JPH0560100U - 音響再生装置 - Google Patents
音響再生装置Info
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- JPH0560100U JPH0560100U JP244192U JP244192U JPH0560100U JP H0560100 U JPH0560100 U JP H0560100U JP 244192 U JP244192 U JP 244192U JP 244192 U JP244192 U JP 244192U JP H0560100 U JPH0560100 U JP H0560100U
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Abstract
(57)【要約】
【目的】ボーカル成分の再生が明瞭で臨場感があり、バ
ックミュージック成分の再生が臨場感に優れた音響再生
装置を得ることができる。 【構成】複合音は出力端子1L,1Rから音声信号抽出
回路2L,2Rに入力され、ここでボーカル成分信号と
バックミュージック成分信号とに分離される。ボーカル
成分信号は加算器3に送られ、この加算器3で合成され
た後、初期反射音生成回路4に入力される。初期反射音
成分が付加されたボーカル成分信号は、中央スピーカ5
から出力される。バックミュージック成分信号は遅延回
路6L,6Rに送られ、出力タイミングが実際の音場に
近くなるように、所定時間遅延される。また、残響音生
成手段7L,7Rに入力され残響音を付加された後、左
右のスピーカ8L,8Rから出力される。
ックミュージック成分の再生が臨場感に優れた音響再生
装置を得ることができる。 【構成】複合音は出力端子1L,1Rから音声信号抽出
回路2L,2Rに入力され、ここでボーカル成分信号と
バックミュージック成分信号とに分離される。ボーカル
成分信号は加算器3に送られ、この加算器3で合成され
た後、初期反射音生成回路4に入力される。初期反射音
成分が付加されたボーカル成分信号は、中央スピーカ5
から出力される。バックミュージック成分信号は遅延回
路6L,6Rに送られ、出力タイミングが実際の音場に
近くなるように、所定時間遅延される。また、残響音生
成手段7L,7Rに入力され残響音を付加された後、左
右のスピーカ8L,8Rから出力される。
Description
【0001】
本考案は、ボーカルとバックミュージックとから構成された曲の再生に適した 音響再生装置に関するもので、特に、ボーカルに対する処理とバックミュージッ クに対する処理を区別して行うことにより、再生音の音場効果を向上させた音響 再生装置に係る。
【0002】
一般に、録音されている音楽などを音響再生装置で再生する場合、その録音方 法により再生条件が異なってくるはずである。例えば、あるボーカルリストとそ のバックミュージックで構成される音楽を録音する場合は、ボーカルリストとそ のバックミュージックは、別々に録音され、編集時にミックスされる場合がある 。また、実際の条件では、図6(A)に示す通り、舞台T上の手前にボーカルB が存在し、その後方にバックミュージックBがあるのが普通である。従って、聴 取者にとっては、一番早く到達する音はボーカルでありその後バックミュージッ クとなる。つまり、この種の曲を再生する場合も、図6(B)に示す通り、この 条件に沿うように再生すれば、より臨場感あふれる音場が構成できるはずである 。
【0003】 ところが、従来の一般的な2チャンネルステレオ再生システムでこのような曲 を再生すると、図6(C)に示す通り、左右のスピーカSPLとSPRの間にバ ックミュージックMとボーカルBが混在してしまい、また左右のスピーカの間隔 を広げすぎると中抜けの現象が生じて違和感を伴うことがあった。
【0004】 これらの欠点を補うために、左右の信号の和を作り、センタースピーカSPC より出力する方法も提案されている。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】 しかし、この方法では、初めから左信号と右信号の中にボーカル成分信号とバ ックミュージック成分信号が混在しており、これらの信号をミックスしたセンタ ースピーカ用の信号の中にもボーカルとバックミュージックがミックスされてし まうために、音像はセンターに定位するが、前記図6(B)に示すような臨場感 あふれる音場とはなりにくい欠点があった。
【0006】 更に、ボーカルとバックミュージックとから構成される曲の再生については、 上記のような問題点に加え、残響音付加装置などを使用した場合にも問題がある ことが知られている。
【0007】 即ち、従来から、DSPなどを利用した音場生成装置や残響付加装置を使用し て、ホールやチャーチ等の音場モードを模倣することにより、再生音の音場効果 を向上させ、臨場感を高めた音響再生装置が知られている。ところが、従来から 知られているこの種の装置は、録音されているすべての音源に対して、その内容 や種類に関わりなく一律に同じ条件で残響音などを付加してしまうものであった 。そのため、ボーカルとバックミュージックとから構成される曲にそのまま適用 すると、ボーカルに対しても同じように残響が付加されて明瞭性が劣化してしま い、またボーカルの定位も曖昧になって音がぼけてしまう欠点があった。
【0008】 本考案は、上記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたもので 、その第1の目的は、ボーカルとバックミュージックとから構成された曲を再生 する場合、ボーカルの音声信号をバックミュージックから区別してセンタースピ ーカから再生させることで、その音像を中央に定位させ、より実際の再生条件に 近づけることのできる音響再生装置を提供することにある。
【0009】 また、本考案の第2の目的は、残響付加装置を介して再生する場合にも、ボー カル信号にはあまり残響が付加されないようにして、明瞭性の劣化や音像のぼけ を防ぎ、臨場感あふれる音場を再生することのできる音響再生装置を提供するこ とにある。
【0010】
上記の目的を達成するために、本考案は、ボーカル成分信号とバックミュージ ック成分信号とを含んだ左右側再生信号を、左右スピーカで再生し、該両側再生 信号を合成して中央スピーカで再生する音響再生装置において、 前記左右側再生信号から左右側のボーカル成分信号と左右側のバックミュージ ック成分信号とを分離し出力する信号成分分離出力手段と、 前記左右側のボーカル成分信号を合成して初期反射音成分を付加し前記中央ス ピーカに出力し再生させる初期反射音生成手段と、 前記左右側のバックミュージック成分信号を所定時間遅延する信号遅延手段と 、 前記遅延された左右側のバックミュージック成分信号に残響音成分を付加し前 記中央スピーカに出力し再生させる残響音生成手段と、 を有することを構成上の特徴とする。
【0011】
上記のような構成を有する本考案の音響再生装置においては、信号成分分離出 力手段により、ボーカル成分信号とバックミュージック成分信号が混合されて再 生された信号からボーカル信号を抽出し、そのボーカル信号のみを中央スピーカ から出力し、それ以外のバックミュージック信号を左右のスピーカより出力させ ることにより、ボーカル信号の音像の定位と明瞭性を確保できる。また、初期反 射音生成手段により、ボーカル信号に対して初期反射音を付加することができる ので、ボーカル信号の臨場感をより向上させることができる。
【0012】 一方、ボーカルが分離されたバックミュージックについては、残響音生成手段 により残響音を付加することができ、ボーカルの明瞭性を損うことなく、より臨 場感にあふれたバックミュージック再生が可能である。
【0013】
【実施例】 以下、本考案の一実施例を図1により具体的に説明する。 (1)実施例の構成・・・図1 図1において、ボーカルとバックミュージックとから構成される曲を再生する 再生装置の左右のチャンネルの出力端子1L,1Rには、ボーカル成分信号とバ ックミュージック成分信号とを含んだ左側と右側の再生信号がそれぞれ印加され ている。これらの出力端子1L,1Rの出力側には、左右側再生信号からボーカ ル成分信号とバックミュージック成分信号とを分離する音声信号抽出回路2L, 2Rが、それぞれ接続されている。
【0014】 本実施例では、この音声信号抽出回路2L,2Rが、本考案の信号成分分離出 力手段に相当する。この音声信号抽出回路としては、一例として、バイスペクト ル装置を使用したものや準同形フィルタ処理といったデジタル信号処理法を採用 した装置が使用される。なお、これらの音声信号抽出回路の具体的構成について は、後で述べる。また、この種の音声信号抽出回路としては、特開平1−150 276号公報に記載の手段なども使用可能である。
【0015】 左右のチャンネルの音声信号抽出回路2L,2Rにおけるボーカル成分信号の 出力端子は、混合器3を介して初期反射音生成回路4に接続され、さらにこの初 期反射音生成回路4の出力側が3スピーカシステムの中央スピーカ5に接続され ている。
【0016】 一方、左右のチャンネルの音声信号抽出回路2L,2Rにおけるバックミュー ジック成分信号の出力端子は、それぞれ左側と右側の信号遅延回路6L,6Rに 接続され、これらの信号遅延回路6L,6Rがそれぞれ残響音生成回路7L,7 Rを介して右側と左側のスピーカ8L,8Rに接続されている。
【0017】 (2)実施例の作用効果 上記のような構成を有する本実施例の音響再生装置において、まず、ステレオ 録音されたボーカル成分信号とバックミュージック成分信号とを有する複合音は 、 そのボーカル成分信号がステレオ再生時に再生スピーカの中央に定位するように 左側チャンネル成分と右側チャンネル成分に同相で録音されている。
【0018】 各チャンネルの複合音は、それぞれの出力端子1L,1Rから音声信号抽出回 路2L,2Rに入力され、ここでボーカル成分信号とバックミュージック成分信 号とに分離される。音声信号抽出回路2L,2Rから出力された各チャンネルの ボーカル成分信号は加算器3に送られ、この加算器3で合成された後、初期反射 音生成回路4に入力される。
【0019】 この反射音生成回路4においては、ボーカル成分信号の再生時に奥行を与える ために、ボーカル成分信号に対して初期反射音成分信号、即ちボーカル成分信号 を所定の割合で減衰させ更に遅延させた信号が付加される。このようにして初期 反射音成分が付加されたボーカル成分信号は、中央スピーカ5から出力される。
【0020】 一方、音声抽出回路2L,2Rで分離されたバックミュージック成分信号は、 それぞれのチャンネルの遅延回路6L,6Rに送られ、ここでボーカル成分信号 とバックミュージック成分信号とのスピーカからの出力タイミングが実際の音場 に近くなるように、所定時間遅延される。即ち、前記図6(B)に示した通り、 実際の舞台ではバックミュージックの方が舞台の奥にあり聴取者に到達するタイ ミングが遅れるので、このタイミングの遅れがステレオからの再生時にも同様に 得られるように、この遅延回路6L,6Rにより、バックミュージック成分信号 をボーカル成分信号に比較して遅延させる。
【0021】 このようにして遅延処理を施された左右の側のバックミュージック成分信号は 、それぞれ残響音生成回路7L,7Rに入力され、ここでホール、チャーチ、ス タジアムなどの残響音に相当する残響音を付加された後、左右のスピーカ8L, 8Rから出力される。この場合、残響音生成回路7L,7Rとしては従来から各 種のものが知られているが、単一の残響音を付加するものだけでなく、予め設定 されている各種の残響音の中から聴取者が所望の残響音を選択できるようなもの を使用することも可能である。
【0022】 このように本実施例によれば、ボーカル成分信号は、バックミュージック成分 信号と混在することがないので、バックミュージック成分信号に残響音付加処理 などを施してもボーカル成分信号にその影響がでないので、ボーカル成分信号が 明瞭に再生される。同時に、ボーカル成分信号は、左右のチャンネルから抽出さ れて中央スピーカ5から再生されるために、音の中抜けの心配もなく、音像もセ ンターにしっかりと定位する。特に、本考案では、単にボーカル成分信号を抽出 するだけではなく、ボーカル成分信号に初期反射音成分を付加しているので、ボ ーカル成分信号とバックミュージック成分信号とのタイミングのずれにより、ボ ーカルがバックミュージックよりも聴取者側に位置するかのような再生音を得る ことができ、より実際の音場に近づいた臨場感に優れた再生音を得ることができ る。
【0023】 (3)信号成分分離出力手段を構成するバイスペクトル装置 上記のように本考案は、録音された複合音からボーカル成分信号とバックミュ ージック成分信号とを分離する信号成分分離手段をその構成要件としている。以 下、この信号成分分離出力手段の一例であるバイスペクトル装置について説明す る。
【0024】 バイスペクトル装置は、左または右チャンネル側成分信号の高次倍音スペクト ルパターンの相関関数を求め、その結果音源を特定して、線形フィルタで信号を 分離・抽出するものであって、バイスペクトルは音声信号の周波数成分間の関係 を示すパラメータであり、人間の聴覚が音声信号の周波数成分間の関係に敏感で あることを利用している。
【0025】 即ち、バイスペクトルは、3次相関関数の2次元フーリエ変換として定義され る。つまり、3次相関関数Pxxx(τ1,τ2)を次のように定義する。
【0026】
【数1】 バイスペクトルΦxxx(f1,f2)は、(1)式の2次元フーリエ変換として 定義される。
【0027】
【数2】 この式(2)から解るように、バイスペクトルを求めるには、図2に示すよう に中心周波数がそれぞれf1,f2,(f1+f2)の3つのバンドパスフィルタの 出力を掛け合せてその平均をとれば良い。
【0028】 ところで、上記のようにバイスペクトルΦxxx(f1,f2)には、独立な周波 数f1,f2の他に(f1+f2)の周波数成分が関係している。特に、周波数f1 =f2のときには、f1と2f2の2つの周波数成分の間の関係を示すことになる 。従って、各周波数成分が独立であるような不規則信号のバイスペクトルは0に なる。(例えば、ガウス性不規則信号はこの条件を満たしている。)ところが、 バイスペクトルが0でないような不規則信号は、不規則な中にも各周波数成分間 に従属性があり、そのため波形に特徴が現れることになる。
【0029】 この点をバックミュージック成分信号とボーカル成分信号とに当てはめて説明 すると、バックミュージック成分信号を構成する各周波数成分信号は、互いに従 属性を有するためにその信号成分間のバイスペクトルが比較的高く、バックミュ ージック成分信号とボーカル成分信号の周波数成分信号間では、従属性が低いた めにその信号成分間のバイスペクトルが比較的低く現れることになる。従って、 このバイスペクトルを一定の敷居値として設定することにより、複合された音声 信号から所望の信号成分を有する周波数成分を分離することができる。
【0030】 図3は、このバイスペクトル装置の一例を示すブロック図で、入力端子10に 対して接続された窓関数処理部11、バイスペクトル相関演算部12、周波数成 分演算部13、パターン照合部14及び線形フィルタ部15から構成されている 。
【0031】 窓関数処理部11は、図4に示すようなボーカル成分とバックミュージック成 分との複合された音声信号Sを窓関数を利用して、数msの区間内で、処理する 区間の前後にまたがって、オーバーラップさせながら窓をかけて切出すものであ る。この場合、一例としてサンプリング周波数fを44.1KHzでサンプリン グタイムを約0.1sとすると、一区間長は4096サンプルとなる。
【0032】 バイスペクトル相関演算部12は、切出された各区間の信号S’に対して2次 元フーリエ変換を行い、そのバイスペクトルを次のような計算式に基づいて計算 し、平均する。
【0033】
【数3】 周波数成分演算部13は、前記のようにして演算された各区間の信号の周波数 成分ごとに、そのバイスペクトル最大値に対してあるレベル以上にある周波数成 分を取出して基本周波数成分信号を得る、という演算を行う。
【0034】 パターン照合部14は、一般に音声信号は、その周波数成分にあるパターンを 有するために、これを所定の基準信号として用意して置き、この基準信号と前記 演算された基本周波数成分信号との周波数パターンを照合することで、基本周波 数成分信号が音声信号であることを特定する。
【0035】 線形フィルタ部15は、前記のようにして得られた音声信号である基本周波数 成分信号に基づいて設計された特性を有するもので、入力信号に適応しながら経 時的に変化する線形フィルタを有している。この線形フィルタは、ボーカル成分 とバックミュージック成分との複合音信号が入力されると、バックミュージック 音のみを通過させるものである。なお、ボーカル成分信号は複合音信号からバッ クミュージック成分信号を減算することにより得られる。
【0036】 このように、このバイスペクトル装置を使用することにより、ボーカル成分信 号とバックミュージック成分信号とが経時的に変化して合成された複合音信号中 から、一方の成分信号のみを分離する線形フィルタの特性を容易に特定すること ができる。
【0037】 (4)信号成分分離出力手段を構成する準同形フィルタ装置 一般に、雑音の加わった信号から希望の信号を抽出する操作には、前記(3) で示したような線形フィルタが使用される。バイスペクトル装置は、この線形フ ィルタの経時的な特性を特定する為の有効な手段の一つではあるが、このバイス ペクトル装置を使用するためには、雑音(バックミュージック成分信号)を構成 する周波数成分がある特定の相関関数を持って線形加算的に加わっている必要が ある。ところが、現実にはバックミュージックを含めて音声(ボーカル)に複合 される雑音は、必ずしも線形加算的に加わっているとは限らない。準同型フィル タリングは、このような線形フィルタでは処理不可能な信号を、何らかの演算に より線形・時不変な系に変換し、通常の線形フィルタリングを行った後、逆演算 によって出力を得ようとするものである。
【0038】 図5は、このような準同型フィルタ装置の一例を示すフローチャートで、特に その演算手法としてケプストラム分析を使用したものである。即ち、この装置は 、バックミュージック成分信号とボーカル成分信号との複合音信号の入力端子2 0に接続された窓関数処理部21、高速フーリエ変換回路(FFT変換回路)2 2、対数パワースペクトル演算回路23、逆離散的フーリエ変換回路24、ケプ ストラムリフター部25、及びこのケプストラムリフター部25にそれぞれ接続 されたピッチ周波数抽出部26とスペクトラム包絡抽出部27とから構成されて いる。
【0039】 このような構成を有する同準型フィルタ装置において、入力端子20から入力 された複合音信号は、窓関数処理部21において、入力信号系列の先頭から一定 の分析窓をシフトさせながら一定のフレーム単位に分割される。なお、この点は 、前記(3)の窓関数処理部11と同様である。
【0040】 窓処理された入力信号は、FFT変換回路22により高速フーリエ変換され、 そのパワースペクトラムが得られ、更にこのパワースペクトラムから演算回路2 3において対数パワースペクトラムが演算される。即ち、窓処理しただけの複合 音信号中からボーカル成分信号特有の周期性を抽出することは不可能であるが、 ボーカル成分信号が含まれているのであれば、その信号のスペクトルはその周期 の逆数の周波数を基本波とする線スペクトル構造になるはずである。しかし、一 般に、バックミュージック成分信号やその他の雑音が含まれている複合音信号で は、スペクトルの周期性は明瞭ではない。ところが、前記のようにして得られた 対数パワースペクトルでは、飛び離れて大きな成分が圧縮されるので、音声信号 のように声帯波の基本周波数の整数倍ごとに大小の周期を繰返すものに付いては 、その周期性、言替えれば周波数軸上での音声ピッチが明らかになる。
【0041】 このようにして得られた対数パワースペクトルに付いて、逆離散的フーリエ変 換を行うことにより、ケプストラムを得る。ここで、対数パワースペクトラムを 逆フーリエ変換したものは、周波数の関数であるスペクトルの周波数軸を時間軸 とみなして、スペクトルのスペクトルを求めたものであるから、スペクトルのデ ィメンションが時間のディメンションの逆数であるように、逆フーリエ変換した もののデイメンションは周波数のディメンションの逆数、即ち時間のディメンシ ョンになる。しかし、対数パワースペクトルのフーリエ変換では時間関数ができ たとはいえないので、スペクトラム(SPECTRUM)の綴の順序を逆にして ケプストラム(CEPSTRUM)と呼び、その横軸をフレキュエンシー(FR EQUENCY)をもじったケフレンシー(QUEFRENCY)と一般に称し ている。
【0042】 このようにして得られたケプストラムは、音声波の場合には、周期的な変化を 現す鋭いピークを示す高ケフレンシー成分と、緩やかなうねりを示す低ケフレン シー成分とからなる。このような成分を有するケプストラムは、ケプストラムリ フター部25において、そのケフレンシーに応じて、一定の長さのケフレンシー 窓によって切取られる。即ち、ケフレンシー窓は、ケプストラムをその横軸であ るケフレンシーの値に応じて切取る一種のフィルターであるが、ケフレンシーが 時間のディメンションを持つためにフィルター(filter)の逆でリフター (lifter)と呼ばれている。そして、このケプストラム窓部25によって 、前記ケプストラムの高ケフレンシー部と低ケフレンシー部とが抽出され、それ ぞれピッチ周波数抽出部26とスペクトラム包絡抽出部27に送られる。
【0043】 ピッチ周波数抽出部26とスペクトラム包絡抽出部27は、通常、ケプストラ ムリフター部25からの出力をフーリエ変換部とこのフーリエ変換部からの出力 を指数変換する指数変換部を備えている。そして、ケプストラムの高ケフレンシ ー成分が入力されたピッチ周波数抽出部26からはピッチ周波数に関係するスペ クトラムが、またケプストラムの低ケフレンシー成分が入力されたスペクトラム 包絡抽出部27からはそれ以外のケプストラムが出力される。
【0044】 このようにして、ケプストラム分析を利用することにより、複合音信号中 から特有なピッチ周波数を有するボーカル成分(音声信号成分)を抽出すること ができるので、これを前記図1の実施例における音声信号抽出回路2L,2Rと して使用することができる。
【0045】 (5)他の実施例 本考案は上記の実施例に限定されるものではなく、ボーカルとバックミュージ ックとの信号成分分離手段としては、他の公知のものを適宜採用できる。また、 スピーカも3スピーカシステム以外に、サラウンドスピーカを使用したより複合 型のスピーカシステムにも適用可能である。
【0046】
以上の通り、本考案によれば、ボーカル成分信号とバックミュージック成分信 号とを分離して、それぞれに付いて専用の処理を施すことにより、各成分信号に 対する処理が他の成分信号に影響を与えることがなくなり、ボーカル成分の再生 が明瞭で、しかも各成分に付いての臨場感に優れた音響再生装置を得ることがで きる。
【図1】本考案の音響再生装置の一実施例を示すブロッ
ク図。
ク図。
【図2】本考案の信号成分分離出力手段の一例であるバ
イスペクトル装置の一例を示すブロック図。
イスペクトル装置の一例を示すブロック図。
【図3】図2の装置の作用を説明する原理図。
【図4】図2の装置における窓関数処理部の作用を示す
グラフ。
グラフ。
【図5】本考案の信号成分分離出力手段の一例であるど
う準型フィルタ装置の構成を示すブロック図。
う準型フィルタ装置の構成を示すブロック図。
【図6】ボーカルとバックミュージックとからなる音響
信号の再生状態を説明するスピーカの配置図。
信号の再生状態を説明するスピーカの配置図。
1L,1R;複合音の入力端子 2L,2R;音声信号抽出回路 3 ;混合器 4 ;初期反射音生成回路 5 ;中央スピーカ 6L,6R;信号遅延回路 7L,7R;残響音生成回路 8L,8R;左右のスピーカ
Claims (3)
- 【請求項1】ボーカル成分信号とバックミュージック成
分信号とを含んだ左右側再生信号を、左右スピーカで再
生し、該両側再生信号を合成して中央スピーカで再生す
る音響再生装置において、 前記左右側再生信号から左右側のボーカル成分信号と左
右側のバックミュージック成分信号とを分離し出力する
信号成分分離出力手段と、 前記左右側のボーカル成分信号を合成して初期反射音成
分を付加し前記中央スピーカに出力し再生させる初期反
射音生成手段と、 前記左右側のバックミュージック成分信号を所定時間遅
延する信号遅延手段と、 前記遅延された左右側のバックミュージック成分信号に
残響音成分を付加し前記中央スピーカに出力し再生させ
る残響音生成手段と、 を有することを特徴とする音響再生装置。 - 【請求項2】前記信号成分分離出力手段は、 前記左右側再生信号を入力し、該信号から高次倍音成分
スペクトルの相関演算を行う相関演算部と、 前記演算結果から基本周波数成分信号を演算算出する周
波数成分演算部と、 前記基本周波数成分信号と所定の基準信号とのパターン
照合を行い信号を特定する信号パターン照合部と、 前記特定された信号から所定の線形フィルタ特性により
左右側のボーカル成分信号と左右側のバックミュージッ
ク成分信号とを分離し出力する線形フィルタ部と、 からなるバイスペクトル装置により構成されていること
を特徴とする音響再生装置。 - 【請求項3】前記信号成分分離出力手段は、 入力信号を一定のフレームで切取る窓関数処理部と、 窓処理された信号をフーリエ変換してそのスペクトラム
を得るフーリエ変換回路と、 得られたスペクトラムの対数をとる対数パワースペクト
ル演算回路と、 この対数パワースペクトラムからそのケプストラムを得
るフーリエ変換回路と、 ケプストラムを所定の大きさのケフレンシーによって切
取るケプストラムリフター部と、 このケプストラムリフター部に接続されたピッチ周波数
抽出部とを備えた同準型フィルタによって構成されてい
ることを特徴とする音響再生装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP244192U JPH0560100U (ja) | 1992-01-27 | 1992-01-27 | 音響再生装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP244192U JPH0560100U (ja) | 1992-01-27 | 1992-01-27 | 音響再生装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0560100U true JPH0560100U (ja) | 1993-08-06 |
Family
ID=11529365
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP244192U Pending JPH0560100U (ja) | 1992-01-27 | 1992-01-27 | 音響再生装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0560100U (ja) |
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