JP2007147918A - 帯電装置および画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高い耐久性を有し、錆などが発生することがなく、またトナーなどの汚染物質が多少付着しても、その帯電電位の制御性がほとんど損なわれることがなく、長期間にわたって感光体ドラムの帯電電位を適切な範囲に安定的に制御でき、かつ安価な帯電装置を提供する。
【解決手段】 針状電極2と、保持部材3と、2枚の清掃部材4a,4bと、支持部材5と、移動用部材6と、シールドケース7と、板状グリッド8とを含む帯電装置1において、針状電極2の表面に、ボロンを含むニッケル層を形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、帯電装置および画像形成装置に関する。
複写機、プリンタ、ファクシミリなどの、電子写真方式の画像形成装置においては、像担持体として表面に光導電性物質を含む感光層を形成した感光体ドラムを用い、感光体ドラム表面に電荷を付与して均一に帯電させた後、種々の作像プロセスにて画像情報に対応する静電潜像を形成し、この静電潜像を、現像手段から供給されかつトナーを含む現像剤により現像して可視像とし、この可視像を紙などの記録材に転写した後、現像ローラによって加熱および加圧し、記録材に定着させることにより、記録紙上に画像が形成される。
このような画像形成装置では、感光体ドラム表面を帯電させるには、帯電装置が用いられる。帯電装置には、感光体ドラムに対してコロナ放電を行うための電極と、必要に応じて感光体ドラム表面と電極との間に設けられて、電極により感光体ドラム表面に付与される電荷量ひいては感光体ドラム表面の帯電電位を制御する電極であるグリッドと、電極およびグリッドを支持する支持部材とを含んで構成される。グリッドは感光体ドラム表面の帯電電位をほぼ正確に制御できるので、現在では、グリッドを設けた帯電装置が主流になりつつある。グリッドには、ステンレス鋼、タングステンなどからなるワイヤグリッド、ステンレス鋼などからなる金属板(グリッド基材)に多数の貫通孔が形成された多孔板状グリッドなどが使用される。
帯電装置用の電極としては、ワイヤ電極、複数の針状部を有する金属板電極(以後「針状電極」と称す)などが用いられる。これらの中でも、構成部品が少なく、寿命が長く、オゾン発生量が少なく、断線が起こらないので故障が少ないといった利点を有する針状電極が好ましく使用される。針状電極は、主にステンレス鋼などの鉄系金属材料からなる金属板にエッチングを施して複数の針状部を形成することにより作製される。エッチングにより作製される針状電極は、エッチング加工の電極とも呼ばれる。この針状電極のエッチング加工断面は滑らかさに欠け、針状部の先端部分には放電を行うためのエッジが複数存在するため、また、複数の針状部の先端部分に存在するエッジの形状が不揃いであるため、各針状部の放電が不均一になる。その結果、感光体ドラム表面の帯電電位が充分に制御できなくなり、感光体ドラム表面の帯電電位が不均一になる。
また、針状電極の材料になるステンレス鋼などの鉄系金属材料は、高い耐久性を有する反面、高湿環境下での水分、帯電動作時のコロナ放電により発生するオゾンなどによって酸化され易いという欠点を有する。そして、針状電極を長時間にわたって使用する上では、高湿環境下での使用、オゾンとの接触などは避けることができない。このため、ステンレス鋼などの金属材料からなる針状電極では、空気中の水分、オゾンなどによって腐蝕が発生し、その耐久性が低下する。それとともに、針状部からコロナ放電するために針状電極に印加される高圧の制御能力が低下し、感光体ドラム表面の帯電電位が不均一になり、所望の帯電電位を常に安定して感光体ドラム表面に付与できないという解決すべき課題がある。
また、ワイヤ電極においても、コロナ放電により生成するオゾンによって錆、腐食などが発生し、感光体ドラム表面の帯電電位が不均一になるという、針状電極と同様の解決すべき課題がある。
帯電装置における上記のような課題に鑑み、たとえば、一面が開放されるシールドケース内に張設されるワイヤ電極と、ワイヤ電極と感光体ドラムとの間に配置される板状グリッドとを含む帯電装置において、板状グリッドが、ステンレス鋼製多孔板の表面に厚さ約1μmのニッケルめっき層を形成し、さらにその上に厚さ約0.3μmの金めっき層を形成したものである帯電装置が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1の板状グリッドは、ニッケルめっき層を介して金めっき層を形成するので、金めっき層が剥離し難く、耐腐蝕性および感光体ドラム表面の帯電電位の制御性は比較的良好である。しかしながら、この板状グリッドの製造には、ニッケルめっきおよび金めっきという2度のめっき工程を経ることが必須であるため、製造工程が繁雑になり、コストが上昇するという欠点がある。また、この板状グリッドに前記のような好ましい特性を充分に発揮させるには、金めっき層の厚みを0.3μm以上とすることが必要である。加えて、板状グリッドは感光体ドラムとほぼ同じ寸法を有する比較的大きな部材であるから、めっき層を厚くしなければならないことも相俟って、金の使用量は必然的に増加する。しかしながら、そのような金の多用は、帯電装置ひいては画像形成装置の価格を必要以上に上昇させ、画像形成装置の長所の一つである、比較的低価格であることに基因する汎用性を損なうものである。したがって、金などの高価な材料を用いることなく、耐久性および感光体ドラム表面での帯電電位の制御性に優れる針状電極や板状グリッドを有する帯電装置が望まれる。
また、特許文献1と同様にワイヤ電極と、ステンレス鋼製金属板の表面に、パルス電流を用いる電解めっき法により直接金めっき層を形成した板状グリッドとを含む帯電装置が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。この板状グリッドも金めっき層が剥離し難く、特許文献1の板状グリッドと同様に、耐腐蝕性が高く、感光体ドラム表面の帯電電位の制御性も良好である。しかしながら、この板状グリッドにおいても、金めっき層の厚さを0.3μm以上にする必要があるので、特許文献1の帯電装置と同様の欠点がある。
また、ワイヤ電極の少なくとも芯材が鉄−ボロン系アモルファス金属により形成されたコロナ帯電装置が提案されている(たとえば、特許文献3参照)。特許文献3のワイヤ電極を用いると、感光体ドラム表面における帯電むらの発生を減少させ得るという利点がある。しかしながら、このようなワイヤ電極も、オゾンによって酸化され易いという欠点は充分満足できる程度には解消されていない。したがって、該ワイヤ電極に長期的な耐用性を付与するためには、鉄−ボロン系アモルファス金属からなる芯材の表面に、金などからなる被覆層を形成しなければならない。
また、特許文献1〜3の帯電装置は、いずれも、トリメチルシリル基を含有するポリシロキサン類によって表面が疎水化処理されたシリカ(以後特に断らない限り「疎水性シリカ」と称す)を外添剤として含むトナーを用いて画像形成を行う場合に、板状グリッド又はワイヤ電極にポリシロキサン類が付着し、帯電不良を起こし易いという欠点を有する。疎水性シリカを含むトナーは、電子写真方式の画像形成装置において画像形成の高速化を図る上で、現状では必要不可欠な構成要素となっている。
一方、電極の方に金を被覆することも提案されている(たとえば、特許文献4参照)。特許文献4の帯電装置は、めっきにより金、白金、銅、ニッケル又はクロムからなる被覆層がその表面に形成された針状電極を含む。特許文献3では、針状電極の形成にはエッチング、精密プレスなどの方法が用いられるけれども、前述のように、これらの方法により得られる針状電極の断面は滑らかさに欠け、微細な凹凸が生じる。このため、めっきを施しても断面の微細な凹凸がそのまま残り、コロナ放電のバランスを乱して感光体ドラム表面の帯電電位を不均一にする原因になる。また、その微細な凹凸にはトナーなどの汚染物質が付着し易い。すなわち、特許文献4の針状電極は長期的な使用によってトナーなどの汚染物質が付着するので、それが原因になって、感光体ドラム表面の帯電電位が一層不均一になるという欠点がある。
特開平11−40316号公報 特開2001−166569号公報 特開昭61−98368号公報 特開2004−4334号公報
本発明の目的は、高い耐久性を有し、トナー、特に疎水性シリカを含むトナーなどの汚染物質が多少付着しても、その帯電電位の制御性がほとんど損なわれることがなく、長期間にわたって感光体ドラムの帯電電位を適切な範囲に安定的に制御でき、付着する汚染物質を容易に除去でき、かつ安価な帯電装置、および該帯電装置を含み、長期間にわたって高画質画像を記録できる画像形成装置を提供することである。
本発明は、
複数の先鋭状突起部を有し、感光体ドラム表面に電圧を印加して該表面を帯電させる電極と、電極と感光体ドラムとの間に設けられて感光体ドラム表面の帯電電位を制御する板状グリッドとを含む帯電装置において、
電極の少なくとも一方の面に、ボロンを含むニッケル層を形成してなることを特徴とする帯電装置である。
また本発明の帯電装置は、ボロンを含むニッケル層が無電解めっき法により形成されることを特徴とする。
さらに本発明の帯電装置は、ボロンを含むニッケル層の厚さが0.3μm以上であることを特徴とする。
さらに本発明の帯電装置は、電極とボロンを含むニッケル層との間に、さらにニッケル層が形成されてなることを特徴とする。
さらに本発明の帯電装置は、ボロンを含むニッケル層が、ボロンとともにリンを含むことを特徴とする。
また本発明は、
その表面に静電荷像が形成される感光体ドラムと、感光体ドラムの表面を帯電させるための帯電装置と、帯電した感光体ドラム表面に画像情報に基づく信号光を照射して静電荷像を形成する露光手段と、感光体ドラムの表面に形成される静電荷像を現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録材に転写させる転写手段と、記録材に転写されるトナー像を定着させる定着手段とを含む画像形成装置において、
帯電装置が、前述のいずれか1つの帯電装置であることを特徴とする画像形成装置である。
さらに本発明の画像形成装置は、
転写手段によってトナー像を記録媒体に転写した後の感光体ドラム表面を清浄化するクリーニング手段をさらに含み、
現像手段および/またはクリーニング手段が、
帯電装置よりも上方に配置されることを特徴とする。
さらに本発明の画像形成装置は、
トナー像が疎水性シリカを外添剤として含むトナーにより形成されることを特徴とする。
本発明によれば、複数の先鋭状突起部を有し、感光体ドラム表面に電圧を印加する板状電極(以後「針状電極」と称す)であって、その表面に、ボロンを含むニッケル層(以後特に断らない限り「ボロン含有ニッケル層」と称す)が表面に形成された針状電極と、該針状電極と感光体ドラムとの間に設けられて感光体ドラム表面の帯電電位を制御する板状グリッドとを含む帯電装置が提供される。該針状電極は、複数の先鋭状突起部を有しかつその表面がボロン含有ニッケル層によって被覆されるという構造的な特徴により、感光体ドラム表面に対するコロナ放電性に優れ、感光体ドラム表面の帯電電位を適正な範囲にかつ均一に制御できる。また該針状電極は、高い耐久性を有し、前述の帯電電位制御性を長期間にわたって安定的に発揮できる。また該針状電極は、表面がボロン含有ニッケル層で被覆されることによって、その表面に付着するトナーなどの汚染物質を一般的な清掃手段にて容易に除去できる。したがって、該針状電極を有する帯電装置を備える画像形成装置は、長期間にわたって高画質画像を記録することができる。特に、疎水性シリカを外添剤として含むトナーを用いて画像形成を行う場合に、優れた耐用性を発揮する。さらに、該針状電極は、基材の表面に、従来技術のような金めっき層ではなく、ボロン含有ニッケルめっき層を形成しただけなので、従来技術の針状電極に比べて安価であるという利点を有する。本発明の帯電装置は、オゾンに対して優れた耐久性を有するので、たとえば、複数の帯電装置を同時に駆動させることによって多量のオゾンが発生するタンデム方式のカラー画像形成装置に特に好適に使用できる。
本発明によれば、ボロン含有ニッケル層を無電解めっき法にて針状電極表面に形成することによって、直流電流による通常の電解めっき法により得られるボロン含有ニッケル層に比べて、組織が緻密で硬く、ピンホールが少なく、層厚が薄くても均一で、針状電極に対して高い密着性を有するボロン含有ニッケル層が得られ、表面の荒れた断面を滑らかにするので、針状電極板の帯電電位制御性および耐久性が一層向上する。さらに、トナーなどの汚染物質が付着し難くなる。
本発明によれば、針状電極板におけるボロン含有ニッケル層の層厚を0.3μm以上にすることによって、針状電極板の帯電電位制御性および耐久性が確実に発揮される。
本発明によれば、針状電極において、針状電極基材とボロン含有ニッケル層との間に、ニッケルめっき層をさらに形成することによって、ボロン含有ニッケル層の針状電極基材からの剥離が一層防止され、針状電極としての耐久性がさらに向上する。したがって、さらに長期間にわたって、感光体ドラム表面の帯電電位を安定的に制御できる帯電装置が得られる。
本発明によれば、針状電極において、ボロン含有ニッケル層が、ボロンとともにリンを含むことによって、該層の針状電極基材に対する密着性が向上し、針状電極としての耐久性が一層向上する。
本発明によれば、感光体ドラムと、帯電装置と、露光手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを含む画像形成装置において、帯電装置として、その表面にボロン含有ニッケル層を形成してなる針状電極を有する本発明の帯電装置を用いることによって、静電潜像を形成する際の、感光体ドラム表面の帯電電位を適正な範囲に安定的に維持できるので、長期間にわたって高画質画像を記録することができ、かつ従来技術のように金めっき層を有しないので、価格の低い画像形成装置が得られる。
本発明によれば、感光体ドラム表面を清浄化するクリーニング手段をさらに含み、現像手段および/またはクリーニング手段が帯電装置よりも上方に配置された画像形成装置が提供される。特にタンデム方式のカラー画像形成装置を設計する場合、現像手段およびクリーニング手段を帯電装置よりも上方に配置することによって、画像形成装置の構成の簡易化、小型化などを図り得るけれども、そのような配置では感光体ドラム表面の帯電不良が起こり易いという欠点がある。しかしながら、本発明の帯電装置を用いる画像形成装置では、現像手段および/またはクリーニング手段を帯電装置の上方に配置する構成を採用しても、帯電不良の発生が著しく抑制され、長期にわたって高画質高品位画像を形成できる。
本発明によれば、本発明の画像形成装置において、画像形成速度の高速化のために、外添剤として疎水性シリカを含むトナーを用いても、帯電装置の劣化による帯電不良が発生しにくく、長期にわたって高画質高品位画像を形成できる。
帯電装置1は、複数の先鋭状突起部10を有する板状の針状電極2と、針状電極2を保持する保持部材3と、針状電極2に対して相対的に移動可能に設けられ、移動時に針状電極2を擦過することによって針状電極2の表面を清掃する2枚の清掃部材4a,4bと、清掃部材4a,4bを支持する支持部材5と、清掃部材4a,4bおよび支持部材5を移動させる移動用部材6と、針状電極2、保持部材3、清掃部材4a,4bおよび支持部材5を収容するシールドケース7と、図示しない感光体ドラム表面の帯電電位を調整する板状グリッド8とを含む構成である。この帯電装置1は、図示しない感光体ドラムを臨み感光体ドラムの長手方向に沿って配置される。
針状電極2は、たとえばステンレス鋼製の薄板状部材であり、一方向に長く延びる平板部9と平板部9の短手方向の一端面から短手方向に突出するように形成される先鋭状の突起部10とによって構成される針状電極基板の表面にボロン含有ニッケル層が形成されたものである。針状電極2の寸法について例示すると、平板部9の短手方向の長さL1は、10mm程度が好ましく、突起部10の突出方向の長さL2は、2mm程度が好ましく、突起部10の先端の曲率半径Rは、40μm程度が好ましく、突起部10の形成されるピッチTPは、2mm程度が好ましい。
針状電極2は、公知の方法に従って製造できる。その一例として、化学研磨工程、水洗工程、酸浸漬工程、水洗工程、純水浸漬工程、ニッケル層形成工程、ボロン含有ニッケル層形成工程、水洗処理および乾燥処理を含む製造法が挙げられる。これらの工程のうち、ニッケル層形成工程は必須の工程ではなく、必要に応じて実施される。ニッケル層の形成は、たとえば、一般的なめっき法によって実施できる。
化学研磨工程では、板金に複数の先鋭状突起部が形成されるように、マスキングおよびエッチングを行う。マスキングは公知の方法に従って実施できる。エッチングも公知の方法に従って実施でき、たとえば、塩化第2鉄水溶液などのエッチング液を板金に噴霧する方法などが挙げられる。ここで、板金の材料になる金属としては、電圧の印加によりコロナ放電が可能であり、また先鋭状突起部の形成が可能でありかつめっき可能なものであれば特に制限なく使用でき、たとえば、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、銅、鉄などが挙げられる。これらの中でも、ステンレス鋼が好ましい。ステンレス鋼の具体例としては、たとえば、SUS304、SUS309、SUS316などが挙げられ、これらの中でもSUS304が好ましい。板金の厚さは特に制限されないけれども、好ましくは0.05〜1mm、さらに好ましくは0.05〜0.3mmである。
化学研磨工程で複数の先鋭状突起部が形成される板金は、水洗工程、酸浸漬工程、水洗工程および純水浸漬工程において、水洗、酸洗浄または純水洗浄を施され、その表面から異物が除去され、針状電極基板が得られる。
ボロン含有ニッケル層形成工程において、ボロン含有ニッケル層は、たとえば、特許第3027515号明細書に開示されるように、触媒ニッケルめっき法(カニゼン法)などの無電解ニッケルめっき法に従って形成できる。
ここで、ボロン含有ニッケルめっき液としては、たとえば、ニッケル塩(硫酸ニッケル、塩化ニッケル、酢酸ニッケル、炭酸ニッケルなど)を含む水溶液に、さらに還元剤としてジメチルアミノボラン[(CHNHBH]、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)、ジメチルアミノホウ素、ジエチルアミノホウ素などのボロン含有化合物が添加されてなるめっき液が使用される。めっき液のpHは、好ましくは6〜7程度、さらに好ましくは6.2前後に調整される。ボロン化合物のめっき液への添加量も特に制限されないけれども、形成されるボロン含有ニッケルめっき層中に好ましくは0.1〜1.0重量%、さらに好ましくは0.2〜0.5重量%のボロンが含まれるように調整すればよい。このめっき液には、リン酸およびその塩の適量が含まれていてもよい。リン酸およびその塩としては、たとえば、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸ニッケルなどの次亜リン酸およびその塩などが挙げられる。ボロン含有ニッケルめっき液としては市販品を用いることもできる。ボロン含有ニッケルめっき液の液温は、好ましくは30〜95℃またはそれ以上、さらに好ましくは80〜95℃である。
前記の組成、pHおよび液温を有するボロン含有ニッケルめっき液に針状電極基板を浸漬し、無電解めっきを行うことにより、該基板の表面にボロン含有ニッケルめっき層が形成される。
ボロン含有ニッケルめっき層中におけるボロンの含有量は、前述したように、好ましくは該めっき層全量の0.1〜1.0重量%、さらに好ましくは0.2〜0.5重量%であり、残部がニッケルである。ボロン含有ニッケルめっき層がボロンとともにリンを含む場合、ボロンは前記と同じ含有量であり、リンの含有量は好ましくは該めっき層全量の0.5〜3重量%、さらに好ましくは1.0〜2.0重量%であり、残部がニッケルである。
ボロン含有ニッケルめっき層の層厚は特に制限はないけれども、好ましくは0.3μm以上、さらに好ましくは0.3〜20μm、特に好ましくは4〜20μmである。無電解めっきにより形成されるボロン含有ニッケルめっき層は、めっき液の液剤が針状電極基板の表面に均等に付着するので、めっき層の層厚が0.3μm程度と非常に薄い場合でも、層厚のばらつきがなく均一でかつピンホールの非常に少ないという好ましい特性を有する。さらに、めっき組織が緻密で、針状電極基板の表面に対して高い密着性を有し、長期間にわたって使用しても、剥離などを起こすことがない。
厚さが0.3μm未満では、ピンホールが発生しやすく不均一のものとなり、ピンホールを介して針状電極基板のステンレス鋼が腐食される。その結果、離型性が劣化し、針状電極(鋸歯電極)先端部に付着物が堆積して帯電電位が部分的に不安定になりやすい。一方、20μmを大幅に超えると、ストレスによりめっき皮膜が剥離する恐れがある。なお、ボロン含有ニッケルめっき層の厚さは、めっき時間の長さにほぼ比例するので、所望の厚さのめっき層を得るためには、針状電極基板のめっき液への浸漬時間を適宜変更すれば良い。
ところで、シャープな先端部を得るためにフォトエッチングで製作された針状電極(鋸歯電極)は、電子顕微鏡で観察すると、エッチング面が結晶粒界による微小な凹凸が生じた粗面となっている。めっき層の厚みが4〜20μmになると、この微小な凹凸を吸収する効果が大きくなり、一層滑らかな表面が得られる。一方、めっき液の液温を80℃以上に管理すると、めっき層を厚みを確保しても鍾乳洞の壁面のような凹凸がある表面または粒状の表面が形成されるのが一層低減化される。表面に凹凸があるかまたは表面が粒状であると、不測の事態により針状電極(鋸歯電極)の先端に異物が付着して帯電不良が起きたときに、帯電装置に備えられる合成樹脂(たとえばポリエチレンテレフタレートなど)製のシート小片で針状電極表面を摺擦および清浄化するクリーナーをもってしても異物を除去しきれず、帯電不良から回復不能になってしまう可能性がある。したがって、適切なめっき条件を選択してたとえば厚さ10μmに形成しためっき層は非常に滑らかな表面を有し、先端に異物が付着してもクリーナーで簡単に除去でき、帯電性能を回復できる。
また、ボロン含有ニッケル層形成工程は、電気めっきによって実施することができる。めっき浴としては、無電解めっきのめっき浴と同様のものを使用できる。電気めっきの条件は、一般的なニッケルの電気めっきと同じである。電気めっきによるボロン含有ニッケルめっきでは、電気めっきに特有の傾向、すなわちエッジ部分にめっきが乗り易い傾向があるので、めっき層の層厚を均一にするために層厚を大きくする必要があり、好ましくは層厚を3μm以上にすることが必要である。
なお、ボロン含有ニッケルめっき層を形成する際、無電解めっきまたは電気めっきのいずれを選択するかは、それぞれのめっき法の特徴とコストに応じて決定すればよい。
針状電極2を保持する保持部材3は、針状電極2と同様に一方向に長く延び、長手方向に直交する断面が逆T字状の部材であり、たとえば樹脂製である。針状電極2は、その長手方向の両端部付近において、保持部材3の突出部分の一側面に、ねじ部材11によってねじ止めされる。この針状電極2には、前述の感光体ドラム19を帯電させるべく動作中は、コロナ放電するために5kV程度の電圧が印加される。
清掃部材4a,4bは、板状の形状、より詳しくは平面投影形状がT字状を有し、厚さtが20〜40μmの金属素材または高分子材料の弾性体からなる。厚さtが20μm未満では、針状電極2に当接する際に容易に変形するけれども、変形に伴う反力である針状電極2に対する押圧力が弱くなるので、針状電極2に付着する汚染物質を充分に除去できない。厚さtが40μmを超えると、針状電極2に付着する汚染物質を充分に除去できるけれども、剛性が高くなって針状電極2に対する押圧力が強くなり過ぎるので、針状電極2の突起部10先端を変形破損するおそれがある。この結果、厚さtが20〜40μmの範囲を外れると、帯電不良による画像むらなどが発生する可能性がある。清掃部材4a,4bを構成する金属素材としては、りん青銅、普通鋼、ステンレス鋼などを使用できる。これらの中でも、清掃部材4a,4bがコロナ放電によって発生するオゾン雰囲気中で使用されることを考慮すると、耐酸化性に基づく耐久寿命の観点から、ステンレス鋼が好ましい。ステンレス鋼としては、日本工業規格(JIS)G4305に規定されるオーステナイト系ステンレス鋼であるSUS304またはフェライト系ステンレス鋼であるSUS430などが代表例として挙げられるけれども、これらに限定されることなく、他のステンレス鋼を用いてもよい。
清掃部材4a,4bの硬さは、米国材料試験協会(ASTM)規格D785に規定されるロックウェル硬さMスケールで115以上であることが望ましい。ロックウェル硬さが115未満では、軟質にすぎるので、針状電極2に当接させて擦過するとき、清掃部材4a,4bが必要以上に変形し過ぎて清掃効果が得られない。清掃部材4a,4bの硬さが高くても特に機能上の問題が現出しないので上限を設ける必要がないけれども、ロックウェル硬さMスケールの上限値が130であるので、あえて上限を設けるとすれば130である。
清掃部材4a,4bの、針状電極2と当接する部分であるT字の縦棒部分における幅寸法w、すなわち清掃部材4a,4bの移動方向に対して垂直方向かつ突起部10が延びる方向に対して垂直方向における清掃部材4a,4bの寸法wは、3.5mm以上に形成するのが望ましい。幅寸法wが3.5mm未満では、針状電極2に押圧されて変形する際に生じる力の単位面積あたりの値が大きくなるので、繰返し変形に対する疲労破壊を起こしやすくなり、耐久寿命が低下する。幅寸法wを3.5mm以上にすることによって、前述した力の単位面積あたりの値を小さくして繰返し変形に対する耐久寿命を長くできるけれども、過度に幅広にすると剛性が強くなり過ぎるとともに、装置が大型化するので、上限は10mm程度に設定されるのが望ましい。
なお、清掃部材4a,4bと針状電極2とは、清掃部材4a,4bに対する針状電極2の突起部10の食込み量dが、0.2〜0.8mmになるように配置されるのが好ましい。ここで、食込み量dは、清掃部材4a,4bと突起部10とを、清掃部材4a,4bが針状電極2に対して相対的に移動する方向に垂直な仮想平面に投影させた状態で、清掃部材4a,4bと突起部10とが、突起部10の延びる方向に重なり合う長さを意味する。食込み量dが0.2mm未満では、清掃部材4a,4bの変形に伴う反力である針状電極2に対する押圧力が弱くなるので、針状電極2に付着する汚染物質を充分に除去できない。食込み量dが0.8mmを超えると、針状電極2に付着する汚染物質は充分に除去できるけれども、清掃部材4a,4bの変形に伴う反力(針状電極2に対する押圧力)が強くなり過ぎるので、針状電極2の突起部10先端を変形破損するおそれがある。この結果、食込み量dが0.2〜0.8mmの範囲を外れると、帯電不良による画像むらなどが発生する可能性が生じる。
支持部材5は、清掃部材4a,4bを支持する逆L字状の形状を有する部材であり、その梁状部分に、T字状を有する清掃部材4a,4bの腕部分が装着される。2枚の清掃部材4a,4bは、針状電極2に対して相対的に移動する方向に関して予め定められる間隔L3を有するように設けられる。間隔L3は、一方の清掃部材4aが針状電極2に当接して変形するとき、他方の清掃部材4bが変形している清掃部材4aに当たることのない距離に選ばれ、装着される支持部材5の梁状部分の厚みで調整できる。この間隔L3は、清掃部材4a,4bを構成する素材によって変形状態が変化するので、該素材の変形状態を事前に試験して定めるのが望ましい。清掃部材4a,4bが、たとえば厚さtが30μmのステンレス鋼からなるとき、間隔L3は2mmが好ましい。2枚の清掃部材4a,4bに間隔L3を設けることによって、一方の清掃部材4aが針状電極2を擦過する間中、他方の清掃部材4bによってその変形を阻害されることなく好適範囲の押圧力を維持できるので、針状電極2の先端部を変形損傷させることなく充分に清掃できる。
シールドケース7は、たとえばステンレス鋼製であり、その外観形状が直方体で内部空間を有するとともに、図示しない感光体ドラムを臨む一方の面に開口部を有する容器状の部材である。またシールドケース7は、針状電極2と同一方向に長く延び、長手方向に直交する方向の断面形状が略U字状を有する。シールドケース7の底面15に保持部材3が装着される。また、シールドケース7の内側面13と保持部材3とによって形成される溝部14には、支持部材5の柱状部分の端部が摺動可能に挿入される。
支持部材5の柱状部分には、針状電極2の延びる方向と平行に貫通孔12が形成され、貫通孔12を挿通して移動用部材6が設けられる。移動用部材6は、貫通孔12に挿通される部位で支持部材5に固定されるので、移動用部材6を針状電極2の延びる方向に牽引することによって、支持部材5は、溝部14に対して摺動し、かつ溝部14に案内されて針状電極2の延びる方向に移動できる。すなわち、支持部材5に支持される清掃部材4a,4bを針状電極2に当接させて擦過することができる。
移動用部材6は糸状またはワイヤ状の部材であり、シールドケース7に形成される孔または隙間からシールドケース7の外方に延び、シールドケース7の外面または複写機2の機体に設けられる滑車16a,16bを介してその端部が垂下される。なお、滑車16a,16bと移動用部材6との端部は、図2では省略される。移動用部材6の端部は、画像形成装置1の機体外方にまで延長するのが好ましい。これによって、帯電装置1を画像形成装置1から取外すことなくまたは画像形成装置1を開放することなく、針状電極2の清掃を実施できる。
移動用部材6の牽引により清掃部材4a,4bを針状電極2に当接させて清掃するとき、針状電極2に対する清掃部材4a,4bの押圧力は、10〜30gfになるように調整するのが好ましい。押圧力が10gf未満では、針状電極2に付着するトナー、紙粉などの汚染物質を充分に除去できないおそれがあり、30gfを超えると、針状電極2の突起部10の先端が変形破損するおそれがある。
針状電極2に対する清掃部材4a,4bの押圧力は、たとえば、次のようにして調整できる。移動用部材6の一方の端部に錘を吊り下げた状態で、清掃部材4aまたは清掃部材4bに負荷される力の大きさを測定する。測定は、たとえば、清掃部材4aまたは清掃部材4bにばね秤を接続して行われる。そして、清掃部材4aまたは清掃部材4bに負荷される力が10〜30gfになる錘を選定し、針状電極2を清掃するに際して、予め選定した錘を移動用部材6の端部に吊り下げることによって、所定の押圧力で清掃できる。また、移動用部材6の端部に回転トルクを調整した電動機を接続し、所定の押圧力を負荷できるようにしてもよい。
板状グリッド8は、針状電極2と図示しない感光体ドラムとの間に設けられ、このものに電圧が印加されることによって、図示しない感光体ドラム表面の帯電状態のばらつきを調整し、帯電電位を均一化する。板状グリッド8は、針状電極2と同様金属素材を含んで構成される。また、板状グリッド8は、化学研磨工程において多孔状に形成されるようにマスキングおよびエッチングを行う以外は、針状電極2と同様に作製できる。さらに、板状グリッド8には、針状電極2と同様のニッケルめっき、ボロン含有ニッケルめっきなどを施すことができる。
帯電装置1によれば、針状電極2に電圧が印加されることによりコロナ放電が起こり、図示しない感光体ドラムの表面が帯電されるとともに、板状グリッド8に所定のグリッド電圧が印加されることにより、感光体ドラムの表面の帯電状態が均一化されるので、図示しない感光体ドラムの表面を所定の電位および極性に帯電させることができる。また、移動用部材6の牽引により、支持部材5ひいては針状電極2に当接する清掃部材4a,4bが移動し、針状電極2に付着するトナーなどの汚染物質が効率良くかつ確実に除去される。
図3は、本発明の他の実施形態である画像形成装置61の構成を概略的に示す断面図である。
画像形成装置61は、複写機能、プリンタ機能およびファクシミリ機能を併せ持つ複合機であり、伝達される画像情報に応じて、記録紙などの記録媒体上にフルカラーまたはモノクロの画像を形成する。すなわち、画像形成装置61においては、コピアモード(複写モード)、プリンタモードおよびFAXモードという3種の印刷モードを有しており、図示しない操作部からの操作入力、パーソナルコンピュータなどの外部ホスト装置からの印刷ジョブの受信などに応じて、図示しない制御部により、印刷モードが選択される。
画像形成装置61は、感光体ドラム19、帯電装置1、露光ユニット63、現像装置20、クリーニングユニット64、転写ユニット65、定着ユニット66、用紙搬送路S、自動給紙トレイ67、手差給紙トレイ68、排紙部69を含んで構成される。すなわち、画像形成装置61は、本発明の帯電装置1を含むことを特徴とする。
この画像形成装置61は、フルカラープリンタであり、画像情報が、ブラック(b)、シアン(c)、マゼンタ(m)、イエロー(y)の各色を用いるカラー画像に応じたものである。したがって、感光体ドラム19、帯電装置1、現像装置20、クリーニングユニット64および転写ユニット65に備えられる転写ローラ71は、各色に対応してそれぞれ4つ設けられる。ここでは、各色に応じて4つずつ設けられる各部は、各色を表すアルファベットを参照符号の末尾に付して区別し、総称する場合は参照符号のみで表す。なお、露光ユニット63は、ユニット内で画像情報をb,c,m,yの各色情報の光に分岐し、各色情報の光を各色の静電潜像が形成される感光体ドラム19に対して照射して露光する。したがって、露光ユニット63としては、たとえばレーザ照射部および複数の反射ミラーを備えるレーザスキャニングユニット1つが設けられる。
帯電装置1、現像装置20、転写ローラ71、クリーニングユニット64は、感光体ドラム19まわりに、この順序で配置される。帯電装置1は、現像装置20およびクリーニングユニット64よりも鉛直方向において下方に配置される。露光ユニット63は、露光ユニット63から出射される各色情報の光が、帯電装置1と現像装置20との間を通して感光体ドラム19の表面に照射されるように配置される。
感光体ドラム19は、図示しない駆動手段により、軸線回りに回転駆動可能に支持され、図示しない、円筒状、円柱状または薄膜シート状、好ましくは円筒状の導電性基体と、導電性基体の表面に形成される感光層とを含んで構成される。
導電性基体の材料になる導電性材料としては、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、アルミニウム、銅、真鍮、亜鉛、ニッケル、ステンレス鋼、クロム、モリブデン、バナジウム、インジウム、チタン、金、白金などの金属、これらの2種以上の合金、合成樹脂フィルム、金属フィルム、紙などのフィルム状基体にアルミニウム、アルミニウム合金、酸化錫、金、酸化インジウムなどの1種または2種以上からなる導電性層を形成してなる導電性フィルム、導電性粒子および/または導電性ポリマーを含有する樹脂組成物などが挙げられる。なお、導電性フィルムに用いられるフィルム状基体としては、合成樹脂フィルムが好ましく、ポリエステルフィルムが特に好ましい。また、導電性フィルムにおける導電性層の形成方法としては、蒸着、塗布などが好ましい。
感光層は、たとえば、電荷発生物質を含む電荷発生層と、電荷輸送物質を含む電荷輸送層とを積層することにより形成される。その際、導電性基体と電荷発生層または電荷輸送層との間には、下引き層を設けるのが好ましい。下引き層を設けることによって、導電性基体の表面に存在する傷および凹凸を被覆して、感光層表面を平滑化する、繰り返し使用時における感光層の帯電性の劣化を防止する、低温および/または低湿環境下における感光層の帯電特性の向上させるといった利点が得られる。
電荷発生層は、光照射により電荷を発生する電荷発生物質を主成分とし、必要に応じて公知の結着剤樹脂、可塑剤、増感剤などを含有する。電荷発生物質としては、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ペリレンイミド、ペリレン酸無水物などのペリレン系顔料、キナクリドン、アントラキノンなどの多環キノン系顔料、金属および無金属フタロシアニン、ハロゲン化無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、スクエアリウム色素、アズレニウム色素、チアピリリウム色素、カルバゾール骨格、スチリルスチルベン骨格、トリフェニルアミン骨格、ジベンゾチオフェン骨格、オキサジアゾール骨格、フルオレノン骨格、ビススチルベン骨格、ジスチリルオキサジアゾール骨格またはジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料などが挙げられる。これらの中でも、無金属フタロシアニン顔料、オキソチタニルフタロシアニン顔料、フローレン環および/またはフルオレノン環を含有するビスアゾ顔料、芳香族アミンからなるビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料などは高い電荷発生能を有し、高感度の感光層を得るのに適する。電荷発生物質は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。電荷発生物質の含有量は特に制限はないけれども、電荷発生層中の結着剤樹脂100重量部に対して好ましくは5〜500重量部、さらに好ましくは10〜200重量部である。
電荷発生層用の結着剤樹脂としてもこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリカーボネート、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、ポリアミド、ポリエステルなどが挙げられる。結着剤樹脂は1種を単独で使用できまたは必要に応じて2種以上を併用できる。
電荷発生層は、電荷発生物質および結着剤樹脂ならびに必要に応じて可塑剤、増感剤などのそれぞれ適量を、これらの成分を溶解または分散し得る適切な有機溶媒に溶解または分散して電荷発生層塗液を調製し、この電荷発生層塗液を導電性基体表面に塗布し、乾燥することにより形成できる。このようにして得られる電荷発生層の膜厚は特に制限されないが、好ましくは0.05〜5μm、さらに好ましくは0.1〜2.5μmである。
電荷発生層の上に積層される電荷輸送層は、電荷発生物質から発生する電荷を受け入れて輸送する能力を有する電荷輸送物質および電荷輸送層用の結着剤樹脂を必須成分とし、必要に応じて公知の酸化防止剤、可塑剤、増感剤、潤滑剤などを含有する。電荷輸送物質としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒ縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリル)アントラセン、1,1−ビス(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、ピラゾリン誘導体、フェニルヒドラゾン類、ヒドラゾン誘導体、トリフェニルアミン系化合物、テトラフェニルジアミン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、スチルベン系化合物、3−メチル−2−ベンゾチアゾリン環を有するアジン化合物などの電子供与性物質、フルオレノン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、インデノチオフェン誘導体、フェナンスレンキノン誘導体、インデノピリジン誘導体、チオキサントン誘導体、ベンゾ[c]シンノリン誘導体、フェナジンオキサイド誘導体、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、プロマニル、クロラニル、ベンゾキノンなどの電子受容性物質などが挙げられる。電荷輸送物質は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。電荷輸送物質の含有量は特に制限されないけれども、好ましくは電荷輸送物質中の結着剤樹脂100重量部に対して10〜300重量部、さらに好ましくは30〜150重量部である。
電荷輸送層用の結着剤樹脂としては、この分野で常用されかつ電荷輸送物質を均一に分散できるものを使用でき、たとえば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、ポリアミド、ポリエステル、ポリケトン、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂、これらの共重合樹脂などが挙げられる。これらの中でも、成膜性、得られる電荷輸送層の耐摩耗性、電気特性などを考慮すると、ビスフェノールZをモノマー成分として含有するポリカーボネート(以後「ビスフェノールZ型ポリカーボネート」と称す)、ビスフェノールZ型ポリカーボネートと他のポリカーボネートとの混合物などが好ましい。結着剤樹脂は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
電荷輸送層には、電荷輸送物質および電荷輸送層用の結着剤樹脂と共に、酸化防止剤が含まれるのが好ましい。酸化防止剤としてもこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ビタミンE、ハイドロキノン、ヒンダードアミン、ヒンダードフェノール、パラフェニレンジアミン、アリールアルカンおよびそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物などが挙げられる。酸化防止剤は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。酸化防止剤の含有量は特に制限されないけれども、電荷輸送層を構成する成分の合計量の0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%である。
電荷輸送層は、電荷輸送物質および結着剤樹脂ならびに必要に応じて酸化防止剤、可塑剤、増感剤などのそれぞれ適量を、これらの成分を溶解または分散し得る適切な有機溶媒に溶解または分散して電荷輸送層用塗液を調製し、この電荷輸送層用塗液を電荷発生層表面に塗布し、乾燥することにより形成できる。このようにして得られる電荷発生層の膜厚は特に制限されないが、好ましくは10〜50μm、さらに好ましくは15〜40μmである。
なお、1つの層に、電荷発生物質と電荷輸送物質とが存在する感光層を形成することもできる。その場合、電荷発生物質および電荷輸送物質の種類、含有量、結着剤樹脂の種類、その他の添加剤などは、電荷発生層および電荷輸送層を別々に形成する場合と同様でよい。
本実施の形態では、前述のような、電荷発生物質および電荷輸送物質を用いる有機感光層を形成してなる感光体ドラムを用いるけれども、それに代えて、シリコンなどを用いる無機感光層を形成してなる感光体ドラムを用いることもできる。
帯電装置1は、図1および図2に示す帯電装置1である。帯電装置1は、感光体ドムラ19を臨み、感光体ドラム19の長手方向に沿って配置される。露光ユニット63は、帯電装置1によって一様な電位に帯電された感光体ドラム19の表面を各色の画像情報に応じて露光し、その表面に静電潜像を形成する。
現像装置20は、現像槽17とトナーホッパ18とを含んで構成される。現像槽17は感光体ドラム19表面を臨むように配置され、感光体ドラム19の表面に形成された静電潜像にトナーを供給して現像し、可視像であるトナー像を形成する。現像槽17の内部には、現像槽の開口部において感光体ドラム19を臨む位置に現像ローラが回転駆動可能に設けられる。現像ローラは感光体ドラム19上の静電潜像にトナーを供給するローラ状部材である。また現像ローラとともに、供給ローラおよび攪拌ローラが設けられる。供給ローラは現像ローラを臨んで回転駆動可能に設けられるローラ状部材であり、現像ローラ周辺にトナーを供給する。攪拌ローラは供給ローラを臨んで回転駆動可能に設けられるローラ状部材であり、トナーホッパ18から現像槽17内に新たに供給されるトナーを供給ローラ周辺に送給する。トナーホッパ18は、その鉛直方向下部に設けられるトナー補給口(図示せず)と、現像槽17の鉛直方向上部に設けられるトナー受入口(図示せず)とが連通するように設けられ、現像槽17のトナー消費状況に応じてトナーを補給する。
ここで使用されるトナーとしては、この分野で常用されるものをいずれも使用できる。たとえば、結着樹脂、着色剤、電荷制御剤、離型剤などを含むものが用いられる。
結着樹脂としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、スチレン系重合体、ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂などが挙げられる。
着色剤として、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、イエロートナー用着色剤、マゼンタトナー用着色剤、シアントナー用着色剤、ブラックトナー用着色剤などが挙げられる。イエロートナー用着色剤としては、たとえば、カラーインデックスによって分類されるC.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー5、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17などのアゾ系顔料、黄色酸化鉄、黄土などの無機系顔料、C.I.アシッドイエロー1などのニトロ系染料、C.I.ソルベントイエロー2、C.I.ソルベントイエロー6、C.I.ソルベントイエロー14、C.I.ソルベントイエロー15、C.I.ソルベントイエロー19、C.I.ソルベントイエロー21などの油溶性染料などが挙げられる。マゼンタトナー用着色剤としては、たとえば、カラーインデックスによって分類されるC.I.ピグメントレッド49、C.I.ピグメントレッド57、C.I.ピグメントレッド81、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ソルベントレッド19、C.I.ソルベントレッド49、C.I.ソルベントレッド52、C.I.ベーシックレッド10、C.I.ディスパーズレッド15などが挙げられる。シアントナー用着色剤としては、たとえば、カラーインデックスによって分類されるC.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ソルベントブルー55、C.I.ソルベントブルー70、C.I.ダイレクトブルー 25、C.I.ダイレクトブルー86などが挙げられる。ブラックトナー用着色剤としては、たとえば、チャンネルブラック、ローラーブラック、ディスクブラック、ガスファーネスブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラックが挙げられる。これら各種カーボンブラックの中から、得ようとするトナーの設計特性に応じて、適切なカーボンブラックを適宜選択すればよい。
着色剤は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。また、同色系のものを2種以上用いることができ、異色系のものをそれぞれ1種または2種以上用いることもできる。
着色剤の使用量は特に制限されないけれども、好ましくは結着樹脂100重量部に対して、5〜20重量部である。着色剤をこの範囲で用いることによって、トナーの各種物性を損なうことなく、高い画像濃度を有し、画質品位の非常に良好な画像を形成することができる。
電荷制御剤としてはこの分野で常用される正電荷制御用および負電荷制御用のものを使用できる。正電荷制御用の電荷制御剤としては、たとえば、塩基性染料、第四級アンモニウム塩、アミノピリン、ピリミジン化合物、多核ポリアミノ化合物、アミノシラン、ニグロシン染料などが挙げられる。負電荷制御用の電荷制御剤としては、オイルブラック、巣ピロンブラックなどの油溶性染料、含金属アゾ化合物、ナフテン酸金属塩、サリチル酸金属塩、脂肪酸石鹸、樹脂酸石鹸などが挙げられる。電荷制御剤は1種を単独で使用できまたは必要に応じて2種以上を併用できる。電荷制御剤の使用量は特に制限されず広い範囲から適宜選択できるけれども、好ましくは、結着樹脂100重量部に対して0.5〜3重量部である。
離型剤としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、パラフィンワックスおよびその誘導体、マイクロクリスタリンワックスおよびその誘導体などの石油系ワックス、フィッシャートロプシュワックスおよびその誘導体、ポリオレフィンワックスおよびその誘導体、低分子量ポリプロピリンワックスおよびその誘導体、低分子量ポリエチレンワックスおよびその誘導体などの炭化水素系合成ワックス、カルナバワックスおよびその誘導体、ライスワックスおよびその誘導体、キャンデリラワックスおよびその誘導体、木蝋などの植物系ワックス、蜜蝋、鯨蝋などの動物系ワックス、脂肪酸アミド、フェノール脂肪酸エステルなどの油脂系合成ワックス、長鎖カルボン酸およびその誘導体、長鎖アルコールおよびその誘導体などが挙げられる。なお、誘導体には、酸化物、ビニル系モノマーとワックスとのブロック共重合物、ビニル系モノマーとワックスとのグラフト変性物などが含まれる。ワックスの使用量は特に制限されず広い範囲から適宜選択できるけれども、好ましくは、結着樹脂100重量部に対して0.2〜20重量部である。
さらに、外添剤として流動性改良剤を含むことができる。流動性改良剤は、たとえば、トナー表面に付着させることによってその効果を発揮する。流動性改良剤としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、シリカ、酸化チタン、炭化ケイ素、酸化アルミニウムなどが挙げられる。流動性改良剤は、たとえば、トリメチルシリル基を有するポリオルガノシロキサンなどによってその表面が疎水化処理されたものでもよい。疎水化処理は、たとえば、シリカなどに施すのが好ましい。疎水化処理された流動性改良剤、特に疎水化処理されたシリカは、一般に帯電装置の電極などに付着してその感光体ドラム帯電能力を低下させ、帯電不良を発生させることが多い。しかしながら、本発明の帯電装置1を用いれば、疎水化処理されたシリカを含むトナーを用いて画像形成を行っても、帯電不良ひいては画像不良の発生は起こらない。流動性改良剤は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。流動性改良剤の使用量は特に制限されないけれども、好ましくは、トナー粒子100重量部に対して0.1〜3.0重量部である。
クリーニングユニット64は、転写ユニット65によって記録媒体にトナー像を転写した後に、感光体ドラム19の表面に残留するトナーを除去し、感光体ドラム19の表面を清浄化する。クリーニングユニット64には、たとえば、クリーニングブレードなどの板状部材が用いられる。なお、本発明の画像形成装置においては、感光体ドラム19として、主に有機感光体ドラムが用いられ、有機感光体ドラムの表面は樹脂成分を主体とするものであるため、帯電装置によるコロナ放電によって発生するオゾンの化学的作用によって表面の劣化が進行しやすい。ところが、劣化した表面部分はクリーニングユニット64よる擦過作用を受けて摩耗し、徐々にではあるが確実に除去される。したがって、オゾンなどによる表面の劣化の問題が実際上解消され、長期間にわたって、帯電動作による帯電電位を安定に維持することができる。
転写ユニット65は、感光体ドラム19の上方に配置され、転写ベルト72、転写ベルト駆動ローラ73、転写ベルト従動ローラ74、転写ローラ71(b,c,m,y)および転写ベルトクリーニングユニット75を含んで構成される。転写ベルト駆動ローラ73、転写ベルト従動ローラ74および転写ローラ71は、転写ベルト72を張架し、転写ベルト駆動ローラ73の回転駆動によって、転写ベルト72を矢符B方向へ回転駆動させる。
矢符B方向へ回転駆動される転写ベルト72は中間転写ベルトであり、各感光体ドラム19に接触するように設けられる。転写ベルト72が、感光体ドラム19に接しながら感光体ドラム19を通過する際、転写ベルト72を介して感光体ドラム19に対向配置される転写ローラ71から、感光体ドラム19表面のトナーの帯電極性とは逆極性の転写バイアスが印加され、感光体ドラム19の表面に形成されたトナー像が転写ベルト72上へ転写される。フルカラー画像の場合、各感光体ドラム19で形成される各色のトナー画像が、転写ベルト72上に順次重ねて転写されることによって、フルカラーに形成される。
転写ベルトクリーニングユニット75は、転写ベルト従動ローラ74に対向し、転写ベルト従動ローラ74に張架される転写ベルト72の外周面に接触するように設けられる。感光体ドラム19との接触によって転写ベルト72に付着したトナーは、記録媒体の裏面を汚染する原因となるので、転写ベルトクリーニングユニット75が、転写ベルト72表面のトナーを除去し回収する。
トナー像が記録される記録媒体たとえば記録紙は、自動給紙トレイ67に貯留される。本実施形態の画像形成装置61では、自動給紙トレイ67は、装置下部に設けられる。自動給紙トレイ67に貯留される記録紙は、ピックアップローラ78によって1枚ずつ自動給紙トレイ67から取出され、用紙搬送路Sへ送出される。用紙搬送路Sへ送出された記録紙は、用紙搬送路Sの各所に設けられる複数の搬送ローラ81によって搬送され、転写ユニット65において転写ベルト72上に転写された画像の形成位置に同期するようにして、転写ベルト駆動ローラ73と、転写ベルト駆動ローラ73に対向し転写ベルト駆動ローラ73に押圧するように設けられる記録紙転写ローラ79とのニップ部へと送給される。上記ニップ部を通過する記録紙に対して記録紙転写ローラ79から転写バイアスが印加されることによって、トナー像が転写ベルト72から記録紙上に転写される。なお、記録紙は、自動給紙トレイ67からの送給に限定されることなく、手差給紙トレイ68からもう一つの用紙搬送路Sを通って送給されてもよい。
定着ユニット66は、転写ユニット65よりも記録紙の搬送方向下流側に設けられ、加熱ローラ76および加圧ローラ77と、加熱ローラ76の加熱源、加熱ローラ76の温度を検知するセンサおよび加熱ローラ76が所定の温度になるように加熱源の動作を制御する制御部などを含む。加熱ローラ76と加圧ローラ77とは、互いに押圧状態で記録紙を挟圧搬送することができるように設けられる。定着ユニット66は、記録紙が加熱ローラ76と加圧ローラ77とで形成されるニップ部を通過する際、トナー像を加熱および加圧して記録紙に定着させ、堅牢な記録画像とする。
定着ユニット66でトナー像が定着された記録紙は、定着ユニット66の出側に設けられる排紙ローラ80と搬送ローラ81とによって排紙部69へ排紙される。
以下画像形成装置61における画像形成動作について簡単に説明する。画像形成部では、感光体ドラム19の表面を帯電装置1で一様な電位に帯電させ、露光ユニット63で画像情報に応じて露光して静電潜像が形成され、静電潜像が現像装置20によって現像されてトナー像が形成される。各感光体ドラム19の表面上に形成された各色のトナー像は、転写ベルト72上に順次重ねて転写されフルカラー画像となる。
転写ベルト72上に転写されたトナー像は、自動給紙トレイ67からピックアップローラ78でピックアップされ用紙搬送路Sを搬送され、転写ベルト駆動ローラ73と記録紙転写ローラ79とのニップ部まで送給された記録紙の上に転写される。トナー像が転写された記録紙は、定着ユニット66へ搬送され、定着ユニット66で定着処理されて堅牢な記録画像となり、排紙部69に排紙され、一連の画像形成動作が終了する。
画像形成装置61には、帯電装置1が備えられる。このことによって、感光体ドラム19の帯電不良が防止され、長期にわたって高画質高品位の画像を形成できる。
以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
ステンレス鋼(SUS304)からなる板金(寸法20mm×310mm×厚さ0.1mm)にマスキング処理およびエッチング処理を行い、針状電極基材を作製した。なお、エッチングは、ステンレス鋼の板金に30重量%塩化第2鉄水溶液を液温90℃で2時間噴霧することによって行った。エッチング後、針状電極基材をエッチング液から取り出し、水洗および純粋による洗浄を行い、針状電極基材を作製した。
上記で得られた針状電極基材の表面に、電気めっきにより厚さ0.5μmのNiめっき層を形成した。ついで、このNiめっき層を形成した針状電極基材を、ボロン含有ニッケルめっき液中(商品名:コンポジット シューマーSC−93、(株)日本カニゼン製、液温90℃)に60分浸漬し、表面に厚さ10μmのボロン含有ニッケルめっき層が形成された針状電極を製造した。めっき終了後、針状電極をめっき浴から取り出し、水洗および純粋による洗浄を行い、乾燥した。電子顕微鏡でめっき層の表面観察し、非常に滑らかな表面であることを確認した。
この針状電極(鋸歯電極)を、市販の画像形成装置(商品名:AR625、シャープ(株)製)における、帯電装置の針状電極と交換し、本発明の帯電装置および画像形成装置を製造した。この針状電極、帯電装置および画像形成装置を用い、下記の試験を実施した。
〔放電試験〕
過酷試験として、低湿条件(10%以下)で、通紙を伴わないエージングテストを行った。AR625は70枚機であるため、71時間がコピー枚数(300Kライフ)に相当する。このテストで感光体ドラム表面の帯電電位は、初期では−630Vに設定されていた。
〔窒素酸化物および錆の検出〕
錆、窒素酸化物の検出は、放電後の針状電極を顕微鏡観察することによって行った。
結果として、ステンレス素材のままの針状電極に錆等の析出が見られるのに対し、本案のメッキを施した針状電極には、錆等の析出が見られなかった。
なお、実際の複写テストにおける300000枚印刷後でも、ステンレス素材のままの針状電極はクリーニングしない場合、ハーフトーンの画像で、白筋や黒筋が見られるのに対し、本案のメッキを施した針状電極にはハーフトーンの画質は、均一でむらも発生しなかった。
〔異物付着テスト〕
容積約1mの加速テスト用のチャンバー内で疎水性シリカを120℃以上に加熱してチャンバー内を汚染状態とし、この中に本発明の帯電装置を入れて2時間連続放電し、針状電極(鋸歯電極)先端に強制的に異物を付着させて帯電不良の状態とした。その後、本発明の帯電装置をチャンバーより取り出し、帯電装置が備えるクリーナーで摺擦クリーニングを行ったところ、針状電極の先端から異物が除去され、これによって帯電装置の良好な帯電特性が回復した。この帯電装置を市販の画像形成装置(商品名:AR625、シャープ(株)製)に組み込んで画像形成を行ったところ、帯電むらの無い良好な画質の画像が得られることを確認した。
ボロン含有ニッケルめっき層に代えて金めっき層を形成した針状電極(鋸歯電極)を帯電装置に装着し、上記と同様にして異物(疎水性シリカ)を強制付着させた後、クリーニングを行っても帯電特性が回復せず、帯電むらのある画像が形成されるのみであった。
このように、ボロン含有ニッケルめっきの特徴である、表面の滑らかさにより、空気中の埃などの付着物が、ステンレス素材のままの針状電極に比べて少ないと言う特徴とともに、清掃時に簡単に取り除ける事が判明した。これに対してNiめっき層のみでは、汚れが十分に清掃で除去できないため、清掃後に、ハーフトーンの画質は、均一に回復しなかった。
なお、ボロン含有ニッケルめっきよりもさらに廉価なポリテトラフルオロエチレン粉末含有ニッケル無電解めっきは、ボロン含有ニッケルめっきよりも耐熱温度は低いけれども、めっき条件を適宜選択し、たとえば、厚さ10μmのめっきを施すことによって、滑らかなめっき層表面が得られ、クリーニング性能の確保に効果があるものである。
本発明の実施の第1形態である帯電装置の構成を概略的に示す斜視図である。 図1に示す帯電装置の正面図である。 本発明の他の実施形態である画像形成装置の構成を概略的に示す断面図である。
符号の説明
1 帯電装置
2 針状電極
3 保持部材
4a,4b 清掃部材
5 支持部材
6 移動用部材
7 シールドケース
8 板状グリッド
9 平板部
10 突起部
11 ねじ部材
12 貫通孔
13 内側面
14 溝部
15 底面
16a,16b 滑車
17 現像槽
18 トナーホッパ
19 感光体ドラム
20 現像装置
61 画像形成装置
63 露光ユニット
64 クリーニングユニット
65 転写ユニット
66 定着ユニット
67 自動給紙トレイ
68 手差給紙トレイ
69 排紙部
71 転写ローラ
72 転写ベルト
73 転写ベルト駆動ローラ
74 転写ベルト従動ローラ
75 転写ベルトクリーニングユニット
76 加熱ローラ
77 加圧ローラ
78 ピックアップローラ
79 記録紙転写ローラ
80 排紙ローラ
81 搬送ローラ

Claims (8)

  1. 複数の先鋭状突起部を有し、感光体ドラム表面に電圧を印加して該表面を帯電させる電極と、電極と感光体ドラムとの間に設けられて感光体ドラム表面の帯電電位を制御する板状グリッドとを含む帯電装置において、
    電極の少なくとも一方の面に、ボロンを含むニッケル層を形成してなることを特徴とする帯電装置。
  2. ボロンを含むニッケル層が、無電解めっき法により形成されることを特徴とする請求項1記載の帯電装置。
  3. ボロンを含むニッケル層の厚さが0.3μm以上であることを特徴とする請求項1または2記載の帯電装置。
  4. 電極と、ボロンを含むニッケル層との間に、さらにニッケル層が形成されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の帯電装置。
  5. ボロンを含むニッケル層が、ボロンとともにリンを含むことを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか1つに記載の帯電装置。
  6. その表面に静電荷像が形成される感光体ドラムと、感光体ドラムの表面を帯電させるための帯電装置と、帯電した感光体ドラム表面に画像情報に基づく信号光を照射して静電荷像を形成する露光手段と、感光体ドラムの表面に形成される静電荷像を現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録材に転写させる転写手段と、記録材に転写されるトナー像を定着させる定着手段とを含む画像形成装置において、
    帯電装置が、請求項1〜5のいずれか1つの帯電装置であることを特徴とする画像形成装置。
  7. 転写手段によってトナー像を記録媒体に転写した後の感光体ドラム表面を清浄化するクリーニング手段をさらに含み、
    現像手段およびまたはクリーニング手段は、
    帯電装置よりも上方に配置されることを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
  8. トナー像は、
    疎水性シリカを外添剤として含むトナーにより形成されることを特徴とする請求項6または7記載の画像形成装置。
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