JP2007154035A - タッピング加工用潤滑油及びタッピング加工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アルミニウム材に、M5×0.5以下のメートル細目ネジ用で有効ネジ深さ10mm以下のねじ穴を形成するために用いられるタッピング加工用潤滑油及びこれを用いたタッピング加工方法である。タッピング加工用潤滑油は、基油と、該基油100重量部に対して1〜30重量部の油性剤と、上記基油100重量部に対して1〜10重量部の極圧剤とを含有する。基油としては、初留点192〜297℃、終点219〜353℃、動粘度1.5〜11cStの合成系炭化水素及び/又は鉱油系炭化水素を含有する。油性剤としては、高級アルコール、合成エステル、脂肪酸、及び油脂から選ばれる1種以上を含有する。極圧剤としては、硫黄系化合物及び/又はリン系化合物を含有する。
【選択図】なし
Description
に関する。
該タッピング加工用潤滑油は、基油と、該基油100重量部に対して1〜30重量部の油性剤と、上記基油100重量部に対して1〜10重量部の極圧剤とを含有し、
上記基油としては、JIS K2254で規定される燃料油蒸留試験方法に準拠した方法によって測定した初留点が192〜297℃、終点が219〜353℃、動粘度が1.5〜11cSt(at40℃)の合成系炭化水素及び/又は鉱油系炭化水素を含有し、
上記油性剤としては、高級アルコール、合成エステル、脂肪酸、及び油脂から選ばれる1種以上を含有し、
上記極圧剤としては、硫黄系化合物及び/又はリン系化合物を含有することを特徴とするタッピング加工用潤滑油にある(請求項1)。
上記アルミニウム材の上記タッピング加工を行う部位に、請求項1〜6のいずれか一項に記載のタッピング加工用潤滑油を供給し、上記アルミニウム材に、JIS B0207に規定されるM5×0.5以下のメートル細目ネジ用の有効ネジ深さ10mm以下のねじ穴を形成することを特徴とするアルミニウム材のタッピング加工方法にある(請求項7)。
また、上記タッピング加工方法においては、タッピング加工後の残油量を低減することができる。そのため、上記タッピング加工後に、例えば有機洗浄等により上記タッピング加工用潤滑油を容易に除去することができる。
上記タッピング加工用潤滑油は、3000系、5000系、又は6000系のアルミニウム合金又は1000系のアルミニウムからなるアルミニウム材に用いることができる。具体的には、例えばJIS H 4100に規定されるA1100、A1200等のアルミニウムからなる押出形材、又はA3003、A3203、A5052、A5454、A5083、A6061、及びA6063等のアルミニウム合金からなる押出形材に用いることができる。また、JIS H 4000に規定される板及び条にも用いることができる。
「有効ネジ深さ」は、JIS B0207に規定されるメートル細目ネジ「めねじ」部の谷の径、有効径、及び内径を満たすネジ加工部の長さのことである。
上記基油としては、合成系炭化水素及び/又は鉱油系炭化水素を含有する。合成系炭化水素及び鉱油系炭化水素としては、JIS K2254で規定される燃料油蒸留試験方法に準拠した方法によって測定した初留点が192〜297℃、終点が219〜353℃、動粘度が1.5〜11cSt(at40℃)のものを用いる。
α−オレフィンは、分子の末端に二重結合を有し、上記アルミニウム材の表面に化学吸着しやすいため、油性剤としての機能を有している。α−オレフィンの炭素数が12未満の場合には、上記タッピング加工用潤滑油の臭いがきつくなり、作業環境を悪化させるおそれがある。また、この場合には、潤滑性が低下し、所望の形状のねじ穴を形成することが困難になるおそれがある。一方、炭素数が18を越える場合には、冬季や寒冷地等において固まり易くなり、取り扱いが困難になるおそれがある。また、この場合には、残油量が増加するおそれがある。
また、上記基油として用いるポリブテンとしては、未水素添加のポリブテンや、二重結合の少なくとも一部が水素添加されたポリブテンを用いることができる。また、ポリブテンの中でもポリイソブチレンは、比較的高圧粘度が高いため、タッピング用工具とアルミニウム材との間への導入油量が多くなり易く、低粘度の基油には有利である。
上記油性剤に用いる上記高級アルコールとしては、炭素数が12〜18のものを用いることが好ましい(請求項3)。
上記高級アルコールの炭素数が12未満の場合、臭いがきつくなり作業環境を悪化させるおそれがある。また、この場合には、潤滑性が低下し、所望の形状のねじ穴を形成することが困難になるおそれがある。一方、全炭素数が18を超えると、冬季に固まり易くなり、取り扱いが困難となるおそれがある。また、この場合には、残油量が増加するおそれがある。
具体的には、例えば、カプリン酸(炭素数10)、ウンデカン酸(炭素数11)、ラウリン酸(炭素数12)、トリデカン酸(炭素数13)、ミリスチン酸(炭素数14)、ペンタデカン酸(炭素数15)、パルミチン酸(炭素数16)、マルガリン酸(炭素数17)、ステアリン酸(炭素数18)、及びベヘン酸(炭素数22)などの直鎖飽和カルボン酸や、パルミトレイン酸(炭素数16)、オレイン酸(炭素数18)、リノル酸(炭素数18)、リノレン酸(炭素数18)、リシノール酸(炭素数18)などの不飽和脂肪酸等を用いることができる。これらの中でも、潤滑性、作業性、長期安定性及びコストの面を考慮すると、上記油性剤に用いる脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、及びオレイン酸等が望ましい。
この場合には、上記タッピング加工用潤滑油の潤滑性をより向上させ、アルミ粉の凝着をより抑制することができる。また、臭気を抑え、作業環境をより良好にすることができる。さらに、乾燥性を向上させて、タッピング加工後の残油量をより低減させることができる。上記合成エステルを構成する脂肪酸は直鎖のものであっても、分枝を有するものであってもよい。
R1の炭素数が11未満の場合、即ち脂肪酸側の炭素数が12未満の場合には、潤滑性の向上効果及びアルミ摩耗粉の凝着抑制効果が低下するおそれがある。また、この場合には、臭気かきつくなるおそれがある。一方、R1の炭素数が17を越える場合、即ち脂肪酸側の炭素数が18を越える場合には、乾燥性が悪化し、さらに融点が高くなり常温で固化しやすくなるため取り扱いが困難になるおそれがある。また、R2の炭素数、即ちアルコール側の炭素数が4を越える場合には、乾燥性が悪化し、さらに融点が高くなり常温で固化しやすくなって取り扱いが困難になるおそれがある。
炭素数が12未満の場合には、潤滑性が低下するおそれがある。一方、炭素数が18を越える場合には、冬季等にはさらに粘度が上昇し、場合によっては固化してしまうおそれがあるため混合時に加温して溶解させる必要が生じるおそれがある。
上記油性剤の含有量が1重量部未満の場合には、油性効果が乏しく、タッピング部の凹凸が不均一となったり、タッピング工具にアルミが凝着し、所望のタップ形状が形成され難くなるおそれがある。一方、30重量部を越える場合には、残油が多くなり、次工程の洗浄に負担をかけるおそれがある。また、この場合には、コストアップに繋がるおそれがある。
上記極圧剤としては、硫黄系化合物及び/又はリン系化合物を含有する。
上記硫黄系化合物としては、例えば硫化エステル、硫化ラード、硫化エステル等を用いることができる。
また、上記リン系化合物としては、リン酸エステル、リン酸エステルのチオ化合物、炭素数1〜8のアルキル基、アルキルアリル基またはアルリ基を有するホスホン酸、アルキルフォスフォン酸エステル、リン酸トリトリル(トリクレジルフォスフェート)の1種あるいは2種以上を用いることができる。
1重量部未満の場合には、タッピング加工時に焼きつきが発生するおそれがある。一方、10重量部を越えて含有させても潤滑性はほとんど向上せず、コストを増大させてしまうおそれがある。また、この場合には、残油量が増加するおそれがある。
この場合には、タッピング加工に用いられる工具等にアルミ摩耗粉が凝着することをより一層抑制することができる。
上記芳香族アミンとしては、例えばアニリン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン等を用いることができる。
上記脂環式アミンとしては、例えばN−シクロヘキシルアミン、N,N−ジシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチル−シクロヘキシルアミン、N,N−ジエチル−シクロヘキシルアミン、N,N−ジ(3−メチル−シクロヘキシル)アミン、N,N−ジ(2−メトキシ−シクロヘキシル)アミン、N,N−ジ(4−ブロモーシクロヘキシル)アミン等を用いることができる。
また、上記アミン誘導体として、脂肪酸アミン、アルカノールアミン、脂肪族ポリアミン、芳香族アミン、脂環式アミン、及び複素環アミンのアルキレンオキシド付加物を用いる場合には、アルキレンオキシドの付加モル数は1〜6であることが好ましい。
ルキレンオキシドの付加モル数が6を越えると基油への溶解が悪くなる。より好ましくはアルキレンオキシドの付加モル数は1〜4であることが好ましい。
この場合には、上記タッピング加工用潤滑油におけるアルミ摩耗粉の凝着抑制効果をより向上させることができる。上記含酸素有機化合物の含有量が0.1重量部未満の場合には、上記含酸素有機化合物によるアルミ摩耗粉の凝着抑制効果が充分に得られないおそれがある。一方、5.0重量部を越える場合には、上記タッピング加工用潤滑油の他の成分に悪影響を及ぼして潤滑性が低下したり、タッピング加工後の残油が多くなるおそれがある。上記含酸素有機化合物としては、分子内に四級炭素を一つ以上有するものがより好ましい。
上記酸化防止剤としては、例えばフェノール系化合物を用いることができる。該フェノール系化合物としては、酸化防止効果を有するものであれば、フェノール基を1つ、または複数有するものを用いることができる。具体的には、上記フェノール系化合物としては、例えば2,6−ジターシャリーブチル−P−クレゾール、n−オクダデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕、3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、ベンゼンプロパン酸、3,5−ビス(1,1−ジメチル−エチル)−4−ヒドロキシ−オクチルエステル等が挙げられる。また、酸化防止剤としては、上記フェノール系化合物以外にも、フェニル−α−ナフチルアミン等の芳香族アミン、ソルビタンモノオレート等の多価アルコールの部分エステル、リン酸エステル及びその誘導体等を用いることができる。
次に、本発明の実施例について、説明する。
本例は、タッピング加工用潤滑油を作製し、該タッピング加工用潤滑油を用いてアルミニウム材にタッピング加工を行う例である。
本例のタッピング加工用潤滑油は、3000系、5000系、又は6000系のアルミニウム合金又は1000系のアルミニウムからなるアルミニウム材に、JIS B0207に規定されるM5×0.5以下のメートル細目ネジ用で、有効ネジ深さ10mm以下のねじ穴を形成するタッピング加工に用いられるタッピング加工用潤滑油である。
アミン誘導体としては、N,N−ジシクロヘキシルアミンエチレンオキシド2モル付加物を用い、含酸素化合物としては、2−ブチル−2−エチル1,3−プロパンジオールエチレンオキシド2モル付加物を用いた。
表1〜表4に、試料E1〜試料E36のタッピング加工用潤滑油の組成を示す。
アルミニウム材に、パワープレス等により、目的とするネジ径(JIS B0207に規定されるM5×0.5)相当のキリ穴(下穴)を施工し、評価用のアルミニウム材とした。下穴処理をしたアルミニウムをタッピングマシンにセットし、目的サイズ(JIS B0207に規定されるM5×0.5)のタップツールを用いてねじ山を形成した。同様の加工を10回繰り返し、アルミニウム材に10個のねじ山を形成した。ねじ山形成後、各加工部をノコ等により切断し、ねじ山の成形状態を観察した。その結果、ねじ山頂点に欠けあるいはバリの存在しないものが加工数10個中9個以上であった場合を「合格」とし、後述の表7〜表9に「○」として示した。一方、欠けあるいはバリの存在しないものが加工数10個中5個以上かつ9個未満であった場合を「要改善」とし、表7〜表9に「△」として示した。さらに、欠けあるいはバリの存在しないものが加工数10個中5個未満であった場合を「不合格」とし、表7〜表9に「×」として示した。
また、上述のノコ等による切断部について、有効ネジ深さを測定した。その結果、有効ネジ深さ4.5mm以上のものが加工数10個中9個以上であった場合を「合格」とし、後述の表7〜表9に「○」として示した。一方、有効ネジ深さ4.5mm以上のものが加工数10個中に5個以上9個未満であった場合を「要改善」とし、後述の表7〜表9に「△」として示した。さらに、有効ネジ深さ4.5mm以上のものが加工数10個中5個未満あるいは全くなかった場合を「不合格」とし、後述の表7〜表9に「×」として示した。
アルミニウム材をパワープレス等により目的とするネジ径(JIS B0207に規定されるM5×0.5)相当のキリ穴(下穴)を施工し、評価用のアルミニウム材とした。下穴処理をしたアルミニウムをタッピングマシンにセットし、目的サイズ(JIS B0207に規定されるM5×0.5)のタップツールを用いて10回以上連続してタッピング加工を実施した。
タッピング加工を実施する過程において、タップツールの先端にアルミ摩耗粉が凝着することなく、9回以上連続して加工が行えた場合を「合格」とし、後述の表7〜表9に「○」として示した。一方、5回以上9回未満の加工数において、タップツール先端にアルミ摩耗粉が凝着して凝着片を形成したため、凝着片を除去する作業が必要になった場合を「要改善」とし、後述の表7〜表9に「△」として示した。さらに、5回未満の加工数において、タップツール先端にアルミ摩耗粉が凝着して凝着片を形成したため、凝着片を除去する作業が必要になった場合を「不合格」とし、後述の表7〜表9に「×」として示した。
水濡れ面積率の測定は、面積100cm2の各アルミニウム材(厚みは任意)上に各試料0.5gを滴下し、均一に塗布した。塗布した後にアルミニウム材をデシケーター内に8時間保管した。その後、炭化水素系有機溶剤(実験ではヘキサン(C6H14)を用いた)に静かに5秒間浸漬し、次いでアルミニウム材を引き上げ、30分間デシケータ内で風乾をさせた。
風乾後、イオン交換樹脂によって脱イオンを行った純水に、アルミニウム材を静かに5分間浸漬した。その後、アルミニウム材を引き上げて、後述の「水濡れ面積率測定板」を用いて水濡れ面積率を測定した。
上記のようにして評価した「有効ネジ深さ」、「ネジ形状」、「繰り返し加工性」、及び「水濡れ面積率」の結果に基づいて、総合的な判定を行い、その結果を表7〜表9に示す。
この総合評価においては、「有効ネジ深さ」、「ネジ形状」、及び「繰り返し加工性」の評価がすべて「○」で、なおかつ「水濡れ面積率」が「レベル1」の場合を「◎」とした。
また、「有効ネジ深さ」及び「ネジ形状」の評価が「○」、「繰り返し加工性」の評価が「△」で、なおかつ「水濡れ面積率」が「レベル1」の場合を「○」とした。
また、「有効ネジ深さ」、「ネジ形状」、及び「繰り返し加工性」の評価がすべて「△」で、なおかつ「水濡れ面積率」が「レベル1」の場合を「△」とした。さらに、「有効ネジ深さ」及び「ネジ形状」の評価が「○」で、「繰り返し加工性」の評価が「△」で、なおかつ「水濡れ面積率」が「レベル2」の場合についても「△」とした。
また、「有効ネジ深さ」、「ネジ形状」、及び「繰り返し加工性」の評価がすべて「×」である場合を、「水濡れ面積率」の結果にかかわらず「×」とした。さらに、「水濡れ面積率」が「レベル3」の場合にも、「有効ネジ深さ」、「ネジ形状」、及び「繰り返し加工性」の結果にかかわらず「×」とした。
総合評価において、「◎」、「○」、「△」の試料は、その程度に差はあるものの、タッピング加工におけるアルミ磨耗粉の凝着を抑制し、かつタッピング加工後の残油量を低減することができるタッピング加工用潤滑油である。
よって、初留点が192〜297℃、終点が219〜353℃、動粘度が1.5〜11cSt(at40℃)の基油100重量部に対して、高級アルコール等の油性剤1〜30重量部と、硫黄系化合物及び/又はリン系化合物からなる極圧剤1〜10重量部とを含有するタッピング加工用潤滑油(試料E1〜試料E36)は、タッピング加工におけるアルミ磨耗粉の凝着を抑制して所望のねじ穴を形成できると共に、タッピング加工後の残油量を低減することができることがわかる。
また、極圧剤の添加量が1重量部未満の試料C5及び試料C6においては、潤滑性が不足し、有効ネジ加工性の点で所定の成果を得られなかった(表9の試験49及び試験50参照)。一方、10重量部を越える極圧剤を添加した試料C7及び試料C8においては、ネジ加工性の点では所定の性能を得られたが、残油量が多くなった(表9の試験51及び試験52参照)。
表7より知られるごとく、炭素数が12〜18の高級アルコールを用いた試料E5及びE6は、炭素数が12未満の高級アルコールを用いた試料E4に比べて、有効ネジ深さ及びネジ形状の評価結果が向上していた(表7の試験4〜試験7参照)。さらに、試料E5及び試料E6は、炭素数が18を越える高級アルコールを用いた試料E7に比べて、水濡れ率が向上しており、残油量をより低減できることがわかる(表7の試験4〜試験7参照)。よって、好ましくは、油性剤として用いる高級アルコールの炭素数は12〜18がよい。
また、表9の試験53においては、アミン誘導体を2.0重量部を越えて過剰量添加した試料C9の結果を示し、表9の試験54においては、含酸素有機化合物を5.0重量部を越えて過剰量添加した試料C10の結果を示してある。試験53及び試験54の結果によれば、アミン誘導体又は含酸素有機化合物を過剰量添加すると、有効ネジ深さ、ネジ形状、及び繰り返し加工性がかえって劣化することがわかる。したがって、アミン誘導体及び含酸素有機化合物を添加する場合には、アミン誘導体の含有量は2.0重量部以下がよく、含酸素有機化合物の含有量は5.0重量部以下がよいことがわかる。
一方、表9の試験57及び試験58においては、試験2や試験37〜試験44と同様の試料E2のタッピング加工用潤滑油を用いて、試験JIS H 4100に規定される2024S及び7075Sからなるアルミニウム材にタッピング加工を行った。その結果、有効ネジ深さが不十分となり、また、ねじ山に欠けやバリが観察され、また繰り返し加工性も低下した。これは、2000系のアルミニウム合金である2024S、及び7000系のアルミニウム合金である7075Sからなるアルミニウム材の材料強度が高く、加工発熱量が多いためにタッピング加工用潤滑油の基油の動粘度が低下して油性効果が低下し、その結果潤滑性が不足したためであると考えられる。
Claims (7)
- 3000系、5000系、又は6000系のアルミニウム合金又は1000系のアルミニウムからなるアルミニウム材に、JIS B0207に規定されるM5×0.5以下のメートル細目ネジ用で、有効ネジ深さ10mm以下のねじ穴を形成するタッピング加工に用いられるタッピング加工用潤滑油であって、
該タッピング加工用潤滑油は、基油と、該基油100重量部に対して1〜30重量部の油性剤と、上記基油100重量部に対して1〜10重量部の極圧剤とを含有し、
上記基油としては、JIS K2254で規定される燃料油蒸留試験方法に準拠した方法によって測定した初留点が192〜297℃、終点が219〜353℃、動粘度が1.5〜11cSt(at40℃)の合成系炭化水素及び/又は鉱油系炭化水素を含有し、
上記油性剤としては、高級アルコール、合成エステル、脂肪酸、及び油脂から選ばれる1種以上を含有し、
上記極圧剤としては、硫黄系化合物及び/又はリン系化合物を含有することを特徴とするタッピング加工用潤滑油。 - 請求項1において、上記基油としての上記合成炭化水素は、炭素数12〜18のα−オレフィン、イソパラフィン、及びポリブテンから選ばれる1種以上であることを特徴とするタッピング加工用潤滑油。
- 請求項1又は2において、上記油性剤に用いる上記高級アルコールとしては、炭素数が12〜18のものを用いることを特徴とするタッピング加工用潤滑油。
- 請求項1〜3のいずれか一項において、上記油性剤に用いられる上記合成エステルとしては、脂肪酸側の炭素数が12〜18、かつアルコール側の炭素数が1〜4の脂肪酸エステル及び/又はグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、及びソルビタンから選ばれる1種類以上の多価アルコールと、炭素数10〜22の脂肪酸とからなるポリオールエステルを用いることを特徴とするタッピング加工用潤滑油。
- 請求項1〜4のいずれか一項において、上記タッピング加工用潤滑油は、上記基油100重量部に対して、脂肪酸アミン、アルカノールアミン、脂肪族ポリアミン、芳香族アミン、脂環式アミン、複素環アミン及びそれらのアルキレンオキシド付加物から選ばれるアミン誘導体を0.01〜2.0重量部含有することを特徴とするタッピング加工用潤滑油。
- 請求項1〜5のいずれか一項において、上記タッピング加工用潤滑油は、上記基油100重量部に対して、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジ−2−エチルへキシルスルホコハク酸ナトリウム、多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物、及びそのハイドロカルビルエーテルから選ばれる1種以上の含酸素化合物を0.1〜5.0重量部含有することを特徴とするタッピング加工用潤滑油。
- 3000系、5000系、又は6000系のアルミニウム合金又は1000系のアルミニウムからなるアルミニウム材にタッピング加工を行う方法において、
上記アルミニウム材の上記タッピング加工を行う部位に、請求項1〜6のいずれか一項に記載のタッピング加工用潤滑油を供給し、上記アルミニウム材に、JIS B0207に規定されるM5×0.5以下のメートル細目ネジ用の有効ネジ深さ10mm以下のねじ穴を形成することを特徴とするアルミニウム材のタッピング加工方法。
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