JP2009221448A - 金属加工油組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の金属加工油組成物は、鉱油、合成油及び油脂からなる群から選ばれる1種以上の基油と、特定のアミノ酸誘導体の少なくとも1種とを含み、該アミノ酸誘導体の含有割合が、組成物全量基準で、0.01〜3質量%であることを特徴とし、冷間圧延、温間及び熱間圧延、プレス、打ち抜き、しごき、絞り、引き抜き、鍛造、切削及び研削等の金属加工に適用することができ。
【選択図】なし
Description
一方、前記材料の加工において、潤滑状態が過酷になると、従来から一般的に使用されている油性剤のみでは加工性能が不十分なため、これらの油性剤に加えて他の油性剤や極圧剤を併用することが提案されている(例えば特許文献1〜4)。しかし、他の油性剤や極圧剤を配合する場合、潤滑性以外の要求性能、特に油剤除去性、低臭気性、安全性及び潤滑油の安定性が犠牲となる場合が多く、潤滑性と他の要求性能を両立させた潤滑油が求められている。
材料試験技術Vol.29、No.2、p.117
R1−CO−NR2−(CH2)n−COOX (1)
(式中、R1は炭素数6〜30のアルキル基又は炭素数6〜30のアルケニル基、R2は炭素数1〜4のアルキル基、Xは水素原子、炭素数1〜30のアルキル基又は炭素数1〜30のアルケニル基、nは1〜4の整数を示す。)
[R1−CO−NR2−(CH2)n−COO]mY (2)
(式中、R1は炭素数6〜30のアルキル基又は炭素数6〜30のアルケニル基、R2は炭素数1〜4のアルキル基、Yはアルカリ金属又はアルカリ土類金属、nは1〜4の整数、mはYがアルカリ金属の場合は1、アルカリ土類金属の場合は2を示す。)
[R1−CO−NR2−(CH2)n−COO]m−Z−(OH)m' (3)
(式中、R1は炭素数6〜30のアルキル基又は炭素数6〜30のアルケニル基、R2は炭素数1〜4のアルキル基、Zは2価以上の多価アルコールの水酸基を除いた残基、mは1以上の整数、m’は0以上の整数、m+m’はZの価数、nは1〜4の整数を示す。)
本発明の組成物に用いる基油としては、鉱油、合成油及び油脂からなる群から選ばれる1種以上であれば、その種類に制限はないが、鉱油及び/又は合成油が特に好ましい。
前記鉱油としては、例えば、パラフィン系又はナフテン系の原油の蒸留により得られる灯油留分;灯油留分からの抽出操作等により得られるノルマルパラフィン;及びパラフィン系又はナフテン系の原油の蒸留により得られる潤滑油留分、あるいは潤滑油脱ろう工程により得られる、スラックワックス等のワックス及び/又はガストゥリキッド(GTL)プロセス等により得られる、フィッシャートロプシュワックス、GTLワックス等の合成ワックスを原料とし、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、水素化異性化、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の精製処理を1つ又は2つ以上適宜組み合わせて精製したパラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油、ノルマルパラフィン系基油、イソパラフィン系基油が挙げられる。
ここで、芳香族分とは、JIS K 2536「石油製品−炭化水素タイプ試験」の蛍光指示薬吸着法に準拠して測定された値を意味する。
鉱油中のナフテン分の割合についても特に制限はないが、10容量%以上であることが好ましく、より好ましくは15容量%以上、更に好ましくは20容量%以上、更により好ましくは25容量%以上、最も好ましくは30容量%以上である。ナフテン分を10容量%以上とすることにより、油剤除去工程における油剤除去性や加工性が良好となる。一方、ナフテン分の割合は90容量%以下であることが好ましく、より好ましくは80容量%以下、更に好ましくは75容量%以下、最も好ましくは70容量%以下である。ナフテン分を90容量%以下とすることにより、室温での油剤の揮発を防止することができる。
(1)径18mm、長さ980mmの溶出クロマト用吸着管に、約175℃、3時間の乾燥により活性化された呼び径74〜149μmシリカゲル(富士デビソン化学(株)製grade923)120gを充填する。
(2)n−ペンタン75mlを注入し、シリカゲルを予め湿す。
(3)試料約2gを精秤し、等容量のn−ペンタンで希釈し、得られた試料溶液を注入する。
(4)試料溶液の液面がシリカゲル上端に達したとき、飽和炭化水素成分を分離するためにn−ペンタン140mlを注入し、吸着管の下端より溶出液を回収する。
(5)溶出液をロータリーエバポレーターにかけて溶媒を留去し、飽和炭化水素成分を得る。
(6)飽和炭化水素成分を質量分析計でタイプ分析を行う。質量分析におけるイオン化方法としては、ガラスリザーバを使用したFIイオン化法が用いられ、質量分析計は日本電子(株)製JMS−AX505Hを使用する。
測定条件は、加速電圧:3.0kV、カソード電圧:−5〜−6kV、分解能:約500、エミッター:カーボン、エミッター電流:5mA、測定範囲:質量数35〜700、補助オーブン温度:300℃、セパレータ温度:300℃、主要オーブン温度:350℃、試料注入量:1μl。
なお、FI法質量分析のタイプ分析法によるデータ処理の詳細は、「日石レビュー」第33巻第4号135〜142頁の特に「2.2.3データ処理」の項に記載されている。
基油の最適粘度は使用目的によって異なり、アルミニウム圧延において最適な基油の40℃における動粘度は通常1.0〜10mm2/s、好ましくは1.2〜8.0mm2/s、より好ましくは1.4〜6.0mm2/sの範囲である。アルミニウム以外の金属の圧延において最適な基油の40℃における動粘度は2.0〜50mm2/s、好ましくは2.5〜40mm2/s、より好ましくは3.0〜30mm2/sの範囲である。圧延以外の金属加工に使用される場合の最適な基油の40℃における動粘度は6.0〜500mm2/s、好ましくは8.0〜300mm2/s、より好ましくは10〜250mm2/sの範囲である。基油の動粘度(40℃)が低すぎる場合には、引火による火災等の危険性が増すおそれがある。一方、高すぎる場合には、焼鈍後にステインと呼ばれる潤滑油成分の焼き付きが生じ易くなり、また被加工材表面にオイルピットと呼ばれる表面損傷が発生することによる表面光沢の悪化、過潤滑によるスリップ、摩耗粉発生量の増加、被加工材表面の傷つき、スリップが著しい場合には加工不能、をもたらすおそれがある。
本発明の組成物において、基油の配合割合は、組成物全量基準で通常50質量%以上、好ましくは60〜99.99質量%である。
式(1)〜(3)中、R1は炭素数6〜30のアルキル基又は炭素数6〜30のアルケニル基を表す。基油への溶解性などの点から、炭素数6以上のアルキル基又はアルケニル基であることが必要であり、炭素数7以上であることが好ましく、炭素数8以上であることがより好ましい。また、貯蔵安定性などの点から、炭素数30以下のアルキル基又はアルケニル基であることが必要であり、炭素数24以下であることが好ましく、炭素数20以下であることがより好ましい。
このようなアルキル基及びアルケニル基としては、例えば、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等のアルキル基(これらアルキル基は直鎖状でも分枝状でも良い);ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基等のアルケニル基(これらアルケニル基は直鎖状でも分枝状でも良く、また二重結合の位置も任意である)等が挙げられる。
式(1)〜(3)中、nは1〜4の整数を表す。貯蔵安定性などの点から、4以下の整数であることが必要であり、3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましい。
このようなアルキル基又はアルケニル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基(これらアルキル基は直鎖状でも分枝状でも良い);エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基等のアルケニル基(これらアルケニル基は直鎖状でも分枝状でも良く、また二重結合の位置も任意である)が挙げられる。また、よりさび止め性に優れるなどの点から、アルキル基であることが好ましい。Xとしては、よりさび止め性に優れるなどの点から、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルケニル基であることが好ましく、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基であることがより好ましく、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であることがさらにより好ましい。
式(1)〜(3)で示される化合物の添加量は、本発明の組成物全量基準で0.01質量%以上であることが必要であり、好ましくは0.02質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、最も好ましくは0.07質量%以上である。0.01質量%未満の場合は必要とする加工性が得られないおそれがある。また当該化合物の添加量は、本発明の組成物全量基準で3質量%以下であることが必要であり、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下、最も好ましくは1.2質量%以下である。3質量%を超える場合はオイルステインを生ずるおそれがある。
本発明の金属加工油組成物は、式(1)〜(3)で表される化合物を所定基油に含有せしめることによって、ステインや過潤滑の原因となる高添加量の油性剤を使用せずに、加工性を十分に向上させることができる。
(A1)数平均分子量が100以上1000以下である水酸基を3〜6個有する多価アルコールのアルキレンオキシド付加物
(A2)上記(A1)成分のヒドロカルビルエーテル又はヒドロカルビルエステル
(A3)数平均分子量が100以上1000以下のポリアルキレングリコール
(A4)上記(A3)成分のヒドロカルビルエーテル又はヒドロカルビルエステル
(A5)炭素数2〜20の2価アルコール
(A6)上記(A5)成分のヒドロカルビルエーテル又はヒドロカルビルエステル
(A7)炭素数3〜20の3価アルコール
(A8)上記(A7)成分のヒドロカルビルエーテル又はヒドロカルビルエステル
上記多価アルコールとしては、例えば、グリセリン;グリセリンの2〜4量体、例えば、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン等のポリグリセリン;トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン等のトリメチロールアルカン及びこれらの2〜4量体;ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3,4−ブタンテトロール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトール、イジリトール、タリトール、ズルシトール、アリトールが挙げられる。
上記糖類としては、例えば、キシロース、アラビノース、リボース、ラムノース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、セロビオース、マントース、イソマルトース、トレハロース、シュクロースが挙げられる。これらの中では、加工性に優れる点から、グリセリン、トリメチロールアルカン、ソルビトールが好ましい。
なお、2種以上のアルキレンオキシドを用いた場合には、オキシアルキレン基の重合形式に特に制限はなく、ランダム共重合していても、ブロック共重合していてもよい。また、水酸基を3〜6個有する多価アルコールにアルキレンオキシドを付加させる際、全ての水酸基に付加させてもよいし、一部の水酸基のみに付加させてもよい。これらの中では、加工性に優れる点から、全ての水酸基に付加させた方が好ましい。
(A2)成分としては、(A1)成分のアルキレンオキシド付加物の末端水酸基の一部又は全てを、ヒドロカルビルエーテル化又はエステル化させたものが使用できる。ここで、ヒドロカルビル基とは、炭素数1〜24のアルキル基、炭素数2〜24のアルケニル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、炭素数6〜11のアルキルシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜18のアルキルアリール基、炭素数7〜18のアリールアルキル基等の炭素数1〜24の炭化水素基を表す。
なお、ポリアルキレングリコールの調製時に2種以上のアルキレンオキシドを用いた場合には、オキシアルキレン基の重合形式に特に制限はなく、ランダム共重合していても、ブロック共重合していてもよい。
(A3)成分としては、その製造時におけるアルキレンオキシドを重合させる際にMnが100以上1000以下となるように反応させたものを用いてもよい。また、任意の方法で得られるポリアルキレングリコール混合物や市販されているポリアルキレングリコール混合物を、蒸留やクロマトグラフィーによってMnが100以上1000以下となるように分離したものを用いてもよい。なお、(A3)成分としては、これらの化合物を単独で又は2種以上の混合物として用いてもよい。
(A6)成分としては、(A5)成分の2価アルコールの末端水酸基の一部又は全てを、ヒドロカルビルエーテル化させたものも使用できる。ここでいうヒドロカルビル基とは、炭素数1〜24の炭化水素基を表し、具体的には、(A2)成分の説明において列挙した各基が挙げられる。これらの中では、加工性に優れる点から、炭素数2〜18の直鎖又は分枝のアルキル基、炭素数2〜18の直鎖又は分枝のアルケニル基が好ましく、炭素数3〜12の直鎖又は分枝のアルキル基、オレイル基(オレイルアルコールから水酸基を除いた残基)が更に好ましい。
(A6)成分のエステルは、(A5)成分の2価アルコールの末端水酸基の一方をエステル化したもの(部分エステル)であってもよく、末端水酸基の両方をエステル化したもの(完全エステル)であってもよい。これらの中では、加工性に優れる点から、部分エステルであることが好ましい。なお、(A6)成分としては、これら化合物を単独で又は2種以上の混合物として用いてもよい。
(A8)成分としては、(A7)成分の3価アルコールの末端水酸基の一部又は全てを、ヒドロカルビルエーテル化させたものも使用できる。ここでいうヒドロカルビル基とは、炭素数1〜24の炭化水素基を表し、具体的には、(A2)成分の説明において列挙した各基が挙げられる。これらの中では、加工性に優れる点から、炭素数2〜18の直鎖又は分枝のアルキル基、炭素数2〜18の直鎖又は分枝のアルケニル基が好ましく、炭素数3〜12の直鎖又は分枝のアルキル基、オレイル基(オレイルアルコールから水酸基を除いた残基)がより好ましく挙げられる。
(B1)成分であるエステルは、アルコールとカルボン酸とを反応させることにより得られる。アルコールとしては、一価アルコールでも多価アルコールでもよい。また、カルボン酸としては、一塩基酸でも多塩基酸でもよい。
炭素数1〜26の一価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、直鎖又は分枝のプロパノール、直鎖又は分枝のブタノール、直鎖又は分枝のペンタノール、直鎖又は分枝のヘキサノール、直鎖又は分枝のヘプタノール、直鎖又は分枝のオクタノール、直鎖又は分枝のノナノール、直鎖又は分枝のデカノール、直鎖又は分枝のウンデカノール、直鎖又は分枝のドデカノール、直鎖又は分枝のトリデカノール、直鎖又は分枝のテトラデカノール、直鎖又は分枝のペンタデカノール、直鎖又は分枝のヘキサデカノール、直鎖又は分枝のヘプタデカノール、直鎖又は分枝のオクタデカノール、直鎖又は分枝のノナデカノール、直鎖又は分枝のエイコサノール、直鎖又は分枝のヘンエイコサノール、直鎖又は分枝のトリコサノール、直鎖又は分枝のテトラコサノール、オレイルアルコール又はこれらの混合物が挙げられる。
飽和脂肪酸としては、例えば、直鎖又は分枝のへキサン酸、直鎖又は分枝のオクタン酸、直鎖又は分枝のノナン酸、直鎖又は分枝のデカン酸、直鎖又は分枝のウンデカン酸、直鎖又は分枝のドデカン酸、直鎖又は分枝のトリデカン酸、直鎖又は分枝のテトラデカン酸、直鎖又は分枝のペンタデカン酸、直鎖又は分枝のヘキサデカン酸、直鎖又は分枝のオクタデカン酸、直鎖又は分枝のヒドロキシオクタデカン酸、直鎖又は分枝のノナデカン酸、直鎖又は分枝のエイコサン酸、直鎖又は分枝のヘンエイコサン酸、直鎖又は分枝のドコサン酸、直鎖又は分枝のトリコサン酸、直鎖又は分枝のテトラコサン酸が挙げられる。
飽和二塩基酸としては、例えば、エタン二酸、プロパン二酸、直鎖又は分枝のブタン二酸、直鎖又は分枝のペンタン二酸、直鎖又は分枝のへキサン二酸、直鎖又は分枝のオクタン二酸、直鎖又は分枝のノナン二酸、直鎖又は分枝のデカン二酸、直鎖又は分枝のウンデカン二酸、直鎖又は分枝のドデカン二酸、直鎖又は分枝のトリデカン二酸、直鎖又は分枝のテトラデカン二酸、直鎖又は分枝のヘプタデカン二酸、直鎖又は分枝のヘキサデカン二酸が挙げられる。
(1b)一価アルコールと一塩基酸とのエステル、
(2b)多価アルコールと一塩基酸とのエステル、
(3b)一価アルコールと多塩基酸とのエステル、
(4b)多価アルコールと多塩基酸とのエステル、
(5b)一価アルコール及び多価アルコールの混合物と、多塩基酸との混合エステル、
(6b)多価アルコールと、一塩基酸及び多塩基酸の混合物との混合エステル、
(7b)一価アルコール及び多価アルコールの混合物と、一塩基酸及び多塩基酸の混合物との混合エステル。
R1−O−CO(CH2)nCO−O−R2 (4)
式(4)中、R1及びR2は互いに同一又は異なる基であって、炭素数3〜10の炭化水素基を示し、nは4〜8を示す。
式(4)で表されるジエステルは任意の方法で得られるが、例えば、炭素数6〜10の直鎖飽和ジカルボン酸(炭素数6から順に、アジピン酸、ピメリン酸、コルク酸、アゼライン酸、セバシン酸)又はその誘導体と、炭素数3〜10のアルコールとをエステル化させる方法が例示される。
トリメリット酸をエステル化する1価アルコールの炭素数は特に制限はないが、ステインや腐食の発生を増大させるおそれが大きくなる、冬季において流動性を失い扱いが困難になるおそれが大きくなる、基油への溶解性が低下して析出するおそれが大きくなるなどの点から、炭素数1〜10が好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6がさらに好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。また、トリメリット酸のエステルは、部分エステル(モノエステル又はジエステル)でも完全エステル(トリエステル)でもよい。
一価アルコールの合計炭素数は、加工性により優れる点から6以上が好ましく、8以上がより好ましく、10以上が最も好ましい。また、油剤除去性の点から、一価アルコールの合計炭素数は20以下が好ましく、18以下がより好ましく、16以下が最も好ましい。
油性剤を用いる場合の含有割合は、アルミニウム用圧延油の場合、組成物全量基準で通常0.01〜30質量%である。この場合の油性剤の含有割合は、加工性の点から、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.07質量%以上である。一方、油性剤の含有割合の上限値は30質量%以下であり、油剤除去性の点から、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
一方、アルミニウム用圧延油以外の金属加工油の場合、組成物全量基準で通常1〜70質量%である。この場合の油性剤の含有割合は、加工性の点から、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上である。一方、油性剤の含有割合の上限値は70質量%以下であり、油剤除去性の点から、好ましくは65質量%以下であり、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは55質量%以下である。
極圧添加剤としては、例えば、トリクレジルホスフェート等のリン系化合物、及びジアルキルジチオリン酸亜鉛等の有機金属化合物が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジターシャリーブチル−p−クレゾール(DBPC)等のフェノール系化合物、フェニル−α−ナフチルアミン等の芳香族アミン及びジアルキルジチオリン酸亜鉛等の有機金属化合物が挙げられる。
さび止め剤としては、例えば、オレイン酸等の脂肪酸の塩、ジノニルナフタレンスルホネート等のスルホン酸塩、ソルビタンモノオレエート等の多価アルコールの部分エステル、アミン及びその誘導体、リン酸エステル及びその誘導体が挙げられる。
腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾールが挙げられる。
消泡剤としては、例えば、シリコーン系のものが挙げられる。
抗乳化剤としては、界面活性剤が用いられ、例えば、カチオン系として四級アンモニウム塩、イミダゾリン型、アニオン系として硫酸化油、エアロゾル型、ノニオン系としてひまし油のエチレンオキシド付加物、エーテル型非イオン活性剤のリン酸エステル、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロック共重合物、ダイマー酸とのエステルが挙げられる。
かび防止剤としては、例えば、フェノール系化合物、ホルムアルデヒド供与体化合物、サリチルアニリド系化合物が挙げられる。
なお、上記添加剤の合計含有割合は、組成物全量基準で通常40質量%以下、好ましくは30質量%以下である。
水を含有する場合、本発明の組成物は、水を連続層とし、これに油成分が微細に分散しエマルションを形成した乳化状態、水が油成分に溶解している可溶化状態、もしくは強攪拌により水と油剤を混合した懸濁状態のいずれの形態をもとりうる。
本発明の組成物は、水と別に加工部位に供給し使用することもできる。
本発明の組成物(原液)を水で希釈、もしくは水と併用するだけで、実際に使用する金属加工油剤とすることができる。希釈倍率(併用使用する際は、原液に対する原液+水の倍率を希釈倍率とする。)は使用条件によって任意に選択されるが、一般には原液を重量比で2〜100倍に、好ましくは3〜70倍に水で希釈して実用の金属加工油剤を得るのが通例である。この場合の希釈水には、例えば、水道水、工業用水、イオン交換水、蒸留水が使用可能で、硬水であるか軟水であるかを問わない。
エマルション型の場合、本発明の組成物を水で希釈すると、水を連続相とし、これに油成分が微細に分散した状態のエマルションが得られる。この場合、水に分散する油滴の平均粒径は300nm以下、特に100nm以下であることが好ましい。分散油滴の平均粒径が大きいと、オイルピットが生成し易くなって加工製品の表面光沢が損なわれるばかりでなく、金属加工油剤の清浄化に微細なフィルターを使用できなくなるおそれがある。
加工方法としては、冷間圧延、温間及び熱間圧延、プレス、打ち抜き、しごき、絞り、引き抜き、鍛造、切削及び研削等の金属加工に適用することができ、特に冷間圧延、温間及び熱間圧延に適用することができる。
実施例1〜9及び比較例1〜3
表1及び2に示す基油及び添加剤を用いて金属加工油を調製した。尚、基油及び添加剤としては、以下に示すものを用いた。
<基油>
基油1:鉱油(40℃における動粘度2.5mm2/s)
基油2:鉱油(40℃における動粘度11.5mm2/s)
基油3:イソブチレンオリゴマー(40℃における動粘度2.1mm2/s)
<添加剤>
A1:オレオイルザルコシン(N-Methyloleamidoacetic acid)
B1:ラウリルアルコール70質量%とミリスチルアルコール30質量%の混合物
B2:ステアリン酸ブチル
<材料>
1.純アルミニウム(AL99.99%) 0.5mm厚/68mm幅
2.合金系アルミニウム(JIS A5052) 0.5mm厚/68mm幅
3.黄銅(JIS C2600) 0.29mm厚/50mm幅
4.ステンレスSUS304 0.24mm厚/50mm幅
<評価方法>
圧延試験
下記条件において圧延加工を行った。
ワークロール直径:50mm、バックアップロール直径:204mm、圧延速度:95m/分、圧下率:圧下率20%からスタートし、段階的に上昇させる。
圧下率を段階的に増加させたときの正常に圧延できる最大の圧下率(%)を求める。
耐ステイン性
圧延後の材料(コイル状)をアルミニウムの場合350℃、それ以外の材料の場合480℃にて空気雰囲気下で48時間加熱し、室温に冷却した後、材料表面に付着しているオイルステインを評価する。最外周部からコイル長で3〜8mの部分について評価を行い、発生したステインの面積が材料の面積に対し0%以上5%未満を○、5%以上10%未満を△、10%以上を×とした。
臭気
試料油20gを200mlビーカにとり15分間50℃の恒温槽内に静置した後取り出して臭気を判定した。基油1単独に比べて臭気が強く感じる場合を10点、同等を5点、弱く感じる場合を0点とし、10人の被験者で評価を行った。平均点が3点未満を○、3点以上7点未満を△、7点以上を×とした。
Claims (1)
- 鉱油、合成油及び油脂からなる群から選ばれる1種以上の基油と、式(1)、(2)及び(3)で表されるアミノ酸誘導体の少なくとも1種とを含み、該アミノ酸誘導体の含有割合が、組成物全量基準で、0.01〜3質量%であることを特徴とする金属加工油組成物。
R1−CO−NR2−(CH2)n−COOX (1)
(式中、R1は炭素数6〜30のアルキル基又は炭素数6〜30のアルケニル基、R2は炭素数1〜4のアルキル基、Xは水素原子、炭素数1〜30のアルキル基又は炭素数1〜30のアルケニル基、nは1〜4の整数を示す。)
[R1−CO−NR2−(CH2)n−COO]mY (2)
(式中、R1は炭素数6〜30のアルキル基又は炭素数6〜30のアルケニル基、R2は炭素数1〜4のアルキル基、Yはアルカリ金属又はアルカリ土類金属、nは1〜4の整数、mはYがアルカリ金属の場合は1、アルカリ土類金属の場合は2を示す。)
[R1−CO−NR2−(CH2)n−COO]m−Z−(OH)m' (3)
(式中、R1は炭素数6〜30のアルキル基又は炭素数6〜30のアルケニル基、R2は炭素数1〜4のアルキル基、Zは2価以上の多価アルコールの水酸基を除いた残基、mは1以上の整数、m’は0以上の整数、m+m’はZの価数、nは1〜4の整数を示す。)
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