JP2002247699A - ステレオ音響信号処理方法及び装置並びにプログラム及び記録媒体 - Google Patents
ステレオ音響信号処理方法及び装置並びにプログラム及び記録媒体Info
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Abstract
抑え、高精度に中央付近に定位する音源信号だけを強調
するステレオ音響信号処理方法を提供する。 【解決手段】左右チャネルのステレオ信号を複数の周波
数帯域成分に分割し、各帯域ごとにチャネル間類似度を
算出する。各帯域についてチャネル間類似度が高い場合
には、その類似度が高い成分信号を抽出し、チャネル間
類似度が高い成分から左右差減衰係数を算出し、また、
各帯域についてチャネル間類似度が低い場合には、その
類似度が低い成分信号を抽出して時間平均を算出し、時
間平均された信号成分からチャネル間類似度の高い信号
を強調するSS(スペクトラルサブトラクション)減衰
係数を算出する。左右差減衰係数とSS減衰係数と比較
して最小の減衰係数を選択して各帯域信号成分に乗算し
て出力する。
Description
種環境音源などの複数の音源から発せられた複数の音響
信号が混ざった2チャネルステレオ信号において、中央
付近に定位する音源信号を強調する方法に関し、ステレ
オ音楽ソースの受聴者の好みに応じた再生や、環境騒音
下で目的とする音声だけを受聴する時などに使用され
る。
目的とする音源信号を聞き取る能力(いわゆるカクテル
パーティー効果と呼ばれる)が劣っているといわれてい
る。このため、健聴者を対象に作成された音楽信号で
は、しばしば伴奏が歌よりも大きく感じられることが指
摘されている。この場合には中央に定位する歌を強調
し、伴奏を抑圧することが望まれる。また、喫茶店等に
おいて、BGMや周囲の会話等で喧噪音が大きな空間で
は、正面に座った目的話者の声も聞き取りづらくなる。
この場合には、正面に座った話者の声のみを強調し、周
囲の喧騒音を抑圧することが望まれる。
る音源信号を抽出、もしくは強調する方法には以下のよ
うなものがある。一つ目は、周期構造を持つ音源を周波
数領域において基本周波数を推定し、調波構造を抜き出
すことにより、同一音源を推定する成分を再合成する方
法である。しかしこの一つ目の方法では、音源の調波構
造に限定され、さらに音源の調波構造の推定には必ず誤
差が生じるため、それが雑音として知覚されることによ
り、目的音源信号の抽出精度が悪くなる問題があった。
やかな定常的な雑音源と周波数特性が定常的音源よりも
頻繁に変動する例えば音声のような目的信号音源が重畳
された信号から、後者の目的音源信号を抽出、もしくは
強調する方法であり、スペクトラルサブトラクション(S
pectralSubtraction)法等が代表例である。これは背景
雑音が重畳された入力信号をフーリエ変換することによ
り周波数領域に変換し、まず目的音源信号が重畳されて
いない部分、すなわち雑音源信号を推定し、雑音源信号
の平均的な周波数特性を記憶する。そして、周波数領域
において、雑音源信号と目的音源信号が重畳された信号
から記憶された雑音源の平均的な周波数特性に基づく周
波数構造を減算することで目的音源信号を強調、もしく
は抽出する方法である。しかしこの二つ目の方法では、
雑音源信号が定常であることが必要で、歌の伴奏のよう
に非定常な音源の伴奏のみの個所の推定、及び抑圧は困
難であった。
し、左右差の小さい成分を抽出することで、中央に定位
する音源信号を強調する方法である(特願2000-268442
号)。一つ目、二つ目の方法と違い、音源の調波性や定
常性には依存しないで中央付近に定位する音源信号を強
調できる。しかしながら、強調の度合いを強くしていく
と、中央に定位しない音源の成分のうち左右差の小さい
成分が消し残り、再合成後、それが中央付近にキュルキ
ュルもしくはギュルギュルといった異音として残ってし
まうという問題があった。
響信号から中央付近に定位する音源信号を強調する技術
において、原信号の定位を損なわず、また異音を最小限
に抑え、高精度に中央付近に定位する音源信号だけを強
調するステレオ音響信号処理方法、装置を提供すること
である。
に、この発明のステレオ音響信号処理方法は、ステレオ
音響信号を入力する手段と、二つのチャネル信号を各チ
ャネルごとに複数の周波数帯域成分に分割する手段と、
各周波数帯域成分ごとにチャネル間の類似度を計算する
手段と、類似度などから中央に定位する音源信号を強調
するための一つ目の減衰係数を計算する手段と、類似度
などから中央付近に定位する音源信号以外の信号成分を
推定する手段と、中央付近に定位する音源信号以外の信
号の時間平均を算出する手段と、その時間平均された信
号成分から中央に定位する音源信号を強調するための二
つ目の減衰係数を計算する手段と、一つ目と二つ目の減
衰係数から各周波数帯域成分信号に乗算する減衰係数を
選択する手段と、各周波数帯域成分信号に選択された減
衰係数を乗算する手段と、減衰係数を乗じた後の各チャ
ネルごとの各周波数帯域成分信号を再合成する手段と、
再合成した信号を出力する手段とを有する。
下に説明する。入力されたステレオ信号をチャネルごと
に複数の周波数帯域成分に分割する。そして、各周波数
帯域成分ごとにチャネル間の信号成分の類似度をその振
幅比や位相差などによって決定する。そしてまず、類似
度の高い周波数帯域成分に比べて類似度の低い周波数帯
域成分が小さくなるような一つ目の減衰係数を得る。さ
らに、類似度の低い周波数帯域成分の時間平均値を計算
し、その値に基づいて二つ目の減衰係数を得る。この二
つの減衰係数から実際に各周波数帯域成分信号に乗算す
る減衰係数を選択して、各成分に乗算、各チャネルごと
に再合成して出力すれば、中央に定位する音源が強調さ
れる。
ロック図である。ステレオ信号入力部102に入力される
音響信号は、強調したい目的音源信号が中央付近に定位
するように収音されているステレオ信号であれば本発明
は有効である。ステレオ信号入力部102に入力されたス
テレオ信号は左右のチャネルごとに処理される。以下に
その処理方法を詳細に述べる。
帯域分割部103によってフレームごとに周波数領域に変
換される。同様に右チャネルの信号sRは、右チャネル周
波数帯域分割部104によって周波数領域に変換される。
ここで周波数帯域分割数をNとする。左チャネルにおい
て帯域分割された信号成分を低い周波数から順にfL(0),
fL(1), fL(2),・・・, fL(k),・・・,fL(N-1)とする。
右チャネルにおいて帯域分割された信号成分を低い周波
数から順にfR(0), fR(1), fR(2),・・・, fR(k),・・
・,fR(N-1)とする。
は、同じ周波数帯域ごとの類似度a(0),a(1),a(2),・・
・, a(k),・・・,a(N-1)が計算される。ステレオ信号に
おいて、中央付近に定位する音源信号は左右が一致、も
しくはその差違が非常に小さい。これは即ち、周波数領
域に変換したのちも全ての周波数帯域において、左右の
成分の差違は小さいことを意味する。このことから類似
度は、kが等しい、即ち同じ周波数帯域成分間で、fL(k)
とfR(k)の差違で決定することができる。次に類似度a
(k)の計算方法について、左右周波数帯域分割部103、10
4が短時間フーリエ変換(以下、「FFT」と略する)であ
る場合について述べる。FFTで周波数帯域に分割した場
合、fL(k)およびfR(k)は一般に複素数となり、位相を考
慮する必要がある。そこで、各成分の大きさの比と位相
差によって二つの類似度を計算する。大きさの比による
類似度をai(k)、位相差による類似度をap(k)とすると、 ai(k)=|fR(k)|/|fL(k)| (|fR(k)|≦|fL(k)|の時) =|fL(k)|/|fR(k)| (|fL(k)|<|fR(k)|の時) (1) ここで|A|は、A(複素数)の大きさを表す。
π)を表す。類似度ai(k)、ap(k)は左右差減衰係数計算
部106及びSS(SpectralSubtraction)減衰係数計算部10
7に送られ、各々左右差減衰係数gd(k)、SS減衰係数gs
(k)が計算される。左右差減衰係数gd(k)の計算方法につ
いて説明する。まず大きさの比による減衰係数gi(k)を
計算する。(1)式から明らかなように、類似度ai(k)
は、fL(k)とfR(k)の大きさが等しい時に1になり、それ
以外は1より小さな値となる。したがって、大きさの比
による類似度ai(k)を引数とする関数において、単調増
加の関数の出力をgi(k)に選べばよい。
(k))、縦軸は20log10(gi(k))を示している。ここで、Ai
(k)=20log10(ai(k)),Gi(k)=20log10(gi(k))とすると、 Gi(k)=0 (ε<Ai(k)≦0) =Gimin(Ai(k)/(β−ε)−ε/(β−ε)) (β<Ai(k)≦ε) =Gimin (Ai(k)≦β) 中央に定位する音源信号だけであるならば、全てのkに
対してai(k)は1(20log10(ai(k))=0)になるが、その
他に定位する信号が重畳されることにより、中央定位成
分が支配的な帯域であっても1よりやや小さくなること
がある。よって図2のように適当な幅εを持たせること
が有効である。ただし、εを大きくしすぎると、本来、
中央に定位しない音源信号の周波数成分(以下、「非中
央定位成分」という)を残してしまい、キュルキュル、
ギュルギュルという異音を発生させてしまう。この対策
として、後述する第二の減衰係数gs(k)が有効である。G
iminは、非中央定位成分の抑圧量に相当する。この値を
変化させることで、歌と伴奏に例えるならば、歌の大き
さに対する伴奏の大きさを調整することが可能となる。
に音を知覚させる中央定位音源信号について音質などの
変化が無視できる範囲で予め聴感上で決めることが好適
である。図2においてβをεと一致させても良いし、一
致させなくても良い。βをεに近づけると非中央定位成
分は等しくGiminの減衰量で減衰されることが期待でき
るが、中央定位音源信号の支配的な帯域が誤って抑圧さ
れた場合の誤差の影響も大きくなる。βをεから離すこ
とで中央定位音源信号が支配的な帯域を誤って抑圧した
場合の誤差の影響を小さくできるが、定位する位置によ
って抑圧量が変わってしまい、歌の伴奏に例えるなら
ば、伴奏楽器間の音量のバランスが変わってしまうこと
なども予想される。よって、中央定位音源信号の音質な
どの変化が無視できる範囲でβはεに近い値(0>ε>
β)にすることが望ましい。
法について説明する。(2)式から明らかなように、類
似度ap(k)は、fL(k)とfR(k)の位相が一致したときに1
になり、それ以外は1より小さい値であり、位相差θが
π/2ラジアンの時に0、θがπラジアンの時、すなわ
ち逆相の時に−1で最小である。一般に位相差による定
位知覚は周波数帯域にも依存し、大きさの比ほど単純で
はない。しかし、少なくとも中央に定位する音源信号に
関した位相差は0に近く、よってap(k)は1に近い値で
あることが期待できる。このことから位相差による減衰
係数gp(k)は例えば図3に示すように計算すればよい。
10(gp(k))を表す。ここで、Gp(k)=20log10(gp(k))とす
ると、 Gp(k)=0 (ζ<ap(k)≦1) =Gpmin(ap(k)/(α−ζ)−ζ/(α−ζ)) (α<ap(k)≦ζ) =Gpmin (−1≦ap(k)≦α) 中央に定位する音源信号だけであるならば、全てのkに
対してap(k)は1になるが、その他の雑音信号が重畳さ
れることにより、中央定位音源信号が支配的な帯域であ
っても1よりもやや小さくなることがある。よって図2
のように適当な幅ζを持たせることが有効である。しか
しζを大きくしすぎると、非中央定位成分の抑圧が不十
分になり、前述のgi(k)算出時と同様、異音を発生させ
てしまうが、これも後述のgs(k)により防ぐことができ
る。Gpminは、非中央定位成分の抑圧量に相当する。こ
の値を変化させることで、歌と伴奏に例えるならば、歌
の大きさに対する伴奏の大きさを調整することが可能と
なる。図3においてαとζと一致させてもよいし、一致
させなくてもよい。αをζに近づけると非中央定位成分
は等しくGpminの減衰量で減衰されることが期待できる
が、中央定位音源信号の支配的な帯域が誤って抑圧され
た場合の誤差も大きくなる。αをζから離すことで中央
定位音源信号が支配的な帯域を誤って抑圧された場合の
誤差を小さくできるが、位相差による抑圧量の違いは周
波数帯域によってその影響度が異なるため、歌の伴奏に
例えるならば、伴奏楽器の音量のバランスだけではなく
音色などが変わってしまうことが予想される。よって、
中央定位音源信号の変化が無視できる範囲でαはζに近
い値(ζ>α>0)にすることが望ましい。
差減衰係数gd(k)を計算する方法について述べる。適当
な距離を離した二つのマイクロホンで比較的マイクロホ
ンから距離が近い複数の音源信号を収音したステレオ信
号が入力信号である場合には、ステレオ再生における定
位は左右のマイクロホンに入ってくる信号の位相差と大
きさのレベル比(レベル差)に依存する。低い周波数に
おいてはレベル差はつきにくく、位相差が大きく影響す
る。高い周波数では、大きさの比が大きく影響する。よ
って、例えば周波数帯域を二つに分けて低い周波数にお
いてはgi(k)を、高い周波数においてはgp(k)を採用する
ことが考えられる。
屋において、マイクロホンから離れた位置に依存する音
源からの信号は一般に左右のレベル差はほとんどなく、
逆に位相が左右のマイクロホンでランダムになるためap
(k)の値が0に近くなる。この場合は全ての周波数にお
いて優先的にgp(k)を使うことが望ましい。さらにポピ
ュラー音楽等の場合は、直接マイクロホンで収音するだ
けでなく。左右チャネル信号の大きさの比や時間差、あ
るいは位相の時間的な変化を人工的に付加することで自
然界には存在しない定位を得ることが普通であり、もっ
と複雑になる。以上のように様々なステレオ入力信号に
応じて、最適なgd(k)の選択をすることは非常に困難で
ある。しかしながら、どの場合も少なくとも中央に定位
する音源信号の大きさの比と位相差は共に小さい。そこ
で、gd(k)として、gi(k)とgp(k)の小さい方を採用する
ことにする。即ち、 gd(k)=min(gi(k),gp(k)) (3) ここで、min(A,B)はAとBの小さい方を出力することを意
味する。
大きさか位相の少なくともどちらか一方が左右で異なる
場合は抑圧することになり、その結果、中央に定位する
音源信号を強調することが可能となる。次にSS減衰係
数gs(k)の計算方法について述べる。上記に説明した左
右差減衰係数をそのまま各周波数帯域のfL(k),fR(k)に
乗算する方法が従来法(特願2000-268442号)である。
この方法でも中央付近の音源信号を強調することは可能
であるが、左右差減衰係数の算出方法で述べたように、
中央定位音源信号の音質を損なわないようにするため
に、ある程度の幅を持たせて抑圧することにより、本来
抑圧すべき非中央定位成分が抑圧されずに残り、再合成
後、キュルキュルあるいはギュルギュルといった異音を
発生してしまうという問題が残っていた。そこで新たに
非中央定位成分の時間平均値を用いて、左右差だけでは
(すなわち、左右差減衰係数のみでは)、誤って中央付
近に定位するとされた成分を小さくする二つ目の減衰係
数gs(k)を用いることにする。
る。周波数分析のフレーム長単位の各時刻における周波
数帯域成分(すなわち、現フレームのFFTによる周波数
帯域成分)の左右信号の平均を|fM(k)|として、それら
のうち類似度がレベル差類似度ai(k)、位相差類似度ap
(k)共に小さい成分を抽出し、|fN(k)|とする。次に|fN
(k)|の時間平均(すなわち、過去数フレームから現フレ
ームまでのFFTによる周波数帯域成分の時間平均)を取
り、その値を|fA(k)|とする。時間平均の方法には過去
数時刻(フレーム)の|fN(k)|を記憶しておき、その移
動平均を取る方法、その際、最近のフレームに大きな重
みづけをする方法、忘却係数を用いる方法(入力信号の
短時間平均レベルを計算し、背景雑音レベルの範囲を複
数の区間ごとに分け、その各区間について計算した短時
間平均レベルの発生頻度を計算し、ピークとなる区間の
うち最小の区間のレベルと対応する値を適応的閾値と
し、長時間平均レベルを求め、このレベルが適応的閾値
以下に一定時間連続した場合には背景雑音平均レベルと
する。特開平9-113350号公報 参照)など各種考えられ
るが、どの方法を用いても本発明の効果には変わりはな
い。
する一例について述べる。|fA(k)|は中央に定位しない
成分の時間平均であり、スペクトラルサブトラクション
法による雑音成分に相当するから、gs(k)は例えば下記
のように求めることができる。 gs(k)=(|fM(k)|−α|fA(k)|) /|fM(k)| (4) gs(k)>1のとき、 gs(k)=1 gs(k)<Gsminのとき、 gs(k)=Gsmin ここで、αは消し残りを防ぐための適当な大きさの重み
であり、Gsminは、gs(k)による非中央定位成分の最大抑
圧量に相当し、中央に音を知覚させる中央定位音源信号
について音質などの変化が無視できる範囲で予め聴感上
で決めることが好適である。αを大きく、またGsminを
小さくしていくと、異音の発生を防ぐ効果は増すもの
の、本来の中央定位成分まで抑圧してしまい、その音質
を損ねる。異音を最小限に抑え、中央定位音源信号の音
質を損ねない適当な値を選択する必要がある。αは1〜
2程度、Gsminは左右差減衰量gd(k)の最小値を下回らな
い範囲で0.3〜0.1程度が適当である。
(k)から最終的にfL(k),fR(k)に乗算する減衰係数g(k)を
算出する。各時刻(各フレーム)でgd(k)が小さい時、
それは中央成分ではないことを意味するから抑圧した
い。gd(k)が大きく(1に近く)、一方gs(k)が小さい成
分は定常的に中央成分ではないことを意味するから、そ
の成分も抑圧したい。よってどちらか小さい方を減衰係
数として選べばよい。 g(k)=min(gd(k),gs(k)) (5) 上記のように計算されたg(k)は図1にあるように各チャ
ネル各周波数帯域のfL(k),fR(k)に乗算器L115、乗算器R
116で乗算される。同じ帯域kにおいて左右のチャネルに
同じg(k)を乗算することで、中央に定位する音源信号以
外の音源信号を定位を維持したまま抑圧することが可能
となる。g(k)を乗算した信号は、fL(k)は左チャネル音
源信号合成部109で再合成、時間波形sL'に変換される。
fR(k)は右チャネル音源信号合成部110で再合成、時間波
形sR'に変換される。なお、再合成、時間の変換につい
ては各帯域ごとの減衰された成分g(k),fL(K)を帯域を跨
いで逆FFTを行って音声信号を合成する。sL',sR'はステ
レオ信号出力部111から、ステレオラウドスピーカ112や
ステレオヘッドホン113に送られる。
央に定位する音源信号を強調する際、従来の左右差減衰
係数のみを用いていた方法の課題であったキュルキュ
ル、ギュルギュルといった異音をほとんど生じさせずに
中央付近の音源信号のみを強調することが可能となる。
また、本発明のステレオ音響信号処理装置をCPUやメモ
リ等を有するコンピュータと、アクセス主体となるユー
ザが利用するユーザ端末と記録媒体から構成することが
できる。
体メモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体であ
り、ここに記録されたステレオ音響信号処理プログラム
はコンピュータに読み取られ、コンピュータの動作を制
御し、コンピュータに左右チャネルごとに複数の周波数
帯域に分割する処理、各周波数帯域ごとにチャネル間の
類似度を計算する処理、類似度から左右減衰係数を計算
する処理、類似度からSS減衰係数を計算する処理、左
右減衰係数とSS減衰係数を比較して最小値を選択する
処理、選択した減衰係数を各周波数帯域信号に乗算する
処理、及び減衰係数を乗じた後の各チャネルごとの各周
波数帯域信号を再合成する処理等の各処理を実行する。
このステレオ音響信号処理プログラムは通信回線を介し
てダウンロードされたものであってもよい。
テレオ音響信号から原信号の定位、音質をほとんど損ね
ず、中央に定位する音源信号を所望の量だけ強調するこ
とが可能となり、以下のような効果が期待できる。 (1)難聴者等が市販の音楽ソースを受聴する際、中央
に定位する主たる音源信号である歌とそれ以外の伴奏の
音量バランスを、難聴者自身が自由に聞き易いように調
整し、音楽をより良く楽しむことができる。 (2)騒音環境下において、正面にいる目的話者の音声
のみを強調することが可能となり、快適なコミニュケー
ションを実現することができる。
図。
係を示す図。
係を示す図。
Claims (4)
- 【請求項1】2チャネル音響信号から中央付近に定位す
る音源信号を強調するステレオ信号強調処理方法におい
て、 ステレオ信号を各チャネルごとに複数の周波数帯域成分
に分割する過程と、 各帯域ごとにチャネル間類似度を算出する過程と、 各帯域についてチャネル間類似度が高い場合には、その
類似度が高い成分信号を抽出する過程と、 チャネル間類似度が高い成分から第1の減衰係数を算出
する過程と、 各帯域についてチャネル間類似度が低い場合には、その
類似度が低い成分信号を抽出して時間平均を算出する過
程と、 時間平均された信号成分からチャネル間類似度の高い信
号を強調する第2の減衰係数を算出する過程と、 第1の減衰係数と第2の減衰係数と比較して減衰係数を
選択する過程と、 選択した減衰係数を各帯域信号成分に乗算して出力する
過程とを有するステレオ音響信号処理方法。 - 【請求項2】2チャネル音響信号から中央付近に定位す
る音源信号を強調するステレオ信号強調処理装置におい
て、 ステレオ信号を各チャネルごとに複数の周波数帯域成分
に分割する周波数帯域分割部と、 各帯域ごとにチャネル間類似度を算出する類似度計算部
と、 各帯域についてチャネル間類似度が高い場合には、その
類似度が高い成分信号を抽出し、チャネル間類似度が高
い成分から第1の減衰係数を算出する第1減衰係数計算
部と、 各帯域についてチャネル間類似度が低い場合には、その
類似度が低い成分信号を抽出して時間平均を算出し、時
間平均された信号成分からチャネル間類似度の高い信号
を強調する第2の減衰係数を算出する第2減衰係数計算
部と、 第1の減衰係数と第2の減衰係数と比較して減衰係数を
選択する選択部と、 選択した減衰係数を各帯域信号成分に乗算する乗算器
と、 乗算器の各帯域信号成分の出力を合成して出力する音源
信号合成部とを有するステレオ音響信号処理装置。 - 【請求項3】ステレオ信号を各チャネルごとに複数の周
波数帯域成分に分割する処理と、 各帯域ごとにチャネル間類似度を算出する処理と、 各帯域についてチャネル間類似度が高い場合には、その
類似度が高い成分信号を抽出する処理と、 チャネル間類似度が高い成分から第1の減衰係数を算出
する処理と、 各帯域についてチャネル間類似度が低い場合には、その
類似度が低い成分信号を抽出して時間平均を算出する処
理と、 時間平均された信号成分からチャネル間類似度の高い信
号を強調する第2の減衰係数を算出する処理と、 第1の減衰係数と第2の減衰係数と比較して減衰係数を
選択する過程と、 選択した減衰係数を各帯域信号成分に乗算して出力する
処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。 - 【請求項4】ステレオ信号を各チャネルごとに複数の周
波数帯域成分に分割する処理と、 各帯域ごとにチャネル間類似度を算出する処理と、 各帯域についてチャネル間類似度が高い場合には、その
類似度が高い成分信号を抽出する処理と、 チャネル間類似度が高い成分から第1の減衰係数を算出
する処理と、 各帯域についてチャネル間類似度が低い場合には、その
類似度が低い成分信号を抽出して時間平均を算出する処
理と、 時間平均された信号成分からチャネル間類似度の高い信
号を強調する第2の減衰係数を算出する処理と、 第1の減衰係数と第2の減衰係数と比較して減衰係数を
選択する過程と、 選択した減衰係数を各帯域信号成分に乗算して出力する
処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを記
録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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