JP2007127195A - スナップリング - Google Patents

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Abstract

【課題】自動車の自動変速機等における多板クラッチを作動させる油圧アクチュエータの構成部品であるキャンセルプレートを支持するクラッチシリンダの内周筒部に嵌着されるスナップリングにおいて、スナップリングとキャンセルプレートが相対回転することにより、スナップリングの開口部の端部が止め突起部の端部に引っ掛かりスナップリングが装着溝から脱落するのを防止する。
【解決手段】キャンセルプレート3に形成されている凹部36または凸部に係合する回り止め凸部43または回り止め凹部をスナップリング4に形成した。
【選択図】図5

Description

本発明は、自動車の自動変速機等における多板クラッチを作動させる油圧アクチュエータの構成部品であるキャンセルプレートを支持するために用いられているスナップリングに関する。
自動車用のATおよびCVT等の自動変速機における多板クラッチを作動させる油圧アクチュエータの構成部品で、ピストン部材への遠心油圧負荷をキャンセルする目的で設けられているキャンセルプレートに対し、それを支持し軸方向の位置決めをするためスナップリングが用いられている。
このスナップリング101は、図6に示す通り、クラッチシリンダの内周筒部に嵌着するためリング状の一部が切断されて開口部102を有する平板のワッシャー形状をしている。また、キャンセラープレート103の内周部には、スナップリング101の外周部が係止する止め突起部104が設けられている。
したがって、スナップリング101がクラッチシリンダの内周筒部に形成された装着溝に嵌着されたとき、スナップリング101の平面部がキャンセルプレート103を支持して軸方向に対する位置決めをすると共に、外周部が止め突起部104に係止して、軸の回転による遠心力でスナップリング101が外径方向に膨らんで外れるのを防止している。
しかし、クラッチが接続されるときに、その衝撃により共に回転しているスナップリング101とキャンセルプレート103とが瞬間的に僅かに相対回転する。そのためスナップリング101の開口部102の端部105と止め突起部の端部106とが位相上略同一位置になることがあり、その結果、一点鎖線で示すように開口部102の端部105が止め突起104部の端部106に引っ掛かり、更なる相対回転によりスナップリング101が止め突起部104に乗り上げ、最悪の場合には装着溝からスナップリング101が脱落する虞があった。そして、もし脱落するとキャンセルプレート103も脱落することになり最悪の場合には自動変速機が作動できなくなるとの事態を引き起こす可能性があった。
また下記特許文献1には、油圧アクチュエータを適正に位置決め可能とするスナップリングが開示されているが、本発明とは目的、構成を異にしている。
特開2000−027825公報
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、スナップリングとキャンセルプレートが相対回転することにより、スナップリングの開口部の端部が止め突起部の端部に引っ掛かりスナップリングが装着溝から脱落するのを防止させることにある。
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に係るスナップリングは、自動車の自動変速機等における多板クラッチを作動させる油圧アクチュエータの構成部品であるキャンセルプレートを支持するクラッチシリンダの内周筒部に嵌着されるスナップリングにおいて、前記キャンセルプレートに形成した凹部または凸部に係合する回り止め凸部または回り止め凹部が形成されていることを特徴とするものである。
本発明は、以下の効果を奏する。
すなわち、上記構成を備えた本発明の請求項1のスナップリングは、キャンセルプレートに形成した凹部または凸部に係合する回り止め凸部または回り止め凹部が形成されているので、スナップリングとキャンセルプレートとの相対回転が規制され、スナップリングの開口部の端部がキャンセルプレートに設けられている止め突起部の端部に引っかかり、それに起因してスナップリングが止め突起部を乗り越して外れることがなくなるので、それに続く、キャンセルプレート及びピストン部材の脱落を有効に防止することができる。
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示して説明する。
図1は、一般に用いられている油圧アクチュエータを説明するために、軸心Oを通る平面で切断した半断面図、図2は、図1におけるA方向から見た矢視図、図3は、本発明に係るキャンセルプレートの部分斜視図、図4は、本発明に係るスナップリングの斜視図、図5は、本発明に係る図1のB部の拡大断面図である。
油圧アクチュエータ1は、略コ字形状を呈する有底円筒形状のクラッチシリンダ11のシリンダ内部を軸方向に摺動自在に密接し、クラッチシリンダ11とで油圧室Mを画成するピストン部材2と、ピストン部材2を挟んでクラッチシリンダ11の底部12と対向し、ピストン部材2とで均衡油室Nを画成するキャンセルプレート3と、加圧室Mが加圧されることにより押し下げられたピストン部材2を押し戻すように機能するリターンスプリング13とを備えている。
ピストン部材2は、鋼板等の金属板を打ち抜きプレスで成形したものであって、その内周部と外周部に加圧室M側に突出しクラッチシリンダ11の周面に摺動自在に密接するゴム状弾性体からなる内周シールリップ21と外周シールリップ22とを有している。
キャンセルプレート3は、鋼板等の金属板を打ち抜きプレスで成形したものであって、その外周部31に均衡油室N側に突出しピストン部材2の外周筒部23の内周面に摺動自在に密接する外周シールリップ32を有する。内周部33は、図2に示すように、その端面33aに、ピストン部材2がキャンセルプレート3側に移動することにより加圧室Mの容量が減少したとき均衡油室Nから油を排出するための油抜き部34が設けられている。また、後述するスナップリング4が回転による遠心力で拡径変形するのを規制するための複数の止め突状部35が反クラッチシリンダ11側面(図1における図の下側)33bに周状均等に配置されている(図2では4箇所)。更に、図3及び図5に示すように、スナップリング4との相対回転を防止するための凹部36が同じく反クラッチシリンダ面33bの端部に周上1箇所形成されている。
キャンセルプレート3の内周部33を反クラッチシリンダ11側から支持し軸方向の位置決めをするスナップリング4は、図4に示すように、円周方向で1箇所切断された開口部41を有するワッシャー形状をしており、クラッチシリンダ11の内周筒部15に形成された装着溝14に嵌着され、内周筒部15に嵌着したときにスナップリングを支持する面(支持面)42には、キャンセルプレート3に設けられている凹部36に係合する回り止め凸部43が周上1箇所形成されている。
上記の構成において、加圧室Mが給油されて加圧されるとピストン部材2がリターンスプリング13を圧縮しながら反クラッチシリンダ11側に変位し図示していない多板クラッチを押圧して接続作動し、動力伝達を行う。また逆に、加圧室Mの油圧が開放され、圧縮されたリターンスプリング13の反発力でピストン部材2がクラッチシリンダ11側に変位することで押圧されている多板クラッチの接続が解除され、動力伝達が遮断される。
この場合において、クラッチシリンダ11、ピストン部材2及びキャンセルプレート3は共に回転しているので、高速回転時にクラッチシリンダ11の内周部15の装着溝14に嵌着され、キャンセルプレート3を支持し軸方向の位置決めのために用いられているスナップリング4は遠心力により拡径変形しようとするが、キャンセルプレート3の反クラッチシリンダ11側面33bに形成されている止め突起部35に係止するので、スナップリング4の偏心が防止され装着溝14から脱落防止が可能となる。
更に、クラッチが接続される際に、その衝撃によりクラッチシリンダ11、ピストン部材2及びキャンセルプレート3が相対回転しても、キャンセルプレート3に設けられている凹部36とスナップリング4に形成されている回り止め凸部43とが係合しているので、キャンセルプレート3とクラッチシリンダ11の内周筒部15に形成されている装着溝14に嵌着しているスナップリング4とは相対回転をしない。
従って、スナップリング4とキャンセルプレート3との相対回転により、スナップリング4の開口部41の端部41aがキャンセルプレート3に形成されている止め突起部35の端部35aに引っ掛かるのを防止することが可能となり、これに起因するスナップリング4の脱落やそれに続くキャンセルプレート3等の脱落を防止し、自動変速機が作動しなくなるといった最悪の事態を防止することが可能となる。
なお、上記の実施の形態においては、キャンセルプレート3に凹部36が形成され、スナップリング4に回り止め凸部43が形成された場合について説明したが、逆にキャンセルプレート3に凸部が形成され、スナップリング4に回り止め凹部が形成される場合であっても良い。また、凹部36とそれに対応する回り止め凸部43の個数については、各々周上1箇所でなく複数箇所設けても良い。
油圧アクチュエータの概略断面図 図1におけるA方向矢視図 本発明に係るキャンセルプレートの部分斜視図 本発明に係るスナップリングの斜視図 本発明に係る図1におけるB部の拡大断面図 不具合発生状態の説明図
符号の説明
1 油圧アクチュエータ
11 クラッチシリンダ
13 リターンスプリング
14 装着溝
15 内周筒部
2 ピストン部材
21,22,32 シールリップ
3 キャンセルプレート
33b 反クラッチシリンダ側面
34 油抜き部
35 止め突起部
35a,41a 端部
36 凹部(凸部)
4 スナップリング
41 開口部
42 支持面
43 回り止め凸部(回り止め凹部)

Claims (1)

  1. 自動車の自動変速機等における多板クラッチを作動させる油圧アクチュエータの構成部品であるキャンセルプレートを支持するクラッチシリンダの内周筒部に嵌着されるスナップリングにおいて、
    前記キャンセルプレートに形成した凹部または凸部に係合する回り止め凸部または回り止め凹部が形成されていることを特徴とするスナップリング。
JP2005320736A 2005-11-04 2005-11-04 スナップリング Withdrawn JP2007127195A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2327900A1 (en) * 2009-11-27 2011-06-01 Honda Motor Co., Ltd. Hydraulic clutch device
JP2013133709A (ja) * 2011-12-26 2013-07-08 Denso Corp スタータ
JP2015110963A (ja) * 2013-12-06 2015-06-18 ジヤトコ株式会社 皿ばね及びその皿ばねを具えた油圧式クラッチ

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