JP2007146232A - 鋼製軟窒化機械部品の製造方法 - Google Patents

鋼製軟窒化機械部品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】熱間鍛造後に熱処理を省略して機械加工しても、その後軟窒化処理を施すことにより疲労強度が高い機械部品が得られる鋼製軟窒化の製造方法を提供する。
【解決手段】Si、Mn、S、Cr、Mo、Nb、Ti、V、Ni及びNを所定量含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、前記不可避的不純物のうちP含有量を所定量以下に規制し、前記含有元素の含有率からなる関係式の値を特定の範囲内とする組成の鋼材を、1150〜1280℃に加熱した後、熱間鍛造にて成形し、その後0.5〜1.5℃/秒で冷却して、ミクロ金属組織中のベイナイト組織の比率を50%以上にした熱間鍛造品を、機械加工した後、550〜650℃で30分間以上軟窒化処理する。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱間鍛造後に調質処理又は焼ならし等の熱処理を施さずに切削等の機械加工を行い、その後軟窒化処理をする鋼製軟窒化機械部品の製造方法に関し、特に、クランクシャフト等の機械部品の製造に好適な鋼製軟窒化機械部品の製造方法に関する。
一般に、自動車、産業機械及び建設機械等に使用される機械部品は、JIS G4051に規定されているS45C等の機械構造用炭素鋼材を熱間鍛造によって成形し、その後、調質及び焼ならし等の熱処理を施し、更に仕上げの切削等の機械加工をして製造される。また、このような機械部品の中でも特にクランクシャフト等のように高い疲労強度及び耐摩耗性が要求される機械部品は、最終工程において上述の処理に加えて、更に軟窒化処理、高周波焼入れ処理又は浸炭処理等の表面硬化熱処理が施される。これらの表面硬化処理のうち、軟窒化処理には、加熱温度が600℃前後と低く、熱処理歪が小さいという利点がある。しかしながら、軟窒化処理は、硬化層深さが小さいため、高周波焼入れ処理又は浸炭処理を施した場合に比べて、疲労強度の向上効果が小さいという問題点もある。このため、疲労強度が高い機械部品が得られる鋼製軟窒化機械部品の製造方法が要求されている。
そこで、従来、コスト削減及び生産性向上のために、熱間鍛造後の調質又は焼ならしを省略して軟窒化処理しても、疲労強度等の機械的性質及び曲げ矯正性等の加工性を改善することができる鋼材が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。例えば、特許文献1に記載の軟窒化用非調質鋼は、C、Mn、Cr、s−Al、Ti及びOの含有量を適正化することにより、強度、窒化性及び疲労強度の改善を図ると共に、O含有量とTi含有量との関係及びO含有量とN含有量との関係を適正化することにより、熱間鍛造時の旧オーステナイト粒の成長を抑制して、曲げ矯正性の向上を図っている。
また、特許文献2の非調質軟窒化鋼部品においては、調質又は焼ならしを施さずに軟窒化処理を行っても、焼ならしを施したものと同等以上の疲労強度を得るために、加工前の鋼素材の組成について、C、Si、Mn、P、Cr、Ti、V、N、Al、Pb、S及びCaの含有量を規定すると共に、C、Mn及びNの含有量から求められるFn1〜Fn3の値の範囲を規定している。更に、特許文献3には、C、Si、Mn、Ti、Al、N、S、Ca、P、Cr及びVの含有量を適正化した組成の鋼素材を使用した非調質クランク軸が開示されている。
特開2002−226939号公報 特開2001−131687号公報 特開平11−62943号公報
しかしながら、前述の特許文献1〜3に記載の従来の技術は、鋼素材の組成を適正化しているだけであり、また、疲労強度だけでなく、機械部品への加工性等をも考慮しているため、肝心の疲労強度については、JIS G4051に規定されているS45C〜48Cの機械構造用炭素鋼材と同等か、又はこれらの鋼材よりも10〜20%高い程度しか得られないという問題点がある。
本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、熱間鍛造後に熱処理を省略して機械加工しても、その後軟窒化処理を施すことにより疲労強度が高い機械部品が得られる鋼製軟窒化の製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る鋼製軟窒化機械部品の製造方法は、質量%で、C:0.15〜0.30%、Si:0.03〜1.00%、Mn:0.20〜1.5%、S:0.04〜0.06%、Cr:0.01〜0.5%、Mo:0.40〜1.5%、Nb:0.005〜0.05%、Ti:0.005〜0.03%、V:0.2〜0.4%、Ni:0.05〜1.5%、N:0.002〜0.010%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、前記不可避的不純物のうち、P:0.02%以下に規制し、更に、C含有量(%)を[C]、Si含有量(%)を[Si]、Mn含有量(%)を[Mn]、P含有量(%)を[P]、S含有量(%)を[S]、Cr含有量(%)を[Cr]、Mo含有量(%)を[Mo]、V含有量(%)を[V]、Ni含有量(%)[Ni]としたとき、下記数式(1)で定義されるCeq.の値が0.65〜0.85であり、下記数式(2)で定義されるDIの値が80〜155であり、下記数式(3)で定義されるlogKpの値が2.5〜8であり、更に、Si含有量とMn含有量との関係が下記数式(4)を満たす組成を有する鋼材を、1150〜1280℃に加熱した後、熱間鍛造にて部品形状に成形し、鍛造後に0.5〜1.5℃/秒の冷却速度で冷却して、ミクロ金属組織中のベイナイト組織の比率が50%以上の熱間鍛造品を得る工程と、前記熱間鍛造品を、機械加工した後、550〜650℃の温度条件下で30分間以上軟窒化処理する工程と、を有することを特徴とする。
Figure 2007146232
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本発明に係る他の鋼製軟窒化機械部品の製造方法は、質量%で、C:0.15〜0.30%、Si:0.03〜1.00%、Mn:0.20〜1.5%、S:0.04〜0.06%、Cr:0.01〜0.5%、Mo:0.40〜1.5%、Nb:0.005〜0.05%、Ti:0.005〜0.03%、V:0.2〜0.4%、Ni:0.05〜1.5%、N:0.002〜0.010%、Cu:0.2〜1.5%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、前記不可避的不純物のうち、P:0.02%以下に規制し、更に、C含有量(%)を[C]、Si含有量(%)を[Si]、Mn含有量(%)を[Mn]、P含有量(%)を[P]、S含有量(%)を[S]、Cr含有量(%)を[Cr]、Mo含有量(%)を[Mo]、V含有量(%)を[V]、Ni含有量(%)[Ni]、Cu含有量(%)を[Cu]としたとき、下記数式(5)で定義されるCeq.の値が0.65〜0.85であり、下記数式(6)で定義されるDIの値が80〜155であり、下記数式(7)で定義されるlogKpの値が2.5〜8であり、更に、Si含有量とMn含有量との関係が下記数式(8)を満たす組成を有する鋼材を、1150〜1280℃に加熱した後、熱間鍛造にて部品形状に成形し、鍛造後に0.5〜1.5℃/秒の冷却速度で冷却して、ミクロ金属組織中のベイナイト組織の比率が50%以上の熱間鍛造品を得る工程と、前記熱間鍛造品を、機械加工した後、550〜650℃の温度条件下で30分間以上軟窒化処理する工程と、を有することを特徴とする。
Figure 2007146232
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本発明においては、上記数式(1)で定義されるCeq.の値、上記数式(2)で定義されるDI値及び上記数式(3)で定義されるlogKpの値が所定の範囲内であり、且つSi含有量及びMn含有量が上記数式(4)を満たす組成の鋼材、又は上記数式(5)で定義されるCeq.の値、上記数式(6)で定義されるDI値及び上記数式(7)で定義されるlogKpの値が所定の範囲内であり、且つSi含有量及びMn含有量が上記数式(8)を満たす組成の鋼材を使用しているため、熱間鍛造後の熱処理を省略しても、優れた機械的性質及び疲労強度が得られる。また、本発明の鋼製軟窒化機械部品の製造方法においては、鋼組成の最適化だけでなく、鍛造前の加熱温度及び鍛造後の冷却速度も最適化しているため、熱間鍛造品のミクロ金属組織におけるベイナイト組織の比率が50%以上となる。更に、本発明では、軟窒化処理条件も最適化しているため、従来の製造方法に比べて、疲労強度が高い鋼製軟窒化機械部品が得られる。
本発明によれば、鋼材の組成を最適化し、更に、鍛造前の加熱温度及び鍛造後の冷却速度を最適化することにより、熱間鍛造品のミクロ金属組織におけるベイナイト組織の比率を50%以上にすると共に、軟窒化処理条件を最適化しているため、熱間鍛造後に調質及び焼ならし等の熱処理を行わなくても、切削等の機械加工が工業生産的に可能な程度の機械的性質を備え、且つ疲労強度が高い鋼製軟窒化機械部品が得られる。その結果、鋼製軟窒化機械部品の高性能化のみならず、製造コストの低減及び高生産性をも享受することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、詳細に説明する。本発明者等は、上述した問題点を解決するために鋭意検討を重ねた結果、以下に示す知見を得た。第1に、軟窒化処理前の熱間鍛造品のミクロ金属組織をベイナイト主体の組織とし、更に、この熱間鍛造品を550〜650℃の温度条件下で軟窒化処理することにより、引張強度等の機械的性質を改善することができることである。第2に、鋼材の化学成分中に、Nb、Ti、V及びCu等の析出強化に寄与する元素を複合で添加することにより、上述の条件での軟窒化処理において析出強化現象が起こり、更に機械的性質の改善がなされると共に疲労強度が高い機械部品が得られることである。
第3に、調質及び焼ならし等の熱処理が施されていない熱間鍛造品に対する切削等の機械加工を、工業生産的に可能にするためには、鋼材の各成分の含有量に基づいて規定され、炭素当量の指標となるCeq.の値、焼入れ性の指標となるDI値、及びパーライト発生の臨界冷却速度の指標となるKpの値を、夫々適正な範囲にすることが有効であるということである。第4に、Si含有量とMn含有量との関係が特定の条件を満たす場合、具体的には、Si含有量の2.9倍とMn含有量との和が2.0以上である場合には、軟窒化処理後の疲労強度が顕著に向上することである。
本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、その要旨は、鋼材を、1150〜1280℃に加熱した後、熱間鍛造にて部品形状に成形し、鍛造後に0.5〜1.5℃/秒の冷却速度で冷却して、ミクロ金属組織中のベイナイト組織の比率が50%以上の熱間鍛造品とし、更にこの熱間鍛造品を、機械加工した後、550〜650℃の温度条件下で30分間以上軟窒化処理することである。
また、本発明において使用する鋼材の組成は、質量%で、C:0.15〜0.30%、Si:0.03〜1.00%、Mn:0.20〜1.5%、S:0.04〜0.06%、Cr:0.01〜0.5%、Mo:0.40〜1.5%、Nb:0.005〜0.05%、Ti:0.005〜0.03%、V:0.2〜0.4%、Ni:0.05〜1.5%、N:0.002〜0.010%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、前記不可避的不純物のうち、P:0.02%以下に規制し、下記数式(9)で定義されるCeq.の値が0.65〜0.85であり、下記数式(10)で定義されるDIの値が80〜155であり、下記数式(11)で定義されるlogKpの値が2.5〜8であり、更に、Si含有量とMn含有量との関係が下記数式(12)を満たす組成を有するものとする。なお、下記数式(9)〜(12)における[C]はC含有量(%)であり、[Si]はSi含有量(%)であり、[Mn]はMn含有量(%)であり、[P]はP含有量(%)であり、[S]はS含有量(%)であり、[Cr]はCr含有量(%)であり、[Mo]はMo含有量(%)であり、[V]はV含有量(%)であり、[Ni]はNi含有量(%)である。
Figure 2007146232
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以下、本発明の鋼製軟窒化機械部品の製造方法において、各種因子を上述のように特定した理由について説明する。なお、以下の説明においては、鋼材に含まれる各成分の含有量を示す質量%は、単に%と記載する。先ず、鋼材の化学組成に関して、各成分の添加理由及び数値限定理由について説明する。
C:0.15〜0.30%
Cは、内質強度を高めると共に、軟窒化処理中に炭化物を析出して析出強化に寄与する元素である。しかしながら、C含有量が0.15質量%未満では、これらの効果が得られない。一方、C含有量が0.30%を超えると、熱間鍛造品の機械加工性が劣化する。よって、C含有量は0.15〜0.30%とする。
Si:0.03〜1.00%
Siは、鋼精錬時には脱酸剤として作用し、また、鋼材の焼入れ性向上にも寄与すると共に、焼戻し軟化抵抗を高めて軟窒化処理後の強度を向上させる効果がある。しかしながら、Si含有量が0.03%未満の場合、その効果が得られない。一方、Si含有量が1.00%を超えると、熱間鍛造品の機械加工性が劣化する。よって、Si含有量は0.03〜1.00%とする。
Mn:0.20〜1.5%
Mnは、鋼材の焼入れ性向上及び熱間鍛造品のミクロ金属組織のベイナイト化に寄与する元素である。しかしながら、Mn含有量が0.20%未満の場合、これらの効果が得られない。一方、Mn含有量が1.5%を超えると、熱間鍛造品の機械加工性が劣化する。よって、Mn含有量は0.20〜1.5%とする。
S:0.04〜0.06%
Sは、鋼材中で硫化物を形成し、切削加工性を向上させる効果がある。しかしながら、S含有量が0.04%未満の場合、その効果が得られない。一方、S含有量が0.06%を超えると、疲労強度の向上を阻害する。よって、S含有量は0.04〜0.06%とする。
Cr:0.01〜0.5%
Crは、鋼材の焼入れ性向上及び熱間鍛造品のミクロ金属組織のベイナイト化に寄与する元素である。しかしながら、Cr含有量が0.01%未満の場合、これらの効果が得られない。一方、Cr含有量が0.5%を超えると、熱間鍛造品の機械加工性が劣化する。よって、Cr含有量は0.01〜0.5%とする。
Mo:0.40〜1.5%
Moは、鋼材の焼入れ性の向上及び熱間鍛造品のミクロ金属組織のベイナイト化に寄与する元素である。また、Moには、析出強化により軟窒化処理後の強度を向上させて、鋼製軟窒化機械部品の疲労強度の向上する効果もある。しかしながら、Mo含有量が0.40%未満の場合、これらの効果が得られない。一方、Mo含有量が1.5%を超えると、熱間鍛造品の機械加工性が劣化すると共に、材料コストが高くなる。よって、Mo含有量は0.40〜1.5%とする。
Nb:0.005〜0.05%,Ti:0.005〜0.03%,V:0.2〜0.4%
Nb、Ti及びVは、軟窒化処理中に炭窒化物を形成し、析出強化に寄与する元素である。特に、疲労強度を向上させるには、Nb、Ti及びVを同時に添加し、鋼材中にこれらの複合炭窒化物を析出させることが有効である。しかしながら、Nb含有量が0.005%未満、Ti含有量が0.005%未満又はV含有量が0.2%未満であると、これらの効果が得られない。一方、Nb含有量が0.05%を超えるか、Ti含有量が0.03%を超えるか又はV含有量が0.4%を超えると、その添加効果が飽和し、更に、熱間鍛造品の機械加工性を阻害する。よって、Nb含有量は0.005〜0.05%、Ti含有量は0.005〜0.03%、V含有量は0.2〜0.4%とする。
Ni:0.05〜1.5%
Niは、熱間鍛造品のミクロ金属組織をベイナイト化する場合に有効な元素である。また、Niは、軟窒化処理後の鋼製軟窒化機械部品の強度を高める効果、及びCuを添加することにより生じる熱間圧延傷を防止する効果もある。しかしながら、Ni含有量が0.05%以上の場合、これらの効果が得られない。Ni含有量が1.5%を超えると、熱間鍛造品の強度が高くなりすぎて、切削加工性が低下する。よって、Ni含有量は0.05〜1.5%とする。
N:0.002〜0.010%
Nは、TiN、NbN及びAlN等の窒化物を形成して結晶粒を微細化し、鋼材の衝撃特性を向上させる効果がある。しかしながら、N含有量が0.002%未満では、十分な量の窒化物が生成せず、粗大粒が生成するため、鋼材の衝撃特性が劣化する。また、N含有量が0.010%を超えると、軟窒化処理の際に炭化物の生成が阻害され、析出強化特性が劣化する。よって、N含有量は0.002〜0.010%とする。
P:0.02%以下
Pは、鋼材中に含まれる不可避的不純物であり、P含有量が0.02%を超えると、鋼製軟窒化機械部品の疲労強度が低下する。よって、P含有量は0.02%以下に規制する。
本発明においては、熱間鍛造品のミクロ金属組織を確実にベイナイト化すると共に、その硬さが必要以上に増加することを抑制して機械加工性を確保するため、鋼材の各成分の含有量を上述した範囲内とすることに加えて、更に、上記数式(9)で定義され、炭素当量の指標となるCeq.の値、上記数式(10)で定義され、焼入れ性の指標となるDI値、上記数式(11)で定義され、パーライト発生の臨界冷却温度の指標となるKpの値を、夫々以下に示す範囲とする。
0.65≦Ceq.≦0.85
上記数式(9)で定義されるCeq.の値が0.65未満の場合、鋼製軟窒化機械部品の硬さが低下し、高い疲労強度が得られない。また、Ceq.の値が0.85を超えると、熱間鍛造品の硬さが増加しすぎて、切削加工性が劣化する。よって、Ceq.の値は、0.65〜0.85とする。
80≦DI≦155
上記数式(10)で定義されるDI値が80未満の場合、焼入れ性が低下すると共に、熱間鍛造品の組織をベイナイト組織にすることが困難となる。また、DI値が155を超えると、熱間鍛造品のミクロ金属組織において、マルテンサイト組織が主体となり、切削加工性が劣化する。よって、DI値は80〜155とする。
2.5≦LogKp≦8
上記数式(11)で定義されるlogKpの値が2.5未満の場合、パーライトが生成し、軟窒化処理後の鋼製軟窒化機械部品における析出強化特性が劣化する。また、logKpの値が8を越えると、熱間鍛造品の硬さが増加しすぎて切削加工性が劣化する。
2.9×[Si]+[Mn]≧2.0
本発明者らは、鋼製軟窒化機械部品の疲労強度の影響因子としては、硬さ以外に鋼材のSi含有量及びMn含有量があり、特に、これらの元素の含有量の影響が大きいことを見出した。そこで、本発明においては、鋼材のSi含有量及びMn含有量を上述した範囲内にすると共に、Si含有量とMn含有量との関係が上記数式(12)を満たすようにしている。これにより、鋼製軟窒化機械部品の疲労強度を顕著に向上させることができる。
更に、本発明においては、上記各成分に加えて、更に、Cu:0.2〜1.5%を含有する鋼材を使用することもできる。その場合、Cu含有量(%)を[Cu]としたとき、下記数式(13)で定義されるCeq.の値を0.65〜0.85とし、下記数式(14)で定義されるDIの値を80〜155とし、下記数式(15)で定義されるlogKpの値を2.5〜8とすると共に、Si含有量とMn含有量との関係が下記数式(16)を満たすようにする。
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Cu:0.2〜1.5%
Cuは、軟窒化処理中にCu単体として析出し、鋼材の析出強化に寄与する元素である。しかしながら、Cu含有量が0.2%未満の場合、鋼製軟窒化機械部品の疲労強度向上の効果が得られない、一方、Cu含有量が1.5%を超えると、鋼材の熱間脆化が促される。よって、Cuを添加する場合は、その含有量を0.2〜1.5%とする。
なお、Cu以外の元素の含有量及びその数値限定理由、上記数式(13)で定義されるCeq.の値、上記数式(14)で定義されるDIの値、上記数式(15)で定義されるlogKpの値の数値限定理由、並びにSi含有量とMn含有量との関係が上記数式(16)を満たすようにする理由は、Cuが添加されていない鋼材を使用する場合と同様である。
次に、本発明の鋼製軟窒化機械部品の製造方法における各製造条件の数値限定理由について説明する。
鍛造前の加熱温度:1150〜1280℃
本発明においては、上述した範囲に化学組成を特定した鋼材を、1150〜1280℃に加熱した後、熱間鍛造にて所定の形状に成形する。これにより、一般的な形状の部品であれば、鍛造後の熱間鍛造品のミクロ金属組織におけるベイナイト組織の比率を50%以上にすることができる。一方、鍛造前の加熱温度が1150℃未満の場合、熱間鍛造時の変形抵抗が高くなり不経済であると共に、粗大な未溶解の炭化物が残存し、軟窒化処理の際に析出強化に作用する微細炭化物の量が低下する。また、鍛造前の加熱温度が1280℃を超えると、熱間脆化現象が顕在化し、熱間鍛造品に割れ及び欠陥等の不具合が発生する。よって、熱間鍛造前の加熱温度は1150〜1280℃とする。
鍛造後の冷却速度:0.5〜1.5℃/秒
特に大型の部品を製造する場合には、鍛造後に自然に放冷すると、冷却速度が小さくなる。その結果、熱間鍛造品のミクロ金属組織中のベイナイト組織の比率が50%以上にならず、鋼製軟窒化機械部品の疲労強度を向上させる効果が十分に得られないことがある。具体的には、熱間鍛造後の冷却速度が0.5℃/秒未満の場合、熱間鍛造品のミクロ金属組織におけるベイナイト組織の比率が50%未満となり、鋼製軟窒化機械部品の疲労強度を向上させる効果が低下する。一方、熱間鍛造後の冷却速度が1.5℃/秒を超えると、熱間鍛造品の硬さが高くなり、切削加工性が劣化する。よって、熱間鍛造後には、衝風装置等を設置して、冷却速度が0.5〜1.5℃/秒となるようにして冷却する。これにより、熱間鍛造品のミクロ金属組織におけるベイナイト組織の比率を50%以上にすることができる。
熱間鍛造品のミクロ金属組織におけるベイナイト組織の比率:50%以上
軟窒化処理前の熱間鍛造品のミクロ金属組織は、ベイナイト主体でないと予想通りの疲労強度向上効果が得られない。具体的には、熱間鍛造品のミクロ金属組織におけるベイナイト組織の比率が50%未満の場合、鋼製軟窒化機械部品の疲労強度を向上させる効果が低下する。このため、軟窒化処理前、即ち、鍛造後の熱間鍛造品のミクロ金属組織におけるベイナイト組織の比率は、少なくとも50%とする。なお、軟窒化処理前に調質処理又は焼ならし処理を行うことにより、熱間鍛造品のミクロ金属組織を同様の組織にすることができ、鋼製軟窒化機械部品の疲労強度を向上させる効果が得られるが、その場合、熱処理を実施する分の製造コストが増加する。
軟窒化処理条件:550〜650℃で30分間以上
また、本発明の鋼製軟窒化機械部品の製造方法においては、上述の条件で調整された熱間鍛造品を、所定の形状に機械加工した後、550〜650℃の温度条件下で30分間以上軟窒化処理する。軟窒化処理温度が550℃未満の場合、鋼製軟窒化機械部品の表面に形成される窒化層の厚さが薄くなり、疲労強度の高い部品が得られない。一方、軟窒化処理温度が650℃を超えると、熱処理歪が小さいという軟窒化処理の利点が失われる。また、軟窒化処理時間が30分未満の場合も同様で、鋼製軟窒化機械部品の表面に形成される窒化層の厚さが薄くなり、疲労強度の高い部品が得られない。よって、軟窒化処理は、550〜650℃の温度条件下で30分間以上実施する。
以上、詳述したように、本発明の鋼製軟窒化機械部品の製造方法においては、使用する鋼材に含まれる各成分の含有量を最適化すると共に、炭素当量の指標となるCeq.の値、焼入れ性の指標となるDI値及びパーライト発生の臨界冷却温度の指標となるKpの値を夫々最適な範囲にし、更に、Si含有量の2.9倍とMn含有量との和が2.0以上になるようにしているため、熱間鍛造後の熱処理を省略しても、機械的性質及び疲労強度が優れた鋼製軟窒化機械部品が得られる。また、本発明の鋼製軟窒化機械部品の製造方法においては、鋼組成の最適化だけでなく、鍛造前の加熱温度及び鍛造後の冷却速度を規定することにより、熱間鍛造品のミクロ金属組織におけるベイナイト組織の比率を50%以上にすると共に、軟窒化処理条件を最適化しているため、従来の方法に比べて、鋼製軟窒化機械部品の疲労強度を向上させる効果を大幅に高めることができる。
次に、実施例及び比較例を挙げて、本発明の効果について具体的に説明する。本実施例においては、先ず、下記表1に示す組成の鋼を真空溶解炉にて溶製した後、熱間圧延して直径が90mmの熱間圧延棒鋼を作製した。次に、各熱間圧延棒鋼を、下記表2に示す温度に加熱した後、熱間鍛造により直径が50mmになるように加工し、更に下記表2に示す冷却速度で冷却した。その際、冷却速度は、衝風装置又は保温材を利用して制御した。そして、冷却後の熱間鍛造品についてミクロ組織観察を行い、組織中のベイナイト比率、及びビッカース硬さを測定した。ベイナイト比率の測定は、直径が50mmの丸棒の中心付近から任意に選んだ20視野について、光学顕微鏡により組織観察を行い、ベイナイト組織の面積率(%)を求めた。また、ビッカース硬さは、マイクロビッカース硬さ試験機を使用して測定した。
Figure 2007146232
Figure 2007146232
次に、冷却後の熱間圧延品を機械加工して、図1に示す形状の回転曲げ疲労試験片を作製し、この疲労試験片に対して、上記表2に示す温度及び時間で軟窒化処理を行った。その際、軟窒化炉の雰囲気は、NH:50体積%、N:45体積%、CO:2体積%の混合ガスとした。そして、軟窒化処理後の各試料について、回転曲げ疲労試験により1×10回で破断しない疲労限度(疲労強度)σ(MPa)、及びビッカース硬さを測定した。以上の結果を下記表3に示す。なお、下記表3には、軟窒化処理後の硬さと軟窒化処理前の硬さの差、即ち、析出強化ΔHV(=(軟窒化処理後の硬さ)−(軟窒化処理前の熱間圧延品の硬さ))も併せて示す。また、下記表3に示す熱間鍛造品のミクロ組織においては、Bはベイナイト、Mはマルテンサイト、Fはフェライト、Pはパーライトを示す。
Figure 2007146232
本発明の範囲内で作製した実施例No.1〜5、No.13及びNo.14の試料は、熱間鍛造後の硬さが低く、最も高い実施例No.2の試料でもHVが298であった。これに対して、C含有量が本発明の範囲外で、更にCeq.値及びDI値が本発明の範囲から外れている比較例No.20及び21の試料は、夫々熱間鍛造後の硬さがHV427及びHV733と高く、切削加工性の劣化が懸念されるものであった。また、熱間鍛造後の冷却速度が本発明の範囲外である比較例No.12の試料も熱間鍛造後の硬さがHV412と高く、同様に切削加工性の劣化が懸念されるものであった。
また、本発明の範囲内で作製した実施例No.1〜5、No.13及びNo.14の試料は、いずれも析出強化が高く、最も小さい実施例No.2の試料でもΔHVが104であった。これに対して、本発明の成分範囲を外れる鋼種H,I,J,K,L,M,Nを夫々使用した比較例No.15,16,17,18,19,20,21の試料では、前述した実施例の各試料に比べて析出強化が著しく低かった。特に、熱鍛後のミクロ金属組織の主体がマルテンサイト組織となっていた比較例No.15,20,21の試料では析出強化が小さかった。更に、本発明はNb,Ti及びVの同時添加が特徴の1つである。本発明の範囲内でこれらの元素が添加されている鋼種を使用した実施例No.5の試料は析出強化ΔHVが115であったが、Nb及びTiの含有量が本発明の範囲から外れている鋼種Iを使用した比較例No.16の試料、並びにTi及びVの含有量が本発明の範囲から外れている鋼種Jを使用した比較例No.17の試料は、他の成分の含有量が実施例No.15の試料と略同等であるにもかかわらず、析出強化は夫々ΔHV63、ΔHV58と著しく低かった。このことから、Nb、Ti及びVの同時添加が析出強化に有効であることがわかった。
更にまた、本発明は、析出強化を高めることにより、軟窒化処理前の熱間鍛造品は軟質で切削等の加工性が優れたものとし、且つ軟窒化処理後の鋼製軟窒化機械部品では高い疲労強度が得られるようにしていることが特徴の1つである。図2は横軸に軟窒化処理前の熱間鍛造品の硬さHVをとり、縦軸に軟窒化処理後の疲労強度σをとって、本発明の実施例及び比較例の試料における軟窒化処理前の硬さと軟窒化処理後の疲労強度との関係を示すグラフ図である。図2に示すように、本発明の実施例の試料は、軟窒化処理前の熱間鍛造品の硬さが同等の比較例の試料に比べて、軟窒化処理後の疲労強度σが著しく高かった。
一方、熱間鍛造前の加熱温度が本発明の範囲内である実施例No.5の試料は、析出強化がΔHV115であったが、熱間鍛造前の加熱温度が本発明の下限未満である比較例No.6の試料の析出強化はΔ65であり、前述の実施例No.5の試料に比べて析出強化が著しく低かった。また、実施例No.5の試料は、疲労限度σが570MPaであったが、熱間鍛造前の加熱温度が本発明の上限を超えていた比較例No.7の試料の疲労限度σは510MPaであり、実施例No.5の試料に比べて著しく低下していた。更に、軟窒化処理温度が本発明の下限未満である比較例No.8の試料、軟窒化処理温度が本発明の上限を超えている比較例No.9の試料、及び軟窒化処理時間が本発明の下限未満である比較例No.10の試料は、析出強化が夫々ΔHV48、ΔHV42及びΔHV66と小さく、その結果として疲労限度σも夫々500MPa、490Mpa及び500MPaとなり、前述の実施例No.5の試料に比べて、著しく劣っていた。更にまた、熱間鍛造後の冷却速度が本発明の下限未満である比較例No.11の試料は、パーライト組織及びフェライト組織が生成して、ミクロ金属組織におけるベイナイト組織の比率が本発明の下限未満の40%となったため、析出強化がΔHV42、疲労限度σが510MPaとなり、共に前述の実施例No.5の試料に比べて低い値となった。更にまた、熱間鍛造後の冷却速度が本発明の上限を越えていた比較例No.12の試料は、ミクロ金属組織がマルテンサイト主体の組織となっていたため、熱間鍛造後の硬さがHV412と高く、切削加工性の劣化が懸念されるものであった。
更にまた、本発明の鋼製軟窒化機械の製造方法においては、鋼材の組成に関して、Si含有量の2.9倍とMn含有量との和が2.0以上になるようにしていることも特徴の1つである。図3は横軸に軟窒化処理後の硬さをとり、縦軸に疲労強度をとって、軟窒化処理後の硬さ及び疲労強度と鋼材中のSi及びMnの含有量との関係を示すグラフ図である。なお、図3に示す直線は、Si含有量の2.9倍とMn含有量との和が2.0であるときの値である。また、図3に示す各試料は、鍛造条件、冷却条件及び軟膣窒化条件を同一としている。図3に示すように、軟窒化処理後の硬さと疲労限度との間には対応関係が認められ、Si含有量の2.9倍とMn含有量との和が2.0以上である鋼材を使用した試料は、Si含有量の2.9倍とMn含有量との和が2.0未満である鋼材を使用した試料に比べて、疲労限度が高かった。
上述の如く、本発明の鋼製軟窒化機械の製造方法によれば、高い疲労強度を有する鋼製軟窒化機械部品が製造できることが確認された。
本発明の実施例の回転曲げ疲労試験片の形状を示す図である。 横軸に軟窒化処理前の熱間鍛造品の硬さHVをとり、縦軸に軟窒化処理後の疲労強度σをとって、本発明の実施例及び比較例の試料における軟窒化処理前の硬さと軟窒化処理後の疲労強度との関係を示すグラフ図である。 横軸に軟窒化処理後の硬さをとり、縦軸に疲労強度をとって、軟窒化処理後の硬さ及び疲労強度と鋼材中のSi及びMnの含有量との関係を示すグラフ図である。
符号の説明
1 回転曲げ疲労試験片

Claims (2)

  1. 質量%で、C:0.15〜0.30%、Si:0.03〜1.00%、Mn:0.20〜1.5%、S:0.04〜0.06%、Cr:0.01〜0.5%、Mo:0.40〜1.5%、Nb:0.005〜0.05%、Ti:0.005〜0.03%、V:0.2〜0.4%、Ni:0.05〜1.5%、N:0.002〜0.010%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、前記不可避的不純物のうち、P:0.02%以下に規制し、更に、C含有量(%)を[C]、Si含有量(%)を[Si]、Mn含有量(%)を[Mn]、P含有量(%)を[P]、S含有量(%)を[S]、Cr含有量(%)を[Cr]、Mo含有量(%)を[Mo]、V含有量(%)を[V]、Ni含有量(%)[Ni]としたとき、下記数式(1)で定義されるCeq.の値が0.65〜0.85であり、下記数式(2)で定義されるDIの値が80〜155であり、下記数式(3)で定義されるlogKpの値が2.5〜8であり、更に、Si含有量とMn含有量との関係が下記数式(4)を満たす組成を有する鋼材を、
    1150〜1280℃に加熱した後、熱間鍛造にて部品形状に成形し、鍛造後に0.5〜1.5℃/秒の冷却速度で冷却して、ミクロ金属組織中のベイナイト組織の比率が50%以上の熱間鍛造品を得る工程と、
    前記熱間鍛造品を、機械加工した後、550〜650℃の温度条件下で30分間以上軟窒化処理する工程と、を有することを特徴とする鋼製軟窒化機械部品の製造方法。
    Figure 2007146232
  2. 質量%で、C:0.15〜0.30%、Si:0.03〜1.00%、Mn:0.20〜1.5%、S:0.04〜0.06%、Cr:0.01〜0.5%、Mo:0.40〜1.5%、Nb:0.005〜0.05%、Ti:0.005〜0.03%、V:0.2〜0.4%、Ni:0.05〜1.5%、N:0.002〜0.010%、Cu:0.2〜1.5%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、前記不可避的不純物のうち、P:0.02%以下に規制し、更に、C含有量(%)を[C]、Si含有量(%)を[Si]、Mn含有量(%)を[Mn]、P含有量(%)を[P]、S含有量(%)を[S]、Cr含有量(%)を[Cr]、Mo含有量(%)を[Mo]、V含有量(%)を[V]、Ni含有量(%)[Ni]、Cu含有量(%)を[Cu]としたとき、下記数式(5)で定義されるCeq.の値が0.65〜0.85であり、下記数式(6)で定義されるDIの値が80〜155であり、下記数式(7)で定義されるlogKpの値が2.5〜8であり、更に、Si含有量とMn含有量との関係が下記数式(8)を満たす組成を有する鋼材を、
    1150〜1280℃に加熱した後、熱間鍛造にて部品形状に成形し、鍛造後に0.5〜1.5℃/秒の冷却速度で冷却して、ミクロ金属組織中のベイナイト組織の比率が50%以上の熱間鍛造品を得る工程と、
    前記熱間鍛造品を、機械加工した後、550〜650℃の温度条件下で30分間以上軟窒化処理する工程と、を有することを特徴とする鋼製軟窒化機械部品の製造方法。
    Figure 2007146232
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