JP5167607B2 - 電荷輸送材料、電荷輸送材料組成物及び有機電界発光素子 - Google Patents

電荷輸送材料、電荷輸送材料組成物及び有機電界発光素子 Download PDF

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本発明は、電気化学的に安定で種々の溶媒に可溶な電荷輸送材料と、この電荷輸送材料を含む電荷輸送材料組成物と、この電荷輸送材料を含有する層を有する、発光効率が高く駆動安定性が高い有機電界発光素子に関するものである。
近年、有機薄膜を用いた電界発光素子(有機電界発光素子)の開発が行われている。有機電界発光素子における有機薄膜の形成方法としては、真空蒸着法と湿式製膜法が挙げられる。このうち、湿式製膜法は真空プロセスが要らず、大面積化が容易で、1つの層(塗布液)に様々な機能をもった複数の材料を混合して入れることが容易である等の利点がある。
湿式製膜法によって形成された発光層の材料としては、ポリ(p−フェニレンビニレン)誘導体やポリフルオレン誘導体等の高分子材料が主に用いられているが、高分子材料には以下のような問題がある。
・高分子材料は重合度や分子量分布を制御することが困難である。
・連続駆動時に末端残基による劣化が起こる。
・材料自体の高純度化が困難で、不純物を含む。
上記問題のために、湿式製膜法による素子は、真空蒸着法による素子に比べて駆動安定性に劣り、一部を除いて実用レベルに至っていないのが現状である。
以上のような問題を解決する試みとして、特許文献1及び特許文献2には、高分子化合物ではなく、複数の低分子材料(電子輸送材料、正孔輸送材料、発光材料)を混合して用いることが記載されている。しかしながら、特許文献1で電子輸送材料として用いている8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体は溶媒への溶解性が非常に小さい。このため、クロロホルム等のハロゲン系溶媒を塗布溶媒に用いる必要があるが、ハロゲン系溶媒は環境負荷が大きく実用上問題がある。更に、ハロゲン系溶媒中に含まれる不純物により材料を劣化させる可能性が大きいため、ハロゲン系溶媒を用いた湿式製膜法による素子は駆動安定性が十分でないと考えられる。
一方、特許文献2で電子輸送材料として用いているオキサジアゾール誘導体は、電気化学的安定性に問題があり、駆動寿命は十分とは言えなかった。さらには、発光材料に燐光物質や青色発光物質を用いた場合は、発光材料のエネルギーギャップが大きいため、オキサジアゾール誘導体を電子輸送材料に適用することは困難であった。特に、オキサジアゾール誘導体は三重項励起準位が低いため、発光材料に燐光物質を用いた素子には適さない。
また、特許文献3では、2,4,6−位が置換されたピリジン環を有する化合物を有機電界発光素子の材料に用いることが開示されている。2,4,6−位が置換されたピリジン環を有する化合物は電気化学的に安定であり、高い三重項励起準位を有するため、それを用いた有機電界発光素子(特に、燐光物質を用いた素子)は高い駆動安定性及び発光効率を有すると考えられるが、特許文献3に記載された材料は溶媒への溶解性が低いため、湿式製膜法には適していない。
特許3,069,139号公報 特開平11−273,859号公報 WO2005/022962号公報
本発明は上記従来の実状に鑑みてなされたものであって、電気化学的に安定であり、溶媒に可溶な電荷輸送材料の提供、更には高い発光効率、高い駆動安定性を有する有機電界発光素子を形成するための組成物、及びそれを用いた有機電界発光素子を提供することを目的とする。
本発明者らが鋭意検討した結果、下記構造の有機化合物は、溶媒に対する溶解性に優れ、高い非晶質性を有するため、湿式製膜法による薄膜形成が可能であり、さらに、下記構造の有機化合物は優れた電荷輸送性及び電気的酸化還元耐久性を有し、高い三重項励起準位を有するため、有機電界発光素子に用いると高い発光効率かつ高い駆動安定性を奏することを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明の要旨は、分子内に対称軸及び対称点を有さない化合物からなり、該化合物の分子内に部分構造として存在するピリジン環がすべて下記一般式(I)で表される電荷輸送材料であって、該化合物が、下記一般式(IV)で表される化合物(ただし、以下の式(a)〜(d)で表される4つの化合物を除く。)であることを特徴とする電荷輸送材料(請求項1)、に存する。
本発明の別の要旨は、この電荷輸送材料を含むことを特徴とする電荷輸送材料組成物(請求項)、に存する。
本発明のさらに別の要旨は、基板上に、陽極、陰極、及びこれら両極間に設けられた発光層を有する有機電界発光素子において、この電荷輸送材料を含有する層を有することを特徴とする有機電界発光素子(請求項)、に存する。
Figure 0005167607
(一般式(I)中、R〜Rは各々独立して、置換基を有していても良いフェニル基を示す。但し、RとR、RとR、RとRは、置換基が異なることにより或いは置換基の有無により、いずれも同一ではなく、また、Rが有する置換基がピリジン環を含む基であることはない。)
Figure 0005167607
(一般式(IV)中、R及びRは各々独立して、前記一般式(I)におけると同義であり、Qは直接結合又は任意の連結基を表す。)
Figure 0005167607
(上記式中、−N−Czは、N−カルバゾリル基を示す。)
本発明の電荷輸送材料、及びこの電荷輸送材料を含む電荷輸送材料組成物によれば、電気化学的に安定であり、高い三重項励起準位を有する材料を含む有機薄膜を湿式製膜法によって容易に形成することが可能であり、有機電界発光素子の大面積化が容易となる。また、本発明の電荷輸送材料及びこの電荷輸送材料を含む電荷輸送材料組成物を用いた有機電界発光素子によれば、高輝度・高効率で発光させることが可能となり、かつ素子の安定性、特に駆動安定性が向上する。
また、本発明の電荷輸送材料は、優れた製膜性、電荷輸送性、発光特性、耐熱性から、真空蒸着法による製膜にも、湿式製膜法による製膜にも適用可能である。
また、本発明の電荷輸送材料及びこの電荷輸送材料を含む電荷輸送材料組成物は、優れた製膜性、電荷輸送性、発光特性、耐熱性から、素子の層構成に合わせて、正孔注入材料、正孔輸送材料、発光材料、ホスト材料、電子注入材料、電子輸送材料などとしても適用可能である。
従って、本発明の電荷輸送材料及びこの電荷輸送材料を含む電荷輸送材料組成物を用いた有機電界発光素子は、フラットパネル・ディスプレイ(例えばOAコンピュータ用や壁掛けテレビ)、車載表示素子、携帯電話表示や面発光体としての特徴を生かした光源(例えば、複写機の光源、液晶ディスプレイや計器類のバックライト光源)、表示板、標識灯への応用が考えられ、その技術的価値は大きいものである。
また、本発明の電荷輸送材料及びこの電荷輸送材料を含む電荷輸送材料組成物は、本質的に優れた酸化還元安定性を有することから、有機電界発光素子に限らず、その他、電子写真感光体等にも有効に利用することができる。
以下に本発明の電荷輸送材料、電荷輸送材料組成物及び有機電界発光素子の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に特定されない。
[電荷輸送材料]
本発明の電荷輸送材料は、分子内に対称軸及び対称点を有さない化合物からなる電荷輸送材料であって、該化合物の分子内に部分構造として存在するピリジン環がすべて下記一般式(I)で表されるものであり、好ましくは有機電界発光素子に用いられる。
Figure 0005167607
(一般式(I)中、R〜Rは各々独立して、置換基を有していても良いフェニル基を示す。但し、RとR、RとR、RとRは、置換基が異なることにより或いは置換基の有無により、いずれも同一ではなく、また、Rが有する置換基がピリジン環を含む基であることはない。)
[1]構造上の特徴
本発明の電荷輸送材料は、分子内に部分構造として存在するすべてのピリジン環の2,4,6−位が置換基を有していても良いフェニル基で置換されているため、電子輸送能を有するとともに電気化学的安定性に優れる。さらに、主に一電子還元される部位(LUMOが広がっている部位)がピリジン環とベンゼン環で構成されているため、高い三重項励起準位を有する。
しかも、本発明の電荷輸送材料に含まれるピリジン環は、2,4,6−位が各々異なるフェニル基で置換されているため、非晶質性が極めて高く、種々の有機溶媒に対する溶解性に優れ、容易には結晶化しない非晶質な有機薄膜を形成することが可能である。
このピリジン環の2,4,6−位のR〜Rのフェニル基は、このフェニル基のベンゼン環に導入された置換基が異なることにより、或いは置換基の有無により、互いに異なるものとなっている。また、R〜Rは、このように互いに異なるフェニル基であることにより、R〜Rのうち置換基も含めて最も炭素数の多い基と、最も炭素数の少ない基との炭素数の差(以下、「R〜R炭素数差」と称す。)が15以上であることが好ましい。
また、R〜Rのうち置換基も含めて最も炭素数の多い基と、2番目に炭素数が多い基との炭素数の差が5以上であることが好ましく、R〜Rのうち置換基も含めて最も炭素数の少ない基と、2番目に炭素数が多い基との炭素数の差が5以上であることが好ましく、最も炭素数の多い基、2番目に炭素数が多い基、最も炭素数の少ない基が、5以上ずつの炭素数の差があることがさらに好ましい。
このようにR〜R炭素数差が15以上であること、また、R〜Rのそれぞれが5以上ずつの炭素数差があることにより、化合物の非晶質性がより一層高いものとなり、種々の有機溶媒に対する溶解性により一層優れ、容易には結晶化しない非晶性の高い有機薄膜を形成することが可能となる。ただし、R〜R炭素数差が過度に大きい場合、過度に大きい置換基によって、電荷輸送能が低減するおそれがあり、下記の好ましい分子量範囲の上限値を超えるおそれがある。このため、R〜R炭素数差は300以下であることが好ましく、より好ましくは、150以下、15以上である。また、R〜Rのそれぞれの炭素数の差が過度に大きい場合も、同様に、電荷輸送能、分子量の点で問題を生じるおそれがあるため、R〜Rのそれぞれの炭素数の差は200以下であることが好ましく、より好ましくは5以上、100以下である。
尚、R〜Rは、それぞれ、炭素数350以下が好ましく、150以下がより好ましい。
[2]分子量範囲
本発明の電荷輸送材料の分子量は、通常5000以下、好ましくは4000以下、より好ましくは3000以下であり、また通常200以上、好ましくは300以上、より好ましくは400以上である。分子量がこの上限値を超えると、不純物の高分子量化によって精製が困難となる場合があり、また分子量がこの下限値を下回ると、ガラス転移温度及び、融点、気化温度などが低下するため、耐熱性が著しく損なわれるおそれがある。
[3]物性
本発明の電荷輸送材料は、通常50℃以上のガラス転移温度を有するが、耐熱性の観点から、ガラス転移温度は80℃以上であることが好ましく、110℃以上であることが更に好ましい。
また、本発明の電荷輸送材料は、通常300℃以上、800℃以下の気化温度を有する。
また、本発明の電荷輸送材料は、ガラス転移温度と気化温度の間に結晶化温度を有さないことが好ましい。
また、本発明の電荷輸送材料は、25℃、大気圧条件下で、トルエンに対して5重量%以上溶解するものであることが、溶剤溶解性を確保して、湿式製膜法による製膜性を得るために好ましい。この溶解度は好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは15重量%以上である。この溶解度の上限については特に定めないが通常50重量%以下である。
[4]対称点、対称軸
本発明の電荷輸送材料が、例えば下記一般式(I−1)で表され、分子内のピリジン環が1つだけの化合物である場合(すなわち、R41〜R43がいずれもピリジン環を含まない場合)、分子内に対称軸も対称点も有さない。
Figure 0005167607
(一般式(I)中、R41〜R43は各々独立して、置換基を有していても良いフェニル基を示す。但し、R41とR42、R42とR43、R43とR41は、置換基が異なることにより或いは置換基の有無により、いずれも同一ではなく、また、R42が有する置換基がピリジン環を含む基であることはない。)
また、分子内にピリジン環が2個以上含まれる化合物である場合、下記一般式(i−1)〜(i−3)で表されるような化合物は、分子内に対称軸や対称点を有する。
Figure 0005167607
(R11,R12,R21,R22,R31,R33は各々独立して、置換基を有していても良いフェニル基を表す。)
上記一般式(i−1)〜(i−3)で示されるような化合物は、その対称性から、結晶性が高く、溶媒に対する溶解性が低いため、好ましくない。
一方、本発明の電荷輸送材料は、好ましい具体例として後述するピリジン環が2個以上含まれる化合物のように、分子内に対称軸や対称点を有さない化合物であり、非晶質性が高く、溶媒に対する溶解性が高い。
[5]R、R
一般式(I)において、R、Rは各々独立して、無置換又は1〜5個の任意の置換基を有するフェニル基である(ただし、この数は、一般式(I)のR〜Rが結合しているピリジン環は置換基として含めていない数である。)。R,Rのフェニル基が2〜5個の置換基を有する場合、これらの置換基は各々異なる基であっても、同一の基であっても良い。
,Rのフェニル基が有していてもよい任意の置換基として具体的には、次のようなものが挙げられる。
置換基を有していてもよいアルキル基(好ましくは、炭素数1〜8の直鎖又は分岐のアルキル基であり、例えばメチル、エチル、n−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル基などが挙げられる。)
置換基を有していてもよいアルケニル基(好ましくは、炭素数2〜9のアルケニル基であり、例えばビニル、アリル、1−ブテニル基などが挙げられる。)
置換基を有していてもよいアルキニル基(好ましくは、炭素数2〜9のアルキニル基であり、例えばエチニル、プロパルギル基などが挙げられる。)
置換基を有していてもよいアラルキル基(好ましくは、炭素数7〜15のアラルキル基であり、例えばベンジル基などが挙げられる。)
置換基を有していてもよいアミノ基[好ましくは、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基を1つ以上有するアルキルアミノ基(例えばメチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ基などが挙げられる。)
置換基を有していてもよい炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を有するアリールアミノ基(例えばフェニルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノ基などが挙げられる。)
置換基を有していてもよい、5又は6員環の芳香族複素環を有するヘテロアリールアミノ基(例えばピリジルアミノ、チエニルアミノ、ジチエニルアミノ基などが挙げられる。)
置換基を有していてもよい、炭素数2〜10のアシル基を有するアシルアミノ基(例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる。)]
置換基を有していてもよいアルコキシ基(好ましくは、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルコキシ基であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ基などが挙げられる。)
置換基を有していてもよいアリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を有するものであり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシ基などが挙げられる。)
置換基を有していてもよいヘテロアリールオキシ基(好ましくは、5又は6員環の芳香族複素環基を有するものであり、例えばピリジルオキシ、チエニルオキシ基などが挙げられる。)
置換基を有していてもよいアシル基(好ましくは、置換基を有していてもよい炭素数2〜10のアシル基であり、例えばホルミル、アセチル、ベンゾイル基などが挙げられる。)
置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基(好ましくは、置換基を有していてもよい炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル基などが挙げられる。)
置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基(好ましくは、置換基を有していてもよい炭素数7〜13のアリールオキシカルボニル基であり、例えばフェノキシカルボニル基などが挙げられる。)
置換基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基(好ましくは、置換基を有していてもよい炭素数2〜10のアルキルカルボニルオキシ基であり、例えばアセトキシ基などが挙げられる。)
ハロゲン原子(好ましくは、フッ素原子又は塩素原子が挙げられる。)
カルボキシ基
シアノ基
水酸基
メルカプト基
置換基を有していてもよいアルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜8までのアルキルチオ基であり、例えばメチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる。)
置換基を有していてもよいアリールチオ基(好ましくは、炭素数6〜12までのアリールチオ基であり、例えばフェニルチオ基、1−ナフチルチオ基などが挙げられる。)
置換基を有していてもよいスルホニル基(例えばメシル基、トシル基などが挙げられる。)
置換基を有していてもよいシリル基(例えばトリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる。)
置換基を有していてもよいボリル基(例えばジメシチルボリル基などが挙げられる。)
置換基を有していてもよいホスフィノ基(例えばジフェニルホスフィノ基などが挙げられる。)
置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基(例えばベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオランテン環などの、5又は6員環の単環又は2〜5縮合環由来の1価の基が挙げられる。)
置換基を有していてもよい芳香族複素環基(例えばフラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環などの、5又は6員環の単環又は2〜4縮合環由来の1価の基が挙げられる。)
上記置換基が更に置換基を有する場合、その置換基としては、上記例示置換基が挙げられる。
電気化学的耐久性を向上させる観点及び耐熱性を向上させる観点からは、R,Rのフェニル基の置換基としては、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基が好ましく、より好ましくは置換基を有していてもよいフェニル基であり、さらに好ましくは無置換のフェニル基、或いは1又は2置換のフェニル基である(ただし、この数は、一般式(I)のR〜Rが結合しているピリジン環は置換基として含めていない数である。)。また、R〜Rの置換基は、上記例示置換基を複数個連結してなるものであってもよい。
溶解性及び非晶質性をさらに向上させる観点からは、R,Rのフェニル基の置換基としては、置換基を有していてもよいアルキル基が好ましく、より好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、2−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、さらに好ましくはメチル基、エチル基である。
及び/又はRのフェニル基の置換基がピリジン環を含む場合、そのピリジン環も上記一般式(I)で表されなければならない。また、その場合、前述したように、分子内に対称軸や対称点があってはならない。
本発明の電荷輸送材料は、高い電気的酸化還元耐久性を有する点、高い三重項励起準位を有する点からは、分子内にピリジン環が1つだけであることが好ましい。
また、本発明の電荷輸送材料は、高い電荷輸送能を有する点、高い耐熱性を有する点からは、分子内にピリジン環が2個以上であることが好ましく、合成及び精製の観点から、ピリジン環が2〜4個であることが更に好ましい。本発明の電荷輸送材料において、分子内のピリジン環の数の上限は15個であることが好ましい。
[6]R
一般式(I)において、Rは置換基としてピリジン環を有する基を含まないフェニル基である。
これは、次の理由による。
即ち、分子内に存在するピリジン環が下記一般式(I−2)で表される化合物において、例えばR72がピリジン環を含む化合物である場合、下記一般式(X)で表される化合物がある。
Figure 0005167607
(R71〜R73は各々独立して、置換基を有していても良いフェニル基を示す。但し、R71とR72、R72とR73、R73とR71は、置換基が異なることにより或いは置換基の有無により、いずれも同一ではなく、また、R72が有する置換基がピリジン環を含む基であることはない。)
Figure 0005167607
(R51,R53,R61,R63は置換基を有していても良いフェニル基を表し、Qはフェニレン基、直接結合又は任意の連結基で連結された2つのフェニレン基のいずれかを表す。)
2,4,6−位にフェニル基が置換したピリジン環を有する化合物のLUMOは、該ピリジン環の4位のフェニル基(一般式(I−2)のR72)に広がる傾向がある。
そのため、例えば、上記一般式(X)のような化合物の場合、2つのピリジン環の4位にQが結合しており、QにLUMOが局在化するおそれがある。LUMOが局在化すると電荷(電子)輸送能が低下するため、電荷輸送材料には適さない。よってこれを避けるために、一般式(I−2)のR72(すなわち、一般式(I)のR)の置換基は、ピリジン環を含むものでないことが好ましい。
一般式(I)において、Rは、無置換又は1〜5の任意の置換基を有するフェニル基である。Rのフェニル基が2〜5個の置換基を有する場合、これらは各々異なる基であっても、同一の基であっても良い。ただし、上述した理由から、Rの置換基にはピリジン環は含まれない。
ピリジン環を含まないことを除いては、Rのフェニル基の置換基の具体例及び好ましい例は、R、Rのフェニル基の置換基として例示したものと同様である。
[7]特に好ましい部分構造
本発明の電荷輸送材料は、溶媒への溶解性を更に向上させる観点から、分子内に下記一般式(II)で表されるm−フェニレン基を含んでいることが特に好ましい。ただし、このm−フェニレン基の2個の結合手以外の炭素は置換基を有さない。なお、このm−フェニレン基はR〜Rのいずれかであってもよい。
Figure 0005167607
本発明の電荷輸送材料は、高い三重項励起準位を保ちつつ、耐熱性を向上させる観点から、分子内に下記一般式(III)で表されるN−カルバゾリル基(ただし、該N−カルバゾリル基は置換基を有していても良い。)を含んでいることが特に好ましい。
本発明の電荷輸送材料は、主として電子を輸送する材料であるが、このようにN−カルバゾリル基を含む場合、正孔輸送能を付与することができるため、有機電界発光素子のホスト材料として特に好ましい。この部分構造は、R〜Rのいずれかであっても良い。
Figure 0005167607
本発明の電荷輸送材料の特徴である、優れた電子輸送能をより効果的に発揮するためには、前記一般式(III)で表される部分構造はRに含まれていることが好ましく、溶解性をさらに向上させる観点から、本発明の電荷輸送材料は、下記一般式(IV)で表されることが特に好ましい。
Figure 0005167607
(一般式(IV)中、R及びRは各々独立して、前記一般式(I)におけると同義であり、Qは直接結合又は任意の連結基を表すが、Qは直接結合、フェニレン基、2以上連結されたフェニレン基が好ましく、直接結合、m−フェニレン基がより好ましい。)
一般式(IV)の部分構造である下記一般式(IV−1)は、後述の一般式(III−1)又は一般式(III−2)で表される部分構造であることが好ましい。
Figure 0005167607
なお、前記一般式(III)で表されるN−カルバゾリル基が置換基を有する場合、該置換基としては前述のR,Rのフェニル基が有していても良い任意の置換基として例示したものが挙げられる。
特に本発明の電荷輸送材料は、分子内に下記一般式(III−1)で表される部分構造を有することがさらに好ましい。この部分構造は、R〜Rのいずれかであっても良い。
Figure 0005167607
(Gは直接結合又は任意の連結基を表すが、Gは直接結合又はフェニレン基、又は2以上連結されたフェニレン基が好ましい。2以上連結されたフェニレン基である場合の具体例として、ビフェニレン基、ターフェニレン基などが挙げられる。Gは直接結合であることが最も好ましい。)
即ち、正孔輸送を主として担う部分(カルバゾリル基)と電子輸送を主として担う部分(2,4,6−位が置換されたピリジン環)がベンゼン環を介してメタ位で結合することにより、溶媒への溶解性が向上するとともに、ベンゼン環の有する優れた耐熱性、優れた電気化学的安定性、高い三重項励起準位によって、優れた電気化学的安定性、優れた耐熱性、高い三重項励起準位が損なわれることがないことから、分子内に上記一般式(III−1)で表される部分構造を有することが好ましい。
また、本発明の電荷輸送材料は、分子内に下記一般式(III−2)で表される部分構造を有することがさらに好ましい。この部分構造は、R〜Rのいずれかであっても良い。
Figure 0005167607
(Zは、異なるカルバゾリル基上の窒素原子同士を共役可能とする任意の連結基を表すが、Zは直接結合又はフェニレン基、又は2以上連結されたフェニレン基が好ましい。2以上連結されたフェニレン基である場合の具体例として、ビフェニレン基、ターフェニレン基などが挙げられる。)
即ち、同一の芳香族炭化水素基(注:複数の環が連結されたもの(例えば、ビフェニル基)を含む)上に2つのカルバゾリル基が連結されている場合、互いの窒素原子同士が共役可能であると、該芳香族炭化水素基及び2つのカルバゾリル基上に正電荷が比較的均等に分布し、正孔輸送能が向上し、一電子酸化されたときの耐久性に優れるため、分子内に上記一般式(III−2)で表される部分構造を有することが好ましい。
ここで、窒素原子同士が共役可能であるとは、窒素原子同士が、
Figure 0005167607
又は、これらを組み合わせてなる部分構造で連結されていることと同義である(G〜Gは各々独立に、水素原子又は任意の置換基を表すか、あるいは、芳香族炭化水素環や芳香族複素環の一部を構成する。)。
[8]例示
以下に、本発明の電荷輸送材料として好ましい具体的な例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0005167607
Figure 0005167607
Figure 0005167607
Figure 0005167607
Figure 0005167607
Figure 0005167607
Figure 0005167607
[9]合成法
本発明の電荷輸送材料は、目的とする化合物の構造に応じて原料を選択し、公知の手法を用いて合成することができる。
(1)ピリジン環の導入方法としては、次のA)ないしC)に記載の方法を採用することができる。
A)原料としてR−(CHO)を用いた場合(ここでRは、任意の置換基又は連結基を表す)、次の1)〜5)の方法などを採用することができる。
1)Angew.Chem.Int.Ed.Engl.(1962)1,626やSynthesis(1976),1-24やJ.Heterocyclic Chem.(1977)14,147やCollect.Czech.Chem.Commun.57(1992)2,385-392やCS−262585号公報などで開示されている、1当量のアルデヒドと0.5〜2当量のアセチリドとを、硫酸などの強酸存在下で、酢酸、アルコール、ニトロベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、シクロヘキサンなどの単独又は混合溶媒中、室温で1〜10時間撹拌して、或いは水酸化ナトリウムなどの強塩基存在下、アルコール及び/又は水溶媒中、加熱条件下で1〜10時間撹拌して、中間体(−CH=CH−CO−)を得、これを酢酸溶媒中、加熱条件下、酸素存在下、アシルピリジニウム塩と酢酸アンモニウムを作用させて合成する方法。
Figure 0005167607
2)Liebigs Ann.Chem.(1974),1415-1422やJ.Org.Chem.38,(2002)6,830-832や特開2000−186066号公報などで開示されている、ボロントリフルオリドや過塩素酸などの酸化剤存在下、加熱条件でトルエン溶媒中、アルデヒドとアセチリドとを反応させ、ピリリウム塩を生成させ、それを水やアルコール溶媒中でアンモニアと反応させる方法。
Figure 0005167607
3)J.Am.Chem.Soc.(1952)74,200などに開示されている、酢酸、アルコール、ニトロベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、シクロヘキサンなどの単独又は混合溶媒中、加熱条件下、酢酸アンモニウムとアルデヒドとアセチリドから一段階で合成する方法。
Figure 0005167607
4)Chem.Commun.(Cambridge)(2000)22,2199-2200などに開示されている、水酸化ナトリウムなどの強塩基存在下、無溶媒でアルデヒドと2当量のアセチリドを室温で、乳鉢を用いてすり混ぜて中間体(ジケトン)を生成させた後、酢酸、アルコール、ニトロベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、シクロヘキサンなどの単独又は混合溶媒中、加熱条件下で酢酸アンモニウムを作用させて合成する方法。
Figure 0005167607
B)2,4,6−位の少なくとも一カ所に塩素や臭素やヨウ素などのハロゲン原子が置換されたピリジン環を原料に用いる場合は、前記ハロゲン元素を任意の置換基に変換することが可能である。
この方法としては、例えば、Org.Lett.3(2001)26,4263-4265などに開示されている、パラジウム触媒の存在下、加熱条件でジンクブロマイドやボロン酸を作用させることによって合成する方法が挙げられる。
C)その他、各種置換基の導入において、必要に応じ、任意に公知の手法を適用することができる。例えば、下記1)〜3)などを採用することができる。
1)アルデヒドとしてパラホルムアルデヒド、アセチリドとして芳香族アシル化合物を用い、2,6−位に芳香環基を有するピリジンを合成し、これをN−ブロモスクシンイミドなどのハロゲン化剤を用いてピリジン環の4−位をハロゲン化してハロゲン体を得、そのハロゲン原子を−B(OH)基や−ZnCl基や−MgBr基に変換したものと、前記ハロゲン体とをカップリング反応させて合成する方法。
2)前記ハロゲン体を、n−ブチルリチウムなどでリチオ化後、N,N−ジメチルホルムアミドで処理することで、2,6−位に芳香環基を有し、4−位に−CHO基を有するピリジンを合成した後、アセチリドと反応させて第二のピリジン環を合成する方法。
3)前記B)の出発原料として挙げた2,6−ジクロロ−4−ヨードピリジンを塩基存在下、銅粉末などの銅触媒を用いて、150〜250℃で加熱撹拌することにより、2,6,2’,6’−テトラクロロ−[4,4’]ビピリジルを合成し、これを前記B)と同様に処理することで合成する方法。
なお、上記の各合成方法で用いられるアルデヒド(R−CHO)は、通常入手可能な試薬を適宜利用可能であるが、必要があれば、次の1)〜13)の方法等により、容易に合成することが可能である。
1) 例えばハロゲン化物(R−X)や活性水素原子を有する炭化水素化合物(R−H)をブチルリチウムなどのアルキルリチウム、水素化ナトリウム、トリエチルアミン、tert−ブトキシカリウム、水酸化ナトリウムなどの強塩基(好ましくはブチルリチウムなどのアルキルリチウム)を作用させた後、N,N−ジメチルホルムアミドで処理する方法(Organic&Biomolecular Chemistry(2003)1,7,1157-1170;Tetrahedron Lett.42(2001)37,6589-6592)。
2) −COR基(Rは水素原子、塩素原子、アルキル基、芳香環基、アミノ基)を、リチウムアルミニウムハイドライド、水素化硼素ナトリウム等で還元して、アルコール化後、ピリジニウムクロロクロメート、二酸化マンガン、アイオドキシベンゾイックアシッド、パーオキソジスルフェート、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン等で酸化して−CHO化する方法(J.Med.Chem.(1990)33,2408-2412;Angew.Chem.,Int.Ed.40(2001)23,4395-4397;J.Am.Chem.Soc.(2002)124,10,2245-58;J.Am.Chem.Soc.(1993)115,9,3752-3759;J.Chem.Res.,Synop.(2001)7,274-276;Synthesis(2001)15,2273-2276;Bull.Korean Chem.Soc.20(1999)11,1373-1374;Arzneim.-Forsch.47(1997)1,13-18;J.Org.Chem.63(1998)16,5658-5661;J.Chem.Soc.Sec.C;Organic(1968)6,630-632)。
3) −COR基(Rは水素原子、塩素原子、アルキル基、芳香環基、アミノ基)を、リチウムトリス(ジアルキルアミノ)アルミニウムハイドライド、ソディウムトリス(ジアルキルアミノ)アルミニウムハイドライドなどで還元し、一段階で−CHO化する方法(Bull.Korean.Chem.Soc.,13(1992)6,670-676;Bull.Korean Chem.Soc.,12(1991)1,7-8;Org.Prep.Proced.Int.24(1992)3,335-337)。
4) −COR基(Rは水素原子、塩素原子、アルキル基、芳香環基、アミノ基)を、水素とパラジウム触媒の存在下、一段階で−CHO化する方法(Chem.Ber.(1959)92,2532-2542;WO 00/12457;Bull.Chem.Soc.Jpn.(2001)74,1803-1815)。
5) −CN基を、リチウムトリス(ジアルキルアミノ)アルミニウムハイドライドなどで還元し、一段階で−CHO化する方法(Bull.Korean Chem.Soc.,13(1992)6,670-676)。
6) Ar−CH基(Arは芳香環基)にo-Iodylbenzoic acid,Dess-Martin period-inane,Acetoxyiodosylbenzoic acidなどを作用させて、直接、Ar−CHO化する方法(J.Am.Chem.Soc.(2002)124,10,2245-58)。
7) Ar−CH基(Arは芳香環基)をAr−CHBr、Ar−CHOCHCOOを経由してAr−CHOHに変換後、ピリジニウムクロロクロメート、二酸化マンガン、アイオドキシベンゾイックアシッド等で酸化して−CHO化する方法(J.Org.Chem.(1993)58,3582-3585)。
8) 1−エチル−1−アリールアリルアルコールにVilsmeier試薬を作用させて、アリールカルボキシアルデヒドを合成する方法(Indian Journal of Chemistry(1988)27B,213-216)。
9) 1,4−シクロヘキサジエン類にVilsmeier試薬を作用させて、アリールカルボキシアルデヒドを合成する方法(Synthesis(1987),197-199;Synthesis(1985),779-781)。
10) Ar−CH基(Arは芳香環基)を臭素、N−ブロモ琥珀酸イミドなどを用いて臭素化してAr−CHBrとした後、2-Nitropropane carboanion試薬、Hexamethylenetetramine等を作用させてAr−CHO化する方法(Collect.Czech.Chem.Commun.(1996)61,1464-1472;Chem.Eur.J.(1996)2,12,1585-1595;J.Chem.Research(S),(1999)210-211)。
11) ポリメチニウム塩(ヘプタメチニウム塩など)からアリールアルデヒド(1,3,5−トリホルミルベンゼンなど)を得る方法(Collect.Czech.Chem.Commun.(1965)30,53-60)。
12)トリホルミルメタンのself-condensationにより、1,3,5−トリホルミルベンゼンを得る方法(Collect.Czech.Chem.Commun.(1962)27,2464-2467)。
13)Ar−CHBr基(Arは芳香環基)をジアルキルアミンを用いてAr−CHO化する方法(Bulletin de La Societe Chmique De France(1966)9,2966-2971)。
また、上記合成方法で用いられるケトン(R−CO−CH−R)は、通常入手可能な試薬を適宜利用可能であるが、必要があれば、次の1),2)の方法等により、容易に合成することができる。
1) R−COR基(Rは水素原子、塩素原子、アルキル基、芳香環基、アミノ基)を各種アルキル化剤(アルキルリチウム、ジメチル硫酸、ジメチルスルホキシドなど)で処理することにより、R−CO−CH化する方法(J.Am.Chem.Soc.(1959),81,935-939;J.Am.Chem.Soc.(1961)83,4668-;Tetrahedron Lett.(1967)1073-;J.Chem.Soc.(1960)360-;J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1(1977)680;JP5-5062039)。
2) 塩化アルミニウムなどのルイス酸触媒存在下、酸クロライドなどのアシル化剤を作用させて合成する方法(極めて一般的な、フリーデルクラフツ反応)。
他の合成方法としては、「ヘテロ環の化学−医薬品の基礎」(2002年、國枝ら、化学同仁社)、「Heterocyclic Chemistry」(第4版、2000年、J.A.Joule and K.Mills、Blackwell Science社)、「新編ヘテロ環化合物 基礎編、応用編」(2004年、山中宏ほか、講談社)、「ボルハルト・ショアー現代有機化学 下」(2004年、K.P.C.Vollhardt、化学同人社)などに記載又は引用されている合成方法を利用することもできる。
[電荷輸送材料組成物]
本発明の電荷輸送材料組成物は、前述の本発明の電荷輸送材料を含むものであり、好ましくは、有機電界発光素子用に使用される。
[1]溶剤
本発明の電荷輸送材料組成物、特に有機電界発光素子用組成物として用いられる電荷輸送材料組成物は溶剤を含んでいることが好ましい。
本発明の電荷輸送材料組成物に含まれる溶剤としては、溶質である本発明の電荷輸送材料等が良好に溶解する溶剤であれば特に限定されない。
本発明の電荷輸送材料は溶解性が非常に高いため、種々の溶剤が適用化能である。例えば、トルエン、キシレン、メチシレン、シクロヘキシルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素;1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等の芳香族エーテル;酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステル;シクロヘキサノン、シクロオクタノン等の脂環を有するケトン;メチルエチルケトン、ジブチルケトン等の脂肪族ケトン;メチルエチルケトン、シクロヘキサノール、シクロオクタノール等の脂環を有するアルコール;ブタノール、ヘキサノール等の脂肪族アルコール;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート(PGMEA)等の脂肪族エーテル;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル等の脂肪族エステル等が利用できる。これらのうち、水の溶解度が低い点、容易には変質しない点で、トルエン、キシレン、メチシレン、シクロヘキシルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素が好ましい。
有機電界発光素子には、陰極等の水分により著しく劣化する材料が多く使用されているため、組成物中の水分の存在は、乾燥後の膜中に水分が残留し、素子の特性を低下させる可能性が考えられ好ましくない。
組成物中の水分量を低減する方法としては、例えば、窒素ガスシール、乾燥剤の使用、溶剤を予め脱水する、水の溶解度が低い溶剤を使用する等が挙げられる。なかでも、水の溶解度が低い溶剤を使用する場合は、湿式製膜工程中に、溶液膜が大気中の水分を吸収して白化する現象を防ぐことができるため好ましい。この様な観点からは、本実施の形態が適用される電荷輸送材料組成物は、例えば、25℃における水の溶解度が1重量%以下、好ましくは0.1重量%以下である溶剤を、組成物中10重量%以上含有することが好ましい。
また、湿式製膜時における組成物からの溶剤蒸発による、製膜安定性の低下を低減するためには、電荷輸送材料組成物の溶剤として、沸点が100℃以上、好ましくは沸点が150℃以上、より好ましくは沸点が200℃以上の溶剤を用いることが効果的である。また、より均一な膜を得るためには、製膜直後の液膜から溶剤が適当な速度で蒸発することが必要で、このためには通常沸点80℃以上、好ましくは沸点100℃以上、より好ましくは沸点120℃以上で、通常沸点270℃未満、好ましくは沸点250℃未満、より好ましくは沸点230℃未満の溶剤を用いることが効果的である。
上述の条件、即ち溶質の溶解性、蒸発速度、水の溶解度の条件を満足する溶剤を単独で用いてもよいが、すべての条件を満たす溶剤が選定できない場合は、2種類以上の溶剤を混合して用いることもできる。
[2]発光材料
本発明の電荷輸送材料組成物、特に有機電界発光素子用組成物として用いられる電荷輸送材料組成物は、発光材料を含有することが好ましい。
発光材料とは、本発明の電荷輸送材料組成物において、主として発光する成分を指し、有機電界発光デバイスにおけるドーパント成分に当たる。即ち、電荷輸送材料組成物から発せられる光量(単位:cd/m)の内、通常10〜100%、好ましくは20〜100%、より好ましくは50〜100%、最も好ましくは80〜100%が、ある成分材料からの発光と同定される場合、それを発光材料と定義する。
発光材料としては、任意の公知材料を適用可能であり、蛍光発光材料或いは燐光発光材料を単独若しくは複数を混合して使用できるが、内部量子効率の観点から、好ましくは、燐光発光材料である。
この発光材料の最大発光ピーク波長は390〜490nmの範囲にあることが好ましい。
なお、溶剤への溶解性を向上させる目的で、発光材料分子の対称性や剛性を低下させたり、或いはアルキル基などの親油性置換基を導入したりすることも、重要である。
青色発光を与える蛍光色素としては、ペリレン、ピレン、アントラセン、クマリン、p−ビス(2−フェニルエテニル)ベンゼン及びそれらの誘導体等が挙げられる。緑色蛍光色素としては、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体等が挙げられる。黄色蛍光色素としては、ルブレン、ペリミドン誘導体等が挙げられる。赤色蛍光色素としては、DCM系化合物、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、アザベンゾチオキサンテン等が挙げられる。
燐光発光材料としては、例えば周期表7ないし11族から選ばれる金属を含む有機金属錯体が挙げられる。
周期表7ないし11族から選ばれる金属を含む燐光性有機金属錯体における金属として好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金等が挙げられる。これらの有機金属錯体として、好ましくは下記一般式(V)又は式(VI)で表される化合物が挙げられる。
ML(q−j)L’ (V)
(一般式(V)中、Mは金属を表し、qは上記金属の価数を表す。また、L及びL’は二座配位子を表す。jは0、1又は2を表す。)
Figure 0005167607
(一般式(VI)中、Mは金属を表し、Tは炭素又は窒素を表す。R92〜R95は、それぞれ独立に置換基を表す。ただし、Tが窒素の場合は、R94及びR95は無い。)
以下、まず、一般式(V)で表される化合物について説明する。
一般式(V)中、Mは任意の金属を表し、好ましいものの具体例としては、周期表7ないし11族から選ばれる金属として前述した金属が挙げられる。
また、一般式(V)中の二座配位子L及びL’は、それぞれ、以下の部分構造を有する配位子を示す。
Figure 0005167607
Figure 0005167607
L’として、錯体の安定性の観点から、特に好ましくは、下記のものが挙げられる。
Figure 0005167607
上記L,L’の部分構造において、環A1は、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表し、これらは置換基を有していてもよい。また、環A2は、含窒素芳香族複素環基を表し、これらは置換基を有していてもよい。
環A1,A2が置換基を有する場合、好ましい置換基としては、フッ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等のアルキル基;ビニル基等のアルケニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基等のジアリールアミノ基;カルバゾリル基;アセチル基等のアシル基;トリフルオロメチル基等のハロアルキル基;シアノ基;フェニル基、ナフチル基、フェナンチル基等の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
一般式(V)で表される化合物として、さらに好ましくは、下記一般式(Va)、(Vb)、(Vc)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005167607
(一般式(Va)中、MはMと同様の金属を表し、wは上記金属の価数を表す。また、環A1は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表し、環A2は置換基を有していてもよい含窒素芳香族複素環基を表す。)
Figure 0005167607
(一般式(Vb)中、MはMと同様の金属を表し、wは上記金属の価数を表す。また、環A1は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、環A2は置換基を有していてもよい含窒素芳香族複素環基を表す。)
Figure 0005167607
(一般式(Vc)中、MはMと同様の金属を表し、wは上記金属の価数を表す。また、jは0、1又は2を表す。さらに、環A1及び環A1’は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。また、環A2及び環A2’は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい含窒素芳香族複素環基を表す。)
上記一般式(Va)、(Vb)、(Vc)において、環A1及び環A1’の基としては、好ましくは、例えばフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基、チエニル基、フリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフリル基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、カルバゾリル基等が挙げられる。
また、環A2、環A2’の基としては、好ましくは、例えばピリジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、ベンゾチアゾール基、ベンゾオキサゾール基、ベンゾイミダゾール基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリル基、フェナントリジル基等が挙げられる。
更に、一般式(Va)、(Vb)、(Vc)で表される化合物が有していてもよい置換基としては、フッ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等のアルキル基;ビニル基等のアルケニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基等のジアリールアミノ基;カルバゾリル基;アセチル基等のアシル基;トリフルオロメチル基等のハロアルキル基;シアノ基等が挙げられる。
上記置換基がアルキル基である場合は、その炭素数は通常1以上6以下である。さらに、置換基がアルケニル基である場合は、その炭素数は通常2以上6以下である。また、置換基がアルコキシカルボニル基である場合は、その炭素数は通常2以上6以下である。さらに、置換基がアルコキシ基である場合は、その炭素数は通常1以上6以下である。また、置換基がアリールオキシ基である場合は、その炭素数は通常6以上14以下である。さらに、置換基がジアルキルアミノ基である場合は、その炭素数は通常2以上24以下である。また、置換基がジアリールアミノ基である場合は、その炭素数は通常12以上28以下である。さらに、置換基がアシル基である場合は、その炭素数は通常1以上14以下である。また、置換基がハロアルキル基である場合は、その炭素数は通常1以上12以下である。
なお、これら置換基は互いに連結して環を形成してもよい。具体例としては、環A1が有する置換基と環A2が有する置換基とが結合するか、又は、環A1’が有する置換基と環A2’が有する置換基とが結合するかして、一つの縮合環を形成してもよい。このような縮合環基としては、7,8−ベンゾキノリン基等が挙げられる。
中でも、環A1、環A1’、環A2及び環A2’の置換基として、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基、シアノ基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、ジアリールアミノ基、カルバゾリル基が挙げられる。
また、一般式(Va)、(Vb)、(Vc)におけるM,M,Mとして好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金又は金が挙げられる。
上記一般式(V)、(Va)、(Vb)又は(Vc)で示される有機金属錯体の具体例を以下に示すが、下記の化合物に限定されるものではない(以下において、Phはフェニル基を表す。)。
Figure 0005167607
Figure 0005167607
上記一般式(V)、(Va)、(Vb)、(Vc)で表される有機金属錯体の中でも、特に、配位子L及び/又はL’として2−アリールピリジン系配位子、即ち、2−アリールピリジン、これに任意の置換基が結合したもの、及び、これに任意の基が縮合してなるものを有する化合物が好ましい。
また、WO2005/019373号公報に記載の化合物も使用することができる。
次に、前記一般式(VI)で表される化合物について説明する。
一般式(VI)中、Mは金属を表し、具体例としては、周期表7ないし11族から選ばれる金属として前述した金属が挙げられる。中でも好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金又は金が挙げられ、特に好ましくは、白金、パラジウム等の2価の金属が挙げられる。
また、一般式(VI)において、R92及びR93は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シアノ基、アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、アラルキルアミノ基、ハロアルキル基、水酸基、アリールオキシ基、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表す。
さらに、Tが炭素の場合、R94及びR95は、それぞれ独立に、R92及びR93と同様の例示物で表される置換基を表す。また、前述の如く、Tが窒素の場合はR94及びR95は無い。
また、R92〜R95はさらに置換基を有していてもよい。この場合のさらに有していてもよい置換基には特に制限はなく、任意の基を置換基とすることができる。
さらに、R92〜R95は互いに連結して環を形成してもよく、この環が更に任意の置換基を有していてもよい。
一般式(VI)で表される有機金属錯体の具体例(T−1,T−10〜T−15)を以下に示すが、下記の例示化合物に限定されるものではない。なお、以下において、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表す。
Figure 0005167607
[3]その他の成分
本発明の電荷輸送材料組成物、特に有機電界発光素子用組成物として用いられる電荷輸送材料組成物中には、前述した溶剤及び発光材料以外にも、必要に応じて、各種の他の溶剤を含んでいてもよい。このような他の溶剤としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
また、レベリング剤や消泡剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
また、2層以上の層を湿式製膜法により積層する際に、これらの層が相溶することを防ぐため、製膜後に硬化させて不溶化させる目的で光硬化性樹脂や、熱硬化性樹脂を含有させておくこともできる。
[4]電荷輸送材料組成物中の材料濃度と配合比
電荷輸送材料組成物、特に有機電界発光素子用組成物中の電荷輸送材料、発光材料及び必要に応じて添加可能な成分(レベリング剤など)などの固形分濃度は、通常0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、さらに好ましくは0.5重量%以上、最も好ましくは1重量%以上であり、通常80重量%以下、好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは30重量%以下、最も好ましくは20重量%以下である。この濃度が下限を下回ると、薄膜を形成する場合、厚膜を形成するのが困難となり、上限を超えると、薄膜を形成するのが困難となる。
また、本発明の電荷輸送材料組成物、特に有機電界発光素子用組成物において、発光材料/電荷輸送材料の重量混合比は、通常、0.1/99.9以上であり、より好ましくは0.5/99.5以上であり、更に好ましくは1/99以上であり、最も好ましくは2/98以上で、通常、50/50以下であり、より好ましくは40/60以下であり、更に好ましくは30/70以下であり、最も好ましくは20/80以下である。この比が下限を下回ったり、上限を超えたりすると、著しく発光効率が低下するおそれがある。
[5]電荷輸送材料組成物の調製方法
本発明の電荷輸送材料組成物、特に有機電界発光素子用組成物は、電荷輸送材料、発光材料、及び必要に応じて添加可能なレベリング剤や消泡剤等の各種添加剤よりなる溶質を、適当な溶剤に溶解させることにより調製される。溶解工程に要する時間を短縮するため、及び組成物中の溶質濃度を均一に保つため、通常、液を撹拌しながら溶質を溶解させる。溶解工程は常温で行ってもよいが、溶解速度が遅い場合は加熱して溶解させることもできる。溶解工程終了後、必要に応じて、フィルタリング等の濾過工程を経由してもよい。
[6]電荷輸送材料組成物の性状、物性等
(水分濃度)
有機電界発光素子を、本発明の電荷輸送材料組成物(有機電界発光素子用組成物)を用いた湿式製膜法により層形成して製造する場合、用いる有機電界発光素子用組成物に水分が存在すると、形成された膜に水分が混入して膜の均一性が損なわれるため、本発明の電荷輸送材料組成物、特に有機電界発光素子用組成物中の水分含有量はできるだけ少ない方が好ましい。また一般に、有機電界発光素子は、陰極等の水分により著しく劣化する材料が多く使用されているため、電荷輸送材料組成物中に水分が存在した場合、乾燥後の膜中に水分が残留し、素子の特性を低下させる可能性が考えられ好ましくない。
具体的には、本発明の電荷輸送材料組成物、特に有機電界発光素子用組成物中に含まれる水分量は、通常1重量%以下、好ましくは0.1重量%以下、より好ましくは0.01重量%以下である。
電荷輸送材料組成物中の水分濃度の測定方法としては、日本工業規格「化学製品の水分測定法」(JIS K0068:2001)に記載の方法が好ましく、例えば、カールフィッシャー試薬法(JIS K0211−1348)等により分析することができる。
(均一性)
本発明の電荷輸送材料組成物、特に有機電界発光素子用組成物は、湿式製膜プロセスでの安定性、例えば、インクジェット製膜法におけるノズルからの吐出安定性を高めるためには、常温で均一な液状であることが好ましい。常温で均一な液状とは、組成物が均一相からなる液体であり、かつ組成物中に粒径0.1μm以上の粒子成分を含有しないことをいう。
(物性)
本発明の電荷輸送材料組成物、特に有機電界発光素子用組成物の粘度については、極端に低粘度の場合は、例えば製膜工程における過度の液膜流動による塗面不均一、インクジェット製膜におけるノズル吐出不良等が起こりやすくなり、極端に高粘度の場合は、インクジェット製膜におけるノズル目詰まり等が起こりやすくなる。このため、本発明の組成物の25℃における粘度は、通常2mPa・s以上、好ましくは3mPa・s以上、より好ましくは5mPa・s以上であり、通常1000mPa・s以下、好ましくは100mPa・s以下、より好ましくは50mPa・s以下である。
また、本発明の電荷輸送材料組成物、特に有機電界発光素子用組成物の表面張力が高い場合は、基板に対する製膜用液の濡れ性が低下する、液膜のレベリング性が悪く、乾燥時の製膜面乱れが起こりやすくなる等の問題が発生するため、本発明の組成物の20℃における表面張力は、通常50mN/m未満、好ましくは40mN/m未満である。
更に、本発明の電荷輸送材料組成物、特に有機電界発光素子用組成物の蒸気圧が高い場合は、溶剤の蒸発による溶質濃度の変化等の問題が起こりやすくなる。このため、本発明の組成物の25℃における蒸気圧は、通常50mmHg以下、好ましくは10mmHg以下、より好ましくは1mmHg以下である。
[7]電荷輸送材料組成物の保存方法
本発明の電荷輸送材料組成物は、紫外線の透過を防ぐことのできる容器、例えば、褐色ガラス瓶等に充填し、密栓して保管することが好ましい。保管温度は、通常−30℃以上、好ましくは0℃以上で、通常35℃以下、好ましくは25℃以下である。
[有機電界発光素子]
本発明の有機電界発光素子は、基板上に少なくとも陽極、陰極及び発光層を有するものであって、本発明の電荷輸送材料を含有する層を有することを特徴とする。該電荷輸送材料を含有する層は、該発光層であることが好ましい。また、該電荷輸送材料を含有する層に、有機金属錯体がドープされていることが好ましい。有機金属錯体としては、前記発光材料として例示したものを使用できる。
図1〜6は本発明の有機電界発光素子に好適な構造例を示す断面の模式図であり、図1において、1は基板、2は陽極、3は正孔注入層、4は発光層、5は電子注入層、6は陰極を各々表す。
[1]基板
基板1は有機電界発光素子の支持体となるものであり、石英やガラスの板、金属板や金属箔、プラスチックフィルムやシートなどが用いられる。特にガラス板や、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホンなどの透明な合成樹脂の板が好ましい。合成樹脂基板を使用する場合にはガスバリア性に留意する必要がある。基板のガスバリア性が小さすぎると、基板を通過した外気により有機電界発光素子が劣化することがあるので好ましくない。このため、合成樹脂基板の少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜等を設けてガスバリア性を確保する方法も好ましい方法の一つである。
[2]陽極
基板1上には陽極2が設けられる。陽極2は発光層側の層(正孔注入層3又は発光層4など)への正孔注入の役割を果たすものである。
この陽極2は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属、インジウム及び/又はスズの酸化物などの金属酸化物、ヨウ化銅などのハロゲン化金属、カーボンブラック、或いは、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子などにより構成される。
陽極2の形成は通常、スパッタリング法、真空蒸着法などにより行われることが多い。また、銀などの金属微粒子、ヨウ化銅などの微粒子、カーボンブラック、導電性の金属酸化物微粒子、導電性高分子微粉末などを用いて陽極を形成する場合には、適当なバインダー樹脂溶液に分散させて、基板1上に塗布することにより陽極2を形成することもできる。さらに、導電性高分子の場合は、電解重合により直接基板1上に薄膜を形成したり、基板1上に導電性高分子を塗布して陽極2を形成することもできる(Appl.Phys.Lett.,60巻,2711頁,1992年)。
陽極2は通常は単層構造であるが、所望により複数の材料からなる積層構造とすること
も可能である。
陽極2の厚みは、必要とする透明性により異なる。透明性が必要とされる場合は、可視光の透過率を、通常60%以上、好ましくは80%以上とすることが望ましい。この場合、陽極の厚みは通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また通常1000nm以下、好ましくは500nm以下程度である。不透明でよい場合は陽極2の厚みは任意であり、陽極2は基板1と同一でもよい。また、さらには上記の陽極2の上に異なる導電材料を積層することも可能である。
陽極に付着した不純物を除去し、イオン化ポテンシャルを調整して正孔注入性を向上させることを目的に、陽極表面を紫外線(UV)/オゾン処理したり、酸素プラズマ、アルゴンプラズマ処理したりすることは好ましい。
[3]正孔注入層
正孔注入層3は陽極2から発光層4へ正孔を輸送する層であるため、正孔注入層3には正孔輸送性化合物を含むことが好ましい。
正孔注入層3では、電気的に中性の化合物から電子が一つ除かれたカチオンラジカルが、近傍の電気的に中性な化合物から一電子を受容することによって、正孔が移動する。素子非通電時の正孔注入層3にカチオンラジカル化合物が含まれない場合は、通電時に、正孔輸送性化合物が陽極2に電子を与えることにより正孔輸送性化合物のカチオンラジカルが生成し、このカチオンラジカルと電気的に中性な正孔輸送性化合物との間で電子の授受が行われることにより正孔を輸送する。
正孔注入層3にカチオンラジカル化合物が含まれると、陽極2による酸化によって生成する以上の濃度で正孔輸送に必要なカチオンラジカルが存在することになり、正孔輸送性能が向上するため、正孔注入層3にカチオンラジカル化合物を含むことが好ましい。カチオンラジカル化合物の近傍に電気的に中性な正孔輸送性化合物が存在すると、電子の受け渡しがスムーズに行われるため、正孔注入層3にカチオンラジカル化合物と正孔輸送性化合物とを含むことがさらに好ましい。
ここで、カチオンラジカル化合物とは、正孔輸送性化合物から一電子取り除いた化学種であるカチオンラジカルと、対アニオンからなるイオン化合物であり、移動しやすい正孔(フリーキャリア)を既に有している。
また、正孔輸送性化合物に電子受容性化合物を混合することによって、正孔輸送性化合物から電子受容性化合物への一電子移動が起こり、上述のカチオンラジカル化合物が生成する。このため、正孔注入層3に正孔輸送性化合物と電子受容性化合物とを含むことが好ましい。
以上の好ましい材料についてまとめると、正孔注入層3に正孔輸送性化合物を含むことが好ましく、正孔輸送性化合物と電子受容性化合物とを含むことがさらに好ましい。また、正孔注入層3にカチオンラジカル化合物を含むことが好ましく、カチオンラジカル化合物と正孔輸送性化合物とを含むことがさらに好ましい。
さらに、必要に応じて、正孔注入層3には電荷のトラップになりにくいバインダー樹脂や、塗布性改良剤を含んでいてもよい。
但し、正孔注入層3として、電子受容性化合物のみを湿式製膜法によって陽極2上に製膜し、その上から直接、本発明の電荷輸送材料組成物を塗布、積層することも可能である。この場合、本発明の電荷輸送材料組成物の一部が電子受容性化合物と相互作用することによって、正孔注入性に優れた層が形成される。
(正孔輸送性化合物)
正孔輸送性化合物としては、4.5eV〜6.0eVのイオン化ポテンシャルを有する化合物が好ましい。
正孔輸送性化合物の例としては、本発明の電荷輸送材料の他、芳香族アミン化合物、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、ポリチオフェン誘導体等が挙げられる。中でも非晶質性、可視光の透過率の点から、芳香族アミン化合物が好ましい。
芳香族アミン化合物の中でも、特に、本発明の電荷輸送材料などの芳香族三級アミン化合物が好ましい。ここで、芳香族三級アミン化合物とは、芳香族三級アミン構造を有する化合物であって、芳香族三級アミン由来の基を有する化合物も含む。
芳香族三級アミン化合物の種類は特に制限されないが、表面平滑化効果の点から、重量平均分子量が1000以上、1000000以下の高分子化合物(繰り返し単位が連なる重合型有機化合物)が更に好ましい。
芳香族三級アミン高分子化合物の好ましい例として、下記一般式(VII)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物が挙げられる。
Figure 0005167607
(一般式(VII)中、Ar21,Ar22は各々独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。Ar23〜Ar25は、各々独立して、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環基を表す。Yは、下記の連結基群の中から選ばれる連結基を表す。また、Ar21〜Ar25のうち、同一のN原子に結合する二つの基は互いに結合して環を形成してもよい。)
Figure 0005167607
(上記各式中、Ar31〜Ar41は、各々独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、又は置換基を有していてもよい芳香族複素環由来の1価又は2価の基を表す。R101及びR102は、各々独立して、水素原子又は任意の置換基を表す。))
Ar21〜Ar25及びAr31〜Ar41としては、任意の芳香族炭化水素環又は芳香族複素環由来の、1価又は2価の基が適用可能である。これらは各々同一であっても、互いに異なっていてもよい。また、任意の置換基を有していてもよい。
その芳香族炭化水素環としては、5又は6員環の単環又は2〜5縮合環が挙げられる。具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などが挙げられる。
また、その芳香族複素環としては、5又は6員環の単環又は2〜4縮合環が挙げられる。具体例としては、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などが挙げられる。
また、Ar23〜Ar25、Ar31〜Ar35、Ar37〜Ar40としては、上に例示した1種類又は2種類以上の芳香族炭化水素環及び/又は芳香族複素環由来の2価の基を2つ以上連結して用いることもできる。
Ar21〜Ar41の芳香族炭化水素環及び/又は芳香族複素環由来の基は、更に置換基を有していてもよい。置換基の分子量としては、通常400以下、中でも250以下程度が好ましい。置換基の種類は特に制限されないが、例としては、次の置換基群Dから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
[置換基群D]
メチル基、エチル基等の、炭素数が通常1以上、通常10以下、好ましくは8以下のアルキル基;ビニル基等の、炭素数が通常2以上、通常11以下、好ましくは5以下のアルケニル基;エチニル基等の、炭素数が通常2以上、通常11以下、好ましくは5以下のアルキニル基;メトキシ基、エトキシ基等の、炭素数が通常1以上、通常10以下、好ましくは6以下のアルコキシ基;フェノキシ基、ナフトキシ基、ピリジルオキシ基等の、炭素数が通常4以上、好ましくは5以上、通常25以下、好ましくは14以下のアリールオキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の、炭素数が通常2以上、通常11以下、好ましくは7以下のアルコキシカルボニル基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の、炭素数が通常2以上、通常20以下、好ましくは12以下のジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、N−カルバゾリル基等の、炭素数が通常10以上、好ましくは12以上、通常30以下、好ましくは22以下のジアリールアミノ基;フェニルメチルアミノ基等の、炭素数が通常6以上、好ましくは7以上、通常25以下、好ましくは17以下のアリールアルキルアミノ基;アセチル基、ベンゾイル基等の、炭素数が通常2以上、通常10以下、好ましくは7以下のアシル基;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;トリフルオロメチル基等の、炭素数が通常1以上、通常8以下、好ましくは4以下のハロアルキル基;メチルチオ基、エチルチオ基等の、炭素数が通常1以上、通常10以下、好ましくは6以下のアルキルチオ基;フェニルチオ基、ナフチルチオ基、ピリジルチオ基等の、炭素数が通常4以上、好ましくは5以上、通常25以下、好ましくは14以下のアリールチオ基;トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基等の、炭素数が通常2以上、好ましくは3以上、通常33以下、好ましくは26以下のシリル基;トリメチルシロキシ基、トリフェニルシロキシ基等の、炭素数が通常2以上、好ましくは3以上、通常33以下、好ましくは26以下のシロキシ基;シアノ基;フェニル基、ナフチル基等の、炭素数が通常6以上、通常30以下、好ましくは18以下の芳香族炭化水素環基;チエニル基、ピリジル基等の、炭素数が通常3以上、好ましくは4以上、通常28以下、好ましくは17以下の芳香族複素環基。
Ar21、Ar22としては、高分子化合物の溶解性、耐熱性、正孔注入・輸送性の点から、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、チオフェン環、ピリジン環由来の1価の基が好ましく、フェニル基、ナフチル基が更に好ましい。
また、Ar23〜Ar25としては、耐熱性、酸化還元電位を含めた正孔注入・輸送性の点から、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環由来の2価の基が好ましく、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基が更に好ましい。
101、R102としては、水素原子又は任意の置換基が適用可能である。これらは互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。置換基の種類は、特に制限されないが、適用可能な置換基を例示するならば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、シリル基、シロキシ基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、ハロゲン原子が挙げられる。これらの具体例としては、前記の置換基群Dにおいて例示した各基が挙げられる。
一般式(VII)で表される繰り返し単位を有する芳香族三級アミン高分子化合物の具体例としては、WO2005/089024号公報に記載のものが挙げられ、その好適例も同様であり、例えば下記構造式で表される化合物が挙げられるが、何らそれらに限定されるものではない。
Figure 0005167607
他の芳香族三級アミン高分子化合物の好ましい例として、下記一般式(VIII)及び/又は一般式(IX)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物が挙げられる。
Figure 0005167607
(一般式(VIII)、(IX)中、Ar45,Ar47及びAr48は各々独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。Ar44及びAr46は各々独立して、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環基を表す。また、Ar45〜Ar48のうち、同一のN原子に結合する2つの基は互いに結合して環を形成してもよい。R111〜R113は各々独立して、水素原子又は任意の置換基を表す。)
Ar45,Ar47,Ar48及びAr44、Ar46の具体例、好ましい例、有していてもよい置換基の例及び好ましい置換基の例は、それぞれ、Ar21,Ar22及びAr23〜Ar25と同様である。R111〜R113はとして好ましくは水素原子又は[置換基群D]に記載されている置換基であり、更に好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基である。
一般式(VIII)及び/又は(IX)で表される繰り返し単位を含む芳香族三級アミン高分子化合物の具体例としては、WO2005/089024号公報に記載のものが挙げられ、その好適例も同様であるが、何らそれらに限定されるものではない。
また、他の高分子化合物の好ましい例として以下の繰り返し単位を含む高分子化合物が挙げられる。
Figure 0005167607
また、湿式製膜法により正孔注入層を形成する場合には、種々の溶剤に溶解し易い正孔輸送性化合物が好ましい。芳香族三級アミン化合物としては、例えば、ビナフチル系化合物(特開2004−014187)及び非対称1,4−フェニレンジアミン化合物(特開2004−026732)が好ましい。
また、従来、有機電界発光素子における正孔注入・輸送性の薄膜精製材料として利用されてきた芳香族アミン化合物の中から、種々の溶剤に溶解し易い化合物を適宜選択してもよい。正孔注入層の正孔輸送性化合物に適用可能な芳香族アミン化合物としては、例えば、有機電界発光素子における正孔注入・輸送性の層形成材料として利用されてきた、従来公知の化合物が挙げられる。例えば、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン等の3級芳香族アミンユニットを連結した芳香族ジアミン化合物(特開昭59−194393号公報);4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルで代表される2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族アミン化合物(特開平5−234681号公報);トリフェニルベンゼンの誘導体でスターバースト構造を有する芳香族トリアミン化合物(米国特許第4,923,774号);N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)ビフェニル−4,4’−ジアミン等の芳香族ジアミン化合物(米国特許第4,764,625号);α,α,α’,α’−テトラメチル−α,α’−ビス(4−ジ(p−トリル)アミノフェニル)−p−キシレン(特開平3−269084号公報);分子全体として立体的に非対称なトリフェニルアミン誘導体(特開平4−129271号公報);ピレニル基に芳香族ジアミノ基が複数個置換した化合物(特開平4−175395号公報);エチレン基で3級芳香族アミンユニットを連結した芳香族ジアミン化合物(特開平4−264189号公報);スチリル構造を有する芳香族ジアミン(特開平4−290851号公報);チオフェン基で芳香族3級アミンユニットを連結した化合物(特開平4−304466号公報);スターバースト型芳香族トリアミン化合物(特開平4−308688号公報);ベンジルフェニル化合物(特開平4−364153号公報);フルオレン基で3級アミンを連結した化合物(特開平5−25473号公報);トリアミン化合物(特開平5−239455号公報);ビスジピリジルアミノビフェニル(特開平5−320634号公報);N,N,N−トリフェニルアミン誘導体(特開平6−1972号公報);フェノキサジン構造を有する芳香族ジアミン(特開平7−138562号公報);ジアミノフェニルフェナントリジン誘導体(特開平7−252474号公報);ヒドラゾン化合物(特開平2−311591号公報);シラザン化合物(米国特許第4,950,950号公報);シラナミン誘導体(特開平6−49079号公報);ホスファミン誘導体(特開平6−25659号公報);キナクリドン化合物等が挙げられる。これらの芳香族アミン化合物は、必要に応じて2種以上を混合して用いてもよい。
また、正孔注入層の正孔輸送性化合物に適用可能なフタロシアニン誘導体又はポルフィリン誘導体の好ましい具体例としては、ポルフィリン、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィリン、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィリンコバルト(II)、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィリン銅(II)、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィリン亜鉛(II)、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィリンバナジウム(IV)オキシド、5,10,15,20−テトラ(4−ピリジル)−21H,23H−ポルフィリン、29H,31H−フタロシアニン銅(II)、フタロシアニン亜鉛(II)、フタロシアニンチタン、フタロシアニンオキシドマグネシウム、フタロシアニン鉛、フタロシアニン銅(II)、4,4’,4”,4'''−テトラアザ−29H,31H−フタロシアニン等が挙げられる。
また、正孔注入層の正孔輸送性化合物として適用可能なオリゴチオフェン誘導体の好ましい具体例としては、α−ターチオフェンとその誘導体、α−セキシチオフェンとその誘導体、ナフタレン環を含有するオリゴチオフェン誘導体(特開6−256341)等が挙げられる。
また、本発明における正孔輸送性化合物として適用可能なポリチオフェン誘導体の好ましい具体例としては、ポリ(3,4−エチテンジオキシチオフェン)(PEDOT)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)等が挙げられる。
なお、これらの正孔輸送性化合物の分子量は、高分子化合物(繰り返し単位が連なる重合性化合物)の場合を除いて、通常9000以下、好ましくは5000以下、また、通常200以上、好ましくは400以上の範囲である。正孔輸送性化合物の分子量が高過ぎると合成及び精製が困難であり好ましくない一方で、分子量が低過ぎると耐熱性が低くなるおそれがありやはり好ましくない。
正孔注入層の材料として用いられる正孔輸送性化合物は、このような化合物のうち何れか1種を単独で含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。2種以上の正孔輸送性化合物を含有する場合、その組み合わせは任意であるが、芳香族三級アミン高分子化合物1種又は2種以上と、その他の正孔輸送性化合物1種又は2種以上とを併用するのが好ましい。
(電子受容性化合物)
電子受容性化合物とは、酸化力を有し、上述の正孔輸送性化合物から一電子受容する能力を有する化合物が好ましく、具体的には、電子親和力が4eV以上である化合物が好ましく、5eV以上の化合物である化合物がさらに好ましい。
例としては、4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート等の有機基の置換したオニウム塩、塩化鉄(III)(特開平11−251067)、ペルオキソ二硫酸アンモニウム等の高原子価の無機化合物、テトラシアノエチレン等のシアノ化合物、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(特開2003−31365)等の芳香族ホウ素化合物、フラーレン誘導体、ヨウ素等が挙げられる。
上記の化合物のうち、強い酸化力を有する点で有機基の置換したオニウム塩、高原子価の無機化合物が好ましく、種々の溶剤に可溶で湿式製膜に適用可能である点で有機基の置換したオニウム塩、シアノ化合物、芳香族ホウ素化合物が好ましい。
電子受容性化合物として好適な有機基の置換したオニウム塩、シアノ化合物、芳香族ホウ素化合物の具体例としては、WO2005/089024号公報に記載のものが挙げられ、その好適例も同様であり、例えば下記構造式で表される化合物(A−2)が挙げられるが、何らそれらに限定されるものではない。
Figure 0005167607
(カチオンラジカル化合物)
カチオンラジカル化合物とは、正孔輸送性化合物から一電子取り除いた化学種であるカチオンラジカルと、対アニオンからなるイオン化合物である。但し、カチオンラジカルが正孔輸送性の高分子化合物由来である場合、カチオンラジカルは高分子化合物の繰り返し単位から一電子取り除いた構造となる。
カチオンラジカルは、正孔輸送性化合物に前述した化合物から一電子取り除いた化学種であることが好ましく、正孔輸送性化合物としてさらに好ましい化合物から一電子取り除いた化学種であることが非晶質性、可視光の透過率、耐熱性、溶解性などの点からさらに好ましい。
カチオンラジカル化合物は、前述の正孔輸送性化合物と電子受容性化合物を混合することにより生成させることができる。即ち、前述の正孔輸送性化合物と電子受容性化合物を混合することにより、正孔輸送性化合物から電子受容性化合物へと電子移動が起こり、正孔輸送性化合物のカチオンラジカルと対アニオンからなるカチオンイオン化合物が生成する。
PEDOT/PSS(Adv.Mater.,2000年,12巻,481頁)やエメラルジン塩酸塩(J.Phys.Chem.,1990年,94巻,7716頁)等の高分子化合物由来のカチオンラジカル化合物は、酸化重合(脱水素重合)、即ち、モノマーを酸性溶液中で、ペルオキソ二硫酸塩等を用いて化学的に、又は、電気化学的に酸化することによっても生成する。この酸化重合(脱水素重合)の場合、モノマーが酸化されることにより、高分子化されるとともに、酸性溶液由来のアニオンを対アニオンとする、高分子の繰り返し単位から一電子取り除かれたカチオンラジカルが生成する。
正孔注入層3は、湿式製膜法又は真空蒸着法により陽極2上に形成される。
陽極2として一般的に用いられるITO(インジウム・スズ酸化物)は、その表面粗さが10nm程度の粗さ(Ra)を有するのに加えて、局所的に突起を有することが多く、短絡欠陥を生じ易いという問題があった。陽極2の上に形成される正孔注入層3は湿式製膜法により形成することは、真空蒸着法より形成する場合と比較して、これら陽極表面の凹凸に起因する、素子の欠陥の発生を低減する利点を有する。
湿式製膜法による層形成の場合は、前述した各材料(正孔輸送性化合物、電子受容性化合物、カチオンラジカル化合物)の1種又は2種以上の所定量を、必要により電荷のトラップにならないバインダー樹脂や塗布性改良剤を添加して、溶剤に溶解させて、塗布溶液を調製し、スピンコート、スプレーコート、ディップコート、ダイコート、フレキソ印刷、スクリーン印刷、インクジェット法等の湿式製膜法により陽極上に塗布し、乾燥して、正孔注入層3を形成させる。
湿式製膜法による層形成のために用いられる溶剤としては、前述の各材料(正孔輸送性化合物、電子受容性化合物、カチオンラジカル化合物)を溶解することが可能な溶剤であれば、その種類は特に限定されないが、正孔注入層に用いられる各材料(正孔輸送性化合物、電子受容性化合物、カチオンラジカル化合物)を失活させる恐れのある、失活物質又は失活物質を発生させるものを含まないものが好ましい。
これらの条件を満たす好ましい溶剤としては、例えば、エーテル系溶剤及びエステル系溶剤が挙げられる。具体的には、エーテル系溶剤としては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート(PGMEA)等の脂肪族エーテル;1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等の芳香族エーテル等が挙げられる。エステル系溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル等の脂肪族エステル;酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステル等が挙げられる。これらは何れか1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよい。
上述のエーテル系溶剤及びエステル系溶剤以外に使用可能な溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらは何れか1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよい。また、これらの溶剤のうち1種又は2種以上を、上述のエーテル系溶剤及びエステル系溶剤のうち1種又は2種以上と組み合わせて用いてもよい。特に、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤は、電子受容性化合物及びカチオンラジカル化合物を溶解する能力が低いため、エーテル系溶剤及びエステル系溶剤と混合して用いることが好ましい。
塗布溶液中における溶剤の濃度は、通常10重量%以上、好ましくは30重量%以上、より好ましくは50%重量以上、また、通常99.999重量%以下、好ましくは99.99重量%以下、更に好ましくは99.9重量%以下の範囲である。なお、2種以上の溶剤を混合して用いる場合には、これらの溶剤の合計がこの範囲を満たすようにする。
真空蒸着法による層形成の場合には、前述した各材料(正孔輸送性化合物、電子受容性化合物、カチオンラジカル化合物)の1種又は2種以上を真空容器内に設置されたるつぼに入れ(2種以上材料を用いる場合は各々のるつぼに入れ)、真空容器内を適当な真空ポンプで10−4Pa程度まで排気した後、るつぼを加熱して(2種以上材料を用いる場合は各々のるつぼを加熱して)、蒸発量を制御して蒸発させ(2種以上材料を用いる場合はそれぞれ独立に蒸発量を制御して蒸発させ)、るつぼと向き合って置かれた基板の陽極上に正孔注入層を形成させる。なお、2種以上の材料を用いる場合は、それらの混合物をるつぼに入れ、加熱し蒸発させて正孔注入層形成に用いることもできる。
このようにして形成されるよい正孔注入層3の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下の範囲である。
なお、正孔注入層3は、図6に示す如く、これを省略しても良い。
[4]発光層
正孔注入層3の上には通常発光層4が設けられる。発光層4は例えば前述の発光材料を含む層であり、電界を与えられた電極間において、陽極2から正孔注入層3を通じて注入された正孔と、陰極6から電子輸送層5を通じて注入された電子との再結合により励起されて、主たる発光源となる層である。発光層4は発光材料(ドーパント)と1種又は2種以上のホスト材料を含むことが好ましく、発光層4は本発明の電荷輸送材料をホスト材料として含むことが更に好ましく、真空蒸着法で形成しても良いが、本発明の電荷輸送材料組成物を用い、湿式製膜法によって作製された層であることが特に好ましい。
ここで、湿式製膜法とは、上記溶剤を含む本発明の電荷輸送材料組成物を、スピンコート、スプレーコート、ディップコート、ダイコート、フレキソ印刷、スクリーン印刷、インクジェット法により塗布して成膜するものである。
なお、発光層4は、本発明の性能を損なわない範囲で、他の材料、成分を含んでいてもよい。
一般に有機電界発光素子において、同じ材料を用いた場合、電極間の膜厚が薄い方が、実効電界が大きくなる為、注入される電流が多くなるので、駆動電圧は低下する。その為、電極間の総膜厚は薄い方が、有機電界発光素子の駆動電圧は低下するが、あまりに薄いと、ITO等の電極に起因する突起により短絡が発生する為、ある程度の膜厚が必要となる。
本発明においては、発光層4以外に、正孔注入層3及び後述の電子輸送層5等の有機層を有する場合、発光層4と正孔注入層3や電子輸送層5等の他の有機層とを合わせた総膜厚は通常30nm以上、好ましくは50nm以上であり、更に好ましくは100nm以上で、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下であり、更に好ましくは300nm以下である。また、発光層4以外の正孔注入層3や後述の電子注入層5の導電性が高い場合、発光層4に注入される電荷量が増加する為、例えば正孔注入層3の膜厚を厚くして発光層4の膜厚を薄くし、総膜厚をある程度の膜厚を維持したまま駆動電圧を下げることも可能である。
よって、発光層4の膜厚は、通常10nm以上、好ましくは20nm以上で、通常300nm以下、好ましくは200nm以下である。なお、本発明の素子が、陽極及び陰極の両極間に、発光層4のみを有する場合の発光層4の膜厚は、通常30nm以上、好ましくは50nm以上、通常500nm以下、好ましくは300nm以下である。
[5]電子注入層
電子注入層5は陰極6から注入された電子を効率よく発光層4へ注入する役割を果たす。電子注入を効率よく行うには、電子注入層5を形成する材料は、仕事関数の低い金属が好ましく、ナトリウムやセシウム等のアルカリ金属、バリウムやカルシウムなどのアルカリ土類金属が用いられる。
電子注入層5の膜厚は0.1〜5nmが好ましい。
また、陰極6と発光層4又は後述の電子輸送層8との界面にLiF、MgF、LiO、CsCO等の極薄絶縁膜(0.1〜5nm)を挿入することも、素子の効率を向上させる有効な方法である(Appl.Phys.Lett.,70巻,152頁,1997年;特開平10−74586号公報;IEEETrans.Electron.Devices,44巻,1245頁,1997年;SID 04 Digest,154頁)。
更に、後述するバソフェナントロリン等の含窒素複素環化合物や8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体に代表される有機電子輸送材料に、ナトリウム、カリウム、セシウム、リチウム、ルビジウム等のアルカリ金属をドープする(特開平10−270171号公報、特開2002−100478号公報、特開2002−100482号公報などに記載)ことにより、電子注入・輸送性が向上し優れた膜質を両立させることが可能となるため好ましい。この場合の膜厚は通常、5nm以上、好ましくは10nm以上で、通常200nm以下、好ましくは100nm以下である。
電子注入層5は、発光層4と同様にして湿式製膜法、或いは真空蒸着法により発光層4上に積層することにより形成される。真空蒸着法の場合には、真空容器内に設置されたるつぼ又は金属ボートに蒸着源を入れ、真空容器内を適当な真空ポンプで10−4Pa程度にまで排気した後、るつぼ又は金属ボートを加熱して蒸発させ、るつぼ又は金属ボートと向き合って置かれた基板上に電子注入層を形成する。
アルカリ金属の蒸着は、クロム酸アルカリ金属と還元剤をニクロムに充填したアルカリ金属ディスペンサーを用いて行う。このディスペンサーを真空容器内で加熱することにより、クロム酸アルカリ金属が還元されてアルカリ金属が蒸発される。有機電子輸送材料とアルカリ金属とを共蒸着する場合は、有機電子輸送材料を真空容器内に設置されたるつぼに入れ、真空容器内を適当な真空ポンプで10−4Pa程度にまで排気した後、各々のるつぼ及びディスペンサーを同時に加熱して蒸発させ、るつぼ及びディスペンサーと向き合って置かれた基板上に電子注入層を形成する。
このとき、電子注入層5の膜厚方向において均一に共蒸着されるが、膜厚方向において濃度分布があっても構わない。
なお、電子注入層5は、図5,6に示す如く、これを省略しても良い。
[6]陰極
陰極6は、発光層側の層(電子注入層5又は発光層4など)に電子を注入する役割を果たす。陰極6として用いられる材料は、前記陽極2に使用される材料を用いることが可能であるが、効率よく電子注入を行うには、仕事関数の低い金属が好ましく、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀等の適当な金属又はそれらの合金が用いられる。具体例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金等の低仕事関数合金電極が挙げられる。
陰極6の膜厚は通常、陽極2と同様である。低仕事関数金属から成る陰極を保護する目的で、この上にさらに、仕事関数が高く大気に対して安定な金属層を積層することは素子の安定性を増す。この目的のために、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金等の金属が使われる。
[7]その他の構成層
以上、図1に示す層構成の素子を中心に説明してきたが、本発明の有機電界発光素子における陽極2及び陰極6と発光層4との間には、その性能を損なわない限り、上記説明にある層の他にも、任意の層を有していてもよく、また発光層4以外の任意の層を省略してもよい。
有してもよい層としては例えば、電子輸送層7が挙げられる。電子輸送層7は素子の発光効率をさらに向上させることを目的として、図2に示す如く、発光層4と電子注入層5との間に設けられる。
電子輸送層7は、電界を与えられた電極間において陰極6から注入された電子を効率よく発光層4の方向に輸送することができる化合物より形成される。電子輸送層7に用いられる電子輸送性化合物としては、陰極6又は電子注入層5からの電子注入効率が高く、かつ、高い電子移動度を有し注入された電子を効率よく輸送することができる化合物であることが必要である。
このような条件を満たす材料としては、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体(特開昭59−194393号公報)、10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体、オキサジアゾール誘導体、ジスチリルビフェニル誘導体、シロール誘導体、3−又は5−ヒドロキシフラボン金属錯体、ベンズオキサゾール金属錯体、ベンゾチアゾール金属錯体、トリスベンズイミダゾリルベンゼン(米国特許第5,645,948号)、キノキサリン化合物(特開平6−207169号公報)、フェナントロリン誘導体(特開平5−331459号公報)、2−t−ブチル−9,10−N,N’−ジシアノアントラキノンジイミン、n型水素化非晶質炭化シリコン、n型硫化亜鉛、n型セレン化亜鉛などが挙げられる。
電子輸送層7の膜厚は、通常下限は1nm、好ましくは5nm程度であり、上限は通常300nm、好ましくは100nm程度である。
電子輸送層7は、正孔注入層3と同様にして湿式製膜法、或いは真空蒸着法により発光層4上に積層することにより形成される。通常は、真空蒸着法が用いられる。
また、特に、発光物質として燐光材料を用いたり、青色発光材料を用いたりする場合、図3に示す如く、正孔阻止層8を設けることも効果的である。正孔阻止層8は正孔と電子を発光層4内に閉じこめて、発光効率を向上させる機能を有する。即ち、正孔阻止層8は、発光層4から移動してくる正孔が電子輸送層7に到達するのを阻止することで、発光層4内で電子との再結合確率を増やし、生成した励起子を発光層4内に閉じこめる役割と、電子輸送層8から注入された電子を効率よく発光層4の方向に輸送する役割がある。
正孔阻止層8は、陽極2から移動してくる正孔を陰極6に到達するのを阻止する役割と、陰極6から注入された電子を率よく発光層4の方向に輸送することができる化合物により、発光層4の上に、発光層4の陰極6側の界面に接するように積層形成される。
正孔阻止層8を構成する材料に求められる物性としては、電子移動度が高く正孔移動度が低いこと、エネルギーギャップ(HOMO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重項準位(T1)が高いことが挙げられる。
このような条件を満たす正孔阻止層材料としては、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(フェノラト)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(トリフェニルシラノラト)アルミニウム等の混合配位子錯体、ビス(2−メチル−8−キノラト)アルミニウム−μ−オキソ−ビス−(2−メチル−8−キノリラト)アルミニウム二核金属錯体等の金属錯体、ジスチリルビフェニル誘導体等のスチリル化合物(特開平11−242996)、3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール誘導体(特開平7−41759号公報)、バソクプロイン等のフェナントロリン誘導体(特開平10−79297号公報)が挙げられる。
さらに、WO2005/022962号公報に記載の2,4,6位が置換されたピリジン環を少なくとも1個有する化合物も正孔阻止材料として好ましい。
正孔阻止層8の膜厚は、通常0.3nm以上、好ましくは0.5nm以上で、通常100nm以下、好ましくは50nm以下である。
正孔阻止層8も正孔注入層3と同様の方法で形成することができるが、通常は真空蒸着法が用いられる。
電子輸送層7及び正孔阻止層8は必要に応じて、適宜設ければよく、1)電子輸送層のみ、2)正孔阻止層のみ、3)正孔阻止層/電子輸送層の積層、4)用いない、等、用法がある。
正孔阻止層8と同様の目的で、図4に示す如く、正孔注入層3と発光層4の間に電子阻止層9を設けることも効果的である。電子阻止層9は、発光層4から移動してくる電子が正孔注入層3に到達するのを阻止することで、発光層4内で正孔との再結合確率を増やし、生成した励起子を発光層4内に閉じこめる役割と、正孔注入層3から注入された正孔を効率よく発光層4の方向に輸送する役割がある。
電子阻止層9に求められる特性としては、正孔輸送性が高く、エネルギーギャップ(HOMO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重項準位(T1)が高いことが挙げられる。また、発光層4を湿式製膜法で形成する場合、電子阻止層9も湿式製膜法で形成することが、素子製造が容易となるため、好ましい。
このため、電子阻止層9も湿式製膜適合性を有することが好ましく、このような電子阻止層9に用いられる材料としては、F8−TFBに代表されるジオクチルフルオレンとトリフェニルアミンの共重合体(WO2004/084260号公報記載)等が挙げられる。
なお、図1とは逆の構造、即ち、基板1上に陰極6、電子注入層5、発光層4、正孔注入層3、陽極2の順に積層することも可能であり、既述したように少なくとも一方が透明性の高い2枚の基板の間に本発明の有機電界発光素子を設けることも可能である。同様に、図2〜図6に示した前記各層構成とは逆の構造に積層することも可能である。
さらには、図1に示す層構成を複数段重ねた構造(発光ユニットを複数積層させた構造)とすることも可能である。その際には段間(発光ユニット間)の界面層(陽極がITO、陰極がAlの場合はその2層)の代わりに、例えばV等を電荷発生層(CGL)として用いると段間の障壁が少なくなり、発光効率・駆動電圧の観点からより好ましい。
本発明は、有機電界発光素子が、単一の素子、アレイ状に配置された構造からなる素子、陽極と陰極がX−Yマトリックス状に配置された構造のいずれにおいても適用することができる。
次に、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
なお、以下の実施例において、ガラス転移温度はDSC測定により、気化温度はTG−DTA測定により、融点はDSC測定又はTG−DTA測定によりそれぞれ求めた。
[実施例1:本発明に係る化合物(I−A)の合成及び溶解度測定]
Figure 0005167607
空気中、4−フェニルベンズアルデヒド(10.93g)、3’−ブロモアセトフェノン(12.54g)、及び酢酸(205ml)の混合溶液に、濃硫酸(9.65ml)を加え、40℃で5.8時間撹拌した後、メタノール(70ml)、水(120ml)を加え、析出した沈殿を濾過した後、メタノール及びエタノールで洗浄した。これをエタノール−トルエン混合溶媒中からの再結晶で精製し、目的物1(16.6g)を得た。
空気中、目的物1(16.6g)、1−フェナシルピリジニウムブロマイド(19.1g)、酢酸アンモニウム(88g)、酢酸(392ml)、及びN,N−ジメチルホルムアミド(392ml)を、加熱還流下、5.7時間撹拌した後、氷水(500ml)中に投入し、析出した沈殿を濾過した後、メタノールで洗浄した。これをエタノール−トルエン混合溶媒中からの再結晶により精製し、目的物2(11.2g)を得た。
窒素気流中、目的物2(4.62g)、2,5−ジフルオロフェニルボロン酸(2.21g)、ジメトキシエタン(100ml)、及び水(15ml)の混合物に、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(0.46g)、炭酸カリウム(4.15g)を順次投入し、加熱還流下、4.3時間撹拌した。得られた溶液にエタノール(100ml)、及び水(70ml)を加えた後、上澄み液を除去して得られた固形分を、エタノール−クロロホルム混合溶媒中からの再結晶により精製し、目的物3(3.42g)を得た。
窒素気流中、水素化ナトリウム(55%,1.2g)の無水N,N−ジメチルホルムアミド(100ml)懸濁液にカルバゾール(4.59g)を添加し、80℃で60分撹拌した後、目的物3(3.4g)を添加し、加熱還流下で3.5時間撹拌した。放冷後、水素化ナトリウム(55%,0.9g)を添加し、更に加熱還流下で3.5時間撹拌した。氷浴中、これに水(100ml)、及びメタノール(100ml)を加えてから沈殿を濾別し、メタノール洗浄した。得られた固形分に、ジクロロメタン(120ml)を加え、可溶成分を溶解させたところに、無水硫酸マグネシウム及び活性白土を加えて、撹拌後、濾過、濃縮して得られた固形分を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的物4(本発明化合物(I−A))(1.1g)を得た。
DEI−MS m/z=789(M
このもののガラス転移温度は146℃、結晶化温度及び融点は観測されず、気化温度は522℃であった。
この本発明化合物(I−A)のトルエンへの溶解度を調べ、その結果を表1に表した。
表1に表す如く、本発明化合物(I−A)はトルエンに対して高い溶解性を示した。
[比較例1:本発明の範囲外の化合物(I−B)の合成及び溶解度測定]
Figure 0005167607
空気中、3−ブロモベンズアルデヒド(15.52g)、アセトフェノン(10.08g)、及び酢酸(120ml)の混合溶液に、濃硫酸(13.5ml)を加え、40℃で5時間撹拌した後、水(240ml)を加え、析出した沈殿を濾過した後、メタノールで洗浄した。これをメタノール(250ml)中での懸濁洗浄で精製し、目的物5(14.40g)を得た。
空気中、目的物5(14.40g)、1−フェナシルピリジニウムブロマイド(21.60g)、酢酸アンモニウム(96.64g)、酢酸(400ml)、及びN,N−ジメチルホルムアミド(400ml)を、加熱還流下、5時間撹拌した後、氷水(800ml)中に投入し、析出した沈殿を濾過した後、エタノールで洗浄した。これをエタノール−トルエン混合溶媒中からの再結晶により精製し、目的物6(8.92g)を得た。
窒素気流中、目的物6(5.80g)、2,5−ジフルオロフェニルボロン酸(3.40g)、ジメトキシエタン(150ml)、及び水(22.5ml)の混合物に、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(0.69g)、炭酸カリウム(6.22g)を順次投入し、加熱還流下、5.3時間撹拌した。得られた溶液にジクロロメタン(150ml)、食塩水(100ml)を加え、分液後、有機層に無水硫酸マグネシウム及び活性白土を加えて撹拌後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的物7(6.37g)を得た。
窒素気流中、水素化ナトリウム(55%,2.62g)の無水N,N−ジメチルホルムアミド(100ml)懸濁液にカルバゾール(4.59g)を添加し、90℃で30分間撹拌した。得られた溶液に、目的物7(6.37g)を無水N,N−ジメチルホルムアミド(100ml)に溶解させた溶液を添加し、加熱還流下で5時間撹拌した。氷浴中、得られた溶液に水(100ml)、及びエタノール(30ml)を加えてから沈殿を濾別し、エタノールで洗浄した。得られた固形分に、クロロホルム(300ml)を加え、可溶成分を溶解させたところに、活性白土を加えて撹拌後、濾過、濃縮して得られた固形分を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、N,N−ジメチルホルムアミド−エタノール混合溶媒からの再結晶、及びGPCにより精製し、目的物8(比較例化合物(I−B))(1.42g)を得た。
DEI−MS m/z=713(M
このもののガラス転移温度は131℃、結晶化温度は227℃、融点は243℃、気化温度は498℃であった。
この比較例化合物(I−B)のトルエンへの溶解度を調べ、その結果を表1に表した。
表1に表す如く、比較例化合物(I−B)はトルエンに対する溶解性は低かった。
[実施例2:本発明に係る化合物(I−C)の合成及び溶解度測定]
Figure 0005167607
窒素気流中、3,6−ジブロモカルバゾール(3.20g)、4−ブチルフェニルボロン酸(4.39g)、及びジメトキシエタン(49ml)の混合溶液に、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(0.57g)と、炭酸カリウム(6.8g)入り水溶液(24.5ml)を、室温下で順次投入してから、加熱還流下、8時間撹拌した。
得られた溶液に食塩水(100ml)、トルエン(100ml)を加えてよく混合した後、有機層を分取して、無水硫酸マグネシウム及び無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濾液を濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、目的物9(1.8g)を得た。
窒素気流中、目的物2(2.47g)、目的物9(1.8g)、銅紛(266mg)、炭酸カリウム(1.16g)、及びテトラグライム(5ml)を100mlの4口フラスコに加え、200℃のオイルバスにつけて13時間加熱攪拌した。ジクロロメタンで希釈し濾過後、ブラインで洗浄し硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧留去することにより茶色オイルを得た。
カラムクロマトグラフィー及びGPCで精製し、目的物10(144mg)を得た。
DEI−MS m/z=814(M)により、目的物10(本発明化合物(I−C))であることを確認した。
このもののガラス転移温度は84℃、融点は118℃、気化温度は507℃であった。 この本発明化合物(I−C)のトルエンへの溶解度を調べ、その結果を表1に表した。
表1に表す如く、本発明化合物(I−C)はトルエンに対して高い溶解性を示した。
[実施例3:本発明に係る化合物(I−D)の合成及び溶解度測定]
Figure 0005167607
窒素気流中、1,3−ジブロモベンズアルデヒド(15g)、4−エチルフェニルボロン酸(25g)、及びジメトキシエタン(150ml)の混合物に、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(3.86g)、2M炭酸カリウム水溶液(115ml)を順次投入し、加熱還流下、5時間撹拌した。得られた溶液に食塩水を加えてから、トルエンで抽出後、有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて、撹拌後、濾過し、濃縮して得られた残留物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、目的物11(9.14g)を得た。
不活性ガス雰囲気下、目的物11(9.14g、29.1mmol)とm−ブロモアセトフェノン(6.4g、32.0mmol)の酢酸(30mL)溶液を50℃に加温し、硫酸(8.5g,85mmol)と酢酸(20mL)の混合溶液を滴下し、50℃で8時間攪拌した。反応混合物をメタノールに注ぎ、析出したオイルをデカンテーションして分離し、塩化メチレンに溶解させて、飽和重曹水で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し目的物12(10.7g,74%)を得た。
酢酸アンモニウム(8.48g、110mmol)、フェナシルピリジニウムブロマイド(3.06g,11.0mmol)の酢酸(5mL)とN,N−ジメチルホルムアミド(5mL)溶液に目的物12(5.2g,10.5mmol)の酢酸(5mL)とN,N−ジメチルホルムアミド(5mL)溶液を室温で滴下した。反応混合物を還流条件下で8時間攪拌し、室温まで放冷後、水にあけた。析出した結晶をデカンテーションにより分離し、塩化メチレンに溶解させ、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに処し、目的物13(3.9g、63%)を得た。
窒素雰囲気下、ジ(ベンジリデンアセトン)ジクロロパラジウム・クロロホルム付加体(339mg、0.328mmol)のトルエン(40mL)溶液にトリ(ターシャリーブチル)ホスフィン(200mg,0.984mmol)を室温で加え、40℃で20分間攪拌し錯体を形成させた。不活性ガス雰囲気下、目的物13(5.2g,10.5mmol)、ジフェニルカルバゾール(3.1g、9.84mmol)、及びターシャリーブトキシナトリウム(1.9g、19.7mmol)のトルエン溶液に(40mL)に先に調製した錯体のトルエン溶液を40℃で滴下した。溶液を加温し、還流条件下で8時間攪拌し、室温まで放冷後、水にあけた。析出した結晶をデカンテーションにより分離し、塩化メチレンに溶解させ、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに処し、化合物14(本発明化合物(I−D))(3.5g、64%)を得た。
DEI−MS m/z=833(M)により、目的物14(本発明化合物(I−D))であることを確認した。
このもののガラス転移温度は132℃であった。
この本発明化合物(I−D)のトルエンへの溶解度を調べ、その結果を表1に表した。
表1に表す如く、本発明化合物(I−D)はトルエンに対して高い溶解性を示した。
[実施例4:本発明に係る化合物(I−E)の合成及び溶解度測定]
Figure 0005167607
窒素気流中、3−ブロモ−ベンズアルデヒド(4.06g)、3−ビフェニルボロン酸(5g)をエチレングリコールジメチルエーテル(100ml)に溶解し、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(0)(1.01g)、及び炭酸カリウム9.1gを水33mlに溶解した水溶液を系内に順次添加し、加熱攪拌した。加熱還流下、9時間反応し、室温に放冷した後有機層を濃縮した。次に水、クロロホルムを加え有機層を抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮し、さらにカラムクロマトグラフィーで精製し、乾燥後、液体状態で4.8gの目的物15を得た。
3−ブロモ−アセトフェノン(4.0g)、目的物15(4.8g)を酢酸(28ml)に溶解し、硫酸(3ml)を滴下、35℃以下で7時間攪拌した。反応後、エタノール20ml、水10mlを系内に添加して攪拌し、結晶を析出させた。結晶を濾過後、メタノール150mlにて懸洗洗浄して、乾燥することにより、目的物16(6.36g)を得た。
フェナシルピリジニウムブロミド(5.69g)、上記より得られた目的物16(6.0g)、酢酸アンモニウム(26.2g)、酢酸(97ml)、及びN,N−ジメチルホルムアミド(70ml)を、加熱還流下、9時間攪拌して得られた溶液に、エタノール(50ml)、及び水(50ml)を添加して攪拌し、有機層と水層を分離した。有機層を一度濃縮した後、トルエンに溶解し、そのトルエン層を1N NaOH水溶液、NaCl水溶液、水で順次洗浄し、トルエン層を硫酸マグネシウムで乾燥した。その後、濃縮、乾燥後、目的物17(6.29g)を得た。
3,6−ジブロモカルバゾール(8g)、及びフェニルボロン酸(7.8g)をエチレングリコールジメチルエーテル(80ml)に溶解し、炭酸カリウム13.6gを水40mlに溶解した水溶液を脱気した後系内に添加し、系内全体を脱気、窒素置換し、加熱攪拌した。内温60℃で、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(0)(1.42g)を添加し、その後加熱還流下、9時間反応した。放冷後、濃縮し、系内に水とクロロホルムを添加し、有機層を抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、さらに濃縮後、メタノールにて結晶を析出させた。その後、カラムクロマアトグラフィーにて精製し、メタノールにて再結晶し、乾燥後、目的物18(3.2g)を得た。
得られた目的物17(4g)、目的物18(2.85g)、及びナトリウム−tert−ブトキシド(1.43g)にトルエン(80ml)を添加して攪拌した。トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)クロロホルム(0.46g)をトルエン(10ml)に溶解し、トリ−tert−ブチルホスフィン(0.45g)を加えた溶液を添加し、加熱還流して6時間反応させた。反応終了後、不溶物を除去し、濃縮、懸洗洗浄した後、カラムクロマトグラフィーにて精製し、目的物19(本発明化合物(I−E))(4.1g)を得た。
DEI−MS (m/z=776(M))から目的物19であることを確認した。
DSC測定の結果、このもののガラス転移温度(Tg)は119℃であった。
この本発明化合物(I−E)のトルエンへの溶解度を調べ、その結果を表1に表した。
表1に表す如く、本発明化合物(I−E)はトルエンに対して高い溶解性を示した。
Figure 0005167607
[実施例5:有機電界発光素子の作製]
図3に示す構造を有する有機電界発光素子を以下の方法で作製した。
ガラス基板1の上にインジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を150nm堆積したもの(スパッター成膜品;シート抵抗15Ω)を通常のフォトリソグラフィ技術と塩酸エッチングを用いて2mm幅のストライプにパターニングして陽極2を形成した。パターン形成したITO基板を、アセトンによる超音波洗浄、純水による水洗、イソプロピルアルコールによる超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
次に、正孔注入層3を以下のように湿式製膜法によって形成した。正孔注入層3の材料として、下記に示す構造式の芳香族アミノ基を有する高分子化合物(PB−1(重量平均分子量:26500,数平均分子量:12000))と下記に示す構造式の電子受容性化合物(A−1)とを用い、下記の条件でスピンコートした。
Figure 0005167607
<スピンコート条件>
溶媒 安息香酸エチル
塗布液濃度 PB−1 2.0重量%
A−1 0.4重量%
スピナ回転数 2000rpm
スピナ回転時間 30秒
乾燥条件 230℃×3時間
上記のスピンコートにより膜厚30nmの均一な薄膜が形成された。
続いて、発光層4を以下のように湿式製膜法によって形成した。発光層4の材料として、本発明化合物(I−C)を、下記に示す構造式のイリジウム錯体(D−1)と共に用い、下記の条件でスピンコートした。
Figure 0005167607
<スピンコート条件>
溶媒 トルエン
塗布液濃度 I−C 2.0重量%
D−1 0.1重量%
スピナ回転数 1500rpm
スピナ回転時間 30秒
乾燥条件 130℃×60分(減圧下)
上記のスピンコートにより膜厚60nmの均一な薄膜が形成された。
次に、正孔阻止層8として下記に示すピリジン誘導体(HB−1)をるつぼ温度233〜238℃として、蒸着速度0.08〜0.12nm/秒で5nmの膜厚で積層した。蒸着時の真空度は6.3〜6.2×10−5Paであった。
Figure 0005167607
次に、正孔阻止層8の上に、電子輸送層7として下記に示すアルミニウムの8−ヒドロキシキノリン錯体(ET−1)を同様にして蒸着した。この時のアルミニウムの8−ヒドロキシキノリン錯体のるつぼ温度は372〜361℃の範囲で制御し、蒸着時の真空度は6.4〜6.2×10−5Pa、蒸着速度は0.1〜0.13nm/秒で膜厚は30nmとした。
Figure 0005167607
上記の正孔阻止層8および電子輸送層7を真空蒸着する時の基板温度は室温に保持した。
ここで、電子輸送層7までの蒸着を行った素子を一度前記真空蒸着装置内より大気中に取り出して、陰極蒸着用のマスクとして2mm幅のストライプ状シャドーマスクを、陽極2のITOストライプとは直交するように素子に密着させて、別の真空蒸着装置内に設置して有機層と同様にして装置内の真空度が3.7×10−4Pa以下になるまで排気した。
電子注入層5として、先ず、フッ化リチウム(LiF)を、モリブデンボートを用いて、
蒸着速度0.01〜0.06nm/秒、真空度3.7〜4.0×10−4Paで、0.5nmの膜厚で電子輸送層7の上に成膜した。次に、アルミニウムを同様にモリブデンボートにより加熱して、蒸着速度0.3〜0.2nm/秒、真空度6.7〜12.0×10−4Paで膜厚80nmのアルミニウム層を形成して陰極6を完成させた。以上の電子注入層及び陰極の蒸着時の基板温度は室温に保持した。
以上の様にして、2mm×2mmのサイズの発光面積部分を有する有機電界発光素子が得られた。この素子の発光特性は以下の通りである。
輝度/電流:15.1[cd/A]@100cd/m
電圧:9.2[V]@100cd/m
発光効率:5.2[1m/w]@100cd/m
素子の発光スペクトルの極大波長は511.5nmであり、イリジウム錯体(D−1)からのものと同定された。色度はCIE(x,y)=(0.312,0.618)であった。
[実施例6:有機電界発光素子の作製]
本発明化合物(I−C)に代えて、本発明化合物(I−D)を用い、さらに発光層の形成条件を以下の通りにした他は実施例5と同様にして、有機電界発光素子を作製した。
Figure 0005167607
<スピンコート条件>
溶媒 キシレン
塗布液濃度 I−D 2.5重量%
D−1 0.13重量%
スピナ回転数 1500rpm
スピナ回転時間 30秒
乾燥条件 130℃×60分(減圧下)
上記のスピンコートにより膜厚40nmの均一な薄膜が形成された。
この素子の発光特性は以下の通りである。
輝度/電流:14.8[cd/A]@100cd/m
電圧:7.9[V]@100cd/m
発光効率:5.9[lm/w]@100cd/m
素子の発光スペクトルの極大波長は512.8nmであり、イリジウム錯体(D−1)からのものと同定された。色度はCIE(x,y)=(0.307.625)であった。
[実施例7:有機電界発光素子の作製]
本発明化合物(I−C)に代えて、本発明化合物(I−E)を用い、さらに発光層の形成条件を以下の通りにした他は実施例5と同様にして、有機電界発光素子を作製した。
Figure 0005167607
<スピンコート条件>
溶媒 キシレン
塗布液濃度 I−E 2.0重量%
D−1 0.1重量%
スピナ回転数 1500rpm
スピナ回転時間 30秒
乾燥条件 130℃×60分(減圧下)
上記のスピンコートにより膜厚36nmの均一な薄膜が形成された。
この素子の発光特性は以下の通りである。
輝度/電流:15.9[cd/A]@100cd/m
電圧:8.8[V]@100cd/m
発光効率:5.7[lm/w]@100cd/m
素子の発光スペクトルの極大波長は514.0nmであり、イリジウム錯体(D−1)からのものと同定された。色度はCIE(x,y)=(0.318.618)であった。
本発明の有機電界発光素子の一例を示した模式的断面図である。 本発明の有機電界発光素子の別の例を示した模式的断面図である。 本発明の有機電界発光素子の別の例を示した模式的断面図である。 本発明の有機電界発光素子の別の例を示した模式的断面図である。 本発明の有機電界発光素子の別の例を示した模式的断面図である。 本発明の有機電界発光素子の別の例を示した模式的断面図である。
符号の説明
1 基板
2 陽極
3 正孔注入層
4 発光層
5 電子注入層
6 陰極
7 電子輸送層
8 正孔阻止層
9 電子阻止層

Claims (8)

  1. 分子内に対称軸及び対称点を有さない化合物からなり、該化合物の分子内に部分構造として存在するピリジン環がすべて下記一般式(I)で表される電荷輸送材料であって、該化合物が、下記一般式(IV)で表される化合物(ただし、以下の式(a)〜(d)で表される4つの化合物を除く。)であることを特徴とする電荷輸送材料。
    Figure 0005167607
    (一般式(I)中、R〜Rは各々独立して、置換基を有していても良いフェニル基を示す。但し、RとR、RとR、RとRは、置換基が異なることにより或いは置換基の有無により、いずれも同一ではなく、また、Rが有する置換基がピリジン環を含む基であることはない。)
    Figure 0005167607
    (一般式(IV)中、R及びRは各々独立して、前記一般式(I)におけると同義であり、Qは直接結合又は任意の連結基を表す。)
    Figure 0005167607
    (上記式中、−N−Czは、N−カルバゾリル基を示す。)
  2. 該化合物の分子内に部分構造として下記一般式(II)で表されるm−フェニレン基を有することを特徴とする請求項1に記載の電荷輸送材料。
    Figure 0005167607
  3. 該化合物の分子内に部分構造として下記一般式(III−1)で表される基を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の電荷輸送材料。
    Figure 0005167607
    (Gは直接結合又は任意の連結基を表す。)
  4. 一般式(I)におけるR〜Rのうち、最も炭素数の多い基と最も炭素数の少ない基との炭素数の差が15以上であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の電荷輸送材料。
  5. トルエンに対して5.0重量%以上溶解することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の電荷輸送材料。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載の電荷輸送材料を含むことを特徴とする電荷輸送材料組成物。
  7. 更に溶剤を含むことを特徴とする請求項6に記載の電荷輸送材料組成物。
  8. 基板上に、陽極、陰極、及びこれら両極間に設けられた発光層を有する有機電界発光素子において、請求項1ないし5のいずれかに記載の電荷輸送材料を含有する層を有することを特徴とする有機電界発光素子。
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