JP2001500560A - 金属を成形する際に助力となる組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 一態様において、本発明はヒドロフルオロエーテルを含有する金属を成形するための潤滑作用且つ冷却作用を有する組成物を提供する。別の態様において、本発明はヒドロフルオロエーテルを含有する組成物を金属およびワークピースに適用することを含む、金属成形方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】 金属を成形する際に助力となる組成物 技術分野 本発明は金属成形操作に関し、特にバルクおよび二次的金属成形操作に関し、 さらに特に本発明はこのような操作の間に使用される潤滑作用および冷却作用を 有する流体に関する。 背景技術 金属は、陶器の成形と本質的に同様の成形方法によって望ましい形状に成形さ れ、形作られる。金属を成形する方法は数が多く、特定の特徴においても変化に 富むが、金属に外部からの力を適用して金属を変形すること、または形作る金属 を切削もしくは研磨することという共通の基本的な特性を共有する。基本的な金 属成形法の詳細な説明は、例えばベツアレルアビツアー（Ｂｅｔｚａｌｅｌ Ａ ｖｉｔｚｕｒ）著、金属成形(Ｍｅｔａｌ Ｆｏｒｍｉｎｇ)、エンサイクロペデ ィア オブ フィジカル サイエンス アンド テクノロジー（Ｅｎｃｙｃｌｏ ｐｅｄｉａ ｏｆ Ｐｈｙｓｉｃａｌ Ｓｃｉｅｎｃｅ ａｎｄ Ｔｅｃｈｎｏ ｌｏｇｙ）９巻、６５１〜８２ページ（１９９２年）を参照のこと。 ほとんどの金属成形方法では、工具とワークピースとの間の界面に潤滑剤を提 供することが必要である。一般に、この目的を達成するために種々の金属加工油 剤が利用される。現在利用される金属加工油剤は一般に２つの基本的なカテゴリ ーに分類される。第一に、昔のものには、油と原則として石油、動物または植物 物質から誘導される他の有機化学物質を含有する。広範に使用される油および油 系物質には、例えばｎ−デカン、ドデカン、テレビン油および松根油などの飽和 および不飽和脂肪族炭化水素、ナフタレン炭化水素、ポリエチレングリコールな どのポリオキシアルケン並びにシメンなどの芳香族炭化水素が含まれる。これら の油は広く利用され、比較的高価ではないが、それらの利用性はかなり制限され る；その理由は、金属細工操作の作業条件下において不揮発性であることが極め て多いので、それらは工具および作業中のピース上に残存し、残存物を除去する ために費用の高い追加の処理を必要とするからである。 第２に、金属成形のための新しいものには、クロロフルオロカーボン(ＣＦＣ ｓ)、ヒドロクロロフルオロカーボン（ＨＣＦＣｓ）およびパーフルオロカーボ ン（ＰＦＣｓ）が含まれる。これらの３つの流体群のうち、ＣＦＣｓが最も有用 で、歴史的に最も広範に使用されている。例えば、米国特許第３，１２９，１８ ２号（マクリーン(ＭｃＬｅａｎ)）を参照のこと。一般に使用されるＣＦＣｓに はトリクロロモノフルオロメタン、１，１，２−トリクロロ−１，２，２−トリ クロロエタン、１，１，２，２−テトラクロロジフルオロエタン、テトラクロロ モノフルオロエタンおよびトリクロロジフルオロエタンが含まれる。これらの組 成物は最初は環境に悪影響を与えないと考えられていたが、現在ではそれらは環 境に悪いということが知られている。ＣＦＣｓおよびＨＣＦＣｓはオゾン破壊と 関係がある(例えば、ズラー(Ｐ．Ｓ．Ｚｕｒｅｒ)、ルーミング バン オン プロダクション オブ ＣＦＣｓ、ハロンズ スパーズスウィッチ ツー サブ スティテューエンツ(Ｌｏｏｍｉｎｇ Ｂａｎ ｏｎ Ｐｒｏｄｕｃｔｉｏｎ ｏｆ ＣＦＣｓ，Ｈａｌｏｎｓ Ｓｐｕｒｓ Ｓｗｉｔｃｈ ｔｏ Ｓｕｂｓｔ ｉｔｕｅｎｔｓ)、ＣＨＥＭ＆ＥＮＧ’Ｇ ＮＥＷＳ，ＮＯＶ．１５，１９９３ ，１２ページ）を参照のこと)。ＰＦＣｓは環境中で分解されにくい(すなわ ち、周囲の環境条件下において化学的に変化または分解されない)。 金属成形は金属のプラスチック変形によって実施されるので、潤滑剤を用いな いで、または上記の従来の潤滑液を用いて実施する金属成形法は結晶を微細化ま たは変化させる。従来の金属加工油液を使用して成形された金属は処理後の金属 の結晶構造を変化するために高温での焼き鈍しを必要とする。焼き鈍しは、全金 属成形処理費用の大きな部分を占めることが多い追加のステップである。 発明の開示 簡単には、一態様において、本発明は金属を成形するための、ヒドロフルオロ エーテルを含有する潤滑および冷却組成物を提供する。別の態様において、本発 明はヒドロフルオロエーテルを含有する組成物を金属およびワークピースに適用 するステップを含む、金属成形方法を提供する。 本発明による金属成形に使用するヒドロフルオロエーテル液は、熱を効率的に 伝達し、揮発性で、環境中で分解され、腐食作用がない効率的な潤滑および冷却 媒体となる。手際の良い成形に使用される場合には、作業中のピースおよび使用 される工具のどちらにも残存しないので、それによって工具および／またはワー クピースを清浄するために必要な処理を必要とせず、実質的な費用削減となる。 多数の操作において、本明細書において記載するヒドロフルオロエーテル組成物 を使用することにより、成形後の金属を焼きなます必要もなくなる。 図面の簡単な説明 図１は、従来の金属成形液を使用したねじ成形操作によって生じるねじ断面の 顕微鏡写真を提供する。 図２は、ヒドロフルオロエーテル液を含有する組成物を使用したねじ成形操作 によって製造されたねじ断面の顕微鏡写真を提供する。 好ましい実施態様の詳細な説明 本発明のヒドロフルオロエーテル液を該成形またはこのような操作に好適な任 意の金属の他の変形加工に関係する任意の処理工程における加工油液として利用 することができる。金属成形に関係する、最も普通の代表的な処理工程には、鍛 造、圧延、ロッド、ワイヤーおよび管引法、ねじ成形、押出法、冷間据込み等な どのバルク変形処理工程；および深絞り、絞成形、ナーリング、紡績、シヤリン グ、打抜き、コイニング等などの二次的金属成形処理加工が含まれる。成形操作 を通常実施する金属には：タンタル、ニオブ、モリブデン、バナジウム、タング ステン、ハフニウム、レニウム、チタンなどの超硬合金；銀、金および白金など の貴金属；ニッケルとチタン合金およびニッケルクロムなどの高温金属；マグネ シウム、ビスマス、アルミニウム、スチール(ステンレス綱を含む)、真鍮、ブロ ンズおよび他の金属合金を含む他の金属が含まれる。このような操作にヒドロフ ルオロエーテル液を使用すると、熱および粒子状物質を除去することにより工作 環境（すなわち、金属ワークピースと工作工具との間の界面）を冷却する作用が あり、また工作面を潤滑にし、滑らかで、実質的に残存物を含まない工作金属面 を提供する作用がある。多数の操作において、それらを使用することにより焼き 鈍しの必要もなくなる。 本発明の冷却および潤滑組成物は、式： （Ｉ） (R₁-O)_n-R₂ （式中、式Ｉを参照すると、ｎは１から３までの数で、Ｒ₁およびＲ₂は同じまた は互いに異なり、置換および未置換のアルキル基、アリール基およびアルキルア リール基並びにそれらの誘導体からなる群から選択される）によって一般に表す ことができるフッ素化工ーテルを含有する。Ｒ₁およびＲ₂の少なくとも一方は少 なくとも１つのフッ素原子を含有し、Ｒ₁およびＲ₂の少なくとも一方は少なくと も１つの水素原子を含有する。必要に応じて、Ｒ₁およびＲ₂の一方または両方は 、窒素、酸素または硫黄などの、１つ以上のカテナリーまたは非カテナリーヘテ ロ原子を含有してもよい。Ｒ₁およびＲ₂は必要に応じて、カルボニル基、カルボ キシル基、チオ基、アミノ基、アミド基、エステル基、エーテル基、ヒドロキシ 基およびメルカプタン基を含む、１つ以上の官能性基を含有してもよい。Ｒ₁お よびＲ₂は直鎖、分岐鎖または環状であってもよく、１つ以上の不飽和炭素−炭 素結合を含有してもよい。Ｒ₁もしくはＲ₂またはそれらの両方は必要に応じて１ つ以上の塩素原子を含有してもよく、ただしこのような塩素原子が存在する場合 には、それらが存在するＲ₁およびＲ₂基上に少なくとも２つの水素原子が存在す る。 好ましくは、本発明の冷却および潤滑組成物は式： （II） R_f-O-R （式中、式ＩＩを参照すると、Ｒ_fおよびＲは、Ｒ_fが少なくとも１つのフッ素原 子を含有し、Ｒがフッ素原子を含有しないことを除いて、式ＩのＲ₁およびＲ₂に ついて規定するとおりである）のフ ッ素化エーテルを含有する。さらに好ましくは、Ｒは、メチル、エチル、ｎ−プ ロピル、ｉｓｏ−プロピル、ｎ−ブチル、またはｔ−ブチルなどの非環状分岐鎖 または直鎖アルキル基であり、Ｒ_fはこのような基のフッ素化誘導体である。Ｒ_f は好ましくは塩素原子を含有しないが、いくつかの好ましい実施態様においてＲ は１つ以上の塩素原子を含有する。 最も好ましい実施態様において、Ｒ₁およびＲ₂またはＲ_fおよびＲは、化合物 が少なくとも３つの炭素原子を有し、この化合物中の水素原子の総数がフッ素原 子の数と多くとも同じであるように、選択される。この種の化合物は不燃性であ る傾向がある。この好ましいクラスのヒドロフルオロエーテルの代表例には、 C₃ F₇OCH₃， C₃F₇OC₂H₅、 C₄F₉OCH₃、C₄F₉OCH₂Cl、 C₄F₉OC₂H₅、 C₇F₁₃OCH₃、 C₇F₁₃OC₂H₅、 C₈F₁₅OCH₃、 C₈F₁₅OC₂H₅、 C₁₀F₂₁OCH₃および C₁₀F₂₁OC₂H₅が 含まれる。１つ以上のフッ素エーテルのブレンドは本発明を実施する際に有用で あるとも考えられる。 有用なヒドロフルオロエーテル冷却および潤滑組成物はまた１つ以上の過フッ 素化された化合物を含有してもよい。ヒドロフルオロエーテルは、最も通常には 、潤滑添加剤として選択される過フッ素化された液より揮発性であるので、ヒド ロフルオロエーテルおよび過フッ素化された液の両方を含有する組成物は少量、 すなわち５０重量パーセント未満の過フッ素化された液を含有する。有用な過フ ッ素化された液は、一般に５〜１８個の炭素原子を含有し、必要に応じて２価酸 素または３価窒素原子などの１つ以上のカテナリーヘテロ原子を含有してもよい 。本明細書において使用される「過フッ素化された液」という用語は、水素原子 の全て（または本質的に全て）がフッ素原子と置換される有機化合物を含む。代 表的な過フッ素化された液には、環状および非環状パーフルオロアルカン、パー フルオロアミン、パーフルオロエーテル、パーフルオロシクロアミンおよびそれ らの任意の混合物を含む。特殊な代表的な過フッ素化された液は以下を含む：パ ーフルオロペンタン、パーフルオロヘキサン、パーフルオロヘプタン、パーフル オロオクタン、パーフルオロメチルシクロヘキサン、パーフルオロトリプロピル アミン、パーフルオロトリブチルアミン、パーフルオロトリアミルアミン、パー フルオロトリヘキシルアミン、パーフルオロ−Ｎ−メチルモルホリン、パーフル オロ−Ｎ−エチルモルホリン、パーフルオロ−Ｎ−イソプロピルモルホリン、パ ーフルオロ−Ｎ−メチルピロリジン、パーフルオロ−１，２−ビス（トリフルオ ロメチル）ヘキサフルオロシクロブタン、パーフルオロ−２−ブチルテトラヒド ラフラン、パーフルオロトリエチルアミン、パーフルオロジブチルエーテル、お よびこれらの混合物並びに他の過フッ素化された液。本発明に使用することがで きる市販の過フッ素化された液には以下が含まれる：登録商標Ｆｌｕｏｒｉｎｅ ｒｔＦＣ−４０、登録商標ＦｌｕｏｒｉｎｅｒｔＦＣ−４３Ｆｌｕｉｄ、登録商 標ＦｌｕｏｒｉｎｅｒｔＦＣ−７１Ｆｌｕｉｄ、登録商標Ｆｌｕｏｒｉｎｅｒｔ ＦＣ−７２Ｆｌｕｉｄ、登録商標ＦｌｕｏｒｉｎｅｒｔＦＣ−７７Ｆｌｕｉｄ、 登録商標ＦｌｕｏｒｉｎｅｒｔＦＣ−８４Ｆｌｕｉｄ、登録商標Ｆｌｕｏｒｉｎ ｅｒｔＦＣ−８７Ｆｌｕｉｄ、登録商標ＦｌｕｏｒｉｎｅｒｔＦＣ−８２７０Ｆ ｌｕｉｄ、登録商標Ｐｅｒｆｏｒｍａｎｃｅ Ｆｌｕｉｄ ＰＦ−５０６０、登 録商標Ｐｅｒｆｏｒｍａｎｃｅ Ｆｌｕｉｄ ＰＦ−５０７０および登録商標Ｐ ｅｒｆｏｒｍａｎｃｅ Ｆｌｕｉｄ ＰＦ−５０５２。これらの液体のいくつか は、ミネソタ州セントポールの３Ｍ社（３Ｍ Ｃｏｍｐａｎｙ）製の登録商標Ｆ ｌｕｏｒｉｎｅｒｔ Ｅｌｅｃｔｒｏｎｉｃ Ｆｌｕｉｄｓ製品案内９８−０２ １１−６０８６（２１２）ＮＰＩ、２／９１号 に記載されている。本発明に有用であると考えられる他の市販の過フッ素化され た液は、登録商標Ｇａｌｄｅｎ ＬＳ液、登録商標Ｆｌｕｔｅｃ ＰＰ液、登録 商標Ｋｒｙｔｏｘパーフルオロポリエーテル、登録商標Ｄｅｍｎｕｍパーフルオ ロポリエーテルおよび登録商標Ｆｏｍｂｌｉｎパーフルオロポリエーテルとして 販売されている過フッ素化された液を含む。 １つ以上の過フッ素化された液に加えて、本発明のヒドロフルオロエーテル組 成物は、腐食阻止剤、抗酸化剤、泡制止剤、染料、抗菌剤、凝固点降下剤、金属 不活性剤等などの１つ以上の従来の添加剤を含んでもよく、一般には含む。これ らの従来の添加剤の選択は当技術上十分周知であり、金属の切削および研磨作業 の任意の所定の方法へのそれらの適用は当業者の能力のうちである。 １種以上の従来の塩基性油または他の潤滑性添加剤を適宜ヒドロフルオロエー テル組成物に添加して、組成物の潤滑性を最適化してもよい。他も有用であると 考えられるが、最も有用な添加剤は揮発性である(すなわち、沸点が約２５０よ り低い)。有用な潤滑補助剤には、例えばｎ−デカン、ドデカン、テルペン油お よび松根油などの飽和および不飽和脂肪族炭化水素；ナフタレン炭化水素；ポリ エチレングリコールなどのポリオキシアルキレン；シメンなどの芳香族炭化水素 ；チオールエステルおよび他の硫黄を含有する化合物；およびクロロトリフルオ ロエチレンのオリゴマー、塩素化パーフルオロカーボンおよび他の塩素を含有す る化合物を含む塩素化炭化水素が含まれる。ホスフェート、脂肪酸エステルおよ びアルキレングリコールエーテルなどの負荷抵抗性添加剤も有用である。これら の後者のクラスの化合物には、リン酸トリアルキル、亜リン酸水素ジアルキル、 Ｃ₁₀〜Ｃ₂₀カルボン酸のメチルおよびエチルエステル、モノアルキルエーテルポ リエチレンまたはエチレングリコー モノエチルエーテルが含まれる。 １種以上の部分的フッ素化または過フッ素化されたアルキル潤滑性添加剤をヒ ドロフルオロエーテル組成物に添加して、組成物の潤滑特性をさらに最適化して もよい。このような添加剤は一般に、官能性部分を介して１つ以上の炭化水素基 に結合された１種以上のパーフルオロアルキル基を有する。好適なパーフルオロ アルキル基は、直鎖および分岐鎖、飽和および不飽和Ｃ₄〜Ｃ₁₂基からなり、有 用な炭化水素基には直鎖および分岐鎖、飽和および不飽和Ｃ₁₀〜Ｃ₃₀基が含まれ る。好適な官能性結合部分は、Ｏ、Ｎ、Ｓ、Ｐなどの１種以上のヘテロ原子を含 有する基または-CO₂-、 -CO-、 -SO₂-、 -SO₃-、 -PO₄-、 -PO₃-、 -PO₂- 、 -PO-または -SO₂N(R)-（ここで、Ｒは短鎖アルキル基である）などの官能基 であってもよい。 本発明の潤滑性組成物を、任意の周知の技法を使用して、金属の切削および研 磨作業適用してもよい。例えば、ヒドロフルオロエーテルを含有する組成物を液 体またはエアゾール形態で適用してもよく、外側に適用、すなわち外側から工具 に供給しても、または内側に適用、すなわち好適な供給装置を介して工具自体に 提供されてもよい。 以下の実施例は本発明を理解する際の助力とするために提供され、本発明の範 囲を限定すると解釈されるべきではない。特に明記しない限り、全ての部および 割合は重量による。 実施例 実施例１〜１４は、冷間成形ビットを用いたチタンにおいて、ねじ成形に使用 されるヒドロフルオロエーテル冷却潤滑液を示す。比較例Ｃ−１〜Ｃ−５は従来 の冷却潤滑液または他のフッ素化液を使 用した。実施例および比較例の各々において、登録商標ＭｉｔｓｕｒａＭＣ−６ ００ＶＦ ＣＮＣ機械上で、従来の水系冷却剤（シンシナティミラクロン（Ｃｉ ｎｃｉｎｎａｔｉ Ｍｉｌａｃｒｏｎ）社製の登録商標Ｃｉｍｔｅｃｈ３９００ ）を使用して８．８ｍｍの高速スチールビットで１ １／２”（３．８ｃｍ）離 れた列状に厚さ３／４”（１．９ｃｍ）のチタンブロックに穴を開けた。ワーク ピースを清浄し、乾燥してから、１０表面フィート／分（約３０５表面ｃｍ／分 ）で操作する３／８〜１６ビット（登録商標Ｃｈｒｏｍｆｌｏ ＧＨ８ＨＳＳ） を使用してこれらの穴をねじ切りし、６５％ねじ切りを得た。新たなねじ切り用 ビットを試験する各々の流体に使用した。ヒドロフルオロエーテル冷却潤滑液を 、流速約３０〜３５ｍＬ／分でプラスチック製瓶型搾り出し容器からビットおよ び穴に適用した。ビットをワークピースから引き抜いた直後に、ビットの尖端と 穴のねじ切り部に適用した登録商標Ｏｍｅｇａ型番Ｈ２３メーターのＫ型熱電対 を用いて、その温度とねじ切り後の穴の温度をそれぞれ測定した。これらの温度 を記録して、３つの別の試験穴を平均し、表１に示す。ＣＮＣ機械で示される最 大負荷値も記録し、表１に示す。 ねじ切り面を断面を調査できるように、ワークピースをねじ切り穴を通って切 断した。ねじ切り部は全て十分に成形されていることがわかり、実施例２および ７ではねじ切り部が僅かに退色していた。 ビットおよび穴の温度は試験した全てのヒドロフルオロエーテル冷却潤滑液に ついて同様であった。比較例Ｃ−２およびＣ−３に使用したヒドロフルオロカー ボン液では、各穴のビット温度は上昇しており、これらの実施例について報告し た標準偏差は大きい。比較例Ｃ−１に使用した登録商標Ｍｏｌｙ−ｄｅｅタッピ ング液は試験 中にかなりの量の刺激性の煙を生じた。Ｍｏｌｙ−ｄｅｅタッピング液で観察さ れた低いビット温度および低い機械負荷にもかかわらず、この型の工作操作の際 には、生じた刺激性の煙によりその使用ができなくなった。実施例８並びに比較 例Ｃ−２およびＣ−３でも、１つめのねじ切り穴においてねじ切り用ビット上に 残存する油に関連する少量の煙が観察された。全ての試験液についてビットの弱 冠の黒ずみが観察されたが、どれもＭｏｌｙ−ｄｅｅタッピング液で観察された ほどの程度ではなかった。さらに、比較例Ｃ−１では工作後にワークピースを清 浄して、Ｍｏｌｙ−ｄｅｅ残渣を除去した。試験した他の液は、清浄を必要とす る残渣を残さなかったようであった。実施例１３では、ねじ切り用ビットはチャ ックにずれがあることが観察され、それによって穴は完全にねじ切りされなかっ た。 標準的なねじ切りゲージを用いた試験は、試験した冷却潤滑剤は全て正常規格 範囲内にあるねじ切りを生じた。実施例１、４および１３の３回の試験のうち最 後の穴は試験した他のものと比較してわずかにゆるみがあった。 これらの実施例（１〜１１）は、ヒドロフルオロエーテル冷却潤滑剤は、チタ ンのねじ切り成形の際には、液（Ｃ−２〜Ｃ−４）または従来のタッピング液（ Ｃ−１）を含有する比較のためのフルオロカーボンより性能が良好であることを 示す。少量の潤滑添加剤は、ビット温度を低下することにより液Ｃ₄Ｆ₉ＯＣＨ₃ の性能を改善することも可能である(実施例１２〜１４)。 実施例１５〜１７は、ヒドロフルオロエーテル冷却潤滑液を使用して、アルミ ニウム（２０２４−Ｔ３型）で実施されるねじ切り成形を明らかにする。３／８ −１６、１／４−２８および８−３２ねじによるねじ切りを２０２４−Ｔ３型ア ルミニウムの厚さ１インチのブロックで実施した。登録商標Ｃｉｍｔｅｃｈ３９ ００潤滑液お よびＭｉｔｓｕｒａＭＣ−６００ＶＦ ＣＦＣ機械を用いた高速スチールツイス トビットを使用して穴を予め開けた。ねじ切りビット、登録商標Ｃｈｒｏｍｆｌ ｏ ＧＨ５高速スチールを、流速３０〜３５ｍＬｓ／分で瓶型絞り出し容器から 適用した冷却潤滑液を用いて、５０表面フィート／分（約１５２４表面ｃｍ／分 ）で操作した。比較例Ｃ−５は登録商標Ｃｉｍｔｅｃｈ３９００、流動形態で適 用した、水系炭化水素冷却潤滑液を用いて実施した。潤滑液は以下のようであっ た： 工作中、ヒドロフルオロエーテル冷却潤滑液とＣｉｍｔｅｃｈ３９００液との 間に観察できるほどの差を生じることなく、ねじ切り操作を実施し、得られたね じ切り部は標準的なねじゲージで検査を通過した。しかし、ヒドロフルオロエー テル冷却／潤滑液を用いて生じたねじは、登録商標Ｃｉｍｔｅｃｈ３９００を用 いて生じたものより明るく、光沢があるようであった。また、ヒドロフルオロエ ーテル液を用いて生じたねじはきれいで、工作直後に乾燥している。 次いで、ねじ面を調査することあできるように、アルミニウムワークピースを ねじ切り穴の各線に沿って切断した。Ｃｉｍｔｅｃｈ３９００を用いて生じたね じは、ヒドロフルオロエーテル冷却／潤滑液を用いたものほど十分に成形されな かった。Ｃｉｍｔｅｃｈ３９００を用いて生じたねじ断面の顕微鏡写真は、図１ に見られるように、「Ｍ」形状を有するが、ヒドロフルオロエーテル冷却潤滑液 によるねじ切り部は十分に仕上げられた三角形状、図２であった。 これらのデータは、ヒドロフルオロエーテル液をアルミニウムにねじを成形す る際の冷却／潤滑液として使用することができることおよび得られたねじは十分 に成形されるが、水系潤滑液は成形が不十分なねじを生じたことを示す。 実施例１８〜２０は、ヒドロフルオロエーテル液を銅のナーリングに使用する ことができることをあきらかにしている。１０ １／２”銅シリンダーを、ナー リング工具で４５ｒｐｍ、回転あたり０．０１２５インチ、および３４〜３８ｐ ｓｉ圧力で金属旋盤（Ｌｏｄｇｅ ａｎｄ ｈｉｐｌｅｙ）においてらせんナー リング１インチあたり１００溝ナーリングした。試験冷却潤滑液を使用して銅ロ ールの工作領域を十分に濡らしておいた。ヒドロフルオロエーテル冷却潤滑液を 用いて約１〜１ １／２”のナーリング帯を３つの通路中に成形した。従来の潤 滑剤、ケロセンおよびＶａｃｔｒａ＃２（モービルオイル社（Ｍｏｂｉｌ Ｏｉ ｌ Ｃｏ）製の炭化水素系潤滑液）を比較例Ｃ−６およびＣ−７において対照と して使用した。使用した潤滑液は以下のようであった： 成形された溝およびピークの質を１０Ｘおよび２０Ｘで顕微鏡により調査し、 ナーリング成形の完全性および観察された欠陥の程度について判定した。ヒドロ フルオロエーテル冷却潤滑液の各々は対照のケロセンと同等であることと判定さ れた。Ｖａｃｔｒａ＃２を用いて成形されたナーリングは、主に成形されたピー クに欠陥が有 意に多いと判定された。 これらの実施例は、ヒドロフルオロエーテル冷却潤滑液を用いて実施されたナ ーリングはケロセンを用いて実施されたものと同等であり、Ｖａｃｔｒａ＃２を 用いて実施されたものより優れていることを示す。また、ケロセンおよびＶａｃ ｔｒａ＃２はきれいで乾燥した面を生ずるために追加の清浄ステップを必要とし たが、ヒドロフルオロエーテルは工作後にきれいで乾燥していた。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 クルーガー，ダニエル ディー. アメリカ合衆国，ミネソタ 55133―3427, セント ポール，ポスト オフィス ボッ クス 33427 (72)発明者 フライン，リチャード エム. アメリカ合衆国，ミネソタ 55133―3427, セント ポール，ポスト オフィス ボッ クス 33427 (72)発明者 ベーア，フレデリック イー. アメリカ合衆国，ミネソタ 55133―3427, セント ポール，ポスト オフィス ボッ クス 33427

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．金属を成形する際に助力となる、ヒドロフルオロエーテルを含有する組成 物。 ２．ヒドロフルオロエーテルを含有する組成物を前記金属に適用するステップ と、該金属を成形するステップとを含み、前記適用が該金属を成形する前または 成形中に実施される、金属成形方法。 ３．該ヒドロフルオロエーテルが式： (R₁-O)_n-R₂ （式中、 ｎは１から３までの数であり； Ｒ₁およびＲ₂は、同じまたは互いに異なり、置換および未置換のアルキル基、 アリール基およびアルキルアリール基並びにそれらの誘導体からなる群から選択 され； ただし、前記Ｒ₁およびＲ₂の少なくとも一方は少なくとも１つのフッ素原子を 含有し、Ｒ₁およびＲ₂の少なくとも一方は少なくとも１つの水素原子を含有し； さらに、Ｒ₁およびＲ₂の一方または両方は１つ以上のカテナリーまたは非カテ ナリーヘテロ原子を含有してもよく；１つ以上の官能基を含有してもよく；直鎖 、分岐鎖または環状であってもよく；１つ以上の不飽和炭素−炭素結合を含有し てもよく；１つ以上の塩素原子を含有してもよく、ただしこのような塩素原子が 存在する場合には、それらが存在するＲ₁またはＲ₂基上に少なくとも２つの水素 原子が存在する）によって選択される請求項１記載の組成物または請求項２記載 の方法。 ４．該ヒドロフルオロエーテルが式： R_f-O-R （式中、 Ｒ_fは少なくとも１つのフッ素原子を含有し、置換および未置換のアルキル基 、アリール基およびアルキルアリール基並びにそれらの誘導体からなる群から選 択され； Ｒはフッ素原子を含有せず、置換および未置換のアルキル基、アリール基およ びアルキルアリール基並びにそれらの誘導体からなる群から選択される）によっ て選択される請求項１記載の組成物または請求項２記載の方法。 ５．該ヒドロフルオロエーテルが： C₃F₇OCH₃、 C₃F₇OC₂H₅、 C₄F₉OCH₃、 C₄F₉OCＨ₂Cl、 C₄F₉OC₂H₅、 C₇F₁₃OCH₃、 C₇F₁₃OC₂H₅、 C₈F₁₅OCH₃、 C₈F_{1 5} OC₂H₅、 C₁₀F₂₁OCH₃および C₁₀F₂₁OC₂H₅からなる群から選択される請求項１記 載の組成物または請求項２記載の方法。 ６．前記ヒドロフルオロエーテルを含有する組成物が、さらに、過フッ素化さ れた化合物を含有する請求項１乃至５のいずれかに記載の組成物または方法。 ７．前記ヒドロフルオロエーテルを含有する組成物が、さらに、潤滑作用のあ る添加剤を含有する請求項１乃至６のいずれかに記載の組成物または方法。 ８．前記潤滑作用のある添加剤が：官能部分を介して１つ以上の炭化水素基に 結台された１つ以上のパーフルオロアルキル基を含有するフッ素化アルキル化合 物；飽和および不飽和脂肪族炭化水素；ナフタレン炭化水素；ポリオキシアルキ レン；芳香族炭化水素；チオールエステル；クロロトリフルオロエチレンのオリ ゴマー、塩素化炭化水素；塩素化パーフルオロカーボン；ホスフェート、脂肪酸 エステルおよびアルキレングリコールエステルからなる群から選択される請求項 ７記載の組成物または方法。