JP5082230B2 - 有機化合物、電荷輸送材料および有機電界発光素子 - Google Patents

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本発明は新規な有機化合物および電荷輸送材料と、この有機化合物を用いた有機電界発光素子に関するものであり、詳しくは電気的な酸化や還元を繰返し受けても安定な有機化合物および電荷輸送材料と、この有機化合物を用いた高発光効率かつ長寿命の有機電界発光素子に関するものである。
有機薄膜を用いた電界発光素子の開発が行われている。有機薄膜を用いた電界発光素子、すなわち有機電界発光素子は、通常、基板上に、陽極、陰極、およびこれら両極間に設けられた少なくとも発光層を含む有機層を有する。有機層としては、発光層以外にも、正孔注入層(陽極バッファ層)、正孔輸送層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層等が設けられる。通常、これらの層を陽極と陰極との間に積層することにより有機電界発光素子が構成されている。
従来、有機電界発光素子は、蛍光発光を利用してきたが、素子の発光効率を上げる試みで、蛍光ではなく燐光発光を用いることが検討されている。しかしながら、燐光発光を用いた場合でも、未だ十分な発光効率が得られていないのが現状である。
これまでに開発された燐光発光性分子を用いた有機電界発光素子の多くは、発光層の材料(ホスト材料)として、カルバゾリル基を含む材料を用いることを特徴としており、例えば、非特許文献1ではホスト材料として以下に示すビフェニル誘導体を用いている。
Figure 0005082230
しかしながら、上記ビフェニル誘導体を用いた有機電界発光素子は、電荷の再結合位置が陰極側に偏る傾向があり、バランスが取り辛く、高い発光効率が得られていなかった。
そこで、近年、再結合領域を発光層に集中させる目的で、正孔輸送性と電子輸送性を兼ね備えたホスト材料が提案され、特許文献1には、有機電界発光素子に、以下に示す化合物を用いることが記載されている。
Figure 0005082230
しかしながら、上記化合物は、高電圧下でしか発光が観測されず、発光輝度、発光効率が不十分であると考えられる。
また、特許文献2および特許文献3には、蛍光発光素子用途或いは電子写真感光体用の正孔輸送材料および/または発光層材料用途に、下記化合物に代表されるピリジン系化合物が提案されている。
Figure 0005082230
また、特許文献4には、有機電界発光素子用材料として、以下に示す化合物などを用いることが提案されている。
Figure 0005082230
また、特許文献5には、有機電界発光素子用材料として、以下に示す化合物などを用いることが提案されている。
Figure 0005082230
しかしながら、特許文献2〜5で提案される化合物は、ピリジン環、トリアジン環、ピリミジン環またはピラジン環上の窒素原子と、カルバゾール環上の窒素原子とが共役可能な構造を有するため、分子内における電荷の分極現象が顕著となり、三重項励起準位が比較的低い。また、有機電界発光素子用材料としての耐久性の点で問題がある。従って、青色発光素子や燐光発光素子に適用するには性能的に不充分である。また、ピリジン環の2,4,6−位やピリミジン環の2,4,6−位やピラジン環の2,3,5,6−位に全て置換基を有している構造でない場合、電気化学的耐久性の観点で更に重大な問題点がある。
また、特許文献6には、有機電界発光素子の材料として、以下に示す化合物などを用いることが提案されている。
Figure 0005082230
しかしながら、これらは、一つの芳香環(ここではベンゼン環)上に2つの(電子供与性基である)カルバゾリル基が置換され、かつこれらが該芳香環を介して互いに共役し得ない位置(m−位)にあるため、分子が電気的に酸化または還元を受けた際、正または負電荷が局在化しやすく、その結果として、こうした部分構造を有する化合物は、電気的酸化および還元に対する耐久性が乏しいという問題点がある。また、電気的還元に対する耐性を向上させる目的でピリジン環やピリミジン環を導入してはいるものの、カルバゾリル基が2つ置換された芳香環(ここではベンゼン環)はピリジン環やピリミジン環の窒素原子に対してp−位にあり、かつ該芳香環とピリジン環やピリミジン環が共役可能であるため、該芳香環からピリジン環やピリミジン環への電子供与効果によって、該ピリジン環や該ピリミジン環の電気的還元に対する耐性も低下してしまっているという問題点がある。
また、特許文献6には、以下の化合物も例示されている。
Figure 0005082230
しかし、上記化合物は、電気的な酸化に対する耐性は改善されていることが予想されるものの、カルバゾリル基が一つだけであるため、正孔輸送性に乏しく、有機電界発光素子の発光層の材料としては、正孔輸送性と電子輸送性のバランスが悪く、ホスト材料としては改善が必要である。また、耐熱性の観点でも実用性において重大な欠陥があると言わざるを得ない。
特開平6−1972号公報 特開2000−186066号公報 特開2000−169448号公報 特開2003−22893号公報 国際公開第WO03/078541号公報 国際公開第WO03/080760号公報 Appl.Phys.Lett.,75巻,4頁,1999年
本発明は、優れた正孔輸送性と電子輸送性を併せ持ち、優れた電気的酸化還元耐久性と高い三重項励起準位を有する有機化合物および電荷輸送材料と、この有機化合物を用いた、高い発光効率と高い駆動安定性を有し、かつ長寿命の有機電界発光素子を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、下記構造を有する有機化合物が、優れた正孔輸送性と電子輸送性を併せ持ち、優れた電気的酸化還元耐久性と高い三重項励起準位を有するため、有機電界発光素子に用いると高い発光効率かつ高い駆動安定性と長寿命を示すことを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明の要旨は、下記式(I)で表される部分構造を一分子内に2以上有する有機化合物(ただし、下記式(1)〜(8)で表される化合物を除く。)(請求項1)、に存する。
本発明の別の要旨は、この有機化合物を含有することを特徴とする電荷輸送材料(請求項10)、に存する。
本発明のさらに別の要旨は、基板上に、陽極、陰極、およびこれら両極間に設けられた有機発光層を有する有機電界発光素子において、この有機化合物を含有する層を有することを特徴とする有機電界発光素子(請求項11)、に存する。
Figure 0005082230
(式中、Czは、カルバゾリル基を表す。
Zは、直接結合または、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオランテン環の単環またはこれらの6員環の2〜5縮合環由来の2価の連結基、或いは、それらが複数個連結されて形成された2価の連結基を表す。
Cz、Zおよび環Aは、置換基を有していてもよい。
一分子中に存在する複数個のCzは、同一であっても異なっていてもよい。
一分子中に存在する複数個のZは、同一であっても異なっていてもよい。
一分子中に存在する複数個の環Aは、同一であっても異なっていてもよい。
また、同一の環B中のN原子同士を除き、一分子中に存在するN原子同士は共役しない。
また、一分子中に存在するピリジン環は1つのみである。
一分子中に存在する複数個のQは、下記式(II)のGにつながる直接結合を表す。
Figure 0005082230
(式中、環Bは、ヘテロ原子としてN原子をn個有する6員環の芳香族複素環である。
nは、1〜3の整数である。
Gは、Qにつながる場合は、Qにつながる直接結合または、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオランテン環の単環またはこれらの6員環の2〜5縮合環由来の2価の連結基、或いは、それらが複数個連結されて形成された2価の連結基を表す。
Gは、Qにつながらない場合は、芳香族炭化水素基を表す。
Gは、環BのN原子のオルト位およびパラ位にあるC原子に結合する。
mは、3〜5の整数である。
一分子中に存在する複数個のGは、同一であっても異なっていてもよい。
環Bは、G以外にも置換基を有していてもよい。))
Figure 0005082230
本発明において、上記式(II)は、下記式(II−1)〜(II−4)の何れかであることが好ましく(請求項2)、特に下記式(II−1)であることが好ましい(請求項3)。
Figure 0005082230
(式中、Gは式(II)におけると同義である。)
また、上記式(I)は、下記式(I−1)であることが好ましい(請求項4)。
Figure 0005082230
(式中、Z、環A、Qは各々式(I)におけると同義である。)
また、GおよびZは、直接結合または−(Ph)−(但し、Phは置換基を有していてもよいフェニレン基を表し、pは1〜8の整数を表す。)であることが好ましい(請求項5)。
本発明の有機化合物は、特に、下記式(III)で表わされることが好ましい(請求項6)。
Figure 0005082230
(式中、Cz、Z、環A、Qは各々式(I)におけると同義であり、Gは式(II)におけると同義である。
a,bおよびcは、それぞれZ−Czの数を表す。
また、a,bおよびcは、それぞれ独立に0〜5の整数を表す。
但し、a+b+cは2以上の整数である。
また、環Cの3位および/または5位は、任意の基で置換されていてもよい。)
上記式(III)において、a=c=1であることが好ましく(請求項7)、bは0または1の整数であることが好ましく(請求項8)、Gは、−(Ph)−(但し、Phは置換基を有していてもよいフェニレン基を表し、pは1〜8の整数を表す。)であることが好ましい(請求項9)。
また、本発明の有機電界発光素子において、本発明の有機化合物を含有する層は有機発光層であることが好ましく(請求項12)、特に、有機発光層において、本発明の有機化合物をホスト材料とし、該ホスト材料に対して、有機金属錯体がドープされていることが好ましい(請求項13)。
上記特定の構造を有する本発明の有機化合物は、優れた正孔輸送性と電子輸送性を併せ持ち、優れた電気的酸化還元耐久性と高い三重項励起準位を有する。このため、この有機化合物を用いた本発明の有機電界発光素子によれば、高輝度・高効率で発光させることが可能となり、かつ素子の安定性、特に駆動安定性が向上し、長寿命化が図れる。
本発明の有機化合物を用いた有機電界発光素子は、フラットパネル・ディスプレイ(例えばOAコンピュータ用や壁掛けテレビ)、車載表示素子、携帯電話表示や面発光体としての特徴を生かした光源(例えば、複写機の光源、液晶ディスプレイや計器類のバックライト光源)、表示板、標識灯への応用が考えられ、その技術的価値は大きいものである。
なお、本発明の有機化合物は、本質的に優れた酸化還元安定性を有することから、有機電界発光素子に限らず、電子写真感光体に利用することも有用である。
また、本発明の有機化合物は、電荷輸送材料用としてだけでなく、各種発光材料用、太陽電池材料用、バッテリー材料(電解液、電極、分離膜、安定剤など)用、医療用、塗料材料用、コーティング材料用、有機半導体材料用、トイレタリー材料用、帯電防止材料用、熱電素子材料用などにおいても有用である。
また、本発明の電荷輸送材料は、優れた耐熱性、成膜性、電荷輸送性、発光特性から、素子の層構成に合わせて、正孔注入材料、正孔輸送材料、発光材料、ホスト材料、電子注入材料、電子輸送材料などとしても適用可能である。
以下に本発明の有機化合物、電荷輸送材料および有機電界発光素子の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に特定されない。
〔有機化合物〕
本発明の有機化合物は、下記式(I)で表される部分構造を一分子内に2以上有するものである。
Figure 0005082230
(式中、Czは、カルバゾリル基を表す。
Zは、直接結合または任意の連結基を表す。
Cz、Zおよび環Aは、置換基を有していてもよい。
一分子中に存在する複数個のCzは、同一であっても異なっていてもよい。
一分子中に存在する複数個のZは、同一であっても異なっていてもよい。
一分子中に存在する複数個の環Aは、同一であっても異なっていてもよい。
また、同一の環B中のN原子同士を除き、一分子中に存在するN原子同士は共役しない。
また、一分子中に存在するピリジン環は1つのみである。
一分子中に存在する複数個のQは、下記式(II)のGにつながる直接結合を表す。
Figure 0005082230
(式中、環Bは、ヘテロ原子としてN原子をn個有する6員環の芳香族複素環である。
nは、1〜3の整数である。
Gは、Qにつながる場合は、Qにつながる直接結合または任意の連結基を表す。
Gは、Qにつながらない場合は、芳香族炭化水素基を表す。
Gは、環BのN原子のオルト位およびパラ位にあるC原子に結合する。
mは、3〜5の整数である。
一分子中に存在する複数個のGは、同一であっても異なっていてもよい。
環Bは、G以外にも置換基を有していてもよい。))
なお、本発明の有機化合物において、同一の環B中のN原子同士を除き、一分子中に存在するN原子同士は共役しないことも特徴の一つであるが、ここで、N原子同士が共役可能であるとは、窒素原子同士が、
Figure 0005082230
(cis-,trans-のいずれでも可)またはこれらを組み合わせてなる部分構造で連結されていることと同義(ただし、GないしGは各々独立に、水素原子または任意の置換基を表すか、あるいは、芳香族炭化水素環や芳香族複素環の一部を構成する。)である。すなわち、本発明で言うN原子同士が共役しないとは、N原子同士が共役可能でないこと、すなわち、上記部分構造で連結されていないことと同義である。
このように、N原子同士が共役しないことから、次のような効果が奏される。
1) CzのN原子と、環BのN原子とが共役しないことから、主として一電子酸化に関与する電子供与性基であるCz基と、主として一電子還元に関与する電子受容性基である環Bとが、互いに影響し合って、分子内で電荷の授受が起こって、分子内分極が生じ、その結果、分子の三重項励起準位の低下を招いたり、あるいは、酸化還元安定性の低下を招くことを避けることが出来る。
2) 環B同士のN原子同士が共役しないことから、分子内で複数の環BのN原子同士が共役してしまうと、酸化に対する耐久性に劣る環B上への正孔受容性が現れてしまい、酸化劣化の確率が実用上、無視できなくなるという危険性を回避することができる。また、環BのN原子同士が共役する場合よりも、高い三重項励起準位が期待されるという効果もある。
3) CzのN原子同士が共役しないことから、CzのN原子同士が共役する場合よりも、高い三重項励起準位が期待されるという効果がある。
[1]構造上の特徴
上記式(I)で表される部分は、正孔輸送を主として担う部分と電子輸送を主として担う部分の両方が互いに大きく干渉しあうことなく存在することを特徴とする。
正孔輸送を主として担う部分は式(I)中のCz−Z−の部分であり、電子輸送を主として担う部分は−Q−G−環Bの部分である。正孔輸送を主として担う部分は、電気的酸化に対する優れた耐久性を示す。また、電子輸送を主として担う部分は、電気的還元に対する優れた耐久性を示す。
正孔輸送を主として担う部分と電子輸送を主として担う部分が、ベンゼン環を介してメタ位で結合することにより、ベンゼン環の有する優れた耐熱性、優れた電気化学的安定性、高い三重項励起準位によって、本発明の有機化合物の特長である優れた耐熱性、優れた電気化学的安定性、高い三重項励起準位が損なわれないこと、また、m−連結型のベンゼン環は、電子受容性と電子供与性の両方を併せ持つため、Cz基が酸化された場合には、必要に応じて正電荷の一部を受容し、環Bが還元された場合には、必要に応じて負電荷の一部を受容することができるという作用機構で、
本発明の有機化合物の電気化学的安定性(繰返し電気酸化還元耐久性)を向上させる
という効果が奏される。
また、本発明の有機化合物は、このような式(I)で表される部分構造を、一分子内に2以上有することにより、正孔注入・輸送性が高まるという作用機構で、
有機電界発光素子としたときの素子駆動電圧を低減したり、正孔と電子が発光層中で再結合を起こすために必要な正負電荷の供給バランスを取ることが容易になる
という効果が奏される。
[2]式(I)で表される部分の数
本発明の有機化合物において、上記式(I)で表される部分の数は、一分子中に2以上であればよいが、好ましくは4以下であり、正孔輸送性と電子輸送性のバランスの観点から、2または3が最も好ましい。
なお、式(I)で表される部分構造を一分子中に2以上有するとは、例えば、下記式(A)のように、1つの環Bが有する複数のGに、式(I)のQがそれぞれ結合したものであってもよく、下記式(A)のようなものも式(I)で表される部分構造を2以上有する場合に包含される。
Figure 0005082230
[3]式(I)中の構成要素
〈環A
式(I)中の環Aは、ベンゼン環であり、ZおよびQ以外にも任意の置換基を有していてもよい。また、本発明の有機化合物の一分子中に存在する複数の環Aは、同一であっても異なっていてもよい。
尚、本発明において、置換基を有していてもよいとは、置換基を1以上有していてもよいことを意味する。
ZおよびQ以外の該置換基として好ましくは、アルキル基、芳香族炭化水素基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ハロゲン原子、アリールアミノ基、アルキルアミノ基、芳香族複素環基であり、より好ましくはアルキル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基であり、特に好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオランテン環、カルバゾール環などの、6員環の単環または2〜5縮合環由来の1価の基、或いは、それらが複数個連結されて形成された1価の基(例えば、ビフェニル基、ターフェニル基など)である。
また、環Aの置換基同士が結合して、或いは環AとZの一部が結合して、環Aと縮合環を形成していてもよい。この場合の好ましい例としては、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオランテン環などの、6員環の2〜5縮合環が挙げられる。
特に、環Aは、ZおよびQ以外に置換基を有さないこと、或いは、カルバゾリル基を置換基として有することが好ましい。環Aがカルバゾリル基を置換基として有する場合には、Qの置換位置から数えてメタ位にカルバゾリル基を有することが好ましい。
最も好ましくは、環AがZおよびQ以外に置換基を有さないことであり、これは次の理由による。
すなわち、例えば、カルバゾリル基を例に挙げると、環Aには、−Z−Czも含め、最大で合計5つのカルバゾリル基が置換可能であるが、同一の芳香族炭化水素基上に複数のカルバゾリル基が連結されている場合、電気的酸化を受けたとき、該芳香族炭化水素基上に過剰の正電荷が集中し、或いは、カルバゾリル基のN,1,3,6,9−位の少なくとも一カ所への正電荷の局在化が強まり、該電気的酸化に対する耐久性が著しく低下してしまう。このため、環AがZおよびQ以外に置換基を有さないこと、すなわち環Aはカルバゾリル基として−Z−Czのみを有することが好ましい。
〈Cz〉
式(I)におけるCzは、カルバゾリル基を表す。Czとしては、N−カルバゾリル基、1−カルバゾリル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、4−カルバゾリル基が挙げられ、一分子中に存在する複数のCzは、同一であっても異なっていてもよい。
高い三重項励起準位、優れた電気化学的安定性の観点から、CzはN−カルバゾリル基または2−カルバゾリル基が好ましく、N−カルバゾリル基が最も好ましい。
式(I)におけるCzがN−カルバゾリル基である場合の式(I)を、下記式(I−1)に示す。
Figure 0005082230
このCzは、任意の置換基を有していてもよい。
該置換基として好ましくは、アルキル基、芳香族炭化水素基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ハロゲン原子、アリールアミノ基、アルキルアミノ基、芳香族複素環基であり、より好ましくはアルキル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基である。高い三重項励起準位の観点、電荷分布の偏りに伴う電気的耐性の低下を避ける観点から、この置換基は、好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオランテン環などの、6員環の単環または2〜5縮合環由来の1価の基、或いは、それらが複数個連結されて形成された1価の基(例えば、ビフェニル基、ターフェニル基など)である。
なお、Czが置換基を有する場合、Czの3−位および6−位の置換基は、三重項励起準位を低下させる恐れのある基、例えばフェニル基ではないことが好ましい。
Czの置換基は、合計で分子量500以下が好ましく、250以下が更に好ましい。最も好ましくはCzは無置換であることである。
〈Z〉
式(I)におけるZは、直接結合或いは任意の連結基を表す。
任意の連結基としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオランテン環などの、6員環の単環または2〜5縮合環由来の2価の連結基、或いは、それらが複数個連結されて形成された2価の連結基(例えば、ビフェニレン基、ターフェニレン基など)が好ましく挙げられる。Zとして、好ましくは、直接結合または、フェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基などのベンゼン環を1〜8個連結してなる2価の連結基である。
Zが任意の連結基である場合、Zは任意の置換基を有していてもよく、該置換基としては好ましくは、アルキル基、芳香族炭化水素基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ハロゲン原子、アリールアミノ基、アルキルアミノ基、芳香族複素環基であり、より好ましくはアルキル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基であり、特に好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオランテン環などの、6員環の単環または2〜5縮合環由来の1価の基、或いは、それらが複数個連結されて形成された1価の基(例えば、ビフェニル基、ターフェニル基など)である。
Zは、分子量が1000以下であることが好ましく、500以下であることが更に好ましい。
Zは、特に、直接結合または−(Ph)−であることが好ましい。ここで、Phは置換基を有していてもよいフェニレン基を表す。また、pは1〜8の整数を表し、好ましくは1〜2の整数である。
最も好ましくは、Zが直接結合であることである。
〈式(I)の例示〉
以下に、式(I)で表される部分構造のうち、式(II)の部分を除いた部分の例示を挙げるが、本発明は何ら以下のものに限定されるものではない。
Figure 0005082230
Figure 0005082230
Figure 0005082230
Figure 0005082230
Figure 0005082230
上記例示のうち、中でも、V−1〜6,8,9,12,13,16〜22,24,27,28,35〜37がより好ましく、V−1,2,3,5,6,12が更に好ましい。
〈Q〉
Qは、下記式(II)の少なくとも1つのGにつながる直接結合を表す。
Figure 0005082230
式(II)で表される部分は、分子量が好ましくは70以上、更に好ましくは75以上であり、好ましくは1000以下、更に好ましくは500以下である。この下限を下回ると芳香族性が損なわれる恐れがあり好ましくなく、上限を上回ると気化温度が上昇して蒸着法による製膜が困難になったり、溶解性が低下して湿式法による製膜に支障が出る恐れがあり好ましくない。
式(II)中、環Bは、ヘテロ原子としてN原子をn個有する6員環の芳香族複素環であればよい。nは、1〜3の整数を表す。本発明の有機化合物が、一分子中に複数の環Bを有する場合は、これらは同一であっても異なっていてもよい。
式(II)は、特に下記式(II−1)〜(II−4)で表されるものが好ましい。
Figure 0005082230
式(II)、特に式(II−1)〜(II−4)で表される基は、本発明の有機化合物において、電子輸送を主として担う部分であり、電気的還元に対する優れた耐久性を特徴とする。
一分子中において、式(II−1)〜(II−4)の何れかで表される基は、分子内で互いに非共役の関係にあれば、1〜8個の範囲で含まれていてもよい。通常、1つあれば目的である電子輸送性を十分に発揮可能であるため、正孔輸送性と電子輸送性のバランス、蒸着製膜時に要求される耐熱性と気化性、湿式製膜時に要求される溶解性、空気中での安定性(酸化されにくさ)或いは化合物の高純度の容易性の点も鑑み、好ましくは1個である。
以下に各式で表される基について個々に説明する。
・(II−1)で表される基
式(II−1)で表されるピリジン環は、2,4,6−位が置換されていることによって電気的還元に対する耐久性を持ち得る。
なお、該ピリジン環の3,5−位は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、フェニル基などのアリール基、ピリジル基などのヘテロアリール基、メチル基などのアルキル基などが好ましい。しかしながら、優れた電気化学的安定性の観点から、最も好ましくは、3,5−位は無置換である。
・(II−2)で表される基
式(II−2)で表されるピラジン環は、2,3,5,6−位が置換されていることによって、電気的還元に対する耐久性を持ち得る。
・(II−3)で表される基
式(II−3)で表されるピリミジン環は、2,4,6−位が置換されていることによって、電気的還元に対する耐久性を持ち得る。
なお、該ピリミジン環の5−位は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、フェニル基などのアリール基、ピリジル基などのヘテロアリール基、メチル基などのアルキル基が好ましい。しかしながら、優れた電気化学的安定性の観点から、最も好ましくは、5−位は無置換である。
・(II−4)で表される基
式(II−4)で表されるトリアジン環は、2,4,6−位が置換されていることによって、電気的還元に対する耐久性を持ち得る。
環Bとしては、高い三重項励起準位、優れた電気化学的安定性の観点から、上記一般式(II−1)で表されるピリジン環、すなわち、nが1である場合が特に好ましい。
式(II)において、Gは、Qにつながる直接結合または任意の連結基を表すか、或いは芳香族炭化水素基を表す。また、Gは、環BのN原子のオルト位およびパラ位にあるC原子に結合する。mは、3〜5の整数である。一分子中に複数個存在するGは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
Gが、Qに繋がる直接結合または任意の連結基である場合のGは、直接結合または、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオランテン環などの、6員環の単環または2〜5縮合環由来の2価の連結基、或いは、それらが複数個連結されて形成された2価の連結基(例えば、ビフェニレン基、ターフェニレン基など)であることが好ましい。より好ましくは、直接結合、または、フェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基などの−(Ph)−(Phは置換基を有していてもよいフェニレン基を表し、pは1〜8の整数を表す。)で表される、ベンゼン環を1〜8個連結してなる2価の連結基である。
Qに繋がる場合のGの分子量としては、1000以下が好ましく、500以下が更に好ましい。この上限を上回ると芳香族性が損なわれる恐れがあり好ましくなく、上限を上回ると気化温度が上昇して蒸着法による製膜が困難になったり、溶解性が低下して湿式法による製膜に支障が出る恐れがあり好ましくない。
Gは、Qに繋がらない場合は、芳香族炭化水素基を表す。Qに繋がらない場合のGは、芳香族炭化水素基であればよいが、例えばベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオランテン環などの、6員環の単環または2〜5縮合環由来の1価の基、或いは、それらが複数個連結されて形成された1価の基(例えば、ビフェニル基、ターフェニル基など)が好ましく挙げられるが、より好ましくは、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基などのベンゼン環を1〜8個連結してなる1価の基である。
Qに繋がらない場合のGの分子量としては、2000以下が好ましく、1000以下が更に好ましい。この上限を上回ると芳香族性が損なわれる恐れがあり好ましくなく、上限を上回ると気化温度が上昇して蒸着法による製膜が困難になったり、溶解性が低下して湿式法による製膜に支障が出る恐れがあり好ましくない。
なお、Gは任意の置換基を有していてもよい。該置換基として好ましくは、アルキル基、芳香族炭化水素基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ハロゲン原子、アリールアミノ基、アルキルアミノ基、芳香族複素環基であり、より好ましくはアルキル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基であり、特に好ましくは、無置換、またはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオランテン環などの、6員環の単環または2〜5縮合環由来の1価の基、或いは、それらが複数個連結されて形成された1価の基(例えば、ビフェニル基、ターフェニル基など)である。
[4]分子量
本発明の有機化合物の分子量は、通常4000以下、好ましくは3000以下、より好ましくは2000以下であり、また通常200以上、好ましくは300以上、より好ましくは400以上である。
本発明の有機化合物の分子量がこの上限値を超えると、昇華性が著しく低下して電界発光素子を制作する際に蒸着法を用いる場合において支障を来したり、不純物の高分子量化によって精製が困難となる場合があり、またこの下限値を下回ると、ガラス転移温度および、融点、気化温度などが低下するため、耐熱性が著しく損なわれるおそれがある。
[5]物性
本発明の有機化合物は、通常50℃以上のガラス転移温度を有するが、有機電界発光素子に使用する際には、その耐熱性の観点から、ガラス転移温度は90℃以上であることが好ましく、110℃以上であることが更に好ましい。ガラス転移温度の上限は通常400℃程度である。
本発明の有機化合物は、常圧下で通常800℃以下の気化温度を有するが、有機電界発光素子に使用する際には、その蒸着製膜工程の安定性の観点から、気化温度は700℃以下であることが好ましく、600℃以下であることが更に好ましい。気化温度の下限は通常300℃程度である。
本発明の有機化合物は、通常100℃以上の融点を有するが、有機電界発光素子に使用する際には、その耐熱性の観点から、融点は150℃以上であることが好ましく、200℃以上であることが更に好ましい。融点の上限は通常500℃程度である。
[6]好ましい構造
前記式(I)で表される部分構造を一分子内に2以上有する本発明の有機化合物は、下記式(III)で表される構造であることが、高い三重項励起準位、優れた電気化学的安定性の観点から、特に好ましい。
Figure 0005082230
(式中、Cz、Z、環A、Qは各々式(I)におけると同義であり、Gは式(II)におけると同義である。
a,bおよびcは、それぞれZ−Czの数を表す。
また、a,bおよびcは、それぞれ独立に0〜5の整数を表す。
但し、a+b+cは2以上の整数である。
また、環Cの3位および/または5位は、任意の基で置換されていてもよい。)
式(III)中、(Z−Cz)の少なくとも2つは、環Aにおいて、Qに対するメタ位に結合する。
式(III)において、Gは、−(Ph)−(ただし、Phは置換基を有していてもよいフェニレン基を表し、pは1〜8の整数を表す。)であることが好ましい。
aおよびcは、それぞれ1,2または4であることが好ましく、1または2であることが更に好ましく、1であることが最も好ましい。すなわち、Czの様な電子供与性基の導入は、導入数が多すぎると環Cの電気的還元に対する耐性を低下させる恐れがあるため、aおよびcは小さい方が好ましい。
また、正または負電荷を帯びたとき、分子の対称性が高い方が、電荷の局在化による劣化現象を抑制できるため、a=cであることが好ましく、よって、最も好ましくは、a=c=1である。
bは、0,1,2または4であることが好ましく、0,1または2であることがより好ましく、0または1であることが更に好ましく、0であることが最も好ましい。すなわち、Czのような電子供与性基の導入は、導入数が多すぎると環Cの電気的還元に対する耐性を低下させる恐れがあるため、bは小さい方が好ましい。
上記式(III)で表される有機化合物は、更に下記式(IV)で表されることが、電気的還元に対する耐性がより向上する構造であるため好ましい。
Figure 0005082230
(式中、Cz、Z、Q、環Aは各々式(I)におけると同義である。Gは式(II)におけると同義である。環Cは式(III)におけると同義である。)
中でも、好ましい構造として、具体的には、下記一般式(IV−1)で表される有機化合物が挙げられる。
Figure 0005082230
(式中、X,Xは各々独立に、前記V−1〜39から選択される1価の基であり、Xは、下記W−1〜37から選択される1価の基であり、環Cは式(III)におけると同義である。)
上記一般式(IV−1)において、電気的酸化・還元に対する耐性向上の観点、非晶質性向上の観点、あるいは耐熱性向上の観点から、X,Xは各々独立に、好ましくは、V−1〜6,8,9,12,13,16〜22,24,27,28,35〜37であり、より好ましくはV−1,2,3,5,6,12,35〜37であり、最も好ましくは、V−1,2,5である。また、Xは、電気的酸化・還元に対する耐性向上の観点から、好ましくは、W−1〜3,6,8,10,11,20,29,31,32,34〜37であり、より好ましくはW−1〜3,6,8,11,31,32,34〜36であり、最も好ましくはW−2,6,34,36である。
Figure 0005082230
Figure 0005082230
本発明の有機化合物の好ましい別の具体的な構造として、下記一般式(V)で表されるものを挙げることができる。
Figure 0005082230
(式中、Cz、Z、Q、環Aは各々式(I)におけると同義である。Gは式(II)におけると同義である。環Cは式(III)におけると同義である。)
中でも、好ましい構造として、具体的には、下記一般式(V−1)および(V−2)で表される有機化合物が挙げられる。
Figure 0005082230
(式中、X,X,Xは各々独立に、前記V−1〜39から選択される1価の基であり、環Cは式(III)におけると同義である。環Dは、環CとXとをつなぐフェニレン連結基である。)
上記一般式(V−1)において、電気的酸化・還元に対する耐性の向上、非晶質性の向上、あるいは耐熱性向上の点から、X,X,Xは各々独立に、好ましくは、V−1〜6,8,9,12,13,16〜22,24,27,28,35〜37であり、より好ましくはV−1,2,3,5,6,12,35〜37であり、最も好ましくは、V−1,2,5である。環Cとの結合位置を環Dの1−位と定義した場合、Xとの結合位置は、環Dの2〜6−位の何れでもよいが、電気的還元に対する耐性向上の点から、好ましくは3〜5位であり、より好ましくは4−位である。
Figure 0005082230
(式中、X,X,Xは各々独立に、前記V−1〜39から選択される1価の基であり、環Cは式(III)におけると同義である。)
上記一般式(V−2)において、電気的酸化・還元に対する耐性の向上、非晶質性の向上あるいは耐熱性向上の点から、X,X,Xは各々独立に、好ましくは、V−1〜6,8,9,12,13,16〜22,24,27,28,35〜37であり、より好ましくはV−1,2,3,5,6,12,35〜37であり、最も好ましくは、V−1,2,5である。
[7]具体例
以下に、本発明の有機化合物として好ましい具体的な例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の例示構造式中、−N−Czは、N−カルバゾリル基を示す。
Figure 0005082230
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[8]合成法
本発明の有機化合物は、目的とする化合物の構造に応じて原料を選択し、公知の手法を用いて合成することができる。
(1) ピリジン環の導入方法としては、次のA)ないしC)に記載の方法を採用することができる。
A)原料としてR−(CHO)を用いた場合(ここでRは、任意の置換基または連結基を表す)、次の1)〜5)の方法などを採用することができる。
1)Angew.Chem.Int.Ed.Engl.(1962)1,626やSynthesis(1976),1-24やJ.Heterocyclic Chem.(1977)14,147やCollect.Czech.Chem.Commun.57(1992)2,385-392やCS−262585号公報などで開示されている、1当量のアルデヒドと0.5〜2当量のアセチリドとを、硫酸などの強酸存在下で酢酸、アルコール、ニトロベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、シクロヘキサンなどの単独または混合溶媒中、室温で1〜10時間撹拌して、或いは水酸化ナトリウムなどの強塩基存在下、アルコールおよび/または水溶媒中、加熱条件下で1〜10時間撹拌して、中間体(−CH=CR−CO−)を得、これを酢酸溶媒中、加熱条件下、酸素存在下、アシルピリジニウム塩と酢酸アンモニウムを作用させて合成する方法
Figure 0005082230
2)Liebigs Ann.Chem.(1974),1415-1422やJ.Org.Chem.38,(2002)6,830-832や特開2000−186066号公報などで開示されている、ボロントリフルオリドや過塩素酸などの酸化剤存在下、加熱条件でトルエン溶媒中、アルデヒドとアセチリドとを反応させ、ピリリウム塩を生成し、それを水やアルコール溶媒中でアンモニアと反応させる方法
Figure 0005082230
3)J.Am.Chem.Soc.(1952)74,200などに開示されている、酢酸、アルコール、ニトロベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、シクロヘキサンなどの単独または混合溶媒中、加熱条件下、酢酸アンモニウムとアルデヒドとアセチリドから一段階で合成する方法
Figure 0005082230
4)Chem.Commun.(Cambridge)(2000)22,2199-2200などに開示されている、水酸化ナトリウムなどの強塩基存在下、無溶媒でアルデヒドと2当量のアセチリドを室温で、乳鉢を用いてすり混ぜて中間体(ジケトン)を生成した後、酢酸、アルコール、ニトロベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、シクロヘキサンなどの単独または混合溶媒中、加熱条件下で酢酸アンモニウムを作用させて合成する方法、
Figure 0005082230
5)J.Org.Chem.(1988),53,5960などに開示されている、アルデヒドとエチリデンビニルアミンから一段階で合成する方法
Figure 0005082230
B)2,4,6−位の少なくとも一カ所に塩素や臭素やヨウ素などのハロゲン原子が置換されたピリジン環を原料に用いる場合、前記ハロゲン元素を任意の置換基に変換が可能である。
例えば、Org.Lett.3(2001)26,4263-4265などに開示されている、パラジウム触媒存在下、加熱条件でジンクブロマイドやボロン酸を作用させることによって合成する方法が挙げられる(以下において、dbaはジベンジリデンアセトンである。)。
Figure 0005082230
C)その他、各種置換基の導入、連結基G或いはZの形成において、必要に応じ、任意に公知の手法を適用することができる。例えば、下記1)〜3)などを採用することができる。
1)アルデヒドとしてパラホルムアルデヒド、アセチリドとして芳香族アシル化合物を用い、2,6−位に芳香環基を有するピリジンを合成し、これをN−ブロモスクシンイミドなどのハロゲン化剤を用いてピリジン環の4−位をハロゲン化してハロゲン体を得、そのハロゲン原子を−B(OH)基や−ZnCl基や−MgBr基に変換したものと、前記ハロゲン体とをカップリング反応させて合成する方法
2)前記ハロゲン体を、n−ブチルリチウムなどでリチオ化後、N,N−ジメチルホルムアミドで処理することで、2,6−位に芳香環基を有し、4−位に−CHO基を有するピリジンを合成した後、アセチリドと反応させて第二のピリジン環を合成する方法
3)前記B)の出発原料として挙げた2,6−ジクロロ−4−ヨードピリジンを塩基存在下、銅粉末などの銅触媒を用いて、150〜250℃で加熱撹拌することにより、2,6,2’,6’−テトラクロロ−[4,4’]ビピリジルを合成し、これを前記B)と同様に処理することで合成する方法
なお、上記合成方法で用いられるアルデヒド(R−CHO)は、通常入手可能な試薬を適宜利用可能であるが、必要があれば、次の1)〜13)の方法等により、容易に合成することが可能である。
1) 例えばハロゲン化物(R−X)や活性水素原子を有する炭化水素化合物(R−H)をブチルリチウムなどのアルキルリチウム、水素化ナトリウム、トリエチルアミン、tert−ブトキシカリウム、水酸化ナトリウムなどの強塩基(好ましくはブチルリチウムなどのアルキルリチウム)を作用させた後、N,N−ジメチルホルムアミドで処理する方法(Organic&Biomolecular Chemistry(2003)1,7,1157-1170;Tetrahedron Lett.42(2001)37,6589-6592)
2) −COR基(Rは水素原子、塩素原子、アルキル基、芳香環基、アミノ基)をリチウムアルミニウムハイドライド、水素化硼素ナトリウム等で還元して、アルコール化後、ピリジニウムクロロクロメート、二酸化マンガン、アイオドキシベンゾイックアシッド、パーオキソジスルフェート、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン等で酸化して−CHO化する方法(J.Med.Chem.(1990)33,2408-2412;Angew.Chem.,Int.Ed.40(2001)23,4395-4397;J.Am.Chem.Soc.(2002)124,10,2245-58;J.Am.Chem.Soc.(1993)115,9,3752-3759;J.Chem.Res.,Synop.(2001)7,274-276;Synthesis(2001)15,2273-2276;Bull.Korean Chem.Soc.20(1999)11,1373-1374;Arzneim.-Forsch.47(1997)1,13-18;J.Org.Chem.63(1998)16,5658-5661;J.Chem.Soc.Sec.C;Organic(1968)6,630-632)
3) −COR基(Rは水素原子、塩素原子、アルキル基、芳香環基、アミノ基)をリチウムトリス(ジアルキルアミノ)アルミニウムハイドライド、ソディウムトリス(ジアルキルアミノ)アルミニウムハイドライドなどで還元し、一段階で−CHO化する方法(Bull.Korean Chem.Soc.,13(1992)6,670-676;Bull.Korean Chem.Soc.,12(1991)1,7-8;Org.Prep.Proced.Int.24(1992)3,335-337)
4) −COR基(Rは水素原子、塩素原子、アルキル基、芳香環基、アミノ基)を水素とパラジウム触媒の存在下、一段階で−CHO化する方法(Chem.Ber.(1959)92,2532-2542;WO 00/12457;Bull.Chem.Soc.Jpn.(2001)74,1803-1815)
5) −CN基をリチウムトリス(ジアルキルアミノ)アルミニウムハイドライドなどで還元し、一段階で−CHO化する方法(Bull.Korean Chem.Soc.,13(1992)6,670-676)
6) Ar−CH基(Arは芳香環基)にo-Iodylbenzoic acid,Dess-Martin period-inane,Acetoxyiodosylbenzoic acidなどを作用させて、直接、Ar−CHO化する方法(J.Am.Chem.Soc.(2002)124,10,2245-58)
7) Ar−CH基(Arは芳香環基)をAr−CHBr、Ar−CHOCHCOOを経由してAr−CHOHに変換後、ピリジニウムクロロクロメート、二酸化マンガン、アイオドキシベンゾイックアシッド等で酸化して−CHO化する方法(J.Org.Chem.(1993)58,3582-3585)
8) 1−エチル−1−アリールアリルアルコールにVilsmeier試薬を作用させて、アリールカルボキシアルデヒドを合成する方法(Indian Journal of Chemistry(1988)27B,213-216)
9) 1,4−シクロヘキサジエン類にVilsmeier試薬を作用させて、アリールカルボキシアルデヒドを合成する方法(Synthesis(1987),197-199;Synthesis(1985),779-781)
10) Ar−CH基(Arは芳香環基)を臭素、N−ブロモ琥珀酸イミドなどを用いて臭素化してAr−CHBrとした後、2-Nitropropane carboanion試薬、Hexamethylenetetramine等を作用させてAr−CHO化する方法(Collect.Czech.Chem.Commun.(1996)61,1464-1472;Chem.Eur.J.(1996)2,12,1585-1595;J.Chem.Research(S),(1999)210-211)
11) ポリメチニウム塩(ヘプタメチニウム塩など)からアリールアルデヒド(1,3,5−トリホルミルベンゼンなど)を得る方法(Collect.Czech.Chem.Commun.(1965)30,53-60)
12)トリホルミルメタンのself-condensationにより、1,3,5−トリホルミルベンゼンを得る方法(Collect.Czech.Chem.Commun.(1962)27,2464-2467)
13)Ar−CHBr基(Arは芳香環基)をジアルキルアミンを用いてAr−CHO化する方法(Bulletin de La Societe Chmique De France(1966)9,2966-2971)
また、上記合成方法で用いられるケトン(R−CO−CH2−R)は、通常入手可能な試薬を適宜利用可能であるが、必要があれば、次の1),2)の方法等により、容易に合成することができる。
1) R−COR基(Rは水素原子、塩素原子、アルキル基、芳香環基、アミノ基)を各種アルキル化剤(アルキルリチウム、ジメチル硫酸、ジメチルスルホキシドなど)で処理することにより、R−CO−CH化する方法(J.Am.Chem.Soc.(1959),81,935-939;J.Am.Chem.Soc.(1961)83,4668-;Tetrahedron Lett.(1967)1073-;J.Chem.Soc.(1960)360-;J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1(1977)680;JP5-5062039)
2) 塩化アルミニウムなどのルイス酸触媒存在下、酸クロライドなどのアシル化剤を作用させて合成する方法(極めて一般的な、フリーデルクラフツ反応)
他の合成方法としては、「ヘテロ環の化学−医薬品の基礎」(2002年、國枝ら、化学同仁社)、「Heterocyclic Chemistry」(第4版、2000年、J.A.Joule and K.Mills、Blackwell Science社)、「新編ヘテロ環化合物 基礎編、応用編」(2004年、山中宏ほか、講談社)、「ボルハルト・ショアー現代有機化学 下」(2004年、K.P.C.Vollhardt、化学同人社)などに記載または引用されている合成方法を利用することもできる。
(2) ピラジン環の導入方法としては、例えば、次の1]〜7]の方法などを採用することができる。
1]同一もしくは異なる芳香族アルデヒドから(Khim.-Farm.Zh.25(1991)4,28-31;Helvetica Chimica Acta(1985)68(3),592-599;J.Chem.Res.Synop.(2002)6,262-263;Ser C.(19966)263,1156-;J.Am.Chem.Soc.(2002)124,12084-12085;Advanced Synthesis & Catalysis(2002)344,96-103;PCT Int.Appl.,2002002753,10 Jan.2002;J.Org.Chem.(2001)66,8010-8014;J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1,(2001)7,633-635;Tetrahedron Lett.(2000)41,10159-10162;J.Org.Chem.(1983)48,459-464;Journal fuer Praklische Chemie(Leipzig)(1962)16,1-7)、或いはα−ジヒドロ体から(Tetrahedron:Asymmetry(1998)9,4117-4122)、或いはアリールリチウムから(J.Org.Chem.(1982)47,4347-4348;Tetrahedron Lett.(1989)30,989-992)、或いはα−ジケトン体から(Journal fuer Praklische Chemie(Leipzig)(1962)16,1-7)、アリールエステルから(Tetrahedron Lett.(1980)21,2227-2228)、ベンゾイン型中間体を合成し、これをアンモニアや酢酸アンモニウムなどを酸素存在下で作用させることで得る方法(J.Org.Chem.(1937)2,328-;Bull.Soc.Chim.Fr.(1968)4970-;Helvetica ChimicaActa(1985)68(3),592-599;C.R.Seances Acad.Sci.,Ser C.(1966)263,1156-)
Figure 0005082230
2]α−ジケトンとα−ジアミンで環化させ(J.Org.Chem.57(1992)24,6653-6657;Helvetica Chimica Acta(1976)59,1169-;Helvetica Chimica Acta(1973)56,610-)、酸化処理で合成する方法(Helvetica Chimica Acta(1976)59,1169-)
Figure 0005082230
3]α−ハロケトンにアンモニアや酢酸アンモニウムなどを作用させることで得る方法(特開平03-048666)
Figure 0005082230
4]同一もしくは異なる芳香族アミドにアンモニアや酢酸アンモニウムなどを作用させることで得る方法(Helvetica Chimica Acta(1985)68,592-599;特開平06-065212)
Figure 0005082230
5]アミノ酸からアミノ酸無水物(Bull.Soc.Chem.Fr.(1942)9,487-;J.Am.Pharm.Assoc.,Sci.Ed.(1957)46,391-)を経て、或いはその他の経路からピラジンのジハライド(J.Heterocyclic Chem.(1986)23,871-875;Chemical&Pharmaceutical Bull.(1979)27,2980-2987;J.Am.Chem.Soc.(1956)78,4071-4077;)を得、これとアリールボロン酸(Suzuki Coupling法)やカルバゾール、インドール、ピロール、ピラゾールなどのアゾール類(Suzuki Coupling法(Tetrahdron 48(1992)37,8117-8126)もしくはUllman法)やテトラアリール錫(Heterocycles(1986)24,785-792)とのカップリング反応によって目的物を得る方法
Figure 0005082230
6]ピロールから合成する方法(Justus Liebigs Ann.Chem.(1952)578,226-)
Figure 0005082230
7]他の合成方法
「ヘテロ環の化学−医薬品の基礎」(2002年、國枝ら、化学同仁社)、「Heterocyclic Chemistry」(第4版、2000年、J.A.Joule and K.Mills、Blackwell Science社)、「新編ヘテロ環化合物 基礎編、応用編」(2004年、山中宏ほか、講談社)、「ボルハルト・ショアー現代有機化学 下」(2004年、K.P.C.Vollhardt、化学同人社)などに記載または引用されている合成方法を利用することもできる。
(3) ピリミジン環の導入方法としては、Journal of.Organometallic Chemistry,663(1-2),46-57,2002或いはJournal of Organic Chemistry,66(21),7125-7128,2001で用いられているパラジウム触媒を用いた方法をはじめ、「ヘテロ環の化学−医薬品の基礎」(2002年、國枝ら、化学同仁社)、「Heterocyclic Chemistry」(第4版、2000年、J.A.Joule and K.Mills、Blackwell Science社)、「新編ヘテロ環化合物 基礎編、応用編」(2004年、山中宏ほか、講談社)、「ボルハルト・ショアー現代有機化学 下」(2004年、K.P.C.Vollhardt、化学同人社)などに記載または引用されている合成方法を利用することができる。
(4) トリアジン環の導入方法としては、次の1〉〜3〉の方法などを採用することができる。
1〉アリールシアン化物から合成する方法
Figure 0005082230
(図中、Ar’は、任意の置換基(ハロゲン原子、アリール基、ヘテロアリール基など)を有していてもよいアリーレン基、ヘテロアリーレン基、若しくは不飽和炭化水素基を表し、同一であっても異なっていてもよい)
上記合成方法は、具体的には、Faming Zhuanli Shenqing Gongkai Shuomingshu,1382687,04 Dec.2002、Journal of Organic Chemistry,68(12),4855-4861;2003、Green Chemistry,4(4),339-343;2002、Chinese Journal of Chemistry,20(11),1334-1339;2002、Synthetic Communications,30(6),1017-1022;2000、Chemistry Letters,(7),545-546;1999、Mendeleev Communications,(5),166-167;1994、Journal of Heterocyclic Chemistry,25(3),767-770;1988、Journal of Organic Chemistry,52(16),3674-3680;1987などに記載または引用されている方法を利用できる。
2〉トリハロゲン化トリアジンから合成する方法
Figure 0005082230
(式中、Xは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素のいずれかを表し、Arは、任意の置換基(ハロゲン原子、アリール基、ヘテロアリール基など)を有していてもよいアリーレン基、ヘテロアリーレン基、若しくは不飽和炭化水素基を表し、同一であっても異なっていてもよい)
上記合成方法は、具体的には、Xが塩素、臭素或いはヨウ素の場合には、Journal of Organic Chemistry,68(9),3367-3379;2003、Journal of Organic Chemistry,67(24),8424-8429;2002、Inorganic Chemistry,41(9),2543-2547;2002、Synthetic Metals,122(3),485-493;2001、Organic Letters,3(15),2419-2421;2001、U.S.,5726310,10 Mar 1998、Tetrahedron Letters,38(46),8017-8020;1997、Eur.Pat.Appl.,779280,18 Jun 1997、Mendeleev Communications,(5),166-167;1994、U.S.,4826978,02 May 1989などに記載または引用されている合成方法を利用することができる。
また、Xがフッ素の場合、Chemistry of Materials,16(1),185-194;2004などに記載または引用されている合成方法を利用することができる。
3〉その他の合成方法
Journal of Organic Chemistry,68(12),4855-4861;2003、European Journal of Organic Chemistry,(10),1948-1953;2003、Tetrahedron,56(37),7153-7161;2000、Journal of the Indian Chemical Society,73(6),283-284;1996、Eur.Pat.Appl.,649841,26 Apr 1995、Archiv der Pharmazie(Weinheim,Germany),327(6),389-391;1994、Izvestiya Natsional’noi Akademii Nauk Respubliki Kazakhstan,Seriya Khimicheskaya,(2),13-20;1993、Eur.Pat.Appl.,497734,05 Aug 1992、Heterocycles,34(2),341-347;1992、Sibirskii Khimicheskii Zhurnal,(4),96-98;1991、Bulletin of the Chemical Society of Japan,62(10),3171-3176;1989、Journal of the Chemical Society,Perkin Transactions 2:Physical Organic Chemistry(1972-1999),(2),117-122;1988、Zeitschrift fuer Chemie,26(8),295-297;1986、Khimiya Geterotsiklicheskikh Soedinenii,(1),107-113;1986、Synthesis,(1),95-98;1985、Journal of Heterocyclic Chemistry,18(6),1197-1201;1981、Tetrahedron Letters,(43),4193-4196;1979、Ber.,96,1213-1217;1963などに記載または引用されている合成方法を利用することができる。
また、他にも、「ヘテロ環の化学−医薬品の基礎」(2002年、國枝ら、化学同仁社)、「Heterocyclic Chemistry」(第4版、2000年、J.A.Joule and K.Mills、Blackwell Science社)、「新編ヘテロ環化合物 基礎編、応用編」(2004年、山中宏ほか、講談社)、「ボルハルト・ショアー現代有機化学 下」(2004年、K.P.C.Vollhardt、化学同人社)などに記載または引用されている合成方法を利用することもできる。
(4) N−カルバゾリル基の導入方法としては、合成の最終工程でカルバゾリル基を導入する方法として、例えば、次のa)〜c)の方法を採用することができる。
a)フルオロフェニルボロン酸、ジフルオロフェニルボロン酸、フルオロビフェニルボロン酸エステル、ペンタフルオロフェニルボロン酸などのハロゲン化芳香族ボロン化合物の小過剰(後述されるハロゲン化物のハロゲン原子に対して0.7〜1.5倍当量程度)とジブロモフルオロベンゼン、ジヨードベンゼン、トリブロモベンゼン、トリクロロトリアジン、ジヨードビフェニルなどの芳香族2または3置換ハロゲン化物とをテトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウムなどのパラジウム触媒(0.1〜10モル%程度)、炭酸セシウム、リン酸カリウム、炭酸ナトリウムなどの塩基(前記ハロゲン化物のハロゲン原子に対して2〜10倍当量程度)存在下、トルエン−エタノール、トルエン−水、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、N,N−ジメチルホルムアミドなど、或いはそれらの混合溶媒系中(前記ボロン酸濃度で1〜1000ミリモル%程度)、不活性ガス雰囲気下で5〜24時間程度、加熱還流させることにより、フッ素原子を置換基に有する基本骨格を形成する。
次に、置換または無置換のカルバゾール(前記フッ素原子を置換基に有する基本骨格上のフッ素原子に対して1.1〜10当量程度)を、乾燥ガス雰囲気下および/または不活性ガス雰囲気下、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エーテル、N,N−ジメチルホルムアミドなどの溶媒中、−78〜+60℃の温度範囲で水素化ナトリウム、tert−ブトキシカリウム、n−ブチルリチウムなどの強塩基(後述するアゾール化合物のN上水素に対して0.9〜2当量程度)と0.1〜60時間撹拌して反応させたものと、先に得られるフッ素原子を置換基に有する基本骨格のテトラヒドロフラン、ジオキサン、エーテル、N,N−ジメチルホルムアミドなどの溶液とを混合し、加熱還流下、1〜60時間撹拌することにより、本発明の有機化合物を得ることができる。
b)ブロモフェニルボロン酸、ジブロモフェニルボロン酸、ジクロロフェニルボロン酸などのハロゲン化芳香族ボロン酸の小過剰(後述されるハロゲン化物のハロゲン原子に対して1.1〜1.5倍当量程度)とジヨードベンゼン、ブロモジヨードベンゼン、トリヨードベンゼン、トリクロロトリアジン、ジヨードビフェニルなどの2または3置換ハロゲン化物とをテトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウムなどのパラジウム触媒(前記ハロゲン化物のハロゲン原子に対して0.01〜1当量程度)、炭酸セシウム、リン酸カリウム、炭酸ナトリウムなどの塩基(前記ハロゲン化物のハロゲン原子に対して2〜10当量程度)存在下、トルエン、エタノール、水、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、N,N−ジメチルホルムアミドなど、或いはそれらの混合溶媒系中(前記ハロゲン化物濃度で1〜1000ミリモル%程度)、不活性ガス雰囲気下で5〜24時間程度、加熱還流させることにより、臭素原子または/および塩素原子を置換基に有する基本骨格を形成することができる。
更に、必要に応じて、得られた臭素基を有する基本骨格から、ヨウ化カリウム(前記基本骨格上の臭素原子に対して1.5〜10当量)、ヨウ化銅(1〜10当量)存在下、N,N−ジメチルホルムアミドなどの溶媒(前記ハロゲン化物濃度で0.1〜10モル%程度)中、100〜300℃で0.5〜60時間撹拌することにより、臭素基がヨウ素基に変換された基本骨格を得ることができる。
次に、臭素原子または/および塩素原子を置換基に有する基本骨格と、カルバゾール(前記臭素原子または/および塩素原子を置換基に有する基本骨格上の臭素原子または/および塩素原子に対して1.0〜100当量程度)とを、
(1) 銅粉末、銅線、ハロゲン化銅(CuX(X=Cl、Br、I))、酸化銅(CuO)などの銅触媒(前記臭素原子または/および塩素原子を置換基に有する基本骨格上の臭素原子または/および塩素原子に対して1〜5当量程度)存在下、不活性ガス気流下、無溶媒またはテトラグライム、ポリエチレングリコールなどの溶媒(前記基本骨格1モルに対して0.1〜2リットル程度)中、20〜300℃の温度範囲で、1〜60時間撹拌混合するか、
(2) Pd(dba)(Pd=パラジウム、dba=ジベンジリデンアセトン)、Pd(dba)、酢酸パラジウムなどの2価のパラジウム触媒と、BINAP(=2,2’-ビス(ジフェニルフォスフィノ-1,1’-ビナフチル)、トリ(tert−ブチル)フォスフィン、トリフェニルフォスフィン、1,2−ビス(ジフェニルフォスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルフォスフィノ)プロパン、1,3−ビス(ジフェニルフォスフィノ)ブタン、dppf(=1,1’-ビス(ジフェニルフォスフィノ)フェロセン)などのリガンド類の組合せ、或いはPd(PPh)(Ph=フェニル)などの0価のパラジウム錯体、或いはPdCl(dppf)などのパラジウム塩化物錯体などの触媒(通常、前記臭素原子または/および塩素原子を置換基に有する基本骨格上の臭素原子または/および塩素原子1当量に対して0.01〜1当量程度)と、必要に応じてtert-ブトキシカリウム、tert-ブトキシナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミンなどの強塩基類(通常、反応で生成し得るハロゲン化水素1当量に対して、1.1〜10当量)存在下、必要に応じてヨウ化銅などの銅触媒(通常、反応で生成し得るハロゲン化水素1当量に対して、1〜10当量)共存下、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、キシレン、トルエン、トリエチルアミンなどの溶媒(通常、前記臭素原子または/および塩素原子を置換基に有する基本骨格の濃度で0.1〜100ミリモル%程度)中、30〜200℃で1〜60時間かけて撹拌する
などにより、本発明の有機化合物を得ることが出来る。
c)その他にも、カップリングには、グリニヤ反応、亜鉛を用いた方法、スズを用いた方法など、公知の手法を適用可能であり、使用される触媒としては、パラジウム、ニッケル、銅などの遷移金属触媒が挙げられ、通常、触媒はカルバゾール環を有する中間体に対して0.1〜200モル%程度使用される。また、塩基性物質としては、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、リン酸カリウム、炭酸セシウム、tert−ブトキシナトリウムなどが挙げられ、通常、塩基性物質はカルバゾール環を有する中間体に対して50〜1000モル%程度使用される。反応温度としては、通常、0℃以上、好ましくは50℃以上、300℃以下、好ましくは、200℃以下である。反応に使用できる溶媒としては、トルエン、キシレン、ニトロベンゼン等の芳香族系溶媒、テトラヒドロフラン、エトレングリコールジメチルエーテル、テトラグライム等のエーテル系溶媒が挙げられる。
(5) 2〜8−カルバゾリル基の導入方法としては、連結基Zが連結される位置に、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子を有するカルバゾールとアリールボレートとのカップリング反応、若しくは、ハロゲン化アリールとカルバゾリルボレートとのカップリング反応を利用可能であり、具体的には、公知のカップリング手法(「Palladium in Heterocyclic Chemistry:A guide for the Synthetic Chemist」(第二版、2002、Jie Jack Li and Gordon W.Gribble、Pergamon社)、「遷移金属が拓く有機合成 その多彩な反応形式と最新の成果」(1997年、辻二郎、化学同仁社)、「ボルハルト・ショアー現代有機化学 下」(2004年、K.P.C.Vollhardt、化学同人社))などに記載または引用されている環同士の結合(カップリング)反応)を用いることができる。
(6) また、上述した合成手法例に限らず、前記式(I)のCz基と、前記式(II−1)に記載のピリジン環、式(II−2)に記載のピラジン環、式(II−3)に記載のピリミジン環、式(II−4)に記載のトリアジン環の何れかとを繋ぐ連結基(即ち、−G−Q−(環A)−Z−)の形成には、必要に応じて、公知のカップリング手法(「Palladium in Heterocyclic Chemistry:A guide for the Synthetic Chemist」(第二版、2002、Jie Jack Li and Gordon W.Gribble、Pergamon社)、「遷移金属が拓く有機合成 その多彩な反応形式と最新の成果」(1997年、辻二郎、化学同仁社)、「ボルハルト・ショアー現代有機化学 下」(2004年、K.P.C.Vollhardt、化学同人社))などに記載または引用されている環同士の結合(カップリング)反応)を用いることができる。
(7) 化合物の精製方法としては、「分離精製技術ハンドブック」(1993年、(財)日本化学会編)、「化学変換法による微量成分および難精製物質の高度分離」(1988年、(株)アイ ピー シー発行)、或いは「実験化学講座(第4版)1」(1990年、(財)日本化学会編)の「分離と精製」の項に記載の方法をはじめとし、公知の技術を利用可能である。具体的には、抽出(懸濁洗浄、煮沸洗浄、超音波洗浄、酸塩基洗浄を含む)、吸着、吸蔵、融解、晶析(溶媒からの再結晶、再沈殿を含む)、蒸留(常圧蒸留、減圧蒸留)、蒸発、昇華(常圧昇華、減圧昇華)、イオン交換、透析、濾過、限外濾過、逆浸透、圧浸透、帯域溶解、電気泳動、遠心分離、浮上分離、沈降分離、磁気分離、各種クロマトグラフィー(形状分類:カラム、ペーパー、薄層、キャピラリー。移動相分類:ガス、液体、ミセル、超臨界流体。分離機構:吸着、分配、イオン交換、分子ふるい、キレート、ゲル濾過、排除、アフィニティー。)などが挙げられる。
(8) 生成物の確認や純度の分析方法としては、ガスクロマトグラフ(GC)、高速液体クロマトグラフ(HPLC)、高速アミノ酸分析計(AAA)、キャピラリー電気泳動測定(CE)、サイズ排除クロマトグラフ(SEC)、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)、交差分別クロマトグラフ(CFC)質量分析(MS、LC/MS,GC/MS,MS/MS)、核磁気共鳴装置(NMR(HNMR,13CNMR))、フーリエ変換赤外分光高度計(FT−IR)、紫外可視近赤外分光高度計(UV.VIS,NIR)、電子スピン共鳴装置(ESR)、透過型電子顕微鏡(TEM−EDX)電子線マイクロアナライザー(EPMA)、金属元素分析(イオンクロマトグラフ、誘導結合プラズマ−発光分光(ICP−AES)原子吸光分析(AAS)蛍光X線分析装置(XRF))、非金属元素分析、微量成分分析(ICP−MS,GF−AAS,GD−MS)等を必要に応じ、適用可能である。
〔電荷輸送材料〕
本発明の有機化合物は電荷輸送材料として使用することができる。
本発明の電荷輸送材料は本発明の有機化合物を含有すればよいが、通常本発明の有機化合物からなる電荷輸送材料であることが好ましい。
〔有機電界発光素子〕
次に、上述のような本発明の有機化合物を用いる本発明の有機電界発光素子について説明する。
本発明の有機電界発光素子は、基板上に、陽極、陰極、およびこれら両極間に設けられた有機発光層を有する有機電界発光素子において、本発明の有機化合物を含有する層を有するものであって、好ましくは本発明の有機化合物を有機発光層に含有し、特に好ましくは有機発光層において、本発明の有機化合物をホスト材料とし、このホスト材料に対して、有機金属錯体がドープされてなるものである。
本発明の有機化合物を、このように有機電界発光素子の有機発光層のホスト材料として用いる場合、1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
以下に、本発明の有機電界発光素子の構造の一例について、図面を参照しながら説明するが、本発明の有機電界発光素子の構造は以下の図示のものに限定されるものではない。
図1〜4は本発明の有機電界発光素子の構造例を模式的に示す断面図であり、1は基板、2は陽極、3は正孔注入層(陽極バッファ層)、4は正孔輸送層、5は発光層、6は正孔阻止層、7は電子輸送層、8は陰極を各々表す。
(基板)
基板1は有機電界発光素子の支持体となるものであり、石英やガラスの板、金属板や金属箔、プラスチックフィルムやシートなどが用いられる。特にガラス板や、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホンなどの透明な合成樹脂の板又はフィルムが好ましい。合成樹脂基板を使用する場合にはガスバリア性に留意する必要がある。基板のガスバリア性が小さすぎると、基板を通過した外気により有機電界発光素子が劣化することがあるので好ましくない。このため、合成樹脂基板の少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜等を設けてガスバリア性を確保する方法も好ましい方法の一つである。
(陽極)
基板1上には陽極2が設けられる。陽極2は正孔輸送層4への正孔注入の役割を果たすものである。陽極2は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属、インジウムおよび/又はスズの酸化物などの金属酸化物、ヨウ化銅などのハロゲン化金属、カーボンブラック、或いは、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子などにより構成される。陽極2は通常、スパッタリング法、真空蒸着法などにより形成されることが多い。また、銀などの金属微粒子、ヨウ化銅などの微粒子、カーボンブラック、導電性の金属酸化物微粒子、導電性高分子微粉末などで陽極2を形成する場合には、適当なバインダー樹脂溶液中に分散させて、基板1上に塗布することにより形成することもできる。更に、導電性高分子で陽極2を形成する場合には、電解重合により基板1上に直接重合薄膜を形成したり、基板1上に導電性高分子を塗布して形成することもできる(Appl.Phys.Lett.,60巻,2711頁,1992年)。
陽極2は通常は単層構造であるが、所望により複数の材料からなる積層構造とすること
も可能である。
陽極2の厚みは、必要とする透明性により異なる。透明性が必要とされる場合は、可視光の透過率を、通常60%以上、好ましくは80%以上とすることが望ましい。この場合、陽極の厚みは通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また通常1000nm以下、好ましくは500nm以下程度である。不透明でよい場合は陽極2の厚みは任意であり、所望により金属で形成して基板1を兼ねてもよい。
(正孔輸送層)
図1に示す構成の素子において、陽極2の上には正孔輸送層4が設けられる。正孔輸送層の材料に要求される条件としては、陽極2からの正孔注入効率が高く、かつ、注入された正孔を効率よく輸送することができる材料であることが必要である。そのためには、イオン化ポテンシャルが小さく、可視光の光に対して透明性が高く、しかも正孔移動度が大きく、更に安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時や使用時に発生しにくいことが要求される。また、発光層5に接するために発光層5からの発光を消光したり、発光層5との間でエキサイプレックスを形成して効率を低下させないことが求められる。上記の一般的要求以外に、車載表示用の応用を考えた場合、素子には更に耐熱性が要求される。従って、ガラス転移温度として85℃以上の値を有する材料が望ましい。
このような正孔輸送材料としては、発光層5のホスト材料に用いられる正孔輸送性材料と同様に、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルで代表される2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族ジアミン(特開平5−234681号公報)、4,4’,4''−トリス(1−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン等のスターバースト構造を有する芳香族アミン化合物(J. Lumin., 72−74巻、985頁、1997年)、トリフェニルアミンの四量体から成る芳香族アミン化合物(Chem. Commun.,2175頁、1996年)、2,2’,7,7’−テトラキス−(ジフェニルアミノ)−9,9’−スピロビフルオレン等のスピロ化合物(Synth. Metals, 91巻、209頁、1997年)、4,4'−N,N'−ジカルバゾールビフェニルなどのカルバゾール誘導体等が挙げられる。これらの化合物は、1種を単独で用いてもよいし、必要に応じて複数種混合して用いてもよい。
上記の化合物以外に、正孔輸送層4の材料として、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルトリフェニルアミン(特開平7−53953号公報)、テトラフェニルベンジジンを含有するポリアリーレンエーテルサルホン(Polym. Adv. Tech., 7巻、33頁、1996年)等の高分子材料が挙げられる。
正孔輸送層4は、スプレー法、印刷法、スピンコート法、ディップコート法、ダイコート法などの通常の塗布法や、インクジェット法、スクリーン印刷法など各種印刷法等の湿式成膜法や、真空蒸着法などの乾式成膜法で形成することができる。
塗布法の場合は、正孔輸送材料の1種又は2種以上に、必要により正孔のトラップにならないバインダー樹脂や塗布性改良剤などの添加剤を添加し、適当な溶剤に溶解して塗布溶液を調製し、スピンコート法などの方法により陽極2上に塗布し、乾燥して正孔輸送層4を形成する。バインダー樹脂としては、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル等が挙げられる。バインダー樹脂は添加量が多いと正孔移動度を低下させるので、少ない方が望ましく、通常、正孔輸送層中の含有量で50重量%以下が好ましい。
真空蒸着法の場合には、正孔輸送材料を真空容器内に設置されたルツボに入れ、真空容器内を適当な真空ポンプで10-4Pa程度にまで排気した後、ルツボを加熱して、正孔輸送材料を蒸発させ、ルツボと向かい合って置かれた、陽極2が形成された基板1上に正孔輸送層4を形成させる。
正孔輸送層4の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また通常300nm以下、好ましくは100nm以下である。この様に薄い膜を一様に形成するためには、一般に真空蒸着法がよく用いられる。
(発光層)
図1に示す素子において、正孔輸送層4の上には発光層5が設けられる。発光層5は、電界を与えられた電極間において、陽極2から注入されて正孔輸送層4を移動する正孔と、陰極から注入されて正孔阻止層6を移動する電子との再結合により励起されて強い発光を示す発光物質により形成される。通常、発光層5には、発光物質であるドーパント材料とホスト材料が含まれる。なお、本明細書では、ドーパント材料やホスト材料等、発光層に含まれる材料を発光層材料という。
発光層5に用いられる発光層材料としては、安定な薄膜形状を有し、固体状態で高い発光(蛍光又は燐光)量子収率を示し、正孔および/又は電子を効率よく輸送することができる化合物であることが必要である。更に電気化学的かつ化学的に安定であり、トラップとなる不純物が製造時や使用時に発生しにくい化合物であることが要求される。
更に、本発明においては、後述の正孔阻止層の説明の項にも記載するように、正孔阻止材料の、サイクリックボルタンメトリー測定において得られる第一酸化電位よりも第一酸化電位が小さい発光物質、とりわけ
(正孔阻止材料の酸化電位)−(発光層材料の酸化電位)≧0.1V
(正孔阻止材料の還元電位)≧(発光物質の還元電位)
を満たす発光層材料を用いることが好ましい。ただし、上記式では、発光層5がホスト材料とドーパント材料を含んでいる場合には、発光層材料の酸化あるいは還元電位は、ホスト材料の酸化あるいは還元電位である。
このような条件を満たし、蛍光を発する発光層を形成する材料としては、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体(特開昭59−194393号公報)、10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体(特開平6−322362号公報)、ビススチリルベンゼン誘導体(特開平1−245087号公報、同2−222484号公報)、ビススチリルアリーレン誘導体(特開平2−247278号公報)、(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾールの金属錯体(特開平8−315983号公報)、シロール誘導体、等が挙げられる。これらの発光層材料は、通常は真空蒸着法により正孔輸送層上に積層される。また、前述の正孔輸送層材料のうち、発光性を有する芳香族アミン系化合物も発光層材料として用いることができる。
素子の発光効率を向上させるとともに発光色を変える目的で、例えば、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体をホスト材料として、クマリン等のレーザー用蛍光色素をドープすること(J.Appl.Phys.,65巻,3610頁,1989年)等が行われている。このドーピング手法は、発光層5にも適用でき、ドープ用材料としては、クマリン以外にも各種の蛍光色素が使用できる。青色発光を与える蛍光色素としては、ペリレン、ピレン、アントラセン、クマリンおよびそれらの誘導体等が挙げられる。緑色蛍光色素としては、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体等が挙げられる。黄色蛍光色素としては、ルブレン、ペリミドン誘導体等が挙げられる。赤色蛍光色素としては、DCM系化合物、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、アザベンゾチオキサンテン等が挙げられる。
上記のドープ用蛍光色素以外にも、ホスト材料に応じて、レーザー研究,8巻,694頁,803頁,958頁(1980年);同9巻,85頁(1981年)、に列挙されている蛍光色素などが発光層用のドープ材料として使用することができる。
ホスト材料に対して上記蛍光色素がドープされる量は、10-3重量%以上が好ましく、0.1重量%以上がより好ましい。また10重量%以下が好ましく、3重量%以下がより好ましい。この下限値を下回ると素子の発光効率向上に寄与できない場合があり、上限値を越えると濃度消光が起き、発光効率の低下に至る可能性がある。
ただし、本発明の有機化合物は、前述の如く、正孔輸送を主として担う部分と電子輸送を主として担う部分の両方を有し、このため、優れた正孔輸送性と電子輸送性を併せ持ち、また、優れた電気的酸化還元耐久性と高い三重項励起準位を有するものであることから、この有機化合物は、有機電界発光素子の有機発光層のホスト材料として好適であり、従って、本発明の有機電界発光素子の有機発光層は、本発明の有機化合物をホスト材料とし、このホスト材料に後述の理由から発光物質として好適な有機金属錯体がドープされていることが好ましい。
本発明において、発光層に使用されるドーパント材料として、好ましくは、周期表7ないし11族から選ばれる金属を含む有機金属錯体が挙げられる。該金属錯体のT1(励起三重項準位)はホスト材料として使用する本発明の有機化合物のT1より高いことが発光効率の観点から好ましい。更にドーパント材料において発光が起こることから、酸化還元などの化学的安定成も要求される。
周期表7ないし11族から選ばれる金属を含む燐光性有機金属錯体における、該金属として好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、および金が挙げられる。これらの有機金属錯体として、好ましくは下記一般式(VI−1)又は一般式(VI−2)で表される化合物が挙げられる。
MLk-jL’j (VI−1)
(式中、Mは金属、kは該金属の価数を表す。LおよびL’は二座配位子を表す。jは0又は1又は2を表す。)
Figure 0005082230
(式中、M7は金属、Tは炭素又は窒素を表す。Tが窒素の場合はR14、R15は無く、Tが炭素の場合はR14、R15は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シアノ基、アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、アラルキルアミノ基、ハロアルキル基、水酸基、アリールオキシ基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表す。
12、R13は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シアノ基、アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、アラルキルアミノ基、ハロアルキル基、水酸基、アリールオキシ基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表し、互いに連結して環を形成しても良い。)
一般式(VI−1)中の二座配位子LおよびL’はそれぞれ以下の部分構造を有する配位子を示す。
Figure 0005082230
(環E1および環E1’は各々独立に、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表し、置換基を有していてもよい。環E2および環E2’は含窒素芳香族複素環基を表し、置換基を有していてもよい。R21、R22およびR23はそれぞれハロゲン原子;アルキル基;アルケニル基;アルコキシカルボニル基;メトキシ基;アルコキシ基;アリールオキシ基;ジアルキルアミノ基;ジアリールアミノ基;カルバゾリル基;アシル基;ハロアルキル基又はシアノ基を表す。)
一般式(VI−1)で表される化合物として、更に好ましくは下記一般式(VI−1a)、(VI−1b)(VI−1c)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005082230
(式中、M4は金属、kは該金属の価数を表す。環E1は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表し、環E2は置換基を有していてもよい含窒素芳香族複素環基を表す。)
Figure 0005082230
(式中、M5は金属、kは該金属の価数を表す。環E1は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表し、環E2は置換基を有していてもよい含窒素芳香族複素環基を表す。)
Figure 0005082230
(式中、M6は金属、kは該金属の価数を表し、jは0又は1又は2を表す。環E1および環E1’は各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表し、環E2および環E2’は各々独立に、置換基を有していてもよい含窒素芳香族複素環基を表す。)
一般式(VI−1a)、(VI−1b)、(VI−1c)で表される化合物の環E1および環E1’として、好ましくは、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基、チエニル基、フリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフリル基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、又はカルバゾリル基が挙げられる。
環E2および環E2’として、好ましくは、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、ベンゾチアゾール基、ベンゾオキサゾール基、ベンゾイミダゾール基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリル基、又はフェナントリジル基が挙げられる。
一般式(VI−1a)、(VI−1b)および(VI−1c)で表される化合物が有していてもよい置換基としては、フッ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ビニル基等の炭素数2〜6のアルケニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基等のジアリールアミノ基;カルバゾリル基;アセチル基等のアシル基;トリフルオロメチル基等のハロアルキル基;シアノ基等が挙げられ、これらは互いに連結して環を形成しても良い。
なお、環E1が有する置換基と環E2が有する置換基が結合、又は環E1’が有する置換基と環E2’が有する置換基が結合して、一つの縮合環を形成してもよく、このような縮合環としては7,8−ベンゾキノリン基等が挙げられる。
環E1、環E1’、環E2および環E2’の置換基として、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基、シアノ基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、ジアリールアミノ基、又はカルバゾリル基が挙げられる。
式(VI−1a)、(VI−1b)におけるM4ないしM5として好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金又は金が挙げられる。式(VI)におけるM7として好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金又は金が挙げられ、特に好ましくは、白金、パラジウム等の2価の金属が挙げられる。
前記一般式(VI−1)、(VI−1a)、(VI−1b)および(VI−1c)で示される有機金属錯体の具体例を以下に示すが、下記の化合物に限定されるわけではない。
Figure 0005082230
Figure 0005082230
前記一般式(VI−1)、(VI−1a)、(VI−1b)および(VI−1c)で表される有機金属錯体の中でも、特に配位子Lおよび/又はL’として2−アリールピリジン系配位子(2−アリールピリジン、これに任意の置換基が結合したもの、又はこれに任意の基が縮合してなるもの)を有する化合物が好ましい。
前記一般式(VI−2)で表わされる有機金属錯体の具体例を以下に示すが、下記の化合物に限定されるわけではない(以下において、Meはメチル基、Etはエチル基を示す。)。
Figure 0005082230
この他に、周期表7ないし11族から選ばれる金属を含む燐光性有機金属錯体として、下記の化合物を用いても良い。
Figure 0005082230
このような燐光性ドーパント材料の分子量は、通常4000以下、好ましくは3000以下、より好ましくは2000以下であり、また通常200以上、好ましくは300以上、より好ましくは400以上である。分子量がこの上限値を超えると、昇華性が著しく低下して電界発光素子を制作する際に蒸着法を用いる場合において支障を来したり、或いは有機溶媒などへの溶解性の低下や、合成工程で生じる不純物成分の増加に伴って、材料の高純度化(即ち劣化原因物質の除去)が困難になる場合があり、また分子量が上記下限値を下回ると、ガラス転移温度および、融点、気化温度などが低下するため、耐熱性が著しく損なわれるおそれがある。
これらのドーパント材料を2種類以上使用する場合は、正孔阻止層中の正孔阻止材料の酸化電位が、複数種のドーパント材料の中で一番大きな酸化電位を有するものよりも大きいことが好ましい。
このような有機金属錯体をドーパント材料として用いた、燐光発光を示す発光層に使用されるホスト材料としては、本発明の有機化合物の1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。また、本発明の有機化合物と共に、蛍光発光を示す発光層に使用されるホスト材料として前述した材料(芳香族アミン系化合物を含む)や、4,4´−N,N´−ジカルバゾールビフェニルなどのカルバゾール誘導体(WO 00/70655号公報)、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(USP 6,303,238号公報)、2,2´,2´´−(1,3,5−ベンゼントリル)トリス[1−フェニル−1H−ベンズイミダゾール](Appl.Phys.Lett.,78巻,1622頁,2001年)、ポリビニルカルバゾール(特開2001−257076号公報)等の1種又は2種以上を併用しても良い。発光層中に、本発明の有機化合物以外のホスト材料を含む場合、その含有量は、本発明の有機化合物に対して50重量%以下であることが好ましい。
発光層中にドーパント材料として含有される有機金属錯体の量は、0.1重量%以上が好ましく、また30重量%以下が好ましい。この下限値を下回ると素子の発光効率向上に寄与できない場合があり、上限値を上回ると有機金属錯体同士が2量体を形成する等の理由で濃度消光が起き、発光効率の低下に至る可能性がある。
燐光発光を示す発光層におけるドーパント材料の量は、従来の蛍光(1重項)を用いた素子において、発光層に含有される蛍光性色素の量より、若干多い方が好ましい傾向がある。また、燐光性ドーパント材料と共に蛍光色素が発光層中に含有される場合、該蛍光色素の量は、0.05重量%以上が好ましく、0.1重量%以上がより好ましい。また10重量%以下が好ましく、3重量%以下がより好ましい。
発光層5の膜厚は、通常3nm以上、好ましくは5nm以上であり、また通常200nm以下、好ましくは100nm以下である。
発光層5も正孔輸送層4と同様の方法で形成することができる。
ドーパント材料としての上述の蛍光色素および/又は燐光色素(燐光性ドーパント材料)を発光層のホスト材料としての本発明の有機化合物にドープする方法を以下に説明する。
塗布の場合は、本発明の有機化合物と、ドーパント材料、更に必要により、電子のトラップや発光の消光剤とならないバインダー樹脂や、レベリング剤等の塗布性改良剤などの添加剤を添加し溶解した塗布溶液を調製し、スピンコート法などの方法により正孔輸送層4上に塗布し、乾燥して発光層5を形成する。バインダー樹脂としては、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル等が挙げられる。バインダー樹脂は添加量が多いと正孔/電子移動度を低下させるので、少ない方が望ましく、発光層中の含有量で50重量%以下が好ましい。
真空蒸着法の場合には、本発明の有機化合物を真空容器内に設置されたルツボに入れ、ドーパント材料を別のルツボに入れ、真空容器内を適当な真空ポンプで10-4Pa程度にまで排気した後、各々のルツボを同時に加熱して蒸発させ、ルツボと向かい合って置かれた基板上に層を形成する。また、他の方法として、上記の材料を予め所定比で混合したものを同一のルツボを用いて蒸発させてもよい。
上記各ドーパント材料が発光層5中にドープされる場合、発光層の膜厚方向において均一にドープされるが、膜厚方向において濃度分布があっても構わない。例えば、正孔輸送層4との界面近傍にのみドープしたり、逆に、正孔阻止層6界面近傍にドープしてもよい。
発光層5も正孔輸送層4と同様の方法で形成することができるが、通常は真空蒸着法が用いられる。
なお発光層5は、本発明の性能を損なわない範囲で上記以外の成分を含んでいてもよい。
(正孔阻止層)
図1に示す素子において、正孔阻止層6は発光層5の上に、発光層5の陰極側の界面に接するように積層される。
正孔阻止層6は、正孔輸送層4から移動してくる正孔が陰極8に到達するのを阻止することができ、かつ、陰極8から注入された電子を効率よく発光層5の方向に輸送することができる化合物より形成されることが好ましい。従って、正孔阻止層6を構成する材料に求められる物性としては、電子移動度が高く正孔移動度が低いことが必要とされる。正孔阻止層6は正孔と電子を発光層5内に閉じこめて、発光効率を向上させる機能を有する。
本発明の有機電界発光素子に設けられる正孔阻止層6のイオン化ポテンシャルは、発光層5のイオン化ポテンシャル(発光層5がホスト材料とドーパント材料を含んでいる場合にはホスト材料のイオン化ポテンシャル)より0.1eV以上大きいことが好ましい。イオン化ポテンシャルは物質のHOMO(最高被占分子軌道)レベルにある電子を真空準位に放出するのに必要なエネルギーで定義される。イオン化ポテンシャルは光電子分光法で直接定義されるか、電気化学的に測定した酸化電位を基準電極に対して補正しても求められる。後者の方法の場合、例えば飽和甘コウ電極(SCE)を基準電極として用いたとき、下記式で定義される(“Molecular Semiconductors”,Springer−Verlag,1985年、98頁)。
イオン化ポテンシャル=酸化電位(vs.SCE)+4.3eV
更に、本発明の有機電界発光素子に設けられる正孔阻止層6の電子親和力(EA)は、発光層5の電子親和力(発光層5がホスト材料とドーパント材料を含んでいる場合にはホスト材料の電子親和力)と比較して同等以上であることが好ましい。電子親和力もイオン化ポテンシャルと同様に真空準位を基準として、真空準位にある電子が物質のLUMO(最低空分子軌道)レベルに落ちて安定化するエネルギーで定義される。電子親和力は、上述のイオン化ポテンシャルから光学的バンドギャップを差し引いて求められるか、電気化学的な還元電位から下記の式で同様に求められる。
電子親和力=還元電位(vs.SCE)+4.3eV
従って、本発明の有機電界発光素子に設けられる正孔阻止層6は、酸化電位と還元電位を用いて、
(正孔阻止材料の酸化電位)−(発光層材料の酸化電位)≧0.1V
(正孔阻止材料の還元電位)≧(発光層材料の還元電位)
と表現することもできる。
更に後述の電子輸送層7を有する素子の場合には、正孔阻止層6の電子親和力は電子輸送層7の電子親和力と比較して同等以下であることが好ましい。従って、
(電子輸送材料の還元電位)≧(正孔阻止材料の還元電位)≧(発光層材料の還元電位)
であることが好ましい(ここで、電子輸送材料、正孔阻止材料或いは発光層材料が、それぞれ複数用いられている場合には、最も小さい還元電位のものを比較に使用する。また、発光層5がホスト材料とドーパント材料を含んでいる場合には、ホスト材料のうち、最も小さい還元電位のものを比較に使用する。)。
このような条件を満たす正孔阻止材料として、好ましくは、下記一般式(VII)で表される混合配位子錯体が挙げられる。
Figure 0005082230
(式中、R101〜R106は、各々独立に水素原子又は任意の置換基を表す。Mはアルミニウム、ガリウム、インジウムから選ばれる金属原子を表す。Lは以下に示す一般式(VIIa)、(VIIb)、(VIIc)のいずれかで表される。
Figure 0005082230
(式中、Ar51〜Ar55は、各々独立に置換基を有していても良い芳香族炭化水素基又は置換基を有していても良い芳香族複素環基を表し、Zはシリコン又はゲルマニウムを表す。)
前記一般式(VII)において、R101〜R106は各々独立に水素原子又は任意の置換基を表すが、好ましくは水素原子;塩素、臭素等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ベンジル基等のアラルキル基;ビニル基等の炭素数2〜6のアルケニル基;シアノ基;アミノ基;アシル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基;カルボキシル基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ジベンジルアミノ基、ジフェネチルアミノ基などのジアラルキルアミノ基;トリフルオロメチル基等のα−ハロアルキル基;水酸基;置換基を有していても良いフェニル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基;置換基を有していても良いチエニル基、ピリジル基等の芳香族複素環基を表す。
前記芳香族炭化水素基および芳香族複素環基が有しうる置換基としては、フッ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ビニル基等の炭素数2〜6のアルケニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;アセチル基等のアシル基;トリフルオロメチル基等のハロアルキル基;シアノ基等が挙げられる。
101〜R106としてより好ましくは各々独立に水素原子、アルキル基、ハロゲン原子又はシアノ基が挙げられる。またR104としては、シアノ基が特に好ましい。
前記一般式(VIIa)、(VIIb)、(VIIc)中、Ar51〜Ar55として、具体的には、各々独立に、置換基を有していても良いフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基又はチエニル基、ピリジル基等の芳香族複素環基が挙げられる。
前記一般式(VII)で表される化合物の好ましい具体例を以下に示すが、これらに限定するものではない。
Figure 0005082230
Figure 0005082230
なお、これらの化合物は正孔阻止層6中に、1種を単独で用いても良いし、必要に応じて2種以上を混合して用いても良い。
正孔阻止材料としては、前記一般式(VII)で表される混合配位子錯体の他に、以下の構造式で示される1,2,4−トリアゾール環残基を少なくとも1個有する化合物を用いることもできる。
Figure 0005082230
上記構造式で表される1,2,4−トリアゾール環残基を少なくとも1個有する化合物の具体例を以下に示すが、これらに限定するものではない。
Figure 0005082230
正孔阻止材料として、更に、以下の構造式で示されるフェナントロリン環を少なくとも1個有する化合物が挙げられる。
Figure 0005082230
上記構造式で表されるフェナントロリン環を少なくとも1個有する化合物の具体例を以下に示すが、これらに限定するものではない。
Figure 0005082230
正孔阻止材料としてはまた、一分子内に、2,4,6−位に置換基を有するピリジン環を有する化合物を使用することが好ましい。具体例としては以下のものが挙げられる。
Figure 0005082230
正孔阻止層6の膜厚は、通常0.3nm以上、好ましくは0.5nm以上であり、また通常100nm以下、好ましくは50nm以下である。
正孔阻止層も6正孔輸送層4と同様の方法で形成することができるが、通常は真空蒸着法が用いられる。
ただし、本発明において用いる有機化合物は、有機電界発光素子の発光層のホスト材料として優れたものであり、後述の実施例に示すように、本発明においては、正孔阻止層を設けなくても十分に良好な特性を得ることができる。
(陰極)
陰極8は、正孔阻止層6を介して発光層5に電子を注入する役割を果たす。陰極8として用いられる材料は、前記陽極2に使用される材料を用いることが可能であるが、効率よく電子注入を行なうには、仕事関数の低い金属が好ましく、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、セシウム、アルミニウム、銀等の適当な金属又はそれらの合金が用いられる。具体例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金等の低仕事関数合金電極が挙げられる。
陰極8の膜厚は通常、陽極2と同様である。
低仕事関数金属から成る陰極8を保護する目的で、この上に更に、仕事関数が高く大気に対して安定な金属層を積層することは素子の安定性を増す。この目的のために、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金等の金属が使われる。
更に、陰極8と発光層5又は後述の電子輸送層7との界面にLiF、MgF、LiO等の極薄絶縁膜(0.1〜5nm)を挿入することも、素子の効率を向上させる有効な方法である(Appl. Phys. Lett.,70巻,152頁,1997年;特開平10−74586号公報;IEEE Trans. Electron. Devices,44巻,1245頁,1997年)。
(電子輸送層)
素子の発光効率を更に向上させることを目的として、図2および図3に示すように、正孔阻止層6と陰極8の間に電子輸送層7が設けられることが好ましい。電子輸送層7は、電界を与えられた電極間において陰極8から注入された電子を効率よく正孔阻止層6の方向に輸送することができる化合物より形成される。
このような条件を満たす材料としては、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体(特開昭59−194393号公報)、10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体、オキサジアゾール誘導体、ジスチリルビフェニル誘導体、シロール誘導体、3−又は5−ヒドロキシフラボン金属錯体、ベンズオキサゾール金属錯体、ベンゾチアゾール金属錯体、トリスベンズイミダゾリルベンゼン(米国特許第 5,645,948号)、キノキサリン化合物(特開平6−207169号公報)、フェナントロリン誘導体(特開平5−331459号公報)、2−t−ブチル−9,10−N,N’−ジシアノアントラキノンジイミン、n型水素化非晶質炭化シリコン、n型硫化亜鉛、n型セレン化亜鉛などが挙げられる。
また、上述のような電子輸送材料に、アルカリ金属をドープする(特開平10−270171号公報、特開2002−100478号公報、特開2002−100482号公報などに記載)ことにより、電子輸送性が向上するため好ましい。
このような電子輸送層7を形成する場合、正孔阻止層6の電子親和力は電子輸送層7の電子親和力と比較して同等以下であることが好ましい。
また、発光層5中の発光層材料、正孔阻止層6の正孔阻止材料および電子輸送層に用いられる電子輸送材料の還元電位は、下記関係を満たすことが、発光領域を調整し、駆動電圧を下げるという観点から好ましい。
(電子輸送材料の還元電位)≧(正孔阻止材料の還元電位)≧(発光層材料の還元電位)
ここで、電子輸送材料、正孔阻止材料或いは発光層材料が、それぞれ複数用いられている場合には、最も小さい還元電位のものを比較に使用する。ただし、発光層5がホスト材料とドーパント材料を含んでいる場合には、ホスト材料のうち最も還元電位の小さいものを比較に使用する。
なお、前述の正孔阻止材料はこの電子輸送層7に使用しても良い。その場合、前述の正孔阻止材料を単独で使用して電子輸送層7を形成しても良いし、複数併用しても良い。
電子輸送層6の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また通常200nm以下、好ましくは100nm以下である。
電子輸送層7は、正孔輸送層4と同様にして塗布法或いは真空蒸着法により正孔阻止層6上に積層することにより形成されるが、通常は、真空蒸着法が用いられる。
なお、図4に示すように、正孔阻止層6を省略し、発光層5と陰極8との間に電子輸送層7を設けても良い。
(正孔注入層)
正孔注入の効率を更に向上させ、かつ、有機層全体の陽極2への付着力を改善させる目的で、図3,4に示すように、正孔輸送層4と陽極2との間に正孔注入層3を挿入することも行われている。正孔注入層3を挿入することで、初期の素子の駆動電圧が下がると同時に、素子を定電流で連続駆動した時の電圧上昇も抑制される効果がある。
正孔注入層3に用いられる材料に要求される条件としては、陽極2とのコンタクトがよく均一な薄膜が形成でき、熱的に安定であることが挙げられ、融点およびガラス転移温度が高く、融点としては300℃以上、ガラス転移温度としては100℃以上であることが好ましい。更に、イオン化ポテンシャルが低く陽極2からの正孔注入が容易なこと、正孔移動度が大きいことが挙げられる。
この目的のために、正孔注入層3の材料として、これまでにポルフィリン誘導体やフタロシアニン化合物(特開昭63-295695号公報)、ヒドラゾン化合物、アルコキシ置換の芳香族ジアミン誘導体、p-(9-アントリル)-N,N'-ジ-p-トリルアニリン、ポリチエニレンビニレンやポリ-p-フェニレンビニレン、ポリアニリン(Appl.Phys.Lett.,64巻、1245頁,1994年)、ポリチオフェン(OpticalMaterials,9巻、125頁、1998年)、スターバスト型芳香族トリアミン(特開平4-308688号公報)等の有機化合物や、スパッタ・カーボン膜(Synth.Met.,91巻、73頁、1997年)や、バナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、モリブデン酸化物等の金属酸化物(J.Phys.D,29巻、2750頁、1996年)が報告されている。
また、正孔注入・輸送性の低分子有機化合物と電子受容性化合物を含有する層(特開平11−251067号公報、特開2000−159221号公報等に記載)や、芳香族アミノ基等を含有する非共役系高分子化合物に、必要に応じて電子受容性化合物をドープしてなる層(特開平11−135262号公報、特開平11−283750号公報、特開2
000−36390号公報、特開2000−150168号公報、特開平2001−223084号公報、およびWO97/33193号公報など)、又はポリチオフェン等の導電性ポリマーを含む層(特開平10−92584号公報)なども挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記正孔注入層3の材料としては、低分子・高分子いずれの化合物を用いることも可能である。
低分子化合物のうち、よく使用されるものとしては、ポルフィン化合物又はフタロシアニン化合物が挙げられる。これらの化合物は中心金属を有していても良いし、無金属のものでも良い。これらの化合物の好ましい例としては、以下の化合物が挙げられる。
ポルフィン、
5,10,15,20-テトラフェニル-21H,23H-ポルフィン、
5,10,15,20-テトラフェニル-21H,23H-ポルフィンコバルト(II)、
5,10,15,20-テトラフェニル-21H,23H-ポルフィン銅(II)、
5,10,15,20-テトラフェニル-21H,23H-ポルフィン亜鉛(II)、
5,10,15,20-テトラフェニル-21H,23H-ポルフィンバナジウム(IV)オキシド、
5,10,15,20-テトラ(4-ピリジル)-21H,23H-ポルフィン、
29H,31H-フタロシアニン、
銅(II)フタロシアニン、
亜鉛(II)フタロシアニン、
チタンフタロシアニンオキシド、
マグネシウムフタロシアニン、
鉛フタロシアニン、
銅(II)4,4'4'',4'''-テトラアザ-29H,31H-フタロシアニン
正孔注入層3も、正孔輸送層4と同様にして薄膜形成可能であるが、無機物の場合には、更に、スパッタ法や電子ビーム蒸着法、プラズマCVD法が用いられる。
以上の様にして形成される正孔注入層3の膜厚は、低分子化合物を用いて形成される場合、下限は通常3nm、好ましくは10nm程度であり、上限は通常100nm、好ましくは50nm程度である。
正孔注入層3の材料として、高分子化合物を用いる場合は、例えば、前記高分子化合物や電子受容性化合物、更に必要により正孔のトラップとならない、バインダー樹脂やレベリング剤等の塗布性改良剤などの添加剤を添加し溶解した塗布溶液を調製し、スプレー法、印刷法、スピンコート法、ディップコート法、ダイコート法などの通常のコーティング法や、インクジェット法等により陽極2上に塗布し、乾燥することにより正孔注入層3を薄膜形成することができる。バインダー樹脂としては、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル等が挙げられる。バインダー樹脂は該層中の含有量が多いと正孔移動度を低下させる虞があるので、少ない方が望ましく、正孔注入層3中の含有量で50重量%以下が好ましい。
また、フィルム、支持基板、ロール等の媒体に、前述の薄膜形成方法によって予め薄膜を形成しておき、媒体上の薄膜を、陽極2上に熱転写又は圧力転写することにより、薄膜形成することもできる。
以上のようにして、高分子化合物を用いて形成される正孔注入層3の膜厚の下限は通常5nm、好ましくは10nm程度であり、上限は通常1000nm、好ましくは500nm程度である。
(層構成)
本発明の有機電界発光素子は、図1とは逆の構造、即ち、基板1上に陰極8、正孔阻止層6、発光層5、正孔輸送層4、陽極2の順に積層することも可能であり、既述したように少なくとも一方が透明性の高い2枚の基板の間に本発明の有機電界発光素子を設けることも可能である。同様に、図2、図3または図4に示した前記各層構成とは逆の順に積層することも可能である。また、図1〜4のいずれの層構成においても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述以外の任意の層を有していてもよく、また上記複数の層の機能を併有する層を設けることにより、層構成を簡略化する等、適宜変形を加えることが可能である。
或いはまた、トップエミッション構造や陰極・陽極共に透明電極を用いて透過型とすること、更には、図1に示す層構成を複数段重ねた構造(発光ユニットを複数積層させた構造)とすることも可能である。その際には段間(発光ユニット間)の界面層(陽極がITO、陰極がAlの場合はその2層)の代わりに、例えばV等を電荷発生層(CGL)として用いると段間の障壁が少なくなり、発光効率・駆動電圧の観点からより好ましい。
本発明は、有機電界発光素子が、単一の素子、アレイ状に配置された構造からなる素子、陽極と陰極がX−Yマトリックス状に配置された構造のいずれにおいても適用することができる。
次に、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
[有機化合物の合成例]
以下に本発明の有機化合物の合成例を示す。
なお、以下の合成例において、ガラス転移温度はDSC測定により、気化温度はTG−DTA測定により、融点はDSC測定またはTG−DTA測定によりそれぞれ求めた。
(合成例1)目的物1〜2
Figure 0005082230
3−フルオロベンズアルデヒド(6.74g)、3−フルオロアセトフェノン(15g)、酢酸アンモニウム(53.56g)、および酢酸(136ml)を加熱環流下10時間攪拌し、室温まで放冷した。その後、系内に析出した結晶を濾過し、エタノールで2回懸洗し、減圧乾燥することにより、目的物1の4.15g(収率22%)を白色結晶として得た。
Figure 0005082230
水素化ナトリウム(55%)(1.45g)、ジメチルホルムルデヒド100mlの混合溶液を窒素下十分に攪拌しているところに、カルバゾール(5.55g)を少量ずつ添加した。その後80℃まで昇温攪拌し系内が完溶したところで先に合成した目的物1(2.0g)を添加した。その後加熱環流下28時間攪拌し、室温まで放冷した。その後、水90ml、メタノール90mlに添加し、析出した結晶を濾別、メタノール加熱懸洗をした後、カラムクロマトグラフィー(塩化メチレン/n−ヘキサン=3/7)で精製した。さらにメタノールで懸洗後、減圧乾燥することにより目的物2の0.83g(収率53%)を白色結晶として得た。この結晶0.83gを昇華精製したところ白色固体0.58gが回収された。
DEI−MS(m/z=802(M+))から目的物2であることを確認した。
このものの気化温度は542℃、融点は288℃、ガラス転移温度は146℃であった。
(合成例2)目的物3〜4
Figure 0005082230
空気中、ベンズアルデヒド(3.18g)、3’,5’−ジフルオロアセトフェノン(9.37g)、酢酸アンモニウム(29.6g)、および酢酸(75ml)を100℃で4.9時間撹拌した後、氷冷し、メタノール、水を加え、析出した沈殿を濾別、メタノールによる懸濁洗浄で精製後、減圧下で加熱乾燥し、目的物3(2.03g)を得た。
窒素気流中、水素化ナトリウム(55%,1.40g)の無水N,N−ジメチルホルムアミド(100ml)懸濁液にカルバゾール(5.37g)を添加し、80℃で60分撹拌した後、目的物3(2.03g)を添加し、加熱還流下で4.9時間撹拌した。これに氷冷下、水(50ml)、メタノール(50ml)を加えて、析出した沈殿を濾別し、メタノール洗浄した。得られた固形分を、クロロホルム(800ml)で抽出して濃縮後、加熱環流条件下、エタノール−クロロホルム混合溶媒中での懸濁洗浄で精製後、減圧下で加熱乾燥し、目的物4(3.69g)を得た。
DEI−MS(m/z=962(M+))から目的物4であることを確認した。
このものの気化温度は562℃、融点は395℃であり、ガラス転移温度は検出されなかった。
(合成例3)目的物5〜6
Figure 0005082230
空気中、3’−ブロモアセトフェノン(25.0g)、ベンズアルデヒド(6.66g)、酢酸アンモニウム(62.0g)、および酢酸(157ml)を、加熱還流下、9時間撹拌し、室温まで放冷した。析出した結晶を濾過により回収した後、エタノールで2回洗浄し、減圧乾燥することにより、目的物5の2,6−ビス(3−ブロモフェニル)−4−フェニルピリジン(6.72g、収率23%)を白色結晶として得た。
Figure 0005082230
窒素気流中、2,6−ビス(3−ブロモフェニル)−4−フェニルピリジン(1.45g)、カルバゾール(1.56g)、銅粉(0.40g)、炭酸カリウム(1.72g)、テトラグライム(5ml)を、加熱還流下、11時間撹拌し、室温まで放冷した後、クロロホルム(200ml)を加え攪拌し、不溶物を濾別した。濾液に含まれるクロロホルムを減圧留去した後、メタノールを加え、得られた析出物を濾過により回収し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/塩化メチレン=2/1)で精製した。さらに、塩化メチレン/メタノール混合液で洗浄し、減圧乾燥することにより、目的物6の2,6−ビス(N−カルバゾリルフェニル)−4−フェニルピリジン(0.94g、収率47%)を白色結晶として得た。この白色結晶を昇華精製したところ、白色固体0.83gが回収された。
DEI−MS(m/z=637(M+))およびH−NMRより、目的物6の2,6−ビス(N−カルバゾリルフェニル)−4−フェニルピリジンであることを確認した。
H−NMR(CDCl3,270MHz)データを以下に示す。
8.40(s,2H),8.31(d,2H),8.16(d,4H),7.96(s,2H),7.75(dd,2H),7.73(d,2H),7.65(d,2H),7.54-7.46(m,7H),7.36(dd,4H),7.28(dd,4H)
このものの気化温度は489℃、融点は266℃、ガラス転移温度は114℃であった。
(合成例7)目的物7〜8
Figure 0005082230
3’−ブロモアセトフェノン(40.3g)、4−ブロモベンズアルデヒド(15g)、酢酸アンモニウム(79.9g)、および酢酸(150ml)を、加熱還流下、9時間撹拌し、室温まで放冷した。析出した結晶を濾取した後、エタノールで2回加熱洗浄し、減圧乾燥することにより、目的物7(9.35g、収率21%)を白色結晶として得た。
Figure 0005082230
窒素雰囲気下、60℃に昇温した目的物7(4.5g)、カルバゾール(5.0g)、t−ブトキシナトリウム(5.3g)、およびトルエン(150ml)の混合物に、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)クロロホルム錯体(0.46g)、トリ(t−ブチル)ホスフィン(0.9g)、およびトルエン(10ml)を窒素雰囲気下、60℃で10分間攪拌して調製した溶液を加えて、100℃で8時間攪拌した。室温まで放冷した後、不溶物を濾別し、濾液を濃縮、メタノールを加え、析出した結晶を濾取した。その後、水/メタノール混合液で洗浄し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/塩化メチレン=7/3)で精製した。さらに、酢酸エチルで洗浄し、減圧乾燥することにより、目的物8(1.70g、収率25%)を白色結晶として得た。この白色結晶1.7gを昇華精製したところ、白色固体1.26gが回収された。
DEI−MS(m/z=802(M+))から目的物8であることを確認した。
このものの気化温度は553℃、ガラス転移温度は152℃であった。
(合成例5)目的物9〜10
Figure 0005082230
空気中、9−フェナントレンカルボキシアルデヒド(4.29g)、3’−ブロモアセトフェノン(8.28g)、酢酸アンモニウム(20.5g)、および酢酸(52ml)を100℃で5時間撹拌した後、上澄みを除去してから、メタノールを加えて、残った粘性液体を洗い、洗液を除去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーとメタノールによる懸濁洗浄で精製後、減圧下で加熱乾燥し、目的物9(3.00g)を得た。
窒素気流中、目的物9(2.26g)、カルバゾール(1.61g)、tert-ブチルフォスフィン(0.19g)、および無水トルエン(36ml)の溶液に、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)クロロホルム錯体(0.46g)、トリ(t−ブチル)ホスフィン(0.9g)、および無水トルエン(4ml)を窒素雰囲気下、50℃で30分間攪拌して調製した溶液を加えて、加熱還流下、1.5時間攪拌した。得られた溶液にメタノール(100ml)を加えて析出した沈殿を濾別し、これをジクロロメタン(300ml)で抽出し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製後、減圧下で加熱乾燥し、目的物10(1.70g)を得た。
DEI−MS(m/z=737(M+))から目的物10であることを確認した。
このものの気化温度は527℃、融点は271℃、ガラス転移温度は147℃であった。
(合成例6)目的物11〜13
Figure 0005082230
窒素気流中、カルバゾール(7.00g)、3−ブロモヨードベンゼン(14.2g)、銅粉末(2.66g)、炭酸カリウム(5.79g)、テトラグライム(10ml)を、140℃に加熱下、5時間撹拌し、室温まで放冷した。反応終了後、反応液にクロロホルムを加え、不溶物を濾別した。濾液に含まれるクロロホルムを減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/トルエンン=4/1)で精製した。減圧乾燥することにより、目的物11(10.5g、収率78%)を無色粘調液体として得た。
Figure 0005082230
窒素気流中、目的物11(10.5g)、ビス(ピナコラートジボロン)(9.93g)、酢酸カリウム(10.9g)、無水ジメチルスルホキシド(190ml)を、60℃に加熱下、15分間撹拌し、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン錯体(0.799g)を加え、80℃に加熱下、9時間撹拌した。室温まで放冷した後、反応液に水(250ml)、トルエン(500ml)を加え、攪拌した。水層をトルエンで2回再抽出した後、有機層を合わせ、硫酸マグネシウムおよび活性白土を加えた。硫酸マグネシウムおよび活性白土を濾別し、トルエンを減圧留去した。析出した結晶を冷メタノールで洗浄し、減圧乾燥することにより、目的物12(9.86g、収率80%)を白色結晶として得た。
Figure 0005082230
窒素気流中、目的物5(1.86g)、目的物12(3.84g)、ジメトキシエタン(80ml)、水(12ml)の混合物に、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(0.37g)、炭酸カリウム(3.32g)を順次投入し、加熱還流下、6時間撹拌した。得られた溶液に食塩水(100ml)を加えてから、ジクロロメタン(2×100ml)で抽出後、有機層に無水硫酸マグネシウム、活性白土を加えて、撹拌後、濾過、濃縮して得られた固形分を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、目的物13(2.16g)を得た。
DEI−MS(m/z=789(M+))から目的物13であることを確認した。
このものの気化温度は541℃、融点は検出されず、ガラス転移温度は125℃であった。
(合成例7)目的物14〜16
Figure 0005082230
窒素気流中、−60〜−65℃のエタノールバスで冷却しながら、目的物11(9.06g)の無水テトラヒドロフラン(400ml)溶液に、1.54Mノルマルブチルリチウムのノルマルヘキサン溶液(27.4ml)を7分間かけて滴下した後、40分間撹拌した。これに、トリイソプロポキシボラン(13.0ml)を加えて、室温下で2.2時間撹拌した後、1N塩酸水溶液(45ml)を加え、更に30分間撹拌した。得られた溶液から減圧下でテトラヒドロフランを留去してから、ジエチルエーテル(400ml)、飽和食塩水(100ml)を加え、振り混ぜた後、有機層を分取し、これを飽和食塩水で洗った。得られた有機層に無水硫酸マグネシウム、活性白土を加えて、撹拌後、濾過、濃縮した。得られた固形分を、水およびノルマルヘキサンで懸濁洗浄後、エタノール−ノルマルヘキサンからの再沈殿にて精製し、目的物14(4.03g)を得た。
窒素気流中、目的物15(1.86g)、目的物14(4.0g)、ジメトキシエタン(80ml)、水(12ml)の混合物に、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(0.37g)、炭酸カリウム(3.32g)を順次投入し、加熱還流下、4.5時間撹拌した。得られた溶液にメタノール(70ml)、水(50ml)を加えてから、濾過し、得られた固形分を、ジクロロメタン(200ml)で抽出後、抽出液に活性白土を加えて撹拌後、濾過、濃縮して得られた固形分を、テトラヒドロフラン−エタノール−メタノールからの再沈殿で精製し、目的物16(2.76g)を得た。
DEI−MS(m/z=789(M+))から目的物16であることを確認した。
このものの気化温度は556℃、融点は221℃、結晶化温度は288℃、ガラス転移温度は141℃であった。
(合成例8)目的物17〜18
Figure 0005082230
3’−ブロモアセトフェノン(25g)、4−フェニルベンズアルデヒド(13g)、酢酸アンモニウム(64.4g)、酢酸(165ml)を、加熱還流下、9時間撹拌し、室温まで放冷した。析出した結晶を濾取した後、エタノールで2回加熱洗浄し、減圧乾燥することにより、目的物17(7.483g、収率21.2%)を白色結晶として得た。
Figure 0005082230
窒素雰囲気下、60℃に昇温した目的物17(5.0g)、カルバゾール(3.7g)、t−ブトキシナトリウム(3.92g)、トルエン(150ml)の混合物に、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)クロロホルム錯体(0.296g)、トリ(t−ブチル)ホスフィン(0.53g)、トルエン(10ml)を窒素雰囲気下、60℃で10分間攪拌して調製した溶液を加えて、110℃で4時間攪拌した。室温まで放冷した後、不溶物を濾別し、濾液を濃縮、メタノールを加え、析出した結晶を濾取した。その後、水/メタノール混合液で洗浄し、酢酸エチルで加熱懸洗した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/塩化メチレン=2/1)で精製した。さらに、酢酸エチルで洗浄し、減圧乾燥することにより、目的物18(4.345g、収率65.8%)を白色結晶として得た。この白色結晶1.9gを昇華精製したところ、白色固体1.5gが回収された。
DEI−MS(m/z=713(M+))から目的物18であることを確認した。
このもののガラス転移温度は126℃、気化温度は526℃であった。
(合成例9)目的物19〜20
Figure 0005082230
窒素気流中、氷浴下、クロロスルホン酸(14.3ml)に3−ブロモベンゾニトリル(7.81g)を加え、均一溶液になるまで撹拌した後、室温下で5.7時間撹拌した。得られた溶液を、氷水(220ml)中にゆっくりと投入し、よく撹拌した後、沈殿を濾取、メタノールで洗浄した。これを、110℃でN,N−ジメチルホルムアミド(150ml)に溶解させた溶液に、エタノール(30ml)を加え、析出した沈殿を濾取、乾燥し、目的物19の白色固体(4.26g)を得た。
窒素気流中、目的物19(1.50g)、カルバゾール(1.65g)、t−ブトキシナトリウム(1.74g)、および無水トルエン(82ml)の混合溶液に、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)クロロホルム錯体(0.154g)、トリ(t−ブチル)ホスフィン(0.24ml)、およびトルエン(7ml)を窒素雰囲気下、50℃で30分間攪拌して調製した溶液を加え、加熱環流下で6.3時間撹拌した。得られた溶液にメタノール(110ml)を加えて析出した沈殿を濾取し、クロロホルムで抽出、溶媒を留去して得られた固形分を、クロロホルム−メタノール混合溶媒で洗浄し、更に、N,N−ジメチルホルムアミドからの再結晶後、昇華精製(真空度1×10−3Pa、最高加熱温度420℃)で精製し、目的物20の淡黄色固体(1.21g)を得た。
DEI−MS(m/z=804(M+))から目的物20であることを確認した。
このもののガラス転移温度は159℃、結晶化温度は239℃、融点は323℃、気化温度は551℃であった。
(合成例10)目的物21〜23
Figure 0005082230
窒素気流中、カルバゾール(6.82g)、4−ブロモヨードベンゼン(15.0g)、銅粉末(2.61g)、炭酸カリウム(11.3g)、およびテトラグライム(30ml)を、145℃に加熱下、5時間撹拌し、室温まで放冷した。反応混合物にクロロホルムを加え、不溶物を濾別した。濾液に含まれるクロロホルムを減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/トルエン=4/1)で精製した。減圧乾燥することにより、目的物21(9.08g、収率69%)を白色結晶として得た。
Figure 0005082230
窒素気流中、目的物21(4.50g)、ビス(ピナコラートジボロン)(4.61g)、酢酸カリウム(4.61g)、ジメチルスルホキシド(75ml)を、60℃に加熱下、15分間撹拌し、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン錯体(0.343g)を加え、80℃に加熱下、6時間撹拌した。室温まで放冷した後、反応液に水(250ml)、およびトルエン(500ml)を加え、攪拌した。水層をトルエンで2回再抽出した後、有機層を合わせ、硫酸マグネシウムおよび活性白土を加えた。硫酸マグネシウムおよび活性白土を濾別し、トルエンを減圧留去した。析出した結晶を冷メタノールで洗浄し、減圧乾燥することにより、目的物22(4.46g、収率86%)を白色結晶として得た。
Figure 0005082230
窒素気流中、2,6−ビス(3−ブロモフェニル)−4−フェニルピリジン(1.47g)目的物22(2.80g)、炭酸カリウム(2.62g)、ジメトキシエタン(15ml)、および水(5ml)の混合物に、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(0.183g)を投入し、加熱還流下、8時間撹拌した。室温まで放冷した後、反応液にメタノールを加え、得られた析出物を濾過により回収し、水/メタノール混合液で洗浄した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/塩化メチレン=3/2)で精製した後、酢酸エチルおよび塩化メチレン/エタノール混合液で洗浄し、減圧乾燥することにより、目的物23(1.76g、収率71%)を白色結晶として得た。この白色結晶を昇華精製したところ、白色固体1.50gが回収された。
DEI−MS(m/z=790(M+))により、目的物23であることを確認した。
このものの気化温度は558℃、融点は295℃、ガラス転移温度は143℃であった。
(合成例11)目的物24
Figure 0005082230
定法に従って、3,6−ジブロモカルバゾールとフェニルボロン酸を反応させることにより、3,6−ジフェニルカルバゾールを合成した。
窒素雰囲気下、60℃に昇温した2,6−ビス(3−ブロモフェニル)−4−フェニルピリジン(1.30g)、3,6−ジフェニルカルバゾール(2.68g)、t−ブトキシナトリウム(1.18g)、およびトルエン(25ml)の混合物に、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)クロロホルム錯体(0.104g)、トリ(t−ブチル)ホスフィン(0.162g)、およびトルエン(5ml)を窒素雰囲気下、60℃で10分間攪拌して調製した溶液を加えて、110℃で8時間攪拌した。室温まで放冷した後、濃縮し、メタノールを加え、得られた析出物を濾過により回収し、水/メタノール混合液で洗浄した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/トルエン=1/1)で精製した後、N,N−ジメチルホルムアミド/エタノール混合液および塩化メチレン/メタノール混合液で洗浄し、減圧乾燥することにより、目的物24(1.81g、収率69%)を白色結晶として得た。この白色結晶を昇華精製したところ、白色固体1.35gが回収された。
DEI−MS(m/z=942(M+))により、目的物24であることを確認した。
このものの気化温度は570℃、融点は観測されず、ガラス転移温度は172℃であった。
[有機電界発光素子の作製例]
以下に、本発明の有機電界発光素子の作製例を示す。
なお、以下において、作製した有機電界発光素子の一部については、下記の駆動寿命試験を行った。
〈駆動寿命試験1〉
作製した素子について、下記条件の下、駆動寿命試験1を行った。
温度:室温
駆動方式:直流駆動(DC駆動)
初期輝度:2,500cd/m2
定電流で連続発光させ、輝度が2割減少(L/L0=0.8)するまでの時間を比較した。それぞれ後述の参考例2で作製した標準素子2の時間を1.00とした場合の相対時間を求めた。
〈駆動寿命試験2〉
作製した素子について、下記条件の下、駆動寿命試験2を行った。
温度:室温
駆動方式:直流駆動(DC駆動)
初期輝度:2,500cd/m2
定電流で連続発光させ、輝度が3割減少(L/L0=0.7)するまでの時間を比較した。それぞれ後述の参考例1で作製した標準素子1の時間を1.00とした場合の相対時間で求めた。
〈駆動寿命試験3〉
作製した素子について、下記条件の下、駆動寿命試験3を行った。
温度:室温
駆動方式:直流駆動(DC駆動)
初期輝度:2,500cd/m2
定電流で連続発光させ、輝度が5割減少(L/L0=0.5)するまでの時間を比較した。それぞれ後述の参考例1で作製した標準素子1の時間を1.00とした場合の相対時間で求めた。
(参考例1)
標準素子1の作製
図3に示す構造を有する有機電界発光素子を以下の方法で作製した。
ガラス基板1の上にインジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を150nm堆積したもの(スパッター成膜品;シート抵抗15Ω)を通常のフォトリソグラフィ技術と塩酸エッチングを用いて2mm幅のストライプにパターニングして陽極2を形成した。パターン形成したITO基板を、アセトンによる超音波洗浄、純水による水洗、イソプロピルアルコールによる超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
正孔注入層3の材料として、下記に示す構造式の芳香族アミノ基を有する非共役系高分子化合物(PB−1(重量平均分子量:29400,数平均分子量:12600))を下記に示す構造式の電子受容性化合物(A−2)と共に以下の条件でスピンコートした。
Figure 0005082230
Figure 0005082230
スピンコート条件
溶媒 安息香酸エチル
塗布液濃度 2[wt%]
PB−1:A−2 10:2(重量比)
スピナ回転数 1500[rpm]
スピナ回転時間 30[秒]
乾燥条件 230[℃]×15[分]
上記のスピンコートにより膜厚30nmの均一な薄膜が形成された。
次に、正孔注入層3を成膜した基板を真空蒸着装置内に設置した。上記装置の粗排気を油回転ポンプにより行った後、装置内の真空度が6.2×10-5Pa(約4.7×10-7Torr)以下になるまでクライオポンプを用いて排気した。上記装置内に配置されたセラミックるつぼに入れた、下記に示すアリールアミン化合物(H−1)をるつぼの周囲のタンタル線ヒーターで加熱して蒸着を行った。この時のるつぼの温度は、318〜334℃の範囲で制御した。蒸着時の真空度7.0×10-5Pa(約5.3×10-7Torr)、蒸着速度は0.21nm/秒で膜厚40nmの正孔輸送層4を得た。
Figure 0005082230
引続き、発光層5の主成分(ホスト材料)として下記に示すカルバゾール誘導体(CBP)を、副成分(ドーパント)として有機イリジウム錯体(D−1)を別々のセラミックるつぼに設置し、2元同時蒸着法により成膜を行った。
Figure 0005082230
化合物(CBP)のるつぼ温度は295〜299℃、蒸着速度は0.11nm/秒に、化合物(D−1)のるつぼ温度は252〜255℃にそれぞれ制御し、膜厚30nmで化合物(D−1)が約6重量%含有された発光層5を正孔輸送層4の上に積層した。蒸着時の真空度は6.7×10-5Pa(約5.0×10-7Torr)であった。
さらに、正孔阻止層6として下記に示すピリジン誘導体(HB−1)をるつぼ温度を211〜215℃として、蒸着速度0.09nm/秒で5nmの膜厚で積層した。蒸着時の真空度は6.2×10-5Pa(約4.7×10-7Torr)であった。
Figure 0005082230
次に、正孔阻止層6の上に、電子輸送層7として下記に示すアルミニウムの8−ヒドロキシキノリン錯体(ET−1)を同様にして蒸着した。この時のアルミニウムの8−ヒドロキシキノリン錯体のるつぼ温度は234〜245℃の範囲で制御し、蒸着時の真空度は6.0×10-5Pa(約4.5×10-7Torr)、蒸着速度は0.22nm/秒で膜厚は30nmとした。
Figure 0005082230
上記の正孔注入層3、正孔輸送層4、発光層5、正孔阻止層6および電子輸送層7を真空蒸着する時の基板温度は室温に保持した。
ここで、電子輸送層6までの蒸着を行った素子を一度前記真空蒸着装置内より大気中に取り出して、陰極蒸着用のマスクとして2mm幅のストライプ状シャドーマスクを、陽極2のITOストライプとは直交するように素子に密着させて、別の真空蒸着装置内に設置して有機層と同様にして装置内の真空度が2.0×10-6Torr(約2.7×10-4Pa)以下になるまで排気した。陰極8として、先ず、フッ化リチウム(LiF)をモリブデンボートを用いて、蒸着速度0.03nm/秒、真空度2.8×10-6Torr(約3.7×10-4Pa)で、0.5nmの膜厚で電子輸送層7の上に成膜した。次に、アルミニウムを同様にモリブデンボートにより加熱して、蒸着速度0.46nm/秒、真空度9.6×10-6Torr(約1.3×10-3Pa)で膜厚80nmのアルミニウム層を形成して陰極8を完成させた。以上の2層型陰極8の蒸着時の基板温度は室温に保持した。
以上の様にして、2mm×2mmのサイズの発光面積部分を有する有機電界発光素子が得られた。この素子の発光特性は以下の通りである。
輝度/電流密度:24.7[cd/A]@2.5mA/cm2
電圧:6.0[V]@2.5mA/cm2
発光効率:20.7[1m/w]@100cd/m2
輝度保持率:0.97@250mA/cm2
ここで、輝度保持率は250mA/cm2で駆動したときの駆動開始から50秒後の輝度(L)を駆動開始時の輝度(L0)で割った値であり、駆動安定性の指標である。
素子の発光スペクトルの極大波長は512nmであり、有機イリジウム錯体(D−1)からのものと同定された。色度はCIE(x,y)=(0.30,0.59)であった。
(参考例2)
標準素子2の作製
正孔阻止層のピリジン誘導体(HB−1)を積層しなかった他は標準素子1と同様にして、図4に示す構造を有する素子を作製した。この素子の発光特性を表1に示す。なお、表1に於ける発光特性値は、それぞれ標準素子1の値を1.00として相対的に示した値である。
素子の発光スペクトルの極大波長は512nm、色度はCIE(x,y)=(0.29,0.60)であり、有機イリジウム錯体(D−1)からのものと同定された。正孔阻止層なしでも有機イリジウム錯体からの発光が得られたが、標準素子1と比較して、発光効率が低く駆動電圧も高かった。
(実施例1)
発光層5の主成分(ホスト材料)としてカルバゾール誘導体(CBP)の代わりに合成例3で合成された目的物6(EM−1)を用いた他は参考例1の標準素子1と同様にして素子を作製した。
この素子の発光特性および寿命特性を表1に示す。
素子の発光スペクトルの極大波長は513nm、色度はCIE(x,y)=(0.30,0.60)であり、有機イリジウム錯体(D−1)からのものと同定された。
この素子は、発光効率が高く、駆動電圧も低く、また駆動寿命も長かった。
Figure 0005082230
(実施例2)
発光層5の主成分(ホスト材料)としてカルバゾール誘導体(CBP)の代わりに合成例3で合成された目的物6(EM−1)を用いた他は参考例2の標準素子2と同様にして素子を作製した。
この素子の発光特性および寿命特性を表1に示す。
素子の発光スペクトルの極大波長は513nm、色度はCIE(x,y)=(0.30,0.60)であり、有機イリジウム錯体(D−1)からのものと同定された。
この素子は発光効率が高く、駆動電圧も低く、また駆動寿命も長かった。
また、標準素子1および2の特性と実施例1および2の素子の特性とを比較すると、本発明の有機化合物を用いた実施例1,2の素子は、正孔阻止層の有無に拘わらず、発光効率が高く、駆動電圧も低く安定した素子と言える。
(実施例3)
発光層5の主成分(ホスト材料)として目的物6(EM−1)の代わりに合成例1で合成された目的物2(EM−2)を用いた他は実施例2と同様にして素子を作製した。
この素子の発光特性および寿命特性を表1に示す。
素子の発光スペクトルの極大波長は514nm、色度はCIE(x,y)=(0.30,0.60)であり、有機イリジウム錯体(D−1)からのものと同定された。
この素子は発光効率が高く、駆動電圧も低く、安定した素子と言える。
Figure 0005082230
(実施例4)
発光層5の主成分(ホスト材料)として目的物6(EM−1)の代わりに合成例2で合成された目的物4(EM−3)を用いた他は実施例1と同様にして素子を作製した。
この素子の発光特性を表1に示す。
素子の発光スペクトルの極大波長は514nm、色度はCIE(x,y)=(0.31,0.60)であり、有機イリジウム錯体(D−1)からのものと同定された。
この素子は、発光効率が高く、駆動電圧も低かった。
Figure 0005082230
(実施例5)
発光層5の主成分(ホスト材料)として目的物6(EM−1)の代わりに合成例2で合成された目的物4(EM−3)を用いた他は実施例2と同様にして素子を作製した。
この素子の発光特性を表1に示す。
素子の発光スペクトルの極大波長は514nm、色度はCIE(x,y)=(0.31,0.60)であり、有機イリジウム錯体(D−1)からのものと同定された。
この素子は、発光効率が高く、駆動電圧も低かった。
また、標準素子1および2の特性と実施例4および5の素子の特性とを比較すると、本発明の有機化合物を用いた実施例4,5の素子は、正孔阻止層の有無に拘わらず、発光効率が高く、駆動電圧も低く安定した素子と言える。
(実施例6)
発光層5の主成分(ホスト材料)として目的物6(EM−1)の代わりに合成例8で合成された目的物18(EM−4)を用いた他は実施例1と同様にして素子を作製した。
この素子の発光特性を表1に示す。
素子の発光スペクトルの極大波長は513nm、色度はCIE(x,y)=(0.30,0.59)であり、有機イリジウム錯体(D−1)からのものと同定された。
この素子は、発光効率が若干低かったが、駆動寿命は長かった。
Figure 0005082230
(実施例7)
発光層5の主成分(ホスト材料)として目的物6(EM−1)の代わりに合成例8で合成された目的物18(EM−4)を用いた他は実施例2と同様にして素子を作製した。
この素子の発光特性および寿命特性を表1に示す。
素子の発光スペクトルの極大波長は513nm、色度はCIE(x,y)=(0.30,0.58)であり、有機イリジウム錯体(D−1)からのものと同定された。
この素子は、発光効率が若干低かったが、駆動寿命は長かった。
(比較例1)
発光層5の主成分(ホスト材料)として目的物(EM−1)の代わりに下記に示す(EM−11)を用いた他は実施例1と同様にして素子を作製した。
この素子の発光特性および寿命特性を表1に示す。
素子の発光スペクトルの極大波長は514nm、色度はCIE(x,y)=(0.31,0.61)であり、有機イリジウム錯体(D−1)からのものと同定された。
この素子は、標準素子1および実施例1の素子と比較して発光効率が低かった。また、実施例1の素子と比較して、駆動寿命が短かった。
Figure 0005082230
(比較例2)
発光層5の主成分(ホスト材料)として目的物(EM−1)の代わりに上記(EM−11)を用いた他は実施例2と同様にして素子を作製した。
この素子の発光特性および寿命特性を表1に示す。
素子の発光スペクトルの極大波長は514nm、色度はCIE(x,y)=(0.31,0.61)であり、有機イリジウム錯体(D−1)からのものと同定された。
この素子は、実施例2の素子と比較して発光効率が低く、また、駆動寿命が短かった。
(比較例3)
発光層5の主成分(ホスト材料)として目的物(EM−1)の代わりに下記に示す(EM−12)を用いた他は実施例1と同様にして素子を作製した。
この素子の発光特性を表1に示す。
素子の発光スペクトルの極大波長は514nm、色度はCIE(x,y)=(0.30,0.60)であり、有機イリジウム錯体(D−1)からのものと同定された。
この素子は、実施例3の素子と同様に、標準素子1と比較して発光効率が高く、駆動電圧も低かったが、輝度保持率が悪く、実施例3の素子とは異なり駆動安定性に欠けることが判った。
Figure 0005082230
(比較例4)
発光層5の主成分(ホスト材料)として目的物(EM−1)の代わりに上記(EM−12)を用いた他は実施例2と同様にして素子を作製した。
この素子の発光特性を表1に示す。
素子の発光スペクトルの極大波長は514nm、色度はCIE(x,y)=(0.30,0.60)であり、有機イリジウム錯体(D−1)からのものと同定された。
この素子は、実施例3の素子と同様に、標準素子1と比較して発光効率が高く、駆動電圧も低かったが、輝度保持率が悪く、実施例3の素子とは異なり駆動安定性に欠けることが判った。
(実施例8)
発光層5の主成分(ホスト材料)として目的物6(EM−1)の代わりに合成例10で合成された目的物23(EM−5)を用いた他は実施例1と同様にして素子を作製した。
この素子の発光特性を表1に示す。
素子の発光スペクトルの極大波長は513nm、色度はCIE(x,y)=(0.30,0.60)であり、有機イリジウム錯体(D−1)からのものと同定された。
この素子は、発光効率も高く、駆動電圧も低く、駆動寿命も長かった。
Figure 0005082230
(実施例9)
発光層5の主成分(ホスト材料)として目的物6(EM−1)の代わりに合成例10で合成された目的物23(EM−5)を用いた他は実施例2と同様にして素子を作製した。
この素子の発光特性を表1に示す。
素子の発光スペクトルの極大波長は513nm、色度はCIE(x,y)=(0.29,0.59)であり、有機イリジウム錯体(D−1)からのものと同定された。
この素子は、発光効率が高く、駆動電圧も低かった。
また、標準素子1および2の特性と実施例8および9の素子の特性とを比較すると、本発明の有機化合物を用いた実施例8,9の素子は、正孔阻止層の有無に拘わらず、発光効率が高く、駆動電圧も低く安定した素子と言える。
(実施例10)
発光層5の主成分(ホスト材料)として目的物6(EM−1)の代わりに合成例6で合成された目的物13(EM−6)を用いた他は実施例1と同様にして素子を作製した。
この素子の発光特性を表1に示す。
素子の発光スペクトルの極大波長は514nm、色度はCIE(x,y)=(0.30,0.60)であり、有機イリジウム錯体(D−1)からのものと同定された。
Figure 0005082230
(実施例11)
発光層5の主成分(ホスト材料)として目的物6(EM−1)の代わりに合成例6で合成された目的物13(EM−6)を用いた他は実施例2と同様にして素子を作製した。
この素子の発光特性を表1に示す。
素子の発光スペクトルの極大波長は513nm、色度はCIE(x,y)=(0.30,0.60)であり、有機イリジウム錯体(D−1)からのものと同定された。
また、標準素子1および2の特性と比較すると、本発明の有機化合物を用いた実施例10,11の素子は、正孔阻止層の有無に拘わらず、駆動寿命が長く、安定した素子と言える。
Figure 0005082230
(実施例12)
発光層5の主成分(ホスト材料)として目的物6(EM−1)の代わりに合成例11で合成された目的物24(EM−7)を用いた他は実施例2と同様にして素子を作製した。
素子の発光スペクトルの極大波長は513nm、色度はCIE(x,y)=(0.30,0.59)であり、有機イリジウム錯体(D−1)からのものと同定された。
Figure 0005082230
(実施例13)
発光層5の主成分(ホスト材料)として目的物6(EM−1)の代わりに合成例9で合成された目的物20(EM−8)を用いた他は実施例2と同様にして素子を作製した。
素子の発光スペクトルの極大波長は518nm、色度はCIE(x,y)=(0.35,0.59)であり、有機イリジウム錯体(D−1)からのものと同定された。
Figure 0005082230
(実施例14)
発光層5の主成分(ホスト材料)として目的物6(EM−1)の代わりに合成例5で合成された目的物10(EM−9)を用いた他は実施例2と同様にして素子を作製した。
素子の発光スペクトルの極大波長は518nm、色度はCIE(x,y)=(0.35,0.59)であり、有機イリジウム錯体(D−1)からのものと同定された。
Figure 0005082230
(実施例15)
発光層5の主成分(ホスト材料)として目的物6(EM−1)の代わりに合成例7で合成された目的物16(EM−10)を用いた他は実施例2と同様にして素子を作製した。
素子の発光スペクトルの極大波長は513nm、色度はCIE(x,y)=(0.30,0.60)であり、有機イリジウム錯体(D−1)からのものと同定された。
Figure 0005082230
本発明の有機電界発光素子の一例を示した模式的断面図である。 本発明の有機電界発光素子の別の例を示した模式的断面図である。 本発明の有機電界発光素子の別の例を示した模式的断面図である。 本発明の有機電界発光素子の別の例を示した模式的断面図である。
符号の説明
1 基板
2 陽極
3 正孔注入層(陽極バッファ層)
4 正孔輸送層
5 発光層
6 正孔阻止層
7 電子輸送層
8 陰極

Claims (13)

  1. 下記式(I)で表される部分構造を一分子内に2以上有する有機化合物(ただし、下記式(1)〜(8)で表される化合物を除く。)。
    Figure 0005082230
    (式中、Czは、カルバゾリル基を表す。
    Zは、直接結合または、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオランテン環の単環またはこれらの6員環の2〜5縮合環由来の2価の連結基、或いは、それらが複数個連結されて形成された2価の連結基を表す。
    Cz、Zおよび環Aは、置換基を有していてもよい。
    一分子中に存在する複数個のCzは、同一であっても異なっていてもよい。
    一分子中に存在する複数個のZは、同一であっても異なっていてもよい。
    一分子中に存在する複数個の環Aは、同一であっても異なっていてもよい。
    また、同一の環B中のN原子同士を除き、一分子中に存在するN原子同士は共役しない。
    また、一分子中に存在するピリジン環は1つのみである。
    一分子中に存在する複数個のQは、下記式(II)のGにつながる直接結合を表す。
    Figure 0005082230
    (式中、環Bは、ヘテロ原子としてN原子をn個有する6員環の芳香族複素環である。
    nは、1〜3の整数である。
    Gは、Qにつながる場合は、Qにつながる直接結合または、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオランテン環の単環またはこれらの6員環の2〜5縮合環由来の2価の連結基、或いは、それらが複数個連結されて形成された2価の連結基を表す。
    Gは、Qにつながらない場合は、芳香族炭化水素基を表す。
    Gは、環BのN原子のオルト位およびパラ位にあるC原子に結合する。
    mは、3〜5の整数である。
    一分子中に存在する複数個のGは、同一であっても異なっていてもよい。
    環Bは、G以外にも置換基を有していてもよい。))
    Figure 0005082230
  2. 前記式(II)が、下記式(II−1)〜(II−4)の何れかである、請求項1に記載の有機化合物。
    Figure 0005082230
    (式中、Gは式(II)におけると同義である。)
  3. 前記式(II)が、前記式(II−1)である、請求項1または2に記載の有機化合物。
  4. 前記式(I)が、下記式(I−1)である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の有機化合物。
    Figure 0005082230
    (式中、Z、環A、Qは各々式(I)におけると同義である。)
  5. GおよびZが、直接結合または−(Ph)−(但し、Phは置換基を有していてもよいフェニレン基を表し、pは1〜8の整数を表す。)である、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の有機化合物。
  6. 下記式(III)で表わされる、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の有機化合物。
    Figure 0005082230
    (式中、Cz、Z、環A、Qは各々式(I)におけると同義であり、Gは式(II)におけると同義である。
    a,bおよびcは、それぞれZ−Czの数を表す。
    また、a,bおよびcは、それぞれ独立に0〜5の整数を表す。
    但し、a+b+cは2以上の整数である。
    また、環Cの3位および/または5位は、任意の基で置換されていてもよい。)
  7. 前記式(III)において、a=c=1である、請求項6に記載の有機化合物。
  8. 前記式(III)において、bが0または1の整数である、請求項6または7に記載の有機化合物。
  9. 前記式(III)において、Gが、−(Ph)−(但し、Phは置換基を有していてもよいフェニレン基を表し、pは1〜8の整数を表す。)である、請求項6ないし8のいずれか1項に記載の有機化合物。
  10. 請求項1ないし9の何れか1項に記載の有機化合物を含有することを特徴とする電荷輸送材料。
  11. 基板上に、陽極、陰極、およびこれら両極間に設けられた有機発光層を有する有機電界発光素子において、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の有機化合物を含有する層を有することを特徴とする有機電界発光素子。
  12. 請求項1ないし9のいずれか1項に記載の有機化合物を含有する層が有機発光層である、請求項11に記載の有機電界発光素子。
  13. 有機発光層が、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の有機化合物をホスト材料とし、該ホスト材料に対して、有機金属錯体がドープされてなる層である、請求項12に記載の有機電界発光素子。
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