JPH08314476A - 騒音予測方法及び能動騒音制御装置 - Google Patents

騒音予測方法及び能動騒音制御装置

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JPH08314476A
JPH08314476A JP7122692A JP12269295A JPH08314476A JP H08314476 A JPH08314476 A JP H08314476A JP 7122692 A JP7122692 A JP 7122692A JP 12269295 A JP12269295 A JP 12269295A JP H08314476 A JPH08314476 A JP H08314476A
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JP
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noise
prediction
wave
signal
prediction coefficient
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Application number
JP7122692A
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English (en)
Inventor
Shigeharu Toyoda
重治 豊田
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Publication date
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  • Vibration Prevention Devices (AREA)
  • Soundproofing, Sound Blocking, And Sound Damping (AREA)
  • Filters That Use Time-Delay Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】騒音波の未来の予測を行うことにより、簡単な
構成で、広範囲にわたって騒音を消去することのできる
騒音予測方法を提供する。 【構成】騒音源の騒音情報を検出して電気信号に変換
し、サンプリングしてデータとしてメモリ5に蓄積し、
過去に蓄積されたデータに予測係数をかけることにより
表される未来時点の騒音予測値と、この騒音予測値に対
応する時点での騒音波の実測値との誤差を最小にする前
記予測係数を、例えば最小自乗法を用いて予測係数決定
部6で求め、前記求められた予測係数を用いて、騒音源
の騒音情報から騒音予測信号を生成する。 【効果】実際に騒音が生じる前に騒音波を予測し消音波
を作成することができ、処理系に遅延時間があっても、
騒音波に遅れることなく消音波を放射することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、騒音予測方法及び機器
の騒音を消去する能動騒音制御装置に関し、特に金属加
工等に用いられるプレス機等から発生する騒音を予測す
る騒音予測方法及びこの騒音を消去する能動騒音制御装
置に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】機器の
騒音を消去する方法として、騒音の位相と逆位相の音波
を発生する音源を用意して、この音源から発生する音波
によって音同士を干渉させて消去する方法が知られてい
る。この方法を実現する装置は、例えば特開平7−28
478号公報に開示されている。この開示内容によれ
ば、プレス機等から発生する騒音は毎回類似の波形を繰
り返し発生するとの前提の下に騒音波形を採取して記憶
し、騒音波形に適当な負の数をかけて作成した消音波を
適当なタイミングで放出する。これによって、原騒音波
と消音波とを逆位相にして消音することができる。消音
波の強度と放射のタイミングは、最も効果的な消音がで
きるように試行錯誤的に求めている。
【0003】しかしながら、前記開示技術では、騒音は
毎回類似の波形が生じると仮定しているが、実際の騒音
波形を測定すると、発生回ごとにかなり違っている。例
えば、音圧の最大値が異なることは勿論、波形自体も毎
回類似していない。このため、効果的な消音ができない
という問題がある。一方、騒音波と消音波との合成波を
マイクロホンでとらえ、このマイクロホンの出力が最小
となるように、音波の伝搬領域及び電気信号の伝送路を
含む伝送系の伝達関数を考慮したディジタルフィルタの
フィルタ係数を決定し、システム稼働時にはこのフィル
タ係数に基づいて適応制御をするシステムも提案されて
いる(特開平3−36897号公報参照)。
【0004】このシステムでは、騒音は毎回類似の波形
が生じると仮定する前記開示技術と異なり、毎回毎回実
測された騒音波から消音波を作成している。しかし、こ
のシステムでは、通常、マイクロホンの検出遅延時間、
ローパスフィルタの遅延時間、アルゴリズムによる信号
処理時間、スピーカの音波発生遅延時間等がある。この
ため、消音波が騒音波と同時に制御点(騒音を消去した
い点)に到達するためには、消音波を発生するスピーカ
を、騒音波の伝搬時間が前記遅延時間の合計に一致する
程度まで騒音源から遠ざけ、より作業者に近づけて設置
しなければならなくなる。しかし、騒音源とスピーカと
が離れると、騒音を消去できる領域が狭くなってしま
い、広範囲の騒音消去ができないという問題がある。
【0005】逆に広範囲の騒音消去のため騒音源とスピ
ーカとを近づけると、信号処理時間をできるだけ短縮し
なければならなくなるため、高速演算可能な高価な処理
装置(ディジタルフィルタ)を用意する必要があり、装
置の複雑化とコストアップにつながる。そこで、本発明
は、上述の技術的課題を解決し、騒音波の未来の予測を
行うことにより、簡単な構成で、広範囲にわたって騒音
を消去することのできる騒音予測方法及び能動騒音制御
装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用】前記の目的を達
成するための請求項1記載の騒音予測方法は、騒音源の
騒音情報を検出して電気信号に変換し、前記変換された
電気信号を取込み、サンプリングしてデータとして蓄積
し、過去に蓄積されたデータZに予測係数θをかけるこ
とにより表される未来時点の騒音予測値と、この騒音予
測値に対応する時点での騒音波の実測値Yとの誤差を最
小にする前記予測係数θを求め、前記求められた予測係
数θを用いて、騒音源の騒音情報から消音信号を生成す
る方法である。
【0007】前記の構成によれば、過去の騒音から未来
の騒音を予測する予測係数θを、「誤差を最小にする」
方法によって求めることができる。このため、実際に騒
音が生じる前に消音波を作成することができ、処理系に
遅延時間があっても、騒音波に遅れることなく消音波を
放射することができる。請求項2記載の能動騒音制御装
置は、騒音源の騒音情報を検出して電気信号に変換する
変換手段と、前記変換手段の電気信号を取込み、サンプ
リングし記憶するデータ蓄積手段と、前記データ蓄積手
段によって過去に蓄積された値Zに予測係数θをかける
ことにより表される未来時点の騒音予測値と、この騒音
予測値に対応する時点での騒音波の実測値Yとの誤差を
最小にする前記予測係数θを求めるシステム同定手段
と、前記システム同定手段により求められた予測係数θ
を用いて、前記変換手段の出力電気信号に基づき消音信
号を発生する手段と、前記手段により発生された消音信
号に対応する音波を放射する音波出力手段とを備えるも
のである。
【0008】この能動騒音制御装置によっても、過去の
騒音から未来の騒音を予測する予測係数θを求めること
ができ、実際に騒音が生じる前に消音波を作成すること
ができる。したがって、処理系に遅延時間があっても、
騒音波に遅れることなく消音波を放射して、騒音を消去
することができる。前記変換手段は、例えば音波の振動
を検出するマイクロホン又は騒音源の振動を直接検出す
るピックアップを採用すればよく、前記騒音波の実測値
Yは、例えばマイクロホンによって検出される。
【0009】
【実施例】以下実施例を示す添付図面によって詳細に説
明する。 <実施例1>図1は、プレス機に能動騒音制御装置を設
置した例を示す図であり、プレス機に加速度ピックアッ
プを取り付け、プレス機に近づけてマイクロホンを配置
している。プレス動作によって生じた振動は加速度ピッ
クアップで検出され、生じた騒音はマイクロホンにより
検出され、加速度ピックアップとマイクロホンの出力
は、それぞれ能動騒音制御装置1に入力され、能動騒音
制御装置1の出力消音波信号は、プレス機の傍に設置さ
れたスピーカに入力される。
【0010】前記加速度ピックアップには、圧電素子、
歪みゲージ等を使って振動の加速度を計測するセンサを
用いることができるし、または、弾性体で保持されたウ
ェイトの動きを電気容量変化や磁束密度変化で検出す
る、いわゆる加速度センサー形式のものも使用できる。
図2は、能動騒音制御装置1の内部構成を示すブロック
図である。
【0011】加速度ピックアップの出力信号は、増幅器
2aによって増幅され、増幅された信号はローパスフィ
ルタ3aにより高音成分が除かれ、A/D変換器4aに
よりサンプリングされ時系列ディジタル信号に変換さ
れ、メモリ5に記憶される。一方、マイクロホンの出力
信号は、増幅器2bによって増幅され、増幅された信号
はローパスフィルタ3bにより高音成分が除かれ、A/
D変換器4bによりサンプリングされ時系列ディジタル
信号に変換され、メモリ5に記憶される。
【0012】メモリ5に記憶された両方の時系列ディジ
タル信号は、予測係数決定部6に入力され、ここにおい
て、後述するように、騒音波を予測するために必要な予
測係数が決定される。この予測係数は消音波生成部7に
供給され、消音波生成部7では、この予測係数及び時系
列ディジタル信号を基にして消音波信号(ディジタル信
号)を作成する。
【0013】この消音波信号は、D/A変換器9により
アナログ波形に変換され、ローパスフィルタ10を経
て、増幅器11により増幅され、スピーカから放射され
る。前記予測係数決定部6は、入力された時系列ディジ
タル信号に基づいて、ある時間先の信号を予測するため
の予測係数を決定する機能を有している。以下、この予
測係数を決定する機能を説明する。
【0014】加速度ピックアップの信号及びマイクロホ
ンの信号のサンプリング周期をTとし、サンプリング時
刻をtT(tは整数)で表わす。サンプリングされたマ
イクロホンの信号をy(t) 、加速度ピックアップの信号
をu(t) で表わすと、予測係数決定部6は、過去の信号
に基づいて現在又は未来の時刻(t+n)Tにおける信
号y′(t+n) を予測する。ここでnは、0以上の一定の
整数である。具体的には、予測係数決定部6は、y′(t
+n) を、下記のように過去に計測された信号y(t-i) と
u(t-j) の線形結合 y′(t+n) =Σai y(t-i) +Σbj u(t-j) 〔iは1からpまで、jは1からqまで総和するものと
する。〕で表した場合に、予測誤差を最小にする予測係
数ai と予測係数bj とを決定する。
【0015】ここで、予測誤差を e(t) =y(t+n) −y′(t+n) と定義する。y′(t+n) を書き替えると、 e(t) =y(t+n) −〔Σai y(t-i) +Σbj u(t-j) 〕 となる。p,qのうち大きいほうの値をmax(p,q)とする
と、t=max(p,q)における予測誤差e(max(p,q))から、
t=Nにおける予測誤差e(N) までの自乗和 E=e(max(p,q))2 +e(max(p,q)+1) 2+‥‥+e(N) 2 を考える(Nはmax(p,q)より十分大きな整数とする)。
【0016】もし、p≧qと仮定すると、max(p,q)=p
であるから、前記予測誤差の自乗和Eは、 E=e(p) 2 +e(p+1) 2 +‥‥+e(N) 2 となる。予測誤差e(p) を計算するのに必要なデータ
は、y(0),y(1),‥‥, y(p-1) ,u(p-q),u(p-q+1),
‥‥, u(p-1) , y(p+n)であり、予測誤差e(p+1)を計
算するのに必要なデータは、y(1),‥‥, y(p) ,u(p
-q+1),u(p-q+2),‥‥, u(p) , y(p+n+1)であり、予測
誤差e(N) を計算するのに必要なデータは、y(N-p),y
(N-p+1),‥‥, y(N-1) ,u(N-q),u(N-q+1),‥‥, u
(N-1) , y(N+n)である。よって、予測誤差の自乗和Eを
計算するのに、時刻0から時刻(N+n)Tのデータが
あればよい。このようなデータは、プレス機を運転し騒
音を1回発生させて採取することができる。
【0017】予測係数決定部6は、予測誤差の自乗和E
を最小にするような予測係数ai と予測係数bj とを決
定する。この予測係数の決定は、周知の最小自乗法を使
えば行うことができる。予測誤差の自乗和Eは、ベクト
ル表記すると、 E=(Y−Zθ)T (Y−Zθ) と書くことができる。ここに、右上のTは転置を表し、
Yは(N−p+1)次元のベクトル Y=(y(p+n),y(p+n+1),‥‥,y(N+n) )T を表し、Zは(N−p+1)行(p+q)列の行列
【0018】
【数1】
【0019】を表し、θは(p+q)次元の予測係数の
ベクトル θ=(a1 ,a2 ,‥‥,ap ,b1 ,b2 ,‥‥,bq T を表す。予測誤差の自乗和Eが極値を持つとすれば、そ
れが最小値であるので、予測誤差の自乗和Eの微分 ∂E/∂θ=−2ZT Y+2ZT Zθ を0にするような予測係数のベクトルθが解になる。す
なわち、 (ZT Z)θ=ZT Y という方程式が得られる。この方程式を解くには、いろ
いろな手法を用いることができる。例えば逆行列を使え
ば、 θ=(ZT Z)-1T Y でθを求めることができる。上式の(ZT Z)-1は(p
+q)行(p+q)列の行列、ZT はYは(p+q)次
元のベクトルとなる。この式の次元を図解すると、図3
のようになる。
【0020】また、逆行列を使う方法以外に、LU分解
法を採用して連立方程式 (ZT Z)θ=ZT Y を解くこともできる。次に、消音波生成部7における、
消音波信号(ディジタル信号)の作成手法を説明する。
【0021】現在時刻をtTとする。消音波生成部7
に、過去の時刻(t−1)T,‥‥,(t−p)Tにお
けるマイクロホンの信号y(t-1) ,‥‥,y(t-p) を入
力し、過去の時刻tT,‥‥,(t−q)Tにおける加
速度ピックアップの信号u(t-1) ,‥‥,u(t-q) を入
力すると、消音波生成部7は、前記予測係数を用いて、
次式 y′(t+n) =Σai y(t-i) +Σbj u(t-j) 〔iは1からpまで、jは1からqまで総和するものと
する。〕に基づいて未来の時刻(t+n)Tにおける予
測信号y′(t+n) を作成し、D/A変換器9に出力す
る。
【0022】消音波生成部7は、次のサンプリング時刻
(t+1)Tでも過去の時刻tT,‥‥,(t−p+
1)Tにおけるマイクロホンの信号y(t) ,‥‥,y(t
-p+1)を入力し、過去の時刻tT,‥‥,(t−q+
1)Tにおける加速度ピックアップの信号u(t) ,‥
‥,u(t-q+1) を入力して、同様の予測信号y′(t+n+
1) を作成しD/A変換器7に出力する。このようにし
て、サンプリング時刻ごとに、nサンプリング後の予測
信号y′を出力するので、D/A変換器7では一連の予
測信号y′の列が得られる。D/A変換器7は、これら
の予測信号y′の列を、アナログ波形に変換する。
【0023】このようにして得られたアナログ波形は、
消音波生成部7に入力されるマイクロホンの信号波形の
nサンプリング先の信号波形を予測したものとなってい
る。したがって、この予測信号をローパスフィルタ10
に通して増幅器11により増幅し、スピーカから再生す
れば、もとのプレス機の騒音を消去することができる。
なお、増幅器11の増幅率は、マイクロホンで観測した
音を消音波生成部7で何の変形も加えずスピーカから出
力した時の音圧が、元の音の音圧と等しくなるように予
め調製しておく。
【0024】ここで、サンプリング周波数と、パラメー
タp,q,n,Nの選び方を解説する。まず、サンプリ
ング周波数は、人間の可聴周波数を考慮して10kHz
(T=0.1msec)程度にとる。したがって、ローパス
フィルタ3a,3b,10のカットオフ周波数もその半
分の5kHz以下とする。これ以上になると、折り返し
歪みが表れるからである。
【0025】次に、nは、過去の加速度ピックアップの
信号及びマイクロホンの信号に基づいてどの位未来の時
刻の騒音波を予測するかに応じて決まる整数である。騒
音源とスピーカとが十分に近い場合には、このnは、騒
音波の放射時刻とこれに対応する消音波の放射時刻とが
同時になるように、マイクロホンの検出遅延時間(また
は加速度ピックアップの遅延時間とのいずれか大きい
方)、騒音予測方法及び能動騒音制御装置1のローパス
フィルタ3a,3b,10等の遅延時間、消音波生成部
77の信号処理時間、スピーカの音波発生遅延時間等か
ら決まる時間に合わせて予め決定すればよい。
【0026】p,qは、どの程度過去までの信号に基づ
いて、未来の時刻の騒音波を予測するかに応じて決まる
整数であり、対象によって適当な大きさ、通常、5から
20位にすればよい。また、Nが大きいほど精度のよい
同定ができるが、騒音波の持続時間をはみ出しては逆効
果となる。したがって、サンプリング周波数と騒音波の
通常の持続時間を考慮すれば、Nは103 から104
オーダーとなる。 <実施例2>この実施例では、プレス機に加速度ピック
アップとマイクロホンを配置する構成は、実施例1と同
様であるが、能動騒音制御装置1aの機能構成(図4参
照)が、実施例1と異なっている。
【0027】以下相違点のみを説明すると、予測係数決
定部6は、入力されたマイクロホンのみの時系列ディジ
タル信号に基づいて、ある時間先の信号を予測するため
の予測係数を決定する。すなわち、サンプリング時刻t
Tにおいて、サンプリングされたマイクロホンの信号を
y(t) で表わすと、予測係数決定部6は、過去の信号に
基づいて現在又は未来の時刻(t+n)Tにおける信号
y′(t+n) を予測する。ここでnは、0以上の一定の整
数である。具体的には、予測係数決定部6は、y′(t+
n) を、下記のように過去に計測された信号y(t-i) の
線形結合 y′(t+n) =Σai y(t-i) 〔iは1からpまで総和するものとする。〕で表した場
合に、予測誤差を最小にする予測係数ai を決定する。
【0028】予測誤差は、 e(t) =y(t+n) −y′(t+n) =y(t+n) −Σai y(t-i) となる。そして、予測誤差eの自乗和 E=e(p) 2 +e(p+1) 2 +‥‥+e(N) 2 を考える。予測誤差e(p) を計算するのに必要なデータ
は、y(0),y(1),‥‥,y(p-1) , y(p+n)であり、予測
誤差e(p+1) を計算するのに必要なデータは、y(1),‥
‥, y(p) , y(p+n+1)であり、予測誤差e(N) を計算す
るのに必要なデータは、y(N-p),y(N-p+1),‥‥, y(N
-1) , y(N+n)である。したがって予測誤差の自乗和Eを
計算するのに、時刻0から時刻(N+n)Tまでのデー
タがあればよい。このようなデータは、プレス機を運転
し騒音を1回発生させてマイクロホンを用いて採取する
ことができる。
【0029】予測係数決定部6は、予測誤差の自乗和E
を最小にするような予測係数ai を決定する。この予測
係数の決定は、周知の最小自乗法を使えば行うことがで
きる。この方法は、実施例1で説明したのとほぼ同様で
あるが、異なるところは、θがp次元の予測係数のベク
トル θ=(a1 ,a2 ,‥‥,ap T であり、Zは(N−p+1)行p列の行列
【0030】
【数2】
【0031】であることである。その解法は、実施例1
で説明したのと同じである。消音波生成部7は、過去の
時刻(t−1)T,‥‥,(t−p)Tにおけるマイク
ロホンの信号y(t-1) ,‥‥,y(t-p) を入力し、前記
予測係数を用いて、次式 y′(t+n) =Σai y(t-i) 〔iは1からpまで総和するものとする。〕に基づいて
未来の時刻(t+n)Tにおける予測信号y′(t+n) を
作成し、D/A変換器9に出力する。この予測信号をロ
ーパスフィルタ10に通して増幅器11により増幅し、
スピーカから再生すれば、もとのプレス機の騒音を消去
することができる。 <実施例3>この実施例では、プレス機に加速度ピック
アップとマイクロホンを配置する構成は、実施例1,2
と同様であるが、能動騒音制御装置1bの機能構成(図
5参照)が、実施例1,2と異なっている。
【0032】以下相違点のみを説明すると、予測係数決
定部6は、入力された加速度ピックアップのみの時系列
ディジタル信号に基づいて、ある時間先の信号を予測す
るための予測係数を決定する。すなわち、サンプリング
時刻tTにおいて、サンプリングされた加速度ピックア
ップの信号をu(t) で表わすと、予測係数決定部6は、
過去の信号に基づいて現在又は未来の時刻(t+n)T
における信号y′(t+n) を予測する。ここでnは、0以
上の一定の整数である。具体的には、予測係数決定部6
は、y′(t+n)を、下記のように過去に計測された信号
u(t-j) の線形結合 y′(t+n) =Σbj u(t-j) 〔jは1からqまで総和するものとする。〕で表した場
合に、予測誤差の自乗和を最小にする予測係数bj を決
定する。
【0033】予測誤差は e(t) =y(t+n) −y′(t+n) =y(t+n) −Σbj u(t-j) となる。そして、予測誤差eの自乗和 E=e(q) 2 +e(q+1) 2 +‥‥+e(N) 2 を考える。予測誤差e(q) を計算するのに必要なデータ
は、u(0),u(1),‥‥,u(q-1) , y(q+n)であり、予測
誤差e(q+1) を計算するのに必要なデータは、u(1),u
(2),‥‥, u(q) , y(q+n+1)であり、予測誤差e(N) を
計算するのに必要なデータは、u(N-q),u(N-q+1),‥
‥, u(N-1) , y(N+n)である。よって、予測誤差の自乗
和Eを計算するのに、時刻0から時刻(N+n)Tまで
のデータがあればよい。このようなデータは、プレス機
を運転し騒音を1回発生させて加速度ピックアップを用
いて採取することができる。
【0034】予測係数決定部6は、予測誤差の自乗和E
を最小にするような予測係数bj を決定する。この予測
係数の決定は、周知の最小自乗法を使えば行うことがで
きる。この方法は、実施例1,2で説明したのとほぼ同
様であるが、異なるところは、θがq次元の予測係数の
ベクトル θ=(b1 ,b2 ,‥‥,bq T であり、Zは(N−q+1)行q列の行列
【0035】
【数3】
【0036】であることである。その解法は、実施例1
で説明したのと同じである。消音波生成部7は、過去の
時刻(t−1)T,‥‥,(t−q)Tにおけるピック
アップの信号u(t-1) ,‥‥,u(t-q) を入力し、前記
予測係数を用いて、次式 y′(t+n) =Σbj u(t-j) 〔jは1からqまで総和するものとする。〕に基づいて
未来の時刻(t+n)Tにおける予測信号y′(t+n) を
作成し、D/A変換器9に出力する。この予測信号をロ
ーパスフィルタ10に通して増幅器11により増幅し、
スピーカから再生すれば、もとのプレス機の騒音を消去
することができる。 <変更例>以上の実施例では、一度決定された予測係数
は、不変のものとして予測信号y′(t+n) を作成してい
るが、騒音発生過程のモデルは時間の経過とともに変化
することがあるので、LMSアルゴリズム等の適応制御
を用いたり、逐次的な同定法であるRLS法(Recursive
Least Square Method)を採用することにより、予測係
数を適宜変化させていってもよい。
【0037】また、観測雑音の過去値をモデルに含むAR
MAX モデルや、予測係数に関して非線形のモデルを用い
てもよい。予測係数の決め方についても、最小自乗法の
他に、非線形関数に対する最急降下法、共役勾配法等を
あげることができる。 <シミュレーション例>実施例2のモデルを使って消音
効果を予想してみた。
【0038】鍛造プレス機の音を工場で録音し、カット
オフ周波数3kHzのローパスフィルタを通して12.8kH
z でサンプリングして記憶した。図6(a) は、鍛造プレ
ス機の騒音の記憶された波形を表す。過去のサンプリン
グ信号に基づいて、次の式で表される現在の時刻tT
(nは0とした)における信号y′(t) を予測した。
【0039】y′(t) =Σai y(t-i) 〔iは1から8まで総和するものとする。〕 ここで、実測データ個数N=6300(約0.49秒間
サンプリング)としたので、実測データ列Yは、 Y=(y(8),y(9),‥‥,y(6300))T となる。実測データの行列Zは、6293行8列の行列
【0040】
【数4】
【0041】となり、θは8次元の予測係数のベクトル θ=(a1 ,a2 ,‥‥,a8 T となる。予測係数のベクトルθを、連立方程式 (ZT Z)θ=ZT Y で表し、LU分解法で解いて求めた。
【0042】前記の連立方程式を解いて求めた予測係数
を使って、消音波を作り、もとの鍛造プレス機の騒音と
合成した結果、図6(b) に示すような平坦な残留波形が
得られた。なお、正確にいえば、最初のp(p=8)デ
ータ分は予測ができないので、騒音を消去できないはず
だが、原騒音波形は、一般に立ち上がりから大きく表れ
ることはないため、最初の騒音が消去できなくても問題
はない。
【0043】なお、図7は騒音波形と残留波形とのスペ
クトルを表わす。図7によれば、3kHzよりも低い騒
音が良好に抑圧されていることが分かる。次に、nの値
を変えて、過去のサンプリング信号に基づいて、次の式
で表される時刻(t+n)Tにおける信号y′(t+n) を
予測した。 y′(t+n) =Σai y(t-i) この結果、もとの騒音と残留騒音との音圧レベルの差
を、元の騒音波の音圧レベルがピークになっている時点
で測定したところ、表1のようになった。
【0044】
【表1】
【0045】この表1から分かるように、nの値が小さ
なほど、すなわち過去の騒音波形から近い未来の騒音波
形を予測するほど消音の効果は大きく、nの値が大きな
ほど、すなわち過去の騒音波形から遠い未来の騒音波形
を予測するほど消音の効果は小さいことが分かる。した
がって、nは、システムの処理系の遅延時間と、消音の
効果との兼ね合いで定めるとよい。
【0046】
【発明の効果】以上のように本発明の騒音予測方法によ
れば、過去の実測データに基づいて、実際に騒音が生じ
る前に騒音を予測し、消音波を作成することができる。
このため、処理系に遅延時間があっても、騒音波に遅れ
ることなく消音波を作成することができる。
【0047】また、本発明の能動騒音制御装置によれ
ば、過去の実測データに基づいて、実際に騒音が生じる
前に騒音を予測し消音波を作成することができる。この
ため、処理系に遅延時間があっても、騒音波に遅れるこ
となく消音波を放射することができるので、消音源を騒
音源に近接させることができ、広範囲にわたり騒音を消
去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】プレス機に能動騒音制御装置を設置した状態を
示す図である。
【図2】実施例1に係る能動騒音制御装置1の機能構成
を示すブロック図である。
【図3】予測係数のベクトルθを求める方程式の次元を
示す図解図である。
【図4】実施例2に係る能動騒音制御装置1の機能構成
を示すブロック図である。
【図5】実施例3に係る能動騒音制御装置1の機能構成
を示すブロック図である。
【図6】(a) は鍛造プレス機のもとの騒音波形を示すグ
ラフであり、(b) は実際に求めた予測係数を使って、消
音波を作り、鍛造プレス機のもとの騒音波形と合成した
結果得られた残留波形を示すグラフである。
【図7】騒音波形と残留波形とのスペクトルを比較した
グラフである。
【符号の説明】
1 能動騒音制御装置 2a,2b増幅器 3a,3bローパスフィルタ 4a,4bA/D変換器 5a,5bメモリ 6 予測係数決定部 7 消音波生成部 9 D/A変換器 10 ローパスフィルタ 11 増幅器

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】騒音源の騒音情報を検出して電気信号に変
    換し、 変換された前記電気信号を取込み、サンプリングしてデ
    ータとして蓄積し、 過去に蓄積されたデータに予測係数をかけることにより
    表される未来時点の騒音予測値と、この騒音予測値に対
    応する時点での騒音波の実測値との誤差を最小にする前
    記予測係数を求め、 求められた前記予測係数を用いて、騒音源の騒音情報か
    ら消音信号を生成することを特徴とする騒音予測方法。
  2. 【請求項2】騒音源から発生される騒音波に対して、逆
    位相の音波を発生し干渉させることにより騒音を消去す
    る能動騒音制御装置において、 騒音源の騒音情報を検出して電気信号に変換する変換手
    段と、 前記変換手段の電気信号を取込み、サンプリングし記憶
    するデータ蓄積手段と、 前記データ蓄積手段によって過去に蓄積された値に予測
    係数をかけることにより表される未来時点の騒音予測値
    と、この騒音予測値に対応する時点での騒音波の実測値
    との誤差を最小にする前記予測係数を求めるシステム同
    定手段と、 前記システム同定手段により求められた予測係数を用い
    て、前記変換手段の出力電気信号に基づく消音信号を発
    生する消音信号発生手段と、 前記消音信号発生手段により発生された消音信号に対応
    する音波を放射する音波出力手段とを備えることを特徴
    とする能動騒音制御装置。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1114652A (ja) * 1997-06-27 1999-01-22 Casio Comput Co Ltd 運動データ推定装置、運動データ推定方法、運動データ推定処理プログラムを記録した記録媒体
JP2007180922A (ja) * 2005-12-28 2007-07-12 Audio Technica Corp ノイズキャンセルヘッドホン
JP2007189530A (ja) * 2006-01-13 2007-07-26 Audio Technica Corp ノイズキャンセルヘッドホンおよびヘッドホンにおけるノイズキャンセル方法
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KR20210099963A (ko) * 2020-02-05 2021-08-13 국방과학연구소 능동형 반사음 차폐 장치

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