JP7316883B2 - 冷間圧延油組成物およびそれを用いた圧延鋼板の製造方法 - Google Patents
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すなわち、本発明は以下の通りである。
R1-O-(EO)x-R2 (i)
(式(i)中、R1およびR2は独立してアルキル基、脂肪酸残基、ヒドロキシ脂肪酸残基、ヒドロキシステアリン酸ポリエステル残基、ポリブチレンオキシド残基、脂肪酸とヒドロキシ脂肪酸の縮合物の残基、およびヒドロキシ脂肪酸の縮合物の残基から選択され、EOはオキシエチレン基を示し、xは平均付加モル数を示し、xは25以上400以下である。)
[2]前記成分(b)の含有量が冷間圧延油組成物に対して、0.01質量%以上10質量%以下である、[1]に記載の冷間圧延油組成物。
[3][1]または[2]に記載の冷間圧延油組成物を鋼板に接触させ、冷間圧延を行う工程を含む、圧延鋼板の製造方法。
R1-O-(EO)x-R2 (i)
(式(i)中、R1およびR2は独立してアルキル基、脂肪酸残基、ヒドロキシ脂肪酸残基、ヒドロキシステアリン酸ポリエステル残基、ポリブチレンオキシド残基、脂肪酸とヒドロキシ脂肪酸の縮合物の残基、およびヒドロキシ脂肪酸の縮合物の残基から選択され、EOはオキシエチレン基を示し、xは平均付加モル数を示し、25以上400以下である。)
本発明における成分(a)は、動植物油脂、鉱油および合成エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種類以上の基油である。
基油としては、例えば、牛脂、ヤシ油、パーム油、パーム核油、ナタネ油、綿実油、ヒマシ油等の動植物油脂およびそれらの精製品;マシン油、スピンドル油、タービン油等の鉱油;並びにメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、オクチルアルコール、ラウリルアルコール、イソブチルアルコール、2-エチルヘキシルアルコール等の一価アルコールまたはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、へキシレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、ソルビタン、ソルビトール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の多価アルコールとラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸等の一価脂肪酸またはコハク酸、炭素数12のアルケニルコハク酸、炭素数36のダイマー酸、炭素数54のトリマー酸等の多価脂肪酸との合成エステル;が挙げられ、これら
の群から選ばれる1種類以上を選ぶことができる。
また、特に温度が低い時期に起こりやすい圧延油の固化および圧延加工によって発生した金属粉と圧延油の混和による圧延機廻り堆積スカムの生成を防止するためには、流動点が20℃以下の基油を使用することが好ましい。流動点が20℃より高い動植物油脂や合成エステル等を用いる場合は、流動点が低い別の基油との組み合わせで構成し、圧延油自体の流動点を好ましくは20℃以下に、より好ましくは10℃以下にすることにより、圧延材の表面品質および作業環境を大幅に向上することが可能になる。
本発明における成分(b)は式(i)で示される、非イオン性界面活性剤である。
R1-O-(EO)x-R2 (i)
式中のR1およびR2は独立してアルキル基、脂肪酸残基、ヒドロキシ脂肪酸残基、ヒドロキシステアリン酸ポリエステル残基、ポリブチレンオキシド残基、脂肪酸とヒドロキシ脂肪酸の縮合物の残基、およびヒドロキシ脂肪酸の縮合物の残基から選択される。
ここで、アルキル基としては、直鎖または分岐鎖を有するデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル等が挙げられる。
脂肪酸残基、およびヒドロキシ脂肪酸残基としては、ラウリン酸残基、ミリスチン酸残基、パルミチン酸残基、ステアリン酸残基、オレイン酸残基、リノール酸残基、デカン酸残基、ドデカン酸残基、ヒドロキシステアリン酸残基等が挙げられる。
ヒドロキシステアリン酸ポリエステル残基としては、ヒドロキシステアリン酸ポリエステルのヒドロキシ基とカルボキシ基がエステル結合してなるヒドロキシステアリン酸ポリエステルのカルボキシ残基が挙げられる。
ポリブチレンオキシド残基としては、ブチレンオキシド2~75モル重合体残基等が挙げられる。
なお、式中のR1およびR2における残基とは、基となる化合物からヒドロキシ基を除いた構造を指す。例えば、ラウリン酸残基は、ラウリン酸のカルボキシ基からヒドロキシ基を除いた構造を指し、ポリブチレンオキシド残基は、ポリブチレンオキシドの末端のヒドロキシ基のうち1個を除いた構造を指す。
ロマトグラフィー)により測定し、ポリスチレンで換算した値である。
本発明の冷間圧延油組成物を製造する方法については、特に制限はない。通常は成分(a)を40~80℃に加温、撹拌しながら、成分(b)および、必要に応じて前記の各種添加剤を添加して製造するのがよいが、成分(b)および各種添加剤は、いずれを先に添加してもよいし、同時に添加してもよい。冷間圧延油組成物は、成分(a)に成分(b)および、必要に応じて各種添加剤を添加したものを、水により希釈して得られたエマルションであってもよく、水により通常0.2体積%以上20体積%以下、好ましくは0.5体積%以上10体積%以下になるよう希釈する。希釈に使用する水は、脱イオン水、水道水、工業用水のいずれでもよく、エマルションの製造方法に特に制限はない。
本発明の第2の実施形態は、冷間圧延油組成物を鋼板に接触させ、冷間圧延を行う工程を含む、圧延鋼板の製造方法である。
冷間圧延油組成物は、水により通常0.2体積%以上20体積%以下、好ましくは0.5体積%以上10体積%以下になるよう希釈して得られたエマルションをクーラント液として圧延加工部へ供給して鋼板に接触させるのがよい。また、本発明における冷間圧延油組成物は圧延加工により生じた磨耗粉の混入に対する乳化安定性に優れることから、鋼板に接触させたエマルションを回収して再利用する循環方式で用いることが好ましい。循環方式で使用する際にマグネチックセパレーター、DEMフィルター、ストレーナー、ラバルセパレーターやフラットベットフィルター等のフィルター類を併用したときのスカム除去によるクーラント液清浄化効果が大きいので、圧延材の表面品質および作業環境を向上すること、圧延油原単位を低減することにも寄与できる。
冷間圧延油組成物の成分(a)としてトリメチロールプロパントリオレエート(流動点-30℃)と、成分(b)として表1に示す界面活性剤A~Jを上記非イオン性界面活性剤の製造方法に準じて製造したものを、表2に示す質量比で混合することにより圧延油組成物(実施例1~6、および比較例1~4)を調製した。この圧延油組成物を、以下に示す試験で評価した。
なお、性能評価項目は乳化性(試験例1)、乳化安定性(試験例2)とプレートアウト性(試験例3)であり、評価結果は表2に併記した。
表2に示す各圧延油組成物を下記の試験条件で水と混合することでエマルションを建浴し、ホモミクサーMARK II(プライミクス社製)で撹拌後のエマルションをコールターカ
ウンターマルチライザーIII(ベックマンコールター社製)で測定した中位径の値により
評価した。
本試験では酸化鉄粉が混入していない新油エマルションの中位径が小さいほど乳化性が良好であるといえる。
(乳化性試験条件)
圧延油濃度:3体積%
使用水 :脱イオン水(電気伝導度1μS/cm未満)に塩化ナトリウム(試薬一級)を添加後、攪拌溶解し、電気伝導度を100μS/cmに調整した水
建浴量 :1L
浴温度 :50℃
撹拌条件 :ホモミクサー10000rpm×30min
新油エマルションの中位径の大小で評価した。
乳化性の評価基準;
◎:中位径12μm未満
○:中位径12μm以上、16μm未満
△:中位径16μm以上、20μm未満
×:中位径20μm以上
表2に示す各圧延油組成物を下記の条件で水と混合することでエマルションを建浴し、ホモミクサーMARK II(プライミクス社製)で撹拌後のエマルションの中位径をコールタ
ーカウンターマルチライザーIII(ベックマンコールター社製)で測定した。本試験では
各圧延油組成物の50℃新油エマルションの中位径を基準とし、80℃新油エマルションおよび、酸化鉄粉混入時におけるエマルションの中位径の変化が小さいほど乳化安定性が良好であるといえる。
(乳化安定性試験条件)
圧延油濃度:3体積%
建浴量 :1L
浴温度 :50℃または80℃
撹拌条件 :ホモクキサー10000rpm×30min
使用微粉 :市販の酸化鉄粉(Fe3O4、粒径0.1μm)
酸化鉄粉混入量:エマルションに対して0ppm(新油)、または1000ppm
各圧延油組成物の50℃新油エマルションの中位径(試験例1の結果)を基準とし、80℃新油エマルションおよび、酸化鉄粉混入時におけるエマルション(50℃および80℃)の中位径の変化率の大小で評価した。乳化安定性に優れるとは、エマルションの中位径の変化率が小さいことである。
変化率=(各条件におけるエマルション中位径-50℃新油エマルション中位径)/50℃新油エマルション中位径
乳化安定性の評価基準;
◎:変化率0.2未満
○:変化率0.2以上、0.4未満
△:変化率0.4以上、0.6未満
×:変化率0.6以上
試験例1で調製した各圧延油組成物の新油エマルション中に、以下の試験条件に記載のテストピースを浸漬し、引き上げてからテストピース上の余剰エマルションを湯洗後、表面炭素分析装置RC-612型(LECO社製)にてテストピース上の付着油分量を測定した。本試験では付着油分量が多いほどプレートアウト性が良好なため、潤滑性に優れるといえる。なお、プレートアウト性とは、エマルションが鋼板に衝突して、その油分のみが表面に付着し、水分が排除される現象をいう。
(プレートアウト性試験条件)
供試液 :試験例1で調製した各圧延油組成物の新油エマルション
テストピース :SPCC-SB(0.8mm×25mm×100mm)
浸漬時間 :1sec
湯洗条件 :50℃の湯槽に浸漬1sec
付着油分量測定:表面炭素分析装置にて500℃×5minでテストピース上の付着炭素量測定後、付着炭素量を1.3倍することで付着油分量に換算した。
付着油分量からプレートアウト性を評価。
プレートアウト性の評価基準;
◎:付着油分量が1000mg/m2以上
○:付着油分量が750mg/m2以上、1000mg/m2未満
△:付着油分量が500mg/m2以上、750mg/m2未満
×:付着油分量が500mg/m2未満
Claims (3)
- 成分(a)動植物油脂、鉱油および合成エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種類以上の基油、および成分(b)重量平均分子量が2000以上20000以下であり、1分子当たりの質量に対するオキシエチレン基の質量比が0.5以上0.9以下であり、式(i)で示される、非イオン性界面活性剤、を含有することを特徴とする、冷間圧延油組成物。
R1-O-(EO)x-R2 (i)
(式(i)中、R1およびR2は独立してアルキル基、脂肪酸残基、ヒドロキシ脂肪酸残基、ヒドロキシステアリン酸ポリエステル残基、ポリブチレンオキシド残基、脂肪酸とヒドロキシ脂肪酸の縮合物の残基、およびヒドロキシ脂肪酸の縮合物の残基から選択され、EOはオキシエチレン基を示し、xは平均付加モル数を示し、xは25以上400以下である。) - 前記成分(b)の含有量が冷間圧延油組成物に対して、0.01質量%以上10質量%以下である、請求項1に記載の冷間圧延油組成物。
- 請求項1または2に記載の冷間圧延油組成物を鋼板に接触させ、冷間圧延を行う工程を含む、圧延鋼板の製造方法。
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