JP2012214818A - 圧延油組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】過酷な潤滑条件下で十分な加工性能を達成することができ、かつ、耐ステイン性に優れる圧延油組成物を提供すること。
【解決手段】本発明の圧延油組成物は、鉱油、合成油および油脂から選ばれる少なくとも1種の基油と、ラノリン脂肪酸エステルと、炭素数1〜8の一価アルコールと炭素数10〜20の一塩基酸とのエステルであって前記アルコールと前記一塩基酸との合計炭素数が11〜26であるエステル油性剤と、炭素数8〜18の一価アルコールであるアルコール油性剤と、を含有し、銅、ステンレス及びそれらの合金の圧延に用いられることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は圧延油組成物に関する。
アルミニウム系材料、あるいはステンレス、銅、チタン、ニッケル、クロム、鉄などを主成分とする材料を圧延加工する際には、通常、当該材料を潤滑するための圧延油が使用される。
従来の圧延油としては、潤滑油基油にアルコールや脂肪酸エステルなどの油性剤を配合したもの(例えば非特許文献1を参照。)、複数の油性剤を組み合わせたものや油性剤と極圧剤を併用したもの(例えば特許文献1〜3を参照。)などが知られている。
特開平5−98284号公報 特開平5−214356号公報 特開平2001−107071号公報
材料試験技術Vol.29、No.2、p.117
しかし、上記従来の圧延油は以下の点で改善の余地がある。
例えば、圧延加工の際の潤滑条件が過酷になると、従来から一般的に使用されている油性剤のみでは十分な加工性能を得ることができない。
また、複数の油性剤を組み合わせ又は油性剤と極圧剤を併用した従来の圧延油の場合、潤滑性以外の要求性能、特に耐ステイン性が犠牲となる場合が多い。
本発明は、かかる実情に鑑みなされたものであり、過酷な潤滑条件下で十分な加工性能を達成することができ、かつ、耐ステイン性に優れる圧延油組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、下記[1]〜[3]に記載の圧延油組成物を提供する。
[1]鉱油、合成油および油脂から選ばれる少なくとも1種の基油と、ラノリン脂肪酸エステルと、炭素数1〜8の一価アルコールと炭素数10〜20の一塩基酸とのエステルであって前記アルコールと前記一塩基酸との合計炭素数が11〜26であるエステル油性剤と、炭素数8〜18の一価アルコールであるアルコール油性剤と、を含有し、銅、ステンレス及びそれらの合金の圧延に用いられることを特徴とする、圧延油組成物。
[2]不水圧延油組成物であることを特徴とする、[1]に記載の圧延油組成物。
[3]前記基油が鉱油であることを特徴とする、[1]又は[2]に記載の圧延油組成物。
また、本発明は、鉱油、合成油および油脂から選ばれる少なくとも1種の基油と、ラノリン脂肪酸エステルと、を含有することを特徴とする圧延油組成物を提供する。
本発明の圧延油組成物においては、上記特定の基油とラノリン脂肪酸エステルとを組み合わせることによって、耐ステイン性を十分に維持しつつ、過酷な潤滑条件下で十分な加工性能を達成することが可能となる。また、本発明の圧延油組成物は、油剤除去性、低臭気性、安全性および熱・化学的安定性の点においても優れている。
本発明によれば、過酷な潤滑条件下で十分な加工性能を達成することができ、かつ、耐ステイン性に優れる圧延油組成物が提供される。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
本発明の圧延油組成物は、基油として、鉱油、合成油および油脂から選ばれる少なくとも1種を含有する。これらの基油の中でも、鉱油または合成油が特に好ましい。
本発明で使用可能な鉱油を例示すれば、例えば、パラフィン系またはナフテン系の原油の蒸留により得られる灯油留分;灯油留分からの抽出操作等により得られるノルマルパラフィン;およびパラフィン系またはナフテン系の原油の蒸留により得られる潤滑油留分、あるいは潤滑油脱ろう工程により得られるワックス(スラックワックス等)および/またはガストゥリキッド(GTL)プロセス等により得られる合成ワックス(フィッシャートロプシュワックス、GTLワックス等)を原料とし、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、水素化異性化、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の精製処理を1つ又は2つ以上適宜組み合わせて精製したパラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油、ノルマルパラフィン系基油、イソパラフィン系基油が挙げられる。
鉱油中の芳香族分は特に制限されないが、作業環境の観点から、好ましくは30容量%以下、より好ましくは20容量%以下である。ここで、芳香族分とは、JIS K2536「石油製品−炭化水素タイプ試験」の蛍光指示薬吸着法に準拠して測定された値を意味する。
また、鉱油中のナフテン分は特に制限されないが、好ましくは10容量%以上、より好ましくは15容量%以上、更に好ましくは20容量%以上、更により好ましくは25容量%以上、最も好ましくは30容量%以上である。ナフテン分を10容量%以上とすることにより、油剤除去工程における油剤除去性や加工性が良好となる。一方、ナフテン分は90容量%以下であることが好ましく、より好ましくは80容量%以下、更に好ましくは75容量%以下、最も好ましくは70容量%以下である。ナフテン分を90容量%以下とすることにより、室温での油剤の揮発を防止することができる。
また、鉱油中のパラフィン分は特に制限されないが、5容量%以上であることが好ましく、より好ましくは10容量%以上、更に好ましくは20容量%以上である。パラフィン分を5容量%以上とすることにより、油剤の臭気を防止することができる。一方、パラフィン分は90容量%以下であることが好ましく、より好ましくは80容量%以下、更に好ましくは70容量%以下である。パラフィン分を90容量%以下とすることにより、加工時における凝着発生防止効果を向上させることができる。
本発明においてナフテン分、パラフィン分とは、FIイオン化(ガラスリザーバ使用)による質量分析法により得られた分子イオン強度をもって、これらの割合を決定するものである。以下にその測定法を具体的に示す。
(1)径18mm、長さ980mmの溶出クロマト用吸着管に、約175℃、3時間の乾燥により活性化された呼び径74〜149μmシリカゲル(富士デビソン化学(株)製grade923)120gを充填する。
(2)n−ペンタン75mlを注入し、シリカゲルを予め湿す。
(3)試料約2gを精秤し、等容量のn−ペンタンで希釈し、得られた試料溶液を注入する。
(4)試料溶液の液面がシリカゲル上端に達したとき、飽和炭化水素成分を分離するためにn−ペンタン140mlを注入し、吸着管の下端より溶出液を回収する。
(5)溶出液をロータリーエバポレーターにかけて溶媒を留去し、飽和炭化水素成分を得る。
(6)飽和炭化水素成分を質量分析計でタイプ分析を行う。質量分析におけるイオン化方法としては、ガラスリザーバを使用したFIイオン化法が用いられ、質量分析計は日本電子(株)製JMS−AX505Hを使用する。
測定条件を以下に示す。
加速電圧:3.0kV、カソード電圧:−5〜−6kV、分解能:約500、エミッター:カーボン、エミッター電流:5mA、測定範囲:質量数35〜700、補助オーブン温度:300℃、セパレータ温度:300℃、主要オーブン温度:350℃、試料注入量:1μl。
質量分析法によって得られた分子イオンは、同位体補正後、その質量数からパラフィン類(C2n+2)とナフテン類(C2n、C2n−2、C2n−4・・・)の2タイプに分類・整理し、それぞれのイオン強度の分率を求め、飽和炭化水素成分全体に対する各タイプの含有量を定める。次いで、飽和炭化水素成分の含有量をもとに、試料全体に対するパラフィン分、ナフテン分の各含有量を求める。
なお、FI法質量分析のタイプ分析法によるデータ処理の詳細は、「日石レビュー」第33巻第4号135〜142頁の特に「2.2.3データ処理」の項に記載されている。
また、鉱油の初留点は150℃以上であることが好ましく、より好ましくは155℃以上、更に好ましくは160℃以上である。鉱油の初留点を150℃以上とすることにより、室温での油剤の揮発を十分に防止することができる。一方、鉱油の終点は480℃以下であることが好ましく、より好ましくは470℃以下、更に好ましくは450℃以下である。鉱油の終点を480℃以下とすることにより、油剤除去工程における油剤除去性を良好にすることができる。また、鉱油の初留点と終点の温度差は100℃以下であることが好ましく、より好ましくは90℃以下、更に好ましくは80℃以下である。かかる温度差を100℃以下とすることにより、室温での油剤の揮発の防止と油剤除去工程における油剤除去性とを両立させることができる。ここで、初留点および終点とは、JIS K2254「石油製品−蒸留試験方法」に準拠して測定された値を意味する。
また本発明で使用可能な合成油としては、例えば、オレフィンオリゴマー(プロピレンオリゴマー、イソブチレンオリゴマー、ポリブテン、1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー、エチレン−プロピレンオリゴマー等)またはその水素化物、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ジエステル(ジトリデシルグルタレート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート等)、ポリオールエステル(トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネート等)、ポリグリコール、シリコーン油、ジアルキルジフェニルエーテル、およびポリフェニルエーテル等が挙げられる。これらの中で、プロピレンオリゴマー水素化物、イソブチレンオリゴマー水素化物およびポリブテン水素化物は総称してイソパラフィンと呼ばれている。
本発明で使用可能な油脂としては、牛脂、豚脂、大豆油、菜種油、米ぬか油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、これらの水素添加物あるいはこれらの2種以上の混合物などが挙げられる。
基油の40℃における動粘度は、1.0〜50mm/s、好ましくは1.2〜40mm/s、さらに好ましくは1.4〜35mm/sの範囲である。粘度が低すぎると潤滑性低下、高すぎると加工部への油剤の供給に問題を生ずる可能性がある。
基油の最適粘度は使用目的に応じて適宜選定することができる。例えば、アルミニウム圧延の場合、基油の40℃における動粘度は、好ましくは1.0〜10mm/s、より好ましくは1.2〜8.0mm/s、更に好ましくは1.4〜6.0mm/sである。また、アルミニウム以外の金属の圧延の場合、基油の40℃における動粘度は、好ましくは2.0〜50mm/s、より好ましくは2.5〜40mm/s、更に好ましくは3.0〜30mm/sである。基油の40℃における動粘度が前記下限値未満の場合には、引火による火災等の危険性が増すおそれがある。一方、前記上限値を超えると、焼鈍後にステインと呼ばれる潤滑油成分の焼き付きが生じ易くなり、また被加工材表面にオイルピットと呼ばれる表面損傷が発生することによる表面光沢の悪化、過潤滑によるスリップ、摩耗粉発生量の増加、被加工材表面の傷つき、スリップが著しい場合には加工不能、をもたらすおそれがある。
本発明の圧延油組成物は、ラノリン脂肪酸エステルを必須成分として含有する。ラノリン脂肪酸エステルはラノリン脂肪酸とアルコールとの反応により得られるエステルであり、また、ラノリン脂肪酸は羊の毛に付着するろう状物質を精製(加水分解等)して得られる、ヒドロキシカルボン酸を含有するカルボン酸混合物である。ここで、エステル化に用いるアルコールとしては、一価アルコール又は多価アルコールのいずれであってもよいが、一価アルコールが好ましい。
一価アルコールとしては、通常炭素数1〜26、好ましくは1〜18、より好ましくは1〜8、最も好ましくは1〜6の一価アルコールが用いられる。このようなアルコールとしては、直鎖状のものでも分枝状のものでもよく、また飽和のものでも不飽和のものでもよい。炭素数1〜26の一価アルコールとしては、メタノール、エタノール、直鎖または分枝のプロパノール、直鎖または分枝のブタノール、直鎖または分枝のペンタノール、直鎖または分枝のヘキサノール、直鎖または分枝のヘプタノール、直鎖または分枝のオクタノール、直鎖または分枝のノナノール、直鎖または分枝のデカノール、直鎖または分枝のウンデカノール、直鎖または分枝のドデカノール、直鎖または分枝のトリデカノール、直鎖または分枝のテトラデカノール、直鎖または分枝のペンタデカノール、直鎖または分枝のヘキサデカノール、直鎖または分枝のヘプタデカノール、直鎖または分枝のオクタデカノール、直鎖または分枝のノナデカノール、直鎖または分枝のエイコサノール、直鎖または分枝のヘンエイコサノール、直鎖または分枝のトリコサノール、直鎖または分枝のテトラコサノール、オレイルアルコールおよびこれらの混合物等が挙げられる。
多価アルコールとしては、通常2〜10価、好ましくは2〜6価の多価アルコールが用いられる。2〜10価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(エチレンオキシドの3〜15量体)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(プロピレンオキシドの3〜15量体)、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ポリグリセリン(グリセリンの2〜8量体、例えば、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン)、トリメチロールアルカン(例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン)およびこれらの2〜8量体、ペンタエリスリトールおよびこれらの2〜4量体、1,2,4−ブタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3,4−ブタンテトロール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトール等が挙げられる。
また、キシロース、アラビトール、リボース、ラムノース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、セロビオース、マントース、イソマルトース、トレハロース、スクロース等の糖類も使用可能である。
これらの中では、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(より好ましくはエチレンオキシドの3〜10量体)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(より好ましくはプロピレンオキシドの3〜10量体)、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、トリメチロールアルカン(例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン)およびこれらの2〜4量体、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3,4−ブタンテトロール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトール等の2〜6価の多価アルコールおよびこれらの混合物等がより好ましい。更に好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビタンおよびこれらの混合物である。
本発明において、アルコール成分として多価アルコールを用いた場合に得られるラノリン脂肪酸エステルは、多価アルコール中の水酸基全てがエステル化された完全エステルでもよく、あるいは水酸基の一部がエステル化されず水酸基のままで残っている部分エステルでもよい。加工性の点からは、水酸基の一部がエステル化されず水酸基のままで残っている部分エステルが好ましい。
本発明の圧延油組成物におけるラノリン脂肪酸エステルの含有量は、圧延油組成物全量を基準として、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、特に好ましくは0.5質量%以上である。ラノリン脂肪酸エステルの含有量が0.1質量%未満の場合は加工性能が不十分となるおそれがある。また、ラノリン脂肪酸エステルの含有量は、圧延油組成物全量を基準として、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、特に好ましくは3質量%以下である。ラノリン脂肪酸エステルの含有量が20質量%を超えると、オイルステインが生じやすくなるおそれがある。
本発明の圧延油組成物は、加工性をより向上させるために、ラノリン脂肪酸エステル以外の含酸素化合物を含有することができる。かかる含酸素化合物としては、以下の(A1)〜(A8)成分からなる群より選ばれる少なくとも1種の含酸素化合物を挙げることができる。
(A1)数平均分子量が100以上1000以下である水酸基を3〜6個有する多価アルコールのアルキレンオキシド付加物
(A2)上記(A1)成分のヒドロカルビルエーテルまたはヒドロカルビルエステル
(A3)数平均分子量が100以上1000以下のポリアルキレングリコール
(A4)上記(A3)成分のヒドロカルビルエーテルまたはヒドロカルビルエステル
(A5)炭素数2〜20の2価アルコール
(A6)上記(A5)成分のヒドロカルビルエーテルまたはヒドロカルビルエステル
(A7)炭素数3〜20の3価アルコール
(A8)上記(A7)成分のヒドロカルビルエーテルまたはヒドロカルビルエステル。
(A1)成分を構成する多価アルコールは、水酸基を3〜6個有する。水酸基を3〜6個有する多価アルコールとしては、以下の多価アルコールに加え、糖類も使用可能である。
多価アルコールとしては、グリセリン、ポリグリセリン(グリセリンの2〜4量体、例えば、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン)、トリメチロールアルカン(例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン)、およびこれらの2〜4量体、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3,4−ブタンテトロール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトール、イジリトール、タリトール、ズルシトール、アリトール等が挙げられる。
糖類としては、キシロース、アラビノース、リボース、ラムノース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、セロビオース、マントース、イソマルトース、トレハロース、シュクロース等が挙げられる。これらの中では、加工性に優れる点から、グリセリン、トリメチロールアルカン、ソルビトールが好ましい。
また、(A1)成分を構成するアルキレンオキシドとしては、炭素数2〜6、好ましくは炭素数2〜4のアルキレンオキシドが用いられる。炭素数2〜6のアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−エポキシブタン(α−ブチレンオキシド)、2,3−エポキシブタン(β−ブチレンオキシド)、1,2−エポキシ−1−メチルプロパン、1,2−エポキシヘプタン、1,2−エポキシヘキサン等が挙げられる。これらの中では、加工性に優れる点から、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドが好ましく、エチレンオキシド、プロピレンオキシドがより好ましい。
なお、2種以上のアルキレンオキシドを用いた場合には、オキシアルキレン基の重合形式に特に制限はなく、ランダム共重合していても、ブロック共重合していてもよい。また、水酸基を3〜6個有する多価アルコールにアルキレンオキシドを付加させる際、全ての水酸基に付加させてもよいし、一部の水酸基のみに付加させてもよい。これらの中では、加工性に優れる点から、全ての水酸基に付加させた方が好ましい。
さらに、(A1)成分の数平均分子量(Mn)は100以上1000以下であり、好ましくは100以上800以下である。Mnが100未満の場合には、鉱油に対する溶解性が低下するおそれがある。一方、Mnが1000より大きい場合には、油剤除去工程において加工後の被加工材の表面に油剤が残存するおそれがある。なお、本発明におけるMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレンの換算の数平均分子量をいう。
(A1)成分としては、Mnが100以上1000以下となるように水酸基を3〜6個有する多価アルコールにアルキレンオキシドを付加反応させたものを用いてもよい。また、任意の方法で得られる水酸基を3〜6個有する多価アルコールのアルキレンオキシド付加物の混合物や市販されている水酸基を3〜6個有する多価アルコールのアルキレンオキシド付加物の混合物を、蒸留やクロマトグラフィーによってMnが100以上1000以下となるように分離したものを用いてもよい。なお、(A1)成分としては、これらの化合物を単独でまたは2種以上の混合物として用いてもよい。
(A2)成分は、Mnが100以上1000以下、好ましくは100以上800以下である水酸基を3〜6個有する多価アルコールのアルキレンオキシド付加物を、ヒドロカルビルエーテル化またはエステル化させたものである。
(A2)成分としては、(A1)成分のアルキレンオキシド付加物の末端水酸基の一部または全てを、ヒドロカルビルエーテル化またはエステル化させたものが使用できる。ここで言うヒドロカルビル基とは、炭素数1〜24のアルキル基、炭素数2〜24のアルケニル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、炭素数6〜11のアルキルシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜18のアルキルアリール基、炭素数7〜18のアリールアルキル基等の炭素数1〜24の炭化水素基を表す。
炭素数1〜24のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、直鎖または分枝のペンチル基、直鎖または分枝のヘキシル基、直鎖または分枝のヘプチル基、直鎖または分枝のオクチル基、直鎖または分枝のノニル基、直鎖または分枝のデシル基、直鎖または分枝のウンデシル基、直鎖または分枝のドデシル基、直鎖または分枝のトリデシル基、直鎖または分枝のテトラデシル基、直鎖または分枝のペンタデシル基、直鎖または分枝のヘキサデシル基、直鎖または分枝のヘプタデシル基、直鎖または分枝のオクタデシル基、直鎖または分枝のノナデシル基、直鎖または分枝のイコシル基、直鎖または分枝のヘンイコシル基、直鎖または分枝のドコシル基、直鎖または分枝のトリコシル基、直鎖または分枝のテトラコシル基等が挙げられる。
炭素数2〜24のアルケニル基としては、ビニル基、直鎖または分枝のプロペニル基、直鎖または分枝のブテニル基、直鎖または分枝のペンテニル基、直鎖または分枝のへキセニル基、直鎖または分枝のヘプテニル基、直鎖または分枝のオクテニル基、直鎖または分枝のノネニル基、直鎖または分枝のデセニル基、直鎖または分枝のウンデセニル基、直鎖または分枝のドデセニル基、直鎖または分枝のトリデセニル基、直鎖または分枝のテトラデセニル基、直鎖または分枝のペンタデセニル基、直鎖または分枝のヘキサデセニル基、直鎖または分枝のヘプタデセニル基、直鎖または分枝のオクタデセニル基、直鎖または分枝のノナデセニル基、直鎖または分枝のイコセニル基、直鎖または分枝のヘンイコセニル基、直鎖または分枝のドコセニル基、直鎖または分枝のトリコセニル基、直鎖または分枝のテトラコセニル基等が挙げられる。
炭素数5〜7のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等が挙げられる。炭素数6〜11のアルキルシクロアルキル基としては、メチルシクロペンチル基、ジメチルシクロペンチル基(全ての構造異性体を含む。)、メチルエチルシクロペンチル基(全ての構造異性体を含む。)、ジエチルシクロペンチル基(全ての構造異性体を含む。)、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基(全ての構造異性体を含む。)、メチルエチルシクロヘキシル基(全ての構造異性体を含む。)、ジエチルシクロヘキシル基(全ての構造異性体を含む。)、メチルシクロヘプチル基、ジメチルシクロヘプチル基(全ての構造異性体を含む。)、メチルエチルシクロヘプチル基(全ての構造異性体を含む。)、ジエチルシクロヘプチル基(全ての構造異性体を含む。)等が挙げられる。
炭素数6〜10のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。炭素数7〜18のアルキルアリール基としては、トリル基(全ての構造異性体を含む。)、キシリル基(全ての構造異性体を含む。)、エチルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)、直鎖または分枝のプロピルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)、直鎖または分枝のブチルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)、直鎖または分枝のペンチルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)、直鎖または分枝のヘキシルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)、直鎖または分枝のヘプチルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)、直鎖または分枝のオクチルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)、直鎖または分枝のノニルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)、直鎖または分枝のデシルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)、直鎖または分枝のウンデシルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)、直鎖または分枝のドデシルフェニル基(全ての構造異性体を含む。)等が挙げられる。
炭素数7〜12のアリールアルキル基としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基(プロピル基の異性体を含む。)フェニルブチル基(ブチル基の異性体を含む。)、フェニルペンチル基(ペンチル基の異性体を含む。)、フェニルヘキシル基(ヘキシル基の異性体を含む。)等が挙げられる。
これらの中では、加工性に優れる点から、炭素数2〜18の直鎖または分枝のアルキル基、炭素数2〜18の直鎖または分枝のアルケニル基が好ましく、炭素数3〜12の直鎖または分枝のアルキル基、オレイル基(オレイルアルコールから水酸基を除いた残基)がより好ましい。
エステル化に用いる酸としては、通常、カルボン酸が挙げられる。このカルボン酸としては、一塩基酸でも多塩基酸でもよいが、通常、一塩基酸が用いられる。一塩基酸としては、炭素数6〜24の脂肪酸が挙げられ、直鎖状のものでも分枝状のものでもよい。また、一塩基酸としては、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸またはこれらの混合物であってもよい。
飽和脂肪酸としては、直鎖または分枝のヘキサン酸、直鎖または分枝のオクタン酸、直鎖または分枝のノナン酸、直鎖または分枝のデカン酸、直鎖または分枝のウンデカン酸、直鎖または分枝のドデカン酸、直鎖または分枝のトリデカン酸、直鎖または分枝のテトラデカン酸、直鎖または分枝のペンタデカン酸、直鎖または分枝のヘキサデカン酸、直鎖または分枝のオクタデカン酸、直鎖または分枝のヒドロキシオクタデカン酸、直鎖または分枝のノナデカン酸、直鎖または分枝のエイコサン酸、直鎖または分枝のヘンエイコサン酸、直鎖または分枝のドコサン酸、直鎖または分枝のトリコサン酸、直鎖または分枝のテトラコサン酸等が挙げられる。
不飽和脂肪酸としては、直鎖または分枝のヘキセン酸、直鎖または分枝のヘプテン酸、直鎖または分枝のオクテン酸、直鎖または分枝のノネン酸、直鎖または分枝のデセン酸、直鎖または分枝のウンデセン酸、直鎖または分枝のドデセン酸、直鎖または分枝のトリデセン酸、直鎖または分枝のテトラデセン酸、直鎖または分枝のペンタデセン酸、直鎖または分枝のヘキサデセン酸、直鎖または分枝のオクタデセン酸、直鎖または分枝のヒドロキシオクタデセン酸、直鎖または分枝のノナデセン酸、直鎖または分枝のエイコセン酸、直鎖または分枝のヘンエイコセン酸、直鎖または分枝のドコセン酸、直鎖または分枝のトリコセン酸、直鎖または分枝のテトラコセン酸等が挙げられる。
これらの中では、特に炭素数8〜20の飽和脂肪酸、炭素数8〜20の不飽和脂肪酸およびこれらの混合物が好ましい。なお、(A2)成分としては、これら化合物を単独でまたは2種以上の混合物として用いてもよい。
(A3)成分は、Mnが100以上1000以下のポリアルキレングリコールであり、炭素数2〜6、好ましくは2〜4のアルキレンオキシドを単独重合または共重合したものが用いられる。炭素数2〜6のアルキレンオキシドとしては、(A1)成分の説明において列挙したアルキレンオキシドが挙げられる。これらの中では、加工性に優れる点から、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドが好ましく、エチレンオキシド、プロピレンオキシドがより好ましい。
なお、ポリアルキレングリコールの調製時に2種以上のアルキレンオキシドを用いた場合には、オキシアルキレン基の重合形式に特に制限はなく、ランダム共重合していても、ブロック共重合していてもよい。
また、(A3)成分としては、Mnが100以上1000以下、好ましくは120以上700以下である。Mnが100未満のポリアルキレングリコールは、鉱油への溶解性が低下するおそれがある。一方、Mnが1000より大きいポリアルキレングリコールは、油剤除去工程において加工後の被加工材の表面に油剤が残存するおそれがある。
またさらに、(A3)成分としては、アルキレンオキシドを重合させる際にMnが100以上1000以下となるように反応させたものを用いてもよい。また、任意の方法で得られるポリアルキレングリコール混合物や市販されているポリアルキレングリコール混合物を、蒸留やクロマトグラフィーによってMnが100以上1000以下となるように分離したものを用いてもよい。なお、(A3)成分としては、これらの化合物を単独でまたは2種以上の混合物として用いてもよい。
(A4)成分は、Mnが100以上1000以下、好ましくは120以上700以下のポリアルキレングリコールを、ヒドロカルビルエーテル化またはエステル化させたものである。(A4)成分としては、(A3)成分のポリアルキレングリコールの末端水酸基の一部または全てを、ヒドロカルビルエーテル化またはエステル化させたものが使用できる。ここでいうヒドロカルビル基とは、炭素数1〜24の炭化水素基を表し、具体的には、(A2)成分の説明において列挙した各基が挙げられる。これらの中では、加工性に優れる点から、炭素数2〜18の直鎖または分枝のアルキル基、炭素数2〜18の直鎖または分枝のアルケニル基が好ましく、炭素数3〜12の直鎖または分枝のアルキル基、オレイル基(オレイルアルコールから水酸基を除いた残基)がより好ましい。
また、(A4)成分としては、(A3)成分のポリアルキレングリコールの末端水酸基をエステル化させたものも使用できる。エステル化に用いる酸としては、通常カルボン酸が挙げられる。このカルボン酸としては、一塩基酸でも多塩基酸でもよいが、通常、一塩基酸が用いられる。具体的には、上記(A2)成分の説明において列挙したものが挙げられる。なお、(A4)成分としては、これら化合物を単独でまたは2種以上の混合物として用いてもよい。
(A5)成分は、炭素数2〜20、好ましくは炭素数3〜18の2価アルコールである。ここでいう2価アルコールとは、分子中にエーテル結合を有しないものをいう。炭素数2〜20の2価アルコールとしては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,2−ヘプタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,2−ノナンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,10−デカンジオール、1,2−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,2−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,2−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,2−テトラデカンジオール、1,15−ヘプタデカンジオール、1,2−ヘプタデカンジオール、1,16−ヘキサデカンジオール、1,2−ヘキサデカンジオール、1,17−ヘプタデカンジオール、1,2−ヘプタデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,2−オクタデカンジオール、1,19−ノナデカンジオール、1,2−ノナデカンジオール、1,20−イコサデカンジオール、1,2−イコサデカンジオール等が挙げられる。
これらの中では、加工性に優れる点から、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール等が好ましい。なお、(A5)成分としては、これらの化合物を単独でまたは2種以上の混合物として用いてもよい。
(A6)成分は、炭素数2〜20、好ましくは炭素数3〜18の2価アルコール(但し、分子中にエーテル結合を有するものを除く。)を、ヒドロカルビルエーテル化させたものまたはエステル化させたものである。(A6)成分としては、(A5)成分の2価アルコールの末端水酸基の一部または全てを、ヒドロカルビルエーテル化させたものが使用できる。ここでいうヒドロカルビル基とは、炭素数1〜24の炭化水素基を表し、具体的には、(A2)成分の説明において列挙した各基が挙げられる。これらの中では、加工性に優れる点から、炭素数2〜18の直鎖または分枝のアルキル基、炭素数2〜18の直鎖または分枝のアルケニル基が好ましく、炭素数3〜12の直鎖または分枝のアルキル基、オレイル基(オレイルアルコールから水酸基を除いた残基)が更に好ましい。
また、(A6)成分としては、(A5)成分の2価アルコールの末端水酸基の一方または両方を、エステル化させたものも使用できる。エステル化に用いる酸としては、通常、カルボン酸が挙げられる。このカルボン酸としては、一塩基酸でも多塩基酸でもよいが、通常一塩基酸が用いられる。具体的には、上記(A2)成分の説明において列挙したものが挙げられる。またさらに、(A6)成分のエステルは、(A5)成分の2価アルコールの末端水酸基の一方をエステル化したもの(部分エステル)であってもよく、末端水酸基の両方をエステル化したもの(完全エステル)であってもよい。これらの中では、加工性に優れる点から、部分エステルであることが好ましい。なお、(A6)成分としては、これら化合物を単独でまたは2種以上の混合物として用いてもよい。
(A7)成分は、炭素数3〜20、好ましくは炭素数3〜18の3価アルコールである。ここでいう3価アルコールとは、分子中にエーテル結合を有しないものをいう。炭素数3〜20の3価アルコールとしては、グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,3−ペンタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3−ヘキサントリオール、1,2,4−ヘキサントリオール、1,2,5−ヘキサントリオール、1,3,4−ヘキサントリオール、1,3,5−ヘキサントリオール、1,3,6−ヘキサントリオール、1,4,5−ヘキサントリオール、1,2,7−ヘプタントリオール、1,2,8−オクタントリオール、1,2,9−ノナントリオール、1,2,10−デカントリオール、1,2,11−ウンデカントリオール、1,2,12−ドデカントリオール、1,2,13−トリデカントリオール、1,2,14−テトラデカントリオール、1,2,15−ペンタデカントリオール、1,2,16−へキサデカントリオール、1,2,17−ヘプタデカントリオール、1,2,18−オクタデカントリオール、1,2,19−ノナデカントリオール、1,2,20−イコサントリオール等が挙げられる。
これらの中では、加工性に優れる点から、1,2,12−ドデカントリオール、1,2,13−トリデカントリオール、1,2,14−テトラデカントリオール、1,2,15−ペンタデカントリオール、1,2,16−ヘキサデカントリオール、1,2,17−ヘプタデカントリオール、1,2,18−オクタデカントリオールが好ましい。なお、(A7)成分としては、これら化合物を単独でまたは2種以上の混合物として用いてもよい。
(A8)成分は、炭素数3〜20、好ましくは炭素数3〜18の3価アルコール(但し、分子中にエーテル結合を有するものを除く。)を、ヒドロカルビルエーテル化させたものまたはエステル化させたものである。(A8)成分としては、(A7)成分の3価アルコールの末端水酸基の一部または全てを、ヒドロカルビルエーテル化させたものが使用できる。ここでいうヒドロカルビル基とは、炭素数1〜24の炭化水素基を表し、具体的には、(A2)成分の説明において列挙した各基が挙げられる。これらの中では、加工性に優れる点から、炭素数2〜18の直鎖または分枝のアルキル基、炭素数2〜18の直鎖または分枝のアルケニル基が好ましく、炭素数3〜12の直鎖または分枝のアルキル基、オレイル基(オレイルアルコールから水酸基を除いた残基)がより好ましい。
また、(A8)成分としては、(A7)成分の3価アルコールの末端水酸基の一方または全部を、エステル化させたものが使用できる。エステル化に用いる酸としては、通常、カルボン酸が挙げられる。このカルボン酸としては、一塩基酸でも多塩基酸でもよいが、通常一塩基酸が用いられる。具体的には、上記(A2)成分において列挙したものが挙げられる。なお、(A8)成分のエステルとしては、(A7)成分の3価アルコールの末端水酸基の一つまたは2つをエステル化したもの(部分エステル)であってもよく、末端水酸基の全部をエステル化したもの(完全エステル)であってもよい。これらの中では、加工性に優れる点から、部分エステルであることが好ましい。
(A8)成分としては、(A7)成分のうち、グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,3−ペンタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3−へキサントリオール、1,2,4−ヘキサントリオール、1,2,5−ヘキサントリオール、1,3,4−ヘキサントリオール、1,3,5−ヘキサントリオール、1,3,6−へキサントリオールおよび1,4,5−へキサントリオールのヒドロカルビルエーテルまたは部分エステルが好ましい。なお、(A8)成分としては、これら化合物を単独でまたは2種以上の混合物として用いてもよい。
本発明において、上記(A1)〜(A8)成分の中から選ばれる1種の含酸素化合物を単独で用いてもよいし、異なる構造を有する2種以上の含酸素化合物の混合物を用いてもよい。上記(A1)〜(A8)成分の中では、加工性に優れる点から、(A3)成分、(A4)成分、(A5)成分および(A8)成分が好ましく、(A3)成分、(A4)成分および(A8)成分がより好ましい。
また、本発明の圧延油組成物に占める含酸素化合物の含有量は、圧延油組成物全量を基準として、好ましくは0.005質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上である。一方、含酸素化合物の含有量は、圧延油組成物全量を基準として、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは5.0質量%以下、さらに好ましくは2.0質量%以下である。含酸素化合物の含有量が前記下限値未満であると加工性の向上効果が不十分となる傾向にあり、また、当該含有量が前記上限値を超えても含有量に見合う効果が得られない傾向にある。
また、本発明の圧延油組成物は、油性剤を更に含有することができる。油性剤としては、一般的な潤滑油の油性剤として用いられているものを使用可能であるが、加工性をより向上させるために、下記(B1)〜(B3)成分の中から選ばれる少なくとも1種の油性剤を使用することが好ましい。
(B1)エステル油性剤
(B2)一価アルコール油性剤
(B3)カルボン酸油性剤
(B1)成分であるエステル油性剤は、アルコールとカルボン酸とを反応させることにより得られる。アルコールとしては、一価アルコールでも多価アルコールでもよい。また、カルボン酸としては、一塩基酸でも多塩基酸であってもよい。エステルを構成するアルコールとしては、ラノリン脂肪酸エステルの説明においてエステルを構成するアルコールとして列挙した化合物等が挙げられる。
また、エステル油性剤を構成する一塩基酸としては、通常炭素数6〜24を有する直鎖または分枝の脂肪酸が挙げられる。また、一塩基酸としては、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸またはこれらの混合物であってもよい。
飽和脂肪酸としては、直鎖または分枝のへキサン酸、直鎖または分枝のオクタン酸、直鎖または分枝のノナン酸、直鎖または分枝のデカン酸、直鎖または分枝のウンデカン酸、直鎖または分枝のドデカン酸、直鎖または分枝のトリデカン酸、直鎖または分枝のテトラデカン酸、直鎖または分枝のペンタデカン酸、直鎖または分枝のヘキサデカン酸、直鎖または分枝のオクタデカン酸、直鎖または分枝のヒドロキシオクタデカン酸、直鎖または分枝のノナデカン酸、直鎖または分枝のエイコサン酸、直鎖または分枝のヘンエイコサン酸、直鎖または分枝のドコサン酸、直鎖または分枝のトリコサン酸、直鎖または分枝のテトラコサン酸等が挙げられる。
不飽和脂肪酸としては、直鎖または分枝のヘキセン酸、直鎖または分枝のヘプテン酸、直鎖または分枝のオクテン酸、直鎖または分枝のノネン酸、直鎖または分枝のデセン酸、直鎖または分枝のウンデセン酸、直鎖または分枝のドデセン酸、直鎖または分枝のトリデセン酸、直鎖または分枝のテトラデセン酸、直鎖または分枝のペンタデセン酸、直鎖または分枝のヘキサデセン酸、直鎖または分枝のオクタデセン酸、直鎖または分枝のヒドロキシオクタデセン酸、直鎖または分枝のノナデセン酸、直鎖または分枝のエイコセン酸、直鎖または分枝のヘンエイコセン酸、直鎖または分枝のドコセン酸、直鎖または分枝のトリコセン酸、直鎖または分枝のテトラコセン酸等が挙げられる。これらの中では、特に炭素数8〜20の飽和脂肪酸、炭素数8〜20の不飽和脂肪酸およびこれらの混合物が好ましい。
エステル油性剤を構成する多塩基酸としては、炭素数2〜16の二塩基酸およびトリメリット酸等が挙げられる。炭素数2〜16の二塩基酸としては、直鎖のものでも分枝のものでもよく、また飽和二塩基酸、不飽和二塩基酸またはこれらの混合物であってもよい。
飽和二塩基酸としては、エタン二酸、プロパン二酸、直鎖または分枝のブタン二酸、直鎖または分枝のペンタン二酸、直鎖または分枝のへキサン二酸、直鎖または分枝のオクタン二酸、直鎖または分枝のノナン二酸、直鎖または分枝のデカン二酸、直鎖または分枝のウンデカン二酸、直鎖または分枝のドデカン二酸、直鎖または分枝のトリデカン二酸、直鎖または分枝のテトラデカン二酸、直鎖または分枝のヘプタデカン二酸、直鎖または分枝のヘキサデカン二酸等が挙げられる。
不飽和二塩基酸としては、直鎖または分枝のヘキセン二酸、直鎖または分枝のオクテン二酸、直鎖または分枝のノネン二酸、直鎖または分枝のデセン二酸、直鎖または分枝のウンデセン二酸、直鎖または分枝のドデセン二酸、直鎖または分枝のトリデセン二酸、直鎖または分枝のテトラセン二酸、直鎖または分枝のヘプタデセン二酸、直鎖または分枝のヘキサデセン二酸等が挙げられる。
エステル油性剤としては、例えば、以下の(b1)〜(b7)成分が挙げられる。エステル油性剤としては、これらの例示成分のように、任意のアルコールとカルボン酸とを反応させて得られるエステルが使用可能であり、特にこれらに限定されるものではない。
(B1−1)一価アルコールと一塩基酸とのエステル
(B1−2)多価アルコールと一塩基酸とのエステル
(B1−3)一価アルコールと多塩基酸とのエステル
(B1−4)多価アルコールと多塩基酸とのエステル
(B1−5)一価アルコールおよび多価アルコールの混合物と、多塩基酸との混合エステル
(B1−6)多価アルコールと、一塩基酸および多塩基酸の混合物との混合エステル
(B1−7)一価アルコールおよび多価アルコールの混合物と、一塩基酸および多塩基酸の混合物との混合エステル。
なお、上記アルコール成分として多価アルコールを用いた場合には、エステルとしては、多価アルコール中の水酸基が全てエステル化された完全エステルを示す。また、上記カルボン酸成分として多塩基酸を用いた場合には、エステルとしては、多塩基酸中のカルボキシル基が全てエステル化された完全エステルでもよく、カルボキシル基の一部がエステル化されずにカルボキシル基のままで残っている部分エステルであってもよい。
エステル油性剤としては、上記した何れのものも使用可能であるが、加工性に優れる点から、(B1−1)一価アルコールと一塩基酸とのエステルおよび(B1−3)一価アルコールと多塩基酸とのエステルが好ましい。特にアルミフィン加工およびアルミニウム圧延においては(B1−1)一価アルコールと一塩基酸とのエステルがより好ましく、アルミニウム以外の金属の圧延においては、(B1−1)一価アルコールと一塩基酸とのエステルがより好ましく、(B1−1)一価アルコールと一塩基酸とのエステルと(B1−3)一価アルコールと多塩基酸とのエステルの併用が最も好ましい。
油性剤として用いる(B1−1)一価アルコールと一塩基酸とのエステルの合計炭素数には特に制限はないが、加工性の向上の点からエステルの合計炭素数は7以上が好ましく、9以上がより好ましく、11以上が最も好ましい。また、油剤除去性の点から、エステルの合計炭素数は26以下が好ましく、24以下がより好ましく、22以下が最も好ましい。前記一価アルコールの炭素数には特に制限はないが、炭素数1〜10が好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6がさらにより好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。前記一塩基酸の炭素数には特に制限はないが、炭素数8〜22が好ましく、炭素数10〜20がより好ましく、炭素数12〜18が最も好ましい。前記合計炭素数、前記アルコールの炭素数および前記一塩基酸の炭素数を前述のように設定することが好ましいのは、上限値に関してはステインや腐食の発生を増大させるおそれが大きくなる点、冬季において流動性を失い扱いが困難になるおそれが大きくなる点および基油への溶解性が低下して析出するおそれが大きくなる点を考慮してであり、下限値に関しては、潤滑性能の点および臭気による作業環境悪化の点を考慮してである。
本発明において油性剤として用いられる(B1−3)一価アルコールと多塩基酸とのエステルの形態は特に制限されないが、下記式(1)で表されるジエステル、またはトリメリット酸のエステルであることが好ましい。
−O−CO(CHCO−O−R (1)
(式(1)中、RおよびRは互いに同一または異なる基であって炭素数3〜10の炭化水素基を示し、nは4〜8を示す。)
潤滑性能の向上効果が期待できなくなるおそれがある、臭気により作業環境が悪化するなどの点から、一般式(1)中のRおよびRはそれぞれ炭素数3以上の炭化水素基であることが好ましい。また、ステインや腐食の発生を増大させるおそれが大きくなる、冬季において流動性を失い扱いが困難になるおそれが大きくなる、基油への溶解性が低下して析出するおそれが大きくなるなどの点から、一般式(1)中のRおよびRは炭素数10以下の炭化水素基であることが好ましい。また、ステインや腐食の発生を増大させるおそれが大きくなる、冬季において流動性を失い扱いが困難になるおそれが大きくなる、基油への溶解性が低下して析出するおそれが大きくなるなどの点から、一般式(1)中のnは8以下であることが好ましい。一方、潤滑性能の向上効果が期待できなくなるおそれがある、臭気により作業環境が悪化するなどの点から、一般式(1)中のnは4以上であることが好ましい。このうち、原料の入手のしやすさ、および価格の点からn=4、6が特に好ましい。
一般式(1)中のRおよびRとしては、アルキル基、アルケニル基、アルキルシクロアルキル基、アルキルフェニル基、フェニルアルキル基等が挙げられ、特にアルキル基が好ましい。このアルキル基には直鎖アルキル基または分岐アルキル基が含まれ、直鎖アルキル基と分岐アルキル基が混在していてもよいが、分岐アルキル基が好ましい。前記RおよびRとしては、例えば、直鎖または分岐のプロピル基、直鎖または分岐のブチル基、直鎖または分岐のペンチル基、直鎖または分岐のヘキシル基、直鎖または分岐のヘプチル基、直鎖または分岐のオクチル基、直鎖または分岐のノニル基、直鎖または分岐のデシル基等を挙げることができる。
一般式(1)で表されるジエステルは任意の方法で得られるが、例えば、炭素数6〜10の直鎖飽和ジカルボン酸(炭素数6から順に、アジピン酸、ピメリン酸、コルク酸、アゼライン酸、セバシン酸)またはその誘導体と、炭素数3〜10のアルコールとをエステル化させる方法などが例示される。トリメリット酸をエステル化する1価アルコールの炭素数は特に制限はないが、ステインや腐食の発生を増大させるおそれが大きくなる、冬季において流動性を失い扱いが困難になるおそれが大きくなる、基油への溶解性が低下して析出するおそれが大きくなるなどの点から、炭素数1〜10が好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6がさらに好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。トリメリット酸のエステルは、部分エステル(モノエステルまたはジエステル)でも完全エステル(トリエステル)でもよい。
(B2)成分の一価アルコールとしては、ラノリン脂肪酸エステルの説明においてエステルを構成する一価アルコールとして例示した化合物等が挙げられる。加工性により優れる点から、一価アルコールの合計炭素数は6以上が好ましく、8以上がより好ましく、10以上が最も好ましい。また、油剤除去性の点から、一価アルコールの合計炭素数は20以下が好ましく、18以下がより好ましく、16以下が最も好ましい。
(B3)成分のカルボン酸としては、一塩基酸でも多塩基酸でもよい。このようなカルボン酸としては、例えば、上記(B1)成分の説明においてエステルを構成するカルボン酸として例示した化合物が挙げられる。これらの中では、加工性により優れる点から一塩基酸が好ましい。また、加工性に優れる点から、カルボン酸の合計炭素数は6以上が好ましく、8以上がより好ましく、10以上が最も好ましい。また、油剤除去性の点から、カルボン酸の合計炭素数は22以下が好ましく、20以下がより好ましく、18以下が最も好ましい。
本発明の圧延油組成物に使用する油性剤としては、上記各種油性剤の中から選ばれる1種のみを単独でまたは2種以上の混合物として用いてもよいが、加工性をより向上できることから、(1)一価アルコールと一塩基酸とから得られる合計炭素数7〜26のエステル、(2)炭素数6〜20の一価アルコール、特に炭素数が9以上の一価アルコールと炭素数8以下の一価アルコールの併用、(3)炭素数6〜20の一塩基酸、またはこれらの混合物であることが好ましい。
また、本発明の圧延油組成物における油性剤の含有量は、アルミニウム圧延の場合、加工性の観点から、圧延油組成物全量を基準として、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.07質量%以上である。一方、油性剤の含有量は、油剤除去性の点から、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、特に好ましくは10質量%以下である。
一方,アルミニウム以外の材料を圧延加工する場合、油性剤の含有量は、加工性の観点から、圧延油組成物全量を基準として、1〜70質量%である。油性剤の含有量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上である。また、油性剤の含有量は、油剤除去性の転から、好ましくは70質量%以下、より好ましくは65質量%以下、更に好ましくは60質量%以下、特に好ましくは55質量%以下である。
本発明の圧延油組成物においては、その優れた効果をより一層向上させるため、必要に応じて極圧添加剤、酸化防止剤、さび止め剤、腐食防止剤、消泡剤、抗乳化剤、かび防止剤等の添加剤を単独でまたは2種以上を組み合わせて更に含有させることができる。
極圧添加剤としては、トリクレジルホスフェート等のリン系化合物、およびジアルキルジチオリン酸亜鉛等の有機金属化合物が挙げられる。酸化防止剤としては、2,6−ジターシャリーブチル−p−クレゾール(DBPC)等のフェノール系化合物、フェニル−α−ナフチルアミン等の芳香族アミンおよびジアルキルジチオリン酸亜鉛等の有機金属化合物が挙げられる。さび止め剤としては、オレイン酸等の脂肪酸の塩、ジノニルナフタレンスルホネート等のスルホン酸塩、ソルビタンモノオレエート等の多価アルコールの部分エステル、アミンおよびその誘導体、リン酸エステルおよびその誘導体が挙げられる。腐食防止剤としては、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。消泡剤としては、シリコーン系のものが挙げられる。抗乳化剤としては界面活性剤が用いられ、カチオン系として四級アンモニウム塩、イミダゾリン型、アニオン系として硫酸化油、エアロゾル型、ノニオン系としてひまし油のエチレンオキシド付加物、エーテル型非イオン活性剤のリン酸エステル、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロック共重合物、ダイマー酸とのエステルなどが挙げられる。かび防止剤としてはフェノール系化合物、ホルムアルデヒド供与体化合物、サリチルアニリド系化合物などが挙げられる。
なお、上記添加剤の合計含有量は、圧延油組成物全量を基準として、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。
本発明の圧延油組成物は、保管時の自然吸湿分を除き実質的に水を含有しない不水の状態で使用することができるが、場合によりさらに水を含有することができる。また、本発明の組成物を水と併せて使用することもできる。本発明の圧延油組成物が水を含有する場合には、水を連続相とし,これに油成分が微細に分散してエマルションを形成した乳化状態;水が油成分に溶解している可溶化状態;もしくは強攪拌により水と油剤を混合した懸濁状態のいずれの形態をもとり得る。また、本発明の圧延油組成物と水とを各々別に加工部位に供給し使用することもできる。本発明の圧延油組成物(原液)を水で希釈、もしくは水と併用するだけで、実際に使用する金属加工油剤とすることができる。希釈倍率(併用使用する際は、原液に対する原液+水の倍率を希釈倍率とする。)は使用条件によって任意に選択されるが、一般には原液を質量比で2〜100倍に、好ましくは3〜70倍に水で希釈して実用の金属加工油剤を得るのが通例である。この場合の希釈水には、水道水、工業用水、イオン交換水、蒸留水などが使用可能で、硬水であるか軟水であるかを問わない。エマルション型の場合、本発明の組成物を水で希釈すると、水を連続相とし、これに油成分が微細に分散した状態のエマルションが得られるが、水に分散する油滴の平均粒径は300nm以下、特に100nm以下であることが好ましい。分散油滴の平均粒径が大きいと、オイルピットが生成し易くなって加工製品の表面光沢が損なわれるばかりなく、金属加工油剤の清浄化に微細なフィルターを使用できなくなるからである。
本発明の圧延油組成物の粘度は特に制限されないが、40℃における動粘度は、好ましくは0.5〜50mm/s、より好ましくは1.0〜40mm/sである。アルミニウム圧延加工においては、潤滑性と表面品質の観点から、好ましくは1.0〜10mm/s、より好ましくは1.0〜8.0mm/sである。アルミニウム以外の金属材料の圧延加工においては、好ましくは1.0〜50mm/s、より好ましくは2.0〜40mm/s、最も好ましくは3.0〜30mm/sである。
本発明の圧延油組成物は、種々の金属の加工油として用いられ、適用される金属としては、アルミニウム、マグネシウム、および銅、鉄、クロム、ニッケル、亜鉛、スズ、チタン等の遷移金属、並びにそれらの合金を挙げることができる。また加工方法としては、冷間圧延への適用が好適であるが、温間および熱間圧延、プレス、打ち抜き、しごき、絞り、引き抜き、鍛造、切削および研削等の金属加工にも適用することができる。
以下、実施例、参考例及び比較例に基づき本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1〜6、参考例1、2、比較例1〜9]
実施例1〜6、参考例1、2および比較例1〜9においては、以下に示す基油及び添加剤を用いて表1〜4に示す組成を有する圧延油組成物を調製した。
(基油)
基油1:鉱油(40℃における動粘度 2.1mm/s)
基油2:鉱油(40℃における動粘度 15.5mm/s)
(添加剤)
A1:1−ブタノールとラノリン脂肪酸とのエステル
A2:ペンタエリスリトールとラノリン脂肪酸との部分エステル(モノエステル/ジエステル/トリエステル=5/10/85)
A3:ペンタエリスリトールとオレイン酸との部分エステル(モノエステル/ジエステル/トリエステル=5/10/85)
B1:ラウリルアルコール
B2:ステアリン酸ブチル。
次に、実施例1〜6、参考例1、2及び比較例1〜9の圧延油組成物と下記の材料1〜6とを表1〜4に示すように組み合わせて、後述する試験を実施した。
(材料)
材料1:アルミニウム(JIS A1050)(0.8mm厚/70mm幅)
材料2:合金系アルミニウム(JIS A5052)(0.8mm厚/70mm幅)
材料3:純銅(JIS C1100)(0.4mm厚/52mm幅)
材料4:黄銅(JIS C2600)(0.4mm厚/52mm幅)
材料5:リン青銅(JIS C5191)(0.4mm厚/52mm幅)
材料6:ステンレスSUS304(0.3mm厚/50mm幅)。
[圧延試験]
下記条件において圧延試験を行い、圧下率を段階的に増加させたときの正常に圧延できる最大の圧下率を求めた。得られた結果を表1〜4に示す。
ワークロール直径:51mm
ワークロール粗度:0.2μm
圧延速度:80m/min
圧下率:圧下率20%からスタートし、段階的に上昇させる。
[耐ステイン性評価試験]
圧延後の被加工材料(コイル状)を、アルミニウムの場合には350℃、それ以外の被加工材料の場合には480℃の温度下で、空気雰囲気下で48h加熱した。次に、被加工材料を室温に冷却した後、被加工材料の表面に付着しているオイルステインを評価した。最外周部からコイル長で20〜30mの部分について評価を行い、発生したステインの面積が被加工材料の面積に対し0%以上5%未満をA、5%以上10%未満をB、10%以上をCと表示した。得られた結果を表1〜4に示す。
Figure 2012214818
Figure 2012214818
Figure 2012214818
Figure 2012214818

Claims (3)

  1. 鉱油、合成油および油脂から選ばれる少なくとも1種の基油と、ラノリン脂肪酸エステルと、炭素数1〜8の一価アルコールと炭素数10〜20の一塩基酸とのエステルであって前記アルコールと前記一塩基酸との合計炭素数が11〜26であるエステル油性剤と、炭素数8〜18の一価アルコールであるアルコール油性剤と、を含有し、銅、ステンレス及びそれらの合金の圧延に用いられることを特徴とする、圧延油組成物。
  2. 不水圧延油組成物であることを特徴とする、請求項1に記載の圧延油組成物。
  3. 前記基油が鉱油であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の圧延油組成物。
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