JP2004204214A - 鋼板冷間圧延油 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(a)油脂を構成する脂肪酸中、炭素数12〜14の脂肪酸が50重量%以上である油脂類と、(b)複合エステル類とを含有する鋼板冷間圧延油用潤滑油。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼板の冷間圧延に用いる潤滑性、潤滑の安定性、耐ミル汚れ性および廃水処理性に加え、更に洗浄工程における被洗浄性に優れた鋼板の冷間圧延油及びそれに用いられる潤滑油に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鋼板の冷間圧延における圧延油供給システムとしては、大量の圧延油エマルションを鋼板とロールへ供給し、使用後の圧延油エマルションを循環使用し鉄摩耗粉を除去しながら長期間使用する循環式圧延油供給システムと少量の圧延油エマルションを圧延鋼板に供給するとともに大量の水をロールに供給し、使用後の圧延油エマルションを循環使用せず排水として処理する直接式圧延油供給システムの2方式がある。
【0003】
従来、直接式供給用冷間圧延(以下、ダイレクト冷間圧延と称する)では、パーム油又は牛脂単独あるいは油性向上剤、極圧添加剤等を添加した圧延油が用いられ、水と混合して6〜20重量%のエマルションとして使用されて来た。しかし、高濃度のエマルションを機械的撹拌のみで調製するため、エマルション粒子径が不安定となり圧延ロールや圧延鋼板への油分付着(以下、プレートアウトと称する)量が変動して潤滑性が不安定である問題があった。また、油水分離しづらく排水処理における油回収率が充分でない問題もあった。
【0004】
また、最近の生産合理化のための多品種圧延化、1800m/分を超えるようなさらなる高速圧延化および鋼板の薄肉化のための高張力化から、ダイレクト冷間圧延油には、優れた潤滑性と潤滑の安定性および低コスト等が求められている。
【0005】
また、パーム油又は牛脂を主成分とする従来のダイレクト冷間圧延油は低コストではあるが、融点が高いためミル廻りへの堆積が多く、作業環境が悪化するのみならず、火災事故の原因ともなっており、圧延油の低融点化も求められている。
【0006】
また、ブリキ等の薄物鋼板は圧延後にアルカリ洗浄、連続焼鈍等の工程を経てメッキされるが、これらの工程中には依然として洗浄不良、焼鈍炉内ロール堆積物による鋼板表面疵、メッキ不良等の問題が発生している。これは、圧延後の鋼板温度が高く、付着した圧延油の熱劣化が起きて、被洗浄性が低下するためと考えられる。酸化防止剤等の劣化防止剤を添加して熱劣化をある程度抑制し、洗浄条件変更によって回避できるが、生産性低下と高コスト化を余儀なくされている。
【0007】
これらの問題への対応として種々圧延油が提案されている。例えば、油溶性高分子化合物を用いたものとして、特許文献1に記載の圧延油があるが、使用水の水質の影響を受けるため潤滑の安定性の点で充分ではなく、低融点化、高速圧延時の被洗浄性の問題を解決するものではなかった。また、ポリエステル化合物と有機酸性リン酸エステルのアミン塩を用いたものとして、特許文献2に記載の圧延油があるが、潤滑性の問題は解決できるものの、潤滑の安定性の点で充分ではなく、排水処理性と低融点化と高速圧延時の被洗浄性の問題については解決には至っていない。
【0008】
一方、従来の循環式圧延油供給システムによる冷間圧延(以下循環式供給用冷間圧延と称する)では、圧延油として、牛脂やパーム油を基油として油性向上剤、極圧剤、防錆剤、酸化防止剤等を配合し、これを乳化剤と水でO/W型エマルションとした、通常1〜10重量%の比較的低濃度のものが使用されて来た。しかし、天然油脂を主成分とする従来の冷間圧延油は低コストではあるが、融点が高いためミル廻りにスカムの堆積が多く、作業環境が悪化するのみならず、火災事故の原因ともなっている。また、長期循環安定性が不足する問題点があった。
【0009】
また、1800m/分を超えるようなさらなる高速圧延時にはダイレクト冷間圧延油と同様に潤滑性不足や洗浄不良等の問題が発生している。
【0010】
これらの問題への対応として種々圧延油が提案されている。例えば、特許文献3には、油脂類と複合エステル類を用いた圧延油も開示されている。この圧延油は、高速圧延時の潤滑性や長期循環安定性及び圧延後の鋼板温度が低い場合(低速時に相当)の被洗浄性の問題等は解決できるものの、実機で高速圧延を行った場合のように圧延後の鋼板温度が高温になると、十分な被洗浄性が得られるとは言い難い。
【0011】
【特許文献1】
特開平7−150184号公報
【特許文献2】
特開平9−53089号公報
【特許文献3】
特開平10−231494号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、鋼板を高速で冷間圧延する場合に、圧延油コストの上昇や潤滑の安定性の低下といった問題なしに、従来の圧延油では達成できなかった高速圧延化による生産性向上が可能であるとともに、ミル廻りへの油やスカムの堆積防止性、排水処理性及び潤滑性に優れ、かつ洗浄工程における洗浄不良等を解決する冷間圧延油及びそれに用いられる潤滑油を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
かかる実情において、本発明者らは、特定の油脂類と特定の複合エステル類を含有する冷間圧延油を使用すると、ミル廻りへの圧延油の堆積が低減され、火災の危険性や作業性の悪化といった問題点を回避でき、優れた潤滑性を示し1800m/分以上の速度で高速圧延できるとともに、高速圧延のため圧延後の鋼板温度が高いときにも被洗浄性が低下せず、従来の冷間圧延油に比べて非常に優れることを見い出した。また、さらに特定の水溶性高分子化合物を特定の量比で配合して使用することにより、さらに潤滑性が向上するとともに、潤滑の安定性と排水処理性が改善でき、上記課題を解決できることを見い出した。
【0014】
すなわち本発明は、(a)油脂を構成する脂肪酸中、炭素数12〜14の脂肪酸が50重量%以上である油脂類〔以下、(a)成分という〕と、(b)複合エステル類〔以下、(b)成分という〕とを含有する鋼板冷間圧延油用潤滑油、及び該潤滑油と水とを含有してなる鋼板冷間圧延油に関する。
【0015】
本発明の鋼板冷間圧延油用潤滑油は、さらに、(c)(c1)一般式(1)で表される単量体もしくはその塩の単独重合物、(c2)該単量体の2種以上の共重合物、(c3)該単量体の1種以上と(メタ)アクリル酸、その塩、そのアルキルエステル若しくはそのアルキルアミドの1種以上との共重合物、から選ばれる重合物であって、その重量平均分子量が10000〜1000000の範囲にある水溶性の高分子化合物〔以下、(c)成分という〕の1種以上を含有することが好ましい。
【0016】
【化2】
【0017】
(式中のR1は水素原子又はメチル基を、R2及びR3は炭素数1〜3のアルキル基を、Aは−O−又は−NH−を、mは1〜3の整数を示す)
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の冷間圧延油用潤滑油の(a)成分は、油脂を構成する脂肪酸中、炭素数12〜14の脂肪酸が50重量%以上である油脂類であり、炭素数が12の脂肪酸が40重量%以上の油脂類が好ましく、天然のものでも合成のものでもよい。油脂類としては、例えばヤシ油、パーム核油、ババス核油、コーフン核油等を挙げることができる。例えば、ダイレクト冷間圧延油に従来使用されている牛脂やパーム油等の動植物油が炭素数16や炭素数18の脂肪族脂肪酸のグリセライドを主成分とするのに対して、これらの油脂類は炭素数12〜14の脂肪族飽和脂肪酸のグリセライドを主成分とし、牛脂やパーム油等に比べて融点が低く、ミル廻りへの圧延油の堆積を低減する効果を有する。また、牛脂やパーム油に比べて沃素価が低く、鋼板付着圧延油の熱劣化が起きにくいため、高速圧延時の被洗浄性の低下を抑制する効果を有する。牛脂オレインやパームオレイン等の分別油脂類も融点が低くミル廻りへの圧延油の堆積を低減する効果を有するが、逆に沃素価が高く熱劣化を起こしやすいため高速圧延時の被洗浄性を低下させる。酸化防止剤等の劣化防止剤を多量に添加すれば被洗浄性の低下はある程度抑制できるが、油価格が上昇するため好ましくない。圧延油堆積性と高速圧延時の被洗浄性の点から、融点が30℃以下が好ましく、また、更に沃素価が25(I2g/100g)以下であることがより好ましい。また、40℃の動粘度(JIS K2283による)が30mm2/s以下であると、これを用いた潤滑油も動粘度が低いものが得られ、圧延油として用いれば、圧延鋼板の表面平滑性が良くなり、光沢の良い圧延鋼板を得ることができる。また、(a)成分としては、炭素数8の脂肪族飽和脂肪酸のグリセライドの含有が少ないもの、特に構成脂肪酸のうち、炭素数8以下の脂肪酸の比率が5重量%以下である油脂類が最も好ましく、より具体的には、パーム核油が、臭気が低く、また圧延時の作業現場におけるヒュームの発生が少なく、作業環境が優れる点で特に好ましい。
【0019】
これらの(a)成分である油脂類は1種でもよいが、2種以上を混合して使用することもできる。また、その添加量は、ダイレクト冷間圧延油としては、潤滑油成分中の50重量%以上で使用されることが好ましい。高速圧延時の被洗浄性向上効果の点から75〜99重量%がより好ましく、80〜95重量%が特に好ましい。
【0020】
また、循環式供給用冷間圧延油としては、パーム油またはパームオレイン等の分別油脂類に添加して使用することもできる。その添加量は潤滑油成分中の20重量%以上で使用されることが好ましい。高速圧延時の被洗浄性向上効果の点から40〜95重量%がより好ましく、50〜90重量%が特に好ましい。
【0021】
本発明の(b)成分である複合エステル類は、多塩基酸と、多価アルコールと、1価アルコール及び/又は1価脂肪酸とから得られるエステル化合物であるが、潤滑性向上効果の点から、40℃の動粘度が400mm2/s以上、更には750mm2/s以上の複合エステルであることが好ましく、炭素数16〜20の高級脂肪族不飽和酸のダイマー酸およびポリマー酸の少なくとも1種と、ポリオール類とから得られる部分エステルの残余のカルボキシル基または水酸基が炭素数12〜22の1価アルコールまたは1価脂肪酸によってエステル化されている、重量平均分子量750〜20000のエステル化合物であることがより好ましい。該分子量が750以上であると、潤滑性が油脂類より優れ、20000以下であると、潤滑成分への溶解性が良好で、且つ粘度的にも取り扱い性が良好で好ましい。該分子量は更に好ましくは1000〜10000であり、最も好ましくは1500〜4000である。なお、(b)成分の重量平均分子量は、下記条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定されたものである。
(条件)
・カラム:G2000H×L+G1000H×L(東ソー(株)製)
・カラム温度:40℃
・溶離液:THF(テトラヒドロフラン)
・検出器:RI(屈折率計)
・注入量:3重量%THF溶液、20μl
・液流速:1.0ml/分
・分子量標準:ポリスチレン
【0022】
(b)成分の製造に用いるダイマー酸およびポリマー酸は、炭素数16〜20の高級脂肪族モノエン酸またはジエン酸のダイマー酸およびポリマー酸であり、例えばゾーマリン酸、オレイン酸、リノール酸、トール油脂肪酸のダイマー酸およびポリマー酸が挙げられる。ポリオール類としては、例えばプロピレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリン等が挙げられる。炭素数12〜22の1価アルコールとしては、例えばラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール等が挙げられる。また、炭素数12〜22の1価脂肪酸としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、エルカ酸、牛脂脂肪酸、パーム油脂肪酸、ヤシ油脂肪酸等が挙げられる。
【0023】
(b)成分の複合エステル類は、従来潤滑成分として用いられていた牛脂等の油脂類よりエステル基数が多く、動粘度も高いので、著しい潤滑性向上効果を有する。
【0024】
これら(b)成分の複合エステル類は1種でもよいが、2種以上を混合して使用することができる。また、その添加量は潤滑油成分中の1重量%以上で使用されることが好ましい。潤滑性と油価格のバランスから、ダイレクト冷間圧延油としては、1〜25重量%がより好ましく、5〜20重量%が特に好ましい。また、循環式供給用冷間圧延油としては、同様な観点から、添加量は潤滑油成分中の5〜40重量%が好ましく、10〜30重量%がより好ましい。
【0025】
また、本発明の冷間圧延油用潤滑油において、(a)成分と(b)成分の重量比は、高速圧延時の被洗浄性向上及び潤滑性の点から、ダイレクト冷間圧延油としては、(a)/(b)=75/25〜99/1が好ましく、特に80/20〜95/5が好ましい。また、循環式供給用冷間圧延油としては、(a)/(b)=50/50〜95/5が好ましく、特に67/37〜90/10が好ましい。
【0026】
本発明の冷間圧延油用潤滑油において使用される(c)成分の高分子化合物は、
(1)前記(c)一般式(1)で表される単量体もしくはその塩の単独重合物であって、重量平均分子量が10000〜1000000の範囲にある水溶性高分子化合物
(2)前記(c)一般式(1)で表される単量体もしくはその塩の2種以上の共重合物であって、重量平均分子量が10000〜1000000の範囲にある水溶性高分子化合物
(3)前記(c)一般式(1)で表される単量体及びその塩の1種以上と、アクリル酸、メタクリル酸、これらの塩、これらのアルキルエステル及びこれらのアルキルアミドの1種以上との共重合物であって、重量平均分子量が10000〜1000000の範囲にある水溶性高分子化合物
から選ばれる1種以上である。
【0027】
一般式(1)で表される単量体の具体例としては、ジメチルアミノメチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジエチルアミノメチルアクリルアミド、ジエチルアミノメチルメタクリルアミド等が挙げられる。
【0028】
また、上記単量体と塩を形成する酸としては、例えば酢酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、燐酸、ブチルアシッドホスフェート、オクチルアシッドホスフェート、ホウ酸等が挙げられる。
【0029】
また、上記単量体と共重合するアクリル酸、メタクリル酸において、その塩としては、例えばアルカリ金属、アンモニウム、アルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルカノールアミン等が、そのアルキルエステルとしては、例えばアクリル酸ブチル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ラウリル等が、またそのアマイド化物としては、例えばアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、メタクリルアミド等が挙げられる。
【0030】
(c)成分の高分子化合物は、その重量平均分子量が10000〜1000000、更に30000〜500000の範囲にあることが好ましく、10000以上ではエマルションとなって乳化分散した時の安定性が良好で、また、1000000以下では高分子化合物自体の安定性に優れ適正な粘度となって取扱性も良好となる。なお、(c)成分の重量平均分子量は、高分子化合物を加水分解後下記条件のGPC法で分子量を分析し、その結果から元の分子量を換算したものである。
(条件)
・カラム:G2000SW(シリカゲル系:東ソー(株)製)×2本
・カラム温度:40℃
・溶離液:0.1N塩化Na溶液/アセトニトリル=70/30
・検出器:RI(屈折率計)
・注入量:1重量%溶離液溶液、20μl
・液流速:0.4ml/分
・分子量標準:ポリスチレンスルホン酸Na
【0031】
(c)成分の高分子化合物は、1種又は2種以上を混合して使用することができる。圧延油粒子の表面電位は負であるが、(c)成分を添加するに従い圧延油粒子の表面電位はほぼ零となり、圧延油粒子は凝集して粗大粒子径となるため、プレートアウト性が非常に良好となり非常に優れた潤滑性を示す。(c)成分をさらに添加すると、圧延油粒子の表面電位は正となるとともに保護コロイド作用により、圧延油粒子は大粒子径で且つ乳化分散性も良好となるため、プレートアウト性が良好となり優れた潤滑性を示し、長期循環安定性も良好となる。(c)成分をさらに添加すると、乳化分散性は非常に良好となるが、圧延油粒子径は中粒子径となるため、プレートアウト性が不十分となり潤滑性が低下する傾向を示す。このため、ダイレクト冷間圧延油用としては、圧延油粒子の凝集効果の点から、潤滑油成分中の添加量は0.01〜0.5重量%が好ましく、0.01〜0.1重量%が特に好ましい。添加量がこの範囲であると凝集効果に優れ、自己乳化あるいは乳化分散せず圧延油粒子径が適正となり、好ましい。また、循環式供給用冷間圧延油用としては、圧延油粒子径と長期循環安定性の点から、潤滑油成分中の添加量は0.1〜3重量%が好ましく、0.5〜2重量%が特に好ましい。添加量がこの範囲であると圧延油粒子径は大きく長期循環安定性にも優れる。
【0032】
本発明の冷間圧延油用潤滑剤には、上記成分の他に必要に応じて公知の各種添加剤、例えば油性向上剤、極圧剤、防錆・防食剤、酸化防止剤及び乳化剤等を添加することもできる。
【0033】
油性向上剤としては、例えば、オレイン酸、牛脂脂肪酸、パーム油脂肪酸、トール油脂肪酸のポリマー酸等の脂肪酸を用いることができ、これらは潤滑油成分中に10重量%まで添加することができる。
【0034】
リン系極圧剤としては、例えばトリオクチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリオレイルホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジラウリルアシッドホスフェート、トリブチルホスファイト、トリオレイルホスファイト、ジトリデシルアシッドホスファイト、ジオレイルアシッドホスファイト、モノ2エチルヘキシルアシッドホスフェートの芳香族アミン塩等が挙げられる。
また、硫黄系極圧剤としては、例えば硫化ラード、硫化牛脂や硫化植物油エステル等の硫化油脂、硫化オレフィン、硫化鉱油のそれぞれ活性型および不活性型、ジベンジルジサルファイド、ジターシャルブチルジサルファイド、亜鉛−ジアルキルジチオホスフェート等が挙げられる。これらの極圧剤は1種でもよいが、2種を混合して使用することもできる。また、その添加量は潤滑油成分中の0.5〜5.0重量%の範囲で使用される。添加量が多いほど潤滑性は向上するが、5.0重量%を超える場合、油価格が高価となるとともに増加に対する耐焼き付き性の向上が小さくなるため実用的でなくなる。油価格と潤滑性の向上効果から、1.0〜3.0重量%の範囲がより実用的で好ましい。
【0035】
防錆・防食剤としては、例えばアルケニルコハク酸及びその誘導体、オレイン酸等の脂肪酸、ソルビタンモノオレート等のエステル、ベンゾトリアゾール及びその誘導体、その他アミン類等を用いることができ、これらは潤滑油成分に対して2重量%まで添加することができる。
【0036】
また、酸化防止剤としては、例えば2,4−ジ−tert−ブチルp−クレゾール、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のフェノール系化合物、フェニルα−ナフチルアミン、フェノチアジン等の芳香族アミン等を用いることができ、これらは潤滑油成分に対して5重量%まで添加することができる。
【0037】
さらに、乳化剤としては、例えばオレイン酸トリエタノールアミン塩、石油スルホネートナトリウム塩等の陰イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート等の非イオン性界面活性剤等を用いることができ、これらは潤滑油成分中に2重量%まで添加することができる。
【0038】
本発明の冷間圧延油は、上記本発明の潤滑油を公知の方法によって、水に分散させることにより得ることができる。なお、(c)成分は、(a)、(b)成分をはじめ他の成分と別々に添加してもよい。この際の希釈割合は特に限定されないが、通常潤滑油濃度が、ダイレクト冷間圧延油としては、好ましくは1〜20重量%、更に好ましくは6〜20重量%、また循環式供給用冷間圧延油としては、好ましくは1〜10重量%のものが、エマルションとして圧延ロールや鋼板表面にスプレー供給される。濃度が低いと鋼板表面へのプレートアウト量が少なくなり、充分な潤滑効果が得られない。なお、圧延油にも、上記の各種添加剤を配合することができる。
【0039】
【作用】
鋼板の冷間圧延ではパーム油や牛脂のエマルションが圧延ロールや鋼板表面にスプレー供給されるため、ミル廻りへの圧延油やスカムの堆積が起こる。また、高速圧延時は鋼板表面温度が上昇して鋼板付着圧延油は熱劣化して高粘度化するため被洗浄性が著しく低下する。本発明では、(a)成分の特定脂肪酸組成の油脂類に(b)成分の複合エステル類を含有させることによって、圧延油の融点が低下し、ミル廻りへの圧延油やスカムの堆積が低減される。また、圧延油の沃素価が低くなり耐熱劣化性が飛躍的に向上するため、高速圧延時の鋼板表面温度の上昇に対しても鋼板付着圧延油の粘度上昇は少なくなり被洗浄性の低下が抑制される。また、著しく潤滑性が向上する。更に、(c)成分の特定の水溶性高分子化合物を適当量添加することにより、ダイレクト冷間圧延油としては、圧延油粒子の表面電位が中和され、一種の凝集作用により大粒子化するため、鋼板表面へのプレートアウト量が増大し潤滑性の向上につながる。さらにこれら水溶性高分子化合物の保護コロイド作用により大粒子化した圧延油粒子が長時間安定に保たれるため、潤滑の安定性も向上される。また、これら水溶性高分子化合物は圧延油粒子を均一に分散するため、スプレーノズル等の異物の詰まりを防止する作用も有する。さらにまた、水溶性高分子化合物はCaイオンやFeイオンをキレート化するため、圧延油粒子径はその添加量で決まり水質の影響を受けない優れた安定性を発揮する。また、循環式供給用冷間圧延油としては、乳化分散性が良好となり圧延摩耗粉や機械油の漏れに対する耐久性が向上するため、圧延油粒子径を長期間安定に保つことができ、初期の良好な圧延潤滑性を長期間維持できる。
【0040】
【実施例】
実施例1
表1と表2に示す各種圧延油用潤滑油(本発明品1〜6および比較品1〜6)を用い、濃度が15重量%の圧延油(エマルション)を常法に従い調製し、以下に示す試験例によって、潤滑性、アルカリ脱脂性、排水処理性(ESI(%))、粒径安定性を評価した。その結果を表1と表2に併記した。
【0041】
<試験例1(圧延試験)>
調製した各種圧延油について、二段圧延機(200mmφ×200mm幅、SUJ−2、Hs=90)を用い、下記条件で短冊単パス圧延試験を行い、圧下率=40%時の圧延荷重(tonf/m)により潤滑性を評価した。圧延荷重が従来のパーム油(比較品1)の値の95%より低ければ潤滑性は良好である。また、圧延鋼板を下記条件で脱脂したものの水濡れ面積率(%)により脱脂性(アルカリ脱脂性ともいう)を評価した。ここで、水濡れ面積率は、脱脂した圧延鋼板を室温の水に浸漬したのち引き上げ、鋼板表面中の水濡れしている面積率(%)を目視観察にて読みとって求めた。なお、80%以上の水濡れ率を示せば脱脂性は良好である。
【0042】
(圧延条件)
圧延材:軟鋼(SPCC−B、30mm幅×700mm長×2mm厚、Ra=0.02μm)
ロール粗度:研磨紙により圧延方向に研磨しRa=0.3〜0.4μm(Rz=2.8〜3.2μm)に調整する。
板温度:100℃
圧延速度:400m/分
圧下率:40%
圧延油濃度:15重量%
液条件:80℃,30L
撹拌条件:M型ホモミキサー12000r/min
スプレー量:0.5リットル/分×上下各1本、200kPa
【0043】
(脱脂条件)
前熱処理:150℃×12時間(大気中)(この前熱処理は、実機での高速圧延を想定して行ったものであり、この条件では、実機レベルで1800m/分以上の速度で圧延した場合に相当する)
脱脂液:カセイソーダ2%+ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(HLB=12.4)0.1%+グルコン酸ソーダ0.1%溶液
脱脂方法:浸漬→電解→リンス
浸漬条件:80℃、1秒
電解条件:80℃、5A/dm2、1秒
リンス条件:70℃温水スプレー(片面1リットル/分×1秒)。
【0044】
<試験例2(循環式乳化安定性試験)>
調製した各種圧延油について、循環試験装置を用い、下記条件で循環式乳化安定性試験を行い、Feイオン添加前後のエマルションの平均粒子径をコールターカウンター(マルチサイザー、BECKMAN COULTER製)にて測定するとともに乳化安定指数(ESI)およびプレートアウト量(付着量)を測定した。平均粒子径(体積分布)の変化量絶対値(μm)から粒径安定性を評価した。変化量絶対値が10μm以下が使用可能なレベルであるが、5μm以下のものが粒径安定性が良好であり、特に好ましい。また、ESIは排水処理性の指標となるものであり、ESIが低いもの程排水処理性が良好である。また、プレートアウト量は潤滑性および潤滑の安定性の指標となり、量が多く変化が少ない程良好である。この付着量の変化量は上記粒径安定性と正の相関性があり、付着量が多く且つ平均粒子径の変化量の絶対値が小さいもの(粒径安定性がよいもの)が乳化安定性に関して優れているといえる。
【0045】
(循環条件)
循環ポンプ:渦巻きポンプ(250L/分)、直径50mm配管
循環量:100L/分
循環時間:30分
圧延油濃度:15重量%
液条件:80℃、30リットル
Feイオン:5mg/kg
【0046】
(ESI測定条件)
圧延油エマルションを分液ロートに400mL採取し、5分間静置した後、所定容量の上下層の圧延油濃度を測定する(油分フラスコを用いて体積%を読み取るか、油分濃度計を用いて重量%を読み取る)。次に下記式を用いてESIを計算する。
ESI(%)=B/A×100
A:静置後の上層100mLの圧延油濃度
B:静置後の下層100mLの圧延油濃度
【0047】
(プレートアウト量の測定方法)
予め脱脂し重量を測定した試験片に圧延油エマルションを下記条件でスプレーして圧延油を付着させた後流水にて洗浄する。乾燥後その重量を測定し、試験片の重量差から付着量(プレートアウト量、g/m2)を計算する。
【0048】
(プレートアウト条件)
試験片:軟鋼(SPCC−D、100mm×100mm×0.5mm)
板温度:室温
スプレー量:片面0.5リットル/分、200kPa
スプレー距離:150mm
スプレー方法:両面垂直
スプレー時間:1秒
水洗流量:3L/分
水洗時間:1秒
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
なお、上記表中、油脂、複合エステル、高分子化合物、その他添加剤は次のものを意味する。
・油脂A…ヤシ油(ヨウ素価13、融点26℃、40℃の動粘度25mm2/s、構成脂肪酸中の炭素数12〜14の脂肪酸の比率72重量%かつ炭素数8以下の脂肪酸の比率8重量%)
・油脂B…パーム核油(ヨウ素価19、融点28℃、40℃の動粘度28mm2/s、構成脂肪酸中の炭素数12〜14の脂肪酸の比率61重量%かつ炭素数8以下の脂肪酸の比率3重量%)
・油脂C…パーム油(ヨウ素価52、融点38℃、40℃の動粘度41mm2/s、構成脂肪酸中の炭素数12〜14の脂肪酸の比率1重量%)
・油脂D…牛脂(ヨウ素価49、融点40℃、40℃の動粘度43mm2/s、構成脂肪酸中の炭素数12〜14の脂肪酸の比率4重量%)
・複合エステルA…オレイン酸のポリマー酸(ダイマー酸:トリマー酸以上のポリマー酸=60:40(重量比))/ジエチレングリコール/ラウリルアルコール=2/1/2(モル比)から得られるエステル(酸価8、水酸基価6、平均分子量1800、40℃の動粘度820mm2/s)
・複合エステルB…トール油脂肪酸のポリマー酸(ダイマー酸:トリマー酸以上のポリマー酸=75:25(重量比))/ペンタエリスリトール/ラウリル酸=1/2/6(モル比)から得られるエステル(酸価4、水酸基価8、平均分子量3000、40℃の動粘度1000mm2/s)
・複合エステルC…トール油脂肪酸のポリマー酸(ダイマー酸:トリマー酸以上のポリマー酸=90:10(重量比))/トリメチロールプロパン/ラウリル酸=1/2/4(モル比)から得られるエステル(酸価3、水酸基価6、平均分子量1900、40℃の動粘度450mm2/s)
・複合エステルD…アジピン酸/ペンタエリスリトール/オレイン酸/オクチルアルコール=0.9/1/1.8/0.2(モル比)から得られるエステル(酸価3、水酸基価35、平均分子量50000)
・高分子化合物A…ジエチルアミノエチルメタクリレートのリン酸中和物/メタクリル酸ナトリウム=4/5の共重合物(重量平均分子量=2万)
・高分子化合物B…ジメチルアミノエチルメタクリレートのリン酸中和物/アクリル酸ナトリウム=6/1の共重合物(重量平均分子量=60万)
・高分子化合物C…ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドのグリコール酸中和物/アクリル酸ナトリウム=3/1の共重合物(重量平均分子量=10万)
・高分子化合物D…ジエチルアミノエチルメタクリレートの単独重合物のカプリル酸中和物(重量平均分子量=8万)
・添加剤A…油性向上剤(パーム油脂肪酸)
・添加剤B…酸化防止剤(2,4−ジ−tert−ブチルp−クレゾール)
・添加剤C…トリオレイルホスフェート
・添加剤D…ブチルアシッドホスフェートの4−オクチルジフェニルアミン塩
・添加剤E…トール油脂肪酸のポリマー酸(ダイマー酸:トリマー酸以上のポリマー酸=7:3(重量比))
【0052】
表1と表2には、各種ダイレクト冷間圧延油用潤滑油の動粘度と沃素価と融点を併記している。融点はミル廻りへの圧延油堆積性の指標となり、低いほど耐圧延油堆積性は良好となる。表に示す結果から明らかなように、本発明品のダイレクト冷間圧延油は、比較品に比べて脱脂性、耐圧延油堆積性が優れている。特に、比較品1の従来パーム油との比較では、すべての性能において優れている。
【0053】
実施例2
表3と表4に示す各種循環式供給用冷間圧延油用潤滑油(本発明品7〜12および比較品7〜12)に水を加え、濃度が3重量%の圧延油(エマルション)を調製し、以下に示す試験例によって、潤滑性、被洗浄性、耐スカム堆積性、長期循環安定性を評価した。その結果を表3と表4に併記した。なお、表3、4中、各成分(一部)は実施例1と同じものである。
<試験例3(圧延試験)>
調製した各種圧延油について、二段圧延機(200mmφ×200mm幅、SUJ−2、Hs=90)を用い、下記条件で短冊単パス圧延試験を行い、圧下率=40%時の圧延荷重(tonf/m)により潤滑性を評価した。圧延荷重が従来の牛脂系冷間圧延油(比較品7)の値の95%より低ければ潤滑性は良好である。また、圧延鋼板を下記条件で脱脂したものの水濡れ面積率(%)により脱脂性(アルカリ脱脂性)を評価した。なお、80%以上の水濡れ面積率を示せば脱脂性は良好である。
【0054】
(圧延条件)
圧延材:軟鋼(SPCC−B、30mm幅×700mm長×2mm厚、Ra=0.02μm)
ロール粗度:研磨紙により圧延方向に研磨しRa=0.3〜0.4μm(Rz=2.8〜3.2μm)に調整する。
板温度:100℃
圧延速度:400m/分
圧下率:40%
圧延油濃度:3重量%
液条件:60℃,10L
撹拌機:M型ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)
回転数:9000r/min
スプレー量:2リットル/分×上下各1本,100kPa
【0055】
(脱脂条件)
前熱処理:150℃×12時間(大気中)(この前熱処理は、実機での高速圧延を想定して行ったものであり、この条件では、実機レベルで1800m/分以上の速度で圧延した場合に相当する)
脱脂液:カセイソーダ2%+ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(HLB=12.4)0.1%+グルコン酸ソーダ0.1%溶液
脱脂方法:浸漬→電解→リンス
浸漬条件:80℃、1秒
電解条件:80℃、5A/dm2、1秒
リンス条件:60℃温水スプレー(片面1リットル/分×1秒)
【0056】
<試験例4(連続圧延試験)>
調製した各種圧延油について、上記二段圧延機を用い、下記条件でコイル張力3パス圧延試験を行い、堆積スカム量(g)により耐スカム堆積性を評価した。
堆積スカム量が従来の牛脂系冷間圧延油(比較品7)の値の50%より少なければ、耐スカム堆積性は良好である。また、試験前後のエマルションの粒子径をコールターカウンター(マルチサイザー、BECKMAN COULTER製)にて測定し、平均粒子径(体積分布)の変化量絶対値(μm)から長期循環安定性を評価した。変化量絶対値が2μm以下であれば粒径安定性(長期循環安定性)は良好である。
【0057】
(圧延条件)
圧延材:軟鋼(SPCC−D、50mm幅×100m長×1mm厚、Ra=0.5μm)
ロール粗度:Ra=1.5μmに調整する。
板温度:常温
圧延速度:10m/分
圧延張力:68.6MPa
圧下率:各パス25%(総圧下率58%)
圧延油濃度:3重量%
液条件:60℃、10L
撹拌条件:M型ホモミキサー9000r/min
スプレー量:1リットル/分×上下各1本、100kPa
雰囲気温度:20℃
【0058】
【表3】
【0059】
【表4】
【0060】
・油脂E…パーム油(ヨウ素価65、融点8℃、40℃の動粘度41mm2/秒、構成脂肪酸中の炭素数12〜14の脂肪酸の比率1重量%)
・エステルA…2エチルヘキシルステアレート
・エステルB…トリメチロールプロパン/オレイン酸/ステアリン酸=14.4/60.0/25.6(重量比)から得られるエステル(酸価5)
・エステルC…ペンタエリスリトール/オレイン酸/ステアリン酸=14.4/60.0/25.6(重量比)から得られるエステル(酸価5)
・添加剤F…酸化防止剤(フェニル−α−ナフチルアミン)
・添加剤G…防錆剤(ヘキサデセニルコハク酸)
・添加剤H…乳化剤(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、HLB=12.4)
【0061】
表3と表4に示す結果から明らかなように、本発明の循環式供給用冷間圧延油は、比較品に比べて潤滑性と脱脂性の両方が優れている。特に比較品7の従来の牛脂系冷間圧延油との比較では、すべての性能において優れている。
【0062】
【発明の効果】
本発明の潤滑油を用いた冷間圧延油は、従来圧延油に比べ潤滑性、被洗浄性に優れているので高速圧延時の生産性の向上が可能になる。また、融点が低いためミル廻りへの圧延油やスカムの堆積が低減され、火災の危険性、美観低下や作業性の悪化を改善することが可能となる。また、高速圧延時の被洗浄性の低下がないため、従来の冷間圧延油による操業コストの増加を回避できる。また、圧延油エマルション特性が水質の影響を受けず安定であり、長期循環安定性に優れるため、従来圧延油に比べて、操業安定性が向上し、鋼板をより安価かつ高効率で生産することができる特長を有する。
Claims (8)
- (a)油脂を構成する脂肪酸中、炭素数12〜14の脂肪酸が50重量%以上である油脂類と、(b)複合エステル類とを含有する鋼板冷間圧延油用潤滑油。
- (a)の油脂を構成する脂肪酸中、炭素数8以下の脂肪酸の比率が5重量%以下である請求項1記載の鋼板冷間圧延油用潤滑油。
- (b)が、多塩基酸と、多価アルコールと、1価アルコール及び/又は1価脂肪酸とから得られるエステルである請求項1または2記載の鋼板冷間圧延油用潤滑油。
- (b)が、炭素数16〜20の高級脂肪族不飽和酸のダイマー酸及びポリマー酸からなる群より選ばれる1種以上とポリオール類とから得られる部分エステルの残余のカルボキシル基又は水酸基が炭素数12〜22の1価アルコール又は1価脂肪酸によってエステル化され、重量平均分子量750〜20000のエステルである請求項1〜3の何れか1項記載の鋼板冷間圧延油用潤滑油。
- 請求項1〜5の何れか1項記載の潤滑油と水とを含有してなる鋼板冷間圧延油。
- 直接式供給用である請求項6記載の鋼板冷間圧延油。
- 循環式供給用である請求項6記載の鋼板冷間圧延油。
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