JP6790654B2 - フィルタ生成装置、フィルタ生成方法、及びプログラム - Google Patents

フィルタ生成装置、フィルタ生成方法、及びプログラム Download PDF

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Description

本発明は、フィルタ生成装置、フィルタ生成方法、及びプログラムに関する。
特許文献1には、従来、頭外に音像を定位させる方法として、受聴者の頭部伝達関数HRTF(Head Related Transfer Function)を用いる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。ヘッドホン又はイヤホンを用いる場合、仮想音源から受聴者の両耳までの頭部伝達関数と、外耳道伝達関数ECTF(Ear Canal Transfer function)との逆特性を再生信号に畳み込んでいる。こうすることで、ヘッドホン又はイヤホンの特性をキャンセルして、耳の近傍から音が出ているにもかかわらず、仮想音源方向から音が聞こえているかのように音場を再生することができる。受聴者の外耳道内に測定マイクを挿入、又はダミーヘッドで代用することで、外耳道伝達関数ECTFの測定が行われる。
特開2002−209300号公報
しかしながら、理想的な音像定位は外耳道が開放された状態であるのに対し、実際の測定ではヘッドホンあるいはイヤホンを装着した状態で測定するため外耳道は閉塞された状態となる。その結果、外耳道内で共鳴が発生し、特定の周波数にピークあるいはディップが発生する。外耳道伝達関数の逆特性(外耳道補正関数ともいう)を再生信号に畳み込んだ結果、聴感上の音質が悪化する場合がある。また頭部伝達関数を用いたスピーカによる立体音場再生においても、測定空間の反射等の影響によって共鳴が発生することがあり音質の劣化を招く。共鳴により発生したピークあるいはディップ部分を再生信号の波形から検出することは難しい。したがって、適切に音場を再生することができないおそれがある。
本発明は上記の点に鑑みなされたもので、ハイレゾリューションデジタル音声信号に対するフィルタを生成するフィルタ生成装置、フィルタ生成方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
本発明の一態様にかかるフィルタ生成装置は、ハイレゾリューションデジタル音声信号に対して頭外定位処理を行うためのフィルタを生成するフィルタ生成装置であって、左右のスピーカと、受聴者の左右の耳に装着可能であり、前記左右のスピーカから出力された測定信号を収音して、収音信号を取得する左右のマイクと、前記収音信号に基づいて、前記左右のスピーカから前記左右のマイクまでの伝達特性に応じたフィルタを生成するフィルタ生成部と、を備え、前記収音信号は所定のサンプリング周波数の信号であり、前記収音信号のナイキスト周波数を超えない所定の周波数を第1の周波数とし、前記フィルタは、前記第1の周波数以下の周波数を含む低周波数帯域の振幅成分と、前記第1の周波数よりも高い周波数を含む高周波数帯域の振幅成分と、を含み、前記フィルタ生成部は、前記フィルタの前記低周波数帯域の振幅成分を前記収音信号の周波数振幅特性に応じて設定し、前記フィルタの前記高周波数帯域の振幅成分を前記低周波数帯域の振幅成分につなぎ合わせるように生成するものである。
本発明の一態様にかかるフィルタ生成方法は、ハイレゾリューションデジタル音声信号に対して頭外定位処理を行うためのフィルタを生成するフィルタ生成方法であって、左右のスピーカから測定信号を出力し、受聴者の左右の耳に装着可能な左右のマイクを用いて、前記測定信号を収音して、収音信号を取得するステップと、を備え、前記収音信号に基づいて、前記左右のスピーカから前記左右のマイクまでの伝達特性に応じたフィルタを生成するステップと、を備え、前記収音信号は所定のサンプリング周波数の信号であり、前記収音信号のナイキスト周波数を超えない所定の周波数を第1の周波数とし、前記フィルタは、前記第1の周波数以下の周波数を含む低周波数帯域の振幅成分と、前記第1の周波数よりも高い周波数を含む高周波数帯域の振幅成分と、を含み、前記フィルタを生成するステップでは、前記フィルタの前記低周波数帯域の振幅成分を前記収音信号の周波数振幅特性に応じて設定し、前記フィルタの前記高周波数帯域の振幅成分を前記低周波数帯域の振幅成分につなぎ合わせるように生成するものである。
本発明の一態様にかかるフィルタ生成方法は、上記のフィルタ生成方法をコンピュータに実行させるプログラム。
本発明によれば、ハイレゾリューションデジタル音声信号に対するフィルタを生成するフィルタ生成装置、フィルタ生成方法、プログラムを提供できる。
本実施の形態1に係る音場再生装置を示すブロック図である。 等感曲線を示す図である。 実施の形態1に係る音場再生方法を示すフローチャートである。 スイープ動作、及び周波数特性の変化を説明するための図である。 スイープ動作、及び周波数特性の変化を説明するための図である。 スイープ動作、及び周波数特性の変化を説明するための図である。 スイープ動作、及び周波数特性の変化を説明するための図である。 本実施の形態2に係る音場再生装置を示すブロック図である。 実施の形態3における頭外定位処理装置を示すブロック図である。 実施の形態3において、伝達特性に応じたフィルタを生成するフィルタ生成装置の構成を示す図である。 周波数領域における伝達特性Hlsを示す図である。 HR信号対応のスピーカの周波数特性を示す図である。 シミュレーションによりも求めた伝達特性Hlsを示す図である。 高周波数帯域の成分をレベル調整する処理を説明するための図である。 振幅値をスムージングする処理を説明するための図である。 実施の形態3において、聴感テストを行う頭外定位処理装置を示すブロック図である。 実施の形態4にかかる頭外定位処理装置を示すブロック図である。 HPFとLPFの周波数特性を示す図である。 変形例3にかかる頭外定位処理装置を示すブロック図である。
本実施の形態にかかる音場再生装置の概要について説明する。
本実施形態にかかる音場再生装置は、個人の頭部伝達特性(頭部伝達関数ともいう)あるいは外耳道伝達特性(外耳道伝達関数ともいう)を測定し、その特性を用いて頭外定位等の音場再生を実現するものである。具体的には、音場再生装置において、伝達特性測定時に空間の反射の影響や外耳道が閉塞されていることに起因して発生する共鳴の影響を排除して、音質劣化を改善する。
本実施形態では、スピーカから聴取者の耳までの頭部伝達特性、もしくはヘッドホンやイヤホンを装着した状態での外耳道伝達特性を用いて頭外定位等の音場処理を実現している。頭部伝達特性又は外耳道伝達特性等の空間伝達特性においては測定空間での反射等の影響により、共鳴が発生し、高域にピークあるいはディップが発生することがある。また、外耳道伝達特性の測定においても、外耳道が閉塞された状態で測定することにより共鳴が発生し、高域にピークあるいはディップが発生することがある。これは個人によって差がある個人特性であり、聴取者にしか知覚できないもので、自動的に補正することは困難である。
そこで、周波数が徐々に変化する周波数スイープ信号(スイープ信号)が用いられる。受聴者が周波数スイープ信号を聴きながら、音量が大きく変わったと感じた部分でボタンなどを操作する。このようにすることで、ピーク、ディップの位置(周波数)を特定することができる。ピーク又はディップの周波数を中心にノッチフィルタ又はピーキングフィルタ等のフィルタをかける。こうすることによって、不要な共鳴を除去しフラットな周波数特性に補正することが可能となる。
上記の操作によりピーク、ディップの位置(周波数)を特定した後、その周辺の周波数を繰り返しスイープさせるようにしてもよい。そして、音量が一定に聴こえるようにフィルタのピークレベルを受聴者が調整することにより、さらに細かい補正が可能となる。
突発的な音量の変化を防ぐため、頭外定位処理においてAGC(自動ゲイン制御)をかけることが好ましい。
実施の形態1.
本実施の形態にかかる音場再生装置100を図1に示す。図1は、音場再生装置100のブロック図である。音場再生装置100は、ヘッドホン19を装着する受聴者Uに対して音場を再生する。そのため、音場再生装置100は、スイープ信号発生部11と、音楽信号再生部12と、頭外定位処理部13と、AGC(Auto Gain Control)処理部14と、可変フィルタ部(フィルタ部)15と、フィルタ係数算出部16と、設定記憶部17と、入力部18と、ヘッドホン(出力部)19とを備えている。なお、AGC処理部14は、省略することが可能である。また、AGC処理部14は、スイープ信号再生時または音楽信号再生時のみAGC処理を実施することが可能である。
また、本実施の形態にかかる音場再生装置100は、パーソナルコンピュータなどの情報処理装置であり、プロセッサ等の処理手段、メモリやハードディスクなどの記憶手段、有機ELディスプレイやプラズマディスプレイなどの液晶モニタ等の表示手段、タッチパネル、ボタン、キーボード、マウスなどの入力手段、スピーカやヘッドホンに接続される出力手段を備えている。あるいは、音場再生装置100は、スマートホンやタブレットPCであってもよい。また、音場再生装置100は、出力手段であるスピーカやヘッドホンなどにプロセッサ等の処理手段、メモリなどの記憶手段を内蔵させ、このヘッドホンなどに、液晶モニタ等の表示手段と、タッチパネルなどの入力手段とを接続できる構成としてもよい。
スイープ信号発生部11は、周波数が変化する周波数スイープ信号を発生する。スイープ信号発生部11は、予め設定されたスイープ範囲を徐々にスイープする正弦波を周波数スイープ信号として出力する。周波数スイープ信号は、例えば、純音であり、中心周波数が徐々に変わっていく信号である。スイープ信号発生部11は、周波数スイープ信号を頭外定位処理部13に出力する。周波数スイープ信号は、後述する処理が施されて、ヘッドホン19から出力される。周波数スイープ信号は一定の速度で周波数が高くなっていく。また、周波数スイープ信号は連続的に周波数が高くなっていってもよく、段階的に周波数が高くなっていてもよい。あるいは、徐々に周波数が低くなっていってもよい。周波数スイープ信号は、ステレオ信号であってもよい。
音楽信号再生部12は、メモリ、ディスクに予め記録された音楽信号を再生する。音場再生装置100の内部に音楽信号再生部12は持たず、外部音源からの音楽信号を頭外定位処理部13に入力する形でもよい。例えば、音楽信号は、外部のCDプレーヤ等から出力されるステレオ信号であってもよい。音楽信号は、後述するフィルタ処理が施されてから、最終的にヘッドホン19から出力される。音楽信号は、例えば、楽器や肉声による演奏をデジタル化したステレオの再生信号であり、ヘッドホン19の左右のユニットから出力される。なお、音楽信号は、楽器や肉声による演奏をデジタル化した信号だけではなく、会話、動物の鳴き声、さざ波など人間が聴覚によって聴こえる音をデジタル化した信号であればよい。
なお、音楽再生時には、音楽信号再生部12が音楽信号を頭外定位処理部13に出力し、スイープ信号発生部11が周波数スイープ信号を発生させない。一方、音質調整のためのフィルタ係数の測定時には、スイープ信号発生部11が周波数スイープ信号を頭外定位処理部13に出力し、音楽信号再生部12が音楽信号を再生しない。すなわち、周波数スイープ信号をヘッドホン19から出力して、外耳道形状等の個人特性に起因する共鳴を排除するための測定を行う。このように、頭外定位処理部13には、音楽信号又は周波数スイープ信号の一方が入力される。以下、フィルタ係数を測定するため、周波数スイープ信号を出力する処理を中心に説明する。
頭外定位処理部13は、外耳道伝達特性を用いて、周波数スイープ信号に対して畳み込み処理を行う。具体的には、予め測定された外耳道伝達特性の逆特性(外耳道補正関数ともいう)が周波数スイープ信号に畳み込まれる。頭外定位処理部13は畳み込み処理が行われた周波数スイープ信号をAGC処理部14に出力する。また、後述するように、頭外定位処理部13は、音楽信号に対して外耳道伝達特性の逆特性を畳み込む。
AGC処理部14は、周波数スイープ信号の音の聴覚的な強さを表す信号レベル(ラウンドネスレベル)を一定に保つ処理を行う。ここで、周波数が高い音と周波数が低い音は同じ音圧であっても、人間の聴覚が感じる音の聴覚的な強さに違いが生じる。この特性を表した等感曲線(ラウドネスカーブ)を図2に示す。この図2の横軸は周波数(Hz)、縦軸は音圧レベル(dB)である。各曲線は音の聴覚的な強さを表した信号レベルごとの周波数と音圧レベルとの関係を示している。例えば、音の聴覚的な強さを60phonで一定に保ちたい場合には、周波数に応じて、音圧レベルを変動させる必要があることがこの図から把握できる。したがって、周波数スイープ信号に対して頭外定位処理を行う際にAGC処理部14が等感曲線に応じてゲインを調整する。AGC処理部14におけるゲインは音量つまり音圧レベル、又は周波数に応じて変化する。AGC処理部14がAGC(自動ゲインコントロール)処理を行うことによって、周波数スイープ信号が一定の信号レベルになるようにゲインが調整される。これにより、受聴者Uは音の周波数の高低に関わらず、一定の信号レベルで音を聴くことができる。AGC処理部14にてAGC処理された周波数スイープ信号は、可変フィルタ部15に出力される。
可変フィルタ部15は、フィルタ係数算出部16によって算出されたフィルタ係数を読み出して、ノッチフィルタ、及びピーキングフィルタなどのフィルタをセットする。可変フィルタ部15は、セットされたフィルタを用いて、周波数スイープ信号に対してフィルタ処理を行う。なお、初期状態において、フィルタ係数算出部16には、フラットな特性のフィルタが設定されている。したがって、AGC処理部14からの周波数スイープ信号がそのままヘッドホン19に出力される。
ここでは、可変フィルタ部15は周波数スイープ信号をそのままヘッドホン19に出力する。ヘッドホン19は、受聴者Uに向けて周波数スイープ信号を出力する。ヘッドホン19は、ステレオヘッドホンであり、受聴者Uの左右の耳に対してそれぞれ周波数スイープ信号を出力する。受聴者Uは、ヘッドホン19から出力される周波数スイープ信号を受聴する。
受聴者Uは、頭外定位処理された周波数スイープ信号を聴きながら、音量が急激に変化するか否かを確認する。スイープする周波数の範囲はあらかじめ設定されている。外耳道伝達関数の測定においては高域に共鳴が発生するため、周波数スイープ信号をスイープするスイープ範囲は、8kHz〜20kHzとされている。もちろん、スイープ範囲は、8〜20kHzに限られるものではない。例えば、スイープ範囲を5kHz〜20kHzとしてもよい。また、スイープ範囲については、測定環境等によってピーク/ディップが発生しやすい周波数が異なるため、測定環境毎に任意に設定するのが望ましい。もちろん、ヘッドホン19の再生周波数領域全てをスイープ範囲としてもよい。またスイープ範囲を受聴者Uが指定してもよい。
受聴者Uが周波数スイープ信号を受聴中に、音量が急激に変化した場合、入力部18を操作する。入力部18は、例えば、タッチパネル、キーボード、マウス、押しボタン、レバー、又はダイヤルなどの入力デバイスを備えている。例えば、受聴者Uは、周波数スイープ信号を聴きながら音量の急激な変化を確認したら、入力部18に設けられている周波数決定ボタンを押す。すると、入力部18は、受聴者Uによるボタン操作を受け付け、操作に応じた信号を設定記憶部17に出力する。
設定記憶部17には、スイープ信号発生部11から現在スイープ中の周波数が入力されている。設定記憶部17は、メモリ等を備えており、周波数決定ボタンが押された時点での周波数スイープ信号の周波数を記憶する。すなわち、設定記憶部17は、音量が急激に変化した周波数を記憶する。例えば、設定記憶部17は、急激に音量が低下した周波数をノッチ周波数として記憶する。あるいは、設定記憶部17は、音量が急激に上昇した周波数をピーク周波数として記憶する。ヘッドホン19から出力される周波数スイープ信号を受聴する受聴者Uからの操作に応じて、設定記憶部17は、周波数スイープ信号の音量が変化する周波数を記憶する。
そして、設定記憶部17は、記憶した周波数をスイープ信号発生部11に出力する。すると、スイープ信号発生部11は、入力された周波数を中心にその近傍をゆっくりとスイープする周波数スイープ信号を発生させる。すなわち、スイープ信号発生部11は、ノッチ周波数、又はピーク周波数の近傍において、周波数スイープ信号の周波数をゆっくりと変化させる。受聴者Uは、その周波数スイープ信号を受聴する。そして、音量が一定となるように入力部18を操作する。
例えば、入力部18には、音量を調整するためのレバーやダイヤルなどを備えている。受聴者Uが入力部18を操作することで、ヘッドホン19から出力される音の音量を調整することができる。受聴者Uが調整した音量を設定記憶部17が記憶する。設定記憶部17に記憶された周波数の近傍において周波数をスイープさせたときに、入力部18は、受聴者Uによる音量調整の操作を受け付ける。
設定記憶部17は、音量を周波数と対応付けて記憶する。すなわち、ピーク又はディップの周波数と、その周波数において調整された音量が対応付けられる。フィルタ係数算出部16は、設定記憶部17に記憶されている周波数と音量に基づいて、フィルタ係数を算出する。フィルタ係数算出部16は、既に決定された周波数と音量を用いてフィルタ係数をリアルタイムで算出する。
フィルタ係数算出部16でリアルタイムに算出されたフィルタ係数は、可変フィルタ部15にセットされる。これにより、初期状態ではフラットな特性であった可変フィルタの特性が変化する。フィルタ係数算出部16は、頭外定位処理された周波数スイープ信号にフィルタ係数をかける。このようにすることで、頭外定位処理された周波数スイープ信号のピークレベルが変動する。
そして、受聴者Uは、音量操作によって周波数スイープ信号が聴感的に一定レベルになったと判断した時点で、入力部18を操作する。例えば、受聴者Uが、一定レベルになると、調整完了ボタンを押す。こうすることで、音量が一定になるピークレベルが決定される。設定記憶部17は、調整完了ボタンが押された時点での、フィルタ係数、及び音量をレベル情報として記憶する。フィルタ係数算出部16はレベル情報に応じて、最終的なフィルタ係数を算出する。設定記憶部17に記憶された周波数の近傍において音量が一定となるように音量調整された時のレベル情報に基づいて、フィルタ係数算出部16は、フィルタ係数を算出する。
周波数とレベル情報から算出された最終的なフィルタ係数が可変フィルタ部15にセットされる。このようにして、個人特性による共鳴を排除するための測定が完了する。測定が完了したら、頭外定位処理部13への入力がスイープ信号から音楽信号へ切り替わる。こうすることにより、通常の音楽再生モードとなり、音楽信号を用いた音場再生が可能になる。すなわち、音楽信号に対して、頭外定位処理部13における頭外定位処理、可変フィルタ部15におけるフィルタ処理が行われる。
頭外定位処理部13は、外耳道補正関数を用いて、音楽信号に畳み込みを行う。畳み込み処理された音楽信号に対して、可変フィルタ部15は、前述の周波数スイープ信号を用いて設定されたフィルタ係数によりフィルタ処理を行い、ヘッドホン19に出力する。なお、音楽再生時はAGC処理部14におけるAGC処理は行われない。また、周波数スイープ信号を用いた測定時において、頭外定位処理部13が周波数スイープ信号について畳み込み処理を行わなくてもよい。
このように、周波数スイープ信号を受聴者Uに受聴させて、ピーク周波数、又はディップ周波数を特定する。こうすることで、受聴者Uの個人特性に応じた共鳴を排除することができる。さらに、測定環境等によって生じるピーク又はディップを補正するためのフィルタ係数が設定されている。したがって、適切に音場を再生することができる。
次に、図3〜図7を参照して、本実施の形態にかかる音場再生方法での音質調整について説明する。図3は、音場再生方法での音質調整を示すフローチャートである。図4〜図7は、調整動作における周波数特性の変化を示すグラフである。図4〜図7において横軸は、周波数、縦軸は、受聴者Uによって受聴される音量である。
測定が開始されると、ピーク及びディップの中心周波数を調べるため、周波数スイープ信号の周波数をスイープする(S1)。ここでは、スイープ信号発生部11が、図4に示すように8kHz〜20kHzまでのスイープ範囲をスイープする。ここでは、受聴者Uが受聴することができる受聴範囲の高域側だけがスイープされる。受聴者Uは、周波数スイープ信号を聴きながら、急激な音量差を感じるか否かを判定する(S2)。すなわち、一定レベルで出力されている周波数スイープ信号において、受聴者Uが音量差を感じるか否かを判定する。急激な音量差を感じない場合(S2のNO)、引き続き周波数をスイープする。
急激な音量差を感じた場合(S2のYES)、受聴者Uは、入力部18の周波数決定ボタンを押下する(S3)。すなわち、音量が最大又は最小となるタイミングで受聴者Uは周波数決定ボタンを押す。すると、周波数決定ボタンが押下された時点での周波数を設定記憶部17が記憶する(S4)。図5に示すように、周波数決定ボタンが押された時点の周波数がピーク又はディップの中心周波数として決定される。
次に、記憶した周波数前後の繰り返しゆっくりとスイープする(S5)。すなわち、図6に示すように、記憶された周波数の近傍をレベル調整範囲とする。中心周波数を含むレベル調整範囲をスイープする周波数スイープ信号をスイープ信号発生部11が出力する。なお、レベル調整範囲におけるスイープ速度は、S1におけるスイープ速度よりも遅くなっている。すなわち、スイープ信号発生部11は、スイープ範囲でのスイープよりもゆっくりとレベル調整範囲をスイープする。このように、8〜20kHzのスイープ範囲の一部を抽出してレベル調整範囲として、ゆっくりとスイープする。
そして、レベル調整範囲をゆっくりとスイープしている間、受聴者Uが音量を操作する(S6)。ディップがある周波数では、受聴者Uに聞こえる音量が小さくなる。したがって、受聴者Uは、図6に示すように、聴こえる音量が一定になるように音量を上げていく。反対に、周波数特性にピークがある場合、音量を一定とするため、受聴者Uは中心周波数での音量を下げる。受聴者Uは、周波数スイープ信号を聴きながら、音量レベルを調整する。こうすることで、中心周波数において、受聴者Uが受聴する音量を調整することができる。
設定記憶部17が操作された音量を記憶し、記憶された音量と周波数に基づいてフィルタ係数算出部16がフィルタ係数を算出する(S7)。リアルタイムで算出されたフィルタ係数が、可変フィルタ部15にセットされる(S8)。このようにすることで、フィルタの特性が変化する。すなわち、ピーク周波数、又はノッチ周波数におけるフィルタ係数が変化する。そして、可変フィルタ部15は、周波数スイープ信号にフィルタ処理を行い、ヘッドホン19に出力する。すなわち、可変フィルタ部15は、フィルタ係数が乗じられた周波数スイープ信号をヘッドホン19に出力する。
ヘッドホン19は、フィルタ処理された周波数スイープ信号を受聴者Uに向けて出力する。受聴者Uは、ヘッドホン19から出力される周波数スイープ信号が一定のレベルに聞こえるか否かを判定する(S9)。すなわち、図6に示すレベル調整範囲においてスイープした場合に、周波数によらず音量が一定になるか否かを受聴者Uが判定する。
周波数スイープ信号が一定のレベルで聴こえないと判定された場合(S9のNO)、ステップS5からの処理を一定レベルで聴こえるようになるまで繰り返す。すなわち、受聴者がレベル調整範囲におけるスイープ信号を聴きながら、音量を調整する。したがって、図7に示すように、周波数スイープ信号が一定のレベルで聴こえるまで、S5からS9の処理が繰り返される。周波数スイープ信号が一定のレベルで聴こえたと判定された場合(S9のYES)、受聴者Uが調整完了ボタンを押す。これにより、調整完了ボタンが押された時の音量、及びフィルタ係数を設定記憶部17がレベル情報として記憶する(S10)。このようにすることで、図7に示すように、周波数によらず、ほぼ一定の音量で聴こえるようになる。
図7に示すように、音量が一定になったら、中心周波数とレベル情報から最終的なフィルタの係数をフィルタ係数算出部16が算出する(S11)。すなわち、レベル調整範囲において音量が一定になった時の音量に応じたレベル情報を周波数と対応付けて、設定記憶部17が記憶する。そして、フィルタ係数算出部16が、設定記憶部17に記憶された周波数とレベル情報とに基づいて、その周波数におけるフィルタ係数を算出する。その後、最終的なフィルタ係数が可変フィルタ部15にセットされる(S12)。このようにして、フィルタ係数の測定が終了する。
音楽再生時には、最終的なフィルタ係数が可変フィルタ部15にセットされる。音楽信号を再生する場合、頭外定位処理部13が音楽信号に頭外定位処理を施した後、可変フィルタ部15が音楽信号に対してフィルタ処理を行う。すなわち、可変フィルタ部15にセットされたフィルタに含まれるフィルタ係数が、音楽信号に乗じられる。そして、ヘッドホン19が、フィルタ処理された音楽信号を受聴者Uに向けて出力する。すなわち、頭外定位処理、及びフィルタ処理された音楽信号をヘッドホン19が受聴者Uに出力することで、音場が再生される。
このように、スイープ信号を用いた測定により、フィルタ係数を求める。そして求められたフィルタ係数を含むフィルタでフィルタ処理することで、外耳道形状の個人特性の起因する共鳴を排除することができる。よって、頭外定位処理された音楽信号を適切に補正することができる。したがって、ヘッドホン19を用いた場合でも、適切に音場を再生することができる。なお、上記の説明ではヘッドホン19を用いた音場再生装置を示したが、イヤホンを用いた音場再生装置についても同様に処理することができる。
なお、上記の説明は、周波数特性にディップがある場合について説明したが、ピークがある場合についても同様に音質を調整することができる。すなわち、ピーク周波数における音量を下げるように、S6において音量を下げればよい。これにより、ピーク周波数における音量が小さくなるように、音質を調整することができる。
また、ピーク周波数及びディップ周波数が2以上ある場合も、それぞれの周波数について音量を調整すればよい。すなわち、スイープ範囲に含まれるピーク、及びディップのそれぞれについて、音量調整を行う。そして、音量調整が行われた時のレベル情報と、それに対応する周波数に応じてフィルタ係数算出部16がフィルタ係数を求めている。こうすることで、適切なフィルタを設定することができるため、適切に音場を再生することができる。また、ノッチフィルタ又はピーキングフィルタの幅を調整するようにしてもよい。
表示部に提示されている周波数を表示すると受聴者Uにもわかりやすくなる。周波数スイープ信号発生部11が周波数をスイープする速度も、受聴者に調整させるようにしてもよい。
実施の形態2.
本実施の形態にかかる音場再生装置について、図8を用いて説明する。図8は、実施の形態2に係る音場再生装置200を示すブロック図である。本実施の形態では、ヘッドホン19ではなく、スピーカ29を用いて音場を再生している。すなわち、ヘッドホン19の代わりに、スピーカ29が用いられている。
スピーカ29はステレオスピーカやサラウンドスピーカ等の複数チャンネルを有するスピーカである。さらに、本実施の形態では、実施の形態1の頭外定位処理部13の代わりに、疑似サラウンド処理部23が設けられている。なお、疑似サラウンド処理部23以外の構成については、実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
スイープ信号発生部21で発生させたスイープ信号及び音楽信号再生部22で再生させた音楽信号は、疑似サラウンド処理部23に入力される。疑似サラウンド処理部23には、予め測定された頭部伝達特性(頭部伝達関数ともいう)がセットされている。疑似サラウンド処理部23は頭部伝達特性(頭部伝達関数ともいう)の畳み込み処理を行う。疑似サラウンド処理部23は、畳み込み処理が行われた周波数スイープ信号を、AGC処理部24に出力する。AGC処理部24、可変フィルタ部25、フィルタ係数算出部26、設定記憶部27、入力部28における処理は実施の形態1のAGC処理部14、可変フィルタ部15、フィルタ係数算出部16、設定記憶部17、入力部18と同様である。したがって、実施の形態1と同様に、ノッチ又はピークの周波数が決定され、フィルタ係数算出部26がフィルタ係数を算出する。
そして、算出されたフィルタ係数を有するフィルタが可変フィルタ部25にセットされる。スピーカ29は、フィルタ係数が乗じられた周波数スイープ信号を受聴者Uに向けて出力する。受聴者は、スピーカ29から出力される周波数スイープ信号を聴きながら、実施の形態1と同様に音量を調整する。最終的なフィルタ係数が算出されると、疑似サラウンド処理部23への入力を周波数スイープ信号から音楽信号に切替える。そして、音楽信号に対して、疑似サラウンド処理部23、及び可変フィルタ部25が処理を行う。疑似サラウンド処理部23、及び可変フィルタ部25の処理を経た音楽信号がスピーカ29から出力される。
本実施の形態では、疑似サラウンド処理部23が、音楽信号に頭部伝達特性を畳み込んだ後、可変フィルタ部15が音楽信号にフィルタ処理を行っている。このようにすることで、スピーカ29から出力されるサラウンド音場を再生することができる。さらに、測定環境等によって生じるピーク又はディップを補正するためのフィルタ係数が設定されている。したがって、適切に音場を再生することができる。
実施の形態3.
本実施の形態では、個人の伝達特性を測定し、その伝達特性に応じたフィルタを用いて頭外定位等の音場再生を実現するものである。
さらに、本実施の形態では、ハイレゾリューションデジタル音声信号(以下、HR信号)に対して、頭外定位処理を実行している。以下の説明において、96kHzのサンプリング周波数で収音された信号をHR信号、又はHR信号として説明する。これに対して、48kHzのサンプリング周波数で収音された信号(ローレゾリューション信号)を非ハイレゾリューション信号(非HR信号)とする。もちろん、サンプリング周波数は、上記の値に限定されるものではない。
48kHzのサンプリング周波数の非HR信号の場合、ナイキスト周波数は24kHzとなる。以下、24kHz未満の帯域を低周波数帯域とし、24kHz以上の帯域を高周波数帯域として説明する。高周波数帯域と低周波数帯域の境界を示す第1の周波数は、ナイキスト周波数24kHzとなっている。もちろん、第1の周波数は24kHzと異なる値でもよい。例えば、サンプリング周波数に応じて、第1の周波数を変えることができる。
まず、頭外定位処理を行うための頭外定位処理装置301の構成について、図9を用いて説明する。図9は、音場再生装置の一例である頭外定位処理装置301の構成を示すブロック図である。なお、頭外定位処理装置301は、実施の形態1における頭外定位処理部13に相当する。
頭外定位処理装置301は、ヘッドホン343を装着する受聴者(ユーザ)Uに対して音場を再生する。そのため、頭外定位処理装置301は、LchとRchのステレオ入力信号XL、XRについて、音像定位処理を行う。LchとRchのステレオ入力信号XL、XRは、HR信号対応のオーディオ機器などから出力されるオーディオ再生信号である。なお、頭外定位処理装置301は、物理的に単一な装置に限られるものではなく、一部の処理が異なる装置で行われてもよい。例えば、一部の処理がパソコンなどにより行われ、残りの処理がヘッドホン343に内蔵されたDSP(Digital Signal Processor)などにより行われてもよい。
頭外定位処理装置301は、伝達特性処理部310と、フィルタ部341、フィルタ部342、及びヘッドホン343を備えている。
伝達特性処理部310は、伝達特性に応じたフィルタ処理を行う。伝達特性処理部310は、畳み込み演算部311〜312、321〜322、及び加算器324、325を備えている。畳み込み演算部311〜312、321〜322は、空間音響伝達特性を用いた畳み込み処理を行う。伝達特性処理部310には、HR信号に対応したオーディオ機器などからのステレオ入力信号XL、XRが入力される。伝達特性処理部310には、空間音響伝達特性が設定されている。伝達特性処理部310は、各chのステレオ入力信号XL、XRに対し、空間音響伝達特性を畳み込む。
空間音響伝達特性は、4つの伝達特性Hls、Hlo、Hro、Hrsを有している。4つの伝達特性は、後述するフィルタ生成装置を用いて求めることができる。
そして、畳み込み演算部311は、Lchのステレオ入力信号XLに対して伝達特性Hlsを畳み込む。畳み込み演算部311は、畳み込み演算データを加算器324に出力する。畳み込み演算部321は、Rchのステレオ入力信号XRに対して伝達特性Hroを畳み込む。畳み込み演算部321は、畳み込み演算データを加算器324に出力する。加算器324は2つの畳み込み演算データを加算して、フィルタ部341に出力する。
畳み込み演算部312は、Lchのステレオ入力信号XLに対して伝達特性Hloを畳み込む。畳み込み演算部312は、畳み込み演算データを、加算器325に出力する。畳み込み演算部322は、Rchのステレオ入力信号XRに対して伝達特性Hrsを畳み込む。畳み込み演算部322は、畳み込み演算データを、加算器325に出力する。加算器325は2つの畳み込み演算データを加算して、フィルタ部342に出力する。このように、伝達特性処理部310は、伝達特性Hls、Hlo、Hro、Hrsに応じたフィルタを用いて畳み込み処理を行う。
フィルタ部341、342には外耳道伝達特性をキャンセルする逆フィルタが設定されている。そして、伝達特性処理部310での処理が施された再生信号に逆フィルタを畳み込む。フィルタ部341で加算器324からのLch信号に対して、逆フィルタを畳み込む。同様に、フィルタ部342は加算器325からのRch信号に対して逆フィルタを畳み込む。逆フィルタは、ヘッドホン343を装着した場合に、ヘッドホンユニットからマイクまでの特性をキャンセルする。すなわち、外耳道入口にマイクを配置したときの、受聴者各人の外耳道入口とヘッドホンの再生ユニット間、あるいは鼓膜とヘッドホンの再生ユニット間の伝達特性をキャンセルする。
フィルタ部341は、補正されたLch信号をヘッドホン343の左ユニット343Lに出力する。フィルタ部342は、補正されたRch信号をヘッドホン343の右ユニット343Rに出力する。受聴者Uは、ヘッドホン343を装着している。ヘッドホン343は、Lch信号とRch信号を受聴者Uに向けて出力する。これにより、受聴者Uの頭外に定位された音像を再生することができる。
実際の受聴者Uに応じて伝達特性Hls、Hlo、Hro、Hrsを測定することが好ましい。例えば、受聴者Uの耳にマイクを装着して、インパルス応答測定を行うことで、受聴者Uの耳介形状に応じた伝達特性Hls、Hlo、Hro、Hrsを取得することができる。このように、実際に受聴者Uの耳にマイクを装着して取得された伝達特性Hls、Hlo、Hro、Hrsを用いることで、適切に頭外定位処理を行うことができる。
ここで、HR信号に頭外定位処理を行う場合について説明する。HR信号を取得するためには、HR信号に対応するマイクを準備する必要がある。通常、可聴帯域は20Hz〜20kHzといわれているが、HR信号に対応するためには、20kHz以上の高周波数の音声を収音できるHR信号対応マイクを準備する必要がある。HR信号対応マイクは、高い周波数帯域に対しても感度を有するものであり、小型化には課題がある。
例えば、人間の外耳道入口の直径は7.5mm程度であるのに対して、現実的に入手可能なHR信号対応マイクは、1.5cm程度である。人間の外耳道の入り口近傍に装着できる程度の小型のHR信号対応マイクを通常、入手することができない。また、人間の外耳道入口に装着可能なサイズのHR信号対応マイクが存在したとしても、非常に高価になると考えられる。このため、受聴者U毎にHR信号対応マイクを装着するのは非現実的である。そこで、本実施の形態は、低周波数帯域においては、マイクが伝達特性の振幅値を測定し、高周波数帯域においては、フィルタ生成装置が伝達特性の振幅値を生成している。
以下、フィルタ生成装置350の構成について、図10を用いて、説明する。フィルタ生成装置350は、左右のスピーカ5L、5Rと、左右のマイク2L、2Rと、処理部351と、を備えている。図10に示すように、左右のスピーカ5L、5Rで出力されたインパルス音をマイク2L、2Rで測定することでインパルス応答が測定される。マイク2L、2Rで取得された収音信号は、処理部351に出力される。処理部351は、例えば、パーソナルコンピュータ等の演算処理装置である。処理部351は、収音信号に基づいて、フィルタを生成するフィルタ生成部として機能する。処理部351における処理の詳細については後述する。
図10では、マイク2L、2Rによって測定された伝達特性を伝達特性H’ls、H’lo、H’ro、H’rsとして示している。左スピーカ5Lと左マイク2Lとの間の伝達特性H’ls、左スピーカ5Lと右マイク2Rとの間の伝達特性H’lo、右スピーカ5Rと左マイク2Lとの間の伝達特性H’ro、右スピーカ5Rと右マイク2Rとの間の伝達特性H’rsが測定される。すなわち、左スピーカ5Lから出力された測定信号を左マイク2Lが収音することで、伝達特性H’lsが取得される。左スピーカ5Lから出力された測定信号を右マイク2Rが収音することで、伝達特性H’loが取得される。右スピーカ5Rから出力された測定信号を左マイク2Lが収音することで、伝達特性H’roが取得される。右スピーカ5Rから出力された測定信号を右マイク2Rが収音することで、伝達特性H’rsが取得される。
上記のように、左右のスピーカ5L、5Rで出力されたインパルス音をマイク2L、2Rで測定することでインパルス応答が測定される。処理部351は、インパルス応答測定に基づいて取得した収音信号をメモリなどに記憶する。これにより、左スピーカ5Lと左マイク2Lとの間の伝達特性H’ls、左スピーカ5Lと右マイク2Rとの間の伝達特性H’lo、右スピーカ5Rと左マイク2Lとの間の伝達特性H’ro、右スピーカ5Rと右マイク2Rとの間の伝達特性H’rsが測定される。すなわち、左スピーカ5Lから出力された測定信号を左マイク2Lが収音することで、伝達特性H’lsが取得される。左スピーカ5Lから出力された測定信号を右マイク2Rが収音することで、伝達特性H’loが取得される。右スピーカ5Rから出力された測定信号を左マイク2Lが収音することで、伝達特性H’roが取得される。右スピーカ5Rから出力された測定信号を右マイク2Rが収音することで、伝達特性H’rsが取得される。
上記のように、HR信号対応のマイクは小型化が困難であるため、マイク2L,2Rは、HR信号非対応のマイクとなっている。すなわち、マイク2L,2Rで取得される収音信号は、非HR信号となっている。このため、左右のスピーカ5L、5RについてもHR信号非対応のスピーカとすることができる。収音信号のサンプリング周波数は、48kHzとなっている。
収音信号は非HR信号であるため、伝達特性には、24kHz以上の高周波数帯域の成分が含まれていない。一方、実際の頭外定位処理のステレオ入力信号XL、XRには高周波数帯域の成分が含まれている。したがって、本実施の形態では、処理部351が高周波数帯域の伝達特性を算出している。
図11を用いて、高周波数帯域の伝達特性を算出する方法について説明する。図11は、周波数領域における伝達特性Hlsを示すものである。横軸が周波数(Hz)、縦軸が伝達特性Hlsの振幅(dB)となっている。すなわち、図11は、伝達特性Hlsの周波数振幅特性を示している。また、図11では、測定した収音信号による伝達特性H’lsが実線で示されている。時間領域の収音信号を離散フーリエ変換とすることで周波数領域の伝達特性H’lsが求められる。
図11では、第1の周波数(ナイキスト周波数=24kHz)以上の周波数を含む帯域を高周波数帯域BHとして示し、第1の周波数よりも低い周波数を含む帯域を低周波数帯域BLとして示している。また、14kHzを第2の周波数として、第2の周波数から第1の周波数までの帯域を補間帯域BL1として示す。第2の周波数は、ナイキスト周波数未満の周波数であればよく、14kHzに限られるものではない。第2の周波数は、10kHz以上の周波数であることが好ましい。
ここで、第1の周波数(24kHz)における伝達特性H’lsの振幅値を振幅値Yb[dB]とする。処理部351は、補間帯域BL1における伝達特性H’lsのピークを求める。ここで、ピークの周波数、及び振幅値を周波数fp[Hz]、及び振幅値Yp[dB]とする。なお、補間帯域BL1に複数のピークが存在する場合、最も高い周波数のピークの周波数、及び振幅値が周波数fp、及び振幅値Ypとして設定される。また、補間帯域BL1にピークが存在しない場合、処理部351は、第2の周波数とその振幅値を周波数fp、及び振幅値Ypとして設定している。周波数fpは14kHz以上、24kHz未満である。振幅値Ypは第2の振幅値とも称する。
そして、0〜fpの帯域については、処理部351は、伝達特性H’lsの振幅値をそのまま伝達特性Hlsの振幅値とする。したがって、周波数fpにおける伝達特性Hlsの振幅値は振幅値Ypとなる。また、fp〜48kHzの帯域については、処理部351は、振幅値Ypに基づいて、振幅値を算出している。以下、fp〜48kHzまでの帯域における振幅値の求め方について説明する。
ここでは、処理部351が、6通りの周波数振幅特性(1)〜(6)を算出している。周波数振幅特性(3)では、24kHzにおける伝達特性Hlsの振幅値(第1の振幅値とも称する)が振幅値Ybとなっている。高周波数帯域BHにおける伝達特性Hlsの振幅値が振幅値Ybで一定となっている。fp〜24kHzの帯域における伝達特性Hlsの振幅値は、振幅値Ypと振幅値Ybとを補間することで求められている。すなわち、fp〜24kHzにおける伝達特性Hlsの振幅値は、振幅値Ypと第1の振幅値との間を補完するように算出されている。ここでは、線形補間等の公知の方法によって、fp〜24kHzにおける伝達特性Hlsの振幅値を求めている。あるいは、fp〜24kHzにおける伝達特性Hlsの振幅値は、測定した伝達特性H’lsの振幅値であってもよい。
処理部351は、24kHzにおける伝達特性Hlsの振幅値(第1の振幅値とも称する)を振幅値Ybから変えることで、残りの周波数特性(1)、(2)、(4)〜(6)を求めている。例えば、周波数振幅特性(1)では第1の振幅値が(Yb−6)、周波数振幅特性(2)では第1の振幅値が(Yb−3)、周波数振幅特性(4)では第1の振幅値が(Yb+3)、周波数振幅特性(5)では第1の振幅値が(Yb+6)、周波数振幅特性(6)では第1の振幅値が(Yb+9)となっている。第1の振幅値は、振幅値Ypを越えない範囲で設定されることが好ましい。例えば、(Yb+9)がYpを超える場合、周波数振幅特性(6)については求めなくてもよい。
そして、高周波数帯域BHにおける伝達特性Hlsの振幅値が第1の振幅値で一定となっている。例えば、周波数振幅特性(1)では、高周波数帯域BHにおける伝達特性Hlsの振幅値は、第1の振幅値(Yb−6)で一定となっている。周波数振幅特性(2)では、高周波数帯域BHにおける伝達特性Hlsの振幅値は、第1の振幅値(Yb−3)で一定となっている。周波数振幅特性(4)、(5)、(6)についても高周波数帯域BHにおける伝達特性Hlsの振幅値が、それぞれの第1の振幅値で一定となっている。
fp〜24kHzの帯域における伝達特性Hlsの振幅値は、振幅値Ypと第1の振幅値とを補間することで求められている。ここでは、線形補間等の公知の方法によって、fp〜24kHzにおける伝達特性Hlsの振幅値を求めている。このように、3dB刻みで第1の振幅値を設定することで、周波数振幅特性(1)〜(6)が求められる。周波数振幅特性(1)〜(6)がそれぞれ伝達特性Hlsの候補となる。
上記したように、測定した伝達特性H’lsに基づいて、伝達特性Hlsを求めることができる。また、他の伝達特性Hlo,Hrs、Hroについても、伝達特性H’lo、H’ro、H’rsに基づいて求めることができる。そして、伝達特性Hls、Hlo,Hrs、Hroをそれぞれ逆離散フーリエ変換する。時間領域の4つの伝達特性Hls、Hlo,Hrs、Hroを求めることで、フィルタが生成される。ここで、1つのフィルタには、時間領域における4つの伝達特性Hls、Hlo,Hrs、Hroが含まれている。
なお、上記の説明では、伝達特性Hls、Hlo,Hrs、Hroのそれぞれについて周波数振幅特性(1)〜(6)が求められる。すなわち、6通りのフィルタが生成される。そこで、聴感テストを行うことで、複数のフィルタの中から最適なフィルタ(伝達特性Hls、Hlo,Hrs、Hro)を求めている。聴感テストについては、後述する。聴感テストで求められた最適なフィルタ(伝達特性Hls、Hlo,Hrs、Hro)を図9に示す畳み込み演算部311〜312、321〜322にセットして、頭外定位処理を行う。
このように、処理部351は、フィルタの低周波数帯域BLの振幅成分を収音信号の周波数振幅特性に応じて設定し、フィルタの高周波数帯域BHの振幅成分を低周波数帯域の振幅成分につなぎ合わせるように生成している。このようにすることで、HR信号に対応するフィルタを生成することができる。低周波数帯域BLについては、受聴者U本人の伝達特性を用いることができるため、適切に頭外定位処理することができる。また、伝達特性H’lo、H’ro、H’rsの測定はHR信号非対応のマイク2L、2R、及びスピーカ5L、5Rで行うことができる。HR信号非対応のマイク2L、2Rは、小型であり、左右の耳に装着可能である。よって、簡便かつ容易に測定を行うことができる。
処理部351は、第1の周波数(24kHz)における収音信号の周波数振幅特性の振幅値Ybに基づいて、伝達特性の第1の周波数における第1の振幅値を設定している。これにより、適切に頭外定位処理することができる。また、複雑な処理を行わないため、簡便にフィルタを生成することができる。
処理部351は、第1の周波数における収音信号の周波数振幅特性の振幅値Ybを補正した値を、第1の振幅値として設定している。上記の説明では、振幅値Ybをレベル調整した値(例えば、Yb−3やYb+3等)が、第1の振幅値として設定されている。これにより、簡便な方法で、適切に頭外定位処理することができる。また、複雑な処理を行わないため、簡便にフィルタを生成することができる。
なお、本実施の形態では、Ybを3dB間隔で変化させた値を第1の振幅値として設定したが、第1の振幅値の設定は、このような手法に限られるものではない。例えば、2dB間隔で第1の振幅値を設定してもよく、一定間隔以外の刻みで第1の振幅値を設定してもよい。また、第1の振幅値は、振幅値Ypを越えない範囲で設定されている。これにより、適切に頭外定位処理することができる。
また、上記の説明では、高周波数帯域BHにおける伝達特性Hlsの振幅値を一定値としたが、本実施形態はこれに限られるものではない。高周波数帯域BHにおける伝達特性Hlsの振幅値を一定の傾きで漸減、又は漸増させてもよい。あるいは、予め設定されたパターンに応じて、高周波数帯域BHにおける伝達特性Hlsの振幅値を設定してもよい。
また、実施の形態3では、周波数振幅特性(1)〜(6)を求めたが、求める周波数振幅特性の数は、1以上であればよい。周波数振幅特性の数が1つであれば、聴感テストは不要となる。周波数振幅特性の数が2以上であれば、後述する聴感テストを行う。
(変形例1)
実施の形態3の変形例1では、高周波数帯域の周波数振幅特性が、シミュレーションに応じて算出されている。なお、それ以外の構成、及び方法については、実施の形態3と同様であるため説明を省略する。
図12は、HR信号対応のスピーカの周波数振幅特性を示す図である。図12の横軸は周波数であり、縦軸は、音圧(dB)である。図12は、受聴者Uの正面から10度の角度にHR信号対応スピーカを配置したときの周波数特性を示している。
図13は、図12の周波数特性から求めた伝達特性Hlsを示す図である。具体的には、図13は、HR信号対応スピーカを上記の角度で設置した時の伝達特性Hlsをシミュレーションした結果である。このようなシミュレーションとしては、例えば、「個人に合わせて立体音響を再現するためのシミュレーション技術」に記載されている(http://www.nict.go.jp/publication/shuppan/kihou-journal/kihou-vol56no1_2/0403.pdf)。
上記の文献では、FDTD(Finite−Difference Time Domain)法を用いている。この方法では、例えば、所定の角度に配置されたスピーカに対するダミーヘッドの頭部伝達関数HRTFを求めることができる。よって、スピーカから外耳道入口までの伝達特性Hlsによって求めることができる。スピーカの周波数特性データに基づくシミュレーションによって、高周波数帯域BHの振幅成分が推定されている。ここで、シミュレーションによって求められた伝達特性を伝達特性H’’lsとする。
実施の形態1と同様に、低周波数帯域BLの振幅値は、測定した伝達特性H’lsの振幅値とする。図13に示すように、低周波数帯域BLの伝達特性H’lsと高周波数帯域BHの伝達特性H’’lsとをつなぎ合わせて、伝達特性Hlsを生成する。すなわち、処理部351は、高周波数帯域の振幅成分を低周波数帯域の振幅成分につなぎ合わせるように伝達特性Hlsを生成している。
(変形例2)
実施の形態3の変形例2では、高周波数帯域の周波数振幅特性は、HR信号対応マイクによって測定されている。なお、それ以外の構成、及び方法については、実施の形態3と同様であるため説明を省略する。
HR信号対応マイクは、上述したように非常に高価になると考えらえるため、受聴者U毎に装着して測定することが困難である。したがって、受聴者U以外の人又はダミーヘッドに装着したHR信号対応マイクで、代表的な伝達特性を測定する。HR信号対応マイクを用いた伝達特性の測定は、図10に示す構成と同様であり、受聴者U以外の人又はダミーヘッドにマイク2L、2Rが装着される。
受聴者U以外の人又はダミーヘッドに装着したHR信号対応マイクで測定した伝達特性を伝達特性H’’lsとする。高周波数帯域BHについては、伝達特性H’’lsを用いて、低周波数帯域BLについては、HR信号非対応マイクで測定した伝達特性H’lsを用いる。そして、変形例1と同様に、低周波数帯域BLの伝達特性H’lsと高周波数帯域BHの伝達特性H’’lsとをつなぎ合わせて、伝達特性Hlsを生成する。すなわち、処理部351は、高周波数帯域の振幅成分を低周波数帯域の振幅成分につなぎ合わせるように伝達特性Hlsを生成している。
変形例1、2では、低周波数帯域BLの伝達特性H’lsは、受聴者Uに応じた測定により取得されている。すなわち、図10に示すように、受聴者Uに装着されたHR信号非対応マイクで伝達特性H’lsが測定される。よって、受聴者Uに応じたフィルタを用いることができるため、適切に頭外定位処理を実施することができる。
変形例1では、高周波数帯域BHの伝達特性H’’lsはシミュレーション結果である。変形例2では、高周波数帯域BHの伝達特性H’’lsは受聴者U以外の人又はダミーヘッドに装着したHR信号対応マイクで測定されている。非常に高価なHR信号対応マイクによる測定を受聴者U毎に行う必要がない。よって、HR信号に対応した伝達特性を簡便に求めることができる。
変形例1、2では、図14のように、第1の周波数(24kHz)の近傍で伝達特性の振幅値が大きく異なることがある。このような場合、適切に頭外定位処理することができないおそれがある。したがって、変形例1、2においては、高周波数帯域BHの伝達特性H’’lsをレベル調整することが好ましい(図14の矢印参照)。ここでは、高周波数帯域BHのDC成分を加減することで、振幅特性を上下に平行移動している。
受聴者Uに応じて測定された低周波数帯域BLの伝達特性H’lsに合わせるように、高周波数帯域BHの伝達特性H’’lsが調整される。このようにすることで、適切に頭外定位処理することができる。このように、高周波数帯域BHの振幅成分を低周波数帯域BLの振幅成分につなぎ合わせるように、高周波数帯域BHの振幅成分がレベル調整されている。
あるいは、24kHzの近傍に振幅値をスムージング処理する帯域を設けてもよい。このスムージング処理について、図15を用いて説明する。図15では、高周波数帯域BHの低周波数側に配置された帯域を帯域B2としている。高周波数帯域BHに含まれる所定の周波数を周波数faとする。なお、周波数faは24kHzよりも高い周波数である。帯域B2は、24kHz以上で周波数fa以下の範囲となっている。帯域B2において、振幅値をスムージング処理する。
あるいは、帯域B2の代わりに帯域B3において、スムージング処理を行うことができる。帯域B3は、低周波数帯域BLの高周波数側に配置された帯域である。例えば、低周波数帯域BLに含まれる所定の周波数を周波数fbとする。周波数fbは24kHzよりも低い周波数である。帯域B2は、周波数fa以上で24kHz以下の範囲となっている。帯域B3において、振幅値をスムージング処理する。
あるいは、帯域B2又は帯域B3の代わりに、24kHzを跨ぐ帯域B4において、スムージング処理を行ってもよい。帯域B4は周波数fb〜周波数faの範囲となっている。帯域B4において、振幅値をスムージング処理する。スムージング処理には、移動平均や加重移動平均を用いることができる。スムージング処理によって、低周波数帯域と高周波数帯域とが滑らかに連続する、より適切なフィルタを生成することが可能となる。
このように、変形例1、2では、低周波数帯域BLの伝達特性H’lsと高周波数帯域BHの伝達特性H’’lsとをつなぎ合わせて、伝達特性Hlsを生成している。同様にして、伝達特性Hlo、Hro、Hrsを生成する。そして、4つの伝達特性Hls、Hlo、Hro、Hrsを1セットとして、実施の形態1と同様に、逆離散フーリエ変換を実行する。これにより、時間領域における4つの伝達特性Hls、Hlo、Hro、Hrsを1セットとして含むフィルタを生成することができる。
(聴感テスト)
複数の試聴用フィルタから最適なフィルタを決定するための聴感テストについて、説明する。聴感テストを行うことで、受聴者Uの好みに応じた音質で頭外定位再生することができる。
ここで、複数の試聴用フィルタは、実施の形態3、及びその変形例1、2のいずれかの1つ以上の方法によって生成されている。例えば、実施の形態3では(1)〜(6)の周波数振幅特性が求められているため、6つのフィルタが生成される。また、変形例1では、シミュレーション手法を変えたり、シミュレーションに用いるHR信号対応スピーカの周波数特性を変えたりすることで、複数のフィルタを生成することができる。変形例2では、HR信号対応マイクを装着する人やダミーヘッドを変えることで、複数のフィルタを生成することができる。これらのフィルタを試聴用フィルタとする。よって、複数の試聴用フィルタのそれぞれは、実施の形態1、変形例1、及び変形例2のいずれかの手法により求められたものである。それぞれの試聴用フィルタは4つの伝達特性Hls、Hlo、Hro、Hrsを含んでいる。
聴感テストを行うための、頭外定位処理装置500について、図16を用いて説明する。頭外定位処理装置500は、調整信号発生部521と、音楽信号再生部512と、頭外定位処理部302と、フィルタ選択部522と、設定記憶部517と、入力部518と、ヘッドホン343とを備えている。
入力部518、及び音楽信号再生部512は、それぞれ図1の入力部18、及び音楽信号再生部12と同様であるため、詳細な説明を省略する。ヘッドホン343は、図10のヘッドホン343、及び図1のヘッドホン19と同様である。ただし、音楽信号再生部512、及びヘッドホン343は、HR信号に対応している。すなわち、音楽信号再生部512は、96kHzのサンプリング周波数で収音されたHR信号を音楽信号として再生する。ヘッドホン519は、HR信号を受聴者Uに向けて出力する。
調整信号発生部521は、最適なフィルタの決定を行うための調整信号を頭外定位処理部302に出力する。すなわち、調整信号発生部521は、96kHzのサンプリング周波数で収音されたHR信号を調整信号として出力する。また、調整信号はLchとRchとを含むステレオ信号である。調整信号としては、倍音が豊富な弦楽器等の音源を用いることが好ましい。具体的には、チェロ、ガムラン(インドネシアの民族音楽)等の演奏音を96kHzのサンプリング周波数で収音することで、調整信号が生成される。
頭外定位処理部302は、図9で示した伝達特性処理部310と、フィルタ部341、フィルタ部342を備えている。ステレオの調整信号が図9のステレオ入力信号Lch、Rchとなる。そして、頭外定位処理部302は、頭外定位処理された調整信号をヘッドホン519に出力する。ヘッドホン519は、頭外定位処理された調整信号を受聴者Uに向けて出力する。これにより、聴感テストが行われる。
受聴者Uは、頭外定位処理された調整信号の聴感に応じて、入力部518を操作する。すなわち、受聴者Uは試聴用フィルタによって適切な頭外定位処理がなされているか否かを入力する。入力部518による入力は、設定記憶部517に記憶される。フィルタ選択部522には、複数の試聴用フィルタが格納されている。1つのフィルタに対する聴感の入力が完了すると、フィルタ選択部522は、フィルタを切り替える。すなわち、フィルタ選択部522は、試聴用フィルタを順番に切り替えて、頭外定位処理部302に出力する。このようにして、格納されている試聴用フィルタの数だけ聴感テストを行う。
受聴者Uは入力部518を操作することで、最も優れている聴感を示す最適なフィルタを入力する。そして、設定記憶部517が最適なフィルタを記憶する。最適なフィルタが音楽再生用フィルタとして設定される。音楽信号の再生時には、聴感テストで決定された最適なフィルタを用いて、頭外定位処理部302が頭外定位処理を行う。受聴者Uは、HR信号対応の調整信号を用いて聴感上で比較し、好みのフィルタを最適なフィルタとして選択する。そして、HR信号対応の音楽信号に対して最適なフィルタを用いて頭外定位処理を行う。このようにすることで適切に頭外定位処理することができる。
なお、受聴者Uが入力部518を操作することで、聴感テストと音楽再生とを切り替えることができる。受聴者Uが聴感テストを行う旨の指示を入力すると、調整信号発生部が調整信号を発生する。聴感テスト終了後、音楽再生を行う旨の指示を受聴者Uが入力すると、音楽信号再生部512が音楽信号を再生する。試聴用フィルタが1セットのみの場合、聴感テストは実施しなくてもよい。
なお、フィルタ部341、342には設定された逆フィルタについても、高周波数帯域における振幅成分を有している必要がある。しかしながら、外耳道伝達特性をキャンセルする逆フィルタの高周波数帯域の振幅成分については頭外定位処理に対する影響が小さい。例えば、14kHz以上の帯域については、ヘッドホン特性をキャンセルしなくても、頭外定位の効果がある。よって、特開2015−126269号公報に示す方法により、高周波数帯域の振幅成分を設定することができる。すなわち、特開2015−126269号公報に示す高域境界周波数とナイキスト周波数の振幅を高周波数帯域の振幅とすればよい。
実施の形態4.
実施の形態4では異なる方法で聴感テストを行っている。以下、図17を用いて、聴感テストを行うための頭外定位処理装置について説明する。図17では、主として、聴感テストを行う処理のみについて説明する。すなわち、以下の説明では、複数の試聴用フィルタから最適なフィルタを決定するための処理について説明している。最適なフィルタを用いた頭外定位処理については、実施の形態3と同様であるため説明を省略する。例えば、入力部、ヘッドホン、設定記憶部については図示を省略している。
頭外定位処理装置400は、調整信号発生部421と、LPF(ローパスフィルタ)411と、ダウンサンプリング部412と、頭外定位処理部401、アップサンプリング部413と、LPF414と、HPF(ハイパスフィルタ)431と、可変増幅器432と加算器440とを備えている。
調整信号発生部421は、調整信号発生部521と同様に、最適なフィルタの決定を行うための調整信号を発生する。すなわち、調整信号発生部421は、96kHzのサンプリング周波数で収音されたHR信号を調整信号として出力する。調整信号のサンプリング周波数は96kHzとなっている。調整信号発生部421で発生された調整信号は、LPF411とHPF431に入力される。
LPF411は、カットオフ周波数が24kHzのローパスフィルタである。よって、LPF411は、低周波数帯域の成分を通過させて、高周波数帯域の成分を遮断する。ダウンサンプリング部412は、LPF411を通過した調整信号についてダウンサンプリングを行う。これにより、調整信号のサンプリング周波数は48kHzとなる。ダウンサンプリング部412は、ダウンサンプリングした調整信号を頭外定位処理部401に出力する。
頭外定位処理部401は、図16に示す頭外定位処理部302に対応するものである。よって、頭外定位処理部401は、図9で示した伝達特性処理部310と、フィルタ部341、フィルタ部342を備えている。頭外定位処理部401は、ダウンサンプリングされた調整信号に対して頭外定位処理を行う。調整信号のサンプリング周波数は48kHzにダウンサンプリングされているため、頭外定位処理部401は、伝達特性H’ls、H’lo、H’ro、H’rsを用いることができる。なお、伝達特性H’ls、H’lo、H’ro、H’rsは図10に示す構成で測定されたものであり、HR信号非対応のマイクで測定されている。
次に、アップサンプリング部413は、頭外定位処理された調整信号をアップサンプリングする。これにより、調整信号のサンプリング周波数が96kHzとなる。LPF414は、カットオフ周波数が24kHzのローパスフィルタである。よって、LPF414は、低周波数帯域の成分を通過させて、高周波数帯域の成分を遮断する。LPF414を通過した調整信号は、加算器440に入力される。
また、調整信号発生部421で発生された調整信号は、HPF431に入力される。HPF431は、カットオフ周波数が24kHzのハイパスフィルタである。よって、HPF431は、高周波数帯域の成分を通過させて、低周波数帯域の成分を遮断する。HPF431を通過した調整信号は、可変増幅器432で増幅されて、加算器440に入力される。加算器440はLPF414からの調整信号と、可変増幅器432からの調整信号とを加算して、ヘッドホンに出力する。すなわち、低周波数帯域の成分と高周波数帯域の成分が加算器440で合成される。
このように、LPF411を通過した低周波数帯域の成分についてのみ、フィルタを用いた頭外定位処理を行う。すなわち、HPF431を通過した高周波数帯域の成分については、フィルタを用いた頭外定位処理を行っていない。このように処理された高周波数帯域の成分と低周波数帯域の成分が加算器440で合成され、ヘッドホンから出力される。
ここで、可変増幅器432の増幅率を変えることで聴感テストを行うことができる。例えば、可変増幅器432の増幅率を段階的又は連続的に増加させていく。そして、受聴者Uが最も聴感が優れているタイミングで入力を行う。これにより、最適な増幅率を決定することができる。
図18は、聴感テストにおけるHPF431に周波数特性を模式的に示す図である。図18の横軸は周波数、縦軸はゲインである。また、図18では、LPF411、414の周波数特性を示している。可変増幅器432の増幅率を段階的に変えることで、HPF431の周波数特性が図18に示すようになる。換言すると、HPF431のゲインを調整することができる。LPF411、414のゲインに対して、HPF431のゲインを相対的に増加又は減少させることができる。
したがって、高周波数帯域の成分を変えて聴感テストを行うことができる。高周波数帯域の成分を低周波数帯域の成分に合わせてレベル調整することができる。換言すると、高周波数帯域の成分を低周波数帯域の成分につなぎ合わせることができる。これにより、受聴者Uが、複数の試聴用フィルタから最適なフィルタを決定することができる。さらに、HR信号非対応マイクでの測定結果に基づいて、最適なフィルタを生成することができる。
(変形例3)
変形例3では、実施の形態4の処理と異なる処理によって、聴感テストを実行している。図19は、変形例3にかかる頭外定位処理装置400の構成を示すブロック図である。変形例3では、フィルタ記憶部402は伝達特性H’ls、H’lo、H’ro、H’rsをアップサンプリングしたフィルタを記憶している。頭外定位処理部401はアップサンプリングしたフィルタ係数を用いて頭外定位処理している。なお、上述した実施の形態の内容と同様の内容については適宜説明を省略する。
調整信号発生部421が、調整信号を頭外定位処理部401、及びHPF431に出力する。調整信号はHR信号であるため、サンプリング周波数は、96kHzとなっている。頭外定位処理部401は調整信号を頭外定位処理する。ここで、頭外定位処理された調整信号は、加算器440に出力される。
実施の形態4と同様に、HPF431は、カットオフ周波数が24kHzのハイパスフィルタである。よって、HPF431は、高周波数帯域の成分を通過させて、低周波数帯域の成分を遮断する。HPF431を通過した調整信号は、可変増幅器432で増幅されて、加算器440に入力される。加算器440はLPF414からの調整信号と、可変増幅器432からの調整信号とを加算して、ヘッドホンに出力する。すなわち、低周波数帯域の成分と高周波数帯域の成分が加算器440で合成される。
このように、アップサンプリングされたフィルタ係数を用いて、頭外定位処理装部401は、頭外定位処理を行う。HPF431を通過した高周波数帯域の成分については、フィルタを用いた頭外定位処理を行っていない。このように処理された全帯域の成分と高周波数帯域の成分が加算器440で合成され、ヘッドホンから出力される。
ここで、可変増幅器432の増幅率を変えることで聴感テストを行う事ができる。例えば、可変増幅器432の増幅率を段階的又は連続的に増加させていく。そして、受聴者Uが最も聴感が優れているタイミングで入力を行う。これにより、最適な増幅率を決定することができる。これにより、実施の形態4と同様の効果を得ることができる。
なお、実施の形態3、4では、高周波数帯域BHと低周波数帯域BLとの境界となる周波数(第1の周波数)を24kHzとしたが、ナイキスト周波数を越えない周波数であればよい。また、実施の形態3、4の2つの方法を用いて、一人の受聴者Uが聴感テストを行って、最適なフィルタを決定してもよい。また、実施の形態3、4では、ヘッドホンを用いて頭外定位処理したが、実施の形態2と同様にスピーカを用いて音像再生を行ってもよい。
上記信号処理のうちの一部又は全部は、コンピュータプログラムによって実行されてもよい。上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non−transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
11、21、512 スイープ信号発生部
12、22 音楽信号再生部
13 頭外定位処理部
14、24 AGC処理部
15、25 可変フィルタ部(フィルタ部)
16、26 フィルタ係数算出部
17、27、517 設定記憶部
18、28、518 入力部
19 ヘッドホン(出力部)
23 疑似サラウンド処理部
29 スピーカ
100、200 音場再生装置
301 頭外定位処理装置
343 ヘッドホン
521 調整信号発生部
522 フィルタ選択部

Claims (16)

  1. ハイレゾリューションデジタル音声信号に対して頭外定位処理を行うためのフィルタを生成するフィルタ生成装置であって、
    左右のスピーカと、
    受聴者の左右の耳に装着可能であり、前記左右のスピーカから出力された測定信号を収音して、収音信号を取得する左右のマイクと、
    前記収音信号に基づいて、前記左右のスピーカから前記左右のマイクまでの伝達特性に応じたフィルタを生成するフィルタ生成部と、を備え、
    前記収音信号は前記ハイレゾリューションデジタル音声信号よりも低いサンプリング周波数の非ハイレゾリューションデジタル音声信号であり、前記収音信号のナイキスト周波数を超えない所定の周波数を第1の周波数とし、
    前記フィルタは、前記第1の周波数以下の周波数を含む低周波数帯域の振幅成分と、前記第1の周波数よりも高い周波数を含む高周波数帯域の振幅成分と、を含み、
    前記フィルタ生成部は、
    前記フィルタの前記低周波数帯域の振幅成分を前記伝達特性の周波数振幅特性に応じて設定し、
    前記フィルタの前記高周波数帯域の振幅成分を前記低周波数帯域の振幅成分につなぎ合わせるように生成するフィルタ生成装置。
  2. 前記第1の周波数における前記伝達特性の前記周波数振幅特性の振幅値に基づいて、前記フィルタの前記第1の周波数における第1の振幅値が設定されている請求項1に記載のフィルタ生成装置。
  3. 前記第1の周波数における前記伝達特性の前記周波数振幅特性の振幅値を補正した値が、前記第1の振幅値として設定されている請求項2に記載のフィルタ生成装置。
  4. 前記第1の振幅値に基づいて、前記フィルタの前記高周波数帯域の振幅成分が設定されている請求項2、又は3に記載のフィルタ生成装置。
  5. 前記第1の周波数を超えない第2の周波数から前記第1の周波数までの範囲である第1の帯域において、前記伝達特性の前記周波数振幅特性から第2の振幅値を抽出し、
    前記高周波数帯域の振幅成分が前記第2の振幅値を超えないように生成されている請求項2〜4のいずれか1項に記載のフィルタ生成装置。
  6. 前記第2の振幅値が、前記第1の帯域における前記伝達特性の前記周波数振幅特性のピークに応じて抽出されている請求項5に記載のフィルタ生成装置。
  7. 前記第1の帯域における前記フィルタの振幅成分が、前記第2の振幅値と前記第1の振幅値との間を補間するように算出されている請求項5又は6に記載のフィルタ生成装置。
  8. ハイレゾリューションデジタル音声信号を受聴者に向けて出力する出力部の周波数特性データに基づくシミュレーションによって、前記高周波数帯域の振幅成分が推定されている請求項1に記載のフィルタ生成装置。
  9. ハイレゾリューションデジタル音声信号に対応したハイレゾリューションマイクを前記受聴者以外の人又はダミーヘッドの左右の耳に装着して、取得されたハイレゾリューション収音信号の伝達特性の周波数振幅特性に基づいて前記高周波数帯域の振幅成分を設定している請求項1に記載のフィルタ生成装置。
  10. 前記高周波数帯域の振幅成分を前記低周波数帯域の振幅成分につなぎ合わせるように、前記高周波数帯域の振幅成分がレベル調整されている請求項8、又は9に記載のフィルタ生成装置。
  11. 前記高周波数帯域の振幅成分を前記低周波数帯域の振幅成分につなぎ合わせるように、前記高周波数帯域の低周波数側に配置された第2の帯域において、スムージング処理が行われている請求項8、又は9に記載のフィルタ生成装置。
  12. 前記高周波数帯域の振幅成分を前記低周波数帯域の振幅成分につなぎ合わせるように、前記低周波数帯域の高周波数側に配置された第3の帯域において、スムージング処理が行われている請求項8、又は9に記載のフィルタ生成装置。
  13. 前記高周波数帯域の振幅成分を前記低周波数帯域の振幅成分につなぎ合わせるように、第1の周波数を跨ぐ第4の帯域において、スムージング処理が行われている請求項8、又は9に記載のフィルタ生成装置。
  14. フィルタを用いて頭外定位処理を行う頭外定位処理装置であって、
    ハイレゾリューションデジタル音声信号である調整信号を発生する調整信号発生部と、
    複数の試聴用フィルタを用いて、前記調整信号に対して頭外定位処理を行う頭外定位処理部と、
    前記複数の試聴用フィルタを切り替えて行った試聴結果に基づいて、前記複数の試聴用フィルタの中から、ハイレゾリューションデジタル音声信号の再生に用いられる音楽再生用フィルタを設定する設定部と、を備え、
    前記複数の試聴用フィルタは、それぞれ請求項1〜13のいずれか1項に記載のフィルタ生成装置により生成されている頭外定位処理装置。
  15. ハイレゾリューションデジタル音声信号に対して頭外定位処理を行うためのフィルタを生成するフィルタ生成方法であって、
    左右のスピーカから測定信号を出力し、
    受聴者の左右の耳に装着可能な左右のマイクを用いて、前記測定信号を収音して、収音信号を取得するステップと、を備え、
    前記収音信号に基づいて、前記左右のスピーカから前記左右のマイクまでの伝達特性に応じたフィルタを生成するステップと、を備え、
    前記収音信号は前記ハイレゾリューションデジタル音声信号よりも低いサンプリング周波数の非ハイレゾリューションデジタル音声信号であり、前記収音信号のナイキスト周波数を超えない所定の周波数を第1の周波数とし、
    前記フィルタは、前記第1の周波数以下の周波数を含む低周波数帯域の振幅成分と、前記第1の周波数よりも高い周波数を含む高周波数帯域の振幅成分と、を含み、
    前記フィルタを生成するステップでは、
    前記フィルタの前記低周波数帯域の振幅成分を前記伝達特性の周波数振幅特性に応じて設定し、
    前記フィルタの前記高周波数帯域の振幅成分を前記低周波数帯域の振幅成分につなぎ合わせるように生成するフィルタ生成方法。
  16. 請求項15に記載のフィルタ生成方法をコンピュータに実行させるプログラム。
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