JP2008201856A - アルミニウム板またはアルミニウム合金板の圧延方法 - Google Patents

アルミニウム板またはアルミニウム合金板の圧延方法 Download PDF

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伸介 村尾
Shuzo Uchiyama
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Kozo Saeki
公三 佐伯
Hironobu Nakanishi
裕信 中西
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Abstract

【課題】熱間圧延油の潤滑不足による焼き付きの発生と過潤滑による板表面の圧延油切り性の悪化を抑制することで、優れた板表面品質の圧延板を得ることができるアルミニウム板またはアルミニウム合金板の圧延方法を提供する。
【解決手段】熱間圧延油を使用して熱間圧延するアルミニウム板またはアルミニウム合金板の圧延方法であって、熱間圧延油は、熱間圧延油組成物および乳化剤を含有し、熱間圧延油組成物中のアルコール濃度をA(質量%)とし、熱間圧延油組成物中のエステル濃度をE(質量%)とし、熱間圧延油の油分濃度をC(質量%)としたときに、−0.5C+8≦A≦−C+22、かつ、−1.5C+18≦E≦−0.5C+26を満足する熱間圧延油を用いることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱間圧延油を使用して熱間圧延するアルミニウム板またはアルミニウム合金板の圧延方法に関するものである。
一般に、アルミニウム板またはアルミニウム合金板(以下、適宜「アルミニウム板」ともいう)の熱間圧延(圧延)では、圧延板表面から圧延ロール表面へアルミニウム(またはアルミニウム合金)が移着して、ロールコーティングが形成される。従って、圧延板はロールコーティングと接触して圧延されることになるので、圧延板の表面品質はロールコーティングの性状によって左右される。ここで、熱間圧延時に発生したアルミニウム板の表面欠陥は、冷間圧延後のアルミニウム板表面品質(板表面品質)にも影響するので、熱間圧延におけるロールコーティング性状は非常に重要であるといえる。
また、このロールコーティング性状は圧延諸条件(板材質、板温度、板表面粗さ、ロール温度、ロール表面粗さ、圧下率、圧延速度、ブラシロール操業条件等)と熱間圧延油により変化するため、熱間圧延油の選択は、ロールコーティングを制御する上で不可欠なものである。そして、熱間圧延では充分なロール冷却性が必要となるため、この熱間圧延油は、エマルションの形で使用されており、また、アルミニウム板の熱間圧延油に要求される性能としては、圧延潤滑性、ロールコーティング性、板表面品質性、乳化安定性、耐鉄腐食性等が挙げられる。
従来、アルミニウム板の圧延に用いられる熱間圧延油としては、鉱物油を基油として、脂肪酸、天然油脂、脂肪酸エステル等の油性向上剤や、極圧剤、防錆剤、酸化防止剤等を配合し、これを、主に陰イオン性界面活性剤である乳化剤で乳化した熱間圧延油組成物を、通常2〜10質量%濃度のエマルションとしたものが使用されている。しかし、従来の乳化剤を用いたアルミニウム板用熱間圧延油は、圧延潤滑性と乳化安定性とが相反する傾向を示すことから、両性能を共に満足させることは出来なかった。すなわち圧延潤滑性を増すと乳化安定性は低下し、その結果圧延潤滑性の経時安定性も低下するため、アルミニウム板表面の品質安定性が問題となった。一方、乳化安定性を増すと充分な圧延潤滑性は得られず、その結果、アルミニウム板表面に種々の欠陥が発生した。
このように相反する特性である圧延潤滑性、乳化安定性および板表面品質性を同時に満足させるために、特定の潤滑油成分と特定の水溶性陽イオン性高分子化合物とを組み合わせたアルミニウム(アルミニウム合金)熱間圧延油組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、耐鉄腐食性を悪化させず、圧延潤滑性を向上させる工夫として、天然油脂、合成エステルを比較的多量に使用することによって、脂肪酸の含有量の制限と圧延潤滑性の向上を図ったアルミニウム用熱間圧延油が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特許第2869850号公報(段落0009〜0022) 特開平8−170090号公報(段落0006、0023)
しかしながら、従来のアルミニウム(アルミニウム合金)の熱間圧延油組成物(熱間圧延油)を使用したアルミニウム板の圧延においては、以下に示す問題があった。
特許文献1に記載の熱間圧延油組成物(熱間圧延油)においては、近年、大量生産化とアルミニウムまたはアルミニウム圧延品の高品質指向から、圧延潤滑性を向上させる油性向上剤である脂肪酸を所定量添加している。しかし、脂肪酸の添加により圧延潤滑性や板表面品質性は向上するものの、多量に添加すると、腐食性を高める場合があり、また、圧延の進行に伴い高粘度物質の金属石鹸が生成しやすくなり、この金属石鹸により圧延機周辺を汚染させる場合があるという問題があった。
また、特許文献2に記載の熱間圧延油においては、天然油脂、合成エステルを比較的多量に使用し、脂肪酸の含有量を制限することにより圧延潤滑性の向上を図っているが、圧延潤滑性、板表面品質性を共に満足させるものではなく、さらなる改善が望まれていた。
さらに、従来の熱間圧延油組成物(熱間圧延油)を使用した熱間圧延においては、熱間圧延油組成物の組成によっては、アルミニウム板への油付着量が適度にならない場合があり、このため、アルミニウム板への油付着量が不足することにより、潤滑不足による焼き付きが発生しやすく、油付着量が過剰になることにより、板表面の圧延油切り性が悪化しやすいという問題があった。また、熱間圧延油を長期使用した場合、微小粒径の金属粉および他種油等の不純物の混入により粘度が高くなり板表面の圧延油切り性が悪化するという問題があった。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、熱間圧延油の潤滑不足による焼き付きの発生と過潤滑による板表面の圧延油切り性の悪化を抑制することで、優れた板表面品質の圧延板を得ることができるアルミニウム板またはアルミニウム合金板の圧延方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明に係るアルミニウム板またはアルミニウム合金板の圧延方法は、熱間圧延油を使用して熱間圧延するアルミニウム板またはアルミニウム合金板の圧延方法であって、前記熱間圧延油は、熱間圧延油組成物および乳化剤を含有し、前記熱間圧延油組成物中のアルコール濃度をA(質量%)とし、前記熱間圧延油組成物中のエステル濃度をE(質量%)とし、前記熱間圧延油の油分濃度をC(質量%)としたときに、−0.5C+8≦A≦−C+22、かつ、−1.5C+18≦E≦−0.5C+26、を満足する熱間圧延油を用いることを特徴とする。
このような構成によれば、熱間圧延油組成物中のアルコール濃度と、熱間圧延油組成物中のエステル濃度が、熱間圧延油の油分濃度に対して所定の関係に規定されていることにより、潤滑不足による焼き付きの発生と過潤滑による板表面の圧延油切り性の悪化が抑制される。
また、本発明に係るアルミニウム板またはアルミニウム合金板の圧延方法は、前記熱間圧延油組成物が(a)動粘度80mm/s(40℃)以下の鉱物油と、(b)炭素数10〜22の脂肪酸と、(c)天然油脂および、1価高級脂肪酸または多塩基酸とアルコールから得られる合成エステルから選ばれる少なくとも1種と、(d)炭素数8〜26の高級アルコールと、を含有することを特徴とする。
このような構成によれば、熱間圧延油の成分である熱間圧延油組成物が、所定の動粘度である鉱物油を基油として、炭素数10〜22の脂肪酸、天然油脂および1価高級脂肪酸または多塩基酸とアルコールから得られる合成エステルから選ばれる少なくとも1種、炭素数8〜26の高級アルコールを含有するので、圧延潤滑性および板表面品質性に優れた熱間圧延油を使用した熱間圧延を行うことができる。
さらに、本発明に係るアルミニウム板またはアルミニウム合金板の圧延方法は、前記乳化剤が、下記一般式(1)で表される単量体またはその塩もしくはその4級化物の重合体または共重合体であって、その質量平均分子量が10,000〜1,000,000である高分子化合物の少なくとも1種であることを特徴とする。
Figure 2008201856
(式中、Rは水素原子またはメチル基、RおよびRは、同一または異なって、炭素数1〜3のアルキル基、mは1〜3の整数を示す。)
このような構成によれば、熱間圧延油の成分である乳化剤が、前記した高分子化合物の少なくとも1種であるので、熱間圧延油の油粒子が大粒子径となり、かつ、乳化分散性が良好となるため、圧延潤滑性および長期循環安定性に優れた熱間圧延油を使用した熱間圧延を行うことができる。
本発明に係るアルミニウム板またはアルミニウム合金板の圧延方法によれば、圧延潤滑性が向上し、潤滑不足による焼き付きの発生と過潤滑による板表面の圧延油切り性の悪化を抑制することができる。そのため、優れた板表面品質の圧延板を得ることができると共に、安定した圧延が可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
≪アルミニウム板またはアルミニウム合金板の圧延方法≫
本発明に係るアルミニウム板またはアルミニウム合金板(以下、適宜「アルミニウム板」ともいう)の圧延方法は、熱間圧延油組成物を含有する熱間圧延油を使用して熱間圧延するアルミニウム板またはアルミニウム合金板の圧延方法であって、熱間圧延油組成物中のアルコール濃度をA(質量%)と、熱間圧延油組成物中のエステル濃度をE(質量%)と、熱間圧延油の油分濃度をC(質量%)とを、所定の関係に規定した熱間圧延油を使用して熱間圧延するものである。
<熱間圧延油>
熱間圧延油は、アルミニウム板の圧延方法に使用するものであり、熱間圧延油は、後記する熱間圧延油組成物および乳化剤を水に分散させた水分散型圧延油(熱間圧延油組成物および乳化剤を含有する水溶液)である。
<アルコール濃度A(質量%)>
以下に説明するとおり、熱間圧延油組成物中のアルコール濃度は、熱間圧延油の油分濃度に対して、所定の関係に規定する。
熱間圧延油組成物中のアルコール濃度の調節は、熱間圧延油組成物を構成するアルコール、例えば、以下に説明する(d)成分(炭素数8〜26の高級アルコール)の添加量を調節することにより行う。アルコールは、圧延潤滑性および板表面品質性を向上させるものであるが、多量に添加すると熱間圧延油組成物の粘度を低下させやすい。
したがって、熱間圧延油組成物中の油分との関係において、所定の範囲に制御する。
<エステル濃度E(質量%)>
以下に説明するとおり、熱間圧延油組成物中のエステル濃度は、熱間圧延油の油分濃度に対して、所定の関係に規定する。
熱間圧延油組成物中のエステル濃度の調節は、熱間圧延油組成物を構成するエステル、例えば、以下に説明する(c)成分(天然油脂および1価高級脂肪酸または多塩基酸とアルコールから得られる合成エステルから選ばれる少なくとも1種)中の合成エステルの添加量を調節することにより行う。前記したとおり、エステルは、圧延潤滑性および板表面品質性を向上させるものであるが、ロールコーティング性や板表面品質性への悪影響を及ぼしやすい。
したがって、熱間圧延油組成物中の油分との関係において、所定の範囲に制御する。
<油分濃度C(質量%)>
熱間圧延油の油分濃度は、熱間圧延油組成物の希釈割合で制御する。なお、ここでいう油分濃度は、熱間圧延油中の水以外の全ての成分の濃度、すなわち、熱間圧延油を作成するための全成分の濃度である。
<「−0.5C+8≦A≦−C+22」、かつ、「−1.5C+18≦E≦−0.5C+26」>
熱間圧延油組成物中のアルコール濃度をA(質量%)とし、熱間圧延油の油分濃度をC(質量%)としたときに、これらの関係を「−0.5C+8≦A≦−C+22」に規定する。
さらに、熱間圧延油組成物中のエステル濃度をE(質量%)とし、熱間圧延油の油分濃度をC(質量%)としたときに、これらの関係を「−1.5C+18≦E≦−0.5C+26」に規定する。
図1は(a)、熱間圧延油の油分濃度C(質量%)に対する熱間圧延油組成物中のアルコール濃度A(質量%)の最適範囲を示すグラフ図、(b)は、熱間圧延油の油分濃度C(質量%)に対する熱間圧延油組成物中のエステル濃度E(質量%)の最適範囲を示すグラフ図である。
ただし、図1(a)、(b)においては、油分濃度を1〜9質量%とした場合について示している(以下、図1(a)、(b)については、同様である)。
図1(a)、(b)に示すように、熱間圧延油組成物中のアルコール濃度A(質量%)と、熱間圧延油の油分濃度C(質量%)との関係が、不等式「−0.5C+8≦A≦−C+22」を満足し、かつ、熱間圧延油組成物中のエステル濃度E(質量%)と、熱間圧延油の油分濃度C(質量%)との関係が、不等式「−1.5C+18≦E≦−0.5C+26」を満足する場合に、潤滑不足による焼き付きの発生と過潤滑による板表面の圧延油切り性の悪化(スリップ疵や圧延油残りの発生)が抑制される。
アルコールおよびエステルとも、潤滑性を向上させる油剤であるが、板表面に及ぼす作用が異なることから、これら2種類を併用する必要があり、また、これらを入れすぎると、過潤滑となる。
すなわち、本発明においては、図1(a)中のXの部分(実線部分を含む)が、アルコール濃度A(質量%)と、油分濃度C(質量%)との関係における適切な範囲であり、図1(b)のYの部分(実線部分を含む)が、エステル濃度E(質量%)と、油分濃度C(質量%)との関係における適切な範囲である。
「−0.5C+8≦A≦−C+22」(図1(a)中のXの部分(実線部分を含む))かつ、「−1.5C+18≦E≦−0.5C+26」(図1(b)中のYの部分(実線部分を含む))であれば、潤滑不足による焼き付きの発生と過潤滑による板表面の圧延油切り性の悪化が抑制され、優れた板表面品質の圧延板を得ることができると共に、安定した圧延を行うことができる。
一方、前記範囲を超えると、すなわち、図1(a)中のX以外の部分(実線部分を含まない)または、図1(b)中のY以外の部分(実線部分を含まない)であると、潤滑不足による焼き付きの発生と過潤滑による板表面の圧延油切り性の悪化を抑制することができず、板表面品質性等が劣化する。
次に、本発明に用いる熱間圧延油に含有される熱間圧延油組成物の好ましい成分について、説明する。
<熱間圧延油組成物>
熱間圧延油組成物は、(a)動粘度80mm/s(40℃)以下の鉱物油、(b)炭素数10〜22の脂肪酸、(c)天然油脂および、1価高級脂肪酸または多塩基酸とアルコールから得られる合成エステルから選ばれる少なくとも1種、(d)炭素数8〜26の高級アルコールを含有するものであることが好ましい。
以下、熱間圧延油組成物の各成分について説明する。
[(a)成分:鉱物油]
(a)成分である鉱物油としては、例えば、スピンドル油、マシン油、タービン油、シリンダー油、ニュートラル油等が挙げられ、パラフィン系鉱物油、ナフテン系鉱物油のいずれを使用してもよいが、耐熱性および圧延潤滑性の点から、パラフィン系鉱物油を使用することが好ましい。(a)成分の動粘度は、80mm/s(40℃)以下であることが必要であり、動粘度が80mm/s(40℃)以下であればアルミニウム板の表面品質性(板表面品質性)は優れており、熱間圧延したアルミニウム板への残油も少なく良好である。なお、動粘度が80mm/s(40℃)を超えると板表面品質性が低下するので好ましくない。
(a)成分は基油であり、熱間圧延油組成物中の(a)成分の含有量は、特に制限されるものではないが、10〜95質量%が好ましく、30〜65質量%がより好ましい。
[(b)成分:脂肪酸]
(b)成分である炭素数10〜22の脂肪酸は、圧延潤滑性を向上させる目的で添加するものである。脂肪酸は、ロールコーティング性や板表面品質性への悪影響が少なく、境界潤滑性の非常に優れた油性向上剤である。
(b)成分としては、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、エルカ酸、ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、牛脂脂肪酸等を1種以上用いることができるが、取扱い上、常温(25℃)液体の脂肪酸(例えば、カプリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、エルカ酸、ヤシ油脂肪酸等)を使用することが好ましい。
熱間圧延油組成物中の(b)成分の含有量は、1〜14質量%が好ましく、3〜10質量%がより好ましい。(b)成分の含有量が1〜14質量%の範囲であれば、圧延潤滑性、耐金属腐食性および耐汚れ性に優れる。
なお、脂肪酸の含有量が14質量%を超えると金属腐食性が高くなる。また、圧延の進行に伴い生成する金属石鹸は、圧延機周辺を汚染すると共に、製品汚れの原因となる。
[(c)成分:天然油脂および/または合成エステル]
(c)成分である天然油脂および/または合成エステルは、前記した(b)成分に次ぐ優れた油性向上剤であり、圧延潤滑性を向上させる目的で添加する。
天然油脂としては、例えば、鯨油、牛脂、豚脂、ナタネ油、ヒマシ油、パーム油、ヤシ油等の動植物油脂が挙げられるが、圧延潤滑性、板表面品質性および融点の点から、豚脂、パーム油を使用することが好ましい。
熱間圧延油組成物中の天然油脂の含有量は、熱間圧延油の融点の点から2〜30質量%が好ましい。
合成エステルとしては、炭素数10〜22の1価高級脂肪酸または多塩基酸とアルコールとのエステルが好ましく、フルエステルまたは部分エステルのいずれであってもよい。
アルコールとしては、例えば、炭素数1〜22の脂肪族1価アルコールや、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリン等の多価アルコールが挙げられる。
なお、脂肪酸やアルコールは、飽和のもの不飽和のものいずれも使用することができるが、板表面品質性の点から、飽和のものがより好ましい。
合成エステルの具体例としては、カプリン酸メチル、ステアリン酸ブチル、イソステアリン酸ラウリル等の飽和脂肪酸モノエステル;アジピン酸ジラウリル、フタル酸ジラウリル、トリメリット酸トリデシル等の多塩基酸と飽和脂肪族1価アルコールとのエステル;ネオペンチルポリオール飽和脂肪酸エステル(ネオペンチルグリコールジラウレート、トリメチロールプロパン椰子油脂肪酸トリエステル、トリメチロールプロパンイソステアリン酸トリエステル、トリメチロールプロパンジラウレート、ペンタエリスリトールモノラウレート、ペンタエリスリトールテトララウレート、ペンタエリスリトールイソステアリン酸テトラエステル等)、グリセリン飽和脂肪酸エステル(グリセリン椰子油脂肪酸ジエステル、グリセリントリラウレート等)、ジエチレングリコール飽和脂肪酸エステル等の1価高級脂肪酸と多価アルコールとのエステル等が挙げられる。
合成エステルは、圧延潤滑性、板表面品質性および融点の点から、炭素数10〜22の1価高級脂肪酸と多価アルコールとのエステルが好ましく、炭素数10〜22の1価飽和高級脂肪酸と多価アルコールとのエステルがより好ましい。
熱間圧延油組成物中の合成エステルの含有量は、熱間圧延油の価格の点から、2〜30質量%が好ましい。
このような(c)成分は、単独で使用してもよいが、それぞれ1種以上を混合して使用してもよい。天然油脂や合成エステルは、一般に、ロールコーティング性や板表面品質性への悪影響があるため過度の多量配合は好ましくないが、高級アルコールと共存させることで、その含有量を増加させることができる。
熱間圧延油組成物中の(c)成分の含有量は、圧延潤滑性、融点、板表面品質性および価格等のバランスの点から、2〜50質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましい。
[(d)成分:高級アルコール]
(d)成分である炭素数8〜26の高級アルコールは、圧延潤滑性および板表面品質性を向上させる目的で添加する。
(d)成分を、熱間圧延油のような、冷間圧延油よりも高温・高潤滑の油に使用した場合でも、前記した(b)成分と同等の境界潤滑性を示し、熱的にも分解・揮発がなく比較的安定であるので、板表面品質性を向上させることができる。
(d)成分は、直鎖でも分岐鎖でもよく、飽和のもの不飽和のものいずれも使用することができる。また、1価アルコールでも2価以上の多価アルコールでもよい。なお、圧延潤滑性の点から、直鎖部分の炭素数が8〜18のものが好ましい。
このような(d)成分の具体例としては、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、エライジルアルコール、リノレイルアルコール、椰子油還元アルコール、パーム油還元アルコール、牛脂還元アルコール、炭素数11〜18のオキソアルコール、炭素数12〜18のチーグラーアルコール、炭素数12〜26のゲルベアルコール、オクタデカン1,2−ジオール、ラウリルアルコールエチレンオキサイド付加物(2モル以下)等が挙げられる。なお、圧延潤滑性および板表面品質性の点から、直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基を有する1価アルコールが好ましく、1価飽和アルコールがより好ましい。
(d)成分は、多量に添加すると熱間圧延油組成物の粘度を低下させるので、熱間圧延油組成物中の(d)成分の含有量は、2〜30質量%が好ましく、圧延潤滑性の点から、10〜30質量%がより好ましい。
また、(d)成分を添加すると、前記した(c)成分を多量配合しても板表面品質性の低下を抑制することができる。なお、熱間圧延油組成物中の(c)成分と(d)成分との質量比は、圧延潤滑性および板表面品質性の点から、(d)成分/(c)成分=1/1〜1/10が好ましく、1/1〜1/5がより好ましい。
[リン系極圧剤]
以上が、熱間圧延油組成物の(a)〜(d)成分についての説明である。
なお、熱間圧延油組成物には、前記した(a)〜(d)成分の他に、必要に応じて、板表面品質性を向上させる目的でリン系極圧剤(以下(e)成分という)を添加してもよい。
(e)成分であるリン系極圧剤としては、例えば、トリクレジルホスフェート、ジブチルホスフェート、モノオクチルホスフェート、トリオレイルホスフェート、トリブチルホスファイト、ジイソオクチルホスファイト、トリイソオクチルホスファイト、トリオレイルホスファイト等が挙げられる。
熱間圧延油組成物中の(e)成分の含有量は、0.5〜10質量%が好ましく、3〜10質量%がより好ましい。(e)成分は、1種でもよいが、2種以上を混合して使用することもできる。
<乳化剤>
次に、本実施形態で使用する乳化剤について説明する。乳化剤は、前記した熱間圧延油組成物((a)〜(d)成分または(a)〜(e)成分)を水に分散させるため、すなわち、エマルションとするために添加する。
乳化剤としては、例えば、オレイン酸トリエタノールアミン塩、石油スルホネートナトリウム塩等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等の非イオン性界面活性剤、ベンザルコニウム型等の4級アンモニウム塩等のカチオン性界面活性剤、一般の高分子型分散剤等が挙げられる。
熱間圧延油を作製するための全成分中の乳化剤の含有量は、0.1〜5質量%が好ましい。
このような乳化剤の中でも、下記一般式(1)で表される単量体またはその塩もしくはその4級化物の重合体または共重合体であって、その質量平均分子量が10,000〜1,000,000である高分子化合物(以下(f)成分という)の少なくとも1種を使用することが好ましい。乳化剤として、このような高分子化合物の少なくとも1種を使用することで、大粒子径で、かつ、安定した乳化分散性のエマルションを得ることができる。
Figure 2008201856
(式中、Rは水素原子またはメチル基、RおよびRは、同一または異なって、炭素数1〜3のアルキル基、mは1〜3の整数を示す。)
(f)成分において、一般式(1)で表される単量体の具体例としては、ジメチルアミノエチルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジエチルアミノメチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジエチルアミノメチルメタクリルアミド等が挙げられる。
一般式(1)で表される単量体の塩を得るための好ましい酸としては、例えば、酢酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、リン酸、酸性アルキルリン酸エステル(ブチルアシッドホスフェート、オクチルアシッドホスフェート等)、ホウ酸等が挙げられる。なお、塩は、単量体を、または、重合後に重合体を中和することにより形成される。
一般式(1)で表される単量体の4級化物を得るための好ましい4級化剤としては、例えば、塩化メチル、塩化エチル、臭化メチル、ヨウ化メチル等のハロゲン化アルキル、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジ−n−プロピル等の一般的なアルキル化剤が挙げられる。
(f)成分は、一般式(1)で表される単量体と、(メタ)アクリル酸もしくはその塩、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリルアミド等の共重合可能な単量体との共重合体でもよい。なお、(メタ)アクリルとは、アクリルまたはメタクリルを意味する。
共重合可能な単量体の具体例としては、アルキル基が炭素数1〜22の直鎖または分岐鎖のアルキル基である、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
また、(メタ)アクリル酸塩の具体例としては、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸カリウム等のアルカリ金属塩が挙げられる。
一般式(1)で表される単量体またはその塩もしくはその4級化物由来の構成単位は、(f)成分中、50〜100質量%が好ましい。
(f)成分の質量平均分子量は、10,000〜1,000,000が好ましく、30,000〜300,000がより好ましい。質量平均分子量が10,000〜1,000,000の範囲であれば、乳化安定性に優れ、高分子化合物自体の安定性も良好で取扱いも容易である。
なお、(f)成分の質量平均分子量は、(f)成分を加水分解(試料1gにN/2 KOH溶液20mlを添加し、約95℃で2時間加熱する)後、下記条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で分子量を分析し、その結果から元の分子量を換算したものである。
−条件−
・カラム:G2000SW(東ソー(株)製)×2本
・カラム温度:40℃
・溶離液:0.1N塩化ナトリウム水溶液/アセトニトリル=70/30
・検出器:RI(屈折率計)
・注入量:1質量%溶離液溶液、20μl
・液流速:0.4ml/min
・分子量標準:ポリスチレンスルホン酸ナトリウム
熱間圧延油の油粒子の表面電位は負であるが、(f)成分を添加するに従い油粒子の表面電位はほぼ零となり、油粒子は凝集して粗大粒子径となる。(f)成分をさらに添加すると、油粒子の表面電位は正になると共に、保護コロイド作用により、油粒子は大粒子径で、かつ、乳化分散性も良好となるため、プレートアウト性が良好となり優れた圧延潤滑性を示し、長期循環安定性も良好となる。(f)成分をさらに添加すると、乳化分散性は非常に良好となるが、油粒子径は中粒子径となるため、プレートアウト性が不十分となり潤滑性不良を示す。
したがって、熱間圧延油を作製するための全成分中の(f)成分の含有量は、油粒子径と長期循環安定性の点から、0.1〜5質量%が好ましく、0.3〜2質量%がより好ましい。(f)成分の含有量が0.1〜5質量%の範囲であれば、油粒子径は大きく、長期循環安定性にも優れる。(f)成分は、1種でもよいが、2種以上を混合して使用することもできる。
<その他>
なお、熱間圧延油には、前記した(a)〜(f)成分の他に、必要に応じて、添加剤、例えば、防錆・防食剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
防錆・防食剤としては、例えば、アルケニルコハク酸およびその誘導体、オレイン酸等の脂肪酸、ソルビタンモノオレート等のエステル、アミン類等を用いることができる。
熱間圧延油を作製するための全成分中の防錆・防食剤の含有量は、2質量%以下が好ましい。
酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール等のフェノール系化合物、フェニルα−ナフチルアミン等の芳香族アミン等を用いることができる。
熱間圧延油を作製するための全成分中の酸化防止剤の含有量は、5質量%以下が好ましい。
本実施形態で使用する熱間圧延油は、前記したとおり、熱間圧延油組成物および乳化剤を水に分散させた水分散型圧延油(熱間圧延油組成物および乳化剤を含有する水溶液)である。したがって、熱間圧延油は、熱間圧延油組成物および乳化剤を水に希釈することによって作製・使用される。
熱間圧延油中の熱間圧延油組成物の含有量は、圧延潤滑性や板表面品質性の点から、1〜10質量%が好ましい。
なお、熱間圧延油組成物、乳化剤および水は、どの順序で混合してもよいが、水と乳化剤とを混合した後、熱間圧延油組成物を混合することが好ましい。
次に、本発明に係るアルミニウム板またはアルミニウム合金板の圧延方法を行うための圧延装置の一例について説明する。
図2は、アルミニウム板またはアルミニウム合金板の圧延装置の概略図である。
圧延装置20では、アルミニウム板またはアルミニウム合金板は、熱間圧延機3によって熱間圧延される。
熱間圧延時に使用された使用済みの熱間圧延油は、配管9aを介して熱間圧延油貯留タンク4に回収され、貯留される。
熱間圧延油貯留タンク4の上部には、スカム除去装置1が設置されている。スカム除去装置1は、熱間圧延油貯留タンク4の熱間圧延油の上部に比重の差によって浮いてきたスカムを、ベルト状の金属帯10を連続回転させることで除去する。除去されたスカムは、ドレンタンク2に溜められた後に廃棄される。なお、熱間圧延油貯留タンク4の熱間圧延油に含まれる金属粉もスカム除去装置1によって粗除去される。
金属粉が粗除去された熱間圧延油は、熱間圧延油貯留タンク4の底部に設けられた排出口から配管9bを介して圧送ポンプ7により金属粉調整熱間圧延油貯留タンク5に送給される。配管9bには、圧送ポンプ7の下流側にフィルタ6が設けられている。フィルタ6は、微粒の金属粉を除去して、金属粉を所定の粒子径および量に規制する。このように、金属粉の粒子径および量がフィルタ6により最終調整された後、熱間圧延油は金属粉調整熱間圧延油貯留タンク5に貯留される。
金属粉調整熱間圧延油貯留タンク5の熱間圧延油は、配管9cを介して圧送ポンプ8により熱間圧延機3に供給される。
このように、熱間圧延油は、熱間圧延機3、熱間圧延油貯留タンク4および金属粉調整熱間圧延油貯留タンク5との間を循環している。
以上説明したように、本発明に係るアルミニウム板またはアルミニウム合金板の圧延方法によれば、熱間圧延油組成物中のアルコール濃度とエステル濃度を、油分濃度に対して、それぞれ所定の関係に規定したので、この熱間圧延油組成物を含有する熱間圧延油を使用することで、圧延潤滑性が向上し、熱間圧延油の潤滑不足による焼き付きの発生と板表面の圧延油切り性の悪化を抑制することができる。そのため、優れた板表面品質の圧延板を得ることができると共に、安定した圧延が可能となる。
また、建浴初期の潤滑性が極めて優れ、建浴直後から高強度材の圧延が可能になり、さらに、乳化性の長期安定性およびロールコーティング制御に優れるため、長期使用時でも従来の圧延油のような噛み込み不良またはスリップ疵の発生を抑制することができる。そして、カチオン系高分子化合物(前記(f)成分)の機能により、タンク、ミル周辺等のハウジングの汚れが改善され、また、抗菌機能により、バクテリアの発生も防止することができるため、排水処理性にも優れる。さらに、油粒子径の過大化がなく、油粒子径制御安定化にも優れる。
さらに、鉱物油を基油として、脂肪酸、油脂、合成エステル等の油性向上剤や高級アルコール、また、必要に応じて、極圧剤、防錆剤、酸化防止剤等を配合し、これを主に、陰イオン性界面活性剤で乳化することにより、潤滑不足による焼き付きも無く、長期使用時の油劣化による板表面の油切り性の悪化も無い安定した熱間圧延が可能になる。
本発明に係るアルミニウム板またはアルミニウム合金板の圧延方法の実施例について、その比較例と比較して具体的に説明する。
表1に示す成分を水で希釈することで濃度4質量%に調整し、熱間圧延油を作製した。この熱間圧延油を使用して、入側板厚;29mm、板幅;1800mmのアルミニウムコイル(JIS5000系材)を、圧延装置として、圧延4段圧延機(ワークロール径;725mm、ワークロールバレル長;2900mm、バックアップロール径;1530mm、バックアップロールバレル長;2900mm)を4機連ねた4スタンドタンデムを使用して熱間圧延した。
熱間圧延条件は、圧延速度;300mpm、圧下率;30乃至60%、材料温度;300℃である。
Figure 2008201856
前記熱間圧延条件において、熱間圧延油組成物中のアルコール濃度、およびエステル濃度を変更し、各条件ごとにアルミニウムコイル100本を熱間圧延する圧延試験を行なった。この圧延試験により、圧延潤滑性および板表面品質性を評価した。
なお、本実施例においては、油分濃度を4質量%に規定し、アルコールとして、椰子油還元アルコール((d)成分)、エステルとして、トリメチロールプロパンイソステアリン酸トリエステル((c)成分)の濃度を変更することにより、圧延試験を行った。なお、これらの濃度の変更に伴い、(a)成分の濃度を変更することにより、成分の配合比を調節した。すなわち、表1における(a)成分と(c)成分と(d)成分とは、表1に示す濃度を中心として成分の配合比を変化させた。
前記した熱間圧延によって得られた各条件ごとの圧延板(各100本)の板表面性状について、目視により、焼付きおよびスリップ疵や圧延油残りの有無を確認した。そして、圧延板100本中に、圧延板表面に焼付きまたは、スリップ疵や圧延油残りが生じた板の合計本数を板表面不良発生数とした。
板表面不良発生数が、0または1本のものを圧延潤滑性および板表面品質性が良好、2本以上のものを不良とした。
これらの結果を表2に示すと共に、この表2の結果をグラフにしたものを図3〜図6に示す。また、表2において、本発明の範囲を満たさないものについては、数値に下線を引いて示す。なお、本実施例においては、アルコール濃度をA(質量%)、エステル濃度をE(質量%)、油分濃度をC(質量%)としたときに、油分濃度Cを4質量%としているため、「6≦A≦18」かつ、「12≦E≦24」を満たすものが、本発明の範囲を満たすものである。
Figure 2008201856
図3は、油分濃度4質量%としたときのエステル濃度およびアルコール濃度と板表面不良発生数の関係を示すグラフ図であり、(a)〜(c)は、それぞれ表2の(A)〜(C)に対応するグラフ図である。図4は、油分濃度4質量%としたときのエステル濃度およびアルコール濃度と板表面不良発生数の関係を示すグラフ図であり、(a)〜(c)は、それぞれ表2の(D)〜(F)に対応するグラフ図である。図5は、油分濃度4質量%としたときのエステル濃度およびアルコール濃度と板表面不良発生数の関係を示すグラフ図であり、(a)〜(c)は、それぞれ表2の(G)〜(I)に対応するグラフ図である。図6は、油分濃度4質量%としたときのエステル濃度およびアルコール濃度と板表面不良発生数の関係を示すグラフ図であり、(a)、(b)は、それぞれ表2の(J)、(K)に対応するグラフ図である。
すなわち、例えば、図3(a)は、表2の(A)に対応するグラフ図であり、油分濃度を4質量%、エステル濃度を11.0質量%としたときのアルコール濃度と板表面不良発生数の関係を示すグラフ図である。なお、図3〜図6において、板表面不良発生数の単位「(本)」とは、圧延板100本あたりの板表面不良発生数を意味する。
この表2および図3〜図6から明らかなように、熱間圧延油組成物中のアルコール濃度およびエステル濃度と、熱間圧延油の油分濃度との関係が、本発明の範囲を満たすものについては、圧延板表面に、焼付きまたは、スリップ疵や圧延油残りが発生しないか、発生しても極わずか(0または1本)であり、圧延潤滑性および板表面品質性が良好であった。
一方、熱間圧延油組成物中のアルコール濃度およびエステル濃度と、熱間圧延油の油分濃度との関係が、本発明の範囲を満たさないものについては、圧延板表面に、焼付きまたは、スリップ疵や圧延油残りが2本以上発生し、圧延潤滑性および板表面品質性が不良であった。
以上、本発明に係るアルミニウム板またはアルミニウム合金板の圧延方法について最良の実施の形態および実施例を示して詳細に説明したが、本発明の趣旨は前記した内容に限定されるものではない。なお、本発明の内容は、前記した記載に基づいて広く改変・変更等することができることはいうまでもない。
(a)は、熱間圧延油の油分濃度C(質量%)に対する熱間圧延油組成物中のアルコール濃度A(質量%)の最適範囲を示すグラフ図、(b)は、熱間圧延油の油分濃度C(質量%)に対する熱間圧延油組成物中のエステル濃度E(質量%)の最適範囲を示すグラフ図である。 アルミニウム板またはアルミニウム合金板の圧延装置の概略図である。 油分濃度4質量%としたときのエステル濃度およびアルコール濃度と板表面不良発生数の関係を示すグラフ図であり、(a)〜(c)は、それぞれ表2の(A)〜(C)に対応するグラフ図である。 油分濃度4質量%としたときのエステル濃度およびアルコール濃度と板表面不良発生数の関係を示すグラフ図であり、(a)〜(c)は、それぞれ表2の(D)〜(F)に対応するグラフ図である。 油分濃度4質量%としたときのエステル濃度およびアルコール濃度と板表面不良発生数の関係を示すグラフ図であり、(a)〜(c)は、それぞれ表2の(G)〜(I)に対応するグラフ図である。 油分濃度4質量%としたときのエステル濃度およびアルコール濃度と板表面不良発生数の関係を示すグラフ図であり、(a)、(b)は、それぞれ表2の(J)、(K)に対応するグラフ図である。
符号の説明
1 スカム除去装置
2 ドレンタンク
3 熱間圧延機
4 熱間圧延油貯留タンク
5 金属粉調整熱間圧延油貯留タンク
6 フィルタ
7,8 圧送ポンプ
9a,9b,9c 配管
10 ベルト状の金属帯
20 圧延装置

Claims (3)

  1. 熱間圧延油を使用して熱間圧延するアルミニウム板またはアルミニウム合金板の圧延方法であって、
    前記熱間圧延油は、熱間圧延油組成物および乳化剤を含有し、
    前記熱間圧延油組成物中のアルコール濃度をA(質量%)とし、
    前記熱間圧延油組成物中のエステル濃度をE(質量%)とし、
    前記熱間圧延油の油分濃度をC(質量%)としたときに、
    −0.5C+8≦A≦−C+22、かつ、
    −1.5C+18≦E≦−0.5C+26
    を満足する熱間圧延油を用いることを特徴とするアルミニウム板またはアルミニウム合金板の圧延方法。
  2. 前記熱間圧延油組成物が
    (a)動粘度80mm/s(40℃)以下の鉱物油と、
    (b)炭素数10〜22の脂肪酸と、
    (c)天然油脂および、1価高級脂肪酸または多塩基酸とアルコールから得られる合成エステルから選ばれる少なくとも1種と、
    (d)炭素数8〜26の高級アルコールと、
    を含有することを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム板またはアルミニウム合金板の圧延方法。
  3. 前記乳化剤が、下記一般式(1)で表される単量体またはその塩もしくはその4級化物の重合体または共重合体であって、その質量平均分子量が10,000〜1,000,000である高分子化合物の少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアルミニウム板またはアルミニウム合金板の圧延方法。
    Figure 2008201856
    (式中、R1は水素原子またはメチル基、R2およびR3は、同一または異なって、炭素数1〜3のアルキル基、mは1〜3の整数を示す。)
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