JP3832677B2 - 圧延油組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は圧延油組成物に関し、詳しくはアルミニウムまたはアルミニウム合金等の金属の冷間圧延に特に有用な圧延油組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属の圧延加工、すなわち金属材料を圧延機で圧延して薄い金属板を作るための圧延加工には、熱間圧延と冷間圧延が知られている。冷間圧延には通常、種々の潤滑油が用いられている。
圧延加工、特に冷間圧延加工においては、近年、消費電力の削減、加工効率の向上を目的として、パス回数の低減と圧延速度の高速化が要求されている。圧延油剤の潤滑性は、その成分と粘度の面から検討されている。潤滑性は粘度が高いほど向上するものの、圧延された板の光沢の点から限界があり、圧延速度を高くする場合には、粘度を従来の場合より低く設定する必要が生ずる。したがって上記した要求は、低粘度においても潤滑性に優れた圧延油剤を使用することにより対処されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、パス回数を低減させるため、高圧下で圧延を行った場合、発熱により圧延油のミストが発生しやすくなる。また、圧延速度を上げた場合にも同じく圧延油のミストが発生しやすくなる。ミストが多くなった場合、作業環境や火災の危険性への悪影響が懸念される。
本発明は、高速、高圧下で圧延を行う際に用いても、ミスト発生が少なく、かつ光沢性、ステイン性、洗浄性等の圧延油としての諸性能に優れた圧延油を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、特定の性状を有する基油に、油性剤および特定の数平均分子量を有する重合体を含有せしめることにより、ミスト発生が少なくかつ圧延油としての諸性能に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、芳香族分3容量%以下で、パラフィン分7〜30容量%及びナフテン分70〜90容量%の組成を有し、かつ40℃における動粘度が1〜15mm/sの鉱油を基油とし、組成物全量基準で
(A)油性剤を1〜10質量%、及び
(B)数平均分子量が50000〜300000の重合体を0.05〜質量%含有する圧延油組成物を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の態様】
以下本発明を具体的に説明する。
本発明の圧延油組成物の基油は、芳香族分3容量%以下のものである。芳香族分が3容量%を越える場合は、高圧下における粘度が高くなって光沢性が悪くなる、洗浄性が低下するなどして好ましくない。
本発明において、芳香族分とは、JIS K 2536「石油製品−炭化水素タイプ試験方法」の蛍光指示薬吸着法を準用して測定された値を表す。
さらに、本発明の圧延油の基油としては、洗浄性をより高めるために、以下に示す質量分析法によるナフテン分が70〜90%であり、また、以下に示す質量分析法によるパラフィン分が7〜30%である。
ナフテン分、パラフィン分としては、FIイオン化(ガラスリザーバ使用)による質量分析法により得られた分子イオン強度をもって、これらの割合を決定する。以下にその測定法を示す。
(1)径18mm,長さ980mmの溶出クロマト用吸着管に、約175℃、3時間の乾燥により活性化された呼び径74〜149μmシリカゲル(富士デビソン化学(株)製grade923)120gを充填する。
(2)n−ペンタン75mlを注入し、シリカゲルを予め湿す。
(3)試料約2gを精秤し、等容量のn−ペンタンで希釈し、得られた試料溶液を注入する。
(4)試料溶液の液面がシリカゲル上端に達したとき、飽和炭化水素成分を分離するためn−ペンタン140mlを注入し、吸着管の下端より溶出液を回収する。
(5)(4)の溶出液をロータリーエバポレーターにより溶媒を留去し、飽和炭化水素成分を得る。
(6)(5)で得られた飽和炭化水素成分を質量分析計でタイプ分析を行う。質量分析におけるイオン化方法としてはガラスリザーバを使用したFIイオン化法が用いられ、質量分析計は日本電子(株)製JMS−AX505Hを使用する。測定条件を以下に示す。
加速電圧 :3.0kV
カソード電圧 :−5〜−6kV
分解能 :約500
エミッター :カーボン
エミッター電流:5mA
測定範囲 :質量数35〜700
Sub Oven温度 :300℃
セパレータ温度:300℃
Main Oven 温度:350℃
試料注入量 :1μl
(7)(6)の質量分析法によって得られた分子イオンは、同位体補正後、その質量数からパラフィン類(C2n+2)とナフテン類(C2n、C 2n−2、C 2n−4 ・・・)の2タイプに分類・整理し、それぞれのイオン強度の分率を求め、飽和炭化水素成分全体に対する各タイプの含有量を定める。次いで、(5)で得られた飽和炭化水素成分の含有量をもとに、試料全体に対するパラフィン分、ナフテン分の各含有量を求める。なお、FI法質量分析のタイプ分析法によるデータ処理の詳細は、「日石レビュー」第33巻第4号135〜142頁の特に「2.2.3データ処理」の項に記載されている。
また、本発明の基油は、40℃における動粘度の上限値が15mm/s、好ましくは10mm/s、より好ましくは8mm/sであり、下限値が1mm /sであることが望ましい。
【0006】
本発明の基油の製造方法は任意であるが、芳香族分の含有量が少ない基油が効率よく得られるという点から、水素化分解油中の芳香族化合物を選択的に水素化することで、本発明の基油を得ることが特に好ましい。
選択的水素化の原料となる水素化分解油としては任意のものが使用できるが、以下の(a)〜(c)工程の2段水素化分解によって得られる水素化分解油を用いるのが好ましい。
(a)第VIII族鉄族金属および第VIa族金属から選ばれる少なくとも1種の金属を活性成分として含有し、かつ活性アルミナを含む担体からなる水素化触媒の存在下、比較的温和な水素化分解条件下で鉱物性炭化水素油を分子状水素と接触させて水素化分解生成物を得て、
(b)得られた水素化分解生成物を分留して少なくとも初留点が300℃以上の重質留分を得て、
(c)第VIII族鉄族金属および第VIa族金属から選ばれる少なくとも1種の金属を活性成分として含有し、かつ活性アルミナを含む担体からなる水素化触媒の存在下、比較的苛酷な水素化分解条件下で工程(b)からの生成油を分子状水素と接触させ、再度水素化分解生成物を得る。
(a)工程で使用する原料油は鉱物性炭化水素油であり、特に沸点範囲約360〜590℃の炭化水素油が好ましく用いられ、例えば、減圧蒸留留出油や脱れき油などが挙げられる。
(a)工程における水素化分解は、通常、温度360〜450℃、好ましくは400〜430℃、圧力70〜110未満kg/cm2 G、好ましくは90〜100kg/cm2 G、液空間速度(LHSV)1.0〜3.0h -1、好ましくは1.2〜1.7h -1、水素対炭化水素原料油比1500〜3000s.c.f /bbl-原料油、好ましくは2500〜3000s.c.f /bbl-原料油など、比較的温和な条件で行われることが望ましい。
(a)工程で用いる水素化分解触媒は、第VIII族鉄族金属および第VIa族金属から選ばれる少なくとも1種の金属を活性成分として含有し、かつ活性アルミナを含む担体からなるものである。
第VIII族鉄族金属としては、例えばニッケル、コバルトなどが挙げられ、第VIa族金属としては、例えばクロム、モリブデン、タングステンなどが挙げられる。また活性金属はこれら金属の混合物、例えば、ニッケル−モリブデン、ニッケル−タングステン、コバルト−モリブデン、コバルト−タングステンなどであってもよい。
なお、活性金属の存在形態は任意であり、金属、還元金属、金属酸化物、金属硫化物のいずれの形態で存在してもよく、また他のアニオンとの化合物であってもよい。
活性アルミナを含む担体としては、例えば、活性アルミナ単独担体や、活性アルミナの他に、好ましくはシリカ、ボリアなどの無機酸化物を含む担体などが挙げられる。
活性金属の担持量(酸化物換算)は任意であるが、通常、触媒全量基準で、第VIII鉄族金属では1〜15質量%、好ましくは2〜10質量%であり、第VIa族金属では5〜30質量%、好ましくは10〜30質量%であるのが望ましい。
次いで、(b)工程では上記(a)工程で得られた水素化分解油を減圧蒸留等で軽質留分と重質留分とに分留する。このうち、初留点が300℃以上の重質留分を次の(c)工程の原料油として用いる。また、(c)工程の原料油としては、上記重質留分単独でなく、それに(a)工程の原料油である減圧蒸留留出油を混合した混合油を用いることも可能である。
一方、(c)工程における水素化分解は、通常、温度360〜450℃、好ましくは370〜420℃、圧力110〜210kg/cm2 G、好ましくは120〜170kg/cm2 G、液空間速度(LHSV)0.2〜2.0h -1、好ましくは0.3〜0.9h -1、水素対炭化水素原料油比2500〜4500s.c.f /bbl-原料油、好ましくは3000〜4000s.c.f /bbl-原料油など、比較的苛酷な条件で行われることが望ましい。
(c)工程で使用する水素化分解触媒としては、(a)工程で使用する水素化分解触媒と同様の触媒を用いることができる。
(c)工程で水素化分解された生成油は、必要に応じて、通常の蒸留操作により、ナフサ、灯油、軽油および潤滑油留分に分留することができる。また(c)工程で生成した軽油留分および潤滑油留分は、必要に応じて、選択的水素化に先立って脱ろうすることもできる。
脱ろう方法としては通常の方法が用いられる。具体的には例えば、脱ろう溶剤としてベンゼン、トルエン、アセトン、MEK(メチルエチルケトン)またはこれらの2種以上の混合物などの混合溶剤を用いた溶剤脱ろう法、またはZSM−5ゼオライト等を用いる接触脱ろう法などが挙げられる。
また(c)工程で生成した潤滑油留分には、ナフサ、灯油、軽油留分に比べて比較的多くの多環芳香族化合物(ナフタレンで代表される二環以上の芳香族化合物)が含まれる。多環芳香族化合物の選択的水素化には熱力学的に単環芳香族化合物より高い水素分圧を必要とすることから、フルフラールを使用するフルフラール法で代表される溶剤精製法で、この潤滑油留分中の多環芳香族化合物の含有量を低下させた後に、選択的水素化工程に送るのが好ましい。
【0007】
本発明で使用する基油は、上記のようにして得られた水素化分解油に含まれる芳香族化合物を、選択的に水素化することによって得ることができる。
芳香族化合物の選択的水素化の方法としては、任意の方法が採用できるが、第VIII族鉄族金属および第VIa族金属から選ばれる少なくとも一つの金属を活性成分として含有し、かつ耐火性無機酸化物の担体からなる触媒の存在下、選択的水素化条件下で水素化分解油を分子状水素と接触させ、水素化分解油中の芳香族化合物を選択的に水素化する方法が好ましい。 選択的水素化は、通常、温度200〜400℃、好ましくは260〜320℃、圧力4.90〜39.23MPa、好ましくは7.85〜14.71MPa、液空間速度(LHSV)0.1〜1.0h -1、好ましくは0.2〜0.5h -1、水素対炭化水素原料油比800〜6000s.c.f /bbl-原料油、好ましくは1500〜3500s.c.f /bbl-原料油などの条件で行われることが望ましい。
選択的水素化工程で用いられる触媒は、第VIa族金属および第VIII族鉄族金属から選ばれる少なくとも1種の金属を活性成分として含有し、かつ耐火性無機酸化物の担体からなるものである。
第VIa族金属としては、例えばクロム、モリブデン、タングステンなどが挙げられる。第VIII族鉄族金属としては、例えばコバルト、ニッケルなどが挙げられる。活性金属はこれら金属の混合物、例えば、ニッケル−モリブデン、ニッケル−タングステン、コバルト−モリブデン、コバルト−タングステンなどであってもよい。好ましい金属種としては、ニッケル−タングステンである。
なお、金属の存在形態は任意であり、金属、還元金属、金属酸化物、金属硫化物のいずれの形態で存在してもよく、また他のアニオンとの化合物であってもよいが、特に金属硫化物の形態が好ましい。
一方、担体としては、耐火性無機酸化物が挙げられ、例えばけい藻土、シリカ、アルミナ、ジルコニア、マグネシアまたはこれらの混合物などが好ましく用いられるが、中でもアルミナがより好ましい。
金属の担持量(酸化物換算)は任意であるが、通常、触媒全量基準で、第VIa族金属では5〜60質量%、好ましくは15〜25質量%である。第VIII族鉄族金属では1〜30質量%、好ましくは3〜10質量%であるのが望ましい。
本発明の水素化分解工程および選択的水素化工程で使用される触媒は、いずれも固定床として反応塔に充填されるのが好ましい。また、触媒の形状は、押出物、球形物、粒状物、タブレット等の任意の形状のものが使用できる。
【0008】
本発明の圧延油組成物の(A)成分である油性剤としては、任意の公知の油性剤が使用可能である。しかしながら、潤滑性、圧延後の板の光沢性に優れる点から、本発明の(A)成分としては、
(A−1)炭素数12〜18の1価アルコール
(A−2)炭素数12〜18の脂肪酸
(A−3)炭素数12〜18の脂肪酸と炭素数1〜12の1価アルコール
のいずれか1種または2種以上を使用するのが好ましい。
上記(A−1)成分としては、飽和のものでも不飽和のものでも良いが、飽和のものが好ましい。また、直鎖状のものでも分岐状のものでも良いが、直鎖状のものが好ましい。炭素数12〜18の1価アルコールとしては、例えば、直鎖または分岐のドデカノール、直鎖または分岐のトリデカノール、直鎖または分岐のテトラデカノール、直鎖または分岐のペンタデカノール、直鎖または分岐のヘキサデカノール、直鎖または分岐のヘプタデカノール、直鎖または分岐のオクタデカノール等の飽和アルコール、直鎖または分岐のドデセノール、直鎖または分岐のトリデセノール、直鎖または分岐のテトラデセノール、直鎖または分岐のペンタデセノール、直鎖または分岐のヘキサデセノール、直鎖または分岐のヘプタデセノール、直鎖または分岐のオクタデセノール等の不飽和アルコールなどが挙げられる。
上記(A−2)成分の炭素数12〜18の脂肪酸としては、飽和でも不飽和でも良く、また直鎖のものでも分岐のものでもよいが、直鎖のものが好ましい。炭素数12〜18の脂肪酸としては、例えば、直鎖または分岐のドデカン酸、直鎖または分岐のトリデカン酸、直鎖または分岐のテトラデカン酸、直鎖状または分岐状のペンタデカン酸、直鎖または分岐のヘキサデカン酸、直鎖または分岐のヘプタデカン酸、直鎖または分岐のオクタデカン酸、直鎖または分岐のドデセン酸、直鎖または分岐のトリデセン酸、直鎖または分岐のテトラデセン酸、直鎖状または分岐状のペンタデセン酸、直鎖または分岐のヘキサデセン酸、直鎖または分岐のヘプタデセン酸、直鎖または分岐のオクタデセン酸等が挙げられる。
上記(A−3)成分で用いられる炭素数12〜18の脂肪酸としては、飽和でも不飽和でも良く、また直鎖のものでも分岐のものでもよいが、直鎖のものが好ましい。炭素数12〜18の脂肪酸としては、具体的には例えば、上記(A−2)で列挙したものが挙げられる
また、上記(A−3)成分で用いられる炭素数1〜12のアルコールとしては、飽和のものでも不飽和のものでも良いが飽和のものが好ましい。また、直鎖状のものでも分岐状のものでも良いが直鎖状のものが好ましい。炭素数1〜12の1価アルコールとしては、具体的には例えば、メタノール、エタノール、直鎖または分岐のプロパノール、直鎖または分岐のブタノール、直鎖または分岐のペンタノール、直鎖または分岐のヘキサノール、直鎖または分岐のヘプタノール、直鎖または分岐のオクタノール、直鎖または分岐のノナノール、直鎖または分岐のデカノール、直鎖または分岐のウンデカノール、直鎖または分岐のドデカノール等の飽和アルコール、直鎖または分岐のプロペノール、直鎖または分岐のブテノール、直鎖または分岐のペンテノール、直鎖または分岐のヘキセノール、直鎖または分岐のヘプテノール、直鎖または分岐のオクテノール、直鎖または分岐のノネノール、直鎖または分岐のデセノール、直鎖または分岐のウンデセノール、直鎖または分岐のドデセノール等の不飽和アルコールなどが挙げられる。
本発明の圧延油組成物において、(A)成分である油性剤の含有量の上限値は、組成物全量基準で10質量%、好ましくは9質量%、より好ましくは8質量%であり、下限値は組成物全量基準で、1質量%、好ましくは2質量%、より好ましくは3質量%である。(A)成分の含有量が10質量%を越える場合には、焼鈍時にステインが生じて好ましくなく、また添加量に見合った効果が得られずコストの面からも好ましくない。また、(A)成分の含有量が1質量%に満たない場合には、潤滑性に劣り好ましくない。
【0009】
本発明の圧延油組成物の(B)成分は、数平均分子量の上限値が300000、好ましくは250000、より好ましくは200000、下限値が50000、好ましくは80000、より好ましくは100000の重合体である。数平均分子量が、300000を越える場合には、焼鈍時にステインが発生して好ましくない。また、50000に満たない場合にはミスト防止効果に劣り好ましくない。
本発明の(B)成分には、その数平均分子量が所定の範囲内にあれば、任意の重合体を使用できるが、ミスト防止性能に優れる、圧延油としての諸性能に悪影響を与えないなどの点から、
(a)炭素数2〜14のオレフィン
(b)炭素数4〜6のジオレフィン
(c)炭素数1〜18の飽和1価アルコールとメタクリル酸とのエステル
(d)炭素数1〜18の飽和1価アルコールとアクリル酸とのエステル
の中から選ばれる少なくとも1種の化合物を重合して得られる重合体が、本発明の(B)成分として好ましい。
上記の(a)で示す炭素数2〜14のオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、2−メチルプロピレン(イソブテン)、直鎖または分岐のペンテン、直鎖または分岐のヘキセン、直鎖または分岐のヘプテン、直鎖または分岐のオクテン、直鎖または分岐のノネン、直鎖または分岐のデセン、直鎖または分岐のウンデセン、直鎖または分岐のドデセン、直鎖または分岐のトリデセン、直鎖または分岐のテトラデセン等が挙げられる。
上記の(b)で示す炭素数4〜6のジオレフィンとしては、例えば、ブタジエン、ペンタジエン、ヘキサジエン等が挙げられる。
上記の(c)および(d)で示すエステルを構成する炭素数1〜18の飽和1価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、直鎖状または分岐状のプロパノール、直鎖状または分岐状のブタノール、直鎖状または分岐状のペンタノール、直鎖状または分岐状のヘキサノール、直鎖状または分岐状のヘプタノール、直鎖状または分岐状のオクタノール、直鎖状または分岐状のノナノール、直鎖状または分岐状のデカノール、直鎖状または分岐状のウンデカノール、直鎖状または分岐状のドデカノール、直鎖状または分岐状のトリデカノール、直鎖状または分岐状のテトラデカノール、直鎖状または分岐状のペンタデカノール、直鎖状または分岐状のヘキサデカノール、直鎖状または分岐状のヘプタデカノール、直鎖状または分岐状のオクタデカノール等が挙げられる。
本発明の(B)成分は、上記の(a)〜(d)で示す化合物1種のみを重合させて得られる重合体であってもよく、また2種以上の化合物を重合させて得られる共重合体であっても良い。なお、2種以上の化合物を重合させる場合、重合形式に特に制限はなく、ランダム共重合していても、ブロック共重合していても良い。
本発明の(B)成分として好ましい重合体の具体例を摘記すると、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン、炭素数5〜14のα−オレフィンを重合させて得られるポリ−α−オレフィン、ポリメタクリレート、ポリアクリレート等が挙げられる。
また、本発明の(B)成分には、上記(a)〜(d)の化合物を重合させたものをそのまま用いても良いが、組成物の酸化安定性に優れる点から、残存する2重結合を水素化させたものが好ましい。
本発明の圧延油組成物における、上記(B)成分の重合体の含有量の上限値は、組成物全量基準で3質量%、より好ましくは2質量%であり、下限値は組成物全量基準で、0.05質量%、好ましくは0.1質量%である。(B)重合体の含有量が5質量%を越える場合には、焼鈍時にステインが生じ好ましくなく、また添加量に見合った効果が得られずコストの面からも好ましくない。また、(B)重合体の含有量が0.05質量%に満たない場合には、ミスト防止性能に劣り好ましくない。
【0010】
本発明の圧延油組成物は、特定の性状を有する基油に(A)成分である油性剤と、(B)成分である重合体を含有してさえいれば、ミスト防止性に優れ、圧延油としての諸性能に優れた効果を発揮するが、さらにその優れた効果を向上させるため、必要に応じて、極圧添加剤、酸化防止剤、さび止め剤、腐食防止剤、消泡剤などを更に、単独でまたは2種以上組み合わせて添加することができる。
上記極圧添加剤としては、トリクレジルフォスフェート等のりん系化合物、およびジアルキルジチオリン酸亜鉛等の有機金属化合物などが例示できる。
上記酸化防止剤としては、2,6−ジターシャリーブチル−p−クレゾール(DBPC)等のフェノール系化合物、フェニル−α−ナフチルアミンなどの芳香族アミン、およびジアルキルジチオリン酸亜鉛等の有機金属化合物が例示できる。
上記さび止め剤としては、オレイン酸などの脂肪酸の塩、ジノニルナフタレンスルホネートなどのスルホン酸塩、ソルビタンモノオレエートなどの多価アルコールの部分エステル、アミンおよびその誘導体、リン酸エステルおよびその誘導体などが例示できる。
上記腐食防止剤としては、ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
上記消泡剤としては、シリコン系のものなどが挙げられる。
これらの添加剤の含有量は、通常15質量%以下、好ましくは10質量%以下(いずれも組成物全量基準;合計量)であることが望ましい。
本発明の圧延油組成物は、アルミニウムおよびアルミニウム合金を冷間圧延する際に最も好ましく用いられるが、鉄鋼、ステンレス鋼、特殊鋼、銅、銅合金などの各種金属の冷間圧延にも好ましく用いられる。また、冷間圧延だけでなく、上記した各種金属の絞り、しごき、引き抜き、プレス等の塑性加工および切削、研削加工等の圧延以外の金属加工にも好ましく用いることができる。
【0011】
【実施例および比較例】
以下、実施例および比較例により本発明の内容をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに何等限定されるものではない。
表1に示す性状を有する基油に下記の油性剤および重合体を配合して、表2に示す組成物を調製した。
(A)油性剤
(A−1)n−ドデカノール
(A−2)ブチルステアレート
(B)重合体(全て水素化物)
(B−1)ポリブテン(数平均分子量:150000)
(B−2)エチレン−プロピレンコポリマー(数平均重合度:200000)
(B−3)ポリメタクリレート(数平均分子量:180000)
(B−4)ポリ−α−オレフィン(数平均分子量:250000)
(B−5)エチレン−プロピレンコポリマー(数平均分子量:35000)
(B−6)ポリブテン(数平均分子量:400000)
【表1】
Figure 0003832677
【表2】
Figure 0003832677
表2に示す実施例および比較例の各組成物を用いて、以下に示す方法によりミスト発生性試験、ステイン性試験、光沢性試験、洗浄性試験を行った。結果を表2に示す。
(ミスト発生性試験)
図1のアレマイト社製オイルミストユニット MC−43TA型ミスト発生器2に試料油を入れ、圧力計3の圧力が1.4kgf/cm2 となるように60℃の空気を吹き込み、ミストを発生させた。発生器内で発生したミストを、凝集しやすい順に捕集びん4および5で凝集させ、続いてスプレーノズル6を用いてミストボックス8内でアルミニウム板7に噴射させる。なお、スプレーノズル6は5穴のものを用いた。ミストボックス8内で凝集しなかったミスト(ストレーミスト)を、減圧下(0.05kgf/cm2 )で吸引した。なお、試験時間は6時間とした。ミスト発生性は、全発生ミストに対するストレーミストの割合(ストレーミスト率)で評価した。なお、ストレーミスト率は以下の式により算出した。
ストレーミスト率(%)=B3 /(W1 −W2 −B1 −B2 )×100
1 :試験開始前のミスト発生器中の試料の量(g)
2 :試験終了後のミスト発生器中の試料の量(g)
1 :捕集びん4に溜まった試料の量(g)
2 :捕集びん5に溜まった試料の量(g)
3 :ミストボックス8に溜まった試料の量(g)
(ステイン性試験)
J. Inst. Metals, 88(1959) 481 (R. D. GUMINSKI)に記載のCan test法に準拠して行った。つまり、アルミニウム製カップに、各組成物を0.1mL滴下し、これを室温から150分かけ350℃に加熱し、60分後加熱を止めた。カップにステインが全く生じなかった場合を0、カップの全面に黒色のステインが発生したものを7として、8段階の評価を行った。
(光沢性試験)
アルミニウム板を各組成物の存在下、以下に示す条件で圧延した後、被圧延材の表面の光沢をスガ式カラーコンピューターを用いて測定した。なお、光沢性は圧延方向に対して直角の方向に入射角60゜で光をあてた場合のGloss値で評価した。なお、値が大きいものほど光沢性がよいことを表す。
圧延条件
圧延材:A−1100 H18(0.4mm厚)
圧下率:50%
圧延速度:100m/min
(洗浄性試験)
JIS K 2246「さび止め油」の参考として記載されている、「アルカリ脱脂試験方法」を準用して洗浄性試験を行った。つまり、試料で被覆した試験片を脱脂液に浸漬し、10回揺動させ、続いて流水中で試験片を10秒間洗浄し、垂直に30秒間保持して水をきった。洗浄性の判断は、水塗れ面積(%)を目視で観察し、5回の平均値で評価した。なお、試験条件の詳細は以下の通りである。
試験条件
試験片:A−1100材
脱脂液の温度:60℃
脱脂液の組成:水 98.0質量%、Na3PO4 1.8質量%
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(平均重合度:8.0) 0.2質量%
揺動の距離:50mm
揺動の速度:30回/分
表2の結果から明らかな通り、実施例1〜10の組成物は、ストレーミスト率が低く、ステインの発生が少なく、光沢性に優れ、また洗浄性にも優れていることが分かる。
これに対して、(A)成分の含有量が多い場合(比較例1)には、ステイン性が悪くなり、少ない場合(比較例2)には、光沢性が低下する。(B)成分の含有量が多い場合(比較例3)には、ステイン性が悪くなり、少ない場合(比較例4)には、ストレーミスト率が高くなる。また、重合体の重合度が50000に満たない場合(比較例5)には、ストレーミスト率が高くなり、300000を越える場合にはステイン性が悪くなる。さらに、基油として芳香族分が10容量%を越えるものを用いた場合(比較例7)には、光沢性が悪くなり、また洗浄性も低下する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で使用したミスト発生性試験装置の概念図である。
【符号の説明】
1 空気取入口
2 ミスト発生器
3 圧力計
4,5 捕集ビン
6 スプレーノズル
7 アルミニウム板
8 ミストボックス

Claims (1)

  1. 芳香族分3容量%以下で、パラフィン分7〜30容量%及びナフテン分70〜90容量%の組成を有し、かつ40℃における動粘度が1〜15mm/sの鉱油を基油とし、組成物全量基準で
    (A)油性剤を1〜10質量%、及び
    (B)数平均分子量が50000〜300000の重合体を0.05〜質量%含有する圧延油組成物。
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