JP3370874B2 - アルミニウム又はアルミニウム合金板の圧延方法 - Google Patents

アルミニウム又はアルミニウム合金板の圧延方法

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は圧延潤滑性、板表面
品質性及び乳化安定性が優れた水分散型のアルミ用熱間
圧延油を使用した圧延方法に関する。 【0002】 【従来の技術】アルミニウム又はアルミニウム合金板の
熱間圧延においては、圧延板表面から圧延ロール表面へ
アルミニウムが移着して、ロールコーティング層がロー
ル表面に形成されるため、圧延板はロールコーティング
層と接触しつつ圧延されることになる。従って、圧延板
の表面品質はロールコーティング層の性状によって左右
される。また、熱間圧延時に発生した板の表面欠陥は冷
間圧延後の板表面品質にも影響するので、熱間圧延にお
けるロールコーティング層の性状は極めて重要といえ
る。ロールコーティング層の性状は、圧延諸条件(板材
質、板温度、ブラシロール操業条件等)と圧延油により
変化する。従って、圧延油の選択は、ロールコーティン
グ層を制御する上で不可欠なものである。 【0003】熱間圧延では充分なロール冷却性が必要と
なるため、圧延油はエマルジョンの形で使用されてい
る。このため、従来、アルミニウム又はアルミニウム合
金の熱間圧延油としては、一般に、鉱物油を基油とし
て、脂肪酸、油脂及び脂肪酸エステル等の油性向上剤、
極圧剤、防錆剤及び酸化防止剤等を配合し、これを主に
陰イオン性界面活性剤で乳化した乳化型エマルションが
使用されている。 【0004】アルミニウム又はアルミニウム合金の熱間
圧延油に要求される性能としては、潤滑性、ロールコー
ティング性、表面品質性、乳化安定性、作業性及び排水
処理性等が挙げられ、特に近年の大量生産化とアルミニ
ウム圧延品の高品質指向から、潤滑性、表面品質性及び
乳化安定性等の熱間圧延油に対する要求は益々高くなっ
てきている。 【0005】しかしながら、従来の乳化剤を使用したア
ルミニウム又はアルミニウム合金用熱間圧延油は、前述
の要求の全てを充分に満足するものではない。 【0006】従来の圧延油にあっては、乳化剤の種類と
添加量を選ぶことによって潤滑性を制御していたが、こ
のような乳化剤を使用した熱間圧延油においては、潤滑
性と乳化安定性とは相反する傾向を示し、両性能を共に
満足させることはできない。即ち、従来の圧延油では潤
滑性を増すと、乳化安定性は低下し、その結果潤滑性の
経時安定性が低下するため、板表面の品質安定性が問題
となる一方、乳化安定性を増すと、充分な潤滑性は得ら
れず、その結果板表面に種々の欠陥を発生するという問
題点がある。 【0007】このように相反する特性である潤滑性及び
乳化安定性を両立させるために、例えば、特公昭62−
14599号公報にみられる圧延油組成物が提案されて
いる。この圧延油組成物においては、潤滑性及び乳化安
定性は確かに両立し、それなりに従来技術にない利点を
備えているが、得られる圧延板の表面品質は必ずしも充
分ではない。 【0008】一方、同様の試みとして特開昭63−12
0795号公報が提案されている。しかし、これは本質
的には特公昭62−14599号公報に記載の技術と同
質でがあり、その選択範囲の中から、潤滑性を犠牲にし
た上で表面品質性を向上させたものである。このよう
に、従来の潤滑油では、アルミニウム圧延における大量
生産化と高品質指向に対応することが困難である。 【0009】そこで、本願発明者等は、従来のアルミニ
ウム及びアルミニウム合金用熱間圧延油が有する問題点
を解決すべく鋭意研究を行った結果、特定の潤滑油成分
を特定の単量体の共重合物の有機酸塩を使用して水中に
乳化分散させることにより、潤滑性、乳化安定性及び板
表面品質性を同時に満足しつつ、長期使用時の熱劣化に
よる性能低下の問題が改善されることを見いだし、先に
特許出願した(特開平7−150189号公報)。 【0010】 【発明が解決しようとする課題】しかし、この熱間圧延
油組成物は所期の目的は達成したものの、この熱間圧延
油組成物を使用した圧延においては、潤滑不足による焼
き付きが発生することがあった。 【0011】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、潤滑不足による焼き付きが解消され、安定
した熱間圧延を可能とするアルミニウム又はアルミニウ
ム合金板の圧延方法を提供することを目的とする。 【0012】 【課題を解決するための手段】本発明に係るアルミニウ
ム又はアルミニウム合金板の圧延方法は、カチオン系の
高分子化合物を混合した水分散型熱間圧延油組成物を使
用するアルミニウム又はアルミニウム合金板の熱間圧延
方法において、水分散型熱間圧延油エマルジョン中の前
記熱間圧延油組成物の油分濃度をρ(%)、油分中の脂
肪酸濃度をκ(%)としたとき、2(ρ−1)≦κ≦2
(ρ+3)の範囲に油分中の脂肪酸濃度を制御すること
を特徴とする。 【0013】このカチオン系のカチオン系の高分子化合
物を混合した水分散型熱間圧延油組成物は、特開平7−
150189号公報に開示された発明に係るものであ
り、この潤滑油の使用に際して、油分の脂肪酸濃度を、
2(ρ−1)≦κ≦2(ρ+3)の範囲に制御すること
により、潤滑不足による焼き付きがない安定した圧延が
可能となる。 【0014】この水分散型熱間圧延油組成物の組成は、
以下のとおりである。 【0015】(a)粘度80cSt(40℃)以下の鉱
物油に、 (b)炭素数10乃至22の脂肪酸、油脂、及び炭素数
10乃至22の脂肪酸と炭素数1乃至22のアルコール
類とのモノエステルからなる群から選択された1種又は
2種以上の化合物:3乃至30質量%、 (c)アルキル基又はアルケニル基の炭素数が4乃至1
8であるアルキル若しくはアルケニルリン酸エステル又
はアルキル若しくはアルケニル亜リン酸エステル:0.
5乃至10質量%、 (d)下記一般式(1) 【0016】 【化1】 (式中、R1は水素原子又はメチル基を、R2及びR3
水素原子又は炭素数1乃至3のアルキル基を、mは0又
は1の整数を、nは1乃至3の整数を示す)で表される
単量体の1種以上と(メタ)アクリルアミド及び/又は
(メタ)アクリル酸塩との共重合物であって、平均分子
量が10,000乃至1,000,000の範囲にある
高分子化合物の一般式(2) 【0017】 【化2】 RCOOH (式中、Rは炭素数1乃至5のアルキル基、ヒドロキ
シアルキル基、カルボキシアルキル基又はカルボキシル
基を示す)で表される有機酸塩:0.1乃至10質量
を含有する組成を有する。各含有量は、圧延油組成物あ
たりの質量%であり、残部は前記鉱物油である。 【0018】 【発明の実施の形態】本願発明者等が更に実験研究を行
った結果、この熱間圧延油組成物を使用した圧延におい
ては、熱間圧延油組成物中の油分の脂肪酸濃度が2.0
%未満の場合に潤滑不足による焼き付きが発生すること
が判明した。 【0019】即ち、前述の組成を有するカチオン系の高
分子化合物により水中油滴型エマルジョンとした熱間圧
延油を使用して熱間圧延すると、熱間圧延油中のカチオ
ン系高分子化合物が油分中の脂肪酸に引き寄せられて油
周りにコロイド膜を生成する。この機構により、2.0
%未満の脂肪酸濃度ではカチオン系の高分子化合物が引
き寄せられず、油粒周りにコロイド膜を生成しない。こ
のため、コロイド膜を失った油滴は他の油滴と合一化
し、クーラントタンク上層部に浮遊し、湯分離を引き起
こす。これにより、使用油の油粒径が小径化し、使用油
の油分濃度が低下して、板への油付着量が不足し、焼き
付きが発生する。 【0020】本発明に係る圧延方法は、カチオン系の高
分子化合物を混合した水分散型熱間圧延油組成物中の油
分濃度ρ(%)、油分中の脂肪酸濃度κ(%)が2(ρ
−1)≦κ≦2(ρ+3)を満足するように、油分中の
脂肪酸濃度を制御することにより、使用油の油粒径及び
粘度が適度なものとなり、アニオン活性剤生成による油
粒径の小径化が回避され、潤滑不足による焼き付きも防
止され、長期使用時の油劣化による板表面の圧延油切り
性の悪化もない安定した圧延が可能となる。 【0021】次に、上記水分散型アルミニウム又はアル
ミニウム合金用熱間圧延油組成物について詳細に説明す
る。 【0022】先ず、本発明の熱間圧延油組成物の(a)
成分である鉱物油としては、例えばスピンドル油、マシ
ン油、タービン油、シリンダー油、ニュートラル油等が
挙げられるが、耐熱性及び潤滑性の点から、パラフィン
系鉱物油がより好ましい。鉱物油の粘度は80cSt
(40℃)以下であることが必要であり、80cStを
超えると板表面の品質が低下してしまう。この(a)成
分は基油であり、その配合量は特に制限されないが、5
0〜96.4質量%、特に60〜85質量%が好まし
い。 【0023】(b)成分のうち、油脂としては鯨油、牛
脂、豚脂、ナタネ油、ヒマシ油、パーム油、ヤシ油等の
動植物油脂が挙げられる。炭素数10〜22の脂肪酸と
しては、カプリン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、イソ
ステアリン酸、オレイン酸、エルカ酸等が挙げられる。
脂肪酸モノエステルとしては、炭素数10〜22の脂肪
酸と炭素数1〜22の脂肪族1価アルコール、エチレン
グリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリ
トール、グリセリン等とのモノエステル、より具体的に
はカプリン酸メチル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸
ラウレート、エルカ酸2−エチルヘキシル、ペンタエリ
スリトールモノオレート、グリセリンモノオレート等が
挙げられる。これらの(b)成分は油性向上剤として作
用するものであり、脂肪酸単独で又は脂肪酸と他の成分
との組み合わせで使用することができる。またその添加
量は3〜30質量%、より好ましくは10〜25質量
であり、3質量%未満では潤滑性が低下し、30質量
を超えると板表面の品質が低下する。また、油脂を配合
する場合は、油脂の添加量は20質量%までとするのが
より好ましい。 【0024】(c)成分であるアルキル若しくはアルケ
ニルリン酸エステル又はアルキル若しくはアルケニル亜
リン酸エステルは、アルキル又はアルケニル基の炭素数
が4〜18のものであり、その具体例としてジブチルホ
スフェート、モノオクチルホスフェート、トリオレイル
ホスフェート、トブチルホスファイト、ジイソオクチ
ルホスファイト、トリオレイルホスファイト等が挙げら
れるモノ−、ジ−、又はトリエステルのうち、特にモ
ノ−、ジエステルであるアルキル若しくはアルケニルア
シッドホスフェート又はアルキル若しくはアルケニルア
シッドホスファイトが好ましい。この添加量は0.5〜
10質量%、より好ましくは1〜5質量%であり、0.
質量%未満では板表面の品質の向上はなく、10質量
%を超える添加では、増量による板表面の品質の向上は
期待できない。 【0025】(d)成分の高分子化合物としては、一般
式(1)の単量体と(メタ)アクリルアミドとの共重合
体、一般式(1)の単量体と(メタ)アクリル酸塩との
共重合体、一般式(1)の単量体(メタ)アクリルアミ
ドと(メタ)アクリル酸塩との共重合体等が挙げられ
る。このうち、一般式(1)の単量体と(メタ)アクリ
ルアミドと(メタ)アクリル酸塩とのモル比は、50〜
90:0〜20:10〜50が特に好ましい。 【0026】一般式(1)の単量体のアミン体として
は、m=1のものとしてジメチルアミノエチルアクリル
アミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジエ
チルアミノメチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチ
ルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリ
ルアミド、ジエチルアミノメチルメタクリルアミド等が
m=0のものとして、アリルアミン、ジメチルアミノメ
チルエチレン、ジエチルアミノメチルエチレン、ジメチ
ルアミノメチルプロぺン、ジエチルアミノメチルプロぺ
ン等が挙げられるが、このうちm=1のものが特に好ま
しい。また、特に好ましい単量体(1)の具体例として
は、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジメチ
ルアミノプロピルアクリルアミドが挙げられる。 【0027】(メタ)アクリル酸塩としては、(メタ)
アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム等
の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩、(メタ)アクリ
ル酸モノエタノールアミン塩、(メタ)アクリル酸ジエ
タノールアミン塩、(メタ)アクリル酸トリエタノール
アミン塩等の(メタ)酸有機アミン塩が挙げられる。 【0028】(d)成分の高分子化合物は、その平均分
子量が10,000〜1,000,000の範囲にある
ことが必要であり、平均分子量がこの範囲に満たないと
乳化安定性が劣り、この範囲を超えると高分子化合物自
体の安定性が劣ったり、高粘度となって取り扱いが困難
となるため好ましくない。より好ましい平均分子量は3
0,000〜300,000である。 【0029】(d)成分の高分子化合物の有機酸塩にお
ける必須の有機酸を示す一般式(2)中、R4としては
炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のヒドロキシ
アルキル基、アルキル部の炭素数が1〜5のカルボキシ
アルキル基及びカルボキシル基が挙げられ、このうち炭
素数1〜5のヒドロキシアルキル基が特に好ましい。R
4COO-の具体例としては、酢酸イオン、プロピオン酸
イオン、酪酸イオン、吉草酸イオン、カプロン酸イオ
ン、グリコール酸イオン、乳酸イオン、ヒドロアクリル
酸イオン、シュウ酸イオン、マロン酸イオン、コハク酸
イオン、グルタル酸イオン、アジピン酸イオン等が挙げ
られるが、特にグリコール酸イオン、乳酸イオン、ヒド
ロアクリル酸イオンが好ましい。 【0030】高分子化学物の製造にあたっては、一般式
(1)の単量体を重合し、その後一般式(2)の有機酸
で中和するのが好ましいが、一般式(1)の単量体を一
般式(2)の有機酸で予め中和したものを使用して重合
させてもよい。例えば、ジメチルアミノプロピルメタク
リルアミドのグリコール酸中和物を他の共重合単量体と
重合することによって(d)成分を得ることもできる。 【0031】(d)成分の高分子化合物は、単独で又は
2種以上を組み合わせて使用することができ、熱間圧延
油組成物全量に対して0.1〜10質量%、好ましくは
0.5〜5質量%になるように配合される。10質量
を超える場合は、耐圧荷重性能が小さくなって耐焼付き
性の低下を招き、好ましくない。 【0032】本発明のアルミニウム又はアルミニウム合
金用熱間圧延油組成物には、上記成分の他に必要に応じ
て公知の添加剤、例えば防錆・防食剤、酸化防止剤及び
初期乳化性を向上させるための乳化剤等を添加すること
もできる。 【0033】防錆・防食剤としては、例えばアルケニル
コハク酸及びその誘導体、オレイン酸等の脂肪酸、ソル
ビタンモノオレート等のエステル、その他のアミン類等
を用いることができ、これらは圧延油組成物全量に対し
て2重量%まで添加することができる。 【0034】また、酸化防止剤としては、例えば2、4
−ジtert−ブチル−p−クレゾール等のフェノール
系化合物、フェニル−α−ナフチルアミン等の芳香族ア
ミン等を用いることができる。これらは圧延油組成物全
量に対して5質量%まで添加することができる。 【0035】更に、乳化剤としては、例えばオレイン酸
トリエタノールアミン塩、石油スルホネートナトリウム
塩等の陰イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンノニ
ルフェニルエーテル等の非イオン性界面活性剤等を用い
ることができ、これらは圧延油組成物全量に対して2
%まで添加することができる。 【0036】本発明のアルミニウム又はアルミニウム合
金用熱間圧延油組成物を使用するに際しては、該組成物
を水で希釈する。この際の希釈割合は特に限定されない
が、通常該組成物濃度が1〜30質量%となるようにす
ることが好ましい。 【0037】本発明の圧延油組成物は、(d)成分の高
分子化合物等の持つ電気的凝集効果、立体障害効果、保
護コロイド効果、高耐熱性能により、適度な粒径を持
ち、熱間圧延のような過酷な使用条件下においてもその
均一な乳化分散性及び粒径分布を長期間安定に保つこと
ができるため、初期の良好な圧延潤滑性を長期間維持で
きる。また、(b)成分の油性向上剤のロールコーティ
ング制御効果及び(d)成分の高分子化合物の持つ均一
濡れ効果により、ロールコーティングが均一で薄いもの
になるため、均一で欠陥の少ない板表面が得られる。 【0038】 【実施例】以下、本発明の実施例について、その比較例
と比較して具体的に説明する。下記式にて示すカチオン
系高分子化合物を混合した熱間圧延油組成物を使用し
て、入側板厚;500mm、板幅;1300mmのアル
ミニウムコイル(JIS5000系材)を4段圧延機
(ワークロール径;965mm、ワークロールバレル
長;3900mm、バックアップロール径;1590m
m、バックアップバレル長;3900mm)を四機連ね
た4段圧延機の1スタンドリバースで圧延した。 【0039】圧延速度;100mpm、圧下率;30乃
至60%、材料温度;400℃、パス数;10パスの圧
延条件で、平均油粒径をコールタカウンタで確認しなが
ら、油分の脂肪酸(本実施例ではオレイン酸)濃度を変
更する圧延試験を行った。この圧延試験により、圧延潤
滑性及び板表面品質性を測定した。供試熱間圧延油組成
物は以下のとおりである。但し、(a)成分と(b)成
分とは、下記濃度を中心として組成物の配合比を変化さ
せた。 【0040】 (a)成分;パラフィン系鉱物油(70cSt/40℃) 61.5質量% (b)成分;オレイン酸 15.0質量% 豚脂 15.0質量% (c)成分;ジラウリルホスファイト 3.0質量% (d)成分;高分子分散剤(A) [ジメチルアミノプロピルアクリルアミド/アクリルアミド/アク リル酸ナトリウム=80/5/15の共重合物の酢酸中和物 (Mw=40万)] 2.0質量% その他 ;トリクレジルホスフェート 2.0質量% 酸化防止剤 1.0質量% ノニオン系界面活性剤(I) [ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル (HLB=12.4] 0.5質量% 計100.0質量%。 【0041】図1は横軸に圧延油組成物中の油分濃度ρ
(%)をとり、縦軸に油分中の脂肪酸濃度κ(%)をと
って、潤滑不足による焼き付きが発生しない範囲をハッ
チングにて示すグラフ図である。この図に示すように、
熱間圧延油組成物中の油分濃度ρと、油分中の脂肪酸濃
度κとの関係が、不等式2(ρ−1)<κ<2(ρ+
3)を満足する場合に、潤滑不足による焼き付きが防止
される。 【0042】図2は横軸に熱間圧延油組成物中の油分中
の脂肪酸濃度κ(%)をとり、縦軸に板表面の不良発生
数(本/月)をとって、両者の関係を示すグラフ図であ
る。但し、図2は油分濃度が2%の場合のデータであ
る。この図2に示すように、脂肪酸濃度κが2.0%未
満であると、焼き付きが発生しやすく、10.0%を超
えると、圧延油残りが発生しやすくなる。このため、脂
肪酸濃度κは2.0乃至10.0%にすることが好まし
い。 【0043】この図1及び2から明らかなように、本発
明による圧延法によって、板表面品質及び圧延潤滑性が
著しく向上し、安定した圧延ができた。 【0044】 【発明の効果】本発明に係るアルミニウム又はアルミニ
ウム合金の圧延方法によれば、油分中の脂肪酸濃度κ
を、熱間圧延油組成物の油分濃度ρとの関係で最適化し
たので、潤滑不足による焼き付けが生じない。これによ
り、アルミニウム又はアルミニウム合金の安定した圧延
が可能となる。 【0045】このように、本発明の圧延方法は、油分中
の脂肪酸濃度を制御することによって、アルミニウム又
はアルミニウム合金用熱間圧延油組成物の基本特性を有
効化したので、従来の圧延油を用いた圧延方法に比べ
て、油のクーラントタンク上層部への浮上による板表面
の焼き付きが無く、建浴初期の潤滑性が極めて優れ、建
浴直後から高強度材の圧延が可能になる。また、乳化性
の長期安定性とロールコーティング制御性が優れている
ため、長期使用時でも従来の圧延油のような噛み込み不
良及びスリップ傷の発生もなく、優れた板表面品質性を
長期安定的に得ることができる。また、カチオン系高分
子化合物の機能により、タンク、ミル周辺等のハウジン
グの汚れが改善され、排水処理性も優れている。更に、
カチオン系高分子化合物の抗菌機能により、バクテリア
の発生を防止できるため、粒子径の過大化がなく、油粒
径制御安定性も優れているものである。
【図面の簡単な説明】 【図1】熱間圧延油組成物中の油分濃度ρに対する油分
中の脂肪酸濃度κの最適範囲を示すグラフ図である。 【図2】油分中の脂肪酸濃度κと板表面の不良発生数と
の関係を示すグラフ図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C10M 101:00 C10M 105:34 105:34 137:02 137:02 149:06 149:06) C10N 20:00 Z C10N 20:00 20:02 20:02 40:20 Z 40:20 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21B 3/00 B21B 27/10 C10M 101/00 - 177/00

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 (a)粘度80cSt(40℃)以下の
    鉱物油に、 (b)炭素数10乃至22の脂肪酸の単独、又は、油脂
    及び炭素数10乃至22の脂肪酸と炭素数1乃至22の
    アルコール類とのモノエステルからなる群から選択され
    た1種又は2種の化合物と炭素数10乃至22の脂肪
    圧延油組成物の3乃至30質量%、 (c)アルキル基又はアルケニル基の炭素数が4乃至1
    8であるアルキル若しくはアルケニルリン酸エステル又
    はアルキル若しくはアルケニル亜リン酸エステル:圧延
    油組成物の0.5乃至10質量%、 (d)下記一般式 (式中、Rは水素原子又はメチル基を、R及びR
    は水素原子又は炭素数1乃至3のアルキル基を、mは0
    又は1の整数を、nは1乃至3の整数を示す)で表され
    る単量体の1種以上と(メタ)アクリルアミド及び/又
    は(メタ)アクリル酸塩との共重合物であって、平均分
    子量が10,000乃至1,000,000の範囲にあ
    る高分子化合物の一般式RCOOH(式中、Rは炭
    素数1乃至5のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、
    ルボキシアルキル基又はカルボキシル基を示す)で表さ
    れる有機酸塩:圧延油組成物の0.1乃至10質量%を
    含有し、残部が前記鉱物油である水分散型熱間圧延油組
    成物を使用してアルミニウム又はアルミニウム合金組成
    物を熱間圧延する方法において、水分散型熱間圧延油
    マルジョン中の前記熱間圧延油組成物の油分濃度をρ
    (%)、油分中の脂肪酸濃度をκ(%)としたとき、2
    (ρ−1)≦κ≦2(ρ+3)の範囲に油分中の脂肪酸
    濃度を制御することを特徴とするアルミニウム又はアル
    ミニウム合金の圧延方法。
JP31836396A 1996-11-28 1996-11-28 アルミニウム又はアルミニウム合金板の圧延方法 Expired - Lifetime JP3370874B2 (ja)

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