JP2005042033A - 圧延油組成物 - Google Patents

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Junichi Shibata
潤一 柴田
Katsumi Seki
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Abstract

【課題】 高速度、高圧下率の条件で圧延を行った場合であっても、酸化劣化及びステインの発生を十分に防止可能な圧延油組成物を提供すること。
【解決手段】 鉱油、油脂及び合成油から選ばれる少なくとも1種の基油と、式(1)で表される化合物等から選ばれる添加剤と、を含有し、当該添加剤の含有量の合計が組成物全量を基準として0.01〜3質量%である圧延油組成物。
【化1】
Figure 2005042033

[式(1)中、R1は炭素数2〜8のアルキル基を示す。]
【選択図】 なし

Description

本発明は、アルミニウムやその合金などの圧延に使用される圧延油組成物に関する。
圧延油は循環使用されることが多く、また、圧延油による潤滑域は高温となりやすい。そのため、圧延油には、その酸化を防止すべく、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(DBPC)などの酸化防止剤が添加されるのが一般的である(例えば、特許文献1参照。)。
また、圧延後の被圧延材の表面に茶色や白色の変色(以下、「ステイン」という)が発生することがあるが、DBPCなどの酸化防止剤の使用によりステインの発生をある程度防止することができる。
特開平10−36872号公報
しかし、近時、生産性の向上のために高速度、高圧下率の条件で圧延が行われることが多く、このような厳しい条件下では上記従来の圧延油であっても酸化劣化及びステインの発生を十分に防止することは必ずしも容易ではない。特に、ステインは主に圧延後の焼鈍工程で発生するものと考えられていたが、上述のように高速、高圧下率で圧延を行った場合には焼鈍を行わなくてもステインが発生することがあるため、より高いステイン防止効果を示す圧延油が切望されている。
そこで、本発明者らは、先ず、DBPCが添加された圧延油の場合にステイン防止効果が不十分となる原因について検討した。その結果、高速度、高圧下率の条件で圧延を行うと、摩擦熱や加工熱により潤滑域がより高温となり、その熱により圧延油中のDBPCが散逸してしまうため、酸化劣化やステインの発生を防止する効果が損なわれることを見出した。
なお、DBPCの使用量を増加させることで酸化防止性及びステイン防止性を向上させることは可能であるが、このような方法は根本的な解決策とは言えず、また、コストの増加が避けられない。さらに、圧延油を循環使用する際には、圧延油中のDBPCの濃度を頻繁に管理する必要があるため、圧延工程の操作が煩雑となってしまう。
次に、本発明者らは、上記知見に基づき、DBPCに比べて熱により散逸しにくいアミン系酸化防止剤及び硫黄系酸化防止剤の適用について検討した。しかし、これらの酸化防止剤は圧延の際に圧延油中に保持され得るものの、圧延後の焼鈍工程における温度(例えば300〜400℃)では十分に除去されず、被圧延材の表面に焼き付くことで却ってステインの原因となる場合もある。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、高速度、高圧下率の条件で圧延を行った場合であっても、酸化劣化及びステインの発生を十分に防止可能な圧延油組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の圧延油組成物は、鉱油、油脂及び合成油から選ばれる少なくとも1種の基油と、下記式(1)〜(5)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の添加剤と、を含有し、当該添加剤の含有量の合計が組成物全量を基準として0.01〜3質量%であることを特徴とする。
Figure 2005042033
[式(1)中、R1は炭素数2〜8のアルキル基を示す。]
Figure 2005042033
[式(2)中、R2は炭素数1〜8のアルキル基を示し、R3は炭素数1〜8のアルキレン基を示し、R4は炭素数1〜24のアルキル基を示す。]
Figure 2005042033
[式(3)中、R5及びR6は同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜4のアルキル基を示し、R7は炭素数1〜8のアルキレン基を示す。]
Figure 2005042033
[式(4)中、R8及びR9は同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜4のアルキル基を示し、R10は炭素数1〜8のアルキレン基を示す。]
Figure 2005042033
本発明にかかる上記式(1)〜(5)で表される化合物はいずれも酸化防止性及びステイン防止性が十分に高く、高温下で基油中に安定的に保持される添加剤であり、これらは圧延後の焼鈍により容易に除去可能なものである。そして、本発明の圧延油組成物によれば、式(1)〜(5)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の添加剤を、その含有量の合計が組成物全量を基準として0.01〜3質量%となるように含有せしめることで、高速度、高圧下率の条件で圧延を行った場合であっても、酸化劣化やステインの発生を十分に防止することが可能となる。
また、本発明の圧延油組成物は、圧延油が循環使用される圧延工程に非常に有用である。すなわち、式(1)〜(5)で表される化合物は1回の圧延工程における散逸量が十分に低いものであるため、本発明の圧延油組成物が循環使用された場合であっても、当該組成物の酸化防止性及びステイン防止性を長期にわたって高水準に維持することができる。また、これらの添加剤の濃度の管理や散逸量に応じた補充の頻度が少なくなるため、コストの増大や圧延工程の操作の煩雑化を招くこともない。
さらに、アミン系酸化防止剤及び硫黄系酸化防止剤を用いた場合にはスラッジなどの固形物が生成しやすい傾向にあるが、本発明の圧延油組成物はスラッジ生成防止性の点でも優れており、例えば循環使用の際のフィルターの目詰まり現象を十分に防止することができる。
本発明の圧延油組成物によれば、高速度、高圧下率の条件で圧延を行った場合であっても、酸化劣化及びステインの発生を十分に防止することが可能となる。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
本発明の圧延油組成物に含まれる基油(以下、場合により(A)成分という)としては、鉱油、油脂、合成油をそれぞれ単独で用いてもよく、また、これらの2種以上を組み合わせて用いてもよい。
鉱油としては、原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られた潤滑油留分に対して、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の1種若しくは2種以上の精製手段を適宜組み合わせて適用して得られるパラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油、又はこれらの混合物が挙げられる。
また、油脂としては、牛脂、豚脂、大豆油、菜種油、米ぬか油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、これらの水素添加物等が挙げられる。
また、合成油としては、ポリα−オレフィン(直鎖オレフィンを除く)(エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン、1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー、及びこれらの水素化物等)、アルキルナフタレン、アルキルベンゼン、モノエステル(ブチルステアレート、オクチルラウレート等)、ジエステル(ジトリデシルグルタレート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルセパケート等)、ポリカルボン酸エステル(トリメリット酸エステル等)、ポリオールエステル(トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール−2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネート等)、ポリオキシアルキレングリコール、ポリフェニルエーテル、ジアルキルジフェニルエーテル、リン酸エステル(トリクレジルホスフェート等)、含フッ素化合物(パーフルオロポリエーテル、フッ素化ポリオレフィン等)、シリコーン油、及びこれらの2種以上の混合油等が挙げられる。
これらの中でも、鉱油及び合成油から選ばれる少なくとも1種が好ましく、鉱油又は鉱油と合成油との混合油がより好ましい。合成油を用いる場合、使用時の臭気が少なく作業環境が向上する点、並びに加工製品表面の脱脂性が向上する点から、ポリα−オレフィン(直鎖オレフィン)が特に好ましい。
本発明において好ましく用いられる鉱油の芳香族分は、作業環境の点から、好ましくは10容量%以下であり、より好ましくは8容量%以下であり、さらに好ましくは6容量%以下である。ここでいう芳香族分とは、JIS K 2536「石油製品−炭化水素タイプ試験方法」の蛍光指示薬吸着方を準用して測定される値を意味する。
鉱油のナフテン分は特に制限されないが、好ましくは20容量%以上、より好ましくは25容量%以上、さらに好ましくは30容量%以上である。ナフテン分が20容量%以上であると、高加工率で圧延を行う際に圧延限界(ヘリンボーン等の表面損傷を生じずに圧延可能な圧下率の最大値)を高めることができる。また、鉱油のナフテン分は、好ましくは90容量%以下、より好ましくは85容量%以下、さらに好ましくは80容量%以下である。ナフテン分が90容量%以下であると、低加工率で圧延を行う際に摩擦係数を低めることができる。
鉱油のパラフィン分は特に制限されないが、好ましくは5容量%以上、より好ましくは10容量%以上、さらに好ましくは15容量%以上である。パラフィン分が5容量%以上であると、低下効率で圧延を行う際に摩擦係数を低めることができる。また、鉱油のパラフィン分は、好ましくは80容量%以下、より好ましくは75容量%以下、さらに好ましくは70容量%以下である。パラフィン分が80容量%以下であると、高加工率で圧延を行う際に圧延限界を高めることができる。
本発明でいうナフテン分及びパラフィン分とは、ガラスリザーバを用いたFIイオン化による質量分析法により得られた分子イオン強度に基づき決定されるものである。以下にその測定手順を具体的に示す。
(i)約175℃、3時間の乾燥により活性化された呼び径74〜149μmのシリカゲル(富士デビソン化学(株)製、grade923)120gを、径18mm、長さ980mmの溶出クロマトグラフィー用吸着管に充填する。
(ii)吸着管の上端からn−ペンタン75mlを注入し、シリカゲルを予め湿らせる。
(iii)試料約2gを精秤し、等容量のn−ペンタンで希釈し、得られた試料溶液を吸着管の上端から注入する。
(iv)試料溶液の液面がシリカゲル上端に達したとき、炭化水素成分を分離するためにn−ペンタン140mlを吸着管の上端から注入し、吸着管の下端から溶出液を回収する。
(v)ロータリーエバポレーターを用いて(iv)で回収された溶出液から溶媒を留去し、炭化水素成分を得る。
(vi)(v)で得られた炭化水素成分について質量分析計(日本電子(株)精JMS−AX505Hなど)によるタイプ分析を行う。質量分析におけるイオン化方法としては、ガラスリザーバを使用したFIイオン化法を用いる。測定条件を以下に示す。
加圧電圧:3.0kV
カソード電圧:−5〜−6kV
分解能:約500
エミッター:カーボン
エミッター電流:5mA
測定範囲;質量数35〜700
補助オーブン温度:300℃
セパレータ温度:300℃
主要オーブン温度:350℃
試料注入量:1μl
(vii)(vi)の質量分析により得られた分子イオンを、同位体補正後、その質量数からパラフィン類(Cn2n+2)とナフテン類(Cn2n、Cn2n-2、Cn2n-4、・・・)との2タイプに分類・整理し、それぞれのイオン強度の分率を求め、炭化水素成分全体に対する各タイプの含有量を定める。次いで、(v)で得られた炭化水素成分の含有量を基に、試料全体に対するパラフィン分、ナフテン分の各含有量を求める。
なお、FIイオン化法による質量分析のタイプ分析法におけるデータ処理の詳細は、「日石レビュー」第33巻第4号第135〜142頁に記載されており、特に「2.2.3データ処理」の項に詳述されている。
(A)成分である基油の40℃における動粘度は特に制限されないが、引火による火災等を防止する点から、好ましくは1mm2/s以上である。また、基油の40℃における動粘度は、好ましくは10mm2/s以下、より好ましくは6mm2/s以下、さらに好ましくは5mm2/s以下である。基油の40℃における動粘度が10mm2/s以下であると、(i)焼鈍後に油が焼き付いてステインが発生する、(ii)被圧延材の表面にオイルピットと呼ばれる表面損傷が発生して表面光沢が低下する、(iii)過潤滑によるスリップが生じ、摩耗粉の発生量が増加し又は被圧延材表面に傷が付く、(iv)スリップが顕著な場合には圧延加工ができなくなる、などの現象をより確実に防止することができる。
本発明の潤滑油組成物における基油の含有量は任意であるが、作業環境の点から、組成物全量を基準として、好ましくは60質量%以上、より好ましくは65質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。また、組成物の潤滑性向上の点から、基油の含有量は、組成物全量を基準として、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下である。
次に、本発明の圧延油組成物に含まれる添加剤である式(1)〜(5)で表される化合物(以下、場合により(B)成分という)について説明する。
式(1)中、R1は炭素数2〜8のアルキル基を示す。炭素数2〜8のアルキル基としては、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、直鎖状又は分岐状のブチル基、直鎖状又は分岐状のペンチル基、直鎖状又は分岐状のヘキシル基、直鎖状又は分岐状のヘプチル基、直鎖状又は分岐状のオクチル基等が挙げられる。これらの中でも、ステイン防止性の点から、炭素数3以上のアルキル基が好ましく、炭素数4以上のアルキル基がより好ましい。また、圧延後の被圧延材表面への残留が少ない点から、炭素数が6以下のアルキル基が好ましく、炭素数4以下のアルキル基がより好ましい。
式(1)で表される化合物の好ましい例としては、2,6−ジ−tert−ブチル−4−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−n−エチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−n−プロピルフェノール等が挙げられる。
式(2)中、R2は炭素数1〜8のアルキル基を示す。炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、直鎖状又は分岐状のブチル基、直鎖状又は分岐状のペンチル基、直鎖状又は分岐状のヘキシル基、直鎖状又は分岐状のヘプチル基、直鎖状又は分岐状のオクチル基等が挙げられる。これらの中でも、ステイン防止性の点から、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましい。
また、式(2)中、R3は炭素数1〜8のアルキレン基を示す。炭素数1〜8のアルキレン基としては、メチレン基;メチルメチレン基(エチリデン基)、エチレン基等の炭素数2のアルキレン基;エチルメチレン基(プロピリデン基)、ジメチルメチレン基(イソプロピリデン基)、メチルエチレン基(プロピレン基)、トリメチレン基等の炭素数3のアルキレン基;n−プロピルメチレン基(ブチリデン基)、イソプロピルメチレン基(イソブチリデン基)、エチルメチルメチレン基、エチルエチレン基、1,1−ジメチルエチレン基、1,2−ジメチルエチレン基、1−メチルトリメチレン基、2−メチルトリメチレン基、テトラメチレン基等の炭素数4のアルキレン基;n−ブチルメチレン基(ペンチリデン基)、sec−ブチルメチレン基、イソブチルメチレン基(イソペンチリデン基)、tert−ブチルメチレン基、n−プロピルメチルメチレン基、イソプロピルメチルメチレン基、ジエチルメチレン基、n−プロピルエチレン基、イソプロピルエチレン基、1−エチル−1−メチルエチレン基、1−エチル−2−メチルエチレン基、トリメチルエチレン基、1−エチルトリメチレン基、2−エチルトリメチレン基、1,1−ジメチルトリメチレン基、1,2−ジメチルトリメチレン基、1,3−ジメチルトリメチレン基、2,2−ジメチルトリメチレン基、1−メチルテトラメチレン基、2−メチルテトラメチレン基、ペンタメチレン基等の炭素数5のアルキレン基;n−ペンチルメチレン基(ヘキシリデン基)、(1−メチルブチル)メチレン基、イソペンチルメチレン基(イソペンチリデン基)、(1,2−ジメチルプロピル)メチレン基、n−ブチルメチルメチレン基、イソブチルメチルメチレン基、エチル−n−プロピルメチレン基、エチルイソプロピルメチレン基、ブチルエチレン基、イソブチルメチレン基、1−(n−プロピル)−1−メチルエチレン基、1−(n−プロピル)−2−メチルエチレン基、1−イソプロピル−1−メチルエチレン基、1−イソプロピル−2−メチルエチレン基、1,2−ジエチルエチレン基、1−エチル−2,2−ジメチルエチレン基、テトラメチルエチレン基、1−n−プロピルトリメチレン基、2−n−プロピルトリメチレン基、1−イソプロピルトリメチレン基、2−イソプロピルトリメチレン基、1−エチル−3−メチルトリメチレン基、1−エチル−2−メチルトリメチレン基、1,1,2−トリメチルトリメチレン基、1,1,3−トリメチルトリメチレン基、1−エチルテトラメチレン基、1,1−ジメチルテトラメチレン基、1,3−ジメチルテトラメチレン基、1,4−ジメチルテトラメチレン基、2,2−ジメチルテトラメチレン基,1−メチルペンタメチレン基、2−メチルペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等の炭素数6のアルキレン基(すべての炭素数6のアルキレン基の異性体を含む);n−ヘキシルメチレン基(ヘプチリデン基)、n−ペンチルエチレン基(ヘプチレン基)等の炭素数7のアルキレン基(すべての炭素数7のアルキレン基の異性体を含む);n−ヘプチルメチレン基(オクチリデン基)、n−ヘキシルエチレン基(オクチレン基)等の炭素数8のアルキレン基(すべての炭素数8のアルキレン基の異性体を含む)等が挙げられる。これらの中でも、ステイン防止性の点から、炭素数1〜6のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜4のアルキレン基がより好ましく、メチレン基、メチルメチレン基(エチリデン基)、エチレン基、エチルメチレン基(プロピリデン基)、メチルエチレン基(プロピレン基)、トリメチレン基、n−プロピルメチレン基(ブチリデン基)、エチルエチレン基、テトラメチレン基がさらにより好ましく、エチレン基であることが最も好ましい。
また、式(2)中、R4は炭素数1〜24のアルキル基を示す。炭素数1〜24のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、直鎖状又は分岐状のブチル基、直鎖状又は分岐状のペンチル基、直鎖状又は分岐状のヘキシル基、直鎖状又は分岐状のヘプチル基、直鎖状又は分岐状のオクチル基、直鎖状又は分岐状のノニル基、直鎖状又は分岐状のデシル基、直鎖状又は分岐状のウンデシル基、直鎖状又は分岐状のドデシル基、直鎖状又は分岐状のトリデシル基、直鎖状又は分岐状のテトラデシル基、直鎖状又は分岐状のペンタデシル基、直鎖状又は分岐状のヘキサデシル基、直鎖状又は分岐状のヘプタデシル基、直鎖状又は分岐状のオクタデシル基、直鎖状又は分岐状のノナデシル基、直鎖状又は分岐状のイコシル基、直鎖状又は分岐状のヘニコシル基、直鎖状又は分岐状のドコシル基、直鎖状又は分岐状のトリコシル基、直鎖状又は分岐状のテトラコシル基等が挙げられる。これらの中でも、ステイン防止性の点から、炭素数1以上のアルキル基が好ましく、炭素数2以上のアルキル基がより好ましい。また、圧延後の圧延材表面への残留が少ない点から、炭素数22以下のアルキル基が好ましく、炭素数20以下のアルキル基がより好ましい。
式(2)で表される化合物の好ましい例としては、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート,n−オクチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート,2−エチルヘキシル−3−(3−tert−ブチル−5―メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート,2−エチルヘキシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、メチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等が挙げられる。
式(3)中、R5及びR6はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基を示す。炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチレン基、n−プロピル基、イソプロピル基、直鎖状又は分岐状のブチル基等が挙げられる。これらの中でも、ステイン防止性の点から、炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、炭素数1〜2のアルキル基がより好ましい。
また、式(3)中、R7は炭素数1〜8のアルキレン基を示す。炭素数1〜8のアルキレン基としては、式(2)中のR3の説明において例示したアルキレン基が挙げられる。中でも、ステイン防止性の点から、炭素数1〜6のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜4のアルキレン基がより好ましく、メチレン基、メチルメチレン基(エチリデン基)、エチレン基、エチルメチレン基(プロピリデン基)、メチルエチレン基(プロピレン基)、トリメチレン基、n−プロピルメチレン基(ブチリデン基)、エチルエチレン基、テトラメチレン基がさらにより好ましい。
式(3)で表される化合物の好ましい例としては、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス−(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−ブチリデンビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)等が挙げられる。
式(4)中、R8及びR9はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基を示す。炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチレン基、n−プロピル基、イソプロピル基、直鎖状又は分岐状のブチル基等が挙げられる。これらの中でも、ステイン防止性の点から、炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、炭素数1〜2のアルキル基がより好ましい。
また、式(4)中のR10は炭素数1〜8のアルキレン基を示す。炭素数1〜8のアルキレン基としては、式(2)中のR3の説明において例示されたアルキレン基が挙げられる。中でも、ステイン防止性の点から、炭素数1〜6のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜4のアルキレン基がより好ましく、メチレン基、メチルメチレン基(エチリデン基)、エチレン基、エチルメチレン基(プロピリデン基)、メチルエチレン基(プロピレン基)、トリメチレン基、n−プロピルメチレン基(ブチリデン基)、エチルエチレン基、テトラメチレン基がさらにより好ましい。
式(4)で表される化合物の好ましい例としては、4,4’−ブチリデンビス−(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−メチレンビス−(2,6-ジ−tert−ブチルフェノール)等が挙げられる。
式(5)で表される化合物は4,4’−ビス−(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)である。
上記式(1)〜(5)で表される化合物の中でも、酸化防止性、ステイン防止性、さらにはスラッジ防止性に優れる点から、式(2)で表される化合物が好ましく、中でも、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、n−オクチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−エチルヘキシル−3−(3−tert−ブチル−5―メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−エチルヘキシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、メチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートがより好ましく;
2−エチルヘキシル−3−(3−tert−ブチル−5―メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート,2−エチルヘキシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが最も好ましい。
一般式(1)〜(5)で表される化合物は、それぞれ1種を単独で用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、(1)〜(5)で表される化合物の含有量の合計は、組成物全量基準で0.01〜3質量%である。すなわち、当該含有量の合計は、ステイン防止性の点から0.01質量%以上であることが必要であり、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上である。また、含有量に見合う効果を効率よく得る点から、当該含有量の合計は、3質量%以下であることが必要であり、好ましくは2.5質量%以下、より好ましくは2質量%以下である。
本発明の圧延油組成物は、上記(A)成分及び(B)成分のみからなるものであってもよいが、油性剤(以下、場合により(C)成分という)をさらに含有してもよい。(C)油性剤としては、潤滑油の油性剤として使用される油性剤であれば特に制限されないが、加工性の点からは下記(C1)〜(C3)から選ばれる少なくとも1種の油性剤を用いることが好ましい。
(C1)エステル
(C2)一価アルコール
(C3)カルボン酸
(C1)エステルを構成するアルコールは一価アルコール又は多価アルコールのいずれであってもよい。また、エステルを構成するカルボン酸は一塩基酸又は多塩基酸のいずれであってもよい。
一価アルコールとしては、通常炭素数1〜24のものが用いられ、このようなアルコールは直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。炭素数1〜24の一価アルコールとしては、具体的には、メタノール、エタノール、直鎖状又は分岐状のプロパノール、直鎖状又は分岐状のブタノール、直鎖状又は分岐状のペンタノール、直鎖状又は分岐状のヘキサノール、直鎖状又は分岐状のヘプタノール、直鎖状又は分岐状のオクタノール、直鎖状又は分岐状のノナノール、直鎖状又は分岐状のデカノール、直鎖状又は分岐状のウンデカノール、直鎖状又は分岐状のドデカノール、直鎖状又は分岐状のトリデカノール、直鎖状又は分岐状のテトラデカノール、直鎖状又は分岐状のペンタデカノール、直鎖状又は分岐状のヘキサデカノール、直鎖状又は分岐状のヘプタデカノール、直鎖状又は分岐状のオクタデカノール、直鎖状又は分岐状のノナデカノール、直鎖状又は分岐状のエイコサノール、直鎖状又は分岐状のヘンエイコサノール、直鎖状又は分岐状のトリコサノール、直鎖状又は分岐状のテトラコサノール及びこれらの混合物が挙げられる。
多価アルコールとしては、通常2〜10価、好ましくは2〜6価のものが用いられる。2〜10価アルコールとしては、具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(エチレングリコールの3〜15量体)、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール等の2価アルコール;グリセリン、ポリグリセリン(グリセリンの2〜8量体、例えばジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン)、トリメチロールアルカン(トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン等)及びこれらの2〜8量体、ペンタエリスリトール、及びこれらの2〜8量体、1,2,4−ブタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3,4−ブタンテトロール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトール等の多価アルコール;キシロース、アラビノース、リボース、ラムノース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、セロビオース、マルトース、イソマルトース、トレハロース、スクロース等の糖類、並びにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
これらの中でも特に、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(好ましくはエチレングリコールの3〜10量体)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(好ましくはプロピレングリコールの3〜10重量体)、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、トリメチロールアルカン(トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタンなど)及びこれらの2〜4量体、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3,4−ブタンテトロール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール等の2〜6価アルコール、並びにこれらの2種以上の混合物が好ましい。さらに好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビタン、並びにこれらの2種以上の混合物である。
一方、エステルを構成するカルボン酸のうち一塩基酸としては、通常、炭素数6〜24の脂肪酸が用いられる。かかる一塩基酸は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよく、さらに飽和又は不飽和のいずれであってもよい。具体的には、直鎖状又は分岐鎖状のヘキサン酸、直鎖状又は分岐鎖状のオクタン酸、直鎖状又は分岐状のノナン酸、直鎖状又は分岐状のデカン酸、直鎖状又は分岐状のウンデカン酸、直鎖状又は分岐状のドデカン酸、直鎖状又は分岐状のトリデカン酸、直鎖状又は分岐状のテトラデカン酸、直鎖状又は分岐状のペンタデカン酸、直鎖状又は分岐状のヘキサデカン酸、直鎖状又は分岐状のオクタデカン酸、直鎖状又は分岐状のヒドロキシオクタデカン酸、直鎖状又は分岐状のノナデカン酸、直鎖状又は分岐状のエイコサン酸、直鎖状又は分岐鎖状のヘンエイコサン酸、直鎖状又は分岐状のドコサン酸、直鎖状又は分岐状のトリコサン酸、直鎖状又は分岐状のテトラコサン酸、などの飽和脂肪酸;直鎖状又は分岐状のヘキセン酸、直鎖状又は分岐状のヘプテン酸、直鎖状又は分岐状のオクテン酸、直鎖状又は分岐状のオクテン酸、直鎖状又は分岐状のノネン酸、直鎖状又は分岐状のデセン酸、直鎖状又は分岐状のウンデセン酸、直鎖状又は分岐状のドデセン酸、直鎖状又は分岐状のトリデセン酸、直鎖状又は分岐状のテトラデセン酸、直鎖状又は分岐状のペンタデセン酸、直鎖状又は分岐状のヘキサデセン酸、直鎖状又は分岐状のオクタデセン酸、直鎖状又は分岐状のヒドロキシオクタデセン酸、直鎖状又は分岐状のノナデセン酸、直鎖状又は分岐状のエイコセン酸、直鎖状又は分岐状のヘンエイコセン酸、直鎖状又は分岐状のドコセン酸、直鎖状又は分岐状のトリコセン酸、直鎖状又は分岐状のテトラコセン酸などの不飽和脂肪酸、並びにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これらの中でも、炭素数8〜20の飽和脂肪酸、炭素数8〜20の不飽和脂肪酸、及びこれらの2種以上の混合物が好ましい。
また、エステルを構成する多塩基酸としては、炭素数2〜16の二塩基酸及びトリメリト酸等が挙げられる。炭素数2〜16の二塩基酸は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよく、また、飽和又は不飽和のいずれであってもよい。具体的には、エタン二酸、プロパン二酸、直鎖状又は分岐状のブタン二酸、直鎖状又は分岐状のペンタン二酸、直鎖状又は分岐状のヘキサン二酸、直鎖状又は分岐状のオクタン二酸、直鎖状又は分岐状のノナン二酸、直鎖状又は分岐状のデカン二酸、直鎖状又は分岐状のウンデカン二酸、直鎖状又は分岐状のドデカン二酸、直鎖状又は分岐状のトリデカン二酸、直鎖状又は分岐状のテトラデカン二酸、直鎖状又は分岐状のヘプタデカン二酸、直鎖状又は分岐状のヘキサデカン二酸;直鎖状又は分岐状のヘキセン二酸、直鎖状又は分岐状のオクテン二酸、直鎖状又は分岐状のノネン二酸、直鎖状又は分岐状のデセン二酸、直鎖状又は分岐状のウンデセン二酸、直鎖状又は分岐状のドデセン二酸、直鎖状又は分岐状のトリデセン二酸、直鎖状又は分岐状のテトラデセン二酸、直鎖状又は分岐状のヘプタデセン二酸、直鎖状又は分岐状のヘキサデセン二酸、並びにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
エステル油性剤におけるアルコールとカルボン酸との組み合わせは任意であり、例えば下記(C1−1)〜(C1−7)に示す組み合わせが挙げられる。
(C1−1)一価アルコールと一塩基酸とのエステル
(C1−2)多価アルコールと一塩基酸とのエステル
(C1−3)一価アルコールと多塩基酸とのエステル
(C1−4)多価アルコールと多塩基酸とのエステル
(C1−5)一価アルコール及び多価アルコールの混合アルコールと多塩基酸とのエステル
(C1−6)多価アルコールと一塩基酸及び多塩基酸の混合カルボン酸とのエステル
(C1−7)一価アルコール及び多価アルコールの混合アルコールと一塩基酸及び多塩基酸の混合カルボン酸とのエステル。
なお、アルコール成分として多価アルコールを用いる場合、得られるエステルは、多価アルコール中の全ての水酸基がエステル化された完全エステルであってもよく、水酸基の一部がエステル化されずに水酸基のままで残存している部分エステルであってもよい。また、カルボン酸成分として多塩基酸を用いる場合、多塩基酸中の全てのカルボキシル基がエステル化された完全エステルであってもよく、カルボキシル基の一部がエステル化されずにカルボキシル基のままで残存している部分エステルであってもよい。
上記(C1−1)〜(C1−7)に示した組み合わせの中でも、より加工性に優れる点から、(C1−1)一価アルコールと一塩基酸とのエステルが好ましい。
本発明において油性剤として用いられる(C1)エステルの総炭素数は特に制限されないが、加工性の向上効果に優れる点から、エステルの総炭素数は、7以上が好ましく、9以上がより好ましく、11以上がさらに好ましい。また、総炭素数が大きすぎるとステインや腐食が発生するおそれがあることから、エステルの総炭素数は、26以下が好ましく、24以下がより好ましく、22以下がさらに好ましい。
油性剤として用いられる(C2)一価アルコールとしては、上記(C1)エステルの説明において例示された一価アルコール等が挙げられる。一価アルコールの炭素数は、より加工性に優れる点から、6以上が好ましく、8以上がより好ましく、10以上がさらに好ましい。また、炭素数が大きすぎるとステインや腐食が発生するおそれがあることから、一価アルコールの炭素数は、20以下が好ましく、18以下がより好ましく、16以下がさらに好ましい。
油性剤として用いられる(C3)カルボン酸としては、一塩基酸又は多塩基酸のいずれであってもよく、あるいはこれらの混合物であってもよい。一塩基酸及び多塩基酸としてはそれぞれ上記(C1)エステルの説明において例示された一塩基酸及び多塩基酸が挙げられる。中でも、より加工性に優れる点から、一塩基酸が好ましい、また、カルボン酸の炭素数は、より加工性に優れる点から、6以上が好ましく、8以上がより好ましく、10以上がさらに好ましい。他方、カルボン酸の炭素数が大きすぎるとステインや腐食が発生するおそれがあることから、カルボン酸の炭素数は、20以下が好ましく、18以下がより好ましく、16以下がさらに好ましい。
本発明の圧延油組成物においては、上記(C1)〜(C3)の油性剤のうちの1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよいが、加工性をより向上できることから、一価アルコールと一塩基酸とから得られる総炭素数7〜26のエステル、炭素数6〜20の一価アルコール、炭素数6〜20の一塩基酸、並びにこれらの2種以上の混合物が好ましい。
本発明の圧延油組成物における(C)油性剤の含有量の合計は、組成物全量を基準として、0.1〜15質量%であることが好ましい。すなわち、加工性の点から、当該含有量の合計は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上である。また、ステインや腐食の発生をより確実に防止する点から、当該含有量の合計は、好ましくは15質量%以下、より好ましくは12質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
また、本発明の圧延油組成物は、含酸素化合物(以下、場合により(D)成分という)をさらに含有してもよく、(D1)〜(D8)成分から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。
(D1)数平均分子量が100以上1000未満である水酸基を3〜6個有する多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物
(D2)上記(D1)成分のハイドロカルビルエーテル又はハイドロカルビルエステル
(D3)数平均分子量が100以上1000未満のポリアルキレングリコール
(D4)上記(D3)成分のハイドロカルビルエーテル又はハイドロカルビルエステル
(D5)炭素数2〜20の2価アルコール
(D6)上記(D5)成分のハイドロカルビルエーテル又はハイドロカルビルエステル
(D7)炭素数3〜20の3価アルコール
(D8)上記(D7)成分のハイドロカルビルエーテル又はハイドロカルビルエステル。
(D1)成分を構成する多価アルコールは、水酸基を3〜6個有する。水酸基を3〜6個有する多価アルコールとしては、以下の多価アルコールに加え、糖類も使用可能である。
多価アルコールとしては、グリセリン、ポリグリセリン(グリセリンの2〜4量体、例えばジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン)、トリメチロールアルカン(例えばトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン)、及びこれらの2〜4量体、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,3.5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3,4−ブタンテトロール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトール、イジリトール、タリトール、ズルシトール、アリトール等が挙げられる。
糖類としては、キシロース、アラビノース、リボース、ラムノース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、セロビオース、マントース、イソマルトース、トレハロース、シュクロース等が挙げられる。
これらの中では、加工性に優れる点から、グリセリン、トリメチロールアルカン、ソルビトールが好ましい。
また、(D1)成分を構成するアルキレンオキサイドとしては、炭素数2〜6、好ましくは炭素数2〜4のアルキレンオキサイドが用いられる。炭素数2〜6のアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−エポキシブタン(α−ブチレンオキサイド)、2,3−エポキシブタン(β−ブチレンオキサイド)、1,2−エポキシ−1−メチルプロパン、1,2−エポキシヘプタン、1,2−エポキシヘキサン等が挙げられる。これらの中では、加工性に優れる点から、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドが好ましく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドがより好ましい。
なお、2種以上のアルキレンオキサイドを用いた場合には、オキシアルキレン基の重合形式に特に制限はなく、ランダム共重合していても、ブロック共重合していてもよい。また、水酸基を3〜6個有する多価アルコールにアルキレンオキサイドを付加させる際、全ての水酸基に付加させてもよいし、一部の水酸基のみに付加させてもよい。これらの中では、加工性に優れる点から、全ての水酸基に付加させた方が好ましい。
さらに、(D1)成分の数平均分子量(Mn)は100以上1000未満であり、好ましくは100以上800未満である。Mnが100未満の場合には、鉱油に対する溶解性が低下し好ましくない。一方、Mnが1000以上の場合には、油剤除去工程において加工後の被加工材の表面に油剤が残存する恐れがあるため好ましくない。なお、本発明におけるMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレンの換算の数平均分子量をいう。
(D1)成分としては、Mnが100以上1000未満となるように水酸基を3〜6個有する多価アルコールにアルキレンオキサイドを付加反応させたものを用いてもよい。また、任意の方法で得られる水酸基を3〜6個有する多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物の混合物や市販されている水酸基を3〜6個有する多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物の混合物を、蒸留やクロマトグラフィーによってMnが100以上1000未満となるように分離したものを用いてもよい。なお、(D1)成分としては、これらの化合物を単独で又は2種以上の混合物として用いてもよい。
(D2)成分は、Mnが100以上1000未満、好ましくは100以上800未満である水酸基を3〜6個有する多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物を、ハイドロカルビルエーテル化又はエステル化させたものである。
(D2)成分としては、(D1)成分のアルキレンオキサイド付加物の末端水酸基の一部又は全てを、ハイドロカルビルエーテル化又はエステル化させたものが使用できる。ここでいうハイドロカルビル基とは、炭素数1〜24のアルキル基、炭素数2〜24のアルケニル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、炭素数6〜11のアルキルシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜18のアルキルアリール基、炭素数7〜18のアリールアルキル基等の炭素数1〜24の炭化水素基を表す。
炭素数1〜24のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、直鎖又は分枝のペンチル基、直鎖又は分枝のヘキシル基、直鎖又は分枝のヘプチル基、直鎖又は分枝のオクチル基、直鎖又は分枝のノニル基、直鎖又は分枝のデシル基、直鎖又は分枝のウンデシル基、直鎖又は分枝のドデシル基、直鎖又は分枝のトリデシル基、直鎖又は分枝のテトラデシル基、直鎖又は分枝のペンタデシル基、直鎖又は分枝のヘキサデシル基、直鎖又は分枝のヘプタデシル基、直鎖又は分枝のオクタデシル基、直鎖又は分枝のノナデシル基、直鎖又は分枝のイコシル基、直鎖又は分枝のヘンイコシル基、直鎖又は分枝のドコシル基、直鎖又は分枝のトリコシル基、直鎖又は分枝のテトラコシル基等が挙げられる。
炭素数2〜24のアルケニル基としては、ビニル基、直鎖又は分枝のプロペニル基、直鎖又は分枝のブテニル基、直鎖又は分枝のペンテニル基、直鎖又は分枝のへキセニル基、直鎖又は分枝のヘプテニル基、直鎖又は分枝のオクテニル基、直鎖又は分枝のノネニル基、直鎖又は分枝のデセニル基、直鎖又は分枝のウンデセニル基、直鎖又は分枝のドデセニル基、直鎖又は分枝のトリデセニル基、直鎖又は分枝のテトラデセニル基、直鎖又は分枝のペンタデセニル基、直鎖又は分枝のヘキサデセニル基、直鎖又は分枝のヘプタデセニル基、直鎖又は分枝のオクタデセニル基、直鎖又は分枝のノナデセニル基、直鎖又は分枝のイコセニル基、直鎖又は分枝のヘンイコセニル基、直鎖又は分枝のドコセニル基、直鎖又は分枝のトリコセニル基、直鎖又は分枝のテトラコセニル基等が挙げられる。
炭素数5〜7のシクロアルキル基としては、シクリペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等が挙げられる。炭素数6〜11のアルキルシクロアルキル基としては、メチルシクロペンチル基、ジメチルシクロペンチル基(全ての構造異性体を含む。)、メチルエチルシクロペンチル基(全ての構造異性体を含む。)、ジエチルシクロペンチル基(全ての構造異性体を含む。)、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基(全ての構造異性体を含む。)、メチルエチルシクロヘキシル基(全ての構造異性体を含む。)、ジエチルシクロヘキシル基(全ての構造異性体を含む。)、メチルシクロヘプチル基、ジメチルシクロヘプチル基(全ての構造異性体を含む。)、メチルエチルシクロヘプチル基(全ての構造異性体を含む。)、ジエチルシクロヘプチル基(全ての構造異性体を含む。)等が挙げられる。
炭素数6〜10のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。炭素数7〜18のアルキルアリール基としては、トリル基(全ての構造異性体を含む。)、キシリル基(全ての構造異性体を含む。)、エチルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)、直鎖又は分枝のプロピルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)、直鎖又は分枝のブチルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)、直鎖又は分枝のペンチルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)、直鎖又は分枝のヘキシルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)、直鎖又は分枝のヘプチルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)、直鎖又は分枝のオクチルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)、直鎖又は分枝のノニルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)、直鎖又は分枝のデシルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)、直鎖又は分枝のウンデシルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)、直鎖又は分枝のドデシルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)等が挙げられる。
炭素数7〜12のアリールアルキル基としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基(プロピル基の異性体を含む。)フェニルブチル基(ブチル基の異性体を含む。)、フェニルペンチル基(ペンチル基の異性体を含む。)、フェニルヘキシル基(ヘキシル基の異性体を含む。)等が挙げられる。
これらの中では、加工性に優れる点から、炭素数2〜18の直鎖又は分枝のアルキル基、炭素数2〜18の直鎖又は分枝のアルケニル基が好ましく、炭素数3〜12の直鎖又は分枝のアルキル基、オレイル基(オレイルアルコールから水酸基を除いた残基)がより好ましい。
エステル化に用いる酸としては、通常、カルボン酸が挙げられる。このカルボン酸としては、一塩基酸でも多塩基酸でもよいが、通常、一塩基酸が用いられる。一塩基酸としては、炭素数6〜24の脂肪酸が挙げられ、直鎖状のものでも分枝状のものでもよい。また、一塩基酸としては、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸又はこれらの混合物であってもよい。
飽和脂肪酸としては、直鎖又は分枝のヘキサン酸、直鎖又は分枝のオクタン酸、直鎖又は分枝のノナン酸、直鎖又は分枝のデカン酸、直鎖又は分枝のウンデカン酸、直鎖又は分枝のドデカン酸、直鎖又は分枝のトリデカン酸、直鎖又は分枝のテトラデカン酸、直鎖又は分枝のペンタデカン酸、直鎖又は分枝のヘキサデカン酸、直鎖又は分枝のオクタデカン酸、直鎖又は分枝のヒドロキシオクタデカン酸、直鎖又は分枝のノナデカン酸、直鎖又は分枝のエイコサン酸、直鎖又は分枝のヘンエイコサン酸、直鎖又は分枝のドコサン酸、直鎖又は分枝のトリコサン酸、直鎖又は分枝のテトラコサン酸等が挙げられる。
不飽和脂肪酸としては、直鎖又は分枝のヘキセン酸、直鎖又は分枝のヘプテン酸、直鎖又は分枝のオクテン酸、直鎖又は分枝のノネン酸、直鎖又は分枝のデセン酸、直鎖又は分枝のウンデセン酸、直鎖又は分枝のドデセン酸、直鎖又は分枝のトリデセン酸、直鎖又は分枝のテトラデセン酸、直鎖又は分枝のペンタデセン酸、直鎖又は分枝のヘキサデセン酸、直鎖又は分枝のオクタデセン酸、直鎖又は分枝のヒドロキシオクタデセン酸、直鎖又は分枝のノナデセン酸、直鎖又は分枝のエイコセン酸、直鎖又は分枝のヘンエイコセン酸、直鎖又は分枝のドコセン酸、直鎖又は分枝のトリコセン酸、直鎖又は分枝のテトラコセン酸等が挙げられる。
これらの中では、特に炭素数8〜20の飽和脂肪酸、炭素数8〜20の不飽和脂肪酸及びこれらの混合物が好ましい。なお、(D2)成分としては、これら化合物を単独で又は2種以上の混合物として用いてもよい。
(D3)成分は、Mnが100以上1000未満のポリアルキレングリコールであり、炭素数2〜6、好ましくは2〜4のアルキレンオキサイドを単独重合又は共重合したものが用いられる。炭素数2〜6のアルキレンオキサイドとしては、(D1)成分の説明において列挙したアルキレンオキサイドが挙げられる。これらの中では、加工性に優れる点から、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドが好ましく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドがより好ましい。
なお、ポリアルキレングリコールの調製時に2種以上のアルキレンオキサイドを用いた場合には、オキシアルキレン基の重合形式に特に制限はなく、ランダム共重合体又はブロック共重合体のいずれであってもよい。
また、(D3)成分としては、Mnが100以上1000未満、好ましくは120以上700未満であることが必要であるが、Mnが100未満のポリアルキレングリコールは、鉱油への溶解性が低下し好ましくない。一方、Mnが1000以上のポリアルキレングリコールは、油剤除去工程において加工後の被圧延材の表面に油剤が残存する恐れがあるため好ましくない。
またさらに、(D3)成分としては、アルキレンオキサイドを重合させる際にMnが100以上1000未満となるように反応させたものを用いてもよい。また、任意の方法で得られるポリアルキレングリコール混合物や市販されているポリアルキレングリコール混合物を、蒸留やクロマトグラフィーによってMnが100以上1000未満となるように分離したものを用いてもよい。なお、(D3)成分としては、これらの化合物を単独で又は2種以上の混合物として用いてもよい。
(D4)成分は、Mnが100以上1000未満、好ましくは120以上700未満のポリアルキレングリコールを、ハイドロカルビルエーテル化又はエステル化させたものである。(D4)成分としては、(D3)成分のポリアルキレングリコールの末端水酸基の一部又は全てを、ハイドロカルビルエーテル化又はエステル化させたものが使用できる。ここでいうハイドロカルビル基とは、炭素数1〜24の炭化水素基を表し、具体的には例えば(D2)成分の説明において列挙した各基が挙げられる。これらの中では、加工性に優れる点から、炭素数2〜18の直鎖又は分枝のアルキル基、炭素数2〜18の直鎖又は分枝のアルケニル基が好ましく、炭素数3〜12の直鎖又は分枝のアルキル基、オレイル基(オレイルアルコールから水酸基を除いた残基)がより好ましい。
また、(D4)成分としては、(D3)成分のポリアルキレングリコールの末端水酸基をエステル化させたものも使用できる。エステル化に用いる酸としては、通常カルボン酸が挙げられる。このカルボン酸としては、一塩基酸でも多塩基酸でもよいが、通常、一塩基酸が用いられる。具体的には、上記(D2)成分の説明において列挙したものが挙げられる。なお、(D4)成分としては、これら化合物を単独で又は2種以上の混合物として用いてもよい。
(D5)成分は、炭素数2〜20、好ましくは炭素数3〜18の2価アルコールである。ここでいう2価アルコールとは、分子中にエーテル結合を有しないものをいう。炭素数2〜20の2価アルコールとしては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,15−ヘプタデカンジオール、1.16−ヘキサデカンジオール、1,17−ヘプタデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,19−ノナデカンジオール、1,20−イコサデカンジオール等が挙げられる。
これらの中では、加工性に優れる点から、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール等が好ましい。なお、(D5)成分としては、これらの化合物を単独で又は2種以上の混合物として用いてもよい。
(D6)成分は、炭素数2〜20、好ましくは炭素数3〜18の2価アルコール(但し、分子中にエーテル結合を有するものを除く。)を、ハイドロカルビルエーテル化させたもの又はエステル化させたものである。(D6)成分としては、(D5)成分の2価アルコールの末端水酸基の一部又は全てを、ハイドロカルビルエーテル化させたものが使用できる。ここでいうハイドロカルビル基とは、炭素数1〜24の炭化水素基を表し、具体的には例えば(D2)成分の説明において列挙した各基が挙げられる。これらの中では、加工性に優れる点から、炭素数2〜18の直鎖又は分枝のアルキル基、炭素数2〜18の直鎖又は分枝のアルケニル基が好ましく、炭素数3〜12の直鎖又は分枝のアルキル基、オレイル基(オレイルアルコールから水酸基を除いた残基)が更に好ましい。
また、(D6)成分としては、(D5)成分の2価アルコールの末端水酸基の一方又は両方を、エステル化させたものも使用できる。エステル化に用いる酸としては、通常、カルボン酸が挙げられる。このカルボン酸としては、一塩基酸でも多塩基酸でもよいが、通常一塩基酸が用いられる。具体的には、上記(D2)成分の説明において列挙したものが挙げられる。またさらに、(D6)成分のエステルは、(D5)成分の2価アルコールの末端水酸基の一方をエステル化したもの(部分エステル)であってもよく、末端水酸基の両方をエステル化したもの(完全エステル)であってもよい。これらの中では、加工性に優れる点から、部分エステルであることが好ましい。なお、(D6)成分としては、これら化合物を単独で又は2種以上の混合物として用いてもよい。
(D7)成分は、炭素数3〜20、好ましくは炭素数3〜18の3価アルコールである。ここでいう3価アルコールとは、分子中にエーテル結合を有しないものをいう。炭素数3〜20の3価アルコールとしては、グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,3−ペンタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3−ヘキサントリオール、1,2,4−ヘキサントリオール、1,2,5−ヘキサントリオール、1,3,4−ヘキサントリオール、1,3,5−ヘキサントリオール、1,3,6−ヘキサントリオール、1,4,5−ヘキサントリオール、1,2,7−ヘプタントリオール、1,2,8−オクタントリオール、1,2,9−ノナントリオール、1,2,10−デカントリオール、1,2,11−ウンデカントリオール、1,2,12−ドデカントリオール、1,2,13−トリデカントリオール、1,2,14−テトラデカントリオール、1,2,15−ペンタデカントリオール、1,2,16−へキサデカントリオール、1,2,17−ヘプタデカントリオール、1,2,18−オクタデカントリオール、1,2,19−ノナデカントリオール、1,2,20−イコサントリオール等が挙げられる。
これらの中では、加工性に優れる点から、1,2,12−ドデカントリオール、1,2,13−トリデカントリオール、1,2,14−テトラデカントリオール、1,2,15−ペンタデカントリオール、1,2,16−ヘキサデカントリオール、1,2,17−ヘプタデカントリオール、1,2,18−オクタデカントリオールが好ましい。なお、(D7)成分としては、これら化合物を単独で又は2種以上の混合物として用いてもよい。
(D8)成分は、炭素数3〜20、好ましくは炭素数3〜18の3価アルコール(但し、分子中にエーテル結合を有するものを除く。)を、ハイドロカルビルエーテル化させたもの又はエステル化させたものである。(D8)成分としては、(D7)成分の3価アルコールの末端水酸基の一部又は全てを、ハイドロカルビルエーテル化させたものが使用できる。ここでいうハイドロカルビル基とは、炭素数1〜24の炭化水素基を表し、具体的には例えば(D2)成分の説明において列挙した各基が挙げられる。これらの中では、加工性に優れる点から、炭素数2〜18の直鎖又は分枝のアルキル基、炭素数2〜18の直鎖又は分枝のアルケニル基が好ましく、炭素数3〜12の直鎖又は分枝のアルキル基、オレイル基(オレイルアルコールから水酸基を除いた残基)がより好ましい。
また、(D8)成分としては、(D7)成分の3価アルコールの末端水酸基の一方又は全部を、エステル化させたものが使用できる。エステル化に用いる酸としては、通常、カルボン酸が挙げられる。このカルボン酸としては、一塩基酸でも多塩基酸でもよいが、通常一塩基酸が用いられる。具体的には、上記(D2)成分において列挙したものが挙げられる。なお、(D8)成分のエステルとしては、(D7)成分の3価アルコールの末端水酸基の一つ又は2つをエステル化したもの(部分エステル)であってもよく、末端水酸基の全部をエステル化したもの(完全エステル)であってもよい。これらの中では、加工性に優れる点から、部分エステルであることが好ましい。
(D8)成分としては、(D7)成分のうち、グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,3−ペンタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3−へキサントリオール、1,2,4−ヘキサントリオール、1,2,5−ヘキサントリオール、1,3,4−ヘキサントリオール、1,3,5−ヘキサントリオール、1,3,6−へキサントリオール及び1,4,5−へキサントリオールのハイドロカルビルエーテル又は部分エステルが好ましい。なお、(D8)成分としては、これら化合物を単独で又は2種以上の混合物として用いてもよい。
本発明において、上記(D1)〜(D8)成分の中から選ばれる1種の含酸素化合物を単独で用いてもよいし、異なる構造を有する2種以上の含酸素化合物の混合物を用いてもよい。上記(D1)〜(D8)成分の中では、加工性に優れる点から、(D3)成分、(D4)成分、(D5)成分及び(D8)成分が好ましく、(D3)成分、(D4)成分及び(D8)成分がより好ましい。
本発明の圧延油組成物における(D)含酸素化合物の含有量の合計は、加工性の点から、組成物全量を基準として、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.05質量%以上、特に好ましくは0.1質量%以上である。一方、含有量が多すぎても含有量に見合う効果が得られないことから、(D)含酸素化合物の含有量の合計は、組成物全量を基準として、好ましくは5質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下、さらに好ましくは2.0質量%以下である。
また、本発明の圧延油組成物は炭素数6〜40の直鎖オレフィン(以下、場合により(E)成分という)を含有してもよい。かかる直鎖オレフィンを組成物に含有せしめることによってその潤滑性をさらに向上させることができる。
なお、炭素数が6未満の直鎖オレフィンは引火点が低いため適当でない。直鎖オレフィンの炭素数は、適度な高さの引火点を考慮して、8以上が好ましく、10以上がより好ましく、12以上がさらに好ましい。また、炭素数が40を超える直鎖オレフィンは固体状となるため使用が困難であり、しかも他の成分(基油や添加剤など)と混合、溶解しにくいため適当ではない。さらに、炭素数が40を超える直鎖オレフィンは入手困難である。これらの点を考慮して、炭素数30以下の直鎖オレフィンを用いることが好ましい。
炭素数6〜40の直鎖オレフィンが分子内に有する二重結合の数は、1個のみであっても2個以上であってもよいが、二重結合を1個有するものが好ましい。
また、二重結合の位置は特に制限されないが、分子の末端に二重結合を有するもの、すなわちn−α−オレフィンであることが好ましい。n−α−オレフィンを用いることで、圧延油組成物の潤滑性をさらに高めることができる。
かかる直鎖オレフィンとしては、具体的には、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−イコセン又はこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
(E)直鎖オレフィンとしては、様々な製法により得られたものを使用することができる。例えば、エチレンを常法により重合させて得られるエチレンオリゴマーを使用することができる。
本発明においては、(E)直鎖オレフィンのうちの1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物を用いてもよい。
(E)直鎖オレフィンを本発明の圧延油組成物に含有させる場合、上述の(D)含酸素化合物を併用することが好ましい。これにより、両者の相乗効果により潤滑性がより高められるため、被圧延材の構成材料(アルミニウムなど)の工具への凝着量(移着量)の調整効果を向上させることができ、また、摩耗粉の発生量をより低減することができる。(D)成分と(E)成分との併用による上記効果をより高水準で達成する点からは、(D)成分として、(D3)成分、(D4)成分、(D5)成分及び(D8)成分から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましく、(D3)成分及び(D5)成分から選ばれる少なくとも1種を用いることがより好ましい。
本発明の圧延油組成物における(E)直鎖オレフィンの含有量は任意であるが、潤滑性の向上の点から、当該含有量は、組成物全量を基準として、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上である。また、添加量に見合う効果を有効に得る点からは、当該含有量は、組成物全量を基準として、好ましく30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。
本発明の圧延油組成物においては、その優れた効果をさらに向上させるため、必要に応じて、極圧添加剤、酸化防止剤、さび止め剤、腐食防止剤、消泡剤などをさらに含有せしめることができる。これらの添加剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
極圧添加剤としては、トリクレジルフォスフェート等のリン系化合物、ジアルキルジチオリン酸亜鉛等の有機金属化合物などが挙げられる。
酸化防止剤としては、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(DBPC)等のフェノール系化合物、フェニル−α−ナフチルアミン等の芳香族アミンが挙げられる。また、ジアルキルジチオリン酸亜鉛等の有機金属化合物を酸化防止剤として使用することもできる。
さび止め剤としては、オレイン酸等の脂肪酸の塩、ジノニルナフタレンスルホネート等のスルホン酸塩、ソルビタンモノオレエート等の多価アルコールの部分エステル、アミン及びその誘導体、リン酸エステル及びその誘導体等が挙げられる。
腐食防止剤としては、ベンゾトリアゾール等、消泡剤としてはシリコン系のもの等がそれぞれ挙げられる。
これらの添加剤((B)〜(E)成分以外の添加剤)の含有量は、組成物全量を基準として、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%である。
上記構成を有する本発明の圧延油組成物は、高速度、高圧下率の条件で圧延した場合であっても、酸化劣化及びステインの発生を十分に防止することが可能なものである。
図1は本発明の圧延油組成物を用いた圧延方法に使用される冷間圧延システムの一例を示す説明図である。
図1に示した冷間圧延システムは冷間圧延ユニット1a、1bを備える2スタンドのタンデム方式のものである。これらの冷間圧延ユニットは、アンコイラー2からコイラー3に移送される被圧延材100の移送方向に沿って直列配置されている。
アンコイラー2には、熱間圧延あるいは熱間圧延及び冷間圧延により所定厚さ(通常1〜10mm)に圧延され、コイル状に巻き取られた被圧延材100が装着されている。このコイル状の被圧延材100は、平板状に戻され、移送ロール4を経て冷間圧延ユニット1a、1bへと順次移送される。なお、本発明の圧延油組成物が適用される被処理材100の材質は特に制限されず、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄鋼、ステンレス鋼、特殊鋼、銅、銅合金などの各種金属又は合金が挙げられるが、中でもアルミニウム及びアルミニウム合金等のアルミニウム材の圧延の際に本発明の圧延油組成物は好適である。なお、圧延時には被圧延材がより高温となる可能性が高いことから、アルミニウム材の材質としては、アルミニウム合金が好ましく、マグネシウムを0.5質量%以上含有するアルミニウム合金がより好ましい。
冷間圧延ユニット1a、1bそれぞれは、所定間隔をもって対向配置された2個のワークロール5と、ワークロール15それぞれを補強する2個のバックアップロール6と、を備えるいわゆる4段ロール方式のものであり、アンコイラー2から移送される被圧延材100は、対向する2個のワークロール5の間に導かれる。また、冷間圧延ユニット1a又は1bの入側には、本発明の圧延油組成物(以下、単に圧延油という)200をワークロール5それぞれと被圧延材100との間に供給可能な位置にスプレーノズル7が2個ずつ設けられている。スプレーノズル7それぞれは、圧延油200が収容されたタンク8とライン10を介して接続されており、タンク8内の圧延油200はポンプ9によりライン10に引き出され、フィルター11を通った後、スプレーノズル7から噴射されて圧延に供される。圧延条件は被圧延材100の種類や目的とする厚さ等に応じて適宜選定されるが、各冷間圧延ユニットにおける圧下率は20〜60%、圧延速度は600〜1500m/minが好ましい。
冷間圧延ユニット1bを通過した被処理材100はコイラー3により巻き取られる。そして、巻き取った被処理材100が所定量に達したときに、シャー14により被圧延材100が所定位置で切断され、コイル状の被処理材100が得られる。なお、被圧延材100の厚さを冷間圧延前の被圧延材100に対して非常に薄くする場合には、上述のような冷間圧延工程を所定回数繰り返せばよい。
一方、圧延に供された圧延油200は、圧延ユニット1a、1bそれぞれの下部に設けられた回収パン12により回収され、回収ライン13を通ってタンク8に戻されて繰り返し圧延工程に供される。なお、回収された圧延油200は摩耗粉を含有し得るが、かかる摩耗粉は圧延油200がフィルター11を通る際に除去される。
上述の冷間圧延システムにおいては、本発明の圧延油組成物200を用いることによって、高速度、高圧下率の条件で冷間圧延を行う場合であっても、高品質の被圧延材100を得ることができる。より具体的には、冷間圧延ユニット1a、1bの潤滑域は、ワークロール5と被圧延材100との摩擦熱や加工熱により高温となりやすい。そのため、DBPCなどの酸化防止剤を用いた従来の圧延油の場合には酸化防止剤の散逸により圧延油の酸化劣化やステインの発生が起こりやすくなるが、本発明の圧延油組成物200の場合には、上記式(1)〜(5)で表される化合物を用いることで、酸化防止性及びステイン防止性を長期にわたって高水準に維持することができる。
また、冷間圧延後にコイラー4で巻き取られる被圧延材100は、比較的高温のまま次工程まで保管される場合がある。このとき、コイル状の被圧延材100の重なり合う2面間には本発明の圧延油組成物200が存在し得るが、本発明の圧延油組成物200は圧延後においても十分な酸化防止性及びステイン防止性を有しているので、残存する圧延油により被圧延材100表面の品質が損なわれる現象を十分に抑制することができる。本発明の圧延油組成物による上述の効果は、コイル状の被圧延材100の再表面の温度が次工程までに140℃以上で1分以上保管される場合に特に有効である。なお、ここでいう再表面の温度とは、接触式温度計にて測定される温度を意味する。
さらに、本発明の圧延油組成物200に含まれる上記式(1)〜(5)で表される化合物は焼鈍により容易に除去可能であるため、かかる焼鈍工程におけるステインの発生も十分に抑制可能である。
また、本発明の圧延油組成物200は十分に高いスラッジ防止性を有しているため、上述のように圧延油200が循環使用される場合にフィルター11の目詰まり現象を十分に防止することができる。
なお、本発明の圧延組成物を用いる圧延方法は上記実施形態に何ら限定されるものではない。例えば、図1には2個の冷間圧延ユニット1a、1bを備える冷間圧延システムを示したが、冷間圧延ユニットの個数は特に制限されず、1個以上であっても2個以上であってもよい。
また、図1に示した冷間圧延ユニット1a、1bは4段ロール式のものであるが、例えば2段ロール式であってもよく、あるいは6段以上の多段ロール式等であってもよい。
また、図1には対向するワークロール15同士が平行配置された例を示したが、冷間圧延ユニットとしては、対向するワークロールの回転軸同士が所定角をなして配置されるクロス圧延機などの他の圧延機を用いてもよい。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1〜9、比較例1〜4]
実施例1〜9及び比較例1〜4においては、(A)成分、(B)成分及び(C)成分として以下に示す基油及び添加剤を用いて、表1、2に示す組成を有する圧延油組成物を調製した。なお、B10〜B13は本発明にかかる式(1)〜(5)のいずれにも該当するものではないが、便宜上、(B)成分として示す。
(A)成分(基油):
A1:非芳香族系鉱油(パラフィン分:35容量%、ナフテン分:64.3容量%、芳香族分:0.3容量%、40℃における動粘度:4.9mm2/s)。
(B)成分:
B1:2,6−ジ−tert−ブチル−4−n−ブチルフェノール
B2:2−エチルヘキシル−3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート
B3:2,2’−メチレンビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)
B4:2,2’−ブチリデンビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)
B5:2,2’−メチレンビス−(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)
B6:4,4’−ブチリデンビス−(6−ter−ブチル−3−メチルフェノール)
B7:4,4’−メチレンビス−(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)
B8:2,6−ジ−tert−ブチル−4−n−ブチルフェノール
B9:4,4’−ビス−(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)
B10:2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール
B11:1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−ブチルフェニル)ブタン
B12:2−エチルヘキシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート
B13:2−エチルヘキシル−3−(3,5−ジーtert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ラウレート。
(C)成分:
C1:ラウリルアルコール
C2:ステアリン酸ブチル。
次に、実施例1〜9及び比較例1〜4の圧延油組成物又は当該組成物に含まれる(B)成分を用いて、以下に示す評価試験を実施した。
((B)成分の保持性の評価)
各圧延油組成物に窒素を吹き込みながら150℃で6時間保持した。圧延油組成物を室温まで冷却して(B)成分の濃度を測定し、(B)成分の初期濃度(0.3質量%)からの減少率[%]を求めた。得られた結果を表1、2に示す。
(ステイン防止性の評価1)
アルミニウム材(JIS A5182材)の一方面上に各圧延油組成物を0.3ml滴下した後、その面上に別のアルミニウム材を重ね合わせた。この2枚のアルミニウム材を、2面間に圧延油組成物が存在する状態で、恒温漕内で12時間保持した。その後、アルミニウム材を室温に冷却し、溶剤洗浄により残存油を除去した。このアルミニウム材表面におけるステインの有無を観察し、ステイン防止性を評価した。評価の際には、ステインが発生しなかったものを0点、発生したものを5点とした。上記試験を実施例又は比較例のそれぞれについて10回行い、10回の平均値を求めて、平均値が1点未満を「A」、1点以上を「B」とした。得られた結果を表1、2に示す。
(ステイン防止性の評価2)
各圧延油組成物に含まれる(B)成分をアルミニウム材(JIS A5182材)上に乗せた。(B)成分の使用量は、液体の場合は0.5ml、固体の場合は0.5gとした。このアルミニウム材を、室温から150分かけて350℃まで昇温し、同温で1時間保持した。アルミニウム材を室温まで冷却した後、アルミニウム材表面におけるステインの有無を観察し、ステイン防止性を評価した。評価の際には、ステインが発生しなかったものを0点、発生したものを5点とした。上記試験を実施例又は比較例のそれぞれについて10回行い、10回の平均値を求めて、平均値が1点未満を「A」,1点以上を「B」とした。得られた結果を表1、2に示す。
(水濡れ性評価試験)
ステイン防止性の評価2における試験後のアルミニウム材について、(B)成分が乗せられた面の50cm上方から蒸留水をスプレーし、水のはじき具合に基づいて水濡れ性を評価した。評価は、全面にわたって水をはじかなかったものを「A」,面の一部でも水をはじいたものを「A」とした。得られた評価結果を表1、2に示す。
Figure 2005042033
Figure 2005042033
冷間圧延システムの一例を示す説明図である。
符号の説明
1a、1b…冷間圧延ユニット、2…アンコイラー、3…コイラー、4…移送ロール、5…ワークロール、6…バックアップロール、7…スプレーノズル、8…タンク、9…ポンプ、10…移送ライン、11…フィルター、12…回収パン、13…回収ライン、14…シャー。

Claims (1)

  1. 鉱油、油脂及び合成油から選ばれる少なくとも1種の基油と、下記式(1)〜(5)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の添加剤と、を含有し、前記添加剤の含有量の合計が組成物全量を基準として0.01〜3質量%であることを特徴とする圧延油組成物。
    Figure 2005042033
    [式(1)中、R1は炭素数2〜8のアルキル基を示す。]
    Figure 2005042033
    [式(2)中、R2は炭素数1〜8のアルキル基を示し、R3は炭素数1〜8のアルキレン基を示し、R4は炭素数1〜24のアルキル基を示す。]
    Figure 2005042033
    [式(3)中、R5及びR6は同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜4のアルキル基を示し、R7は炭素数1〜8のアルキレン基を示す。]
    Figure 2005042033
    [式(4)中、R8及びR9は同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜4のアルキル基を示し、R10は炭素数1〜8のアルキレン基を示す。]
    Figure 2005042033
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JP2012214818A (ja) * 2012-08-16 2012-11-08 Jx Nippon Oil & Energy Corp 圧延油組成物

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