JP2004315669A - アルミニウム加工用潤滑油 - Google Patents
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Abstract
【課題】十分な加工性を有し、油剤除去工程では油剤を十分除去でき、加工後の被加工材の損傷や臭気、肌荒れ等を防止可能なアルミニウム加工用潤滑油を提供すること。
【解決手段】芳香族分が5容量%以下、ナフテン分が10〜85容量%、初留点が150℃以上、終点が320℃以下、前記初留点と前記終点との差が100℃以下、かつ40℃における動粘度が1.2〜3.0mm2/sである鉱油を含有するアルミニウム加工用潤滑油。
【選択図】 なし
【解決手段】芳香族分が5容量%以下、ナフテン分が10〜85容量%、初留点が150℃以上、終点が320℃以下、前記初留点と前記終点との差が100℃以下、かつ40℃における動粘度が1.2〜3.0mm2/sである鉱油を含有するアルミニウム加工用潤滑油。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミニウム加工用潤滑油に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
冷蔵庫やエアコン等の冷凍冷蔵システムの熱交換器には、アルミニウムフィンが使用されている。アルミニウムフィンは、平板状のアルミニウム部材(アルミニウムフィン材)を張り出し加工、絞り加工、打ち抜き加工、カーリング加工、しごき加工等塑性加工等することにより製造される。
【0003】
これらのアルミニウムフィン材の加工は、通常、油剤を用いて行われる。油剤としては、イソパラフィン等の合成系炭化水素が使用されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】
特開平2−133495号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
加工後にアルミニウムフィン材に付着している油剤は、加熱により除去する必要がある。そのため、油剤には一定以上の揮発性が求められている。
【0005】
しかしながら、油剤の揮発性を良くすると、粘度が低下してしまい十分な加工性が得られなくなる。また、得られたアルミニウムフィン材に付着した油剤が油剤除去工程の前に揮発してしまうと、アルミニウムフィンの保管、運搬、組立加工の際にアルミニウムフィン同士が直接接触して傷が発生する原因となったり、組立時の潤滑性が不足してしまう。一方、傷の発生を防止するために揮発し難い油剤を使用すると、油剤除去工程において油剤を十分に除去できなくなる。
【0006】
このため、油剤には、室温では揮発し難く、油剤除去工程における設定温度では速やかにかつ十分に揮発するという相反する性能が求められている。また、臭気や肌荒れ等の防止の観点から、揮発性が過度に高くない油剤が望まれている。しかしながら、従来の油剤は、上述の要求特性を全て満足しているとは言い難い。
【0007】
本発明はこのような実情に鑑みなされたものであり、十分な加工性を有し、油剤除去工程では油剤を十分除去でき、加工後の被加工材の損傷や臭気、肌荒れ等を防止可能なアルミニウム加工用潤滑油を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、本発明者は鋭意研究を重ねた結果、特定性状を有する鉱油を使用することにより、室温では揮発し難く、油剤除去工程における特定温度では速やかにかつ十分に揮発するという相反する性能を高水準でバランス良く達成できるアルミニウム加工用潤滑油が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明のアルミニウム加工用潤滑油は、芳香族分が5容量%以下、ナフテン分が10〜85容量%、初留点が150℃以上、終点が320℃以下、前記初留点と前記終点との差が100℃以下、かつ40℃における動粘度が1.2〜3.0mm2/sである鉱油を含有することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
本発明のアルミニウム加工用潤滑油は、上述のように芳香族分が5容量%以下、ナフテン分が10〜85容量%、初留点が150℃以上、終点が320℃以下、前記初留点と前記終点との差が100℃以下、かつ40℃における動粘度が1.2〜3.0mm2/sである鉱油を含有する。かかる鉱油は、本発明のアルミニウム加工用潤滑油において基油として好適に使用される。
【0011】
鉱油の芳香族分は、5容量%以下であり、好ましくは3容量%以下、より好ましくは2容量%以下、更に好ましくは1容量%以下である。芳香族分を上記上限値以下とすることにより、臭気や肌荒れ等を防止することができる。ここで、本発明における芳香族分とは、JIS K 2536「石油製品−炭化水素タイプ試験」の蛍光指示薬吸着法に準拠して測定された値を意味する。
【0012】
また、鉱油のナフテン分は10容量%以上であり、好ましくは15容量%以上、より好ましくは20容量%以上、更に好ましくは25容量%以上、最も好ましくは30容量%以上である。ナフテン分を上記下限値以上とすることにより、油剤除去工程における油剤除去性や加工性が良好となる。一方、ナフテン分は85容量%以下であり、好ましくは80容量%以下、より好ましくは75容量%以下、更に好ましくは70容量%以下である。ナフテン分を上記上限値以下とすることにより、室温での油剤の揮発を防止することができる。
【0013】
また、鉱油のパラフィン分は特に制限されないが、パラフィン分は15容量%以上であることが好ましく、より好ましくは20容量%以上、更に好ましくは25容量%以上である。パラフィン分を上記下限値以上とすることにより、油剤の臭気をより防止することができる。一方、パラフィン分は85容量%以下であることが好ましく、より好ましくは80容量%以下、更に好ましくは90容量%以下である。パラフィン分を上記上限値以下とすることにより、加工時における凝着発生防止効果を向上させることができる。
【0014】
ナフテン分及びパラフィン分は、FIイオン化(ガラスリザーパ使用)による質量分析法により得られた分子イオン強度をもってこれらの含有割合を決定した後、算出される。以下、その測定方法を具体的に示す。
【0015】
▲1▼ 18mm、長さ980mmの溶出クロマト用吸着管に、約175℃で3時間乾燥して活性化させた呼び径74〜149μmのシリカゲル(富士デビソン化学(株)製grade923)120gを充填する。
▲2▼ n−ペンタン75mlを注入して、シリカゲルを予め湿する。
▲3▼ 試料約2gを精秤して、等容量のn−ペンタンで希釈し、得られた溶液を注入する。
▲4▼ 試料溶液の液面がシリカゲル上端に達したとき、飽和炭化水素成分を分離するためにn−ペンタン140mlを注入し、吸着管の下端より溶出液を回収する。
▲5▼ ▲4▼の溶出液をロータリーエバポレーターにかけて溶媒を留去し、飽和炭化水素成分を得る。
▲6▼ ▲5▼で得られた飽和炭化水素成分を質量分析計でタイプ分析を行う。質量分析におけるイオン化方法としては、ガラスリザーバを使用したFIイオン化法を用いる。質量分析計は、日本電子(株)製JMS−AX505Hを使用する。なお、測定条件は以下の通りである。
【0016】
加速電圧 :3.0kV
カソード電圧 :−5〜−6kV
分析能 :約500
エミッター :カーボン
エミッター電流 :5mA
測定範囲 :質量数35〜700
補助オーブン温度:300℃
セパレータ温度 :300℃
主要オーブン温度:350℃
試料注入量 :1μm
【0017】
▲7▼ ▲6▼の質量分析によって得られた分子イオンについて同位体補正後、その質量数からパラフィン類(CnH2n+2)とナフテン類(CnH2n,CnH2n−2,CnH2n−4・・・)の2つのタイプに分類し整理する。次いで、それぞれのイオン強度の分率を求め、飽和炭化水素成分全体に対する各タイプの含有量を決定する。さらに、▲5▼で得られた飽和炭化水素成分の含有量をもとに、試料全体に対するパラフィン分、ナフテン分の各含有量を求める。
【0018】
なお、FIイオン化による質量分析法のタイプ分析法によるデータの処理の詳細は、「日石レビュー」第33巻第4号135〜142頁の特に「2.2.3データ処理」の項に記載されている。
【0019】
また、鉱油の初留点は150℃以上であり、好ましくは155℃以上、更に好ましくは160℃以上である。鉱油の初留点を上記下限値以上とすることにより、室温での油剤の揮発を十分に防止することができる。一方、鉱油の終点は320℃以下であり、好ましくは310℃以下、更に好ましくは300℃以下である。鉱油の終点を上記上限値以下とすることにより、油剤除去工程における油剤除去性を良好にすることができる。また、鉱油の初留点と終点の温度差は100℃以下であり、好ましくは90℃以下、更に好ましくは80℃以下である。かかる温度差を上記上限値以下とすることにより、室温での油剤の揮発の防止と油剤除去工程における油剤除去性とを両立することができる。ここで、本発明における初留点及び終点とは、JIS K 2254「石油製品−蒸留試験方法」に準拠して測定された値を意味する。
【0020】
さらに、鉱油の40℃における動粘度は、1.2〜3.0mm2/sである。すなわち、鉱油の40℃における動粘度は、1.2mm2/s以上であり、好ましくは1.3mm2/s以上、更に好ましくは1.4mm2/s以上である。動粘度を上記下限値以上とすることにより、加工性を良好にすることができる。一方、鉱油の40℃における動粘度は、3.0mm2/s以下であり、好ましくは2.8mm2/s以下、更に好ましくは2.7mm2/s以下である。動粘度を上記上限値以下とすることにより、室温での油剤の揮発の防止と油剤除去工程における油剤除去性とを両立することができる。
【0021】
なお、本発明において使用される鉱油は、初留点が150℃以上、終点が320℃以下、かつ初留点と終点との差が100℃以下になるように原油を常圧蒸留して得られた留分に対して、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の1種又は2種以上の精製手段を適宜組み合わせて得ることができる。
【0022】
本発明のアルミニウム加工用潤滑油に占める鉱油の含有量は、該潤滑油全量基準で好ましくは60質量%以上であり、より好ましくは65質量%以上であり、更に好ましくは70質量%以上である。鉱油の含有量を上記下限値以上とすることにより、臭気や肌荒れ等の作業環境と油剤除去工程における油剤除去性とが良好となる。該潤滑油は上述の鉱油のみからなるものであっても良く、また、該鉱油以外の基油(以下、「その他の基油」という。)、及び各種添加剤を更に含有しても良い。各種その他の基油、各種添加剤等を含有する場合の該潤滑油に占める鉱油の含有量は、特に制限はないが、該潤滑油全量基準で好ましくは99.9質量%以下であり、より好ましくは99.5質量%以下である。
【0023】
また、本発明のアルミニウム加工用潤滑油は、以下の任意成分を含有することができる。
【0024】
本発明のアルミニウム加工用潤滑油は、含酸素化合物を更に含有することができる。含酸素化合物としては、以下の(A1)〜(A8)成分からなる群より選ばれる少なくとも1種の含酸素化合物を含有することができる。
(A1)数平均分子量が100以上1000未満である水酸基を3〜6個有する多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物
(A2)上記(A1)成分のハイドロカルビルエーテル又はハイドロカルビルエステル
(A3)数平均分子量が100以上1000未満のポリアルキレングリコール
(A4)上記(A3)成分のハイドロカルビルエーテル又はハイドロカルビルエステル
(A5)炭素数2〜20の2価アルコール
(A6)上記(A5)成分のハイドロカルビルエーテル又はハイドロカルビルエステル
(A7)炭素数3〜20の3価アルコール
(A8)上記(A7)成分のハイドロカルビルエーテル又はハイドロカルビルエステル
【0025】
(A1)成分を構成する多価アルコールは、水酸基を3〜6個有する。水酸基を3〜6個有する多価アルコールとしては、以下の多価アルコールに加え、糖類も使用可能である。
【0026】
多価アルコールとしては、グリセリン、ポリグリセリン(グリセリンの2〜4量体、例えばジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン)、トリメチロールアルカン(例えばトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン)、及びこれらの2〜4量体、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,3.5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3,4−ブタンテトロール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトール、イジリトール、タリトール、ズルシトール、アリトール等が挙げられる。
【0027】
糖類としては、キシロース、アラビノース、リボース、ラムノース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、セロビオース、マントース、イソマルトース、トレハロース、シュクロース等が挙げられる。
【0028】
これらの中では、加工性に優れる点から、グリセリン、トリメチロールアルカン、ソルビトールが好ましい。
【0029】
また、(A1)成分を構成するアルキレンオキサイドとしては、炭素数2〜6、好ましくは炭素数2〜4のアルキレンオキサイドが用いられる。炭素数2〜6のアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−エポキシブタン(α−ブチレンオキサイド)、2,3−エポキシブタン(β−ブチレンオキサイド)、1,2−エポキシ−1−メチルプロパン、1,2−エポキシヘプタン、1,2−エポキシヘキサン等が挙げられる。これらの中では、加工性に優れる点から、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドが好ましく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドがより好ましい。
【0030】
なお、2種以上のアルキレンオキサイドを用いた場合には、オキシアルキレン基の重合形式に特に制限はなく、ランダム共重合していても、ブロック共重合していてもよい。また、水酸基を3〜6個有する多価アルコールにアルキレンオキサイドを付加させる際、全ての水酸基に付加させてもよいし、一部の水酸基のみに付加させてもよい。これらの中では、加工性に優れる点から、全ての水酸基に付加させた方が好ましい。
【0031】
さらに、(A1)成分の数平均分子量(Mn)は100以上1000未満であり、好ましくは100以上800未満である。Mnが100未満の場合には、鉱油に対する溶解性が低下し好ましくない。一方、Mnが1000以上の場合には、油剤除去工程において加工後の被加工材の表面に油剤が残存する恐れがあるため好ましくない。なお、本発明におけるMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレンの換算の数平均分子量をいう。
【0032】
(A1)成分としては、Mnが100以上1000未満となるように水酸基を3〜6個有する多価アルコールにアルキレンオキサイドを付加反応させたものを用いてもよい。また、任意の方法で得られる水酸基を3〜6個有する多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物の混合物や市販されている水酸基を3〜6個有する多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物の混合物を、蒸留やクロマトグラフィーによってMnが100以上1000未満となるように分離したものを用いてもよい。なお、(A1)成分としては、これらの化合物を単独で又は2種以上の混合物として用いてもよい。
【0033】
(A2)成分は、Mnが100以上1000未満、好ましくは100以上800未満である水酸基を3〜6個有する多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物を、ハイドロカルビルエーテル化又はエステル化させたものである。
【0034】
(A2)成分としては、(A1)成分のアルキレンオキサイド付加物の末端水酸基の一部又は全てを、ハイドロカルビルエーテル化又はエステル化させたものが使用できる。ここで言うハイドロカルビル基とは、炭素数1〜24のアルキル基、炭素数2〜24のアルケニル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、炭素数6〜11のアルキルシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜18のアルキルアリール基、炭素数7〜18のアリールアルキル基等の炭素数1〜24の炭化水素基を表す。
【0035】
炭素数1〜24のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、直鎖又は分枝のペンチル基、直鎖又は分枝のヘキシル基、直鎖又は分枝のヘプチル基、直鎖又は分枝のオクチル基、直鎖又は分枝のノニル基、直鎖又は分枝のデシル基、直鎖又は分枝のウンデシル基、直鎖又は分枝のドデシル基、直鎖又は分枝のトリデシル基、直鎖又は分枝のテトラデシル基、直鎖又は分枝のペンタデシル基、直鎖又は分枝のヘキサデシル基、直鎖又は分枝のヘプタデシル基、直鎖又は分枝のオクタデシル基、直鎖又は分枝のノナデシル基、直鎖又は分枝のイコシル基、直鎖又は分枝のヘンイコシル基、直鎖又は分枝のドコシル基、直鎖又は分枝のトリコシル基、直鎖又は分枝のテトラコシル基等が挙げられる。
【0036】
炭素数2〜24のアルケニル基としては、ビニル基、直鎖又は分枝のプロペニル基、直鎖又は分枝のブテニル基、直鎖又は分枝のペンテニル基、直鎖又は分枝のへキセニル基、直鎖又は分枝のヘプテニル基、直鎖又は分枝のオクテニル基、直鎖又は分枝のノネニル基、直鎖又は分枝のデセニル基、直鎖又は分枝のウンデセニル基、直鎖又は分枝のドデセニル基、直鎖又は分枝のトリデセニル基、直鎖又は分枝のテトラデセニル基、直鎖又は分枝のペンタデセニル基、直鎖又は分枝のヘキサデセニル基、直鎖又は分枝のヘプタデセニル基、直鎖又は分枝のオクタデセニル基、直鎖又は分枝のノナデセニル基、直鎖又は分枝のイコセニル基、直鎖又は分枝のヘンイコセニル基、直鎖又は分枝のドコセニル基、直鎖又は分枝のトリコセニル基、直鎖又は分枝のテトラコセニル基等が挙げられる。
【0037】
炭素数5〜7のシクロアルキル基としては、シクリペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等が挙げられる。炭素数6〜11のアルキルシクロアルキル基としては、メチルシクロペンチル基、ジメチルシクロペンチル基(全ての構造異性体を含む。)、メチルエチルシクロペンチル基(全ての構造異性体を含む。)、ジエチルシクロペンチル基(全ての構造異性体を含む。)、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基(全ての構造異性体を含む。)、メチルエチルシクロヘキシル基(全ての構造異性体を含む。)、ジエチルシクロヘキシル基(全ての構造異性体を含む。)、メチルシクロヘプチル基、ジメチルシクロヘプチル基(全ての構造異性体を含む。)、メチルエチルシクロヘプチル基(全ての構造異性体を含む。)、ジエチルシクロヘプチル基(全ての構造異性体を含む。)等が挙げられる。
【0038】
炭素数6〜10のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。炭素数7〜18のアルキルアリール基としては、トリル基(全ての構造異性体を含む。)、キシリル基(全ての構造異性体を含む。)、エチルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)、直鎖又は分枝のプロピルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)、直鎖又は分枝のブチルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)、直鎖又は分枝のペンチルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)、直鎖又は分枝のヘキシルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)、直鎖又は分枝のヘプチルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)、直鎖又は分枝のオクチルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)、直鎖又は分枝のノニルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)、直鎖又は分枝のデシルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)、直鎖又は分枝のウンデシルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)、直鎖又は分枝のドデシルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)等が挙げられる。
【0039】
炭素数7〜12のアリールアルキル基としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基(プロピル基の異性体を含む。)フェニルブチル基(ブチル基の異性体を含む。)、フェニルペンチル基(ペンチル基の異性体を含む。)、フェニルヘキシル基(ヘキシル基の異性体を含む。)等が挙げられる。
【0040】
これらの中では、加工性に優れる点から、炭素数2〜18の直鎖又は分枝のアルキル基、炭素数2〜18の直鎖又は分枝のアルケニル基が好ましく、炭素数3〜12の直鎖又は分枝のアルキル基、オレイル基(オレイルアルコールから水酸基を除いた残基)がより好ましい。
【0041】
エステル化に用いる酸としては、通常、カルボン酸が挙げられる。このカルボン酸としては、一塩基酸でも多塩基酸でもよいが、通常、一塩基酸が用いられる。一塩基酸としては、炭素数6〜24の脂肪酸が挙げられ、直鎖状のものでも分枝状のものでもよい。また、一塩基酸としては、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸又はこれらの混合物であってもよい。
【0042】
飽和脂肪酸としては、直鎖又は分枝のヘキサン酸、直鎖又は分枝のオクタン酸、直鎖又は分枝のノナン酸、直鎖又は分枝のデカン酸、直鎖又は分枝のウンデカン酸、直鎖又は分枝のドデカン酸、直鎖又は分枝のトリデカン酸、直鎖又は分枝のテトラデカン酸、直鎖又は分枝のペンタデカン酸、直鎖又は分枝のヘキサデカン酸、直鎖又は分枝のオクタデカン酸、直鎖又は分枝のヒドロキシオクタデカン酸、直鎖又は分枝のノナデカン酸、直鎖又は分枝のエイコサン酸、直鎖又は分枝のヘンエイコサン酸、直鎖又は分枝のドコサン酸、直鎖又は分枝のトリコサン酸、直鎖又は分枝のテトラコサン酸等が挙げられる。
【0043】
不飽和脂肪酸としては、直鎖又は分枝のヘキセン酸、直鎖又は分枝のヘプテン酸、直鎖又は分枝のオクテン酸、直鎖又は分枝のノネン酸、直鎖又は分枝のデセン酸、直鎖又は分枝のウンデセン酸、直鎖又は分枝のドデセン酸、直鎖又は分枝のトリデセン酸、直鎖又は分枝のテトラデセン酸、直鎖又は分枝のペンタデセン酸、直鎖又は分枝のヘキサデセン酸、直鎖又は分枝のオクタデセン酸、直鎖又は分枝のヒドロキシオクタデセン酸、直鎖又は分枝のノナデセン酸、直鎖又は分枝のエイコセン酸、直鎖又は分枝のヘンエイコセン酸、直鎖又は分枝のドコセン酸、直鎖又は分枝のトリコセン酸、直鎖又は分枝のテトラコセン酸等が挙げられる。
【0044】
これらの中では、特に炭素数8〜20の飽和脂肪酸、炭素数8〜20の不飽和脂肪酸及びこれらの混合物が好ましい。なお、(A2)成分としては、これら化合物を単独で又は2種以上の混合物として用いてもよい。
【0045】
(A3)成分は、Mnが100以上1000未満のポリアルキレングリコールであり、炭素数2〜6、好ましくは2〜4のアルキレンオキサイドを単独重合又は共重合したものが用いられる。炭素数2〜6のアルキレンオキサイドとしては、(A1)成分の説明において列挙したアルキレンオキサイドが挙げられる。これらの中では、加工性に優れる点から、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドが好ましく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドがより好ましい。
【0046】
なお、ポリアルキレングリコールの調製時に2種以上のアルキレンオキサイドを用いた場合には、オキシアルキレン基の重合形式に特に制限はなく、ランダム共重合していても、ブロック共重合していてもよい。
【0047】
また、(A3)成分としては、Mnが100以上1000未満、好ましくは120以上700未満であることが必要であるが、Mnが100未満のポリアルキレングリコールは、鉱油への溶解性が低下し好ましくない。一方、Mnが1000以上のポリアルキレングリコールは、油剤除去工程において加工後の被加工材の表面に油剤が残存する恐れがあるため好ましくない。
【0048】
またさらに、(A3)成分としては、アルキレンオキサイドを重合させる際にMnが100以上1000未満となるように反応させたものを用いてもよい。また、任意の方法で得られるポリアルキレングリコール混合物や市販されているポリアルキレングリコール混合物を、蒸留やクロマトグラフィーによってMnが100以上1000未満となるように分離したものを用いてもよい。なお、(A3)成分としては、これらの化合物を単独で又は2種以上の混合物として用いてもよい。
【0049】
(A4)成分は、Mnが100以上1000未満、好ましくは120以上700未満のポリアルキレングリコールを、ハイドロカルビルエーテル化又はエステル化させたものである。(A4)成分としては、(A3)成分のポリアルキレングリコールの末端水酸基の一部又は全てを、ハイドロカルビルエーテル化又はエステル化させたものが使用できる。ここでいうハイドロカルビル基とは、炭素数1〜24の炭化水素基を表し、具体的には例えば(A2)成分の説明において列挙した各基が挙げられる。これらの中では、加工性に優れる点から、炭素数2〜18の直鎖又は分枝のアルキル基、炭素数2〜18の直鎖又は分枝のアルケニル基が好ましく、炭素数3〜12の直鎖又は分枝のアルキル基、オレイル基(オレイルアルコールから水酸基を除いた残基)がより好ましい。
【0050】
また、(A4)成分としては、(A3)成分のポリアルキレングリコールの末端水酸基をエステル化させたものも使用できる。エステル化に用いる酸としては、通常カルボン酸が挙げられる。このカルボン酸としては、一塩基酸でも多塩基酸でもよいが、通常、一塩基酸が用いられる。具体的には、上記(A2)成分の説明において列挙したものが挙げられる。なお、(A4)成分としては、これら化合物を単独で又は2種以上の混合物として用いてもよい。
【0051】
(A5)成分は、炭素数2〜20、好ましくは炭素数3〜18の2価アルコールである。ここでいう2価アルコールとは、分子中にエーテル結合を有しないものをいう。炭素数2〜20の2価アルコールとしては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,15−ヘプタデカンジオール、1.16−ヘキサデカンジオール、1,17−ヘプタデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,19−ノナデカンジオール、1,20−イコサデカンジオール等が挙げられる。
【0052】
これらの中では、加工性に優れる点から、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール等が好ましい。なお、(A5)成分としては、これらの化合物を単独で又は2種以上の混合物として用いてもよい。
【0053】
(A6)成分は、炭素数2〜20、好ましくは炭素数3〜18の2価アルコール(但し、分子中にエーテル結合を有するものを除く。)を、ハイドロカルビルエーテル化させたもの又はエステル化させたものである。(A6)成分としては、(A5)成分の2価アルコールの末端水酸基の一部又は全てを、ハイドロカルビルエーテル化させたものが使用できる。ここでいうハイドロカルビル基とは、炭素数1〜24の炭化水素基を表し、具体的には例えば(A2)成分の説明において列挙した各基が挙げられる。これらの中では、加工性に優れる点から、炭素数2〜18の直鎖又は分枝のアルキル基、炭素数2〜18の直鎖又は分枝のアルケニル基が好ましく、炭素数3〜12の直鎖又は分枝のアルキル基、オレイル基(オレイルアルコールから水酸基を除いた残基)が更に好ましい。
【0054】
また、(A6)成分としては、(A5)成分の2価アルコールの末端水酸基の一方又は両方を、エステル化させたものも使用できる。エステル化に用いる酸としては、通常、カルボン酸が挙げられる。このカルボン酸としては、一塩基酸でも多塩基酸でもよいが、通常一塩基酸が用いられる。具体的には、上記(A2)成分の説明において列挙したものが挙げられる。またさらに、(A6)成分のエステルは、(A5)成分の2価アルコールの末端水酸基の一方をエステル化したもの(部分エステル)であってもよく、末端水酸基の両方をエステル化したもの(完全エステル)であってもよい。これらの中では、加工性に優れる点から、部分エステルであることが好ましい。なお、(A6)成分としては、これら化合物を単独で又は2種以上の混合物として用いてもよい。
【0055】
(A7)成分は、炭素数3〜20、好ましくは炭素数3〜18の3価アルコールである。ここでいう3価アルコールとは、分子中にエーテル結合を有しないものをいう。炭素数3〜20の3価アルコールとしては、グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,3−ペンタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3−ヘキサントリオール、1,2,4−ヘキサントリオール、1,2,5−ヘキサントリオール、1,3,4−ヘキサントリオール、1,3,5−ヘキサントリオール、1,3,6−ヘキサントリオール、1,4,5−ヘキサントリオール、1,2,7−ヘプタントリオール、1,2,8−オクタントリオール、1,2,9−ノナントリオール、1,2,10−デカントリオール、1,2,11−ウンデカントリオール、1,2,12−ドデカントリオール、1,2,13−トリデカントリオール、1,2,14−テトラデカントリオール、1,2,15−ペンタデカントリオール、1,2,16−へキサデカントリオール、1,2,17−ヘプタデカントリオール、1,2,18−オクタデカントリオール、1,2,19−ノナデカントリオール、1,2,20−イコサントリオール等が挙げられる。
【0056】
これらの中では、加工性に優れる点から、1,2,12−ドデカントリオール、1,2,13−トリデカントリオール、1,2,14−テトラデカントリオール、1,2,15−ペンタデカントリオール、1,2,16−ヘキサデカントリオール、1,2,17−ヘプタデカントリオール、1,2,18−オクタデカントリオールが好ましい。なお、(A7)成分としては、これら化合物を単独で又は2種以上の混合物として用いてもよい。
【0057】
(A8)成分は、炭素数3〜20、好ましくは炭素数3〜18の3価アルコール(但し、分子中にエーテル結合を有するものを除く。)を、ハイドロカルビルエーテル化させたもの又はエステル化させたものである。(A8)成分としては、(A7)成分の3価アルコールの末端水酸基の一部又は全てを、ハイドロカルビルエーテル化させたものが使用できる。ここでいうハイドロカルビル基とは、炭素数1〜24の炭化水素基を表し、具体的には例えば(A2)成分の説明において列挙した各基が挙げられる。これらの中では、加工性に優れる点から、炭素数2〜18の直鎖又は分枝のアルキル基、炭素数2〜18の直鎖又は分枝のアルケニル基が好ましく、炭素数3〜12の直鎖又は分枝のアルキル基、オレイル基(オレイルアルコールから水酸基を除いた残基)がより好ましい。
【0058】
また、(A8)成分としては、(A7)成分の3価アルコールの末端水酸基の一方又は全部を、エステル化させたものが使用できる。エステル化に用いる酸としては、通常、カルボン酸が挙げられる。このカルボン酸としては、一塩基酸でも多塩基酸でもよいが、通常一塩基酸が用いられる。具体的には、上記(A2)成分において列挙したものが挙げられる。なお、(A8)成分のエステルとしては、(A7)成分の3価アルコールの末端水酸基の一つ又は2つをエステル化したもの(部分エステル)であってもよく、末端水酸基の全部をエステル化したもの(完全エステル)であってもよい。これらの中では、加工性に優れる点から、部分エステルであることが好ましい。
【0059】
(A8)成分としては、(A7)成分のうち、グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,3−ペンタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3−へキサントリオール、1,2,4−ヘキサントリオール、1,2,5−ヘキサントリオール、1,3,4−ヘキサントリオール、1,3,5−ヘキサントリオール、1,3,6−へキサントリオール及び1,4,5−へキサントリオールのハイドロカルビルエーテル又は部分エステルが好ましい。なお、(A8)成分としては、これら化合物を単独で又は2種以上の混合物として用いてもよい。
【0060】
本発明において、上記(A1)〜(A8)成分の中から選ばれる1種の含酸素化合物を単独で用いてもよいし、異なる構造を有する2種以上の含酸素化合物の混合物を用いてもよい。上記(A1)〜(A8)成分の中では、加工性に優れる点から、(A3)成分、(A4)成分、(A5)成分及び(A8)成分が好ましく、(A3)成分、(A4)成分及び(A8)成分がより好ましい。
【0061】
また、本発明のアルミニウム加工用潤滑油に占める含酸素化合物の含有量は、該潤滑油の全量基準で0.01〜5質量%であることが好ましい。すなわち、含酸素化合物の含有量は0.01質量%以上であり、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上である。一方、含酸素化合物の含有量は5質量%以下であり、好ましくは2.5質量%以下、より好ましくは2.0質量%以下である。含酸素化合物の含有量が少なすぎると加工性が不十分となることがあり、含有量を多くしても含有量に見合う効果が得られないことがある。
【0062】
本発明のアルミニウム加工用潤滑油においては、油性剤を更に含有することができる。油性剤としては、加工性をより向上させるために、下記(B1)〜(B3)成分の中から選ばれる少なくとも1種の油性剤を使用することが好ましい。なお、油性剤としては、通常潤滑油の油性剤として用いられているものも含まれる。
(B1)エステル
(B2)1価アルコール
(B3)カルボン酸
【0063】
(B1)成分であるエステルは、アルコールとカルボン酸とを反応させることにより得られる。アルコールとしては、1価アルコールでも多価アルコールでもよい。また、カルボン酸としては、一塩基酸でも多塩基酸であってもよい。
【0064】
1価アルコールとしては、通常炭素数1〜24の1価アルコールが用いられる。このようなアルコールとしては、直鎖状のものでも分枝状のものでもよい。炭素数1〜24の1価アルコールとしては、メタノール、エタノール、直鎖又は分枝のプロパノール、直鎖又は分枝のブタノール、直鎖又は分枝のオクタノール、直鎖又は分枝のノナノール、直鎖又は分枝のデカノール、直鎖又は分枝のウンデカノール、直鎖又は分枝のドデカノール、直鎖又は分枝のトリデカノール、直鎖又は分枝のテトラデカノール、直鎖又は分枝のペンタデカノール、直鎖又は分枝のヘキサデカノール、直鎖又は分枝のヘプタデカノール、直鎖又は分枝のオクタデカノール、直鎖又は分枝のノナデカノール、直鎖又は分枝のエイコサノール、直鎖又は分枝のヘンエイコサノール、直鎖又は分枝のトリコサノール、直鎖又は分枝のテトラコサノール及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0065】
多価アルコールとしては、通常2〜10価、好ましくは2〜6価の多価アルコールが用いられる。2〜10価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(エチレンオキサイドの3〜15量体)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(プロピレンオキサイドの3〜15量体)、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ポリグリセリン(グリセリンの2〜8量体、例えば、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン)、トリメチロールアルカン(例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン)及びこれらの2〜8量体、ペンタエリスリトール及びこれらの2〜4量体、1,2,4−ブタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3,4−ブタンテトロール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトール等が挙げられる。
【0066】
また、キシロース、アラビトール、リボース、ラムノース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、セロビオース、マントース、イソマルトース、トレハロース、スクロース等の糖類も使用可能である。
【0067】
これらの中では、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(より好ましくはエチレンオキサイドの3〜10量体)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(より好ましくはプロピレンオキサイドの3〜10量体)、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、トリメチロールアルカン(例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン)及びこれらの2〜4量体、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3,4−ブタンテトロール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトール等の2〜6価の多価アルコール及びこれらの混合物等がより好ましい。更に好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビタン及びこれらの混合物である。
【0068】
また、エステル油性剤を構成する一塩基酸としては、通常炭素数6〜24を有する直鎖又は分枝の脂肪酸が挙げられる。また、一塩基酸としては、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸又はこれらの混合物であってもよい。
【0069】
飽和脂肪酸としては、直鎖又は分枝のへキサン酸、直鎖又は分枝のオクタン酸、直鎖又は分枝のノナン酸、直鎖又は分枝のデカン酸、直鎖又は分枝のウンデカン酸、直鎖又は分枝のドデカン酸、直鎖又は分枝のトリデカン酸、直鎖又は分枝のテトラデカン酸、直鎖又は分枝のペンタデカン酸、直鎖又は分枝のヘキサデカン酸、直鎖又は分枝のオクタデカン酸、直鎖又は分枝のヒドロキシオクタデカン酸、直鎖又は分枝のノナデカン酸、直鎖又は分枝のエイコサン酸、直鎖又は分枝のヘンエイコサン酸、直鎖又は分枝のドコサン酸、直鎖又は分枝のトリコサン酸、直鎖又は分枝のテトラコサン酸等が挙げられる。
【0070】
不飽和脂肪酸としては、直鎖又は分枝のヘキセン酸、直鎖又は分枝のヘプテン酸、直鎖又は分枝のオクテン酸、直鎖又は分枝のノネン酸、直鎖又は分枝のデセン酸、直鎖又は分枝のウンデセン酸、直鎖又は分枝のドデセン酸、直鎖又は分枝のトリデセン酸、直鎖又は分枝のテトラデセン酸、直鎖又は分枝のペンタデセン酸、直鎖又は分枝のヘキサデセン酸、直鎖又は分枝のオクタデセン酸、直鎖又は分枝のヒドロキシオクタデセン酸、直鎖又は分枝のノナデセン酸、直鎖又は分枝のエイコセン酸、直鎖又は分枝のヘンエイコセン酸、直鎖又は分枝のドコセン酸、直鎖又は分枝のトリコセン酸、直鎖又は分枝のテトラコセン酸等が挙げられる。これらの中では、特に炭素数8〜20の飽和脂肪酸、炭素数8〜20の不飽和脂肪酸及びこれらの混合物が好ましい。
【0071】
エステル油性剤を構成する多塩基酸としては、炭素数2〜16の二塩基酸及びトリメリット酸等が挙げられる。炭素数2〜16の二塩基酸としては、直鎖のものでも分枝のものでもよく、また飽和二塩基酸、不飽和二塩基酸又はこれらの混合物であってもよい。
【0072】
飽和二塩基酸としては、エタン二酸、プロパン二酸、直鎖又は分枝のブタン二酸、直鎖又は分枝のペンタン二酸、直鎖又は分枝のへキサン二酸、直鎖又は分枝のオクタン二酸、直鎖又は分枝のノナン二酸、直鎖又は分枝のデカン二酸、直鎖又は分枝のウンデカン二酸、直鎖又は分枝のドデカン二酸、直鎖又は分枝のトリデカン二酸、直鎖又は分枝のテトラデカン二酸、直鎖又は分枝のヘプタデカン二酸、直鎖又は分枝のヘキサデカン二酸等が挙げられる。
【0073】
不飽和二塩基酸としては、直鎖又は分枝のヘキセン二酸、直鎖又は分枝のオクテン二酸、直鎖又は分枝のノネン二酸、直鎖又は分枝のデセン二酸、直鎖又は分枝のウンデセン二酸、直鎖又は分枝のドデセン二酸、直鎖又は分枝のトリデセン二酸、直鎖又は分枝のテトラセン二酸、直鎖又は分枝のヘプタデセン二酸、直鎖又は分枝のヘキサデセン二酸等が挙げられる。
【0074】
エステル油性剤としては、例えば、以下の(1b)〜(7b)成分が挙げられる。エステル油性剤としては、これらの例示成分のように、任意のアルコールとカルボン酸とを反応させて得られるエステルが使用可能であり、特にこれらに限定されるものではない。
(1b)一価アルコールと一塩基酸とのエステル
(2b)多価アルコールと一塩基酸とのエステル
(3b)一価アルコールと多塩基酸とのエステル
(4b)多価アルコールと多塩基酸とのエステル
(5b)一価アルコール及び多価アルコールの混合物と、多塩基酸との混合エステル
(6b)多価アルコールと、一塩基酸及び多塩基酸の混合物との混合エステル
(7b)一価アルコール及び多価アルコールの混合物と、一塩基酸及び多塩基酸の混合物との混合エステル
【0075】
なお、上記アルコール成分として多価アルコールを用いた場合には、エステルとしては、多価アルコール中の水酸基が全てエステル化された完全エステルを示す。また、上記カルボン酸成分として多塩基酸を用いた場合には、エステルとしては、多塩基酸中のカルボキシル基が全てエステル化された完全エステルでもよく、カルボキシル基の一部がエステル化されずにカルボキシル基のままで残っている部分エステルであってもよい。
【0076】
エステル油性剤としては、上記した何れのものも使用可能である。上記エステルの中では、加工性に優れる点から、(1b)一価アルコールと一塩基酸とのエステルが好ましい。
【0077】
油性剤として用いるエステルの合計炭素数には特に制限はないが、加工性の向上の点からエステルの合計炭素数は7以上が好ましく、9以上がより好ましく、11以上が最も好ましい。また、エステルの合計炭素数が大き過ぎるとステインや腐食の発生を増大させる恐れが大きくなることから、合計炭素数は26以下が好ましく、24以下がより好ましく、22以下が最も好ましい。
【0078】
(B2)成分の一価アルコールとしては、上記(B1)成分の説明においてエステルを構成するアルコールとして列挙した化合物等が挙げられる。一価アルコールとしては、加工性により優れる点から、一価アルコールの合計炭素数は6以上が好ましく、8以上がより好ましく、10以上が最も好ましい。また、合計炭素数が大き過ぎるとステインや腐食の発生を増大させる恐れが大きくなることから、合計炭素数は20以下が好ましく、18以下がより好ましく、16以下が最も好ましい。
【0079】
(B3)成分のカルボン酸としては、一塩基酸でも多塩基酸でもよい。このようなカルボン酸としては、例えば、上記(B1)成分の説明においてエステルを構成するカルボン酸として例示した化合物が挙げられる。これらの中では、加工性により優れる点から一塩基酸が好ましい。また、加工性に優れる点から、カルボン酸の合計炭素数は6以上が好ましく、8以上がより好ましく、10以上が最も好ましい。また、カルボン酸の合計炭素数が大き過ぎるとステインや腐食の発生を増大させる恐れが大きくなることから、合計炭素数は20以下が好ましく、18以下がより好ましく、16以下が最も好ましい.
【0080】
本発明のアルミニウム加工用潤滑油に使用する油性剤としては、上記各種油性剤の中から選ばれる1種のみを単独で又は2種以上の混合物として用いてもよいが、加工性をより向上できることから、(1)1価アルコールと一塩基酸とから得られる合計炭素数7〜26のエステル、(2)炭素数6〜20の一価アルコール、(3)炭素数6〜20の一塩基酸、及びこれらの混合物であることが好ましい。
【0081】
また、油性剤の含有量は、本発明のアルミニウム加工用潤滑油の全量基準で0.01〜10質量%であることが好ましい。油性剤の含有量は、加工性の観点から、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.07質量%以上である。一方、油性剤の含有量は、含有量が多過ぎるとステインや腐食の発生を増大させる恐れが大きくなることから、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは7質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。
【0082】
本発明のアルミニウム加工用潤滑油においては、40℃における動粘度が1〜60mm2/sのアルキルベンゼンを更に含有することができる。このアルキルベンゼンと上記油性剤とを併用することにより、油性剤の添加効果をより増大させることができる。
【0083】
アルキルベンゼンの40℃における動粘度が1mm2/s未満の場合には、添加効果が期待できないことがある。一方、動粘度が60mm2/sを越える場合には、加工後の被加工材表面に残存する油剤が増大する可能性がある。かかる観点から、アルキルベンゼンの40℃における動粘度は40mm2/s以下が好ましく,20mm2/s以下がより好ましい。
【0084】
また、アルキルベンゼンのベンゼン環に結合するアルキル基としては、直鎖状であっても分枝状であってもよい。アルキル基の炭素数についても特に限定されるものではないが、炭素数1〜40のアルキル基が好ましい。
【0085】
炭素数1〜40のアルキル基としては、メチル基、エチル基、直鎖又は分枝のプロピル基、直鎖又は分枝のブチル基、直鎖又は分枝のペンチル基、直鎖又は分枝のヘキシル基、直鎖又は分枝のヘプチル基、直鎖又は分枝のオクチル基、直鎖又は分枝のノニル基、直鎖又は分枝のデシル基、直鎖又は分枝のウンデシル基、直鎖又は分枝のドデシル基、直鎖又は分枝のトリデシル基、直鎖又は分枝のテトラデシル基、直鎖又は分枝のペンタデシル基、直鎖又は分枝のヘキサデシル基、直鎖又は分枝のヘプタデシル基、直鎖又は分枝のオクタデシル基、直鎖又は分枝のノナデシル基、直鎖又は分枝のイコシル基、直鎖又は分枝のヘンイコシル基、直鎖又は分枝のドコシル基、直鎖又は分枝のトリコシル基、直鎖又は分枝のテトラコシル基、直鎖又は分枝のペンタコシル基、直鎖又は分枝のヘキサコシル基、直鎖又は分枝のヘプタコシル基、直鎖又は分枝のオクタコシル基、直鎖又は分枝のノナコシル基、直鎖又は分枝のトリアコンチル基、直鎖又は分枝のヘントリアコンチル基、直鎖又は分枝のドトリアコントル基、直鎖又は分枝のトリトリアコンチル基、直鎖又は分枝のテトラトリアコンチル基、直鎖又は分枝のペンタトリアコンチル基、直鎖又は分枝のヘキサトリアコンチル基、直鎖又は分枝のヘプタトリアコンチル基、直鎖又は分枝のオクタトリアコンチル基、直鎖又は分枝のノナトリアコンチル基、直鎖又は分枝のテトラコンチル基等が挙げられる。
【0086】
アルキルベンゼンのアルキル基による置換数は通常1〜4であるが、安定性、入手可能性の点から1個又は2個のアルキル基を有するアルキルベンゼン、すなわち、モノアルキルベンゼン、ジアルキルンベンゼン又はこれらの混合物が最も好ましい。また、アルキルベンゼンとしては、単一構造のアルキルベンゼンだけでなく、異なる構造を有するアルキルベンゼンの混合物であってもよい。
【0087】
アルキルベンゼンの分子量については何ら制限はないが、添加効果の点から、100以上が好ましく、130以上がより好ましい。また、分子量が大き過ぎると加工後の被加工材表面に残存する油剤が増大する可能性が高くなることから、分子量は340以下が好ましく、320以下がより好ましい。
【0088】
上記アルキルベンゼンの製造方法としては、任意の従来の方法を適用することができ、何ら制限されるものではないが、例えば以下に示す原料物質を用いてアルキル化合成法等によって製造することができる。
【0089】
原料となる芳香族化合物としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、ジエチルベンゼン及びこれらの混合物が挙げられる。また、アルキル化剤としては、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブテン等の低級モノオレフィン、好ましくはプロピレンの重合によって得られる炭素数6〜40の直鎖又は分枝のオレフィン;ワックス、重質油、石油留分、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱分解によって得られる炭素数6〜40の直鎖又は分枝のオレフィン;灯油、軽油等の石油留分からn−パラフィンを分離し、これを触媒によりオレフィン化することによって得られる炭素数9〜40の直鎖状オレフィン;及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0090】
また、アルキル化の際に使用するアルキル化触媒としては、フリーデルクラフツ型触媒、酸性触媒等の公知の触媒が挙げられる。フリーデルクラフツ型触媒としては、塩化アルミニウム、塩化亜鉛等が挙げられる。酸性触媒としては、硫酸、リン酸、ケイタングステン酸、フッ化水素酸、活性白土等が挙げられる。
【0091】
またさらに、40℃における動粘度が1〜60mm2/sのアルキルベンゼンを調製するためには、例えば、上記の方法によって得られるアルキルベンゼンの混合物や市販されているアルキルベンゼンの混合物を、蒸留やクロマトによって分離し動粘度が1〜60mm2/sであるアルキルベンゼンの留分を得ることが実用上便利である。
【0092】
なお、アルキルベンゼンの含有量は、本発明のアルミニウム加工用潤滑油の全量基準で0.1〜50質量%とすることができる。かかる含有量は、添加効果の点から、0.1質量%以上が好ましく、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上である。一方、かかる含有量が多過ぎると加工後の被加工材の表面に残存する油剤が増大する可能性が高くなることから、かかる含有量は50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。
【0093】
本発明のアルミニウム加工用潤滑油においては、炭素数6〜40の直鎖オレフィンを更に含有していてもよい。該潤滑油が直鎖オレフィンを含有することにより、潤滑性が更に優れるようになる。
【0094】
炭素数が6未満の直鎖オレフィンは、引火点が低いため適当ではない。適度な高さの引火点を有するためには、炭素数が8以上であることが好ましく、炭素数10以上であることがより好ましく、炭素数12以上であることが更に好ましい。一方、炭素数が40を越えると、固体状となるため使用が困難となり、しかも他の成分(鉱油や添加剤)等との混合や溶解が困難となるため不適当である。また、炭素数が40を越える直鎖オレフィンは一般的ではなく、入手も困難である。このような不都合を考慮して、炭素数が30以下の直鎖オレフィンが好ましい。
【0095】
このような直鎖オレフィンとしては、分子内に二重結合を1個有しているものであっても、2個以上有しているものであってもよいが、二重結合を1個有しているものが好ましい。また、二重結合の位置についても特に制限はないが、潤滑性に優れる点から、末端に二重結合を有している直鎖オレフィン、すなわちn−α−オレフィンであることが好ましい。
【0096】
直鎖オレフィンとしては、1−オクテン、1−デセン、1−ドコセン、1−テトラデセン,1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−イコセン又はこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。なお、直鎖オレフィンとしては、様々な製法によって得られるものを用いることができるが、例えばエチレンを通常の手段で重合させて得られるエチレンオリゴマーを使用することができる。また、直鎖オレフィンとしては、これらの化合物を単独で又は2種以上の混合物として用いてもよい。
【0097】
また、本発明のアルミニウム加工用潤滑油が直鎖オレフィンを含有する場合には、上述の(A1)〜(A8)成分の含酸素化合物の中では、(A3)成分,(A4)成分、(A5)成分又は(A8)成分と併用することが好ましく、(A3)成分又は(A5)成分と併用することがより好ましい。かかる含酸素化合物と直鎖オレフィンとを併用することにより、両者の相乗効果によって潤滑性がより向上し加工性に優れると共に、油剤除去工程における油剤除去性も向上する。
【0098】
なお、直鎖オレフィンの含有量は任意であるが、本発明のアルミニウム加工用潤滑油の潤滑性向上の観点から、かかる含有量は該潤滑油の全量基準で1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上が更に好ましい。一方、かかる含有量は、添加量に見合った効果が得られる点から、該潤滑油の全量基準で30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。
【0099】
本発明のアルミニウム加工用潤滑油においては、その優れた効果をより一層向上させるために、必要に応じて合成油(合成系潤滑油)を更に含有することができる。かかる合成油としては、通常40℃における動粘度が0.5〜500mm2/s、特に0.5〜30mm2/sのものが好適に用いられる。合成油としては、上記直鎖オレフィン以外のオレフィン(例えば、ポリブテン、ポリプロピレン等の分枝オレフィン)、かかるオレフィンの水素化物等を用いることができる。このようなオレフィンとしては、特に低分子量ポリプロピレン、炭素数8〜14のα−オレフィンオリゴマー又はこれらの混合物が好ましい。本発明のアルミニウム加工用潤滑油がこれらの合成油を含有する場合には、使用時における臭気が少ないため作業環境が向上し、更に加工後の被加工材の表面の脱脂性が向上する。かかる合成油の含有量は、本発明のアルミニウム加工用潤滑油の全量基準で、通常20質量%以下であり、15質量%以下であることが好ましい。
【0100】
本発明のアルミニウム加工用潤滑油においては、その優れた効果をより一層向上させるため、必要に応じて極圧添加剤、酸化防止剤、さび止め剤、腐食防止剤、消泡剤等の添加剤を単独で又は2種以上を組み合わせて更に含有してもよい。
【0101】
極圧添加剤としては、トリクレジルフォスフェート等のリン系化合物、及びジアルキルジチオリン酸亜鉛等の有機金属化合物が挙げられる。酸化防止剤としては、2,6−ジターシャリーブチル−p−クレゾール(DBPC)等のフェノール系化合物、フェニル−α−ナフチルアミン等の芳香族アミン及びジアルキルジチオリン酸亜鉛等の有機金属化合物が挙げられる。さび止め剤としては、オレイン酸等の脂肪酸の塩、ジノニルナフタレンスルホネート等のスルホン酸塩、ソルビタンモノオレエート等の多価アルコールの部分エステル、アミン及びその誘導体、リン酸エステル及びその誘導体が挙げられる。腐食防止剤としては、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。消泡剤としては、シリコーン系のものが挙げられる。
【0102】
なお、上記添加剤の合計含有量は、本発明のアルミニウム加工用潤滑油の全量基準で通常15質量%以下、10質量%以下であることが好ましい。
【0103】
本発明のアルミニウム加工用潤滑油の粘度は、格別の限定はないが、40℃における動粘度が1.0〜5.0mm2/sであることが好ましい。すなわち、該潤滑油の40℃における動粘度は、1.0mm2/s以上であることが好ましく、より好ましくは1.2mm2/s以上、更に好ましくは1.3mm2/s以上、最も好ましくは1.4mm2/s以上である。該潤滑油の動粘度を上記下限値以上とすることにより、加工性を良好にすることができる。一方、該潤滑油の40℃における動粘度は、5.0mm2/s以下であることが好ましく、より好ましくは3.0mm2/s以下、更に好ましくは2.8mm2/s以下、最も好ましくは2.7mm2/s以下である。該潤滑油の動粘度を上記上限値以下とすることにより、室温での油剤の揮発の防止と油剤除去工程における油剤除去性とを両立することができる。
【0104】
本発明の潤滑油は、アルミニウムの加工用油剤として使用されるが、特にアルミニウムフィン材の加工用油剤として好適である。なお、アルミニウムフィン材の材質としては、純アルミニウムが多く使用されているが、アルミニウム合金を使用してもよい。また、本発明のアルミニウム加工用潤滑油は、アルミニウムフィン材の表面を予め親水性被膜処理したプレコート材、及びそのような処理を施していない材料にも用いることができる。一般には、プレコート材の場合には、鉱油のみからなる油剤で加工できる可能性が高いが、プレコート処理を施していない材料を加工する場合には、本発明の潤滑油が上記含酸素化合物を含有することが好ましい。
【0105】
なお、ここでいう被膜とは、アルミニウムフィン材上に形成された耐食性下地被膜とその被膜上に形成される親水性被膜とからなる膜をいう。耐食性下地被膜としては、無機系下地被膜と有機系下地被膜が挙げられる。無機系下地被膜としては、例えば、クロメート被膜、ベーマイト被膜、ケイ酸被膜又はこれらを組み合わせた被膜が挙げられる。また、有機系下地被膜として多用されているとしては、例えば、ポリ塩化ビニル−酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のビニル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、スチロール系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、ケイ素系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、アルキッド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ユリアメラミン樹脂、ポリアセタール系樹脂及び繊維系樹脂が挙げられる。
【0106】
親水性被膜としては、例えば、以下の(C1)〜(C5)成分が挙げられる。
(C1)カルボニル基を有する低分子有機化合物とアルカリケイ酸塩とを主成分とするもの
(C2)上記(C1)成分に水溶性有機高分子化合物を加えたものを主成分とする特殊水ガラス
(C3)ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、水ガラス等のケイ酸塩、ケイ酸、シリカゲル又はアルミナゾル
(C4)カルボニル基を有する低分子量有機化合物からなる架橋剤と、親水性有機高分子とを反応させることにより得られる親水性の変性有機高分子
(C5)ポリビニルアルコール系親水性有機高分子、水溶性有機高分子及び架橋剤を反応させることによって得られる親水性のポリビニルアルコール系変性有機高分子
【0107】
なお、アルニウムフィン材の加工としては、例えば、張り出し加工、絞り加工、打ち抜き加工、カーリング加工及びチューブ挿通孔周辺の筒形立ち上がり壁をしごいて高くするしごき加工が挙げられる。
【0108】
【実施例】
以下、本発明の好適な実施例について更に詳細な説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0109】
<実施例1〜12及び比較例1〜4>
実施例1〜12及び比較例1〜4においては、下記に示す各成分を用いてアルミニウム加工用潤滑油を調製した。各実施例又は比較例のアルミニウム加工用潤滑油の各成分の含有量を、それぞれ表1に示す。
【0110】
(鉱油)
鉱油1:芳香族分0.5容量%、ナフテン分45容量%、パラフィン分54.5容量%、初留点231℃、終点268℃、動粘度(40℃)2.18mm2/s
鉱油2:芳香族分0.3容量%、ナフテン分65.7容量%、パラフィン分34容量%、初留点158℃、終点179℃、動粘度(40℃)1.85mm2/s
鉱油3:芳香族分2容量%、ナフテン分58容量%、パラフィン分40容量%、初留点244℃、終点288℃、動粘度(40℃)2.63mm2/s
鉱油4:イソパラフィン100容量%、初留点161℃、終点263℃、動粘度(40℃)2.45mm2/s
鉱油5:芳香族分14容量%、ナフテン分28容量%、パラフィン分58容量%、初留点211℃、終点258℃、動粘度(40℃)2.11mm2/s
鉱油6:芳香族分0.3容量%、ナフテン分6容量%、パラフィン分93.7容量%、初留点251℃、終点288℃、動粘度(40℃)2.74mm2/s
鉱油7:芳香族分0.8容量%、ナフテン分93容量%、パラフィン分6.2容量%、初留点241℃、終点277℃、動粘度(40℃)2.68mm2/s
【0111】
(含酸素化合物)
1:グリセリンジオレエートとトリオレエートとの質量比1:1の混合物
2:ポリエチレングリコール(平均分子量200)のジラウリン酸エステル
3:ポリプロピレングリコール(平均分子量200)のモノブチルエーテル
4:ポリエチレングリコール(平均分子量200)のジオレイン酸エステル
5:トリプロピレングリコール(分子量192)とテトラプロピレングリコール(分子量250)との質量比3:1の混合物
6:テトラエチレングリコール(分子量194)のモノオレイルエーテル
7:テトラエチレングリコール(分子量194)のジオレイルエーテル
8:ポリエチレングリコール(平均分子量300)のジステアリン酸エステル
9:グリセリンのプロピレンオキサイド付加物(平均分子量250)
【0112】
【表1】
【0113】
実施例1〜12及び比較例1〜4の各潤滑油について、以下の評価試験を行った。
【0114】
(潤滑性試験)
実施例1〜12及び比較例1〜4の各潤滑油をJIS A 1050のアルミニウム板に塗布し、バウデン試験により摩擦係数を測定した。荷重は200g、しゅう動速は100mm/sとした。結果を表2に示す。
【0115】
(臭気試験)
実施例1〜12及び比較例1〜4の各潤滑油を40℃に加熱してパネラー10人による官能試験を行った。各パネラーが臭気を以下の3段階で評価し、全パネラーの平均点を求め、平均点が2.5点以上を○、2.5点未満を×として評価した。結果を表2に示す。
1点:臭気がある。
2点:やや臭気がある。
3点:臭気がない。
【0116】
(肌荒れ試験)
実施例1〜12及び比較例1〜4の各潤滑油0.5mlを含ませた市販の絆創膏をパネラー10人の腕の内側に貼り、24時間後の肌の状態を観察した。各パネラーの肌の状態を以下の3段階で評価し、全パネラーの平均点を求め、平均点が2.5点以上を○、2.5点未満を×として評価した。結果を表2に示す。
1点:肌が赤い。
2点:肌がやや赤い。
3点:肌に変化がない。
【0117】
(揮発性試験1)
実施例1〜12及び比較例1〜4の各潤滑油3gを予め重量を秤量した直径7cmのシャーレにとり、30℃恒温槽内で7時間静置した。その後、シャーレの重量を秤量することにより揮発した潤滑油の割合を求めた。結果を表2に示す。
【0118】
(揮発性試験2)
溶剤で洗浄したアルミニウム材の試験片を130℃恒温槽内に3分静置した後、試験片の重量を秤量した。これをA(g)とした。次いで、この試験片をデシケータ内で室温まで冷却した後、実施例1〜12及び比較例1〜4の各潤滑油を2g/cm2になるように試験片に塗布した。塗布前後の試験片の重量を秤量し、それぞれB(g)、C(g)とした。この試験片を130℃の恒温槽内で3分間静置した後、直ちに試験片の重量を秤量し、これをD(g)とした。A、B、C及びDの値から以下の式に従い各潤滑油の揮発量を求めた。結果を表2に示す。
揮発量(質量%)=100×(D−A)/(C−B)
【0119】
【表2】
【0120】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、十分な加工性を有し油剤除去工程では油剤を十分除去でき、加工後の被加工材の損傷や臭気、肌荒れ等を防止可能なアルミニウム加工用潤滑油を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミニウム加工用潤滑油に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
冷蔵庫やエアコン等の冷凍冷蔵システムの熱交換器には、アルミニウムフィンが使用されている。アルミニウムフィンは、平板状のアルミニウム部材(アルミニウムフィン材)を張り出し加工、絞り加工、打ち抜き加工、カーリング加工、しごき加工等塑性加工等することにより製造される。
【0003】
これらのアルミニウムフィン材の加工は、通常、油剤を用いて行われる。油剤としては、イソパラフィン等の合成系炭化水素が使用されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】
特開平2−133495号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
加工後にアルミニウムフィン材に付着している油剤は、加熱により除去する必要がある。そのため、油剤には一定以上の揮発性が求められている。
【0005】
しかしながら、油剤の揮発性を良くすると、粘度が低下してしまい十分な加工性が得られなくなる。また、得られたアルミニウムフィン材に付着した油剤が油剤除去工程の前に揮発してしまうと、アルミニウムフィンの保管、運搬、組立加工の際にアルミニウムフィン同士が直接接触して傷が発生する原因となったり、組立時の潤滑性が不足してしまう。一方、傷の発生を防止するために揮発し難い油剤を使用すると、油剤除去工程において油剤を十分に除去できなくなる。
【0006】
このため、油剤には、室温では揮発し難く、油剤除去工程における設定温度では速やかにかつ十分に揮発するという相反する性能が求められている。また、臭気や肌荒れ等の防止の観点から、揮発性が過度に高くない油剤が望まれている。しかしながら、従来の油剤は、上述の要求特性を全て満足しているとは言い難い。
【0007】
本発明はこのような実情に鑑みなされたものであり、十分な加工性を有し、油剤除去工程では油剤を十分除去でき、加工後の被加工材の損傷や臭気、肌荒れ等を防止可能なアルミニウム加工用潤滑油を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、本発明者は鋭意研究を重ねた結果、特定性状を有する鉱油を使用することにより、室温では揮発し難く、油剤除去工程における特定温度では速やかにかつ十分に揮発するという相反する性能を高水準でバランス良く達成できるアルミニウム加工用潤滑油が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明のアルミニウム加工用潤滑油は、芳香族分が5容量%以下、ナフテン分が10〜85容量%、初留点が150℃以上、終点が320℃以下、前記初留点と前記終点との差が100℃以下、かつ40℃における動粘度が1.2〜3.0mm2/sである鉱油を含有することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
本発明のアルミニウム加工用潤滑油は、上述のように芳香族分が5容量%以下、ナフテン分が10〜85容量%、初留点が150℃以上、終点が320℃以下、前記初留点と前記終点との差が100℃以下、かつ40℃における動粘度が1.2〜3.0mm2/sである鉱油を含有する。かかる鉱油は、本発明のアルミニウム加工用潤滑油において基油として好適に使用される。
【0011】
鉱油の芳香族分は、5容量%以下であり、好ましくは3容量%以下、より好ましくは2容量%以下、更に好ましくは1容量%以下である。芳香族分を上記上限値以下とすることにより、臭気や肌荒れ等を防止することができる。ここで、本発明における芳香族分とは、JIS K 2536「石油製品−炭化水素タイプ試験」の蛍光指示薬吸着法に準拠して測定された値を意味する。
【0012】
また、鉱油のナフテン分は10容量%以上であり、好ましくは15容量%以上、より好ましくは20容量%以上、更に好ましくは25容量%以上、最も好ましくは30容量%以上である。ナフテン分を上記下限値以上とすることにより、油剤除去工程における油剤除去性や加工性が良好となる。一方、ナフテン分は85容量%以下であり、好ましくは80容量%以下、より好ましくは75容量%以下、更に好ましくは70容量%以下である。ナフテン分を上記上限値以下とすることにより、室温での油剤の揮発を防止することができる。
【0013】
また、鉱油のパラフィン分は特に制限されないが、パラフィン分は15容量%以上であることが好ましく、より好ましくは20容量%以上、更に好ましくは25容量%以上である。パラフィン分を上記下限値以上とすることにより、油剤の臭気をより防止することができる。一方、パラフィン分は85容量%以下であることが好ましく、より好ましくは80容量%以下、更に好ましくは90容量%以下である。パラフィン分を上記上限値以下とすることにより、加工時における凝着発生防止効果を向上させることができる。
【0014】
ナフテン分及びパラフィン分は、FIイオン化(ガラスリザーパ使用)による質量分析法により得られた分子イオン強度をもってこれらの含有割合を決定した後、算出される。以下、その測定方法を具体的に示す。
【0015】
▲1▼ 18mm、長さ980mmの溶出クロマト用吸着管に、約175℃で3時間乾燥して活性化させた呼び径74〜149μmのシリカゲル(富士デビソン化学(株)製grade923)120gを充填する。
▲2▼ n−ペンタン75mlを注入して、シリカゲルを予め湿する。
▲3▼ 試料約2gを精秤して、等容量のn−ペンタンで希釈し、得られた溶液を注入する。
▲4▼ 試料溶液の液面がシリカゲル上端に達したとき、飽和炭化水素成分を分離するためにn−ペンタン140mlを注入し、吸着管の下端より溶出液を回収する。
▲5▼ ▲4▼の溶出液をロータリーエバポレーターにかけて溶媒を留去し、飽和炭化水素成分を得る。
▲6▼ ▲5▼で得られた飽和炭化水素成分を質量分析計でタイプ分析を行う。質量分析におけるイオン化方法としては、ガラスリザーバを使用したFIイオン化法を用いる。質量分析計は、日本電子(株)製JMS−AX505Hを使用する。なお、測定条件は以下の通りである。
【0016】
加速電圧 :3.0kV
カソード電圧 :−5〜−6kV
分析能 :約500
エミッター :カーボン
エミッター電流 :5mA
測定範囲 :質量数35〜700
補助オーブン温度:300℃
セパレータ温度 :300℃
主要オーブン温度:350℃
試料注入量 :1μm
【0017】
▲7▼ ▲6▼の質量分析によって得られた分子イオンについて同位体補正後、その質量数からパラフィン類(CnH2n+2)とナフテン類(CnH2n,CnH2n−2,CnH2n−4・・・)の2つのタイプに分類し整理する。次いで、それぞれのイオン強度の分率を求め、飽和炭化水素成分全体に対する各タイプの含有量を決定する。さらに、▲5▼で得られた飽和炭化水素成分の含有量をもとに、試料全体に対するパラフィン分、ナフテン分の各含有量を求める。
【0018】
なお、FIイオン化による質量分析法のタイプ分析法によるデータの処理の詳細は、「日石レビュー」第33巻第4号135〜142頁の特に「2.2.3データ処理」の項に記載されている。
【0019】
また、鉱油の初留点は150℃以上であり、好ましくは155℃以上、更に好ましくは160℃以上である。鉱油の初留点を上記下限値以上とすることにより、室温での油剤の揮発を十分に防止することができる。一方、鉱油の終点は320℃以下であり、好ましくは310℃以下、更に好ましくは300℃以下である。鉱油の終点を上記上限値以下とすることにより、油剤除去工程における油剤除去性を良好にすることができる。また、鉱油の初留点と終点の温度差は100℃以下であり、好ましくは90℃以下、更に好ましくは80℃以下である。かかる温度差を上記上限値以下とすることにより、室温での油剤の揮発の防止と油剤除去工程における油剤除去性とを両立することができる。ここで、本発明における初留点及び終点とは、JIS K 2254「石油製品−蒸留試験方法」に準拠して測定された値を意味する。
【0020】
さらに、鉱油の40℃における動粘度は、1.2〜3.0mm2/sである。すなわち、鉱油の40℃における動粘度は、1.2mm2/s以上であり、好ましくは1.3mm2/s以上、更に好ましくは1.4mm2/s以上である。動粘度を上記下限値以上とすることにより、加工性を良好にすることができる。一方、鉱油の40℃における動粘度は、3.0mm2/s以下であり、好ましくは2.8mm2/s以下、更に好ましくは2.7mm2/s以下である。動粘度を上記上限値以下とすることにより、室温での油剤の揮発の防止と油剤除去工程における油剤除去性とを両立することができる。
【0021】
なお、本発明において使用される鉱油は、初留点が150℃以上、終点が320℃以下、かつ初留点と終点との差が100℃以下になるように原油を常圧蒸留して得られた留分に対して、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の1種又は2種以上の精製手段を適宜組み合わせて得ることができる。
【0022】
本発明のアルミニウム加工用潤滑油に占める鉱油の含有量は、該潤滑油全量基準で好ましくは60質量%以上であり、より好ましくは65質量%以上であり、更に好ましくは70質量%以上である。鉱油の含有量を上記下限値以上とすることにより、臭気や肌荒れ等の作業環境と油剤除去工程における油剤除去性とが良好となる。該潤滑油は上述の鉱油のみからなるものであっても良く、また、該鉱油以外の基油(以下、「その他の基油」という。)、及び各種添加剤を更に含有しても良い。各種その他の基油、各種添加剤等を含有する場合の該潤滑油に占める鉱油の含有量は、特に制限はないが、該潤滑油全量基準で好ましくは99.9質量%以下であり、より好ましくは99.5質量%以下である。
【0023】
また、本発明のアルミニウム加工用潤滑油は、以下の任意成分を含有することができる。
【0024】
本発明のアルミニウム加工用潤滑油は、含酸素化合物を更に含有することができる。含酸素化合物としては、以下の(A1)〜(A8)成分からなる群より選ばれる少なくとも1種の含酸素化合物を含有することができる。
(A1)数平均分子量が100以上1000未満である水酸基を3〜6個有する多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物
(A2)上記(A1)成分のハイドロカルビルエーテル又はハイドロカルビルエステル
(A3)数平均分子量が100以上1000未満のポリアルキレングリコール
(A4)上記(A3)成分のハイドロカルビルエーテル又はハイドロカルビルエステル
(A5)炭素数2〜20の2価アルコール
(A6)上記(A5)成分のハイドロカルビルエーテル又はハイドロカルビルエステル
(A7)炭素数3〜20の3価アルコール
(A8)上記(A7)成分のハイドロカルビルエーテル又はハイドロカルビルエステル
【0025】
(A1)成分を構成する多価アルコールは、水酸基を3〜6個有する。水酸基を3〜6個有する多価アルコールとしては、以下の多価アルコールに加え、糖類も使用可能である。
【0026】
多価アルコールとしては、グリセリン、ポリグリセリン(グリセリンの2〜4量体、例えばジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン)、トリメチロールアルカン(例えばトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン)、及びこれらの2〜4量体、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,3.5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3,4−ブタンテトロール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトール、イジリトール、タリトール、ズルシトール、アリトール等が挙げられる。
【0027】
糖類としては、キシロース、アラビノース、リボース、ラムノース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、セロビオース、マントース、イソマルトース、トレハロース、シュクロース等が挙げられる。
【0028】
これらの中では、加工性に優れる点から、グリセリン、トリメチロールアルカン、ソルビトールが好ましい。
【0029】
また、(A1)成分を構成するアルキレンオキサイドとしては、炭素数2〜6、好ましくは炭素数2〜4のアルキレンオキサイドが用いられる。炭素数2〜6のアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−エポキシブタン(α−ブチレンオキサイド)、2,3−エポキシブタン(β−ブチレンオキサイド)、1,2−エポキシ−1−メチルプロパン、1,2−エポキシヘプタン、1,2−エポキシヘキサン等が挙げられる。これらの中では、加工性に優れる点から、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドが好ましく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドがより好ましい。
【0030】
なお、2種以上のアルキレンオキサイドを用いた場合には、オキシアルキレン基の重合形式に特に制限はなく、ランダム共重合していても、ブロック共重合していてもよい。また、水酸基を3〜6個有する多価アルコールにアルキレンオキサイドを付加させる際、全ての水酸基に付加させてもよいし、一部の水酸基のみに付加させてもよい。これらの中では、加工性に優れる点から、全ての水酸基に付加させた方が好ましい。
【0031】
さらに、(A1)成分の数平均分子量(Mn)は100以上1000未満であり、好ましくは100以上800未満である。Mnが100未満の場合には、鉱油に対する溶解性が低下し好ましくない。一方、Mnが1000以上の場合には、油剤除去工程において加工後の被加工材の表面に油剤が残存する恐れがあるため好ましくない。なお、本発明におけるMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレンの換算の数平均分子量をいう。
【0032】
(A1)成分としては、Mnが100以上1000未満となるように水酸基を3〜6個有する多価アルコールにアルキレンオキサイドを付加反応させたものを用いてもよい。また、任意の方法で得られる水酸基を3〜6個有する多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物の混合物や市販されている水酸基を3〜6個有する多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物の混合物を、蒸留やクロマトグラフィーによってMnが100以上1000未満となるように分離したものを用いてもよい。なお、(A1)成分としては、これらの化合物を単独で又は2種以上の混合物として用いてもよい。
【0033】
(A2)成分は、Mnが100以上1000未満、好ましくは100以上800未満である水酸基を3〜6個有する多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物を、ハイドロカルビルエーテル化又はエステル化させたものである。
【0034】
(A2)成分としては、(A1)成分のアルキレンオキサイド付加物の末端水酸基の一部又は全てを、ハイドロカルビルエーテル化又はエステル化させたものが使用できる。ここで言うハイドロカルビル基とは、炭素数1〜24のアルキル基、炭素数2〜24のアルケニル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、炭素数6〜11のアルキルシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜18のアルキルアリール基、炭素数7〜18のアリールアルキル基等の炭素数1〜24の炭化水素基を表す。
【0035】
炭素数1〜24のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、直鎖又は分枝のペンチル基、直鎖又は分枝のヘキシル基、直鎖又は分枝のヘプチル基、直鎖又は分枝のオクチル基、直鎖又は分枝のノニル基、直鎖又は分枝のデシル基、直鎖又は分枝のウンデシル基、直鎖又は分枝のドデシル基、直鎖又は分枝のトリデシル基、直鎖又は分枝のテトラデシル基、直鎖又は分枝のペンタデシル基、直鎖又は分枝のヘキサデシル基、直鎖又は分枝のヘプタデシル基、直鎖又は分枝のオクタデシル基、直鎖又は分枝のノナデシル基、直鎖又は分枝のイコシル基、直鎖又は分枝のヘンイコシル基、直鎖又は分枝のドコシル基、直鎖又は分枝のトリコシル基、直鎖又は分枝のテトラコシル基等が挙げられる。
【0036】
炭素数2〜24のアルケニル基としては、ビニル基、直鎖又は分枝のプロペニル基、直鎖又は分枝のブテニル基、直鎖又は分枝のペンテニル基、直鎖又は分枝のへキセニル基、直鎖又は分枝のヘプテニル基、直鎖又は分枝のオクテニル基、直鎖又は分枝のノネニル基、直鎖又は分枝のデセニル基、直鎖又は分枝のウンデセニル基、直鎖又は分枝のドデセニル基、直鎖又は分枝のトリデセニル基、直鎖又は分枝のテトラデセニル基、直鎖又は分枝のペンタデセニル基、直鎖又は分枝のヘキサデセニル基、直鎖又は分枝のヘプタデセニル基、直鎖又は分枝のオクタデセニル基、直鎖又は分枝のノナデセニル基、直鎖又は分枝のイコセニル基、直鎖又は分枝のヘンイコセニル基、直鎖又は分枝のドコセニル基、直鎖又は分枝のトリコセニル基、直鎖又は分枝のテトラコセニル基等が挙げられる。
【0037】
炭素数5〜7のシクロアルキル基としては、シクリペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等が挙げられる。炭素数6〜11のアルキルシクロアルキル基としては、メチルシクロペンチル基、ジメチルシクロペンチル基(全ての構造異性体を含む。)、メチルエチルシクロペンチル基(全ての構造異性体を含む。)、ジエチルシクロペンチル基(全ての構造異性体を含む。)、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基(全ての構造異性体を含む。)、メチルエチルシクロヘキシル基(全ての構造異性体を含む。)、ジエチルシクロヘキシル基(全ての構造異性体を含む。)、メチルシクロヘプチル基、ジメチルシクロヘプチル基(全ての構造異性体を含む。)、メチルエチルシクロヘプチル基(全ての構造異性体を含む。)、ジエチルシクロヘプチル基(全ての構造異性体を含む。)等が挙げられる。
【0038】
炭素数6〜10のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。炭素数7〜18のアルキルアリール基としては、トリル基(全ての構造異性体を含む。)、キシリル基(全ての構造異性体を含む。)、エチルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)、直鎖又は分枝のプロピルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)、直鎖又は分枝のブチルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)、直鎖又は分枝のペンチルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)、直鎖又は分枝のヘキシルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)、直鎖又は分枝のヘプチルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)、直鎖又は分枝のオクチルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)、直鎖又は分枝のノニルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)、直鎖又は分枝のデシルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)、直鎖又は分枝のウンデシルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)、直鎖又は分枝のドデシルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)等が挙げられる。
【0039】
炭素数7〜12のアリールアルキル基としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基(プロピル基の異性体を含む。)フェニルブチル基(ブチル基の異性体を含む。)、フェニルペンチル基(ペンチル基の異性体を含む。)、フェニルヘキシル基(ヘキシル基の異性体を含む。)等が挙げられる。
【0040】
これらの中では、加工性に優れる点から、炭素数2〜18の直鎖又は分枝のアルキル基、炭素数2〜18の直鎖又は分枝のアルケニル基が好ましく、炭素数3〜12の直鎖又は分枝のアルキル基、オレイル基(オレイルアルコールから水酸基を除いた残基)がより好ましい。
【0041】
エステル化に用いる酸としては、通常、カルボン酸が挙げられる。このカルボン酸としては、一塩基酸でも多塩基酸でもよいが、通常、一塩基酸が用いられる。一塩基酸としては、炭素数6〜24の脂肪酸が挙げられ、直鎖状のものでも分枝状のものでもよい。また、一塩基酸としては、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸又はこれらの混合物であってもよい。
【0042】
飽和脂肪酸としては、直鎖又は分枝のヘキサン酸、直鎖又は分枝のオクタン酸、直鎖又は分枝のノナン酸、直鎖又は分枝のデカン酸、直鎖又は分枝のウンデカン酸、直鎖又は分枝のドデカン酸、直鎖又は分枝のトリデカン酸、直鎖又は分枝のテトラデカン酸、直鎖又は分枝のペンタデカン酸、直鎖又は分枝のヘキサデカン酸、直鎖又は分枝のオクタデカン酸、直鎖又は分枝のヒドロキシオクタデカン酸、直鎖又は分枝のノナデカン酸、直鎖又は分枝のエイコサン酸、直鎖又は分枝のヘンエイコサン酸、直鎖又は分枝のドコサン酸、直鎖又は分枝のトリコサン酸、直鎖又は分枝のテトラコサン酸等が挙げられる。
【0043】
不飽和脂肪酸としては、直鎖又は分枝のヘキセン酸、直鎖又は分枝のヘプテン酸、直鎖又は分枝のオクテン酸、直鎖又は分枝のノネン酸、直鎖又は分枝のデセン酸、直鎖又は分枝のウンデセン酸、直鎖又は分枝のドデセン酸、直鎖又は分枝のトリデセン酸、直鎖又は分枝のテトラデセン酸、直鎖又は分枝のペンタデセン酸、直鎖又は分枝のヘキサデセン酸、直鎖又は分枝のオクタデセン酸、直鎖又は分枝のヒドロキシオクタデセン酸、直鎖又は分枝のノナデセン酸、直鎖又は分枝のエイコセン酸、直鎖又は分枝のヘンエイコセン酸、直鎖又は分枝のドコセン酸、直鎖又は分枝のトリコセン酸、直鎖又は分枝のテトラコセン酸等が挙げられる。
【0044】
これらの中では、特に炭素数8〜20の飽和脂肪酸、炭素数8〜20の不飽和脂肪酸及びこれらの混合物が好ましい。なお、(A2)成分としては、これら化合物を単独で又は2種以上の混合物として用いてもよい。
【0045】
(A3)成分は、Mnが100以上1000未満のポリアルキレングリコールであり、炭素数2〜6、好ましくは2〜4のアルキレンオキサイドを単独重合又は共重合したものが用いられる。炭素数2〜6のアルキレンオキサイドとしては、(A1)成分の説明において列挙したアルキレンオキサイドが挙げられる。これらの中では、加工性に優れる点から、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドが好ましく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドがより好ましい。
【0046】
なお、ポリアルキレングリコールの調製時に2種以上のアルキレンオキサイドを用いた場合には、オキシアルキレン基の重合形式に特に制限はなく、ランダム共重合していても、ブロック共重合していてもよい。
【0047】
また、(A3)成分としては、Mnが100以上1000未満、好ましくは120以上700未満であることが必要であるが、Mnが100未満のポリアルキレングリコールは、鉱油への溶解性が低下し好ましくない。一方、Mnが1000以上のポリアルキレングリコールは、油剤除去工程において加工後の被加工材の表面に油剤が残存する恐れがあるため好ましくない。
【0048】
またさらに、(A3)成分としては、アルキレンオキサイドを重合させる際にMnが100以上1000未満となるように反応させたものを用いてもよい。また、任意の方法で得られるポリアルキレングリコール混合物や市販されているポリアルキレングリコール混合物を、蒸留やクロマトグラフィーによってMnが100以上1000未満となるように分離したものを用いてもよい。なお、(A3)成分としては、これらの化合物を単独で又は2種以上の混合物として用いてもよい。
【0049】
(A4)成分は、Mnが100以上1000未満、好ましくは120以上700未満のポリアルキレングリコールを、ハイドロカルビルエーテル化又はエステル化させたものである。(A4)成分としては、(A3)成分のポリアルキレングリコールの末端水酸基の一部又は全てを、ハイドロカルビルエーテル化又はエステル化させたものが使用できる。ここでいうハイドロカルビル基とは、炭素数1〜24の炭化水素基を表し、具体的には例えば(A2)成分の説明において列挙した各基が挙げられる。これらの中では、加工性に優れる点から、炭素数2〜18の直鎖又は分枝のアルキル基、炭素数2〜18の直鎖又は分枝のアルケニル基が好ましく、炭素数3〜12の直鎖又は分枝のアルキル基、オレイル基(オレイルアルコールから水酸基を除いた残基)がより好ましい。
【0050】
また、(A4)成分としては、(A3)成分のポリアルキレングリコールの末端水酸基をエステル化させたものも使用できる。エステル化に用いる酸としては、通常カルボン酸が挙げられる。このカルボン酸としては、一塩基酸でも多塩基酸でもよいが、通常、一塩基酸が用いられる。具体的には、上記(A2)成分の説明において列挙したものが挙げられる。なお、(A4)成分としては、これら化合物を単独で又は2種以上の混合物として用いてもよい。
【0051】
(A5)成分は、炭素数2〜20、好ましくは炭素数3〜18の2価アルコールである。ここでいう2価アルコールとは、分子中にエーテル結合を有しないものをいう。炭素数2〜20の2価アルコールとしては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,15−ヘプタデカンジオール、1.16−ヘキサデカンジオール、1,17−ヘプタデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,19−ノナデカンジオール、1,20−イコサデカンジオール等が挙げられる。
【0052】
これらの中では、加工性に優れる点から、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール等が好ましい。なお、(A5)成分としては、これらの化合物を単独で又は2種以上の混合物として用いてもよい。
【0053】
(A6)成分は、炭素数2〜20、好ましくは炭素数3〜18の2価アルコール(但し、分子中にエーテル結合を有するものを除く。)を、ハイドロカルビルエーテル化させたもの又はエステル化させたものである。(A6)成分としては、(A5)成分の2価アルコールの末端水酸基の一部又は全てを、ハイドロカルビルエーテル化させたものが使用できる。ここでいうハイドロカルビル基とは、炭素数1〜24の炭化水素基を表し、具体的には例えば(A2)成分の説明において列挙した各基が挙げられる。これらの中では、加工性に優れる点から、炭素数2〜18の直鎖又は分枝のアルキル基、炭素数2〜18の直鎖又は分枝のアルケニル基が好ましく、炭素数3〜12の直鎖又は分枝のアルキル基、オレイル基(オレイルアルコールから水酸基を除いた残基)が更に好ましい。
【0054】
また、(A6)成分としては、(A5)成分の2価アルコールの末端水酸基の一方又は両方を、エステル化させたものも使用できる。エステル化に用いる酸としては、通常、カルボン酸が挙げられる。このカルボン酸としては、一塩基酸でも多塩基酸でもよいが、通常一塩基酸が用いられる。具体的には、上記(A2)成分の説明において列挙したものが挙げられる。またさらに、(A6)成分のエステルは、(A5)成分の2価アルコールの末端水酸基の一方をエステル化したもの(部分エステル)であってもよく、末端水酸基の両方をエステル化したもの(完全エステル)であってもよい。これらの中では、加工性に優れる点から、部分エステルであることが好ましい。なお、(A6)成分としては、これら化合物を単独で又は2種以上の混合物として用いてもよい。
【0055】
(A7)成分は、炭素数3〜20、好ましくは炭素数3〜18の3価アルコールである。ここでいう3価アルコールとは、分子中にエーテル結合を有しないものをいう。炭素数3〜20の3価アルコールとしては、グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,3−ペンタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3−ヘキサントリオール、1,2,4−ヘキサントリオール、1,2,5−ヘキサントリオール、1,3,4−ヘキサントリオール、1,3,5−ヘキサントリオール、1,3,6−ヘキサントリオール、1,4,5−ヘキサントリオール、1,2,7−ヘプタントリオール、1,2,8−オクタントリオール、1,2,9−ノナントリオール、1,2,10−デカントリオール、1,2,11−ウンデカントリオール、1,2,12−ドデカントリオール、1,2,13−トリデカントリオール、1,2,14−テトラデカントリオール、1,2,15−ペンタデカントリオール、1,2,16−へキサデカントリオール、1,2,17−ヘプタデカントリオール、1,2,18−オクタデカントリオール、1,2,19−ノナデカントリオール、1,2,20−イコサントリオール等が挙げられる。
【0056】
これらの中では、加工性に優れる点から、1,2,12−ドデカントリオール、1,2,13−トリデカントリオール、1,2,14−テトラデカントリオール、1,2,15−ペンタデカントリオール、1,2,16−ヘキサデカントリオール、1,2,17−ヘプタデカントリオール、1,2,18−オクタデカントリオールが好ましい。なお、(A7)成分としては、これら化合物を単独で又は2種以上の混合物として用いてもよい。
【0057】
(A8)成分は、炭素数3〜20、好ましくは炭素数3〜18の3価アルコール(但し、分子中にエーテル結合を有するものを除く。)を、ハイドロカルビルエーテル化させたもの又はエステル化させたものである。(A8)成分としては、(A7)成分の3価アルコールの末端水酸基の一部又は全てを、ハイドロカルビルエーテル化させたものが使用できる。ここでいうハイドロカルビル基とは、炭素数1〜24の炭化水素基を表し、具体的には例えば(A2)成分の説明において列挙した各基が挙げられる。これらの中では、加工性に優れる点から、炭素数2〜18の直鎖又は分枝のアルキル基、炭素数2〜18の直鎖又は分枝のアルケニル基が好ましく、炭素数3〜12の直鎖又は分枝のアルキル基、オレイル基(オレイルアルコールから水酸基を除いた残基)がより好ましい。
【0058】
また、(A8)成分としては、(A7)成分の3価アルコールの末端水酸基の一方又は全部を、エステル化させたものが使用できる。エステル化に用いる酸としては、通常、カルボン酸が挙げられる。このカルボン酸としては、一塩基酸でも多塩基酸でもよいが、通常一塩基酸が用いられる。具体的には、上記(A2)成分において列挙したものが挙げられる。なお、(A8)成分のエステルとしては、(A7)成分の3価アルコールの末端水酸基の一つ又は2つをエステル化したもの(部分エステル)であってもよく、末端水酸基の全部をエステル化したもの(完全エステル)であってもよい。これらの中では、加工性に優れる点から、部分エステルであることが好ましい。
【0059】
(A8)成分としては、(A7)成分のうち、グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,3−ペンタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3−へキサントリオール、1,2,4−ヘキサントリオール、1,2,5−ヘキサントリオール、1,3,4−ヘキサントリオール、1,3,5−ヘキサントリオール、1,3,6−へキサントリオール及び1,4,5−へキサントリオールのハイドロカルビルエーテル又は部分エステルが好ましい。なお、(A8)成分としては、これら化合物を単独で又は2種以上の混合物として用いてもよい。
【0060】
本発明において、上記(A1)〜(A8)成分の中から選ばれる1種の含酸素化合物を単独で用いてもよいし、異なる構造を有する2種以上の含酸素化合物の混合物を用いてもよい。上記(A1)〜(A8)成分の中では、加工性に優れる点から、(A3)成分、(A4)成分、(A5)成分及び(A8)成分が好ましく、(A3)成分、(A4)成分及び(A8)成分がより好ましい。
【0061】
また、本発明のアルミニウム加工用潤滑油に占める含酸素化合物の含有量は、該潤滑油の全量基準で0.01〜5質量%であることが好ましい。すなわち、含酸素化合物の含有量は0.01質量%以上であり、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上である。一方、含酸素化合物の含有量は5質量%以下であり、好ましくは2.5質量%以下、より好ましくは2.0質量%以下である。含酸素化合物の含有量が少なすぎると加工性が不十分となることがあり、含有量を多くしても含有量に見合う効果が得られないことがある。
【0062】
本発明のアルミニウム加工用潤滑油においては、油性剤を更に含有することができる。油性剤としては、加工性をより向上させるために、下記(B1)〜(B3)成分の中から選ばれる少なくとも1種の油性剤を使用することが好ましい。なお、油性剤としては、通常潤滑油の油性剤として用いられているものも含まれる。
(B1)エステル
(B2)1価アルコール
(B3)カルボン酸
【0063】
(B1)成分であるエステルは、アルコールとカルボン酸とを反応させることにより得られる。アルコールとしては、1価アルコールでも多価アルコールでもよい。また、カルボン酸としては、一塩基酸でも多塩基酸であってもよい。
【0064】
1価アルコールとしては、通常炭素数1〜24の1価アルコールが用いられる。このようなアルコールとしては、直鎖状のものでも分枝状のものでもよい。炭素数1〜24の1価アルコールとしては、メタノール、エタノール、直鎖又は分枝のプロパノール、直鎖又は分枝のブタノール、直鎖又は分枝のオクタノール、直鎖又は分枝のノナノール、直鎖又は分枝のデカノール、直鎖又は分枝のウンデカノール、直鎖又は分枝のドデカノール、直鎖又は分枝のトリデカノール、直鎖又は分枝のテトラデカノール、直鎖又は分枝のペンタデカノール、直鎖又は分枝のヘキサデカノール、直鎖又は分枝のヘプタデカノール、直鎖又は分枝のオクタデカノール、直鎖又は分枝のノナデカノール、直鎖又は分枝のエイコサノール、直鎖又は分枝のヘンエイコサノール、直鎖又は分枝のトリコサノール、直鎖又は分枝のテトラコサノール及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0065】
多価アルコールとしては、通常2〜10価、好ましくは2〜6価の多価アルコールが用いられる。2〜10価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(エチレンオキサイドの3〜15量体)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(プロピレンオキサイドの3〜15量体)、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ポリグリセリン(グリセリンの2〜8量体、例えば、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン)、トリメチロールアルカン(例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン)及びこれらの2〜8量体、ペンタエリスリトール及びこれらの2〜4量体、1,2,4−ブタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3,4−ブタンテトロール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトール等が挙げられる。
【0066】
また、キシロース、アラビトール、リボース、ラムノース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、セロビオース、マントース、イソマルトース、トレハロース、スクロース等の糖類も使用可能である。
【0067】
これらの中では、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(より好ましくはエチレンオキサイドの3〜10量体)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(より好ましくはプロピレンオキサイドの3〜10量体)、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、トリメチロールアルカン(例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン)及びこれらの2〜4量体、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3,4−ブタンテトロール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトール等の2〜6価の多価アルコール及びこれらの混合物等がより好ましい。更に好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビタン及びこれらの混合物である。
【0068】
また、エステル油性剤を構成する一塩基酸としては、通常炭素数6〜24を有する直鎖又は分枝の脂肪酸が挙げられる。また、一塩基酸としては、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸又はこれらの混合物であってもよい。
【0069】
飽和脂肪酸としては、直鎖又は分枝のへキサン酸、直鎖又は分枝のオクタン酸、直鎖又は分枝のノナン酸、直鎖又は分枝のデカン酸、直鎖又は分枝のウンデカン酸、直鎖又は分枝のドデカン酸、直鎖又は分枝のトリデカン酸、直鎖又は分枝のテトラデカン酸、直鎖又は分枝のペンタデカン酸、直鎖又は分枝のヘキサデカン酸、直鎖又は分枝のオクタデカン酸、直鎖又は分枝のヒドロキシオクタデカン酸、直鎖又は分枝のノナデカン酸、直鎖又は分枝のエイコサン酸、直鎖又は分枝のヘンエイコサン酸、直鎖又は分枝のドコサン酸、直鎖又は分枝のトリコサン酸、直鎖又は分枝のテトラコサン酸等が挙げられる。
【0070】
不飽和脂肪酸としては、直鎖又は分枝のヘキセン酸、直鎖又は分枝のヘプテン酸、直鎖又は分枝のオクテン酸、直鎖又は分枝のノネン酸、直鎖又は分枝のデセン酸、直鎖又は分枝のウンデセン酸、直鎖又は分枝のドデセン酸、直鎖又は分枝のトリデセン酸、直鎖又は分枝のテトラデセン酸、直鎖又は分枝のペンタデセン酸、直鎖又は分枝のヘキサデセン酸、直鎖又は分枝のオクタデセン酸、直鎖又は分枝のヒドロキシオクタデセン酸、直鎖又は分枝のノナデセン酸、直鎖又は分枝のエイコセン酸、直鎖又は分枝のヘンエイコセン酸、直鎖又は分枝のドコセン酸、直鎖又は分枝のトリコセン酸、直鎖又は分枝のテトラコセン酸等が挙げられる。これらの中では、特に炭素数8〜20の飽和脂肪酸、炭素数8〜20の不飽和脂肪酸及びこれらの混合物が好ましい。
【0071】
エステル油性剤を構成する多塩基酸としては、炭素数2〜16の二塩基酸及びトリメリット酸等が挙げられる。炭素数2〜16の二塩基酸としては、直鎖のものでも分枝のものでもよく、また飽和二塩基酸、不飽和二塩基酸又はこれらの混合物であってもよい。
【0072】
飽和二塩基酸としては、エタン二酸、プロパン二酸、直鎖又は分枝のブタン二酸、直鎖又は分枝のペンタン二酸、直鎖又は分枝のへキサン二酸、直鎖又は分枝のオクタン二酸、直鎖又は分枝のノナン二酸、直鎖又は分枝のデカン二酸、直鎖又は分枝のウンデカン二酸、直鎖又は分枝のドデカン二酸、直鎖又は分枝のトリデカン二酸、直鎖又は分枝のテトラデカン二酸、直鎖又は分枝のヘプタデカン二酸、直鎖又は分枝のヘキサデカン二酸等が挙げられる。
【0073】
不飽和二塩基酸としては、直鎖又は分枝のヘキセン二酸、直鎖又は分枝のオクテン二酸、直鎖又は分枝のノネン二酸、直鎖又は分枝のデセン二酸、直鎖又は分枝のウンデセン二酸、直鎖又は分枝のドデセン二酸、直鎖又は分枝のトリデセン二酸、直鎖又は分枝のテトラセン二酸、直鎖又は分枝のヘプタデセン二酸、直鎖又は分枝のヘキサデセン二酸等が挙げられる。
【0074】
エステル油性剤としては、例えば、以下の(1b)〜(7b)成分が挙げられる。エステル油性剤としては、これらの例示成分のように、任意のアルコールとカルボン酸とを反応させて得られるエステルが使用可能であり、特にこれらに限定されるものではない。
(1b)一価アルコールと一塩基酸とのエステル
(2b)多価アルコールと一塩基酸とのエステル
(3b)一価アルコールと多塩基酸とのエステル
(4b)多価アルコールと多塩基酸とのエステル
(5b)一価アルコール及び多価アルコールの混合物と、多塩基酸との混合エステル
(6b)多価アルコールと、一塩基酸及び多塩基酸の混合物との混合エステル
(7b)一価アルコール及び多価アルコールの混合物と、一塩基酸及び多塩基酸の混合物との混合エステル
【0075】
なお、上記アルコール成分として多価アルコールを用いた場合には、エステルとしては、多価アルコール中の水酸基が全てエステル化された完全エステルを示す。また、上記カルボン酸成分として多塩基酸を用いた場合には、エステルとしては、多塩基酸中のカルボキシル基が全てエステル化された完全エステルでもよく、カルボキシル基の一部がエステル化されずにカルボキシル基のままで残っている部分エステルであってもよい。
【0076】
エステル油性剤としては、上記した何れのものも使用可能である。上記エステルの中では、加工性に優れる点から、(1b)一価アルコールと一塩基酸とのエステルが好ましい。
【0077】
油性剤として用いるエステルの合計炭素数には特に制限はないが、加工性の向上の点からエステルの合計炭素数は7以上が好ましく、9以上がより好ましく、11以上が最も好ましい。また、エステルの合計炭素数が大き過ぎるとステインや腐食の発生を増大させる恐れが大きくなることから、合計炭素数は26以下が好ましく、24以下がより好ましく、22以下が最も好ましい。
【0078】
(B2)成分の一価アルコールとしては、上記(B1)成分の説明においてエステルを構成するアルコールとして列挙した化合物等が挙げられる。一価アルコールとしては、加工性により優れる点から、一価アルコールの合計炭素数は6以上が好ましく、8以上がより好ましく、10以上が最も好ましい。また、合計炭素数が大き過ぎるとステインや腐食の発生を増大させる恐れが大きくなることから、合計炭素数は20以下が好ましく、18以下がより好ましく、16以下が最も好ましい。
【0079】
(B3)成分のカルボン酸としては、一塩基酸でも多塩基酸でもよい。このようなカルボン酸としては、例えば、上記(B1)成分の説明においてエステルを構成するカルボン酸として例示した化合物が挙げられる。これらの中では、加工性により優れる点から一塩基酸が好ましい。また、加工性に優れる点から、カルボン酸の合計炭素数は6以上が好ましく、8以上がより好ましく、10以上が最も好ましい。また、カルボン酸の合計炭素数が大き過ぎるとステインや腐食の発生を増大させる恐れが大きくなることから、合計炭素数は20以下が好ましく、18以下がより好ましく、16以下が最も好ましい.
【0080】
本発明のアルミニウム加工用潤滑油に使用する油性剤としては、上記各種油性剤の中から選ばれる1種のみを単独で又は2種以上の混合物として用いてもよいが、加工性をより向上できることから、(1)1価アルコールと一塩基酸とから得られる合計炭素数7〜26のエステル、(2)炭素数6〜20の一価アルコール、(3)炭素数6〜20の一塩基酸、及びこれらの混合物であることが好ましい。
【0081】
また、油性剤の含有量は、本発明のアルミニウム加工用潤滑油の全量基準で0.01〜10質量%であることが好ましい。油性剤の含有量は、加工性の観点から、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.07質量%以上である。一方、油性剤の含有量は、含有量が多過ぎるとステインや腐食の発生を増大させる恐れが大きくなることから、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは7質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。
【0082】
本発明のアルミニウム加工用潤滑油においては、40℃における動粘度が1〜60mm2/sのアルキルベンゼンを更に含有することができる。このアルキルベンゼンと上記油性剤とを併用することにより、油性剤の添加効果をより増大させることができる。
【0083】
アルキルベンゼンの40℃における動粘度が1mm2/s未満の場合には、添加効果が期待できないことがある。一方、動粘度が60mm2/sを越える場合には、加工後の被加工材表面に残存する油剤が増大する可能性がある。かかる観点から、アルキルベンゼンの40℃における動粘度は40mm2/s以下が好ましく,20mm2/s以下がより好ましい。
【0084】
また、アルキルベンゼンのベンゼン環に結合するアルキル基としては、直鎖状であっても分枝状であってもよい。アルキル基の炭素数についても特に限定されるものではないが、炭素数1〜40のアルキル基が好ましい。
【0085】
炭素数1〜40のアルキル基としては、メチル基、エチル基、直鎖又は分枝のプロピル基、直鎖又は分枝のブチル基、直鎖又は分枝のペンチル基、直鎖又は分枝のヘキシル基、直鎖又は分枝のヘプチル基、直鎖又は分枝のオクチル基、直鎖又は分枝のノニル基、直鎖又は分枝のデシル基、直鎖又は分枝のウンデシル基、直鎖又は分枝のドデシル基、直鎖又は分枝のトリデシル基、直鎖又は分枝のテトラデシル基、直鎖又は分枝のペンタデシル基、直鎖又は分枝のヘキサデシル基、直鎖又は分枝のヘプタデシル基、直鎖又は分枝のオクタデシル基、直鎖又は分枝のノナデシル基、直鎖又は分枝のイコシル基、直鎖又は分枝のヘンイコシル基、直鎖又は分枝のドコシル基、直鎖又は分枝のトリコシル基、直鎖又は分枝のテトラコシル基、直鎖又は分枝のペンタコシル基、直鎖又は分枝のヘキサコシル基、直鎖又は分枝のヘプタコシル基、直鎖又は分枝のオクタコシル基、直鎖又は分枝のノナコシル基、直鎖又は分枝のトリアコンチル基、直鎖又は分枝のヘントリアコンチル基、直鎖又は分枝のドトリアコントル基、直鎖又は分枝のトリトリアコンチル基、直鎖又は分枝のテトラトリアコンチル基、直鎖又は分枝のペンタトリアコンチル基、直鎖又は分枝のヘキサトリアコンチル基、直鎖又は分枝のヘプタトリアコンチル基、直鎖又は分枝のオクタトリアコンチル基、直鎖又は分枝のノナトリアコンチル基、直鎖又は分枝のテトラコンチル基等が挙げられる。
【0086】
アルキルベンゼンのアルキル基による置換数は通常1〜4であるが、安定性、入手可能性の点から1個又は2個のアルキル基を有するアルキルベンゼン、すなわち、モノアルキルベンゼン、ジアルキルンベンゼン又はこれらの混合物が最も好ましい。また、アルキルベンゼンとしては、単一構造のアルキルベンゼンだけでなく、異なる構造を有するアルキルベンゼンの混合物であってもよい。
【0087】
アルキルベンゼンの分子量については何ら制限はないが、添加効果の点から、100以上が好ましく、130以上がより好ましい。また、分子量が大き過ぎると加工後の被加工材表面に残存する油剤が増大する可能性が高くなることから、分子量は340以下が好ましく、320以下がより好ましい。
【0088】
上記アルキルベンゼンの製造方法としては、任意の従来の方法を適用することができ、何ら制限されるものではないが、例えば以下に示す原料物質を用いてアルキル化合成法等によって製造することができる。
【0089】
原料となる芳香族化合物としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、ジエチルベンゼン及びこれらの混合物が挙げられる。また、アルキル化剤としては、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブテン等の低級モノオレフィン、好ましくはプロピレンの重合によって得られる炭素数6〜40の直鎖又は分枝のオレフィン;ワックス、重質油、石油留分、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱分解によって得られる炭素数6〜40の直鎖又は分枝のオレフィン;灯油、軽油等の石油留分からn−パラフィンを分離し、これを触媒によりオレフィン化することによって得られる炭素数9〜40の直鎖状オレフィン;及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0090】
また、アルキル化の際に使用するアルキル化触媒としては、フリーデルクラフツ型触媒、酸性触媒等の公知の触媒が挙げられる。フリーデルクラフツ型触媒としては、塩化アルミニウム、塩化亜鉛等が挙げられる。酸性触媒としては、硫酸、リン酸、ケイタングステン酸、フッ化水素酸、活性白土等が挙げられる。
【0091】
またさらに、40℃における動粘度が1〜60mm2/sのアルキルベンゼンを調製するためには、例えば、上記の方法によって得られるアルキルベンゼンの混合物や市販されているアルキルベンゼンの混合物を、蒸留やクロマトによって分離し動粘度が1〜60mm2/sであるアルキルベンゼンの留分を得ることが実用上便利である。
【0092】
なお、アルキルベンゼンの含有量は、本発明のアルミニウム加工用潤滑油の全量基準で0.1〜50質量%とすることができる。かかる含有量は、添加効果の点から、0.1質量%以上が好ましく、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上である。一方、かかる含有量が多過ぎると加工後の被加工材の表面に残存する油剤が増大する可能性が高くなることから、かかる含有量は50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。
【0093】
本発明のアルミニウム加工用潤滑油においては、炭素数6〜40の直鎖オレフィンを更に含有していてもよい。該潤滑油が直鎖オレフィンを含有することにより、潤滑性が更に優れるようになる。
【0094】
炭素数が6未満の直鎖オレフィンは、引火点が低いため適当ではない。適度な高さの引火点を有するためには、炭素数が8以上であることが好ましく、炭素数10以上であることがより好ましく、炭素数12以上であることが更に好ましい。一方、炭素数が40を越えると、固体状となるため使用が困難となり、しかも他の成分(鉱油や添加剤)等との混合や溶解が困難となるため不適当である。また、炭素数が40を越える直鎖オレフィンは一般的ではなく、入手も困難である。このような不都合を考慮して、炭素数が30以下の直鎖オレフィンが好ましい。
【0095】
このような直鎖オレフィンとしては、分子内に二重結合を1個有しているものであっても、2個以上有しているものであってもよいが、二重結合を1個有しているものが好ましい。また、二重結合の位置についても特に制限はないが、潤滑性に優れる点から、末端に二重結合を有している直鎖オレフィン、すなわちn−α−オレフィンであることが好ましい。
【0096】
直鎖オレフィンとしては、1−オクテン、1−デセン、1−ドコセン、1−テトラデセン,1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−イコセン又はこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。なお、直鎖オレフィンとしては、様々な製法によって得られるものを用いることができるが、例えばエチレンを通常の手段で重合させて得られるエチレンオリゴマーを使用することができる。また、直鎖オレフィンとしては、これらの化合物を単独で又は2種以上の混合物として用いてもよい。
【0097】
また、本発明のアルミニウム加工用潤滑油が直鎖オレフィンを含有する場合には、上述の(A1)〜(A8)成分の含酸素化合物の中では、(A3)成分,(A4)成分、(A5)成分又は(A8)成分と併用することが好ましく、(A3)成分又は(A5)成分と併用することがより好ましい。かかる含酸素化合物と直鎖オレフィンとを併用することにより、両者の相乗効果によって潤滑性がより向上し加工性に優れると共に、油剤除去工程における油剤除去性も向上する。
【0098】
なお、直鎖オレフィンの含有量は任意であるが、本発明のアルミニウム加工用潤滑油の潤滑性向上の観点から、かかる含有量は該潤滑油の全量基準で1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上が更に好ましい。一方、かかる含有量は、添加量に見合った効果が得られる点から、該潤滑油の全量基準で30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。
【0099】
本発明のアルミニウム加工用潤滑油においては、その優れた効果をより一層向上させるために、必要に応じて合成油(合成系潤滑油)を更に含有することができる。かかる合成油としては、通常40℃における動粘度が0.5〜500mm2/s、特に0.5〜30mm2/sのものが好適に用いられる。合成油としては、上記直鎖オレフィン以外のオレフィン(例えば、ポリブテン、ポリプロピレン等の分枝オレフィン)、かかるオレフィンの水素化物等を用いることができる。このようなオレフィンとしては、特に低分子量ポリプロピレン、炭素数8〜14のα−オレフィンオリゴマー又はこれらの混合物が好ましい。本発明のアルミニウム加工用潤滑油がこれらの合成油を含有する場合には、使用時における臭気が少ないため作業環境が向上し、更に加工後の被加工材の表面の脱脂性が向上する。かかる合成油の含有量は、本発明のアルミニウム加工用潤滑油の全量基準で、通常20質量%以下であり、15質量%以下であることが好ましい。
【0100】
本発明のアルミニウム加工用潤滑油においては、その優れた効果をより一層向上させるため、必要に応じて極圧添加剤、酸化防止剤、さび止め剤、腐食防止剤、消泡剤等の添加剤を単独で又は2種以上を組み合わせて更に含有してもよい。
【0101】
極圧添加剤としては、トリクレジルフォスフェート等のリン系化合物、及びジアルキルジチオリン酸亜鉛等の有機金属化合物が挙げられる。酸化防止剤としては、2,6−ジターシャリーブチル−p−クレゾール(DBPC)等のフェノール系化合物、フェニル−α−ナフチルアミン等の芳香族アミン及びジアルキルジチオリン酸亜鉛等の有機金属化合物が挙げられる。さび止め剤としては、オレイン酸等の脂肪酸の塩、ジノニルナフタレンスルホネート等のスルホン酸塩、ソルビタンモノオレエート等の多価アルコールの部分エステル、アミン及びその誘導体、リン酸エステル及びその誘導体が挙げられる。腐食防止剤としては、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。消泡剤としては、シリコーン系のものが挙げられる。
【0102】
なお、上記添加剤の合計含有量は、本発明のアルミニウム加工用潤滑油の全量基準で通常15質量%以下、10質量%以下であることが好ましい。
【0103】
本発明のアルミニウム加工用潤滑油の粘度は、格別の限定はないが、40℃における動粘度が1.0〜5.0mm2/sであることが好ましい。すなわち、該潤滑油の40℃における動粘度は、1.0mm2/s以上であることが好ましく、より好ましくは1.2mm2/s以上、更に好ましくは1.3mm2/s以上、最も好ましくは1.4mm2/s以上である。該潤滑油の動粘度を上記下限値以上とすることにより、加工性を良好にすることができる。一方、該潤滑油の40℃における動粘度は、5.0mm2/s以下であることが好ましく、より好ましくは3.0mm2/s以下、更に好ましくは2.8mm2/s以下、最も好ましくは2.7mm2/s以下である。該潤滑油の動粘度を上記上限値以下とすることにより、室温での油剤の揮発の防止と油剤除去工程における油剤除去性とを両立することができる。
【0104】
本発明の潤滑油は、アルミニウムの加工用油剤として使用されるが、特にアルミニウムフィン材の加工用油剤として好適である。なお、アルミニウムフィン材の材質としては、純アルミニウムが多く使用されているが、アルミニウム合金を使用してもよい。また、本発明のアルミニウム加工用潤滑油は、アルミニウムフィン材の表面を予め親水性被膜処理したプレコート材、及びそのような処理を施していない材料にも用いることができる。一般には、プレコート材の場合には、鉱油のみからなる油剤で加工できる可能性が高いが、プレコート処理を施していない材料を加工する場合には、本発明の潤滑油が上記含酸素化合物を含有することが好ましい。
【0105】
なお、ここでいう被膜とは、アルミニウムフィン材上に形成された耐食性下地被膜とその被膜上に形成される親水性被膜とからなる膜をいう。耐食性下地被膜としては、無機系下地被膜と有機系下地被膜が挙げられる。無機系下地被膜としては、例えば、クロメート被膜、ベーマイト被膜、ケイ酸被膜又はこれらを組み合わせた被膜が挙げられる。また、有機系下地被膜として多用されているとしては、例えば、ポリ塩化ビニル−酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のビニル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、スチロール系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、ケイ素系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、アルキッド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ユリアメラミン樹脂、ポリアセタール系樹脂及び繊維系樹脂が挙げられる。
【0106】
親水性被膜としては、例えば、以下の(C1)〜(C5)成分が挙げられる。
(C1)カルボニル基を有する低分子有機化合物とアルカリケイ酸塩とを主成分とするもの
(C2)上記(C1)成分に水溶性有機高分子化合物を加えたものを主成分とする特殊水ガラス
(C3)ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、水ガラス等のケイ酸塩、ケイ酸、シリカゲル又はアルミナゾル
(C4)カルボニル基を有する低分子量有機化合物からなる架橋剤と、親水性有機高分子とを反応させることにより得られる親水性の変性有機高分子
(C5)ポリビニルアルコール系親水性有機高分子、水溶性有機高分子及び架橋剤を反応させることによって得られる親水性のポリビニルアルコール系変性有機高分子
【0107】
なお、アルニウムフィン材の加工としては、例えば、張り出し加工、絞り加工、打ち抜き加工、カーリング加工及びチューブ挿通孔周辺の筒形立ち上がり壁をしごいて高くするしごき加工が挙げられる。
【0108】
【実施例】
以下、本発明の好適な実施例について更に詳細な説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0109】
<実施例1〜12及び比較例1〜4>
実施例1〜12及び比較例1〜4においては、下記に示す各成分を用いてアルミニウム加工用潤滑油を調製した。各実施例又は比較例のアルミニウム加工用潤滑油の各成分の含有量を、それぞれ表1に示す。
【0110】
(鉱油)
鉱油1:芳香族分0.5容量%、ナフテン分45容量%、パラフィン分54.5容量%、初留点231℃、終点268℃、動粘度(40℃)2.18mm2/s
鉱油2:芳香族分0.3容量%、ナフテン分65.7容量%、パラフィン分34容量%、初留点158℃、終点179℃、動粘度(40℃)1.85mm2/s
鉱油3:芳香族分2容量%、ナフテン分58容量%、パラフィン分40容量%、初留点244℃、終点288℃、動粘度(40℃)2.63mm2/s
鉱油4:イソパラフィン100容量%、初留点161℃、終点263℃、動粘度(40℃)2.45mm2/s
鉱油5:芳香族分14容量%、ナフテン分28容量%、パラフィン分58容量%、初留点211℃、終点258℃、動粘度(40℃)2.11mm2/s
鉱油6:芳香族分0.3容量%、ナフテン分6容量%、パラフィン分93.7容量%、初留点251℃、終点288℃、動粘度(40℃)2.74mm2/s
鉱油7:芳香族分0.8容量%、ナフテン分93容量%、パラフィン分6.2容量%、初留点241℃、終点277℃、動粘度(40℃)2.68mm2/s
【0111】
(含酸素化合物)
1:グリセリンジオレエートとトリオレエートとの質量比1:1の混合物
2:ポリエチレングリコール(平均分子量200)のジラウリン酸エステル
3:ポリプロピレングリコール(平均分子量200)のモノブチルエーテル
4:ポリエチレングリコール(平均分子量200)のジオレイン酸エステル
5:トリプロピレングリコール(分子量192)とテトラプロピレングリコール(分子量250)との質量比3:1の混合物
6:テトラエチレングリコール(分子量194)のモノオレイルエーテル
7:テトラエチレングリコール(分子量194)のジオレイルエーテル
8:ポリエチレングリコール(平均分子量300)のジステアリン酸エステル
9:グリセリンのプロピレンオキサイド付加物(平均分子量250)
【0112】
【表1】
【0113】
実施例1〜12及び比較例1〜4の各潤滑油について、以下の評価試験を行った。
【0114】
(潤滑性試験)
実施例1〜12及び比較例1〜4の各潤滑油をJIS A 1050のアルミニウム板に塗布し、バウデン試験により摩擦係数を測定した。荷重は200g、しゅう動速は100mm/sとした。結果を表2に示す。
【0115】
(臭気試験)
実施例1〜12及び比較例1〜4の各潤滑油を40℃に加熱してパネラー10人による官能試験を行った。各パネラーが臭気を以下の3段階で評価し、全パネラーの平均点を求め、平均点が2.5点以上を○、2.5点未満を×として評価した。結果を表2に示す。
1点:臭気がある。
2点:やや臭気がある。
3点:臭気がない。
【0116】
(肌荒れ試験)
実施例1〜12及び比較例1〜4の各潤滑油0.5mlを含ませた市販の絆創膏をパネラー10人の腕の内側に貼り、24時間後の肌の状態を観察した。各パネラーの肌の状態を以下の3段階で評価し、全パネラーの平均点を求め、平均点が2.5点以上を○、2.5点未満を×として評価した。結果を表2に示す。
1点:肌が赤い。
2点:肌がやや赤い。
3点:肌に変化がない。
【0117】
(揮発性試験1)
実施例1〜12及び比較例1〜4の各潤滑油3gを予め重量を秤量した直径7cmのシャーレにとり、30℃恒温槽内で7時間静置した。その後、シャーレの重量を秤量することにより揮発した潤滑油の割合を求めた。結果を表2に示す。
【0118】
(揮発性試験2)
溶剤で洗浄したアルミニウム材の試験片を130℃恒温槽内に3分静置した後、試験片の重量を秤量した。これをA(g)とした。次いで、この試験片をデシケータ内で室温まで冷却した後、実施例1〜12及び比較例1〜4の各潤滑油を2g/cm2になるように試験片に塗布した。塗布前後の試験片の重量を秤量し、それぞれB(g)、C(g)とした。この試験片を130℃の恒温槽内で3分間静置した後、直ちに試験片の重量を秤量し、これをD(g)とした。A、B、C及びDの値から以下の式に従い各潤滑油の揮発量を求めた。結果を表2に示す。
揮発量(質量%)=100×(D−A)/(C−B)
【0119】
【表2】
【0120】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、十分な加工性を有し油剤除去工程では油剤を十分除去でき、加工後の被加工材の損傷や臭気、肌荒れ等を防止可能なアルミニウム加工用潤滑油を提供することができる。
Claims (1)
- 芳香族分が5容量%以下、ナフテン分が10〜85容量%、初留点が150℃以上、終点が320℃以下、前記初留点と前記終点との差が100℃以下、かつ40℃における動粘度が1.2〜3.0mm2/sである鉱油を含有するアルミニウム加工用潤滑油。
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