JP2007137373A - 動力出力装置およびこれを搭載する車両並びに動力出力装置の制御方法 - Google Patents

動力出力装置およびこれを搭載する車両並びに動力出力装置の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】バッテリを遮断して走行する際に駆動軸に要求される要求トルクに迅速に滞欧する。
【解決手段】遊星歯車機構のサンギヤ,キャリア,リングギヤに第1モータ,エンジン,第2モータおよび駆動軸が接続されると共に二つのモータにインバータを介してバッテリが接続されたハイブリッド車において、バッテリが遮断されたときには、エンジンが目標回転数Ne*で回転するようフィードバック制御し(S130,140)、エンジンの目標回転数Ne*と現在の回転数Neとの偏差が所定値N1以上のときにはインバータをゲート遮断し(S160)、偏差が所定値N1未満となると、要求トルクTr*が駆動軸に出力されるようインバータを制御する(S190〜S210)。これにより、第1モータの逆起電力の消費を抑制してエンジンの回転数Neを迅速に上昇させることができるから、要求トルクTr*に迅速に対応することができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、駆動軸に動力を出力する動力出力装置およびこれを搭載し車軸が前記駆動軸に接続されて走行する車両並びに動力出力装置の制御方法に関する。
従来、この種の動力出力装置としては、エンジンのクランクシャフトに接続されたプラネタリギヤの回転要素に発電機と電動機とが接続されると共に発電機および電動機のインバータにリレーを介してバッテリが接続されたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、バッテリに故障が生じたときに、リレーをオフしてインバータからバッテリを遮断し、設定された目標回転数でエンジンが運転されるようフィードバック制御すると共にエンジンの運転に伴って発電機により生じた逆起電力を電動機により消費することにより、発電エネルギと消費エネルギとをバランスさせてバッテリを遮断した状態で駆動軸に動力を出力することができるとしている。
特開2003−204606号公報
上述したタイプの動力出力装置では、発電機による発電エネルギと電動機による消費エネルギとをバランスさせることによりバッテリを遮断した状態で駆動軸に動力を出力することができるもの、発電機の回転に伴って生じる逆起電力はエンジンの回転数に依存するから、過渡時などでエンジンの回転数が低いときには十分な動力を駆動軸に出力することができない。したがって、エンジンの回転数はできる限り迅速に目標回転数まで上昇させることが望ましいが、発電機の逆起電力を消費する機器(電動機を含む)の状態によっては発電機の逆起トルクが大きくなってエンジンの回転数の上昇に遅れが生じる。
本発明の動力出力装置およびこれを搭載する車両並びに動力出力装置の制御方法は、蓄電手段を遮断した状態で走行する際に駆動軸に要求される動力に迅速に対応することを目的の一つとする。また、本発明の動力出力装置およびこれを搭載する車両並びに動力出力装置の制御方法は、蓄電手段を遮断した状態で走行する際に電力動力入出力手段や電動機の駆動回路を適正に駆動できる状態に迅速に移行することを目的の一つとする。
本発明の動力出力装置およびこれを搭載する車両並びに動力出力装置の制御方法は、上述の目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
本発明の第1の動力出力装置は、
駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、
内燃機関と、
該内燃機関の出力軸と前記駆動軸とに接続され、電力と動力の入出力により該内燃機関からの動力の少なくとも一部を該駆動軸に出力可能で該内燃機関の運転に伴って逆起電圧を発生可能な電力動力入出力手段と、
前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、
前記電力動力入出力手段を駆動する第1駆動回路と、
前記第1の駆動回路と電力母線を共通にして前記電動機を駆動する第2駆動回路と、
充放電可能な蓄電手段と、
前記第1駆動回路および前記第2駆動回路の電力母線に前記蓄電手段を遮断可能に接続する接続遮断手段と、
前記内燃機関の回転数を検出する回転数検出手段と、
前記駆動軸に要求される要求動力を設定する要求動力設定手段と、
前記接続遮断手段により前記第1駆動回路および前記第2駆動回路の電力母線から前記蓄電手段が遮断されたとき、前記検出される内燃機関の回転数が目標回転数となるよう該内燃機関を運転制御すると共に前記設定された要求動力に基づく動力が前記駆動軸に出力されるよう前記電力動力入出力手段と前記電動機とを駆動制御し、前記検出された内燃機関の回転数が前記目標回転数よりも低い低回転数域にあるときには前記検出される内燃機関の回転数が該目標回転数近傍に至るまで前記第1駆動回路と前記第2駆動回路とを含む電気機器のうちの少なくとも一つの機器の駆動を制限する遮断時制御手段と
を備えることを要旨とする。
この本発明の第1の動力出力装置では、駆動軸に要求される要求動力を設定し、内燃機関の出力軸と駆動軸とに接続され電力と動力の入出力により内燃機関からの動力の少なくとも一部を駆動軸に出力可能で内燃機関の運転に伴って逆起電圧を発生可能な電力動力入出力手段を駆動する第1駆動回路および駆動軸に動力を入出力可能な電動機を駆動する第2駆動回路の電力母線から蓄電手段が遮断されたとき、内燃機関の回転数が目標回転数となるよう内燃機関を運転制御すると共に設定された要求動力に基づく動力が駆動軸に出力されるよう電力動力入出力手段と電動機とを駆動制御し、内燃機関の回転数が目標回転数よりも低い低回転数域にあるときには内燃機関の回転数が目標回転数近傍に至るまで第1駆動回路と第2駆動回路とを含む電気機器のうちの少なくとも一つの機器の駆動を制限する。したがって、内燃機関の運転に伴って生じる電力動力入出力手段の逆起電圧の消費を抑制することができるから、内燃機関の回転数の上昇を迅速に行なうことができる。この結果、蓄電手段を遮断した状態で走行する際に電力動力入出力手段や電動機の駆動回路を適正に駆動できる状態に迅速に移行することができる。また、要求動力に迅速に対応することができる。ここで、「電気機器」には、電力動力入出力手段で生じる逆起電圧に基づく電力を消費可能な機器が含まれる。
本発明の第2の動力出力装置は、
駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、
内燃機関と、
該内燃機関の出力軸と前記駆動軸とに接続され、電力と動力の入出力により該内燃機関からの動力の少なくとも一部を該駆動軸に出力可能で該内燃機関の運転に伴って逆起電圧を発生可能な電力動力入出力手段と、
前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、
前記電力動力入出力手段を駆動する第1駆動回路と、
前記第1の駆動回路と電力母線を共通にして前記電動機を駆動する第2駆動回路と、
充放電可能な蓄電手段と、
前記第1駆動回路および前記第2駆動回路の電力母線に前記蓄電手段を遮断可能に接続する接続遮断手段と、
前記電力母線間の電圧を検出する電圧検出手段と、
前記駆動軸に要求される要求動力を設定する要求動力設定手段と、
前記接続遮断手段により前記第1駆動回路および前記第2駆動回路の電力母線から前記蓄電手段が遮断されたとき、前記検出される電力母線間の電圧が目標電圧となると共に前記設定された要求動力に基づく動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記電力動力入出力手段と前記電動機とを駆動制御し、前記検出された電力母線間の電圧が前記目標電圧よりも低い低電圧域にあるときには前記検出される電圧が該目標電圧近傍に至るまで前記第1駆動回路と前記第2駆動回路とを含む電気機器のうちの少なくとも一つの機器の駆動を制限する遮断時制御手段と
を備えることを要旨とする。
この本発明の第2の動力出力装置では、駆動軸に要求される要求動力を設定し、内燃機関の出力軸と駆動軸とに接続され電力と動力の入出力により内燃機関からの動力の少なくとも一部を駆動軸に出力可能で内燃機関の運転に伴って逆起電圧を発生可能な電力動力入出力手段を駆動する第1駆動回路および駆動軸に動力を入出力可能な電動機を駆動する第2駆動回路の電力母線から蓄電手段が遮断されたとき、内燃機関の回転数が目標回転数となるよう内燃機関を運転制御すると共に設定された要求動力に基づく動力が駆動軸に出力されるよう電力動力入出力手段と電動機とを駆動制御し、内燃機関の回転数が目標回転数よりも低い低回転数域にあるときには内燃機関の回転数が目標回転数近傍に至るまで第1駆動回路と第2駆動回路とを含む電気機器のうちの少なくとも一つの機器の駆動を制限する。したがって、内燃機関の運転に伴って生じる電力動力入出力手段の逆起電圧の消費を抑制することができるから、電力動力入出力手段や電動機の駆動回路の電圧の上昇を迅速に行なうことができる。この結果、蓄電手段を遮断した状態で走行する際に電力動力入出力手段や電動機の駆動回路を適正に駆動できる状態に迅速に移行することができる。また、要求動力に迅速に対応することができる。ここで、「電気機器」には、電力動力入出力手段で生じる逆起電圧に基づく電力を消費可能な機器が含まれる。
こうした本発明の第1または第2の動力出力装置において、前記遮断時制御手段は、前記少なくとも一つの機器の駆動の制限として前記第1駆動回路および前記第2駆動回路の駆動を制限する手段であるものとすることもできる。この場合、前記遮断時制御手段は、前記第1駆動回路および前記第2駆動回路をゲート遮断する手段であるものとすることもできる。これらの態様の本発明の第1または第2の動力出力装置において、前記電力動力入出力手段および前記電動機よりも低い電圧で作動する低電圧系と、前記電力動力入出力手段からの発電電力を電圧変換して前記低電圧系に供給可能な電圧変換手段と、を備え、前記遮断時制御手段は、前記少なくとも一つの機器の駆動の制限として前記電圧変換手段の駆動を制限する手段であるものとすることもできる。ここで、「電圧変換手段」は、DC/DCコンバータが含まれる。この場合、前記遮断時制御手段は、前記電圧変換手段の駆動を停止する手段であるものとすることもできる。また、これらの場合、前記遮断時制御手段は、前記第1駆動回路および前記第2駆動回路の駆動の制限を前記電圧変換手段の駆動の制限に優先して実行する手段であるものとすることもできる。こうすれば、低電圧系の電圧低下を抑制することができる。
本発明の第1または第2の動力出力装置において、前記電力動力入出力手段は、前記内燃機関の出力軸と前記駆動軸と回転軸の3軸に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、前記回転軸に動力を入出力可能な発電機とを備える手段であるものとすることもできるし、前記電力動力入出力手段は、前記内燃機関の出力軸に接続された第1の回転子と前記駆動軸に接続された第2の回転子とを有し、該第1の回転子と該第2の回転子との相対的な回転により回転する対回転子電動機であるものとすることもできる。
本発明の車両は、
上述した各態様のいずれかの本発明の第1または第2の動力出力装置、即ち、基本的には、駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、内燃機関と、該内燃機関の出力軸と前記駆動軸とに接続され電力と動力の入出力により該内燃機関からの動力の少なくとも一部を該駆動軸に出力可能で該内燃機関の運転に伴って逆起電圧を発生可能な電力動力入出力手段と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記電力動力入出力手段を駆動する第1駆動回路と、前記第1の駆動回路と電力母線を共通にして前記電動機を駆動する第2駆動回路と、充放電可能な蓄電手段と、前記第1駆動回路および前記第2駆動回路の電力母線に前記蓄電手段を遮断可能に接続する接続遮断手段と、前記内燃機関の回転数を検出する回転数検出手段と、前記駆動軸に要求される要求動力を設定する要求動力設定手段と、前記接続遮断手段により前記第1駆動回路および前記第2駆動回路の電力母線から前記蓄電手段が遮断されたとき前記検出される内燃機関の回転数が目標回転数となるよう該内燃機関を運転制御すると共に前記設定された要求動力に基づく動力が前記駆動軸に出力されるよう前記電力動力入出力手段と前記電動機とを駆動制御し前記検出された内燃機関の回転数が前記目標回転数よりも低い低回転数域にあるときには前記検出される内燃機関の回転数が該目標回転数近傍に至るまで前記第1駆動回路と前記第2駆動回路とを含む電気機器のうちの少なくとも一つの機器の駆動を制限する遮断時制御手段とを備える第1の動力出力装置、または、駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、内燃機関と、該内燃機関の出力軸と前記駆動軸とに接続され電力と動力の入出力により該内燃機関からの動力の少なくとも一部を該駆動軸に出力可能で該内燃機関の運転に伴って逆起電圧を発生可能な電力動力入出力手段と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記電力動力入出力手段を駆動する第1駆動回路と、前記第1の駆動回路と電力母線を共通にして前記電動機を駆動する第2駆動回路と、充放電可能な蓄電手段と、前記第1駆動回路および前記第2駆動回路の電力母線に前記蓄電手段を遮断可能に接続する接続遮断手段と、前記電力母線間の電圧を検出する電圧検出手段と、前記駆動軸に要求される要求動力を設定する要求動力設定手段と、前記接続遮断手段により前記第1駆動回路および前記第2駆動回路の電力母線から前記蓄電手段が遮断されたとき前記検出される電力母線間の電圧が目標電圧となると共に前記設定された要求動力に基づく動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記電力動力入出力手段と前記電動機とを駆動制御し前記検出された電力母線間の電圧が前記目標電圧よりも低い低電圧域にあるときには前記検出される電圧が該目標電圧近傍に至るまで前記第1駆動回路と前記第2駆動回路とを含む電気機器のうちの少なくとも一つの機器の駆動を制限する遮断時制御手段とを備える第2の動力出力装置を搭載し、車軸が前記駆動軸に接続されて走行する
ことを要旨とする。
この本発明の車両では、上述した各態様のいずれかの本発明の第1または第2の動力出力装置を搭載するから、本発明の動力出力装置が奏する効果と同様の効果、例えば、蓄電手段を遮断した状態で走行する際に電力動力入出力手段や電動機の駆動回路を適正に駆動できる状態に迅速に移行することができる効果や要求動力に迅速に対応することができる効果などを奏することができる。
本発明の第1の動力出力装置の制御方法は、
内燃機関と、該内燃機関の出力軸と駆動軸とに接続され電力と動力の入出力により該内燃機関からの動力の少なくとも一部を該駆動軸に出力可能で該内燃機関の運転に伴って逆起電圧を発生可能な電力動力入出力手段と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記電力動力入出力手段を駆動する第1駆動回路と、前記第1の駆動回路と電力母線を共通にして前記電動機を駆動する第2駆動回路と、充放電可能な蓄電手段と、前記第1駆動回路および前記第2駆動回路の電力母線に前記蓄電手段を遮断可能に接続する接続遮断手段と、を備える動力出力装置の制御方法であって、
(a)前記駆動軸に要求される要求動力を設定し、
(b)前記接続遮断手段により前記第1駆動回路および前記第2駆動回路の電力母線から前記蓄電手段が遮断されたとき、前記内燃機関の回転数が目標回転数となるよう該内燃機関を運転制御すると共に前記設定された要求動力に基づく動力が前記駆動軸に出力されるよう前記電力動力入出力手段と前記電動機とを駆動制御し、前記内燃機関の回転数が前記目標回転数よりも低い低回転数域にあるときには該内燃機関の回転数が該目標回転数近傍に至るまで前記第1駆動回路と前記第2駆動回路とを含む電気機器のうちの少なくとも一つの機器の駆動を制限する
ことを要旨とする。
この本発明の第1の動力出力装置の制御方法によれば、駆動軸に要求される要求動力を設定し、内燃機関の出力軸と駆動軸とに接続され電力と動力の入出力により内燃機関からの動力の少なくとも一部を駆動軸に出力可能で内燃機関の運転に伴って逆起電圧を発生可能な電力動力入出力手段を駆動する第1駆動回路および駆動軸に動力を入出力可能な電動機を駆動する第2駆動回路の電力母線から蓄電手段が遮断されたとき、内燃機関の回転数が目標回転数となるよう内燃機関を運転制御すると共に設定された要求動力に基づく動力が駆動軸に出力されるよう電力動力入出力手段と電動機とを駆動制御し、内燃機関の回転数が目標回転数よりも低い低回転数域にあるときには内燃機関の回転数が目標回転数近傍に至るまで第1駆動回路と第2駆動回路とを含む電気機器のうちの少なくとも一つの機器の駆動を制限する。したがって、内燃機関の運転に伴って生じる電力動力入出力手段の逆起電圧の消費を抑制することができるから、内燃機関の回転数の上昇を迅速に行なうことができる。この結果、蓄電手段を遮断した状態で走行する際に電力動力入出力手段や電動機の駆動回路を適正に駆動できる状態に迅速に移行することができる。また、要求動力に迅速に対応することができる。
本発明の第2の動力出力装置の制御方法は、
内燃機関と、該内燃機関の出力軸と駆動軸とに接続され電力と動力の入出力により該内燃機関からの動力の少なくとも一部を該駆動軸に出力可能で該内燃機関の運転に伴って逆起電圧を発生可能な電力動力入出力手段と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記電力動力入出力手段を駆動する第1駆動回路と、前記第1の駆動回路と電力母線を共通にして前記電動機を駆動する第2駆動回路と、充放電可能な蓄電手段と、前記第1駆動回路および前記第2駆動回路の電力母線に前記蓄電手段を遮断可能に接続する接続遮断手段と、を備える動力出力装置の制御方法であって、
(a)前記駆動軸に要求される要求動力を設定し、
(b)前記接続遮断手段により前記第1駆動回路および前記第2駆動回路の電力母線から前記蓄電手段が遮断されたとき、前記電力母線間の電圧が目標電圧となると共に前記設定された要求動力に基づく動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記電力動力入出力手段と前記電動機とを駆動制御し、前記電力母線間の電圧が前記目標電圧よりも低い低電圧域にあるときには該電力母線間の電圧が該目標電圧近傍に至るまで前記第1駆動回路と前記第2駆動回路とを含む電気機器のうちの少なくとも一つの機器の駆動を制限する
ことを要旨とする。
この本発明の第2の動力出力装置の制御方法によれば、駆動軸に要求される要求動力を設定し、内燃機関の出力軸と駆動軸とに接続され電力と動力の入出力により内燃機関からの動力の少なくとも一部を駆動軸に出力可能で内燃機関の運転に伴って逆起電圧を発生可能な電力動力入出力手段を駆動する第1駆動回路および駆動軸に動力を入出力可能な電動機を駆動する第2駆動回路の電力母線から蓄電手段が遮断されたとき、内燃機関の回転数が目標回転数となるよう内燃機関を運転制御すると共に設定された要求動力に基づく動力が駆動軸に出力されるよう電力動力入出力手段と電動機とを駆動制御し、内燃機関の回転数が目標回転数よりも低い低回転数域にあるときには内燃機関の回転数が目標回転数近傍に至るまで第1駆動回路と第2駆動回路とを含む電気機器のうちの少なくとも一つの機器の駆動を制限する。したがって、内燃機関の運転に伴って生じる電力動力入出力手段の逆起電圧の消費を抑制することができるから、電力動力入出力手段や電動機の駆動回路の電圧の上昇を迅速に行なうことができる。この結果、蓄電手段を遮断した状態で走行する際に電力動力入出力手段や電動機の駆動回路を適正に駆動できる状態に迅速に移行することができる。また、要求動力に迅速に対応することができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
図1は本発明の一実施例である動力出力装置を搭載したハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図であり、図2はモータMG1,MG2を含む電機駆動系の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図1に示すように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、動力分配統合機構30に接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに減速ギヤ35を介して接続されたモータMG2と、直流電流を交流電流に変換してモータMG1,MG2に供給可能なインバータ41,42と、バッテリ50からの電力をその電圧を変換してインバータ41,42に供給可能な昇圧回路55と、バッテリ50と昇圧回路55とに介在するシステムメインリレー56と、動力出力装置全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
エンジン22は、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関であり、エンジン22の運転状態を検出する各種センサから信号を入力するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により燃料噴射制御や点火制御,吸入空気量調節制御などの運転制御を受けている。エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。動力分配統合機構30は、キャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32にはリングギヤ軸32aを介して減速ギヤ35がそれぞれ連結さ
れており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、リングギヤ軸32aからギヤ機構60およびデファレンシャルギヤ62を介して、最終的には車両の駆動輪63a,63bに出力される。
モータMG1およびモータMG2は、いずれも外表面に永久磁石が貼り付けられたロータと三相コイルが巻回されたステータとを備える周知の同期発電電動機として構成されている。インバータ41,42は、6つのトランジスタT11〜T16,T21〜T26とトランジスタT11〜T16,T21〜T26に逆方向に並列接続された6つのダイオードD11〜D16,D21〜D26とにより構成されている。トランジスタT11〜T16,T21〜T26は、それぞれインバータ41,42が電力ライン54として共用する正極母線54aと負極母線54bとに対してソース側とシンク側になるよう2個ずつペアで配置されており、対となるトランジスタ同士の接続点の各々にモータMG1,MG2の三相コイル(U相,V相,W相)の各々が接続されている。したがって、正極母線14aと負極母線14bとの間に電圧が作用している状態で対をなすトランジスタT11〜T16,T21〜T26のオン時間の割合を制御することにより三相コイルに回転磁界を形成でき、モータMG1,MG2を回転駆動することができる。インバータ41,42は、正極母線54aと負極母線54bとを共用しているから、モータMG1,MG2のいずれかで発電される電力を他のモータに供給することができる。正極母線54aと負極母線54bとには平滑用のコンデンサ57が接続されている。モータMG1,MG2は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
昇圧回路55は、図2に示すように、2つのトランジスタT31,T32とトランジスタT31,T32に逆方向に並列接続された2つのダイオードD31,D32とリアクトルLとにより構成されている。2つのトランジスタT31,T32は、それぞれインバータ41,42の正極母線54aと負極母線54bとに接続されており、その接続点にリアクトルLが接続されている。また、リアクトルLと負極母線54bとにはそれぞれバッテリ50の正極端子と負極端子とが接続されている。したがって、トランジスタT31,T32をオンオフ制御することによりバッテリ50の直流電力をその電圧を昇圧してインバータ41,42に供給したり正極母線54aと負極母線54bとに作用している直流電圧を降圧してバッテリ50を充電したりすることができる。なお、リアクトルLと負極母線54bとには平滑用のコンデンサ57が接続されると共にDC/DCコンバータ66を介して補機(図示せず)に電力を供給可能な低圧バッテリ68が接続されている。
バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば,バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧,バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51からの電池温度
Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、バッテリECU52では、バッテリ50を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量(SOC)も演算している。
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、コンデンサ57の端子間に取り付けられた電圧センサ58からのコンデンサ電圧Vcやイグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。また、ハイブリッド用電子制御ユニット70からは、システムメインリレー56への駆動信号や昇圧回路55のスイッチング素子へのスイッチング制御信号,DC/DCコンバータ66のスイッチング素子へのスイッチング制御信号などが出力ポートを介して出力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特に、バッテリ50に異常が生じるなどしてシステムメインリレー56をオフしてインバータ41,42からバッテリ50を遮断した状態で走行する際の動作について説明する。図3は、ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行されるバッテリ遮断時制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、インバータ41,42からバッテリ50が遮断されたときに所定時間毎(例えば数msec毎)に繰り返し実行される。
バッテリ遮断時制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや車速センサ88からの車速V,モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,エンジン22の回転数Ne,電圧センサ58からのコンデンサ電圧Vcなどの制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS100)。ここで、エンジン22の回転数Neは、エンジン22のクランクシャフト26に取り付けられた図示しない回転数センサにより検出されたものをエンジンECU24から通信により入力するものとした。また、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、回転位置検出センサ43,44により検出されるモータMG1,MG2の回転子の回転位置に基づいて計算されたものをモータECU40から通信により入力するものとした。
こうしてデータを入力すると、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいて車両に要求されるトルクとして駆動輪63a,63bに連結された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*を設定する(ステップS110)。要求トルクTr*は、実施例では、アクセル開度Accと車速Vと要求トルクTr*との関係を予め定めて要求トルク設定用マップとしてROM74に記憶しておき、アクセル開度Accと車速Vとが与えられると記憶したマップから対応する要求トルクTr*を導出して設定するものとした。図4に要求トルク設定用マップの一例を示す。
続いて、コンデンサ57の目標電圧Vc*を設定する(ステップS120)。図5に、コンデンサ電圧VcとモータMG1の回転数およびトルクとの関係の一例を示す。図示するように、コンデンサ電圧Vcの高低によってモータMG1が回生できるパワー(発電電力)が決まることが解る。モータMG2はモータMG1の発電電力を消費してトルクを出力するから、コンデンサ電圧Vcは駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力することができるトルクの領域を定めるものとなる。実施例では、目標電圧Vc*は、要求トルクTr*が大きいほど目標電圧Vc*が高くなる傾向に要求トルクTr*と目標電圧Vc*との関係を予め求めてマップとしてROM74に記憶しておき、要求トルクTr*が与えられるとマップから対応する目標電圧Vc*を導出して設定するものとした。勿論、目標電圧Vc*に要求トルクTr*に拘わらず所定値を設定するものとしても構わない。
そして、エンジン22の目標回転数Ne*を設定する(ステップS130)。ここで、目標回転数Ne*の設定は、例えば、モータMG1の回転数Nm1によってモータMG1で発生する逆起電圧が一義的に決まりこれがコンデンサ57に作用することから、コンデンサ57の目標電圧Vc*に基づいてモータMG1の目標回転数Nm1*を設定し、設定した目標回転数Nm1*と車速Vと動力分配統合機構30のギヤ比ρとに基づいて次式(1)によりエンジン22の目標回転数Ne*を計算して設定することにより行なうことができる。動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図を図6に示す。図中、左のS軸はモータMG1の回転数Nm1であるサンギヤ31の回転数を示し、C軸はエンジン22の回転数Neであるキャリア34の回転数を示し、R軸はモータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比Grで除したリングギヤ32の回転数Nrを示す。式(1)は、図6の共線図を用いて容易に導き出すことができる。なお、図6中のR軸上の2つの太線矢印は、エンジン22を目標回転数Ne*で運転している状態でモータMG1から出力されるトルクTm1*がリングギヤ軸32aに伝達されるトルクと、モータMG2から出力されるトルクTm2*が減速ギヤ35を介してリングギヤ軸32aに作用するトルクとを示す。式(1)は、この共線図を用いれば容易に導くことができる。
Ne*=Nm1*・ρ/(1+ρ)+(Nm2/Gr)/(1+ρ) (1)
エンジン22の目標回転数Ne*を設定すると、設定した目標回転数Ne*と現在の回転数Neとに基づいて次式(2)によりエンジン22から出力すべき目標トルクTe*を設定すると共に設定した目標トルクTe*をエンジンECU24に送信する(ステップS140)。ここで、式(2)は、エンジン22を目標回転数Ne*で回転させるためのフィードバック制御における関係式であり、式(2)中、「k1」は比例項のゲインを示し、「k2」は積分項のゲインを示す。なお、目標トルクTe*を受信したエンジンECU24は、目標トルクTe*でエンジン22が運転されるようにエンジン22における燃料噴射制御や点火制御などの制御を行なう。
Te*=k1(Ne-Ne*)+k2 ∫(Ne-Ne*)dt (2)
次に、エンジン22の目標回転数Ne*と現在の回転数Neとの偏差(Ne*−Ne)と所定値N1とを比較する(ステップS150)。ここで、所定値N1は、モータMG1やモータMG2から十分なトルクを出力できるよう例えば500rpmなどのように値0近傍の値として定められている。偏差(Ne*−Ne)が所定値N1以上のときには、モータMG1,MG2のインバータ41,42をゲート遮断して(ステップS160)、目標回転数Ne*と現在の回転数Neとの偏差(Ne*−Ne)と所定値N2とを比較し(ステップS170)、偏差(Ne*−Ne)が所定値N2以上と判定されると、更にDC/DCコンバータ66を停止して(ステップS180)、本ルーチンを終了し、偏差(Ne*−Ne)が所定値N2未満と判定されると、低圧バッテリ68に要求される電力に基づいてDC/DCコンバータ66の出力電圧Voutを設定すると共に(ステップS220)、設定した出力電圧VoutでDC/DCコンバータ66を駆動制御して(ステップS230)、本ルーチンを終了する。ここで、所定値N2は、所定値N1よりも大きな値、例えば1000rpmや1500rpmなどのように定められている。したがって、インバータ41,42のゲート遮断がDC/DCコンバータ66の停止に優先して実行されることになる。このように、エンジン22の目標回転数Ne*と現在の回転数Neとの偏差(Ne*−Ne)に基づいてモータMG1,MG2のインバータ41,42をゲート遮断したりDC/DCコンバータ66を停止することにより、エンジン22の回転数Neが目標回転数Ne*に向けて上昇するまでの過渡時にモータMG1の逆起電力が消費されてしまうのを抑制してモータMG1の逆起トルクが大きくなるのを抑え、エンジン22の回転数Neの上昇を促進しているのである。これにより、エンジン22の回転数NeをモータMG1,MG2から十分なトルクを出力することができる状態に迅速に移行させることができるから、より迅速に要求トルクTr*に対応することができる。また、インバータ41,42のゲート遮断をDC/DCコンバータ66の停止に優先して実行するのは、低電圧系の電圧低下を抑制して、低圧バッテリ68の上がりや補機の作動不良を回避するためである。
ステップS150で目標回転数Ne*と現在の回転数Neとの偏差(Ne*−Ne)が所定値N1未満と判定されると、モータMG1やモータMG2から十分なトルクを出力することができる状態にあると判断して、コンデンサ電圧Vcと目標電圧Vc*とに基づいて次式(3)によりコンデンサ57に入出力すべき電力としての入出力制限Wioを設定する(ステップS190)。ここで、式(3)は、コンデンサ電圧Vcを目標電圧Vc*に一致させるためのフィードバック制御における関係式であり、式(3)中、「k3」は比例項のゲインを示し、「k4」は積分項のゲインを示す。
Wio=k3(Vc-Vc*)+k4∫(Vc-Vc*)dt (3)
入出力制限Wioを設定すると、次式(4)および次式(5)を満たすモータMG1から出力すべきトルク指令Tm1*とモータMG2から出力すべきトルク指令Tm2*を設定し(ステップS200)、設定したトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信する(ステップS210)。ここで、式(4)は、モータMG1やモータMG2から駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるトルクの総和が要求トルクTr*となる関係であり、式(5)は、モータMG1とモータMG2とにより入出力される電力の総和が入出力制限Wioとなる関係である。図7にモータMG1のトルク指令Tm1*とモータMG2のトルク指令Tm2*を設定する様子を示す。トルク指令Tm1*,Tm2*は、図示するように、式(4)の関係を満たすラインと式(5)の関係を満たすラインとの交点におけるトルク(図中T1,T2)として求めることができる。なお、トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*,Tm2*に見合うトルクがモータMG1,MG2から出力されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。そして、DC/DCコンバータ66の出力電圧Voutを設定すると共に(ステップS220)、設定した出力電圧VoutでDC/DCコンバータ66を駆動制御して(ステップS230)、本ルーチンを終了する。
-Tm1*/ρ+Tm2*・Gr=Tr* (4)
Tm1*・Nm1+Tm2*・Nm2=Wio (5)
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、インバータ41,42からバッテリ50が遮断されたときには、エンジン22の回転数Neが目標回転数Ne*に一致するようエンジン22をフィードバック制御し、エンジン22の回転数Neが目標回転数Ne*よりも小さいときにはその回転数Neが目標回転数Ne*近傍に上昇するまでモータMG1,MG2のインバータ41,42をゲート遮断したりDC/DCコンバータ66の停止したりするから、エンジン22の回転数Neが目標回転数Ne*近傍に至る前に要求トルクTr*に基づくトルクが駆動軸に出力されるようモータMG1,MG2のインバータ41,42を制御するものに比して、エンジン22の回転数Neを迅速に上昇させてモータMG1,MG2から十分なトルクを出力して走行することができる状態に迅速に移行することができる。この結果、バッテリ50に遮断して走行する際に要求トルクTr*に迅速に滞欧することができる。しかも、インバータ41,42のゲート遮断をDC/DCコンバータ66の停止に優先して行なうから、低電圧系の電圧低下を防止して低圧バッテリ68の上がりや補機の作動不良などを抑制することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の目標回転数Ne*と現在の回転数Neとの偏差が所定値N1以上のときにはモータMG1,MG2のインバータ41,42をゲート遮断するものとしたが、ゲート遮断に代えてモータMG1,MG2から出力するトルクを制限してインバータ41,42をスイッチング制御するものとしてもよい。この場合、例えば、リングギヤ軸32aに出力するトルクの上限値を定めて、要求トルクTr*を上限値でガードするものとすればよい。また、実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の目標回転数Ne*と現在の回転数Neとの偏差が所定値N2以上のときにはDC/DCコンバータ66を停止するものとしたが、出力電圧Voutを上限値をもって制限してDC/DCコンバータ66を駆動するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の目標回転数Ne*と現在の回転数Neとの偏差(Ne*−Ne)が所定値N1以上で所定値N2未満のときにはインバータ41,42のゲート遮断のみを実行し、偏差(Ne*−Ne)が所定値N2以上のときいはインバータ41,42のゲート遮断に加えてDC/DCコンバータ66を停止するものとしたが、偏差(Ne*−Ne)が所定値N1以上のときにインバータ41,42をゲート遮断すると共にDC/DCコンバータ66も停止するものとしてもよいし、偏差(Ne*−Ne)拘わらずDC/DCコンバータ66を停止しないものとしても差し支えない。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の目標回転数Ne*と現在の回転数Neとの偏差(Ne*−Ne)に基づいてインバータ41,42をゲート遮断したりDC/DCコンバータ66を停止したりするものとしたが、コンデンサ57の目標電圧Vc*とコンデンサ電圧Vcとの偏差に基づいてインバータ41,42をゲート遮断したりDC/DCコンバータ66を停止したりするものとしてもよい。この場合、図3のバッテリ遮断時制御ルーチンにおけるステップS150に代えてコンデンサ57の目標電圧Vc*とコンデンサ電圧Vcとの偏差(Vc*−Vc)が所定値V1未満か否かを判定する処理を実行し、ステップS170に代えてコンデンサ57の目標電圧Vc*とコンデンサ電圧Vcとの偏差(Vc*−Vc)が所定値V2未満か否かを判定する処理を実行するものとすればよい。なお、所定値V1には、モータMG1やモータMG2から要求トルクTr*に対応するトルクを出力するための十分な値として定めるものとし、所定値V2は所定値V1よりも大きな値を定めるものとすることができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、インバータ41,42をゲート遮断したりDC/DCコンバータ66を停止することによりエンジン22の回転数Neを迅速に目標回転数Ne*にまで上昇させるものとしたが、これに限られず、電力ライン54と電力をやりとり可能な他の電気機器の駆動を制限(例えば、エアコンプレッサを駆動するインバータをゲート遮断)するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2の動力を減速ギヤ35により変速してリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図8の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2の動力をリングギヤ軸32aが接続された車軸(駆動輪63a,63bが接続された車軸)とは異なる車軸(図8における車輪64a,64bに接続された車軸)に接続するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の動力を動力分配統合機構30を介して駆動輪63a,63bに接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図9の変形例のハイブリッド自動車220に例示するように、エンジン22のクランクシャフト26に接続されたインナーロータ232と駆動輪63a,63bに動力を出力する駆動軸に接続されたアウターロータ234とを有し、エンジン22の動力の一部を駆動軸に伝達すると共に残余の動力を電力に変換する対ロータ電動機230を備えるものとしてもよい。
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、自動車産業や動力出力装置の製造産業などに利用可能である。
本発明の一実施例としての動力出力装置を搭載したハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。 モータMG1,MG2を含む電機駆動系の構成の概略を示す構成図である。 実施例のハイブリッド自動車20のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行されるバッテリ遮断時制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 要求トルク設定用マップの一例を示す説明図である。 コンデンサ電圧VcとモータMG1の回転数およびトルクとの関係の一例を示す説明図である。 動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係の一例を示す共線図である。 モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*の設定の様子を示す説明図である。 変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。 変形例のハイブリッド自動車220の構成の概略を示す構成図である。
符号の説明
20,120,220 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、35,減速ギヤ、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、51 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、54a 正極母線、54b 負極母線、55 昇圧回路、56 システムメインリレー、57,59 コンデンサ、58 電圧センサ、60 ギヤ機構、62 デファレンシャルギヤ、63a,63b 駆動輪、64a,64b 車輪、66 DC/DCコンバータ、68 低圧バッテリ、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、230 対ロータ電動機、232 インナーロータ 234 アウターロータ、MG1,MG2 モータ、T11〜T16,T21〜T26,T31,T32 トランジスタ、D11〜D16,D21〜D26,D31,D32 ダイオード。

Claims (13)

  1. 駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、
    内燃機関と、
    該内燃機関の出力軸と前記駆動軸とに接続され、電力と動力の入出力により該内燃機関からの動力の少なくとも一部を該駆動軸に出力可能で該内燃機関の運転に伴って逆起電圧を発生可能な電力動力入出力手段と、
    前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、
    前記電力動力入出力手段を駆動する第1駆動回路と、
    前記第1の駆動回路と電力母線を共通にして前記電動機を駆動する第2駆動回路と、
    充放電可能な蓄電手段と、
    前記第1駆動回路および前記第2駆動回路の電力母線に前記蓄電手段を遮断可能に接続する接続遮断手段と、
    前記内燃機関の回転数を検出する回転数検出手段と、
    前記駆動軸に要求される要求動力を設定する要求動力設定手段と、
    前記接続遮断手段により前記第1駆動回路および前記第2駆動回路の電力母線から前記蓄電手段が遮断されたとき、前記検出される内燃機関の回転数が目標回転数となるよう該内燃機関を運転制御すると共に前記設定された要求動力に基づく動力が前記駆動軸に出力されるよう前記電力動力入出力手段と前記電動機とを駆動制御し、前記検出された内燃機関の回転数が前記目標回転数よりも低い低回転数域にあるときには前記検出される内燃機関の回転数が該目標回転数近傍に至るまで前記第1駆動回路と前記第2駆動回路とを含む電気機器のうちの少なくとも一つの機器の駆動を制限する遮断時制御手段と
    を備える動力出力装置。
  2. 駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、
    内燃機関と、
    該内燃機関の出力軸と前記駆動軸とに接続され、電力と動力の入出力により該内燃機関からの動力の少なくとも一部を該駆動軸に出力可能で該内燃機関の運転に伴って逆起電圧を発生可能な電力動力入出力手段と、
    前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、
    前記電力動力入出力手段を駆動する第1駆動回路と、
    前記第1の駆動回路と電力母線を共通にして前記電動機を駆動する第2駆動回路と、
    充放電可能な蓄電手段と、
    前記第1駆動回路および前記第2駆動回路の電力母線に前記蓄電手段を遮断可能に接続する接続遮断手段と、
    前記電力母線間の電圧を検出する電圧検出手段と、
    前記駆動軸に要求される要求動力を設定する要求動力設定手段と、
    前記接続遮断手段により前記第1駆動回路および前記第2駆動回路の電力母線から前記蓄電手段が遮断されたとき、前記検出される電力母線間の電圧が目標電圧となると共に前記設定された要求動力に基づく動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記電力動力入出力手段と前記電動機とを駆動制御し、前記検出された電力母線間の電圧が前記目標電圧よりも低い低電圧域にあるときには前記検出される電圧が該目標電圧近傍に至るまで前記第1駆動回路と前記第2駆動回路とを含む電気機器のうちの少なくとも一つの機器の駆動を制限する遮断時制御手段と
    を備える動力出力装置。
  3. 前記遮断時制御手段は、前記少なくとも一つの機器の駆動の制限として前記第1駆動回路および前記第2駆動回路の駆動を制限する手段である請求項1または2記載の動力出力装置。
  4. 前記遮断時制御手段は、前記第1駆動回路および前記第2駆動回路をゲート遮断する手段である請求項3記載の動力出力装置。
  5. 請求項3または4記載の動力出力装置であって、
    前記電力動力入出力手段および前記電動機よりも低い電圧で作動する低電圧系と、
    前記電力動力入出力手段からの発電電力を電圧変換して前記低電圧系に供給可能な電圧変換手段と、
    を備え、
    前記遮断時制御手段は、前記少なくとも一つの機器の駆動の制限として前記電圧変換手段の駆動を制限する手段である
    動力出力装置。
  6. 前記遮断時制御手段は、前記電圧変換手段の駆動を停止する手段である請求項5記載の動力出力装置。
  7. 前記電圧変換手段は、DC/DCコンバータである請求項5または6記載の動力出力装置。
  8. 前記遮断時制御手段は、前記第1駆動回路および前記第2駆動回路の駆動の制限を前記電圧変換手段の駆動の制限に優先して実行する手段である請求項3ないし7いずれか記載の動力出力装置。
  9. 前記電力動力入出力手段は、前記内燃機関の出力軸と前記駆動軸と回転軸の3軸に接続
    され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力
    する3軸式動力入出力手段と、前記回転軸に動力を入出力可能な発電機とを備える手段で
    ある請求項1ないし8いずれか記載の動力出力装置。
  10. 前記電力動力入出力手段は、前記内燃機関の出力軸に接続された第1の回転子と前記駆
    動軸に接続された第2の回転子とを有し、該第1の回転子と該第2の回転子との相対的な
    回転により回転する対回転子電動機である請求項1ないし8いずれか記載の動力出力装置
  11. 請求項1ないし10いずれか記載の動力出力装置を搭載し、車軸が前記駆動軸に接続されて走行する車両。
  12. 内燃機関と、該内燃機関の出力軸と駆動軸とに接続され電力と動力の入出力により該内燃機関からの動力の少なくとも一部を該駆動軸に出力可能で該内燃機関の運転に伴って逆起電圧を発生可能な電力動力入出力手段と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記電力動力入出力手段を駆動する第1駆動回路と、前記第1の駆動回路と電力母線を共通にして前記電動機を駆動する第2駆動回路と、充放電可能な蓄電手段と、前記第1駆動回路および前記第2駆動回路の電力母線に前記蓄電手段を遮断可能に接続する接続遮断手段と、を備える動力出力装置の制御方法であって、
    (a)前記駆動軸に要求される要求動力を設定し、
    (b)前記接続遮断手段により前記第1駆動回路および前記第2駆動回路の電力母線から前記蓄電手段が遮断されたとき、前記内燃機関の回転数が目標回転数となるよう該内燃機関を運転制御すると共に前記設定された要求動力に基づく動力が前記駆動軸に出力されるよう前記電力動力入出力手段と前記電動機とを駆動制御し、前記内燃機関の回転数が前記目標回転数よりも低い低回転数域にあるときには該内燃機関の回転数が該目標回転数近傍に至るまで前記第1駆動回路と前記第2駆動回路とを含む電気機器のうちの少なくとも一つの機器の駆動を制限する
    動力出力装置の制御方法。
  13. 内燃機関と、該内燃機関の出力軸と駆動軸とに接続され電力と動力の入出力により該内燃機関からの動力の少なくとも一部を該駆動軸に出力可能で該内燃機関の運転に伴って逆起電圧を発生可能な電力動力入出力手段と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記電力動力入出力手段を駆動する第1駆動回路と、前記第1の駆動回路と電力母線を共通にして前記電動機を駆動する第2駆動回路と、充放電可能な蓄電手段と、前記第1駆動回路および前記第2駆動回路の電力母線に前記蓄電手段を遮断可能に接続する接続遮断手段と、を備える動力出力装置の制御方法であって、
    (a)前記駆動軸に要求される要求動力を設定し、
    (b)前記接続遮断手段により前記第1駆動回路および前記第2駆動回路の電力母線から前記蓄電手段が遮断されたとき、前記電力母線間の電圧が目標電圧となると共に前記設定された要求動力に基づく動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記電力動力入出力手段と前記電動機とを駆動制御し、前記電力母線間の電圧が前記目標電圧よりも低い低電圧域にあるときには該電力母線間の電圧が該目標電圧近傍に至るまで前記第1駆動回路と前記第2駆動回路とを含む電気機器のうちの少なくとも一つの機器の駆動を制限する
    動力出力装置の制御方法。
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