JP2007117080A - コーヒーエキスの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】以下の(1)乃至(4)の工程を経ることを特徴とするコーヒーエキスの製造方法であって、工程(1)及び(3)における温水に酸化防止剤が添加されてなることを特徴とするコーヒーエキスの製造方法とする。
(1)焙煎粉砕したコーヒー豆を温水で浸漬もしくは湿潤させる工程、
(2)工程(1)のコーヒー豆を水蒸気抽出し、溜出液を回収する工程、
(3)工程(2)の溜出残渣を温水で抽出し、抽出液を回収する工程、
(4)工程(2)の溜出液と、工程(3)の抽出液とを混合する工程。
【選択図】なし
Description
缶やペットボトルに充填されたコーヒー飲料は、一般にコーヒー豆を熱水或いは温水抽出して得られるコーヒーエキスを飲料濃度まで希釈した後、缶等の容器に充填して殺菌するという工程を経て製造される。
しかしながら、通常の熱水或いは温水抽出法により得られるコーヒーエキス中にはコーヒー豆に含まれている香気成分が十分に抽出されておらず、しかもこのコーヒーエキスを用いて製造されるコーヒー飲料は殺菌処理により香りや味が劣化してしまうため、風味や香りなどの点において品質的に満足できるものではなかった。
コーヒー豆を多く使用すれば香りを増大させることはできるが、この場合、呈味成分も増大するため苦味が多くなり、飲用には耐え難くなってしまうという欠点があり、優れた味を保ちつつ、香味成分のみを増大させることは困難であった。
その為、豊富な香気成分と呈味成分が適度に含まれており、殺菌処理後にも風味が豊かで美味しいコーヒーエキスを製造する方法の創出が望まれていた。
(1)焙煎粉砕したコーヒー豆を温水で浸漬もしくは湿潤させる工程、
(2)工程(1)のコーヒー豆を水蒸気抽出し、溜出液を回収する工程、
(3)工程(2)の溜出残渣を温水で抽出し、抽出液を回収する工程、
(4)工程(2)の溜出液と、工程(3)の抽出液とを混合する工程。
請求項3に係る発明は、前記工程(4)で得られたコーヒーエキスに、更にpH調整剤及び/又はアスコルビン酸を添加することを特徴とする請求項1又は2に記載のコーヒーエキスの製造方法に関する。
請求項4に係る発明は、前記pH調整剤が重曹、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、クエン酸ナトリウムのいずれか1種類であることを特徴とする請求項3記載のコーヒーエキスの製造方法に関する。
請求項5に係る発明は、前記工程(1)乃至(4)の全工程を脱酸素条件下で実施することを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載のコーヒーエキスの製造方法に関する。
請求項6に係る発明は、前記脱酸素条件が、不活性ガス雰囲気下での実施、不活性ガスの吹き込み、不活性ガスによる置換、の少なくとも一つによるものである請求項5記載のコーヒーエキスの製造方法に関する。
請求項7に係る発明は、前記不活性ガスが、窒素、二酸化炭素、アルゴンガス、ヘリウムからなる群より選択されるいずれか一種以上である請求項6記載のコーヒーエキスの製造方法に関する。
溜出残渣については温水抽出することにより、得られた抽出液を回収する。
その後、前記溜出液と前記温水抽出により得られた抽出液とを混合することにより、コーヒーエキスを得る。
(1)焙煎粉砕したコーヒー豆を水で浸漬もしくは湿潤させる工程、
(2)工程(1)で浸漬させたコーヒー豆を水蒸気抽出し、溜出液を回収する工程、
(3)工程(2)の溜出残渣を温水で抽出し、抽出液を回収する工程、
(4)工程(2)の溜出液と、工程(3)の抽出液とを混合する工程からなり、
上記(1)乃至(4)の工程をこの順序によって行うことにより得られたコーヒーエキスは殺菌工程後にも優れた香りや風味を有し、しかも味においても優れる上、飲料に適した濃度であるところ、希釈工程を経ることなく殺菌処理後そのままコーヒー飲料としての用途に供される。
そこで、本発明者らは、前記工程(1)を経ることにより、焙煎したコーヒー豆が水蒸気抽出工程において高温に長期間さらされても呈味成分が劣化しないことを見出し、最初に工程(1)を経た後、以下に述べる工程(2)乃至(4)を順に経ることを特徴とするコーヒーエキスの製造方法を完成させた。
これによりコーヒー豆が高温に長時間さらされても呈味成分が劣化するといった弊害を防止することができ、殺菌工程後にも優れた香りや風味を有するとともに味においても優れたコーヒーエキスを得ることができる。
以下、工程(1)乃至(4)について順に説明する。
使用するコーヒー豆の原料としては特に限定されるものではないが、具体的には一般にコーヒーの原料として用いられているコーヒーノキ(Coffea arabica,Coffea robusta,Coffea liberica)などを例示することができる。
また、二種以上の原料を用いることも可能である。
その理由は、5℃未満であると、湿潤しにくくなり、100℃を超えると、品質が悪くなる為、いずれの場合も好ましくないからである。
その理由は、1分未満であると、コーヒー豆が均質に湿らせるのに十分でないからであり、30分を超えると、品質の劣化が始まる為、何れの場合も好ましくないからである。
その理由は、0.05未満であると、コーヒー豆を均質に湿らせることができないからであり、3を超えると、容器内が液体の水で充足されるので、蒸気になる空隙がなくなり、以下の水蒸気蒸留〔工程(2)〕における設定条件に適さない為、いずれの場合も好ましくないからである。
尚、上述した条件で工程(1)において、染み出てくるコーヒー豆抽出液中の固形分は、通常、浸漬前のコーヒー豆重量の15%未満である。
工程(2)は、工程(1)で浸漬もしくは湿潤させたコーヒー豆を水蒸気抽出し、溜出液を回収する工程である。
水蒸気抽出により、以下の温水抽出を含む工程(3)では抽出されない香気成分を確実に抽出することができる。
また、本発明に係る製法により得られたコーヒーエキスは、水蒸気抽出の溜出液が用いられているので、殺菌後にも豊かな風味、香りを有している。
以上より、水蒸気抽出を含む工程(2)を経ることは風味豊かなコーヒーエキスを得る上でかかせないものとなる。
高温により、後の工程(3)で得られるコーヒー抽出液の呈味が悪くなる。
また、水蒸気抽出の際に原料が高温に長時間さらされる結果、温水抽出により抽出される呈味成分が劣化する弊害については事前に上記工程(1)を経ることにより回避することができる。
これらの香気成分は、原料を従来の抽出法、即ち熱水或いは温水抽出法により抽出して得られるコーヒーエキスにも含まれているが、本発明に係るコーヒーエキスの製造方法により得られたコーヒーエキスにはこれら香気成分が従来のものよりも多く含まれている。
工程(3)は前記工程(2)の溜出残渣を温水で抽出し、コーヒーエキスを回収する工程である。
温水抽出に用いられる温水の温度については、特に限定されるものではないが、50〜100℃、より好ましくは80〜95℃であるのが望ましい。
その理由は、50℃より低いと呈味成分の抽出効率が悪く、100℃より高いと品質が劣化する恐れがあり、いずれの場合も好ましくないからである。
例えば、コーヒーノキ(Coffea arabica)を用いた場合、原料に対して約2.5倍量に相当する85〜95℃の温水を用いて15分間程度かけて抽出することにより、原料中の呈味成分が完全に抽出される。
工程(4)においては、前記温水抽出により得られる抽出液と水蒸気抽出により得られる溜出液を混合することによりコーヒーエキスを得る。
これらはコーヒーエキスの風味を保持するために配合される。
pH調整剤としては、重曹、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、クエン酸ナトリウムのいずれか1種類を例示することができるが、特に限定はされるものではない。
pH調整剤及び/又はビタミンCを配合する場合の配合量は特に限定されないが、pH調整剤とビタミンCの合計の配合量として、コーヒーエキス中200〜400ppm程度配合するのが望ましい。
尚、pH調整剤とビタミンCの両方を配合する場合には、pHが6.0〜7.0になるように配合するのが望ましい。
脱酸素条件下で得られたコーヒーエキスは、高圧処理した後においても、風香味の劣化(不快苦味成分の増加)が防止されるだけではなく、良好な風香味(良好な苦味成分)を増進させ、しかも、沈殿や凝集、コーヒーオイルの浮上も防止されて、長期間保存してもきわめてきれいな外観を呈し、特に透明なPETボトル等透明容器に充填した場合に優れた効果が奏される。
不活性ガスとしては、二酸化炭素、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムからなる群より選択される1種又は2種以上が使用される。
前記酸化防止剤としては、アスコルビン酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム、二酸化硫黄、無水亜硫酸、亜硫酸カリウム、ピロ亜硫酸カリウム、アスコルビン酸、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、ローズマリー抽出物、金銀花抽出物、コーヒー生豆抽出物、マテ茶抽出物などが例示される。
また、用途に応じて適宜希釈後用いることもできる。
但し、本発明は以下の実施例により何ら限定はされない。
焙煎粉砕したコーヒー豆(ガテマラ豆100%)400gを容器に入れ、40℃の温水100gで、10分間、湿らせた。
この際、コーヒー豆が均質に湿らせることができるよう、温水を40℃した。
次に、湿らせたコーヒー豆を容器内で水蒸気蒸留し、溜出液を80g回収した。
蒸留残渣については95℃の温水3600gで、ドリップ法により抽出した。
前記溜出液80gと抽出液2800gとを混合させた。
得られたコーヒーエキス2880gを実施例1の試料とした。
実施例1で得られたコーヒーエキス1000gに重曹1gを添加し、pH6.0に調整した。得られたコーヒーエキス1001gを実施例2の試料とした。
工程(1)乃至(4)の処理を窒素雰囲気下で行ったこと、及び工程(1)乃至(4)における処理水として脱酸素水を使用したこと以外は、実施例1と同一の工程で行った。
得られたコーヒーエキスを実施例3の試料とした。
尚、脱酸素水はウルトラソニックを用いて製造した。
工程(1)乃至(4)における処理水に、アスコルビン酸ナトリウムをその濃度が50ppmになるように添加したこと以外は、実施例1と同一の工程で行った。
得られたコーヒーエキスを実施例4の試料とした。
焙煎粉砕したコーヒー豆(ガテマラ豆100%)400gを容器に入れ、95℃の温水4000gで、ドリップ法により抽出した。
得られたコーヒーエキス3000gを比較例1の試料とした。
焙煎粉砕したコーヒー豆(ガテマラ豆100%)400gを容器内で水蒸気蒸留し、溜出液を80g回収した。
蒸留残渣を95℃の温水3600gで、ドリップ法により抽出した。
前記溜出液80gと抽出液2800gとを混合させた。
得られたコーヒーエキス2880gを比較例2の試料とした。
焙煎粉砕したコーヒー豆(ガテマラ豆100%)400gを95℃の温水3600gで、ドリップ法により抽出した。
抽出残渣を水蒸気蒸留し、溜出液200gを回収した。
前記抽出液2800gと溜出液200gとを混合させた。
得られたコーヒーエキス3000gを比較例3の試料とした。
〔香り(強弱)〕
非常に強い…5点,強い…4点,普通…3点,やや弱い…2点,弱い…1点
〔香り(嗜好性)〕
非常に良い…5点,良い…4点,普通…3点,やや悪い…2点,悪い…1点
〔味〕
非常においしい…5点,おいしい…4点,普通…3点,ややおいしくない…2点,おいしくない…1点
10人のパネラーの合計点を算出した。結果を表1に示す。
これに対し、比較例1のエキスのように、ドリップ抽出により得られる抽出液からなるエキスを用いて製造されたコーヒーは、風味、香り、味の全てにおいて劣っていた。
また、比較例2のエキスのようにコーヒーを湿らさずに蒸留液を回収し、ドリップ抽出して得られた抽出液が混合されてなるエキスを用いて製造されたコーヒーや、比較例3のエキスのように蒸留液の回収量を多くし、ドリップ抽出して得られた抽出液が混合されてなるエキスを用いて製造されたコーヒーは香りの強さや嗜好性においては優れていたが、味が悪かった。
即ち、湿らし、水蒸気蒸留、ドリップ抽出の順で抽出を行うことにより、豊かな風味、香りを有し、味においても優れたコーヒーを製造することができた。
Claims (7)
- 以下の(1)乃至(4)の工程を経ることを特徴とするコーヒーエキスの製造方法であって、工程(1)及び(3)における温水に酸化防止剤が添加されてなることを特徴とするコーヒーエキスの製造方法。
(1)焙煎粉砕したコーヒー豆を温水で浸漬もしくは湿潤させる工程、
(2)工程(1)のコーヒー豆を水蒸気抽出し、溜出液を回収する工程、
(3)工程(2)の溜出残渣を温水で抽出し、抽出液を回収する工程、
(4)工程(2)の溜出液と、工程(3)の抽出液とを混合する工程。 - 前記酸化防止剤が、アスコルビン酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム、二酸化硫黄、無水亜硫酸、亜硫酸カリウム、ピロ亜硫酸カリウム、アスコルビン酸、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、ローズマリー抽出物、金銀花抽出物、コーヒー生豆抽出物、マテ茶抽出物からなる群より選択されるいずれか一種以上である請求項1記載のコーヒーエキスの製造方法。
- 前記工程(4)で得られたコーヒーエキスに、更にpH調整剤及び/又はアスコルビン酸を添加することを特徴とする請求項1又は2に記載のコーヒーエキスの製造方法。
- 前記pH調整剤が重曹、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、クエン酸ナトリウムのいずれか1種類であることを特徴とする請求項3記載のコーヒーエキスの製造方法。
- 前記工程(1)乃至(4)の全工程を脱酸素条件下で実施することを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載のコーヒーエキスの製造方法。
- 前記脱酸素条件が、不活性ガス雰囲気下での実施、不活性ガスの吹き込み、不活性ガスによる置換、の少なくとも一つによるものである請求項5記載のコーヒーエキスの製造方法。
- 前記不活性ガスが、窒素、二酸化炭素、アルゴンガス、ヘリウムからなる群より選択されるいずれか一種以上である請求項6記載のコーヒーエキスの製造方法。
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