JP2022076048A - 密封装置 - Google Patents

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JP2022076048A
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俊 庄内
Masaru Shonai
喜一郎 後藤
Kiichiro Goto
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Abstract

【課題】組み立て作業性に優れ、かつ、使用中にスプリングが捩じれたり移動したりすることを抑制しつつ、設計自由度に優れた密封装置を提供する。【解決手段】環状ピストン100と、キャンセルプレート210を有するキャンセラーシール200と、環状ピストン100とキャンセラーシール200との間に配される複数のスプリング500と、を備える密封装置であって、キャンセルプレート210には、径方向の中間位置に密封装置の回転中心軸線と同心状の円筒部211が設けられると共に、複数のスプリング500を位置決めするガイド部材230が、円筒部211の内周面211aに対して嵌合により固定されることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、自動変速機に用いられる密封装置に関する。
自動変速機においては、動力の伝達と伝達解除を行うためのクラッチを駆動する油圧アクチュエータに、密封装置が備えられている。図5及び図6を参照して、従来例に係る密封装置について説明する。図5は従来例に係る密封装置を備える油圧アクチュエータの模式的断面図である。図6は従来例に係る密封装置に備えられるキャンセルプレートの平面図である。
油圧アクチュエータは、環状シリンダ630と、環状シリンダ630に備えられる環状空間R0内において往復移動自在に備えられる環状ピストン610とを備えている。環状ピストン610は、環状空間R0の一端側に形成される油圧室R1内の油圧に応じて往復移動することに伴って、クラッチ板を押圧または押圧解除することにより、クラッチ640による動力の伝達と伝達解除の切り替えを行う役割を担っている。また、環状ピストン610を挟んで、油圧室R1とは反対側には、キャンセルプレート621を有するキャンセラーシール620が配置されている。このキャンセラーシール620によって、環状ピストン610との間に、油圧室R1内に生ずる遠心油圧を相殺する油圧を生じさせるキャンセル室R2が形成される。
そして、環状ピストン610とキャンセラーシール620との間には、複数のスプリング(リターンスプリングとも呼ばれる)650が配されている。これにより、油圧室R1内の油圧が高くなると、スプリング650の押圧力に抗して環状ピストン610がクラッチ640に向かって移動して、クラッチ板を押圧した状態となる。また、油圧室R1内の油圧が低くなると、スプリング650の押圧力によって、環状ピストン610はクラッチ640から離れる方向に移動して、クラッチ板への押圧が解除される。
以上のように構成される密封装置においては、密封装置の組み立て作業性を高め、かつ、使用中にスプリング650が捩じれたり移動したりしないように、キャンセルプレート621にスプリング650のガイド構造を設ける技術が知られている。すなわち、キャンセルプレート621には、筒状部分621aが設けられており(図5参照)、この筒状部分621bの内周面621bをガイド面として機能させている。より具体的には、図6に示すように、この内周面621bに、径方向内側に突出する突出部を周方向に間隔を空けて複数設けることで、隣り合う突出部の間に形成される湾曲面を、スプリング650を保持する面として機能させている。なお、図6においては、スプリング650の位置を点線にて示している。このような構成を採用することで、密封装置の組み立て時において、環状ピストン610及びスプリング650に対するキャンセラーシール620の位置調整が容易となり、組み立て作業性が高まる。また、使用中にスプリング650が捩じれたり移動したりすることを抑制することができる。
ここで、キャンセルプレート621は、金属板を板金加工することによって得られる。そのため、上記の内周面621bに形成する突出部を突出させ過ぎると、部分的に板厚が薄くなりすぎたり、孔が空いたりしてしまうため、突出部の突出量には限度がある。従って、スプリング650の外周面を保持する領域を拡げるにも限度があり、スプリング650の位置決め機能が不十分になってしまうおそれもある。また、キャンセルプレート621の材質によっては、上記の内周面621bを所望の形状に加工するのが困難な場合もある。
特開2002-372073号公報
本発明の目的は、組み立て作業性に優れ、かつ、使用中にスプリングが捩じれたり移動したりすることを抑制しつつ、設計自由度に優れた密封装置を提供することにある。
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
すなわち、本発明の密封装置は、
環状空間内において往復移動自在に備えられ、前記環状空間の一端側に形成される油圧室内の油圧に応じて往復移動することに伴って、クラッチ板を押圧または押圧解除することにより、クラッチによる動力の伝達と伝達解除を切り替える環状ピストンと、
前記環状ピストンを挟んで、前記油圧室とは反対側に配置されて、前記環状ピストンとの間に、前記油圧室内に生ずる遠心油圧を相殺する油圧を生じさせるキャンセル室を形成するキャンセルプレートを有するキャンセラーシールと、
前記環状ピストンと前記キャンセラーシールとの間に配される複数のスプリングと、
を備える密封装置であって、
前記キャンセルプレートには、径方向の中間位置に密封装置の回転中心軸線と同心状の円筒部が設けられると共に、
前記複数のスプリングを位置決めするガイド部材が、前記円筒部の内周面に対して嵌合により固定されていることを特徴とする。
本発明によれば、複数のスプリングを位置決めするガイド部材は、キャンセルプレートに設けられた円筒部の内周面に対して嵌合により固定される構成が採用されている。従って、板金加工によって、キャンセルプレートに複数のスプリングを位置決めするガイドとなる面を形成する場合に比べて、設計自由度を高めることができる。
前記ガイド部材は、径方向内側に突出する突出部が周方向に間隔を空けて複数設けられる筒状部材により構成されており、隣り合う突出部の間に形成される湾曲面がスプリングの保持面として用いられるとよい。
前記ガイド部材は、金属材料または樹脂材料により構成されるとよい。
これにより、ガイド部材の剛性を高めることができ、スプリングを保持する機能を高めることができる。
前記環状ピストンに、前記複数のスプリングをそれぞれ固定する複数の固定部が設けられているとよい。
以上説明したように、本発明によれば、密封装置の組み立て作業性に優れ、かつ、使用中にスプリングが捩じれたり移動したりすることを抑制しつつ、設計自由度を高めることができる。
図1は本発明の実施例に係る密封装置を備える油圧アクチュエータの模式的断面図である。 図2は本発明の実施例に係る密封装置に備えられるキャンセルプレートの平面図である。 図3は本発明の実施例に係る密封装置に備えられるガイド部材の平面図である。 図4は本発明の実施例に係る密封装置に備えられるキャンセルプレートにガイド部材を嵌合した状態を示す平面図である。 図5は従来例に係る密封装置を備える油圧アクチュエータの模式的断面図である。 図6は従来例に係る密封装置に備えられるキャンセルプレートの平面図である。
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
(実施例)
図1~図4を参照して、本発明の実施例に係る密封装置について説明する。図1は本発明の実施例に係る密封装置を備える油圧アクチュエータの模式的断面図である。図1においては、環状の密封装置における回転中心軸線を含む面で各部材を切断した断面図を示している。なお、図1中右側が中心軸線側である。図2は本発明の実施例に係る密封装置に備えられるキャンセルプレートの平面図であり、図3は本発明の実施例に係る密封装置に備えられるガイド部材の平面図であり、図4は本発明の実施例に係る密封装置に備えられるキャンセルプレートにガイド部材を嵌合した状態を示す平面図である。なお、図1中のキャンセルプレートとガイド部材の断面図は、図4中のAA断面図に相当する。また、以下の説明において、環状の密封装置等の回転中心軸線が伸びる方向を「軸方向」と称する。
<油圧アクチュエータ>
図1を参照して、本実施例に係る密封装置を備える油圧アクチュエータについて説明する。本実施例に係る油圧アクチュエータは、環状シリンダ300と、環状シリンダ300に備えられる環状空間R0内において往復移動自在に備えられる環状ピストン100とを備えている。この環状ピストン100は、環状空間R0の一端側に形成される油圧室R1内の油圧に応じて往復移動することに伴って、クラッチ板を押圧または押圧解除することにより、クラッチ400による動力の伝達と伝達解除の切り替えを行う役割を担っている。また、環状ピストン100を挟んで、油圧室R1とは反対側には、キャンセルプレート210を有するキャンセラーシール200が配置されている。このキャンセラーシール200によって、環状ピストン100との間に、油圧室R1内に生ずる遠心油圧を相殺する油圧を生じさせるキャンセル室R2が形成される。また、環状ピストン100とキャンセラーシール200との間には、スプリング500が、周方向に間隔を空けて複数設けられている。このスプリング500は、リターンスプリングとも呼ばれる。環状ピストン100とキャンセラーシール200とスプリング500は、本実施例に係る密封装置の主要構成部材である。
環状ピストン100は、金属製のピストン本体110と、ピストン本体110の内周面側に備えられる第1シールリップ120と、ピストン本体110の外周面側に備えられる第2シールリップ130とを備えている。ピストン本体110は、鋼板などの金属板を打
ち抜きプレス成形することにより得られる。このピストン本体110は、略平板部111と、略平板部111の径方向内側に設けられる内筒部112と、内筒部112の先端に設けられる内向きフランジ部113と、略平板部111の径方向外側に設けられる外筒部114とを有している。そして、内向きフランジ部113の先端に第1シールリップ120が設けられており、略平板部111と外筒部114との境界付近に第2シールリップ130が設けられている。第1シールリップ120と第2シールリップ130は、ゴムなどの弾性体により構成される。例えば、ピストン本体110をインサート部品として、インサート成形することにより、第1シールリップ120及び第2シールリップ130をピストン本体110に一体的に設けることができる。なお、図示の例では、第1シールリップ120と第2シールリップ130は、一体に繋がっているが、一体に繋げずに別々に設けても構わない。なお、環状ピストン100のピストン本体110に、複数のスプリング500をそれぞれ固定する複数の固定部116が設けられている。
キャンセラーシール200は、金属製のキャンセルプレート210と、キャンセルプレート210の外周面側に備えられる第3シールリップ220とを備えている。キャンセルプレート210は、鋼板などの金属板を打ち抜きプレス成形(板金加工)することにより得られる。このキャンセルプレート210の内周端部212は、環状シリンダ300における径方向内側の壁面310に固定されたスナップリング313に位置決めされた状態で支持される。そして、このキャンセルプレート210の外周端部213に、第3シールリップ220が設けられている。この第3シールリップ220は、ゴムなどの弾性体により構成される。例えば、キャンセルプレート210をインサート部品として、インサート成形することにより、第3シールリップ220をキャンセルプレート210に一体的に設けることができる。
また、キャンセルプレート210には、径方向の中間位置に密封装置の回転中心軸線と同心状の円筒部211が設けられている。そして、本実施例に係る密封装置においては、複数のスプリング500を位置決めするガイド部材230が、円筒部211の内周面211aに対して嵌合により固定されている。
環状シリンダ300には、油圧室R1に油圧を導入するための第1油通路311と、キャンセル室R2に油圧を導入するための第2油通路312とが設けられている。これら第1油通路311と第2油通路312は、いずれも環状シリンダ300における径方向内側の壁面310に開口するように設けられている。
クラッチ400は、環状シリンダ300における径方向外側の壁面320に対して軸方向に移動可能な状態で周方向に係止された複数のドライブプレート410を備えている。また、クラッチ400は、不図示の従動軸側に設けられたクラッチハブ(不図示)に対して軸方向に移動可能な状態で周方向に係止された複数のドリブンプレート420を備えている。これら複数のドライブプレート410と複数のドリブンプレート420は、軸方向に交互に配置されている。
以上のように構成される油圧アクチュエータによれば、第1油通路311から送られる油圧によって、油圧室R1内の油圧が高くなると、環状ピストン100がスプリング500による押圧力に抗してクラッチ400側に向かって移動する。これにより、環状ピストン100におけるピストン本体110の外筒部114の先端部115がクラッチ板としてのドライブプレート410を図1中下方に押圧する。これにより、ドライブプレート410が図中下方に移動して、複数のドライブプレート410と複数のドリブンプレート420とがそれぞれ摩擦係合された状態となる。これにより、クラッチ400は、動力伝達状態となり、不図示の駆動軸の駆動トルクが、環状ピストン100及びクラッチ400等を介して、不図示の従動軸に伝達される。そして、油圧室R1内の油圧が低下すると、環状
ピストン100がスプリング500による押圧力により元の位置に戻るため、環状ピストン100によるドライブプレート410への押圧状態が解除されて、複数のドライブプレート410と複数のドリブンプレート420との摩擦係合状態も解除される。これにより、駆動軸から従動軸への動力の伝達も解除される。
ここで、環状ピストン100を含む密封装置及び環状シリンダ300等は、不図示の駆動軸と共に回転している。そのため、油圧室R1内においては、油の遠心力が作用する。このような遠心油圧は、環状ピストン100の動作に影響を与え得る。しかしながら、本実施例においては、第2油通路312からキャンセル室R2内に、上記遠心油圧と同等の遠心油圧を発生させる油が供給される。従って、環状ピストン100に対しては、油圧室R1内の遠心油圧とキャンセル室R2内の遠心油圧の双方が作用するため、これらの油圧は相殺される。これにより、遠心油圧によって、環状ピストン100の動作に影響が及ぼされることはない。
<キャンセルプレート及びガイド部材>
特に、図2~図4を参照して、キャンセルプレート210とガイド部材230について、より詳細に説明する。上記の通り、キャンセルプレート210に設けられた円筒部211の内周面211aに対して、ガイド部材230が嵌合により固定される。ガイド部材230は、径方向内側に突出する突出部231が周方向に間隔を空けて複数設けられる筒状部材により構成されている。なお、本実施例においては、複数の突出部231は、周方向に等間隔に設けられている。そして、ガイド部材230においては、隣り合う突出部231の間に形成される湾曲面232がスプリング500の保持面として用いられる。図4においては、スプリング500の配置位置を点線にて示している。図示のように、湾曲面232は、スプリング500の外周面に沿うように形成されている。ガイド部材230は、スプリング500を保持する役割を担っているので、剛性の高い材料で構成されるのが望ましい。従って、ガイド部材230の材料としては、金属材料を採用するのが望ましいが、樹脂材料を採用することもできる。なお、本実施例に係るガイド部材230においては、中心軸線に対して垂直な断面形状は、どの位置で切断しても同一となるように構成されている。
<本実施例に係る密封装置の優れた点>
本実施例に係る密封装置によれば、ガイド部材230が設けられているため、密封装置の組み立て時において、環状ピストン100及びスプリング500に対するキャンセラーシール200の位置調整が容易となり、組み立て作業性が高まる。また、使用中にスプリング500が捩じれたり移動したりすることを抑制することができる。そして、ガイド部材230は、キャンセルプレート210に設けられた円筒部211の内周面211aに対して嵌合により固定される構成が採用されている。従って、板金加工によって、キャンセルプレートに複数のスプリングを位置決めするガイドとなる面を形成する場合に比べて、設計自由度を高めることができる。これにより、キャンセルプレート210の材質により、板金加工がし難い場合でも、ガイド部材230の材料として加工しやすい材料を採用することで、所望の形状の内周面211aを形成することができる。そのため、スプリング500の外周面を保持する領域を拡げることもでき、スプリング500の位置決め機能を高めることができる。
このように、本実施例に係る密封装置によれば、密封装置の組み立て作業性に優れ、かつ、使用中にスプリング500が捩じれたり移動したりすることを抑制しつつ、設計自由度を高めることができる。
100 環状ピストン
110 ピストン本体
111 平板部
112 内筒部
113 内向きフランジ部
114 外筒部
115 先端部
116 固定部
200 キャンセラーシール
210 キャンセルプレート
211 円筒部
211a 内周面
212 内周端部
213 外周端部
230 ガイド部材
231 突出部
232 湾曲面
300 環状シリンダ
310 壁面
313 スナップリング
320 壁面
400 クラッチ
410 ドライブプレート
420 ドリブンプレート
500 スプリング
R0 環状空間
R1 油圧室
R2 キャンセル室

Claims (4)

  1. 環状空間内において往復移動自在に備えられ、前記環状空間の一端側に形成される油圧室内の油圧に応じて往復移動することに伴って、クラッチ板を押圧または押圧解除することにより、クラッチによる動力の伝達と伝達解除を切り替える環状ピストンと、
    前記環状ピストンを挟んで、前記油圧室とは反対側に配置されて、前記環状ピストンとの間に、前記油圧室内に生ずる遠心油圧を相殺する油圧を生じさせるキャンセル室を形成するキャンセルプレートを有するキャンセラーシールと、
    前記環状ピストンと前記キャンセラーシールとの間に配される複数のスプリングと、
    を備える密封装置であって、
    前記キャンセルプレートには、径方向の中間位置に密封装置の回転中心軸線と同心状の円筒部が設けられると共に、
    前記複数のスプリングを位置決めするガイド部材が、前記円筒部の内周面に対して嵌合により固定されていることを特徴とする密封装置。
  2. 前記ガイド部材は、径方向内側に突出する突出部が周方向に間隔を空けて複数設けられる筒状部材により構成されており、隣り合う突出部の間に形成される湾曲面がスプリングの保持面として用いられることを特徴とする請求項1に記載の密封装置。
  3. 前記ガイド部材は、金属材料または樹脂材料により構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の密封装置。
  4. 前記環状ピストンに、前記複数のスプリングをそれぞれ固定する複数の固定部が設けられていることを特徴とする請求項1,2または3に記載の密封装置。
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