JP2007154035A - タッピング加工用潤滑油及びタッピング加工方法 - Google Patents

タッピング加工用潤滑油及びタッピング加工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】タッピング加工におけるアルミ磨耗粉の凝着を抑制し、かつタッピング加工後の残油量を低減することができるタッピング加工用潤滑油及びタッピング加工方法を提供すること。
【解決手段】アルミニウム材に、M5×0.5以下のメートル細目ネジ用で有効ネジ深さ10mm以下のねじ穴を形成するために用いられるタッピング加工用潤滑油及びこれを用いたタッピング加工方法である。タッピング加工用潤滑油は、基油と、該基油100重量部に対して1〜30重量部の油性剤と、上記基油100重量部に対して1〜10重量部の極圧剤とを含有する。基油としては、初留点192〜297℃、終点219〜353℃、動粘度1.5〜11cStの合成系炭化水素及び/又は鉱油系炭化水素を含有する。油性剤としては、高級アルコール、合成エステル、脂肪酸、及び油脂から選ばれる1種以上を含有する。極圧剤としては、硫黄系化合物及び/又はリン系化合物を含有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、アルミニウム材のタッピング加工に用いられるタッピング加工用潤滑油、及び該タッピング加工用潤滑油を用いたアルミニウム材のタッピング加工方法に関する。
に関する。
従来より、タップ(ねじ穴)を有するアルミニウム製品は、例えば家電製品の熱交換用のヒートシンク等に用いられている。タップを有するアルミニウム製品は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム材にタッピング加工を行うことにより作製することができる。具体的には、例えばアルミニウム材に、孔を形成し、該孔にねじ孔を形成するためのタッピング治具を用いてタッピング加工を行う。タッピング加工は、タッピング治具とアルミニウム材との潤滑性を向上させるために潤滑油を供給して行われる。
近年、家電製品の小型軽量化に伴い上記アルミニウム製品についても小型化が進み、またその形状も複雑になってきている。そのため、タップ径も小型化が要求され、タップ形成に用いられる潤滑油についてもより優れた潤滑性が要求されるようになってきた。実際に、タッピング加工時に供給する潤滑油には、高油性剤の使用あるいは油性剤を増量した潤滑油あるいは高粘度の潤滑油が使用されるようになってきている(特許文献1参照)。
しかしながら、このような従来の潤滑油は、タッピング加工後の洗浄性が悪いという問題があった。即ち、タッピング加工後においては、アルミニウム材の表面に潤滑油が残留するため、一般に次工程にて潤滑油を有機溶剤等により洗浄する工程が行われる。しかし、潤滑性に優れた従来の潤滑油を用いると残油量が多くなり、タッピング加工後の洗浄が困難になり、洗浄時間が長くなって洗浄能率が低下するという問題があった。さらには、残油量が多くなることから、洗浄液中に溶解する潤滑油量が多くなり、通常リサイクルして用いられる有機洗浄液の交換時期を早め、その結果、生産コストが増大するという問題があった。
特開2005−290187号公報
本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなされたものであって、タッピング加工におけるアルミ磨耗粉の凝着を抑制し、かつタッピング加工後の残油量を低減することができるタッピング加工用潤滑油及びタッピング加工方法を提供しようとするものである。
第1の発明は、3000系、5000系、又は6000系のアルミニウム合金又は1000系のアルミニウムからなるアルミニウム材に、JIS B0207に規定されるM5×0.5以下のメートル細目ネジ用で、有効ネジ深さ10mm以下のねじ穴を形成するタッピング加工に用いられるタッピング加工用潤滑油であって、
該タッピング加工用潤滑油は、基油と、該基油100重量部に対して1〜30重量部の油性剤と、上記基油100重量部に対して1〜10重量部の極圧剤とを含有し、
上記基油としては、JIS K2254で規定される燃料油蒸留試験方法に準拠した方法によって測定した初留点が192〜297℃、終点が219〜353℃、動粘度が1.5〜11cSt(at40℃)の合成系炭化水素及び/又は鉱油系炭化水素を含有し、
上記油性剤としては、高級アルコール、合成エステル、脂肪酸、及び油脂から選ばれる1種以上を含有し、
上記極圧剤としては、硫黄系化合物及び/又はリン系化合物を含有することを特徴とするタッピング加工用潤滑油にある(請求項1)。
上記第1の発明のタッピング加工潤滑油は、上記基油と上記油性剤と上記極圧剤とを上記特定の割合で含有する。特に、上記基油として初留点が192〜297℃、終点が219〜353℃、動粘度が1.5〜11cSt(at40℃)の合成系炭化水素及び/又は鉱油系炭化水素を含有している。そのため、上記タッピング加工潤滑油は、3000系、5000系、又は6000系のアルミニウム合金又は1000系のアルミニウムからなるアルミニウム材に、M5×0.5以下のメートル細目ネジ用で、有効ネジ深さ10mm以下のねじ穴を形成するタッピング加工に好適に用いることができる。
即ち、上記タッピング加工潤滑油は、上記タッピング加工において、優れた潤滑性を発揮し、アルミ摩耗粉の凝着を抑制することができる。それ故、上記アルミニウム材及び上記タッピング加工に用いられる工具等にアルミ摩耗粉が凝着して、工具を損傷させたり、上記ねじ穴のねじ山にバリや欠け等が生じることを防止することができる。また、上記タッピング加工用潤滑油は、上記特定の基油を用いており、比較的少量の上記油性剤及び上記極圧剤で、優れた潤滑性を発揮することができる。そのため、上記タッピング加工用潤滑油においては、上記タッピング加工後の残油量を低減することができる。それ故、上記タッピング加工用潤滑油は、上記タッピング加工後に、例えば有機洗浄等により容易に除去することができる。
以上のように、上記第1の発明によれば、タッピング加工におけるアルミ磨耗粉の凝着を抑制でき、タッピング加工後の残油量を低減することができるタッピング加工用潤滑油を提供することができる。
第2の発明は、3000系、5000系、又は6000系のアルミニウム合金又は1000系のアルミニウムからなるアルミニウム材にタッピング加工を行う方法において、
上記アルミニウム材の上記タッピング加工を行う部位に、請求項1〜6のいずれか一項に記載のタッピング加工用潤滑油を供給し、上記アルミニウム材に、JIS B0207に規定されるM5×0.5以下のメートル細目ネジ用の有効ネジ深さ10mm以下のねじ穴を形成することを特徴とするアルミニウム材のタッピング加工方法にある(請求項7)。
上記第2の発明のタッピング加工方法においては、上記第1の発明のタッピング加工用潤滑油を用いて、上記アルミニウム材に上記ねじ穴を形成する。そのため、上記タッピング加工潤滑油の優れた特徴を生かして、上記タッピング加工方法においては、アルミ磨耗粉の凝着を抑制でき、所望の寸法及び形状のねじ穴を形成することができる。また、タッピング工具の摩耗を抑制し、工具寿命を延ばすことができる。
また、上記タッピング加工方法においては、タッピング加工後の残油量を低減することができる。そのため、上記タッピング加工後に、例えば有機洗浄等により上記タッピング加工用潤滑油を容易に除去することができる。
次に、本発明の実施の好ましい形態について説明する。
上記タッピング加工用潤滑油は、3000系、5000系、又は6000系のアルミニウム合金又は1000系のアルミニウムからなるアルミニウム材に用いることができる。具体的には、例えばJIS H 4100に規定されるA1100、A1200等のアルミニウムからなる押出形材、又はA3003、A3203、A5052、A5454、A5083、A6061、及びA6063等のアルミニウム合金からなる押出形材に用いることができる。また、JIS H 4000に規定される板及び条にも用いることができる。
また、上記タッピング加工用潤滑油は、JIS B0207に規定されるM5×0.5以下のメートル細目ネジ用で、有効ネジ深さ10mm以下のねじ穴を形成するタッピング加工に用いられる。M5×0.5を越えるメートル細目ネジ用のねじ穴を形成する場合に上記タッピング加工用潤滑油を用いた場合、又は有効ネジ深さ10mmを越えるねじ穴を形成する場合に上記タッピング加工用潤滑油を用いた場合には、加工発熱量の増加により、潤滑性が損なわれ、加工治具と材料との溶着が発生するおそれがある。
「有効ネジ深さ」は、JIS B0207に規定されるメートル細目ネジ「めねじ」部の谷の径、有効径、及び内径を満たすネジ加工部の長さのことである。
上記タッピング加工用潤滑油は、上記基油と上記油性剤と上記極圧剤とを含有する。
上記基油としては、合成系炭化水素及び/又は鉱油系炭化水素を含有する。合成系炭化水素及び鉱油系炭化水素としては、JIS K2254で規定される燃料油蒸留試験方法に準拠した方法によって測定した初留点が192〜297℃、終点が219〜353℃、動粘度が1.5〜11cSt(at40℃)のものを用いる。
上記基油の初留点が192℃未満の場合、終点が219℃未満の場合、又は動粘度が1.5cSt未満の場合には、上記タッピング加工用潤滑油の潤滑性が低下するおそれがある。そのため、上記タッピング加工によりねじ穴を形成すると、ねじ山にバリや欠け等が発生するおそれがある。一方、初留点が297℃を越える場合、終点が353℃を越える場合、又は動粘度が11cStを越える場合には、タッピング加工後の残油量が多くなり、洗浄による除去が困難になるおそれがある。
上記基油に用いられる鉱油系炭化水素としては、例えばパラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油等を用いることができる。また、上記鉱油系炭化水素としては、アロマ成分を含有する鉱油を用いることもできる。この場合には、環境汚染の防止という観点からアロマ成分の含有量が2重量%以下の鉱油を用いることが好ましい。
また、上記基油としての上記合成炭化水素は、炭素数12〜18のα−オレフィン、イソパラフィン、及びポリブテンから選ばれる1種以上であることが好ましい(請求項2)
α−オレフィンは、分子の末端に二重結合を有し、上記アルミニウム材の表面に化学吸着しやすいため、油性剤としての機能を有している。α−オレフィンの炭素数が12未満の場合には、上記タッピング加工用潤滑油の臭いがきつくなり、作業環境を悪化させるおそれがある。また、この場合には、潤滑性が低下し、所望の形状のねじ穴を形成することが困難になるおそれがある。一方、炭素数が18を越える場合には、冬季や寒冷地等において固まり易くなり、取り扱いが困難になるおそれがある。また、この場合には、残油量が増加するおそれがある。
また、上記基油として用いるポリブテンとしては、未水素添加のポリブテンや、二重結合の少なくとも一部が水素添加されたポリブテンを用いることができる。また、ポリブテンの中でもポリイソブチレンは、比較的高圧粘度が高いため、タッピング用工具とアルミニウム材との間への導入油量が多くなり易く、低粘度の基油には有利である。
次に、上記タッピング加工用潤滑油は、上記油性剤として、高級アルコール、合成エステル、脂肪酸、及び油脂から選ばれる1種以上を含有する。
上記油性剤に用いる上記高級アルコールとしては、炭素数が12〜18のものを用いることが好ましい(請求項3)。
上記高級アルコールの炭素数が12未満の場合、臭いがきつくなり作業環境を悪化させるおそれがある。また、この場合には、潤滑性が低下し、所望の形状のねじ穴を形成することが困難になるおそれがある。一方、全炭素数が18を超えると、冬季に固まり易くなり、取り扱いが困難となるおそれがある。また、この場合には、残油量が増加するおそれがある。
上記高級アルコールとしては、具体的には、例えばラウリルアルコール(炭素数12の直鎖飽和一価アルコール)、ミリスチルアルコール(炭素数14の直鎖飽和一価アルコール)、パルミチンアルコール(炭素数16の直鎖飽和一価アルコール)、オレイルアルコール(二重結合を1つ有する炭素数18の直鎖不飽和一価アルコール)、ステアリルアルコール(炭素数18の直鎖飽和一価アルコール)等を用いることができる。これらのアルコールは単独で用いることもできるが、2種以上を混合して用いることもできる。境界潤滑性、環境に対する安全性、取り扱いの容易さ、及びコスト等の観点から、上記高級アルコールとしては、ラウリルアルコールあるいはオレイルアルコールを用いることがより好ましい。
また、上記油性剤として用いられる上記脂肪酸としては、全炭素数が10〜22となる高級脂肪酸を用いることができる。全炭素数が10未満の場合、境界潤滑性に乏しく、22を超えると、冬季に固まり易く、取り扱いが困難になる問題が発生する。より好ましくは、全炭素数11〜17の脂肪酸がよい。
具体的には、例えば、カプリン酸(炭素数10)、ウンデカン酸(炭素数11)、ラウリン酸(炭素数12)、トリデカン酸(炭素数13)、ミリスチン酸(炭素数14)、ペンタデカン酸(炭素数15)、パルミチン酸(炭素数16)、マルガリン酸(炭素数17)、ステアリン酸(炭素数18)、及びベヘン酸(炭素数22)などの直鎖飽和カルボン酸や、パルミトレイン酸(炭素数16)、オレイン酸(炭素数18)、リノル酸(炭素数18)、リノレン酸(炭素数18)、リシノール酸(炭素数18)などの不飽和脂肪酸等を用いることができる。これらの中でも、潤滑性、作業性、長期安定性及びコストの面を考慮すると、上記油性剤に用いる脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、及びオレイン酸等が望ましい。
また、上記油性剤に用いられる上記合成エステルとしては、脂肪酸側の炭素数が12〜18、かつアルコール側の炭素数が1〜4の脂肪酸エステル、及び/又はグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、及びソルビタンから選ばれる1種類以上の多価アルコールと、炭素数10〜22の脂肪酸とからなるポリオールエステルを用いることが好ましい(請求項4)。
この場合には、上記タッピング加工用潤滑油の潤滑性をより向上させ、アルミ粉の凝着をより抑制することができる。また、臭気を抑え、作業環境をより良好にすることができる。さらに、乾燥性を向上させて、タッピング加工後の残油量をより低減させることができる。上記合成エステルを構成する脂肪酸は直鎖のものであっても、分枝を有するものであってもよい。
また、上記した脂肪酸側の炭素数が12〜18、かつアルコール側の炭素数が1〜4の脂肪酸エステルは、一般式(1)R1−COO−R2(ただし、R1は、炭素数11〜17の炭化水素基、R2は炭素数1〜4の炭化水素基)で表すことができる。上述の「脂肪酸側の炭素数」は、上記一般式(1)における「R1−C」部分の炭素数と等しく、アルコール側の炭素数は、「R2」部分の炭素数と等しくなる。
R1の炭素数が11未満の場合、即ち脂肪酸側の炭素数が12未満の場合には、潤滑性の向上効果及びアルミ摩耗粉の凝着抑制効果が低下するおそれがある。また、この場合には、臭気かきつくなるおそれがある。一方、R1の炭素数が17を越える場合、即ち脂肪酸側の炭素数が18を越える場合には、乾燥性が悪化し、さらに融点が高くなり常温で固化しやすくなるため取り扱いが困難になるおそれがある。また、R2の炭素数、即ちアルコール側の炭素数が4を越える場合には、乾燥性が悪化し、さらに融点が高くなり常温で固化しやすくなって取り扱いが困難になるおそれがある。
上記一般式(1)で表される脂肪酸エステルとしては、具体的には、例えば、ラウリン酸メチル,ラウリン酸エチル,ラウリン酸プロピル,ラウリン酸ブチル,ミリスチン酸メチル,ミリスチン酸エチル,ミリスチン酸プロピル,ミリスチン酸ブチル,パルミチン酸メチル,パルミチン酸エチル,パルミチン酸プロピル,パルミチン酸ブチル,ステアリン酸メチル,ステアリン酸エチル,ステアリン酸プロピル,ステアリン酸ブチル,オレイン酸メチル,オレイン酸エチル,オレイン酸プロピル,オレイン酸ブチル等がある。
また、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、及びソルビタンから選ばれる1種類以上の多価アルコールと、炭素数10〜22の脂肪酸とのエステルとしては、例えばネオペンチルグリコールエステル、トリメチロールプロパンエステル、及びペンタエリストールエステル等から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。合成エステルはフルエステルあるいは部分エステルのどちらでもよい。また、上記多価アルコールと炭素数10〜22の脂肪酸とのポリオールエステルにおいて、脂肪酸の炭素数が10未満の場合には、潤滑性が低下し、所望の形状のねじ穴を形成することが困難になるおそれがある。一方、炭素数22を越える場合には、残油量が増加するおそれがる。
上記ネオペンチルグリコールエステルとしては、具体的には、例えばネオペンチルグリコールカプリン酸モノエステル、ネオペンチルグリコールカプリン酸ジエステル、ネオペンチルグリコールエステル、ネオペンチルグリコールリノレン酸モノエステル、ネオペンチルグリコールリノレン酸ジエステル、ネオペンチルグリコールステアリン酸モノエステル、ネオペンチルグリコールステアリン酸ジエステル、ネオペンチルグリコールオレイン酸モノエステル、ネオペンチルグリコールオレイン酸ジエステルネオペンチルグリコールエステル、ネオペンチルグリコールイソステアリン酸モノエステル、ネオペンチルグリコールイソステアリン酸ジエステル、ネオペンチルグリコールやし油脂肪酸モノエステル、ネオペンチルグリコールやし油脂肪酸ジエステル、ネオペンチルグリコール牛脂脂肪酸モノエステル、ネオペンチルグリコール牛脂脂肪酸ジエステル、ネオペンチルグリコールパーム油脂肪酸モノエステル、ネオペンチルグリコールパーム油脂肪酸ジエステルネオペンチルグリコールエステル、ネオペンチルグリコール2モル・ダイマ酸1モル・オレイン酸2モルの複合エステル等がある。これらのうちで、特に好ましくは、オレイン酸、イソステアリン酸、やし油脂肪酸、牛脂脂肪酸のエステルがよい。
また、上記トリメチロールプロパンエステルとしては、例えばトリメチロールプロパンカプリン酸モノエステル、トリメチロールプロパンカプリン酸ジエステル、トリメチロールプロパンカプリン酸トリエステル、トリメチロールプロパンリノレン酸モノエステル、トリメチロールプロパンリノレン酸ジエステル、トリメチロールプロパンリノレン酸トリエステル、トリメチロールプロパンステアリン酸モノエステル、トリメチロールプロパンステアリン酸ジエステル、トリメチロールプロパンステアリン酸トリエステル、トリメチロールプロパンオレイン酸モノエステル、トリメチロールプロパンオレイン酸ジエステル、トリメチロールプロパンオレイン酸トリエステル、トリメチロールプロパンイソステアリン酸モノエステル、トリメチロールプロパンイソステアリン酸ジエステル、トリメチロールプロパンイソステアリン酸トリエステル、トリメチロールプロパンやし油脂肪酸モノエステル、トリメチロールプロパンやし油脂肪酸ジエステル、トリメチロールプロパンやし油脂肪酸トリエステル、トリメチロールプロパン牛脂脂肪酸モノエステル、トリメチロールプロパン牛脂脂肪酸ジエステル、トリメチロールプロパン牛脂脂肪酸トリエステル、トリメチロールプロパンパーム油脂肪酸モノエステル、トリメチロールプロパンパーム油脂肪酸ジエステル、トリメチロールプロパンパーム油脂肪酸トリエステル、トリメチロールプロパン2モル・ダイマ酸1モル・オレイン酸4モルの複合エステル等がある。これらのうちで、特に好ましくは、オレイン酸、イソステアリン酸、やし油脂肪酸、牛脂脂肪酸のエステルがよい。
また、ペンタエリスリトールとしては、例えばペンタエリスリトールカプリン酸モノエステル、ペンタエリスリトールカプリン酸ジエステル、ペンタエリスリトールカプリン酸トリエステル、ペンタエリスリトールカプリン酸テトラエステル、ペンタエリスリトールリノレン酸モノエステル、ペンタエリスリトールリノレン酸ジエステル、ペンタエリスリトールリノレン酸トリエステル、ペンタエリスリトールリノレン酸テトラエステル、ペンタエリスリトールステアリン酸モノエステル、ペンタエリスリトールステアリン酸ジエステル、ペンタエリスリトールステアリン酸トリエステル、ペンタエリスリトールステアリン酸テトラエステル、ペンタエリスリトールオレイン酸モノエステル、ペンタエリスリトールオレイン酸ジエステル、ペンタエリスリトールオレイン酸トリエステル、ペンタエリスリトールオレイン酸テトラエステル、ペンタエリスリトールイソステアリン酸モノエステル、ペンタエリスリトールイソステアリン酸ジエステル、ペンタエリスリトールイソステアリン酸トリエステル、ペンタエリスリトールイソステアリン酸テトラエステル、ペンタエリスリトールやし油脂肪酸モノエステル、ペンタエリスリトールやし油脂肪酸ジエステル、ペンタエリスリトールやし油脂肪酸トリエステル、ペンタエリスリトールやし油脂肪酸テトラエステル、ペンタエリスリトール牛脂脂肪酸モノエステル、ペンタエリスリトール牛脂脂肪酸ジエステル、ペンタエリスリトール牛脂脂肪酸トリエステル、ペンタエリスリトール牛脂脂肪酸テトラエステル、ペンタエリスリトールパーム油脂肪酸モノエステル、ペンタエリスリトールパーム油脂肪酸ジエステル、ペンタエリスリトールパーム油脂肪酸トリエステル、ペンタエリスリトールパーム油脂肪酸テトラエステル、トリメチロールプロパン2モル・ダイマ酸1モル・オレイン酸6モルの複合エステル等がある。これらのうちで、特に好ましくは、オレイン酸、イソステアリン酸、やし油脂肪酸、牛脂脂肪酸のエステルがよい。
また、上記合成エステルは、その炭素数が12〜18であることがより好ましい。
炭素数が12未満の場合には、潤滑性が低下するおそれがある。一方、炭素数が18を越える場合には、冬季等にはさらに粘度が上昇し、場合によっては固化してしまうおそれがあるため混合時に加温して溶解させる必要が生じるおそれがある。
また、上記油性剤に用いられる上記油脂としては、例えば大豆油、なたね油、パーム油、やし油、豚脂、及び牛脂等から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。これらのなかでも、操業性の点からは、パーム油、やし油が好ましい。
また、上記タッピング加工用潤滑油において、上記油性剤の含有量は、上記基油100重量部に対して1〜30重量部である。
上記油性剤の含有量が1重量部未満の場合には、油性効果が乏しく、タッピング部の凹凸が不均一となったり、タッピング工具にアルミが凝着し、所望のタップ形状が形成され難くなるおそれがある。一方、30重量部を越える場合には、残油が多くなり、次工程の洗浄に負担をかけるおそれがある。また、この場合には、コストアップに繋がるおそれがある。
また、上記タッピング加工用潤滑油は、極圧剤を含有する。
上記極圧剤としては、硫黄系化合物及び/又はリン系化合物を含有する。
上記硫黄系化合物としては、例えば硫化エステル、硫化ラード、硫化エステル等を用いることができる。
また、上記リン系化合物としては、リン酸エステル、リン酸エステルのチオ化合物、炭素数1〜8のアルキル基、アルキルアリル基またはアルリ基を有するホスホン酸、アルキルフォスフォン酸エステル、リン酸トリトリル(トリクレジルフォスフェート)の1種あるいは2種以上を用いることができる。
上記タッピング加工用潤滑油において、上記極圧剤の含有量は、上記基油100重量部に対して、1〜10重量部である。
1重量部未満の場合には、タッピング加工時に焼きつきが発生するおそれがある。一方、10重量部を越えて含有させても潤滑性はほとんど向上せず、コストを増大させてしまうおそれがある。また、この場合には、残油量が増加するおそれがある。
次に、上記タッピング加工用潤滑油は、上記基油100重量部に対して、脂肪酸アミン、アルカノールアミン、脂肪族ポリアミン、芳香族アミン、脂環式アミン、複素環アミン及びそれらのアルキレンオキシド付加物から選ばれるアミン誘導体を0.01〜2.0重量部含有させることができる(請求項5)。
この場合には、タッピング加工に用いられる工具等にアルミ摩耗粉が凝着することをより一層抑制することができる。
上記アミン誘導体としては、脂肪族アミン、脂肪族ポリアミン、芳香族アミン、脂環式アミン、複素環アミン及びそれらのアルキレンオキシド付加物等から選ばれる1種以上を用いることができる。また、上記アミン誘導体には、ヒドロキシル基、エーテル基が含まれていても良い。また、付加されるアルキレンオキシドは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、α−オレフィンオキシド、スチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加重合することにより得ることができる。付加させるアルキレンオキシドの重合形態は特に限定されず、1種類のアルキレンオキシドの単独重合、2種類以上のアルキレンオキシドのランダム共重合、ブロック共重合又はランダム/ブロック共重合等であってよい。
上記脂肪族アミンとしては、具体的には、例えばメチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン、カプリルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、牛脂アミンジメチルアミン、ジエチルアミン、ジオクチルアミン、ブチルオクチルアミン、ジステアリルアミン、ジメチルオクチルアミン、ジメチルデシルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルミリスチルアミン、ジメチルパルミチルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジメチルベヘニルアミン、ジラウリルモノメチルアミン、トリオクチルアミン等を用いることができる。
上記アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−イソプロピルエタノールアミン、N,N−ジイソプロピルエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N−メチルイソプロパノールアミン、N,N−ジメチルイソプロパノールアミン、N−エチルイソプロパノールアミン、N,N−ジエチルイソプロパノールアミン、N−イソプロピルイソプロパノールアミン、N,N−ジイソプロピルイソプロパノールアミン、モノn−プロパノールアミン、ジn−プロパノールアミン、トリn−プロパノールアミン、N−メチルn−プロパノールアミン、N,N−ジメチルn−プロパノールアミン、N−エチルn−プロパノールアミン、N,N−ジエチルn−プロパノールアミン、N−イソプロピルn−プロパノールアミン、N,N−ジイソプロピルn−プロパノールアミン、モノブタノールアミン、ジブタノールアミン、トリブタノールアミン、N−メチルブタノールアミン、N,N−ジメチルブタノールアミン、N−エチルブタノールアミン、N,N−ジエチルブタノールアミン、N−イソプロピルブタノールアミン、N,N−ジイソプロピルブタノールアミン等を用いることができる。
上記脂肪族ポリアミンとしては、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、ヘキサメチレンジアミン、硬化牛脂プロピレンジアミン等を用いることができる。
上記芳香族アミンとしては、例えばアニリン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン等を用いることができる。
上記脂環式アミンとしては、例えばN−シクロヘキシルアミン、N,N−ジシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチル−シクロヘキシルアミン、N,N−ジエチル−シクロヘキシルアミン、N,N−ジ(3−メチル−シクロヘキシル)アミン、N,N−ジ(2−メトキシ−シクロヘキシル)アミン、N,N−ジ(4−ブロモーシクロヘキシル)アミン等を用いることができる。
上記複素環アミンとしては、例えばピロリジン、ピペリジン、2−ピペコリン、3−ピペコリン、4−ピペコリン、2,4−ピペコリン、2,6−ピペコリン、3,5−ルペチジン、ピペラジン、ホモピペラジン、N−メチルピペラジン、N−エチルピペラジン、N−プロピルピペラジン、N−メチルホモピペラジン、N−アセチルピペラジン、N−アセチルホモピペラジン、1−(クロロフェニル)ピペラジン、N−アミノエチルピペリジン、N−アミノプロピルピペリジン、N−アミノエチルピペラジン、N−アミノプロピルピペラジン、N−アミノエチルモルホリン、N−アミノプロピルモルホリン、N−アミノプロピル−2−ピペコリン、N−アミノプロピル−4−ピペコリン、1,4−ビス(アミノプロピル)ピペラジン等を用いることができる。
また、上記アミン誘導体としては、分岐鎖を有し、全炭素数4〜20のものが好ましい。この場合には、上記基油に対する溶解性を向上させることができると共に、タッピング加工後の残油量の増加を抑制することができる。
また、上記アミン誘導体として、脂肪酸アミン、アルカノールアミン、脂肪族ポリアミン、芳香族アミン、脂環式アミン、及び複素環アミンのアルキレンオキシド付加物を用いる場合には、アルキレンオキシドの付加モル数は1〜6であることが好ましい。
ルキレンオキシドの付加モル数が6を越えると基油への溶解が悪くなる。より好ましくはアルキレンオキシドの付加モル数は1〜4であることが好ましい。
また、上記タッピング加工用潤滑油に上記アミン誘導体を添加する場合には、上記アミン誘導体の含有量は、上記基油100重量部に対して0.01〜2.0重量部であることが好ましい。0.01重量部未満の場合には、上記アミン誘導体を添加することによるアルミ摩耗粉の凝着抑制効果が充分に得られないおそれがある。一方、2.0重量部を越える場合には、上記油性剤あるいは上記極圧剤の効果を損ない、その結果、潤滑性を悪化させてしまうおそれがある。
また、上記タッピング加工用潤滑油は、上記基油100重量部に対して、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジ−2−エチルへキシルスルホコハク酸ナトリウム、多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物、及びそのハイドロカルビルエーテルから選ばれる1種以上の含酸素化合物を0.1〜5.0重量部含有することが好ましい(請求項6)。
この場合には、上記タッピング加工用潤滑油におけるアルミ摩耗粉の凝着抑制効果をより向上させることができる。上記含酸素有機化合物の含有量が0.1重量部未満の場合には、上記含酸素有機化合物によるアルミ摩耗粉の凝着抑制効果が充分に得られないおそれがある。一方、5.0重量部を越える場合には、上記タッピング加工用潤滑油の他の成分に悪影響を及ぼして潤滑性が低下したり、タッピング加工後の残油が多くなるおそれがある。上記含酸素有機化合物としては、分子内に四級炭素を一つ以上有するものがより好ましい。
上記含酸素有機化合物として用いられる多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物及びそのハイドロカルビルエーテルを構成する多価アルコールとしては、水酸基を2〜6個含有するアルコールを用いることができる。このような多価アルコールとしては、具体的には例えば、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール等がある。
また、多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物及びそのハイドロカルビルエーテルを構成するアルキレンオキサイドとしては、炭素数2〜6のアルキレンオキサイドを用いることができる。好ましくは炭素数2〜4のアルキレンオキサイドがよい。このようなアルキレンオキサイドとしては、具体的には例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−エポキシブタン(α−ブチレンオキサイド)、2,3−エポキシブタン(β−ブチレンオキサイド)、1,2−エポキシ−1−メチルプロパン、1,2−エポキシヘプタンおよび1,2−エポキシヘキサン等がある。なお、アルキレンオキシド等の重合形態は特に限定されず、1種類のアルキレンオキシド等の単独重合、2種類以上のアルキレンオキシド等のランダム共重合、ブロック共重合又はランダム/ブロック共重合等であってよい。また、水酸基を2〜6個有する多価アルコールにアルキレンオキサイドを付加させる際は、全ての水酸基に付加させてもよいし、一部の水酸基のみに付加させてもよい。
また、多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物のハイドロカルビルエーテルとしては、アルキレンオキサイド付加物の末端水酸基の一部または全てを、ハイドロカルビルエーテル化させたものを用いることができる。ここで言うハイドロカルビル基とは、炭素数1〜24の炭化水素基を表す。炭素数1〜24の炭化水素基としては、具体的には例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、直鎖または分枝のペンチル基、直鎖または分枝のヘキシル基、直鎖または分枝のヘプチル基、直鎖または分枝のオクチル基、直鎖または分枝のノニル基、直鎖または分枝のデシル基、直鎖または分枝のウンデシル基、直鎖または分枝のドデシル基、直鎖または分枝のトリデシル基、直鎖または分枝のテトラデシル基、直鎖または分枝のペンタデシル基、直鎖または分枝のヘキサデシル基、直鎖または分枝のヘプタデシル基、直鎖または分枝のオクタデシル基、直鎖または分枝のノナデシル基、直鎖または分枝のイコシル基、直鎖または分枝のヘンイコシル基、直鎖または分枝のドコシル基、直鎖または分枝のトリコシル基、直鎖または分枝のテトラコシル基等の炭素数1〜24のアルキル基;ビニル基、直鎖または分岐のプロペニル基、直鎖または分枝のブテニル基、直鎖または分枝のペンテニル基、直鎖または分枝のヘキセニル基、直鎖または分枝のヘプテニル基、直鎖または分枝のオクテニル基、直鎖または分枝のノネニル基、直鎖または分枝のデセニル基、直鎖または分枝のウンデセニル基、直鎖または分枝のドデセニル基、直鎖または分枝のトリデセニル基、直鎖または分枝のテトラデセニル基、直鎖または分枝のペンタデセニル基、直鎖または分枝のヘキサデセニル基、直鎖または分枝のヘプタデセニル基、直鎖または分枝のオクタデセニル基、直鎖または分枝のノナデセニル基、直鎖または分枝のイコセニル基、直鎖または分枝のヘンイコセニル基、直鎖または分枝のドコセニル基、直鎖または分枝のトリコセニル基、直鎖または分枝のテトラコセニル基等の炭素数2〜24のアルケニル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の炭素数5〜7のシクロアルキル基;メチルシクロペンチル基、ジメチルシクロペンチル基(全ての構造異性体を含む)、メチルエチルシクロペンチル基(全ての構造異性体を含む)、ジエチルシクロペンチル基(全ての構造異性体を含む)、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基(全ての構造異性体を含む)、メチルエチルシクロヘキシル基(全ての構造異性体を含む)、ジエチルシクロヘキシル基(全ての構造異性体を含む)、メチルシクロヘプチル基、ジメチルシクロヘプチル基(全ての構造異性体を含む)、メチルエチルシクロヘプチル基(全ての構造異性体を含む)、ジエチルシクロヘプチル基(全ての構造異性体を含む)等の炭素数6〜11のアルキルシクロアルキル基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜10のアリール基:トリル基(全ての構造異性体を含む)、キシリル基(全ての構造異性体を含む)、エチルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖または分枝のプロピルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖または分枝のブチルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖または分枝のペンチルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖または分枝のヘキシルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖または分枝のヘプチルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖または分枝のオクチルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖または分枝のノニルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖または分枝のデシルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖または分枝のウンデシルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖または分枝のドデシルフェニル基(全ての構造異性体を含む)等の炭素数7〜18のアルキルアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基(プロピル基の異性体を含む)、フェニルブチル基(ブチル基の異性体を含む)、フェニルペンチル基(ペンチル基の異性体を含む)、フェニルヘキシル基(ヘキシル基の異性体を含む)等の炭素数7〜12のアリールアルキル基が挙げられる。
上記タッピング加工用潤滑油は、必要に応じて、酸化防止剤を含有することができる。
上記酸化防止剤としては、例えばフェノール系化合物を用いることができる。該フェノール系化合物としては、酸化防止効果を有するものであれば、フェノール基を1つ、または複数有するものを用いることができる。具体的には、上記フェノール系化合物としては、例えば2,6−ジターシャリーブチル−P−クレゾール、n−オクダデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕、3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、ベンゼンプロパン酸、3,5−ビス(1,1−ジメチル−エチル)−4−ヒドロキシ−オクチルエステル等が挙げられる。また、酸化防止剤としては、上記フェノール系化合物以外にも、フェニル−α−ナフチルアミン等の芳香族アミン、ソルビタンモノオレート等の多価アルコールの部分エステル、リン酸エステル及びその誘導体等を用いることができる。
また、上記タッピング加工用潤滑油は、必要に応じて、さび止め剤、腐食防止剤、及び消泡剤等を含有することができる。腐食防止剤としては、ベンゾトリアゾール等を用いることができ、消泡剤としては、シリコン系の消泡剤等を用いることができる。
(実施例1)
次に、本発明の実施例について、説明する。
本例は、タッピング加工用潤滑油を作製し、該タッピング加工用潤滑油を用いてアルミニウム材にタッピング加工を行う例である。
本例のタッピング加工用潤滑油は、3000系、5000系、又は6000系のアルミニウム合金又は1000系のアルミニウムからなるアルミニウム材に、JIS B0207に規定されるM5×0.5以下のメートル細目ネジ用で、有効ネジ深さ10mm以下のねじ穴を形成するタッピング加工に用いられるタッピング加工用潤滑油である。
本例のタッピング加工用潤滑油は、基油と、該基油100重量部に対して1〜30重量部の油性剤と、上記基油100重量部に対して1〜10重量部の極圧剤とを含有する。基油としては、JIS K2254で規定される燃料油蒸留試験方法に準拠した方法によって測定した初留点が192〜297℃、終点が219〜353℃、動粘度が1.5〜11cSt(at40℃)の合成系炭化水素及び/又は鉱油系炭化水素を含有する。また、油性剤としては、高級アルコール、合成エステル、脂肪酸、及び油脂から選ばれる1種以上を含有する。また、極圧剤としては、硫黄系化合物及び/又はリン系化合物を含有する。
本例においては、下記の表1〜表4に示すごとく、基油、油性剤、極圧剤、アミン誘導体、及び含酸素化合物の量や種類が異なる36種類のタッピング加工用潤滑油(試料E1〜試料E36)を作製した。これらのタッピング加工用潤滑油は、基油として、初留点、終点、温度40℃における動粘度が異なる鉱油又は合成系炭化水素を含有する。鉱油としては、具体的には、初留点、終点、及び動粘度が異なるナフテン系鉱油を用いた。なお、動粘度の測定にあたっては、JIS K 2283の「原油及び石油製品の動粘度試験方法」に準拠して40℃における動粘度を測定し、測定器具としては、JIS K 2839の「石油類試験用ガラス器具」のキャノン−フェンスケ粘度計を用いた。また、合成系炭化水素としては、1−ドデセン、1−ヘキサデセン、又は1−オクタデセンを用いた。
油性剤としては、高級アルコール、脂肪酸エステル、ポリオールエステル、脂肪酸、又は油脂を用いた。高級アルコールとしては具体的には、オレイルアルコール(炭素数18)、デシルアルコール(炭素数10)、ラウリルアルコール(炭素数12)、又はエコサノール(炭素数20)を用いた。また、脂肪酸エステルとしては、デカン酸メチル(脂肪酸側炭素数10、アルコール側炭素数1)、デカン酸ブチル(脂肪酸側炭素数10、アルコール側炭素数4)、ラウリン酸メチル(脂肪酸側炭素数12、アルコール側炭素数1)、ラウリン酸ブチル(脂肪酸側炭素数12、アルコール側炭素数4)、ラウリン酸ペンチル(脂肪酸側炭素数12、アルコール側炭素数5)、ステアリン酸メチル(脂肪酸側炭素数18、アルコール側炭素数1)、ステアリン酸ブチル(脂肪酸側炭素数18、アルコール側炭素数4)、ステアリン酸ペンチル(脂肪酸側炭素数18、アルコール側炭素数5)、エイコ酸メチル(脂肪酸側炭素数20、アルコール側炭素数1)、又はエイコ酸ブチル(脂肪酸側炭素数20、アルコール側炭素数4)を用いた。また、ポリオールエステルとしては、トリメチロールプロパンカプリン酸トリエステル(脂肪酸側炭素数8、対となる多価アルコール:トリメチロールプロパン)、トリメチロールプロパンデカン酸トリエステル(脂肪酸側炭素数10、対となる多価アルコール:トリメチロールプロパン)、トリメチロールプロパンベヘニン酸トリエステル(脂肪酸側炭素数22、対となる多価アルコール:トリメチロールプロパン)、トリメチロールプロパンベヘン酸トリエステル(脂肪酸側炭素数24、対となる多価アルコール:トリメチロールプロパン)を用いた。また、脂肪酸としてはオレイン酸を用い、油脂としてはパーム油を用いた。
極圧剤としては、硫黄化合物系の極圧剤である硫化ラード又はリン酸化合物系の極圧剤であるリン酸トリトリルを用いた。
アミン誘導体としては、N,N−ジシクロヘキシルアミンエチレンオキシド2モル付加物を用い、含酸素化合物としては、2−ブチル−2−エチル1,3−プロパンジオールエチレンオキシド2モル付加物を用いた。
表1〜表4に、試料E1〜試料E36のタッピング加工用潤滑油の組成を示す。
また、本例においては、上記試料E1〜試料E36の優れた特徴を明らかにするために、比較用の16種類のタッピング加工用潤滑油(試料C1〜試料C16)を作製した。表5及び表6に試料C1〜試料C16の潤滑油の組成を示す。
Figure 2007154035
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次いで、上記の表1〜表6に示す各試料(試料E1〜試料E36及び試料C1〜試料C16)を用いて、各試料についてそれぞれアルミニウム材のタッピング加工を10回ずつ行った。このとき、各回のタッピング加工における有効ネジ深さ及びネジ形状、並びに10回タッピング加工における繰り返し加工性、タッピング加工後の水濡れ面積率についての評価を行った。評価にあたっては、アルミニウム材として、JIS H 4100に規定されるA1100、A1200のアルミニウム押出形材、又はA3003、A3203、A5052、A5454、A5083、A6061、又はA6063のアルミニウム合金押出形材の5mm厚さの部位を用い、62パターンの試験1〜62を行った(表7〜表9参照)。
「有効ネジ深さ及びネジ形状」
アルミニウム材に、パワープレス等により、目的とするネジ径(JIS B0207に規定されるM5×0.5)相当のキリ穴(下穴)を施工し、評価用のアルミニウム材とした。下穴処理をしたアルミニウムをタッピングマシンにセットし、目的サイズ(JIS B0207に規定されるM5×0.5)のタップツールを用いてねじ山を形成した。同様の加工を10回繰り返し、アルミニウム材に10個のねじ山を形成した。ねじ山形成後、各加工部をノコ等により切断し、ねじ山の成形状態を観察した。その結果、ねじ山頂点に欠けあるいはバリの存在しないものが加工数10個中9個以上であった場合を「合格」とし、後述の表7〜表9に「○」として示した。一方、欠けあるいはバリの存在しないものが加工数10個中5個以上かつ9個未満であった場合を「要改善」とし、表7〜表9に「△」として示した。さらに、欠けあるいはバリの存在しないものが加工数10個中5個未満であった場合を「不合格」とし、表7〜表9に「×」として示した。
また、上述のノコ等による切断部について、有効ネジ深さを測定した。その結果、有効ネジ深さ4.5mm以上のものが加工数10個中9個以上であった場合を「合格」とし、後述の表7〜表9に「○」として示した。一方、有効ネジ深さ4.5mm以上のものが加工数10個中に5個以上9個未満であった場合を「要改善」とし、後述の表7〜表9に「△」として示した。さらに、有効ネジ深さ4.5mm以上のものが加工数10個中5個未満あるいは全くなかった場合を「不合格」とし、後述の表7〜表9に「×」として示した。
「繰り返し加工性」
アルミニウム材をパワープレス等により目的とするネジ径(JIS B0207に規定されるM5×0.5)相当のキリ穴(下穴)を施工し、評価用のアルミニウム材とした。下穴処理をしたアルミニウムをタッピングマシンにセットし、目的サイズ(JIS B0207に規定されるM5×0.5)のタップツールを用いて10回以上連続してタッピング加工を実施した。
タッピング加工を実施する過程において、タップツールの先端にアルミ摩耗粉が凝着することなく、9回以上連続して加工が行えた場合を「合格」とし、後述の表7〜表9に「○」として示した。一方、5回以上9回未満の加工数において、タップツール先端にアルミ摩耗粉が凝着して凝着片を形成したため、凝着片を除去する作業が必要になった場合を「要改善」とし、後述の表7〜表9に「△」として示した。さらに、5回未満の加工数において、タップツール先端にアルミ摩耗粉が凝着して凝着片を形成したため、凝着片を除去する作業が必要になった場合を「不合格」とし、後述の表7〜表9に「×」として示した。
「水濡れ面積率」
水濡れ面積率の測定は、面積100cm2の各アルミニウム材(厚みは任意)上に各試料0.5gを滴下し、均一に塗布した。塗布した後にアルミニウム材をデシケーター内に8時間保管した。その後、炭化水素系有機溶剤(実験ではヘキサン(C614)を用いた)に静かに5秒間浸漬し、次いでアルミニウム材を引き上げ、30分間デシケータ内で風乾をさせた。
風乾後、イオン交換樹脂によって脱イオンを行った純水に、アルミニウム材を静かに5分間浸漬した。その後、アルミニウム材を引き上げて、後述の「水濡れ面積率測定板」を用いて水濡れ面積率を測定した。
「水濡れ面積率測定板」とは、アクリル等の透明な板に縦横1cm間隔で直交する11本の線を引き、100cm2の面積内に1cm2のマスが100個存在する測定板のことである。水濡れした面積が1マスの半分以上であるものを1個とし、すべての水濡れしたマス数を数えあげ、その数を100で除した値を100分率で表したものを「水濡れ面積率」とした。即ち、「水濡れ面積率」が高い程、その試料は、加工後にアルミニウム材上に残留し難く、洗浄後の残油量が低い潤滑油であると判定できる。「水濡れ面積率」が90%以上の場合を「レベル1」とし、80%以上90%未満を「レベル2」、80%未満の場合を「レベル3」とし、その結果を後述の表7〜表9に示す。
「総合評価」
上記のようにして評価した「有効ネジ深さ」、「ネジ形状」、「繰り返し加工性」、及び「水濡れ面積率」の結果に基づいて、総合的な判定を行い、その結果を表7〜表9に示す。
この総合評価においては、「有効ネジ深さ」、「ネジ形状」、及び「繰り返し加工性」の評価がすべて「○」で、なおかつ「水濡れ面積率」が「レベル1」の場合を「◎」とした。
また、「有効ネジ深さ」及び「ネジ形状」の評価が「○」、「繰り返し加工性」の評価が「△」で、なおかつ「水濡れ面積率」が「レベル1」の場合を「○」とした。
また、「有効ネジ深さ」、「ネジ形状」、及び「繰り返し加工性」の評価がすべて「△」で、なおかつ「水濡れ面積率」が「レベル1」の場合を「△」とした。さらに、「有効ネジ深さ」及び「ネジ形状」の評価が「○」で、「繰り返し加工性」の評価が「△」で、なおかつ「水濡れ面積率」が「レベル2」の場合についても「△」とした。
また、「有効ネジ深さ」、「ネジ形状」、及び「繰り返し加工性」の評価がすべて「×」である場合を、「水濡れ面積率」の結果にかかわらず「×」とした。さらに、「水濡れ面積率」が「レベル3」の場合にも、「有効ネジ深さ」、「ネジ形状」、及び「繰り返し加工性」の結果にかかわらず「×」とした。
総合評価において、「◎」、「○」、「△」の試料は、その程度に差はあるものの、タッピング加工におけるアルミ磨耗粉の凝着を抑制し、かつタッピング加工後の残油量を低減することができるタッピング加工用潤滑油である。
Figure 2007154035
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表7及び表8より知られるごとく、試料E1〜試料E36を用いた試験1〜36においては、バリや欠け等の不具合をほとんど生じることなくねじ穴を形成でき、残油量も少なかった。
よって、初留点が192〜297℃、終点が219〜353℃、動粘度が1.5〜11cSt(at40℃)の基油100重量部に対して、高級アルコール等の油性剤1〜30重量部と、硫黄系化合物及び/又はリン系化合物からなる極圧剤1〜10重量部とを含有するタッピング加工用潤滑油(試料E1〜試料E36)は、タッピング加工におけるアルミ磨耗粉の凝着を抑制して所望のねじ穴を形成できると共に、タッピング加工後の残油量を低減することができることがわかる。
これに対し、初留点、終点、及び動粘度が上記の範囲を下回る基油を用いた試料C1においては、潤滑性が不足し、有効ネジ深さおよびネジ形状で所定の成果を得られなかった(表9の試験45参照)。また、初留点が上記の範囲を下回る基油を用いた試料C11においても、潤滑性が不足し、有効ネジ深さおよびネジ形状で所定の成果を得られなかった(表9の試験55参照)。一方、初留点、終点、及び動粘度が上記の範囲を超える基油を用いた試料C2においては、水濡れ面積率が低く、残油量が多くなっていた(表9の試験46参照)。また、終点が上記の範囲を超える基油を用いた試料C12においても、水濡れ面積率が低く、残油量が多くなっていた。
また、油性剤の添加量を1重量部未満にした試料C3、試料C13、試料C14においては、潤滑性が不足しネジ加工性の点で所定の性能が得られなかった(表9の試験47、試験59、及び試験60参照)。一方、30重量部を越える油性剤を添加した試料C4、試料C15、及び試料C16においては、残油量が多くなった(表9の試験48、試験61、及び試験62参照)。
また、極圧剤の添加量が1重量部未満の試料C5及び試料C6においては、潤滑性が不足し、有効ネジ加工性の点で所定の成果を得られなかった(表9の試験49及び試験50参照)。一方、10重量部を越える極圧剤を添加した試料C7及び試料C8においては、ネジ加工性の点では所定の性能を得られたが、残油量が多くなった(表9の試験51及び試験52参照)。
次に、表7の試験4〜試験7は、油性剤としての高級アルコールの炭素数が異なる試料E4〜試料E7を用いて行った評価である。
表7より知られるごとく、炭素数が12〜18の高級アルコールを用いた試料E5及びE6は、炭素数が12未満の高級アルコールを用いた試料E4に比べて、有効ネジ深さ及びネジ形状の評価結果が向上していた(表7の試験4〜試験7参照)。さらに、試料E5及び試料E6は、炭素数が18を越える高級アルコールを用いた試料E7に比べて、水濡れ率が向上しており、残油量をより低減できることがわかる(表7の試験4〜試験7参照)。よって、好ましくは、油性剤として用いる高級アルコールの炭素数は12〜18がよい。
また、表7の試験8〜試験17は、油性剤としての脂肪酸エステルの種類(脂肪酸側炭素数及びアルコール側炭素数)が異なる試料E8〜試料E17を用いて行った評価である。表7より知られるごとく、脂肪酸側の炭素数が12〜18でアルコール側の炭素数が1〜4の脂肪酸エステルを用いた試料E10、試料E11、試料E13、及び試料E14は、脂肪酸側の炭素数が12未満である試料E8及び試料E9に比べて、有効ネジ深さ及びネジ形状の評価結果が向上していた(表7の試験8〜試験17参照)。さらに、試料E10、試料E11、試料E13、及び試料E14は、脂肪酸側の炭素数が18を越える脂肪酸エステルを用いた試料E16及び試料E17、アルコール側の炭素数が4を越える脂肪酸エステルを用いた試料E12及び試料E15に比べて、水濡れ率が向上しており、残油量をより低減できるがわかる(表7の試験8〜試験17参照)。よって、油性剤として用いる脂肪酸エステルは、脂肪酸側の炭素数が12〜18で、かつアルコール側の炭素数が1〜4であることが好ましい。
また、表7の試験18〜試験21は、油性剤としてのポリオールエステルの種類(脂肪酸側炭素数)が異なる試料E18〜試料E21を用いて行った評価である。表7より知られるごとく、多価アルコールと炭素数10〜22の脂肪酸とからなるポリオールエステルを用いた試料E19及び試料E20は、脂肪酸側の炭素数が10未満のポリオールエステルを用いた試料E18に比べて、有効ネジ深さ及びネジ形状の評価結果が向上していた(表7の試験18〜試験20参照)。また、試料E19及び試料E20は、脂肪酸側の炭素数が22を越えるポリオールエステルを用いた試料E21に比べて、水濡れ率が向上しており、残油量を低減できることがわかる(表7の試験19〜試験21参照)。よって、好ましくは、油性剤として用いるポリオールエステルにおいて、脂肪酸側の炭素数は10〜22であることがよい。
また、表8の試験30〜試験33は、アミン誘導体又は含酸素化合物を添加した試料E30〜試料E33を用いて行った評価である。表8より知られるごとく、アミン誘導体又は含酸素化合物を添加すると、繰り返し加工性をより向上できることがわかる(表8の試験30〜試験33参照)。
また、表9の試験53においては、アミン誘導体を2.0重量部を越えて過剰量添加した試料C9の結果を示し、表9の試験54においては、含酸素有機化合物を5.0重量部を越えて過剰量添加した試料C10の結果を示してある。試験53及び試験54の結果によれば、アミン誘導体又は含酸素有機化合物を過剰量添加すると、有効ネジ深さ、ネジ形状、及び繰り返し加工性がかえって劣化することがわかる。したがって、アミン誘導体及び含酸素有機化合物を添加する場合には、アミン誘導体の含有量は2.0重量部以下がよく、含酸素有機化合物の含有量は5.0重量部以下がよいことがわかる。
また、表7及び表8の試験1〜試験44の結果より知られるごとく、試料E1〜試料E36は、3000系、5000系、又は6000系のアルミニウム合金又は1000系のアルミニウムからなるアルミニウム材に適用することにより、上述の優れた潤滑性及び残油量の低減化を示すことができる。
一方、表9の試験57及び試験58においては、試験2や試験37〜試験44と同様の試料E2のタッピング加工用潤滑油を用いて、試験JIS H 4100に規定される2024S及び7075Sからなるアルミニウム材にタッピング加工を行った。その結果、有効ネジ深さが不十分となり、また、ねじ山に欠けやバリが観察され、また繰り返し加工性も低下した。これは、2000系のアルミニウム合金である2024S、及び7000系のアルミニウム合金である7075Sからなるアルミニウム材の材料強度が高く、加工発熱量が多いためにタッピング加工用潤滑油の基油の動粘度が低下して油性効果が低下し、その結果潤滑性が不足したためであると考えられる。
以上のように、初留点が192〜297℃、終点が219〜353℃、動粘度が1.5〜11cStの基油100重量部に対して、高級アルコール等の油性剤1〜30重量部と、硫黄系化合物及び/又はリン系化合物からなる極圧剤1〜10重量部とを含有するタッピング加工用潤滑油(試料E1〜試料E36)は、3000系、5000系、又は6000系のアルミニウム合金又は1000系のアルミニウムからなるアルミニウム材に対して、タッピング加工におけるアルミ磨耗粉の凝着を抑制して所望のねじ穴を形成できると共に、タッピング加工後の残油量を低減することができる。

Claims (7)

  1. 3000系、5000系、又は6000系のアルミニウム合金又は1000系のアルミニウムからなるアルミニウム材に、JIS B0207に規定されるM5×0.5以下のメートル細目ネジ用で、有効ネジ深さ10mm以下のねじ穴を形成するタッピング加工に用いられるタッピング加工用潤滑油であって、
    該タッピング加工用潤滑油は、基油と、該基油100重量部に対して1〜30重量部の油性剤と、上記基油100重量部に対して1〜10重量部の極圧剤とを含有し、
    上記基油としては、JIS K2254で規定される燃料油蒸留試験方法に準拠した方法によって測定した初留点が192〜297℃、終点が219〜353℃、動粘度が1.5〜11cSt(at40℃)の合成系炭化水素及び/又は鉱油系炭化水素を含有し、
    上記油性剤としては、高級アルコール、合成エステル、脂肪酸、及び油脂から選ばれる1種以上を含有し、
    上記極圧剤としては、硫黄系化合物及び/又はリン系化合物を含有することを特徴とするタッピング加工用潤滑油。
  2. 請求項1において、上記基油としての上記合成炭化水素は、炭素数12〜18のα−オレフィン、イソパラフィン、及びポリブテンから選ばれる1種以上であることを特徴とするタッピング加工用潤滑油。
  3. 請求項1又は2において、上記油性剤に用いる上記高級アルコールとしては、炭素数が12〜18のものを用いることを特徴とするタッピング加工用潤滑油。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項において、上記油性剤に用いられる上記合成エステルとしては、脂肪酸側の炭素数が12〜18、かつアルコール側の炭素数が1〜4の脂肪酸エステル及び/又はグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、及びソルビタンから選ばれる1種類以上の多価アルコールと、炭素数10〜22の脂肪酸とからなるポリオールエステルを用いることを特徴とするタッピング加工用潤滑油。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項において、上記タッピング加工用潤滑油は、上記基油100重量部に対して、脂肪酸アミン、アルカノールアミン、脂肪族ポリアミン、芳香族アミン、脂環式アミン、複素環アミン及びそれらのアルキレンオキシド付加物から選ばれるアミン誘導体を0.01〜2.0重量部含有することを特徴とするタッピング加工用潤滑油。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項において、上記タッピング加工用潤滑油は、上記基油100重量部に対して、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジ−2−エチルへキシルスルホコハク酸ナトリウム、多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物、及びそのハイドロカルビルエーテルから選ばれる1種以上の含酸素化合物を0.1〜5.0重量部含有することを特徴とするタッピング加工用潤滑油。
  7. 3000系、5000系、又は6000系のアルミニウム合金又は1000系のアルミニウムからなるアルミニウム材にタッピング加工を行う方法において、
    上記アルミニウム材の上記タッピング加工を行う部位に、請求項1〜6のいずれか一項に記載のタッピング加工用潤滑油を供給し、上記アルミニウム材に、JIS B0207に規定されるM5×0.5以下のメートル細目ネジ用の有効ネジ深さ10mm以下のねじ穴を形成することを特徴とするアルミニウム材のタッピング加工方法。
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