JP2007176777A - Ga含有窒化物半導体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ガリウム化合物を含む第一ガスと、窒素化合物を含む第二ガスを、気相成長装置の成長室内へ供給して、当該成長室内に設置した基板上にGa含有窒化物半導体を成長させるGa含有窒化物半導体の製造方法であって、前記第一ガス及び前記第二ガスを前記成長室内へ供給している期間の少なくとも一部において、特定の式を満たすように、HClガスを含む第三ガスを前記第一ガスの供給口とは別の供給口から前記成長室内へ供給することを特徴とするGa含有窒化物半導体の製造方法。
【選択図】図1
Description
Ga含有窒化物半導体は、ハイドライド気相成長法(HVPE)や有機金属化学気相成長法(MOCVD)等の気相成長法によって製造することができる。Ga含有窒化物半導体として、窒化ガリウム半導体の単純なウェハーを製造したい場合には、例えば、サファイア等の基板を気相成長装置の成長室内に積置し、該成長室内にガリウム化合物を含有するガスと、窒素化合物を含有するガスを供給することで、基板上に窒化ガリウム半導体を数μm〜数cmの厚さにまで成長させる。また、窒化ガリウム半導体を一部に含む半導体ウェハーを製造したい場合には、例えば、サファイア等の基板を気相成長装置の成長室内に積置し、上記と同様の方法で窒化ガリウム半導体を形成するが、その成長工程の前後に、半導体装置の構成に応じて他の半導体単結晶膜または他材料の機能膜を形成し、必要に応じてエッチング等の加工を行う。
具体的には、Ga含有窒化物の成長が進んで比較的厚膜になると、基板を載置したサセプターに非常に多量のGa含有窒化物が随伴的に付着するため、ウェハーがサセプターに固定されてしまう。この時にサセプターの温度を降下させると、サセプターの材質とGa含有窒化物の熱膨張係数の差により、ウェハーがダメージを受けてクラックが発生したり、ひどい場合には割れてしまうことがあった。
さらに、このような条件下で成長を続けると、成長室の内壁にもGa含有窒化物が随伴的に付着する。この状態で降温させると、リアクターの内壁のGa含有窒化物が付着した部分の石英部材が、熱膨張係数の違い等により破損してしまうので、HVPE装置を何度も繰り返し使用することができなかった。
また、成長室内のサセプター近傍や内壁に多量のGa含有窒化物が随伴的に付着していると、供給されたガスが該随伴的なGa含有窒化物の表面にさらに付着しやすくなり、ウェハー上の堆積が阻害されるので、成長が進むにつれて窒化ガリウムの成長速度が低下し、充分な膜厚に到達しにくくなるという問題もあった。
しかし、その一方で縦型のHVPE装置には、Ga化合物ガスの供給口付近に窒化ガリウム(GaN)やガリウム(Ga)等が付着し、それらの液滴がウェハー上に落下する、いわゆる「ごみ落ち」が発生するという問題があった。この問題は、厚膜達成のために高速成長を行う場合に特に顕著であるが、Ga化合物ガスの供給量を落としても皆無とはならなかった。
また、サセプターや成長室内壁を、Ga含有窒化物が付着し難い材質(PBN(Pyrolytic Boron Nitride);熱分解窒化ホウ素)やTaC(炭化タンタル)とすることで、Ga含有窒化物の随伴的付着を防止することができる。しかし、このような材質を使用すると基板上に堆積させるGa含有窒化物半導体膜中に不純物が混入し、欠陥発生等でウェハーに悪影響を与える可能性がある。
さらに、縦型のHVPE装置を用いる場合のガス供給口からのごみ落ちの問題は、成長室内のウェハー上に傘を設置することで解消できるが、Ga含有窒化物半導体は気相成長中では、成長するための温度が高いため、ウェハーより上流に障害物を設置すると、原料ガスが早くから分解/合成し、原料ガスが分子状態のままで基板の位置まで到達しづらくなるため、成長効率が非常に低下するばかりではなく、基板上でのGa含有窒化物半導体の膜厚や膜質の分布のばらつきも発生するという別の問題が生じる。そのため、ウェハー上に傘を設置するという方法は、あまり良い対策とは言えない。
本発明の目的は、Ga含有窒化物半導体を製造する方法において、気相成長装置の成長室内の基板以外の部分へのGa含有窒化物半導体の随伴的な付着、特に厚膜形成を行いたい場合の当該Ga含有窒化物の随伴的な付着を防止することにより当該付着による様々な問題を解消し、且つ基板上へのGa含有窒化物半導体の成長が阻害されることなく、生産性が高いGa含有窒化物半導体の製造方法を提供することにある。
式(1) 1%≦(成長速度(A)−成長速度(B))/成長速度(A)≦20%
式(2) 1%≦(成長速度(A)−成長速度(C))/成長速度(A)≦20%
(成長速度(A):第一ガス及び第二ガスを成長室内へ供給することを開始してから1時間の間における基板上でのGa含有窒化物半導体の成長速度。
成長速度(B):第一ガス及び第二ガスを成長室内へ供給している全期間における基板上でのGa含有窒化物半導体の成長速度。
成長速度(C):第一ガス及び第二ガスを成長室内へ供給することを開始してから、第一ガスまたは第二ガスの供給を終了するまでのいずれかの時点までの期間における基板上でのGa含有窒化物半導体の成長速度。)
本発明のGa含有窒化物半導体の製造方法によれば、原料ガスを含む第一ガス及び第二ガスとは別に、エッチング作用のあるHClガスを含む第三ガスを、基板上での成長を大きく阻害しないように少量だけ成長室内へ供給する。基板は本質的にGa含有窒化物半導体の結晶が成長しやすい材質であるため、基板表面での結晶成長速度は比較的大きい。これに対して、成長室内の基板以外の部分は本質的に結晶が成長しにくい材質であり、そのような部分での結晶成長速度は比較的小さい。そこで、第一ガス及び第二ガスを前記成長室内へ供給している期間において、式(1)又は式(2)を満たすように、HClガスの供給量を調節することによって、基板上での結晶成長に対しては大きな影響を与えない範囲で、基板以外の場所では付随的付着の阻止に対して充分に有効なエッチング作用が得られる。その結果、基板周囲のサセプターや成長室内壁の表面等、基板以外の部分に窒化ガリウムを付着させることなく、窒化ガリウム半導体を位置選択的に基板上に成長させることができる。
また、本発明のGa含有窒化物半導体の製造方法は、上記第三ガス供給口が、上記第一ガス供給口よりも供給ガスの流れの上流側に配置されていることが、第一ガス供給口に付着するガリウムの液滴を第三ガスで除去し、基板上へのゴミ落ちを防止できる点から好ましい。
従って、Ga含有窒化物半導体を成長させた基板のひび割れが起きず、成長室やサセプターの耐用期間も長寿命化することができる。また、成長室内の基板以外の部分に付着したGa含有窒化物を除去する作業を少なくすることができる。
式(1) 1%≦(成長速度(A)−成長速度(B))/成長速度(A)≦20%
式(2) 1%≦(成長速度(A)−成長速度(C))/成長速度(A)≦20%
(成長速度(A):第一ガス及び第二ガスを成長室内へ供給することを開始してから1時間の間における基板上でのGa含有窒化物半導体の成長速度。
成長速度(B):第一ガス及び第二ガスを成長室内へ供給している全期間における基板上でのGa含有窒化物半導体の成長速度。
成長速度(C):第一ガス及び第二ガスを成長室内へ供給することを開始してから、第一ガスまたは第二ガスの供給を終了するまでのいずれかの時点までの期間における基板上でのGa含有窒化物半導体の成長速度。)
Ga含有窒化物半導体結晶は、Gaと窒素を含有する半導体であれば特に制限はないが、特にBxAlyGazIn1−x−y−zN(式中、0≦x≦1、0≦y<1、0<z≦1)で表される組成であることが好ましい。ここで、xは好ましくは0≦x≦0.5、特に好ましくは0≦x≦0.25であり、yは好ましくは0≦y≦0.75、特に好ましくは0≦y0.5であり、zは好ましくは0.5≦z≦1、特に好ましくは0.75≦z≦1である。
例えば、GaN、InxGa1−xN(0≦x<1)、GaxAl1−xN(0≦x<1)で表される結晶等が挙げられ、特に一般式(AlxGa1−x)yIn1−yN(0≦x<1、0≦y≦1)で表される結晶であることが最も好ましい。
第一ガスは少なくともガリウム化合物、第二ガスは少なくとも窒素化合物をそれぞれ含有するが、Ga、N以外の元素を含むGa含有窒化物半導体を製造する場合は、所望の組成の結晶を得るために必要な原料化合物を加えた第一ガス及び第二ガスとする。当該ガリウム化合物、当該窒素化合物、及び当該原料化合物を基板上で反応させることにより所望のGa含有窒化物半導体を得ることができる。
一方、第三ガスは、Ga含有窒化物半導体に対してエッチング作用を有するHClガスを含有するガスである。第三ガスとしては、HClガスのほかには如何なる反応性ガスも実質的に含んでいないものを用いる。第一ガスは、ガリウム単体からガリウム化合物を生成させる予備処理のために用いたHClガスやHCl以外のハロゲン原子含有ガスを含有している場合がある。このような第一ガスの予備処理に用いられるハロゲン原子含有ガスには、エッチング作用を有するものが多い。これに対して、第三ガスに含有されるHClガスは、第一ガスの供給口とは別の供給口から成長室内へ供給されるFree−HClガスであり、第一ガスに混入している場合があるハロゲン原子含有ガスとはプロセス上区別される。
基板は本質的にGa含有窒化物半導体の結晶が成長しやすい材質であり、基板表面での結晶成長速度は比較的大きい。これに対して、成長室内の基板以外の部分は本質的に結晶が成長しにくい材質であり、そのような部分での結晶成長速度は比較的小さい。そこで、Free−HClガスを含む第三ガスの供給量を調節することによって、基板上での結晶成長に対しては大きな影響を与えない範囲で、基板以外の場所では付随的付着の阻止に対して充分に有効なエッチング作用が得られる。その結果、基板の周囲のサセプターや成長室の内壁の表面等、基板以外の部分にGa含有窒化物を付着させることなく、Ga含有窒化物半導体を位置選択的に基板上に成長させることができる。
式(1) 1%≦(成長速度(A)−成長速度(B))/成長速度(A)≦20%
式(2) 1%≦(成長速度(A)−成長速度(C))/成長速度(A)≦20%
(成長速度(A):第一ガス及び第二ガスを成長室内へ供給することを開始してから1時間の間における基板上でのGa含有窒化物半導体の成長速度。
成長速度(B):第一ガス及び第二ガスを成長室内へ供給している全期間における基板上でのGa含有窒化物半導体の成長速度。
成長速度(C):第一ガス及び第二ガスを成長室内へ供給することを開始してから、第一ガスまたは第二ガスの供給を終了するまでのいずれかの時点までの期間における基板上でのGa含有窒化物半導体の成長速度。)
すなわち、前記第一ガスと前記第二ガスの前記成長室内への供給開始1時間経過後から、該第一ガスと該第二ガスの供給を終了するまでのいずれの時点においても、該第一ガスと該第二ガスの該成長室内への供給を開始してから1時間の間における該基板上での窒化ガリウム半導体の成長速度に対する、各時点までの該第一ガスと該第二ガスの該成長室内への供給開始から各時点までの間における該基板上での窒化ガリウム半導体の成長速度の低下が上記範囲内となるように、第三ガスの供給量を調節する。
第三ガス供給口8は、第一ガス供給口6よりも供給ガスの流れの上流側に配置することが好ましい。このようにすることで、HClガスを含む第三ガスが成長室内を流れていく途中で、第一ガス供給口6に接触し易くなるので、第一ガス供給口付近に発生するGa含有窒化物やガリウム等の金属単体の液滴を、第三ガスに含まれるHClガスと反応させて、塩化ガリウム(GaCl)ガスに変化させることができる。
これにより、特に縦型のHVPE用気相成長装置を用いて窒化ガリウム半導体を製造する場合には、第一ガス供給口から窒化ガリウム半導体上へのゴミ落ちを防止することができる。
また、第二ガス供給口7は、第一ガス供給口6よりも供給ガスの流れの下流側に配置することが好ましい。このようにすることで、第一ガス供給口6に窒素化合物を含む第二ガスが接触しにくくなるので、第一ガス供給口付近でのガリウム等の金属液滴の発生が少なくなる。これにより、やはり第一ガス供給口から窒化ガリウム半導体上へのゴミ落ちを防止することができる。
サセプターは成長室から取り外し可能であり、搬送のための基板キャリアとしても機能する。また、サセプターは、成長室内でのGa含有窒化物半導体の成長速度の場所依存性を少なくする点から、回転機構を有することが好ましい。
成長室の内壁は、供給ガスがサセプター上の基板に達するまでのガスの流れに乱れを生じさせず、できるだけ成長室の内壁に同じガスが何度も触れないように流れるような形状であれば、基板の枚数、大きさ等により適宜選択することができる。
本発明で用いる基板は、特に限定されるものではないが、Ga含有窒化物半導体を成長させるための基板であることが望ましく、例えば、サファイア(0001)基板、当該サファイア(0001)基板上にMOCVD法等でZnOバッファー層やGaNバッファー層を堆積させたウェハー、当該バッファー層上に更にGaNを堆積したウェハー等を用いることができ、中でも当該バッファー層上に更にGaNを堆積したウェハーが好ましい。
尚、成長装置は図1に示すような縦型のものでも、図2に示すような横型のものであってもよい。
随伴的付着が一旦発生した部分は、さらにGa含有窒化物半導体が付着しやすくなるので、さらに多量の随伴的付着を引き起こし、成長速度が低下したり、その低下率の予測を困難にしたりする。これに対して、本発明のGa含有窒化物半導体の製造方法によれば、随伴的付着の加速度的増加を防止するため、基板上でのGa含有窒化物半導体の成長速度は途中で低下することなくほぼ一定に維持されるから、成長速度が大きく、且つ、膜厚制御性に優れている。従って、Ga含有窒化物半導体の厚膜や大きな単結晶を容易に得ることができる。
従って、Ga含有窒化物半導体を成長させた基板のひび割れが起きず、成長室やサセプターの耐用期間も長寿命化することができる。また、成長室内の基板以外の部分に付着したGa含有窒化物を除去する作業を少なくすることができる。
尚、以下に示す製造方法は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
また、第二ガスである窒素化合物を含むガスとして、アンモニアガス、若しくは窒素化合物で希釈されたアンモニアガスが好ましく用いられる。
上記供給口は、供給ガスの上流側から下流側に向かって、第三ガス供給口、第一ガスの供給口、第二ガスの供給口の順に配置されることが好ましい。このようにすることで、第一ガス供給口付近に発生するガリウムの液滴をHClと反応させて、塩化ガリウム(GaCl)に変化させることができるので、特に縦型のHVPE用気相成長装置を用いて、Ga含有窒化物半導体を製造する際に、ガリウム液滴が第一ガス供給口から基板上に落下する問題、すなわちごみ落ちを防止し、欠陥の発生を防止することができる。
縦型のHVPE用装置の場合、ごみ落ちの発生頻度を少なくするため、基板表面の法線に対してガスの流れる方向が90°〜45°程度の向きになるように、サセプター上に基板を設置することが妥当である。
まず、窒化ガリウム半導体を堆積させるための基板として、例えばサファイア(0001)基板を用意し、必要に応じて洗浄を行い、サセプターに取りつけ、成長室内にセットする。
第一ガス供給口からのN2ガス又はH2ガスの供給量は分圧で5.0×10−3〜5.0×10−2atm、第二ガス供給口からのN2ガス又はH2ガスの供給量は分圧で5.0×10−3〜5.0×10−2atmであることが好ましい。
また、成長室の温度が950〜1100℃に、ガリウム源の温度が800〜900℃になるように加熱し、成膜中はこの温度を維持することが好ましい。
3〜50時間の成長を行った後、HClガスの供給を停止し、電気炉の電源を切断し、ガリウム源を含む成長室全体を降温する。NH3ガスは成長室内部の温度が300℃に下がるまで供給する。
室温まで降温した後にサセプターを成長室から取り外し、更にサファイア基板をサセプターから取り外して、サファイア基板上に成長させた窒化ガリウム半導体膜を得ることができる。
本発明で得られる窒化ガリウム単結晶膜の膜厚は、結晶成長の時間に比例するため、10μm〜5mmの範囲で自由に制御することができる。
MOCVD用の気相成長装置を図4に示す。本装置では、原料のガリウム化合物としてトリメチルガリウム(TMG)等の有機化合物を用いることから、この化合物の分解を抑制するため、装置全体を加熱せず、基板を局所的に加熱する方式を取ることが必要となる。このため前述したHVPE用の気相成長装置とは加熱手段が異なる。また、HVPE用の気相成長装置では、第一ガスとしてハロゲン化ガリウムを用いる関係上、ハロゲン系ガス供給口及びガリウム源を設けていたが、MOCVD用の気相成長装置ではこれらは不要である。これらの点を除き、上記HVEP用気相成長装置と同様の位置関係で成長室内部にガス供給口、サセプター等が設けられている。
尚、MOCVD用気相成長装置の成長室内部の容積については、所望の成長速度が得られるようにするため、該成長室内に設置する基板の大きさ、枚数などにより適宜選択することができる。
まず2インチのサファイア(0001)基板を有機洗浄した後、100℃のリン酸と硫酸の混合液に30分間浸してエッチングを行い、流水洗浄して成長表面処理を行う。つづいて、洗浄したサファイア基板を成長室内のサセプター3に取り付ける。
次に、サファイア基板の温度を500℃に降温する。温度が安定してから、第一ガス供給口からN2ガスとH2ガス、及びトリメチルガリウム(TMG)を供給し、第二ガス供給口からN2ガスとH2ガス、およびNH3ガスを供給する。このとき同時にFree−HClを供給する。更に、キャリアガス(雰囲気ガス)供給口からキャリアガスを供給することが好ましい。
次に、TMGガスの供給を停止し、NH3ガスを供給しながらサファイア基板を、約12分間で1070℃の温度に昇温した。温度が安定してから導入管よりTMGを供給しGaN膜を成長した。TMGの流量は50〜1000μmol/minが好ましい。
サファイア基板上に成長したGaN膜は平坦な表面であり、得られる窒化ガリウム単結晶膜の膜厚は、結晶成長の時間に比例するため、1〜30μmの範囲で自由に制御することができる。
尚、以下の実施例では図2に示すHVPE用気相成長装置を用いて行った。
GaリザーバーへHClガスを流す供給配管以外に、ウェハー近傍にHClガスを流す供給配管を持ったHVPE装置を使用して実験を行った。先ず、SiCコーティングされたカーボンサセプターに、2インチのサファイア基板上にMOCVD装置で4μmのGaNを成長させた下地基板を載置した。
基板を載置したサセプターをHVPE装置に取り付けて、GaリザーバーへHClガスを分圧5.3×10−3atm、キャリアガス(H2ガス)を分圧2.7×10−2atmで、成長室内へNH3ガスを分圧4.3×10−2atm、キャリアガス(H2ガス)を分圧4.3×10−2atmで、基板温度を1050℃で、及び、成長室の内部圧力を常圧で24時間供給してGaNを成長させた。この時に、キャリアガスとしてH2を流量18slmで供給した。さらに、Gaリザーバーへ供給するのとは別に、HClガスを分圧2.7×10−4atmで成長室内へ供給した。
成長が終了してからサセプターを取り出したところ、HClガスをGaリザーバーへの供給と平行して、成長室内へも分圧2.7×10−4atmで供給した場合の効果は、GaリザーバーからのGa液滴の落下を防ぐことができ、さらにはGaリザーバーの出口でのGa析出を防ぐことができた。
しかし、ウェハー近傍に付着するGa多結晶は、まだ残っていることが目視観察された。このとき同じ成長条件でGaNの成長速度を測定したところ、成長開始から1時間後までの初期成長速度は111μm/hで、成長工程の開始から終了に至る全期間の成長速度は98μm/hであった。初期成長速度に対する成長工程の全期間における成長速度の低下は、20%を上回ることはなかった。
Gaリザーバーに流す以外に8.0×10−4atmのHClガスを成長室内に流したこと以外は、実施例1と同じ条件で結晶成長を行った。
成長が終了してからサセプターを取り出したところ、HClガスをGaリザーバーへの供給と平行して、成長室内へも分圧8.0×10−4atmで供給した場合の効果は、GaリザーバーからのGa液滴の落下を防ぐことができた。
また、ウェハー近傍へのGa多結晶の付着は全くないことが、目視観察により確認された。更に、図5に示す基板上に成長した結晶の表面光学顕微鏡写真から、表面は非常に平坦でモフォロジーも良好であることが認められた。この時の、GaNの成長開始から1時間後までの初期成長速度は77μm/hで、成長の開始から終了に至る全期間の成長速度は66μm/hであった。初期成長速度に対する成長工程の全期間における成長速度の低下は、20%を上回ることはなかった。
Gaリザーバー及び成長室内へのガス供給時間を5時間、9時間、18時間、24時間の4種類設定して、実施例2の条件でガスを導入し、4種類のGaNのウェハーを成長した。
成長が終了してからサセプターを取り出したところ、Gaリザーバーへ供給するのとは別にHClガスを分圧で8.0×10−4atm流した場合の効果はGaのリザーバーからの液滴が防げ、更にウェハー近傍に付着する多結晶は付着しなくなった。成長したGaNウェハーの膜厚は、それぞれ375μm(5時間、75μm/h)、607μm(9時間、67μm/h)、1207μm(18時間、67μm/h)、1600μm(24時間、66μm/h)であった。このとき、成長工程の開始から終了までのいずれの時点においても、初期成長速度(77μm/h)に対する成長速度の低下は20%を下回ることはなかった。
最初の10時間はGaリザーバーに流す以外のHClガスを2.8×10−4atmとし、10時間目から15時間目までは、5.3×10−4atm、15時間目から24時間目までは、8.0×10−4atmとしたこと以外は、実施例2の条件で24時間結晶成長させた。サセプター全体へのGaN多結晶の付着がなくなり、得られたGaNウェハーの膜厚は2mmで、初期成長速度に対する、その後の各時点での成長速度の低下は、成長工程の全期間を通じて抑えられていた。
Gaリザーバー以外にHClガスを流さなかったこと以外は実施例1の条件で結晶成長を行った。成長時間は5時間、9時間、24時間の3種類の成長を行った。
成長が終了してからサセプターを取り出したところ、サセプターの周囲のガスが当たる部分全面にGaNの多結晶が付着しており、特に24時間成長のサセプターからウェハーが取り出せないほどのGaN多結晶が付着していた。
成長したGaNウェハーの膜厚を測定すると、5時間成長では500μm(100μm/h)、9時間成長では450μm(50μm/h)、24時間成長では960μm(40μm/h)で、成長期間が長くなるほど基板上における成長速度が大きく低下した。
Gaリザーバーに流す以外に1.7×10−3atmのHClガスを成長室内に流したこと以外は実施例1と同じ条件で結晶成長を行った。
成長が終了してからサセプターを取り出したところ、ウェハーは容易に取り出せた上に、Ga液滴、多結晶の付着は抑えられたが、同時にGaNの成長速度も30μm/hとなり、成長速度の低下が認められた。
更に、図6に示す基板上に成長した結晶の表面光学顕微鏡写真から、結晶の表面はHClガスによるGaNのエッチングが支配的になり、モフォロジーが荒れ、平坦な成長が達成されていないことが分かった。
3 サセプター
4 ガリウム源(リザーバー)
5 ハロゲン系ガス供給口
6 第一ガス供給口
7 第二ガス供給口
8 Free−HClガス供給口
9 キャリアガス(雰囲気ガス)供給口
10 ガリウム源(リザーバー)用加熱装置
11 成長室用加熱装置
12 基板
13 排気ポート
Claims (3)
- ガリウム化合物を含む第一ガスと、窒素化合物を含む第二ガスを、気相成長装置の成長室内へ供給して、当該成長室内に設置した基板上にGa含有窒化物半導体を成長させるGa含有窒化物半導体の製造方法であって、
前記第一ガス及び前記第二ガスを前記成長室内へ供給している期間の少なくとも一部において、下記式(1)または式(2)を満たすように、HClガスを含む第三ガスを前記第一ガスの供給口とは別の供給口から前記成長室内へ供給することを特徴とするGa含有窒化物半導体の製造方法。
式(1) 1%≦(成長速度(A)−成長速度(B))/成長速度(A)≦20%
式(2) 1%≦(成長速度(A)−成長速度(C))/成長速度(A)≦20%
(成長速度(A):第一ガス及び第二ガスを成長室内へ供給することを開始してから1時間の間における基板上でのGa含有窒化物半導体の成長速度。
成長速度(B):第一ガス及び第二ガスを成長室内へ供給している全期間における基板上でのGa含有窒化物半導体の成長速度。
成長速度(C):第一ガス及び第二ガスを成長室内へ供給することを開始してから、第一ガスまたは第二ガスの供給を終了するまでのいずれかの時点までの期間における基板上でのGa含有窒化物半導体の成長速度。) - 前記第一ガス及び前記第二ガスを供給している全期間に、前記第三ガスを供給することを特徴とする請求項1又は2に記載のGa含有窒化物半導体の製造方法。
- 第三ガス供給口は、第一ガス供給口よりも供給ガスの流れの上流側に配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のGa含有窒化物半導体の製造方法。
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- 2005-12-28 JP JP2005380438A patent/JP4816079B2/ja active Active
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