JP2015217921A - 電動発電機装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】界磁に永久磁石を用いた電動発電機を含む電動発電機装置において、電圧制御を可能にする。
【解決手段】駆動源と、界磁に永久磁石を用いた第1及び第2電動発電機3、4と、第1電動発電機のロータである第1ロータ27に結合されたリングギヤ17、第2電動発電機のロータである第2ロータ37に結合されたサンギヤ16、及び駆動源に結合された遊星キャリア18を含む遊星歯車機構2とを有する電動発電機装置1であって、第1及び第2電動発電機の一方が発生する電圧を制御するために、第1及び第2電動発電機の他方の回転数と駆動源の回転数との少なくとも一方を変化させ、第1及び第2電動発電機の一方の回転数を制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、界磁に永久磁石を用いた2つの電動発電機を含む電動発電機装置に関する。
車両等の発電機として、界磁に電磁石を用いた電磁石同期発電機と、界磁に永久磁石を用いた永久磁石同期発電機とがある。電磁石同期発電機は、電磁石に供給する電流を変化させることによって発生する電圧を一定に維持することができるが、電磁石を用いることから小型化及び軽量化や、高出力化が難しいという問題がある。一方、永久磁石同期発電機は、スリップリングやブラシ等の電気的接点を省略することができる等、構成を簡素にすることができるため小型化及び軽量化の点で有利であるが、ロータの回転変動や負荷変動に応じて発生する電圧が変化するため、電圧を調整するための昇降圧器(DC/DCコンバータ)が必要になるという問題がある。これらに対して、ロータに永久磁石と電磁石と設け、電磁石に供給する電流を制御することによって、ステータコイルが受ける磁界の強さを制御し、発生する電圧を一定に維持するようにしたものがある(例えば、特許文献1)。
特開2011−166844号公報
しかしながら、特許文献1に係る発電機は、内燃機関が高回転となるときに電力を使用して電磁石が発生する磁界を強め、ステータコイルが受ける磁界を弱めるため、効率が悪いという問題がある。また、磁界を調整するための電磁石を用いるため、電磁石同期発電機と同様に小型・軽量化が難しいという問題がある。
本発明は、以上の背景に鑑み、界磁に永久磁石を用いた電動発電機を含む電動発電機装置において、電圧制御を可能にすることを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、駆動源(60)と、界磁に永久磁石を用いた第1及び第2電動発電機(3、4)と、前記第1電動発電機のロータである第1ロータ(27)に結合されたリングギヤ(17)、前記第2電動発電機のロータである第2ロータ(37)に結合されたサンギヤ(16)、及び前記駆動源に結合された遊星キャリア(18)を含む遊星歯車機構(2)とを有する電動発電機装置(1)であって、前記第1及び第2電動発電機の一方が発生する電圧を制御するために、前記第1及び第2電動発電機の他方の回転数と前記駆動源の回転数との少なくとも一方を変化させ、前記第1及び第2電動発電機の一方の回転数を制御することを特徴とする。
この構成によれば、出力側となる第1及び第2電動発電機の一方の回転数は、駆動源の回転数と第1及び第2電動発電機の他方の回転数とによって決まるため、駆動源の回転数が変化するときには第1及び第2電動発電機の他方の回転数を変化させることによって、出力側となる第1及び第2電動発電機の一方の回転数を制御し、発生する電圧を制御することができる。そのため、界磁に永久磁石を用いた第1及び第2電動発電機に昇降圧器を設ける必要がなくなる。
また、上記の発明において、前記第1ロータ及び前記第2ロータを収容するケース(5)と、前記第1ロータと前記ケースとの間に設けられ、前記ケースに対する前記第1ロータの相対回転を制動する第1ブレーキ(50)と、前記第2ロータと前記ケースとの間に設けられ、前記ケースに対する前記第2ロータの相対回転を制動する第2ブレーキ(51)とを有するとよい。
この構成によれば、第1及び第2ブレーキを操作することによって、第1及び第2ロータの制動を行うことができ、第1及び第2電動発電機の回転数を迅速かつ円滑に変化させることができる。
また、上記の発明において、前記駆動源は内燃機関(60)であり、前記遊星キャリアは前記内燃機関の駆動軸(61)に連結され、前記内燃機関の回転数が最高回転数であるときの前記遊星キャリアの回転数を遊星キャリア最高回転数とし、前記内燃機関の回転数が定格出力回転数であるときの前記遊星キャリアの回転数を遊星キャリア定格回転数とし、前記遊星キャリア最高回転数であり、かつ前記サンギヤの回転数が0であるときの前記リングギヤの回転数をリングギヤ最高回転数とし、前記遊星キャリア定格回転数であり、かつ前記リングギヤの回転数が0であるときの前記サンギヤの回転数をサンギヤ定格回転数とすると、前記リングギヤ最高回転数と前記サンギヤ定格回転数とが等しくなるように、前記サンギヤの歯数に対する前記リングギヤの歯数の比が設定され、前記第1電動発電機が前記リングギヤ最高回転数のときに発生する電圧が48V〜60Vの範囲内であり、かつ前記第2電動発電機が前記サンギヤ定格回転数のときに発生する電圧が48V〜60Vの範囲内であるとよい。
この構成によれば、内燃機関の回転数が定格出力回転数(例えば、4000rpm等)であるときに、サンギヤに連結された第2発電機の回転数を所望の電圧を発生する回転数に維持しつつ、リングギヤに連結された第1電動発電機の回転数を0(停止)にすることができる。また、内燃機関の回転数が最高回転数(例えば、6000rpm等)であるときに、リングギヤに連結された第1電動発電機の回転数を所望の電圧を発生する回転数に維持しつつ、サンギヤに連結された第2電動発電機の回転数を0(停止)にすることができる。これにより、第1及び第2電動発電機の一方のみで発電を行うことができるため、発電機の回転による損失及び電気変換による損失を低減し、発電効率を高めることができる。例えば、内燃機関の回転数が定格出力回転数である場合は第2電動発電機を停止して第1電動発電機で発電を行い、内燃機関の回転数が最高回転数である場合は第1電動発電機を停止して第2電動発電機で発電を行うとよい。
また、上記の発明において、前記遊星キャリアの回転数が所定の切換回転数よりも低い場合に、前記第1電動発電機の回転数を変化させることによって前記第2電動発電機の回転数を一定にして前記第2電動発電機が発電を行い、前記遊星キャリアの回転数が前記切換回転数以上の場合に前記第2電動発電機の回転数を変化させることによって前記第1電動発電機の回転数を一定にし、前記第1電動発電機が発電を行うとよい。
この構成によれば、電動発電機装置の効率を向上させることができると共に、電圧の制御を容易にすることができる。サンギヤはリングギヤに対して回転速度が速いため、遊星キャリアの回転数が低い領域ではサンギヤ側の第2電動発電機が発電を行うことによって効率を高めることができる。一方、遊星キャリアの回転数が高い領域では、第2電動発電機を出力側とすると、回転数が高くなるサンギヤの回転数を抑制するために、リングギヤの回転数が0を跨いで逆方向となり、第1電動発電機が発電を行うようになるため、リングギヤ側の第1電動発電機を出力とし、第2電動発電機を入力とすることによって、電圧の制御が容易になる。
また、上記の発明において、前記第1及び第2ロータは、回転軸の径方向に延在する支持部材(31、41)と、前記支持部材の回転軸方向における一方の側面に取り付けられた永久磁石(32、42)と、前記支持部材を回転軸方向に貫通して前記永久磁石を前記支持部材の回転軸方向における他方の側面側に露出させる露出孔(55B、56B)とを有し、前記第1ロータ及び前記第2ロータを収容するケースには、前記露出孔を通過した磁束を検出する磁気センサ(55A、56A)が設けられているとよい。
この構成によれば、界磁として使用される永久磁石を利用して回転センサを構築することができる。
以上の構成によれば、界磁に永久磁石を用いた電動発電機を含む電動発電機装置において、電圧制御を可能にすることができる。
実施形態に係る電動発電機装置の断面図 実施形態に係る電動発電機装置の接続構造を示す模式図 遊星キャリアの回転数に対するサンギヤの回転数及びリングギヤの回転数を示す図 ギヤ比Zr/Zsを1.5とした場合の、遊星キャリアの回転数に対するサンギヤの回転数及びリングギヤの回転数を示す図 (A)定電圧制御において第1電動発電機を出力とする場合の遊星キャリア、リングギヤ、及びサンギヤの回転数の関係を示す図、(B)図5(A)における第1電動発電機の出力、第2電動発電機の入力、及び合算出力を示す図 (A)定電圧制御において第2電動発電機を出力とする場合の遊星キャリア、リングギヤ、及びサンギヤの回転数の関係を示す図、(B)図6(A)における第2電動発電機の出力、第1電動発電機の入力、及び合算出力を示す図 (A)出力を第1電動発電機及び第2電動発電機の間で切り換える場合の遊星キャリア、リングギヤ、及びサンギヤの回転数の関係を示す図、(B)図7(A)における第1電動発電機の入出力、第2電動発電機の入出力、及び合算出力を示す図 電圧可変制御における電圧と、遊星キャリア、リングギヤ、及びサンギヤの回転数との関係を示すマップ 定電流・定電圧充電制御において(A)電圧及び電流の推移を示すグラフ、(B)遊星キャリアの回転数を一定とした場合のサンギヤ及びリングギヤの回転数の推移を示すグラフ、(C)リングギヤの回転数を0に固定した場合のサンギヤ及び遊星キャリアの回転数の推移を示すグラフ、(D)定電圧充電制御時に遊星キャリアの回転数を低下させた場合のサンギヤ及びリングギヤの回転数の推移を示すグラフ
以下、図面を参照して、本発明の電動発電機装置の実施形態について説明する。図1に示す電動発電機装置1は、遊星歯車機構2と、第1電動発電機3(モータジェネレータ)と、第2電動発電機4とを有する。遊星歯車機構2、第1電動発電機3及び第2電動発電機4は、ケース5に支持され、ユニット6を構成する。
ケース5は、外形が略円筒形に形成された円筒部5Aと、円筒部5Aの両端部を閉じる第1端壁5B及び第2端壁5Cと、円筒部5Aの内部に配置され、各端壁5B、5Cと平行に設けられた第1隔壁5D及び第2隔壁5Eとを有する。ケース5の内部空間は、第1端壁5Bと第1隔壁5Dとの間に形成された第1室7と、第1隔壁5Dと第2隔壁5Eとの間に形成された第2室8と、第2隔壁5Eと第2端壁5Cとの間に形成された第3室9とを有する。第1端壁5B、第1隔壁5D、第2隔壁5E、及び第2端壁5Cの中央部には、電動発電機装置1の軸線Aに沿ってそれぞれを貫通する第1軸受孔11、第2軸受孔12、第3受孔13、第4受孔14が同軸に形成されている。
遊星歯車機構2は第1室7に配置され、第1電動発電機3は第2室8に配置され、第3発電機は第3室9に配置される。遊星歯車機構2、第1電動発電機3、及び第2電動発電機4は、ケース5の軸線Aを回転中心として互いに同軸に配置されている。
遊星歯車機構2は、外歯歯車であるサンギヤ16と、サンギヤ16と同軸に配置される内歯車であるリングギヤ17と、サンギヤ16及びリングギヤ17の双方に噛み合う複数の外歯歯車である遊星ギヤ18と、各遊星ギヤ18を回転可能に支持すると共に、サンギヤ16と同軸に配置された遊星キャリア19とを有する。
遊星キャリア19は、軸部19Aと、軸部19Aの一端から径方向外方に延出したアーム部19Bとを有する。遊星キャリア19の軸部19Aは、例えば玉軸受である軸受を介して第1軸受孔11に回転可能に支持され、軸線Aと同軸に配置される。遊星キャリア19の軸部19Aは、一端が第1室7内に配置され、他端がケース5の外部に突出している。遊星キャリア19の軸部19Aの一端の端面には、軸部19Aと同軸に形成された、有底の円孔である支持孔21が形成されている。
遊星キャリア19のアーム部19Bは、軸線Aを中心とした円板形に形成されている。アーム部19Bの外周部には、軸線Aと平行に、第1隔壁5D側に延びる複数の支持軸22が突設されている。各支持軸22には、それぞれ遊星ギヤ18が回転可能に支持されている。支持軸22及び遊星ギヤ18の数は、任意であってよく、周方向に等間隔に配置されていることが好ましい。
リングギヤ17は、一端に底部を有する有底の円筒部17Aと、底部の外面の中心部から円筒部17Aと同軸に突設された軸部17Bとを有する。円筒部17Aは第1室7内に配置され、軸部17Bは第1室7内から第2軸受孔12及び第2室8を通過して第3受孔13の内部にまで延びている。リングギヤ17の軸部17Bは、例えば玉軸受である軸受を介して第2軸受孔12及び第3受孔13に回転可能に支持されている。これにより、リングギヤ17の円筒部17A及び軸部17Bは軸線Aと同軸に配置される。
円筒部17Aの円周部の内径は、遊星キャリア19に支持された各遊星ギヤ18を受容可能な大きさに形成されている。円筒部17Aの円周部の内周面には、円周部の軸線を中心とした内歯歯車17Cが形成され、各遊星ギヤ18と噛み合っている。
リングギヤ17には、自身の軸線と同軸に延在する貫通孔24が形成されている。貫通孔24の円筒部17A側の端部は、段違いに拡径され支持部24Aを形成している。
サンギヤ16は、軸部16Aと、軸部16Aの外周部に結合された外歯歯車16Bとを有する。サンギヤ16の軸部16Aは、軸線Aに沿って配置され、一端が遊星キャリア19の支持孔21に配置されると共に、リングギヤ17の貫通孔24を貫通し、第3受孔13、第3室9、及び第4受孔14を通過してケース5の外部に突出している。軸部16Aは、遊星キャリア19の支持孔21及びリングギヤ17の支持部24Aに例えば玉軸受である軸受を介して回転可能に支持されている。サンギヤ16の軸部16Aの他端側であって、リングギヤ17の貫通孔24から突出した部分は、他の部分に対して段違いに縮径された縮径部16Cに形成されている。縮径部16Cには、円筒形のカラー25が圧入等の手法によって一体的に回転するように結合されている。カラー25の外径は、リングギヤ17の軸部17Bの内径よりも大きく形成されている。カラー25は、第3受孔13及び第4受孔14に例えば玉軸受である軸受を介して回転可能に支持されている。以上のようにして、サンギヤ16は軸線Aを中心として回転可能に配置されている。
サンギヤ16の外歯歯車16Bは、軸部16Aの、リングギヤ17の円筒部17Aの内側に位置する部分に設けられている。外歯歯車16Bは、各遊星ギヤ18と噛み合っている。
第1電動発電機3及び第2電動発電機4は、永久磁石同期発電機である。第1電動発電機3及び第2電動発電機4は、同様の構成を有するため、重複する部分については第1電動発電機3について説明を行い、第2電動発電機4については説明を省略する。
第1電動発電機3は、リングギヤ17の軸部17Bの外周部であって第2室8内に位置する部分に結合された第1ロータ27と、ケース5の円筒部5Aの一部をなし、第2室8の内周面を形成する第1リング部28に設けられた複数の第1ステータコイル29とを有する。
第1ロータ27は、リングギヤ17の軸部17Bの外周面であって第2室8内に位置する部分に結合された一対の支持部材31と、各支持部材31に支持された複数の永久磁石32とを有する。各支持部材31は、筒形の基部31Aと、基部31Aの外周面から径方向外方に突出した円板形の支持壁部31Bとを有する。各基部31Aは、リングギヤ17の軸部17Bと一体的に回転するように、圧入やキーによる結合構造等によって結合されている。各基部31Aがリングギヤ17の軸部17Bに結合された状態で、各支持壁部31Bは軸線A方向に隙間を介して対向するように配置される。本実施形態では、基部31A同士が互いに当接することによって、各支持壁部31Bの相対位置が定められている。
複数の永久磁石32は、各支持壁部31Bの互いに対向する面のそれぞれに、磁極の向きが軸線Aと平行になるように結合されている。永久磁石32は、各支持壁部31Bの周方向において、等しい幅を有して等間隔に配置され、かつ周方向に進むに従って異なる磁極が交互に現れるように配置されている。また、一方の支持壁部31Bに設けられた各永久磁石32は、他方の支持壁部31Bに設けられた各永久磁石32と軸線A方向において異なる磁極が対向するように配置されている。これにより、ロータの各支持壁部31B間には、各支持壁部31Bの一方に設けられた永久磁石32から対向する支持壁部31Bに設けられた永久磁石32に、軸線Aと平行に延びる磁束が形成される。
第1ステータコイル29は、柱状の鉄心29Aと、鉄心29Aに巻き回された3相の巻線29Bとを有する。各第1ステータコイル29は、鉄心29Aの軸線がそれぞれ軸線Aと平行になるように第1リング部28の内周面に支持されている。また、各第1ステータコイル29は、それぞれの鉄心29Aが各支持壁部31Bに設けられた永久磁石32の間に配置されている。これにより、各第1ステータコイル29の横断面に対して永久磁石32の磁束が直交する。
第2電動発電機4は、第1電動発電機3の第1ロータ27及び第1ステータコイル29と同様の第2ロータ37及び複数の第2ステータコイル39を有する。第2ロータ37はカラー25の外周部であって第3室9内に位置する部分に結合され、第2ステータコイル39はケース5の円筒部5Aの一部をなし、第3室9の内周面を形成する第2リング部38に設けられている。
第2ロータ37は、第1ロータ27と同様に、一対の支持部材41と、各支持部材41に支持された複数の永久磁石42とを有する。各支持部材41は、筒形の基部41Aと、基部41Aの外周面から径方向外方に突出した円板形の支持壁部41Bとを有する。各基部41Aは、カラー25と一体的に回転するように結合されている。各基部41Aがカラー25に結合された状態で、各支持壁部41Bは軸線A方向に隙間を介して対向するように配置される。
複数の永久磁石42は、第1ロータ27と同様に、各支持壁部41Bの互いに対向する面のそれぞれに、磁極の向きが軸線Aと平行になるように結合されている。これにより、第2ロータ37の各支持壁部41B間には、各支持壁部41Bの一方に設けられた永久磁石42から対向する支持壁部41Bに設けられた永久磁石42に、軸線Aと平行に延びる磁束が形成される。
第2ステータコイル39は、第1ステータコイル29と同様に、鉄心39A及び3相の巻線39Bを有する。各第2ステータコイル39は、鉄心39Aの軸線がそれぞれ軸線Aと平行になるように第2リングの内周面に支持されている。また、各第2ステータコイル39は、それぞれの鉄心39Aが各支持壁部41Bに設けられた永久磁石42の間に配置されている。これにより、各第2ステータコイル39の横断面に対して永久磁石42の磁束が直交する。
本実施形態では、第1電動発電機3と第2電動発電機4とは、同一の能力を有し、回転数が等しいときには等しい電圧を発生する。他の実施形態では、第1電動発電機3と第2電動発電機4とは、異なる能力を有してもよい。
ケース5と第1ロータ27との間には第1ブレーキ50が設けられ、ケース5と第2ロータ37との間には第2ブレーキ51が設けられている。第1ブレーキ50及び第2ブレーキ51は同様の構成を有する。
第1ブレーキ50は、第1ブレーキディスク50Aと、第1ブレーキディスク50Aを第1ロータ27の支持壁部31B側に付勢する第1付勢部材50Bと、第1ブレーキディスク50Aを第1ロータ27の支持壁部31Bから離れる方向に吸引する第1電磁石50Cとを有する。第1ブレーキディスク50Aは、強磁性を有する部材から形成され、中央部に貫通孔を有する円板部材である。第1ブレーキディスク50Aは、貫通孔にリングギヤ17の軸部17Bが挿通され、軸線A方向に変位可能に第1隔壁5Dと第1ロータ27との間に配置されている。第1付勢部材50Bは、例えば圧縮コイルばねであり、第1隔壁5Dと第1ブレーキディスク50Aとの間に介装され、第1ブレーキディスク50Aを第1ロータ27の支持壁部31Bの側面に付勢している。第1ブレーキディスク50Aは、第1付勢部材50Bに付勢されて支持壁部31Bの側面に押し付けられ、支持壁部31Bとの間に摩擦力を生じ、第1ロータ27の回転を制動する。第1電磁石50Cは、第1隔壁5Dに設けられ、電力が供給されたときに磁力を発生し、第1ブレーキディスク50Aを第1付勢部材50Bの付勢力に抗して第1隔壁5D側、すなわち支持壁部31Bから離れる側に吸引する。以上の構成により、第1ブレーキ50は、第1電磁石50Cに電力が供給されていないときに第1ロータ27の回転を禁止し、第1電磁石50Cに電力が供給されているときに第1ロータ27の回転を許容する。
第2ブレーキ51は、第1ブレーキ50と同様の、第2ブレーキディスク51Aと、第2付勢部材51Bと、第2電磁石51Cとを有する。第2ブレーキディスク51Aは、貫通孔にカラー25が挿通され、軸線A方向に変位可能に第2隔壁5Eと第2ロータ37との間に配置されている。第2付勢部材51Bは、第2隔壁5Eと第2ブレーキディスク51Aとの間に介装され、第2ブレーキディスク51Aを第2ロータ37の支持壁部41Bの側面に付勢している。第2ブレーキディスク51Aは、第2付勢部材51Bに付勢されて支持壁部41Bの側面に押し付けられ、第2ロータ37の支持壁部41Bとの間に生じる摩擦力によって、第2ロータ37の回転を制動する。第2電磁石51Cは、第2隔壁5Eに設けられ、電力が供給されたときに磁力を発生し、第2ブレーキディスク51Aを第2付勢部材51Bの付勢力に抗して第2隔壁5E側、すなわち第2ロータ37の支持壁部41Bから離れる側に吸引する。以上の構成により、第2ブレーキ51は、第2電磁石51Cに電力が供給されていないときに第2ロータ37の回転を禁止し、第2電磁石51Cに電力が供給されているときに第2ロータ37の回転を許容する。
ケース5には、第1ロータ27の回転位置を検出する第1回転センサ55及び第2ロータ37の回転位置を検出する第2回転センサ56が設けられている。第1回転センサ55及び第2回転センサ56は同様の構成を有している。
第1回転センサ55は、第2隔壁5Eの第2室8側面に設けられた磁気検出手段としてのホール素子55Aを有している。第1ロータ27の第2隔壁5E側に配置された支持壁部31Bには、軸線A方向に貫通し、永久磁石32の背面の一部を第2隔壁5E側に露出させる露出孔55Bが複数形成されている。露出孔55Bは、周方向において複数形成されている。本実施形態では、各露出孔55Bは各永久磁石32に対応し、かつ軸線Aからの距離が等しくなる位置にそれぞれ形成されている。ホール素子55Aは、軸線Aと露出孔55Bとの距離と同じ距離だけ軸線Aから離れた位置に配置され、第1ロータ27が回転するときに各露出孔55Bと対向可能となっている。これにより、ホール素子55Aは、第1ロータ27が回転するときに、露出孔55Bを通過する各永久磁石32の磁束を検出し、第1ロータ27の回転位置を検出することができる。また、第1回転センサ55は、第1ロータ27の回転位置の変化を時間で微分することによって、第1ロータ27の回転速度を算出することができる。
第2回転センサ56は、第2端壁5Cの第3室9側面に設けられたホール素子56Aを有している。第2ロータ37の第2端壁5C側に配置された支持壁部41Bには、軸線A方向に貫通し、永久磁石42の背面の一部を第2端壁5C側に露出させる露出孔56Bが複数形成されている。露出孔56Bは、第1回転センサ55と同様に、各露出孔56Bは各永久磁石42に対応し、かつ軸線Aからの距離が等しくなる位置にそれぞれ形成されている。ホール素子56Aは、第1回転センサ55と同様に、軸線Aと露出孔56Bとの距離と同じ距離だけ軸線Aから離れた位置に配置され、第1ロータ27が回転するときに各露出孔56Bと対向可能となっている。これにより、第2回転センサ56は、第2ロータ37の回転位置及び回転速度を検出することができる。
図2に示すように、電動発電機装置1は、ユニット6に加え、内燃機関60、第1双方向インバータ63、第2双方向インバータ64、出力端子65及びバッテリ66を有する。ユニット6は、遊星キャリア19の軸部19Aが内燃機関60の駆動軸であるクランク軸61に直接に連結されている。これにより、遊星キャリア19の軸部19Aは、クランク軸61と等しい回転数で回転する。
第1電動発電機3の第1ステータコイル29の三相の巻線29Bは第1双方向インバータ63に接続され、第2電動発電機4の第2ステータコイル39の三相の巻線39Bは第2双方向インバータ64に接続されている。第1双方向インバータ63の直流側は配線を介して出力端子65に接続されている。第2双方向インバータ64の直流側は、第1双方向インバータ63の直流側と出力端子65とを接続する配線に接続されている。また、第1双方向インバータ63の直流側と出力端子65とを接続する配線は、分岐してバッテリ66に接続されている。これにより、第1電動発電機3で発生した三相交流は、第1双方向インバータ63で直流に変換された後、出力端子65及びバッテリ66に供給されると共に、第2双方向インバータ64を介して第2電動発電機4に供給され得る。また、第2電動発電機4で発生した三相交流は、第2双方向インバータ64で直流に変換された後、出力端子65及びバッテリ66に供給されると共に、第1双方向インバータ63を介して第1電動発電機3に供給され得る。
電動発電機装置1の制御装置68には、クランク軸61の回転位置を検出するクランク角センサ69、第1回転センサ55、及び第2回転センサ56からの信号が入力される。制御装置68は、クランク角センサ69の信号に基づいて内燃機関60(クランク軸61及び遊星キャリア19)の回転数を取得し、第1回転センサ55の信号に基づいて第1電動発電機3(リングギヤ17)の回転数を取得し、第2回転センサ56の信号に基づいて第2電動発電機4(サンギヤ16)の回転数を取得する。
制御装置68には、電動発電機装置1が発生すべき電圧値を使用者が入力するための入力装置71が接続されている。入力装置71は、例えば、5V、12V、24V、48V、72V、144V等の予め設定された値を手動操作によって選択可能なダイヤルである。他の実施形態では、入力装置71は任意の電圧値を入力可能な数値装置としてもよい。入力装置71によって選択(入力)された電圧値は、要求電圧として制御装置68に入力される。
制御装置68は、内燃機関60、第1及び第2双方向インバータ63、64、第1及び第2ブレーキ50、51を制御する。制御装置68は、内燃機関60のスロットルバルブ72及びインジェクタ(不図示)の少なくとも一方を制御し、吸気量及び燃料噴射量の少なくとも一方を変化させ、クランク軸61の回転数を変化させる。本実施形態では、インジェクタの燃料噴射量は吸気量に応じて設定され、制御装置68はスロットルバルブ72の開度を変化させることによって、内燃機関60の回転数を変化させる。
制御装置68は、第1及び第2双方向インバータ63、64のスイッチング素子のオン、オフを制御することによって、第1電動発電機3及び第2電動発電機4に供給する電力を変化させ、第1電動発電機3及び第2電動発電機4の回転数を変化させる。制御装置68は、例えばPWM制御に基づいて第1電動発電機3及び第2電動発電機4に供給する電力を変化させ、第1電動発電機3及び第2電動発電機4の回転数を変化させる。
制御装置68は、第1及び第2ブレーキ50、51の電磁石50C、51Cへの給電を制御することによって、各ブレーキディスク50A、51Aと第1ロータ27及び第2ロータ37の支持壁部31B、41Bとの接触状態を変化させ、第1ロータ27及び第2ロータ37の回転を制動する。
制御装置68は、内燃機関60、第1及び第2双方向インバータ63、64及び第1及び第2ブレーキ50、51を制御することによって、電動発電機装置1が発生する電圧を変化させる。電動発電機装置1は、第1電動発電機3及び第2電動発電機4の少なくとも一方から所定の電圧の電力を発生する。発電を行う電動発電機を出力側発電機(発電側発電機)といい、発電を行わない電動発電機を入力側発電機(駆動側発電機)という。入力側発電機は、出力側発電機の回転数を制御するために使用される。出力側発電機と入力側発電機は、要求電圧及びクランク軸61の回転数に応じて選択される。
制御装置68は、要求電圧に応じて第1電動発電機3及び第2電動発電機4から出力側発電機を選択し、出力側発電機が要求電圧を発生するために必要な回転数を設定する。そして、制御装置68は、出力側発電機が設定した回転数となるように、内燃機関60の目標回転数及び入力側発電機の目標回転数を設定する。そして、制御装置68は、内燃機関60が目標回転数となるようにスロットルバルブ72やインジェクタ等を制御し、入力側発電機が目標回転数となるように入力側発電機に対応した双方向インバータ63、64を制御する。
以上のような制御手順は、予め設定されたマップを用いて簡素化してもよい。例えば、電動発電機装置1の要求電圧に対して、出力側発電機及び入力側発電機の選択、出力側発電機の目標回転数、入力側発電機の目標回転数、及び内燃機関60の目標回転数が予め設定されたマップを用いるとよい。
図3は、サンギヤ16の回転数を0に固定したときの遊星キャリア19の回転数Ncに対するリングギヤ17の回転数Nrと、リングギヤ17の回転数を0に固定したときの遊星キャリア19の回転数Ncに対するサンギヤ16の回転数Nsとを示している。図3から、サンギヤ16の回転数Nsを0に固定した場合、リングギヤ17の回転数Nrは遊星キャリア19の回転数Ncに比例して増加し、リングギヤ17の回転数Nrを0に固定した場合、サンギヤ16の回転数Nsは遊星キャリア19の回転数Ncに比例して増加する。また、遊星キャリア19の回転数Ncが同じ場合、リングギヤ17の回転数Nrを0に固定したときのサンギヤ16の回転数Nsが、サンギヤ16の回転数Nsを0に固定したときのリングギヤ17の回転数Nrよりも高くなる。
遊星キャリア19の回転数Ncは、内燃機関60の回転数によって定まる。内燃機関60が最高回転数のとき遊星キャリア19は最高回転数Nc(max)となり、内燃機関60が最低回転数のとき遊星キャリア19は最低高回転数Nc(min)となり、内燃機関60が定格出力回転数のとき遊星キャリア19は定格回転数Nc(rtd)となる。
電動発電機装置1の遊星歯車機構2におけるサンギヤ16の歯数Zsに対するリングギヤ17の歯数Zrの比であるギヤ比Zr/Zsは、遊星キャリア19の回転数Ncが最高回転数Nc(max)であり、かつサンギヤ16の回転数Nsが0であるときのリングギヤ17の回転数Nr(max)と、遊星キャリア19の回転数Ncが定格回転数Nc(rtd)であり、かつリングギヤ17の回転数Nrが0であるときのサンギヤ16の回転数Ns(rtd)とが等しくなるように設定されている。
図4は、ギヤ比Zr/Zsが1.5である場合の、サンギヤ16の回転数Nsを0に固定したときの遊星キャリア19の回転数Ncに対するリングギヤ17の回転数Nrと、リングギヤ17の回転数Nrを0に固定したときの遊星キャリア19の回転数Ncに対するサンギヤ16の回転数Nsとを示している。遊星キャリア19の最高回転数Nc(max)が6000rpm、定格回転数Nc(rtd)が4000rpmであるとき、リングギヤ17の回転数Nr(max)とサンギヤ16の回転数Ns(rtd)とは共に10000rpmとなり、等しくなる。
以下、遊星キャリア19の最高回転数Nc(max)を6000rpm、定格回転数Nc(rtd)を4000rpm、ギヤ比Zr/Zsを1.5とした場合の電動発電機装置1について説明する。
(定電圧制御)
制御装置68による制御方法を以下に示す。第1の制御方法では、制御装置68は、遊星キャリア19の回転数が変動する場合に、第1電動発電機3及び第2電動発電機4の一方が一定の電圧を発生するように制御する。第1の制御方法は、制御装置68が遊星キャリア19の回転数を制御せず、回転数が他の要因に応じて変動する場合に適している。第1の制御方法は、例えば、内燃機関60が車両等の駆動力として使用され、内燃機関60の出力が乗員の要求出力に応じて設定される場合に適している。
図5(A)は、第1電動発電機3を出力発電機、第2電動発電機4を入力発電機とし、第1電動発電機3が発生する電圧を一定とする場合の遊星キャリア19、リングギヤ17、及びサンギヤ16の回転数を示す。以下の説明では、遊星キャリア19の回転方向を正方向、逆を逆方向として説明する。第1電動発電機3が発電する電圧を一定にするためには、リングギヤ17の回転数を一定にする必要がある。ここでは、リングギヤ17の回転を正方向に一定の回転数に維持するものとする。この場合、サンギヤ16を逆方向に回転させ、遊星キャリア19の回転数の増加に応じてサンギヤ16の回転数を低下させることによって、リングギヤ17の回転数を一定に維持することができる。
図5(B)は、図5(A)のように遊星キャリア19、リングギヤ17、及びサンギヤ16を回転させたときの第1電動発電機3の出力、第2電動発電機4の入力、及び合算出力を示す。合算出力は、第1電動発電機3の出力と第2電動発電機4の入力とを合算したものであり、内燃機関60の出力と等しくなる。第1電動発電機3が発生する電圧は、図5(A)に示すようにリングギヤ17の回転数が一定となるため、一定となる。内燃機関60の出力及び回転数が変化する場合にも、第1電動発電機3の出力から内燃機関60の出力を差し引いた分が第2電動発電機4の入力として使用されるため、第1電動発電機3の回転数及び電圧が一定に維持された状態で、第1電動発電機3の出力は内燃機関60の出力と概ね等しい電力として取り出される。
図6(A)は、第2電動発電機4を出力発電機、第1電動発電機3を入力発電機とし、第2電動発電機4が発生する電圧を一定とする場合の遊星キャリア19、リングギヤ17、及びサンギヤ16の回転数を示す。第2電動発電機4が発電する電圧を一定にするためには、サンギヤ16の回転数を一定にする必要がある。ここでは、サンギヤ16の回転を正方向に一定の回転数に維持するものとする。この場合、遊星キャリア19の回転数が低い領域ではリングギヤ17を逆回転させ、遊星キャリア19の回転数が高い領域ではリングギヤ17を正回転させ、リングギヤ17が逆回転する領域では遊星キャリア19の回転数の増加に応じて回転数を低下させると共に、リングギヤ17が正回転する領域では遊星キャリア19の回転数の増加に応じて回転数を増加させることによって、サンギヤ16の回転数を一定に維持することができる。
図6(B)は、図6(A)のように遊星キャリア19、リングギヤ17、及びサンギヤ16を回転させたときの第2電動発電機4の出力、第1電動発電機3の入力、及び合算出力を示す。合算出力は、第2電動発電機4の出力と第1電動発電機3の入力とを合算したものであり、内燃機関60の出力と等しくなる。第2電動発電機4の出力は、図6(A)に示すようにサンギヤ16の回転数が一定となるため、一定となる。
図5(B)と図6(B)とを比較すると、遊星キャリア19の低回転域(1000〜3000rpm)では、リングギヤ17の回転数を一定とした場合(図5B)は、サンギヤ16の回転数を一定とした場合(図6B)よりも、合算出力に対する入力の割合が大きくなり、効率が悪い。そのため、遊星キャリア19の低回転域では、サンギヤ16の回転数を一定とし、第2電動発電機4を出力とする場合の方が、効率がよい。
一方、図6(A)、(B)に示すように、サンギヤ16の回転数を一定とした場合には、高回転域(4000〜6000rpm)において、リングギヤ17の回転が正方向となり、第1電動発電機3が発電を行う。この第1電動発電機3による発電は、遊星キャリア19の回転数に応じて増減するため、電圧を制御が困難になる。
図7(A)は、遊星キャリア19の低回転域では第2電動発電機4を出力発電機とし、高回転域では第1電動発電機3を出力発電機とした場合の遊星キャリア19、リングギヤ17、及びサンギヤ16の回転数を示す。上述したように、遊星キャリア19の低回転域では、サンギヤ16の回転数を一定とした方が、効率がよいが、遊星キャリア19の高回転域では、サンギヤ16の回転数を一定とすると、第1電動発電機3も電圧を発生するようになり、電圧の制御が困難になる。そのため、図7(A)に示すように、遊星キャリア19の低回転域ではサンギヤ16の回転数を一定とし、高回転域ではリングギヤ17の回転数を一定とするとよい。本実施形態では、遊星キャリア19の回転数が4000rpm(定格回転数)のときに、サンギヤ16及びリングギヤ17のうちで回転数を一定とするギヤを切り換える。この切換時には、サンギヤ16及びリングギヤ17の回転方向の切換と、比較的大きな回転数変化が生じることになるが、第1ブレーキ50及び第2ブレーキ51を使用することによって、サンギヤ16(第2ロータ37)及びリングギヤ17(第1ロータ27)の回転数を円滑に変化させることができる。
(電圧可変制御)
第2の制御方法は、入力装置71によって選択された要求電圧を電動発電機装置1が出力するために、制御装置68が、少なくとも遊星キャリア19の回転数を変化させることによって、出力発電機の回転数を変化させ、出力する電圧を変更することができる。出力発電機は、第1電動発電機3及び第2電動発電機4の一方、又は両方であってよい。図8は、電動機発電機装置が出力する電圧と、そのときの遊星キャリア19(内燃機関60)、リングギヤ17(第1電動発電機3)、及びサンギヤ16(第2電動発電機4)の回転数を示すマップである。図8に示すように、本実施形態では、電動機発電機装置は、DC5V、DC12V、DC24V、DC48V、DC72V、及びDC144Vのいずれかを出力可能であり、入力装置71の操作によって出力する電圧が設定される。
本実施形態では、電動発電機装置1の要求電圧が設定されると、図8に基づいて、遊星キャリア19(内燃機関60)、リングギヤ17(第1電動発電機3)、及びサンギヤ16(第2電動発電機4)の回転数が設定され、第1及び第2電動発電機4から少なくとも1つの出力側発電機が設定される。図8では、24〜144Vの各電圧を達成するために複数の回転数の組み合わせが記載されているが、実際に制御を行う場合にはそれらのうちの1つの回転数の組み合わせが設定されているとよい。例えば、DC48Vが選択されたときには、遊星キャリア19の回転数を2000rpm、第1電動発電機3を入力発電機としてリングギヤ17の回転数を−3333rpm、第2電動発電機4を出力発電機としてサンギヤ16の回転数を10000rpmとするとよい。なお、内燃機関60の騒音低減の観点から、遊星キャリア19の回転数は低い方が好ましい。
(充電制御)
第3の制御方法として、本実施形態に係る電動発電機装置1は、バッテリ66に充電を行う際に、遊星キャリア19、リングギヤ17、サンギヤ16の回転数を変化させることによって、出力する電圧を変化させ、定電流・定電圧充電制御による充電を行うことができる。図9(A)は、定電流・定電圧制御によって充電を行うときのバッテリ66に供給される電圧及び電流の経時変化を示すグラフである。図9(A)に示すように、定電流・定電圧制御は、充電の初期に定電流充電を行い、電圧が所定の電圧に到達した後に定電圧充電を行う充電手法である。定電流・定電圧制御によれば、高速充電が可能であると共に、過充電を防止することができる。
図9(B)は、遊星キャリア19の回転数を一定とし、第2電動発電機4(サンギヤ16)を出力、第1電動発電機3(リングギヤ17)を入力として定電流・定電圧制御を行う場合の各回転数の経時変化を示すグラフである。図9(B)に示すように、遊星キャリア19の回転数を一定とした場合には、リングギヤ17の回転数を変化させることによってサンギヤ16の回転数を変化させ、第2電動発電機4が発生する電圧を変化させて定電流・定電圧制御を行う。
図9(C)は、リングギヤ17の回転数を0に固定し、第1電動発電機3(リングギヤ17)を出力として定電流・定電圧制御を行う場合の各回転数の経時変化を示すグラフである。図9(C)に示すように、リングギヤ17の回転数を0に固定した場合には、内燃機関60を制御することによって遊星キャリア19の回転数を変化させ、それによってリングギヤ17の回転数を変化させ、第1電動発電機3が発生する電圧を変化させて定電流・定電圧制御を行う。
図9(D)は、第2電動発電機4(サンギヤ16)を出力とし、遊星キャリア19及びリングギヤ17の回転数を変化させることによって定電流・定電圧制御を行う場合の各回転数の経時変化を示すグラフである。図9(D)に示すように、充電初期の定電流制御によって供給する電圧が増加する期間はリングギヤ17の回転数を0に固定し、内燃機関60を制御することによって遊星キャリア19の回転数を変化させ、それによってサンギヤ16の回転数を変化させ、第2電動発電機4が発生する電圧を変化させる。そして、時間が経過し、定電流制御から定電圧制御に切り替った後は、リングギヤ17を逆方向に所定の回転数で回転させることによって、遊星キャリア19及び内燃機関60の回転数を低減させながら、サンギヤ16の回転数を一定に維持する。このようにリングギヤ17を回転させ、内燃機関60の回転数を低減させることによって、内燃機関60に起因する騒音を低減させることができる。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、電動発電機装置1を自動車用の発電機として使用する場合には、出力端子65及び入力装置71は省略し、第1電動発電機3又は第2電動発電機4は、例えば所定の一定電圧を発生するようにしてもよい。
上記の実施形態では、遊星キャリア19の軸部19Aと内燃機関60のクランク軸61とを直接に連結する構成としたが、他の実施形態では変速機を含む駆動力伝達機構を介して連結されてもよい。
1...電動発電機装置、2...遊星歯車機構、3...第1電動発電機、4...第2電動発電機、5...ケース、6...ユニット、16...サンギヤ、17...リングギヤ、18...遊星ギヤ、19...遊星キャリア、27...第1ロータ、29...第1ステータコイル、31、41...支持部材、32、42...永久磁石、37...第2ロータ、39...第2ステータコイル、50...第1ブレーキ、50A...第1ブレーキディスク、50A...ブレーキディスク、50B...第1付勢部材、50C...第1電磁石、51...第2ブレーキ、51A...第2ブレーキディスク、51B...第2付勢部材、51C...第2電磁石、55...第1回転センサ、55A...ホール素子(磁気センサ)、55B...露出孔、56...第2回転センサ、56A...ホール素子(磁気センサ)、56B...露出孔、60...内燃機関、61...クランク軸、63...第1双方向インバータ、64...第2双方向インバータ、65...出力端子、66...バッテリ、68...制御装置、69...クランク角センサ、71...入力装置、72...スロットルバルブ、A...軸線

Claims (5)

  1. 駆動源と、界磁に永久磁石を用いた第1及び第2電動発電機と、前記第1電動発電機のロータである第1ロータに結合されたリングギヤ、前記第2電動発電機のロータである第2ロータに結合されたサンギヤ、及び前記駆動源に結合された遊星キャリアを含む遊星歯車機構とを有する電動発電機装置であって、
    前記第1及び第2電動発電機の一方が発生する電圧を制御するために、前記第1及び第2電動発電機の他方の回転数と前記駆動源の回転数との少なくとも一方を変化させ、前記第1及び第2電動発電機の一方の回転数を制御することを特徴とする電動発電機装置。
  2. 前記第1ロータ及び前記第2ロータを収容するケースと、
    前記第1ロータと前記ケースとの間に設けられ、前記ケースに対する前記第1ロータの相対回転を制動する第1ブレーキと、
    前記第2ロータと前記ケースとの間に設けられ、前記ケースに対する前記第2ロータの相対回転を制動する第2ブレーキとを有することを特徴とする請求項1に記載の電動発電機装置。
  3. 前記駆動源は内燃機関であり、
    前記遊星キャリアは前記内燃機関の駆動軸に連結され、
    前記内燃機関の回転数が最高回転数であるときの前記遊星キャリアの回転数を遊星キャリア最高回転数とし、前記内燃機関の回転数が定格出力回転数であるときの前記遊星キャリアの回転数を遊星キャリア定格回転数とし、前記遊星キャリア最高回転数であり、かつ前記サンギヤの回転数が0であるときの前記リングギヤの回転数をリングギヤ最高回転数とし、前記遊星キャリア定格回転数であり、かつ前記リングギヤの回転数が0であるときの前記サンギヤの回転数をサンギヤ定格回転数とすると、前記リングギヤ最高回転数と前記サンギヤ定格回転数とが等しくなるように、前記サンギヤの歯数に対する前記リングギヤの歯数の比が設定され、
    前記第1電動発電機が前記リングギヤ最高回転数のときに発生する電圧が48V〜60Vの範囲内であり、かつ前記第2電動発電機が前記サンギヤ定格回転数のときに発生する電圧が48V〜60Vの範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電動発電機装置。
  4. 前記遊星キャリアの回転数が所定の切換回転数よりも低い場合に、前記第2電動発電機の回転数を変化させることによって前記第1電動発電機の回転数を一定にして前記第1電動発電機が発電を行い、前記遊星キャリアの回転数が前記切換回転数以上の場合に前記第1電動発電機の回転数を変化させることによって前記第2電動発電機の回転数を一定にし、前記第2電動発電機が発電を行うことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つの項に記載の電動発電機装置。
  5. 前記第1及び第2ロータは、回転軸の径方向に延在する支持部材と、前記支持部材の回転軸方向における一方の側面に取り付けられた永久磁石と、前記支持部材を回転軸方向に貫通して前記永久磁石を前記支持部材の回転軸方向における他方の側面側に露出させる露出孔とを有し、
    前記第1ロータ及び前記第2ロータを収容するケースには、前記露出孔を通過した磁束を検出する磁気センサが設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つの項に記載の電動発電機装置。
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