JP2011241293A - 切削液用水性組成物及びその製造方法並びに水性切削液 - Google Patents

切削液用水性組成物及びその製造方法並びに水性切削液 Download PDF

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Abstract

【課題】砥粒の分散性に優れ、且つスラリーケーキのハードケーキ化を効果的に抑制乃至は阻止し得る切削液用水性組成物及びそれを用いた水性切削液を提供すること。
【解決手段】水又は水と親水性溶媒との混合溶媒に、アルキルシリケートを0.05〜50重量%の濃度となるように加えて、かかるアルキルシリケートを縮合反応せしめ、動粘度が5〜200mm2 /s(30℃)となるように反応液を形成すると共に、更に、アルキルアルコールのアルキレンオキシド付加物を含有せしめて、切削液用水性組成物を構成した。
【選択図】なし

Description

本発明は、切削液用水性組成物及びその製造方法並びに水性切削液に係り、特に、シリコン単結晶、シリコン多結晶、化合物半導体等の切削加工、研磨加工、切断加工等で使用されるスラリー状の水性切削液において、Al23、SiC等の砥粒を分散させるためのスラリー媒体となる水性組成物と、それを有利に製造する方法、更には、そのような水性組成物を用いてなる水性切削液に関するものである。
従来から、シリコンインゴット等をワイヤソー切断する切削液には、鉱物油を分散媒とした非水溶性のものと、水−グリコールを分散媒とした水溶性のものとが、用いられてきている。そして、その中で、非水溶性のものを用いると、その切断により得られたウェーハに、水に不溶な鉱物油が付着することとなるところから、そのような付着鉱物油を除去するため、引火性のある溶剤による洗浄操作が採用されており、そのために、臭気を発したり、引火の危険性が生じる等、作業環境を悪化させる問題を内在している。
一方、水溶性のものに用いられている水−グリコール類は、引火性が低く、水溶性であることによって、洗浄が容易であるところから、上記した非水溶性のものとは異なり、溶剤洗浄も必要ではなく、そのために、作業環境が悪化するという問題も顧慮する必要がなくなったのであるが、それに砥粒が分散せしめられてなる砥粒スラリーの分散性を良好に得るべく、例えば、特開平11−302681号公報においては、シリカやベントナイト等の無機系分散剤が用いられているのである。
しかしながら、水溶性のグリコール類に使用される無機分散剤は、水−グリコールを主成分とする系の中では、安定性が悪く、そのために、かかる無機分散剤は、数日で沈降してしまうという問題を有するものであった。そして、その沈降した液を用いて砥粒スラリーを作製すると、砥粒の沈降が早く、また、沈降した後、数日経過すると、その形成された沈降層が固くなってしまい、配管の目詰まりやタンク内の沈降したSiC等の砥粒ケーキ(スラリーケーキ)を再分散させるのに、大きな労力を要していたのである。
特開平11−302681号公報
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、砥粒の分散性に優れ、且つ切削液において生じたスラリーケーキのハードケーキ化を効果的に抑制乃至は阻止し得る切削液用水性組成物及びそれを用いた水性切削液を提供することにあり、また、そのような切削液用水性組成物を有利に製造し得る方法を提供することにもある。
そして、本発明は、上記した課題、又は明細書の記載全体から把握される課題を解決するために、以下に列挙せる如き各種の態様において、好適に実施され得るものであるが、また、以下に記載の各態様は、任意の組合せにおいても、採用可能である。なお、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されることなく、明細書全体の記載並びにそこに開示の発明思想に基づいて、認識され得るものであることが、理解されるべきである。
(1) 水又は水と親水性溶媒との混合溶媒に、アルキルシリケートを0.05〜45重量%の濃度となるように加えて、かかるアルキルシリケートを縮合反応させることにより、動粘度が5〜200mm2 /s(30℃)となるように形成された反応液から構成され、更に、アルキルアルコールのアルキレンオキシド付加物が含有せしめられていることを特徴とする切削液用水性組成物。
(2) 前記アルキルアルコールのアルキレンオキシド付加物が、0.05〜45重量%の濃度において含有せしめられている前記態様(1)に記載の切削液用水性組成物。
(3) 脂肪酸及び/又は脂肪酸アルカノールアミドを、更に含有している前記態様(1)又は(2)に記載の切削液用水性組成物。
(4) 前記アルキルシリケートが、メチルシリケート又はエチルシリケートである前記態様(1)乃至(3)の何れか一つに記載の切削液用水性組成物。
(5) 前記アルキルアルコールのアルキレンオキシド付加物が、数平均分子量:400〜50000の水溶性の付加物である前記態様(1)乃至(4)の何れか一つに記載の切削液用水性組成物。
(6) 前記親水性溶媒が、アルコール、グリコールエーテル、及びグリコール類からなる群より選択される前記態様(1)乃至(5)の何れか一つに記載の切削液用水性組成物。
(7) 前記グリコール類が、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、及びトリエチレングリコールである前記態様(6)に記載の切削液用水性組成物。
(8) 水又は水と親水性溶媒との混合溶媒に、アルキルアルコールのアルキレンオキシド付加物を加え、更に、アルキルシリケートを0.05〜45重量%の濃度となるように加えて、かかるアルキルシリケートを縮合反応せしめ、動粘度が5〜200mm2 /s(30℃)となるように、縮合反応液を形成することを特徴とする切削液用水性組成物の製造方法。
(9) 前記アルキルシリケートの縮合反応が、10〜80℃の温度下において進行せしめられる前記態様(8)に記載の切削液用水性組成物の製造方法。
(10) 前記態様(1)乃至(7)の何れか一つに記載の水性組成物を用い、必要に応じて、水及び/又は親水性溶媒にて希釈して、前記アルキルシリケートに換算した縮合物の濃度が0.05〜5重量%となるように調整する一方、これに、所定の砥粒を混合分散させてなることを特徴とする水性切削液。
(11) 前記アルキルアルコールのアルキレンオキシド付加物の濃度が、0.05〜20重量%となるように、調整されている前記態様(10)に記載の水性切削液。
(12) 前記砥粒が、SiCである前記態様(10)又は(11)に記載の水性切削液。
このように、本発明に従う切削液用水性組成物にあっては、水又は水と親水性溶媒との混合溶媒中において、アルキルシリケートを縮合反応せしめて、その縮合物を生成させ、動粘度が5〜200mm2 /s(30℃)となるように調製されると共に、そこにアルキルアルコールのアルキレンオキシド付加物が含有せしめられていることにより、砥粒の分散性や液安定性に著しく優れたものとなっているのであり、しかも、切削液において生じるスラリーケーキのハードケーキ化が、効果的に抑制乃至は防止され得ることとなるため、沈殿した砥粒を容易に再分散させることが出来るという特徴をも発揮するものである。
従って、そのような切削液用水性組成物を用いて、所定の砥粒を分散せしめて得られる水性切削液にあっては、シリコン単結晶、シリコン多結晶、化合物半導体等の切削加工、研磨加工、切断加工等に好適に用いられ、例えば、ウェーハの切削加工における作業効率の改善等を、有利に図り得ることとなったのである。
また、本発明手法に従って、そのような切削液用水性組成物を製造することにより、上記した優れた特徴を発揮し得る水性組成物を、容易に且つ有利に得ることが出来ることとなったのである。
ところで、かくの如き本発明に従う切削液用水性組成物においては、アルキルシリケートの縮合物を得るために、アルキルシリケートの反応媒体として、水又は水と親水性溶媒との混合溶媒が用いられるのであるが、そこで、親水性溶媒としては、公知の各種のものが用いられ得、例えば、アルコール、グリコールエーテル、及びグリコール類からなる群より、適宜に選択されることとなる。中でも、水とグリコールの組合せからなる混合溶媒が、好適に用いられることとなる。また、それら水と親水性溶媒との配合割合は、適宜に選定され得るものであるが、一般に、水:親水性溶媒=10〜90:90〜10程度の割合の混合溶媒として、用いられることとなる。
なお、上記したかかる親水性溶媒として用いられるアルコールとしては、具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコール等を挙げることが出来る。
また、かかる親水性溶媒の一つであるグリコールエーテルとしては、例えば、メチルグリコール、メチルジグリコール、メチルトリグリコール、メチルポリグリコール、イソプロピルグリコール、イソプロピルジグリコール、ブチルグリコール、ブチルジグリコール、ブチルトリグリコール、イソブチルグリコール、イソブチルジグリコール、メチルプロピレングリコール、メチルプロピレンジグリコール、メチルプロピレントリグリコール、プロピルプロピレングリコール、プロピルプロピレンジグリコール、ブチルプロピレングリコール、ブチルプロピレンジグリコール等を挙げることが出来る。
さらに、上記した親水性溶媒の一つとして用いられるグリコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、デカンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ジグリセリン、ネオペンチルアルコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、マンニトール等を挙げることが出来る。その中でも、好ましくは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールが、用いられ得る。
そして、本発明にあっては、かかる水又は水と親水性溶媒との混合溶媒からなる反応媒体に、アルキルシリケートを加えて、縮合反応せしめることにより、その縮合物を含む反応液が形成されるようにするものであるが、そこで用いられるアルキルシリケートとしては、例えば、メチルシリケート、エチルシリケート、プロピルシリケート、ブチルシリケート等を挙げることが出来、中でも、メチルシリケートやエチルシリケートが、好適に用いられることとなる。
また、かかるアルキルシリケートは、反応媒体(水、又は水+親水性溶媒)中において、0.05〜45重量%、好ましくは0.5〜20重量%の濃度において、添加、含有せしめられて、その縮合反応により、アルキルシリケートの縮合物を形成して、30℃における動粘度が5〜200mm2 /s、好ましくは10〜150mm2 /sとなる反応液(縮合物含有)が、調製されるのである。
なお、かかるアルキルシリケートの使用量において、その反応媒体中の濃度が、0.05重量%よりも少なくなると、縮合反応によって得られる反応液中の縮合物の量が少なくなり、そのために、最終的に調製される切削液中に分散せしめられるSiC等の砥粒の分散性が悪くなる等の問題を惹起するようになるのであり、また、45重量%よりも多くなると、得られる反応液の粘度が高くなって、製造効率が悪くなる等の問題を惹起することとなる。また、得られる反応液の動粘度が、30℃において5mm2 /sよりも低くなると、SiC等の砥粒の分散性が悪くなるという問題を惹起するようになり、更に、200mm2 /s(30℃)よりも高くなると、得られる反応液の粘度が高くなり、製造効率が悪くなるという問題が惹起されるようになる。
また、かくの如きアルキルシリケートの縮合反応に際して、その反応条件は、適宜に採用され得るところであるが、一般に、反応温度としては、10〜80℃、好ましくは30〜80℃が採用され、そして、5〜40時間、好ましくは5〜20時間の間、反応せしめることにより、目的とする動粘度を有する反応液が形成されることとなるのである。また、そのようなアルキルシリケートの縮合反応を促進するために、無機酸又はアルカリ触媒を用いることが望ましく、その場合において、反応媒体中に、0.01〜0.5重量%の濃度となるように添加せしめられることとなる。
なお、それら触媒としての無機酸やアルカリは、何れも、公知のものが用いられ、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸等の無機酸が用いられ得、またアルカリとしては、アンモニア、モノ、ジ及びトリエタノールアミン、モノ、ジ及びトリプロパノールアミン、エチルアミン、モルホリン、シクロヘキシルジエタノールアミン等の有機アミンや、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の無機アルカリを用いることが出来る。
そして、このようにして得られる、アルキルシリケートの縮合物が生成せしめられてなる反応液には、砥粒の分散安定性を向上せしめ、また、切削液としての潤滑性を改善する等のために、アルキルアルコールのアルキレンオキシド付加物が添加、含有せしめられることとなる。このアルキルアルコールのアルキレンオキシド付加物は、アルキルシリケートの縮合反応に先立って、反応媒体に添加されることが望ましいが、また、縮合反応の後に、得られた反応液に添加せしめることも可能である。そして、そのようなアルキルアルコールのアルキレンオキシド付加物は、一般に、0.05〜45重量%の濃度において、含有せしめられることとなるのである。このアルキルアルコールのアルキレンオキシド付加物の濃度が、0.05重量%よりも少なくなると、切削液の調製に際して、SiC等の砥粒の分散性が悪くなる問題があり、また、その含有量が45重量%を超えるようになると、反応液の粘度が高くなり、製造効率が悪くなる等の問題を惹起する恐れが生じる。
なお、そのようなアルキルアルコールのアルキレンオキシド付加物を与えるアルキルアルコールとしては、炭素数が1〜10のアルコールが挙げられ、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、オクチルアルコール、デシルアルコールを挙げることが出来る。また、アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)、1,2−、2,3−、1,3−及び1,4−ブチレンオキシド等が挙げられ、それらは、単独で又は2種以上を組み合わせて、用いられることとなる。具体的には、上記したアルキルアルコールのアルキレンオキシド付加物としては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコールのエチレンオキシド付加物、プロピレンオキシド付加物及びそれらのランダム付加物等が挙げられ、特にその中でも、水に溶解するものが好ましく、エチレンオキシド付加物やエチレンオキシドとプロピレンオキシドのランダム付加物が、有利に用いられることとなる。
さらに、アルキルアルコールに対するアルキレンオキシドの付加モル数としては、一般に、10〜1300モル程度、好ましくは12〜250モル程度、特に好ましくは15〜50モル程度であり、その数平均分子量としては、一般に、400〜50000、好ましくは500〜10000、特に好ましくは600〜3000程度のものが、有利に用いられることとなる。なお、付加モル数や数平均分子量が、その下限を下回るようになると、切削液の調製に際して、SiC等の砥粒の分散性が悪くなる等の問題が惹起され易く、また、その上限を上回るようになると、SiC等の砥粒の分散液の粘度が高くなって、作業性が悪くなる等の問題を惹起し易くなる。
そして、上述の如くして得られる水又は水と親水性溶媒との混合溶媒中に、アルキルアルコールのアルキレンオキシド付加物と共に、アルキルシリケートの縮合物を含み、所定の動粘度(30℃)が付与されてなる反応液が、本発明に従う切削液用水性組成物として用いられることとなるが、そのような反応液には、更に、防錆作用を発揮させるために、脂肪酸及び/又は脂肪族アルカノールアミドが添加せしめられ得る。そのような脂肪酸の添加量は、反応液に対して、20〜1000ppmの濃度となるような割合であり、また、脂肪族アルカノールアミドの添加量は、反応液に対して、20〜1000ppmの濃度となるような割合とされて、両者の合計で、20〜2000ppmとなるように調整される。なお、その濃度が20ppmよりも低くなると、防錆性が悪くなり、また、2000ppmを超えるようになると、水性組成物(切削液)の外観や、その安定性が悪くなる等の問題が惹起されるようになる。
また、そこで用いられる脂肪酸としては、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ノナン酸、イソノナン酸、ドデカンII酸等の高級脂肪酸を挙げることが出来、その中でも、好ましくは、カプリル酸、ラウリル酸、オレイン酸が、有利に用いられる。更に、上記の脂肪族アルカノールアミドとしては、ラウリン酸ジエタノールアミドやオレイン酸ジエタノールアミド等が、用いられることとなる。
なお、かくの如き本発明に従う水性組成物(反応液)には、それを、砥粒が分散せしめられる切削液媒体として用いるべく、必要に応じて、消泡剤、酸化防止剤、油性剤等の添加剤を、適宜に添加、含有せしめることが出来る。
そこにおいて、消泡剤としては、シリコーン系消泡剤、ポリプロピレングリコール(非水溶性)、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル(非水溶性)等を挙げることが出来、その使用量としては、一般に、1重量%以下とされることとなる。
また、酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤(例えば、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、4,4−ブチリデンビス(6−tert−ブチルメタクレゾール)等);アミン系酸化防止剤(例えば、モノオクチルジフェニルアミン、ジオクチルフェニルアミン等)、ジアルキル(炭素数:1〜36)ジチオリン酸亜鉛、ジアリル(炭素数:2〜36)ジチオリン酸亜鉛;有機硫化物等が挙げられる。このような酸化防止剤の使用量は、好ましくは、2重量%以下である。
さらに、油性剤としては、炭素数が8〜22のアルキル若しくはアルケニルリン酸エステル塩(例えば、ラウリルリン酸エステル塩、パルミチルリン酸エステル塩及びオレイルリン酸エステル塩;塩としてはアルカリ金属塩)等の公知のものを、挙げることが出来る。この油性剤の使用量としては、好ましくは、10重量%以下である。
そして、かくして得られた切削液用水性組成物は、そのまま使用されて、所定の砥粒、例えば、SiCやAl23等の公知のものが、分散せしめられて、目的とする水性切削液が調製される他、必要に応じて、前記反応媒体として用いられる水及び/又は親水性溶媒が配合されて、希釈された後、所定の砥粒を分散せしめて、目的とする水性切削液を調製することも可能である。
なお、かかるアルキルシリケートの縮合物を含む反応液から調製される水性組成物を、目的とする水性切削液の媒体として用いる際において、その希釈の有無に拘わらず、そのような水性組成物(切削液媒体)中におけるアルキルシリケートの縮合反応物は、アルキルシリケートとして(換算して)0.05〜5重量%、好ましくは0.08〜3重量%、更に好ましくは0.1〜2重量%の濃度となるように、調製されることが望ましく、また、アルキルアルコールのアルキレンオキシド付加物の含有割合にあっても、一般に、0.05〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%、更に好ましくは0.5〜5重量%の濃度となるように、更に、水が5重量%以上の割合で含まれるように、調整されることとなる。それら縮合反応物やアルキレンオキシド付加物の割合が少なくなると、SiC等の砥粒の分散性が悪化する恐れを惹起し易くなるからであり、また、それらの割合が多くなり過ぎると、砥粒を分散した液の粘度が高くなり、作業性の悪化を招く等の問題を惹起し易くなるからであり、更に、水の含有量が少なくなると、切削液が引火点を示すようになる等の問題を惹起し易くなるからである。
さらに、本発明に従う上記の水性組成物(切削液媒体)を用いて、従来と同様に、シリコン単結晶、シリコン多結晶、化合物半導体等の研削加工、研磨加工、切断加工等を行なうべく、目的とする水性切削液を製造するに際しては、かかる水性組成物に対して、SiCやAl23等の砥粒が、従来と同様にして、混合、分散せしめられることとなる。なお、その際の水性組成物と砥粒との配合割合は、重量比にて、一般に、5:1〜1:3の割合が採用され、中でも、1:2〜2:1の割合が、好適に採用されることとなる。
以下に、本発明の代表的な実施例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記した具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。なお、以下において用いられる部、比及び%は、それぞれ、重量基準にて表わされるものである。
−製造例1−
メチルシリケートの5部と、アルキルアルコールのアルキレンオキシド付加物であるブタノールEO/PO付加体(数平均分子量:2300)の10部と、反応媒体としてのPG/水(プロピレングリコール:水=80:20の混合溶媒、以下同じ)の85部とを混合せしめて、60℃の温度で、12時間、加熱することにより、メチルシリケートの縮合反応を進行せしめて、30℃での動粘度が72mm2 /sである反応液1を得た。
−製造例2−
メチルシリケートの5部と、メタノールのエチレンオキシド付加物であるメタノールEO付加体(数平均分子量:2000)の10部と、反応媒体:PG/水の85部とを混合して、60℃の温度で、10時間、加熱することにより、メチルシリケートの縮合物を形成せしめて、動粘度(30℃)が48mm2 /sの反応液2を得た。
−製造例3−
エチルシリケートの10部と、先のブタノールEO/PO付加体の20部と、反応媒体:PG/水の70部とを混合して、60℃の温度で、24時間、加熱することにより、エチルシリケートを縮合反応させて、動粘度(30℃)が68mm2 /sの反応液3を得た。
−製造例4−
メチルシリケートの5部と、先のブタノールEO/PO付加体の10部と、反応媒体:EG/水(エチレングリコール80部と水20部との混合溶媒)の85部とを混合して、60℃の温度で、12時間、加熱することにより、メチルシリケートの縮合反応を進行せしめて、動粘度(30℃)が52mm2 /sの反応液4を得た。
−製造例5−
メチルシリケートの0.5部と、先のブタノールEO/PO付加体の1部と、反応媒体:PG/水の98.5部とを混合した後、80℃の温度で、24時間、加熱することにより、メチルシリケートを縮合反応せしめ、動粘度(30℃)が19mm2 /sである反応液5を得た。
−製造例6−
メチルシリケートの5部と、反応媒体:PG/水の95部とを混合した後、60℃で12時間、加熱することにより、メチルシリケートを反応せしめ、動粘度(30℃)が64mm2 /sである反応液6を得た。
−水性切削液の調製−
上記した製造例において得られた各種の反応液1〜6を用い、それに、下記表1に示される配合成分の所定割合を配合せしめた後、それら配合液と、砥粒:#1200のSiC(信濃電気精錬株式会社製)とを、重量比で1:1の割合で混合して、SiCスラリーからなる各種の水性切削液1〜9を調製した。なお、下記の表1における切削液5においては、前記した製造例5において得られた反応液を、希釈することなく、そのまま使用したものである。
Figure 2011241293
−水性切削液の評価−
上記で得られた各種の水性切削液1〜9について、それぞれ、下記の手法に従って防錆性、スラリー粘度、スラリーケーキの柔らかさ(進入度%)、及び砥粒の分散率(%)を評価し、その結果を、下記表2に示した。
1)防錆性の評価
得られた切削液の100mL中に、研磨洗浄した鋼板(SPCC−SB:3 0mm×70mm×2mm)を、その半分が浸漬されるようにして、7日間、 室温で放置した後、かかる鋼板における錆の発生の有無を目視観察した。そし て、錆なしを○、一部錆の発生を△、錆の発生大を×として、評価した。
2)スラリー粘度の測定
それぞれの切削液(スラリー)について、その粘度を、B型粘度計(ロータ ーNo.2、60rpm、東機産業株式会社)にて、25℃で測定した。
3)スラリーケーキの柔らかさ(進入度%)の測定
それぞれの切削液を、ホモミキサーで6000rpm、2分間、攪拌混合し た後、100mLのメスシリンダに60mL入れ、室温で放置し、7日後に下 層に沈降したスラリーケーキの固さを、接触面積:2cm2 、重量:29gの 棒が1分でスラリーケーキ中に進入する割合(%)において測定した。
4)砥粒の分散率(%)の測定
それぞれの切削液の100mLの7日後におけるSiC砥粒における容量割 合(%)を測定することにより、砥粒の分散率とした。
Figure 2011241293
かかる表2の結果から明らかな如く、製造例1〜5において得られた反応液を用いた水性組成物により、水性切削液1〜6を構成した場合にあっては、砥粒の分散率は良好であり、スラリーケーキの固さは柔らかく、再分散性に優れていることが認められるのである。
これに対して、アルキルアルコールのアルキレンオキシド付加物を存在せずに、メチルシリケートを縮合反応して得られた製造例6の反応液を用いて調製された水性組成物から得られた切削液7にあっては、沈降したスラリーケーキが固く、砥粒の再分散性に劣るものとなり、また、メチルシリケートの縮合物やブタノールEO/PO付加体の含有量が極めて少ない水性組成物を用いて調製された切削液9にあっては、それら成分の含有効果を充分に発揮することが出来ず、スラリーケーキが固く、砥粒の再分散性において劣るものとなった。更に、水性組成物中にオレイン酸やラウリン酸ジエタノールアミドを添加、含有せしめなかった水性切削液8を用いた切削液8にあっては、その防錆性が悪化していることが認められる。

Claims (12)

  1. 水又は水と親水性溶媒との混合溶媒に、アルキルシリケートを0.05〜45重量%の濃度となるように加えて、かかるアルキルシリケートを縮合反応させることにより、動粘度が5〜200mm2 /s(30℃)となるように形成された反応液から構成され、更に、アルキルアルコールのアルキレンオキシド付加物が含有せしめられていることを特徴とする切削液用水性組成物。
  2. 前記アルキルアルコールのアルキレンオキシド付加物が、0.05〜45重量%の濃度において含有せしめられている請求項1に記載の切削液用水性組成物。
  3. 脂肪酸及び/又は脂肪酸アルカノールアミドを、更に含有している請求項1又は請求項2に記載の切削液用水性組成物。
  4. 前記アルキルシリケートが、メチルシリケート又はエチルシリケートである請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の切削液用水性組成物。
  5. 前記アルキルアルコールのアルキレンオキシド付加物が、数平均分子量:400〜50000の水溶性の付加物である請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の切削液用水性組成物。
  6. 前記親水性溶媒が、アルコール、グリコールエーテル、及びグリコール類からなる群より選択される請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の切削液用水性組成物。
  7. 前記グリコール類が、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、及びトリエチレングリコールである請求項6に記載の切削液用水性組成物。
  8. 水又は水と親水性溶媒との混合溶媒に、アルキルアルコールのアルキレンオキシド付加物を加え、更に、アルキルシリケートを0.05〜45重量%の濃度となるように加えて、かかるアルキルシリケートを縮合反応せしめ、動粘度が5〜200mm2 /s(30℃)となるように、縮合反応液を形成することを特徴とする切削液用水性組成物の製造方法。
  9. 前記アルキルシリケートの縮合反応が、10〜80℃の温度下において進行せしめられる請求項8に記載の切削液用水性組成物の製造方法。
  10. 請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の水性組成物を用い、必要に応じて、水及び/又は親水性溶媒にて希釈して、前記アルキルシリケートに換算した縮合物の濃度が0.05〜5重量%となるように調整する一方、これに、所定の砥粒を混合分散させてなることを特徴とする水性切削液。
  11. 前記アルキルアルコールのアルキレンオキシド付加物の濃度が、0.05〜20重量%となるように、調整されている請求項10に記載の水性切削液。
  12. 前記砥粒が、SiCである請求項10又は請求項11に記載の水性切削液。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2021051297A1 (en) * 2019-09-18 2021-03-25 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Cutting fluid for chamfering
CN115960670A (zh) * 2022-12-29 2023-04-14 广东红日星实业有限公司 一种切削液及其制备方法和应用

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