JP5487595B2 - 有機電界発光素子用組成物および有機電界発光素子 - Google Patents

有機電界発光素子用組成物および有機電界発光素子 Download PDF

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本発明は、有機電界発光素子の有機層を塗布などの湿式成膜法で形成する際に用いられる有機電界発光素子用組成物と、この有機電界発光素子用組成物により形成された層を有する有機電界発光素子、並びにこの有機電界発光素子を用いた有機EL表示装置および有機EL照明に関する。
近年、有機薄膜を用いた電界発光素子(有機電界発光素子)の開発が行われている。有機薄膜の形成方法としては、真空蒸着法と湿式成膜法が挙げられる。湿式成膜法は真空プロセスが要らず、大面積化が容易で、1つの層(塗布液)に様々な機能をもった複数の材料を混合して入れることが容易である等の利点がある。
湿式成膜法によって形成された発光層の材料としては、ポリ(p−フェニレンビニレン)誘導体やポリフルオレン誘導体等の高分子材料が主に用いられているが、高分子材料には以下のような問題がある。
・高分子材料は重合度や分子量分布を制御することが困難である。
・連続駆動時に末端残基による劣化が起こる。
・材料自体の高純度化が困難で、不純物を含む。
上記問題のために、高分子材料を用いた湿式成膜法による素子は、真空蒸着法による素子に比べて駆動安定性に劣り、一部を除いて実用レベルに至っていないのが現状である。
高分子材料ではなく、低分子材料を用いて湿式成膜法により発光層を形成する従来技術では、用いた低分子材料の溶剤溶解性の確保のために、ハロゲン系溶剤を用いる必要があり、このことが実用化に向けて問題となっていた。
特許文献1では、この低分子材料の溶剤に対する溶解性の問題を解決するべく、ハロゲン系以外の溶剤での湿式成膜が可能な電荷輸送材料として、以下に示す化合物H−5,H−6が用いられている。
Figure 0005487595
しかしながら、これらの化合物では、湿式成膜法により形成された膜の安定性が十分ではなく、均一な非晶質膜を得ることが困難であった。
特開2006−257409号公報
本発明は上記従来の問題点を解決し、湿式成膜法により有機電界発光素子を製造する際に、成膜された膜の安定性に優れ、均一な非晶質膜を得ることができる有機電界発光素子用組成物を提供することを課題とする。
本発明はまた、発光層を有する有機電界発光素子において、該層が結晶化しにくく、発光効率が高く、駆動電圧が低く、耐熱性を含めた駆動安定性に優れる有機電界発光素子と、この有機電界発光素子を用いた有機EL表示装置および有機EL照明を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、湿式成膜法により有機電界発光素子の低分子有機層を形成するために用いられる電荷輸送材料として、下記式(I)で表される構造を有する化合物が、ガラス転移点が高く、溶剤に対する溶解性、および成膜性に優れ、結晶化しにくい膜を形成することができることがわかった。それに加えて、この化合物を、湿式で成膜する際には、沸点180℃以上の溶剤を用いると、非常に安定性の高い均一な非晶質膜が得られることがわかり、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、下記式(I)で表される湿式成膜用電荷輸送材料と、沸点180℃以上の溶剤とを含有してなることを特徴とする有機電界発光素子用組成物と、基板上に、陽極、陰極、およびこれら両極間に設けられた有機発光層を有する有機電界発光素子であって、この有機電界発光素子用組成物を用いて形成された層を有することを特徴とする有機電界発光素子、に存する。
Figure 0005487595
(式中、QはC原子またはN原子を表し、QがC原子の場合、Qはさらに置換基を有していてもよい。
Ar〜Arは、互いに独立に、芳香族炭化水素基を表し、かつArは、Ar が置換基を有する場合は、その置換基も含めて炭素数10〜30の芳香族炭化水素基を、Arは、1,3,5−ベンゼントリイル基をそれぞれ表す。
Cz、Czは、互いに独立に、ジアリールアミノ基またはN−カルバゾリル基を表す。但し、Cz上のN原子とCz上のN原子とは、互いに非共役である。さらに、QがN原子である場合には、環A上のQは、Cz上のN原子およびCz上のN原子と、非共役である。
は、直接結合、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表す。
環A、J、ArAr 、Cz、Czは、それぞれ独立に、さらに置換基を有していてもよいが、Arが有していてもよい置換基は、芳香族炭化水素基のみである。)
本発明の有機電界発光素子用組成物は、これを用いて湿式成膜法により成膜する際の膜の安定性に優れ、熱安定性が高く、均質な非晶質膜を形成することができるため、この有機電界発光素子用組成物によれば、駆動電圧が低く、発光特性、駆動寿命、駆動安定性に優れた有機電界発光素子を得ることができる。
従って、本発明の有機電界発光素子用組成物を用いた有機電界発光素子は、フラットパネル・ディスプレイ(例えばOAコンピューター用や壁掛けテレビ)、車載表示素子、携帯電話表示や、面発光体としての特徴を生かした光源(例えば、複写機の光源、液晶ディスプレイや計器類のバックライト光源)、表示板、標識灯への応用が考えられ、その技術的価値は高いものである。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に特定されない。
[有機電界発光素子用組成物]
本発明の有機電界発光素子用組成物は、特定の湿式成膜用電荷輸送材料と、沸点180℃以上の溶剤とを含有するものであり、好ましくは更に発光材料を含有する。
{湿式成膜用電荷輸送材料}
本発明の有機電界発光素子用組成物に含まれる湿式成膜用電荷輸送材料(以下、「本発明の電荷輸送材料」と称す場合がある。)は、下記式(I)で表される。この電荷輸送材料は、下記式(I)で表される構造を有することにより、優れた電荷(正孔)輸送能を有し、三重項励起準位が高く、高い耐熱性を有し、また十分な溶剤への溶解性を示す。これは化合物の非対称構造に由来すると推測される。
尚、本発明において、湿式成膜用電荷輸送材料とは、水または有機溶剤などの溶剤に溶解し、正電荷または負電荷を輸送可能な材料であって、溶剤とともに、成膜の際、用いられる材料である。
本発明の有機電界発光素子用組成物に、本発明の電荷輸送材料は、1種類のみ含まれていてもよく、2種類以上が含まれていてもよい。
Figure 0005487595
(式中、QはC原子またはN原子を表し、QがC原子の場合、Qはさらに置換基を有していてもよい。
Ar〜Arは、互いに独立に、芳香族炭化水素基を表し、Arは、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表す。
Cz、Czは、互いに独立に、ジアリールアミノ基またはN−カルバゾリル基を表す。但し、Cz上のN原子とCz上のN原子とは、互いに非共役である。さらに、QがN原子である場合には、環A上のQは、Cz上のN原子およびCz上のN原子と、非共役である。
は、直接結合、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表す。
環A、J、Ar〜Ar、Cz、Czは、それぞれ独立に、さらに置換基を有していてもよいが、Arが有していてもよい置換基は、芳香族炭化水素基のみである。)
<分子量>
本発明の電荷輸送材料の分子量は、通常、5000以下、好ましくは4000以下、より好ましくは3000以下、特に好ましくは2000以下であり、また通常400以上、好ましくは500以上、より好ましくは600以上である。
分子量が上記上限を超えると、不純物の高分子量化によって精製が困難となる場合があり、また分子量が上記下限を下回ると、ガラス転移点および、融点、気化温度などが低下するため、耐熱性が著しく損なわれるおそれがある。
<ガラス転移点・気化温度・結晶化温度>
本発明の電荷輸送材料は、通常150℃以上のガラス転移点を有するが、耐熱性の観点および湿式成膜法のプロセスの点から、ガラス転移点は150℃以上であることが好ましく、170℃以上であることがさらに好ましい。ガラス転移点の上限は通常400℃程度である。
また、本発明の電荷輸送材料は、通常300℃以上、800℃以下の気化温度を有する。
本発明の電荷輸送材料は、ガラス転移点と気化温度の間に結晶化温度を有さないことが好ましい。
<Ar,Ar,Ar,Ar
上記式(I)中、Ar、Ar、ArおよびArに用いることができる芳香族炭化水素基を例示するならば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオランテン環などの、5または6員環の単環または2〜5縮合環由来の基が挙げられる。これらは置換基を有していてもよい。
Arに用いることができる芳香族複素環基を例示するならば、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環などの、5または6員環の単環または2〜4縮合環由来の基が挙げられる。これらは置換基を有していてもよい。
<Cz,Cz
Cz、Czに用いることができるジアリールアミノ基を例示するならば、アリール基として、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオランテン環などの、5または6員環の単環または2〜5縮合環由来の基を有するものが挙げられる。ジアリールアミノ基の2つのアリール基は同一であっても異なるものであってもよい。また、これらのアリール基は置換基を有していてもよい。
また、Cz,CzのN−カルバゾリル基は、置換基を有していてもよく、好ましくは3位および/または6位に置換基を有していてもよいN−カルバゾリル基が挙げられる。
なお、Cz上のN原子とCz上のN原子とは、互いに非共役であり、かつ、環A上のQがN原子である場合、このQのN原子は、Cz上のN原子およびCz上のN原子と、非共役である。
ここで、非共役とは、当該N原子同士が互いに共役可能でないこと、即ち、N原子同士のπ電子雲上を電子が容易に移動できる連結状態にないこと、すなわち電子が非局在化することをさす。
<J
は直接結合、芳香族炭化水素基、または芳香族複素環基を示すが、このうち、芳香族炭化水素基の具体的な例示としてはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオランテン環などの、5または6員環の単環または2〜5縮合環由来の芳香族炭素環基が挙げられ、芳香族複素環基の具体的な例示としてはフラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環などの、5または6員環の単環または2〜4縮合環由来の芳香族複素環基が挙げられる。
<Q>
QはC原子またはN原子を表し、QがC原子の場合、Qはさらに置換基を有していてもよい。
<置換基>
環A、J、Ar〜Ar、Cz、Czが有していてもよい置換基、並びにQがC原子の場合、Qが有していてもよい置換基の具体例を例示するならば次のようなものが挙げられる。ただし、Arについては、置換基として、芳香族炭化水素基のみを有する。
アルキル基:炭素数1〜8の直鎖または分岐のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、2−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tetr−ブチル基等
アルケニル基:炭素数2〜9のアルケニル基であり、ビニル基、1−ブテニル基等
アラルキル基:例えばベンジル基等
アルコキシ基:炭素数1〜8のアルコキシ基であり、例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等
アリールオキシ基:炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を有するものであり、フェニルオキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基等
芳香族炭化水素基:例えばベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオランテン環などの、5または6員環の単環または2〜5縮合環由来の基等
芳香族複素環基:例えばフラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環などの、5または6員環の単環または2〜4縮合環由来の基等
<好適例>
電気化学的安定性、および耐熱性の観点から、式(I)において、Ar〜Ar、Cz、CzおよびJとしては、次のようなものが好ましい。
Ar、Arは、互いに独立に、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環由来の基などが好ましく、これらが置換基を有する場合、その置換基はフェニル基が好ましい。特に、Arとしては、置換基を有する場合、その置換基も含めて炭素数10〜30の芳香族炭化水素基が好ましい。
Ar、Arは、ベンゼン環由来の基が好ましく、特にArは、1,3−ベンゼンジイル基が、Arは、1,3,5−ベンゼントリイル基が好ましい。
Cz、Czは、互いに独立に、ジフェニルアミノ基、またはN−カルバゾリル基が好ましく、さらに溶解性の観点からN−カルバゾリル基がより好ましい。
は直接結合、または1,3−ベンゼンジイル基等のベンゼン環由来の基が好ましい。
QはN原子、C原子のいずれでもよいが、QがC原子で置換基を有する場合、その好ましい置換基としては、化合物の安定性の面から、アルキル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基が挙げられ、好ましくは芳香族炭化水素基、芳香族複素環基であり、より好ましくは芳香族炭化水素基である。
<具体例>
以下に本発明の電荷輸送材料として好ましい具体的な例を示すが、本発明の電荷輸送材料はこれらに限定されるものではない。
Figure 0005487595
Figure 0005487595
Figure 0005487595
Figure 0005487595
Figure 0005487595
Figure 0005487595
<製造方法>
前記式(I)で表される化合物は、目的とする化合物の構造に応じて原料を選択し、公知の手法を用いて合成することができる。例えば以下の(a)〜(c)のような方法で合成することができる。
(a):フッ素原子を置換基に有する原料(XArX(F):以下「原料1」と称す。)(X=Br,I、Arは芳香族炭化水素基または芳香族複素環基)のフッ素原子に対してジアリールアミノ基、またはカルバゾリル基(RN−)(原料1のフッ素原子に対して1.1〜10当量程度)を、乾燥ガス雰囲気下および/または不活性ガス雰囲気下、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エーテル、N,N−ジメチルホルムアミドなどの溶剤中、水素化ナトリウム、tert−ブトキシカリウム、n−ブチルリチウムなどの強塩基(原料1のフッ素原子に対して1.1〜10当量程度)の存在下に加熱還流下、1〜60時間反応させる。
得られた化合物(XAr(−NR)X:以下「中間体2」と称す。)とさらに導入させたいジアリールアミノ基、またはカルバゾリル基(R’R’N−)とを、銅粉末、銅線、ハロゲン化銅(CuX(X=Cl,Br,I))、酸化銅(CuO)などの銅触媒(中間体2のハロゲン原子に対して0.1〜5当量程度)および、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、リン酸カリウム、炭酸セシウム、tert−ブトキシナトリウムなどの塩基性物質(中間体2のハロゲン原子に対して1〜10当量程度)の存在下、不活性ガス気流下、無溶剤またはニトロベンゼンなどの芳香族系溶剤、テトラグライム、ポリエチレングリコールなどの溶剤中、20〜300℃の温度範囲で、1〜60時間撹拌混合する方法。
(b):上記(a)の方法で得られた中間体2(XAr(−NR)X)とさらに導入させたいジアリールアミノ基、またはカルバゾリル基(R’R’N−)とを、Pd(dba)(Pd=パラジウム、dba=ジベンジリテアセトン)、Pd(dba)、酢酸パラジウムなどの2価のパラジウム触媒とBINAP(=2,2−ビス(ジフェニルフォスフィノ−1,1’−ビナフチル)、トリ(tert−ブチル)フォスフィン、トリフェニルフォスフィン、1,2−ビス(ジフェニルフォスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルフォスフィノ)ブタン、dppf(=1,1’−ビス(ジフェニルフォスフィノ)フェロセン)などのリガンドの組み合わせ、あるいはPd(PPh)(Ph=フェニル基)などの0価のパラジウム錯体、あるいはPdCl(dppf)などのパラジウム塩化物錯体などの触媒(中間体2のハロゲン原子に対して0.001〜1当量程度)と、tert−ブトキシカリウム、tert−ブトキシナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、トリエチルアミンなどの塩基性物質(通常、中間体2のハロゲン原子に対して1.1〜10当量)の存在下、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、キシレン、トルエンなどの溶剤中、30〜200℃で1〜60時間かけて撹拌する方法。
(c):ジアリールアミノフェニルボロン酸、カルバゾールフェニルボロン酸等を出発原料として、上記(a)の方法で得られた中間体2(XAr(−NR)X)を、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウムなどのパラジウム触媒(中間体2に対して1〜5モル%程度)と炭酸セシウム、リン酸カリウム、炭酸ナトリウムなどの塩基(中間体2のハロゲン原子に対して1.5〜5倍当量程度)の存在下、トルエン−エタノール、トルエン−水、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、N,N−ジメチルホルムアミドなど、あるいはそれら混合溶剤系中(前記ボロン酸濃度で1〜100ミリモル%程度)、不活性ガス雰囲気下で、5〜24時間程度、加熱還流する方法。
上記以外にも公知の手法を適用可能であり、アミノ基の導入には「第4版実験化学講座20」(日本科学会編、丸善)、第6章(アミン)の項に記載の方法など適用可能である。
{溶剤}
本発明の有機電界発光素子用組成物に含まれる溶剤の沸点は通常180℃以上、好ましくは200℃以上、より好ましくは240℃以上で、通常300℃以下、好ましくは260℃以下である。溶剤の沸点が、この下限を下回ると溶剤の揮発性が高くなり、組成物の濃度変化による湿式成膜むらが起こる恐れがあり好ましくなく、上限を上回ると溶剤を除去するための乾燥温度が高くなり、乾燥工程において溶質材料の劣化を招く恐れがあり好ましくない。
沸点180℃以上の溶剤の具体例としては1−メチルナフタレン、ジフェニルメタン、テトラリン、ペンチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、1,3−ジイソプロピルベンゼン、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、5−tert−ブチル−m−キシレンなどの芳香族炭化水素;酢酸フェニル、フェニル酢酸エチル、安息香酸エチル、安息香酸ブチル、安息香酸ペンチル、安息香酸イソアミル、安息香酸ヘキシル、酢酸2−フェノキシエチル、フタル酸ジエチル等の芳香族エステル;ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル,n−ブチルフェニルエーテル等の芳香族エーテル;テトラエチレンジメチルエーテル、ジエチレングリコール−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル等の脂肪族エーテル;イソホロン、γ−デカノラクトン、4−ブチルラクトン、メントン、2−シクロペンチルシクロペンタノン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、フェンコン、2−n−ヘキシルシクロペンタノン等の脂環式ケトン化合物などが挙げられる。
これらのうち、水の溶解度が低い点、容易に変質しない点で、テトラリン、ジフェニルメタン、シクロヘキシルベンゼン等が好ましく、湿式成膜法で得られた有機電界発光素子の膜性が良好な点で、シクロヘキシルベンゼン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンが好ましい。
本発明の有機電界発光素子用組成物においては、上記180℃以上の溶剤の1種のみ含有してもよいし、他の溶剤等、2種以上の組み合わせで使用してもよい。
本発明の有機電界発光素子用組成物は、好ましくは、有機電界発光素子の有機層を形成するために用いられるが、有機電界発光素子には、陰極等の水分により著しく劣化する材料が多く使用されているため、組成物中の水分の存在は、乾燥後の膜中に水分が残留し、素子の特性を低下させる可能性が考えられ好ましくない。
組成物中の水分量を低減する方法としては、例えば、窒素ガスシール、乾燥剤の使用、溶剤を予め脱水する、水の溶解度が低い溶剤を使用する等が挙げられる。なかでも、水の溶解度が低い溶剤を使用する場合は、湿式成膜工程中に、溶液膜が大気中の水分を吸収して白化する現象を防ぐことができるため好ましい。
この様な観点からは、本発明の有機電界発光素子用組成物は、例えば、25℃に於ける水の溶解度が1重量%以下、好ましくは0.1重量%以下である溶剤を、組成物中10重量%以上含有することが好ましい。
また、本発明の有機電界発光素子用組成物は、湿式成膜法による膜形成に用いられることから、溶質である前述の式(I)で表される本発明の電荷輸送材料が十分に溶解することが好ましく、本発明の電荷輸送材料は、組成物に用いた沸点180℃以上の溶剤に対して0.5重量%以上、特に2重量%以上溶解することが好ましい。
{発光材料}
本発明の有機電界発光素子用組成物は、本発明の電荷輸送材料と沸点180℃以上の溶剤の他、更に発光材料を含んでいてもよい。ここで、有機電界発光素子用組成物から発せられる光量(単位:cd/m)の内、通常10%〜100%、好ましくは20%〜100%、より好ましくは50%〜100%、最も好ましくは80%〜100%が、ある成分材料からの発光と同定される場合、それを発光材料と定義する。
尚、本発明の電荷輸送材料が発光材料であってもよい。本発明の電荷輸送材料を含む有機電界発光素子用組成物にさらに発光材料を含む場合には、本発明の電荷輸送材料がホスト材料として働き、発光材料がドーパント材料として働いてもよい。また、発光材料は、1種類のみ含まれていても2種類以上が含まれていてもよい。
本発明の有機電界発光素子用組成物は、この発光材料として低分子材料を含み、湿式成膜法によりこの発光材料を含有する層が形成される有機電界発光素子に用いられることが好ましい。この場合、本発明の有機電界発光素子用組成物は、有機電界発光素子の発光層を形成するために通常用いられるが、正孔輸送層などの他の層の形成に用いてもよい。
発光材料としては、任意の公知材料を適用可能であり、蛍光発光材料あるいは燐光発光材料を単独若しくは複数を混合して使用できるが、内部量子効率の観点から、好ましくは、燐光発光材料である。
尚、溶剤への溶解性を向上させる目的で、発光材料分子の対称性や剛性を低下させたり、あるいはアルキル基等の親油性置換基を導入したりしてもよい。
青色発光を与える蛍光発光材料としては、ペリレン、ピレン、アントラセン、クリセン、クマリン、p−ビス(2−フェニルエテニル)ベンゼンおよびそれらの誘導体等が挙げられる。緑色発光を与える蛍光発光材料としては、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体等が挙げられる。黄色発光を与える蛍光発光材料としては、ルブレン、ペリミドン誘導体等が挙げられる。赤色発光を与える蛍光発光材料としては、DCM系化合物、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、アザベンゾチオキサンテン等が挙げられる。
燐光発光材料としては、例えば周期表7ないし11族から選ばれる金属を含む有機金属錯体が挙げられる。
周期表7ないし11族から選ばれる金属を含む燐光性有機金属錯体における金属として好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金等が挙げられる。これらの有機金属錯体として、好ましくは下記一般式(3)または下記一般式(4)で表される化合物が挙げられる。
ML”(q−j)L’ (3)
(一般式(3)中、Mは金属を表し、qは上記金属の価数を表す。また、L”およびL’は二座配位子を表す。jは0、1または2を表す。)
Figure 0005487595
(一般式(4)中、Mは金属を表し、Tは炭素または窒素を表す。R92〜R95は、それぞれ独立に置換基を表す。ただし、Tが窒素の場合は、R94およびR95は無い。)
以下、一般式(3)で表される化合物について説明する。
一般式(3)中、Mは任意の金属を表し、好ましいものの具体例としては、周期表7ないし11族から選ばれる金属として前述した金属が挙げられる。
また、一般式(3)中の二座配位子L”およびL’は、それぞれ、以下の部分構造を有する配位子を示す。
Figure 0005487595
Figure 0005487595
L’として、錯体の安定性の観点から、特に好ましくは、下記のものが挙げられる。
Figure 0005487595
上記L”,L’の部分構造において、環A1は、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表し、これらは置換基を有していてもよい。また、環A2は、含窒素芳香族複素環基を表し、これらは置換基を有していてもよい。
環A1,A2が置換基を有する場合、好ましい置換基としては、フッ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等のアルキル基;ビニル基等のアルケニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基等のアリールオキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基等のジアリールアミノ基;カルバゾリル基;アセチル基等のアシル基;トリフルオロメチル基等のハロアルキル基;シアノ基;フェニル基、ナフチル基、フェナンチル基等の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
一般式(3)で表される化合物として、さらに好ましくは、下記一般式(3a)、(3b)、(3c)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005487595
(一般式(3a)中、MはMと同様の金属を表し、wは上記金属の価数を表す。また、環A1は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表し、環A2は置換基を有していてもよい含窒素芳香族複素環基を表す。)
Figure 0005487595
(一般式(3b)中、MはMと同様の金属を表し、wは上記金属の価数を表す。また、環A1は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、環A2は置換基を有していてもよい含窒素芳香族複素環基を表す。)
Figure 0005487595
(一般式(3c)中、MはMと同様の金属を表し、wは上記金属の価数を表す。また、jは0、1または2を表す。さらに、環A1および環A1’は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。また、環A2および環A2’は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい含窒素芳香族複素環基を表す。)
上記一般式(3a)、(3b)、(3c)において、環A1および環A1’の基としては、好ましくは、例えばフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基、チエニル基、フリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフリル基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、カルバゾリル基等が挙げられる。
また、環A2、環A2’の基としては、好ましくは、例えばピリジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、ベンゾチアゾール基、ベンゾオキサゾール基、ベンゾイミダゾール基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリル基、フェナントリジル基等が挙げられる。
さらに、一般式(3a)、(3b)、(3c)で表される化合物が有していてもよい置換基としては、フッ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等のアルキル基;ビニル基等のアルケニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基等のアリールオキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基等のジアリールアミノ基;カルバゾリル基;アセチル基等のアシル基;トリフルオロメチル基等のハロアルキル基;シアノ基等が挙げられる。
尚、これら置換基は互いに連結して環を形成してもよい。具体例としては、環A1が有する置換基と環A2が有する置換基とが結合するか、または、環A1’が有する置換基と環A2’が有する置換基とが結合するかして、一つの縮合環を形成してもよい。このような縮合環基としては、7,8−ベンゾキノリン基等が挙げられる。
中でも、環A1、環A1’、環A2および環A2’の置換基として、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基、シアノ基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、ジアリールアミノ基、カルバゾリル基が挙げられる。
また、一般式(3a)、(3b)、(3c)におけるM,M,Mとして好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金または金が挙げられる。
上記一般式(3)、(3a)、(3b)、(3c)で示される有機金属錯体の具体例を以下に示すが、下記の化合物に限定されるものではない(以下において、Phはフェニル基を表す。)。
Figure 0005487595
Figure 0005487595
上記一般式(3)、(3a)、(3b)、(3c)で表される有機金属錯体の中でも、特に、配位子L”および/またはL’として2−アリールピリジン系配位子、即ち、2−アリールピリジン、これに任意の置換基が結合したもの、および、これに任意の基が縮合してなるものを有する化合物が好ましい。
次に、前記一般式(4)で表される化合物について説明する。
一般式(4)中、Mは金属を表し、具体例としては、周期表7ないし11族から選ばれる金属として前述した金属が挙げられる。中でも好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金または金が挙げられ、特に好ましくは、白金、パラジウム等の2価の金属が挙げられる。
また、一般式(4)において、R92およびR93は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シアノ基、アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、アラルキルアミノ基、ハロアルキル基、水酸基、アリールオキシ基、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表す。
さらに、Tが炭素の場合、R94およびR95は、それぞれ独立に、R92およびR93と同様の例示物で表される置換基を表す。また、前述の如く、Tが窒素の場合はR94およびR95は無い。
また、R92〜R95はさらに置換基を有していてもよい。この場合のさらに有していてもよい置換基には特に制限はなく、任意の基を置換基とすることができる。
さらに、R92〜R95は互いに連結して環を形成してもよく、この環がさらに任意の置換基を有していてもよい。
一般式(4)で表される有機金属錯体の具体例(T−1,T−10〜T−15)を以下に示すが、下記の例示化合物に限定されるものではない。尚、以下において、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表す。
Figure 0005487595
また、有機金属錯体としては、WO2005/019373号公報に記載の化合物も使用することができる。
本発明の有機電界発光素子用組成物はさらに電荷輸送材料を含有していてもよい。電荷輸送材料としては、通常有機電界発光素子の各層に用いられる化合物であればよい。好ましくは下記式(ア)で表される化合物である。
(A)n−Z ・・・ (ア)
(式(ア)中、Aは、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表す。
nは、1以上10以下の整数を表す。
Zは、n=1の場合は水素原子又は置換基を表し、nが2以上の場合は直接結合又はn価の連結基を表す。
なお、nが2以上の場合、複数のAは同一であっても異なるものであってもよく、A及びZはそれぞれ、更に置換基を有していてもよい。)
以下、上記式(ア)で表される化合物について、詳細に説明する。
式(ア)において、nは、通常1以上、好ましくは2以上、また、通常10以下、好ましくは6以下の整数を表す。nがこの範囲を超えると、各種精製によって不純物を十分に低減させることが困難になるおそれがあり、また、この範囲を下回ると、電荷注入・輸送性が著しく低下するおそれがあるために、何れも好ましくない。
式(ア)において、Zは、水素原子又は任意の基である。ここで、Zが任意の基である場合の具体例としては、アルキル基類、アルケニル基類、アルキニル基類、アミノ基類、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、アシルオキシ基、スルファモイル基類、カルバモイル基類、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルホニル基類、スルフェニル基類、リン酸アミド基、ヒドロキシル基、メルカプト基、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、シリル基類、ボリル基類、ホスフィノ基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基などが挙げられる。
また、上記式(ア)において、Aは、任意の芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表す。
Aが芳香族炭化水素基である場合、その炭素数は、通常6以上、また、通常30以下、好ましくは20以下である。その具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオランテン環等の6員環の単環或いは2〜5縮合環由来の基などが挙げられる。
Aが芳香族複素環基である場合、その炭素数は、通常1以上、好ましくは3以上、また、通常29以下、好ましくは19以下である。その具体例としては、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、オキサゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環、テトラゾール環、イミダゾピリジン環等の5員環又は6員環の単環或いは2〜4縮合環由来の基などが挙げられる。
上記式(ア)において、AおよびZは置換基を有していてもよい。また、上記式(ア)で表される化合物の具体例としては、以下のようなものが挙げられる。
カルバゾール系化合物(トリアリールアミン系化合物を含む)としては、特開昭63−235946号公報、特開平2−285357号公報、特開平2−261889号公報、特開平3−230584号公報、特開平3−232856号公報、特開平5−263073号公報、特開平6−312979号公報、特開平7−053950号公報、特開平8−003547号公報、特開平9−157643号公報、特開平9−268283号公報、特開平9−165573号公報、特開平9−249876号公報、特開平9−310066号公報、特開平10−041069号公報、特開平10−168447号公報、欧州特許第847228号明細書、特開平10−208880号公報、特開平10−226785号公報、特開平10−312073号公報、特開平10−316658号公報、特開平10−330361号公報、特開平11−144866号公報、特開平11−144867号公報、特開平11−144873号公報、特開平11−149987号公報、特開平11−167990号公報、特開平11−233260号公報、特開平11−241062号公報、国際公開第00/70655号公報、米国特許第6562982号明細書、特開2003−040844号公報、特開2001−313179号公報、特開2001−257076号公報、特開2005−47811号公報、特願2003−204940号明細書、特開2005−68068号公報等に電荷輸送材料として記載の化合物などが挙げられる。
また、フェニルアントラセン誘導体としては、特開2000−344691号公報等に電荷輸送材料として記載の化合物などが挙げられる。
更に、縮環アリーレンのスターバースト型化合物としては、特開2001−192651号公報、特開2002−324677号公報等に電荷輸送材料として記載の化合物などが挙げられる。
また、縮環型イミダゾール系化合物としては、Applied Physics Letters,2001,Vol.78,pp.1622、特開2001−335776号公報、特開2002−338579号公報、特開2002−319491号公報、特開2002−367785号公報、特開2002−367786号公報等に電荷輸送材料として記載の化合物などが挙げられる。
更に、アゼピン系化合物としては、特開2002−235075号公報等に電荷輸送材料として記載の化合物などが挙げられる。
また、縮環型トリアゾール系化合物としては、特開2002−356489号公報等に電荷輸送材料として記載の化合物などが挙げられる。
更に、プロペラ型アリーレン系化合物としては、特開2003−027048号公報等に電荷輸送材料として記載の化合物などが挙げられる。
また、モノトリアリールアミン型化合物としては、特開2002−175883号公報、特開2002−249765号公報、特開2002−324676号公報、WO2006/309758号パンフレット等に電荷輸送材料として記載の化合物などが挙げられる。
更に、アリールベンジジン系化合物としては、特開2002−329577号公報等に電荷輸送材料として記載の化合物などが挙げられる。
また、トリアリール硼素化合物としては、特開2003−031367号公報、特開2003−031368号公報等に電荷輸送材料として記載の化合物などが挙げられる。
更に、インドール系化合物としては、特開2002−305084号公報、特開2003−008866号公報、特開2002−015871号公報等に電荷輸送材料として記載の化合物などが挙げられる。
また、インドリジン系化合物としては、特開2000−311787号公報等に電荷輸送材料として記載の化合物などが挙げられる。
更に、ピレン系化合物としては、特開2001−118682号公報等に電荷輸送材料として記載の化合物などが挙げられる。
また、ジベンゾオキサゾール(又はジベンゾチアゾール)系化合物としては、特開2002−231453号公報等に電荷輸送材料として記載の化合物などが挙げられる。
更に、ビピリジル系化合物としては、特開2003−123983号公報等に電荷輸送材料として記載の化合物などが挙げられる。
また、ピリジン系化合物としては、特開2005−276801号公報、特開2005−268199号公報等に電荷輸送材料として記載の化合物などが挙げられる。
電荷輸送材料の分子量は、通常100以上、好ましくは300以上、より好ましくは500以上、また、通常10000以下、好ましくは5000以下、より好ましくは3000以下である。
有機電界発光素子用組成物には、必要に応じて、レベリング剤や消泡剤等の各種添加剤を含有していてもよい。また、上記溶剤の他に、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等を含んでいてもよい。
[有機電界発光素子]
次に、有機電界発光素子について説明する。
本実施の形態が適用される有機電界発光素子は、基板上に少なくとも陽極、陰極およびこれらの両極間に設けられた発光層を有するものであって、本発明の有機電界発光素子用組成物を用いて形成された層を有することを特徴とする。この層は、湿式成膜法により形成された層であり、特にこの層は有機発光層であることが好ましい。
図3は、本実施の形態が適用される有機電界発光素子に好適な構造例を示す断面模式図である。図3において、1は基板、2は陽極、3は正孔注入層、4発光層(有機発光層)、8は正孔阻止層、7は電子輸送層、5は電子注入層、6は陰極を各々表す。
[1]基板
基板1は有機電界発光素子の支持体となるものであり、石英やガラスの板、金属板や金属箔、プラスチックフィルムやシート等が用いられる。特にガラス板や、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホン等の透明な合成樹脂の板が好ましい。合成樹脂基板を使用する場合にはガスバリア性に留意する必要がある。基板のガスバリア性が小さすぎると、基板を通過した外気により有機電界発光素子が劣化することがあるので好ましくない。このため、合成樹脂基板の少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜等を設けてガスバリア性を確保する方法も好ましい方法の一つである。
[2]陽極
基板1上には陽極2が設けられる。陽極2は発光層側の層(正孔注入層3または発光層4等)への正孔注入の役割を果たすものである。
この陽極2は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属、インジウムおよび/またはスズの酸化物等の金属酸化物、ヨウ化銅等のハロゲン化金属、カーボンブラック、或いは、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子等により構成される。陽極2の形成は通常、スパッタリング法、真空蒸着法等により行われることが多い。また、銀等の金属微粒子、ヨウ化銅等の微粒子、カーボンブラック、導電性の金属酸化物微粒子、導電性高分子微粉末等を用いて陽極2を形成する場合には、適当なバインダー樹脂溶液に分散させて、基板1上に塗布することにより陽極2を形成することもできる。さらに、導電性高分子の場合は、電解重合により直接基板1上に薄膜を形成したり、基板1上に導電性高分子を塗布して陽極2を形成することもできる(Appl.Phys.Lett.,60巻,2711頁,1992年)。陽極2は通常は単層構造であるが、所望により複数の材料からなる積層構造とすることも可能である。陽極2の厚みは、必要とする透明性により異なる。透明性が必要とされる場合は、可視光の透過率を、通常60%以上、好ましくは80%以上とすることが好ましい。この場合、陽極2の厚みは通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下程度である。不透明でよい場合は陽極2の厚みは任意であり、陽極2は基板1と同一でもよい。また、さらには、上記の陽極2の上に異なる導電材料を積層することも可能である。陽極2に付着した不純物を除去し、イオン化ポテンシャルを調整して正孔注入性を向上させることを目的に、陽極2表面を紫外線(UV)/オゾン処理したり、酸素プラズマ、アルゴンプラズマ処理したりすることは好ましい。
[3]正孔注入層
正孔注入層3は陽極2から発光層4へ正孔を輸送する層であるため、正孔注入層3には正孔輸送性化合物を含むことが好ましい。正孔注入層3は、正孔輸送性化合物を含むことが好ましく、正孔輸送性化合物と電子受容性化合物とを含むことがさらに好ましい。また、正孔注入層3にカチオンラジカル化合物を含むことが好ましく、カチオンラジカル化合物と正孔輸送性化合物とを含むことがさらに好ましい。さらに、必要に応じて、正孔注入層3には電荷のトラップになりにくいバインダー樹脂や、塗布性改良剤を含んでいてもよい。
但し、正孔注入層3として、電子受容性化合物のみを湿式成膜法によって陽極2上に製膜し、その上から直接、本実施の形態の有機電界発光素子用組成物を塗布、積層することも可能である。この場合、本実施の形態の組成物の一部が電子受容性化合物と相互作用することによって、正孔注入性に優れた層が形成される。
(正孔輸送性化合物)
正孔輸送性化合物としては、4.5eV〜6.0eVのイオン化ポテンシャルを有する化合物が好ましい。正孔輸送性化合物の例としては、芳香族アミン化合物、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、ポリチオフェン誘導体等が挙げられる。中でも非晶質性、可視光の透過率の点から、芳香族アミン化合物が好ましい。特に芳香族三級アミン化合物が好ましい。ここで、芳香族三級アミン化合物とは、芳香族三級アミン構造を有する化合物であって、芳香族三級アミン由来の基を有する化合物も含む。芳香族三級アミン化合物の種類は特に制限されないが、表面平滑化効果の点から、重量平均分子量が1000以上、1000000以下の高分子化合物(繰り返し単位が連なる重合型炭化水素化合物)がさらに好ましい。芳香族三級アミン高分子化合物の好ましい例として、下記一般式(V)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物が挙げられる。
Figure 0005487595
(一般式(V)中、Ar21,Ar22はそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。Ar23〜Ar25は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基、または置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環基を表す。Yは、下記の連結基群の中から選ばれる連結基を表す。また、Ar21〜Ar25のうち、同一のN原子に結合する二つの基は互いに結合して環を形成してもよい。)
Figure 0005487595
(上記各式中、Ar31〜Ar41は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、または置換基を有していてもよい芳香族複素環由来の1価または2価の基を表す。R51およびR52は、それぞれ独立して、水素原子または任意の置換基を表す。)
Ar21〜Ar25およびAr31〜Ar41としては、任意の芳香族炭化水素環または芳香族複素環由来の、1価または2価の基が適用可能である。これらはそれぞれ同一であっても、互いに異なっていてもよい。また、任意の置換基を有していてもよい。
Ar21〜Ar25およびAr31〜Ar41の芳香族炭化水素環および/または芳香族複素環由来の基は、さらに置換基を有していてもよい。置換基の分子量としては、通常400以下、中でも250以下程度が好ましい。
Ar21、Ar22としては、高分子化合物の溶解性、耐熱性、正孔注入・輸送性の点から、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、チオフェン環、ピリジン環由来の1価の基が好ましく、フェニル基、ナフチル基がさらに好ましい。また、Ar23〜Ar25としては、耐熱性、酸化還元電位を含めた正孔注入・輸送性の点から、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環由来の2価の基が好ましく、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基がさらに好ましい。
一般式(V)で表される繰り返し単位を有する芳香族三級アミン高分子化合物の具体例としては、WO2005/089024号公報に記載のものが挙げられる。正孔注入層3の材料として用いられる正孔輸送性化合物は、このような化合物のうち何れか1種を単独で含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。2種以上の正孔輸送性化合物を含有する場合、その組み合わせは任意であるが、芳香族三級アミン高分子化合物1種または2種以上と、その他の正孔輸送性化合物1種または2種以上とを併用するのが好ましい。
(電子受容性化合物)
電子受容性化合物とは、酸化力を有し、上述の正孔輸送性化合物から一電子受容する能力を有する化合物が好ましく、具体的には、電子親和力が4eV以上である化合物が好ましく、5eV以上の化合物である化合物がさらに好ましい。例としては、4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート等の有機基の置換したオニウム塩、塩化鉄(III)(特開平11−251067号公報)、ペルオキソ二硫酸アンモニウム等の高原子価の無機化合物、テトラシアノエチレン等のシアノ化合物、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(特開2003−31365号公報)等の芳香族ホウ素化合物、フラーレン誘導体、ヨウ素等が挙げられる。上記の化合物のうち、強い酸化力を有する点で有機基の置換したオニウム塩、高原子価の無機化合物が好ましく、種々の溶剤に可溶で湿式塗布に適用可能である点で有機基の置換したオニウム塩、シアノ化合物、芳香族ホウ素化合物が好ましい。電子受容性化合物として好適な有機基の置換したオニウム塩、シアノ化合物、芳香族ホウ素化合物の具体例としては、WO2005/089024号公報に記載のものが挙げられ、その好適例も同様であり、例えば下記構造式で表される化合物(A1)が挙げられるが、何らそれらに限定されるものではない。
Figure 0005487595
正孔注入層3は、湿式成膜法または真空蒸着法により陽極2上に形成される。湿式成膜法による層形成の場合は、前述した各材料(正孔輸送性化合物、電子受容性化合物、カチオンラジカル化合物)の1種または2種以上の所定量を、必要により電荷のトラップにならないバインダー樹脂や塗布性改良剤を添加して、溶剤に溶解させて、塗布溶液を調製し、スピンコート、スプレーコート、ディップコート、ダイコート、フレキソ印刷、スクリーン印刷、インクジェット法等の湿式成膜法により陽極2上に塗布し、乾燥して、正孔注入層3を形成させる。湿式成膜法による層形成のために用いられる溶剤としては、前述の各材料(正孔輸送性化合物、電子受容性化合物、カチオンラジカル化合物)を溶解することが可能な溶剤であれば、その種類は特に限定されないが、正孔注入層3に用いられる各材料(正孔輸送性化合物、電子受容性化合物、カチオンラジカル化合物)を失活させる恐れのある、失活物質または失活物質を発生させるものを含まないものが好ましい。好ましくは、エーテル系溶剤またはエステル系溶剤である。このようにして形成される正孔注入層3の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下の範囲である。尚、正孔注入層3は省略してもよい。
[4]正孔輸送層
正孔注入層3上には、図7に示すように正孔輸送層10を設けてもよい。正孔輸送層10の材料に要求される条件としては、陽極2からの正孔注入効率が高く、かつ、注入された正孔を効率よく輸送することができる材料であることが必要である。そのためには、イオン化ポテンシャルが小さく、可視光の光に対して透明性が高く、しかも正孔移動度が大きく、更に安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時や使用時に発生しにくいことが要求される。また、発光層4に接するために発光層4からの発光を消光したり、発光層4との間でエキサイプレックスを形成して効率を低下させないことが求められる。上記の一般的要求以外に、車載表示用の応用を考えた場合、素子には更に耐熱性が要求される。従って、ガラス転移点として80℃以上、更に好ましくは85℃以上の値を有する材料が好ましい。
このような正孔輸送材料としては、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルで代表される2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族ジアミン(特開平5−234681号公報)、4,4’,4”−トリス(1−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン等のスターバースト構造を有する芳香族アミン化合物(J.Lumin.,72−74巻、985頁、1997年)、トリフェニルアミンの四量体から成る芳香族アミン化合物(Chem.Commun.,2175頁、1996年)、2,2’,7,7’−テトラキス−(ジフェニルアミノ)−9,9’−スピロビフルオレン等のスピロ化合物(Synth.Metals,91巻、209頁、1997年)、4,4’−N,N’−ジカルバゾールビフェニルなどのカルバゾール誘導体等が挙げられる。これらの化合物は、1種を単独で用いてもよいし、必要に応じて複数種混合して用いてもよい。
上記の化合物以外に、正孔輸送層の材料として、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルトリフェニルアミン(特開平7−53953号公報)、テトラフェニルベンジジンを含有するポリアリーレンエーテルサルホン(Polym.Adv.Tech.,7巻、33頁、1996年)等の高分子材料が挙げられる。
また、架橋基を有する正孔輸送性化合物(モノマー、オリゴマー或いはポリマーのいずれであってもよい)を用いてもよく、架橋基としては、オキセタン、エポキシなどの環状エーテル;ビニル基、トリフルオロビニル基、スチリル基、アクリル基、メタクリロイル、シンナモイル等の不飽和二重結合;ベンゾシクロブテンなどが挙げられる。架橋基を有する正孔輸送性化合物は、上記の架橋基を、1種のみを有していてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で有していてもよい。
架橋基を有する正孔輸送性化合物の例を挙げると、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、フェナントロリン誘導体、カルバゾール誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体等の含窒素芳香族化合物誘導体;トリフェニルアミン誘導体;シロール誘導体;オリゴチオフェン誘導体、縮合多環芳香族誘導体、金属錯体などが挙げられる。その中でも、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、フェナントロリン誘導体、カルバゾール誘導体等の含窒素芳香族誘導体;トリフェニルアミン誘導体、シロール誘導体、縮合多環芳香族誘導体、金属錯体などが好ましく、特に、トリフェニルアミン誘導体がより好ましい。
なお、ここで「誘導体」とは当該用語を付された化合物を排除するものではなく、例えば「トリフェニルアミン誘導体」は、トリフェニルアミンと、トリフェニルアミンから誘導して得られる化合物との両方を含むものとする。
正孔輸送層は、スプレー法、印刷法、スピンコート法、ディップコート法、ダイコート法、インクジェット法、スクリーン印刷法など各種印刷法等の湿式成膜法や、真空蒸着法などの乾式成膜法で形成することができる。湿式成膜法の場合は、正孔輸送材料の1種または2種以上に、必要により正孔のトラップにならないバインダー樹脂や塗布性改良剤などの添加剤を添加し、適当な溶剤に溶解して塗布溶液を調製し、スピンコート法などの方法により陽極2または正孔注入層3上に塗布し、乾燥して正孔輸送層を形成する。バインダー樹脂としては、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル等が挙げられる。バインダー樹脂は添加量が多いと正孔移動度を低下させるので、少ない方が望ましく、通常、正孔輸送層中の含有量で50重量%以下が好ましい。
また、架橋基を有する正孔輸送性化合物を用いる場合には、溶剤に溶解または分散させ、陽極2または正孔注入層3に塗布し、熱や光などで架橋重合させることにより、正孔輸送層を形成する。
尚、前述の本発明の有機電界発光素子用組成物は、正孔輸送層を形成するために用いてもよい。
正孔輸送層の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また通常300nm以下、好ましくは100nm以下である。この様に薄い膜を一様に形成するためには、一般に真空蒸着法がよく用いられる。
[5]発光層(有機発光層)
正孔注入層3(または正孔輸送層)の上には、通常、発光層4が設けられる。
発光層4は、電界を与えられた電極間において、陽極2から正孔注入層3を通じて注入された正孔と、陰極6から電子注入層5を通じて注入された電子との再結合により励起されて、主たる発光源となる層である。発光層4は、発光材料(ドーパント)と1種または2種以上のホスト材料を含むことが好ましく、本発明の有機電界発光素子用組成物を用いて、湿式成膜法により形成されることが好ましい。
尚、発光層4は、本実施の形態の有機電界発光素子性能を損なわない範囲で、他の材料、成分を含んでいてもよい。
一般に有機電界発光素子において、同じ材料を用いた場合、電極間の膜厚が薄い方が、実効電界が大きくなる為、注入される電流が多くなるので、駆動電圧は低下する。その為、電極間の総膜厚は薄い方が、有機電界発光素子の駆動電圧は低下するが、あまりに薄いと、ITO等の電極に起因する突起により短絡が発生する為、ある程度の膜厚が必要となる。本実施の形態においては、発光層4以外に、正孔注入層3および後述の電子注入層5等の有機層を有する場合、発光層4と正孔注入層3や電子注入層5の他の有機層とを合わせた総膜厚は通常30nm以上、好ましくは50nm以上であり、さらに好ましくは100nm以上で、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下であり、さらに好ましくは300nm以下である。また、発光層4以外の正孔注入層3や後述の電子注入層5の導電性が高い場合、発光層4に注入される電荷量が増加する為、例えば正孔注入層3の膜厚を厚くして発光層4の膜厚を薄くし、総膜厚をある程度の膜厚を維持したまま駆動電圧を下げることも可能である。よって、発光層5の膜厚は、通常10nm以上、好ましくは20nm以上で、通常300nm以下、好ましくは200nm以下である。
尚、本実施の形態の素子が、陽極2および陰極6の両極間に、発光層4のみを有する場合の発光層4の膜厚は、通常30nm以上、好ましくは50nm以上、通常500nm以下、好ましくは300nm以下である。
[6]正孔阻止層
発光材料として燐光発光性色素を用いたり、青色発光を与える蛍光発光材料を用いたりする場合、正孔阻止層8を設けることが効果的である。正孔阻止層8は正孔と電子を発光層4内に閉じこめて、発光効率を向上させる機能を有する。即ち、正孔阻止層8は、発光層4から移動してくる正孔が電子輸送層7に到達するのを阻止することで、発光層4内で電子との再結合確率を増やし、生成した励起子を発光層4内に閉じこめる役割と、電子輸送層7から注入された電子を効率よく発光層4の方向に輸送する役割がある。
正孔阻止層8は、陽極2から移動してくる正孔を陰極6に到達するのを阻止する役割と、陰極6から注入された電子を効率よく発光層4の方向に輸送することができる化合物により、発光層4の上に、発光層4の陰極6側の界面に接するように積層形成される。
正孔阻止層8を構成する材料に求められる物性としては、電子移動度が高く正孔移動度が低いこと、エネルギーギャップ(HOMO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重項準位(T1)が高いことが挙げられる。このような条件を満たす正孔阻止層8の材料としては、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(フェノラト)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(トリフェニルシラノラト)アルミニウム等の混合配位子錯体、ビス(2−メチル−8−キノラト)アルミニウム−μ−オキソ−ビス−(2−メチル−8−キノリラト)アルミニウム二核金属錯体等の金属錯体、ジスチリルビフェニル誘導体等のスチリル化合物(特開平11−242996号公報)、3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール誘導体(特開平7−41759号公報)、バソクプロイン等のフェナントロリン誘導体(特開平10−79297号公報)が挙げられる。さらに、WO2005/022962号公報に記載の2,4,6位が置換されたピリジン環を少なくとも1個有する化合物も正孔阻止材料として好ましい。
正孔阻止層8の膜厚は、通常0.3nm以上、好ましくは0.5nm以上で、通常100nm以下、好ましくは50nm以下である。
正孔阻止層8は正孔注入層3と同様の方法で形成することができるが、通常は真空蒸着法が用いられる。
[7]電子輸送層
電子輸送層7は素子の発光効率をさらに向上させることを目的として、発光層4と電子注入層5との間に設けられる。電子輸送層7は、電界を与えられた電極間において陰極6から注入された電子を効率よく発光層4の方向に輸送することができる化合物より形成される。
電子輸送層7に用いられる電子輸送性化合物としては、陰極6または電子注入層5からの電子注入効率が高く、かつ、高い電子移動度を有し注入された電子を効率よく輸送することができる化合物であることが必要である。このような条件を満たす材料としては、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体等の金属錯体(特開昭59−194393号公報)、10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体、オキサジアゾール誘導体、ジスチリルビフェニル誘導体、シロール誘導体、3−または5−ヒドロキシフラボン金属錯体、ベンズオキサゾール金属錯体、ベンゾチアゾール金属錯体、トリスベンズイミダゾリルベンゼン(米国特許第5,645,948号)、キノキサリン化合物(特開平6−207169号公報)、フェナントロリン誘導体(特開平5−331459号公報)、2−t−ブチル−9,10−N,N’−ジシアノアントラキノンジイミン、n型水素化非晶質炭化シリコン、n型硫化亜鉛、n型セレン化亜鉛等が挙げられる。
電子輸送層7の膜厚は、通常下限は1nm、好ましくは5nm程度であり、上限は通常300nm、好ましくは100nm程度である。
電子輸送層7は、正孔注入層3と同様にして湿式成膜法、或いは真空蒸着法により発光層4上に積層することにより形成される。通常は、真空蒸着法が用いられる。
[8]電子注入層
電子注入層5は陰極6から注入された電子を効率よく発光層4へ注入する役割を果たす。電子注入を効率よく行うには、電子注入層5を形成する材料は、仕事関数の低い金属が好ましく、ナトリウムやセシウム等のアルカリ金属、バリウムやカルシウム等のアルカリ土類金属が用いられる。
電子注入層5の膜厚は0.1〜5nmが好ましい。
また、陰極6と発光層4または前述の電子輸送層7との界面にLiF、MgF、LiO、CsCO等の極薄絶縁膜(0.1〜5nm)を挿入することも、素子の効率を向上させる有効な方法である(Appl.Phys.Lett.,70巻,152頁,1997年;特開平10−74586号公報;IEEETrans.Electron.Devices,44巻,1245頁,1997年;SID 04 Digest,154頁)。さらに、バソフェナントロリン等の含窒素複素環化合物や8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体等の金属錯体に代表される有機電子輸送材料に、ナトリウム、カリウム、セシウム、リチウム、ルビジウム等のアルカリ金属をドープする(特開平10−270171号公報、特開2002−100478号公報、特開2002−100482号公報等に記載)ことにより、電子注入・輸送性が向上し優れた膜質を両立させることが可能となるため好ましい。この場合の膜厚は通常5nm以上、好ましくは10nm以上で、通常200nm以下、好ましくは100nm以下である。
電子注入層5は、発光層4と同様にして湿式成膜法、或いは真空蒸着法により電子輸送層7上に積層することにより形成される。真空蒸着法の場合には、真空容器内に設置されたるつぼまたは金属ボートに蒸着源を入れ、真空容器内を適当な真空ポンプで10−4Pa程度にまで排気した後、るつぼまたは金属ボートを加熱して蒸発させ、るつぼまたは金属ボートと向き合って置かれた基板上に電子注入層5を形成する。アルカリ金属の蒸着は、クロム酸アルカリ金属と還元剤をニクロムに充填したアルカリ金属ディスペンサーを用いて行う。このディスペンサーを真空容器内で加熱することにより、クロム酸アルカリ金属が還元されてアルカリ金属が蒸発される。有機電子輸送材料とアルカリ金属とを共蒸着する場合は、有機電子輸送材料を真空容器内に設置されたるつぼに入れ、真空容器内を適当な真空ポンプで10−4Pa程度にまで排気した後、各々のるつぼおよびディスペンサーを同時に加熱して蒸発させ、るつぼおよびディスペンサーと向き合って置かれた基板1上に電子注入層5を形成する。このとき、電子注入層5の膜厚方向において均一に共蒸着されるが、膜厚方向において濃度分布があっても構わない。
尚、電子注入層5は、これを省略してもよい。
[9]陰極
陰極6は、発光層4側の層(電子注入層5または発光層4等)に電子を注入する役割を果たす。陰極6として用いられる材料は、陽極2に使用される材料を用いることが可能であるが、効率よく電子注入を行うには、仕事関数の低い金属が好ましく、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀等の適当な金属またはそれらの合金が用いられる。具体例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金等の低仕事関数合金電極が挙げられる。
陰極6の膜厚は通常、陽極2と同様である。
低仕事関数金属から成る陰極6を保護する目的で、この上にさらに、仕事関数が高く大気に対して安定な金属層を積層することは素子の安定性を増す。この目的のために、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金等の金属が使われる。
[10]その他の構成層
以上、図3に示す層構成の素子を中心に説明してきたが、本実施の形態においては、有機電界発光素子における陽極2および陰極6と発光層4との間には、その性能を損なわない限り任意の層を有していてもよく、また図1,2,5,6,7に示すように、発光層4以外の任意の層を省略してもよい。例えば、電子輸送層7および正孔阻止層8は必要に応じて、適宜設ければよく、1)電子輸送層のみ、2)正孔阻止層のみ、3)正孔阻止層/電子輸送層の積層、4)用いない等の用法がある。
また、正孔阻止層8と同様の目的で、図4に示す如く、正孔注入層3と発光層4の間に電子阻止層9を設けることも効果的である。電子阻止層9は、発光層4から移動してくる電子が正孔注入層3に到達するのを阻止することで、発光層4内で正孔との再結合確率を増やし、生成した励起子を発光層4内に閉じこめる役割と、正孔注入層3から注入された正孔を効率よく発光層4の方向に輸送する役割がある。
電子阻止層9に求められる特性としては、正孔輸送性が高く、エネルギーギャップ(HOMO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重項準位(T1)が高いことが挙げられる。
また、発光層4を湿式成膜法で形成する場合、電子阻止層9も湿式成膜法で形成することが、素子製造が容易となるため、好ましい。このため、電子阻止層9も湿式成膜適合性を有することが好ましく、このような電子阻止層9に用いられる材料としては、上述した本発明の有機電界発光素子用組成物の他、F8−TFBに代表されるジオクチルフルオレンとトリフェニルアミンの共重合体(WO2004/084260号公報記載)等が挙げられる。
また、発光層4と電子輸送層7との間に正孔緩和層を設けてもよい。
尚、図3とは逆の構造、即ち、基板1上に陰極6、電子注入層5、電子輸送層7、正孔阻止層8、発光層4、正孔注入層3、陽極2の順に積層することも可能であり、既述したように少なくとも一方が透明性の高い2枚の基板の間に有機電界発光素子を設けることも可能である。さらに、図3に示す層構成を複数段重ねた構造(発光ユニットを複数積層させた構造)とすることも可能である。その際には段間(発光ユニット間)の界面層(陽極がITO、陰極がAlの場合はその2層)の代わりに、例えばV等を電荷発生層(CGL)として用いると段間の障壁が少なくなり、発光効率・駆動電圧の観点からより好ましい。図1,2,4〜7に示す有機電界発光素子についても同様である。
本実施の形態が適用される有機電界発光素子は、単一の素子、アレイ状に配置された構造からなる素子、陽極と陰極がX−Yマトリックス状に配置された構造のいずれにおいても適用することができる。
[有機EL表示装置および有機EL照明]
本発明の有機電界発光素子は、有機EL表示装置や有機EL照明に使用される。本発明により得られる有機電界発光素子は、例えば、「有機ELディスプレイ」(オーム社,平成16年8月20日発行,時任静士、安達千波矢、村田英幸著)に記載されているような方法で有機EL表示装置や有機EL照明を形成することができる。
次に、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
なお、以下において、ガラス転移点はDSC測定により、気化温度はTG−DTA測定により求めた。
〔本発明の電荷輸送材料の合成〕
[合成例1:本発明の電荷輸送材料(IA)の合成]
Figure 0005487595
3−ブロモ−アセトフェノン(12.0g)とフェニルベンズアルデヒド(10g)を酢酸(78ml)に溶解し、硫酸(8.8ml)を滴下して、35℃以下で8時間撹拌した。反応後、結晶が析出した液を、放冷後、メタノール80mlと水50mlを系内に添加して撹拌した。結晶を濾過した後、メタノール150mlにて懸洗洗浄し、その後、乾燥して、目的物1(19.1g)を得た。
Figure 0005487595
フェナシルピリジニウムブロミド(11.5g)、上記より得られた目的物1(10g)、酢酸アンモニウム(53.2g)、酢酸(197ml)、およびN,N−ジメチルホルムアミド(130ml)を、加熱還流下、9時間撹拌して得られた溶液に、エタノール(50ml)を添加して撹拌し、その後、析出した沈殿物を濾過した。得られた結晶をメタノール(200ml)で加熱還流洗浄した。加熱還流洗浄を数回繰り返した後、乾燥後、目的物2(10.8g)を得た。
Figure 0005487595
窒素気流中、乾燥させた500mlの4つ口フラスコにNaH(5.0g(純度55重量%)0.115mol)、および乾燥ジメチルホルムアミド(200ml)を添加し、室温で撹拌した。そこへカルバゾール(18.39g 0.11mol)を加えて80℃まで昇温し、そこへ1-ブロモ−3,5−ジフルオロベンゼン(9.65g 0.05mol)を滴下して、100℃で5時間撹拌した。放冷後、吸引濾過をして濾液を濃縮し、得られた固体成分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:トルエン=4:1)で精製し、目的物3(16.75g)を得た。
Figure 0005487595
上記方法より得られた目的物3(8.2g)、ピナコラートジボロン(4.71g)、および酢酸カリウム(5.6g)をジメチルスルホキシド(150ml)に溶解し、脱気、窒素置換した中に{1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン}ジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン(0.41g)を添加し、系内を83℃で4時間反応させた。放冷後、水300mlにあけ、トルエンで抽出した。有機層を活性白土処理にて精製し、目的物4(9.05g)を得た。
Figure 0005487595
上記方法より得られた目的物2(3.5g)、目的物4(4.85g)、および炭酸カリウム(3.1g)にエチレングリコールジメチルエーテル(140ml)と水(35ml)を添加して撹拌した。テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(0)(0.35g)を添加し、加熱還流反応を5時間実施した。放冷後、濃縮して、メタノールを添加し、結晶化させ各種溶剤で洗浄した。その後、カラムクロマトグラフィーにて精製し、目的物5(5.1g)を得た。
DEI−MS(m/z=789(M))から目的物5(本発明の電荷輸送材料(IA))であることを確認した。TG−DTA測定より気化温度は546℃であり、DSC測定の結果、このもののガラス転移温度(Tg)は150℃であった。
[合成例2:本発明の電荷輸送材料(IB)の合成]
Figure 0005487595
3−(9−カルバゾリル)−アセトフェノン(5.0g,17.5mmol)、および4−フェニルベンズアルデヒド(3.2g,17.4mmol)をエタノール(50ml)とテトラヒドロフラン(50ml)の混合溶液に溶解させた。この溶液を激しく撹拌しながら40重量%NaOH水溶液(1ml)を滴下し、室温で2時間撹拌した。反応混合物を半量まで濃縮し、沈殿を濾過した。濾過した結晶を塩化メチレンに溶解させ、エタノール中で再沈殿させ、目的物6(7.26g)を得た。
Figure 0005487595
目的物6(7.0g,15.6mmol)、およびm−ブロモフェナシルピリジニウムブロマイド(8.35g,23.4mmol)と、酢酸アンモニウム(24.05g,312mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(100ml)−酢酸(100ml)溶液を還流下で8時間反応させた。反応混合物を水にあけ、析出した結晶を濾取した。結晶を塩化メチレンに溶解させて、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶剤を減圧下に留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、目的物7(8.0g)を得た。
Figure 0005487595
窒素雰囲気下、常温で目的物7(4.0g,6.37mmol)と、目的物4(4.09g,7.65mmol)のトルエン(63ml)−エタノール(31ml)溶液に2M−炭酸ナトリウム水溶液(15ml)を加え、5分間脱気した後にテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(368mg,5mol%)を添加し、還流下で8時間撹拌した。反応終了後、室温まで冷却し、遊離したパラジウムを濾別し、濾液をトルエンで抽出した。有機層を希塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液の順に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に溶剤を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに処し、目的物8(2.7g)得た。
DEI−MS(m/z=954(M))から目的物8(本発明の電荷輸送材料(IB))であることを確認した。DSC測定の結果、このもののガラス転移点(Tg)は170℃であった。
[合成例3:参考例の電荷輸送材料(IC)の合成]
Figure 0005487595
窒素雰囲気下、3,5−ジブロモ−1−トリメチルシリルベンゼン(10g,32.5mmol)、フェニルボロン酸(3.96g,32.5mmol)、トルエン(200ml)、およびエタノール(100ml)の溶液に、室温でテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.13g,0.975mmol)と2M炭酸ナトリウム水溶液(50ml)を加え、8時間還流させた。室温まで放冷後、反応混合物に水を加えてトルエンで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:塩化メチレン=3:1)にて精製して目的物9(6.88g,収率69%)を得た。
Figure 0005487595
窒素雰囲気下、目的物9(3g,9.82mmol)、3−(9−カルバゾリル)−フェニルボロン酸(3.38g,11.97mmol)、トルエン(48ml)、およびエタノール(24ml)の溶液に、室温でテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.56g,0.49mmol)と2M炭酸ナトリウム水溶液(12ml)を加え、3時間還流させた。室温まで放冷後、反応混合物をトルエンで抽出し、有機層を水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:塩化メチレン=3:1)にて精製することで目的物10(3.17g,収率69%)を得た。
Figure 0005487595
窒素雰囲気下、目的物10(3.18g,6.80mmol)の塩化メチレン(20mL)溶液に、氷冷下で1M三臭化硼素塩化メチレン溶液(10mL,10mmol)を滴下した。滴下終了後、4時間還流させた。室温まで放冷後、氷水に注ぎ、有機層を分離し、希チオ硫酸ナトリウム水溶液および飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレンから、塩化メチレン:酢酸エチル=1:1)にて精製し、目的物11(1.57g,収率53%)を得た。
Figure 0005487595
窒素雰囲気下、目的物11(1.55g,3.54mmol)、1−ブロモ−3−ヨードベンゼン(1.20g,4.25mmol)、トルエン(17.6ml)、およびエタノール(8.8ml)の溶液に、室温でテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.205g,0.17mmol)と2M炭酸ナトリウム水溶液(4.4ml)を加え、8時間還流させた。室温まで放冷後、反応混合物に水を加え、トルエンで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:塩化メチレン=5:1)にて精製し、エタノールで懸洗することで目的物12(1.65g,収率85%)を得た。
Figure 0005487595
窒素雰囲気下、目的物12(1.62g,2.95mmol)、目的物4(1.89g,3.54mmol)、トルエン(14.8ml)、およびエタノール(7.4ml)の溶液に、室温でテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.17g,0.15mmol)と2M炭酸ナトリウム水溶液(3.7ml)を加え、7時間半還流させた。室温まで放冷後、反応混合物に水を加え、トルエンで抽出し、有機層を水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:塩化メチレン=3:1)にて精製し、塩化メチレンに溶かし、エタノールで再沈殿後にシクロヘキサンで再結晶することで目的物13(2.11g,収率82%)を得た。
DEI−MS(m/z=877(M))から目的物13(参考例の電荷輸送材料(IC))であることを確認した。DSC測定の結果、このもののガラス転移温度(Tg)は158℃であり、窒素気流下での重量減少開始温度は561℃であった。
〔有機電界発光素子の作成〕
[実施例1]
図3に示す有機電界発光素子を作製した。
ガラス基板1上に、インジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を120nmの厚さに堆積したもの(三容真空社製、スパッタ成膜品)を、通常のフォトリソグラフィー技術と塩酸エッチングを用いて2mm幅のストライプにパターニングして陽極2を形成した。パターン形成したITO基板を、界面活性剤水溶液による超音波洗浄、超純水による水洗、超純水による超音波洗浄、超純水による水洗の順で洗浄後、圧縮空気で乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
まず、下記の構造式(P1)に示す繰り返し構造を有する正孔輸送性高分子化合物(重量平均分子量29400,数平均分子量12600)2重量%と、構造式(A1)に示す4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート0.8重量%を、溶剤としての安息香酸エチルに溶解した後、孔径0.2μmのPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製メンブレンフィルターを用いて濾過し、塗布組成物を作製した。この塗布組成物を上記ガラス基板上にスピンコートした。スピンコートは気温23℃、相対湿度60%の大気中で行い、スピナ回転数は1500rpm、スピナ時間は30秒とした。スピンコート後、ホットプレート上で80℃にて、1分間加熱乾燥した後、オーブンにて常圧大気雰囲気中、230℃で180分間加熱した。このようにして、膜厚30nmの正孔注入層3を形成した。
Figure 0005487595
次に、下記構造式(C1)で表される化合物(本発明の電荷輸送材料(IA))2.5重量%、下記構造式(C2)で表される化合物2.5重量%、および、下記構造式(C3)で表される化合物0.25重量%をシクロヘキシルベンゼン(沸点240℃)に溶解させ、孔径0.2μmのPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製メンブレンフィルターを用いて濾過し、本発明の有機電界発光素子用組成物を調製した。この有機電界発光素子用組成物を、先の正孔注入層の上にスピンコートにて塗布し、膜厚60nmの発光層4を形成した。スピンコートは窒素雰囲気グローブボックス中で行い、スピナ回転数は1500rpm、スピナ時間は30秒とした。塗布後、真空度0.01MPa、145℃で1時間加熱乾燥した。
Figure 0005487595
次に、正孔注入層3と発光層4を湿式成膜法により成膜した基板を真空蒸着装置内に搬入し、油回転ポンプにより装置の粗排気を行った後、装置内の真空度が5.0×10−6Torr(6.6×10−4Pa)以下になるまでクライオポンプを用いて排気し、下記構造式(C4)で表される化合物を真空蒸着法によって積層し正孔阻止層8を得た。蒸着時の真空度は1.2〜2.0×10−6Torr(1.6〜2.6×10−4Pa)、蒸着速度は0.8〜0.9Å/秒の範囲で制御し、膜厚5nmの膜を発光層4の上に積層して正孔阻止層8を形成した。
Figure 0005487595
次いで、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウムを加熱して蒸着を行い、電子輸送層7を成膜した。蒸着時の真空度は1.0〜1.5×10−6Torr(1.33〜2.0×10−4Pa)、蒸着速度は0.8〜1.3Å/秒の範囲で制御し、膜厚30nmの膜を正孔阻止層8の上に積層して電子輸送層7を形成した。
ここで、電子輸送層7までの蒸着を行った素子を、一度前記真空蒸着装置内より大気中に取り出して、陰極蒸着用のマスクとして2mm幅のストライプ状シャドーマスクを、陽極2のITOストライプと直交するように素子に密着させて、別の真空蒸着装置内に設置して、有機層蒸着時と同様にして装置内の真空度が1.0×10−4Pa以下になるまで排気した。
電子注入層5として、先ずフッ化リチウム(LiF)を、モリブデンボートを用いて、蒸着速度0.1〜0.15Å/秒、真空度2.3〜6.7×10−5Paで制御し、0.5nmの膜厚で電子輸送層7の上に成膜した。次に、陰極6としてアルミニウムを同様にモリブデンボートにより加熱して、蒸着速度0.9〜5.0Å/秒、真空度2.5〜15×10−5Paで制御して膜厚80nmのアルミニウム層を形成した。以上の電子注入層5および陰極6の蒸着時の基板温度は室温に保持した。
引き続き、素子が保管中に大気中の水分等で劣化することを防ぐため、以下に記載の方法で封止処理を行った。
真空蒸着装置に連結された窒素グローブボックス中で、23mm×23mmサイズのガラス板の外周部に、約1mmの幅で光硬化性樹脂(株式会社スリーボンド製30Y−437)を塗布し、中央部に水分ゲッターシート(ダイニック株式会社製)を設置した。この上に、陰極形成を終了した基板を、蒸着された面が乾燥剤シートと対向するように貼り合わせた。その後、光硬化性樹脂が塗布された領域のみに紫外光を照射し、樹脂を硬化させた。
得られた有機電界発光素子の発光特性を表1に示す。
なお、駆動寿命は、室温で通電開始時の発光輝度が1000cd/mとなる一定電流値で直流定電流連続通電し、発光輝度が500cd/mとなったときの通電時間である。
表1に示す如く、本発明の有機電界発光素子用組成物を用いることで、高効率、長寿命の素子が得られたことが明らかである。
[実施例2]
本発明の有機電界発光素子用組成物において、上記構造式(C1)で表される化合物に代えて、下記構造式(C5)で表される化合物(本発明の電荷輸送材料(IB))を用い、構造式(C5),(C2),(C3)で表される化合物の含有量を、(C5)が2.5重量%、(C2)が2.5重量%、(C3)が0.25重量%としたこと以外は、実施例1と同様にして、図3に示す有機電界発光素子を作製した。
得られた有機電界発光素子の発光特性を表1に示す。
表1に示す如く、本発明の有機電界発光素子用組成物を用いることで、高効率、長寿命の素子が得られたことが明らかである。
Figure 0005487595
[比較例1]
本発明の有機電界発光素子用組成物において、上記構造式(C1)で表される化合物に代えて、下記構造式(C6)で表される化合物を用い、構造式(C6),(C2),(C3)で表される化合物の含有量を、(C6)が2.5重量%、(C2)が2.5重量%、(C3)が0.25重量%としたこと以外は、実施例1と同様にして、図3に示す有機電界発光素子を作製した。
得られた有機電界発光素子の発光特性を表1に示す。
Figure 0005487595
Figure 0005487595
参考例1
正孔阻止層にかえて、正孔緩和層を用いた以外は、図7に示す有機電界発光素子を作製した。
ガラス基板1上に、インジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を150nmの厚さに堆積したもの(スパッタ成膜品、シート抵抗15Ω)を通常のフォトリソグラフィー技術により2mm幅のストライプにパターニングして陽極2を形成した。パターン形成したITO基板を、アセトンによる超音波洗浄、純水による水洗、イソプロピルアルコールによる超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
正孔輸送性化合物として、前記構造式(P1)に示す繰り返し構造を有する正孔輸送性高分子化合物(重量平均分子量29400、数平均分子量12600)、電子受容性化合物として前記構造式(A1)に示す化合物および溶剤として安息香酸エチルとを含有する正孔注入層形成用塗布組成物を調製した。該組成物は、(P1):(A1)=10:4(重量比)、固形分濃度2重量%とした。この塗布組成物を、上記ITO基板上に、スピナ回転数1500rpm、スピナ回転時間30秒でスピンコート法により成膜した。スピンコート後、260℃で180分間、乾燥させた。このようにして、膜厚30nmの均一な正孔注入層3を形成した。
次に、正孔輸送性化合物として、下記式(HT−1)で表される、架橋基を有する正孔輸送性化合物(重量平均分子量60000,数平均分子量27272)および溶剤としてトルエンを含有する、固形分濃度0.4重量%の正孔輸送層形成用塗布組成物を調製した。この塗布組成物を、上記正孔注入層3上に、スピナ回転数1500rpm、スピナ回転時間30秒でスピンコート法により成膜した。スピンコート後、230℃で60分間、加熱して架橋させた。このようにして、膜厚20nmの均一な正孔輸送層10を形成した。
Figure 0005487595
次に、下記構造式(C7)で表される化合物(参考例の電荷輸送材料(IC))、前記構造式(C2)で表される化合物、および前記構造式(C3)で表される化合物を、キシレン(沸点138℃)に溶解させることにより、本発明の有機電界発光素子用組成物を調製した。該組成物は、(C7):(C2):(C3)=10:10:1(重量比)、固形分濃度2重量%とした。この有機電界発光素子用組成物を、上記正孔輸送層10上に、スピナ回転数1500rpm、スピナ回転時間30秒でスピンコート法により成膜した。スピンコート後、130℃で60分間、乾燥させた。このようにして、膜厚50nmの均一な発光層4を形成した。
Figure 0005487595
得られた発光層4の上に、真空蒸着法により正孔緩和層として下記構造式に示す化合物(H−1)を膜厚10nmとなるように、次いで電子輸送層7として下記構造式に示す化合物(ET−1)を膜厚30nmとなるようにそれぞれ順次積層した。
Figure 0005487595
最後に、真空蒸着法により、電子注入層5としてフッ化リチウム(LiF)を膜厚0.5nmとなるように、陰極6としてアルミニウムを膜厚80nmとなるように、それぞれ陽極2であるITOストライプと直交する形状の2mm幅のストライプ状に積層した。
以上の様にして、2mm×2mmのサイズの発光面積部分を有する有機電界発光素子が得られた。この素子からは、ELピーク波長513nmの緑色発光が得られることを確認した。
得られた有機電界発光素子の発光特性を表2に示す。
なお、表2中、最高輝度は、250mA/cmの電流を流したときの正面輝度である。CIE色度座標は、正面輝度10〜1000cd/cm時のCIE色度座標である。駆動寿命T50は、室温条件下、初期正面輝度4,000cd/cmで定電流駆動したとき、正面輝度が初期輝度の50%まで低下するまでに要した時間である。
表2に示す如く、輝度が高く、駆動寿命の長い有機電界発光素子が得られることがわかる。
参考例2
正孔輸送層形成用塗布組成物に含まれる溶剤をシクロヘキシルベンゼンとし、固形分濃度を1.4重量%にしたこと、および、有機電界発光素子用組成物に含まれる溶剤をシクロヘキシルベンゼンとし、固形分濃度を5.0重量%にしたこと以外は参考例1と同様にして、有機電界発光素子を得た。
得られた有機電界発光素子の発光特性を表2に示す。
表2に示す如く、輝度が高く、駆動寿命の長い有機電界発光素子が得られることがわかる。
[比較例2]
有機電界発光素子用組成物中の、構造式(C7)で表される化合物(本発明の電荷輸送材料(IC))を前記構造式(C6)で表される化合物に変更したこと以外は参考例2と同様にして、有機電界発光素子を得た。
この素子からは、ELピーク波長513nmの緑色発光が得られることを確認した。
得られた有機電界発光素子の発光特性を表2に示す。
表2に示す通り、この素子は駆動寿命が短かった。
Figure 0005487595
以上の結果より、本発明の有機電界発光素子用組成物は、高いガラス転多点を有する電荷輸送材料と、湿式成膜プロセスに優利な高沸点の溶剤とを組み合わせることで、駆動電圧が低く、発光効率が高く、耐久性が良好で長寿命の有機電界発光素子を実現することができることがわかる。
本発明の有機電界発光素子の一例を示した模式的断面図である。 本発明の有機電界発光素子の別の例を示した模式的断面図である。 本発明の有機電界発光素子の別の例を示した模式的断面図である。 本発明の有機電界発光素子の別の例を示した模式的断面図である。 本発明の有機電界発光素子の別の例を示した模式的断面図である。 本発明の有機電界発光素子の別の例を示した模式的断面図である。 本発明の有機電界発光素子の別の例を示した模式的断面図である。
符号の説明
1 基板
2 陽極
3 正孔注入層
4 発光層
5 電子注入層
6 陰極
7 電子輸送層
8 正孔阻止層
9 電子阻止層
10 正孔輸送層

Claims (7)

  1. 下記式(I)で表される湿式成膜用電荷輸送材料と、沸点180℃以上の溶剤とを含有してなることを特徴とする有機電界発光素子用組成物。
    Figure 0005487595
    (式中、QはC原子またはN原子を表し、QがC原子の場合、Qはさらに置換基を有していてもよい。
    Ar〜Arは、互いに独立に、芳香族炭化水素基を表し、かつArは、Ar が置換基を有する場合は、その置換基も含めて炭素数10〜30の芳香族炭化水素基を、Arは、1,3,5−ベンゼントリイル基をそれぞれ表す。
    Cz、Czは、互いに独立に、ジアリールアミノ基またはN−カルバゾリル基を表す。但し、Cz上のN原子とCz上のN原子とは、互いに非共役である。さらに、QがN原子である場合には、環A上のQは、Cz上のN原子およびCz上のN原子と、非共役である。
    は、直接結合、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表す。
    環A、J、ArAr 、Cz、Czは、それぞれ独立に、さらに置換基を有していてもよいが、Arが有していてもよい置換基は、芳香族炭化水素基のみである。)
  2. 式(I)のArが、1,3−ベンゼンジイル基であることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子用組成物。
  3. 湿式成膜用電荷輸送材料のガラス転移点が150℃以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機電界発光素子用組成物。
  4. 沸点180℃以上の溶剤に、前記湿式成膜用電荷輸送材料が0.5重量%以上溶解することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の有機電界発光素子用組成物。
  5. 基板上に、陽極、陰極、およびこれら両極間に設けられた有機発光層を有する有機電界発光素子であって、請求項1ないし4のいずれかに記載の有機電界発光素子用組成物を用いて形成された層を有することを特徴とする有機電界発光素子。
  6. 請求項5に記載の有機電界発光素子を用いた、有機EL表示装置。
  7. 請求項5に記載の有機電界発光素子を用いた、有機EL照明。
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