JPH10183156A - アルミニウム又はアルミニウム合金用圧延油の建浴方法 - Google Patents

アルミニウム又はアルミニウム合金用圧延油の建浴方法

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JPH10183156A
JPH10183156A JP34192796A JP34192796A JPH10183156A JP H10183156 A JPH10183156 A JP H10183156A JP 34192796 A JP34192796 A JP 34192796A JP 34192796 A JP34192796 A JP 34192796A JP H10183156 A JPH10183156 A JP H10183156A
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carbon atoms
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alkyl
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JP34192796A
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Masanori Ikeda
昌則 池田
Kuniaki Matsui
邦昭 松井
Masahiro Hata
昌弘 秦
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Kobe Steel Ltd
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 水、高分子化合物、鉱物油及び脂肪酸を安定
混合でき、潤滑不足による焼き付きが無く安定圧延を可
能とする圧延油を得るアルミニウム又はその合金用圧延
油の建浴方法を提供する。 【解決手段】 a)鉱物油、b)脂肪酸、そのモノエス
テル又は油脂:3乃至30重量%、c)C4〜C18アル
キル又はアルケニル(亜)リン酸エステル:0.5乃至
10重量%、d)一般式 (R1は水素又はメチル基、R2とR3は水素又はC1〜
3のアルキル基、mは0か1、nは1〜3の整数を示
す)の単量体と(メタ)アクリルアミド及び/又は(メ
タ)アクリル酸塩との平均分子量1万〜100万の共重
合物の有機酸塩:0.1〜10重量%を含有するカチオ
ン系高分子化合物を混合した水分散型熱間圧延油組成物
の建浴に際し、純水とdを混合後、aとbを同時に、又
はa−b混合物を添加する。又は純水−d混合物とa−
b混合物を混合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は圧延潤滑性、板表面
品質性及び乳化安定性が優れた水分散型のアルミ用熱間
圧延油の建浴方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム又はアルミニウム合金板の
熱間圧延においては、圧延板表面から圧延ロール表面へ
アルミニウムが移着して、ロールコーティング層がロー
ル表面に形成されるため、圧延板はロールコーティング
層と接触しつつ圧延されることになる。従って、圧延板
の表面品質はロールコーティング層の性状によって左右
される。また、熱間圧延時に発生した板の表面欠陥は冷
間圧延後の板表面品質にも影響するので、熱間圧延にお
けるロールコーティング層の性状は極めて重要といえ
る。ロールコーティング層の性状は、圧延諸条件(板材
質、板温度、ブラシロール操業条件等)と圧延油により
変化する。従って、圧延油の選択は、ロールコーティン
グ層を制御する上で不可欠なものである。
【0003】熱間圧延では充分なロール冷却性が必要と
なるため、圧延油はエマルションの形で使用されてい
る。このため、従来、アルミニウム又はアルミニウム合
金の熱間圧延油としては、一般に、鉱物油を基油とし
て、脂肪酸、油脂及び脂肪酸エステル等の油性向上剤、
極圧剤、防錆剤及び酸化防止剤等を配合し、これを主に
陰イオン性界面活性剤で乳化し、通常3乃至10%濃
度、油粒径1乃至3μmの乳化型エマルションが使用さ
れている。
【0004】アルミニウム又はアルミニウム合金の熱間
圧延油に要求される性能としては、潤滑性、ロールコー
ティング性、表面品質性、乳化安定性、作業性及び排水
処理性等が挙げられ、特に近年の大量生産化とアルミニ
ウム圧延品の高品質指向から、潤滑性、表面品質性及び
乳化安定性等の熱間圧延油に対する要求は益々高くなっ
てきている。
【0005】しかしながら、従来の乳化剤を使用したア
ルミニウム又はアルミニウム合金用熱間圧延油は、前述
の要求の全てを充分に満足するものではない。
【0006】従来の圧延油にあっては、乳化剤の種類と
添加量を選ぶことによって潤滑性を制御していたが、こ
のような乳化剤を使用した熱間圧延油においては、潤滑
性と乳化安定性とは相反する傾向を示し、両性能を共に
満足させることはできない。即ち、従来の圧延油では潤
滑性を増すと、乳化安定性は低下し、その結果潤滑性の
経時安定性が低下するため、板表面の品質安定性が問題
となる一方、乳化安定性を増すと、充分な潤滑性は得ら
れず、その結果板表面に種々の欠陥を発生するという問
題点がある。
【0007】このように相反する特性である潤滑性及び
乳化安定性を両立させるために、例えば、特公昭62−
14599号公報にみられる圧延油組成物が提案されて
いる。この圧延油組成物においては、潤滑性及び乳化安
定性は確かに両立し、それなりに従来技術にない利点を
備えているが、得られる圧延板の表面品質は必ずしも充
分ではない。
【0008】一方、同様の試みとして特開昭63−12
0795号公報が提案されている。しかし、これは本質
的には特公昭62−14599号公報に記載の技術と同
質であり、その選択範囲の中から、潤滑性を犠牲にした
上で表面品質性を向上させたものである。このように、
従来の潤滑油では、アルミニウム圧延における大量生産
化と高品質指向に対応することが困難である。
【0009】そこで、本願発明者等は、従来のアルミニ
ウム及びアルミニウム合金用熱間圧延油が有する問題点
を解決すべく鋭意研究を行った結果、特定の潤滑油成分
を特定の単量体の共重合物の有機酸塩を使用して水中に
乳化分散させることにより、潤滑性、乳化安定性及び板
表面品質性を同時に満足しつつ、長期使用時の熱劣化に
よる性能低下の問題が改善されることを見いだし、先に
特許出願した(特開平7−150189号公報)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この熱間圧延
油組成物は所期の目的は達成したものの、この熱間圧延
油組成物を使用した圧延においては、油分濃度及び油粒
径を制御するために、水、高分子化合物、鉱物油及び脂
肪酸を所定量配合して建浴する際に、安定して混ざり合
わない場合が発生した。このため、熱間圧延時に、潤滑
不足により焼き付きが発生したり、潤滑多過により板表
面上に油残りが発生するという問題点があった。
【0011】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、水、高分子化合物、鉱物油及び脂肪酸を安
定して混合させることができ、潤滑不足による焼き付き
が無く安定した圧延を可能とする圧延油を得ることがで
きるアルミニウム又はアルミニウム合金用圧延油の建浴
方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係るアルミニウ
ム又はアルミニウム合金用圧延油の建浴方法は、カチオ
ン系高分子化合物を混合した水分散型熱間圧延油組成物
を建浴する方法において、純水にカチオン系高分子化合
物を混合した後、鉱物油と脂肪酸を同時に添加すること
を特徴とする。
【0013】本発明に係る他のアルミニウム又はアルミ
ニウム合金用圧延油の建浴方法は、カチオン系高分子化
合物を混合した水分散型熱間圧延油組成物を建浴する方
法において、純水にカチオン系高分子化合物を混合した
後、鉱物油と脂肪酸との混合物を添加することを特徴と
する。
【0014】本発明に係る更に他のアルミニウム又はア
ルミニウム合金用圧延油の建浴方法は、カチオン系高分
子化合物を混合した水分散型熱間圧延油組成物を建浴す
る方法において、純水とカチオン系高分子化合物との混
合物と、鉱物油と脂肪酸との混合物を混合することを特
徴とする。
【0015】このカチオン系の高分子化合物を混合した
水分散型熱間圧延油組成物は、特開平7−150189
号公報に開示された発明に係るものであり、この潤滑油
の使用に際して、純水、カチオン系高分子化合物、鉱物
油及び脂肪酸を建浴手順に従って建浴制御することによ
り、潤滑不足による焼き付きも無く、過潤滑及び長期使
用による板表面の圧延油切り性の悪化も無い安定した圧
延が可能となる。
【0016】この水分散型熱間圧延油組成物の組成は、
(a)粘度80cSt(40℃)以下の鉱物油に、
(b)炭素数10乃至22の脂肪酸、油脂、及び炭素数
10乃至22の脂肪酸と炭素数1乃至22のアルコール
類とのモノエステルからなる群から選択された1種又は
2種以上の化合物:3乃至30重量%、(c)アルキル
基又はアルケニル基の炭素数が4乃至18であるアルキ
ル若しくはアルケニルリン酸エステル又はアルキル若し
くはアルケニル亜リン酸エステル:0.5乃至10重量
%、(d)下記一般式(1)
【0017】
【化1】 (式中、R1は水素原子又はメチル基を、R2及びR3
水素原子又は炭素数1乃至3のアルキル基を、mは0又
は1の整数を、nは1乃至3の整数を示す)で表される
単量体の1種以上と(メタ)アクリルアミド及び/又は
(メタ)アクリル酸塩との共重合物であって、平均分子
量が10,000乃至1,000,000の範囲にある
高分子化合物の一般式(2)
【0018】
【化2】 R4COOH (式中、R4は炭素数1乃至5のアルキル基、ヒドロキ
シアルキル基。カルボキシアルキル基又はカルボキシル
基を示す)で表される有機酸塩:0.1乃至10重量%
を含有する組成を有する。
【0019】
【発明の実施の形態】本願発明者等が更に実験研究を行
った結果、この熱間圧延油組成物を使用した圧延におい
ては、熱間圧延油組成物の油分濃度及び油粒径を制御す
るために、水、高分子化合物、鉱物油及び脂肪酸を建浴
する際に安定して混ざり合わない場合が発生し、潤滑不
足による焼き付き又は潤滑過多による板表面上の油残り
が発生することが判明した。
【0020】即ち、前述の組成を有するカチオン系の高
分子化合物により水中油滴型エマルションとした熱間圧
延油を使用する場合において、熱間圧延油中のカチオン
系高分子化合物が油分中の脂肪酸に引き寄せられて油周
りにコロイド膜を生成すると共に、カチオン系高分子化
合物が親水性を有しているので、第1番目に純水、第2
番目にカチオン系高分子化合物の順で混合しない場合で
あると、均一に高分子化合物が分散しなくなり、その後
に鉱物油及び脂肪酸を混合しても均一な油粒径及び均一
な粘度は得られない。また、鉱物油及び脂肪酸を夫々個
別に添加する場合であっても、脂肪酸は鉱物油に充分に
取り込まれず、熱間圧延組成物の油分中の脂肪酸が不足
して、油にはカチオン系の高分子化合物が引き寄せられ
ない。従って、油粒周りにコロイド膜が生成せず、使用
油の油粒径が小径化し、油粘度が低下し、板への油付着
量が不足し焼き付きが発生する。
【0021】しかし、本発明方法のように、水分散型熱
間圧延油組成物中の純水、カチオン系高分子化合物、鉱
物油及び脂肪酸を適切な手順で建浴することによって、
適度な使用油の油粒径及び粘度が得られ、アニオン活性
剤生成による油粒径の小径化も無く、潤滑不足による焼
き付けも無く、長期使用時の油劣化による板表面の圧延
油切り性の悪化も無い安定した圧延が可能になる。
【0022】次に、上記水分散型アルミニウム又はアル
ミニウム合金用熱間圧延油組成物について詳細に説明す
る。
【0023】先ず、本発明の熱間圧延油組成物の(a)
成分である鉱物油としては、例えばスピンドル油、マシ
ン油、タービン油、シリンダー油、ニュートラル油等が
挙げられるが、耐熱性及び潤滑性の点から、パラフィン
系鉱物油がより好ましい。鉱物油の粘度は80cSt
(40℃)以下であることが必要であり、80cStを
超えると板表面の品質が低下してしまう。この(a)成
分は基油であり、その配合量は特に制限されないが、3
8〜96.4重量%、特に60〜85重量%が好まし
い。
【0024】(b)成分のうち、油脂としては鯨油、牛
脂、豚脂、ナタネ油、ヒマシ油、パーム油、ヤシ油等の
動植物油脂が挙げられる。炭素数10〜22の脂肪酸と
しては、カプリン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、イソ
ステアリン酸、オレイン酸、エルカ酸等が挙げられる。
脂肪酸モノエステルとしては、炭素数10〜22の脂肪
酸と炭素数1〜22の脂肪族1価アルコール、エチレン
グリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリ
トール、グリセリン等とのモノエステル、より具体的に
はカプリン酸メチル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸
ラウレート、エルカ酸2−エチルヘキシル、ペンタエリ
スリトールモノオレート、グリセリンモノオレート等が
挙げられる。これらの(b)成分は油性向上剤として作
用するものであり、単独で又は2種以上を組み合わせて
使用することができる。またその添加量は3〜30重量
%、より好ましくは10〜25重量%であり、3重量%
未満では潤滑性が低下し、30重量%を超えると板表面
の品質が低下する。また、油脂を配合する場合は、油脂
の添加量は20重量%までとするのがより好ましい。
【0025】(c)成分であるアルキル若しくはアルケ
ニルリン酸エステル又はアルキル若しくはアルケニル亜
リン酸エステルは、アルキル又はアルケニル基の炭素数
が4〜18のものであり、その具体例としてジブチルホ
スフェート、モノオクチルホスフェート、トリオレイル
ホスフェート、トチブチルホスファイト、ジイソオクチ
ルホスファイト、トリオレイルホスファイト等が挙げら
れる、モノ−、ジ−、又はトリエステルのうち、特にモ
ノ−、ジエステルであるアルキル若しくはアルケニルア
シッドホスフェート又はアルキル若しくはアルケニルア
シッドホスファイトが好ましい。この添加量は0.5〜
10重量%、より好ましくは1〜5重量%であり、0.
5重量%未満では板表面の品質の向上はなく、10重量
%を超える添加では、増量による板表面の品質の向上は
期待できない。
【0026】(d)成分の高分子化合物としては、一般
式(1)の単量体と(メタ)アクリルアミドとの共重合
体、一般式(1)の単量体と(メタ)アクリル酸塩との
共重合体、一般式(1)の単量体(メタ)アクリルアミ
ドと(メタ)アクリル酸塩との共重合体等が挙げられ
る。このうち、一般式(1)の単量体と(メタ)アクリ
ルアミドと(メタ)アクリル酸塩とのモル比は、50〜
90:0〜20:10〜50が特に好ましい。
【0027】一般式(1)の単量体のアミン体として
は、m=1のものとしてジメチルアミノエチルアクリル
アミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジエ
チルアミノメチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチ
ルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリ
ルアミド、ジエチルアミノメチルメタクリルアミド等が
m=0のものとして、アリルアミン、ジメチルアミノメ
チルエチレン、ジエチルアミノメチルエチレン、ジメチ
ルアミノメチルプロペン、ジエチルアミノメチルプロぺ
ン等が挙げられるが、このうちm=1のものが特に好ま
しい。また、特に好ましい単量体(1)の具体例として
は、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジメチ
ルアミノプロピルアクリルアミドが挙げられる。
【0028】(メタ)アクリル酸塩としては、(メタ)
アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム等
の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩、(メタ)アクリ
ル酸モノエタノールアミン塩、(メタ)アクリル酸ジエ
タノールアミン塩、(メタ)アクリル酸トリエタノール
アミン塩等の(メタ)酸有機アミン塩が挙げられる。
【0029】(d)成分の高分子化合物は、その平均分
子量が10,000〜1,000,000の範囲にある
ことが必要であり、平均分子量がこの範囲に満たないと
乳化安定性が劣り、この範囲を超えると高分子化合物自
体の安定性が劣ったり、高粘度となって取り扱いが困難
となるため好ましくない。より好ましい平均分子量は3
0,000〜300,000である。
【0030】(d)成分の高分子化合物の有機酸塩にお
ける必須の有機酸を示す一般式(2)中、R4としては
炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のヒドロキシ
アルキル基、アルキル部の炭素数が1〜5のカルボキシ
アルキル基及びカルボキシル基が挙げられ、このうち炭
素数1〜5のヒドロキシアルキル基が特に好ましい。R
4COO-の具体例としては、酢酸イオン、プロピオン酸
イオン、酪酸イオン、吉草酸イオン、カプロン酸イオ
ン、グリコール酸イオン、乳酸イオン、ヒドロアクリル
酸イオン、シュウ酸イオン、マロン酸イオン、コハク酸
イオン、グルタル酸イオン、アジピン酸イオン等が挙げ
られるが、特にグリコール酸イオン、乳酸イオン、ヒド
ロアクリル酸イオンが好ましい。
【0031】高分子化合物の製造にあたっては、一般式
(1)の単量体を重合し、その後一般式(2)の有機酸
で中和するのが好ましいが、一般式(1)の単量体を一
般式(2)の有機酸で予め中和したものを使用して重合
させてもよい。例えば、ジメチルアミノプロピルメタク
リルアミドのグリコール酸中和物を他の共重合単量体と
重合することによって(d)成分を得ることもできる。
【0032】(d)成分の高分子化合物は、単独で又は
2種以上を組み合わせて使用することができ、熱間圧延
油組成物全量に対して0.1〜10重量%、好ましくは
0.5〜5重量%になるように配合される。10重量%
を超える場合は、耐圧荷重性能が小さくなって耐焼付き
性の低下を招き、好ましくない。
【0033】本発明のアルミニウム又はアルミニウム合
金用熱間圧延油組成物には、上記成分の他に必要に応じ
て公知の添加剤、例えば防錆・防食剤、酸化防止剤及び
初期乳化性を向上させるための乳化剤等を添加すること
もできる。
【0034】防錆・防食剤としては、例えばアルケニル
コハク酸及びその誘導体、オレイン酸等の脂肪酸、ソル
ビタンモノオレート等のエステル、その他のアミン類等
を用いることができ、これらは圧延油組成物全量に対し
て2重量%まで添加することができる。
【0035】また、酸化防止剤としては、例えば2、4
−ジtert−ブチル−p−クレゾール等のフェノール
系化合物、フェニル−α−ナフチルアミン等の芳香族ア
ミン等を用いることができる。これらは圧延油組成物全
量に対して5重量%まで添加することができる。
【0036】更に、乳化剤としては、例えばオレイン酸
トリエタノールアミン塩、石油スルホネートナトリウム
塩等の陰イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンノニ
ルフェニルエーテル等の非イオン性界面活性剤等を用い
ることができ、これらは圧延油組成物全量に対して2重
量%まで添加することができる。
【0037】本発明のアルミニウム又はアルミニウム合
金用熱間圧延油組成物を使用するに際しては、該組成物
を水で希釈する。この際の希釈割合は特に限定されない
が、通常該組成物濃度が1〜30重量%となるようにす
ることが好ましい。
【0038】本発明の圧延油組成物は、(d)成分の高
分子化合物等の持つ電気的凝集効果、立体障害効果、保
護コロイド効果、高耐熱性能により、適度な粒径を持
ち、熱間圧延のような過酷な使用条件下においてもその
均一な乳化分散性及び粒径分布を長期間安定に保つこと
ができるため、初期の良好な圧延潤滑性を長期間維持で
きる。また、(b)成分の油性向上剤のロールコーティ
ング制御効果及び(d)成分の高分子化合物の持つ均一
濡れ効果により、ロールコーティングが均一で薄いもの
になるため、均一で欠陥の少ない板表面が得られる。
【0039】
【実施例】以下、本発明の実施例について、その比較例
と比較して具体的に説明する。下記式にて示すカチオン
系高分子化合物を混合した熱間圧延油組成物を使用し
て、入側板厚;500mm、板幅;1300mmのアル
ミニウムコイル(JIS5000系材)を4段圧延機
(ワークロール径;965mm、ワークロールバレル
長;3900mm、バックアップロール径;1590m
m、バックアップバレル長;3900mm)の1スタン
ドリバースで圧延した。
【0040】圧延条件は、圧延速度;100mpm、圧
下率;30乃至60%、材料温度;400℃、パス数;
10パスである。そして、ミキシングタンクへの純水、
カチオン系高分子化合物、鉱物油及び脂肪酸の混合順を
種々変更設定して、圧延実験を行い、圧延潤滑性及び板
表面品質性を測定した。なお、熱間圧延組成物の油分濃
度は2容積%とし、圧延油の粒径は約7乃至10μmと
した。
【0041】供試熱間圧延油組成物は以下のとおりであ
る。 (a)成分;パラフィン系鉱物油(30cSt/40℃) 69.5重量% (b)成分;オレイン酸 20.0重量% (c)成分;オレイル酸ラウリル 5.0重量% (d)成分;ジブチルホスフェート 2.5重量% (e)成分;高分子分散剤 [ジエチルアミノプロピルアミド/アクリルアミド /アクリル酸カリウム=70/10/20の 共重合物のコハク酸 中和物(Mw=30万)]1.0重量% その他 ;酸化防止剤 1.0重量% 防錆・防食剤 1.0重量% 計100.0重量%。
【0042】先ず、各種の建浴手順条件によりアルミニ
ウムの圧延実験を行い、油粒径の均一性及び圧延性につ
いて調べた結果を、下記表1に示した。ここで、表1に
おける粒径均一性の評価としては、平均粒径が5μm以
上、15μm以下であった場合を○、平均粒径が5μm
未満、15μm超であった場合を×で表わした。また、
表1における粒圧延性の評価としては、板表面性状が良
好であり圧延荷重変動が無かった場合を○、焼き付き又
は油残りが発生し圧延荷重変動が発生した場合を×で表
わした。
【0043】
【表1】
【0044】この表1から明らかなように、本実施例の
建浴手順により得られた油平均粒径は5μm以上、15
μm以下であり、また圧延荷重変動が無かった。そし
て、比較例のような焼き付き及び油残りは無く、良好な
板表面性状が得られた。
【0045】次に、図1は横軸に実施例及び比較例の建
浴手順をとり、縦軸に板表面不良発生数(本/月)をと
って、油分濃度が2容積%、圧延油の粒径が約7乃至1
0μmの場合の両者の関係を示すグラフ図である。図1
に示すように、本実施例1において、純水に次いでカチ
オン系高分子化合物を混合し、その後鉱物油と脂肪酸を
同時に、若しくは鉱物油と脂肪酸との混合物を添加する
建浴手順の場合、又は実施例2において、鉱物油と脂肪
酸との混合物と、純水とカチオン系高分子化合物との混
合物を混合する建浴手順の場合には、熱間圧延時に焼き
付き又は油残りは全く無く、板表面品質及び圧延潤滑性
を充分に満足し、安定した圧延ができた。しかし、比較
例3、4のように、鉱物油にカチオン系高分子化合物を
混合した後に純水と脂肪酸との混合物を添加したり、又
は鉱物油に純水を混合した後にカチオン系高分子化合物
と脂肪酸との混合物を添加する建浴手順の場合において
は、いずれも熱間圧延時に焼き付きが発生し、板表面性
状が悪化した。
【0046】このように、本発明においては、純水、カ
チオン系高分子化合物、鉱物油及び脂肪酸の建浴を制御
することによって、アルミニウム及びアルミニウム合金
用熱間圧延油組成物の基本特性である板表面安定性、圧
延荷重の安定化、スリップ性の防止効果、油原単位の低
減等を有効化することができる。よって、従来の圧延油
を使用した圧延方法に比べて油のクーラントタンク上層
部への浮上による板表面の焼き付きが無く、建浴初期に
おいても潤滑性が極めて優れており、建浴直後から高強
度材の圧延が可能になる。また、乳化性の長期安定性及
びロールコーティング制御性が優れているため、長期使
用時でも従来の圧延油のような咬み込み不良又はスリッ
プ疵の発生もなく、優れた板表面品質性を長期安定的に
得ることができる。また、カチオン系高分子化合物の機
能により、タンク、ミル周辺等のハウジングの汚れが改
善され、排水処理性も優れている。更に、カチオン系高
分子化合物の機能により、バクテリアの発生を防止でき
るため、粒子径の過大化がなく、油粒径制御安定性が優
れている。
【0047】
【発明の効果】本発明に係るアルミニウム又はアルミニ
ウム合金用圧延油の建浴方法によれば、純水、カチオン
系高分子化合物、鉱物油及び脂肪酸の添加方法を適切に
制御したので、潤滑不足による焼き付けが防止される。
これにより、アルミニウム又はアルミニウム合金の安定
した圧延が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】横軸に実施例及び比較例の建浴手順をとり、縦
軸に板表面の不良発生数をとって、両者の関係を示すグ
ラフ図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C10M 101:02 129:40 129:74 129:70 137:04 149:06) C10N 20:02 20:04 30:04 30:06 30:08 40:24 70:00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)粘度80cSt(40℃)以下の
    鉱物油に、(b)炭素数10乃至22の脂肪酸、油脂、
    及び炭素数10乃至22の脂肪酸と炭素数1乃至22の
    アルコール類とのモノエステルからなる群から選択され
    た1種又は2種以上の化合物:3乃至30重量%、
    (c)アルキル基又はアルケニル基の炭素数が4乃至1
    8であるアルキル若しくはアルケニルリン酸エステル又
    はアルキル若しくはアルケニル亜リン酸エステル:0.
    5乃至10重量%、(d)下記一般式 (式中、R1は水素原子又はメチル基を、R2及びR3
    水素原子又は炭素数1乃至3のアルキル基を、mは0又
    は1の整数を、nは1乃至3の整数を示す)で表される
    単量体の1種以上と(メタ)アクリルアミド及び/又は
    (メタ)アクリル酸塩との共重合物であって、平均分子
    量が10,000乃至1,000,000の範囲にある
    高分子化合物の一般式R4COOH(式中、R4は炭素数
    1乃至5のアルキル基、ヒドロキシアルキル基。カルボ
    キシアルキル基又はカルボキシル基を示す)で表される
    有機酸塩:0.1乃至10重量%を含有するカチオン系
    高分子化合物を混合した水分散型熱間圧延油組成物を建
    浴する方法において、純水にカチオン系高分子化合物を
    混合した後、鉱物油と脂肪酸を同時に添加することを特
    徴とするアルミニウム又はアルミニウム合金用圧延油の
    建浴方法。
  2. 【請求項2】 (a)粘度80cSt(40℃)以下の
    鉱物油に、(b)炭素数10乃至22の脂肪酸、油脂、
    及び炭素数10乃至22の脂肪酸と炭素数1乃至22の
    アルコール類とのモノエステルからなる群から選択され
    た1種又は2種以上の化合物:3乃至30重量%、
    (c)アルキル基又はアルケニル基の炭素数が4乃至1
    8であるアルキル若しくはアルケニルリン酸エステル又
    はアルキル若しくはアルケニル亜リン酸エステル:0.
    5乃至10重量%、(d)下記一般式 (式中、R1は水素原子又はメチル基を、R2及びR3
    水素原子又は炭素数1乃至3のアルキル基を、mは0又
    は1の整数を、nは1乃至3の整数を示す)で表される
    単量体の1種以上と(メタ)アクリルアミド及び/又は
    (メタ)アクリル酸塩との共重合物であって、平均分子
    量が10,000乃至1,000,000の範囲にある
    高分子化合物の一般式R4COOH(式中、R4は炭素数
    1乃至5のアルキル基、ヒドロキシアルキル基。カルボ
    キシアルキル基又はカルボキシル基を示す)で表される
    有機酸塩:0.1乃至10重量%を含有するカチオン系
    高分子化合物を混合した水分散型熱間圧延油組成物を建
    浴する方法において、純水にカチオン系高分子化合物を
    混合した後、鉱物油と脂肪酸との混合物を添加すること
    を特徴とするアルミニウム又はアルミニウム合金用圧延
    油の建浴方法。
  3. 【請求項3】 (a)粘度80cSt(40℃)以下の
    鉱物油に、(b)炭素数10乃至22の脂肪酸、油脂、
    及び炭素数10乃至22の脂肪酸と炭素数1乃至22の
    アルコール類とのモノエステルからなる群から選択され
    た1種又は2種以上の化合物:3乃至30重量%、
    (c)アルキル基又はアルケニル基の炭素数が4乃至1
    8であるアルキル若しくはアルケニルリン酸エステル又
    はアルキル若しくはアルケニル亜リン酸エステル:0.
    5乃至10重量%、(d)下記一般式 (式中、R1は水素原子又はメチル基を、R2及びR3
    水素原子又は炭素数1乃至3のアルキル基を、mは0又
    は1の整数を、nは1乃至3の整数を示す)で表される
    単量体の1種以上と(メタ)アクリルアミド及び/又は
    (メタ)アクリル酸塩との共重合物であって、平均分子
    量が10,000乃至1,000,000の範囲にある
    高分子化合物の一般式R4COOH(式中、R4は炭素数
    1乃至5のアルキル基、ヒドロキシアルキル基。カルボ
    キシアルキル基又はカルボキシル基を示す)で表される
    有機酸塩:0.1乃至10重量%を含有するカチオン系
    高分子化合物を混合した水分散型熱間圧延油組成物を建
    浴する方法において、純水とカチオン系高分子化合物と
    の混合物と、鉱物油と脂肪酸との混合物を混合すること
    を特徴とするアルミニウム又はアルミニウム合金用圧延
    油の建浴方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104293458A (zh) * 2014-08-29 2015-01-21 安徽乐达精密合金有限公司 一种防锈润滑水性铜拉丝液及其制备方法

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