JPH08325588A - 鋼板用冷間圧延潤滑油 - Google Patents

鋼板用冷間圧延潤滑油

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JPH08325588A
JPH08325588A JP15388595A JP15388595A JPH08325588A JP H08325588 A JPH08325588 A JP H08325588A JP 15388595 A JP15388595 A JP 15388595A JP 15388595 A JP15388595 A JP 15388595A JP H08325588 A JPH08325588 A JP H08325588A
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JP
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oil
rolling
acid
lubricating oil
mill
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JP15388595A
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English (en)
Inventor
Noboru Yamamoto
昇 山本
Tatsuro Mitsube
達郎 三辺
Hiroyuki Sato
裕之 佐藤
Naoki Ikeuchi
直樹 池内
Toshihide Kamase
敏秀 釜瀬
Kaoru Shiraishi
馨 白石
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nihon Parkerizing Co Ltd
JFE Engineering Corp
Original Assignee
Nihon Parkerizing Co Ltd
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 乳化分散安定性、プレートアウト性および
耐ミル汚れ性のすべてに優れた鋼板用冷間圧延潤滑油の
提供 【構成】(a)油脂、鉱物油および合成エステルからな
る群から選ばれた1種または2種以上の基油、(b)基
油(a)に対して0.2〜5重量%の、分子量2000
〜15000で、HLB5〜9の非イオン性界面活性
剤、および(c)基油(a)に対して0.2〜5重量%
の、式 【化1】 (式中、Rは炭素数12〜18のアルキル基またはアル
ケニル基であり、a、b、cおよびdはそれぞれ正の整
数であり、かつa+bは5〜20、c+dは2〜30で
ある。)で表される化合物の酸付加塩よりなる鋼板用冷
間圧延潤滑油。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は鋼板の冷間圧延に使用す
るエマルジョン型の冷間圧延潤滑油に関する。さらに詳
しくは、ミル汚れの少ない鋼板用冷間圧延潤滑油に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、鋼板の冷間圧延に用いられるエマ
ルジョン型の圧延潤滑油は、油脂、鉱物油、合成エステ
ル等の単体もしくはそれらの混合物よりなる基油に脂肪
酸等の油性向上剤、燐酸エステル等の極圧添加剤、油の
酸化防止剤、および乳化剤を配合したものであり、使用
時に10重量%以下の濃度の水エマルジョン(以下、ク
ーラント液という)とする。クーラント液に要求される
性能としては、乳化分散性が安定であること、鋼板や圧
延ロールへの潤滑油の付着性(プレートアウト性)が良
好であることなどが挙げられる。近年さらに、クーラン
ト液のかかる圧延ロール、圧延ロールチョック、スタン
ド等の圧延機部位での汚れが少ない圧延潤滑油が要求さ
れてきた。この汚れの成分は、主として、圧延過程で発
生した鉄粉と圧延油と水とが絡んだもの(通常、スカム
と称する)である。スカムは一般にクーラント液に再乳
化、再分散されにくい性質を持つため、クーラント液の
循環系から外れ、圧延機回りに厚く堆積していく。この
堆積したスカムが圧延中に鋼板上に落下した場合、鋼板
表面の品位を著しく損なう。また、圧延機回りに付着し
たスカムは作業環境の悪化の原因となり、ひいては圧延
の作業性を低下させる。そのため、圧延作業および作業
環境の面から、圧延機回りの汚れ(ミル汚れ)が少ない
圧延潤滑油が望まれている。
【0003】しかしながら、従来の乳化剤を用いた圧延
潤滑油では、圧延加工時に発生する鉄粉の混入により乳
化分散性が常に変化するので、乳化分散の経時的な安定
性が得られない。つまり、乳化分散した圧延潤滑油は、
分散初期ではその攪拌条件に見合った粒子径で均一に分
散するが、鉄粉の混入により油粒子の合一が起こり、大
きな粒径のものが生じやすくなる。大きな粒径となった
潤滑油粒子は、攪拌の弱いクーラント液タンクで浮上し
やすくなり、液面にW/O型の浮上油が発生する。その
浮上油が時々循環ポンプに引き込まれる結果、プレート
アウト性が変化し、潤滑変動を招くと考えられる。ま
た、その浮上油がミルにスプレーされ、ロールチョッ
ク、オイルバン、スタンド等に付着、堆積し、ミル汚れ
の原因になっている。
【0004】以上説明したような現象を避けるために、
圧延油な配合される乳化分散剤の種類や配合量が検討さ
れてきた。すなわち、乳化分散状態の経時安定性を向上
させた水溶性カチオン性高分子化合物や、アルキルアミ
ンのエチレンオキサイド付加物の塩のようなカチオン性
と非イオン性とを合せ持った乳化分散剤が検討されてい
る(特開平59−227987号公報)。
【0005】しかしながら、水溶性カチオン性高分子化
合物やアルキルアミンのエチレンオキサイド付加物の塩
は、鉄粉の表面を親水化し、油粒子を鉄粉に絡みにくく
させ、油と鉄粉が絡んだスカムの発生を抑制し、ミル汚
れを改善できる反面、鋼板や圧延ロールの表面をも親水
化するために、油粒子の鋼板、ロールへの付着性が悪く
なる。つまり、これらの界面活性剤はミル汚れを少なく
するが、プレートアウト性が悪くなり、圧延潤滑性を損
なう傾向を持つ。また、これらの界面活性剤は発泡しや
すく、汚れ物を巻き込んだ泡がクーラント液の流れの弱
い箇所に堆積し、ミル汚れの原因にもなっている。
【0006】近年、ステンレス鋼、チタン等の硬質鋼板
やブリキなどの薄板の圧延において、圧延スピードの増
加や圧下率の増大による生産効率の向上と共に、作業環
境の改善を目的に耐ミル汚れ性の向上が圧延油に求めら
れている。この要求に応えるため、耐ミル汚れ性に優れ
ると同時に、クーラント液の乳化分散安定性とプレート
アウト性にも優れる圧延潤滑油が必要である。しかしな
がら、現状ではこれらの要求をすへて満足するような圧
延潤滑油は開発されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上述べた
従来の圧延潤滑油の有する諸問題を解決し、耐ミル汚れ
性の向上bクーラント液の乳化分散性の安定化とプレー
トアウト性の向上の三点を同時に満足する圧延潤滑油を
提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意研究した結果、油脂、鉱物油および
合成エステルからなる群から選ばれた1種または2種以
上の基油に、分子量が2000〜15000で、HLB
5〜9の非イオン性界面活性剤を0.2〜5重量%配合
することにより、油粒子の耐合一性が向上し、乳化分散
の経時安定性があり、かつプレートアウト性も十分満足
し得る圧延潤滑油が得られることを見出だした。しかし
ながら、上記非イオン性界面活性剤のみでは鉄粉と油粒
子とを完全には分離できず、一部スカムを発生させるた
め、ミル汚れが満足するものではなかった。そこで、さ
らにアルキルアミン、アルケニルアミン等のエチレンオ
キサイド付加物の末端にプロピレンオキサイドを付加し
た化合物の塩を0.2〜5重量%配合したところ、鉄粉
が親水化され、スカムの発生が抑制され、ミル汚れが少
なくなり、かつ、プレートアウト性も良好になることを
新たに見出だし、本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明は(a)油脂、鉱物油お
よび合成エステルからなる群から選ばれた1種または2
種以上の基油、(b)基油(a)に対して0.2〜5重
量%の、分子量2000〜15000で、HLB5〜9
の非イオン性界面活性剤、および(c)基油(a)に対
して0.2〜5重量%の、式
【0010】
【化2】
【0011】(式中、Rは炭素数12〜18のアルキル
基、アルケニル基、アルカジエニル基またはアルカトリ
エニル基であり、a、b、cおよびdはそれぞれ正の整
数であり、かつa+bは5〜20、c+dは2〜30で
ある。)で表される化合物の酸付加塩よりなる鋼板用冷
間圧延潤滑油に関する。
【0012】以下、本発明の鋼板用冷間圧延潤滑油を詳
説する。本発明のの成分(a)である基油としては、鋼
板用冷間圧延潤滑油の基油として通常用いられるものを
用いることができる。例えば、鯨油、牛脂、ナタネ油、
ヤシ油、パーム油等の動植物油脂;スピンドル油、マシ
ン油等の鉱物油;牛脂、ヤシ油、パーム油等の動植物油
脂から得られる脂肪酸と炭素数1〜22の脂肪族一価ア
ルコール、エチレングリコール、ネオペンチルアルコー
ル、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等
脂肪族多価アルコールとの合成エステルが挙げられ、こ
れらの群から選ばれる1種または2種以上を用いること
ができる。動植物油脂から得られる脂肪酸としては、通
常、炭素数10〜18の飽和もしくは不飽和脂肪酸、例
えばカプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチ
ン酸、ステアリン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイ
ン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げら
れる。炭素数1〜22の脂肪族一価アルコールとしては
メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコ
ール、ブチルアルコール、オクチルアルコール、ラウリ
ルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニールアル
コール、イソブチルアルコール、2−エチルヘキシルア
ルコール等の直鎖および分枝の飽和脂肪族一価アルコー
ル、のみならず二重結合を有するオレイルアルコール等
も用いることができる。脂肪族多価アルコールを用いる
場合には、これらのモノエステルのみならずジエステ
ル、可能な場合にはトリ、テトラエステル等であっても
よい。
【0013】成分(b)の非イオン性界面活性剤として
は、例えばプロピレングリコールとエチレングリコール
とのコポリマー、高級脂肪酸、多価脂肪酸および重縮合
したオキシ脂肪酸の少なくとも1種とポリエチレングリ
コール、グリセリン、ソルビトール等の多価アルコール
の少なくとも1種とのモノエステルまたはポリエステル
を用いることができる。プロピレングリコールとエチレ
ングリコールとのコポリマーの結合形式は特に限定され
ず、例えばブロック重合であってもランダム重合であっ
てもよい。高級脂肪酸としては炭素数12〜18の飽和
または不飽和一価脂肪酸、例えばラウリン酸、ミリスチ
ン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等が挙
げられる。多価脂肪酸としては炭素数36の、オレイン
酸もしくはリノール酸のダイマー酸、炭素数54の、オ
レイン酸もしくはリノール酸のトリマー酸等が挙げられ
る。重縮合したオキシ脂肪酸としては炭素数は36〜1
80程度のものが適当であり、例えば、オキシステアリ
ン酸が2分子〜10分子つながったものが挙げられる。
ポリエチレングリコールとしては分子量が1500〜2
500程度のものが好適である。ポリエステルとしては
ジエステル、可能な場合にはトリ、テトラエステル等が
用いられる。
【0014】これらの非イオン性界面活性剤(b)の分
子量は2000〜15000である必要がある。200
0未満では油粒子の耐合一性が劣り、また発明者が入手
できた範囲のものでは、分子量が15000を越えると
油溶性が悪くなる。また、これらの非イオン性界面活性
剤(b)のHLBは5〜9である必要がある。5未満で
は油溶性が強く、9を越えると水溶性が強くなるため、
いずれの場合も油粒子と水との界面に安定して存在でき
ない。また、その配合量は基油(a)に対し0.2〜5
重量%である必要がある。0.2重量%未満では乳化分
散の安定性が向上せず、5重量%を越えた場合はその効
果が飽和するので、それ以上の配合は無駄である。
【0015】次に、成分(c)の式Iで示される化合物
の基本構造となるRNのRは炭素数12〜18のアルキ
ル基、アルケニル基、アルカジエニル基またはアルカト
リエニル基であり、RNH2として具体的にはアルキル
(ヤシ)アミンおよびアルキル(牛脂)アミン(これら
はいずれも炭素数の異なる脂肪族アミンの混合物であ
り、脂肪族アミン成分としてはデシルアミン、ドデシル
アミン、テトラデシルアミン、セチルアミン、オクタデ
シルアミン等が含まれる)、ラウリルアミン、ミリスチ
ルアミン、セチルアミン、ステアリルアミン、オレイル
アミン、およびリノール酸やリノレン酸の−COOHが
−CH2NH2に代わったアミン等が挙げられる。エチレ
ンオキサイドの付加モル数(a+b)は5〜20モルに
限定する必要がある。a+bの値が5未満では鉄粉の親
水化効果が弱く、汚れの原因となるスカムの発生が多
い。また20を越えると油溶性が悪くなる。次にプロピ
レンオキサイドの付加モル数(c+d)を2〜30モル
に限定する必要がある。2未満の場合はエチレンオキサ
イドの末端を完全に封鎖できず、プレートアウト量が少
なくなり、潤滑不足になる。また、発泡が激しい。一
方、30を越えた場合はカチオン性が弱くなり、良好な
耐ミル汚れ性が得られなくなる。
【0016】式Iの化合物と塩を形成する酸としては、
腐食性が強かったり、塩形成しにくい酸でない限り、種
々の水溶性または油溶性の酸を使用することができる。
例えば、水溶性の酸としては酢酸、プロピオン酸、グリ
コール酸、燐酸等を用いることができ、油溶性の酸とし
てはカプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、2−エチル
ヘキシル酸等のモノカルボン酸、アルケニルコハク酸
(炭素数19)等のジカルボン酸、およびモノアルキル
もしくはモノアルケニル酸性燐酸エステル、ジアルキル
もしくはジアルケニル酸性燐酸エステル等の燐酸エステ
ル等を用いることができる。なお、式Iの化合物の塩は
成分(a)、(b)および(c)の混合前に形成されて
いても良いし、混合時もしくはそれ以降に形成されても
良い。
【0017】成分(c)の配合量は基油(a)に対し
0.2〜5重量%である必要があり、0.2〜2重量%
が好ましく、0.5〜1.5重量%がさらに好ましい。
0.2重量%未満では耐ミル汚れ性が向上せず、5重量
%を越えた場合はその効果が飽和するので、それ以上の
配合は無駄である。
【0018】なお、式Iの化合物は、アルキルアミンの
エチレンオキサイド付加物が公知であるので、これと同
様にしてアルキルもしくはアルケニルアミンのエチレン
オキサイド付加物を生成させ、ついでプロピレンオキサ
イドをこのエチレンオキサイド付加と同様にして付加さ
せることにより、容易に得ることができる。製法の一例
を簡単に示すと、高温、不活性雰囲気中で、アルキルも
しくはアルケニルアミンにエチレンオキサイドを高圧で
吹き込み、所定量付加させ、ついでプロピレンオキサイ
ドを同様にして所定量付加させることにより得ることが
できる。なお、この反応の際に、アルカリ触媒を使用す
るが、製品中に残らないように、吸着剤で排除する。
【0019】本発明の鋼板用冷間圧延潤滑油は、必須成
分である成分(b)としての非イオン性界面活性剤およ
び成分(c)としての式Iの化合物の塩以外に、各種油
性向上剤、極圧添加剤、高級脂肪酸(潤滑性向上のた
め)等の鋼板用冷間圧延潤滑油に通常使用される添加剤
を含有していてもよい。また、必要に応じてその他の界
面活性剤、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオ
レエート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテ
ル、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチ
レンソルビトールテトラエステル等を含有していてもよ
い。かかる界面活性剤としてはHLBが10〜16の非
イオン性界面活性剤の使用が好ましい。
【0020】以上の各成分を混合して本発明の鋼板用冷
間圧延潤滑油を製造する際の、混合の仕方については、
特に制限はない。通常、成分(a)を攪拌しながら、成
分(b)、成分(c)、および、必要に応じ、他の成分
を添加して製造する。成分(b)、成分(c)はいずれ
を先に添加しても良いし、同時に添加しても良い。この
ようにして製造された本発明の鋼板用冷間圧延潤滑油は
そのpH領域が4〜7にあることが好ましく、4〜6.
5であることがさらに好ましく、4〜6.0であること
が特に好ましい。pH4未満では圧延機あるいは圧延板
の錆が問題になるので現実的でなく、pH7を越える
と、例えばpH8ではアニオン性の乳化になり、成分
(c)のカチオン性がなくなるため結果的に耐ミル汚れ
性が悪くなる。上記pH領域に設定する場合、その設定
は前記した、式Iの化合物と塩を形成する酸で行うのが
好ましい。また、任意成分としての高級脂肪酸の添加で
このpH設定が同時に達成される場合もある。
【0021】
【作用】圧延潤滑油の乳化分散性、耐合一性を向上させ
るには、油粒子の表面の保護膜を厚くすることが有効で
あるが、また同時にその保護膜が油粒子と水との界面に
安定して存在する必要がある。本発明に使用した分子量
2000〜15000の非イオン性界面活性剤は、従来
使用されていた非イオン性界面活性剤よりも親油基、親
水基とも大きく、油粒子の表面の保護膜を厚くすること
ができ、このために油粒子の合一を阻止することができ
る。
【0022】アルキルアミンのエチレンオキサイド付加
物の末端を疎水性基で封鎖した化合物(式Iの化合物)
の塩の作用機構としては、おおよそ次のように考えられ
る。すなわち、一般に、界面活性剤は、圧延で発生した
鉄粉あるいは鉄粉と油が絡んだスカムと水との界面自由
エネルギーを減少させ、機械的作用により液中にそれら
を分散させると共に、吸着した界面活性剤の荷電または
水和層によって、鉄粉あるいはスカム粒子間の合一や再
付着を防止する作用を持つ。この鉄粉、スカムと水との
界面自由エネルギーの低下は「濡れ」という現象として
現れるが、界面活性剤の中で濡れ剤として良いものは、
構造上、極性基が分子中央にあるものである。アルキル
アミンのエチレンオキサイド付加物の末端を疎水性基で
封鎖したものは、疎水性基ー親水基ー疎水性基の三層構
造をとるため、極性基である窒素原子とエチレンオキサ
イドが比較的、分子の中央に存在し、鉄粉、スカムが水
に濡れやすくなる。この作用により鉄粉あるいはスカム
がクーラント液中に分散しやすくなり、ミル汚れの原因
であるスカムの堆積を抑えることができると考えられ
る。
【0023】また、イオン性(カチオン性)とポリエチ
レンオキサイドの水和層が界面に存在するために、油粒
子間の合一、あるいは油粒子と鉄粉の合一をある程度防
止し、なおかつ、ポリエチレンオキサイドの末端に疎水
基があるために、従来のアルキルアミンのエチレンオキ
サイド付加物の塩より優れたプレートアウト性を示す。
つまり、従来のアルキルアミンのエチレンオキサイド付
加物にみられたような、鉄粉あるいは鋼板表面を完全に
親水化し、スカム発生を防止する反面、潤滑に必要な油
粒子の鋼板への付着も妨げてしまうような欠点はなくな
ったのである。
【0024】アルキルアミンのエチレンオキサイド付加
物あるいはその塩を圧延潤滑油の乳化剤として用いた場
合、発泡が激しく、汚れ物を巻き込んだ泡がクーラント
液の流れの弱い箇所に堆積し、ミル汚れの原因になりや
すいが、本発明のようにアルキルアミンのエチレンオキ
サイド付加物の末端を疎水基で封鎖したものおよびその
塩は、発泡がほとんどなく、したがって、泡による汚れ
の堆積もほとんどないのである。
【0025】
【実施例】次に、実施例を比較例と共に示し、本発明の
効果をより具体的に説明する。 (1)供試圧延潤滑油成分 基油(a):トリメチロールプロパントリラウレートを
使用した。 非イオン性界面活性剤(b):表1に示すもの(Aとす
る)を使用した。 式Iの化合物の塩(c):表2に示す式Iの化合物(B
とする)と表3に示す酸(Cとする)とを用いて潤滑油
調製時に生成させた。 その他の成分:ラウリン酸および表4に示す界面活性剤
(Dとする)を使用した。調製方法 実施例:基油(a)に対し、ラウリン酸を3重量%添加
したものにA、B、Cの順に添加して調製した。 比較例:基油(a)に対し、ラウリン酸を3重量%添加
したものにDを添加して調製した。組成 :表5に示す。 なお、調製した圧延潤滑油のpHは実施例2では6.0
強、その他の実施例では4〜6であった。
【0026】(2)評価試験方法 (2)−1 乳化分散安定性 ホモミキサーを用いて乳化分散安定性の試験を行った。 試験方法:新油を30分撹拌後、スカムから取り出した
鉄粉を1000ppm添加し、さらに30分撹拌する。
撹拌30分毎にエマルジョンの粒子径をコールターカウ
ンター(TA−II型)で測定する。 (2)−2 プレートアウト性 スプレー式ポンプ循環試験機でエマルジョンを作製し、
鋼板にスプレーし、付着油量を重量法で測定した。 条件:クーラント液 濃度4容量%、温度60℃ スプレー流量 600ml/min スプレー時間 1秒間 鋼板 spcc 0.8mm×50mm×100mm 鋼板温度 室温
【0027】(2)−3 耐ミル汚れ性 供試油エマルジョンで、一定量のコイルを圧延し、ロー
ルおよび受け皿に付着した汚れ物の量を測定した。 条件:クーラント液 濃度4容量%、温度60℃ 圧延ロール 直径150mm 圧延速度 10m/min 圧延板 spcc 1.2mm×50mm×100mm 圧延回数 3パス 圧下率 30%/パス (3)結果:これらの評価試験結果を表6に示す。
【0028】表6の結果から明らかなように、本発明の
圧延潤滑油を用いた実施例1〜9はクーラント液の乳化
分散性の安定化とプレートアウト性の向上、および耐ミ
ル汚れ性の向上を同時に満足することがわかる。一方、
本発明に包含されない構成からなる圧延潤滑油を用いた
比較例1〜6は乳化分散性、プレートアウト性および耐
ミル汚れ性の三性能の内どれかが劣ることがわかる。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の鋼板用冷
間圧延潤滑油は、比較的高分子量の非イオン性界面活性
剤とアルキルアミンのエチレンオキサイド付加物にさら
にプロピレンオキサイドを付加した化合物の塩との組み
合わせの効果により、優れた乳化分散安定性と優れたプ
レートアウト性と優れた耐ミル汚れ性を有するので、冷
間圧延において十分な潤滑性、作業安定性が確保できる
と同時に、作業環境も良好になる。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】
【0034】
【表5】
【0035】
【表6】
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10M 133:08) C10N 30:00 40:24 (72)発明者 佐藤 裕之 東京都中央区日本橋一丁目15番1号日本パ ーカライジング株式会社内 (72)発明者 池内 直樹 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号日本 鋼管株式会社内 (72)発明者 釜瀬 敏秀 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号日本 鋼管株式会社内 (72)発明者 白石 馨 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号日本 鋼管株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)油脂、鉱物油および合成エステルか
    らなる群から選ばれた1種または2種以上の基油、
    (b)基油(a)に対して0.2〜5重量%の、分子量
    2000〜15000で、HLB5〜9の非イオン性界
    面活性剤、および(c)基油(a)に対して0.2〜5
    重量%の、式 【化1】 (式中、Rは炭素数12〜18のアルキル基、アルケニ
    ル基、アルカジエニル基またはアルカトリエニル基であ
    り、a、b、cおよびdはそれぞれ正の整数であり、か
    つa+bは5〜20、c+dは2〜30である。)で表
    される化合物の酸付加塩よりなる鋼板用冷間圧延潤滑
    油。
JP15388595A 1995-05-29 1995-05-29 鋼板用冷間圧延潤滑油 Pending JPH08325588A (ja)

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Cited By (4)

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