JP2007180922A - ノイズキャンセルヘッドホン - Google Patents

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Abstract

【課題】小容量のデジタルデバイスで少ない情報を処理しながら、精度の高い、実用上十分なノイズキャンセルを可能にしたヘッドホンを得る。
【解決手段】周囲の騒音を電気信号に変換するマイクロホンと、マイクロホンで変換される騒音信号から将来発生する騒音信号を予測する予測手段20と、予測した騒音信号の位相を反転させてキャンセルノイズを生成するキャンセルノイズ生成手段24と、オーディオ信号とキャンセルノイズを加算して信号音響変換素子に入力する加算器26と、マイクロホンで変換される騒音信号から低音領域の騒音信号のみを通過させるローパスフィルタ30と、を備え、キャンセルノイズ生成手段24は低音領域の騒音信号にのみキャンセルノイズを生成させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、デジタル・シグナル・プロセッサ(以下「DSP」という)を用いたデジタル方式のノイズキャンセルヘッドホンに関するものであって、特に予測手法を用いて外部ノイズを効果的に消去することができるようにしたものにおいて、ノイズ予測精度を向上させることにより、ノイズキャンセル効果を一層高めることができるノイズキャンセルヘッドホンに関するものである。
例えば、テーププレーヤ、CDプレーヤ、MDプレーヤなど、携帯型の音楽プレーヤが普及し、最近ではハードディスク型やフラッシュメモリ型など、より小型で、大容量の携帯型音楽プレーヤが急速に普及しつつある。携帯型音楽プレーヤの普及に伴い、それに使用するヘッドホンもより高性能のものが求められ、さらに、街中や乗り物の中で音楽を聞こうとする場合に、周囲の騒音は聞こえず、音楽のみが聞こえるようにしたノイズキャンセルヘッドホンも望まれるようになってきた。音楽の再生音に混じって周囲の騒音が耳に入ると、高音質の再生音であっても、騒音によってかき消されて高音質で音楽を楽しむことができないからである。また、騒音の中で音楽を聴こうとすると、ついつい音量を上げて聞きがちになり、音量を上げることによってヘッドホンから外に向かって音漏れを生じ、乗り物などの中では周囲の人たちにとって不愉快な騒音原になるという問題もある。このような背景があって、ノイズキャンセルヘッドホンが普及し始めている。
現在市販されているノイズキャンセルヘッドホンの大半はアナログ方式のノイズキャンセルヘッドホンである。これは、ヘッドホンに組み込んだマイクロホンで周囲の音(再生音に対しては騒音であるから、以下、「騒音」という)を捉え、捉えた騒音の位相を反転してプレーヤからの再生信号に加算する方式である。外部からヘッドホン内部に侵入する騒音は、位相が反転された信号で打ち消され、プレーヤからの再生信号のみが使用者の耳に入るという仕組みである。その概要を図6に示す。図6において、符号42で示すノイズNは、ヘッドホンに装着されたマイクロホンで捉えられる周囲の騒音で、アナログ回路40が備えている位相反転器44で位相が180度反転され、−N´の信号となる。騒音信号の反転信号−N´と、プレーヤによって再生される再生信号Sは加算器46によって加算され、この加算された信号で音響変換器すなわちスピーカが駆動される。ヘッドホン内部には騒音Nが回り込む。この回り込んだ騒音Nはその反転信号−N´と合成されて符号48で示すようにN−N´の信号となり、騒音Nの大半は反転信号−N´でキャンセルされ、使用者はほぼ再生音Sのみを聞くことができる、という仕組みになっている。また、上記加算器46の代わりに、騒音Nの逆位相の音を発生する信号音響変換素子(スピーカ)を設けて騒音Nをキャンセルするものもある。
最近では、デジタル方式のノイズキャンセルヘッドホンも提案されている。その例を図7に示す。図7において、符号50はデジタル方式ノイズキャンセルヘッドホンの主体をなすデジタル信号処理に特化したプロセッサ(以下「DSP」という)を示す。DSP50は、ヘッドホンに組み込まれたマイクロホンで捉えられる騒音信号Nを周波数分析する高速フーリエ変換器(以下「FFT」という)54と、FFT54で周波数分析することにより得られる周波数特性56から、キャンセルする周波数帯域を選択する選択部58と、選択された周波数帯域の信号を逆フーリエ変換して周波数選択されたキャンセル音信号−N″を生成する逆フーリエ変換器(IFFT)60と、プレーヤによる再生信号Sと上記キャンセル音信号−N″を加算して出力する加算器64を備えている。ヘッドホンに回り込んで侵入する騒音Nは、上記キャンセル音−N″と合成されてN−N″の信号66となり、騒音Nの大半はキャンセルされて、使用者はほぼ再生音Sのみを聞くことができる。
アナログ方式ノイズキャンセルヘッドホンの先行技術として、例えば、特許文献1、特許文献2記載の発明などがある。騒音Nの逆位相の音を発生する信号音響変換素子を設けた例として特許文献3記載の発明がある。デジタル方式ノイズキャンセルヘッドホンの先行技術として、例えば、特許文献4記載の発明がある。
特開平11−308685号公報 特開平11−237889号公報 特開2000−59876号公報 特開平09−93684号公報
図6に示すようなアナログ方式ノイズキャンセルヘッドホンによれば、コイル(インダクタンス)やコンデンサ(キャパシタンス)および抵抗を用いて位相を反転する回路を構成しているため、(1)位相を反転するときにパワースペクトルを正確に反転することができない、(2)位相を反転するときに、遅延を正確に実現することができない、すなわち騒音に対して逆位相信号が遅延する、といった問題があり、結果として、十分なキャンセル効果を得ることができない。
図7に示すような、従来のデジタル方式ノイズキャンセルヘッドホンによれば、(1)FFTおよびIFFTにおいて計算に時間を要し、騒音の位相変化に対して計算結果の位相が対応せず、十分なキャンセル効果を得ることができない、(2)騒音の周波数ごとにキャンセル音を計算するため、計算に長い時間を要し、計算時間を節約するために周波数帯域幅を狭めなければキャンセル効果を得ることができず、結果として十分なキャンセル効果を得ることができない。
そこで本出願人は、周囲の騒音を電気信号に変換するマイクロホンと、マイクロホンで変換される騒音信号から将来発生する騒音信号を予測する予測手段と、予測した騒音信号の位相を反転させてキャンセルノイズを生成するキャンセルノイズ生成手段と、オーディオ信号とキャンセルノイズを加算して信号音響変換素子に入力する加算器と、を備えた、デジタル方式のノイズキャンセルヘッドホンに関して先に特許出願した(特願2005−145868参照)。
上記出願にかかるノイズキャンセルヘッドホンによれば、マイクロホンで変換される過去の騒音信号から将来発生する騒音信号を予測し、予測した騒音信号の位相を反転させてキャンセルノイズを生成し、このキャンセルノイズによって周囲の騒音をキャンセルするように構成されているため、キャンセルノイズ生成手段などによる計算遅れや動作遅れがあっても、実際に生じるノイズの位相変化に対応してノイズをキャンセルすることができる。
本出願人による上記先の特許出願にかかるノイズキャンセルヘッドホンは、騒音として検知しかつこの騒音をキャンセルする音声の対象を、音声周波数帯全領域としているため、騒音信号を精度よく予測することが難しい。その理由を、図8を参照しながら説明する。ヘッドホン周辺に存在し、キャンセル用マイクロホンで検出される騒音の波形は、図8に示すように、低音域から高音域まで含んだ複雑な波形である。この波形のある点を現時点として将来に向かう波形をデジタル処理して予測するには、所定のサンプリング周波数に従った周期でサンプリングしながら次の信号レベルを予測する。例えば、標準的なCDのサンプリング周波数は44.1KHzであって、この周波数に従った周期ごとに次の波形を予測する。図8は、現時点から過去一定時間Tでのサンプリングを行なうことによって、将来のノイズ波形を予測することをイメージしている。
ここで、予測手法の一例を、図9を参照しながら説明する。図9はノイズの波形の例を示しており、この波形中に付した各ドットは、サンプリング時点を示している。図9に示す例は、バーグ法などの統計処理によって、現時点から1個先のサンプリング時点での信号レベルを予測し、この予測データをもとにさらに次の信号レベルを予測する、というように、繰り返し予測を行なうものである。
図9において、あるサンプリング時点から適宜数のサンプリング時点まで付した複数の円は、上記のようにして繰り返し予測を行なうことを示しており、この複数のサンプリングに沿って付された矢印は、このサンプリングで得られる予測データによる波形の傾きの例を示している。この矢印からわかるように、予測誤差が累積することによって、実際に現れるノイズ波形との乖離が大きくなり、十分なノイズキャンセル精度が得られないという難点がある。
図9に示す例のように、一つ先の波形を予測するものにおいては、将来の波形を的確に予測することができない。複数個先、例えば、10個先のサンプリングで得られる波形まで予測することができるとすれば、それが望ましい。そこで、図10に示すように、バーグ法などの統計処理によって、計測時間を長くとる方法が考えられている。この方法によれば、予測誤差が累積するという問題はないが、時間とともに変動するデータに追従することができないため、精度のよいキャンセル信号を生成することができず、やはり、十分なノイズキャンセル精度が得られないという難点がある。
いずれにせよ、従来のノイズキャンセルヘッドホンは、音声周波数帯全領域をノイズキャンセルの対象としている。しかるに、音声周波数帯全領域をノイズキャンセルの対象として所定の精度でデジタル処理しようとすると、高音域の成分も含めて信号処理を行なう必要があるから、処理しようとする情報量が多くなり、高速で大容量のデジタルデバイスが必要となる。また、将来の波形を精度よく予測するためには、過去の多くのデータに基づいて予測する必要がある。その上、高音域も含めてノイズキャンセルを行うことは、高速処理も要求されるから、高精度のノイズキャンセルはますます難しくなる。
仮に、騒音の低音領域(低い周波数領域)のみをキャンセルするだけでよいとすれば、処理しようとする情報量を少なくすることができ、小容量のデジタルデバイスで足りるとともに、処理速度を早くすることができ、ノイズキャンセル精度を高めることができるはずである。本発明者が検証した結果、ヘッドホンを装着した状態では、ヘッドホンの筐体が高音領域(高い周波数領域)において遮音効果を持ち、ヘッドホンの筐体を回り込んで耳に伝わる騒音は低音領域であることがわかった。よって、低音領域についてノイズキャンセルすれば、イズキャンセルヘッドホンとして十分に機能する。
本発明は、以上のような技術背景に基づいてなされたもので、低音領域においてノイズキャンセルするようにすることによって、小容量のデジタルデバイスで少ない情報を処理しながら、精度の高い、実用上十分なノイズキャンセルを可能にしたヘッドホンを提供することを目的とする。
本発明は、周囲の騒音を電気信号に変換するマイクロホンと、マイクロホンで変換される騒音信号から将来発生する騒音信号を予測する予測手段と、予測した騒音信号の位相を反転させてキャンセルノイズを生成するキャンセルノイズ生成手段と、オーディオ信号と上記キャンセルノイズを加算して信号音響変換素子に入力する加算器と、を備えるノイズキャンセルヘッドホンにおいて、上記マイクロホンで変換される騒音信号から低音領域の騒音信号のみを通過させるローパスフィルタを備え、上記キャンセルノイズ生成手段は低音領域の騒音信号にのみキャンセルノイズを生成させることを最も主要な特徴とする。
マイクロホンで変換された騒音信号を一定周期でサンプリングするサンプリング回路を有し、予測手段は上記サンプリング回路によって得られる現在から過去の複数のサンプリングデータによって将来発生する騒音信号を予測するように構成するとなおよい。
マイクロホンで変換される騒音信号は、ローパスフィルタを通すことによって高音領域がカットされ、低音領域のみがキャンセルノイズ生成手段に入力され、低音領域のみについてキャンセルノイズが生成される。生成されたキャンセルノイズによって、低音領域の騒音がキャンセルされる。ユーザーがヘッドホンを装着した状態では、ヘッドホンの筐体を回りこんでユーザーの耳に入る騒音の高音域が遮蔽され、騒音の低音領域のみがユーザーの耳に達することがわかっており、上記のように低音領域の騒音がキャンセルされるだけであっても、十分なノイズキャンセル効果を得ることができる。また、低音領域のみについてキャンセルノイズを生成すればよいので、予測手段、キャンセルノイズ生成手段などのデバイスによる情報処理量は、従前のノイズキャンセルヘッドホンにおける情報処理量よりも格段に少なくてよい。よって、デバイスの容量は小さくてよく、情報処理に要する時間も短く迅速な処理が可能であり、精度の高い、かつ、実用上十分なノイズキャンセルを行なうことができる。
マイクロホンで変換された騒音信号を一定周期でサンプリングするサンプリング回路を設け、予測手段は上記サンプリング回路によって得られる現在から過去の複数のサンプリングデータによって将来発生する騒音信号を予測するように構成すれば、騒音信号の予測精度をより一層高めることができ、ノイズキャンセル効果が良好なノイズキャンセルヘッドホを得ることができる。
以下、本発明にかかるノイズキャンセルヘッドホンの実施例について、図1乃至図5を参照しながら説明する。
図1において、符号16はデジタル方式ノイズキャンセルヘッドホンにおける情報処理の主体をなすDSPを示す。DSP16には、ヘッドホンに組み込まれていて周囲の騒音を電気信号に変換するマイクロホンから、騒音信号(ノイズ)17が入力されるが、マイクロホンとDP16との間にアナログのローパスフィルタ30が介在していて、DSP16に騒音信号を入力するに当たり、上記ローパスフィルタ30を通すように構成されている。ローパスフィルタ30はハイカットフィルタでもあり、騒音信号17から高音領域をカットし、騒音信号の低音領域NのみをDSP16に入力するようになっている。DSP16は、騒音信号の低音領域Nを所定のビット数でサンプリングしてデジタルデータに変換するサンプリング回路18を有するとともに、このサンプリング回路18によって得られるサンプリングデータが入力される予測手段20を有している。予測手段20は、騒音信号の低音領域Nの過去のサンプリングデータから、将来発生する騒音信号を予測するもので、例えば、多項式などの補間手法を用いることができる。予測手段20によって、符号22で示すように発生予測ノイズN″が生成され、この発生予測ノイズN″は、DSP16に含まれるキャンセルノイズ生成手段24によって位相が180度反転され、キャンセルノイズ−N″が生成されるように構成されている。予測手段20からキャンセルノイズ生成手段24までの間に、アナログ・デジタル変換器があり、上記キャンセルノイズ−N″はアナログ信号に変換されている。
上記キャンセルノイズ−N″はDSP16に含まれる加算器26に入力され、加算器26では、適宜のプレーヤなどによって再生されるオーディオ信号Sとキャンセルノイズ−N″が加算されて出力されるように構成されている。この加算出力S−N″によってスピーカが駆動され、S−N″に対応した音声がスピーカから発せられる。ヘッドホンには周囲の騒音が回り込み、使用者の耳に入る。使用者の耳に入る騒音をN´とすると、この騒音N´は、位相が反転している上記キャンセルノイズ−N″に対応する音声と合成され、符号28で示すように、N−N″として消音されたノイズとなる。言い換えると、使用者の耳に入る音は、S+N´−N″である。N´−N″の部分は上記のように打ち消されているので、オーディオ信号Sのみが使用者の耳に入ることになる。
以上説明した本発明にかかるノイズキャンセルヘッドホンの実施例を模式的に表したものが図2である。図2において、符号12はヘッドホンユニットを示している。ヘッドホンユニット12は、使用者の耳を覆う筐体と、この筐体に組み込まれて周囲の騒音を電気信号に変換するマイクロホン14と、外部のプレーヤ10で再生されるオーディオ信号Sを音響信号に変換する信号音響変換素子としてのスピーカと、前述のDSP16を備えている。マイクロホン14は、ヘッドホンユニット12の周辺の騒音を電気信号に変換し、この騒音信号は前述のようにローパスフィルタ30を通ってDSP16に入力され、前述のように処理される。DSP16からは、騒音信号の低音領域Nに基づいて生成された発生予測ノイズN″を反転させたキャンセルノイズ−N″と、上記オーディオ信号Sとが加算されてS−N″の信号が出力され、このS−N″の信号でスピーカが駆動される。
一方、ヘッドホンユニット12の周囲の騒音Nは、ヘッドホンユニット12を回り込んで使用者の耳に達する。騒音Nはヘッドホンユニット12を回り込むことによって周波数帯域ごとに音圧レベルが変化し、N‘の騒音として使用者の耳に入る。したがって、使用者の耳に入る音はS−N″+N´となる。キャンセルノイズ−N″は使用者の耳に入る騒音N´に対して逆位相であり、かつ、キャンセルノイズ−N″も騒音N´も騒音Nを源とするものであるから、騒音N´はキャンセルノイズ−N″で略キャンセルされ、使用者の耳にはほぼオーディオ信号Sのみが入ることになる。ヘッドホンユニット12の筐体を回り込んで使用者の耳に入る騒音は、既に述べたように高音領域がカットされて低音領域のみとなる。前記DSP16内で生成されるキャンセルノイズN″は、騒音信号の低音領域に対応したキャンセルノイズであるため、このキャンセルノイズN″で上記使用者の耳に入る騒音がキャンセルされ、実用上十分なキャンセル効果を得ることができるノイズキャンセルヘッドホンを得ることができる。
図3は、ヘッドホン周辺の騒音の周波数特性例を示すもので、横軸に周波数を、縦軸にゲインをとっている。この周波数特性中、網掛けで示した高音領域Fhが前記ローパスフィルタ30で遮断される領域であり、かつ、ヘッドホンユニットの筐体を回り込むことによって遮断される領域である。遮断される上記高音領域Fhの下限の周波数、換言すれば、ローパスフィルタ30を通過する低音領域Flの上限の周波数が、キャンセルすべき騒音の上限周波数で、ここでは、このキャンセルすべき騒音の上限周波数を「最大対象周波数」と言う。さらに換言すれば、最大対象周波数に、アナログのローパスフィルタ30を設定することになる。
ローパスフィルタ30の対象周波数とサンプリングの関係を図4に示す。図4に示す波形は、ローパスフィルタ30を通すことによって高音領域がカットされ、最大対象周波数が例えば2KHzの騒音信号の波形とする。この最大対象周波数の騒音1サイクルの間にN回のサンプリングが行なわれるものとする。このサンプリング周波数は40KHz(すなわち、ローパスフィルタを通過する騒音の最大対象周波数の整数倍)であるとする。したがって、2KHzの騒音信号に対して40KHzのサンプリング周波数でサンプリングされることになり、騒音1サイクルでのサンプリング回数Nは20、すなわち20回のサンプリングが行なわれることになる。換言すれば、20回のサンプリングで2KHzの騒音信号データを1サイクル分取得することができる。このように、騒音の高音領域をカットして、対象周波数の最大値を低く抑えることによって、騒音信号の1サイクルの間により多くのサンプリングを行なうことができ、サンプリングに基づく将来の騒音波形の予測を高い精度で行なうことができる。
図5は、上記のようにサンプリングによって得られる騒音信号と、この騒音信号から、多項式などの補間手法によって、複数先のサンプリングによって得られる騒音信号予測の例を示す。図5において、細線で示す波形は現実に得られる騒音信号波形の例で、この波形の上に一定の時間間隔で付したドットはサンプリング位置を示している。太線で示した波形は、サンプリング結果に基づいて予測した騒音波形の例を示している。サンプリングによって得られる騒音信号波形に関して2〜4次の多項式で近似させ、これによって得られる係数を用いて、現時点から複数先の(将来の)サンプリングによって得られる波形を予測する。
このように、マイクロホンで変換された騒音信号を一定周期でサンプリングするサンプリング回路18を有し、予測手段20はサンプリング回路18によって得られる現在から過去の複数のサンプリングデータによって将来発生する騒音信号を予測するように構成した。また、サンプリングによって得られる騒音信号波形に関して多項式で近似させ、これによって得られる係数を用いて、現時点から複数先のサンプリングによって得られる波形を予測するように構成した。これにより、以下のような利点がある。
(1)信号波形の変極点の個数が予めわかっているので、精度の高い波形予測ができ、精度の高いノイズキャンセルを実現することができる。
(2)多項式近似は、バーグ法などの統計処理と異なって計算量が少ないため、CPUなどの処理ユニットの負荷が軽く、低価格のデバイスによるノイズキャンセルを実現することができる。
図2に示すモデル図では、1個のヘッドホンユニット12に関して記載されている。通常、ヘッドホンは左右のヘッドホンユニット12からなるステレオヘッドフォンとして構成されている。このステレオヘッドフォンにおいては、周囲の騒音を検知するためのマイクロホン14およびそれに付随した騒音キャンセルのための回路をどのように配置するか、すなわちこれらを片方のヘッドホンユニット12に備えるのか、または両方のヘッドホンユニット12に備えるのか、いずれかを選択することになる。
左右のヘッドホンユニット12の一方にマイクロホン14を備え、このマイクロホン14で変換される騒音信号からローパスフィルタによって高音領域を除去した信号に基づき、前記予測手段20が将来発生する騒音信号を予測し、キャンセルノイズ生成手段24がキャンセルノイズを生成し、左右のヘッドホンユニット12ごとにそれぞれのオーディオ信号と上記キャンセルノイズを加算する加算器26を備えたものであってもよい。かかる構成は比較的簡単な構成であるが、十分な騒音キャンセル効果を得ることができる。
左右のヘッドホンユニット12でより大きな騒音キャンセル効果を得るのであれば、左右のヘッドホンユニット12ごとにマイクロホン14と予測手段20とキャンセルノイズ生成手段24と加算器26を備え、左右のヘッドホンユニット12ごとに将来発生する騒音信号を予測してキャンセルノイズを生成し、左右のヘッドホンユニット12ごとにそれぞれのオーディオ信号Sと上記キャンセルノイズ−N″を加算するようにするとよい。もちろん、左右のマイクロホンの後にはそれぞれローパスフィルタが接続されていて、騒音信号から高音領域を除去した騒音信号に基づき、左右それぞれに騒音信号が予測され、キャンセルノイズが生成される。左右のヘッドホンユニット12では、周囲の騒音の聞こえ方が異なるはずであるから、左右別々に騒音を検出して個別に騒音のキャンセル処理をするように構成することによって、よりいっそう騒音キャンセル効果を高めることができる。
本発明によれば、周囲の騒音をすべてキャンセルしてしまい、プレーヤで再生されるオーディオ信号のみを聞くことができるようにすることも可能である。しかし、日常において、騒音がまったく聞こえない状況はむしろ稀で、人間の感覚ではかえって違和感を覚えることもあるので、騒音のキャンセル量ないしはキャンセル率を、使用者が好みに応じて調整することができるようにしておくとよい。騒音のキャンセル量ないしはキャンセル率の調整は、例えば前記キャンセルノイズ生成手段26の利得を調整するなどの手法をとることによって達成することができる。
本発明にかかるノイズキャンセルヘッドホンは、主として音楽を再生するプレーヤとともに使用されるものであるが、他の用途として、たとえば、騒音の中で集中力を発揮するために、オーディオ信号を入力させることなく、ノイズキャンセル機能を発揮させ、静寂の中にいるかのような状況を作り出すこともできる。
本発明にかかるノイズキャンセルヘッドホンの実施例を示すブロック図である。 本発明にかかるノイズキャンセルヘッドホンの実施例の概要を示すモデル図である。 上記実施例におけるローパスフィルタの機能およびローパスフィルタの最大対象周波数の例を示す波形図である。 上記実施例における対象周波数に対するサンプリングの例を示す波形図である。 本発明にかかるノイズキャンセルヘッドホンによるサンプリングの別の例を示す波形図である。 従来のアナログ方式ノイズキャンセルヘッドホンの例を示すブロック図である。 従来のデジタル方式ノイズキャンセルヘッドホンの例を示すブロック図である。 従来のデジタル方式ノイズキャンセルヘッドホンにおける騒音信号のサンプリングの様子を示す波形図である。 従来のデジタル方式ノイズキャンセルヘッドホンにおける騒音信号の予測の一例を示す波形図である。 従来のデジタル方式ノイズキャンセルヘッドホンにおける騒音信号の別の予測例を示す波形図である。
符号の説明
10 プレーヤ
12 ヘッドホンユニット
14 マイクロホン
16 DSP
18 サンプリング回路
20 予測手段
24 キャンセルノイズ生成手段
26 加算器
30 ローパスフィルタ

Claims (7)

  1. 周囲の騒音を電気信号に変換するマイクロホンと、マイクロホンで変換される騒音信号から将来発生する騒音信号を予測する予測手段と、予測した騒音信号の位相を反転させてキャンセルノイズを生成するキャンセルノイズ生成手段と、オーディオ信号と上記キャンセルノイズを加算して信号音響変換素子に入力する加算器と、を備えるノイズキャンセルヘッドホンにおいて、
    上記マイクロホンで変換される騒音信号から低音領域の騒音信号のみを通過させるローパスフィルタを備え、上記キャンセルノイズ生成手段は低音領域の騒音信号にのみキャンセルノイズを生成させることを特徴とするノイズキャンセルヘッドホン。
  2. マイクロホンで変換された騒音信号を一定周期でサンプリングするサンプリング回路を有し、予測手段は上記サンプリング回路によって得られる現在から過去の複数のサンプリングデータによって将来発生する騒音信号を予測することを特徴とする請求項1記載のノイズキャンセルヘッドホン。
  3. サンプリング回路によるサンプリング周波数は、ローパスフィルタを通過する騒音の最大対象周波数より高い周波数である請求項2記載のノイズキャンセルヘッドホン。
  4. サンプリング回路によるサンプリング周波数は、ローパスフィルタを通過する騒音の最大対象周波数の整数倍である請求項3記載のノイズキャンセルヘッドホン。
  5. 予測手段は、サンプリング回路によって得られる現在から過去の複数のサンプリングデータによって、将来発生する複数先のサンプリング騒音信号まで予測することを特徴とする請求項2記載のノイズキャンセルヘッドホン。
  6. 予測手段は、多項式による補間手法によって、将来発生する複数先のサンプリング騒音信号まで予測することを特徴とする請求項5記載のノイズキャンセルヘッドホン。
  7. ヘッドホンはヘッドホンンユニットを左右に有するステレオヘッドホンであって、左右のヘッドホンユニットにマイクロホンを備え、このマイクロホンで変換される騒音信号に基づき、予測手段が将来発生する騒音信号を予測し、キャンセルノイズ生成手段がキャンセルノイズを生成し、左右のヘッドホンユニットごとにそれぞれのオーディオ信号と上記キャンセルノイズを加算する加算器を備えている請求項1乃至6のいずれかに記載のノイズキャンセルヘッドホン。
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