベンゾオキサゾール基、ベンゾイミダゾール基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリル基、フェナントリジル基等が挙げられる。
さらに、一般式(Va)、(Vb)、(Vc)で表される化合物が有していても良い置換基としては、フッ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等のアルキル基;ビニル基等のアルケニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基等のジアリールアミノ基;カルバゾリル基;アセチル基等のアシル基;トリフルオロメチル基等のハロアルキル基;シアノ基等が挙げられる。
上記置換基がアルキル基である場合は、その炭素数は通常1以上6以下である。さらに、置換基がアルケニル基である場合は、その炭素数は通常2以上6以下である。また、置換基がアルコキシカルボニル基である場合は、その炭素数は通常2以上6以下である。さらに、置換基がアルコキシ基である場合は、その炭素数は通常1以上6以下である。また、置換基がアリールオキシ基である場合は、その炭素数は通常6以上14以下である。さらに、置換基がジアルキルアミノ基である場合は、その炭素数は通常2以上24以下である。また、置換基がジアリールアミノ基である場合は、その炭素数は通常12以上28以下である。さらに、置換基がアシル基である場合は、その炭素数は通常1以上14以下である。また、置換基がハロアルキル基である場合は、その炭素数は通常1以上12以下である。
なお、これら置換基は互いに連結して環を形成しても良い。具体例としては、環A1が有する置換基と環A2が有する置換基とが結合するか、または、環A1’が有する置換基と環A2’が有する置換基とが結合するかして、一つの縮合環を形成しても良い。このような縮合環基としては、7,8−ベンゾキノリン基等が挙げられる。
中でも、環A1、環A1’、環A2および環A2’の置換基として、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基、シアノ基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、ジアリールアミノ基、カルバゾリル基が挙げられる。
また、一般式(Va)、(Vb)、(Vc)におけるM,M,Mとして好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金または金が挙げられる。
上記一般式(V)、(Va)、(Vb)または(Vc)で示される有機金属錯体の具体例を以下に示すが、下記の化合物に限定されるものではない(以下において、Phはフェニル基を表す。)。
Figure 2007182432
Figure 2007182432
上記一般式(V)、(Va)、(Vb)、(Vc)で表される有機金属錯体の中でも、特に、配位子L”および/またはL’として2−アリールピリジン系配位子、即ち、2−アリールピリジン、これに任意の置換基が結合したもの、および、これに任意の基が縮合してなるものを有する化合物が好ましい。
次に、前記一般式(VI)で表される化合物について説明する。
一般式(VI)中、Mは金属を表し、具体例としては、周期表7ないし11族から選ばれる金属として前述した金属が挙げられる。中でも好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金または金が挙げられ、特に好ましくは、白金、パラジウム等の2価の金属が挙げられる。
また、一般式(VI)において、R92およびR93は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シアノ基、アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、アラルキルアミノ基、ハロアルキル基、水酸基、アリールオキシ基、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表す。
さらに、Tが炭素の場合、R94およびR95は、それぞれ独立に、R92およびR93と同様の例示物で表される置換基を表す。また、前述の如く、Tが窒素の場合はR94およびR95は無い。
また、R92〜R95はさらに置換基を有していても良い。この場合のさらに有していても良い置換基には特に制限はなく、任意の基を置換基とすることができる。
さらに、R92〜R95は互いに連結して環を形成してもよく、この環がさらに任意の置換基を有していても良い。
一般式(VI)で表される有機金属錯体の具体例(T−1,T−10〜T−15)を以下に示すが、下記の例示化合物に限定されるものではない。なお、以下において、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表す。
Figure 2007182432
また、有機金属錯体としては、WO2005/019373号公報に記載の化合物も使用することができる。
[3]その他の成分
本発明の電荷輸送材料組成物中には、前述した溶剤および発光材料以外にも、必要に応じて、各種の他の溶剤を含んでいても良い。このような他の溶剤としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
また、レベリング剤や消泡剤等の各種添加剤を含んでいても良い。
また、2層以上の層を湿式製膜法により積層する際に、これらの層が相溶することを防ぐため、製膜後に硬化させて不溶化させる目的で光硬化性樹脂や、熱硬化性樹脂を含有させておくこともできる。
[4]電荷輸送材料組成物中の材料濃度と配合比
本発明の電荷輸送材料組成物中の電荷輸送材料、発光材料および必要に応じて添加可能な成分(レベリング剤など)などの固形分濃度は、通常0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、さらに好ましくは0.5重量%以上、最も好ましくは1重量%以上であり、通常80重量%以下、好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは30重量%以下、最も好ましくは20重量%以下である。この濃度が下限を下回ると、薄膜を形成する場合、厚膜を形成するのが困難となり、上限を超えると、薄膜を形成するのが困難となる。
また、本発明の電荷輸送材料組成物において、発光材料/電荷輸送材料の重量混合比は、通常、0.1/99.9以上であり、より好ましくは0.5/99.5以上であり、さらに好ましくは1/99以上であり、最も好ましくは2/98以上で、通常、50/50以下であり、より好ましくは40/60以下であり、さらに好ましくは30/70以下であり、最も好ましくは20/80以下である。この比が下限を下回ったり、上限を超えたりすると、著しく発光効率が低下するおそれがある。
[5]電荷輸送材料組成物の調製方法
本発明の電荷輸送材料組成物は、電荷輸送材料、発光材料、および必要に応じて添加可能なレベリング剤や消泡剤等の各種添加剤よりなる溶質を、適当な溶剤に溶解させることにより調製される。溶解工程に要する時間を短縮するため、および組成物中の溶質濃度を均一に保つため、通常、液を撹拌しながら溶質を溶解させる。溶解工程は常温で行っても良いが、溶解速度が遅い場合は加熱して溶解させることもできる。溶解工程終了後、必要に応じて、フィルタリング等の濾過工程を経由しても良い。
[6]電荷輸送材料組成物の性状、物性等
(水分濃度)
本発明の電荷輸送材料組成物を用いた湿式製膜法により層形成して有機電界発光素子を製造する場合、用いる電荷輸送材料組成物に水分が存在すると、形成された膜に水分が混入して膜の均一性が損なわれるため、本発明の電荷輸送材料組成物中の水分含有量はできるだけ少ない方が好ましい。また一般に、有機電界発光素子は、陰極等の水分により著しく劣化する材料が多く使用されているため、電荷輸送材料組成物中に水分が存在した場合、乾燥後の膜中に水分が残留し、素子の特性を低下させる可能性が考えられ好ましくない。
具体的には、本発明の電荷輸送材料組成物中に含まれる水分量は、通常1重量%以下、好ましくは0.1重量%以下、より好ましくは0.01重量%以下である。
電荷輸送材料組成物中の水分濃度の測定方法としては、日本工業規格「化学製品の水分測定法」(JIS K0068:2001)に記載の方法が好ましく、例えば、カールフィッシャー試薬法(JIS K0211−1348)等により分析することができる。
(均一性)
本発明の電荷輸送材料組成物は、湿式製膜プロセスでの安定性、例えば、インクジェット製膜法におけるノズルからの吐出安定性を高めるためには、常温で均一な液状であることが好ましい。常温で均一な液状とは、組成物が均一相からなる液体であり、かつ組成物中に粒径0.1μm以上の粒子成分を含有しないことをいう。
(物性)
本発明の電荷輸送材料組成物の粘度については、極端に低粘度の場合は、例えば製膜工程における過度の液膜流動による塗面不均一、インクジェット製膜におけるノズル吐出不良等が起こりやすくなり、極端に高粘度の場合は、インクジェット製膜におけるノズル目詰まり等が起こりやすくなる。このため、本発明の組成物の25℃における粘度は、通常2mPa・s以上、好ましくは3mPa・s以上、より好ましくは5mPa・s以上であり、通常1000mPa・s以下、好ましくは100mPa・s以下、より好ましくは50mPa・s以下である。
また、本発明の電荷輸送材料組成物の表面張力が高い場合は、基板に対する製膜用液の濡れ性が低下する、液膜のレベリング性が悪く、乾燥時の製膜面乱れが起こりやすくなる等の問題が発生するため、本発明の組成物の20℃における表面張力は、通常50mN/m未満、好ましくは40mN/m未満である。
さらに、本発明の電荷輸送材料組成物の蒸気圧が高い場合は、溶剤の蒸発による溶質濃度の変化等の問題が起こりやすくなる。このため、本発明の組成物の25℃における蒸気圧は、通常50mmHg以下、好ましくは10mmHg以下、より好ましくは1mmHg以下である。
[7]電荷輸送材料組成物の保存方法
本発明の電荷輸送材料組成物は、紫外線の透過を防ぐことのできる容器、例えば、褐色ガラス瓶等に充填し、密栓して保管することが好ましい。保管温度は、通常−30℃以上、好ましくは0℃以上で、通常35℃以下、好ましくは25℃以下である。
[有機電界発光素子]
本発明の有機電界発光素子は、基板上に少なくとも陽極、陰極およびこれらの両極間に設けられた発光層を有するものであって、本発明の有機化合物を含有する層を有することを特徴とする。この層は、本発明の電荷輸送材料組成物を用いて湿式製膜法により形成された層であることが好ましく、特にこの層は発光層または正孔輸送層であることが好ましい。
図1〜9は本発明の有機電界発光素子に好適な構造例を示す断面の模式図であり、図1において、1は基板、2は陽極、3は正孔注入層、4は発光層、5は電子注入層、6は陰極を各々表す。
[1]基板
基板1は有機電界発光素子の支持体となるものであり、石英やガラスの板、金属板や金属箔、プラスチックフィルムやシートなどが用いられる。特にガラス板や、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホンなどの透明な合成樹脂の板が好ましい。合成樹脂基板を使用する場合にはガスバリア性に留意する必要がある。基板のガスバリア性が小さすぎると、基板を通過した外気により有機電界発光素子が劣化することがあるので好ましくない。このため、合成樹脂基板の少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜等を設けてガスバリア性を確保する方法も好ましい方法の一つである。
[2]陽極
基板1上には陽極2が設けられる。陽極2は発光層側の層(正孔注入層3または発光層4など)への正孔注入の役割を果たすものである。
この陽極2は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属、インジウムおよび/またはスズの酸化物などの金属酸化物、ヨウ化銅などのハロゲン化金属、カーボンブラック、或いは、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子などにより構成される。
陽極2の形成は通常、スパッタリング法、真空蒸着法などにより行われることが多い。また、銀などの金属微粒子、ヨウ化銅などの微粒子、カーボンブラック、導電性の金属酸化物微粒子、導電性高分子微粉末などを用いて陽極を形成する場合には、適当なバインダー樹脂溶液に分散させて、基板1上に塗布することにより陽極2を形成することもできる。さらに、導電性高分子の場合は、電解重合により直接基板1上に薄膜を形成したり、基板1上に導電性高分子を塗布して陽極2を形成することもできる(Appl.Phys.Lett.,60巻,2711頁,1992年)。
陽極2は通常は単層構造であるが、所望により複数の材料からなる積層構造とすること
も可能である。
陽極2の厚みは、必要とする透明性により異なる。透明性が必要とされる場合は、可視光の透過率を、通常60%以上、好ましくは80%以上とすることが望ましい。この場合、陽極の厚みは通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また通常1000nm以下、好ましくは500nm以下程度である。不透明でよい場合は陽極2の厚みは任意であり、陽極2は基板1と同一でも良い。また、さらには上記の陽極2の上に異なる導電材料を積層することも可能である。
陽極に付着した不純物を除去し、イオン化ポテンシャルを調整して正孔注入性を向上させることを目的に、陽極表面を紫外線(UV)/オゾン処理したり、酸素プラズマ、アルゴンプラズマ処理したりすることは好ましい。
[3]正孔注入層
正孔注入層3は陽極2から発光層4へ正孔を輸送する層であるため、正孔注入層3には正孔輸送性化合物を含むことが好ましい。
正孔注入層3では、電気的に中性の化合物から電子が一つ除かれたカチオンラジカルが、近傍の電気的に中性な化合物から一電子を受容することによって、正孔が移動する。素子非通電時の正孔注入層3にカチオンラジカル化合物が含まれない場合は、通電時に、正孔輸送性化合物が陽極2に電子を与えることにより正孔輸送性化合物のカチオンラジカルが生成し、このカチオンラジカルと電気的に中性な正孔輸送性化合物との間で電子の授受が行われることにより正孔を輸送する。
正孔注入層3にカチオンラジカル化合物が含まれると、陽極2による酸化によって生成する以上の濃度で正孔輸送に必要なカチオンラジカルが存在することになり、正孔輸送性能が向上するため、正孔注入層3にカチオンラジカル化合物を含むことが好ましい。カチオンラジカル化合物の近傍に電気的に中性な正孔輸送性化合物が存在すると、電子の受け渡しがスムーズに行われるため、正孔注入層3にカチオンラジカル化合物と正孔輸送性化合物とを含むことがさらに好ましい。
ここで、カチオンラジカル化合物とは、正孔輸送性化合物から一電子取り除いた化学種であるカチオンラジカルと、対アニオンからなるイオン化合物であり、移動しやすい正孔(フリーキャリア)を既に有している。
また、正孔輸送性化合物に電子受容性化合物を混合することによって、正孔輸送性化合物から電子受容性化合物への一電子移動が起こり、上述のカチオンラジカル化合物が生成する。このため、正孔注入層3に正孔輸送性化合物と電子受容性化合物とを含むことが好ましい。
以上の好ましい材料についてまとめると、正孔注入層3に正孔輸送性化合物を含むことが好ましく、正孔輸送性化合物と電子受容性化合物とを含むことがさらに好ましい。また、正孔注入層3にカチオンラジカル化合物を含むことが好ましく、カチオンラジカル化合物と正孔輸送性化合物とを含むことがさらに好ましい。
さらに、必要に応じて、正孔注入層3には電荷のトラップになりにくいバインダー樹脂や、塗布性改良剤を含んでいても良い。
但し、正孔注入層3として、電子受容性化合物のみを湿式製膜法によって陽極2上に製膜し、その上から直接、本発明の電荷輸送材料組成物を塗布、積層することも可能である。この場合、本発明の電荷輸送材料組成物の一部が電子受容性化合物と相互作用することによって、正孔注入性に優れた層が形成される。
(正孔輸送性化合物)
正孔輸送性化合物としては、4.5eV〜6.0eVのイオン化ポテンシャルを有する化合物が好ましい。
正孔輸送性化合物の例としては、本発明の電荷輸送材料の他、芳香族アミン化合物、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、ポリチオフェン誘導体等が挙げられる。中でも非晶質性、可視光の透過率の点から、芳香族アミン化合物が好ましい。
芳香族アミン化合物の中でも、特に、本発明の電荷輸送材料などの芳香族三級アミン化合物が好ましい。ここで、芳香族三級アミン化合物とは、芳香族三級アミン構造を有する化合物であって、芳香族三級アミン由来の基を有する化合物も含む。
芳香族三級アミン化合物の種類は特に制限されないが、表面平滑化効果の点から、重量平均分子量が1000以上、1000000以下の高分子化合物(繰り返し単位が連なる重合型炭化水素化合物)がさらに好ましい。
芳香族三級アミン高分子化合物の好ましい例として、下記一般式(VII)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物が挙げられる。
Figure 2007182432
(一般式(VII)中、Ar21,Ar22は各々独立して、置換基を有していても良い芳香族炭化水素基、または置換基を有していても良い芳香族複素環基を表す。Ar23〜Ar25は、各々独立して、置換基を有していても良い2価の芳香族炭化水素基、または置換基を有していても良い2価の芳香族複素環基を表す。Yは、下記の連結基群の中から選ばれる連結基を表す。また、Ar21〜Ar25のうち、同一のN原子に結合する二つの基は互いに結合して環を形成しても良い。)
Figure 2007182432
(上記各式中、Ar31〜Ar41は、各々独立して、置換基を有していても良い芳香族炭化水素環、または置換基を有していても良い芳香族複素環由来の1価または2価の基を表す。R51およびR52は、各々独立して、水素原子または任意の置換基を表す。))
Ar21〜Ar25およびAr31〜Ar41としては、任意の芳香族炭化水素環または芳香族複素環由来の、1価または2価の基が適用可能である。これらは各々同一であっても、互いに異なっていても良い。また、任意の置換基を有していても良い。
その芳香族炭化水素環としては、5または6員環の単環または2〜5縮合環が挙げられる。具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などが挙げられる。
また、その芳香族複素環としては、5または6員環の単環または2〜4縮合環が挙げられる。具体例としては、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などが挙げられる。
また、Ar23〜Ar25、Ar31〜Ar35、Ar37〜Ar40としては、上に例示した1種類または2種類以上の芳香族炭化水素環および/または芳香族複素環由来の2価の基を2つ以上連結して用いることもできる。
Ar21〜Ar41の芳香族炭化水素環および/または芳香族複素環由来の基は、さらに置換基を有していても良い。置換基の分子量としては、通常400以下、中でも250以下程度が好ましい。置換基の種類は特に制限されないが、例としては、次の置換基群Wから選ばれる1種または2種以上が挙げられる。
〈置換基群W〉
メチル基、エチル基等の、炭素数が通常1以上、通常10以下、好ましくは8以下のアルキル基;ビニル基等の、炭素数が通常2以上、通常11以下、好ましくは5以下のアルケニル基;エチニル基等の、炭素数が通常2以上、通常11以下、好ましくは5以下のアルキニル基;メトキシ基、エトキシ基等の、炭素数が通常1以上、通常10以下、好ましくは6以下のアルコキシ基;フェノキシ基、ナフトキシ基、ピリジルオキシ基等の、炭素数が通常4以上、好ましくは5以上、通常25以下、好ましくは14以下のアリールオキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の、炭素数が通常2以上、通常11以下、好ましくは7以下のアルコキシカルボニル基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の、炭素数が通常2以上、通常20以下、好ましくは12以下のジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、N−カルバゾリル基等の、炭素数が通常10以上、好ましくは12以上、通常30以下、好ましくは22以下のジアリールアミノ基;フェニルメチルアミノ基等の、炭素数が通常6以上、好ましくは7以上、通常25以下、好ましくは17以下のアリールアルキルアミノ基;アセチル基、ベンゾイル基等の、炭素数が通常2以上、通常10以下、好ましくは7以下のアシル基;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;トリフルオロメチル基等の、炭素数が通常1以上、通常8以下、好ましくは4以下のハロアルキル基;メチルチオ基、エチルチオ基等の、炭素数が通常1以上、通常10以下、好ましくは6以下のアルキルチオ基;フェニルチオ基、ナフチルチオ基、ピリジルチオ基等の、炭素数が通常4以上、好ましくは5以上、通常25以下、好ましくは14以下のアリールチオ基;トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基等の、炭素数が通常2以上、好ましくは3以上、通常33以下、好ましくは26以下のシリル基;トリメチルシロキシ基、トリフェニルシロキシ基等の、炭素数が通常2以上、好ましくは3以上、通常33以下、好ましくは26以下のシロキシ基;シアノ基;フェニル基、ナフチル基等の、炭素数が通常6以上、通常30以下、好ましくは18以下の芳香族炭化水素環基;チエニル基、ピリジル基等の、炭素数が通常3以上、好ましくは4以上、通常28以下、好ましくは17以下の芳香族複素環基。
Ar21、Ar22としては、高分子化合物の溶解性、耐熱性、正孔注入・輸送性の点から、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、チオフェン環、ピリジン環由来の1価の基が好ましく、フェニル基、ナフチル基がさらに好ましい。
また、Ar23〜Ar25としては、耐熱性、酸化還元電位を含めた正孔注入・輸送性の点から、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環由来の2価の基が好ましく、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基がさらに好ましい。
51、R52としては、水素原子または任意の置換基が適用可能である。これらは互いに同一であってもよく、異なっていても良い。置換基の種類は、特に制限されないが、適用可能な置換基を例示するならば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、シリル基、シロキシ基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、ハロゲン原子が挙げられる。これらの具体例としては、前記の置換基群Wにおいて例示した各基が挙げられる。
一般式(VII)で表される繰り返し単位を有する芳香族三級アミン高分子化合物の具体例としては、WO2005/089024号公報に記載のものが挙げられ、その好適例も同様であり、例えば下記構造式で表される化合物(PB−1)が挙げられるが、何らそれらに限定されるものではない。
Figure 2007182432
他の芳香族三級アミン高分子化合物の好ましい例として、下記一般式(VIII)および/または一般式(IX)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物が挙げられる。
Figure 2007182432
(一般式(VIII)、(IX)中、Ar45,Ar47およびAr48は各々独立して、置換基を有していても良い芳香族炭化水素基、または置換基を有していても良い芳香族複素環基を表す。Ar44およびAr46は各々独立して、置換基を有していても良い2価の芳香族炭化水素基、または置換基を有していても良い2価の芳香族複素環基を表す。また、Ar45〜Ar48のうち、同一のN原子に結合する2つの基は互いに結合して環を形成しても良い。R41〜R43は各々独立して、水素原子または任意の置換基を表す。)
Ar45,Ar47,Ar48およびAr44、Ar46の具体例、好ましい例、有していても良い置換基の例および好ましい置換基の例は、それぞれ、Ar21,Ar22およびAr23〜Ar25と同様である。R41〜R43はとして好ましくは水素原子または[置換基群W]に記載されている置換基であり、さらに好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、芳香族炭化水素基、芳香族炭化水素基である。
一般式(VIII)および/または(IX)で表される繰り返し単位を含む芳香族三級アミン高分子化合物の具体例としては、特願2005−21983号に記載のものが挙げられ、その好適例も同様であるが、何らそれらに限定されるものではない。
また、湿式製膜法により正孔注入層を形成する場合には、種々の溶剤に溶解し易い正孔輸送性化合物が好ましい。芳香族三級アミン化合物としては、例えば、ビナフチル系化合物(特開2004−014187)および非対称1,4−フェニレンジアミン化合物(特開2004−026732)が好ましい。
また、従来、有機電界発光素子における正孔注入・輸送性の薄膜精製材料として利用されてきた芳香族アミン化合物の中から、種々の溶剤に溶解し易い化合物を適宜選択しても良い。正孔注入層の正孔輸送性化合物に適用可能な芳香族アミン化合物としては、例えば、有機電界発光素子における正孔注入・輸送性の層形成材料として利用されてきた、従来公知の化合物が挙げられる。例えば、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン等の3級芳香族アミンユニットを連結した芳香族ジアミン化合物(特開昭59−194393号公報);4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルで代表される2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族アミン化合物(特開平5−234681号公報);トリフェニルベンゼンの誘導体でスターバースト構造を有する芳香族トリアミン化合物(米国特許第4,923,774号);N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)ビフェニル−4,4’−ジアミン等の芳香族ジアミン化合物(米国特許第4,764,625号);α,α,α’,α’−テトラメチル−α,α’−ビス(4−ジ(p−トリル)アミノフェニル)−p−キシレン(特開平3−269084号公報);分子全体として立体的に非対称なトリフェニルアミン誘導体(特開平4−129271号公報);ピレニル基に芳香族ジアミノ基が複数個置換した化合物(特開平4−175395号公報);エチレン基で3級芳香族アミンユニットを連結した芳香族ジアミン化合物(特開平4−264189号公報);スチリル構造を有する芳香族ジアミン(特開平4−290851号公報);チオフェン基で芳香族3級アミンユニットを連結した化合物(特開平4−304466号公報);スターバースト型芳香族トリアミン化合物(特開平4−308688号公報);ベンジルフェニル化合物(特開平4−364153号公報);フルオレン基で3級アミンを連結した化合物(特開平5−25473号公報);トリアミン化合物(特開平5−239455号公報);ビスジピリジルアミノビフェニル(特開平5−320634号公報);N,N,N−トリフェニルアミン誘導体(特開平6−1972号公報);フェノキサジン構造を有する芳香族ジアミン(特開平7−138562号公報);ジアミノフェニルフェナントリジン誘導体(特開平7−252474号公報);ヒドラゾン化合物(特開平2−311591号公報);シラザン化合物(米国特許第4,950,950号公報);シラナミン誘導体(特開平6−49079号公報);ホスファミン誘導体(特開平6−25659号公報);キナクリドン化合物等が挙げられる。これらの芳香族アミン化合物は、必要に応じて2種以上を混合して用いても良い。
また、正孔注入層の正孔輸送性化合物に適用可能なフタロシアニン誘導体またはポルフィリン誘導体の好ましい具体例としては、ポルフィリン、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィリン、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィリンコバルト(II)、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィリン銅(II)、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィリン亜鉛(II)、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィリンバナジウム(IV)オキシド、5,10,15,20−テトラ(4−ピリジル)−21H,23H−ポルフィリン、29H,31H−フタロシアニン銅(II)、フタロシアニン亜鉛(II)、フタロシアニンチタン、フタロシアニンオキシドマグネシウム、フタロシアニン鉛、フタロシアニン銅(II)、4,4’,4”,4'''−テトラアザ−29H,31H−フタロシアニン等が挙げられる。
また、正孔注入層の正孔輸送性化合物として適用可能なオリゴチオフェン誘導体の好ましい具体例としては、α−ターチオフェンとその誘導体、α−セキシチオフェンとその誘導体、ナフタレン環を含有するオリゴチオフェン誘導体(特開平6−256341)等が挙げられる。
また、本発明における正孔輸送性化合物として適用可能なポリチオフェン誘導体の好ましい具体例としては、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)等が挙げられる。
なお、これらの正孔輸送性化合物の分子量は、高分子化合物(繰り返し単位が連なる重合性化合物)の場合を除いて、通常9000以下、好ましくは5000以下、また、通常200以上、好ましくは400以上の範囲である。正孔輸送性化合物の分子量が高過ぎると合成および精製が困難であり好ましくない一方で、分子量が低過ぎると耐熱性が低くなるおそれがありやはり好ましくない。
正孔注入層の材料として用いられる正孔輸送性化合物は、このような化合物のうち何れか1種を単独で含有していてもよく、2種以上を含有していても良い。2種以上の正孔輸送性化合物を含有する場合、その組み合わせは任意であるが、芳香族三級アミン高分子化合物1種または2種以上と、その他の正孔輸送性化合物1種または2種以上とを併用するのが好ましい。
(電子受容性化合物)
電子受容性化合物とは、酸化力を有し、上述の正孔輸送性化合物から一電子受容する能力を有する化合物が好ましく、具体的には、電子親和力が4eV以上である化合物が好ましく、5eV以上の化合物である化合物がさらに好ましい。
例としては、4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート等の有機基の置換したオニウム塩、塩化鉄(III)(特開平11−251067)、ペルオキソ二硫酸アンモニウム等の高原子価の無機化合物、テトラシアノエチレン等のシアノ化合物、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(特開2003−31365)等の芳香族ホウ素化合物、フラーレン誘導体、ヨウ素等が挙げられる。
上記の化合物のうち、強い酸化力を有する点で有機基の置換したオニウム塩、高原子価の無機化合物が好ましく、種々の溶剤に可溶で湿式塗布に適用可能である点で有機基の置換したオニウム塩、シアノ化合物、芳香族ホウ素化合物が好ましい。
電子受容性化合物として好適な有機基の置換したオニウム塩、シアノ化合物、芳香族ホウ素化合物の具体例としては、WO2005/089024号公報に記載のものが挙げられ、その好適例も同様であり、例えば下記構造式で表される化合物(A−2)が挙げられるが、何らそれらに限定されるものではない。
Figure 2007182432
(カチオンラジカル化合物)
カチオンラジカル化合物とは、正孔輸送性化合物から一電子取り除いた化学種であるカチオンラジカルと、対アニオンからなるイオン化合物である。但し、カチオンラジカルが正孔輸送性の高分子化合物由来である場合、カチオンラジカルは高分子化合物の繰り返し単位から一電子取り除いた構造となる。
カチオンラジカルは、正孔輸送性化合物に前述した化合物から一電子取り除いた化学種であることが好ましく、正孔輸送性化合物としてさらに好ましい化合物から一電子取り除いた化学種であることが非晶質性、可視光の透過率、耐熱性、溶解性などの点からさらに好ましい。
カチオンラジカル化合物は、前述の正孔輸送性化合物と電子受容性化合物を混合することにより生成させることができる。即ち、前述の正孔輸送性化合物と電子受容性化合物を混合することにより、正孔輸送性化合物から電子受容性化合物へと電子移動が起こり、正孔輸送性化合物のカチオンラジカルと対アニオンからなるカチオンイオン化合物が生成する。
PEDOT/PSS(Adv.Mater.,2000年,12巻,481頁)やエメラルジン塩酸塩(J.Phys.Chem.,1990年,94巻,7716頁)等の高分子化合物由来のカチオンラジカル化合物は、酸化重合(脱水素重合)、即ち、モノマーを酸性溶液中で、ペルオキソ二硫酸塩等を用いて化学的に、または、電気化学的に酸化することによっても生成する。この酸化重合(脱水素重合)の場合、モノマーが酸化されることにより、高分子化されるとともに、酸性溶液由来のアニオンを対アニオンとする、高分子の繰り返し単位から一電子取り除かれたカチオンラジカルが生成する。
正孔注入層3は、湿式製膜法または真空蒸着法により陽極2上に形成される。
陽極2として一般的に用いられるITO(インジウム・スズ酸化物)は、その表面粗さが10nm程度の粗さ(Ra)を有するのに加えて、局所的に突起を有することが多く、短絡欠陥を生じ易いという問題があった。陽極2の上に形成される正孔注入層3は湿式製膜法により形成することは、真空蒸着法より形成する場合と比較して、これら陽極表面の凹凸に起因する、素子の欠陥の発生を低減する利点を有する。
湿式製膜法による層形成の場合は、前述した各材料(正孔輸送性化合物、電子受容性化合物、カチオンラジカル化合物)の1種または2種以上の所定量を、必要により電荷のトラップにならないバインダー樹脂や塗布性改良剤を添加して、溶剤に溶解させて、塗布溶液を調製し、スピンコート、スプレーコート、ディップコート、ダイコート、フレキソ印刷、スクリーン印刷、インクジェット法等の湿式製膜法により陽極上に塗布し、乾燥して、正孔注入層3を形成させる。
湿式製膜法による層形成のために用いられる溶剤としては、前述の各材料(正孔輸送性化合物、電子受容性化合物、カチオンラジカル化合物)を溶解することが可能な溶剤であれば、その種類は特に限定されないが、正孔注入層に用いられる各材料(正孔輸送性化合物、電子受容性化合物、カチオンラジカル化合物)を失活させる恐れのある、失活物質または失活物質を発生させるものを含まないものが好ましい。
これらの条件を満たす好ましい溶剤としては、例えば、エーテル系溶剤およびエステル系溶剤が挙げられる。具体的には、エーテル系溶剤としては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート(PGMEA)等の脂肪族エーテル;1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等の芳香族エーテル等が挙げられる。エステル系溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル等の脂肪族エステル;酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステル等が挙げられる。これらは何れか1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で用いても良い。
上述のエーテル系溶剤およびエステル系溶剤以外に使用可能な溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらは何れか1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で用いても良い。また、これらの溶剤のうち1種または2種以上を、上述のエーテル系溶剤およびエステル系溶剤のうち1種または2種以上と組み合わせて用いても良い。特に、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤は、電子受容性化合物およびカチオンラジカル化合物を溶解する能力が低いため、エーテル系溶剤およびエステル系溶剤と混合して用いることが好ましい。
塗布溶液中における溶剤の濃度は、通常10重量%以上、好ましくは30重量%以上、より好ましくは50%重量以上、また、通常99.999重量%以下、好ましくは99.99重量%以下、さらに好ましくは99.9重量%以下の範囲である。なお、2種以上の溶剤を混合して用いる場合には、これらの溶剤の合計がこの範囲を満たすようにする。
真空蒸着法による層形成の場合には、前述した各材料(正孔輸送性化合物、電子受容性化合物、カチオンラジカル化合物)の1種または2種以上を真空容器内に設置されたるつぼに入れ(2種以上材料を用いる場合は各々のるつぼに入れ)、真空容器内を適当な真空ポンプで10−4Pa程度まで排気した後、るつぼを加熱して(2種以上材料を用いる場合は各々のるつぼを加熱して)、蒸発量を制御して蒸発させ(2種以上材料を用いる場合はそれぞれ独立に蒸発量を制御して蒸発させ)、るつぼと向き合って置かれた基板の陽極上に正孔注入層を形成させる。なお、2種以上の材料を用いる場合は、それらの混合物をるつぼに入れ、加熱し蒸発させて正孔注入層形成に用いることもできる。
このようにして形成される正孔注入層3の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下の範囲である。
なお、正孔注入層3は、図6に示す如く、これを省略しても良い。
[4]発光層
正孔注入層3の上には通常発光層4が設けられる。発光層4は例えば前述の発光材料を含む層であり、電界を与えられた電極間において、陽極2から正孔注入層3を通じて注入された正孔と、陰極6から電子輸送層5を通じて注入された電子との再結合により励起されて、主たる発光源となる層である。発光層4は発光材料(ドーパント)と1種または2種以上のホスト材料を含むことが好ましく、発光層4は本発明の有機化合物をホスト材料として含むことがさらに好ましく、真空蒸着法で形成しても良いが、本発明の電荷輸送材料組成物を用い、湿式製膜法によって作製された層であることが特に好ましい。
ここで、湿式製膜法とは、前述の如く、溶剤を含む組成物を、スピンコート、スプレーコート、ディップコート、ダイコート、フレキソ印刷、スクリーン印刷、インクジェット法等により製膜するものである。
なお、発光層4は、本発明の性能を損なわない範囲で、他の材料、成分を含んでいても良い。
一般に有機電界発光素子において、同じ材料を用いた場合、電極間の膜厚が薄い方が、実効電界が大きくなる為、注入される電流が多くなるので、駆動電圧は低下する。その為、電極間の総膜厚は薄い方が、有機電界発光素子の駆動電圧は低下するが、あまりに薄いと、ITO等の電極に起因する突起により短絡が発生する為、ある程度の膜厚が必要となる。
本発明においては、発光層4以外に、正孔注入層3および後述の電子輸送層5等の有機層を有する場合、発光層4と正孔注入層3や電子輸送層5等の他の有機層とを合わせた総膜厚は通常30nm以上、好ましくは50nm以上であり、さらに好ましくは100nm以上で、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下であり、さらに好ましくは300nm以下である。また、発光層4以外の正孔注入層3や後述の電子注入層5の導電性が高い場合、発光層4に注入される電荷量が増加する為、例えば正孔注入層3の膜厚を厚くして発光層4の膜厚を薄くし、総膜厚をある程度の膜厚を維持したまま駆動電圧を下げることも可能である。
よって、発光層4の膜厚は、通常10nm以上、好ましくは20nm以上で、通常300nm以下、好ましくは200nm以下である。なお、本発明の素子が、陽極および陰極の両極間に、発光層4のみを有する場合の発光層4の膜厚は、通常30nm以上、好ましくは50nm以上、通常500nm以下、好ましくは300nm以下である。
[5]電子注入層
電子注入層5は陰極6から注入された電子を効率よく発光層4へ注入する役割を果たす。電子注入を効率よく行うには、電子注入層5を形成する材料は、仕事関数の低い金属が好ましく、ナトリウムやセシウム等のアルカリ金属、バリウムやカルシウムなどのアルカリ土類金属が用いられる。
電子注入層5の膜厚は0.1〜5nmが好ましい。
また、陰極6と発光層4または後述の電子輸送層7または正孔阻止層8との界面にLiF、MgF、LiO、CsCO等の極薄絶縁膜(0.1〜5nm)を挿入することも、素子の効率を向上させる有効な方法である(Appl.Phys.Lett.,70巻,152頁,1997年;特開平10−74586号公報;IEEETrans.Electron.Devices,44巻,1245頁,1997年;SID 04 Digest,154頁)。
さらに、後述するバソフェナントロリン等の含窒素複素環化合物や8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体に代表される有機電子輸送材料に、ナトリウム、カリウム、セシウム、リチウム、ルビジウム等のアルカリ金属をドープする(特開平10−270171号公報、特開2002−100478号公報、特開2002−100482号公報などに記載)ことにより、電子注入・輸送性が向上し優れた膜質を両立させることが可能となるため好ましい。この場合の膜厚は通常5nm以上、好ましくは10nm以上で、通常200nm以下、好ましくは100nm以下である。
電子注入層5は、発光層4と同様にして湿式製膜法、或いは真空蒸着法により発光層4上に積層することにより形成される。真空蒸着法の場合には、真空容器内に設置されたるつぼまたは金属ボートに蒸着源を入れ、真空容器内を適当な真空ポンプで10−4Pa程度にまで排気した後、るつぼまたは金属ボートを加熱して蒸発させ、るつぼまたは金属ボートと向き合って置かれた基板上に電子注入層を形成する。
アルカリ金属の蒸着は、クロム酸アルカリ金属と還元剤をニクロムに充填したアルカリ金属ディスペンサーを用いて行う。このディスペンサーを真空容器内で加熱することにより、クロム酸アルカリ金属が還元されてアルカリ金属が蒸発される。有機電子輸送材料とアルカリ金属とを共蒸着する場合は、有機電子輸送材料を真空容器内に設置されたるつぼに入れ、真空容器内を適当な真空ポンプで10−4Pa程度にまで排気した後、各々のるつぼおよびディスペンサーを同時に加熱して蒸発させ、るつぼおよびディスペンサーと向き合って置かれた基板上に電子注入層を形成する。
このとき、電子注入層5の膜厚方向において均一に共蒸着されるが、膜厚方向において濃度分布があっても構わない。
なお、電子注入層5は、図5,6,7,8,9に示す如く、これを省略しても良い。
[6]陰極
陰極6は、発光層側の層(電子注入層5または発光層4など)に電子を注入する役割を果たす。陰極6として用いられる材料は、前記陽極2に使用される材料を用いることが可能であるが、効率よく電子注入を行うには、仕事関数の低い金属が好ましく、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀等の適当な金属またはそれらの合金が用いられる。具体例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金等の低仕事関数合金電極が挙げられる。
陰極6の膜厚は通常、陽極2と同様である。低仕事関数金属から成る陰極を保護する目的で、この上にさらに、仕事関数が高く大気に対して安定な金属層を積層することは素子の安定性を増す。この目的のために、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金等の金属が使われる。
[7]その他の構成層
以上、図1に示す層構成の素子を中心に説明してきたが、本発明の有機電界発光素子における陽極2および陰極6と発光層4との間には、その性能を損なわない限り、上記説明にある層の他にも、任意の層を有していてもよく、また発光層4以外の任意の層を省略しても良い。
有しても良い層としては例えば、電子輸送層7が挙げられる。電子輸送層7は素子の発光効率をさらに向上させることを目的として、図2,3,4,7,8,9に示す如く、発光層4または後述の正孔阻止層8と電子注入層5または陰極6との間に設けられる。
電子輸送層7は、電界を与えられた電極間において陰極6から注入された電子を効率よく発光層4の方向に輸送することができる化合物より形成される。電子輸送層7に用いられる電子輸送性化合物としては、陰極6または電子注入層5からの電子注入効率が高く、かつ、高い電子移動度を有し注入された電子を効率よく輸送することができる化合物であることが必要である。
このような条件を満たす材料としては、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体(特開昭59−194393号公報)、10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体、オキサジアゾール誘導体、ジスチリルビフェニル誘導体、シロール誘導体、3−または5−ヒドロキシフラボン金属錯体、ベンズオキサゾール金属錯体、ベンゾチアゾール金属錯体、トリスベンズイミダゾリルベンゼン(米国特許第5,645,948号)、キノキサリン化合物(特開平6−207169号公報)、フェナントロリン誘導体(特開平5−331459号公報)、2−t−ブチル−9,10−N,N’−ジシアノアントラキノンジイミン、n型水素化非晶質炭化シリコン、n型硫化亜鉛、n型セレン化亜鉛などが挙げられる。
電子輸送層7の膜厚は、通常下限は1nm、好ましくは5nm程度であり、上限は通常300nm、好ましくは100nm程度である。
電子輸送層7は、正孔注入層3と同様にして湿式製膜法、或いは真空蒸着法により発光層4上に積層することにより形成される。通常は、真空蒸着法が用いられる。
また、特に、発光物質として燐光材料を用いたり、青色発光材料を用いたりする場合、図3,4,7,8に示す如く、正孔阻止層8を設けることも効果的である。正孔阻止層8は正孔と電子を発光層4内に閉じこめて、発光効率を向上させる機能を有する。即ち、正孔阻止層8は、発光層4から移動してくる正孔が電子輸送層7に到達するのを阻止することで、発光層4内で電子との再結合確率を増やし、生成した励起子を発光層4内に閉じこめる役割と、電子輸送層7から注入された電子を効率よく発光層4の方向に輸送する役割がある。
正孔阻止層8は、陽極2から移動してくる正孔を陰極6に到達するのを阻止する役割と、陰極6から注入された電子を率よく発光層4の方向に輸送することができる化合物により、発光層4の上に、発光層4の陰極6側の界面に接するように積層形成される。
正孔阻止層8を構成する材料に求められる物性としては、電子移動度が高く正孔移動度が低いこと、エネルギーギャップ(HOMO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重項準位(T1)が高いことが挙げられる。
このような条件を満たす正孔阻止層材料としては、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(フェノラト)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(トリフェニルシラノラト)アルミニウム等の混合配位子錯体、ビス(2−メチル−8−キノラト)アルミニウム−μ−オキソ−ビス−(2−メチル−8−キノリラト)アルミニウム二核金属錯体等の金属錯体、ジスチリルビフェニル誘導体等のスチリル化合物(特開平11−242996)、3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール誘導体(特開平7−41759号公報)、バソクプロイン等のフェナントロリン誘導体(特開平10−79297号公報)が挙げられる。
さらに、WO2005/022962号公報に記載の2,4,6位が置換されたピリジン環を少なくとも1個有する化合物も正孔阻止材料として好ましい。
正孔阻止層8の膜厚は、通常0.3nm以上、好ましくは0.5nm以上で、通常100nm以下、好ましくは50nm以下である。
正孔阻止層8も正孔注入層3と同様の方法で形成することができるが、通常は真空蒸着法が用いられる。
電子輸送層7および正孔阻止層8は必要に応じて、適宜設ければよく、1)電子輸送層のみ、2)正孔阻止層のみ、3)正孔阻止層/電子輸送層の積層、4)用いない、等、用法がある。
正孔阻止層8と同様の目的で、図4に示す如く、正孔注入層3と発光層4の間に電子阻止層9を設けることも効果的である。電子阻止層9は、発光層4から移動してくる電子が正孔注入層3に到達するのを阻止することで、発光層4内で正孔との再結合確率を増やし、生成した励起子を発光層4内に閉じこめる役割と、正孔注入層3から注入された正孔を効率よく発光層4の方向に輸送する役割がある。
電子阻止層9に求められる特性としては、正孔輸送性が高く、エネルギーギャップ(HOMO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重項準位(T1)が高いことが挙げられる。また、発光層4を湿式製膜法で形成する場合、電子阻止層9も湿式製膜法で形成することが、素子製造が容易となるため、好ましい。
このため、電子阻止層9も湿式製膜適合性を有することが好ましく、このような電子阻止層9に用いられる材料としては、本発明の電荷輸送材料の他、F8−TFBに代表されるジオクチルフルオレンとトリフェニルアミンの共重合体(WO2004/084260号公報記載)等が挙げられる。
また、図8,9に示す如く、正孔輸送層10を有することが本発明において好ましく、正孔輸送層10には、本発明の有機化合物を含有することが好ましい。また、前記正孔注入層3の正孔輸送性化合物として例示した化合物を用いることもできる。また、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルトリフェニルアミン、テトラフェニルベンジジンを含有するポリアリーレンエーテルサルホン等の高分子材料を使用してもよい。正孔輸送層10は、これらの材料を湿式製膜法または真空蒸着法により正孔注入層3上に積層することにより形成される。このようにして形成される正孔輸送層10の膜厚は、通常10nm以上、好ましくは30nmである。但し、通常、300nm以下、好ましくは100nm以下である。
なお、図1とは逆の構造、即ち、基板1上に陰極6、電子注入層5、発光層4、正孔注入層3、陽極2の順に積層することも可能であり、既述したように少なくとも一方が透明性の高い2枚の基板の間に本発明の有機電界発光素子を設けることも可能である。同様に、図2〜図9に示した前記各層構成とは逆の構造に積層することも可能である。
さらには、図1〜9に示す層構成を複数段重ねた構造(発光ユニットを複数積層させた構造)とすることも可能である。その際には段間(発光ユニット間)の界面層(陽極がITO、陰極がAlの場合はその2層)の代わりに、例えばV等を電荷発生層(CGL)として用いると段間の障壁が少なくなり、発光効率・駆動電圧の観点からより好ましい。
本発明は、有機電界発光素子が、単一の素子、アレイ状に配置された構造からなる素子、陽極と陰極がX−Yマトリックス状に配置された構造のいずれにおいても適用することができる。
次に、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
なお、以下において、ガラス転移温度はDSC測定により、気化温度はTG−DTA測定によりそれぞれ求めた。
[本発明の有機化合物の合成例]
以下に本発明の有機化合物の合成例を示す。
(合成例1:前記部分構造(I)を有する本発明の有機化合物(I−1)の合成)
Figure 2007182432
〈Step 1〉
不活性ガス雰囲気下、4−ヨードビフェニル(5g、17.8mmol)、4−ブロモアニリン(1.46g、8.48mmol)、ヨウ化銅(340mg、1.8mmol)、炭酸カリウム(4.92g、35.6mmol)を1,3,5−トリメチルベンゼン(20mL)に懸濁させ、還流下12時間攪拌した。反応混合物を室温まで放冷し、塩化メチレン(100mL)で希釈して、無機塩を濾過した。濾液を減圧下に溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに処し、N,N−ジ(ビフェニル)−4−ブロモアニリン(2.16g、54%)を得た。
〈Step 2〉
不活性ガス雰囲気下、N,N−ジ(ビフェニル)−4−ブロモアニリン(5g、10.5mmol)のトルエン(50mL)/THF(50mL)溶液を−78℃に冷却し、1.6mol/Lのn−ブチルリチウムヘキサン溶液(8mL,12.8mmol)を滴下した。徐々に−40℃まで温度を上昇させ、−40℃で2時間攪拌した。次いで、−78℃まで冷却し、トリイソプロピルボレート(5.9g,31.5mmol)を滴下し、−78℃で1時間、室温で2時間攪拌した。反応混合物を水(200mL)にあけ、濃塩酸でpHを1にして1時間攪拌した。有機層を分離後、水層を塩化メチレンで抽出し、先の有機層と併せて希塩酸で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し4−ジ(ビフェニル)アミノフェニルボロン酸(1.56g,34%)を得た。
〈Step 3〉
不活性ガス雰囲気下、4−ジ(ビフェニル)アミノフェニルボロン酸(1.5g,3.1mmol)、3,3’−ジブロモビフェニル(0.4g,1.28mmol)のジメトキシエチレングリコール溶液(20mL)に2M−炭酸ナトリウム水溶液(10mL)を加えた後、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(89mg、77μmol)を加え、8時間還流した。反応混合物を塩化メチレンで抽出し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに処し、目的物I−1(0.65g、54%)を得た。
このものの物性は以下の通りであり、電荷輸送材料として有機電界発光素子に有用な値を示した。
ガラス転移温度:139℃
気化温度:560℃
質量分析値(DEI法、M):944
Ip(イオン化ポテンシャル):5.18eV
EA(電子親和力):2.07eV
Cv還元:−2.63V vs SCE
Cv酸化:0.88V vs SCE
(合成例2:前記部分構造(I)を有する本発明の有機化合物(I−2)の合成)
Figure 2007182432
〈Step 1〉
窒素雰囲気下、トリス(4−ブロモフェニル)アミン(13.96g,29mmol)、4−プロピルフェニルボロン酸(10g,61mmol)のジメトキシエタン溶液(100mL)に2M−NaCO水溶液(50mL)を加え、窒素をバブリングさせて酸素を除去した後、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(1.7g,1.45mmol)を加え8時間加熱還流した。反応混合物を水(100mL)にあけ、塩化メチレン(30mL×3回)で抽出し、有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧下に留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに処し、中間体I(6.76g,42%)を得た。
〈Step 2〉
窒素雰囲気下、中間体I(6g,10.7mmol)のエーテル溶液(100mL)を−78℃まで冷却し、n−ブチルリチウム2.56mol/L溶液(6.3mL,16mmol)を滴下した。温度を0℃まで上昇させた後1時間攪拌後、−78℃まで冷却し、トリイソプロピルボレート(9g,48mmol)を滴下した。−78℃で30分攪拌し、温度を徐々に室温まで上昇後さらに1時間攪拌した。反応混合物を水にあけ、塩化メチレン(50mL×3回)で抽出し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに処し中間体II(5.4g,96%)を得た。
〈Step 3〉
窒素雰囲気下、中間体II(4.5g,8.6mmol)、3,3’−ジブロモビフェニル(1.34g,4.3mmol)のジメトキシエタン溶液(50mL)に2M−NaCO水溶液(25mL)を加え、窒素をバブリングさせて酸素を除去した後、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0.5g,0.43mmol)を加え、8時間加熱還流した。反応混合物を水(50mL)にあけ、塩化メチレン(30mL×3回)で抽出し、有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧下に留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに処し、目的物I−2(2.8g,59%)を得た。
このものの物性は以下の通りであり、電荷輸送材料として有機電界発光素子に有用な値を示した。
質量分析値(DEI法、M):1112
[本発明の有機電界発光素子の作製例]
以下に本発明の有機電界発光素子を作製する実施例を示す。
(実施例1)
図8に示す構造を有する有機電界発光素子を以下の方法で作製した。
ガラス基板1の上にインジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を150nm堆積したもの(スパッター成膜品;シート抵抗15Ω)を通常のフォトリソグラフィ技術と塩酸エッチングを用いて2mm幅のストライプにパターニングして陽極2を形成した。パターン形成したITO基板を、アセトンによる超音波洗浄、純水による水洗、イソプロピルアルコールによる超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
次に、正孔注入層3の材料として、下記に示す構造式の芳香族アミノ基を有する非共役系高分子化合物(PB−1)を下記に示す構造式の電子受容性化合物(A−1)と共に以下の条件でスピンコートした。
Figure 2007182432
スピンコート条件
溶媒 安息香酸エチル
塗布液濃度 PB−1:2[wt%]
A−1:0.4[wt%]
スピナ回転数 1500[rpm]
スピナ回転時間 30[秒]
乾燥条件 230[℃] 15[分]
上記のスピンコートにより膜厚30nmの均一な薄膜が形成された。
次に、正孔注入層3を成膜した基板を真空蒸着装置内に設置した。上記装置の粗排気を油回転ポンプにより行った後、装置内の真空度が4.9×10−5Pa以下になるまでクライオポンプを用いて排気した。上記装置内に配置されたセラミックるつぼに入れた、下記に示す本発明のアリールアミン化合物(H−1)をるつぼの周囲のタンタル線ヒーターで加熱して蒸着を行った。蒸着時の真空度は6.8×10−5Pa、蒸着速度は0.1nm/秒で膜厚40nmの正孔輸送層10を形成した。
Figure 2007182432
引続き、発光層4の主成分(ホスト材料)として下記に示す構造式の有機化合物(EM−1)を、副成分(ドーパント)として下記に示す構造式の有機イリジウム錯体(D−1)を別々のセラミックるつぼに設置し、2元同時蒸着法により成膜を行った。
Figure 2007182432
主成分の有機化合物(EM−1)のるつぼ温度は326〜331℃、蒸着速度は0.1nm/秒に、有機イリジウム錯体(D−1)のるつぼ温度は249〜251℃にそれぞれ制御し、膜厚32nmで有機イリジウム錯体(D−1)が約6.0重量%含有された発光層4を正孔輸送層10の上に積層した。蒸着時の真空度は7.5×10−5Paであった。
さらに、正孔阻止層8として、下記に示す構造式のフェニルピリジン誘導体(HB−1)をるつぼ温度を235〜240℃として、蒸着速度0.1nm/秒で5nmの膜厚で積層した。蒸着時の真空度は5.2×10−5Paであった。
Figure 2007182432
次いで、正孔阻止層8の上に、電子輸送層7として、下記に示す構造式のトリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq3)を同様にして蒸着した。この時のトリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq3)のるつぼ温度は296〜303℃の範囲で制御し、蒸着時の真空度は5.4×10−5Pa、蒸着速度は0.15m/秒で膜厚は30nmとした。
Figure 2007182432
上記の正孔輸送層10、発光層4、正孔阻止層8および電子輸送層7を真空蒸着する時の基板温度は室温に保持した。
ここで、電子輸送層7までの蒸着を行った素子を一度前記真空蒸着装置内より大気中に取り出して、陰極蒸着用のマスクとして2mm幅のストライプ状シャドーマスクを、陽極2のITOストライプとは直交するように素子に密着させて、別の真空蒸着装置内に設置して有機層と同様にして装置内の真空度が2.8×10−6Torr(約3.6×10−4Pa)以下になるまで排気した。陰極6として、先ず、フッ化リチウム(LiF)をモリブデンボートを用いて、蒸着速度0.03nm/秒、真空度2.8×10−6Torr(約3.7×10−4Pa)で、0.5nmの膜厚で電子輸送層7の上に成膜した。次に、アルミニウムを同様にモリブデンボートにより加熱して、蒸着速度0.2nm/秒、真空度9.8×10−6Torr(約1.3×10−3Pa)で膜厚80nmのアルミニウム層を形成して陰極6を完成させた。以上の2層型陰極の蒸着時の基板温度は室温に保持した。
陰極6までの蒸着を行った素子について、窒素雰囲気中で、外周部に紫外線硬化性樹脂(スリーボンド社製FPD用シール剤3124)を幅約0.7mmで塗布し、中心に吸湿剤(ダイニック社製有機EL用水分ゲッター剤HD−S050914W−40)を貼付したガラス板と、吸湿剤貼付面および素子蒸着面がそれぞれ内側になるように貼り合わせた。その後、紫外線硬化性樹脂塗布部周辺にのみ紫外光を照射して樹脂を硬化させた。
以上の様にして、2mm×2mmのサイズの発光面積部分を有する有機電界発光素子が得られた。この素子の発光特性を表1に示す。
この素子の電界発光は、極大波長515nm、半値幅は70nmの青緑色発光であり、有機イリジウム錯体(D−1)からのものと同定された。色度はCIE(x,y)=(0.31,0.62)であった。
表1より、この素子は、比較例1および比較例2のいずれの素子よりも、輝度/電流の値および発光効率が高いことが明らかである。
(比較例1)
正孔輸送層10を以下に記す方法で成膜した以外は実施例1に示す方法と同様にして、図8に示す構造を有する有機電界発光素子を作製した。
正孔注入層3を成膜した基板を真空蒸着装置内に設置した。上記装置の粗排気を油回転ポンプにより行った後、装置内の真空度が4.9×10−5Pa以下になるまでクライオポンプを用いて排気した。上記装置内に配置されたセラミックるつぼに入れた、下記に示す構造式のアリールアミン化合物(PPD)をるつぼの周囲のタンタル線ヒーターで加熱して蒸着を行った。この時のるつぼの温度は、260〜273℃の範囲で制御した。蒸着時の真空度6.0×10−5Pa(約×10−7Torr)、蒸着速度は0.1nm/秒で、膜厚40nmの正孔輸送層10を形成した。
Figure 2007182432
この素子の発光特性を表1に示す。
この素子の電界発光は、極大波長515nm、半値幅は70nmの緑色発光であり、有機イリジウム錯体(D−1)からのものと同定された。色度はCIE(x,y)=(0.31,0.62)であった。
(実施例2)
正孔阻止層8を設けず、発光層4に引き続いて電子輸送層7を成膜したこと以外は、実施例1に示す方法と同様にして、図9に示す構造を有する有機電界発光素子を作製した。
この素子の発光特性を表1に示す。
この素子の電界発光は、極大波長515nm、半値幅は70nmの緑色発光であり、有機イリジウム錯体(D−1)からのものと同定された。色度はCIE(x,y)=(0.31,0.62であった。
表1より、この素子は、比較例1および比較例2のいずれの素子よりも、輝度/電流の値および発光効率が高いことが明らかである。
(比較例2)
正孔阻止層8を設けず、発光層4に引き続いて電子輸送層7を成膜したこと以外は、比較例1に示す方法と同様にして、図9に示す構造を有する有機電界発光素子を作製した。
この素子の発光特性を表1に示す。
この素子の電界発光は、極大波長515nm、半値幅は70nmの緑色発光であり、有機イリジウム錯体(D−1)からのものと同定された。色度はCIE(x,y)=(0.31,0.62であった。
Figure 2007182432
(実施例3および比較例3)
実施例2および比較例2で作製した素子に、試験開始時の輝度が5000cd/mとなる直流一定電流を通電したときの輝度変化を観察した。輝度値が試験開始時の半分、すなわち2500cd/mとなるまでの時間を表2に示す。なお、通電試験は室温を空調により23℃±1.5℃に制御した室内で行った。
Figure 2007182432
この結果より、本発明の化合物(H−1)を正孔輸送層に用いた素子は、PPDを正孔輸送層に用いた素子よりも、通電時の輝度低下が少ないことが明らかとなった。
本発明の有機電界発光素子の一例を示した模式的断面図である。 本発明の有機電界発光素子の別の例を示した模式的断面図である。 本発明の有機電界発光素子の別の例を示した模式的断面図である。 本発明の有機電界発光素子の別の例を示した模式的断面図である。 本発明の有機電界発光素子の別の例を示した模式的断面図である。 本発明の有機電界発光素子の別の例を示した模式的断面図である。 本発明の有機電界発光素子の別の例を示した模式的断面図である。 本発明の有機電界発光素子の別の例を示した模式的断面図である。 本発明の有機電界発光素子の別の例を示した模式的断面図である。
符号の説明
1 基板
2 陽極
3 正孔注入層
4 発光層
5 電子注入層
6 陰極
7 電子輸送層
8 正孔阻止層
9 電子阻止層
10 正孔輸送層

Claims (9)

  1. 一分子内に下記式(I)で表される部分構造を2以上有し、一分子内に存在する窒素原子同士が互いに共役していないことを特徴とする、有機化合物。
    Figure 2007182432
    (式(I)中、R11〜R19、R21〜R29、R31〜R39は各々独立に水素原子或いは任意の置換基を表す。一分子中に存在する複数のR11〜R19、R21〜R29、R31〜R39はそれぞれ同一であっても異なるものであってもよい。)
  2. 一分子内に複数存在する式(I)で表される部分構造同士がリンカーLを介して結合しており、
    該結合は、それぞれ、式(I)中のR11〜R15、R21〜R25、R31〜R35のいずれか1つとリンカーLとの結合であることを特徴とする、請求項1に記載の有機化合物。
  3. 該結合は、それぞれ、R12、R22或いはR32とリンカーLとの結合であることを特徴とする、請求項2に記載の有機化合物。
  4. 下記式(II)で表されることを特徴とする、請求項3に記載の有機化合物。
    Figure 2007182432
    (式(II)中、R11〜R19、R21〜R29、R31〜R39は式(I)におけると同義である。)
  5. 該リンカーLが単結合または置換基を有していても良い芳香族基であることを特徴とする、請求項2ないし4のいずれか1項に記載の有機化合物。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の有機化合物からなることを特徴とする、電荷輸送材料。
  7. 請求項6に記載の電荷輸送材料を含有することを特徴とする、電荷輸送材料組成物。
  8. 溶剤を含有することを特徴とする、請求項7に記載の電荷輸送材料組成物。
  9. 基板上に、陽極、陰極および該陽極と該陰極に挟持された発光層を有する有機電界発光素子において、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の有機化合物を含有する層を有することを特徴とする、有機電界発光素子。
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