JP5304301B2 - 有機電界発光素子、有機elディスプレイ及び有機el照明 - Google Patents
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Description
特許文献1には、正孔輸送層及び発光層を湿式成膜法により形成され、正孔輸送層は下記式(HH1)で表される高分子材料によって形成され、発光層は下記式(SS1)で表されるホスト材料と下記式(DD1)で表されるドーパント材料を混合して用いることが開示されている。
また、特許文献2には、正孔輸送層は上記式(HH1)で表される高分子材料によって形成され、発光層は下記式(SS2)で表されるホスト材料と下記式(DD2)で表されるドーパント材料を混合して用いることが開示されている。しかしながら、ホスト材料(SS2)及びドーパント材料(DD2)を用いて得られる素子も、駆動電圧が高く、また発光効率が低いといった問題があった。
てしまうとの問題が生じるものと推測される。
さらに、ホスト材料(SS1)及びドーパント材料(DD1)は、平面性の高sp2炭素原子及び水素原子からなる部分構造を有している。これらは平面性が高い構造のため凝集しやすい。この凝集により、分子間で軌道が重なりあい、周辺よりも電荷を受け取りやすく、電荷を渡しにくいトラップ準位を生じさせるため、前記の問題が生じたものと推測される。
また、特許文献2に記載のホスト材料(SS2)及びドーパント材料(DD2)も、上記特許文献1に記載のホスト材料(SS1)やドーパント材料(DD2)と同様に、平面性が高い構造から凝集しやすく、その為、得られる素子の発光効率に問題が生じるものと推測される。
即ち、本発明は、基板上に、陽極、第一の有機層、発光層、及び陰極をこの順に有し、第一の有機層は発光層と隣接しており、第一の有機層、及び発光層が湿式成膜法で形成された有機電界発光素子であって、下記式(1)を満たすことを特徴とする、有機電界発光素子、並びにそれを備えた有機ELディスプレイ及び有機EL照明に存する。
(式(1)中、
Aは、第一の有機層を構成する材料1gに含まれるsp3炭素原子の量(mmol/g)、
Bは、発光層を構成する材料1gに含まれるsp3炭素原子の量(mmol/g)
を表す。)
その要旨を超えない限り、これらの内容に特定されない。
<基本構成>
本発明の有機電界発光素子は、基板上に、陽極、第一の有機層、発光層、及び陰極をこの順に有し、第一の有機層、及び発光層は湿式成膜法で形成された有機電界発光素子であって、下記式(1)を満たすことを特徴とする、有機電界発光素子である。
(式(1)中、
Aは、第一の有機層を構成する材料1gに含まれるsp3炭素原子の量(mmol/g)、
Bは、発光層を構成する材料1gに含まれるsp3炭素原子の量(mmol/g)
を表す。)
本発明の有機電界発光素子は、式(1)において、A/Bが通常16より小さく、好ましくは2以下であり、さらに好ましくは1以下である。この範囲内であると、第一の有機層の電荷輸送能を高く、発光層の量子収率を高くできるため好ましい。
上記の構成とすることで、本発明が奏する効果が得られ理由を以下の通り推測する。
第一の有機層中に電荷輸送に寄与しないアルキル基が少ないために電荷輸送能を高くなる。
また、発光層中の材料が凝集しないために、凝集する場合に生じる新たなエネルギー準位によって起こる励起子の熱的失活が起こりにくくなるため、発光効率が高くなると推測される。
以下、第一の有機層を構成する材料、及び発光層を構成する材料について各々に説明を行うが、本発明の構成を満たせばよく、その組み合わせは適宜選択することができる。
[第一の有機層を構成する材料]
第一の有機層を構成する材料とは、有機層に含まれる材料を意味する。
この範囲内であると、HOMOやLUMOがせず、電荷輸送の妨げとなるsp3炭素原子が少ないため、電荷輸送能が高く好ましい。
例えば、有機層に含まれる材料が、A1:A2の重量分率で7:3のとき、A1が0.7g、A2が0.3gとして、含まれるsp3炭素原子を算出し、これが上記範囲内であればよい。
(正孔輸送材料)
本発明において、第一の有機層を構成する材料として、正孔輸送材料であることが好ましい。
つまり、本発明の第一の有機層は、不溶化基を有する有機化合物を不溶化させて得られる層であることが好ましい。
[不溶化基]
本発明における不溶化性化合物は、不溶化基を含む基を有する化合物である。
本発明においては、不溶化基は、解離基又は架橋性基であることが好ましい。
(解離基)
本発明における正孔輸送材料は、不溶化基として、解離基を有していることが不溶化後(解離反応後)の電荷輸送能に優れる点で好ましい。
またさらに、100℃以上で熱解離する基であることが好ましく、300℃以下で熱解離する基であることが好ましい。
解離基が2価の基である場合の具体例は、以下の<2価の解離基群A>の通りである。<2価の解離基群A>
また、本発明における正孔輸送材料は、不溶化基として、架橋性基を有していることが、熱及び/又は活性エネルギー線の照射により起こる反応(不溶化反応)の前後で、溶媒に対する溶解性に大きな差を生じさせることができる点で好ましい。
架橋性基としては、不溶化がしやすいという点で、例えば、架橋性基群Tに示す基が挙げられる。
[架橋性基群T]
エポキシ基、オキセタン基などの環状エーテル基、ビニルエーテル基などのカチオン重合によって不溶化反応する基が、反応性が高く不溶化が容易な点で好ましい。中でも、カチオン重合の速度を制御しやすい点でオキセタン基が特に好ましく、カチオン重合の際に素子の劣化をまねくおそれのあるヒドロキシル基が生成しにくい点でビニルエーテル基が好ましい。
また、架橋性基の中でも、不溶化後の構造が特に安定な点で、ベンゾシクロブテン環由来の基が特に好ましい。
架橋性基は分子内の芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基に直接結合してもよいが、2価の基を介して結合してもよい。この2価の基としては、−O−基、−C(=O)−基又は(置換基を有していてもよい)−CH2−基から選ばれる基を任意の順番で1〜30個連結してなる2価の基を介して、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基に結合することが好ましい。
また、本発明に係る正孔輸送材料は低分子化合物であっても、高分子化合物であってもよいが、耐熱性、電荷輸送性、成膜性等の点において、高分子化合物であることが好ましい。
本発明における低分子化合物とは、分子量に分布を有するものではなく、単一の分子量を有する化合物をいう。また、本発明における高分子化合物とは、分子量に分布を有する化合物であって、例えば構造中に繰り返し単位を有する化合物をいう。
0以上、また、通常5000以下、好ましくは2500以下の範囲である。正孔輸送材料の分子量が小さ過ぎると電荷輸送性が低下する場合があり、大き過ぎると溶解性が低下する場合がある。
一方、正孔輸送材料が高分子化合物である場合の重量平均分子量は、通常500以上、好ましくは2000以上、より好ましくは4000以上、また、通常2,000,000以下、好ましくは500,000以下、より好ましくは200,000以下の範囲である。正孔輸送材料の重量平均分子量がこの下限値を下回ると、正孔輸送材料の成膜性が低下する可能性があり、また、正孔輸送材料のガラス転移温度、融点および気化温度が低下するため耐熱性が著しく損なわれる可能性がある。また、重量平均分子量がこの上限値を超えると、不純物の高分子量化によって正孔輸送材料の精製が困難となる可能性がある。
第一の有機層を形成する材料としては、正孔輸送能が高く、かつ、注入された正孔を効率よく輸送することができる材料であることが好ましい。そのために、イオン化ポテンシャルが小さく、可視光の光に対して透明性が高く、正孔移動度が大きく、安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時や使用時に発生しにくいことが好ましい。また、多くの場合、発光層に接するため、発光層からの発光を消光したり、発光層との間でエキサイプレックスを形成して効率を低下させたりしないことが好ましい。
ポリアリールアミン誘導体としては、下記式(II)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物であることが好ましい。特に、下記式(II)で表される繰り返し単位からなる高分子化合物であることが好ましく、この場合、繰り返し単位それぞれにおいて、AraまたはArbが異なっているものであってもよい。
置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの、6員環の単環または2〜5縮合環由来の基およびこれらの環が2環以上直接結合で連結してなる基が挙げられる。
中でも、ベンゼン環由来の基(フェニル基)、ベンゼン環が2環連結してなる基(ビフェニル基)およびフルオレン環由来の基(フルオレニル基)が好ましい。
ポリアリーレン誘導体としては、下記式(III−1)および/または下記式(III−2)からなる繰り返し単位を有する高分子化合物が好ましい。
Xの具体例としては、―O―、―BR―、―NR―、―SiR2―、―PR―、―SR―、―CR2―またはこれらが結合してなる基である。尚、Rは、水素原子又は任意の有機基を表す。
は1を表す。)
Arc〜Arjの具体例としては、前記式(II)における、Ara及びArbと同様である。
正孔輸送性化合物の構造は特に限定しないが、下記式(4)で表される構造を部分構造として有する化合物であることが好ましい。
<正孔輸送材料の例示>
本発明における第一の有機層形成用組成物は、前記正孔輸送材料を少なくとも一種含有する。また、第一の有機層形成用組成物に含まれる不溶化性化合物は、何れか一種を単独で用いてもよく、また異なる二種以上を任意の比率及び組み合わせで含んでいてもよい。
(溶媒)
該溶媒は、前記不溶化性化合物を溶解するものが好ましく、通常、不溶化性化合物を0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、さらに好ましくは1重量%以上溶解する溶媒である。
重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下含有する。
本発明における第一の有機層形成用組成物に含有される溶媒としては、特に制限されるものではないが、前記不溶化性化合物を溶解させる必要があることから、好ましくは、トルエン、キシレン、メチシレン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族系溶媒;1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の含ハロゲン溶媒;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート(PGMEA)等の脂肪族エーテル、1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等の芳香族エーテル等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル等の脂肪族エステル;酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸イソプロピル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステル等のエステル系溶媒等の有機溶媒が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、水分は有機電界発光素子の性能劣化、中でも特に連続駆動時の輝度低下を促進する可能性があり、塗膜中に残留する水分をできる限り低減するために、これらの溶媒の中でも、25℃における水の溶解度が1重量%以下であるものが好ましく、0.1重量%以下である溶媒がより好ましい。
即ち、第一の有機層は湿式成膜法により形成されるが、下地との親和性が重要である。膜質の均一性は有機電界発光素子の発光の均一性、安定性に大きく影響するため、湿式成膜法に用いる組成物には、よりレベリング性が高く均一な塗膜を形成しうるように表面張力が低いことが求められる。このような溶媒を使用することにより、前記不溶化性化合物を含有する均一な層を形成することができる。
また、本発明における第一の有機層形成用組成物は、必要に応じ、電子受容性化合物や、架橋反応を促進するための添加物等の添加剤を含んでいてもよい。この場合は、溶媒としては、前記不溶化性化合物と添加剤の双方を0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、さらに好ましくは1重量%以上溶解する溶媒を使用することが好ましい。
どの光増感剤等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
その他、本発明における第一の有機層形成用組成物は、レベリング剤や消泡剤等の塗布性改良剤などの各種添加剤を含んでいてもよい。また、後述する混合層に含まれる発光性低分子化合物及び/又は電荷輸送性低分子化合物を含有していてもよい。
(1.成膜方法)
第一の有機層形成用組成物は、基板や他の層の上などに湿式成膜法により形成される。
本発明において湿式成膜法とは、例えば、スピンコート法、ディップコート法、ダイコート法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法、キャピラリーコート法、インクジェット法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法等湿式で成膜される方法をいう。これらの成膜方法の中でも、スピンコート法、スプレーコート法、インクジェット法が好ましい。これは、有機電界発光素子に用いられる湿式成膜用の組成物特有の液性に合うためである。
成膜後の膜に、加熱乾燥や減圧乾燥などをおこなってもよい。
上記の通り成膜後、加熱及び/または活性エネルギー線の照射により、不溶化性化合物が不溶化反応を起こし膜が得られる。
不溶化方法が加熱による場合、加熱の手法は特に限定されないが、加熱条件としては、通常120℃以上、好ましくは400℃以下に成膜された膜を加熱する。加熱時間としては、通常1分以上、好ましくは24時間以下である。
不溶化方法が活性エネルギー線の照射による場合には、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、赤外ランプ等の紫外・可視・赤外光源を直接用いて照射する方法、あるいは前述の光源を内蔵するマスクアライナ、コンベア型光照射装置を用いて照射する方法などが挙げられる。また、例えばマグネトロンにより発生させたマイクロ波を照射する装置、いわゆる電子レンジを用いて照射する方法が挙げられる。照射時間としては、膜の溶解性を低下させるために必要な条件を設定することが好ましいが、通常、0.1秒以上、好ましくは10時間以下照射される。
加熱及び/または活性エネルギー線の照射は、実施後に層が含有する水分及び/または層の表面に吸着する水分の量を低減するために、窒素ガス雰囲気等の水分を含まない雰囲気で行うことが好ましい。同様の目的で加熱及び/または活性エネルギー線の照射を組み
合わせて行う場合には、少なくとも上の層の形成直前の工程を窒素ガス雰囲気等の水分を含まない雰囲気で行うことが特に好ましい。
[発光層を構成する材料]
発光層を構成する材料とは、発光層に含まれる材料を意味する。
この範囲内であると、発光層中の材料が凝集しないために、励起子の熱的失活が起こりにくく、発光効率が高くなり好ましい。
例えば、発光層に含まれる材料が、B1:B2の重量分率で7:3のとき、B1が0.7g、B2が0.3gとして、含まれるsp3炭素原子を算出し、これが上記範囲内であればよい。
発光層を構成する材料としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、さらに発光効率が高められる点、高純度化が容易な点で、発光性低分子化合物であることが好ましい。
本発明の有機電界発光素子は、陽極と、陰極との間に発光層を有し、該発光層が、発光性低分子化合物を含有することが好ましい。
発光性低分子化合物としては、単一の分子量で規定される発光の性質を有する化合物であれば特に制限はなく、公知の材料を適用可能である。例えば、蛍光発光性低分子化合物であってもよく、燐光発光性低分子化合物であってもよいが、内部量子効率の観点から、好ましくは燐光発光性低分子化合物である。
以下、発光性低分子化合物のうち蛍光発光性低分子化合物の例を挙げるが、蛍光発光性低分子化合物は以下の例示物に限定されるものではない。
緑色発光を与える蛍光発光性低分子化合物(緑色蛍光発光性低分子化合物)としては、例えば、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、Al(C9H6NO)3などのアルミニウム錯体等が挙げられる。
赤色発光を与える蛍光発光性低分子化合物(赤色蛍光発光性低分子化合物)としては、例えば、DCM(4−(dicyanomethylene)−2−methyl−6−(p−dimethylaminostyryl)−4H−pyran)系化合物、ベン
ゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、アザベンゾチオキサンテン等が挙げられる。
周期表第7〜11族から選ばれる金属として、好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金等が挙げられる。
以下に、発光性低分子化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、式中Hexはヘキシル基を表す。
<発光性低分子化合物の例示>
本発明の有機電界発光素子は、発光層を構成する材料として、さらに電荷輸送性低分子
化合物を含有していてもよい。
本発明においては、電荷輸送性低分子化合物は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
発光層において、発光性低分子化合物をドーパント材料とし、電荷輸送性低分子化合物をホスト材料として用いることが好ましい。
電荷輸送性低分子化合物として具体的には、芳香族アミン系化合物、フタロシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物、オリゴチオフェン系化合物、ポリチオフェン系化合物、ベンジルフェニル系化合物、フルオレン基で3級アミンを連結した化合物、ヒドラゾン系化合物、シラザン系化合物、シラナミン系化合物、ホスファミン系化合物、キナクリドン系化合物、アントラセン系化合物、ピレン系化合物、カルバゾール系化合物、ピリジン系化合物、フェナントロリン系化合物、オキサジアゾール系化合物、シロール系化合物等が挙げられる。
代表わされる2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族ジアミン(特開平5−234681号公報)、4,4',4''−トリス(1−ナフ
チルフェニルアミノ)トリフェニルアミン等のスターバースト構造を有する芳香族アミン系化合物(J.Lumin.,72−74巻、985頁、1997年)、トリフェニルアミンの四量体から成る芳香族アミン系化合物(Chem.Commun.,2175頁、1996年)、2,2',7,7'−テトラキス−(ジフェニルアミノ)−9,9'−スピ
ロビフルオレン等のフルオレン系化合物(Synth.Metals,91巻、209頁、1997年)、4,4'−N,N'−ジカルバゾールビフェニルなどのカルバゾール系化合物、2−(4−ビフェニリル)−5−(p−ターシャルブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(tBu−PBD)、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール(BND)などのオキサジアゾール系化合物、2,5−ビス(6’−(2’,2”−ビピリジル))−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロール(PyPySPyPy)等のシロール系化合物、バソフェナントロリン(BPhen)、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP、バソクプロイン)などのフェナントロリン系化合物等が挙げられる。
発光層は、発光性低分子化合物、電荷輸送性低分子化合物および溶媒を含有する組成物(発光層用組成物)を用いて成膜することにより形成ことが好ましい。
発光層用組成物は、発光性低分子化合物、及び電荷輸送性化合物を含有する。
発光性低分子化合物、及び電荷輸送性化合物は、上記の通りである。
また、溶媒は、発光性低分子化合物及び電荷輸送性低分子化合物が良好に溶解する溶媒であれば特に限定されない。
溶媒の溶解性としては、常温・常圧下で、発光性低分子化合物および電荷輸送性低分子化合物を、各々、通常0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上溶解することが好ましい。
ものではない。
例えば、n−デカン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、デカリン、ビシクロヘキサン等のアルカン類;トルエン、キシレン、メチシレン、シクロヘキシルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類;1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール、ジフェニルエーテル等の芳香族エーテル類;酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステル類、シクロヘキサノン、シクロオクタノン、フェンコン等の脂環族ケトン類;シクロヘキサノール、シクロオクタノール等の脂環族アルコール類;メチルエチルケトン、ジブチルケトン等の脂肪族ケトン類;ブタノール、ヘキサノール等の脂肪族アルコール類;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート(PGMEA)等の脂肪族エーテル類;等が挙げられる。
また、より均一な膜を得るためには、成膜直後の液膜から溶媒が適当な速度で蒸発することが好ましい。このため、溶媒の沸点は通常80℃以上、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上、また、通常270℃以下、好ましくは250℃以下、より好ましくは沸点230℃以下である。
(発光層の形成方法)
本発明における発光層の形成方法は、成膜性に優れる点で、湿式成膜法で行うことが好ましい。
電荷輸送性低分子化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、式中、Buはブチル基、Etはエチル基を表す。
<電荷輸送性低分子化合物の例示>
以下に、本発明の方法で製造される有機電界発光素子の層構成およびその一般的形成方法等について、図1を参照して説明する。
(基板)
基板は有機電界発光素子の支持体となるものであり、石英やガラスの板、金属板や金属箔、プラスチックフィルムやシート等が用いられる。特にガラス板や、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホン等の透明な合成樹脂の板が好ましい。合成樹脂基板を使用する場合にはガスバリア性に留意する必要がある。基板のガスバリア性が小さすぎると、基板を通過した外気により有機電界発光素子が劣化することがあるので好ましくない。このため、合成樹脂基板の少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜等を設けてガスバリア性を確保する方法も好ましい方法の一つである。
陽極2は発光層側の層への正孔注入の役割を果たすものである。
この陽極2は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属、インジウムおよび/またはスズの酸化物等の金属酸化物、ヨウ化銅等のハロゲン化金属、カーボンブラック、或いは、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子等により構成される。
陽極2の厚みは、必要とする透明性により異なる。透明性が必要とされる場合は、可視光の透過率を、通常60%以上、好ましくは80%以上とすることが好ましい。この場合、陽極2の厚みは通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下程度である。不透明でよい場合は陽極2の厚みは任意であり、陽極2は基板と同一でもよい。また、さらには、上記の陽極2の上に異なる導電材料を積層することも可能である。
(正孔注入層)
正孔注入層は、陽極2から発光層へ正孔を輸送する層であり、通常、陽極2上に形成される。
正孔注入層の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下の範囲である。
湿式成膜により正孔注入層を形成する場合、通常は、正孔注入層を構成する材料を適切な溶剤(正孔注入層用溶剤)と混合して成膜用の組成物(正孔注入層形成用組成物)を調製し、この正孔注入層形成用組成物を適切な手法により、正孔注入層の下層に該当する層(通常は、陽極)上に塗布して成膜し、乾燥することにより正孔注入層を形成する。
正孔注入層形成用組成物は通常、正孔注入層の構成材料として正孔輸送性化合物および溶剤を含有する。
正孔輸送性化合物は、通常、有機電界発光素子の正孔注入層に使用される、正孔輸送性を有する化合物であれば、重合体などの高分子化合物であっても、単量体などの低分子化合物であってもよいが、高分子化合物であることが好ましい。
ポリキノキサリン誘導体、カーボン等が挙げられる。
正孔注入層の材料として用いられる正孔輸送性化合物は、このような化合物のうち何れか1種を単独で含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。2種以上の正孔輸送性化合物を含有する場合、その組み合わせは任意であるが、芳香族三級アミン高分子化合物1種または2種以上と、その他の正孔輸送性化合物1種または2種以上とを併用することが好ましい。
芳香族三級アミン化合物の種類は特に制限されないが、表面平滑化効果による均一な発光の点から、重量平均分子量が1000以上、1000000以下の高分子化合物(繰り返し単位が連なる重合型化合物)がさらに好ましい。芳香族三級アミン高分子化合物の好ましい例として、下記式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物が挙げられる。
Ar1〜Ar16の芳香族炭化水素基および芳香族複素環基としては、高分子化合物の溶解性、耐熱性、正孔注入・輸送性の点から、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、チオフェン環、ピリジン環由来の基が好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環由来の基がさらに好ましい。
R1およびR2が任意の置換基である場合、該置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、シリル基、シロキシ基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基などが挙げられる。
また、正孔輸送性化合物としては、ポリチオフェンの誘導体である3,4-ethylenedioxythiophene(3,4-エチレンジオキシチオフェン)を高分子量ポリスチレンスルホン酸中で重合してなる導電性ポリマー(PEDOT/PSS)もまた好ましい。また、このポリマーの末端を
メタクリレート等でキャップしたものであってもよい。
正孔注入層形成用組成物は正孔注入層の構成材料として、電子受容性化合物を含有していることが好ましい。
正孔注入層用組成物は電子受容性化合物を含有していることが好ましい。電子受容性化
合物とは、酸化力を有し、上述の正孔輸送性化合物から一電子受容する能力を有する化合物が好ましく、具体的には、電子親和力が4eV以上である化合物が好ましく、5eV以上の化合物である化合物がさらに好ましい。電子受容性化合物としては、例えば、トリアリールホウ素化合物、ハロゲン化金属、ルイス酸、有機酸、オニウム塩、アリールアミンとハロゲン化金属との塩、アリールアミンとルイス酸との塩よりなる群から選ばれる1種又は2種以上の化合物等が挙げられる。さらに具体的には、4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンダフルオロフェニル)ボラート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート等の有機基の置換したオニウム塩(国際公開第2005/089024号パンフレット);塩化鉄(III)(特開平11−251067
号公報)、ペルオキソ二硫酸アンモニウム等の高原子価の無機化合物;テトラシアノエチレン等のシアノ化合物、トリス(ペンダフルオロフェニル)ボラン(特開2003−31365号公報)等の芳香族ホウ素化合物;フラーレン誘導体;ヨウ素等が挙げられる。これらの電子受容性化合物は、正孔輸送性化合物を酸化することにより正孔注入層の導電率を向上させることができる。電子受容性化合物の正孔輸送性化合物に対する含有量は、通常0.1モル%以上、好ましくは1モル%以上である。但し、通常100モル%以下、好ましくは40モル%以下である。
正孔注入層の材料としては、本発明の効果を著しく損なわない限り、上述の正孔輸送性化合物や電子受容性化合物に加えて、さらに、その他の成分を含有させてもよい。その他の成分の例としては、各種の発光材料、電子輸送性化合物、バインダー樹脂、塗布性改良剤などが挙げられる。なお、その他の成分は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
湿式成膜法に用いる正孔注入層形成用組成物の溶剤のうち少なくとも1種は、上述の正孔注入層の構成材料を溶解しうる化合物であることが好ましい。また、この溶剤の沸点は通常110℃以上、好ましくは140℃以上、中でも200℃以上、通常400℃以下、中でも300℃以下であることが好ましい。溶剤の沸点が低すぎると、乾燥速度が速すぎ、膜質が悪化する可能性がある。また、溶剤の沸点が高すぎると乾燥工程の温度を高くする必要があし、他の層や基板に悪影響を与える可能性がある。
エーテル系溶剤としては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート(PGMEA)等の脂肪族エーテル;1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等の芳香族エーテル、等が挙げられる。
芳香族炭化水素系溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキシルベンゼン、3−イロプロピルビフェニル、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、1,4−ジイソプロピルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、メチルナフタレン等が挙げられる。
その他、ジメチルスルホキシド、等も用いることができる。
これらの溶剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で用いてもよい。
正孔注入層形成用組成物を調製後、この組成物を湿式成膜により、正孔注入層の下層に該当する層(通常は、陽極2)上に塗布成膜し、乾燥することにより正孔注入層を形成する。
成膜工程における温度は、組成物中に結晶が生じることによる膜の欠損を防ぐため、10℃以上が好ましく、50℃以下が好ましくい。
成膜後、通常加熱等により正孔注入層形成用組成物の膜を乾燥させる。加熱工程において使用する加熱手段の例を挙げると、クリーンオーブン、ホットプレート、赤外線、ハロゲンヒーター、マイクロ波照射などが挙げられる。中でも、膜全体に均等に熱を与えるためには、クリーンオーブンおよびホットプレートが好ましい。
真空蒸着により正孔注入層を形成する場合には、正孔注入層の構成材料(前述の正孔輸送性化合物、電子受容性化合物等)の1種または2種以上を真空容器内に設置されたるつぼに入れ(2種以上の材料を用いる場合は各々のるつぼに入れ)、真空容器内を適当な真空ポンプで10−4Pa程度まで排気した後、るつぼを加熱して(2種以上の材料を用いる場合は各々のるつぼを加熱して)、蒸発量を制御して蒸発させ(2種以上の材料を用いる場合はそれぞれ独立に蒸発量を制御して蒸発させ)、るつぼと向き合って置かれた基板の陽極2上に正孔注入層を形成させる。なお、2種以上の材料を用いる場合は、それらの混合物をるつぼに入れ、加熱、蒸発させて正孔注入層を形成することもできる。
限り限定されないが、通常0.1Å/秒以上、通常5.0Å/秒以下である。蒸着時の成膜温度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、好ましくは10℃以上で、好ましくは50℃以下で行われる。
正孔輸送層は、正孔注入層の上に設けられる。正孔輸送層は、前記[第一の有機層]に記載の材料、及び成膜方法で形成することができる。材料、及び成膜方法の好ましい態様
も同様である。
{発光層}
発光層は、前記[発光層]の項で記載の材料、成膜方法で形成することができる。好ましい材料、及び方法も同様である。
発光層と後述の電子注入層8の間に、電子輸送層を設けてもよい。
電子輸送層は、素子の発光効率を更に向上させることを目的として設けられるもので、電界を与えられた電極間において陰極から注入された電子を効率よく発光層の方向に輸送することができる化合物より形成される。
電子輸送層の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で形成することができる。
電子輸送層の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常1nm以上、好ましくは5nm以上、また、通常300nm以下、好ましくは100nm以下の範囲である。
電子注入層8は、陰極から注入された電子を効率良く発光層へ注入する役割を果たす。電子注入を効率よく行なうには、電子注入層8を形成する材料は、仕事関数の低い金属が好ましい。例としては、ナトリウムやセシウム等のアルカリ金属、バリウムやカルシウムなどのアルカリ土類金属等が用いられ、その膜厚は通常0.1nm以上、5nm以下が好ましい。
電子注入層8の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法
で形成することができる。
{陰極}
陰極は、発光層側の層(電子注入層8または発光層など)に電子を注入する役割を果たすものである。
陰極の膜厚は、通常、陽極2と同様である。
さらに、低仕事関数金属から成る陰極を保護する目的で、この上に更に、仕事関数が高く大気に対して安定な金属層を積層すると、素子の安定性が増すので好ましい。この目的のために、例えば、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金等の金属が使われる。なお、これらの材料は、1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
本発明に係る有機電界発光素子は、その趣旨を逸脱しない範囲において、別の構成を有していてもよい。例えば、その性能を損なわない限り、陽極2と陰極との間に、上記説明にある層の他に任意の層を有していてもよく、また、任意の層が省略されていてもよい。
<電子阻止層>
有していてもよい層としては、例えば、電子阻止層が挙げられる。
電子阻止層の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で形成することができる。
さらに陰極と発光層または電子輸送層との界面に、例えばフッ化リチウム(LiF)、フッ化マグネシウム(MgF2)、酸化リチウム(Li2O)、炭酸セシウム(II)(CsCO3)等で形成された極薄絶縁膜(0.1〜5nm)を挿入することも、素子の効率
を向上させる有効な方法である(Applied Physics Letters, 1997年, Vol.70, pp.152;特開平10−74586号公報;IEE
E Transactions on Electron Devices, 1997年,Vol.44, pp.1245;SID 04 Digest, pp.154等参照)。
更には、少なくとも一方が透明性を有する2枚の基板の間に、基板以外の構成要素を積層することにより、本発明に係る有機電界発光素子を構成することも可能である。
また、上述した各層には、本発明の効果を著しく損なわない限り、材料として説明した以外の成分が含まれていてもよい。
本発明の有機ELディスプレイ及び有機EL照明は、上述のような本発明の有機電界発光素子を備えるものである。有機ELディスプレイの型式や構造については特に制限はなく、本発明の有機電界発光素子を用いて常法に従って組み立てることができる。
例えば、「有機ELディスプレイ」(オーム社、平成16年8月20日発行、時任静士、安達千波矢、村田英幸著)に記載されているような方法で、本発明の有機ELディスプレイ及び有機EL照明を形成することができる。
実施例の素子及び比較例の素子に用いた第一の有機層を構成する材料の構造と1gあたりのsp3炭素原子数は下記のとおりである。
(第一の有機層を構成する材料1)
上記式(P1)で表される化合物は、下記式(PF1)で表される化合物を230℃、1時間加熱することで、得られる。
(第一の有機層を構成する材料2)
上記式(P2)で表される化合物は、下記式(PF2)で表される化合物を230℃、1時間加熱することで、得られる。
<発光層を構成する材料>
実施例の素子及び比較例の素子に用いた発光層を構成する材料の構造と1gあたりのsp3炭素原子数は下記のとおりである。
(発光層を構成する材料2)
(発光層を構成する材料3)
(発光層を構成する材料4)
(発光層を構成する材料5)
(発光層を構成する材料6)
(発光層を構成する材料7)
(発光層を構成する材料8)
[電流−電圧特性の評価]
(参考例1)
ガラス基板上に、インジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を120nmの厚さに
堆積したもの(三容真空社製、スパッタ成膜品)を、通常のフォトリソグラフィー技術と塩酸エッチングを用いて2mm幅のストライプにパターニングして陽極を形成した。パターン形成したITO基板を、界面活性剤水溶液による超音波洗浄、超純水による水洗、超純水による超音波洗浄、超純水による水洗の順で洗浄後、圧縮空気で乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
続いて、陰極蒸着用のマスクとして2mm幅のストライプ状シャドーマスクを、陽極のITOストライプと直交するように素子に密着させた。油回転ポンプにより装置の粗排気を行った後、クライオポンプを用いて装置内の真空度が3×10-4Pa以下になるまで
排気した。
上の陰極の蒸着時の基板温度は室温に保持した。
以上の様にして、2mm×2mmのサイズの素子面積を有する単層素子が得られた。
得られた単層素子を2400型ソースメーター(Keithley社製)に接続し、電圧を順次印加していき電流値を読み取った。
図1に示すが如く、1gあたりのsp3炭素原子が少ない(1.595mmol/g)材料を用いて構成された層を有する素子は、後述する比較参考例の素子に比べて、低い電圧で電流が流れた。このことから、sp3炭素原子が少なくすることで電荷輸送性が高められることが明らかとなった。
前記式(PF1)で表される化合物の代わりに、下記式(PF2)で表される化合物を用いて、層を形成した以外は、参考例1と同様にして、単層素子を作成し、その電流-電圧
特性を測定した。結果を図1に示す。1gあたりのsp3炭素原子が比較的多い(22.55mmol/g)材料を用いて構成された層は、比較的高い電圧で電流が流れた。
[量子収率の評価]
(参考例2)
ホスト材料(H3)(1.0重量%)と、ドーパント材料(D1)(0.1重量%)を、溶媒としてのトルエンに溶解した後、孔径0.2μmのPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製メンブレンフィルターを用いて濾過し、塗布組成物を作製した。この塗布組成物をガラス基板上にスピンコートした。スピンコートは気温23℃、相対湿度60%の大気中で行い、スピナ回転数は1500rpm、スピナ時間は30秒とした。スピンコート後、減圧下、130℃で5分間加熱した。このようにして、量子収率測定用の層を形成した。
りのsp3炭素原子が多い(1.547mmol/g)材料で構成された層は高い量子収率を示した。このことから、sp3炭素原子を多くすることで量子収率が高められることが明らかとなった。
ドーパント材料(D1)の代わりにドーパント材料(D5)を用いた以外は、参考例2と同様にして、量子収率の評価を行った結果を、表1に表す。表1に示すが如く、1gあたりのsp3炭素原子が多い(1.121mmol/g)材料で構成された層は高い量子収率を示し
た。このことから、sp3炭素原子を多くすることで量子収率が高められることが明らかとなった。
ドーパント材料(D1)の代わりにドーパント材料(D4)を用いた以外は、参考例2と同様にして、量子収率の評価を行った結果を、表1に表す。表1に示すが如く、1gあたりのsp3炭素原子が比較的少ない(0.879mmol/g)材料で構成された層は比較的低い量子収率を示した。
(実施例1)
図1に示す有機電界発光素子を作製した。
溶媒 安息香酸エチル
塗布液濃度 PX1:2.0重量%
A1:0.8重量%
<正孔注入層3の成膜条件>
スピナ回転数 1500rpm
スピナ回転時間 30秒
スピンコート雰囲気 大気中
加熱条件 大気中 230℃ 3時間
溶媒 シクロヘキシルベンゼン
固形分濃度 PF2:1.4重量%
<正孔輸送層4の成膜条件>
スピナ回転数 1500rpm
スピナ回転時間 30秒
スピンコート雰囲気 窒素中
加熱条件 窒素中、230℃、1時間
溶媒 シクロヘキシルベンゼン
塗布液濃度 H1:2.50重量%
H2:2.50重量%
D3:0.25重量%
D2:0.25重量%
<発光層5の成膜条件>
スピナ回転数 1500rpm
スピナ回転時間 30秒
スピンコート雰囲気 窒素中
加熱条件 減圧下(0.1MPa)、130℃、1時間
lq(C2)を真空蒸着法によって積層し正孔阻止層6を得た。蒸着速度を0.5〜1.5Å/秒の範囲で制御し、発光層5の上に積層して膜厚10nmの膜の正孔阻止層6を形成した。蒸着時の真空度は2.5〜4.0×10-5Paであった。
し、膜厚30nmの膜を正孔阻止層6の上に積層して電子輸送層7を形成した。
.5nmの膜厚で電子輸送層7の上に成膜した。次に、陰極9としてアルミニウムを同様にモリブデンボートにより加熱して、蒸着速度0.5〜1.5Å/秒、真空度2.0〜5.5×10-5Paで制御して膜厚80nmのアルミニウム層を形成した。以上の2層の
蒸着時の基板温度は室温に保持した。
窒素グローブボックス中で、23mm×23mmサイズのガラス板の外周部に、約1mmの幅で光硬化性樹脂30Y−437(スリーボンド社製)を塗布し、中央部に水分ゲッターシート(ダイニック社製)を設置した。この上に、陰極形成を終了した基板を、蒸着された面が乾燥剤シートと対向するように貼り合わせた。その後、光硬化性樹脂が塗布された領域のみに紫外光を照射し、樹脂を硬化させた。
(実施例2)
発光層形成用塗布液を下記のようにして、発光層を形成したほかは、実施例1と同様に有機電界発光素子を作成した。
溶媒 シクロヘキシルベンゼン
塗布液濃度 H1:2.50重量%
H2:2.50重量%
D1:0.25重量%
D2:0.25重量%
この素子の特性を表2に表す。低い電圧駆動可能で、発光効率が高く、長寿命の素子が得られた。
発光層形成用塗布液を下記のようにして、発光層を形成したほかは、実施例1と同様に有機電界発光素子を作成した。
<発光層形成用塗布液>
溶媒 シクロヘキシルベンゼン
塗布液濃度 H1:2.50重量%
H2:2.50重量%
D3:0.25重量%
D4:0.25重量%
この素子の特性を表2に表す。
正孔注入層形成用塗布液、正孔注入層の成膜条件、正孔輸送層形成用塗布液、及び、発光層形成用塗布液を下記のようにしたほかは、実施例1と同様にして、有機電界発光素子を作成した。
溶媒 安息香酸エチル
塗布液濃度 PX2:2.0重量%
A1:0.8重量%
<正孔注入層3の成膜条件>
スピナ回転数 1500rpm
スピナ回転時間 30秒
スピンコート雰囲気 大気中
加熱条件 大気中 230℃ 1時間
<正孔輸送層形成用組成物>
溶媒 シクロヘキシルベンゼン
固形分濃度 PF1:1.4重量%
<発光層形成用塗布液>
溶媒 シクロヘキシルベンゼン
塗布液濃度 H1:2.40重量%
H2:2.40重量%
D2:0.24重量%
この素子の特性を表3に表す。発光効率が高く、長寿命の素子が得られた。
発光層形成用塗布液を下記のようにしたほかは、実施例3と同様にして、有機電界発光素子を作成した。
<発光層形成用塗布液>
溶媒 シクロヘキシルベンゼン
塗布液濃度 H1:2.40重量%
H2:2.40重量%
D2:0.37重量%
この素子の特性を表3に表す。発光効率が高い素子が得られた。
発光層形成用塗布液を下記のようにしたほかは、実施例3と同様にして、有機電界発光素子を作成した。
<発光層形成用塗布液>
溶媒 シクロヘキシルベンゼン
塗布液濃度 H1:2.40重量%
H2:2.40重量%
D2:0.48重量%
この素子の特性を表3に表す。発光効率が高く、長寿命の素子が得られた。
正孔輸送層形成用塗布液を下記のようにしたほかは、実施例3と同様にして、有機電界発光素子を作成した。
<正孔輸送層形成用組成物>
溶媒 シクロヘキシルベンゼン
固形分濃度 PF2:1.4重量%
この素子の特性を表3に表す。
スプレイ(例えばOAコンピュータ用や壁掛けテレビ)や面発光体としての特徴を生かした光源(例えば、複写機の光源、液晶ディスプレイや計器類のバックライト光源)、表示板、標識灯等の分野において、好適に使用することが出来る。
2 陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 正孔阻止層
7 電子輸送層
8 電子注入層
9 陰極
Claims (8)
- 基板上に、陽極、第一の有機層、発光層、及び陰極をこの順に有し、
第一の有機層、及び発光層は湿式成膜法で形成された有機電界発光素子であって、
下記式(1)を満たし、且つ第一の有機層は、不溶化基を有する有機化合物を不溶化させて得られる層であり、
0≦A/B≦2 (1)
(式(1)中、
Aは、第一の有機層を構成する材料1gに含まれるsp3炭素原子の量(mmol/g)、
Bは、発光層を構成する材料1gに含まれるsp3炭素原子の量(mmol/g) を表す。)
第一の有機層には、正孔輸送性化合物を含み、該正孔輸送性化合物は、ポリアリールアミン誘導体であり、発光層には、燐光発光性低分子化合物を含む、
有機電界発光素子。 - 前記式(1)中、Bが1.5mmol/g以上であることを特徴とする、請求項1に記載の有機電界発光素子。
- 前記式(1)中、Aが3.0mmol/g以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の有機電界発光素子。
- ポリアリールアミン誘導体が、下記式(II)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
- ポリアリールアミン誘導体が、下記式(II)で表される繰り返し単位を含む高分子化
合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
- ポリアリールアミン誘導体が、下記式(II)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を備える、有機ELディスプレイ。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を備える、有機EL照明。
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