JPH11222598A - 冷間圧延油組成物 - Google Patents

冷間圧延油組成物

Info

Publication number
JPH11222598A
JPH11222598A JP10025314A JP2531498A JPH11222598A JP H11222598 A JPH11222598 A JP H11222598A JP 10025314 A JP10025314 A JP 10025314A JP 2531498 A JP2531498 A JP 2531498A JP H11222598 A JPH11222598 A JP H11222598A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acid
rolling
fatty acid
weight
oil
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10025314A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuo Osaki
和男 大崎
Tatsuya Yamashita
達也 山下
Kouei Kobayashi
宏栄 小林
Masami Sumitomo
正実 住友
Yoshihiko Kita
良彦 喜多
Hajime Nakajima
中島  一
Akihiro Iso
明博 磯
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daido Chemical Industry Co Ltd
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Daido Chemical Industry Co Ltd
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daido Chemical Industry Co Ltd, Nippon Steel Corp filed Critical Daido Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP10025314A priority Critical patent/JPH11222598A/ja
Publication of JPH11222598A publication Critical patent/JPH11222598A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Lubricants (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】圧延潤滑性に優れ、しかもスカム生成が少ない
冷間圧延油組成物を提供すること。 【解決手段】(1)融点20℃以下の動植物油脂、1〜
4価のモノ又はポリオールと一塩基脂肪酸とのエステ
ル、及び3〜4価のポリオールと一塩基脂肪酸及び二塩
基脂肪酸とのエステルから選ばれた少なくとも一種の基
油100重量部、(2)一般式 【化1】 (式中、R1は炭素数8〜45のアルキル基を示す。R2
及びR3は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1
〜18のアルキル基を示す。)で表されるアルキルフォ
スフォン酸誘導体、及び一般式 【化2】 (式中、R1、R2及びR3は、前記に同じ。)で表され
るアルキルフォスフォン酸誘導体の少なくとも一種0.
1〜50重量部、並びに(3)乳化剤0.1〜20重量
部を含有することを特徴とする冷間圧延油組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な冷間圧延油
組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、鋼乃至鋼帯の冷間圧延油は、使
用時に圧延条件に応じて、適当な濃度に水分散希釈して
エマルジョンクーラントとされ、圧延時に発生する鉄粉
を除去する磁石を利用したフィルターを備えた給油シス
テムにおいて循環使用され、消費された分を補給しつつ
長期間使用されている。
【0003】従来、上記冷間圧延油としては、牛脂、豚
脂、魚脂、パーム油等の動植物油脂を基油とする圧延油
組成物と、精製鉱油等の鉱物油を基油とする圧延油組成
物とに大別され、通常、前者は圧延仕上げ厚0.7mm未
満の薄物用の冷間圧延に用いられ、後者は圧延仕上げ厚
0.7mm以上の厚物用の冷間圧延に用いられている。
【0004】しかしながら、前者組成物には、圧延潤滑
性には優れるものの、動植物油脂の融点が、例えば牛脂
では約43℃、パーム油では約27〜30℃等と高いた
め、圧延中に発生する鉄粉と圧延油エマルジョン粒子等
とが混合し高粘度化したいわゆるスカムを生成し易く、
圧延油の消費量の増大や鋼板表面、圧延機廻り等の清浄
性が低いという欠点がある。
【0005】一方、後者組成物には、上記清浄性には優
れるものの、基油に鉱物油を使用しているため、圧延潤
滑性が劣りヒートスクラッチを発生して圧延後の鋼板表
面性状を著しく損ない商品価値を低下させるという欠点
がある。
【0006】また、特開平6−322385号には、ラ
ウリン酸、モノエンカルボン酸等の混合脂肪酸と多価ア
ルコールとのトリエステルを基油とする圧延油組成物が
提案されているが、このものは圧延潤滑性が不十分であ
るという欠点がある。
【0007】更に、特開平4−117495号には、高
級脂肪酸と多価アルコールとのエステルを基油とし、こ
れにリン系極圧添加剤であるアルキルフォスフェート等
のリン酸エステルの芳香族アミン塩を配合した圧延油組
成物が提案されているが、このものは該添加剤のリン酸
エステル中のP−O−C結合が熱分解や加水分解を受け
て無機リン酸を生成し易いため、クーラントタンク、配
管、ノズル等の腐食を発生させたり、該添加剤が消費さ
れ圧延潤滑性が低下するという欠点がある。この欠点
は、リン系極圧添加剤として、アルキルフォスファイト
やアルキルアシッドフォスフェートを用いた場合も同様
である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、圧延
潤滑性に優れ、しかもスカム生成が少ない冷間圧延油組
成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、圧延仕上げ
厚に関係なく、近年の高速高圧下の圧延において、圧延
潤滑性に優れ、しかもスカム生成が少ない冷間圧延油組
成物を開発し、上記目的を達成すべく、鋭意研究を重ね
た。
【0010】その結果、特定の基油に、リン系極圧添加
剤としてリン−炭素(P−C)結合を有する特定のアル
キルフォスフォン酸誘導体と乳化剤を配合した組成物に
よれば、圧延潤滑性に優れ、スカムが生成し難いため鋼
板表面、圧延機廻り等の清浄性に優れ、しかも該アルキ
ルフォスフォン酸誘導体が熱分解や加水分解を受け難い
ため、クーラントタンク等の腐食を発生させたり圧延潤
滑性が低下することもないことを見出し、本発明を完成
するに至った。
【0011】即ち本発明は、(1)融点20℃以下の動
植物油脂、1〜4価のモノ又はポリオールと一塩基脂肪
酸とのエステル、及び3〜4価のポリオールと一塩基脂
肪酸及び二塩基脂肪酸とのエステルから選ばれた少なく
とも一種の基油100重量部、(2)一般式
【0012】
【化4】
【0013】(式中、R1は炭素数8〜45のアルキル
基を示す。R2及びR3は、同一又は異なって、水素原子
又は炭素数1〜18のアルキル基を示す。)で表される
アルキルフォスフォン酸誘導体、及び一般式
【0014】
【化5】
【0015】(式中、R1、R2及びR3は、前記に同
じ。)で表されるアルキルフォスフォン酸誘導体リン化
合物の少なくとも一種0.1〜50重量部、並びに
(3)乳化剤0.1〜20重量部を含有することを特徴
とする冷間圧延油組成物に係る。
【0016】
【発明の実施の態様】本発明の冷間圧延油組成物におけ
る基油は、融点20℃以下の動植物油脂、1〜4価のモ
ノ又はポリオールと一塩基脂肪酸とのエステル、及び3
〜4価のポリオールと一塩基脂肪酸及び二塩基脂肪酸と
のエステルから選ばれた少なくとも一種の基油である。
【0017】基油の成分である動植物油脂としては、融
点が20℃以下のものであれば、特に制限されない。好
ましい融点は、0〜10℃程度である。かかる動植物油
脂の具体例としては、例えば、パーム油ウインター、ナ
タネ油、低沸点魚油等を挙げることができる。これらの
内、パーム油ウインターは、パーム油の高沸点成分を温
度降下法等の手法により除去し、低沸点成分にしたもの
である。
【0018】また、基油の成分である1〜4価のモノ又
はポリオールと一塩基脂肪酸とのエステルは、通常、炭
素数6〜18程度の該モノ又はポリオールと炭素数12
〜18程度の直鎖状又は分岐状の飽和又は不飽和一塩基
脂肪酸とのエステルである。該エステルの具体例として
は、例えば、オレイルヘキサノエート、パルミチル−2
−エチルヘキサノエート、ドデシルステアレート、ラウ
リルオクタノエート、トリデシルノニレート、ペンタデ
シルヘキシレート、ペンタエリスリトールテトラオレエ
ート、トリメチロールプロパントリラウレート、トリメ
チロールエタントリパルミテート等を挙げることができ
る。
【0019】また、基油の成分である3〜4価のポリオ
ールと一塩基脂肪酸及び二塩基脂肪酸とのエステルにお
ける該ポリオールとしては、通常、炭素数4〜10程度
のもの、具体的には、トリメチロールエタン、トリメチ
ロールプロパン、ペンタエリスリトール等が好ましい。
また、一塩基脂肪酸としては、通常、炭素数8〜18程
度の直鎖状又は分岐状の飽和又は不飽和脂肪酸が好まし
く、例えば、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、デカ
ン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステ
アリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、イソ
オクチル酸、イソデカン酸、イソステアリン酸、ペラル
ゴン酸、エライジン酸等を挙げることができる。また、
二塩基脂肪酸としては、通常、炭素数6〜36程度の直
鎖状又は分岐状の飽和又は不飽和脂肪酸が好ましく、例
えば、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカン
ジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、テトラデカンジ
カルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、オクタデカン
ジカルボン酸、エイコサデカンジカルボン酸、炭素数3
6のダイマー酸、ピメリン酸等を挙げることができる。
【0020】3〜4価のポリオールと一塩基脂肪酸及び
二塩基脂肪酸とのエステル反応は、特に限定されない
が、パラトルエンスルホン酸等の触媒の存在下又は不存
在下に、常法に従って行えば良い。3〜4価のポリオー
ル、一塩基脂肪酸及び二塩基脂肪酸の各成分の反応モル
比としては、ポリエステル化により粘度が高くなり過ぎ
たりゲル化したりすることを防止する観点から、3価の
ポリオール/一塩基脂肪酸/二塩基脂肪酸=2〜3/4
〜5/1〜2程度が好ましく、又4価のポリオール/一
塩基脂肪酸/二塩基脂肪酸=2〜3/6〜8/1〜2程
度が好ましい。
【0021】3〜4価のポリオールと一塩基脂肪酸及び
二塩基脂肪酸とのエステルの具体例としては、例えば、
トリメチロールプロパン/イソステアリン酸/炭素数3
6のダイマー酸のコンプレックスエステル、ペンタエリ
スリトール/ラウリン酸/ヘキサデカンジカルボン酸の
コンプレックスエステル、トリメチロールエタン/パル
ミチン酸/アゼライン酸のコンプレックスエステル等を
挙げることができる。
【0022】本発明組成物の基油としては、融点20℃
以下の動植物油脂を単独使用するか、又は、該動植物油
脂と1〜4価のモノ又はポリオールと一塩基脂肪酸との
エステル及び3〜4価のポリオールと一塩基脂肪酸及び
二塩基脂肪酸とのエステルから選ばれた少なくとも一種
とを併用することが好ましい。このように併用する場合
の混合割合は、重量比で前者:後者が4:1〜1:4程
度であるのが、圧延潤滑性及びコスト的な点から好まし
い。
【0023】本発明組成物においては、リン系極圧添加
剤として、前記の一般式(I)のアルキルフォスフォン
酸誘導体及び一般式(II)のアルキルフォスフォン酸誘
導体の少なくとも一種を配合することを必須とする。か
かるアルキルフォスフォン酸誘導体は、熱分解や加水分
解を受け難いため無機リン酸を実質的に生成せず、物質
自体油溶性を維持しており、リン酸基が鋼板表面に吸着
し、リン酸基に結合するアルキル基鎖部が鋼板表面に対
して垂直に配向して、基油と共に、強靭な油膜を形成す
ることから優れた圧延潤滑性を発揮するものと考えられ
る。
【0024】一般式(I)及び一般式(II)において、
1の炭素数8〜45のアルキル基は、直鎖状又は分岐
状の飽和又は不飽和の該アルキル基を示し、R2及びR3
の炭素数1〜18のアルキルは、直鎖状又は分岐状の飽
和又は不飽和の該アルキル基を示す。一般式(I)のア
ルキルフォスフォン酸誘導体の具体例としては、例え
ば、オクタデシルフォスフォン酸モノヘキサデシル、オ
クタデシルフォスフォン酸モノイソプロピル、オクタコ
サンフォスフォン酸ジブチル、テトラコンタンフォスフ
ォン酸モノメチル、トリトリアコンタンフォスフォン酸
モノオクチル等を挙げることができる。また、一般式
(II)のアルキルフォスフォン酸誘導体の具体例として
は、例えば、ジドデシルフォスフォン酸モノイソプロピ
ル、オクタデシルフォスフォン酸ジイソプロピル、ジオ
クタコサンフォスフォン酸モノエチル、ジテトラコンタ
ンフォスフォン酸モノブチル等を挙げることができる。
【0025】上記一般式(I)及び一般式(II)のアル
キルフォスフォン酸誘導体の製造法は、特に限定されな
いが、例えば、次の様にして、合成できる。即ち、炭素
数8〜45のα位に二重結合を有するオレフィンに、亜
リン酸、次亜リン酸及びジアルキルフォスファイトの少
なくとも一種を、該オレフィンに対して1.0〜2.0
モル程度混合し、触媒として過酸化ベンゾイル、アゾビ
スイソブチロニトリル等のラジカル開始剤を用いて、窒
素雰囲気中、60〜150℃程度で4〜20時間程度反
応を行い、アルキルフォスフォン酸ジアルキルエステ
ル、ジアルキルフォスフォン酸モノアルキルエステルが
得られる。更に、このアルキルフォスフォン酸ジアルキ
ルエステルを、塩酸等の酸、水酸化カリウム、水酸化ナ
トリウム等のアルカリ等の適当な触媒の存在下に、加水
分解することにより、アルキルフォスフォン酸モノアル
キルエステルが得られる。
【0026】炭素数8〜45のα位に二重結合を有する
オレフィンとしては、例えば、1−オクテン、1−デセ
ン、1−ドデセン、1−トリドデセン、1−テトラデセ
ン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタ
デセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイ
コセン、1−ドコセン、1−テトラドコセン、1−ヘキ
サコセン、1−オクタコセン、1−トリアコンテン、1
−トリトリアコンテン、1−ノナトリアコンテン、1−
テトラコンテン等を挙げることができる。これらのオレ
フィンの内、炭素数12〜45のα−オレフィンが好ま
しい。炭素数8未満のものは沸点、引火点が低く、合成
上の収率が低下するので好ましくない。また、炭素数4
5を越えるものは、生成物の融点が高くなり、溶解性に
乏しくなるので好ましくない。
【0027】ジアルキルフォスファイトは、アルキル部
分の炭素数が1〜18のものであり、具体例としては、
ジメチルフォスファイト、ジエチルフォスファイト、ジ
イソプロピルフォスファイト、ジブチルフォスファイ
ト、ジヘキシルフォスファイト、ジ−2−エチルヘキシ
ルフォスファイト、ジオクタデシルフォスファイト等が
挙げられる。これらの内、アルキル部分の炭素数が1〜
8のジアルキルフォスファイトが、加水分解を受け難い
点から、好ましい。
【0028】本発明組成物における上記特定のアルキル
フォスフォン酸誘導体の配合量は、通常、基油100重
量部に対して、0.1〜50重量部である。0.1重量
部未満では潤滑性向上効果が十分でなく、50重量部を
越えて添加してもそれ以上の潤滑性能の増大が認められ
ないので、好ましくない。好ましい配合量は、1〜30
重量部程度である。
【0029】本発明組成物における乳化剤としては、特
に限定されないが、ノニオン系界面活性剤、カチオン系
界面活性剤等を使用でき、ノニオン系界面活性剤を用い
るのが好ましい。
【0030】ノニオン系界面活性剤としては、例えば、
ポリオキシアルキレンアルキル(アルキル基の炭素数6
以上)エーテル、ポリオキシアルキレンフェノールエー
テル、ポリオキシアルキレンアルキルフェノールエーテ
ル等のポリアルキレングリコールエーテル型ノニオン系
界面活性剤;ポリアルキレングリコールモノエステル、
ポリアルキレングリコールジエステル等のポリアルキレ
ングリコールエステル型ノニオン系界面活性剤;脂肪酸
アミドのアルキレンオキサイド付加物;ソルビタン脂肪
酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の多価アルコール
型ノニオン系界面活性剤;脂肪酸アルカノールアミド、
ポリオキシアルキレンアルキルアミン等を挙げることが
できる。ここで、上記アルキレンとは、エチレン、プロ
ピレン又はブチレンをいい、ポリオキシアルキレンと
は、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリ
オキシブチレン又はこれらが共重合したものをいう。
【0031】本発明組成物における特に好ましい乳化剤
として、一般式
【0032】
【化6】
【0033】(式中、aは1〜100の整数を、bは1
〜120の整数を、cは1〜100の整数を、それぞれ
示す。但し、b/(a+b+c)=0.05〜0.5で
ある。)で表され且つ分子量が500〜5000の化合
物であるノニオン系界面活性剤を挙げることができる。
【0034】上記一般式(III)の化合物は、エチレン
オキサイド重合体にプロピレンオキサイドを付加した構
造を有しており、これを乳化剤の一部又は全部として用
いることにより、発生したスカムの再分散を促進し、且
つ発生した鉄粉のクーラント中での分散を容易にするこ
とにより、スカム生成を長期間抑制することができ、又
エマルジョンの発泡を抑制することもできる。一般式
(III)において、b/(a+b+c)の値(即ちポリ
オキシエチレンの比率)が0.05〜0.5であること
が必要であり、0.05未満では乳化が不十分となる場
合があり、又0.5を越えるとスカム生成抑制効果が低
下するので、いずれも好ましくない。
【0035】本発明組成物における乳化剤の配合量は、
通常、基油100重量部に対して、0.1〜20重量部
である。0.1重量未満では乳化が不十分となる場合が
あり、又20重量部を越えると乳化が安定し過ぎて圧延
潤滑性が低下する傾向にあるので好ましくない。
【0036】本発明組成物には、必要に応じて、公知の
添加剤、例えば、油性向上剤、防錆添加剤、酸化防止剤
等を配合することができる。
【0037】油性向上剤としては、例えば、ラウリン
酸、パルミチン酸、オレイン酸、ダイマー酸、ステアリ
ン酸、イソステアリン酸、牛脂脂肪酸等の脂肪酸等を挙
げることができる。防錆添加剤としては、例えば、炭素
数8〜18のアルキルアミン、炭素数5〜18のアルケ
ニル無水コハク酸等を挙げることができる。また、酸化
防止剤としては、例えば、ブチルヒドロキシトルエン、
4−ヒドロキシメチル−2,4−ジ−t−ブチルフェノ
ール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノー
ル、ブチル化ヒドロキシアニソール、トコフェロール等
を挙げることができる。
【0038】本発明冷間圧延油組成物は、必須成分の基
油、前記アルキルフォスフォン酸誘導体及び乳化剤と、
任意成分の油性向上剤、防錆添加剤、酸化防止剤等と
を、常法に従い、必要に応じて加温下に混合して、調製
することができ、通常0.5〜10重量%程度の濃度に
水分散希釈してエマルジョンクーラントとされ、適用さ
れる。
【0039】本発明組成物に基づくエマルジョンクーラ
ントは、通常、圧延ロールと被圧延材との間(ロールバ
イト)にノズルを経て、噴射供給され、循環使用される
が、ロールバイト内で組成物の各成分が被圧延材表面に
吸着乃至付着して、強靭な油膜を形成し、優れた圧延潤
滑性を発揮する。
【0040】
【実施例】以下、本発明で使用するアルキルフォスフォ
ン酸誘導体の製造例、本発明の圧延油組成物を調製する
実施例、比較組成物を調製する比較例を挙げて、本発明
をより一層具体的に説明する。尚、これらの各例は本発
明を制限するものではない。
【0041】製造例1 温度計、撹拌機、窒素ガス導入管、滴下ロート及び還流
冷却管を備えた反応器に、1−オクタデセン(1モル)
とジイソプロピルフォスファイト(1.2モル)を入
れ、窒素ガス雰囲気中で、触媒として過酸化ベンゾイル
(0.2モル)を徐々に加え、100〜150℃で8時
間反応を行って、オクタデシルフォスフォン酸ジイソプ
ロピルを得た。
【0042】実施例1〜6及び比較例1〜6 後記表1に示す配合に従い、本発明及び比較の冷間圧延
油組成物を調製した。
【0043】次に、上記実施例及び比較例で得た各圧延
油組成物について、圧延潤滑性試験、スカム生成性試験
及び発泡性試験を、下記方法に従って行い、性能を評価
した。
【0044】(1)圧延潤滑性試験 (i)圧延荷重相対比:二段圧延機を使用し、エマルジョ
ン濃度3重量%、温度50℃で、圧延材のSPCC材
(低炭素鋼、厚さ1.0mm×巾50mm×長さ100c
m)を、3パス圧延し、全圧下率60%における累積圧
延荷重を測定し、比較例1に対する圧延荷重相対比とし
て示した。この比の値が小さいほど圧延潤滑性に優れる
ことになる。
【0045】(ii)耐焼き付き限界圧下率:二段スタンド
圧延機を使用し、エマルジョン濃度3重量%、温度50
℃で、圧延材のSPCC材(低炭素鋼、厚さ0.4mm×
巾20mm×長さ100mコイル)を、ロール周速100
mpm、板速10mpmで圧下率を変化させて、すべり
圧延し、焼き付きを生じない限界の圧下率(%)を測定
した。この値が大きいほど耐焼き付き性が優れることに
なる。
【0046】(2)スカム生成性試験 二段圧延機を使用し、エマルジョン濃度3重量%、温度
50℃で、エマルジョンを撹拌機を備えたクーラントタ
ンクの底部からポンプでロールバイトに循環させつつ、
圧延材のSPCC材(低炭素鋼、厚さ1.0mm×巾50
mm×長さ100mコイル)を、全圧下率が約80%にな
るまで、圧延速度100mpmで5パスダル圧延し、ク
ーラントタンクのスカムの発生量を、下記5段階の評価
基準により、目視で評価した。
【0047】1:スカムがクーラントタンク液面上に全
く認められない状態、 2:スカムがクーラントタンク液面のタンク壁側に若干
認められる状態、 3:スカムがクーラントタンク液面上の1/3に認めら
れる状態、 4:スカムがクーラントタンク液面上の1/2に認めら
れる状態、 5:クーラントタンク液面上をスカムが全て覆っている
状態。
【0048】(3)発泡性試験 20リットルのヒーターを備えたタンクに、エマルジョ
ン濃度3重量%、温度50℃のエマルジョン10リット
ルを入れ、エマルジョンをポンプでタンク底部からタン
ク上部に導いて、タンク中のエマルジョン表面にエアー
を取り入れつつスプレー圧力2kgf/cm2でノズル噴射す
る循環装置を用いて、15分間試験したときの各エマル
ジョンの発泡性を、下記5段階の評価基準により、目視
で評価した。
【0049】 1:エマルジョン液面上に泡が全く認められない状態、 2:エマルジョン液面のタンク壁側に泡が若干認められ
る状態、 3:エマルジョン液面上の1/3に泡が認められる状
態、 4:エマルジョン液面上の1/2に泡が認められる状
態、 5:エマルジョン液面が泡で全て覆われ、タンクからあ
ふれる状態。
【0050】各組成物の成分組成と性能試験結果を、表
1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】表1中の合成エステルAは、ペンタエリス
リトールテトラオレエートである。合成エステルBは、
トリメチロールプロパン/イソステアリン酸/C36−ダ
イマー酸=2/4/1のコンプレックスエステルであ
る。ポリオキシアルキレングリコールAは、一般式(II
I)の化合物であって、a=5、b=16、c=5、分
子量が2000で、ポリオキシエチレンの比率が30重
量%のポリオキシプロピレン・ポリオキシエチレン・ポ
リオキシプロピレンブロックポリマーである。また、ポ
リオキシアルキレングリコールBは、一般式(III)の
化合物であって、a=20、b=18、c=20、分子
量が3000で、ポリオキシエチレンの比率が30重量
%のポリオキシプロピレン・ポリオキシエチレン・ポリ
オキシプロピレンブロックポリマーである。
【0053】実施例7〜13及び比較例7〜11 後記表2に示す配合に従い、本発明及び比較の冷間圧延
油組成物を調製した。
【0054】次に、上記実施例及び比較例で得た各圧延
油組成物について、圧延潤滑性試験、スカム生成性試験
及び発泡性試験を、前記した方法に従って行い、性能を
評価した。
【0055】各組成物の成分組成と性能試験結果を、表
2に示す。
【0056】
【表2】
【0057】表2中の合成エステルA、合成エステル
B、ポリオキシアルキレングリコールA及びポリオキシ
アルキレングリコールBは、表1の場合と同じ化合物を
示す。また、合成エステルCは、トリメチロールプロパ
ン/イソステアリン酸/C36−ダイマー酸=3/6/2
のコンプレックスエステルである。
【0058】
【発明の効果】本発明冷間圧延油組成物によれば、特定
の基油、特定構造のアルキルフォスフォン酸誘導体及び
乳化剤を配合したことにより、圧延潤滑性に優れ、しか
もスカム生成が少ないという格別な効果が得られる。
【0059】本発明組成物は、広い板厚範囲の鋼板等の
高速高圧下での圧延に好適に使用でき、かかる場合にお
いても優れた圧延潤滑性、特に耐ヒートスクラッチ性を
示し、耐熱分解性や耐加水分解性が優れるため長期間使
用しても優れた圧延潤滑性を維持できる。また、エマル
ジョンの発泡が少なく、長期間スカムの生成が抑制され
るので、圧延機廻りや圧延機ハウジング内の清浄性に優
れ、作業環境が著しく改善され、無機リン酸が実質的に
発生しないためクーラントタンク、配管、ノズル等の腐
食も防止でき、長期間安定に使用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C10M 145/34 C10M 145/34 145/38 145/38 // C10N 30:02 30:06 40:24 (72)発明者 山下 達也 千葉県君津市君津1番地 新日本製鐵株式 会社君津製鐵所内 (72)発明者 小林 宏栄 千葉県君津市君津1番地 新日本製鐵株式 会社君津製鐵所内 (72)発明者 住友 正実 大阪府大阪市北区梅田1丁目2番2−1400 号 大同化学工業株式会社内 (72)発明者 喜多 良彦 大阪府大阪市北区梅田1丁目2番2−1400 号 大同化学工業株式会社内 (72)発明者 中島 一 大阪府大阪市北区梅田1丁目2番2−1400 号 大同化学工業株式会社内 (72)発明者 磯 明博 大阪府大阪市北区梅田1丁目2番2−1400 号 大同化学工業株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(1)融点20℃以下の動植物油脂、1〜
    4価のモノ又はポリオールと一塩基脂肪酸とのエステ
    ル、及び3〜4価のポリオールと一塩基脂肪酸及び二塩
    基脂肪酸とのエステルから選ばれた少なくとも一種の基
    油100重量部、(2)一般式 【化1】 (式中、R1は炭素数8〜45のアルキル基を示す。R2
    及びR3は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1
    〜18のアルキル基を示す。)で表されるアルキルフォ
    スフォン酸誘導体、及び一般式 【化2】 (式中、R1、R2及びR3は、前記に同じ。)で表され
    るアルキルフォスフォン酸誘導体の少なくとも一種0.
    1〜50重量部、並びに(3)乳化剤0.1〜20重量
    部を含有することを特徴とする冷間圧延油組成物。
  2. 【請求項2】3〜4価のポリオールが、トリメチロール
    エタン、トリメチロールプロパン又はペンタエリスリト
    ールである請求項1に記載の組成物。
  3. 【請求項3】二塩基脂肪酸が、炭素数8〜36の二塩基
    脂肪酸である請求項1に記載の組成物。
  4. 【請求項4】融点20℃以下の動植物油脂が、パーム油
    ウインターである請求項1に記載の組成物。
  5. 【請求項5】乳化剤が、一般式 【化3】 (式中、aは1〜100の整数を、bは1〜120の整
    数を、cは1〜100の整数を、それぞれ示す。但し、
    b/(a+b+c)=0.05〜0.5である。)で表
    され且つ分子量が500〜5000の化合物である請求
    項1に記載の組成物。
JP10025314A 1998-02-06 1998-02-06 冷間圧延油組成物 Pending JPH11222598A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10025314A JPH11222598A (ja) 1998-02-06 1998-02-06 冷間圧延油組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10025314A JPH11222598A (ja) 1998-02-06 1998-02-06 冷間圧延油組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11222598A true JPH11222598A (ja) 1999-08-17

Family

ID=12162549

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10025314A Pending JPH11222598A (ja) 1998-02-06 1998-02-06 冷間圧延油組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11222598A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005232417A (ja) * 2004-02-23 2005-09-02 Houghton Technical Corp 金属変形組成物及びその使用
JP2007231116A (ja) * 2006-02-28 2007-09-13 Nippon Oil Corp 金属加工油組成物
JP2009007510A (ja) * 2007-06-29 2009-01-15 Jfe Steel Kk 冷間圧延油および冷間圧延方法
JP2009221368A (ja) * 2008-03-17 2009-10-01 Nippon Steel & Sumikin Stainless Steel Corp ステンレス用水溶性冷間圧延油組成物
JP2014517125A (ja) * 2011-06-14 2014-07-17 ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー 加水分解安定性が向上された天然及び合成エステル含有潤滑剤

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6081295A (ja) * 1983-10-12 1985-05-09 Nippon Steel Corp 冷間圧延油
JPH0543888A (ja) * 1991-08-09 1993-02-23 Nippon Quaker Chem Kk 冷間圧延油
JPH0576906A (ja) * 1991-09-24 1993-03-30 Nkk Corp ステンレス用冷間圧延法
JPH0899102A (ja) * 1994-09-29 1996-04-16 Kawasaki Steel Corp ステンレス冷延鋼板の製造方法
JPH08231977A (ja) * 1995-02-24 1996-09-10 Yushiro Chem Ind Co Ltd 水溶性金属加工用油剤
JPH108085A (ja) * 1996-06-21 1998-01-13 Nippon Parkerizing Co Ltd 金属材料の冷間塑性加工用水系潤滑剤
JPH1143685A (ja) * 1997-07-08 1999-02-16 Daido Kagaku Kogyo Kk 冷間圧延油組成物

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6081295A (ja) * 1983-10-12 1985-05-09 Nippon Steel Corp 冷間圧延油
JPH0543888A (ja) * 1991-08-09 1993-02-23 Nippon Quaker Chem Kk 冷間圧延油
JPH0576906A (ja) * 1991-09-24 1993-03-30 Nkk Corp ステンレス用冷間圧延法
JPH0899102A (ja) * 1994-09-29 1996-04-16 Kawasaki Steel Corp ステンレス冷延鋼板の製造方法
JPH08231977A (ja) * 1995-02-24 1996-09-10 Yushiro Chem Ind Co Ltd 水溶性金属加工用油剤
JPH108085A (ja) * 1996-06-21 1998-01-13 Nippon Parkerizing Co Ltd 金属材料の冷間塑性加工用水系潤滑剤
JPH1143685A (ja) * 1997-07-08 1999-02-16 Daido Kagaku Kogyo Kk 冷間圧延油組成物

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005232417A (ja) * 2004-02-23 2005-09-02 Houghton Technical Corp 金属変形組成物及びその使用
JP2007231116A (ja) * 2006-02-28 2007-09-13 Nippon Oil Corp 金属加工油組成物
JP2009007510A (ja) * 2007-06-29 2009-01-15 Jfe Steel Kk 冷間圧延油および冷間圧延方法
JP2009221368A (ja) * 2008-03-17 2009-10-01 Nippon Steel & Sumikin Stainless Steel Corp ステンレス用水溶性冷間圧延油組成物
JP2014517125A (ja) * 2011-06-14 2014-07-17 ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー 加水分解安定性が向上された天然及び合成エステル含有潤滑剤

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0252533B1 (en) A method in the mechanical working of aluminium and aluminium alloys in the presence of a cooling lubricant, and a concentrate of the cooling lubricant
CN100523154C (zh) 一种冷轧薄板轧制油的组合物
CN103052701B (zh) 金属加工油基础油
JP6377179B2 (ja) 多金属の金属加工用の高性能水希釈性の潤滑添加剤
US3260671A (en) Amide oxidation inhibitor for lubricants
US3720695A (en) Water soluble lubricant
US3634245A (en) Water soluble lubricant
JPH11222598A (ja) 冷間圧延油組成物
JP4463632B2 (ja) アルミニウム及びアルミニウム合金板用熱間圧延油
JPH1143685A (ja) 冷間圧延油組成物
JPH0214957B2 (ja)
JP3331013B2 (ja) チタン板用冷間圧延油組成物
JP3559788B2 (ja) アルミニウム又はその合金用冷間プレス加工潤滑剤
WO2020184570A1 (ja) 潤滑油用添加剤、潤滑油用添加剤組成物およびこれらを含有する潤滑油組成物
JPH10298577A (ja) 潤滑剤組成物
JPH08325588A (ja) 鋼板用冷間圧延潤滑油
JP5363750B2 (ja) ステンレス用水溶性冷間圧延油組成物
JPS59230091A (ja) 水性冷間圧延油
JP6951023B2 (ja) 冷間圧延油及び冷間圧延鋼板の製造方法
JP3920367B2 (ja) 鋼板用冷間圧延油
JPH0221437B2 (ja)
JPH10183158A (ja) アルミニウム及びアルミニウム合金板の圧延方法
JP4560178B2 (ja) 金属加工油組成物
JP2957026B2 (ja) 鋼板の冷間圧延用潤滑油
JP2608472B2 (ja) 金属の圧延加工油剤

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050421

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050427

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20050824