JP4979244B2 - 金属加工油組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、アルミニウム、マグネシウムおよび銅をはじめとした各種金属ならびにそれらの合金の金属加工に用いる潤滑油組成物に関するものである。また適用しうる加工方法としては、冷間、温間および熱間圧延、絞り、しごき、引き抜き、プレス、切削ならびに研削等の金属加工を挙げることができる
金属の塑性加工ではその過酷度が高くなるほど材料が凝着しやすくなり、工具表面に対して材料成分が堆積し、これが著しくなると加工性を損なう事態となる。プレス成型を例にとると、一回の加工ごとに工具の表面を磨くか新たな工具を使用するような場合と、同一の工具で連続的に加工を行う場合がある。後者の場合は前述したような材料の堆積が工具表面に起こり、その度合いが工具の寿命に影響する。
このような工具表面上への材料の堆積を防止するためには、材料の凝着を防止する必要がありそのためには硫黄系、リン系等の極圧剤やエステル、脂肪酸等の油性剤の添加が考えられる(例えば、特許文献1〜3参照。)。しかし、上記極圧剤の多くのものは金属加工油に添加すると臭気の原因となり、特に過酷な加工条件下において潤滑部位の温度が高くなる場合は作業環境を悪化させることとなる。また、加工後の材料の変色、ステインなど表面欠陥の原因となる可能性があり、さらに一般に加工後には油剤の除去工程が存在するため、上記極圧剤や油性剤の種類を厳選するとともに、使用量は可能な限り少ないことが望ましい。
また、過酷な加工条件になると潤滑部位の発熱が著しいものとなり凝着を促進するばかりか、発火の危険性が増大し生産にとっては大きな問題となる。
特開2003−165994号公報 特開2005−272818号公報 特開平8−253789号公報
本発明の課題は、以上のような事情に鑑み、過酷度の高い金属加工においても凝着防止性能および冷却性能に優れ、かつ作業環境への悪影響が少ない金属加工油組成物を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、鉱油等の基油に特定のリン含有化合物を添加した金属加工油を用いることにより、過酷度の高い条件下での金属加工における凝着を防止することができ、また冷却性能に優れ、さらに作業環境への悪影響が少ないことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の金属加工油組成物は、鉱油、油脂および合成油からなる群から選ばれる1種以上を基油とし、式(A)の構造を有するリン含有化合物を組成物全量基準で0.1〜35質量%含有し、さらに油性剤としてエステルおよび/又は1価アルコールを含有することを特徴とするアルミニウム、マグネシウムおよび銅ならびにそれらの合金の金属加工に用いる金属加工油組成物である
Figure 0004979244
(式中、R’は炭素数1〜40のアルキル基、R”は炭素数のアルキル基を示す。)
本発明の金属加工油組成物は、過酷な加工条件における材料の凝着を防止し、優れた冷却性能を有するとともに、発火の危険性が低く、臭気等作業環境の悪化をもたらさないという優れた特徴を有する。
以下、本発明について詳述する。
本発明の金属加工油組成物に使用する基油としては、鉱油、油脂または合成油のいずれであってもよく、あるいはこれらの混合物であってもよい。
本発明で使用可能な鉱油を例示すれば、例えば、パラフィン系またはナフテン系の原油の蒸留により得られる灯油留分;灯油留分からの抽出操作等により得られるノルマルパラフィン;およびパラフィン系またはナフテン系の原油の蒸留により得られる潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、および白土処理等の精製処理を一つ以上適宜組み合わせて精製したもの等が挙げられる。
鉱油中の芳香族分は特に制限されないが、作業環境を重視するのであれば、好ましくは25容量%以下、より好ましくは15容量%以下、さらにより好ましくは10容量%以下、一層好ましくは8容量%以下、より一層好ましくは5容量%以下、さらにより一層好ましくは2容量%以下、最も好ましくは1容量%以下であることが望ましい。ここで、芳香族分とは、JIS K 2536「石油製品−炭化水素タイプ試験」の蛍光指示薬吸着法に準拠して測定された値を意味する。
ナフテン分についても特に制限はないが、10容量%以上であることが好ましく、より好ましくは15容量%以上、更に好ましくは20容量%以上、更により好ましくは25容量%以上、最も好ましくは30容量%以上である。ナフテン分を10容量%以上とすることにより、加工性が良好となる。一方、ナフテン分は90容量%以下であることが好ましく、より好ましくは80容量%以下、更に好ましくは75容量%以下、最も好ましくは70容量%以下である。ナフテン分を90容量%以下とすることにより、室温での油剤の揮発を防止することができる。
また、鉱油中のパラフィン分は5容量%以上であることが好ましく、より好ましくは10容量%以上、更に好ましくは20容量%以上である。パラフィン分を5容量%以上とすることにより、油剤の臭気を防止することができる。一方、パラフィン分は90容量%以下であることが好ましく、より好ましくは80容量%以下、更に好ましくは70容量%以下である。パラフィン分を90容量%以下とすることにより、加工時における凝着発生防止効果を向上させることができる。
本発明においてナフテン分、パラフィン分とは、FIイオン化(ガラスリザーバ使用)による質量分析法により得られた分子イオン強度をもって、これらの割合を決定するものである。以下にその測定法を具体的に示す。
(1)径18mm、長さ980mmの溶出クロマト用吸着管に、約175℃、3時間の乾燥により活性化された呼び径74〜149μmシリカゲル(富士デビソン化学(株)製grade923)120gを充填する。
(2)n−ペンタン75mlを注入し、シリカゲルを予め湿す。
(3)試料約2gを精秤し、等容量のn−ペンタンで希釈し、得られた試料溶液を注入する。
(4)試料溶液の液面がシリカゲル上端に達したとき、飽和炭化水素成分を分離するためにn−ペンタン140mlを注入し、吸着管の下端より溶出液を回収する。
(5)溶出液をロータリーエバポレーターにかけて溶媒を留去し、飽和炭化水素成分を得る。
(6)飽和炭化水素成分を質量分析計でタイプ分析を行う。質量分析におけるイオン化方法としては、ガラスリザーバを使用したFIイオン化法が用いられ、質量分析計は日本電子(株)製JMS−AX505Hを使用する。
測定条件を以下に示す。
加速電圧:3.0kV、カソード電圧:−5〜−6kV、分解能:約500、エミッター:カーボン、エミッター電流:5mA、測定範囲:質量数35〜700、補助オーブン温度:300℃、セパレータ温度:300℃、主要オーブン温度:350℃、試料注入量:1μl
質量分析法によって得られた分子イオンは、同位体補正後、その質量数からパラフィン類(C2n+2)とナフテン類(C2n、C2n−2、C2n−4・・・)の2タイプに分類・整理し、それぞれのイオン強度の分率を求め、飽和炭化水素成分全体に対する各タイプの含有量を定める。次いで、飽和炭化水素成分の含有量をもとに、試料全体に対するパラフィン分、ナフテン分の各含有量を求める。
なお、FI法質量分析のタイプ分析法によるデータ処理の詳細は、「日石レビュー」第33巻第4号135〜142頁の特に「2.2.3データ処理」の項に記載されている。
また、鉱油の初留点は150℃以上であることが好ましく、より好ましくは155℃以上、更に好ましくは160℃以上である。鉱油の初留点を150℃以上とすることにより、室温での油剤の揮発を十分に防止することができる。一方、鉱油の終点は350℃以下であることが好ましく、より好ましくは340℃以下、更に好ましくは330℃以下である。また、鉱油の初留点と終点の温度差は100℃以下であることが好ましく、より好ましくは90℃以下、更に好ましくは80℃以下である。かかる温度差を100℃以下とすることにより、室温での油剤の揮発を防止することができる。ここで、初留点および終点とは、JIS K 2254「石油製品−蒸留試験方法」に準拠して測定された値を意味する。
本発明で使用可能な油脂としては、牛脂、豚脂、大豆油、菜種油、米ぬか油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、これらの水素添加物あるいはこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
本発明で使用可能な合成油としては、例えば、ポリオレフィン(エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン、1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー、およびこれらの水素化物等)、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、モノエステル(ブチルステアレート、オクチルラウレート等)、ジエステル(ジトリデシルグルタレート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルセパケート等)、ポリエステル(トリメリット酸エステル等)、ポリオールエステル(トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール−2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネート等)、ポリオキシアルキレングリコール、ポリフェニルエーテル、ジアルキルジフェニルエーテル、リン酸エステル(トリクレジルホスフェート等)、含フッ素化合物(ペルフルオロポリエーテル、フッ素化ポリオレフィン等)、シリコーン油等を挙げることができる。
本発明の金属加工油組成物用リン含有化合物としては、式(A)の構造を有するものを使用する。
Figure 0004979244
式(A)中、R’は炭素数1〜40のアルキル基である。
アルキル基は直鎖であっても分岐であってもよく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、直鎖又は分岐ペンチル基、直鎖又は分岐ヘキシル基、直鎖又は分岐ヘプチル基、直鎖又は分岐オクチル基、直鎖又は分岐ノニル基、直鎖又は分岐デシル基、直鎖又は分岐ウンデシル基、直鎖又は分岐ドデシル基、直鎖又は分岐トリデシル基、直鎖又は分岐テトラデシル基、直鎖又は分岐ペンタデシル基、直鎖又は分岐ヘキサデシル基、直鎖又は分岐ヘプタデシル基、直鎖又は分岐オクタデシル基、直鎖又は分岐ノナデシル基、直鎖又は分岐イコシル基、直鎖又は分岐ヘンイコシル基、直鎖又は分岐ドコシル基、直鎖又は分岐トリコシル基、直鎖又は分岐テトラコシル基、直鎖又は分岐トリアコンチル基、直鎖又は分岐テトラコンチル基等を挙げることができる。
式(A)中、R”は炭素数3のアルキル基である。アルキル基は直鎖であっても分岐であってもよく、具体的には、n−プロピル基、イソプロピル基を挙げることができる。
本発明において、式(A)で示すリン含有化合物の含有量は、金属加工油組成物全量基準で、上限値は35質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下、最も好ましくは1質量%以下であり、下限値は0.1質量%以上、好ましくは0.3質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上である。35質量%を越えるリン含有化合物の添加は、基油への溶解性が低下したり、金属加工油としての性能に悪影響を及ぼすおそれがあり、さらに加工材の変色、ステインなどの表面欠陥などの原因となるおそれがある。また、0.1質量%に満たないリン含有化合物では十分な加工性が得られないおそれがあり好ましくない。また式(A)で示す以外のリン含有化合物のみを添加した場合には良好な結果は得られない。
本発明の金属加工油組成物は油性剤を含有してもよい。本発明で使用される油性剤としては、通常潤滑油の油性剤として用いられているものが含まれる。しかしながら、より加工性を向上させるために下記の中から選ばれる少なくとも1種の油性剤を使用することが好ましい。
(1)エステル
(2)1価アルコール
上記(1)エステルとしては、構成するアルコールが1価アルコールでも多価アルコールでも良く、またカルボン酸が一塩基酸でも多塩基酸であっても良い。
1価アルコールとしては、通常炭素数1〜24のものが用いられ、このようなアルコールとしては直鎖のものでも分岐のものでもよい。炭素数1〜24のアルコールとしては、具体的には例えば、メタノール、エタノール、直鎖状または分岐状のプロパノール、直鎖状または分岐状のブタノール、直鎖状または分岐状のオクタノール、直鎖状または分岐状のノナノール、直鎖状または分岐状のデカノール、直鎖状または分岐状のウンデカノール、直鎖状または分岐状のドデカノール、直鎖状または分岐状のトリデカノール、直鎖状または分岐状のテトラデカノール、直鎖状または分岐状のペンタデカノール、直鎖状または分岐状のヘキサデカノール、直鎖状または分岐状のヘプタデカノール、直鎖状または分岐状のオクタデカノール、直鎖状または分岐状のノナデカノール、直鎖状または分岐状のエイコサノール、直鎖状または分岐状のヘンエイコサノール、直鎖状または分岐状のトリコサノール、直鎖状または分岐状のテトラコサノールおよびこれらの混合物が挙げられる。
多価アルコールとしては、通常2〜10価、好ましくは2〜6価のものが用いられる。多価アルコールとしては、具体的には例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(エチレングリコールの3〜15量体)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(プロピレングリコールの3〜15量体)、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール等の2価アルコール;グリセリン、ポリグリセリン(グリセリンの2〜8量体、例えばジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン等)、トリメチロールアルカン(トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン等)およびこれらの2〜8量体、ペンタエリスリトールおよびこれらの2〜4量体、1,2,4−ブタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3,4−ブタンテトロール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトール等の多価アルコール;キシロース、アラビノース、リボース、ラムノース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、セロビオース、マルトース、イソマルトース、トレハロース、スクロース等の糖類、およびこれらの混合物が挙げられる。
これらの中でも特に、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(エチレングリコールの3〜10量体)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(プロピレングリコールの3〜10量体)、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、トリメチロールアルカン(トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン等)およびこれらの2〜4量体、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3,4−ブタンテトロール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトール等の2〜6価の多価アルコールおよびこれらの混合物等がより好ましい。さらに好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビタン、およびこれらの混合物等である。
本発明に係るエステル油性剤を構成する一塩基酸としては、通常炭素数6〜24の脂肪酸で、直鎖のものでも分岐のものでも良く、また飽和のものでも不飽和のものでも良い。具体的には例えば、直鎖状または分岐状のヘキサン酸、直鎖状または分岐状のオクタン酸、直鎖状または分岐状のノナン酸、直鎖状または分岐状のデカン酸、直鎖状または分岐状のウンデカン酸、直鎖状または分岐状のドデカン酸、直鎖状または分岐状のトリデカン酸、直鎖状または分岐状のテトラデカン酸、直鎖状または分岐状のペンタデカン酸、直鎖状または分岐状のヘキサデカン酸、直鎖状または分岐状のオクタデカン酸、直鎖状または分岐状のヒドロキシオクタデカン酸、直鎖状または分岐状のノナデカン酸、直鎖状または分岐状のエイコサン酸、直鎖状または分岐状のヘンエイコサン酸、直鎖状または分岐状のドコサン酸、直鎖状または分岐状のトリコサン酸、直鎖状または分岐状のテトラコサン酸等の飽和脂肪酸;直鎖状または分岐状のヘキセン酸、直鎖状または分岐状のヘプテン酸、直鎖状または分岐状のオクテン酸、直鎖状または分岐状のノネン酸、直鎖状または分岐状のデセン酸、直鎖状または分岐状のウンデセン酸、直鎖状または分岐状のドデセン酸、直鎖状または分岐状のトリデセン酸、直鎖状または分岐状のテトラデセン酸、直鎖状または分岐状のペンタデセン酸、直鎖状または分岐状のヘキサデセン酸、直鎖状または分岐状のオクタデセン酸、直鎖状または分岐状のヒドロキシオクタデセン酸、直鎖状または分岐状のノナデセン酸、直鎖状または分岐状のエイコセン酸、直鎖状または分岐状のヘンエイコセン酸、直鎖状または分岐状のドコセン酸、直鎖状または分岐状のトリコセン酸、直鎖状または分岐状のテトラコセン酸等の不飽和脂肪酸、およびこれらの混合物が挙げられる。これらの中でも、特に炭素数8〜20の飽和脂肪酸、炭素数8〜20の不飽和脂肪酸、およびこれらの混合物が好ましい。
エステル油性剤を構成する多塩基酸としては、炭素数2〜16の二塩基酸およびトリメリト酸等が挙げられる。炭素数2〜16の二塩基酸としては、直鎖のものでも分岐のものでも良く、また飽和のものでも不飽和のものでも良い。具体的には例えば、エタン二酸、プロパン二酸、直鎖状または分岐状のブタン二酸、直鎖状または分岐状のペンタン二酸、直鎖状または分岐状のヘキサン二酸、直鎖状または分岐状のオクタン二酸、直鎖状または分岐状のノナン二酸、直鎖状または分岐状のデカン二酸、直鎖状または分岐状のウンデカン二酸、直鎖状または分岐状のドデカン二酸、直鎖状または分岐状のトリデカン二酸、直鎖状または分岐状のテトラデカン二酸、直鎖状または分岐状のヘプタデカン二酸、直鎖状または分岐状のヘキサデカン二酸;直鎖状または分岐状のヘキセン二酸、直鎖状または分岐状のオクテン二酸、直鎖状または分岐状のノネン二酸、直鎖状または分岐状のデセン二酸、直鎖状または分岐状のウンデセン二酸、直鎖状または分岐状のドデセン二酸、直鎖状または分岐状のトリデセン二酸、直鎖状または分岐状のテトラデセン二酸、直鎖状または分岐状のヘプタデセン二酸、直鎖状または分岐状のヘキサデセン二酸;およびこれらの混合物が挙げられる。
また、エステル油性剤としては、
(1a)一価アルコールと一塩基酸のエステル
(1b)多価アルコールと一塩基酸のエステル
(1c)一価アルコールと多塩基酸のエステル
(1d)多価アルコールと多塩基酸のエステル
(1e)一価アルコール、多価アルコールの混合物と多塩基酸との混合エステル
(1f)多価アルコールと一塩基酸、多塩基酸の混合物との混合エステル
(1g)一価アルコール、多価アルコールの混合物と一塩基酸、多塩基酸の混合物との
混合エステル
等、任意のアルコールとカルボン酸の組み合わせによるエステルが使用可能であり、特に限定されるものではない。
なお、アルコール成分として多価アルコールを用いた場合、多価アルコール中の水酸基全てがエステル化された完全エステルを示す。また、カルボン酸成分として多塩基酸を用いた場合、多塩基酸中のカルボキシル基全てがエステル化された完全エステルでも良く、カルボキシル基の一部がエステル化されずカルボキシル基のままで残っている部分エステルであっても良い。
本発明で用いられるエステルとしては、上記した何れのものも使用可能であるが、この中でもより加工性に優れる点から、(1a)一価アルコールと一塩基酸のエステルまたは(1c)一価アルコールと多塩基酸のエステルが好ましく、(1a)一価アルコールと一塩基酸のエステルがより好ましく、(1a)一価アルコールと一塩基酸のエステルと(1c)一価アルコールと多塩基酸のエステルを併用することが最も好ましい。
本発明において油性剤として用いられる(1a)一価アルコールと一塩基酸のエステルの合計炭素数には特に制限はないが、合計炭素数の下限値が7以上のエステルが好ましく、9以上のエステルがより好ましく、11以上のエステルが最も好ましい。また、合計炭素数の上限値が26以下のエステルが好ましく、24以下のエステルがより好ましく、22以下のエステルが最も好ましい。前記一価アルコールの炭素数には特に制限はないが、炭素数1〜10が好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6がさらにより好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。前記一塩基酸の炭素数には特に制限はないが、炭素数8〜22が好ましく、炭素数10〜20がより好ましく、炭素数12〜18が最も好ましい。前記合計炭素数、前記アルコールの炭素数および前記一塩基酸の炭素数を前述のように設定することが好ましいのは、上限値に関してはステインや腐食の発生を増大させる恐れが大きくなる点、冬季において流動性を失い扱いが困難になる恐れが大きくなる点および基油への溶解性が低下して析出する恐れが大きくなる点を考慮してであり、下限値に関しては、潤滑性能の点および臭気による作業環境悪化の点を考慮してである。
本発明において油性剤として用いられる(1c)一価アルコールと多塩基酸のエステルの形態は特に制限されないが、下記式(1)で表されるジエステル、またはトリメリット酸のエステルであることが好ましい。
−O−CO(CHCO−O−R (1)
[式中、RおよびRは互いに同一または異なる基であって炭素数3〜10の炭化水素基を示し、nは4〜8を示す。]
潤滑性能の向上効果が期待できなくなる恐れがある、臭気により作業環境が悪化する等の点から、前記式(1)においてRおよびRは炭素数3以上の炭化水素基であることが好ましい。また、ステインや腐食の発生を増大させる恐れが大きくなる、冬季において流動性を失い扱いが困難になる恐れが大きくなる、基油への溶解性が低下して析出する恐れが大きくなる等の点から、前記式(1)においてRおよびRは炭素数10以下の炭化水素基であることが好ましい。前記式(1)においてnは4〜8を示す。ステインや腐食の発生を増大させる恐れが大きくなる、冬季において流動性を失い扱いが困難になる恐れが大きくなる、基油への溶解性が低下して析出する恐れが大きくなる等の点から、nは8以下であることが好ましい。また潤滑性能の向上効果が期待できなくなる恐れがある、臭気により作業環境が悪化する等の点から、nは4以上であることが好ましい。このうち、原料の入手のしやすさ、および価格の点からn=4、6が特に好ましい。
前記ジエステルのRおよびRとしては、アルキル基、アルケニル基、アルキルシクロアルキル基、アルキルフェニル基、フェニルアルキル基等が挙げられ、特にアルキル基が好ましい。このアルキル基には直鎖アルキル基または分岐アルキル基が含まれ、直鎖アルキル基と分岐アルキル基が混在していてもよいが、分岐アルキル基が好ましい。
前記RおよびRとしては、具体的には例えば、直鎖または分岐のプロピル基、直鎖または分岐のブチル基、直鎖または分岐のペンチル基、直鎖または分岐のヘキシル基、直鎖または分岐のヘプチル基、直鎖または分岐のオクチル基、直鎖または分岐のノニル基、直鎖または分岐のデシル基等を挙げることができる。前記式(1)で表されるジエステルは任意の方法で得られるが、例えば炭素数6〜10(炭素数6から順に、アジピン酸、ピメリン酸、コルク酸、アゼライン酸、セバシン酸)の直鎖飽和ジカルボン酸またはその誘導体と炭素数3〜10のアルコールとをエステル化させる方法等が例示される。トリメリット酸をエステル化する1価アルコールの炭素数は特に制限はないが、ステインや腐食の発生を増大させる恐れが大きくなる、冬季において流動性を失い扱いが困難になる恐れが大きくなる、基油への溶解性が低下して析出する恐れが大きくなる等の点から、炭素数1〜10が好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6がさらに好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。トリメリット酸のエステルは、部分エステル(モノエステルまたはジエステル)でも完全エステル(トリエステル)でもよい。
油性剤として用いられる上記(2)1価アルコールとしては、上記(1)エステルを構成するアルコールとして列挙した1価アルコールの化合物等が挙げられる。潤滑性能の点および臭気による作業環境悪化の点から、炭素数6以上の1価アルコールが好ましく、炭素数8以上のアルコールがより好ましく、炭素数10以上のアルコールがさらにより好ましく、炭素数12以上のアルコールが最も好ましい。また、ステインや腐食の発生を増大させる恐れが大きくなる点、冬季において流動性を失い扱いが困難になる恐れが大きくなる点および基油への溶解性が低下して析出する恐れが大きくなる点から、炭素数20以下のアルコールが好ましく、炭素数18以下のアルコールがより好ましい。
本発明の金属加工油組成物に用いる油性剤としては、上述したように上記各種油性剤の中から選ばれる1種のみを用いても良く、また2種以上の混合物を用いても良いが、潤滑性能の点から、(1)エステルおよび(2)1価アルコールが好ましく、(1)エステルがより好ましい。
上記油性剤の合計含有量は、組成物全量基準で0.1〜70質量%であることが好ましい。加工性の点から、含有量の下限値は0.1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上である。また、含有量が多過ぎるとステインや腐食の発生を増大させる可能性がある等の点から、含有量の上限値は70質量%以下であることが好ましく、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下、さらにより好ましくは15質量%以下、さらにより一層好ましくは12質量%以下、最も好ましくは10質量%以下である。
また、本発明の金属加工油組成物は、極圧剤を更に含有することができ、好ましい極圧剤としては、後述する硫黄化合物及び式(A)で示す化合物以外のリン含有化合物が挙げられる。
本発明で用いられる硫黄化合物としては、金属加工油組成物の特性を損なわない限りにおいて特に制限されないが、ジハイドロカルビルポリサルファイド、硫化エステル、硫化鉱油、ジチオリン酸亜鉛化合物、ジチオカルバミン酸亜鉛化合物、ジチオリン酸モリブデン化合物及びジチオカルバミン酸モリブデン化合物が好ましく用いられる。
ジハイドロカルビルポリサルファイドとは、一般的にポリサルファイド又は硫化オレフィンと呼ばれる硫黄系化合物であり、具体的には下記一般式(2)で表される化合物を意味する。
−S−R(2)
[式(2)中、R及びRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数3〜20の直鎖状又は分岐状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアルキルアリール基あるいは炭素数6〜20のアリールアルキル基を表し、hは2〜6、好ましくは2〜5の整数を表す。]
上記一般式(2)中のR及びRとしては、具体的には、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、直鎖又は分岐ペンチル基、直鎖又は分岐ヘキシル基、直鎖又は分岐ヘプチル基、直鎖又は分岐オクチル基、直鎖又は分岐ノニル基、直鎖又は分岐デシル基、直鎖又は分岐ウンデシル基、直鎖又は分岐ドデシル基、直鎖又は分岐トリデシル基、直鎖又は分岐テトラデシル基、直鎖又は分岐ペンタデシル基、直鎖又は分岐ヘキサデシル基、直鎖又は分岐ヘプタデシル基、直鎖又は分岐オクタデシル基、直鎖又は分岐ノナデシル基、直鎖又は分岐イコシル基等の直鎖状又は分岐状のアルキル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;トリル基(全ての構造異性体を含む)、エチルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖又は分岐プロピルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖又は分岐ブチルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖又は分岐ペンチルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖又は分岐ヘキシルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖又は分岐ヘプチルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖又は分岐オクチルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖又は分岐ノニルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖又は分岐デシルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖又は分岐ウンデシルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖又は分岐ドデシルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、キシリル基(全ての構造異性体を含む)、エチルメチルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、ジエチルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、ジ(直鎖又は分岐)プロピルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、ジ(直鎖又は分岐)ブチルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、メチルナフチル基(全ての構造異性体を含む)、エチルナフチル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖又は分岐プロピルナフチル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖又は分岐ブチルナフチル基(全ての構造異性体を含む)、ジメチルナフチル基(全ての構造異性体を含む)、エチルメチルナフチル基(全ての構造異性体を含む)、ジエチルナフチル基(全ての構造異性体を含む)、ジ(直鎖又は分岐)プロピルナフチル基(全ての構造異性体を含む)、ジ(直鎖又は分岐)ブチルナフチル基(全ての構造異性体を含む)等のアルキルアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基(全ての異性体を含む)、フェニルプロピル基(全ての異性体を含む)等のアリールアルキル基;等を挙げることができる。これらの中でも、一般式(2)中のR及びRとしては、プロピレン、1−ブテン又はイソブチレンから誘導された炭素数3〜18のアルキル基、又は炭素数6〜8のアリール基、アルキルアリール基あるいはアリールアルキル基であることが好ましく、これらの基としては例えば、イソプロピル基、プロピレン2量体から誘導される分岐状ヘキシル基(全ての分岐状異性体を含む)、プロピレン3量体から誘導される分岐状ノニル基(全ての分岐状異性体を含む)、プロピレン4量体から誘導される分岐状ドデシル基(全ての分岐状異性体を含む)、プロピレン5量体から誘導される分岐状ペンタデシル基(全ての分岐状異性体を含む)、プロピレン6量体から誘導される分岐状オクタデシル基(全ての分岐状異性体を含む)、sec−ブチル基、tert−ブチル基、1−ブテン2量体から誘導される分岐状オクチル基(全ての分岐状異性体を含む)、イソブチレン2量体から誘導される分岐状オクチル基(全ての分岐状異性体を含む)、1−ブテン3量体から誘導される分岐状ドデシル基(全ての分岐状異性体を含む)、イソブチレン3量体から誘導される分岐状ドデシル基(全ての分岐状異性体を含む)、1−ブテン4量体から誘導される分岐状ヘキサデシル基(全ての分岐状異性体を含む)、イソブチレン4量体から誘導される分岐状ヘキサデシル基(全ての分岐状異性体を含む)等のアルキル基;フェニル基、トリル基(全ての構造異性体を含む)、エチルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、キシリル基(全ての構造異性体を含む)等のアルキルアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基(全ての異性体を含む)等のアリールアルキル基が挙げられる。
さらに、上記一般式(2)中のR及びRとしては、凝着防止性能向上の点から、別個に、エチレン又はプロピレンから誘導された炭素数3〜18の分岐状アルキル基であることがより好ましく、エチレン又はプロピレンから誘導された炭素数6〜15の分岐状アルキル基であることが特に好ましい。
硫化エステルとしては、具体的には例えば、牛脂、豚脂、魚脂、菜種油、大豆油等の動植物油脂;不飽和脂肪酸(オレイン酸、リノール酸又は上記の動植物油脂から抽出された脂肪酸類等を含む)と各種アルコールとを反応させて得られる不飽和脂肪酸エステル;及びこれらの混合物等を任意の方法で硫化することにより得られるものが挙げられる。
硫化鉱油とは、鉱油に単体硫黄を溶解させたものをいう。ここで、本発明にかかる硫化鉱油に用いられる鉱油としては特に制限されないが、具体的には、原油に常圧蒸留及び減圧蒸留を施して得られる潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の精製処理を適宜組み合わせて精製したパラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油等が挙げられる。また、単体硫黄としては、塊状、粉末状、溶融液体状等いずれの形態のものを用いてもよいが、粉末状又は溶融液体状の単体硫黄を用いると基油への溶解を効率よく行うことができるので好ましい。なお、溶融液体状の単体硫黄は液体同士を混合するので溶解作業を非常に短時間で行うことができるという利点を有しているが、単体硫黄の融点以上で取り扱わねばならず、加熱設備等の特別な装置を必要としたり、高温雰囲気下での取り扱いとなるため危険を伴う等取り扱いが必ずしも容易ではない。これに対して、粉末状の単体硫黄は、安価で取り扱いが容易であり、しかも溶解に要する時間が十分に短いので特に好ましい。また、本発明にかかる硫化鉱油における硫黄含有量に特に制限はないが、通常、硫化鉱油全量を基準として好ましくは0.05〜1.0質量%であり、より好ましくは0.1〜0.5質量%である。
ジチオリン酸亜鉛化合物、ジチオカルバミン酸亜鉛化合物、ジチオリン酸モリブデン化合物及びジチオカルバミン酸モリブデン化合物とは、それぞれ下記一般式(3)〜(6)で表される化合物を意味する。
Figure 0004979244
[式(3)〜(6)中、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19及びR20は同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1以上の炭化水素基を表し、X及びXはそれぞれ酸素原子又は硫黄原子を表す。]
ここで、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19及びR20で表される炭化水素基の具体例を例示すれば、メチル基、エチル基、プロピル基(すべての分岐異性体を含む)、ブチル基(すべての分岐異性体を含む)、ペンチル基(すべての分岐異性体を含む)、ヘキシル基(すべての分岐異性体を含む)、ヘプチル基(すべての分岐異性体を含む)、オクチル基(すべての分岐異性体を含む)、ノニル基(すべての分岐異性体を含む)、デシル基(すべての分岐異性対を含む)、ウンデシル基(すべての分岐異性対を含む)、ドデシル基(すべての分岐異性対を含む)、トリデシル基(すべての分岐異性対を含む)、テトラデシル基(すべての分岐異性対を含む)、ペンタデシル基(すべての分岐異性対を含む)、ヘキサデシル基(すべての分岐異性対を含む)、ヘプタデシル基(すべての分岐異性対を含む)、オクタデシル基(すべての分岐異性対を含む)、ノナデシル基(すべての分岐異性対を含む)、イコシル基(すべての分岐異性対を含む)、ヘンイコシル基(すべての分岐異性対を含む)、ドコシル基(すべての分岐異性対を含む)、トリコシル基(すべての分岐異性対を含む)、テトラコシル基(すべての分岐異性対を含む)等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;メチルシクロペンチル基(すべての置換異性体を含む)、エチルシクロペンチル基(すべての置換異性体を含む)、ジメチルシクロペンチル基(すべての置換異性体を含む)、プロピルシクロペンチル基(すべての分岐異性体、置換異性体を含む)、メチルエチルシクロペンチル基(すべての置換異性体を含む)、トリメチルシクロペンチル基(すべての置換異性体を含む)、ブチルシクロペンチル基(すべての分岐異性体、置換異性体を含む)、メチルプロピルシクロペンチル基(すべての分岐異性体、置換異性体を含む)、ジエチルシクロペンチル基(すべての置換異性体を含む)、ジメチルエチルシクロペンチル基(すべての置換異性体を含む)、メチルシクロヘキシル基(すべての置換異性体を含む)、エチルシクロヘキシル基(すべての置換異性体を含む)、ジメチルシクロヘキシル基(すべての置換異性体を含む)、プロピルシクロヘキシル基(すべての分岐異性体、置換異性体を含む)、メチルエチルシクロヘキシル基(すべての置換異性体を含む)、トリメチルシクロヘキシル基(すべての置換異性体を含む)、ブチルシクロヘキシル基(すべての分岐異性体、置換異性体を含む)、メチルプロピルシクロヘキシル基(すべての分岐異性体、置換異性体を含む)、ジエチルシクロヘキシル基(すべての置換異性体を含む)、ジメチルエチルシクロヘキシル基(すべての置換異性体を含む)、メチルシクロヘプチル基(すべての置換異性体を含む)、エチルシクロヘプチル基(すべての置換異性体を含む)、ジメチルシクロヘプチル基(すべての置換異性体を含む)、プロピルシクロヘプチル基(すべての分岐異性体、置換異性体を含む)、メチルエチルシクロヘプチル基(すべての置換異性体を含む)、トリメチルシクロヘプチル基(すべての置換異性体を含む)、ブチルシクロヘプチル基(すべての分岐異性体、置換異性体を含む)、メチルプロピルシクロヘプチル基(すべての分岐異性体、置換異性体を含む)、ジエチルシクロヘプチル基(すべての置換異性体を含む)、ジメチルエチルシクロヘプチル基(すべての置換異性体を含む)等のアルキルシクロアルキル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;トリル基(すべての置換異性体を含む)、キシリル基(すべての置換異性体を含む)、エチルフェニル基(すべての置換異性体を含む)、プロピルフェニル基(すべての分岐異性体、置換異性体を含む)、メチルエチルフェニル基(すべての置換異性体を含む)、トリメチルフェニル基(すべての置換異性体を含む)、ブチルフェニル基(すべての分岐異性体、置換異性体を含む)、メチルプロピルフェニル基(すべての分岐異性体、置換異性体を含む)、ジエチルフェニル基(すべての置換異性体を含む)、ジメチルエチルフェニル基(すべての置換異性体を含む)、ペンチルフェニル基(すべての分岐異性体、置換異性体を含む)、ヘキシルフェニル基(すべての分岐異性体、置換異性体を含む)、ヘプチルフェニル基(すべての分岐異性体、置換異性体を含む)、オクチルフェニル基(すべての分岐異性体、置換異性体を含む)、ノニルフェニル基(すべての分岐異性体、置換異性体を含む)、デシルフェニル基(すべての分岐異性体、置換異性体を含む)、ウンデシルフェニル基(すべての分岐異性体、置換異性体を含む)、ドデシルフェニル基(すべての分岐異性体、置換異性体を含む)、トリデシルフェニル基(すべての分岐異性体、置換異性体を含む)、テトラデシルフェニル基(すべての分岐異性体、置換異性体を含む)、ペンタデシルフェニル基(すべての分岐異性体、置換異性体を含む)、ヘキサデシルフェニル基(すべての分岐異性体、置換異性体を含む)、ヘプタデシルフェニル基(すべての分岐異性体、置換異性体を含む)、オクタデシルフェニル基(すべての分岐異性体、置換異性体を含む)等のアルキルアリール基;ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基(すべての分岐異性体を含む)、フェニルブチル基(すべての分岐異性体を含む)等のアリールアルキル基等が挙げられる。
本発明においては、上記硫黄化合物の中でも、ジハイドロカルビルポリサルファイド及び硫化エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いると、凝着防止性能向上効果が一層高水準で得られるので好ましい。
式(A)で示す化合物以外のリン含有化合物としては、具体的には例えば、リン酸トリエステル、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステルのアミン塩、塩素化リン酸エステル、亜リン酸エステル及びフォスフォロチオネート、下記一般式(7)又は(8)で表されるリン化合物の金属塩等が挙げられる。これらのリン化合物は、リン酸、亜リン酸又はチオリン酸とアルカノール、ポリエーテル型アルコールとのエステルあるいはその誘導体が挙げられる。
Figure 0004979244
[式(7)中、X、X及びXは同一でも異なっていてもよく、それぞれ酸素原子又は硫黄原子を表し、X、X又はXの少なくとも2つは酸素原子であり、R21、R22、及びR23は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基を表す]
Figure 0004979244
[式(8)中、X、X、X及びXは同一でも異なっていてもよく、それぞれ酸素原子又は硫黄原子を表し、X、X、X又はXの少なくとも3つは酸素原子であり、R24、R25及びR26は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基を表す。]
より具体的には、リン酸トリエステルとしては、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリヘプチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリノニルホスフェート、トリデシルホスフェート、トリウンデシルホスフェート、トリドデシルホスフェート、トリトリデシルホスフェート、トリテトラデシルホスフェート、トリペンタデシルホスフェート、トリヘキサデシルホスフェート、トリヘプタデシルホスフェート、トリオクタデシルホスフェート、トリオレイルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート等;
酸性リン酸エステルとしては、モノブチルアシッドホスフェート、モノペンチルアシッドホスフェート、モノヘキシルアシッドホスフェート、モノヘプチルアシッドホスフェート、モノオクチルアシッドホスフェート、モノノニルアシッドホスフェート、モノデシルアシッドホスフェート、モノウンデシルアシッドホスフェート、モノドデシルアシッドホスフェート、モノトリデシルアシッドホスフェート、モノテトラデシルアシッドホスフェート、モノペンタデシルアシッドホスフェート、モノヘキサデシルアシッドホスフェート、モノヘプタデシルアシッドホスフェート、モノオクタデシルアシッドホスフェート、モノオレイルアシッドホスフェート、ジブチルアシッドホスフェート、ジペンチルアシッドホスフェート、ジヘキシルアシッドホスフェート、ジヘプチルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジノニルアシッドホスフェート、ジデシルアシッドホスフェート、ジウンデシルアシッドホスフェート、ジドデシルアシッドホスフェート、ジトリデシルアシッドホスフェート、ジテトラデシルアシッドホスフェート、ジペンタデシルアシッドホスフェート、ジヘキサデシルアシッドホスフェート、ジヘプタデシルアシッドホスフェート、ジオクタデシルアシッドホスフェート、ジオレイルアシッドホスフェート等;
酸性リン酸エステルのアミン塩としては、前記酸性リン酸エステルのメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン等のアミンとの塩等;
塩素化リン酸エステルとしては、トリス・ジクロロプロピルホスフェート、トリス・クロロエチルホスフェート、トリス・クロロフェニルホスフェート、ポリオキシアルキレン・ビス[ジ(クロロアルキル)]ホスフェート等;
亜リン酸エステルとしては、ジブチルホスファイト、ジペンチルホスファイト、ジヘキシルホスファイト、ジヘプチルホスファイト、ジオクチルホスファイト、ジノニルホスファイト、ジデシルホスファイト、ジウンデシルホスファイト、ジドデシルホスファイト、ジオレイルホスファイト、ジフェニルホスファイト、ジクレジルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリペンチルホスファイト、トリヘキシルホスファイト、トリヘプチルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリノニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリウンデシルホスファイト、トリドデシルホスファイト、トリオレイルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリクレジルホスファイト等;
フォスフォロチオネートとしては、トリブチルフォスフォロチオネート、トリペンチルフォスフォロチオネート、トリヘキシルフォスフォロチオネート、トリヘプチルフォスフォロチオネート、トリオクチルフォスフォロチオネート、トリノニルフォスフォロチオネート、トリデシルフォスフォロチオネート、トリウンデシルフォスフォロチオネート、トリドデシルフォスフォロチオネート、トリトリデシルフォスフォロチオネート、トリテトラデシルフォスフォロチオネート、トリペンタデシルフォスフォロチオネート、トリヘキサデシルフォスフォロチオネート、トリヘプタデシルフォスフォロチオネート、トリオクタデシルフォスフォロチオネート、トリオレイルフォスフォロチオネート、トリフェニルフォスフォロチオネート、トリクレジルフォスフォロチオネート、トリキシレニルフォスフォロチオネート、クレジルジフェニルフォスフォロチオネート、キシレニルジフェニルフォスフォロチオネート、トリス(n−プロピルフェニル)フォスフォロチオネート、トリス(イソプロピルフェニル)フォスフォロチオネート、トリス(n−ブチルフェニル)フォスフォロチオネート、トリス(イソブチルフェニル)フォスフォロチオネート、トリス(s−ブチルフェニル)フォスフォロチオネート、トリス(t−ブチルフェニル)フォスフォロチオネート等が挙げられる。
また、上記一般式(7)又は(8)で表されるリン化合物の金属塩に関し、式中のR21〜R26で表される炭素数1〜30の炭化水素基としては、具体的には、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキルシクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基等が挙げられる。
上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等のアルキル基(これらアルキル基は直鎖状でも分岐状でもよい)が挙げられる。
上記シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の炭素数5〜7のシクロアルキル基を挙げることができる。また上記アルキルシクロアルキル基としては、例えば、メチルシクロペンチル基、ジメチルシクロペンチル基、メチルエチルシクロペンチル基、ジエチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、メチルエチルシクロヘキシル基、ジエチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、ジメチルシクロヘプチル基、メチルエチルシクロヘプチル基、ジエチルシクロヘプチル基等の炭素数6〜11のアルキルシクロアルキル基(アルキル基のシクロアルキル基への置換位置も任意である)が挙げられる。
上記アルケニル基としては、例えば、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基等のアルケニル基(これらアルケニル基は直鎖状でも分岐状でもよく、また二重結合の位置も任意である)が挙げられる。
上記アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等のアリール基を挙げることができる。また上記アルキルアリール基としては、例えば、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基等の炭素数7〜18のアルキルアリール基(アルキル基は直鎖状でも分岐状でもよく、またアリール基への置換位置も任意である)が挙げられる。
上記アリールアルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基、フェニルヘキシル基等の炭素数7〜12のアリールアルキル基(これらアルキル基は直鎖状でも分岐状でもよい)が挙げられる。
21〜R26で表される炭素数1〜30の炭化水素基は、炭素数1〜30のアルキル基又は炭素数6〜24のアリール基であることが好ましく、更に好ましくは炭素数3〜18のアルキル基、更に好ましくは炭素数4〜12のアルキル基である。
21、R22及びR23は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は上記炭化水素基を表すが、R21、R22及びR23のうち、1〜3個が上記炭化水素基であることが好ましく、1〜2個が上記炭化水素基であることがより好ましく、2個が上記炭化水素基であることがさらに好ましい。
また、R24、R25及びR26は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は上記炭化水素基を表すが、R24、R25及びR26のうち、1〜3個が上記炭化水素基であることが好ましく、1〜2個が上記炭化水素基であることがより好ましく、2個が上記炭化水素基であることがさらに好ましい。
一般式(7)で表されるリン化合物において、X〜Xのうちの少なくとも2つは酸素原子であることが必要であるが、X〜Xの全てが酸素原子であることが好ましい。
また、一般式(8)で表されるリン化合物において、X〜Xのうちの少なくとも3つは酸素原子であることが必要であるが、X〜Xの全てが酸素原子であることが好ましい。
一般式(7)で表されるリン化合物としては、例えば、亜リン酸、モノチオ亜リン酸;上記炭素数1〜30の炭化水素基を1つ有する亜リン酸モノエステル、モノチオ亜リン酸モノエステル;上記炭素数1〜30の炭化水素基を2つ有する亜リン酸ジエステル、モノチオ亜リン酸ジエステル;上記炭素数1〜30の炭化水素基を3つ有する亜リン酸トリエステル、モノチオ亜リン酸トリエステル;及びこれらの混合物が挙げられる。これらの中でも、亜リン酸モノエステル、亜リン酸ジエステルが好ましく、亜リン酸ジエステルがより好ましい。
また、一般式(8)で表されるリン化合物としては、例えば、リン酸、モノチオリン酸;上記炭素数1〜30の炭化水素基を1つ有するリン酸モノエステル、モノチオリン酸モノエステル;上記炭素数1〜30の炭化水素基を2つ有するリン酸ジエステル、モノチオリン酸ジエステル;上記炭素数1〜30の炭化水素基を3つ有するリン酸トリエステル、モノチオリン酸トリエステル;及びこれらの混合物が挙げられる。これらの中でも、リン酸モノエステル、リン酸ジエステルが好ましく、リン酸ジエステルがより好ましい。
一般式(7)又は(8)で表されるリン化合物の金属塩としては、当該リン化合物の酸性水素の一部又は全部を金属塩基で中和した塩が挙げられる。用いる金属塩基としては、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸塩、金属塩化物等が挙げられ、その金属としては、具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム、バリウム等のアルカリ土類金属、亜鉛、銅、鉄、鉛、ニッケル、銀、マンガン等の重金属等が挙げられる。これらの中ではカルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属及び亜鉛が好ましい。
上記リン化合物の金属塩は、金属の価数やリン化合物のOH基あるいはSH基の数に応じその構造が異なり、従ってその構造については何ら限定されないが、例えば、酸化亜鉛1molとリン酸ジエステル(OH基が1つ)2molを反応させた場合、下記式(9)で表される構造の化合物が主成分として得られると考えられるが、ポリマー化した分子も存在していると考えられる。
Figure 0004979244
また、例えば、酸化亜鉛1molとリン酸モノエステル(OH基が2つ)1molとを反応させた場合、下記式(10)で表される構造の化合物が主成分として得られると考えられるが、ポリマー化した分子も存在していると考えられる。
Figure 0004979244
また、これらの2種以上の混合物も使用できる。
本発明においては、上記リン化合物の中でも、より高い凝着防止性能向上効果が得られることから、リン酸トリエステル、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステルのアミン塩及びフォスフォロチオネートが好ましい。
本発明の金属加工油組成物は、硫黄化合物又は式(A)で示す化合物以外のリン化合物の一方のみを含有するものであってもよく、硫黄化合物と式(A)で示す化合物以外のリン化合物との双方を含有するものであってもよい。凝着防止性能向上効果がより高められる点からは、硫黄化合物及び式(A)で示す化合物以外のリン化合物の双方を含有することが好ましい。
上記極圧剤の含有量は任意であるが、凝着防止性能向上の点から、組成物全量基準で、0.005質量%以上であることが好ましく、0.01質量%以上であることがより好ましく、0.05質量%以上であることがさらに好ましい。また、異常摩耗の防止の点から、極圧剤の含有量は、組成物全量基準で、15質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、7質量%以下であることが特に好ましい。
また、本発明の金属加工油組成物においては、より優れた凝着防止性能が得られる点から、有機酸塩を含有することができる。有機酸塩としては、スルホネート、フェネート、サリシレート、並びにこれらの混合物が好ましく用いられる。これらの有機酸塩の陽性成分としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;マグネシウム、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属;アンモニア、炭素数1〜3のアルキル基を有するアルキルアミン(モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン等)、炭素数1〜3のアルカノール基を有するアルカノールアミン(モノメタノールアミン、ジメタノールアミン、トリメタノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン等)等のアミン、亜鉛等が挙げられるが、これらの中でもアルカリ金属又はアルカリ土類金属が好ましく、カルシウムが特に好ましい。有機酸塩の陽性成分がアルカリ金属又はアルカリ土類金属であると、より高い潤滑性が得られる傾向にある。
有機酸塩の全塩基価は、好ましくは50〜500mgKOH/gであり、より好ましくは100〜450mgKOH/gである。有機酸塩の全塩基価が50mgKOH/g未満の場合は有機酸塩の添加による潤滑性向上効果が不十分となる傾向にあり、他方、全塩基価が500mgKOH/gを超える有機酸塩は、通常、製造が非常に難しく入手が困難であるため、それぞれ好ましくない。なお、ここでいう全塩基価とは、JIS K 2501「石油製品及び潤滑油−中和価試験方法」の7.に準拠して測定される過塩素酸法による全塩基価(mgKOH/g)をいう。
スルホネートは、任意の方法によって製造されたものが使用可能である。例えば、分子量100〜1500、好ましくは200〜700のアルキル芳香族化合物をスルホン化することによって得られるアルキル芳香族スルホン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アミン塩及びこれらの混合物等が使用できる。ここでいうアルキル芳香族スルホン酸としては、一般に鉱油の潤滑油留分のアルキル芳香族化合物をスルホン化したものや、ホワイトオイル製造時に副生する、いわゆるマホガニー酸等の石油スルホン酸や、洗剤の原料となるアルキルベンゼン製造プラントから副生したり、ポリオレフィンをベンゼンにアルキル化することにより得られる直鎖状又は分岐状のアルキル基を有するアルキルベンゼンをスルホン化したもの、あるいはジノニルナフタレン等のアルキルナフタレンをスルホン化したもの等の合成スルホン酸等が挙げられる。また、上記のアルキル芳香族スルホン酸と、アルカリ金属の塩基(アルカリ金属の酸化物や水酸化物等)、アルカリ土類金属の塩基(アルカリ土類金属の酸化物や水酸化物等)又は上述したアミン(アンモニア、アルキルアミンやアルカノールアミン等)とを反応させて得られるいわゆる中性(正塩)スルホネート;中性(正塩)スルホネートと、過剰のアルカリ金属の塩基、アルカリ土類金属の塩基又はアミンを水の存在下で加熱することにより得られるいわゆる塩基性スルホネート;炭酸ガスの存在下で中性(正塩)スルホネートをアルカリ金属の塩基、アルカリ土類金属の塩基又はアミンと反応させることにより得られるいわゆる炭酸塩過塩基性(超塩基性)スルホネート;中性(正塩)スルホネートをアルカリ金属の塩基、アルカリ土類金属の塩基又はアミンならびにホウ酸又は無水ホウ酸等のホウ酸化合物と反応させたり、又は炭酸塩過塩基性(超塩基性)スルホネートとホウ酸又は無水ホウ酸等のホウ酸化合物を反応させることによって製造されるいわゆるホウ酸塩過塩基性(超塩基性)スルホネート;及びこれらの混合物等が挙げられる。
また、フェネートとしては、具体的には、元素硫黄の存在下又は不存在下で、炭素数4〜20のアルキル基を1〜2個有するアルキルフェノールと、アルカリ金属の塩基(アルカリ金属の酸化物や水酸化物等)、アルカリ土類金属の塩基(アルカリ土類金属の酸化物や水酸化物等)又は上述したアミン(アンモニア、アルキルアミンやアルカノールアミン等)とを反応させることにより得られる中性フェネート;中性フェネートと過剰のアルカリ金属の塩基、アルカリ土類金属の塩基又はアミンを水の存在下で加熱することにより得られる、いわゆる塩基性フェネート;炭酸ガスの存在下で中性フェネートをアルカリ金属の塩基、アルカリ土類金属の塩基又はアミンと反応させることにより得られる、いわゆる炭酸塩過塩基性(超塩基性)フェネート;中性フェネートをアルカリ金属の塩基、アルカリ土類金属の塩基又はアミンならびにホウ酸又は無水ホウ酸等のホウ酸化合物と反応させたり、又は炭酸塩過塩基性(超塩基性)フェネートとホウ酸又は無水ホウ酸等のホウ酸化合物を反応させることによって製造される、いわゆるホウ酸塩過塩基性(超塩基性)フェネート;及びこれらの混合物等が挙げられる。
さらに、サリシレートとしては、具体的には、元素硫黄の存在下又は不存在下で、炭素数4〜20のアルキル基を1〜2個有するアルキルサリチル酸と、アルカリ金属の塩基(アルカリ金属の酸化物や水酸化物等)、アルカリ土類金属の塩基(アルカリ土類金属の酸化物や水酸化物等)又は上述したアミン(アンモニア、アルキルアミンやアルカノールアミン等)とを反応させることにより得られる中性サリシレート;中性サリシレートと、過剰のアルカリ金属の塩基、アルカリ土類金属の塩基又はアミンを水の存在下で加熱することにより得られるいわゆる塩基性サリシレート;炭酸ガスの存在下で中性サリシレートをアルカリ金属の塩基、アルカリ土類金属の塩基又はアミンと反応させることにより得られるいわゆる炭酸塩過塩基性(超塩基性)サリシレート;中性サリシレートをアルカリ金属の塩基、アルカリ土類金属の塩基又はアミンならびにホウ酸又は無水ホウ酸等のホウ酸化合物と反応させたり、又は炭酸塩過塩基性(超塩基性)金属サリシレートとホウ酸又は無水ホウ酸等のホウ酸化合物を反応させることによって製造されるいわゆるホウ酸塩過塩基性(超塩基性)サリシレート;及びこれらの混合物等が挙げられる。
本発明においては、有機酸塩を単独で用いてもよく、あるいは有機酸塩と他の添加剤とを組み合わせて用いてもよい。凝着防止性能がより高められる点からは、有機酸塩を上記の極圧剤と組み合わせて用いることが好ましく、硫黄化合物、リン化合物及び有機酸塩の3種を組み合わせて用いることが特に好ましい。
有機酸塩の含有量は、組成物全量基準で、好ましくは0.1〜30質量%であり、より好ましくは0.5〜25質量%であり、さらに好ましくは1〜20質量%である。有機酸塩の含有量が0.1質量%未満の場合、有機酸塩の添加による凝着防止性能向上効果が不十分となる傾向にあり、他方、30質量%を超えると金属加工油組成物の安定性が低下して析出物が生じやすくなる傾向にある。
また、本発明の金属加工油組成物においては、より優れた凝着防止性能が得られる点から、アルカノールアミン又はアミンを含有することができる。
アルカノールアミンとしては、炭素数1〜12、好ましくは炭素数2〜10のアルカノールアミンが用いられる。具体例としては例えば、モノメタノールアミン、ジメタノールアミン、トリメタノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノ(n−プロパノール)アミン、ジ(n−プロパノール)アミン、トリ(n−プロパノール)アミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、モノブタノールアミン(全ての異性体を含む)、ジブタノールアミン(全ての異性体を含む)、トリブタノールアミン(全ての異性体を含む)、モノペンタノールアミン(全ての異性体を含む)、ジペンタノールアミン(全ての異性体を含む)、トリペンタノールアミン(全ての異性体を含む)、モノヘキサノールアミン(全ての異性体を含む)、ジヘキサノールアミン(全ての異性体を含む)、モノヘプタノールアミン(全ての異性体を含む)、ジヘプタノールアミン(全ての異性体を含む)、モノオクタノールアミン(全ての異性体を含む)、モノノナノールアミン(全ての異性体を含む)、モノデカノールアミン(全ての異性体を含む)、モノウンデカノールアミン(全ての異性体を含む)、モノドデカノールアミン(全ての異性体を含む)、ジエチルモノエタノールアミン、ジエチルモノプロパノールアミン(全ての異性体を含む)、ジエチルモノブタノールアミン(全ての異性体を含む)、ジエチルモノペンタノールアミン(全ての異性体を含む)、ジプロピルモノエタノールアミン(全ての異性体を含む)、ジプロピルモノプロパノールアミン(全ての異性体を含む)、ジプロピルモノブタノールアミン(全ての異性体を含む)、ジプロピルモノペンタノールアミン(全ての異性体を含む)、ジブチルモノエタノールアミン(全ての異性体を含む)、ジブチルモノプロパノールアミン(全ての異性体を含む)、ジブチルモノブタノールアミン(全ての異性体を含む)、モノエチルジエタノールアミン、モノエチルジプロパノールアミン(全ての異性体を含む)、モノエチルジブタノールアミン(全ての異性体を含む)、モノエチルジペンタノールアミン(全ての異性体を含む)、モノプロピルジエタノールアミン(全ての異性体を含む)、モノプロピルジプロパノールアミン(全ての異性体を含む)、モノプロピルジブタノールアミン(全ての異性体を含む)、モノブチルジエタノールアミン(全ての異性体を含む)、モノブチルジプロパノールアミン(全ての異性体を含む)、モノブチルジブタノールアミン(全ての異性体を含む)等が挙げられる。この中でも、好ましいものとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノ(n−プロパノール)アミン、ジ(n−プロパノール)アミン、トリ(n−プロパノール)アミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、モノブタノールアミン(全ての異性体を含む)、ジブタノールアミン(全ての異性体を含む)、ジエチルモノエタノールアミン、ジエチルモノプロパノールアミン(全ての異性体を含む)、ジエチルモノブタノールアミン(全ての異性体を含む)、ジエチルモノペンタノールアミン(全ての異性体を含む)、ジプロピルモノエタノールアミン(全ての異性体を含む)、ジプロピルモノプロパノールアミン(全ての異性体を含む)、ジプロピルモノブタノールアミン(全ての異性体を含む)、ジブチルモノエタノールアミン(全ての異性体を含む)、モノエチルジエタノールアミン、モノエチルジプロパノールアミン(全ての異性体を含む)、モノエチルジブタノールアミン(全ての異性体を含む)、モノプロピルジエタノールアミン(全ての異性体を含む)、モノプロピルジプロパノールアミン(全ての異性体を含む)、モノブチルジエタノールアミン(全ての異性体を含む)、モノブチルジプロパノールアミン(全ての異性体を含む)等の炭素数2〜10のアルカノールアミンが挙げられる。上記の各アルカノールアミンは単独で使用することができ、また構造を異にする2種以上のアルカノールアミンの混合物を使用することもできる。
アミンとしては、炭素数1〜16のアミンが用いられる。ここでいうアミンには、脂肪族アミン、芳香族置換脂肪族アミン、脂環族アミンおよび芳香族アミンが含まれるが、脂肪族アミン、芳香族置換脂肪族アミンまたは脂環族アミンが好ましい。なお、芳香族置換脂肪族アミンとは、窒素原子に結合したアルキル基の側鎖に、芳香族置換基が結合したものを指す。具体例としては例えば、脂肪族アミンとして、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン(全ての異性体を含む)、ジプロピルアミン(全ての異性体を含む)、トリプロピルアミン(全ての異性体を含む)、モノブチルアミン(全ての異性体を含む)、ジブチルアミン(全ての異性体を含む)、トリブチルアミン(全ての異性体を含む)、モノペンチルアミン(全ての異性体を含む)、ジペンチルアミン(全ての異性体を含む)、トリペンチルアミン(全ての異性体を含む)、モノヘキシルアミン(全ての異性体を含む)、ジヘキシルアミン(全ての異性体を含む)、モノヘプチルアミン(全ての異性体を含む)、ジヘプチルアミン(全ての異性体を含む)、モノオクチルアミン(全ての異性体を含む)、ジオクチルアミン(全ての異性体を含む)、モノノニルアミン(全ての異性体を含む)、モノデシルアミン(全ての異性体を含む)、モノウンデシル(全ての異性体を含む)、モノドデシルアミン(全ての異性体を含む)、ドデシルジメチルアミン(全ての異性体を含む)、モノトリデシルアミン(全ての異性体を含む)、モノテトラデシルアミン(全ての異性体を含む)、モノペンタデシルアミン(全ての異性体を含む)、モノヘキサデシルアミン(全ての異性体を含む)等の炭素数1〜16の脂肪族アミンが挙げられ、中でも炭素数2〜12の脂肪族アミンが好ましい。芳香族置換脂肪族アミンとしては、モノベンジルアミン、(1−フェニルエチル)アミン、(2−フェニルエチル)アミン(モノフェネチルアミン)、ジベンジルアミン、ビス(1−フェニルエチル)アミン、ビス(2−フェニルエチル)アミン(ジフェネチルアミン)等の炭素数7〜16のものが挙げられ、中でもモノベンジルアミン、ジベンジルアミンが好ましい。脂環族アミンとしては、モノシクロペンチルアミン、ジシクロペンチルアミン、トリシクロペンチルアミン、モノシクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、モノシクロヘプチルアミン、ジシクロヘプチルアミン等の炭素数5〜16のシクロアルキルアミン;(メチルシクロペンチル)アミン(全ての置換異性体を含む)、ビス(メチルシクロペンチル)アミン(全ての置換異性体を含む)、(ジメチルシクロペンチル)アミン(全ての置換異性体を含む)、ビス(ジメチルシクロペンチル)アミン(全ての置換異性体を含む)、(エチルシクロペンチル)アミン(全ての置換異性体を含む)、ビス(エチルシクロペンチル)アミン(全ての置換異性体を含む)、(メチルエチルシクロペンチル)アミン(全ての置換異性体を含む)、ビス(メチルエチルシクロペンチル)アミン(全ての置換異性体を含む)、(ジエチルシクロペンチル)アミン(全ての置換異性体を含む)、(メチルシクロヘキシル)アミン(全ての置換異性体を含む)、ビス(メチルシクロヘキシル)アミン(全ての置換異性体を含む)、(ジメチルシクロヘキシル)アミン(全ての置換異性体を含む)、ビス(ジメチルシクロヘキシル)アミン(全ての置換異性体を含む)、(エチルシクロヘキシル)アミン(全ての置換異性体を含む)、ビス(エチルシクロヘキシル)アミン(全ての置換異性体を含む)、(メチルエチルシクロヘキシル)アミン(全ての置換異性体を含む)、(ジエチルシクロヘキシル)アミン(全ての置換異性体を含む)、(メチルシクロヘプチル)アミン(全ての置換異性体を含む)、ビス(メチルシクロヘプチル)アミン(全ての置換異性体を含む)、(ジメチルシクロヘプチル)アミン(全ての置換異性体を含む)、(エチルシクロヘプチルアミン(全ての置換異性体を含む)、(メチルエチルシクロヘプチル)アミン(全ての置換異性体を含む)、(ジエチルシクロヘプチル)アミン(全ての置換異性体を含む)等の炭素数6〜16のアルキルシクロアルキルアミン等が挙げられ、中でも炭素数5〜16のシクロアルキルアミンが好ましい。中でも好ましいアミンは、炭素数2〜12の脂肪族アミン、炭素数7〜16の芳香族置換脂肪族アミン、炭素数5〜16のシクロアルキルアミン等であって、最も好ましいものは、炭素数7〜16の芳香族置換脂肪族アミンおよび炭素数5〜16のシクロアルキルアミンである。上記の各アミンの単一種を使用できるほか、構造の異なる2種以上のアミンの混合物を用いることもできる。
アルカノールアミン又はアミンの含有量は、金属加工油組成物全量基準で1〜30質量%が好ましく、より好ましくは2〜25質量%の範囲であり、両者を併用することによりさらに好ましい結果が得られる。
本発明の金属加工油組成物は、実質的に水を含まない不水溶性金属加工油として好適に使用できるが、さらに水を有効量含む水溶性金属加工油としても使用できる。水溶性金属加工油として使用する場合の水の含有量は組成物全量基準で10〜99質量%、好ましくは13〜97質量%、より好ましくは15〜95質量%の範囲である。水の使用量が少なすぎると冷却性が不足し、多すぎると凝着防止性が不足する。使用する水は、水道水、工業用水、イオン交換水、蒸留水等が使用可能であって、その水は硬水であるか軟水であるかを問わない。水を含有する場合、本発明の組成物は、水を連続層とし,これに油成分が微細に分散しエマルションを形成した乳化状態、水が油成分に溶解している可溶化状態、もしくは強攪拌により水と油剤を混合した懸濁状態のいずれの形態をもとりうる。エマルション型の場合、水を連続相とし、これに油成分が微細に分散した状態のエマルションとなるが、水に分散する油滴の平均粒径は300nm以下、特に100nm以下であることが好ましい。分散油滴の平均粒径が大きいと、オイルピットが生成し易くなって加工製品の表面光沢が損なわれるばかりでなく、金属加工油剤の清浄化に微細なフィルターを使用できなくなるからである。
本発明の金属加工油組成物としては、本発明の効果をより発揮できることから、不水溶性金属加工油として使用する方が好ましい。
本発明の金属加工油組成物の粘度は、格別の限定はないが、40℃における動粘度は0.05〜500mm/s、潤滑性と表面品質の観点から、好ましくは0.1〜200mm/s、さらに好ましくは0.2〜10mm/s、最も好ましくは0.3〜8.0mm/sである。
本発明の金属加工油組成物は、アルミニウム、マグネシウムおよび銅をはじめとした各種金属ならびにそれらの合金の金属加工に用いる潤滑油組成物に関するものである。また適用しうる加工方法としては、冷間、温間および熱間圧延、絞り、しごき、引き抜き、プレス、切削ならびに研削等の金属加工を挙げることができる。
以下、本発明の好適な実施例について更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜11および比較例1〜10)
下記に示す各成分を用いて金属加工油組成物16種(実施例用8種、比較例用8種)を調製し、圧延試験1、圧延試験2およびステイン性試験に供した。各実施例または比較例の金属加工油組成物の組成を表1に示す。
(1)基油
基油1:40℃における動粘度4.3mm/sの鉱油
基油2:40℃における動粘度7.6mm/sの鉱油
(2)リン含有化合物
リン化合物1:n−オクチルホスホン酸ジイソプロピルエステル(R=C
リン化合物2:n−テトラデシルホスホン酸ジイソプロピルエステル(R=C14
リン化合物3:n−オクタデシルホスホン酸ジイソプロピルエステル (R=C18
リン化合物4:n−テトラコンチルホスホン酸ジイソプロピルエステル(R=C24
(3)油性剤 ステアリン酸ブチル、ラウリルアルコール
(4)他の極圧剤
トリクレジルホスフェート(TCP)、硫化エステル、塩素化パラフィン
(5)アミン類 トリエタノールアミン
実施例1〜11および比較例1〜10において、各組成物に関し、圧延試験1、圧延試験2およびステイン性試験により性能を評価した。試験に供した材料は下記の5種である。
材料1:純アルミニウム(JIS A1050) 厚さ0.7mm、幅64mm
材料2:合金系アルミニウム(JIS A5052) 厚さ0.7mm、幅64mm
材料3:純銅(JIS C1100) 厚さ0.5mm、幅60mm
材料4:黄銅(JIS C2600) 厚さ0.5mm、幅60mm
材料5:リン青銅(JIS C5191) 厚さ0.5mm、幅60mm
(圧延試験1)
直径50mm、粗度Ra=0.8μmのワークロールを用いて、圧延速度80m/minにおいて、圧下率を20%からスタートして段階的に上昇させながら試験圧延を行い、正常に圧延できる最大の圧下率を求める。
(圧延試験2)
直径50mm、粗度Ra=0.8μmのワークロールを用いて、圧延速度300m/min、圧下率40%で試験圧延を行い、試験後のロールコーティング量と材料温度(板温度)を調べる。
(ステイン性試験)
ふた付き純アルミニウム製カップ(直径6cm、深さ1.2cm)に試料油2mlを入れ、室温から1時間かけて350℃に昇温し1時間保持する。その後室温まで冷却したときのステイン発生の有無を観察する。
試験結果を表1に示すが、リン含有化合物(A)を添加しない場合(比較例1、3〜10)は対応する実施例に比べて最大圧下率が低く、ロールコーティング量が多く、また板温度も高い。またリン含有化合物(A)が多すぎる場合(比較例2)は最大圧下率および板温度は良好であるが、ステインを生成しやすい。リン含有化合物(A)に代わって、(A)以外のリン化合物(TCP、比較例5)、硫黄化合物(硫化エステル、比較例6)、塩素化パラフィン(比較例7)を加えても最大圧下率は改善されない。
Figure 0004979244

Claims (1)

  1. 鉱油、油脂および合成油からなる群から選ばれる1種以上を基油とし、式(A)の構造を有するリン含有化合物を組成物全量基準で0.1〜35質量%含有し、さらに油性剤としてエステルおよび/又は1価アルコールを含有することを特徴とするアルミニウム、マグネシウムおよび銅ならびにそれらの合金の金属加工に用いる金属加工油組成物。
    Figure 0004979244
    (式中、R’は炭素数1〜40のアルキル基、R”は炭素数のアルキル基を示す。)
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