JP2004018610A - 冷間圧延油および冷間圧延方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(a)動植物油脂、鉱油および合成エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種類以上の基油、および(b)式(i)で示される非イオン性界面活性剤を含有する冷間圧延油。
R−[(BO)x(EO)yH]z (i)
(式中、Rは2個以上の活性水素を持つ化合物の残基、BOはオキシブチレン基、EOはオキシエチレン基、xおよびyは平均付加モル数を示し、xは2〜60、yは2〜60、BOとEOはブロック状に付加しており、zは2〜8、分子量が1500以上10000未満、分子量に対するオキシエチレン基の重量比が0.1〜0.6である。)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、普通鋼、ステンレス鋼、珪素鋼等をはじめとする金属の冷間圧延時に使用するエマルション型の冷間圧延油に関する。更に詳しくは、乳化安定性および潤滑性に優れ、かつ圧延材の表面品質および作業環境の向上に寄与することが可能な冷間圧延油とその使用方法に関する。
【0002】
【従来技術】
冷間圧延に用いられるエマルションタイプの圧延油は、動植物油脂、鉱油およびエステル等の単体もしくは混合物を基油とし、更に界面活性剤、油性向上剤、極圧添加剤、酸化防止剤等の各種添加剤が適宜配合されており、これを水で通常0.2〜20体積%程度のエマルションに希釈したもの(以降、「クーラント液」と称する)を圧延加工部へ供給している。圧延油エマルションの供給方式としては、掛け捨て方式と循環方式があるが、循環方式の圧延機において、クーラント液は加工部の潤滑と加工時に発生する熱の冷却を目的として、フィルター類による清浄化を図りながら循環使用されている。
【0003】
クーラント液に要求される性能としては、被圧延材や圧延ロールに対する潤滑油分の付着性、すなわちプレートアウト性が良好であると同時に、安定した操業を行うためには長期の循環使用においても乳化安定性が低下しないことが挙げられるが、これらは一般的に相反する傾向がある。すなわち、クーラント液の乳化安定性を高めれば被圧延材表面へのプレートアウト性が低下し、良好な潤滑性が得られなくなる。一方、クーラント液の乳化安定性を低下させれば、高いプレートアウト性により良好な潤滑性が得られるが、加工時に発生する疎水性の金属摩耗粉に油粒子表面が覆われることで油粒子の合一が促進され、撹拌しても再乳化できないスカムが大量に生成する。再乳化できずに浮上したままのスカムが増加すると、クーラント液の油分濃度の低下により潤滑不足を招く。逆にスカムリッチな部分のクーラント液が供給された場合は潤滑変動を招き圧延操業に支障をきたすので、長期にわたる循環使用に耐えることができない。
更に、近年は圧延速度の上昇や圧下率の増大による生産効率の向上とともに、以前にも増して圧延材表面に対する要求品質も一層厳格化してきており、表面疵や汚れの発生原因となる圧延機廻り堆積スカムの低減による作業環境の向上が強く望まれている。圧延機廻りに堆積したスカムは作業環境悪化の原因となるばかりか、ひいては圧延板品質低下の引き金にもなるため、スカムの発生量を低減させるか、発生したスカムをフィルター等の清浄化装置で除去する必要がある。
【0004】
これらのことに対応すべく現在までに種々の検討がなされているが、従来の界面活性剤を使用した圧延油では、前述の要求性能を全て満足するようなものは得られていない。例えば、特開平02−305894号公報では、以前は分子量が1000未満の非イオン性界面活性剤が用いられていたものに対し、分子量が数千の非イオン性界面活性剤を用いることにより、良好な潤滑性と乳化安定性を両立できているが、発生スカムの除去性が必ずしも十分なものではなく、圧延材の表面品質および作業環境の向上という面で問題を有していた。また、特開2001−254092号公報には、特定構造の非イオン性界面活性剤を使用した潤滑油エマルション組成物が開示されているが、潤滑性と乳化安定に関しては良好な結果が得られてはいるものの、乳化安定性の評価は新油での試験結果のみであり、実際に長期循環使用したときに発生しうる鉄粉およびスカムの影響に関する具体的な記載はない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の冷間圧延に用いられるエマルション型の圧延油が有する上述の諸問題を解決し、長期にわたる循環使用時の乳化安定性および潤滑性に優れ、かつ圧延材の表面品質および作業環境の向上に寄与できるエマルション型の冷間圧延油および冷間圧延方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究した結果、特定の非イオン性界面活性剤を用いると上記課題を効率的に解決できるとの知見に基づいてなされたものである。
すなわち、本発明は、(a)動植物油脂、鉱油および合成エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種類以上の基油、および(b)式(i)で示される非イオン性界面活性剤を含有することを特徴とする冷間圧延油を提供する。
【化2】
R−[(BO)x(EO)yH]z (i)
(式中、Rは2個以上の活性水素を持つ化合物の残基、BOはオキシブチレン基、EOはオキシエチレン基、xおよびyは平均付加モル数を示し、xは2〜60、yは2〜60、BOとEOはブロック状に付加しており、zは2〜8、分子量が1500以上10000未満、分子量に対するオキシエチレン基の重量比が0.1〜0.6である。)
本発明は、又、圧延機にて、上記冷間圧延油を水で0.2〜20体積%に希釈したエマルションを循環方式で使用する冷間圧延方法を提供する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の成分(a)である基油としては、従来から冷間圧延油に用いられているものを使用できる。例えば、牛脂、ヤシ油、パーム油、パーム核油、ナタネ油、綿実油等の動植物油脂およびそれらの精製品;メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、オクチルアルコール、ラウリルアルコール、イソブチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール等の一価アルコールまたはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、へキシレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の多価アルコールとラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等の一価脂肪酸またはアクリル酸、メタクリル酸、コハク酸、炭素数12のアルケニルコハク酸、炭素数36のダイマー酸、炭素数54のトリマー酸等の多価脂肪酸との合成エステル;マシン油、スピンドル油、タービン油等の鉱油が挙げられ、これらの群から選ばれる一種または二種以上を選ぶことができる。ただし、特に温度が低い時期に起こりやすい圧延油の固化および圧延加工によって発生した金属粉と圧延油の混和による圧延機廻り堆積スカムの生成を防止するためには、流動点が20℃以下の基油を使用することが好ましい。流動点が20℃より高い動植物油脂や合成エステル等を用いる場合は、流動点が低い別の基油との組み合わせで構成し、圧延油自体の流動点を好ましくは20℃以下に、より好ましくは10℃以下にすることにより、圧延材の表面品質および作業環境について大幅に向上することが可能になる。
【0007】
本発明の成分(b)である非イオン性界面活性剤は式(i)で示され、Rは2個以上、好ましくは4個以上の活性水素を持つ化合物の残基であるが、未反応の活性水素を分子内に有していてもよい。さらに好ましくはRは活性水素を8個以下、より好ましくは6個以下有する化合物の残基であるのがよい。Rの例としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、へキシレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン(好ましくは2〜6量体)、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の多価アルコールの残基、キシロース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、ソルビトール、ソルビタン、ソルビタンアルキレート、アルキルグルコキシドなどの2個以上のヒドロキシル基を持つ化合物の残基、好ましくは糖類またはその誘導体の残基、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、オレイルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、アルキルアミノプロピルアミン、アルカノールアミンなどの含有窒素化合物の残基などが挙げられ、好ましくは2個以上のヒドロキシル基を持つ化合物の残基、より好ましくは多価アルコールの残基および糖類またはその誘導体の残基である。
【0008】
BOはオキシブチレン基であり、ブチレン骨格は直鎖、分岐のどちらでも良く、好ましくは1,2−オキシブチレン基である。EOはオキシエチレン基であり、BOとEOはそれぞれがブロック状ポリマーの形で付加されている。このとき、活性水素を有する化合物に対して親水基であるポリオキシエチレン、親油基であるポリオキシブチレンの順にブロック状に付加させることが重要である。ポリオキシエチレンとポリオキシブチレンの付加位置を逆転させると、良好な乳化安定性が得られなくなってしまうからである。また、親油基をポリオキシプロピレンにした場合は親油性が弱いため基油(a)に対する溶解性が悪くなると同時に、プレートアウト性も低下してしまう。一方、親油基をポリオキシブチレンよりも親油性が強いポリオキシアルキレンにした場合、現時点では工業上の実用化がされていないため製造コストが大幅に上昇してしまい不経済である。なお、本発明の効果が損なわれない範囲内であれば、分子内にBOおよびEO以外のオキシアルキレン基が混在しても良い。
【0009】
xおよびyは、それぞれオキシブチレン基およびオキシエチレン基の平均付加モル数を示し、xは2〜60、yは2〜60である。zはRに対して付加するポリオキシアルキレン鎖の結合数(価数)を示し、2〜8が適しているが、好ましくは4〜6である。zが2〜8の範囲にあると、良好なプレートアウト性を得ることができる。式(i)で示される非イオン性界面活性剤(b)の分子量は、1500以上10000未満の範囲が適しているが、好ましくは2000以上3500未満であり、分子量に対するオキシエチレン基の重量比は0.1〜0.6が適しており、好ましくは0.2〜0.5である。分子量が1500以上10000未満であると、良好な乳化安定性が得られ、又粘度が高くなりすぎることがなく、表面疵や汚れの発生原因となる圧延機廻り堆積スカムの生成が助長されないとの利点がある。また、分子量に対するオキシエチレン基の重量比が0.1〜0.6であると良好な乳化安定性が得られ、基油(a)に対する溶解性も良好で、プレートアウト性も良好である。
基油(a)に対する式(i)で示される非イオン性界面活性剤(b)の配合重量比は0.001〜0.1であるのが好ましく、この範囲で用いると、充分な乳化安定性を発揮することができる。
【0010】
式(i)で示される非イオン性界面活性剤(b)の合成には、公知の方法が利用できる。製法の一例を簡単に記すと、100〜150℃の高温、不活性ガス雰囲気下でアルカリ触媒または酸触媒を使用し、活性水素を持つ化合物に所定量のブチレンオキサイドを高圧で吹き込み、次いで所定量のエチレンオキサイドをブチレンオキサイドと同様に吹き込んでブロック状の付加反応物を作ることができる。この反応生成物中に含まれる未反応アルキレンオキサイドを必要に応じて除去後、残存しているアルカリ成分を吸着剤等で除去することで目的の非イオン性界面活性剤を得ることができる。
【0011】
本発明の冷間圧延油は、必須成分である基油(a)、および(b)式(i)で示される非イオン性界面活性剤以外にも、本発明の効果が損なわれない範囲内であれば、必要に応じて、他の界面活性剤、各種油性向上剤、極圧添加剤、酸化防止剤等の各種添加剤を含有しても良い。例えば他の界面活性剤としてはアルキル基の炭素数が12〜18のポリエチレングリコールアルキルエステル、アルキル基の炭素数が12〜18のポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、アルキル基の炭素数が12〜18のポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキル基の炭素数が8〜12のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーおよびその変成物、炭素数が12〜18の脂肪酸のジエタノールアミド、炭素数が12〜18の脂肪酸のアルカノールアミン塩等が;油性向上剤としては炭素数12〜18の一価脂肪酸、炭素数36のダイマー酸、炭素数54のトリマー酸等が;極圧添加剤としては、亜リン酸エステル、酸性リン酸エステル、硫化エステル、硫化オレフィン、ポリサルファイド等が;酸化防止剤としては2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、α−ナフチルアミン等が挙げられる。
以上の各成分を混合して本発明の冷間圧延油を製造する際の混合の仕方については、特に制限はない。通常は基油(a)を40〜80℃に加温、撹拌しながら、(b)式(i)で示される非イオン性界面活性剤および、必要に応じて前記の各種添加剤を添加して製造するのがよいが、(b)および各種添加剤は、いずれを先に添加しても良いし、同時に添加しても良い。
【0012】
本発明の冷間圧延油の使用方法であるが、通常は水により0.2〜20体積%のエマルションに希釈したものをクーラント液として圧延加工部へ供給するのがよい。希釈に使用する水は、脱イオン水、水道水、工業用水のいずれでも良く、エマルションの作成方法に特に制限はない。また、本発明の冷間圧延油は循環使用時にマグネチックセパレーター、DEMフィルター、ストレーナー、ラバルセパレーターやフラットベットフィルター等のフィルター類を併用したときのスカム除去によるクーラント液清浄化効果が大きいので、圧延材の表面品質および作業環境を向上するとともに、圧延油原単位の低減にも寄与できる。
【0013】
以下に実施例を比較例と共に示し、本発明による効果をより具体的に説明する。
【実施例】
実施例1〜8
本発明の成分(a)である圧延油の基油としてトリメチロールプロパントリオレエート(流動点−30℃)を使用し、成分(b)として表1に示す界面活性剤A〜Oを使用し、表2に示す組成比で混合することにより供試圧延油(実施例は1〜8、比較例は9〜15)を調製した。この供試圧延油を、以下に示す試験例で評価した。なお、性能評価項目は乳化安定性(乳化安定性試験)、潤滑性(プレートアウト性試験、圧延潤滑性試験)、圧延材の表面品質および作業環境の向上について(スカム除去性試験)であり、評価結果は表2に併記した。
【0014】
【表1】
【0015】
【表2】
【0016】
試験1 乳化安定性試験
表2に示す各供試圧延油を下記の条件でエマルション建浴し、ホモミキサー(TKロボミックス)撹拌後のエマルション粒子径をコールターカウンター(マルチライザーII)で測定した。本試験では新油と鉄粉添加時における平均粒径の変化が小さいほど乳化安定性が良好であるといえる。
(乳化安定性試験条件)
圧延油濃度:3体積%
建浴量 :1L
浴温度 :50℃
撹拌条件 :ホモミキサー10000rpm×30min
鉄粉混入量:エマルションに対して0ppm(新油)または1000ppm
使用鉄粉 :市販酸化鉄粉(Fe3O4、平均粒径1μm以下)
【0017】
(乳化安定性評価基準)
新油と鉄粉添加時における平均粒径の変化率の大小で評価
変化率=(鉄粉添加時の平均粒径−新油の平均粒径)/新油の平均粒径
乳化安定性の評価基準;
◎:変化率0.1未満
○:変化率0.1以上、0.2未満
△:変化率0.2以上、0.5未満
×:変化率0.5以上
【0018】
試験2 プレートアウト性試験
試験1で調製した各供試圧延油の新油エマルション中にテストピースを浸漬し、引き上げてからテストピース上の余剰エマルションを湯洗後、表面炭素分析装置(LECO)にてテストピース上の付着油分量を測定した。本試験では付着油分量が多いほどプレートアウト性が良好なため、潤滑性に優れるといえる。
(プレートアウト性試験条件)
供試液 :試験1で調整した各供試圧延油の新油エマルション
テストピース :SPCC−SB(0.3mm×50mm×100mm)
浸漬時間 :1sec
湯洗条件 :50℃の湯槽に浸漬1sec
付着油分量測定:表面炭素分析装置(LECO)にて500℃×5minでテストピース上の付着炭素量測定後、付着炭素量を1.3倍することで付着油分量に換算
(プレートアウト性評価基準)
付着油分量からプレートアウト性を評価
プレートアウト性の評価基準;
◎:付着油分量が400mg/m2以上
○:付着油分量が300mg/m2以上、400mg/m2未満
△:付着油分量が200mg/m2以上、300mg/m2未満
×:付着油分量が200mg/m2未満
【0019】
試験3 圧延潤滑性試験
表2に示す各供試圧延油を高速短冊圧延試験機にて下記条件で圧延潤滑試験を行い、圧延荷重で比較評価した。圧延荷重が低いほど圧延潤滑性が良好であるといえる。
(圧延潤滑性試験条件)
テストピース:SPCC−SB(1.2mm×30mm×500mm)
圧延ロール :500mmφ(エメリー紙#80研磨;表面粗度Ra0.3μm)
圧延速度 :500m/min
圧下率 :30%
圧延油濃度 :3体積%
建浴量 :10L
浴温度 :50℃
スプレ−量 :ベースレスポンプにて1L/minを上下のロールに供給
【0020】
(圧延潤滑性評価基準)
圧延荷重から圧延潤滑性を評価
圧延潤滑性の評価基準;
◎:圧延荷重が250N未満
○:圧延荷重が250N以上、270N未満
△:圧延荷重が270N以上、300N未満
×:圧延荷重が300N以上
【0021】
試験4 スカム除去性試験
表2に示す各供試圧延油を下記の条件でエマルション建浴し、クーラント清浄化用のフィルター類を組み入れた循環装置内を所定時間循環後、エマルションの油分濃度と鉄分濃度を測定した。本試験では循環後の油分濃度の低下が小さく(油分残存率が高い)、鉄分濃度の低下が大きいもの(鉄粉除去率が高い)ほどスカム除去性が良好であるといえる。
(スカム除去性試験条件)
圧延油濃度 :3体積%
建浴量 :3L
浴温度 :50℃
鉄粉混入量 :エマルションに対して1000ppm
使用鉄粉 :市販酸化鉄粉(Fe3O4、平均粒径1μm以下)
循環条件 :ベースレスポンプにて流量1L/min×30min
フィルター :▲1▼濾布(保留粒子径25μm)、▲2▼永久磁石
油濃度測定 :乳脂計に循環後のエマルションを一定量採取し、硫酸と硝酸を 各10mL加え1hr加熱分解後、浮上した油分量を読みとる
鉄分濃度測定:循環後のエマルションを一定量採取、塩酸加熱分解し5A濾紙 で濾過後、原子吸光光度法にて鉄分濃度を測定
【0022】
(スカム除去性評価基準)
油分残存率および鉄粉除去率から総合的にスカム除去性を評価。
ただし、油分残存率=循環後油分濃度/建浴時油分濃度
また、鉄分除去率=(建浴時鉄分濃度−循環後鉄分濃度)/建浴時鉄分濃度
スカム除去性の評価基準;
◎:油分残存率が0.8以上でかつ鉄分除去率が0.5以上
○:油分残存率が0.6以上0.8未満でかつ鉄分除去率が0.5以上
△:油分残存率が0.4以上0.6未満でかつ鉄分除去率が0.5以上
×:油分残存率が0.4未満または鉄粉除去率が0.5未満
表2に示す結果から明らかなように、本発明の圧延油は乳化安定性、プレートアウト性および圧延潤滑性に優れるばかりでなく、スカム除去性にも優れている。一方、比較例に挙げた圧延油は前記の性能評価項目について、全てを同時に満たすことはできないことがいえる。
【0023】
【発明の効果】
本発明の冷間圧延油を適用した冷間圧延方法による効果としては、長期にわたる循環使用時の乳化安定性および潤滑性に優れると同時に、循環系にフィルター類を併用した時のスカム除去によるクーラント液清浄化効果が大きいので、圧延材の表面品質および作業環境を向上することが可能であり、更には圧延油原単位の低減にも寄与できる。
Claims (5)
- (a)1重量部当たり(b)を0.001〜0.1重量部含有する請求項1記載の冷間圧延油。
- (b)式(i)中のRが4個以上の活性水素を持つ化合物の残基であり、zが4〜6、分子量に対するオキシエチレン基の重量比が0.2〜0.5である請求項1又は2に記載の冷間圧延油。
- (b)式(i)で示される非イオン性界面活性剤の分子量が2000以上3500未満である請求項1〜3のいずれか1項記載の冷間圧延油。
- 圧延機にて、請求項1〜4のいずれか1項に記載の冷間圧延油を水で0.2〜20体積%に希釈したエマルションを循環方式で使用する冷間圧延方法。
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